JP2025043180A - ペロブスカイト太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

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康裕 白井
Yasuhiro Shirai
ビ ドゥラバ カダカ
Bahadur Khadka Dhruba
健次郎 宮野
Kenjiro Miyano
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Abstract

【課題】本発明の課題は光電変換効率が高いペロブスカイト太陽電池を提供することである。【解決手段】 ペロブスカイト半導体層の表面に、PF6-、BF4-、SO42-、HPO42―およびトリフルオロメタンスルホナート(CF3SO3-)からなる群より選ばれる1以上を含むアニオンを含む修飾材からなる修飾材層が形成されているとともに、修飾材層上に電子輸送層が形成されているペロブスカイト太陽電池とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ペロブスカイト太陽電池に係り、更に詳しくは、光電変換効率が高いペロブスカイト太陽電池およびその製造方法に関する。
近年、地球温暖化などの地球環境問題の観点から化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換できる太陽電池が注目されている。
太陽光を効率良く電気に変換できる太陽電池で、現在実用化されているものとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンおよびテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の無機系太陽電池が挙げられる。これらの無機系太陽電池の課題としては、例えば、シリコン系では非常に純度の高いものが要求され、精製の工程は複雑でプロセス数が多く、製造コストが高いことが挙げられる。
これに対して、安価で高効率な新しいタイプの太陽電池として、ペロブスカイト太陽電池が注目されている(特許文献1参照)。
ペロブスカイト太陽電池は、例えば、透明な基体上に形成された透明電極層、ホール輸送層、ペロブスカイト層、電子輸送層、および電極から構成される。または、さらに電子ブロッキング層または/およびホールブロッキング層が加わった構成になっている。ホール輸送層および電子輸送層は、それぞれホールおよび電子を輸送しつつ、ホール輸送層では電子の逆輸送を防ぎ、電子輸送層ではホールの逆輸送を防いで、電流を一定方法に流す役割を担っている。
ペロブスカイト太陽電池が安価である理由は、ペロブスカイト層が塗布形成可能な有機材料からなり、かつ100℃というような低温プロセスで作製できることに基づく。
ペロブスカイト太陽電池は、塗布法で製造が可能なため、電池の大型化に適し、さらにフレキシブルな基板上での製造も可能という優れた適用性も有している。また、低温プロセスで作製可能なため、シリコン等の他の太陽電池とタンデム型に組み合わせるということも可能な優れた展開性も有する。
ペロブスカイトは、これらの長所に加え、高い電荷輸送特性と、光生成した電子とホールが再結合するまでの長い拡散長とを併せもっている。このため、ペロブスカイト太陽電池は、高い光電変換効率が得られるポテンシャルを有する。
しかしながら、ペロブスカイト太陽電池の光電変換効率は、現状16%程度であり、さらなる光電変換効率の向上が求められている。
その取り組みとして、例えば非特許文献1-3に開示されているように、添加剤によるペロブスカイト層と電子輸送層との界面制御の研究が盛んになされている。
特開2017-22354号公報 特開2023-036564号公報
Nature,2019,571,245 Adv.Energy Mater.,2020,1902492 Adv.Energy Mater.,2020,1902579
本発明の課題は、光電変換効率(PCE;Power Conversion Efficiency)が高いペロブスカイト太陽電池およびそのペロブスカイト太陽電池の製造方法を提供することである。
本発明者は、ペロブスカイト太陽電池の光電変換効率を大きく左右する原因を詳細に検討し、アニオンの種類、およびカチオンの大きさと種類に着目した添加剤を用いてペロブスカイト層と電子輸送層との界面制御を行うことにより、高い光電変換効率が得られることを突き止めた。そして、下記に示す構成により、上記光電変換効率に係る課題を解決した。
(構成1)
ペロブスカイト半導体層の表面に、PF 、BF 、SO 2-、HPO 2―およびトリフルオロメタンスルホナート(CFSO3 )からなる群より選ばれる1以上を含むアニオンを含む修飾材からなる修飾材層が形成されているとともに、
前記修飾材層上に電子輸送層が形成されている、ペロブスカイト太陽電池。
(構成2)
前記修飾材は、さらに、半径0.135nm以上0.513nm以下の大きさのカチオンを含む、構成1記載のペロブスカイト太陽電池。
(構成3)
前記カチオンは、NH4 、CHNH 、グアニジニウムカチオン(Gua)、1-メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる1以上からなる、構成2記載のペロブスカイト太陽電池。
(構成4)
前記ペロブスカイト太陽電池は、透明電極層、ホール輸送層、前記ペロブスカイト半導体層、前記電子輸送層、ホールブロッキング層および裏面電極層を有する、構成1から3の何れか一項に記載のペロブスカイト太陽電池。
(構成5)
第1主表面に透明電極が形成された太陽光を透過する透明基板を準備することと、
前記透明電極上に、ホール輸送層、ペロブスカイト層を順次形成することと、
前記ペロブスカイト層の表面をイオン欠損修飾材で表面修飾処理することと、
前記表面修飾処理の後に、電子輸送層、ホールブロッキング層、裏面電極を順次形成することからなり、
前記イオン欠損修飾材は、構成1から3の何れか一項に記載の修飾材を含む、ペロブスカイト太陽電池の製造方法。
(構成6)
前記イオン欠損修飾材は、2-プロパノール(イソプロパノール)、トルエン、キシレン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンおよびジエチルエーテルからなる群より選ばれる1以上の溶媒を用いて、0.05mM(mmolL-1)から10mM濃度に調製された前記修飾材を含む溶液からなる、構成5記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
(構成7)
前記表面修飾処理の方法は、スピンコート法、ディップ法、スプレーコーティング法、蒸着法からなる群より選ばれる1つが用いられる、構成5または6記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
(構成8)
前記表面修飾処理の後、前記電子輸送層形成前に熱処理が施される、構成5から7の何れか一項に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
(構成9)
前記熱処理の温度は90℃以上110℃以下である、構成8記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
本発明により、光電変換効率が高いペロブスカイト太陽電池およびそのペロブスカイト太陽電池の製造方法が提供される。
本発明のペロブスカイト太陽電池の構造を示す模式図である。 本発明の効果のメカニズムを説明するための模式図である。 本発明の太陽電池の製造工程を示すフローチャート図である。 光電変換効率(PCE)のカチオンサイズ依存性を調べた特性図である。 短絡電流(JSC)のカチオンサイズ依存性を調べた特性図である。 曲線因子(FF)のカチオンサイズ依存性を調べた特性図である。 外部量子収率(EQE)のカチオンサイズ依存性を調べた特性図である。 内部量子収率(IQE)のカチオンサイズ依存性を調べた特性図である。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明のペロブスカイト太陽電池およびその製造方法について説明する。
<構造>
最初に、ペロブスカイト層に着目して本発明のコンセプトを説明する。
ペロブスカイト太陽電池におけるペロブスカイトはABXで表記され、Aサイトはメチルアンモニウムイオン(CHNH )、ホルムアミジウムイオン(HNCHNH )、セシウム(Cs)などの有機や無機カチオン、BサイトはPb2+やSn2+などの金属イオン、XサイトはI、Br、Clなどのハロゲン化物イオンから成り立っている。ペロブスカイト結晶構造を形成するためのAサイト、Bサイト、およびXサイトのイオンサイズは、許容範囲因子またはトレランス因子(t)で決まっている。Aサイト、Bサイト、Xサイトのイオン半径をそれぞれr、r、およびrとすると、トレランス因子(t)は下記式(1)で表される。ここでペロブスカイト構造のためにtは0.81<t<1.1の範囲を満たす必要がある。
光電変換機能を担うペロブスカイト層では、光照射に伴い電子とホールが生成されるが、発明者は、下記(1)から(3)に示す要因により、光電変換効率(PCE)が低下し、ペロブスカイトが本来もつPCEを引き出せていないと考えた。
(1)ペロブスカイト層中を動くことが可能なハロゲン化物イオン(I、Br、Cl)が、電場などにより、ペロブスカイト層のサイトXから電子輸送層やホール輸送層など電荷を輸送する層へ界面を跨いで移動する。
(2)ペロブスカイト層と電子輸送層の界面で生じるエネルギー準位のミスマッチにより、光照射によって生成された電子の電子輸送層への移動が妨げられる。
(3)ペロブスカイト層と電荷輸送層の界面で生じる欠陥準位を介して、光照射で生成された電子とホールが再び結合する電荷再結合が起きる。
発明者は、これら(1)から(3)の課題を解決するため、電子輸送層側のペロブスカイト層表面を修飾材(イオン欠損修飾材)で修飾することを考え、最適な修飾の探索実験を行って、本発明に至った。
その探索を行うときの着眼点は下記のとおりである。
[1]比較的サイズの大きなアニオンを含む材料の中から修飾材を選ぶ。このアニオンのクーロン反発力で(1)の課題であるペロブスカイトと電子輸送層界面を跨ぐハロゲン化物イオン(アニオン)の移動を抑制する。修飾材自身のアニオンはサイズが大きいので、ペロブスカイト層内部に侵入しにくく、表面に留まりやすい。
[2]修飾材のアニオンによりペロブスカイト表面を負に帯電させて、ペロブスカイト層の価電子帯端および伝導帯端を制御する。この制御により(2)の課題であったペロブスカイト層から電子輸送層へのスムーズな電子の流れを確保する。
[3]Xサイト欠損等によるペロブスカイト表面欠陥を修飾材でパッシベーションし、(3)の課題であったペロブスカイト層と電荷輸送層の界面で生じる欠陥準位を介した電荷の再結合を抑制する。
実施の形態1のペロブスカイト太陽電池101は、図1に示すように、透明基板11、透明導電層12、ホール輸送層13、X-PACz層(表面補償帯)13a、ペロブスカイト層14、表面修飾層(イオン欠損修飾材層)15、電子輸送層16、ホールブロッキング層17、裏面電極18、金属膜(配線層)19を含む。そして、透明基板11側から光20が照射される構成になっている。ここで、X-PACz層(表面補償帯)13aは、光電変換効率を向上させる目的で導入した層で、その効果は特許文献2に開示があるが、省略することも可能である。また、ホールブロッキング層17も電子輸送層16の材料によっては省略することが可能である。なお、透明電極層12は、第1の端子電極に電気的に繋がれ(図示なし)、裏面電極18は、第2の端子電極を形成する配線層19に電気的に繋がれている。
実施の形態1で特徴的なことは、図2に示されるように、電子輸送層16側のペロブスカイト層14の表面に表面修飾層(イオン欠損修飾材層)15が形成されていることである。ここで、イオン欠損修飾材層15は、PF 、BF 、SO 2-、HPO 2―およびトリフルオロメタンスルホナート(CFSO3 )からなる群より選ばれる1以上を含むアニオンを含む材料からなる層である。
これらのアニオンのクーロン反発力で前述の(1)の課題であるペロブスカイト層14と電子輸送層16との界面を跨ぐハロゲン化物イオン(アニオン)の移動が抑制される。
また、前述の(2)の課題であったペロブスカイト層14と電子輸送層16の界面で生じるエネルギー準位のミスマッチが抑制され、光照射によって生成された電子の電子輸送層への移動がスムーズになる。
さらに、前述の(3)の課題であるペロブスカイト層14と電荷輸送層16との界面で生じる欠陥準位を介した、光照射で生成された電子とホールの再結合がパッシベーション効果によって抑制される。
以上の効果によって、ペロブスカイト太陽電池の光電変換効率が向上する。
次に、本発明のペロブスカイト太陽電池101を構成する各層について説明する。
透明基板11は、太陽光を透過させ、所定値以上の剛性をもつ基体である。石英ガラス、フリントガラスやソーダ石灰フロートガラスなどの各種のガラスを好んで用いることができるが、アクリルやポリカーボネートなどの透明なプラスチックなども用いることができる。ガラスは、太陽光に対して透明度が高く(透過率が高く)、十分な剛性をもち、また耐光性、耐候性に優れるという特徴をもつ。プラスチックは、容易に自在な形状に加工が可能であり、また柔軟性を付与させることができるため、曲面状の太陽電池を作製したり、太陽電池を柔軟に曲げて使用したりする用途に適している。
透明導電層(透明電極)12の材料としては、インジウムスズ酸化物(ITO)を挙げることができる。また、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)を用いることもできる。
ITOは、耐光性を向上させる観点からスパッタリング法で成膜することが好ましい。具体的には、ターゲットをITO、スパッタリングガスをアルゴン(Ar)ガスやクリプトン(Kr)ガスなどの希ガスとしたRFスパッタリングが好ましい。基板温度は室温でよいが、室温に限るものではない。また、ITO成膜後150℃以上の熱処理を加えると、太陽光透過率の向上と電気抵抗の低抵抗化が図れるので好ましい。一方で、300℃を超える熱処理は、逆に電気抵抗が上がるため好ましくない。
ITOは透明度が高く、透明性導電膜としては比較的電気抵抗率が低いという特徴がある。さらに、インジウム(In)やスズ(Sn)が酸化されて固定化されるため、これらの金属は拡散しにくく、耐光性向上に必要な相互拡散防止機能を有する。
透明電極12のITOの膜厚は、150nm以下が好ましい。一方で、必要な導電性を確保するため、ITOの膜厚は100nm以上が好ましい。なお、ITOの膜抵抗は低いほど良く、0Ω/sqを超えて15Ω/sq以下であることが好ましい。
透明電極12の抵抗を下げるために、ITO膜と透明基板11との間に金属リード線を加えてもよい。金属リード線の材質としては、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等を挙げることができる。金属リード線は、透明基板11上にスパッタ法または蒸着法等で形成し、その上にITO膜を形成することが好ましい。ただし、金属リード線を設けることにより、入射光量の低下を招くので、金属リード線の太さは、0.01mm以上3mm以下であることが好ましい。
ホール輸送層13としては、無機のNiO膜、Spiro-OMeTAD(2,2´、7,7-Tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenylamino)-9,9´-spirofluorene)、PTAA(Poly[bis(4-phenyl)(2,4,6-trimethylphenyl)amine])、およびMeO-2PACz([2-(3,6-ジメトキシ-9H-カルバゾール-9-イル)エチル]ホスホン酸)を挙げることができる。
特に、ホール輸送層13をスパッタリング法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法で形成された無機のNiO膜で構成すると、ピンホールやクラックが少ない大きい面積の層を形成することができ、さらに光照射耐性が高くなる。ホール輸送層13の他の形成方法としては、塗布形成法およびキャスト法を挙げることができる。
ホール輸送層13の厚さは、4nm以上50nm以下であることが好ましく、4nm以上18nm以下がより好ましい。ホール輸送層13の厚さをこの範囲にすると高い光電変換効率を得ることが可能になる。さらに、ホール輸送層13の厚さを15nm以上18nm以下とすると、高い長期信頼性を兼ね備えることが可能になる。これは、ホール輸送層13のピンホールが抑制されることに起因する。
ホール輸送層13としてNiO膜を用いた場合は、ホール輸送層13の導電性を向上させるため、NiO膜にNi以外の金属イオンをドーピングすることも好ましい。金属イオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等のイオンが挙げられる。具体的な金属イオンは、Li、Na、K、Mg2+、Cu2+、Fe2+、Mn2+、およびZn2+から選ばれる少なくとも一種であり、さらにより好ましくはLiおよびMg2+から選ばれる少なくとも一種である。LiとMg2+を同時に使用してもよい。ドーピング濃度は、0.5mol%以上50mol%以下が好ましく、2mol%以上30mol%以下がより好ましい。これらの金属イオンは、例えばスパッタリングを行うときのターゲット材料に含有させておくことにより、ホール輸送層13に導入することが可能である。
X-nPACz層13aは化学式(1)記載の物質からなる層である。ここで、式(1)中、XはORまたはRで、Oは酸素、Rは炭素数が1以上12個以下の直鎖の炭化水素基を表し、nは2以上12以下の整数を表す。
この層の存在によって、NiO膜13の界面およびペロブスカイト層14の空乏(Vacancy、ベーカンシー)が抑えられて、ペロブスカイト太陽電池101の光電変換効率が向上する。ここで、ベーカンシーは、沃素(I)、塩素(Cl)または臭素(Br)などのハロゲン化物イオンの空乏を指す。
式(1)中のnは2または4がより好ましく、化学式(1)中のXがOCHで、nが2、すなわち化学式(2)に示されるMeO-2PACzであることが、ベーカンシーの形成がより抑制され、光電変換効率がより高まるので、さらに一層好ましい。
なお、X-nPACzは、NiO上に塗布して熱処理を施すことでNiOが表面修飾される。この熱処理の温度としては20℃以上150℃以下が表面修飾を促すのに好適であり、この温度範囲の熱処理を好んで用いることができる。
X-nPACzはNiOを被覆することにより均一なホール輸送層を形成する。すなわち、X-nPACzは表面補償帯として機能する。なお、表面修飾の一部の場所で局所的に欠損があったとしても、それがNiO膜13の界面およびペロブスカイト層14のハロゲン化物イオンのベーカンシーの近傍でなければ悪影響はない。
ペロブスカイト層14を構成する材料は、特に限定されず、CHNHPbI、CH(NHPbI、CsPbI、CHNHSnI、CHNHSnPb(1-x)、CH(NHSnI、FA0.84Cs0.12Rb0.04PbI等が挙げられ、好ましくはCHNHPbI、CH(NHPbI、およびFA0.84Cs0.12Rb0.04PbIを挙げることができる。
さらに、これらの材料の沃素(I)の一部を塩素(Cl)によって置き換えた材料、例えば、CHNHPbI3―xClにすると光電変換効率と光照射耐性が向上し、放置経時変化が少なくなるのでより好ましい。ここで、沃素の一部を塩素に置換する反応としては、相互拡散法(Chlorine-mediated Interdiffusion method)を挙げることができる。
ペロブスカイト層14は単層の膜でも複数の層からなる積層膜でもよい。
単層膜の場合は、製造工程が少なく、太陽電池としての量産性に富み、コストを下げることができるという特徴がある。
一方、積層膜の場合は、光の吸収帯が異なるペロブスカイトを複数積層させたタンデム構造にすることにより、広い波長帯の光を効率よく吸収させて太陽電池全体としての光電変換効率を高めることができるという特徴がある。積層膜の例としては、例えば広いバンドギャップを有するFAaCsbRb1-a-bPb(IBr1-x(FA=(IBr1-x(FA=ホルムアミジニウム(HNCHNH),0<a≦1,0<b≦1,0<x≦1)、ペロブスカイトを狭いバンドギャップを有するSn系ペロブスカイト上へ積層した構造が挙げることができる。
ペロブスカイト層14は、スピンコートなどの塗布法により形成することができる。例えば、溶剤に溶かしたペロブスカイト前駆体を準備し、それをスピンコート後、熱処理を加えることによりペロブスカイト層14を形成することができる。
ペロブスカイト層14形成の具体例としてCHNHPbIを挙げると、ヨウ化メチルアンモニウムCHNHI(「MAI」と略する)とヨウ化鉛PbIを溶剤に溶かしたペロブスカイト前駆体溶液を準備し、それをスピンコートする。溶剤としては、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)を用いることができる。スピンコートの際に、ストライエーションの低減と膜厚均一性を目的に、揮発調製として少量のトルエンなども滴下すると好ましい。熱処理の温度は50℃以上120℃以下が好ましい。
表面修飾層(イオン欠損修飾材層)15は、PF 、BF 、SO 2-、HPO 2―およびトリフルオロメタンスルホナート(CFSO3 )からなる群より選ばれる1以上を含むアニオンを含む修飾材からなる表面修飾層である。
さらに、イオン欠損修飾材層15は、半径0.135nm以上0.513nm以下の大きさのカチオンを含むことがより好ましい。カチオンの具体例としては、NH4 、CHNH 、グアニジニウムカチオン(Gua)、1―メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチルー3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる1以上を挙げることができる。ここで、参考までに、Gua、1―メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチルー3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオンの構造を各々化学式(3)、(4)、(5)、および(6)に示す。
イオン欠損修飾材層15が上述のカチオンを含むことにより、安定して高い光電変換効率が得られるペロブスカイト太陽電池101が供給される。
電子輸送層16を構成する材料は、特に限定がないが、例えば、n型導電性高分子、n型低分子有機半導体、グラフェン材料、およびn型金属酸化物を用いることができる。ここで、[6,6]-フェニル-C61-ブチル酸メチルエステル(PCBM)は、塗布法により形成することが可能であり、スループットと製造コストの観点から電子輸送層16として好ましく用いることができる。
ホールブロッキング層17としては、金属イオンがドープされた酸化膜、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、および酸化スズから選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。ここで、ドープされる金属イオンは、例えば、W6+、Nb5+、Sb5+、Ta5+、Al3+、Y3+、Ga3+から選ばれる少なくとも一種である。ドーピング濃度は0.5mol%以上50mol%以下、好ましくは0.5mol%以上20mol%以下である。例えば、1.6mol%のアルミニウムがドープされた亜鉛酸化膜(AZO)をホールブロッキング層17として好んで用いることができる。
ホールブロッキング層17の厚みは30nm以上150nm以下であることが好ましく、電気抵抗と層の厚さの均一性を考慮すると、40nm以上100nm以下がより好ましい。
裏面電極18は、銀などの金属膜またはインジウムスズ酸化物(ITO)と銀などの金属の複合膜である。この膜はスパッタリング法で成膜することが好ましい。ITOも用いる場合は、ITOを光干渉膜として活用し、裏面光反射率を高めて、太陽電池全体としての光電変換効率を高めることができる。
ITOの形成方法としては、ターゲットをITO、スパッタリングガスをアルゴン(Ar)ガスやクリプトン(Kr)ガスなどの希ガスとしたRFスパッタリングが好ましい。基板温度は室温でよいが、室温に限るものではない。また、ITO成膜後熱処理を加えることが有効であるが、ペロブスカイト層4などにダメージを与えないように、熱処理を加える場合は、140℃以下、好ましくは120℃以下の熱処理とする。
配線19の材料は、銀、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、銅(Cu)、金(Au)などの金属あるいはAl-Siなどの合金を挙げることができる。なお、配線19は、裏面電極18を活用して、裏面電極18の引き出し線の形で作製してもよい。
実施の形態1の構造のペロブスカイト太陽電池101により、上記課題(1)から(3)が解消され、光電変換効率が高いペロブスカイト太陽電池が供給される。
<製造方法>
ペロブスカイト太陽電池101の製造方法を、製造工程をフローチャートで示した図3を参照しながら説明する。
ペロブスカイト太陽電池101は、透明基板11上にITOからなる透明導電層12を形成する工程(S11)と、ホール輸送層13を形成する工程(S12)と、X-nPACz層からなる表面補償帯13aを形成する工程(S12a)と、ペロブスカイト層14を形成する工程(S13)と、イオン欠損修飾層15を形成する工程(S14)と、電子輸送層16を形成する工程(S15)と、ホールブロッキング層17を形成する工程(S16)と、裏面電極18を形成する工程(S17)と、配線を形成する工程(S18)を順次行って製造される。ここで、工程S12は省略することが可能で、工程S16も電子輸送層16の材料によっては省略することが可能である。
ホール輸送層13は、Spiro-OMeTAD(2,2´、7,7-Tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenylamino)-9,9´-spirofluorene)、PTTA(Poly[bis(4-phenyl)(2,4,6-trimethylphenyl)amine])、
MeO-2PACzおよびニッケル酸化膜(NiO)などからなる。形成方法としては、塗布形成法、キャスト法、スパッタリングなどのPVD法を挙げることができる。
この中でも、スパッタリング法などのPVD法によって成膜される無機のニッケル酸化膜(NiO)は、高い光電変換効率を得る上でホール輸送層13に好適である。
ここで、スパッタリング法は、PVD法の中でも量産性に富み、製造安定性も高いので、好んで用いることができる。その生産性から、ターゲットとしてNiOを用いてRFマグネトロンスパッタリング装置でホール輸送層13を成膜する方法を好んで用いることができるが、ターゲットとしてNiを用い、酸素存在下でスパッタリングする方法を用いることもできる。
ホール輸送層13の厚みは、4nm以上50nm以下であることが好ましく、電気抵抗と層の厚さ均一性を考慮すると、10nm以上50nm以下がより好ましい。
表面補償帯(X-nPACz層)13aは前記式(1)記載の物質からなる層である。ここで、式(1)中、XはORまたはRで、Oは酸素、Rは炭素数が1以上12個以下の直鎖の炭化水素基を表し、nは2以上12以下の整数を表す。式(1)中のnは2または4がより好ましく、式(1)中のXがOCHで、nが2、すなわち式(2)に示されるMeO-2PACzであることがさらに一層好ましい。
表面補償帯13aの形成方法としては、スピンコート法、ディップ法、スプレーコーティング法、蒸着法からなる群より選ばれる1を挙げることができる。この中でも、欠陥が少なく量産性が高いスピンコート法およびディップ法を好んで用いることができる。
X-nPACzはNiO上に形成した後、20℃以上150℃以下の熱処理を施すことが好ましい。本処理によりX-nPACzは表面補償帯として作用し、ホール輸送層は緻密で面内均一性も高くなる。
ペロブスカイト層14は塗布形成法で形成することが量産性と欠陥低減の観点から好ましく、ペロブスカイト層14は塩素を含有するペロブスカイトが好ましい。また、塗布形成後に60℃以上150℃以下の熱処理を施しておくことが太陽電池としての長期安定性確保および光電変換効率の向上の観点から好ましい。
イオン欠損修飾材層15は、イオン欠損修飾材を含む溶液をペロブスカイト層14の表面に、スピンコート法、ディップ法およびスプレーコーティング法によって塗布して形成される。または、蒸着法によって形成される。
ここで、イオン欠損修飾材は、PF 、BF 、SO 2-、HPO 2―およびトリフルオロメタンスルホナート(CFSO3 )からなる群より選ばれる1以上を含むアニオンが、2-プロパノール(イソプロパノール)、トルエン、キシレン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンおよびジエチルエーテルからなる群より選ばれる1以上の溶媒を用いて0.05mM(mmolL-1)から10mM濃度に調製された溶液からなる。
イオン欠損修飾材は、さらに、半径0.135nm以上0.513nm以下の大きさのカチオンを含むことが好ましい。カチオンの具体例としては、NH4 、CHNH 、グアニジニウムカチオン(Gua)、1―メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる1以上を挙げることができる。ここで、イオン欠損修飾材に仕込むアニオンとカチオンの比率は、1:1とする。
なお、イオン欠損修飾材層15を形成した後、電子輸送層16を形成する前に熱処理を施しておくことが好ましい。熱処理の温度としては、90℃以上110℃以下を挙げることができる。この熱処理により、ペロブスカイト結晶中や表面、粒界において、イオン欠損修飾材の固定という効果が生まれる。
電子輸送層16としては、PCBM膜、フラーレンC60膜、またはPCBM膜とC60膜との積層膜を挙げることができる。これらの膜は、塗布形成法、真空蒸着法などによって形成することができる。
ホールブロッキング層17は、アルミニウム亜鉛酸化膜(AZO)、LiF膜、またはバソクプロイン(BCP)膜からなることが好ましい。これらの膜は、塗布形成法、真空蒸着法などによって形成することができる。
裏面電極18としては、Agなどの金属あるいはAl-Siなどの合金からなる単層膜、ITOと金属や合金との積層膜を挙げることができる。これらの膜の形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、塗布形成法などを挙げることができる。
配線19としては、Al、W、Cuなどの金属、Poly-SiあるいはAl-Siなどの合金からなる単層膜、金属や合金との積層膜を挙げることができる。これらの膜の形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、CVD法、塗布形成法などを挙げることができる。
以上のようにしてペロブスカイト太陽電池を製造すると、その太陽電池101は光電変換効率の高い太陽電池になる。
(実施例1)
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.太陽電池の作製
1-1.透明電極層を備えた透明基板の準備
市販されている透明電極状にパターン化されたITO膜からなる透明電極層12を第1主表面上に備える透明基板11を準備した。そのITO膜の膜厚は150nmであり、膜抵抗は約15Ω/sqである。
1-2.ホール輸送層の形成
ITO膜の上にホール輸送層13としてNiO膜をスパッタリング法により20nmの膜厚で成膜した。この成膜にはRFマグネトロンスパッタリング装置(SVC-700 RFINA、サンユー電子(株)製)を用いた。ターゲットは99.9%純度のNiO((株)高純度化学研究所製)である。スパッタリングガスをアルゴン(Ar)ガスとし、スパッタリングチャンバーの真空度を2×10-3Pa未満にした後、アルゴンガスを20sccmの流量でチャンバー内に導入し、室温下50Wのパワーでスパッタリングを行った。このときのアルゴンのガス圧は3.5Paである。なお、このスパッタリングの直前にITO膜2が被着された透明基板1を20分間UVオゾン洗浄した。
1-3.表面補償帯の形成
窒素で満たされたグローブボックス内で6mgのMeO-2PACz([2-(3,6-ジメトキシ-9H-カルバゾール-9-イル)エチル]ホスホン酸)を18mLのエタノールに溶解させ、0.22μmシリンジフィルターでろ過してMeO-2PACz溶液を得た。この溶液をNiOx上に滴下して300rpm30秒のスピンコーティングを行い、ホットプレート上で100℃10分の熱処理を行って、MeO-2PACzからなる表面補償帯13aを形成した。
1-4.ペロブスカイト層の形成(2ステップ法)
次に、表面補償帯13aの上にハロゲン化鉛ペロブスカイト(FA0.84Cs0.12Rb0.04PbI)からなるペロブスカイト層14を500nmの膜厚で塗布法により形成した。
具体的には、2.4mLのDMFと0.6mLのDMSOからなるDMF-DMDO中の9mgの5-AVAl、1383mgのPbI(関東化学、純度98%)、433.4mgのホルムアミジニウム(FA´)ヨウ化物塩(FAI)、93.6mgのCsI、および25.5mgのRbIを調製し、それを表面補償帯のあるNiOx膜13の上にスピンコートした。105℃30分アニール後、2-プロパノール(IPA)溶媒中に0.5-10mol%/mLの5F-PHZをスピンコートし、ペロブスカイト層14をパッシベーションした。上記工程を経てペロブスカイト層14を形成した。
1-5.イオン欠損修飾材層の形成(添加剤によるペロブスカイト表面処理)
メチルアンモニウムヘキサフルオロホスファート(CHNHPF)などの表1に示す添加剤を各々6mLのIPA溶媒に溶かして作製した溶液をペロブスカイト層14の上に滴下し、5000rpmで50秒のスピンコートを行った後、100℃で5-10分のアニールを行ってイオン欠損修飾材層15を形成した。ここで、表1に1から12の試料、a1からa5は比較例、b1およびb2は参考例を示す。
1-6.電子輸送層の形成
以下の手順で、PCBMからなる電子輸送層16を作製した。
99%純度のPCBM(SIGMA-ALDRICH社)を2重量%の比率で無水クロルベンゼンに溶かした溶液をペロブスカイト層14上に滴下後、先ず700rpm7秒、引き続いて3000rpm30秒の条件でスピンコートし、105℃15分の熱処理を加え、膜厚50nmの電子輸送層16を形成した。
1-7.ホールブロッキング層の形成
AvantamaAGを含む(アルミニウムがドープされた)酸化亜鉛ナノ粒子(AZOナノ粒子)が懸濁されたインキであるNanograde N-21X(ナノグレード社)を滴下後、先ず1500rpm5.5秒、引き続いて4000rpm20秒の条件でスピンコートして膜厚100nmのAZO膜からなるホールブロッキング層17を作製した。ここで、同インキを塗布後には、105℃10分の熱処理を行った。
1-8.裏面電極の形成
熱蒸着法により厚さ150nmの銀(Ag)を堆積させて裏面電極18を形成した。
1-9.封止
得られたセルにカバーガラスを設置して紫外線硬化性のレジンであるUVRESIN XNR5516Z(NagaseChemteX製)を用いて封止し(図示なし)、カプセル化して電気特性の評価を行った。
2.光電変換特性評価
上記作製方法によって作製したペロブスカイト太陽電池101のJ-V特性、外部量子収率(EQE)特性、および内部量子収率(IQE)特性を調べた。
そこでは、AM1.5Gスペクトルフィルターを使用して1-SUN規格の条件で測定し、EQE特性およびIQE特性はSM-250IQE(分光計器製)を用いて測定した。そのデータから、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)、直列抵抗(R)、並列抵抗(Rsh)および変換効率(η)を求めた。なお、数値は、最低8個のペロブスカイト太陽電池を用いて得られたデータの内の最高値である。
表1に示した1から12および比較例a0からa5、参考例b1とb2の試料に対してPCEを測定した結果を表2に示す。なお、比較例a0は、イオン欠損修飾材層15を形成しなかった場合を示す。ここで、表2には、計算により求めたアニオンのサイズと使用したカチオンも掲示してある。アニオンのサイズは、密度汎関数で計算され、分子端端部から端部の最大長の半分(半径)で定義した。
表2からわかるように、ペロブスカイト半導体層14の表面に、PF 、BF 、SO 2-、HPO 2―およびCFSO3 からなるアニオンを含む層であるイオン欠損修飾材層15が形成されている場合は、16.9%を超えるPCEが得られている。一方、イオン欠損修飾材層15が形成されていない比較例a0の場合のPCEは、16.52%と低い値であった。また、イオン欠損修飾材層15のアニオンとしてI(比較例a1)、FeCl (比較例a2)、C(NC) (比較例a3)、OCN(比較例a4)、CHCOO(比較例a5)を用いた場合も、PCEはそれぞれ10.43%、4.46%、13.85%、16.25%および16.35%と低い値であった。
以上のことから、ペロブスカイト半導体層14の表面に、PF 、BF 、SO 2-、HPO 2―およびCFSO3 からなるアニオンを含む層であるイオン欠損修飾材層15が形成されているときの効果が確認された。
次に、イオン欠損修飾材層15を形成するカチオンサイズに対するペロブスカイト太陽電池101の光電特性を、イオン欠損修飾材層15のアニオンをPF に固定して調べた。ここで、カチオンサイズは、アニオンサイズと同様に、カチオン分子の端部から端部の最大長を計算によって求めた。
使用したカチオンは、NH4 (試料3)、CHNH (試料4)、1―メチルイミダゾリウムカチオン(試料5)、5-アゾニアスピロ[4,4]ノナンカチオン(試料6)、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン(試料7)、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムカチオン(試料8)と、参考例としての1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート(試料b1)および1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート(試料b2)の8種類である。
光電変換効率(PCE)、短絡電流(Jsc)、曲線因子(FF)のカチオンサイズ依存性をそれぞれ図4、図5および図6に示す。
PCEは、カチオンサイズが0.135nm以上0.513nm以下で16%以上という高い値になっている一方、カチオンサイズが0.513nmを超えると急激にPCEが下がっていくことがわかる。また、短絡電流(Jsc)も曲線因子(FF)もカチオンサイズが0.135nm以上0.513nm以下で高い値を維持し、カチオンサイズが0.513nmを超えると急激に下がっていくことがわかる。
さらに、外部量子収率(EQE)と内部量子収率(IQE)の測定結果をそれぞれ図7および8に示すが、カチオンサイズが0.531nmおよび0.590nmになるとEQEもIQEも目立って低下することがわかる。なお、図中のカッコ内の数字はカチオンのサイズ(単位はnm)を表す。
以上のことから、ペロブスカイト半導体層14の表面形成されたイオン欠損修飾材層15は、半径0.135nm以上0.513nm以下の大きさのカチオンを含むとペロブスカイト太陽電池101の光電特性がよくなることが確認された。
本発明により、光電変換効率が高いペロブスカイト太陽電池およびそのペロブスカイト太陽電池の製造方法が提供されるので、産業の発展に大いに寄与することが期待される。
11 透明基板 (透明性支持体)
12 透明導電層 (ITO膜)
13 ホール輸送層 (NiO膜)
13a 表面補償帯、X-nPACz層
14 ペロブスカイト層
15 修飾材層 (イオン欠損修飾材層)
16 電子輸送層 (PCBM膜)
17 ホールブロッキング層 (AZO膜)
18 裏面電極 (ITO膜、金属膜)
19 配線
20 光
101 ペロブスカイト太陽電池

Claims (9)

  1. ペロブスカイト半導体層の表面に、PF 、BF 、SO 2-、HPO 2―およびトリフルオロメタンスルホナート(CFSO3 )からなる群より選ばれる1以上を含むアニオンを含む修飾材からなる修飾材層が形成されているとともに、
    前記修飾材層上に電子輸送層が形成されている、ペロブスカイト太陽電池。
  2. 前記修飾材は、さらに、半径0.135nm以上0.513nm以下の大きさのカチオンを含む、請求項1記載のペロブスカイト太陽電池。
  3. 前記カチオンは、NH4 、CHNH 、グアニジニウムカチオン(Gua)、1-メチルイミダゾリウムカチオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-2,3―ジメチルイミダゾリウムカチオンからなる群より選ばれる1以上からなる、請求項2記載のペロブスカイト太陽電池。
  4. 前記ペロブスカイト太陽電池は、透明電極層、ホール輸送層、前記ペロブスカイト半導体層、前記電子輸送層、ホールブロッキング層および裏面電極層を有する、請求項1から3の何れか一項に記載のペロブスカイト太陽電池。
  5. 第1主表面に透明電極が形成された太陽光を透過する透明基板を準備することと、
    前記透明電極上に、ホール輸送層、ペロブスカイト層を順次形成することと、
    前記ペロブスカイト層の表面をイオン欠損修飾材で表面修飾処理することと、
    前記表面修飾処理の後に、電子輸送層、ホールブロッキング層、裏面電極を順次形成することからなり、
    前記イオン欠損修飾材は、請求項1から3の何れか一項に記載の修飾材を含む、ペロブスカイト太陽電池の製造方法。
  6. 前記イオン欠損修飾材は、2-プロパノール(イソプロパノール)、トルエン、キシレン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンおよびジエチルエーテルからなる群より選ばれる1以上の溶媒を用いて、0.05mM(mmolL-1)から10mM濃度に調製された前記修飾材を含む溶液からなる、請求項5記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
  7. 前記表面修飾処理の方法は、スピンコート法、ディップ法、スプレーコーティング法、蒸着法からなる群より選ばれる1つが用いられる、請求項5または6記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
  8. 前記表面修飾処理の後、前記電子輸送層形成前に熱処理が施される、請求項5から7の何れか一項に記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
  9. 前記熱処理の温度は90℃以上110℃以下である、請求項8記載のペロブスカイト太陽電池の製造方法。
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