JP2024509348A - 摂動対象物からのx線の評価 - Google Patents

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Abstract

X線信号を評価する方法,システム,非一時的コンピュータ読み取り可能媒体である。上記方法は,複数の非摂動対象物のそれぞれの推定場を計算することを含み,上記複数の非摂動対象物は上記摂動対象物の摂動を表し,上記摂動は非拡散X線信号の波長のオーダーのものであり,上記複数の非摂動対象物の場に基づいて非拡散X線信号を評価する。

Description

(相互参照)
この出願は2021年12月31日提出の米国仮特許出願63/205,631および2021年12月31日提出の米国仮特許出願63/205,630からの優先権を主張するもので,両仮特許出願は参照によって本書に組み込まれる。
X線レジームにおいて粗さのサイズ(the roughness size)は波長に匹敵する。
図1は典型的なライン11を示すもので,そのエッジ12および13が粗く,クリティカル・ディメンション(critical dimension)(エッジ12と13の間の距離)15(ここでは線の長さ)を持つ。
図2は,X線源21,および図中においてレンズ22として象徴的に表されるミラーを通常介してX線ビーム31を試料100上の小さなスポット33に集光(集束)させる光学系を有するX線システムを示している。試料からの反射X線32は遠視野領域(far-field region)に配置されたCCDカメラ23によって検出される。図2は照明角度(illumination angle)41および集光(収集)角度(collection angle)32も示している。
円錐照明(照明コーン)(illumination cone)は,円錐集光(集光コーン)(collection cone)と異なることがあり,後者は典型的には前者(the primer)よりも大きく「散乱」X線(“scattered” X-Ray)の検出を可能にする。これらは鏡面方向(正反射方向)に向かわない,試料から回折された光線である(These are rays that are diffracted from the sample not into the specular direction.)。
このスキームでは,複数の散乱方向が,CCDカメラの異なるピクセルに入射することによって同時に収集されるので,試料/検出器の方向の光源/試料のスキャン,またはその両方をスキャンする必要性が減少する(thus reducing the need for scanning the source/sample of sample/detector orientations or both)。
しかしながら,これは,ある入射方向から生成される散乱光が,別の入射方向から生成される散乱光と検出器において干渉することがあることを意味する。
粗さの大きさが波長に匹敵する場合,検出における上記粗さの影響は重大であり,特に検出された信号を解釈するためにモデルに基づくアプローチ(モデルベースのアプローチ)(model-based approach)を使用する場合は考慮に入れる必要がある。
摂動対象物(擾乱を受けた対象物)(摂動物体)(perturbed object)からのX線信号を評価するためシステム,方法,および命令を記憶する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体が提供される。
摂動対象物の照明により摂動対象物から受信される(received)非拡散X線信号(non-diffused x-ray signals)を評価する方法が提供され,この方法は,複数の非摂動対象物のそれぞれについての推定場を計算し(calculating an estimated field for each of multiple non-perturbed object),上記複数の非摂動対象物は摂動対象物の摂動を表す(multiple non-perturbed objects represent perturbances of the perturbed object)ものであり,上記摂動は非拡散X線信号の波長のオーダーのものであり,上記複数の非摂動対象物の場に基づいて(based on the field of the multiple non-perturbed objects)上記非拡散X線信号を評価することを含む。
X線信号を推定する方法,システムおよび非一時的コンピュータ読み取り可能媒体が提供される。上記方法は,X線信号の波長のオーダーである摂動対象物の摂動によって生成される場を推定するもので,上記推定が上記摂動対象物の摂動の単一摂動(single perturbances)によって寄与される場に応答する一般関数を計算することを含み,上記一般関数が任意の形状の摂動対象物に適用可能なものであり,上記場および上記摂動の一または複数の統計的特性(性質)に基づいて上記X線信号を評価するものである。
この発明を理解し,この発明が実際にどのように実施することができるかを知るために,非限定的な例のみとして,好ましい実施形態を,添付図面を参照して説明する。
従来技術のラインを示す。 従来技術のX線システムの概略動作を示す。 摂動対象物および摂動対象物に対する反射率対角度スペクトルの一例を示す。 構造要素の一例を示す。 表面上の連続的な摂動の一例を示す。 粗さを運ぶ可能性のある界面の例を示している。 4.47nm波長の非拡散反射の一例を示す。 摂動対象物および複数の非摂動対象物の一例を示す。 周期構造における粗さのシミュレーション効果の一例を示す。 方法の一例を示す。 方法の一例を示す。 信号対グレージング角度の一例を示す。 方法の一例を示す。 摂動対象物および非摂動対象物の一例を示す。 摂動対象物および非摂動対象物の一例を示す。 信号対グレージング角度の一例を示す。 非摂動対象物の一例を示す。 非摂動対象物の一例を示す。 非摂動対象物の一例を示す。 信号対グレージング角度の一例を示す。 方法の一例を示す。 単一の入射角度を持つ入射ビームを用いた従来の散乱測定を受けた周期構造の断面図を示す。 この発明の一実施態様によるもので,複数の入射角度を持つ入射ビームを用いた散乱計測を受けた周期構造の断面図を示す。 単一の方位角を持つ入射ビームを用いた従来の散乱測定を受けた周期構造の上面図を示す。 この発明の一実施態様によるもので,ゼロの方位角を持つ中心軸を有する,複数の方位角を持つ入射ビームを用いた散乱計測を受けた周期構造の上面図を示す。 この発明の一実施態様によるもので,非ゼロの方位角を持つ中心軸を有する,複数の方位角を持つ入射ビームを用いた散乱計測を受けた周期構造の上面図を示す。 この発明の一実施態様による,低エネルギーX線反射散乱計測に適する,例示的なフィンFETデバイスの側面を示している。 この発明の一実施態様による,10nm/20nmライン/スペース比を有する周期構造を備えるシリコン(Si)フィンの0次反射率対散乱角のプロットと対応する構造を含む。 この発明の一実施態様による,10nm/20nmライン/スペース比を有する周期構造を備えるシリコン(Si)フィンの1次反射率対散乱角のプロットと対応する構造を含む。 この発明の一実施形態による,X線反射率散乱法(XRS)機能を有する周期構造測定システムを表す説明図である。 この発明の一実施態様による,例示的なコンピュータ・システムのブロック図を示す。
以下の詳細な説明において,この発明の十分な理解を提供するために,複数の具体的な詳細を記載する。しかしながら,この発明はこれらの具体的な詳細が無くても実施できることは当業者には理解されよう。他方,周知の方法,手順および構成要素についてはこの発明を不明瞭にしないように詳細には記述していない。
この発明の主題は,明細書の結論の部分において特に指摘され,かつ明確に特許請求される。しかしながら,この発明は,その目的,特徴および利点とともに,用例および動作方法の両方に関して,添付図面とともに以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されよう。
図示の簡略化および明瞭化のために,図面に示された要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。たとえば,いくつかの要素の寸法は,明確にするために,他の要素に対して誇張されることがある。さらに,適切と考えられる場合には,参照数字が,対応または類似の要素を示すために,図面間で繰り返されることがある。
この明細書における,システム,方法および非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体のいずれか一つへの言及は,システム,方法および非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体のいずれか他のものにも準用されるべきである。たとえば,システムへの言及は,システムによって実行可能な方法,およびシステムによって実行可能な命令を格納することができる非一時的コンピュータ読み取り可能媒体に準用されるべきである。
この発明の図示された少なくとも一つの実施形態は,そのほとんどの部分を,当業者に公知の電子部品および回路を用いて実施することができるので,詳細については,この発明の基礎概念の理解のため,またこの発明の教示を難解にしたりこの発明の教示から逸脱させたりしないために,上記に例示したように必要であると考えられる範囲を超えて説明しない。
以下に例示する数値や値は非限定的な例とみなされるべきである。
「Bに基づくA」という表現は,AがBのみに基づくこと,またはAがBおよび一または複数の他の要素,および/またはパラメータ,および/または情報に基づくことを意味する。「基づく」とは,Aの計算がBによって影響を受けること,および/またはAの値がBの値の関数であることを意味する。
「評価」(evaluation)という用語は,測定(measurement),推定(estimation),シミュレーション,計算,近似,検証,モデルの生成などを意味することがある。
X線信号を評価する(evaluating x-ray signals)は,対象物の照明の結果として検出されるべきX線信号の評価を実行することを含むことができる。
「取得する」(obtaining)という用語には,生成すること(generating),受信する(受け入れる)こと(receiving)などが含まれる。たとえば,検出信号を受信すること(receiving detection signals)は,検出信号を生成すること,摂動対象物を照明して(光を照射して)検出信号を生成すること,検出信号を生成することなく検出信号を受信すること(receiving)または取得すること(retrieving)などを含むことができる。
X線信号には,拡散X線信号(diffused x-ray signals)と非拡散X線信号(non-diffused x-ray signals)とがある。非拡散X線信号に基づく評価(および拡散信号に基づかない評価)を非拡散評価(non-diffused evaluation)と呼ぶことがある。拡散X線信号に基づく評価(および非拡散信号には基づかない評価)を拡散評価(diffused evaluation)と呼ぶことがある。
ソリッド・スタック(solid stack)は,互いに平行な層を積み重ねた構造(a structure that include a stack of layers that are parallel to each other)である。
説明を簡単にするために,ほとんどの例において,(粗さがない状態で)水平であるべき粗面(rough surface)および様々な非摂動面(non-perturbed surfaces)について言及している。水平向き(水平方向)は向きの単なる一例であって,上記粗面および非摂動面はどのような向きでもよいことに注意すべきである。上,上方,頂上,下方,最下および下(up, upper, top, lower, lowest and down)という表現はどの向きにも適用されるべきである。
提案される解決策は,任意の形状の摂動対象物に適用することができる初めての解決策であると考えられ,ソリッド・スタックに限定されるものではない。この解決策は,たとえば,摂動周期構造および/または摂動擬周期構造(ある位相までの周期構造),または摂動非周期構造に適用することができる。
構造への言及は,構造要素(structural element),試料,周期構造,周期構造の基本セル,および対象物に準用して適用されるべきである。様々な図面に示される様々な対象物,構造要素,試料,または構造は,格子(グレーティング)を形成することもあれば,周期的に配置することもできる。たとえば構造要素61は周期構造の基本セルであってもよい。
任意の形状の摂動対象物からのX線信号の放出を評価するシステム,方法および命令を記憶する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を提供することができる。
摂動(perturbations)および粗さ(roughness)という用語は同じ意味で使われる。摂動対象物とは粗さを受けた対象物のことである(A perturbed object is an object that suffers from roughness.)。
摂動面(perturbed surface)または粗面(rough surface)は,X線の波長のオーダー(たとえば10%から1000%)における粗さを提示する。X線の波長は0.01から10ナノメートルの範囲である。したがって,摂動面は,たとえば0.01ナノメートルから80ナノメートルの間,0.01ナノメートル未満,または80ナノメートル以上といった,ナノメートルスケールとなる。単一のX線ビームは周期構造の複数の基本セルを同時に照射可能なスポットを形成することができる。
X線放射を検出するために使用される検出器は二次元検出器とすることができ,その画素は拡散放射を感知するための拡散画素と非拡散放射を感知するための非拡散画素とに分類することができる。この分類は,対象物ごと,および/または照明ごと,および/または検出方式ごとであってよい。
図3は,ソリッド・スタック試料からのX線の反射率(入射強度に対する反射強度の比)が,粗さがオン(粗いソリッド・スタック)またはオフ(滑らかなソリッド・スタック)になるにつれてどのように変化するかを説明するシミュレーションの一例を示すグラフを含む(曲線51および52それぞれを参照)。
図3は,光源および検出器の両方が非常に狭い照明/集光円錐(コーン)を介して光を生成/捕捉したと仮定したときの反射率を,仰角シータの関数として示している。これはソリッド・スタックであるので,反射信号はほとんど正反射方向にあり(in the specular direction),したがって反射角は照明角と等しく,したがってグラフをパラメータ化するために必要なのは単一角度シータである。グラフには非正反射方向(non-specular directions)への反射率は示されていないが,粗さが存在する場合にはこれも存在する。
粗さを含む周期的(非ソリッド)構造も特徴付けるニーズがあり,界面に粗さを有する周期試料のX線照射に対する応答を評価するアルゴリズムが必要である。
孤立小摂動に対する散乱電場(散乱電界)の導出について(Derivation of the Scattered E-Field for an isolated small perturbation)
はじめに,粗さのない(つまり摂動がない)周期試料(サンプル)の反射率および内場(the reflectance as well as the inner field)が,電磁散乱問題(electromagnetic scattering problem)の厳密な既知の解法によって評価される。これらは,照明の2つの異なる方向および偏光(任意の入射光線)と任意の出射方向の逆方向について評価される。
有限円錐(コーン)(finite cones)(または他の有限の形状)を持つ照明/収集の場合,重ね合わせ(superposition)が採用され,各単一方向からの寄与分が別々に加算される。
与えられる照明方向kincと入力偏光状態(input polarization state)pincについて構造要素内の特定点(r,t)における内部電場ベクトル(inner E-field vector)は,以下のように示される。
Figure 2024509348000002
この場は,摂動のない構造要素について評価されることに再度注意すべきである。以下に示すように,粗さの効果を完全に決定するためには,摂動が「小さい」という仮定の下,2つの異なる内部電場が必要である。
a.照明(基準点Oで測定される単位振幅およびゼロ位相のもの)が,実際の照明方向kincおよび入力偏光状態pincから到来するときに生成される点(r,t)における内場(inner field):フォーマットは次のようになる。
Figure 2024509348000003
b.照明(基準点Oで測定される単位振幅およびゼロ位相のもの)が,収集方向の逆方向kscおよび出力偏光状態pscから到来するときに生成される点(r,t)における内場
Figure 2024509348000004
これらの2つの場を使用して(必ずしも確率的ではない)摂動プロファイルからの回折信号を決定する方法を説明するために,はじめに,小さな孤立した体積(ボリューム)によって摂動されたプロファイルについてそれがどのように達成されるかを説明する。
図4はほとんど摂動がない第1の材料から作られた構造要素を示すもので,この構造要素は,第1の材料と異なる周囲材料(たとえば空気)を有する周囲と界面している(interface)。対象物には構造要素の繰り返しが含まれていると仮定する。たとえば水平方向に沿った周期的な繰り返しであり,図4では単一周期のみが示されている。
構造要素61は,公称面(基準面)(nominal surface)62と呼ぶことができる滑らかな外面を有しており(図4では上面として示されている),公称面62は左端の水平部分を有しており,そこに正(positive)傾斜部分が続き,そこに別の(より高い)水平部分が続き,そこに負(negative)傾斜部分が続き,そこに右端の水平部分が続いている。
図4は,負傾斜部分上に位置する,座標(rt,0)の基準点(参照点)65の一例を示している。これは以下の場(fields)を持つ。
Figure 2024509348000005
上記基準点における場は上記のとおりである。第1の座標rtは外面上の位置(たとえば,2次元座標)を表し,第2の座標tは点rtにおける表面からの距離である。上記第2の座標は座標rtにおける表面65の法線に沿う距離である。
この構造要素は(構造要素61の体積に対して)小さな体積の新たな要素63を追加することによってわずかに摂動されている。
上記新たな要素63のジオメトリ(幾何学的配置,形状)(geometry)は,その「重心」64の最も近い境界面(座標rt)への投影と,その面からの中心の距離(1D座標tで示される)を指定することによって表される。上記新たな要素63は,dt(図4の傾斜面に平行な方向)で示される非常に小さな(差分)底面積および小さな(差分)高さdt(表面の法線方向で測定)を有する。
構造要素から放出されて検出器上の点に衝突する放射(radiation)を評価するのに代えて,上記検出器の点から上記構造要素に実質的に衝突(33で示す)し,かつ上記構造要素から照明光源に向かって実質的に「逆」に放出(散乱)(33で示す)される「逆」放射(“inverse” radiation)が,評価において考慮に入れられる。
図4において,上記構造要素に衝突する放射は31によって示され,上記構造要素から放出(たとえば散乱)される放射が32によって示されている。
これらの表記を用いると,(同じ基準点Oで測定された)単位振幅ゼロ位相の場成分(a unit amplitude zero phase Field component)が偏光状態pincのもと方向kincから試料を照射するとき,基準点Oで測定される,偏光状態pscのもとで方向kscに散乱される複素値散乱場(the complex-valued scattered field)のフーリエ成分(振幅および位相)は,(「小さな」摂動近似の下において)次式によって与えられる。
Figure 2024509348000006
この式において,
unperturbedは摂動が存在しない場合に生成される場(the field that would be produced when the perturbation is absent)である。
iは単位虚数複素数(the unit imaginary complex number)である。
は波数であり,関係k=2π/λを通じて波長λに関連する。
εは真空の誘電率である。
εOldは,摂動が導入される前における,摂動が導入される体積における材料の誘電率である。
εNewは,摂動が導入された後における,摂動が導入される体積における材料の誘電率である。
以下では,上記2つの誘電率の差について略記法を使用する。
(4) Δε=εNew - εOld
この差は一般的に(rt, t)に依存することに注意すべきである。
式(3)は,「ボルン一次近似」(Born first order approximation)としても知られるもので,摂動が「十分に小さい」場合に有効である。より正確には,その成立条件は次式で与えられる。
Figure 2024509348000007
連続的な摂動の場合について一般化される重ね合わせの使用(Use of Superposition to generalize for the case of a continuous perturbation)
図5に例示するように,表面上に連続的な摂動(continuous perturbation)がある場合を考える。
摂動している構造要素61は摂動しており,これは(摂動していない)公称表面62およびそのような非摂動表面からの偏差(摂動)によって表される。
上記偏差は,たとえば摂動66および別の摂動66’を含み,上記別の摂動66’は,図4の新たな要素のような,重心64および基準点65によって表される,複数の要素を含む。
これを摂動が完全にカバーされるような連続的なジオメトリを構成する多くの重なり合わない“キューブ”(cubes,立方体)の集まりに分割することができる。1次のボルン近似(1stBorn approximation)では,このような場合,これらのキューブの集合のそれぞれによって生成される個々の散乱場を重ね合わせて(加算して),生成される全体的な場を得ることができる。
この加算は,座標(rt,t)の積分によって数学的に表現され,ここで2D座標rtは,公称面62の全体にわたって積分され(対象物全体,たとえば対象物が周期構造である場合には座標は周期構造全体にわたって積分される),他方,座標t(公称面に対して法線で測定される)は,表面(t=0)における値から摂動が及ぶところの上記表面からの距離までの法線で積分される(たとえば,基準点65を参照して,高さh(rt)67は,点69(基準点65から延びる公称表面62の法線に沿う摂動の外部点)からの距離に等しい)。
公称面62より上(正の値)/下(負の値)の高さは公称位置rtに依存するので,高さh自体はrtの関数であり,したがってh=h(rt)となる。したがって摂動プロファイルによって散乱される全体的な場(フィールド)は式(6)によって与えられる。
Figure 2024509348000008
ここで「Sur」は摂動対象物の表面(the surface of the perturbed object)である。この式において,h(rt)は公称界面境界より上または下にある摂動を表すために,正または負の値のいずれかを得ることができる。Δεの値は上記境界の上/下における誘電率定数の差を忠実に表すために適切な符号変化を得る。
式(6)はある照明角度と単一の集光角度の組み合わせに対する場(the field for a combination of a certain illumination angle and a single collection angle)を計算する。式(6)によって集光角度と照明角度の様々な組み合わせを計算することができる。たとえば,X線放射がある開口数(Numerical Aperture)を持つと仮定すると,ある収集角度における場(fields)は,X線放射の開口数内の様々な照明角度によって寄与される電界の合計となる。
照明角度と集光角度の様々な組み合わせを考慮することは,この明細書のすべての計算(たとえば強度計算)(intensity calculations)に準用することができる。
電場からの強度の評価,およびランダム性とエルゴード性の適用(Evaluating the Intensity from the E-Field, and applying randomness, and Ergodicity)
上述のように導出される散乱電場(scattered E-field)に関連する強度は,上記場にその複素共役を乗じる(multiplying the field by its complex conjugate)ことによって評価することができる。
Figure 2024509348000009
ここで,関数の引数の長い表記
Figure 2024509348000010
を,短い表記(inc → sc)に変更した。したがって,与えられる決定論的摂動プロファイルについて関連強度が存在する(for a given deterministic perturbation profile, there is an associated intensity.)。
照射される試料の面積が非常に大きい(たとえばミクロンスケール)とすれば,スポットは(ナノメートルスケールの)多くの異なるプロファイルを「カバー」していると考えることができる(各プロファイルは試料の別の部分,たとえば別のピッチに属している)。
このプロファイルのばらつきを,大まかなプロファイルの確率的性質を表すランダム効果として考えることができ,さらに,スポットのサイズが大きいので,与えられる統計から引き出されるすべての可能なランダムプロファイルが試料の照明領域に存在するという仮定が正当化され,したがって実際に測定される強度は「すべての生じ得るランダムプロファイル」の強度の平均であると仮定することができる。解析にランダム性を導入するこの仮定は,以下,エルゴード仮定(ergodic assumption)と呼ばれる。
この平均化を表すために以下の数学的表記を用いる。
Figure 2024509348000011
この表記を用いて,エルゴード仮定の下での強度は以下によって与えられる。
Figure 2024509348000012
強度の「拡散」項および「非拡散」項への分離,ならびにこれらの特性(Separation of the Intensity into a “"Diffuse” term, and a “Non-Diffused” term, and their properties.
したがって強度は電場の積の平均(the average of the product of E-fields)であることが示される。電場の平均の積を足したり引いたりすることによって,上記強度の式を式(10)に示す2つの項の和として再構成することができる。
Figure 2024509348000013
したがって,粗さが存在する場合の反射信号は,2つの加算項に分解することができる。
a.「非拡散」強度:回折次数に対する粗さに関連した平均場の2乗の効果のみを伝えるもの(which carry the effect of the roughness-related mean-field squared on the diffraction orders only)。
b.「拡散」強度:粗さに関連した磁場-磁場共分散の効果を記述するもの(which describes the effect of roughness-related field-field covariance)。
結論は,「拡散」項が境界に沿う各点の粗さの統計量にのみ依存して他の点の統計量には依存しないのに対し,「非拡散」項は境界に沿う任意の2点間の粗さの相関にも依存するということである。
「非拡散」項は関数の総和であり,各関数は境界に沿う1点の摂動にのみ依存するので,この項では表面に沿う2つの摂動間の相関は考慮されず,したがってこの項は,そのような2つの摂動が完全に相関しているかのように計算することができる。この相関は,周期性の仮定を解除することなく(without lifting)粗さの影響を評価することができるので,この項の評価を劇的に容易にし,したがって回折次数の強度のみに影響を与えるが,そうでなければ回折次数に含まれない方向への追加信号を持たない。この特性については以下にさらに説明する。
対照的に,「拡散」項は上記場-場共分散(the field-field covariance)に比例するので,相関を含み,この項を評価するためにはランダムプロファイルのさらなる統計が必要とされる。
上記2つの項の相違は,ある入射方向に対する各項の散乱強度の角度依存性にも影響する。
a.「非拡散」項は,試料の通常の(摂動のない)回折次数方向以外の散乱方向に寄与しない。
b.「拡散」項は,一般的に任意の方向への散乱に寄与する。
ランダムプロファイルの統計的特性の観点における強度表現(Expressing the Intensity in terms of the Statistical Properties of the Random profile)
非拡散項の評価(Evaluating of the Non-Diffused term)
非拡散項の式は,境界からの偏差のすべての生じ得るランダムプロファイルの電場の平均の評価を必要とする(The expression for the Non-Diffused term requires the evaluation of the average of the E-field over all possible random profiles of deviations from the boundary)。
Figure 2024509348000014
この平均化は,以下の場の依存性から評価することができる。
Figure 2024509348000015
これらの場のそれぞれは,tの関数として見たときにフーリエ級数で展開できるので,そのドット積(内積)(dot-product)
Figure 2024509348000016
は,本質的に式(6)の摂動に入る項であり,畳み込み定理によれば,各周波数の振幅と周波数そのものが,摂動なしの問題の解から導き出されることで,この形でも再構成することができる。したがって,以下のとおりである。
Figure 2024509348000017
ここで,
n(rt,inc,sc)は,与えられる入射方向(inc)および散乱方向(sc)に対して,境界に沿うrtに対応するフーリエ成分の振幅である。この数値は摂動のない問題を解くことによって求めることができる。
n(rt, inc, sc)は,与えられる入射方向(inc)および散乱方向(sc)に対して,境界に沿う点rtに対応するフーリエ成分の周波数である。この数値も摂動のない問題を解くことによって求めることができる。
周期構造の場合,場は(連続的ではなく)離散的な周波数の集合の和として表すことができる。インデックスnはこれらの離散集合を列挙するために使用される。
式(12)の式は,いまだt(0からhまで)にわたって積分し,rtにわたって積分する必要があり,hのとり得る値全体を平均化する必要がある。hの確率密度関数が既知であり,f(h)で与えられるとすると,平均電場(average E-Field)は式(13)によって評価することができる。
Figure 2024509348000018
一般に,hに関する積分は数値的に評価することができるが,解析的に評価できる場合もある。たとえばf(h)が平均0,標準偏差σのガウス分布関数である場合,式10におけるtおよびhに関する積分は解析的に評価することができ,いずれも摂動なしの問題の解からわかるAn(rt, inc, sc)およびkn(rt, inc, sc)で表すことができる。
拡散項の評価(Evaluating of the Diffused term)
この項はより複雑な評価を必要とする。場の共分散に比例するので,境界に沿う任意の2点間の摂動の相関を含む。したがって,関数g(h, h';rt, rt'),境界上の点rtにおける摂動がhとh+dhの間であり,点rt'における摂動がh'とh'+dh'の間であるという結合確率関数,を知る必要がある。これも粗い境界の特徴である。この関数を用いて(磁場-磁場共分散の定義の一部である)磁場-磁場積の平均(average of field-field product)を,式(14)を用いて評価することができる。
Figure 2024509348000019
図6は,粗さをもたらす2つの考えられ得る界面の例を示している。対象物の第1の部分71は第1の粗面73を有しており,対象物の第2の部分72は第2の摂動面74を有している。
重ね合わせによって,垂直境界(またはそのようないくつかの境界)および水平境界(またはそのようないくつかの境界)の両方に沿う粗さを持つ構造要素のケースは,それぞれの境界からの寄与強度を別々に加算することによって説明される(2つの異なる境界に属する2点間の粗さは無相関であると仮定する)。
図7はグラフ81~86を含み,これらはシリコン基板上に堆積された様々な厚さを持つ酸化膜からなる粗面試料からの波長4.47nmの非拡散反射率の例を示している。これらのグラフは測定およびシミュレーションの両方を示しており,観察された粗さの効果を適切にモデル化するために,粗さを導入する必要性を強調している。
図8は,周期構造上の粗さの例のシミュレーション効果(曲線91は滑らかな上面を,94は標準偏差20オングストロームの粗さの上面を示す)を示している。構造95はシリコン基板上にエッチングされた酸化物のラインでできている。上記ラインの最上部の界面に粗さがあり,信号の非拡散部分がすべての回折次数に及ぼす影響を,粗さのない場合と比較して示している。
図9は方法200の一例を示している。
方法200は,摂動対象物の照明により摂動対象物から受信されるX線信号を評価するためのものとすることができる。
様々な目的,たとえば摂動対象物の粗さを決定するために,モデルを用いることができる。
たとえば,様々な粗さ値の摂動対象物の基準(参照)モデル(reference models)を生成することができる。評価摂動対象物が評価されると,評価された対象物から受信されたX線信号を基準モデルと比較して,一または複数の同様のモデルを見つけることができる。評価された摂動対象物の粗さは,一または複数の基準モデルの粗さに基づいて決定することができる。
方法200はステップ210でスタートし,摂動対象物の摂動によって生成される場(field generated by perturbances of the perturbed object)を推定する。上記摂動はX線信号の波長のオーダーのものである。
ステップ210は摂動対象物の摂動の単一摂動(single perturbances of perturbances of the perturbed object)によって寄与される場に応答する一般関数を計算すること(ステップ220)を含むことができる。
上記一般的関数はさまざまな形状の摂動対象物,たとえば任意の形状のものに適用することができる。互いに平行な複数層を含む摂動対象物だけに適用できるわけではない。
ステップ220はステップ221,222,223および224の少なくともいくつかを含むことができる。
ステップ221は,摂動対象物の形状に無関係な第1の可積分関数(first integrable function)を積分することによって一般関数を計算することを含む。
ステップ221は,(a)単一摂動のうちの一つの位置(a location of one of the single perturbances)における摂動対象物とその周囲の誘電率係数差(Δε),(b)ある照明角度における上記単一摂動のうちの一つの照明に寄与する場(式(1)参照),および(c)上記単一摂動からの,ある収集角度における照明の収集に寄与する場(式(2)参照)に基づく第1の可積分関数を積分することを含む。
式(6)を参照して,第1の加積分関数は以下にようになる。
Figure 2024509348000020
単一摂動からの,ある収集角度における照明の収集に寄与する場は,収集角度と反対の照明角度からの単一摂動の一つの照明に寄与する場(field contributed to the illumination of the one of the single perturbances from an illumination angle that is opposite to the angle of collection)を計算することによって算出される。たとえば以下のとおりである。
Figure 2024509348000021
ステップ222は,(a)第2の可積分関数を提供するために,摂動対象物の非摂動バージョンとの関係において,単一摂動のうちの一つの高さを表す高さ範囲にわたって第1の可積分関数を第一積分する(first integrating)ことによって,一般関数を計算することを含む。式(6)における0およびh(rt)の間の第一積分を参照。
ステップ223は,上記第2の可積分関数と,摂動対象物の表面の非摂動バージョン上の単一摂動のうちの一つの法線投影の面積(an area of a normal projection of the one of the single perturbances on a non- perturbed version of a surface of the perturbed object)とに基づいて,第3の可積分関数を含むことができる。上記面積は式(6)においてd2rtによって表されている。
ステップ224は,第3の可積分関数を摂動対象物の一または複数の表面にわたって第2積分して第4の関数を提供することと,摂動対象物の非摂動バージョンを照明することから生じる場の推定値を上記第4の関数に加算することとを含む。式(6)における,以下の公称界面表面にわたる,以下の二重積分(the double integral over the nominal interface surface)を参照。
Figure 2024509348000022
ステップ220の後にステップ240が続き,そこでは場と摂動の一または複数の統計的特性に基づいて評価が実行される。
ステップ240は,ステップ241,242,243,244,245,246および247の少なくとも一つを含むことができる。
ステップ241は,摂動対象物の粗さを評価することを含む。
ステップ242は,所与の粗さを持つ摂動対象物から生成されるX線信号を評価することを含む。
ステップ243は,摂動対象物の一または複数の他の特性(粗さではない)を決定することを含む。
ステップ244は粗さ推定値の検証を含む。
ステップ245は,場,および摂動対象物の摂動の統計に基づいてX線信号の強度を評価することを含む。
ステップ246は,拡散強度の算出および非拡散強度の算出を含む。
ステップ247は,摂動対象物の生じ得る摂動バージョンにわたって得られる場の平均化によって(by averaging of the field obtained over possible perturbed versions of the perturbed object)非拡散強度を計算するステップである。たとえば,以下を参照。
Figure 2024509348000023
ステップ247は,様々な関数にわたる複数の積分を計算することを含み,上記複数の積分の計算は,(a)ある照明角度における単一摂動のうちの一つの照明に寄与する場と,(b)ある収集角度における単一摂動からの照明の収集に寄与する場とのドット積の間の初期積分(initial integral)を計算することを含む。
ステップ247は,ドット積を表すフーリエ級数を計算することによってドット積を計算することを含む。
X線信号は拡散X線信号であってもよく,ステップ240は拡散X線信号の強度を計算することを含んでもよい。
X線信号は非拡散X線信号であってもよく,ステップ240は非拡散X線信号の強度を計算することを含んでもよい。
ステップ240は,拡散X線信号の強度に基づいて非拡散X線信号の強度を検証することまたは決定することを含むことができる。
ステップ240は,非拡散X線信号の強度に基づいて拡散X線信号の強度を検証することまたは決定することを含むことができる。
ステップ240は,非拡散X線信号の強度および拡散X線信号の強度に基づいて摂動対象物の特性を決定することを含むことができる。
方法200は,実際の(real)摂動対象物の実際の照明に基づいて実行することができる。
これに加えてまたは代えて,方法200は摂動対象物の照明シミュレーションに基づいて実行することができる。
方法200は,様々な粗さを有する摂動対象物(シミュレートされたものまたは実際のもの)に対して複数回にわたって実行することができ,様々な粗さの摂動対象物を照明したときに得られるX線信号の推定値を提供することができる。
これらの推定値を,新たな推定される摂動対象物の粗さを決定するために用いることができる。
図10は,摂動対象物の照明により摂動対象物から受信される非拡散X線信号を評価する方法の一例を示している。
方法300は,摂動対象物の摂動を表す複数の非摂動対象物(multiple non-perturbed objects represent perturbances of the perturbed object)を計算するステップ310を含む。摂動対象物の摂動は非拡散X線信号の波長のオーダーである。
ステップ310に続くステップ320は,摂動対象物の摂動を表す複数の非摂動対象物のそれぞれについて推定場(estimated field)を計算する。
ステップ320に続くステップ330は,複数の非摂動対象物の場に基づいて非拡散X線信号を評価する。
摂動対象物および複数の非摂動対象物の界面(interfaces)は均一な(一様な)(uniform)誘電率を有することができる。
摂動対象物の摂動は摂動分布関数(a perturbances distribution function)したがうものであってもよい。ステップ310は,上記摂動分布関数に基づいて複数の非摂動対象物を計算することを含んでもよい。
上記摂動分布関数は,摂動対象物の摂動の高さパラメータの確率関数であってもよい。
摂動対象物の界面に関係する所与の隆起の高さパラメータは,上記隆起と摂動対象物の界面との間の距離であり,上記所与の隆起が摂動に属する(the given protuberance belongs to the perturbances)。
摂動対象物は単一の粗い界面(a single rough interface)を有するものであってもよい。複数の非摂動対象物は,複数の非摂動対象物の各非摂動物体のそれぞれについて一つの対応する非摂動界面を有する,対応する非摂動界面を有してもよい。
単一の粗い界面の摂動の高さパラメータの摂動分布関数は,対応する所定の非摂動界面の高さパラメータの摂動分布関数と実質的に等しい場合がある。
摂動対象物は複数の粗い界面を有してもよい。この場合,複数の非摂動対象物は対応する非摂動界面を有し,複数の非摂動対象物のそれぞれの非摂動対象物ごとに複数の対応する非摂動界面を有する。複数の非摂動対象物は,複数の粗面界面の摂動分布関数の組み合わせを表す様々な非摂動面(different non-perturbed surfaces that represents combinations of the perturbances distribution functions of the plurality of rough interfaces)を有することができる。様々な粗面界面を表す非摂動界面の位置の異なる組み合わせ(Different combinations of locations of non-perturbed interfaces that represents different rough interfaces)が評価されるべきである。
図9は,それぞれが非摂動表面110(1)~1103(N)を有する複数(N個)の非摂動対象物1101(1)~1101(N)(非摂動対象物1個につき1個)の例を示しており,これは摂動面1103を有する摂動対象物1100を表している。上記複数の非摂動対象物は非摂動表面1101(M)を有する非摂動対象物1101(M)を含むように図示されている。
図9において,摂動表面1103に沿う点(points)が高さ分布によって分布されている(たとえばy軸座標を有する)。非摂動面1101(3)~1103(N)の高さは摂動面の高さ分布にしたがう。
非摂動面1103(1)の高さは摂動面1101の最高点(the highest point)を表している。
非摂動面1103(N)の高さは摂動面1101の最低点(the lowest point)を表している。
非摂動面1103(M)の高さは摂動面の中間点(intermediate point)を表している。
図9では,最高点のインスタンスが1つ,最低点のインスタンスが1つ,中間高さのインスタンスが2つある。これは,各高さのそれぞれに割り当てられた非摂動対象物の数,各高さに関連する計算に関する重みなどによって表すことができる。
図9はまた,場が計算される点1104,および点1104(1)~1104(N)を示している。場は任意の基準点において計算することができる。
図11は,摂動対象物の照明に起因して摂動対象物から受信される非拡散X線信号を評価する方法300の例を示している。
方法300はステップ310において開始されて,摂動対象物を表す非摂動対象物が計算され(calculating a non-perturbed object that represents the perturbed object),上記非摂動対象物は,均一な誘電率の一または複数の摂動対象物領域を表す可変誘電率の一または複数の領域を含む。
ステップ310に続くステップ320において,上記非摂動対象物の推定場が計算される。
ステップ320に続くステップ330では,上記非摂動対象物の上記推定場に基づいて非拡散X線信号が評価される。
摂動対象物の摂動は摂動分布関数(perturbances distribution function)にしたがうものであってもよく,一または複数の領域の可変誘電率が上記摂動分布関数に基づいて計算される。
可変誘電率領域内において,誘電率は,連続,非連続,段階的,階段状など,任意に変化してよい。説明を簡単にするために,以下のいくつかの例では,誘電率の段階的変化を形成する可変誘電率領域内のサブ領域(部分領域)を示す。
ステップ310は,摂動対象物領域を,互いに誘電率が異なる複数の非摂動対象物のサブ領域によって置き換えることを含む。上記複数の非摂動対象物のサブ領域は複数の層であってもよいし,他の形状を有してもよい。
上記複数の非摂動対象物のサブ領域は,(a)摂動対象物領域の公称面の上方に位置する上部摂動サブ領域(upper perturbed sub-region)と,(b)摂動対象物領域の公称面の下方に位置する下部摂動サブ領域(lower perturbed sub-region)とを含んでもよい。
上記摂動対象物は公称面を有する摂動対象領域を持つ。上記摂動領域の公称面が摂動領域の非摂動バージョンである。
上部摂動サブ領域および下部摂動サブ領域は,摂動対象物の摂動の摂動分布関数の標準偏差を乗じた係数(coefficient multiplied by a standard deviation of a perturbances distribution function of the perturbances of the perturbed object)に等しい厚さを有することができる。
上側摂動サブ領域の誘電率は下側摂動サブ領域の誘電率と異なっていてもよく,上側摂動サブ領域の誘電率と下側摂動サブ領域の誘電率は,(a)摂動対象物領域の誘電率(ε)と,(b)摂動対象物領域と干渉する他の領域の誘電率(ε)との重み付き和(weighted sums)である。
以下の図面は,摂動対象物の場(the field of a perturbed object)を計算するのに代えて,非摂動対象物の場(the field of a non-perturbed object)を計算する例を示している。
図12は,信号対グレージング角(a signal versus grazing angle)の一例を示している。曲線111は粗さのない格子(グレーティング)(対象物)についてのこの関係を示しており,曲線112は摂動対象物についてのこの関係を示しており,点113は摂動対象物を表すN=100個の非摂動対象物に基づく評価の関係を示している。
図13は方法400の一例を示している。
方法410は摂動対象物を表す非摂動対象物を計算するステップ410で開始され,ここで上記非摂動対象物は,均一な誘電率の一または複数の摂動対象物の領域を表す可変誘電率の一または複数の領域を含む。
ステップ410に続くステップ420では,非摂動対象物の推定場(estimated field)が計算される。
ステップ420に続くステップ430では,非摂動対象物の上記推定場に基づいて非拡散X線信号が評価される。
図14は可変誘電率の非摂動領域127を有する摂動対象物120および非摂動対象物126を示している。
摂動対象物120は,粗面123を有する(均一な誘電率εの)摂動領域121を含む。多くのプロファイルにわたって平均化され,通常の摂動分布関数(図の例ではガウスとする)を有することによって特徴付けられる反射場(reflected field)は,可変誘電率の非摂動領域127を有する非摂動対象物126から得られる場,たとえば摂動対象物120の粗面123の平面に直交する勾配摂動対象物(graded-perturbed object)を有する場と等価である。勾配誘電率(graded permittivity)は,累積分布関数(図14の場合,誤差関数と相補誤差関数である)にしたがって法線に沿って変化する重み付け和(weighted sum)である。
摂動対象物120は粗面123を有する(均一な誘電率ε1の)摂動領域121を含み,かつ他の領域122も含む。摂動対象物は,別の誘電率(ε2)を有する周囲124(空気または別の対象物)と界面(インターフェース)する(interfaces)。
非摂動対象物126は,可変誘電率の非摂動領域127および他の領域122を有している。可変誘電率の非摂動領域127の各点あたりの誘電率の値が,その点におけるグレースケールによって表されている。
Figure 2024509348000024
誘電率が均一な層を形成するために,対象物のプロファイルを軸方向(上下方向)に沿って分解する必要がある方法が提供される。
図15は,誘電率ε1の上部領域を有し,かつ粗い界面171を有する摂動対象物170の一例を示している。上記粗い表面の高さ分布は標準偏差σを有している。
摂動対象物170は非摂動対象物173によって表され,粗い界面は複数(R)の上層174(1)~174(R)と複数(R)の下層175(1)~175(R)によって表される。上層の誘電率は累積分布関数と,粗い界面を表す平面からこの層の距離(the distance of this layer from a plane that represents the rough interface)によって決定される。
すべての上層の高さの合計がhupによって示される。
すべての下層の高さの合計がhdownによって示される。
すべての層の実効誘電率がεで示され,変数tの関数であり,上記tは公称上面(平滑面)に対する位置を表している。
Figure 2024509348000025
選択する層の数を変えることによって,グレーデッドインデックス・プロファイル(graded-index profile)をより正確に近似することができる。
図16は,ゼロ次の場(zero order of field)における信号対グレージング角(signal versus grazing angle)の一例を示している。
a.非摂動対象物 - 曲線181
b.R=1の対象物 - 曲線182
c.R=2の対象物 - 曲線183
d.R=5の対象物 - 曲線184
e.R=10の対象物 - 曲線185
f.粗い対象物 - 曲線186
図16は,使用される層数が多ければ多いほど,グレーデッドインデックスがより正確に近似されることを示している。図16の右のグラフはある特定の入射角に注目したもので,層の数を増やすことによって(曲線182),厳密な結果(rigorous result)(曲線181)がよりよいものに近づくことを示している。参考までに,曲線181は摂動のない(非摂動)対象物を表している。
場の評価に関する計算時間は層の数によってスケーリングされるので,計算時間を短縮するために層の数を減らすことが望まれることがある。
粗い界面の場合に精度を犠牲にすることなくこれを行うには,層の厚さおよび誘電率を最適化して,これらが界面からの法線距離がある次数までの摂動の効果(the effect of the perturbation up to some given order of the field with the normal-distance from the interface)に最もよく一致するようにする必要がある。
上記場における二次に最も適合させるためには(To best match to second order in the field),界面の上層と下層で,特定の厚さ(粗さに比例する)および特定の誘電率(粗さのない界面の上層と下層の材料の誘電率の一定の加重和)を持つ単一層を使用すればよいことが分かった。
2つの層のそれぞれは,対象物の中心から右および左の2つのセグメントを含むことができる(たとえば図17のS)。
図17は,底部領域133(逆T字の形状を有する),下層131,上層132,および他の領域122を含む非摂動対象物130の例を示している。下層131および上層132が単一の摂動領域(図14における符号121で示す)を表している。下層と上層132の間の界面は,摂動領域の公称面(a nominal surface of the perturbed region)を表す面125に位置する。
上層132の高さをheff1,下層132の高さをheff2,上層の誘電率をεeff1,下層の誘電率をεeff2とする。
Figure 2024509348000026
4次までの場に最適に適合するためには,図18に示すように,2つの上層および2つの上層が必要とされる。
図18は,底部領域145(逆T字の形状を有する),最下層142,下層144,最上層141,上層143,および他の領域122を含む,非摂動対象物140の一例を示している。最下層142,下層144,最上層141および上層143は,単一の摂動領域(図14における符号121)
を表している。
最上層141の高さをheff1,最下層142の高さをheff2,上層143の高さをheff3,下層144の高さをheff4とする。
最上層141の誘電率をεeff1,最下層142の誘電率をεeff2,上層143の誘電率をεeff3,下層144の誘電率をεeff4とする。
Figure 2024509348000027
6次までの場に最適に適合するためには,図19に示すように,3つの上層および3つの上層が必要とされる。
図19は,摂動のない対象物150の一例を示すもので,底部領域159(逆T字の形状を有する),最下層152,中間下層154,下層156,最上層151,中間上層153,上層155,および他の領域122を含む。最下層152,中間下層154,下層156,最上層151,中間上層153,および上層155は,単一の摂動領域(図14における符号121)を表している。
最上層151の高さをheff1,最下層152の高さをheff2,中間上層153の高さをheff3,中間下層154の高さをheff4,上層155の高さをheff5,下層156の高さをheff6とする。
最上層151の誘電率をεeff1,最下層152の誘電率をεeff2,中間上層153の誘電率をεeff3,中間下層154の誘電率をεeff4,上層155の誘電率をεeff5,下層156の誘電率をεeff6とする。
Figure 2024509348000028
図20Aは,非摂動対象物の信号対グレージング角の一例(曲線161)を示しており,曲線162はグレーデッド誘電率アプローチ(graded permittivity approach)(ゼロと4σの間の厚さの層を持つ摂動領域を表す)を用いた場合を,曲線163は上記対象物が粗い場合を,曲線164は最適層の場合を,示している。
図20Bは方法601の一例を示している。
方法601はステップ610,620および630を含む。
ステップ610は,摂動対象物の照明により摂動対象物からの,センサによって受信されるX線信号を示す検出信号を取得することを含む。
上記取得には,センサによる検出の生成,検出信号のシミュレーション,または記憶装置や他のソースからの検出信号の受信が含まれる。
ステップ610に続くステップ620では,検出信号に基づく摂動対象物に関する少なくとも一つのモデルに基づく(モデルベースの)評価(at least one model -based evaluation related to the perturbed object based on the detection signals)が実行される。
ステップ620は,検出信号を,一または複数の基準(参照)パラメータに関連付けられた基準摂動対象物の基準(参照)モデルに関連付けられた基準検出信号(reference detection signals associated with reference models of reference perturbed objects associated with one or more reference parameters)と比較するステップ622を含む。
上記基準モデルは,方法200,300および400のいずれかのステップを用いて計算することができる。
ステップ622に続くステップ624では,基準摂動対象物の一または複数の選択された基準モデルを選択し,基準摂動対象物の一または複数の選択された基準モデルのパラメータに基づいて摂動対象物のパラメータを決定する。選択パラメータは,ベストマッチング,距離ベース選択など,どのようなものでもよい。
ステップ624に続くステップ626では,摂動対象物の一または複数のパラメータが,選択された基準(参照)モデルによってモデル化される選択された基準摂動対象物の一または複数のパラメータに設定される。これは,選択された基準モデルが一つ以上ある場合に,他の任意の関数の補間,内挿,重み付き和,統計関数の使用を適用することを含んでもよい。
摂動対象物の一または複数のパラメータは,粗さに関連するものであってもよいし,摂動対象物の寸法に関連するもの,その他であってもよい。
基準モデルは,たとえば方法200,300および400の任意のステップを適用することによって,任意のやり方で計算することができる。
ステップ620は以下の少なくとも一つを含むことができる。
a.摂動対象物の粗さの測定。
b.摂動対象物の粗さを測定および上記摂動対象物に関する追加評価の実行。
c.摂動対象物の粗さに基づく追加評価の実行。
d.摂動対象物に関する寸法の計測。
e.拡散信号に基づく,摂動対象物の粗さの標準偏差および上記粗さの相関長の決定。
f.相関に基づく摂動信号の非拡散ベースモデルの決定。
g.摂動対象物のモデルの取得とこれに続く上記モデルの補正。上記モデルは,場および摂動の一または複数の統計的特性に基づいて決定される。
h.摂動対象物のモデルの取得とこれに続く上記モデルの補正。上記モデルは上記摂動モデルに関する追加情報に基づく。上記追加情報はX線信号を示す検出信号には基づかない。
i.摂動対象物の拡散ベースの粗さの評価。
j.摂動対象物の非拡散ベースのモデルの補正。
参照によって本書に組み込まれる米国特許第9588066号は,周期構造を測定するシステムを示している。周期構造は基本セルの繰り返しを含む。基本セルの例は,上述した図面および本文に示されており,また以下の本文および図面にも示されている。
米国特許第9588066号に例示されたシステムは,上記例示された方法のいずれかを適用するように変更することができる。これに加えてまたは代えて米国特許第9588066号明細書に記載されたシステムによる測定値を上記方法の入力として使用することもできる。
実施形態は,マルチアングルX線反射散乱法(multi-angle X-ray reflectance scatterometry)(XRS)を用いて周期構造を測定するための方法およびシステムに関する。
一実施形態では,X線反射率散乱法による試料の測定方法は,周期構造を有する試料に入射X線ビームを衝突させて散乱X線ビームを生成することを含み,上記入射X線ビームは複数の入射角と複数の方位角とを同時に提供する。この方法はまた,散乱X線ビームの少なくとも一部を収集(集光)することを含む。
別の実施形態では,X線反射率散乱法によって試料を測定するシステムは,約1keV以下のエネルギーを有するX線ビームを発生するためのX線源を含む。上記システムはまた,周期構造を有する試料を位置決めするための試料ホルダを含む。上記システムはまた,X線源と試料ホルダの間に配置されたモノクロメータを含む。上記モノクロメータは,X線ビームを集光して試料ホルダに入射X線ビームを供給するためのものである。上記入射X線ビームは複数の入射角と複数の方位角とを同時に有している。上記システムはまた,試料からの散乱X線ビームの少なくとも一部を収集するための検出器を含む。
マルチアングルX線反射率散乱法(XRS)を用いて周期構造を測定する方法およびシステムについて説明する。以下の説明では,この発明の実施形態の完全な理解を提供するために,X線ビームパラメータやエネルギーのような多数の具体的な詳細を規定する。この発明の実施形態は,これらの具体的な詳細がなくても実施できることは当業者には明らかであろう。他の例では,半導体デバイススタック全体のような周知の特徴は,この発明の実施形態を不必要に不明瞭にしないために詳細には説明しない。さらに,図に示す様々な実施形態は例示的な表現であって必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
この明細書に記載する一または複数の実施形態は,X線反射率散乱測定のために,周期(格子)構造上に入射する複数の入射ビーム角度を同時に利用する方法で構成されたX線源の使用に向けられている。実施形態は,2つの角度方向における散乱光の検出,ならびに周期構造の形状およびピッチを推測するための反射X線強度の使用を可能にする。実施形態は,製造ファブ半導体環境(production fab semiconductor environment)において,複雑な2次元(2D)および3次元(3D)周期構造の形状およびサイズの適切な精度および安定的測定を提供することができる。このような測定には,周期構造の形状プロファイル,および周期構造の幅,高さ,側壁角といった寸法が含まれる。
背景を説明すると,最先端の形状測定ソリューションは,公称波長150ナノメートル以上の単波長またはスペクトル光源を持つ光学技術を利用している。スペクトルソリューションは,一般的に固定波長で,入射角度を変化させることができる単一波長光源である。このようなソリューションはλ>d(λは入射光源,dは周期構造の基本寸法)の波長/エネルギー領域にある(in a wavelength/energy regime)。しかしながら,光散乱測定はその基本的な感度の限界に近づきつつある。
一実施態様では,λ/d<1となる光の波長を使用することによって,高次の散乱次数(higher order scattering orders)を検出することができ,パラメータdに直接感度を与える(provide direct sensitivity)ことができる。より詳細には,測定される構造物の幅および高さよりも小さい(less)波長の光を使用することによって,複数の周期の干渉縞(interference fringes of multiple cycles)が利用可能になり,高さ,幅および線形状に対する感度が得られる。一実施形態では,複数の入射角および方位角(たとえば構造物の対称方向に対して)を使用することによって,三次元情報が得られ,三次元形状感度が提供される。得られる情報はデバイスの性能に決定的な影響を与える可能性のある寸法に関するものであり,非常に厳しい公差で制御する必要がある。
図21は,この明細書に関連するコンセプトの概念化を助けるためのもので,単一の入射角を有する入射ビームを用いた従来の散乱測定に供される周期構造の断面図を示している。図21を参照して,周期構造100(回折格子構造とも呼ばれる)に光ビーム102が照射される。上記光ビーム102は周期構造100の最上面の水平面104に対して入射角φiを持つ。散乱ビーム106が周期構造100から生成される。散乱ビーム106には散乱角度が異なるビームが含まれることがあり,それぞれが周期構造100の異なる次数(オーダー)の情報(different order of information)を提供する。たとえば,図21に示すように,n=1,n=0,n=-1の3つの次数が示され,n=-1次数の散乱角度は,周期構造100の最上面の水平面104に対してθの角度を有している。図21の配置は,従来のOCDまたはGISAS散乱計のアプローチを例示するものである。
全体を通して「周期」構造または「格子」構造という用語の使用は,非平面である構造を指しており,文脈によってすべて三次元構造とみなすことができることを理解されたい。たとえば,再度図21を参照して,周期構造100は高さhだけz方向に突出する特徴部(features)108を有している。各特徴部108はまた,x軸に沿う幅wと,y軸(すなわち紙面内への向き)に沿う長さとを有している。しかしながら,文脈によっては,「三次元」という用語は,幅wと同じオーダーであるy軸に沿う長さを有する周期構造または格子構造を記述することもある(記述のための権利を保有する)(reserved)。このような文脈では,「二次元」という用語は,幅wよりも実質的に長い,たとえば数桁長いy軸に沿う長さを有する周期構造または格子構造を記述することもある。いずれにしても,周期構造または回折格子構造は,たとえば半導体ウェハまたは基板の測定領域内に非平面トポグラフィ(non-planar topography)を有するものである。
図21とは対照的に,図22は,一実施形態による,複数の入射角を有する入射ビームを用いた散乱測定に供される周期構造の断面図である。図22を参照して,周期構造100に円錐X線ビーム(conical X-ray beam)202が照射される。上記円錐X線ビーム202は,周期構造100の最上面の水平面104に対して入射角φiを持つ中心軸203を有している。このように,円錐X線ビーム202は入射角φiを有する部分Aを含む。上記円錐X線ビーム202は,円錐ビーム202の最も外側の部分Bと最も外側の部分Cとの間にとられる収束角φconeを有している。円錐X線ビーム202は上記収束角φconeを有しているので,円錐ビーム202のうち円錐の外側部分に近い部分は,円錐X線ビーム202のうち中心軸202と一直線上にある部分と異なる入射角で構造体100に入射する。したがって,円錐X線ビーム202は,水平面104を基準として周期構造100に入射するための複数の入射角を同時に提供する。周期構造100から散乱ビーム206が生成される。上記散乱ビーム206は周期構造100の異なる次数の情報に起因する部分を含み,その例については以下さらに詳細に説明する。
入射角を有することに加えて,入射光ビームは周期構造に対して方位角も有することができる。再び概念的な目的のため,図23は,単一の方位角度を有する入射ビームを用いた従来の散乱測定に供される周期構造を上から見たものである。図23を参照して,上記周期構造100が突出部108の上方から示されている。図21では見ることができないが,入射光ビーム102はさらに,周期構造100の突出部108に直交する方向xに対して方位角θgを有することができる。いくつかのケースでは,図23に描かれているように,θgはゼロではない。θgがゼロの場合,光ビーム102の方向は,上から見た図においてx方向に沿う。しかしながら,従来のOCD散乱計またはGISAS散乱計が適用されるすべての場合において,ビーム102は一つの角度θgのみを有する。したがって,図21と図23を合わせると,従来,単一の入射角φiと単一の方位角θgを有する光ビームを用いて散乱計測が行われている。
図23とは対照的に,図24Aおよび24Bは,一実施態様による,複数の方位角を有する入射ビームを用いた散乱測定に供される周期構造を上から見たものである。図24Aおよび24Bの両方を参照して,図22で説明したように,上記周期構造100に中心軸203を持つ円錐X線ビーム202が照射される。図22からは見えないが,円錐X線ビーム202はさらにy方向に沿う次元を有している。すなわち,円錐ビーム202の最外側部分Bと最外側部分Cとの間でとられる収束角度φconeは,y方向に沿う複数の入射角度も提供し,たとえば非ゼロの方位角入射角度(non-zero azimuthal angles of incidence)を提供する。
図24Aを参照して,円錐X線ビーム202の中心軸は,上から見たとき,x軸に沿うゼロの角度θgを有している。すなわち,円錐X線ビーム202の部分Aはゼロの方位角を持つ。他方,円錐X線ビーム202の中心軸203が周期構造100に直交しているにもかかわらず,円錐X線ビーム202の部分Bおよび部分Cは非ゼロの方位角を持つ。
図24Bを参照して,円錐X線ビーム202の中心軸は,上から見たとき,x軸に沿う非ゼロの角度θgを有している。すなわち,円錐X線ビーム202の部分Aは非ゼロの方位角を持つ。これに加えて,円錐X線ビーム202の部分BおよびCは,ビーム202の部分Aの方位角と異なる非ゼロの方位角を持つ。
図24Aおよび図24Bに示す両方のケースにおいて,円錐ビーム202が収束角φconeを有しているので,円錐ビーム202のうち円錐の外側部分に近い部分は,円錐ビーム202のうち中心軸202と整列している部分と異なる方位角で周期構造100に入射する。したがって,円錐ビーム202は,周期構造100に入射するx方向に対する複数の方位角を同時に提供する。
このように,図22と図24Aまたは図24Bの一方を合わせた一実施形態によると,X線反射率散乱法による試料の測定方法は,周期構造を有する試料上に入射X線ビームを衝突させることを含む。X線ビームは,周期構造への入射として複数の入射角φiと複数の方位角θgを同時に提供する円錐形状を持つ。この入射によって散乱X線ビームが生成され,その一部(すべてではない)を収集することで,周期構造に関する情報を収集することができる。
一実施形態では,入射X線ビームは,約20~40度の範囲の収束角φconeを有する収束X線ビームである。一実施形態では,上記収束X線ビームの中心軸は,図24Aに関連して説明したように,固定非ゼロの入射角φiと,試料に対してゼロの方位角θgとを有する。他の実施形態では,上記収束X線ビームの中心軸は,図24Bに関連して説明したように,試料に対する固定非ゼロの入射角φiと非ゼロの方位角θgとを有する。いずれの場合も,具体的な実施形態では,収束X線ビームの中心軸は,水平から約10~15度の範囲の固定非ゼロ入射角を有する。別の具体的な実施形態では,ビームの円錐形状の最も外側の部分であって周期構造に最も近い部分,たとえば図22に示す部分Cは,周期構造の水平面に対して約5度の角度を有する。
他の実施形態では,その例を以下にさらに詳細に説明するが,より狭い円錐形状を使用することが好ましい場合がある。たとえば,一実施形態では,入射X線ビームは,おおよそ2~10度の範囲の収束角を有する収束X線ビームである。そのような一実施形態では,収束X線ビームの中心軸は,図24Aに関連して説明したように,試料に対して固定非ゼロの入射角φiおよびゼロの方位角θgを有する。別の実施形態では,収束X線ビームの中心軸は,図24Bに関連して説明したように,試料に対してゼロでない固定入射角φiおよびゼロでない方位角θgを有する。
一実施態様では,低エネルギーX線ビームが周期構造に入射する。たとえば,一実施態様では,上記低エネルギーX線ビームは,おおよそ1keV以下のエネルギーを持つ。このような低エネルギー源を用いることによって,入射角を大きくしながらも達成可能なスポットサイズを小さくすることができる。一実施態様では,低エネルギーX線ビームは,限定はされないが,炭素(C),モリブデン(Mo)またはロジウム(Rh)といったソースから生成されるKαビームである。
一実施形態では,低エネルギーX線ビームは,周期構造に入射する前に,トロイダル多層膜モノクロメータ(toroidal multilayer monochromator)を用いて集光される。一実施形態では,上記モノクロメータは,約+/-30度の入射角範囲および約+/-10度の方位角範囲を提供する。具体的な実施形態では,上記トロイダル多層膜モノクロメータは約+/-20度の入射角範囲を提供する。本明細書において説明する円錐X線ビームは,コリメートされなくてもよいし,コリメートする必要がないことを理解されたい。たとば,一実施形態では,上述のモノクロメータにおけるビームの集束と集束ビームの周期試料への衝突の間で,ビームはコリメートされない。一実施形態では,集光された低エネルギーX線ビームは,ゼロ度における公称一次角度の角度(the angle of a nominal first-order angle at zero degrees)よりも小さい入射角度範囲で試料に衝突される。
再度図22を参照して,一実施態様では,散乱X線ビーム206の少なくとも一部が検出器250を用いて収集される。一実施態様では,二次元検出器が用いられ,複数の入射角および複数の方位角から散乱された散乱X線ビーム206の部分の散乱信号強度が同時にサンプリングされる。次に収集された信号を散乱計分析(scatterometry analysis)に供することができ,たとえば散乱データの逆変換が理論と比較されて周期構造100の構造的詳細が決定される。このような実施形態の一つでは,サンプリングされた散乱信号強度に対する散乱解の反転によって,たとえば周期構造に関するマクスウェル方程式を厳密に解くことによって,試料の周期構造の形状が推定される。一実施形態では,試料に入射するX線ビームは周期構造100の周期性よりも短い波長をもつ。したがってプロービング波長(probing wavelength)は基本的な構造寸法と同等かそれ以下であり,OCD散乱計と比較して散乱ビーム206から豊富なデータセットを提供する。
上述したように,一実施形態では,XRSに使用される入射円錐X線ビームは,おおよそ20~40度の範囲の収束角φconeを有する収束X線ビームである。このような比較的広い円錐(コーン)角によってゼロ次反射データに加えて高次回折データを含む散乱ビームを生成することができる。したがって,一実施形態では,ゼロ次情報と高次情報の両方が1回の衝突操作で並行して得られる。
他のシナリオでは,ゼロ次反射データを高次回折データから分離することが望ましいことがある。そのような一実施形態では,比較的狭いコーン角を使用することができ,たとえば入射X線ビームは,おおよそ2~10度の範囲の収束角を有する収束X線ビームである。比較的狭いコーン角を使用して1回以上の測定を実施してもよい。たとえば,一実施形態では,図24Aに関連して説明したように,収束ビームの中心軸の方位角をゼロにして第1の測定が行われる。次に,図24Bに関連付けて説明したように,収束ビームの中心軸がゼロでない方位角を有する第2の測定が行われる。具体的な実施形態では,逐次的に,周期構造を有する試料について1次回折データではなく0次回折データを収集するために第1の測定を行う。第2の測定では,周期構造を有する試料の1次回折データは収集するが0次回折データは収集しない。このようにして,散乱ビームの発生時に0次のデータと高次のデータを分離することができる。
並列アプローチと逐次アプローチの両方に関連して,この明細書に記載される実施形態によると,X線反射率散乱法は,非ゼロ方位角におけるアプローチによってアレイ検出器上の異なる次数を分離するために使用される。多くの場合,より有用なのは高次の次数である。すべての次数を並行してきれいに取得することでスループットが向上する場合もある。しかしながら逐次的なアプローチも可能である。さらには,非常に集光されたビームが,単一の入射角ではなく,様々な入射角でプローブするために用いられる。一実施形態ではビームはコリメートされず,それは,コリメートされたビームでは,連続的に取得されるデータを持つ試料を回転させる必要があるからである。高次のものを捕捉することによって,強い反射ビームを得るために非常に小さな入射角を使用する必要はない。対照的に,一実施形態では,鏡面(0次)の反射ビームが比較的弱く,たとえば-1次が非常に強い場合でも,たとえば10度から15度の入射角を使用することができる。
上述したいずれの場合であっても,並行して収集されるか逐次的に収集されるかにかかわらず,この明細書に記載の実施形態は,ゼロ次(鏡面)反射からのデータ取得および回折(高次)からのデータ取得のために用いることができる。従来のソリューションではゼロ次または回折(高次)のいずれかを使用することが強調されてきたが,両方を使用することはできなかった。この明細書に記載の実施形態は,先行開示の散乱計アプローチとさらに区別することができ,そのいくつかの例を以下に説明する。
ユン(Yun)その外の米国特許第7,920,676号は,先に述べた最初のアプローチにおけるCD-GISAXSシステムおよび方法を記載する。記載されるアプローチでは,平行ビームから発生する散乱X線の回折パターンを分析し,回折光の複数の次数を分析する。回折次数の間隔が離れているので,低エネルギーが使用されてより高い収束性のビームが提供される。しかしながら,回折次数の間隔はまだかなり狭く,収束角の単位はマイクロラジアンである。さらに回折は多数の入射角に対して収集されない。
対照的に,この明細書に記載の一または複数の実施形態によると,単一のビームにおいて広範囲の入射角が使用される。このアプローチでは,(0次以外の)回折次数は有用であるために実際に捕捉される必要はない。しかしながら,+/-1次は回折格子特性(特にピッチ)に対して異なる感度を持つことがあるので,一実施形態では,可能な限り少なくとも1つ次数を追加して捕捉する。それでも,情報の大部分は,信号が入射角によって変化する方法に含まれている。対照的に,米国特許第7,920,676号では,基本的に1つの入射角が使用され,複数の回折次数を見ることによって情報が収集される。
さらに,この明細書に記載の一または複数の実施形態によると,1次ビームを0次ビームの側に移動させることによって,1次ビームを0次ビームから分離することができる。一実施形態では,周期構造または格子構造がゼロでない方位角でアプローチされる。このようにして,次数分離を達成しつつ高い収束性のビームを使用することができる。例示的な実施形態では,(収束ビームの中心軸に対して)45°の方位角でグレーティングに接近することによって,+/-1次回折ビームは,最低でも10°,入射角が大きくなるにつれてさらに大きく,0次ビームの側に偏向される。この場合,重なりやデータを避けながら,最大約10度の収束ビームを使用することができる。回折格子のピッチおよびX線エネルギーの仕様に応じて,次数間の分離を大きくしたり小さくしたりできることを理解されたい。全体として,一実施形態では,複数の入射角および方位角を同時に収集することによって平行ビームのシングルショットと比較してより有用な情報が得られる。
上述した第2のアプローチについて,メイザー(Mazor)その外の米国特許第6,556,652号はX線を用いたクリティカル・ディメンション(臨界寸法)(critical dimensions)の測定を記載する。記載されるアプローチは実際のところはX線ビームの回折に基づくものではない。それに代えて平行ビームに「影」(shadow)が作られるものである。上記影はパターン(たとえば線状の格子構造)から反射する。影のコントラスト・メカニズムは,回折格子ギャップの底にあるSi領域とリッジ材料(フォトレジスト)を最初に通過するときの臨界角との間のX線を反射するための臨界角の差(difference in the critical angle)である。対照的に,この明細書において説明する実施形態では,情報の大部分は臨界角をはるかに超える角度の信号から得られる。
上記で簡単に述べ,かつ以下に例示するように,X線反射率散乱法(XRS)は二次元および三次元の周期構造または格子構造に適用されるX線反射率測定法(X-ray reflectometry)(XRR)の一種とみなすことができる。従来のXRR測定では単一のX線源を使用してある角度範囲にわたって試料をプローブする。角度によって光路長差を変化させることによって干渉縞を識別し,膜厚や膜密度といった膜特性情報(film property information)を得ることができる。しかしながら,XRRでは,より高い線源エネルギーにおける物質とのX線相互作用の物理学的性質により,試料水平面に対して通常約3度以下の微小入射に角度範囲が制限される。その結果として,XRRの生産性/インライン性(production/inline viability)は限定的なものであった。これと対照的に,この明細書に記載の実施形態によると,低エネルギーXRR/XRSの適用によってより大きな角度の使用が可能になり,これは信号感度のより大きな角度につながるエネルギーを持つ光学フィルム特性の変化に起因する(due to changing optical film properties with energy that lead to larger angles of signal sensitivity)。
低エネルギーXRSの例示的な応用例では,基本的な半導体トランジスタの構成要素(fundamental semiconductor transistor building blocks)を測定しかつ分析することができる。たとえば,半導体デバイスのクリティカル・ディメンション(臨界寸法)(CD)は,デバイスの性能や製造歩留まりに直接に影響する特徴を指す。したがってCDは厳しい仕様で製造または制御されなければならない。従来のCDの例には,ゲート長,ゲート幅,配線幅,配線間隔,配線幅粗さ(line width roughness)(LWR)などが含まれる。半導体デバイスはこのような寸法に非常に敏感であり,わずかなばらつきが,性能,デバイスの故障,製造歩留まりに大きな影響を与える可能性がある。半導体デバイスの集積回路(IC)の特徴サイズが縮小し続ける中,メーカーはプロセスウィンドウの縮小と公差の厳格化に直面している。このため,CD計測ツールに対する精度と感度の要求がかなり高まっているとともに,半導体デバイス製造工場やファブの生産性への影響を最小限に抑えながら,製造サイクルの早い段階で非破壊測定のサンプリングを行う必要性が高まっている。
非平面半導体デバイスの製造は問題をさらに複雑にしている。たとえば,しばしばフィンと呼ばれる非平面的なトポグラフィを有する隆起チャネル上に作製された半導体デバイスは,考慮しなければならない追加のCDとしてフィン寸法をさらに含む。このようなフィン電界効果トランジスタ(fin-FET)またはマルチゲートデバイスは高アスペクト比の特徴を有しており,側壁角度,上面および底面の寸法を含むデバイス構造のフィンに関する3次元(3D)プロファイル情報の必要性が重要になっている。すなわち,3Dプロファイルを測定する能力は,従来の2次元の線幅と間隔CD情報よりもはるかに価値のある情報を提供する。
図25は,一実施形態による,低エネルギーX線反射率散乱測定に適する例示的なフィンFETデバイスの側面を示している。図25を参照して,構造Aは半導体フィン502の斜視断面図を示すもので,その上にゲート電極スタック504が配置されている。半導体フィン502は,浅いトレンチ絶縁(shallow trench isolation)(STI)領域508によって絶縁された基板506から突出している。ゲート電極スタック504はゲート誘電体層510およびゲート電極512を含む。構造Bは,STI領域524間の基板522から突出する半導体フィン520の断面図を示している。XRS測定を通じて重要な情報を提供する構造Bの側面には,フィンの角の丸み(corner rounding)(CR),フィンの側壁角(sidewall angle)(SWA),フィンの高さ(height)(H),フィンの切り欠き(ノッチ)(notch)およびおよびSTIの厚さ(thickness)(T)が含まれ,これらはすべて図25の構造Bに描かれている。構造CはSTI領域534間の基板532から突出し,その上に膜の多層スタック536を有する半導体フィン530の断面図を示している。膜の多層スタックの層536は,限定はされないが,炭化チタンアルミニウム(TiAlC),窒化タンタル(TaN)または窒化チタン(TiN)などの材料層を含むことができる。構造Bと構造Cを比較すると,XRS測定は,ベアシリコンフィン(bare silicon fin)(構造B)のようなベアフィン(bare fin),またはその上に配置された異なる材料層を有するフィンに対して実行することができる。
図26は,一実施形態によるもので,10nm/20nmのライン/スペース比を有する周期構造を有するシリコン(Si)フィンの0次反射率対散乱角のプロット600および対応する構造(A)~(E)を含む。図26を参照して,低エネルギーXRS測定は,公称フィン構造(構造A),フィン高さが増加した構造(構造B),フィン幅が減少した構造(構造C),フィン頂部CDに対してフィン底部CDが広い構造(構造D),およびフィン底部CDに対してフィン頂部CDが狭い構造(構造E)を区別するために使用することができる。この例では,Siフィンを周期構造に対して45度の0次円錐回折で解析している。光学データと比較すると,プロット600に見られるデータのフリンジは短波長の結果であり,最高信号の領域が減少していることが理解できる。
図27は,一実施形態によるもので,10nm/20nmのライン/スペース比を有する周期構造を有するシリコン(Si)フィンの1次反射率対散乱角のプロット700および対応する構造(A)~(E)を含む。図27を参照して,低エネルギーXRS測定は,公称フィン構造(構造A),フィン高さが増加した構造(構造B),フィン幅が減少した構造(構造C),フィン頂部CDに対してフィン底部CDが広い構造(構造D),およびフィン底部CDに対してフィン頂部CDが狭い構造(構造E)を区別するために使用することができる。この例では,Siフィンを周期構造に対して45度の1次円錐回折で解析している。さらにピッチを変化させた構造をプロット700に含めている。プロット700に示すように,1次データはフィンの厚さに非常に敏感である(構造Bが構造AおよびC~Eによる信号から大きく離れていることに注目)。また1次データは周期構造のピッチ変化に非常に敏感であり,ピッチを変化させた場合のスペクトルも他のスペクトルから有意に識別可能であることに注目されたい。
別の態様について,X線反射率散乱計測(X-ray reflectance scatterometry)を実行する装置を説明する。一般に,一実施形態において,この装置は,二次元に延在する集光モノクロメータ(focusing monochromator)とともに汎用のX線源を含む。上記集光モノクロメータは,(i)周期構造の平面に入射する入射角と(ii)構造の対称性に関して方位角的に(および固定入射角で)入射する入射角の2つの異なる入射角のもとで,入射光線を周期的試料に入射することができる。散乱光の検出は,二次元(2D)検出器によって行われ,2つの角度方向における散乱角度範囲にわたって散乱信号強度を同時にサンプリングする。一実施形態では,検出された信号に散乱の次数オーバーラップがないこと(free of scattering order-overlap)を保証する上記モノクロメータの制約は,入射角度範囲が0度の公称1次角度の角度未満であること,すなわちθ=sin-l(1-λ/d)であることを必要とする。回折格子の周期よりも短い特性波長の光を使用する結果として,高次の回折次数にアクセスすることができ,上記回折格子構造に関する追加情報が提供される。さらに,線の高さ,幅,形状を決定するために,複数の厚さサイクルの干渉縞を利用することができる。周期構造の形状および構造の最終的な推定は,2D干渉/散乱データと比較した散乱解の反転(inversion of the scattering solutions compared to the 2D interference/scatter data)を通じて達成される。
より具体的な例として,図28は,一実施態様による,XRS機能を有する周期構造測定システムを表すものである。
図28を参照して,X線反射率散乱法によって試料802を測定するシステム800は,約1keV以下のエネルギーを持つX線ビーム806を発生するX線源804を含む。試料802を位置決めするための試料ホルダ808が設けられており,試料は周期構造を有している。モノクロメータ810がX線源804と試料ホルダ802との間に配置されており,X線ビーム806がX線源804からモノクロメータ810を経て試料ホルダ808に向かう。上記モノクロメータ810はX線ビーム806を集光して試料ホルダ808に入射X線ビーム812を供給する。上記入射X線ビーム812は,複数の入射角度と複数の方位角度を同時に有している。上記システム800はまた,試料802からの散乱X線ビーム816の少なくとも一部を収集する検出器814を含む。
再度図28を参照して,一実施態様では,上記X線源804,上記試料ホルダ808,上記モノクロメータ810および上記検出器814はすべてチャンバ818内に収納されている。一実施態様では,上記システム800は電子銃820をさらに含む。この実施例では上記X線源804が陽極(アノード)であり,上記電子銃は上記陽極に向かう。特定の実施形態では,上記陽極は低エネルギーX線を発生させるためのもので,限定はされないが,炭素(C),モリブデン(Mo)またはロジウム(Rh)といった材料を含む。一実施形態では,上記電子銃820は約1keVの電子銃である。再度図28を参照して,X線源804とモノクロメータ810との間に磁気電子抑制装置(magnetic electron suppression device)822が含まれている。
一実施態様では,上記モノクロメータ810はトロイダル多層膜モノクロメータ(toroidal multilayer monochromator)であり,約+/-30度の入射角範囲と約+/-10度の方位角範囲を提供する。この一実施態様では,上記トロイダル多層膜モノクロメータは,約+/-20度の入射角範囲を提供する。一実施態様では,上述したように,モノクロメータ810と試料ホルダ808の間にはコリメータは介在しない。モノクロメータ810は,XRS測定のために所望の入射ビームを提供するように配置することができる。たとえば,第1の実施形態では,上記モノクロメータ810は,試料802の周期構造に対して固定非ゼロの入射角およびゼロの方位角を有する中心軸を持つ収束X線ビームを提供するように,試料ホルダ808に対して位置決めされる。第2の実施形態では,上記モノクロメータ810は,サンプ802の周期構造に対して固定非ゼロの入射角および非ゼロの方位角を有する中心軸を持つ収束X線ビームを提供するように,上記試料ホルダ808に対して配置される。一実施態様では,上記モノクロメータ810は,ガラス基板上に堆積された交互の金属(M)層および炭素(C)層で構成され,限定はされないが,Mはコバルト(Co)またはクロム(Cr)などの金属である。この特定の実施形態では,多層モノクロメータは,炭素(C)ベースのKα放射線を反射するために提供され,約4ナノメートルの周期,すなわち約5ナノメートルとされる反射ビームの波長よりもわずかに短い周期を有するCo/CまたはCr/Cの約100の繰り返し層(100 repeating layers)を含む。このような実施形態の一つでは,CoまたはCr層は,C層よりも薄い。
上記試料ホルダ808は移動可能な試料ホルダであってもよい。たとえば,一実施態様では,上記試料ホルダ808は回転可能であり,試料802の周期構造に対して上記X線ビーム812の中心軸の方位角を変更する。一実施態様では,上記試料ホルダ808はユーセントリック回転(eucentric rotation)による直交動作を提供するように回転可能であり,測定ごとに2回以上の試料回転を可能にする。一実施形態では,図28に示されているように,ナビゲーション目視検査装置824によって試料ホルダ808の目視検査をすることができる。このような一実施形態では,視覚ベースの検査システムのためにフリップイン対物レンズ(flip-in objective lens)が含まれる。
一実施態様では,上記検出器814は二次元検出器である。上記二次元検出器は,入射ビーム812の複数の入射角および複数の方位角から散乱された散乱X線ビーム816の一部の散乱信号強度を同時にサンプリングするように構成することができる。一実施形態では,上記システム800は二次元検出器に結合されたプロセッサまたは演算システム899をさらに含む。そのような一実施形態では,上記プロセッサ899は,サンプリングされた散乱信号強度に対する散乱解の反転(inversion of scattering solutions relative to the sampled scattered signal intensity)によって,試料802の周期構造の形状を推定する。二次元検出器の代わりに,別の実施形態において,走査スリット(scanning slit)を実装させてもよい。いずれの場合も,上記検出器814を,分散範囲にわたって約1000ピクセルのデータ収集を達成するように構成することができる。
実施形態は,実施形態にしたがうプロセスを実行するようにコンピュータシステム(または他の電子デバイス)をプログラムするために使用することができる,そこに記憶された命令を有する機械読み取り可能媒体を含むコンピュータプログラム製品,またはソフトウェアとして提供することができる。機械読み取り可能媒体には,機械(たとえばコンピュータ)によって読み取り可能な形態で情報を記憶するまたは送信するためのあらゆるメカニズムが含まれる。たとえば,機械読み取り可能(たとえばコンピュータ読み取り可能)媒体には,機械(たとえばコンピュータ)読取り可能な記憶媒体(たとえばリードオンリーメモリ(ROM),ランダムアクセスメモリ(RAM),磁気ディスク記憶媒体,光学記憶媒体,フラッシュメモリデバイスなど),機械(たとえばコンピュータ)読み取り可能な伝送媒体(電気信号,光学信号,音響信号,または他の形態の伝搬信号(たとえば赤外線信号,デジタル信号など)など)などが含まれる。
図29は,この明細書で説明される方法論のいずれか一つ以上を機械に実行させるための命令セットを実行することができるコンピュータ・システム900の例示的な形態における,機械の図式表現である。他の実施形態では,上記機械をローカルエリアネットワーク(LAN),イントラネット,エクストラネット,またはインターネットにおける機械に接続する(たとえばネットワークする)ことができる。上記機械は,クライアント-サーバネットワーク環境においてはサーバまたはクライアントマシンとして,ピアツーピア(または分散)ネットワーク環境ではピアマシンとして,動作する。上記機械は,パーソナルコンピュータ(PC),タブレットPC,セットトップボックス(STB),パーソナルデジタルアシスタント(PDA),携帯電話,ウェブアプライアンス,サーバ,ネットワークルータ,スイッチ,ブリッジ,またはその機械によって実行されるアクションを指定する命令セット(シーケンシャルまたはその他)を実行できる任意の機械であってもよい。さらに,単一の機械のみが図示されているが,「機械」という用語は,この明細書において説明される方法論のいずれか一つ以上を実行するための命令のセット(または複数のセット)を個々にまたは共同で実行する機械(たとえばコンピュータ)の任意の集合も含むものされる。たとえば,一実施形態では,ある機械が,X線反射率散乱法によって試料を測定するための一または複数セットの命令を実行するように構成される。一例では,コンピュータ・システム900は,上述したXRS装置800のコンピュータ・システム899の使用に適するようにすることができる。
例示するコンピュータ・システム900はプロセッサ902,メインメモリ904(たとえば,リードオンリーメモリ(ROM),フラッシュメモリ,ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)たとえばシンクロナスDRAM(SDRAM)またはラムバスDRAM(RDRAM)など),スタティックメモリ906(たとえばフラッシュメモリ,スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)など),およびバス930を介して互いに通信する二次メモリ918(たとえばデータ記憶装置)を含む。
プロセッサ902は,マイクロプロセッサ,中央処理装置などの一または複数の汎用処理装置を表す。より詳細には,プロセッサ902は,複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ,縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ,超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ,他の命令セットを実装するプロセッサ,または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであってもよい。プロセッサ902はまた,特定用途向け集積回路(ASIC),フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA),デジタル信号プロセッサ(DSP),ネットワークプロセッサなどの一または複数の特殊用途処理デバイスであってもよい。プロセッサ902は,この明細書において説明される動作を実行するための処理ロジック926を実行するように構成される。
上記コンピュータ・システム900はさらに,ネットワークインターフェース装置908をさらに含んでもよい。コンピュータ・システム900はまた,ビデオ表示装置910(たとえば,液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT),英数字入力装置912(たとえばキーボード),カーソル制御装置914(たとえばマウス),および信号発生装置916(たとえばスピーカ)を含むことができる。
二次メモリ918は,この明細書に記載される方法論または機能のいずれか一つまたは複数を具現化する一または複数の命令セット(たとえばソフトウェア922)が記憶された,機械アクセス可能な記憶媒体(より具体的にはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体)931を含むことができる。上記ソフトウェア922はまた,コンピュータ・システム900によるその実行中に,完全にまたは少なくとも部分的に,メインメモリ904内および/またはプロセッサ902内に存在することがあり,メインメモリ904およびプロセッサ902もまた,機械読み取り可能な記憶媒体を構成する。上記ソフトウェア922はさらに,ネットワークインターフェースデバイス908を介してネットワーク920を介して送信または受信されることもある。
機械アクセス可能な記憶媒体931は,例示的な実施形態では単一の媒体であるように示されているが,「機械読み取り可能な記憶媒体」という用語は,一または複数の命令セットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえば集中型または分散型データベース,および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むように解釈されるべきである。また,「機械可読記憶媒体」という用語は,機械による実行のための命令セットを記憶または符号化することが可能であり,機械に実施形態の方法論のいずれか一つ以上を実行させる任意の媒体を含むものとする。したがって,「機械読み取り可能な記憶媒体」という用語は,限定はされないが,固体メモリ,光媒体および磁気媒体を含む。
一実施態様では,非一時的な機械アクセス可能な記憶媒体に,X線反射率散乱法による試料の測定方法を実行するための命令が記憶されている。この方法は,周期構造を有する試料に入射X線ビームを衝突させて散乱X線ビームを発生させることを含む。入射X線ビームは複数の入射角と複数の方位角を同時に提供する。この方法はまた,散乱X線ビームの少なくとも一部を収集することを含む。
このように,マルチアングルX線反射率測定法(XRS)を用いた周期構造の測定のための方法およびシステムを説明した。
同じ機能を達成するための構成要素の任意の配置(any arrangement)は,所望の機能が達成されるように実質的に「関連」している。したがって,この明細書において,特定の機能性を達成するために組み合わされる任意の2つの構成要素は,アーキテクチャまたは介在する構成要素に関係なく,所望の機能性が達成されるように,互いに「関連」しているとみなすことができる。同様に,そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は,所望の機能性を達成するために,互いに「動作可能に接続されている」または「動作可能に結合されている」と見ることもできる。
さらに,当業者であれば,上述した動作(操作)間の境界は単なる例示に過ぎないことを認識するであろう。複数の動作を単一動作に組み合わせてもよいしい,単一動作を追加動作に分散させてもよいし,動作は時間的に少なくとも部分的にオーバーラップして実行されてもよい。さらに代替的な実施態様では,動作の複数のインスタンスを含んでもよく,動作の順番を他の様々な実施態様において変更してもよい。
また,たとえば一実施形態において,図示した実施例は,単一の集積回路上または同一デバイス内に配置された回路として実装されてもよい。これに代えて,例示した実施例は,適切なやり方によって互いに相互接続された任意の数の別個の集積回路または別個のデバイスとして実装されてもよい。
また,たとえば実施例またはその一部は,任意の適切なタイプのハードウェア記述言語など,物理回路のソフトまたはコード表現,または物理回路に変換可能な論理表現として実装することができる。
なお,他の修正,変形および代替も可能である。したがって明細書および図面は限定的なものではなく例示とした扱われる。
特許請求の範囲において,括弧の間に置かれた参照符号は,特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。「備えている」という用語は,特許請求の範囲に記載された他の要素またはステップの存在を排除するものではない。さらに,この明細書で使用される用語「a」または「an」は,一または複数として定義される。また,特許請求の範囲における「少なくとも一つ」および「一または複数」とった導入句の使用は,不定冠詞「a」または「an」による別の特許請求の範囲の要素の導入が,そのような導入された特許請求の範囲の要素を含む特定の特許請求の範囲を,同じ特許請求の範囲が導入句「一または複数」または「少なくとも一つ」および「a」または「an」のような不定冠詞を含む場合であっても,そのような要素を一つだけ含む発明に限定することを意味するものと解釈されるべきではない。同様のことは定冠詞の使用についてもあてはまる。別段の記載がない限り,「第1の」,「第2の」といった用語は,このような用語が説明する要素を任意に区別するために使用される。したがって,これらの用語は,そのような要素の時間的またはその他の優先順位を示すことを必ずしも意図していない。ある手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は,これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
この明細書では,この発明の特定の特徴を図示および説明したが,当業者にとっては多くの修正,置換,変更,および均等物が生じるであろう。したがって,添付する特許請求の範囲は,この発明の真の精神に該当するようなすべての修正および変更をカバーすることを意図していることを理解されたい。
「含む」(including),「備えている」(comprising),「有する」(having),「からなる」(consisting)および「からなる」(consisting)の用語は本質的に互いに置換可能である。たとえば,任意の方法は,図面および/または明細書に含まれるステップを少なくとも含むことができ,図面および/または明細書に含まれるステップのみを含むことができる。

Claims (46)

  1. 摂動対象物の照明により摂動対象物から受信される非拡散X線信号を評価する方法であって,
    上記非拡散X線信号の波長のオーダーである上記摂動対象物の摂動を表す複数の非摂動対象物のそれぞれの推定場を計算し,
    上記複数の非摂動対象物の場に基づいて上記非拡散X線信号を評価する,
    方法。
  2. 上記摂動対象物および上記複数の非摂動対象物のそれぞれが,均一な誘電率を有している,請求項1に記載の方法。
  3. 上記摂動対象物の摂動が摂動分布関数にしたがうものであり,上記複数の非摂動対象物は上記摂動分布関数に基づいて計算される,
    請求項1に記載の方法。
  4. 上記摂動分布関数が,摂動対象物の摂動の高さパラメータの確率的関数である,請求項3に記載の方法。
  5. 上記摂動対象物の界面に関連する所定の突起の高さパラメータが上記突起と上記摂動対象物の界面との間の距離であり,上記所定の突起が上記摂動に属している,請求項4に記載の方法。
  6. 上記摂動対象物が単一の粗界面を有しており,上記複数の非摂動対象物が対応する非摂動界面を有しており,複数の非摂動物体ごとに一つの対応する非摂動界面を有しており,単一の粗界面の摂動の高さパラメータの摂動分布関数が,対応する所定の非摂動界面の高さパラメータの摂動分布関数に実質的に等しい,請求項4に記載の方法。
  7. 上記摂動対象物が複数の粗界面を有しており,上記複数の非摂動対象物が対応する非摂動界面を有しており,複数の非摂動界面が上記複数の非摂動対象物のそれぞれと対応する,請求項4に記載の方法。
  8. 摂動対象物の照明により摂動対象物から受信される非拡散X線信号を評価するための非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって,
    上記非拡散X線信号の波長のオーダーである上記摂動対象物の摂動を表す複数の非摂動対象物のそれぞれの推定場を計算するための命令,および
    上記複数の非摂動対象物の場に基づいて上記非拡散X線信号を評価する命令が記憶されている,
    非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
  9. 摂動対象物の照明により摂動対象物から受信される非拡散X線信号を評価するシステムであって,
    上記システムがプロセッサを備え,上記プロセッサが,
    上記非拡散X線信号の波長のオーダーである上記摂動対象物の摂動を表す複数の非摂動対象物のそれぞれの推定場を計算し,
    上記複数の非摂動対象物の場に基づいて上記非拡散X線信号を評価するように構成されている,
    システム。
  10. 摂動対象物の照明により摂動対象物から受信される非拡散X線信号を評価する方法であって,
    一様な誘電率の一または複数の摂動対象物領域を表す可変誘電率の一または複数の領域を備える,摂動対象物を表す非摂動対象物を計算し,
    上記非摂動対象物の推定場を計算し,
    上記非摂動対象物の上記推定場に基づいて上記非拡散X線信号を評価する,
    方法。
  11. 上記摂動対象物の摂動が摂動分布関数にしたがうものであり,上記一または複数の領域上記可変誘電率が上記摂動分布関数に基づいて計算される,請求項10に記載の方法。
  12. 上記可変誘電率の一または複数の領域が段階的な誘電率を有している,請求項10に記載の方法。
  13. 上記可変誘電率の一または複数の領域が段階的に傾斜した誘電率を有している,請求項10に記載の方法。
  14. 上記非摂動対象物の計算が,上記摂動対象物領域を,誘電率が互いに異なる複数の非摂動対象物サブ領域によって置換することを含む,請求項10に記載の方法。
  15. 上記複数の非摂動対象物サブ領域が複数層である,請求項14に記載の方法。
  16. 上記複数の非摂動対象物サブ領域が,(a)上記摂動対象物領域の公称面よりも上方位置する上部摂動サブ領域,および(b)上記摂動対象物領域の公称面よりも下方に位置する下部摂動サブ領域を含む,請求項14に記載の方法。
  17. 上記上部摂動サブ領域および下部摂動サブ領域が,上記摂動対象物の摂動の摂動分布関数の標準偏差を乗じた係数と等しい厚さを有している,請求項16に記載の方法。
  18. 上記上部摂動サブ領域の誘電率が上記底部摂動サブ領域の誘電率と異なっており,
    上記上部摂動サブ領域の誘電率と上記底部摂動サブ領域の誘電率が,(a)上記摂動対象物領域の誘電率(εup)および(b)上記摂動対象物領域と干渉する別の領域の誘電率(εdown)の加重和である,請求項17に記載の方法。
  19. 摂動対象物の照明により摂動対象物から受信される非拡散X線信号を評価するための非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって,
    一様な誘電率の一または複数の摂動対象物領域を表す可変誘電率の一または複数の領域を備える,摂動対象物を表す非摂動対象物を計算する命令,
    上記非摂動対象物の推定場を計算する命令,および
    上記非摂動対象物の上記推定場に基づいて上記非拡散X線信号を評価する命令が記憶されている,
    非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
  20. 摂動対象物の照明により摂動対象物から受信された非拡散X線信号を評価するシステムであって,
    上記システムがプロセッサを備え,上記プロセッサが,
    一様な誘電率の一または複数の摂動対象物領域を表す可変誘電率の一または複数の領域を備える,摂動対象物を表す非摂動対象物を計算し,
    上記非摂動対象物の推定場を計算し,
    上記非摂動対象物の上記推定場に基づいて上記非拡散X線信号を評価するように構成されている,
    システム。
  21. 摂動対象物の照明により摂動対象物から受信されるX線信号を評価する方法であって,
    上記X線信号の波長のオーダーである上記摂動対象物の摂動によって生成される場を推定し,
    上記推定が,
    上記摂動対象物の摂動の単一摂動によって寄与される場に応答する一般関数であって,任意の形状の摂動対象物に適用可能な一般関数を計算し,
    上記場および上記摂動の一または複数の統計的特性に基づいて上記X線信号を評価する,
    方法。
  22. 上記一般関数の計算が,任意の形状の摂動対象物に適用可能である,請求項21に記載の方法。
  23. 上記一般関数の計算が,上記摂動対象物の形状に無関係の第1の可積分関数を積分することを含む,請求項21に記載の方法。
  24. 上記一般関数の計算が,(a)単一摂動のうちの一つの位置における上記摂動対象物およびその周囲の誘電率係数の差,(b)照明角度における単一摂動のうちの一つの照明に寄与する場,および(c)ある収集角度における単一摂動からの照明の収集に寄与する場に基づいて,第1の可積分関数を積分することを含む,請求項21に記載の方法。
  25. 上記単一摂動からのある収集角度における照明の収集に寄与する場が,上記収集角度と反対である照明角度からの単一摂動のうちの一つの照明に寄与する場を計算することによって計算される,請求項24に記載の方法。
  26. 上記一般関数の計算が,上記摂動対象物の摂動のないバージョンとの関係において単一摂動のうちの一つの高さを表す高さ範囲にわたって第1の可積分関数を第1積分して第2の可積分関数を提供することを含む,請求項21に記載の方法。
  27. 上記一般関数の計算が,上記第2の可積分関数と上記摂動対象物の表面の非摂動バージョン上の単一摂動のうちの一つの法線投影の面積に基づいて第3の可積分関数を計算することを含む,請求項26に記載の方法。
  28. 上記一般関数の計算が,上記第3の可積分関数を上記摂動物体の一または複数の表面にわたって第2積分して第4の関数を提供し,上記第4の関数に上記摂動対象物の非摂動バージョンを照明することで生じる場の推定を加えることを含む,請求項27に記載の方法。
  29. 上記受信の評価が,上記場に基づく強度の評価および上記摂動対象物の摂動の統計の評価を含む,請求項21に記載の方法。
  30. 上記強度の評価が,拡散強度の計算および非拡散強度の計算を含む,請求項29に記載の方法。
  31. 上記非拡散強度の計算が,摂動対象物の可能な摂動バージョンにわたって得られる場の平均化を含む,請求項30に記載の方法。
  32. 上記平均化が様々な関数にわたって複数の積分を計算することを含み,上記複数の積分の計算が,(a)ある照明角度における単一摂動のうちの一つの照明に寄与する場と,(b)ある収集角度における単一摂動からの照明の収集に寄与する場のドット積の初期積分を計算することを含む,請求項31に記載の方法。
  33. 上記ドット積を表すフーリエ求数を計算することによって上記ドット積を計算する,請求項32に記載の方法。
  34. 摂動対象物の照明により非摂動対象物から受信されるX線信号を評価する非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって,
    上記X線信号の波長のオーダーである上記摂動対象物の摂動によって生成される場を推定する命令を含み,上記推定が,上記摂動対象物の摂動の単一摂動によって寄与される場に応答する一般関数であって,任意の形状の摂動対象物に適用可能な一般関数を計算するものであり,
    上記場および上記摂動の一または複数の統計的特性に基づいて上記X線信号を評価する命令を含む,
    非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
  35. 上記一般関数の計算が任意の形状の非摂動対象物に適用可能である,請求項34に記載の非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
  36. 摂動対象物に関連するモデルに基づく評価を実行する方法であって,
    X線信号の波長のオーダーの摂動を含む摂動対象物の照明により摂動対象物からセンサによって受信されるX線信号を示す検出信号を取得し,
    上記検出信号に基づいて上記摂動対象物に関する少なくとも一つのモデルに基づく評価を実行し,上記少なくとも一つのモデルに基づく評価の実行が,上記検出信号を,一または複数の基準パラメータに関連付けられた基準摂動対象物の基準モデルに関連付けられた基準検出信号と比較することを含む,
    方法。
  37. 上記摂動対象物に関連する上記少なくとも一つのモデルに基づく評価が,上記摂動対象物の粗さの測定である,請求項36に記載の方法。
  38. 上記摂動対象物に関連する上記少なくとも一つのモデルに基づく評価が,(a)上記摂動対象物の粗さの測定,および(b)上記摂動対象物に関連する追加のモデルベースの評価を含む,請求項36に記載の方法。
  39. 上記追加のモデルに基づく評価が上記摂動対象物の粗さに基づくものである,請求項38に記載の方法。
  40. 上記追加のモデルに基づく評価が上記摂動対象物に関連する寸法の測定である,請求項39に記載の方法。
  41. 上記検出信号が拡散検出信号であり,上記少なくとも一つのモデルに基づく評価の実行が上記摂動対象物の粗さおよび相関の決定を含む,請求項36に記載の方法。
  42. 上記少なくとも一つのモデルに基づく評価の実行が,上記相関に基づく摂動信号の非拡散ベースのモデルを決定することを含む,請求項41に記載の方法。
  43. 上記摂動対象物のモデルを取得し,上記モデルが,上記摂動によって生成される場,および上記摂動の一または複数の統計的特性に基づいて決定される,請求項36に記載の方法。
  44. 上記少なくとも一つのモデルに基づく評価の実行が,上記摂動モデルに関する追加情報に基づくモデルの補正を含み,上記追加情報がX線信号を表す検出信号に基づかないものである,請求項43に記載の方法。
  45. 上記検出信号が拡散検出信号であり,上記少なくとも一つのモデルに基づく評価の実行が,上記摂動対象物の拡散に基づく粗さの評価を含む,請求項36に記載の方法。
  46. 上記少なくとも一つのモデルに基づく評価の実行が上記摂動対象物の非拡散ベースのモデルを補正することを含む,請求項45に記載の方法。
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