JP2024500790A - ポリエステルポリマーナノコンポジット - Google Patents

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Abstract

本開示の態様は、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂の組成物、並びにポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するための方法であって、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するのに十分な条件下で、分散した多糖ナノ結晶、触媒及び1つ以上の任意選択の添加剤を含む混合物中でアルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーを重合することを含む、方法を含む。本開示の態様は、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットの組成物、並びにポリブチレンサクシネートナノコンポジットを生成するための方法であって、セルロースナノ結晶を1,4ブタンジオール(BDO)に分散させて、セルロース-BDO分散液を形成することと、セルロース-BDO分散液及びサクシネート無水物をエステル化して、複数のポリブチレンサクシネートオリゴマーを形成することとを含む、方法を更に含む。ポリブチレンサクシネートオリゴマーは、縮合されて、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットが形成される。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月23日に出願された米国仮出願第63/130,020号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
(導入)
脂肪族ポリエステルポリマーは、生分解性、溶融加工性、並びに耐熱性及び耐薬品性など、多くの興味深い特性を有することができる。ポリブチレンサクシネート(PBS)は、織物の分野ではメルトブロー、マルチフィラメント、モノフィラメント、フラット、及びスプリット糸に加工することができ、プラスチックの分野では射出成形品に加工することもできるため、様々な潜在的用途に対して高い加工性を示す有望なポリマーである。
PBSは、典型的には、1,4ブタンジオールとコハク酸との間でエステル化反応を行い、次に生成された中間オリゴマー生成物を縮合して、PBSポリマーを形成することによって合成される。このような方法によってPBSポリマーの分子量を増加させるための一般的な方法は、調製中にカーボネート又はジイソシアネートなどの鎖延長剤を添加することによるものである。
従来の方法では、望ましくない有毒な副産物及び反応物が伴うことがある。PBS生成の副産物の1つは、テトラヒドロフラン(THF)であり、これは、1,4ブタンジオールモノマーが環化するときに形成される有害廃棄物である。ジイソシアネート鎖延長剤は非再生可能資源であり、また潜在的に毒性があり、使用するには追加の加工工程が必要である。
PBSなどの直鎖脂肪族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、又はポリブチレンテレフタレート(PBT)などの高融点ポリエステルよりも、熱及び加水分解による劣化の影響を受けやすい。これらのポリマーの物理的性能は、処方設計及びその後の物理的加工で極度に影響を受けるようになる。
織物用途に使用されるポリマーは、配合、溶融紡糸、延伸、製織/編成、染色/仕上げ、及び洗濯などの多数の加工工程に耐える必要がある。例えば、合成繊維は、溶融紡糸プロセスによって製造することができる。このプロセスでは、溶融ポリマーをダイ(紡糸口金とも呼ばれる)に通して押し出し、粘性ポリマーを円筒状に噴射したもの、すなわち繊維を作製する。紡糸口金からドラムに巻きつけられた繊維を、所定の巻き取り速度で引き離す。巻き取り速度は、典型的には、工業プロセスにおける押出速度よりもはるかに高く、例えば、巻き取り速度は約50m/s、押出速度は約10m/sであり得る。巻き取り速度(vL)と押出速度(v0)との間の比は、延伸比dと呼ばれる。したがって、フィラメントの長さが大幅に伸びるため、直径が減少する。周囲雰囲気温度は、ポリマーが冷却され、巻き取り前に固化するように、ポリマー固化温度よりも低い。工業プロセスでは、数百本の単一フィラメントの束全体を押し出し、並行して紡糸することができる。
生成される廃棄物量を低減すると同時に、再生可能な原料を利用して、特性及び加工性が改善されたポリマー製品を提供する、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するための方法が依然として必要とされている。
本開示の態様は、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂の組成物及びポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するための方法を含む。本開示の方法は、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するのに十分な条件下で、分散多糖ナノ結晶、触媒及び1つ以上の任意選択の添加剤を含む混合物中でアルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーを重合することを含み得る。触媒は、重合前又は重合中に混合物に添加することができる。重合は、ワンポット反応で行うことができる。重合は、単一工程として、あるいは異なる反応条件を有する2つの別個の工程として行うことができる。本開示の態様は、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットの組成物、並びにポリブチレンサクシネートナノコンポジットを生成するための方法を更に含み、当該方法は、セルロースナノ結晶を1,4ブタンジオール(BDO)に分散させて、セルロース-BDO分散液を形成することと、セルロース-BDO分散液及びサクシネート無水物をエステル化して、複数のポリブチレンサクシネートオリゴマーを形成することと、を含む。ポリブチレンサクシネートオリゴマーは、縮合されて、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットが形成される。
別の実施形態では、本方法は、セルロースナノ結晶を1,4ブタンジオールに添加して、セルロース-BDO混合物を形成することと、次にセルロース-BDO混合物を超音波処理して、セルロースナノ結晶を1,4ブタンジオールに分散させ、セルロース-BDO分散液を形成することと、を含む。サクシネート誘導体は、セルロース-BDO分散液にエステル化されて、複数のポリブチレンサクシネートオリゴマーが形成される。ポリブチレンサクシネートオリゴマーは、縮合されて、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットが形成される。
本方法の別の実施形態は、セルロースナノ結晶を1,4ブタンジオールに添加して、セルロース-BDO混合物を形成することと、セルロース-BDO混合物を超音波処理して、セルロースナノ結晶を1,4ブタンジオールに分散させ、セルロース-BDO分散液を形成することと、を含む。セルロース-BDO分散液及びサクシネート無水物は、エステル化されて、複数のポリブチレンサクシネートオリゴマーが形成され、次にこれらは、縮合されて、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットが形成される。
ホモジナイザーを使用して1,4ブタンジオールに分散したセルロースナノ結晶から合成され、エポキシ化亜麻仁油でエステル化されたポリブチレンサクシネートナノコンポジットの動的粘度対温度のプロットを示す。 実施例13に示されるように調製された材料を含むポリマー繊維の粒径分布プロットを示す。 それぞれ60、80又は100%の超音波処理振幅で1,4ブタンジオール中に分散した様々なセルロースナノ結晶の粒径分布プロットを示す。60%の超音波処理振幅である。 それぞれ60、80又は100%の超音波処理振幅で1,4ブタンジオール中に分散した様々なセルロースナノ結晶の粒径分布プロットを示す。80%の超音波処理振幅である。 それぞれ60、80又は100%の超音波処理振幅で1,4ブタンジオール中に分散した様々なセルロースナノ結晶の粒径分布プロットを示す。100%の超音波処理振幅である。 それぞれ10000rpm、13333rpm、又は16666rpmのホモジナイザー速度で1分間、1,4ブタンジオール中に分散したセルロースナノ結晶の粒径分布プロットを示す。10000rpmで1分間である。 それぞれ10000rpm、13333rpm、又は16666rpmのホモジナイザー速度で1分間、1,4ブタンジオール中に分散したセルロースナノ結晶の粒径分布プロットを示す。13333rpmで1分間である。 それぞれ10000rpm、13333rpm、又は16666rpmのホモジナイザー速度で1分間、1,4ブタンジオール中に分散したセルロースナノ結晶の粒径分布プロットを示す。16666rpmで1分間である。 従来の商用グレードのPBSポリマー樹脂についての固有粘度と最大紡糸長との関係を示すプロットを示す。
本発明の前述及び他の態様を、以下、本明細書で提供される説明及び方法論に関してより詳細に記載する。本発明は、異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本開示が充分かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
本発明の明細書の説明で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の実施形態及び添付の特許請求の範囲の説明で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図する。また、本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する列挙されたアイテムのうちの1つ以上のいずれかの及び全ての可能な組み合わせを指し、これらを包含する。
化合物の量、用量、時間、温度などの測定可能な値を指すときに、「約」という用語は、本明細書で使用される場合、指定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%、更には0.1%の変動を包含することを意味する。別段の定義がない限り、説明で使用される技術用語及び科学用語を含む全ての用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」という用語は、記載された特徴、整数、工程、操作、要素、及び/又は構成成分の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成成分、及び/若しくはそれらのグループの存在又は追加を排除しない。
本発明の組成物及び方法に適用される「から本質的になる」(及びその文法的変形)という用語は、追加の構成成分が本組成物/本方法を実質的に変更しない限り、本組成物/本方法が追加の構成成分を含有し得ることを意味する。組成物/方法に適用される「実質的に変更する」という用語は、少なくとも約20%以上の本組成物/本方法の有効性の増加又は減少を指す。
本明細書で参照される全ての特許、特許出願、及び刊行物は、参照によってそれらの全体が組み込まれる。用語が矛盾する場合は、本明細書が優先される。
本開示の態様は、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂の組成物、並びにポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するための方法であって、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、アルカン二酸剤モノマー及び触媒を含む混合物(例えば、分散液)を調製することと、分散液中のアルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーを重合させて、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成することと、を含む、方法を含む。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶及び/又は触媒は、重合が開始した後にin situ(インサイチュ)で混合物に添加される。本開示の態様は、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットの組成物、並びにポリブチレンサクシネートナノコンポジットを生成するための方法であって、セルロースナノ結晶を1,4ブタンジオール(BDO)に分散させて、セルロース-BDO分散液を形成することと、セルロース-BDO分散液及びサクシネート無水物をエステル化して、複数のポリブチレンサクシネートオリゴマーを形成することと、を含む、方法を更に含む。ポリブチレンサクシネートオリゴマーは、縮合されて、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットが形成される。
ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂
本開示の態様は、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂の組成物を含む。
本明細書でその従来の意味で使用されるナノコンポジットは、概して、複数のナノスケール材料又はバルク材料に組み込まれたナノスケール材料から構成される。ナノコンポジットは、相のうちの1つが、材料を構成する異なる相間にナノスケールの繰り返し距離を有する一次元、二次元、若しくは三次元、又は構造を有する多相固体材料であり得る。したがって、ナノコンポジットは、ポリマーマトリックスに同伴されたナノ粒子を含み得る。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、ナノコンポジットを添加しないポリエステルポリマー-多糖の弾性率及び強度と比較して、強化繊維を提供するためにナノコンポジットを添加することによって増大した弾性率及び強度を含む。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、ベースポリマー樹脂を強化するように作用し得、それによって、ベース樹脂の1つ以上の機械的特性を増強し得る。ベースポリエステルポリマー樹脂に多糖ナノ粒子を組み込むことによって改善され得る非限定的な特性は、弾性係数、引張降伏応力、強度、強靭性、フープ応力定格、曲げ弾性率、耐UV性、及びガス又は水分の透過率の低減、難燃機構、抗菌特性のうちの少なくとも1つから選択され得る。したがって、本開示は、引張強度、極限伸度、メルトインデックス、熱安定性、難燃性、抗菌特性、ガス及び/又は水分透過の低減、衝撃強度、緩慢な亀裂成長抵抗、及び急速な亀裂伝播抵抗などの他の望ましい特性を著しく損失することなく、性能の測定可能な増強を達成することを可能にする。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、ベースポリマー単独、すなわち、多糖ナノ粒子を欠く組成物と比較して、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、又は少なくとも10%の改善された降伏応力を提供する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、ベースポリマー単独と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の改善された降伏応力を提供する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、ベースポリマー単独と比較して、最大200%、例えば、最大100%の改善された降伏応力を提供する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、ベースポリマー単独と比較して、10%~15%、15%~20%、20%~25%、25%~30%、30%~35%、35%~40%、40%~45%、又は45%~50%の範囲の改善された降伏応力を提供する。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約10MPa~約60MPaの範囲の引張強度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約10MPa~約15MPa、約15MPa~約20MPa、約20MPa~約25MPa、約25MPa~約30MPa、約30MPa~約35MPa、約35MPa~約40MPa、約40MPa~約45MPa、約45MPa~約50MPa、約50MPa~約55MPa、約55MPa~約60MPa、約60MPa~約65MPa、又は約65MPa~約70MPaの範囲の引張強度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約10MPa以上、約15MPa以上、約15MPa以上、約20MPa以上、約20MPa以上、約25MPa以上、約25MPa以上、約30MPa以上、約30MPa~約35MPa以上、約35MPa以上、40MPa以上、約45MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約50MPa以上、約55MPa以上、約55MPa以上、約60MPa以上、約65MPa以上、又は約70MPa以上の引張強度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約20MPa~約35MPaの範囲の引張強度を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約20MPa~約40MPaの範囲の引張強度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約20MPa~約60MPaの範囲の引張強度を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約20MPa~約70MPaの範囲の引張強度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約10MPa~約70MPaの範囲の引張強度を有する。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、250MPa~約450MPaの範囲の剛性係数を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、300MPa~400MPaの範囲の弾性率又は剛性を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、300MPa以上、305MPa以上、310MPa以上、315MPa以上、320MPa以上、330MPa以上、340MPa以上、350MPa以上、360MPa以上、370MPa以上、380MPa以上、390MPa以上、又は400MPa以上の弾性率又は剛性を有する。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、0.10GPa~約1.0Gpaの範囲の弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、0.20GPa~約0.5GPaの範囲の弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、0.20GPa~約0.4Gpaの範囲の弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、0.10GPa以上、0.15GPa以上、0.20GPa以上、0.25GPa以上、0.30GPa以上、0.35GPa以上、0.40GPa以上、0.45GPa以上、又は0.50GPa以上の弾性係数を有する。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、10%~約300%の範囲の引張ひずみ(εu)パーセンテージを有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、20%~200%の範囲の引張ひずみ(εu)パーセンテージを有する。ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上、110%以上、120%以上、130%以上、140%以上、150%以上、160%以上、170%以上、180%以上、190%以上、200%以上、210%以上、220%以上、230%以上、240%以上、250%以上、260%以上、270%以上、280%以上、290%以上、又は300%以上の引張ひずみ(εu)パーセンテージを有し得る。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約0.1~約1.5dL/gの範囲の固有粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約0.2~約0.8dL/g、例えば約0.2~約0.5dL/gの範囲の固有粘度を有する。本明細書で、及びその従来の意味で使用される固有粘度は、溶液の粘度に対する溶質の寄与の尺度である。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約0.10dL/g以上、0.15dL/g以上、0.20dL/g以上、0.25dL/g以上、0.30dL/g以上、0.35dL/g以上、0.40dL/g以上、0.45dL/g以上、0.50dL/g以上、0.55dL/g以上、0.60dL/g以上、0.65dL/g以上、0.70dL/g以上、0.75dL/g以上、0.80dL/g以上、0.85dL/g以上、0.90dL/g以上、0.95dL/g以上、1.0dL/g以上、1.10dL/g以上、1.15dL/g以上、1.20dL/g以上、1.25dL/g以上、1.30dL/g以上、1.35dL/g以上、1.40dL/g以上、1.45dL/g以上、又は1.50dL/g以上の固有粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約0.8dL/g以上の固有粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約0.9dL/g以上の固有粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約0.8~約1.5dL/gの範囲の固有粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約0.9~約1.5dL/gの範囲の固有粘度を有する。本開示のポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂の固有粘度は、例えば本明細書に記載されるような、標準条件及び20℃の温度下で毛細管ベースの粘度計を使用する標準的方法、又はASTM D445及びD2515試験方法に従って求めることができる。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約3~約150の範囲の相対粘度を有する。本明細書で、及びその従来の意味で使用される相対粘度は、ポリマー溶液の粘度の、使用される溶媒の粘度に対する比を指す。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約3~約5、約5~約7、約7~約10、約10~約15、約15~約20、約20~約25、約25~約30、約30~約35、約35~約40、約40~約45、約45~約50、約50~約55、約55~約60、約60~約65、約65~約70、約70~約75、約75~約80、約80~約85、約85~約90、約90~約95、約95~約100、約100~約105、約105~約110、約110~約115、約115~約120、約120~約125、約125~約130、約130~約135、約135~約140、約140~約145、又は約145~約150の範囲の相対粘度を有する。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約500~約15,000cPの範囲の溶融粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約500~約10,000cPの範囲の溶融粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約500~約1,000cPの範囲の溶融粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約800~約10,000cPの範囲の溶融粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、約500~約1,000cP、約1,000cP~約1,500cP、約1,500cP~約2,000cP、約2,000cP~約2,500cP、約2,500cP,~約3,000cP、約3,000cP~約3,500cP、約4,000cP、約4,000cP~約4,500cP、約4,500cP~約5,000cP、約5,000cP~約7,000cP、約7,000cP~約10,000cP、又は約10,000cP~約15,000cPの範囲の溶融粘度を有する。場合によっては、溶融粘度が測定される溶融温度は、約115℃~約230℃である。
多糖ナノ粒子
本開示の態様は、多糖ナノ粒子を含むポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を含む。
多糖は、グリコシド連結によって互いに結合する複数の糖単位で構成されており、他の生体ポリマーファミリーとは異なるいくつかの固有の特徴を有する。主題のナノコンポジットで使用される多糖材料は、ナノ粒子、すなわち、目的の多糖のナノ構造形態であり得る。場合によっては、ナノ粒子は、結晶性であり、ナノ結晶と称され得る。
ポリエステルポリマー-多糖樹脂は、多糖ナノ粒子に由来し得る。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマー-多糖樹脂は、多糖ナノ結晶、及び1つ以上のモノマーに由来する。いくつかの実施形態では、1つ以上のモノマーとしては、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、ヘパリン、キトサン、キチン、ヒアルロナン、デンプン、セルロース、アルギネート、ペクチン、グアー、デンプン/キトサン、キトサン/ヘパリン、キトサン/ヒアルロナン、ヒアルロナン/ヘパリン、又はセルロース、並びにキチンウィスカー及び小板様デンプンに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、セルロース、デンプン、又はキチンに由来する。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、セルロースに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、デンプンに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、キチンに由来する。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、球、ロッド、ディスク、又は任意の他の形状であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物において使用されるナノ結晶は、低い粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、低い粒径分布は、0.5以下の多分散度(PDI)を有するナノ結晶又はナノ粒子を指す。いくつかの実施形態では、ナノ結晶は多分散性であり、高いサイズ分布を有し得る。いくつかの実施形態では、高い粒径分布は、0.6以上、例えば1.0以上の多分散度(PDI)を有するナノ結晶又はナノ粒子を指す。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、スルホン酸基を含有するか、又は含有するように修飾されており、ナトリウム塩などのスルホン酸塩として存在し得る。
セルロースナノ粒子
本開示のナノコンポジットで使用される多糖ナノ粒子は、セルロースで構成されることも、セルロースに由来することもある。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、セルロースに由来する。セルロースナノ粒子及びナノセルロースという用語は、本明細書では互換的に使用される。ナノセルロースは、ナノ構造のセルロースを指し、ナノファイバー若しくは非フィブリル、ナノクリスタル、又は他のナノサイズの構造を含み得る。セルロースは、P(1→4)連結D-グルコース単位の直鎖から構成される多糖(例えば、式(C6Hiのもの)である(例えば、nは、100~100,000、例えば500~10,000である)。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、セルロースナノ結晶である。セルロースナノ結晶及びナノセルロース結晶(NCC)という用語は、本明細書では互換的に使用される。未修飾セルロースの例示的な式は、以下に示される。
Figure 2024500790000001
いくつかの実施形態では、セルロースナノ粒子のサブセットとしてのセルロースナノ結晶は、ナノフィブリル(セルロース階層の次のメンバー)から無秩序なアモルファス領域を除去するための処理後に残る高度に秩序化されたナノスケール結晶である。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、セルロース繊維を酸加水分解などの化学処理にかけることによって誘導される結晶である。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、Roanby,B.G.(Ranby,B.G.(1951)Descation Faraday Society,11,158-164)に最初に記載されたものと同様の酸加水分解技術を介して、セルロース系バイオマスからの酸加水分解セルロースに由来する。硫酸処理を介して生成され、塩基(この場合はNaOH)で中和されたナノセルロース結晶(NCC)は、親水性媒体での分散性に影響を与える硫酸塩置換基及び/又はスルホン酸塩置換基を大量に含有する。
主題のナノコンポジットで使用されるNCCは、例えば、未修飾であってもよく、又はグルコピラノース繰り返し単位のうちの1つ以上の3つのヒドロキシル基のうちの1つ以上を置き換え若しくは誘導体化するために1つ以上の置換基を組み込むことによって修飾されてもよいことが理解される。場合によっては、NCCは、硫酸化(-OSOH)されている。セルロース、デンプン、又はキチンの硫酸加水分解中に、硫酸基がナノ結晶の表面を覆う。代わりに塩酸を使用する場合、硫酸とのエステル化反応によって、硫酸基(又は他の置換基)を後でナノ結晶表面に結合させることができる。HCl又はHBr加水分解後、NCCは、未修飾であり得る。置換基、例えば、表面カチオン化を提供するためのアミン含有基を付加するために、更なる修飾工程が行われ得る。HPO加水分解後、NCCは、ホスフェートで修飾され得る(-OPO)。場合によっては、HCl/HBr加水分解、及びそれに続くTEMPO-酸化の後、-CH2OHヒドロキシルがカルボン酸に変換され得る。いくつかの実施形態では、NCCは、スルホン酸置換基又はその塩(例えば、スルホン酸塩)を含有するか、又は含有するように修飾される。
NCCの表面でグルコピラノース繰り返し単位に組み込むことができる例示的な修飾単位が以下に示され、式中、Rは、任意の好便な置換基、例えば、アルキル又は置換アルキル、アルカノイル又は置換アルカノイルなどである。
Figure 2024500790000002
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、資源木材(source wood)、綿、細菌、又は藻類からの酸加水分解されたセルロースに由来する。場合によっては、硫酸がセルロースの酸処理に使用される。主題の方法及び組成物で使用される目的のNCCとしては、Georgeらによって記載されている(「Cellulose nanocrystals:synthesis,functional properties,and applications」,Nanotechnol Appl 2015;8:45-54)NCCが挙げられ、その開示は、参照によって組み込まれる。
いくつかの実施形態では、NCCの組み込みにより、(例えば、生成物をより耐破壊性にすることによって)得られたポリブチレンサクシネートポリマー組成物を強靭化する。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載されるような)調製方法に組み込まれるエポキシ誘導体又はエポキシ化油などの添加剤により、得られたポリブチレンサクシネート(PBS)ポリマー組成物を強靭化又は強化することができるばかりでなく、同時に、PBSポリマー組成物に柔軟性又は望ましい弾性を付与することもできる。いくつかの実施形態では、NCCとエポキシ化油との組み合わせを使用することにより、材料は強靭化されるが、例えば、エポキシ化油(例えば、本明細書に記載されるようなもの)を欠く組成物と比較して、材料はわずかに柔軟になるか、又はより弾性になる。
いくつかの実施形態では、酸加水分解されたセルロースは、天然に存在するセルロース繊維から得られる。いくつかの実施形態では、酸加水分解されたセルロースは、例えば、植物バイオマス、維管束植物、綿植物、木材パルプ、ジュート、麻、トウモロコシ、フラスコ、米、麦稈、又はサイザル麻として得られる。いくつかの実施形態では、セルロースは、樹木、草、綿、サイザル麻、竹、及び苧麻を含むが、これらに限定されない植物バイオマスから得られる。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、尾索動物(ナマコに類似した海の生き物)の構造構成成分として見出され得、アセトバクターキシリナム細菌によって自然に産生される。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、約1~80nmの幅、及び約25~1000nmの長さの平均寸法を有する。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、約1~100nmの範囲の幅、及び約25~3000nmの範囲の長さの平均寸法を有する。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、約10nm以上、15nm以上、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、50nm以上、55nm以上、60nm以上、65nm以上、70nm以上、75nm以上、80nm以上、85nm以上、90nm以上、95nm以上、又は100nm以上の幅、及び25nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上、700nm以上、800nm以上、850nm以上、900nm以上、950nm以上、1000nm以上、1500nm以上、2000nm以上、2500nm以上、又は3000nm以上の長さの平均寸法を有する。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、約3~50nmの幅、及び約100~1000nmの長さの平均寸法を有する。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、10以上、例えば、20以上、30以上、40以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、150以上、200以上、又は更にそれ以上である平均アスペクト比(長さ/直径)を有する。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、10~200、例えば、20~200、50~200、又は100~200である平均アスペクト比(長さ/直径)を有する。
いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約1d.nm~約400d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約1d.nm~約50d.nm、約50d.nm~約100d.nm、約100d.nm~約150d.nm、約150d.nm~約200d.nm、200d.nm~約250d.nm、250d.nm~約300d.nm、300d.nm~約350d.nm、350d.nm~約400d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約1d.nm~約20d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約10d.nm~約100d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約10d.nm~約30d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約100d.nm~約200d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、1d.nm以上、2d.nm以上、4d.nm以上、6d.nm以上、8d.nm以上、10d.nm以上、12d.nm以上、14d.nm以上、16d.nm以上、18d.nm以上、20d.nm以上、22d.nm以上、24d.nm以上、26d.nm以上、28d.nm以上、30d.nm以上、32d.nm以上、34d.nm以上、36d.nm以上、38d.nm以上、40d.nm以上、42d.nm以上、44d.nm以上、46d.nm以上、48d.nm以上、50d.nm以上、52d.nm以上、54d.nm以上、56d.nm以上、58d.nm以上、60d.nm以上、62d.nm以上、64d.nm以上、66d.nm以上、68d.nm以上、70d.nm以上、72d.nm以上、74d.nm以上、76d.nm以上、78d.nm以上、80d.nm以上、82d.nm以上、84d.nm以上、86d.nm以上、88d.nm以上、90d.nm以上、92d.nm以上、94d.nm以上、96d.nm以上、98d.nm以上、又は100d.nm以上の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、100d.nm以上、125d.nm以上、150d.nm以上、175d.nm以上、200d.nm以上、225d.nm以上、250d.nm以上、275d.nm以上、300d.nm以上、325d.nm以上、350d.nm以上、400d.nm以上、425d.nm以上、500d.nm以上、525d.nm以上、550d.nm以上、575d.nm以上、600d.nm以上、625d.nm以上、650d.nm以上、675d.nm以上、700d.nm以上、725d.nm以上、750d.nm以上、775d.nm以上、800d.nm以上、825d.nm以上、850d.nm以上、875d.nm以上、900d.nm以上、925d.nm以上、950d.nm以上、975d.nm以上、又は1000d.nm以上の粒径分布を有する。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶の長さが増加すると、セルロースナノ結晶の長さが短い場合と比較して、ポリマー全体で荷重分布ポテンシャルが増加する。いくつかの実施形態では、ポリマー内のセルロースナノ結晶の相対的配向は、軸配向で隣接するセルロースナノ結晶間の望ましい整列及び界面接触を提供し、このような整列したナノ結晶を欠く組成物と比較して増大し得る、得られた組成物の極限引張強度を提供することができる。
セルロースナノ結晶の形態(例えば、長さ、アスペクト比、長さ、多分散度)及び表面電荷は、合成条件に基づいて大きく変化する。いくつかの実施形態では、酸加水分解は、セルロースナノ結晶を接続するアモルファス領域を消化することによってセルロースミクロフィブリルを分解するために使用される。いくつかの実施形態では、加工は、典型的には、加熱、攪拌、すすぎ、濾過、透析、及び超音波処理(ultrasonication)を必要とし、各工程のパラメーターは、セルロースナノ結晶の形態及び/又は表面化学に対して直接的な影響を有する。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶加工の最終結果は、生成される液晶セルロースナノ結晶の懸濁液を含み、ネマチック又はキラルネマチック中間相(メソ相)のいずれかを形成する(例えば、セルロースナノ結晶の長さ、アスペクト比、長さ、多分散度、表面電荷、ナノ結晶セルロース(NCC)濃度、及び電解質濃度に依存する)。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、ポリマーベース樹脂の1つ以上の機械的特性を増強する。ベースポリマー樹脂にセルロースナノ粒子を組み込むことによって改善され得る非限定的な特性は、弾性係数、引張降伏応力、フープ応力定格、曲げ弾性率、耐UV性、及びガス透過率の低減のうちの少なくとも1つから選択され得る。したがって、本開示は、引張強度、極限伸度、メルトインデックス、熱安定性、衝撃強度、緩慢な亀裂成長抵抗、及び急速な亀裂伝播抵抗などの他の望ましい特性を著しく損失することなく、性能の測定可能な増強を達成することを可能にする。
主題の開示の態様は、例えば、多糖のヒドロキシル基へのエステル連結を介して、ポリマー鎖をセルロースナノ結晶などの多糖ナノ粒子にグラフトすることができるナノコンポジットの調製を含む。
キトサンナノ粒子
本開示のナノコンポジットで使用される多糖ナノ粒子は、キトサンで構成されることも、キトサンに由来することもある。キチンの脱アセチル化誘導体であるキトサンは、天然の生分解性多糖ポリマーの一種であり、非毒性で持続可能な天然抗菌剤である。キトサンナノ粒子を使用することにより、得られた組成物に、いくつかの望ましい特性、例えば、難燃性、抗菌性及び向上した生分解性を付与することができる。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、キトサンに由来する。キトサンは、ランダムに分布したβ-(1→4)連結D-グルコサミン(脱アセチル化単位)及びN-アセチル-D-グルコサミン(アセチル化単位)から構成される多糖(例えば、式(C11NO)である。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、キトサンナノ結晶である。遊離アミン基を含む未修飾キトサンの例示的な式を以下に示す。存在する脱アセチル化の程度に応じて、アミン基の数%がN-アセチル化され得ることが理解される。
Figure 2024500790000003
キトサンの一級アルコール及び/又はアミン基は、本開示の重合及び/又はキャッピングプロセス中にカルボン酸基及び/又はエポキシドとの分岐反応に関与し得る。
いくつかの実施形態では、キトサンは、エビの殻などであるがこれに限定されない海洋甲殻類に由来する。商業的には、キトサンはキチンの脱アセチル化によって生成される。キチンは、甲殻類の外骨格における構造要素である。
いくつかの実施形態では、2種類以上の多糖ナノ粒子の混合物が、主題の組成物及び方法において利用され得る。
いくつかの実施形態では、キトサンナノ粒子は、利用される唯一の種類の多糖ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、キトサンナノ粒子は、主題の組成物及び方法の多糖ナノ粒子として、ナノ結晶セルロース(NCC)との混合物として利用される。いくつかの例では、多糖ナノ粒子混合物は、キトサン対NCCが50:50重量%である。いくつかの実施形態では、キトサンナノ粒子は、多糖ナノ粒子混合物の50重量%を超える。いくつかの実施形態では、NCCは、多糖ナノ粒子混合物の50重量%を超える。
ポリエステルポリマー
本開示のナノコンポジットは、ポリエステルポリマーに基づく。ポリエステルポリマーという用語は、エステル連結を介して連結する複数の繰り返し単位を含むポリマーを指す。いくつかの実施形態では、エステル連結は、脂肪族ジオールコモノマーと脂肪族二酸コモノマーとの間に形成される。対象のナノコンポジットのポリエステルポリマーは、生分解性であり得る。ポリエステルポリマーの正確な構成成分を選択して、得られるナノコンポジットに望ましい特性を提供することができる。
「単位」という用語は、ポリマーの構造サブ単位を指す。単位という用語は、モノマー、コモノマー、コブロック、セグメント、繰り返し単位などを含むことを意味する。「繰り返し単位」は、単位がモノマーであると見なされるために必要である最小数の別個の構造的特徴によって定義されるポリマーのサブ単位であり、その結果、単位がn回繰り返されると、得られる構造は、ポリマー又はそのブロックを示す。場合によっては、ポリマーは、2つ以上の異なる繰り返し単位を含み得、例えば、ポリマーがマルチブロックポリマーである場合、各ブロックは、別個の繰り返し単位を画定し得る。場合によっては、ポリマーの繰り返し単位は、単一のモノマー基を含む。ある特定の例では、ポリマーの繰り返し単位は、2つ以上のモノマー基、すなわち、2つ、3つ、4つ以上のコモノマー基などのコモノマー基を含む。
「コモノマー」又は「コモノマー基」という用語は、それ自体がポリマーの繰り返し単位の一部であり得るポリマーの構造単位を指す。いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマーは、重合モノマーのブロックから構成されるブロックコポリマーを含む。そのような場合、ブロックコポリマーは、各々がポリマーの別個のコブロックに対応する別個の繰り返し単位を有すると記載され得る。場合によっては、ポリマーは、2つの異なるコブロックを含有するジブロックコポリマーである。そのような場合、ポリマーは、コブロックを含むと記載され得、各コブロックは、1つ、2つ、3つ以上のコモノマーなどのコモノマーから構成され得る。
いくつかの実施形態では、ナノコンポジットは、式(I)の繰り返し単位を含むポリエステルポリマーを含み、
Figure 2024500790000004
式中、
及びLは各々独立して、長さが2~12個の原子の連結基であり、
pは、1~100,000であり、
は独立して、H、OH、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アロイル、ヘテロアロイル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、キャッピング基、コポリマーセグメント、繰り返し単位、コモノマー、グラフト化多糖ナノ粒子、リンカー、架橋剤、又はエポキシ化油、エポキシ誘導体、若しくは脂肪酸を表す。
及びLは、2~12個の原子の長さの鎖、例えば、2、3、4、5、6、8、10、又は12個の炭素原子の長さの鎖を有する任意の好便な二価連結基であり得、リンカーは、直鎖、分岐、又は環状であり得る。ある特定の場合では、連結基主鎖の1、2、3、4、又は5個以上の炭素原子は、任意選択で、硫黄、窒素、又は酸素のヘテロ原子で置換され得る。主鎖原子間の結合は、飽和であっても不飽和(例えば、アルケニル)であってもよく、場合によっては、1つ、2つ、又は3つ以下の不飽和結合が、リンカー主鎖に存在する。リンカーは、例えば、アルキル、アリール、又はアルケニル基を有する1つ以上の置換基を含み得る。リンカーには、ポリエチレングリコール;エーテル、チオエーテル、第三級アミン、アルケニル、アルキル(直鎖であっても分岐であってもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、nブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)であってもよい)などが含まれ得るが、これらに限定されない。式(I)のいくつかの実施形態では、L及びLは各々独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニルから選択される。
「アルキレン」は、二価脂肪族ヒドロカルビル基(例えば、アルキル又はアルケニル)を指し、好ましくは2~12個、より好ましくは2~6個の炭素原子を有し、直鎖又は分岐のいずれかであり、任意選択で、-O-、-NR10-、NR10C(O)-、-C(O)NR10-などから選択される1つ以上の基で中断されている。この用語には、例として、メチレン(CH2)、エチレン(CH2CH2)、n-プロプレン(CH2CH2CH2)、イソ-プロプレン(CH2CH(CH3))、(C(CH3)2CH2CH2)、(C(CH3)2CH2C(O))、(C(CH3)2CH2C(O)NH)、(CH(CH3)CH2-)などが含まれる。「置換アルキレン」は、置換基で置き換えられた1~3つの水素を有するアルキレン基を指す。
式(I)のいくつかの実施形態では、pは、2~100,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、5~100,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、10~100,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、100~100,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、1000~100,000である。
式(I)のいくつかの実施形態では、pは、2~10,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、5~10,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、10~10,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、100~10,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、1000~10,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、2~1,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、5~1,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、10~1,000である。式(I)のいくつかの実施形態では、pは、100~1000である。
任意の好便なポリマー、及び/又はそのモノマー前駆体は、望ましい物理的特性(例えば、引張強度などの本明細書に記載されるような)を有するナノコンポジット組成物を提供するために、主題の調製方法に組み込まれるように適合され得る。主題の調製方法及びナノコンポジット組成物における使用に適合させることができる対象のポリマー及びそのモノマー前駆体としては、Zheng et al.(Ind.Eng.Chem.Res.2013,52,6147-6155),Tserki et al.(Polymer Degradation and Stability,Volume 91,Issue 2,February 2006,367-376)、米国特許出願公開第20190194400号、及び米国特許第9,796,849号(これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で記載されたポリマー及びモノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの態様では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及びアルカン二酸剤モノマーを含む混合物に由来する。主題の開示の態様は、セルロースナノ結晶などの多糖ナノ粒子が重合中に存在して、例えば、多糖のヒドロキシル基へのエステル連結を介して、多糖へのポリマー鎖のグラフト化を可能にする重合反応を介するナノコンポジットの調製を含む。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及びアルカン二酸剤モノマーは、分散液中で重合(例えば、エステル化及び重縮合)されて、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂が生成される。
いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂のポリエステルポリマーは、脂肪族ポリエステルポリマーである。場合によっては、ポリエステルポリマーは、生分解性である。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリブチレンサクシネートホモポリマー又はコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-ブチレンアジペート)を含む。
ポリエステルポリマーは、特定の望ましい特性を提供するためにポリマーに組み込まれる1つ以上の追加のコモノマーを含み得る。
いくつかの実施形態では、脂肪族ポリエステルポリマーは、ポリラクチド(PLA)(例えば、ポリ(乳酸))、ポリグリコリド(PGA)(例えば、ポリグリコール酸)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、ポリ(γ-バレロラクトン)(PVL)、及びコポリマーポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)から選択される特定の脂肪族ポリエステルポリマーのセグメントを含み得るが、これらに限定されない。
PLAは、乳酸から合成された生分解性かつ疎水性のポリマーである。
PCLは半結晶性ポリエステルであり、典型的には、溶融温度は約55~60℃である。
PGAは結晶性の高いポリマーであり、典型的には、融点は200℃超、ガラス転移温度は約35~40℃である。
PLGAは、そのモノマー、ラクチド、及びグリコリドの異なる比率で製作できるため、分解速度及び放出速度が調整可能である。
いくつかの実施形態では、ナノコンポジットは、式(II)の繰り返し単位を含むポリエステルポリマーを含み、
Figure 2024500790000005
式中、
nは、1~11であり、
mは、1~11であり、
pは、1~100,000であり、
は独立して、H、OH、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アロイル、ヘテロアロイル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、キャッピング基、コポリマーセグメント、繰り返し単位、コモノマー、グラフト化多糖ナノ粒子、リンカー、架橋剤、又はエポキシ化油、エポキシ誘導体、若しくは脂肪酸を表す。
式(II)のいくつかの実施形態では、nは1~5であり、mは1~5である。
式(II)のいくつかの実施形態では、nは、1である。式(II)のいくつかの実施形態では、nは、2である。式(II)のいくつかの実施形態では、nは、3である。式(II)のいくつかの実施形態では、nは、4である。式(II)のいくつかの実施形態では、nは、5である。
式(II)のいくつかの実施形態では、mは、2~5である。式(II)のいくつかの実施形態では、mは、2である。式(II)のいくつかの実施形態では、mは、3である。式(II)のいくつかの実施形態では、mは、4である。式(II)のいくつかの実施形態では、mは、5である。
式(II)のいくつかの実施形態では、nは1であり、mは3である。
式(II)のいくつかの実施形態では、pは、2~100,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、5~100,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、10~100,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、100~100,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、1000~100,000である。
式(II)のいくつかの実施形態では、pは、2~10,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、5~10,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、10~10,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、100~10,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、1000~10,000である。
式(II)のいくつかの実施形態では、pは、2~1,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、5~1,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、10~1,000である。式(II)のいくつかの実施形態では、pは、100~1000である。
式(I)~(II)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのは、グラフトされた多糖ナノ粒子を表す。式(I)~(II)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのは、グラフトされたセルロースナノ粒子を表す。式(I)~(II)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのは、グラフトされたセルロースナノ結晶を表す。
式(I)~(II)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのは、キャッピング基を表す。キャッピング基は、ポリマーセグメントのヒドロキシ末端又はカルボン酸末端への結合に好適な適合性官能基を含む基である。例示的なキャッピング基には、ヒドロキシ末端へのエステル連結を形成するアルカノイル基、及びカルボン酸末端へのエステル連結を形成するアルコキシ基が含まれる。様々な化学連結及びキャッピング基が利用され得る。式(I)~(II)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのは、エポキシ化油、エポキシ誘導体、又は脂肪酸への連結を表す。エポキシ化油は、ポリエステルポリマーの反応性基、例えば、エポキシ化油へのエステル連結を形成するカルボン酸などの末端基、又はエーテル連結を形成するヒドロキシルなどの末端基にカップリングするのに好適な1つ以上のエポキシド基を有し得る。エポキシ化油が2つ以上のエポキシド反応性基を有する場合、それは、2つ以上のポリエステルポリマー間の架橋を提供し得る。場合によっては、脂肪酸を使用して、ヒドロキシル末端基へのエステル連結を介してポリエステルポリマーをキャップすることができる。
式(I)~(II)のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのは、ポリエステルポリマーがコポリマー(例えば、本明細書に記載されるような)であるように、コモノマー、コポリマーセグメント、又は繰り返し単位(例えば、本明細書に記載されるような)を表す。そのようなコポリマーは、ランダムコポリマーであってもブロックコポリマーであってもよいことが理解される。
いくつかの態様では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、ジオールモノマーHO-L-OHに基づくポリマー繰り返し単位を含み、式中、Lは、式(I)で定義されるとおりである。場合によっては、Lは、アルキル又は置換アルキルである。場合によっては、Lは、アルケニル又は置換アルケニルである。
アルカンジオールモノマー
いくつかの態様では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、アルカンジオールモノマーに基づくポリマー繰り返し単位を含む。アルカンジオールモノマーは、末端ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐アルキル基(例えば、HO-アルキル-OH)を指す。アルカンジオールモノマーは、末端ヒドロキシル基を連結するC2~C12の鎖を有し得る。アルカンジオールモノマーは、非置換であっても、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~10個の炭素原子を含む。特定の実施形態では、アルキル基は、1~6個の炭素原子、例えば1~4個の炭素原子を含む。この用語には、例として、エチル(CH3CH2)、n-プロピル(CH3CH2CH2-)、イソプロピル((CH3)2CH-)、n-ブチル(CH3CH2CH2CH2)、イソブチル((CH3)2CHCH2)、sec-ブチル((CH3)(CH3CH2)CH-)、t-ブチル((CH3)3C-)、n-ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2-)、及びネオペンチル((CH3)3CCH2-)などの直鎖及び分岐ヒドロカルビル基が含まれる。
「置換アルキル」という用語は、本明細書で定義されるようなアルキル基を指し、アルキル鎖中の1つ以上の炭素原子は、任意選択で、O-、N-、S-などのヘテロ原子、-S(O)n-(式中、nは0~2である)、-NR-(式中、Rは水素又はアルキルである)で置き換えられており、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミノアシル、アミノアシルオキシ、オキシアミノアシル、アジド、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、チオケト、カルボキシル、カルボキシルアルキル、チオアリールオキシ、チオヘテロアリールオキシ、チオヘテロシクロオキシ、チオール、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ、ヒドロキシアミノ、アルコキシアミノ、ニトロ、-SO-アルキル、-SO-アリール、-SO-ヘテロアリール、-SO2-アルキル、-SO2-アリール、SO2-ヘテロアリール、及び-NRaRb(式中、Ra及びRbは同じも異なっていてもよく、水素、任意選択で置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び複素環式から選択される)からなる群から選択される1~5つの置換基を有する。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーは、1,4-ブタンジオールモノマー、1,2-エタンジオールモノマー、1,3-プロパンジオールモノマー、1,5-ペンタンジオールモノマー、又は1,6-ヘキサンジオールモノマーから選択される。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーとしては、ポリエステルコンポジットを形成するための1つ以上のジオールが挙げられる。他の好適なジオールの非限定的な例としては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、1.5-ジヒドロキシナフタレン(1.5-dihydroxynaphthalene)、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)-2.2-プロパン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマー1,4-ブタンジオール。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーは、1,2-エタンジオールである。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーは、1,3-プロパンジオールである。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の構成成分は、1つ以上の他のジオールとともに添加されるか、又は1,4-ブタンジオールで置換されて、ポリエステルコンポジットが形成され得る。
他の好適なジオールの非限定的な例としては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、1.5-ジヒドロキシナフタレン(1.5-dihydroxynaphthalene)、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)-2.2-プロパン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルは、本開示のジオールと組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルとして、炭素数は、通常4以上、10以上の下限及び通常1,000以下、200以下、更に100以下の上限を有する。ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルの非限定的な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ-1,6-ヘキサメチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの共重合ポリエーテルなども使用され得る。
アルカン二酸剤モノマー
ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジットは、二酸剤モノマーに基づくポリマー繰り返し単位を含む(例えば、式、HOC-L-CO、又はその誘導体若しくは同等物であり、式中、Lは、式(I)で定義されるとおりである)。ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジットは、アルカン二酸剤モノマーに基づくポリマー繰り返し単位を含む。アルカン二酸剤モノマーは、末端ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐アルキル基を指す。アルカン二酸モノマーは、末端カルボン酸若しくはエステル基、又は同等の官能基を連結するC2~C12のアルキル鎖を有し得る。アルカン二酸剤モノマーは、非置換であっても、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~10個の炭素原子を含む。特定の実施形態では、アルキル基は、1~4個の炭素原子などの1~6個の炭素原子を含む。モノマーの二酸基は、典型的には、ヒドロキシル含有コモノマーとの重合に好適な誘導体形態で提供されることが理解される。いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーがエステル又は環状無水物の形態で提供される場合、モノマーは、ヒドロキシル含有モノマー、例えば、アルカンジオールモノマーとのエステル交換が可能である。
いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、無水コハク酸、アジピン酸、アジピン酸モノアルキル、アジピン酸ジアルキル(例えば、アジピン酸ジメチル又はアジピン酸ジエチル)、及び無水アジピン酸から選択される。
いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの環状酸無水物同等物から選択される。特定の実施形態では、サクシネート誘導体は、1つ以上の追加の構成成分で置換されるか、又はそれらに添加される。いくつかの実施形態では、これらの1つ以上の追加の構成成分としては、1つ以上のジカルボン酸又は無水ジカルボン酸が挙げられる。非限定的な例としては、フマル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの環状酸無水物同等物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、ポリエステルポリマーは、脂肪族二酸剤コモノマーに基づく繰り返し単位を含む(例えば、本明細書に記載されるような)。特定の実施形態では、脂肪族二酸剤コモノマーは、フマル酸である。
ポリブチレンサクシネート又はフマレートポリマー及びコポリマー
いくつかの態様では、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及び二酸剤モノマーを含む。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーは、1,4-ブタンジオールモノマーである。いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、コハク酸剤モノマーである。いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、無水コハク酸である。
脂肪族ホモポリエステル及びコポリエステルは、エステル化、エステル交換及び/又は重縮合の重合プロセスによって、1,4ブタンジオール及びコハク酸剤モノマー(例えば、無水コハク酸又はコハク酸のジメチルエステル)、並びに任意選択で1つ以上の他のコモノマー(例えば、本明細書に記載されるような)から調製され得る。いくつかの実施形態では、プロセスは、2つの別個の工程として、例えば、異なる反応条件、例えば、温度及び/又は圧力の特定の条件を用いて行われる。いくつかの実施形態では、プロセスは単一工程として実施される。プロセスは、単一の反応容器内で行うことができる。同様に、フマル酸モノマー、例えば、無水マレイン酸などのアルケニル二酸モノマーを1,4-ブタンジオールモノマーとともに利用して、主題のナノコンポジットで使用するためのポリブチレンフマレート(PBF)ホモポリマー又はコポリマーを生成することができる。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶、1,4-ブタンジオールモノマー、及びコハク酸剤モノマーを(任意選択で、1つ以上の追加のコモノマーの存在下で)含む混合物は、重合(例えば、エステル化及び/又は重縮合)されて、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂が生成される。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及びアルカン二酸剤モノマーを単一工程で重合して、第1の樹脂材料を生成する。次いで、第1の樹脂材料をペレット化し、第1の樹脂材料中のポリマーのMWを増加させるのに十分な条件下で乾燥し、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成することができる。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及びアルカン二酸剤モノマーの重合生成物のペレット化及び/又は乾燥により、混合物から水分を除去し、混合物又は樹脂中のポリマーの分子量を増加させる。
いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂のポリマーは、ポリブチレンサクシネート(PBS)ホモポリマー又はポリブチレンサクシネートコポリマーである。
いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂のポリマーは、ポリブチレンサクシネートコポリマーである。
いくつかの実施形態では、ポリブチレンサクシネートコポリマーは、ブチレンフマレート、又はPBSとポリブチレンフマレート(PBF)とのポリマーブレンドである。いくつかの実施形態では、ポリブチレンサクシネートコポリマーは、式(III)によって表され、
Figure 2024500790000006
式中、p、q、及びrは独立して1~100,000であり、各は独立して、H、OH、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、アロイル、ヘテロアロイル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、キャッピング基、コポリマーセグメント、繰り返し単位、コモノマー、グラフト化多糖ナノ粒子、リンカー、架橋剤、又はエポキシ化油、エポキシ誘導体、若しくは脂肪酸を表す。
式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、2~100,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、5~100,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、10~100,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、100~100,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、1000~100,000である。
式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、2~10,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、5~10,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、10~10,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、100~10,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、1000~10,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、2~1,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、5~1,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、10~1,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、p及びqは独立して、100~1000である。
式(III)のいくつかの実施形態では、rは、1~10,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、rは、1~1,000である。式(III)のいくつかの実施形態では、rは、1~100である。式(III)のいくつかの実施形態では、rは、1~10である。
ポリブチレンサクシネートコポリマーは、コブロック又はランダム配置などのコモノマーの任意の好便な配置を含み得ることが理解される。いくつかの実施形態では、ポリブチレンサクシネートコポリマーは、式(IV)によって表され、
Figure 2024500790000007
式中、x、y、及びzは、ポリマー中のコモノマーのmol%を表す。
いくつかの実施形態では、x、y、及びzは各々独立して、1~50mol%である。場合によっては、yは、x+zである。いくつかの実施形態では、x>zである。いくつかの実施形態では、z>xである。
いくつかの実施形態では、ポリブチレンサクシネートコポリマーは、10kDa~100kDa、例えば10kDa~50kDa又は20kDa~40kDaの平均MWを有する。
いくつかの実施形態では、フマレート部分を添加することは、PBSの結晶溶融温度を最大10℃~15℃に広げる。例えば、PBSは約115℃の溶融温度を有し、これは、糸/布の生成、並びに糸/布の用途において、溶融物での加工性を妨げる可能性がある。純粋なPBFは、約139℃の溶融温度を有する。いくつかの実施形態では、PBFは、サクシネート由来のポリエステルと配合されると、ポリマー核形成剤として作用し、結晶化速度を増強する。
いくつかの実施形態では、ポリブチレンサクシネートコポリマーは、ジエチレングリコールサクシネートである。いくつかの実施形態では、ジエチレングリコール(DEG)は、トリエチレングリコール、1,3プロパンジオール、ソルビトール、又はキシリトールで置換され得る。いくつかの実施形態では、親水性主鎖の導入により、ある特定の細菌及び真菌が付着するためのより良好な基質を作成し、好気性/嫌気性分解プロセスが起こることを可能にする。いくつかの実施形態では、非対称主鎖の導入は、結晶化度を低減させ、生分解性を改善する。PBSは疎水性で結晶性が高いため、ある特定の水生及び陸生環境での分解の容易さが限定される。
いくつかの実施形態では、ポリブチレンサクシネートコポリマーは、ポリプロピレンオキシドサクシネートである。ポリ(1,3プロピレンオキシド)ポリオールの導入は、相分離したソフトセグメントをコポリマーに形成し、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPPE)を作成することを可能にする。ポリオールの分子量は、500~2700g/molの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、同様の分子量のポリテトラメチレンオキシド(PTMO)又はポリエチレングリコール(PEG)ポリオールも使用され得る。いくつかの実施形態では、フマル酸は、コポリマーに含まれ得る。いくつかの実施形態では、結晶化度を増加させ、ハード(PBS)及びソフト(PPOS)セグメントのより良好な相分離を誘発するために、フマル酸が導入され得る。
いくつかの実施形態では、ポリブチレンサクシネートコポリマーは、フェニルエチレンサクシネートである。いくつかの実施形態では、チロソールは、ホモバニリルアルコール、コニフェリルアルコール、又はバニリルアルコールで置換され得る。例えば、天然に存在するアリールヒドロキシ酸を導入すると、ポリブチレンサクシネートの強度及び耐久性が増大する。
いくつかの実施形態では、ポリブチレンサクシネートコポリマーは、ブチレンクマレートである。いくつかの実施形態では、p-クマル酸は、フェルラ酸、フロレト酸、シリング酸、シナピン酸、又はコーヒー酸で置換される。例えば、ヒドロキシ桂皮酸誘導体を導入すると、PBSの強度が増大し、融点が上昇する。
コハク酸剤モノマー
いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、コハク酸剤モノマー又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、コハク酸剤モノマーである。いくつかの実施形態では、コハク酸剤は、無水コハク酸である。
いくつかの実施形態では、コハク酸剤モノマーとしては、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、又は無水コハク酸から選択されるコハク酸剤が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、コハク酸剤は、サクシネート誘導体である。いくつかの実施形態では、サクシネート誘導体は、サクシネート無水物である。いくつかの実施形態では、コハク酸無水物は、1,4ブタンジオールとのエステル化の速度を高め、また、コハク酸無水物を含まないポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂と比較して、エステル化工程中に生じる有害なTHFの量を減少させる。しかしながら、サクシネート誘導体の他の好適な非限定的な例としては、コハク酸又はサクシネートエステルが挙げられ得る。
添加剤
モノマー剤の重合中に様々な添加剤を含めることができ、添加剤により、得られたポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂に望ましい物理的特性又は特徴を付与することができる。添加剤は、コモノマー、キャッピング剤、エポキシ誘導体、油(例えば、エポキシ化油)、顔料、架橋剤などであり得る。したがって、いくつかの態様では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、1つ以上の追加のコモノマー、添加成分及び/又はキャッピング剤を含む。反応混合物に添加される添加剤は、得られたポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂に共有結合的又は非共有結合的に組み込むことができる。いくつかの例では、添加剤は、成長するポリマー上の化学基、例えば、末端ヒドロキシ若しくはカルボン酸型の基、又は架橋剤の適合する連結基と共有結合を形成することができる。他の例において、添加剤は、樹脂組成物中に非共有結合的に組み込まれて、望ましい物理的特性(例えば、本明細書に記載されるような)を付与する。
いくつかの実施形態では、ポリマー多糖ナノコンポジットは、コモノマー、キャッピング基、エポキシ誘導体、油、顔料、架橋剤などであるがこれらに限定されない、1つ以上の追加のモノマー又は構成成分を含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーとしては、追加のアルカンジオールモノマー及び/又は追加の二酸剤モノマーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、追加のアルカンジオールモノマーとしては、1,4-ブタンジオールモノマー、1,2-エタンジオールモノマー、1,3-プロパンジオールモノマー、1,5-ペンタンジオールモノマー、又は1,6-ヘキサンジオールモノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、追加の二酸剤モノマーとしては、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、無水コハク酸、アジピン酸、アジピン酸モノアルキル、アジピン酸ジアルキル(例えば、アジピン酸ジメチル又はアジピン酸ジエチル)、及び無水アジピン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、追加のアルカン二酸剤モノマーは、無水アジピン酸を含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の構成成分は、疎水性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、疎水性剤は、油である。いくつかの実施形態では、疎水性剤は、エラストマー材料である。いくつかの実施形態では、疎水性剤は、エポキシ化大豆油又はエラストマー材料である。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の構成成分は、追加の水を提供するための薬剤を含むが、これに限定されず、酸素バリア特性が含まれ得る。非限定的な例示的な水及び酸素バリア剤としては、カンデリラワックス、蜜蝋、及び他のワックスが挙げられる。いくつかの実施形態では、そのようなバリア剤は、再生可能な資源に由来する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の構成成分は、非共有結合性可塑剤である。可塑剤は、ポリマーブレンドに可撓性を与え、その加工性を改善するために使用される添加剤である。任意の既知の非共有結合性可塑剤は、1つ以上の追加の構成成分として含まれ得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の構成成分は、完成品に審美的に丁度良い光沢を提供する光沢剤を含む。非限定的な例示的な光沢剤としては、シアバター、及びブラジルナッツ油などのナッツ油が挙げられる。いくつかの実施形態では、光沢剤は、再生可能な資源に由来する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の構成成分としては、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、抗菌剤、抗真菌剤、帯電防止剤、充填剤、熱安定剤、UV安定剤、染料、充填剤、結晶化促進剤、及びカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されない。
酸化防止剤の非限定的な例としては、p-tert-ブチルヒドロキシトルエン及びp-tert-ブチルヒドロキシアニソールなどのヒンダードフェノール酸化防止剤、ジステアリルチオジプロピオネート及びジラウリルチオジプロピオネートなどの硫黄酸化防止剤などが挙げられる。熱安定剤としては、トリフェニルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどが挙げられる。UV安定剤としては、p-tert-ブチルフェニルサリチレート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノンなどが挙げられる。潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウムなどが挙げられる。帯電防止剤としては、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルホネートなどが挙げられる。難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス-(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテルなどが挙げられる。ブロッキング防止剤としては、シリカなどの無機充填剤及びオレアミドの組み合わせなどが挙げられる。無機充填剤又は核形成剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、タルク、マイカ、硫酸バリウム、アルミナ、NaHCOとクエン酸との混合物などが挙げられる。結晶化促進剤としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ-トランスシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどが挙げられる。有機充填剤としては、木粉、籾殻、新聞紙などの古紙、デンプン(アルファデンプンなどの改質材料を含む)、セルロースなどが挙げられる。
いくつかの実施形態では、ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルは、本開示に開示されるジオールと組み合わせて使用され得る。ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルとして、炭素数は、通常4以上、好ましくは10以上の下限、及び通常1,000以下、好ましくは200以下、より好ましくは100以下の上限を有する。ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルの非限定的な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ-1,6-ヘキサメチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの共重合ポリエーテルなども使用され得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーとしては、1つ以上のジカルボン酸又は無水ジカルボン酸が挙げられる。非限定的な例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの環状酸無水物同等物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
エポキシ化脂質添加剤
いくつかの実施形態では、添加剤は、エポキシ化脂質である。任意の好便な脂質を、本開示の組成物及び方法における使用に適合させることができる。一般論として、不飽和又は多価不飽和である脂質は、エポキシ化されて、本開示の組成物及び方法において使用される添加材料を提供することができる。いくつかの実施形態では、「エポキシ化誘導体」又は「エポキシ誘導体」という用語は、(例えば、過酸化物又は過酸試薬を使用して)エポキシ化された脂質部分の誘導体を指す。
いくつかの実施形態では、添加剤は、エポキシ化油、脂肪酸のエポキシ化誘導体、トリグリセリド、テルペン若しくは他の脂質、又はエポキシ化ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、エポキシ化油、エポキシ化脂肪酸エステル、エポキシ化トリグリセリド、エポキシ化テルペン、エポキシ化ポリマー、エポキシ誘導体又は他の脂肪酸(エステル)添加剤は、重合反応混合物のモノマー、オリゴマー又はポリマーと反応することができる。
いくつかの実施形態では、添加剤はエポキシ化トリグリセリドである。不飽和度の異なるトリグリセリドをエポキシ化して、反応性官能基を付加することができる。場合によっては、官能基は、1分子当たり最大6個のエポキシド基である。亜麻仁油及び大豆油は、本開示の方法及び組成物において使用するためにエポキシ化することができるトリグリセリドである。
いくつかの例では、添加剤はエステル化することができる。いくつかの例では、添加剤は、成長するオリゴマー又はポリマーのヒドロキシ基及び/又はカルボン酸基と共有結合を形成することができるエポキシド官能基を含む。いくつかの実施形態では、エポキシ誘導体若しくはエポキシ化油又は他の添加剤は、重合反応の開始時に反応混合物又は分散液に添加される。いくつかの実施形態では、エポキシ誘導体若しくはエポキシ化油又は他の添加剤は、重合反応中に、例えば、望ましい長さのオリゴマーが形成された後に、反応混合物に添加される。いくつかの実施形態では、エポキシ誘導体若しくはエポキシ化油又は他の添加剤は、重合反応の終了時に添加される。例えば、いくつかの実施形態では、エポキシ誘導体又はエポキシ化物は、ポリマーの冷却及び排出の直前に容器を再加圧した後に添加され得る。いくつかの実施形態では、NCC、エポキシ誘導体、及び/又はエポキシ化油は、アルカンジオールモノマー及び/又はアルカン二酸剤モノマーとともに前もって添加され得る。例えば、いくつかの実施形態では、NCCは、反応の開始時に分散液の形態で添加され得る。いくつかの実施形態では、エポキシ誘導体又はエポキシ化油は、触媒が添加され、重縮合が行われる直前のエステル化プロセスの最後に添加される。いくつかの例では、エポキシ誘導体又はエポキシ化油を5分間反応させた後、触媒が添加される。高剪断分散器法は、時間及び電力消費に関して超音波処理法と同じプロセスに従うが、https://www(dot)mixers(dot)com/products/high-speed-dispersers/に記載されている機器を代わりに使用する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、エポキシ化油である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、例えば、脂肪酸又は脂肪酸エステルのエポキシ化誘導体である。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体には、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、ラード、牛脂、魚油、コーヒー油、大豆油、ベニバナ油、桐油、トール油、カレンデュラ、菜種油、ピーナッツ油、ゴマ油、ブドウ種子油、オリーブ油、ホホバ油、脱水ヒマシ油、獣脂油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、キャノーラ油、オレンジ油、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、エポキシ化油は、リノレン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸及びステアリン酸から選択される1つ以上の脂肪酸に由来する。場合によっては、エポキシ化油は、脂肪酸誘導体(例えば、トリグリセリド)に由来する。いくつかの実施形態では、エポキシ化油はエポキシ化亜麻仁油である。いくつかの実施形態では、エポキシ化油はエポキシ化大豆油である。エポキシ化亜麻仁油又はエポキシ化脂肪酸誘導体は、樹脂調製中に不揮発性可塑剤として作用して、樹脂生成物を安定化させ、樹脂の望ましい固有粘度及び/又は物理的特性を提供するのを助けることができる。
エポキシ化油により、本開示の方法及び樹脂組成物に多くの利点及び望ましい特性を付与することができる。エポキシ化油は、プレポリマー混合物中に存在する任意のCOOH基とエポキシド基が優先的に反応する、酸スカベンジャーとして作用することができる。本発明者らは、ELOなどのエポキシ化油を添加することにより、得られた樹脂混合物の色及び熱安定性が改善されることを実証した。エポキシ化油は鎖延長剤として作用し、それによって、高い反応性及び官能性がプレポリマー混合物中に大きな分岐を誘導することができる。本発明者らは、ELOなどのエポキシ化油を添加することにより、ポリマー樹脂生成物の溶融強度及び固有粘度が改善されることを実証した。加えて、エポキシ化油を添加することにより、プロセスを強化することができ、プレポリマー混合物中に存在する任意の残留溶媒(例えば、BDO又は水)とエポキシド基が反応し得る。本発明者らは、ELOなどのエポキシ化油を添加することにより、加工速度が増加し、反応時間が短縮されることを実証した。
いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、反応混合物にin situで添加される。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、熱安定剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、脱色剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤は、難燃剤である。特定の実施形態では、1つ以上の添加剤はフィチン酸である。特定の実施形態では、フィチン酸は、in situで反応に添加され、ナノコンポジット樹脂の熱安定化及び脱色を提供する。
触媒
ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂への重合反応は、触媒の存在下で行うことができる。触媒は、重合プロセス中に使用して、プロセス、例えば、アルカンジオールモノマーとアルカン二酸剤モノマー及び/又はそれらのオリゴマーとの間のエステル化反応を活性化及び加速させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーを含む反応混合物(例えば、分散液)は、触媒を更に含み得る。いくつかの実施形態では、触媒は、重合が既に開始された後、エステル化及び/又は重縮合プロセス中に反応混合物に添加される。
触媒は、ルイス酸触媒であり得る。
触媒は、金属系ルイス酸触媒であり得る。
いくつかの実施形態では、本開示の樹脂組成物の調製において利用される触媒は、金属酸化物触媒である。いくつかの実施形態では、触媒は、Carneiro et al.「Embracing the Complexity of Catalytic Structures:A Viewpoint on the Synthesis of Nonstoichiometric Mixed Metal Oxides for Catalysis.」ACS Catalysis 2020 10(1),516-527(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に記載の触媒などの混合金属酸化物触媒である。
いくつかの実施形態では、金属酸化物触媒は、2つ以上の異なる金属酸化物、すなわち、異なる金属に由来する金属酸化物を含む混合金属酸化物である。いくつかの実施形態では、混合金属酸化物触媒は、アルカリ又はアルカリ土類金属酸化物及び遷移金属酸化物を含む。いくつかの実施形態では、混合金属酸化物触媒は、アルカリ土類金属酸化物及び遷移金属酸化物を含む。
本開示の触媒組成物において利用することができる対象の遷移金属酸化物としては、アルミニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛、ハフニウム及びモリブデンを含有する金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示の触媒組成物において利用することができる対象となるアルカリ土類金属酸化物としては、カルシウム、マグネシウム、又はストロンチウムを含有する金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、混合金属酸化物触媒は、チタン又はジルコニウム金属触媒と、カルシウム、マグネシウム、又はストロンチウムを含有するアルカリ土類金属触媒とを含む。
概して、とりわけ周期表の第1~14族に属する金属元素中の少なくとも1つのメンバーを含有する化合物は、エステル化反応触媒として使用され得る。具体的には、金属元素の例としては、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、スズ、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。これらのうち、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉄、及びゲルマニウムが好ましく、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、及びゲルマニウムが特に好ましい。また、ポリエステルの熱安定性に影響を及ぼすポリエステル末端の濃度を低減するためには、前述の金属のうちとりわけ、周期表の第3~6族に属し、ルイス酸性を示す金属元素が好ましい。具体的には、それらの例としては、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、及びタングステンが挙げられる。特に、入手容易性の観点から、チタン及びジルコニウムが好ましく、更に反応活性の観点から、チタンが好ましい。代替実施形態では、触媒は、チタン含有触媒ではない。
いくつかの実施形態では、触媒は、アルミニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛、ハフニウム又はモリブデンを含む金属系ルイス酸触媒である。いくつかの実施形態では、触媒は、乳酸チタン又はジルコニウムブトキシドなどのチタン又はジルコニウム化合物を含む。
いくつかの実施形態では、触媒は、ハフニウム含有触媒である。いくつかの実施形態では、触媒は、ハフニウムアルコキシドなどのハフニウム塩を含む。主題の方法において触媒として利用することができる対象のハフニウム塩としては、酢酸ハフニウム、ハフニウムアセチルアセトネート、ハフニウムエトキシド、ハフニウムプロポキシド、ハフニウムブトキシド、ハフニウムtert-ブトキシド、塩化ハフニウム、オキシ塩化ハフニウム水和物、四塩化ハフニウム、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム及びハフニウム-タンニン酸(Hf-TA)触媒が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、触媒は、モリブデン含有触媒である。モリブデン(VI)錯体は、高いルイス酸性度を有し、アルコール0-H結合に作用して、高い求核特性を有する過渡種を生成し得る。モリブデン酸ナトリウムは、大豆油に由来する異なる種類の再生可能な脂質源のメタノリシスに使用される不均一系触媒である。エステル交換反応は、低温、短時間及び常圧を必要とする比較的穏やかな条件下で起こり得る。例えば、Nakagaki et al.「Use of anhydrous sodium molybdate as a efficient heterogeneous catalyst for soybean oil methanolysis」,Applied Catalysis A:General 351(2008)267-274を参照されたく、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、触媒は、モリブデン酸ナトリウム(NaMoO)、モリブデン酸カリウム又はモリブデン酸亜鉛(ZnMoO)などのモリブデン酸塩又はモリブデン酸錯体を含む。
いくつかの実施形態では、触媒は、チタン含有触媒ではない。場合によっては、触媒は、得られた樹脂に特定の色を付与することができ、したがって、触媒は、所望の色又は無色特性を提供するように選択され得ることが理解される。
いくつかの実施形態では、触媒は、チタン化合物である。いくつかの実施形態では、チタン化合物は、テトラアルキルチタネート及びその加水分解物である。非限定的な例としては、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート、及びそれらの混合チタネート、並びにそれらの加水分解物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、触媒としては、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタン(ジイソプロポキシド)アセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、チタン(トリエタノールアミネート)イソプロポキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ブチルチタネートダイマーなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、本方法は、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物(無機化学の命名法IUPAC推奨2005)(以下、「長周期型周期表の第2族金属化合物」と称することもある)、リン酸エステル化合物、及びチタン化合物を混合することによって得られた液体材料を添加することを更に含む。
いくつかの実施形態では、触媒は、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、又はブチルチタネートダイマーから選択され、また、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加する。
いくつかの実施形態では、触媒は、テトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、又はブチルチタネートダイマーから選択され、また、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加する。
いくつかの実施形態では、触媒は、テトラ-n-ブチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネートから選択され、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加する。
触媒としてのジルコニウム化合物の非限定的な例としては、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニルオキサレート、カリウムジルコニウムオキサレート、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-t-ブトキシド、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、触媒は、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、アンモニウムジルコニウムオキサレート、カリウムジルコニウムオキサレート、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、及びジルコニウムテトラ-t-ブトキシド(ジルコニウムテトラ-t-ブトキシドが好ましい)、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、アンモニウムジルコニウムオキサレート、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、及びジルコニウムテトラ-n-ブトキシドから選択される。いくつかの実施形態では、触媒は、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレートから選択される。いくつかの実施形態では、高度の重合度を有する無色のポリエステルは、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレートを使用して容易に得られる。
いくつかの実施形態では、触媒は、ゲルマニウム化合物である。ゲルマニウム化合物の非限定的な例としては、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウムなどの無機ゲルマニウム化合物;及びテトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない。価格及び入手容易性の観点から、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、酸化ゲルマニウムが特に好ましい。
いくつかの実施形態では、触媒は、無機塩化物である。無機塩化物の非限定的な例としては、塩化第二鉄など;四三酸化鉄などの無機酸化物;フェロセンなどの有機鉄錯体;などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、触媒は、無機酸化物である。
いくつかの実施形態では、触媒は、金属含有化合物である。金属含有化合物の非限定的な例としては、炭酸スカンジウム、酢酸スカンジウム、塩化スカンジウム、スカンジウムアセチルアセトネートなどのスカンジウム化合物;炭酸イットリウム、塩化イットリウム、酢酸イットリウム、イットリウムアセチルアセトネートなどのイットリウム化合物;塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、バナジウムアセチルアセトネート、酸化バナジウムアセチルアセトネートなどのバナジウム化合物;塩化モリブデン、酢酸モリブデンなどのモリブデン化合物;塩化タングステン、酢酸タングステン、タングステン酸などのタングステン化合物;塩化セリウム、塩化サマリウム、塩化イッテルビウムなどのランタノイド系化合物;などが挙げられるが、これらに限定されない。
キレート剤
いくつかの実施形態では、本開示の樹脂の調製に使用される金属系触媒は、キレート剤を更に含む。触媒組成物に用いられるキレート剤の性質及び数は、溶液中の金属イオンの大きさ及び電荷に応じて異なる。重合に関与する触媒の金属イオンの大きさ又は電荷が大きく異なる場合、2種以上のキレート剤を使用することが有用であり得る。
任意の好便なキレート剤を利用することができる。対象となるキレート剤としては、クエン酸、コウジ酸、尿素、グリシン、グリコール酸、プロピオン酸、酢酸、フラネオール、マルトール、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、キレート剤は、生物由来のもの、例えば、植物、菌類又は微生物によって産生される生物由来の化合物又は材料である。
いくつかの実施形態では、キレート剤は、コウジ酸(5-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-4-ピロン)、フラネオール(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3-フラノン)、マルトール(3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン)、及びメープルラクトン(3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン)から選択される。
いくつかの実施形態では、触媒は、溶媒、例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコールなどのグリコール溶媒に溶解した混合金属酸化物触媒及びキレート剤を含む液体触媒組成物として混合物に添加される。場合によっては、グリコール溶媒自体が、触媒組成物中の金属イオンとのキレート剤又は錯化剤として作用することができる。
いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される触媒組成物は、金属酸化物キレート又は混合金属酸化物キレート(例えば、キレート剤を含む金属酸化物触媒)である。いくつかの実施形態では、本開示の方法で使用される触媒組成物は、ジルコン酸マグネシウムキレートである。いくつかの実施形態では、混合金属酸化物キレート(例えば、ジルコン酸マグネシウムキレート)に使用されるキレート剤は、コウジ酸(5-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-4-ピロン)、フラネオール(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3-フラノン)、マルトール(3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン)、及びメープルラクトン(3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン)から選択される。
いくつかの実施形態では、触媒組成物は、分散多糖ナノ結晶、例えば、分散セルロースナノ結晶(例えば、本明細書に記載されるようなもの)と予備混合され、活性化される。このような実施形態では、本開示の方法で使用される触媒組成物は、金属酸化物ナノ粒子キレート又は混合金属酸化物ナノ粒子キレート、例えば、ジルコン酸マグネシウムナノ粒子キレート組成物と呼ばれる。
他の触媒
いくつかの実施形態では、触媒は、金属含有化合物ではない。
特定の実施形態では、触媒は鉱物である。いくつかの実施形態では、触媒は、天然起源の鉱物を含む。いくつかの実施形態では、触媒は、工業製品又は副産物に由来する。触媒は、粘土鉱物であり得る。いくつかの実施形態では、触媒は、アルミノケイ酸塩鉱物である。いくつかの実施形態では、触媒は、マグネシウムアルミニウムフィロケイ酸塩粘土である。いくつかの実施形態では、触媒は、カオリン、カオリナイト、ゼオライト、イライト、アタパルジャイト、パリゴルスカイト、及びベントナイトから選択される。いくつかの実施形態では、フラー土粘土材料が触媒として使用され、この材料は、場合によっては、パリゴルスカイト(アタパルジャイト)及び/又はベントナイトから構成され得る。いくつかの実施形態では、触媒は、含水マグネシウムアルミノシリケート材料であるact-gel 208である。
いくつかの実施形態では、触媒は、カオリンである。いくつかの実施形態では、触媒は、低含水量カオリナイトなどのカオリナイトである。いくつかの実施形態では、触媒はメタカオリナイトであり、場合によっては、このような触媒は、存在する水を除去し、触媒材料の酸性度を高める焼成によって熱的に活性化することができる。
触媒の非限定的な例としては、灰、フライアッシュ、炭酸カルシウム、方解石、ケイ酸塩、シリカ、石英、酸化物、金属酸化物、不溶性又は実質的に不溶性の金属塩、鉄鉱石、タルク、石膏、マグネシウムの炭酸塩、カルシウム及びマグネシウムの炭酸塩、石灰石、ドロマイト、カルシウムの水酸化物、マグネシウムの水酸化物、カルシウムの酸化物、マグネシウムの酸化物、カルシウムの炭酸水素塩、マグネシウムの炭酸水素塩、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、フィロケイ酸塩、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、カオリナイトなどの触媒をエステル化プロセス中に使用して、エステル化プロセスを活性化し、完了させて、樹脂での使用に適したMWを有するポリマーを生成する。
いくつかの実施形態では、触媒は、有機基を含有する化合物、例えば、このような金属元素をそれぞれ含有するカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩、又はp-ジケトネート塩等;更に、上記金属の酸化物、ハロゲン化物などの無機化合物並びにこれらの混合物を含む。
いくつかの実施形態では、触媒は、金属含有触媒ではない。いくつかの実施形態では、触媒は、遷移金属化合物又は塩を含まない。特定の実施形態では、本方法は、金属触媒なしで向上した触媒活性を提供する。
いくつかの実施形態では、触媒は、プロトンイオン性塩である。対象となるプロトンイオン性塩含有触媒としては、スルホン酸含有化合物及び材料、又はその塩が挙げられる。いくつかの実施形態では、触媒は、プロトンイオン性塩を含む有機触媒である。いくつかの実施形態では、有機触媒は、有機サルフェート及び/又はスルホネート基を含む。いくつかの実施形態では、変性セルロース又は他の多糖は、触媒として作用することができる。メタンスルホン酸は、高温でのポリマー分解及び合成に使用される有機触媒である。いくつかの実施形態では、プロトンイオン性塩触媒は、トリアザビシクロデセン(TBD)又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)などの非求核性塩基と併せて利用される。
いくつかの実施形態では、反応混合物中で利用される多糖ナノ結晶は、ルイス酸触媒として作用することができる置換基を含むように選択される。例えば、硫酸処理を介して生成されたナノセルロース結晶(NCC)は、硫酸基及び/又はスルホン酸基を含有し得る。場合によっては、修飾多糖ナノ結晶は、反応混合物中でプロトンイオン性塩触媒として作用するように選択される。
いくつかの実施形態では、本方法は、重合時に、液体である化合物か、又はエステル低ポリマー若しくはポリエステルに可溶性である化合物を含む。いくつかの実施形態では、触媒が重合時に溶融又は溶解状態にあるとき、重合速度が高くなるため、液体である化合物か、又はエステル低ポリマー若しくはポリエステルに可溶性である化合物が添加される。
方法
本開示の態様は、ポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するための方法を含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及びアルカン二酸剤モノマーを含む分散液又は懸濁液を調製し、その後重合を開始することを含む。重合は、例えば、触媒の添加によって、及び/又はエステル交換を開始するのに十分な反応条件(例えば、温度、溶媒、圧力など)の適用によって開始することができる。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーを含む、本方法の分散液又は懸濁液は、反応の開始後にin situで調製される。したがって、場合によっては、多糖ナノ結晶は、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマー、並びに、例えば、それらから構成されるオリゴマーを含む反応混合物に添加される。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶(例えば、NCC)のin situでの添加により、所望の強度、強靭性、溶融紡糸中の加工助剤、カチオン可染性部位、ガス/水分透過特性、核形成剤、及び/又は向上した生分解性などの、得られた組成物における1つ以上の所望の特性又は特徴を提供することができる。
いくつかの実施形態では、本方法は、分散液中のアルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーを重合又は重縮合させて、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成することを更に含む。
代替実施形態では、本方法は、初期重合反応後にポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂をペレット化及び/又は乾燥させることを更に含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、重合プロセスから生成されたポリエステルポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂をペレット化することを更に含む。いくつかの実施形態では、樹脂のペレットの乾燥は、混合物から水分を除去し、樹脂混合物中のポリマーの分子量を増加させるのに十分な条件下で行われる。特定の実施形態では、混合物のペレット化は、配合(例えば、ブレンド、再溶融、及び混合を伴う)又は溶融紡糸の前に行われる。いくつかの実施形態では、配合は、in situ重合、溶融混合、及び溶液混合のうちのいずれか1つを含む。
いくつかの実施形態では、ペレット化は、任意の従来から知られているペレット化プロセスを含む。非限定的な例としては、溶融ペレット化及びストランドペレット化が挙げられるが、これらに限定されない。
反応混合物又は分散液の調製
本方法の態様は、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及びアルカン二酸剤モノマーを含む混合物又は分散液を調製することを含む。
いくつかの実施形態では、混合物又は分散液を調製することは、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーのうちの1つ又は両方を含む溶液中に多糖ナノ結晶を分散させることを含む。
いくつかの実施形態では、分散することは、溶液中の多糖ナノ結晶との接触を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーのうちの1つ又は両方を含む。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶をin situで添加する。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶のin situでの添加は、ナノコンポジット樹脂の引張強度及びヤング率を増加させるように構成される。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶をin situで添加することにより、ナノコンポジット樹脂によって製造された物品の生分解性を高めることができる。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶をin situで添加することにより、ナノコンポジット樹脂を生成することによって製造された物品を通る気体及び/又は水分の透過が低減される。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、核形成剤である。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶は、ナノコンポジット樹脂を製造することによって製造された物品中のカチオン可染性部位として機能する。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶は、糸又は繊維製造中のナノコンポジットの溶融加工/紡糸のための相溶化剤である。
いくつかの実施形態では、溶液は、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーを含む。いくつかの実施形態では、溶液は、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーからなる。
いくつかの実施形態では、溶液は、非水性溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、溶液は、非水性溶媒有機溶媒を更に含む。
いくつかの実施形態では、溶液は、水を更に含む。いくつかの実施形態では、水は、脱イオン水である。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及びアルカン二酸剤モノマーを分散させることは、セルロースナノ結晶を、多糖ナノ結晶、アルカンジオールモノマー、及びアルカン二酸剤モノマーを含む溶液と接触させて、混合物を生成することと、混合物を超音波処理して、多糖ナノ結晶を溶液中に均質に分散させ、分散液を生成することと、を含む。
例えば、多糖ナノ結晶は、アルカンジオールモノマー、及び/又はアルカン二酸剤に添加され、分散される。
いくつかの実施形態では、本方法は、アルカンジオールモノマー及び/又はアルカン二酸剤を反応容器に充填して、反応物混合物を形成することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、均質なスラリーが形成されるまで、100~250rpm(例えば、100rpm以上、150rpm以上、200rpm以上、又は250rpm以上)の範囲の窒素ガス流で反応物を攪拌することを含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、多糖ナノ結晶を均質なスラリーと接触させることを更に含む。
触媒(例えば、本明細書に記載されるようなもの)は、任意の好便な時に反応混合物に添加され得る。いくつかの実施形態では、触媒溶液は、初期反応混合物の一部として調製される。いくつかの実施形態では、触媒及び多糖ナノ結晶は、別個の分散液として調製され、次いで、任意の好便な段階で反応混合物に添加される。
いくつかの実施形態では、本方法は、反応混合物又はスラリーの温度を上昇させることを更に含む。いくつかの実施形態では、温度を、100℃以上、125℃以上、150℃以上、175℃以上、200℃以上、225℃以上、250℃以上、又は275℃以上に上昇させる。いくつかの実施形態では、温度を、約10分以上、約20分以上、約30分以上、約40分以上、約50分以上、約60分以上、約70分以上、約80分以上、約90分以上、約100分以上、約110分以上、約120分以上、約130分以上、約140分以上、又は約150分以上にわたって上昇させる。
いくつかの実施形態では、温度を上昇させると、水及びTHFが形成される。いくつかの実施形態では、本方法は、蒸留装置を介して、反応器から水及びTHFを除去することを更に含む。
多糖ナノ結晶は、Beck et al.(「Dispersibility in Water of Dried Nanocrystalline Cellulose.」Biomacromolecules 2012,13,1486-1494)によって記載されている方法などの任意の好便な方法を使用して、プレ溶液又は反応混合物中に分散させ、特徴付けることができる。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、多糖-アルカンジオール混合物を超音波処理することによってアルカンジオールモノマーに分散される。いくつかの実施形態では、多糖-アルカンジオール混合物を分散させることは、沈降を排除又は実質的に排除するために、攪拌などの他の機械的手段とは対照的に、混合物を超音波処理することを含む。いくつかの実施形態では、より低い分散値を有するより大きな多糖ナノ結晶粒径と比較して、より高い分散値(より小さな多糖ナノ結晶粒子サイズ)を有する多糖-アルカンジオール混合物は、最終的に、増大した透明性、加工性、生分解性、強度、及び強靭性を含むより望ましい特性を有する多糖ナノコンポジットを生み出す。しかし、本方法の他の実施形態は、多糖ナノ結晶を分散させる機械的手段、例えば、高剪断分散用のホモジナイザーを使用することを含み得る。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、ホモジナイザーを用いてアルカンジオールモノマーに分散される。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、エステル化の前に分散される。例えば、多糖-アルカンジオール分散液は、エステル化の前に多糖ナノ結晶をアルカンジオールモノマーに分散させることによって得ることができる。更に、分散液の品質は、生成を更に進める前に検証することができ、所望のレベルになるまで分散液を調整することができる。分散液の品質は、反応が起こる前に分散液の品質を測定することによって検証できる。例えば、生成において、BDO/NCC分散液のアリコートを取得し、要件を満たしていることを確認することができる。反応前の分散液のレベルに関するより多くのデータが収集されて(例えば、材料の50%以上が<100nmの寸法を有する)、最終的なポリマーの特性にどのように影響するかが評価され、これには、最終的なポリマーのNCCゲルサイズが含まれ得る。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、多糖-アルカン二酸剤混合物を任意選択で超音波処理することによってアルカン二酸剤に分散される。いくつかの実施形態では、多糖-アルカン二酸剤混合物を分散させることは、沈降を排除又は実質的に排除するために、攪拌などの他の機械的手段とは対照的に、混合物を任意選択で超音波処理することを含む。いくつかの実施形態では、より高い分散値(より小さな多糖ナノ結晶粒径)を有する多糖-アルカン二酸剤混合物は、最終的に、増大した透明性、加工性、及び強靭性を含むより望ましい特性を有する多糖ナノコンポジットを生み出す。しかし、本方法の他の実施形態は、多糖ナノ結晶を分散させる機械的手段、例えば、高剪断分散用のホモジナイザーを使用することを含み得る。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、ホモジナイザーを用いて-アルカン二酸剤に分散される。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、多糖-アルカン二酸剤混合物を任意選択で超音波処理することによってアルカン二酸剤に分散される。いくつかの実施形態では、多糖-アルカン二酸剤混合物を分散させることは、沈降を排除又は実質的に排除するために、攪拌などの他の機械的手段とは対照的に、混合物を任意選択で超音波処理することを含む。いくつかの実施形態では、より高い分散値(より小さな多糖ナノ結晶粒径)を有する多糖-アルカン二酸剤混合物は、最終的に、増大した透明性、加工性、及び強靭性を含むより望ましい特性を有する多糖ナノコンポジットを生み出す。しかし、本方法の他の実施形態は、多糖ナノ結晶を分散させる機械的手段、例えば、高剪断分散用のホモジナイザーを使用することを含み得る。
特定の実施形態では、多糖ナノ結晶は、多糖-アルカン二酸剤混合物を超音波処理することによってアルカン二酸剤に分散される。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、ホモジナイザーを用いて-アルカン二酸剤に分散される。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、高剪断分散器を使用して分散される。
いくつかの実施形態では、本方法は、多糖-アルカンジオールモノマー分散液をアルカン二酸剤モノマーと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、多糖-アルカンジオールモノマー混合物は、スラリーとしてアルカン二酸剤モノマーに添加される。
いくつかの実施形態では、混合物を超音波処理することは、目に見える沈降が存在しない分散液を生成するのに十分な条件下で行われる。
いくつかの実施形態では、本方法は、多糖-アルカンジオールモノマー分散液をアルカン二酸剤モノマーと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、多糖-アルカンジオールモノマー混合物は、スラリーとしてアルカン二酸剤モノマーに添加される。
いくつかの実施形態では、混合物を超音波処理することは、目に見える沈降が存在しない分散液を生成するのに十分な条件下で行われる。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、多糖-アルカンジオール-アルカン二酸剤混合物を超音波処理することによって、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤に分散される。いくつかの実施形態では、多糖-アルカンジオール-アルカン二酸剤混合物を分散させることは、沈降を排除又は実質的に排除するために、攪拌などの他の機械的手段とは対照的に、混合物を超音波処理することを含む。いくつかの実施形態では、より高い分散値(より小さな多糖ナノ結晶粒径)を有する多糖-アルカンジオール-アルカン二酸剤混合物は、最終的に、増大した透明性、加工性、及び強靭性を含むより望ましい特性を有する多糖ナノコンポジットを生み出す。しかし、本方法の他の実施形態は、多糖ナノ結晶を分散させる機械的手段、例えば、高剪断分散用のホモジナイザーを使用することを含み得る。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、ホモジナイザーを用いてアルカンジオールモノマー-アルカン二酸剤混合物に分散される。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、エステル化の前に分散される。例えば、多糖-アルカンジオール-アルカン二酸剤分散液は、エステル化の前に多糖ナノ結晶をアルカンジオールモノマー-アルカン二酸剤に分散させることによって得ることができる。更に、分散液の品質は、生成を更に進める前に検証することができ、所望のレベルになるまで分散液を調整することができる。
いくつかの実施形態では、混合物を超音波処理することは、約5分以上の持続時間にわたって、超音波処理することを含む。いくつかの実施形態では、混合物を超音波処理することは、約5分以上の持続時間にわたって、超音波処理すること(例えば、超音波処理器の最大出力の振幅の少なくとも60%で)を含む。いくつかの実施形態では、混合物を超音波処理することは、約5分以上の持続時間にわたって、超音波処理すること(例えば、超音波処理器の最大出力の振幅の少なくとも80%で)を含む。いくつかの実施形態では、混合物を超音波処理することは、約5分以上の持続時間にわたって、超音波処理すること(例えば、超音波処理器の最大出力の振幅の少なくとも100%で)を含む。
いくつかの実施形態では、混合物を超音波処理することは、約6分以上、7分以上、8分以上、9分以上、10分以上、11分以上、12分以上、13分以上、14分以上、又は15分以上の持続時間にわたって、超音波処理することを含む。
分散液の構成成分
いくつかの実施形態では、分散液は、多糖ナノ結晶、及び1つ以上のモノマーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のモノマーとしては、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、ヘパリン、キトサン、キチン、ヒアルロナン、デンプン、セルロース、アルギネート、ペクチン、グアー、デンプン/キトサン、キトサン/ヘパリン、キトサン/ヒアルロナン、ヒアルロナン/ヘパリン、又はセルロース、並びにキチンウィスカー及び小板様デンプンに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、セルロース、デンプン、又はキチンに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、キトサンに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、キトサン及びセルロースに由来する。いくつかの実施形態では、キトサンに由来するナノコンポジット樹脂中の多糖ナノ結晶は、ナノコンポジット樹脂から製造された物品に改善された特性を提供する。いくつかの実施形態では、物品に対する改善された特性としては、物品の難燃性、増大した抗菌特性、及び向上した生分解性のうちの1つ以上が挙げられる。いくつかの実施形態では、物品は、糸又は繊維である。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、セルロースに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、デンプンに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、キチンに由来する。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、球、ロッド、ディスク、又は任意の他の形状であり得る。いくつかの実施形態では、ナノ結晶は、狭いサイズ分布を有し得る。いくつかの実施形態では、ナノ結晶は、広いサイズ分布を有し得る。
いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、セルロースに由来する。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、セルロースナノ結晶である。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、セルロース繊維を酸加水分解などの化学処理にかけることによって誘導される結晶である。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、Ranby,B.G.(Ranby,B.G.(1951)Descation Faraday Society,11,158-164)に最初に記載されたものと同様の酸加水分解技術を介して、セルロース系バイオマスから酸加水分解されたセルロースに由来する。硫酸を介して生成され、塩基(この場合はNaOH)で中和されたNCCは、親水性媒体での分散性に影響を与える硫酸ナトリウム基を大量に含有する。
いくつかの実施形態では、酸加水分解されたセルロースは、天然に存在するセルロース繊維から得られる。いくつかの実施形態では、酸加水分解されたセルロースは、例えば、植物バイオマス、維管束植物、綿植物、木材パルプ、ジュート、麻、トウモロコシ、フラスコ、米、麦稈、又はサイザル麻として得られる。いくつかの実施形態では、セルロースは、樹木、草、綿、サイザル麻、竹、及び苧麻を含むが、これらに限定されない植物バイオマスから得られる。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、尾索動物(ナマコに類似した海の生き物)の構造構成成分として見出され得、アセトバクターキシリナム細菌によって自然に産生される。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、約1~80nmの幅、及び約25~1000nmの長さの平均寸法を有する。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、約1~100nmの範囲の幅、及び約25~3000nmの範囲の長さの平均寸法を有する。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶は、約10nm以上、15nm以上、20nm以上、25nm以上、30nm以上、35nm以上、40nm以上、45nm以上、50nm以上、55nm以上、60nm以上、65nm以上、70nm以上、75nm以上、80nm以上、85nm以上、90nm以上、95nm以上、又は100nm以上の幅、及び25nm以上、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上、700nm以上、800nm以上、850nm以上、900nm以上、950nm以上、1000nm以上、1500nm以上、2000nm以上、2500nm以上、又は3000nm以上の長さの平均寸法を有する。
いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約1d.nm~約400d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約1d.nm~約50d.nm、約50d.nm~約100d.nm、約100d.nm~約150d.nm、約150d.nm~約200d.nm、200d.nm~約250d.nm、250d.nm~約300d.nm、300d.nm~約350d.nm、350d.nm~約400d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約1d.nm~約20d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約10d.nm~約100d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約10d.nm~約30d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、約100d.nm~約200d.nmの範囲の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、1d.nm以上、2d.nm以上、4d.nm以上、6d.nm以上、8d.nm以上、10d.nm以上、12d.nm以上、14d.nm以上、16d.nm以上、18d.nm以上、20d.nm以上、22d.nm以上、24d.nm以上、26d.nm以上、28d.nm以上、30d.nm以上、32d.nm以上、34d.nm以上、36d.nm以上、38d.nm以上、40d.nm以上、42d.nm以上、44d.nm以上、46d.nm以上、48d.nm以上、50d.nm以上、52d.nm以上、54d.nm以上、56d.nm以上、58d.nm以上、60d.nm以上、62d.nm以上、64d.nm以上、66d.nm以上、68d.nm以上、70d.nm以上、72d.nm以上、74d.nm以上、76d.nm以上、78d.nm以上、80d.nm以上、82d.nm以上、84d.nm以上、86d.nm以上、88d.nm以上、90d.nm以上、92d.nm以上、94d.nm以上、96d.nm以上、98d.nm以上、又は100d.nm以上の粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、分散液中のナノ結晶は、100d.nm以上、125d.nm以上、150d.nm以上、175d.nm以上、200d.nm以上、225d.nm以上、250d.nm以上、275d.nm以上、300d.nm以上、325d.nm以上、350d.nm以上、400d.nm以上、425d.nm以上、500d.nm以上、525d.nm以上、550d.nm以上、575d.nm以上、600d.nm以上、625d.nm以上、650d.nm以上、675d.nm以上、700d.nm以上、725d.nm以上、750d.nm以上、775d.nm以上、800d.nm以上、825d.nm以上、850d.nm以上、875d.nm以上、900d.nm以上、925d.nm以上、950d.nm以上、975d.nm以上、又は1000d.nm以上の粒径分布を有する。
いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶の長さが増加すると、ポリマー全体で可能性がある荷重分布が増加する。いくつかの実施形態では、ポリマー内のセルロースナノ結晶の配向が、軸配向における隣接するセルロースナノ結晶間の界面接触を増加させるため、極限引張強度が増大され得る。いくつかの実施形態では、横方向に、
セルロースナノ結晶の形態(例えば、長さ、アスペクト比、長さ、多分散度)及び表面電荷は、合成条件に基づいて大きく変化する。
いくつかの実施形態では、酸加水分解は、セルロースナノ結晶を接続するアモルファス領域を消化することによってセルロースミクロフィブリルを分解するために使用される。いくつかの実施形態では、加工は、典型的には、加熱、攪拌、すすぎ、濾過、透析、及び超音波処理(ultrasonication)を必要とし、各工程のパラメーターは、セルロースナノ結晶の形態及び/又は表面化学に対して直接的な影響を有する。いくつかの実施形態では、セルロースナノ結晶加工の最終結果は、生成された液晶セルロースナノ結晶の懸濁液を含み、ネマチック又はキラルネマチック中間相のいずれかを形成する(例えば、セルロースナノ結晶の長さ、アスペクト比、長さ、多分散度、表面電荷、セルロースナノ結晶濃度、及び電解質濃度に依存する)。
いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂のポリマーは、脂肪族ポリエステルポリマーを含む。いくつかの実施形態では、脂肪族ポリエステルポリマーとしては、ポリラクチド(PLA)(例えば、ポリ(乳酸))、ポリグリコリド(PGA)(例えば、ポリグリコール酸)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、ポリ(γ-バレロラクトン)(PVL)、及びコポリマーポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)から選択される脂肪族ポリエステルポリマーが挙げられ得るが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂のポリマーとしては、ポリブチレンサクシネートホモポリマー又はポリブチレンサクシネートコポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネートアジペートコポリマー)が挙げられる。
いくつかの態様では、分散液は、アルカンジオールモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーとしては、1,4-ブタンジオールモノマー、1,2-エタンジオールモノマー、1,3-プロパンジオールモノマー、1,5-ペンタンジオールモノマー、又は1,6-ヘキサンジオールモノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーとしては、ポリエステルコンポジットを形成するための1つ以上のジオールが挙げられる。他の好適なジオールの非限定的な例としては、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキノン、1.5-ジヒドロキシナフタレン(1.5-dihydroxynaphthalene)、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)-2.2-プロパン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマー1,4-ブタンジオール。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーは、1,2-エタンジオールである。
いくつかの実施形態では、アルカンジオールモノマーは、1,3-プロパンジオールである。
いくつかの実施形態では、分散液は、アルカン二酸剤モノマーを含む。いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーとしては、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、無水コハク酸、アジピン酸、アジピン酸モノアルキル、アジピン酸ジアルキル(例えば、アジピン酸ジメチル又はアジピン酸ジエチル)、及び無水アジピン酸から選択されるアルカン二酸剤モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの環状酸無水物同等物から選択される。
特定の実施形態では、アルカンジオールモノマーは、1,4-ブタンジオールモノマーである。特定の実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、コハク酸剤モノマーである。特定の実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、無水コハク酸である。
いくつかの実施形態では、分散することは、セルロースナノ結晶、1,4-ブタンジオールモノマー、及びコハク酸剤モノマーを接触させて、セルロース混合物を生成することを含む。
いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、コハク酸剤モノマー又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、アルカン二酸剤モノマーは、コハク酸剤モノマーである。いくつかの実施形態では、コハク酸剤は、無水コハク酸である。
いくつかの実施形態では、コハク酸剤モノマーとしては、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、又は無水コハク酸から選択されるコハク酸剤が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、コハク酸剤は、サクシネート誘導体である。いくつかの実施形態では、サクシネート誘導体は、サクシネート無水物である。いくつかの実施形態では、サクシネート無水物は、1,4ブタンジオールによるエステル化の速度を増加させ、また、エステル化工程中に生成される有害なTHFの量を低減させる。しかしながら、サクシネート誘導体の他の好適な非限定的な例としては、コハク酸又はサクシネートエステルが挙げられ得る。
いくつかの態様では、分散液は、1つ以上の追加のモノマーを含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、コモノマー、エポキシ誘導体、油、顔料、架橋剤などを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、追加のアルカンジオールモノマー及び/又は追加のアルカン二酸剤モノマーを含む。
いくつかの実施形態では、追加のアルカンジオールモノマーとしては、1,4-ブタンジオールモノマー、1,2-エタンジオールモノマー、1,3-プロパンジオールモノマー、1,5-ペンタンジオールモノマー、若しくは1,6-ヘキサンジオールモノマーを含むが、これらに限定されないアルカンジオールモノマー及び/又は追加のアルカン二酸剤モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、二酸剤モノマーとしては、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、無水コハク酸、アジピン酸、アジピン酸モノアルキル、アジピン酸ジアルキル(例えば、アジピン酸ジメチル又はアジピン酸ジエチル)、及び無水アジピン酸から選択されるアルカン二酸剤モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、追加のアルカン二酸剤モノマーは、無水アジピン酸を含む。いくつかの実施形態では、追加のアルカン二酸剤モノマーは、フマル酸、又はそのエステル若しくは無水物を含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の構成成分は、疎水性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、疎水性剤は、油である。いくつかの実施形態では、疎水性剤は、エラストマー材料である。いくつかの実施形態では、疎水性剤は、エポキシ化大豆油又はエラストマー材料である。疎水性剤は、例えば、エーテル、エステル、又はカルバメート連結を介して連結された、本組成物中のポリエステルポリマーの末端のキャッピング剤として利用され得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の構成成分としては、追加の水を提供するための薬剤が挙げられるが、これに限定されず、酸素バリア特性が含まれ得る。非限定的な例示的な水及び酸素バリア剤としては、カンデリラワックス、蜜蝋、及び他のワックスが挙げられる。いくつかの実施形態では、そのようなバリア剤は、再生可能な資源に由来する。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、完成品に審美的に丁度良い光沢を提供する光沢剤を含む。非限定的な例示的な光沢剤としては、シアバター、及びブラジルナッツ油などのナッツ油が挙げられる。いくつかの実施形態では、光沢剤は、再生可能な資源に由来する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーとしては、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、抗菌剤、抗真菌剤、帯電防止剤、充填剤、熱安定剤、UV安定剤、染料、充填剤、結晶化促進剤、及びカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されない。
酸化防止剤の非限定的な例としては、p-tert-ブチルヒドロキシトルエン及びp-tert-ブチルヒドロキシアニソールなどのヒンダードフェノール酸化防止剤、ジステアリルチオジプロピオネート及びジラウリルチオジプロピオネートなどの硫黄酸化防止剤などが挙げられる。熱安定剤としては、トリフェニルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどが挙げられる。UV安定剤としては、p-tert-ブチルフェニルサリチレート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2,4,5-トリヒドロキシブチロフェノンなどが挙げられる。潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウムなどが挙げられる。帯電防止剤としては、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルホネートなどが挙げられる。難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス-(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテルなどが挙げられる。ブロッキング防止剤としては、シリカ及びオレアミドなどの無機充填剤の組み合わせが挙げられる。無機充填剤又は核形成剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、タルク、マイカ、硫酸バリウム、アルミナ、NaHCOとクエン酸との混合物などが挙げられる。結晶化促進剤としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ-トランスシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどが挙げられる。有機充填剤としては、木粉、籾殻、新聞紙などの古紙、デンプン(アルファデンプンなどの改質材料を含む)、セルロースなどが挙げられる。
いくつかの実施形態では、ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルは、本開示に開示されるジオールと組み合わせて使用され得る。ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルとして、炭素数は、通常4以上、好ましくは10以上の下限、及び通常1,000以下、好ましくは200以下、より好ましくは100以下の上限を有する。ヒドロキシル末端基を有するポリエーテルの非限定的な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ-1,6-ヘキサメチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの共重合ポリエーテルなども使用され得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーとしては、1つ以上のジカルボン酸又は無水ジカルボン酸が挙げられる。非限定的な例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びそれらの環状酸無水物同等物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーとしては、エポキシ化油、エポキシ誘導体、又は脂肪酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、エポキシ化油、エポキシ誘導体、又は脂肪酸は、エステル化することができる。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーとしては、エポキシ化油、エポキシ誘導体、又は脂肪酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、エポキシ化油、エポキシ誘導体、又は脂肪酸は、エステル化することができる。いくつかの実施形態では、エポキシ誘導体又はエポキシ化油は、反応の終了時に添加される。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体は、in situで添加される。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、エポキシ誘導体又はエポキシ化物を、ポリマーの冷却及び排出の直前に容器を再加圧した後に添加することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、アルカンジオールモノマー及び/又はアルカン二酸剤モノマーとともに前もって添加され得るNCC、エポキシ誘導体、及び/又はエポキシ化油を添加することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、反応の開始時に分散液の形態でNCCを添加することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、触媒が添加され、重縮合が行われる直前のエステル化プロセスの最後にエポキシ誘導体又はエポキシ化油を添加することを含む。いくつかの例では、エポキシ誘導体又はエポキシ化油を5分間反応させた後、触媒が添加される。高剪断分散器法は、時間及び電力消費に関して超音波処理法と同じプロセスに従うが、https://www(dot)mixers(dot)com/products/high-speed-dispersers/に記載されている機器を代わりに使用する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、エポキシ化油である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、エポキシ化誘導体である。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体には、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化したままの亜麻仁油、ラード、牛脂、魚油、コーヒー油、大豆油、ベニバナ油、桐油、トール油、カレンデュラ、菜種油、ピーナッツ油、ゴマ油、ブドウ種子油、オリーブ油、ホホバ油、脱水ヒマシ油、獣脂油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、キャノーラ油、オレンジ油、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、触媒を含む。
非限定的な例示的な触媒としては、チタン又はジルコニウム化合物、例えば、チタンラクテート又はジルコニウムブトキシドが挙げられるが、これらに限定されない。概して、周期表の第1~14族に属する金属元素中の少なくとも1つのメンバーを含有する化合物は、エステル化反応触媒として使用され得る。具体的には、金属元素の例としては、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、スズ、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。これらのうち、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉄、及びゲルマニウムが好ましく、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、及びゲルマニウムが特に好ましい。また、ポリエステルの熱安定性に影響を及ぼすポリエステル末端の濃度を低減するためには、前述の金属のうちとりわけ、周期表の第3~6族に属し、ルイス酸性を示す金属元素が好ましい。具体的には、それらの例としては、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、及びタングステンが挙げられる。特に、入手容易性の観点から、チタン及びジルコニウムが好ましく、更に反応活性の観点から、チタンが好ましい。
いくつかの実施形態では、触媒は、有機基を含有する化合物、例えば、このような金属元素をそれぞれ含有するカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩、又はβ-ジケトネート塩など;更に、上記金属の酸化物、ハロゲン化物などの無機化合物並びにこれらの混合物を含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、重合時に、液体である化合物か、又はエステル低ポリマー若しくはポリエステルに可溶性である化合物を含む。いくつかの実施形態では、触媒が重合時に溶融又は溶解状態にあるとき、重合速度が高くなるため、液体である化合物か、又はエステル低ポリマー若しくはポリエステルに可溶性である化合物が添加される。
いくつかの実施形態では、触媒は、チタン化合物である。いくつかの実施形態では、チタン化合物は、テトラアルキルチタネート及びその加水分解物である。非限定的な例としては、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート、及びそれらの混合チタネート、並びにそれらの加水分解物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、触媒としては、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタン(ジイソプロポキシド)アセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、チタン(トリエタノールアミネート)イソプロポキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ブチルチタネートダイマーなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、本方法は、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物(無機化学の命名法IUPAC推奨2005)(以下、「長周期型周期表の第2族金属化合物」と称することもある)、リン酸エステル化合物、及びチタン化合物を混合することによって得られた液体材料を添加することを更に含む。
いくつかの実施形態では、触媒は、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、又はブチルチタネートダイマーから選択され、また、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加する。
いくつかの実施形態では、触媒は、テトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、又はブチルチタネートダイマーから選択され、また、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加する。
いくつかの実施形態では、触媒は、テトラ-n-ブチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネートから選択され、また、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加する。
触媒としてのジルコニウム化合物の非限定的な例としては、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニルオキサレート、カリウムジルコニウムオキサレート、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-t-ブトキシド、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、触媒は、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、アンモニウムジルコニウムオキサレート、カリウムジルコニウムオキサレート、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、及びジルコニウムテトラ-t-ブトキシド(ジルコニウムテトラ-t-ブトキシドが好ましい)、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、アンモニウムジルコニウムオキサレート、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、及びジルコニウムテトラ-n-ブトキシドから選択される。いくつかの実施形態では、触媒は、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレートから選択される。いくつかの実施形態では、高度の重合度を有する無色のポリエステルは、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレートを使用して容易に得られる。
いくつかの実施形態では、触媒は、ゲルマニウム化合物である。ゲルマニウム化合物の非限定的な例としては、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウムなどの無機ゲルマニウム化合物;及びテトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない。価格及び入手容易性の観点から、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、酸化ゲルマニウムが特に好ましい。
いくつかの実施形態では、触媒は、無機塩化物である。無機塩化物の非限定的な例としては、塩化第二鉄など;四三酸化鉄などの無機酸化物;フェロセンなどの有機鉄錯体;などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、触媒は、無機酸化物である。
いくつかの実施形態では、触媒は、金属含有化合物である。金属含有化合物の非限定的な例としては、炭酸スカンジウム、酢酸スカンジウム、塩化スカンジウム、スカンジウムアセチルアセトネートなどのスカンジウム化合物;炭酸イットリウム、塩化イットリウム、酢酸イットリウム、イットリウムアセチルアセトネートなどのイットリウム化合物;塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、バナジウムアセチルアセトネート、酸化バナジウムアセチルアセトネートなどのバナジウム化合物;塩化モリブデン、酢酸モリブデンなどのモリブデン化合物;塩化タングステン、酢酸タングステン、タングステン酸などのタングステン化合物;塩化セリウム、塩化サマリウム、塩化イッテルビウムなどのランタノイド系化合物;などが挙げられるが、これらに限定されない。
重合
本方法の態様は、分散液中のアルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーを重合させて、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成することを含む。重合は、モノマーをエステル化して、例えばオリゴマー又はポリマー鎖を成長させるプロセス、及びオリゴマーを重縮合させてより高分子量(高MW)のポリマーを形成するプロセスを総称する。重縮合及び縮合という用語は、本明細書では互換的に使用される。いくつかの実施形態では、重縮合及び縮合は、組成物の2つの構成成分、例えば、2つのオリゴマー、多糖ナノ結晶を有するオリゴマー/ポリマー、又はエポキシ化油などの添加剤を有するオリゴマー/ポリマーの間のエステル結合の形成を伴うプロセスを指す。
いくつかの実施形態では、重合することは、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーをエステル化して、複数のオリゴマーを形成することを含む。いくつかの実施形態では、重合することは、複数のオリゴマーを縮合して、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂中に高MWポリマー(例えば、本明細書に記載されるような)を生成することを更に含む。
いくつかの実施形態では、オリゴマーは、500Da以上、最大10,000Daの平均MW、例えば500Da~5000Daの平均MWを有する。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、1000~10000Da、例えば5000~10000Daの平均MWを有する。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、3kDa未満の平均MWを有する。
いくつかの実施形態では、高MWポリマーは、10kDa以上、場合によっては最大100kDaのMWを有する。
いくつかの実施形態では、オリゴマーは、式(IIa)を有し、
Figure 2024500790000008
式中、
nは、1~11であり、
mは、1~11であり、
pは、1~100であり、
は独立して、H、OH、コポリマーセグメント、繰り返し単位、コモノマー、又はグラフト化多糖ナノ粒子を表す。
式(IIa)のいくつかの実施形態では、pは、1~50、例えば、5~50、10~50、10~40、又は20~40である。
いくつかの実施形態では、オリゴマーは、PBS又はPBFホモポリマーである。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、PBS又はPBFコポリマーである。いくつかの実施形態では、オリゴマーは、式(IIIa)によって表され、
Figure 2024500790000009
式中、
pは、0~50であり、
qは、0又は50であり、p+q>0であり、
rは、1~50であり、
は独立して、H、OH、コポリマーセグメント、繰り返し単位、コモノマー、又はグラフト化多糖ナノ粒子を表す。オリゴマーは、合計で最大約50の繰り返し単位を有し得る。場合によっては、オリゴマーは、1000~10,000Daの平均MWを有する。
式(IIIa)のいくつかの実施形態では、(p+q)rは、<50である。式(IIIa)のいくつかの実施形態では、rは、1~50、例えば、5~50、10~50、10~40、又は20~40である。
いくつかの実施形態では、複数のオリゴマー及び高MWポリマーは各々、ブチレンサクシネート繰り返し単位を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー及び高MWポリマーは各々、複数のブチレンサクシネート繰り返し単位を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー及び高MWポリマーは各々、ポリブチレンサクシネートのブロック又はセグメントを含む。
いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂のポリマーは、ポリブチレンサクシネートホモポリマー又はポリブチレンサクシネートコポリマー(例えば、ポリブチレンサクシネートアジペートコポリマー)である。
いくつかの実施形態では、重合は、オリゴマー又はポリマーをエポキシ化油又は他のエポキシ化誘導体(例えば、本明細書に記載されるようなもの)と縮合させることを更に含む。このような実施形態では、混合物(例えば、分散液)は、エポキシ化油を含む。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又は他のエポキシ化誘導体(例えば、本明細書に記載されるようなもの)は、オリゴマー若しくはポリマーに共有結合されるか、又はエポキシ化油若しくは他のエポキシ化誘導体のエポキシド基及びポリマー若しくは多糖ナノ結晶の適合性官能基を伴うエステル交換プロセス若しくはカップリングプロセスを介して共有結合される。エポキシ化油又は他のエポキシ化誘導体(例えば、本明細書に記載されるようなもの)は、得られたナノコンポジット樹脂組成物の2つ以上の構成成分間、例えば、2つ以上のオリゴマー若しくはポリマー間、又はポリマーと多糖ナノ結晶との間、又はポリマーと他の添加剤部分との間の架橋を提供する複数のエポキシド基を含み得る。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又は他のエポキシ化誘導体(例えば、本明細書に記載されるようなもの)は、樹脂組成物の他の添加剤又は構成成分との望ましい非共有結合相互作用を提供する。
いくつかの実施形態では、重合は、ナノコンポジット樹脂をエポキシ誘導体(例えば、エポキシ化油又はエポキシ化脂肪酸(エステル)又はエポキシ化トリグリセリド、又はエステル化、例えば、エポキシドとカルボン酸基との間のカップリングが可能な他のエポキシ化誘導体)と縮合させることを更に含む。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体(例えば、本明細書に記載されるようなもの)は、ナノコンポジット樹脂にin situで添加される。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体(例えば、本明細書に記載されるようなもの)は、重合前又は重合中に反応混合物に添加される。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体(例えば、本明細書に記載されるようなもの)は、モノマーのエステル化の前又はエステル化中に反応混合物に添加される。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体(例えば、本明細書に記載されるようなもの)は、複数のオリゴマーの重縮合の前又は重縮合中に反応混合物に添加される。
いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体には、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化したままの亜麻仁油、ラード、牛脂、魚油、コーヒー油、大豆油、ベニバナ油、桐油、トール油、カレンデュラ、菜種油、ピーナッツ油、ゴマ油、ブドウ種子油、オリーブ油、ホホバ油、脱水ヒマシ油、獣脂油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、キャノーラ油、オレンジ油、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、エポキシ化油は、亜麻仁油である。いくつかの実施形態では、ナノコンポジット樹脂とエポキシとの縮合は、ナノコンポジット樹脂の加水分解安定性、糸製造の溶融紡糸中の加工性を向上させるための分岐、ナノコンポジット樹脂の強度の増大(例えば、強靭化)、ナノコンポジット樹脂の着色の低減、ナノコンポジット樹脂のCOOH末端基の減少、のうちの1つ以上を改善するように構成される。いくつかの実施形態では、ナノコンポジットとエポキシとの縮合は、ナノコンポジット樹脂の加水分解安定性を改善するように構成される。いくつかの実施形態では、ナノコンポジットとエポキシとの縮合は、糸製造中のナノコンポジット樹脂の溶融紡糸中の加工性を向上させるための分岐を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、ナノコンポジット樹脂とエポキシとの縮合は、ナノコンポジット樹脂の強度を増大させるように構成される。いくつかの実施形態では、ナノコンポジットとエポキシとの縮合は、ナノコンポジット樹脂の着色を低減するように構成される。いくつかの実施形態では、ナノコンポジットとエポキシとの縮合は、ナノコンポジット樹脂のCOOH末端基を減少させるように構成される。
本開示は、複数のオリゴマー(例えば、本明細書に記載されるような)、セルロースナノ結晶、及び任意選択で、重縮合に好適な1つ以上の試薬又は溶媒(例えば、本明細書に記載されるような)の混合物を含むナノコンポジット合成前駆体組成物を含む。
エステル化
本方法の態様は、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーをエステル化して、複数のオリゴマー又はポリマーを形成することを含む。
本開示のオリゴマー又はポリマーの末端基は、様々な基でキャップすることができる。いくつかの例では、キャッピング基はエポキシ化油であり得る。エポキシ化油又はエポキシ誘導体をポリブチレンサクシネートナノコンポジットにエステル化すると、耐久性が増大し、溶融粘度が上昇し、ポリブチレンサクシネートナノコンポジットの酸末端基の濃度が低減するため、加工性が容易になり、熱及び加水分解効果に対して安定させることができる。得られたポリブチレンサクシネートナノコンポジットは、生分解性であり、主にエステル結合で構成され、反応物のうちの1つとの数個のエーテル結合が導入される。
いくつかの実施形態では、重縮合することは、エポキシ化油又はエポキシ誘導体(例えば、追加の構成成分としてのエポキシ化油又はエポキシ誘導体)をエステル化することを更に含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーとしては、エポキシ化油、エポキシ誘導体、又は脂肪酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、エポキシ化油、エポキシ誘導体、又は脂肪酸は、エステル化することができる。いくつかの実施形態では、エポキシ誘導体又はエポキシ化油は、触媒が添加され、重縮合が行われる直前のエステル化プロセスの最後に添加される。いくつかの例では、エポキシ誘導体又はエポキシ化油を5分間反応させた後、触媒が添加される。高剪断分散器法は、時間及び電力消費に関して超音波処理法と同じプロセスに従うが、https://www(dot)mixers(dot)com/products/high-speed-dispersers/に記載されている機器を代わりに使用する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、エポキシ化油である。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加のモノマーは、エポキシ化誘導体である。いくつかの実施形態では、エポキシ化油又はエポキシ誘導体には、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化したままの亜麻仁油、ラード、牛脂、魚油、コーヒー油、大豆油、ベニバナ油、桐油、トール油、カレンデュラ、菜種油、ピーナッツ油、ゴマ油、ブドウ種子油、オリーブ油、ホホバ油、脱水ヒマシ油、獣脂油、ヒマワリ油、綿実油、トウモロコシ油、キャノーラ油、オレンジ油、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、エステル化は、真空環境又は不活性ガス条件下で実施される。例えば、エステル化反応は、窒素ガスを用いた反応容器内で実施され得る。エステル化は、ほぼ周囲圧力又は任意の不活性ガスを有するわずかにより高い圧力で実施され得る。スラリーは、約100℃以上、約105℃以上、約110℃以上、約120℃以上、約130℃以上、約140℃以上、又は約150℃以上の温度で加熱されて、反応を開始することができる。
いくつかの実施形態では、エステル化は、気相で実施され得る。
いくつかの実施形態では、エステル化は、分散液を100℃~140℃の初期温度に加熱することを含む(例えば、エステル化は、110℃±10℃、110℃±5℃、又は約110℃で開始される)。いくつかの実施形態では、エステル化は、分散液を約100℃以上、約105℃以上、約110℃以上、約120℃以上、約130℃以上、約140℃以上、又は約150℃以上の初期温度に加熱することを含む。
いくつかの実施形態では、エステル化は、反応温度が140℃を超えた後、分散液を200℃~250℃(例えば、225℃±15℃、又は約225℃)の第2の温度に加熱することを更に含む。いくつかの実施形態では、エステル化は、反応温度が140℃を超えた後、分散液を200℃以上、225℃以上、230℃以上、235℃以上、240℃以上、245℃以上、又は250℃以上の第2の温度に加熱することを更に含む。いくつかの実施形態では、エステル化は、反応温度が140℃を超えた後、分散液を200℃±15℃、215℃±15℃、230℃±15℃、245℃±15℃、又は250℃±15℃の第2の温度に加熱することを更に含む。
触媒
いくつかの実施形態では、重合することは、触媒の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、反応(例えば、エステル化、及び/又は重縮合及び/又はエステル交換)の速度は、触媒の添加によって更に増加させることができる。いくつかの実施形態では、本方法は、重合前又は重合中に混合物(例えば、分散液)に触媒を添加することを更に含む。いくつかの実施形態では、触媒は、モノマーのエステル化の第1の工程中に添加される。いくつかの実施形態では、触媒は、例えば、複数のオリゴマーの重縮合の第2の工程中に添加され、より高いMWのポリマーの形成を容易にする。
そのようなエステル化触媒として金属化合物を使用する場合の触媒の添加量に関して、形成されたポリエステルに対する金属量の点で、その下限値は、概ね、0.1質量ppm以上、好ましくは0.5質量ppm以上、より好ましくは1質量ppm以上であり、その上限値は、概ね、3,000質量ppm以下、好ましくは2,000質量ppm以下、より好ましくは1,000質量ppm以下、特に好ましくは500質量ppm以下である。使用する触媒の量が多すぎる場合、それは、経済的に不利である。また、ポリエステルの末端カルボキシル基濃度が高くなる場合があり得る。したがって、末端カルボキシル基濃度及び残留触媒濃度の上昇によって、ポリエステルの熱安定性及び耐加水分解性が減少することが懸念される。逆に、使用する触媒の量が少なすぎる場合、重合活性が減少し、これに続いて、ポリエステルの生成中にポリエステルの熱分解が誘発される。結果として、実用的に有用な物理的特性を示すポリエステルの収率は低い。
反応系への触媒の添加のタイミングは、特に限定されない。いくつかの実施形態では、触媒は、エステル化反応工程の前に添加される。いくつかの実施形態では、触媒は、原料を充填する時点で添加され得る。いくつかの実施形態では、触媒は、エステル化反応工程の後に添加される。
非限定的な例示的な触媒としては、チタン又はジルコニウム化合物、例えば、チタンラクテート又はジルコニウムブトキシドが挙げられるが、これらに限定されない。概して、周期表の第1~14族に属する金属元素中の少なくとも1つのメンバーを含有する化合物は、エステル化反応触媒として使用され得る。具体的には、金属元素の例としては、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、スズ、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。これらのうち、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、鉄、及びゲルマニウムが好ましく、チタン、ジルコニウム、タングステン、鉄、及びゲルマニウムが特に好ましい。また、ポリエステルの熱安定性に影響を及ぼすポリエステル末端の濃度を低減するためには、前述の金属のうちとりわけ、周期表の第3~6族に属し、ルイス酸性を示す金属元素が好ましい。具体的には、それらの例としては、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、及びタングステンが挙げられる。特に、入手容易性の観点から、チタン及びジルコニウムが好ましく、更に反応活性の観点から、チタンが好ましい。
いくつかの実施形態では、触媒は、有機基を含有する化合物、例えば、このような金属元素をそれぞれ含有するカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩、又はβ-ジケトネート塩など;更に、上記金属の酸化物、ハロゲン化物などの無機化合物並びにこれらの混合物を含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、重合時に、液体である化合物か、又はエステル低ポリマー若しくはポリエステルに可溶性である化合物を含む。いくつかの実施形態では、触媒が重合時に溶融又は溶解状態にあるとき、重合速度が高くなるため、液体である化合物か、又はエステル低ポリマー若しくはポリエステルに可溶性である化合物が添加される。
いくつかの実施形態では、エステル化することは、溶媒の非存在下で実施される。いくつかの実施形態では、エステル化することは、溶媒の存在下で実施される。いくつかの実施形態では、触媒を溶解するために少量の溶媒が使用され得る。触媒溶解に使用されるこの溶媒の非限定的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール:エチレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオールなどの上記ジオール;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル;アセトニトリルなどのニトリル;ヘプタン、トルエンなどの炭化水素化合物;水;及びこれらの混合物などが挙げられる。その使用量に関して、溶媒は、触媒濃度が概ね0.0001質量%以上及び99質量%以下となるように使用される。
いくつかの実施形態では、触媒は、チタン化合物である。いくつかの実施形態では、チタン化合物は、テトラアルキルチタネート及びその加水分解物である。非限定的な例としては、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート、及びそれらの混合チタネート、並びに及びそれらの加水分解物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、触媒としては、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタン(ジイソプロポキシド)アセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド、チタンビス(エチルアセトアセテート)ジイソプロポキシド、チタン(トリエタノールアミネート)イソプロポキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ブチルチタネートダイマーなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、本方法は、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物(無機化学の命名法IUPAC推奨2005)(以下、「長周期型周期表の第2族金属化合物」と称することもある)、リン酸エステル化合物、及びチタン化合物を混合することによって得られた液体材料を添加することを更に含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、テトラ-n-プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンビス(アンモニウムラクテート)ジヒドロキシド、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、又はブチルチタネートダイマーから選択される触媒を添加することと、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加することと、を含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、テトラ-n-ブチルチタネート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタンラクテート、又はブチルチタネートダイマーから選択される触媒を添加することと、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加することと、を含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、テトラ-n-ブチルチタネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、チタン(オキシ)アセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネートから選択される触媒を添加することと、アルコール、長周期型周期表の第2族金属化合物、リン酸エステル化合物を混合し、チタン化合物を添加することによって得られた液体材料を添加することと、を含む。
触媒としてのジルコニウム化合物の非限定的な例としては、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニルオキサレート、カリウムジルコニウムオキサレート、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、ジルコニウムテトラ-t-ブトキシド、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、触媒は、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、アンモニウムジルコニウムオキサレート、カリウムジルコニウムオキサレート、ポリヒドロキシジルコニウムステアレート、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラ-n-ブトキシド、及びジルコニウムテトラ-t-ブトキシド(ジルコニウムテトラ-t-ブトキシドが好ましい)、ジルコニルジアセテート、ジルコニウムテトラアセテート、ジルコニウムアセテートヒドロキシド、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレート、アンモニウムジルコニウムオキサレート、ジルコニウムテトラ-n-プロポキシド、及びジルコニウムテトラ-n-ブトキシドから選択される。いくつかの実施形態では、触媒は、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレートから選択される。いくつかの実施形態では、高い重合度を有する無色のポリエステルは、ジルコニウムトリス(ブトキシ)ステアレートを使用して容易に得られる。
いくつかの実施形態では、触媒は、ゲルマニウム化合物である。ゲルマニウム化合物の非限定的な例としては、酸化ゲルマニウム、塩化ゲルマニウムなどの無機ゲルマニウム化合物;及びテトラアルコキシゲルマニウムなどの有機ゲルマニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない。価格及び入手容易性の観点から、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウムなどが好ましく、酸化ゲルマニウムが特に好ましい。
いくつかの実施形態では、触媒は、無機塩化物である。無機塩化物の非限定的な例としては、塩化第二鉄など;四三酸化鉄などの無機酸化物;フェロセンなどの有機鉄錯体;などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、触媒は、無機酸化物である。
いくつかの実施形態では、触媒は、金属含有化合物である。金属含有化合物の非限定的な例としては、炭酸スカンジウム、酢酸スカンジウム、塩化スカンジウム、スカンジウムアセチルアセトネートなどのスカンジウム化合物;炭酸イットリウム、塩化イットリウム、酢酸イットリウム、イットリウムアセチルアセトネートなどのイットリウム化合物;塩化バナジウム、三塩化酸化バナジウム、バナジウムアセチルアセトネート、酸化バナジウムアセチルアセトネートなどのバナジウム化合物;塩化モリブデン、酢酸モリブデンなどのモリブデン化合物;塩化タングステン、酢酸タングステン、タングステン酸などのタングステン化合物;塩化セリウム、塩化サマリウム、塩化イッテルビウムなどのランタノイド系化合物;などが挙げられるが、これらに限定されない。
縮合
本開示の態様は、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーをエステル化して、複数のオリゴマーを形成することと、複数のオリゴマーを縮合して、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂において高MWポリマーを生成することと、を含む。
いくつかの実施形態では、複数のオリゴマーを縮合することは、減圧下の反応容器内で行われる。いくつかの実施形態では、容器の圧力は、縮合中に減少し得る。いくつかの実施形態では、縮合することは、約500mTorrの圧力で行われる。いくつかの実施形態では、縮合することは、約400mTorrの圧力で行われる。いくつかの実施形態では、縮合することは、約300mTorrの圧力で行われる。いくつかの実施形態では、圧力は、約700Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約710Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約720Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約730Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約740Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約750Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約760Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約770Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。
いくつかの実施形態では、本方法は、反応容器を初期圧力で加圧することと、反応容器を加熱し、それに続いて初期圧力をより低い圧力に減少させることと、を含む。
いくつかの実施形態では、圧力は、約780Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約790Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。いくつかの実施形態では、圧力は、約800Torrの初期圧力(すなわち、大気圧)から約500mTorrの最終圧力まで減少し得る。
エステル化後、反応容器を約225℃に加熱して、複数のオリゴマーを縮合させて、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂中で高MWポリマーを生成することができる。
いくつかの実施形態では、樹脂組成物中の高MWポリマーの存在は、樹脂の粘度、例えば、固有粘度(dL/g)の評価又は測定によって判定することができる。いくつかの実施形態では、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂は、高MWポリマーを含み、本明細書に記載される毛細管ベースの自動希釈粘度計を使用して20℃で測定して、約0.8~約1.5dL/g、約0.9~約1.5dL/gの固有粘度を提供する。
いくつかの実施形態では、容器の温度は、反応が進行するにつれて徐々に上昇し得る。いくつかの実施形態では、温度は、約200℃以上、210℃以上、220℃以上、230℃以上、240℃以上、又は250℃以上に上昇し得る。
いくつかの実施形態では、本方法は、反応の終了時にエポキシ誘導体又はエポキシ化油を添加することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、エポキシ誘導体又はエポキシ化物は、ポリマーの冷却及び排出の直前に容器を再加圧した後に添加され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、ナノコンポジットの重合後に1つ以上の追加の構成成分を添加することを含む。
糸/繊維の作製におけるポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂の使用
本開示の態様は、本明細書に記載の方法によって生成されるナノコンポジット樹脂を含む、物品を含む。
いくつかの実施形態では、物品は、任意の既知の方法を使用してナノコンポジット樹脂から製造されたものである。製造方法の非限定的な例としては、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、押出し、及び溶融紡糸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、物品は、本開示のナノコンポジット樹脂から成形された、成形物品である。
いくつかの実施形態では、物品は、糸又は繊維である。
いくつかの実施形態では、本方法によって生成された多糖-ポリマーナノコンポジット樹脂(例えば、ポリブチレンサクシネートナノコンポジット)は、次に製品に形成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本プロセスは、溶融形態の組成物を熱形成、押出し成形、射出成形、又はブロー成形することを含み得る。
本開示のナノコンポジット樹脂は、様々な望ましい特性を提供し、このような特性が非常に重要である物品において、使用される。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶のin situでの添加は、ナノコンポジット樹脂の引張強度及びヤング率を増大させるように構成される。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶をin situで添加することにより、ナノコンポジット樹脂から製造された物品の生分解性が向上する。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶をin situで添加することにより、ナノコンポジット樹脂の製造から生成された物品を通るガス及び/又は水分の透過が低減される。いくつかの実施形態では、多糖ナノ結晶は、核形成剤である。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶は、ナノコンポジット樹脂の製造から生成された物品において、カチオン可染性部位として機能する。特定の実施形態では、多糖ナノ結晶は、糸又は繊維製造中のナノコンポジットの溶融加工/紡糸のための相溶化剤である。
いくつかの実施形態では、キトサンに由来するナノコンポジット樹脂中の多糖ナノ結晶は、ナノコンポジット樹脂から製造された物品に改善された特性を提供する。いくつかの実施形態では、物品に対する改善された特性としては、物品の難燃性、増大した抗菌特性、及び向上した生分解性のうちの1つ以上が挙げられる。いくつかの実施形態では、物品は、糸又は繊維である。
いくつかの実施形態では、射出成形プロセスは、ポリマー溶融物、又はモノマー若しくはオリゴマー溶液を、例えば、ラムインジェクター又は往復スクリューを用いて加圧下で成形型に押込み、そこで成形及び硬化させる任意の成形プロセスを含む。ブロー成形プロセスは、押出し可能なポリマー組成物が流体を使用して成形され、次に硬化されて、産物が形成され得る任意の方法を含み得る。ブロー成形プロセスには、必要に応じて、押出しブロー成形、射出ブロー成形、及び射出伸縮ブロー成形が含まれ得る。押出し成形方法の非限定的な例としては、押出し可能なポリマー組成物が加圧下でダイから押出され、硬化されて、最終産物、例えば、フィルム又は繊維が形成される方法が挙げられる。
いくつかの実施形態では、一軸又は二軸押出し機を使用することができ、その選択及び各構成成分の量は、押出し機に応じて変更され、当業者の範囲内である。他の成形方法としては、ガス発泡成形、ビーズ発泡成形、T染料フィルム形成、伸縮ブロー成形、インフレーションフィルム形成、及びシート形成が挙げられ得る。
いくつかの実施形態では、得られた成形物品は、容器である。本明細書で使用される場合、「容器」という用語は、様々なタイプの製品又は物体(食品及び飲料製品を含むが、これらに限定されない)を保存、分配、包装、分割、又は輸送するために利用される任意の物品、入れ物、又は容器を含むが、これらに限定されない。そのような容器の非限定的な例としては、ボックス、カップ、「クラムシェル」、ジャー、ボトル、プレート、ボウル、トレイ、カートン、ケース、木枠、シリアルボックス、冷凍食品ボックス、ミルクカートン、飲料容器運搬容器、皿、卵カートン、蓋、ストロー、封筒、スタック、バッグ、バギー、又は他のタイプの保持器が挙げられるが、これらに限定されない。容器と組み合わせて使用される収容製品及び他の製品も、「容器」という用語内に含まれることを意図している。
いくつかの実施形態では、成形物品は、密閉品(closure)である収納製品である。本明細書で使用される場合、「密閉品」という用語は、キャップ、蓋、ライナー、仕切り、包装紙、フィルム、緩衝材料などの任意の収容製品、及び容器内の物体を包装、保存、輸送、分割、提供、又は分配するのに使用される任意の他の製品を含むが、これらに限定されない。密閉品の非限定的な例としては、スクリューキャップ、スナップオンキャップ、不正開封防止品(tamper-resistant)、開封明示品(tamper-evident)、及び子供が開けにくい密閉品又はキャップが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な実施形態
本明細書に記載されているように、本文は、本化合物、組成物、及び方法の様々な実施形態に言及している。説明される様々な実施形態は、様々な例示的な例を提供することを意図しており、代替的な種の説明として解釈されるべきではない。むしろ、本明細書で提供される様々な実施形態の説明は、重複する範囲のものであり得ることに留意されたい。本明細書で説明される実施形態は、単に例示的なものであり、本技術の範囲を限定することを意味するものではない。
添付の特許請求の範囲にかかわらず、本開示の態様は、以下の項によって示される。
項1.ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するための方法であって、
混合物であって、
アルカンジオールモノマーと、
アルカン二酸剤モノマーと、
混合物中に分散した多糖ナノ結晶と、
触媒と、
1つ以上の任意選択の添加剤と、を含む、混合物を、
ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するのに十分な条件下で重合すること、を含む、方法。
項2.触媒が、ルイス酸触媒である、項1に記載の方法。
項3.触媒が、金属系ルイス酸触媒である、項2に記載の方法。
項4.金属系ルイス酸触媒が、遷移金属触媒を含む、項2又は3に記載の方法。
項5.遷移金属触媒が、アルミニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛、ハフニウム及びモリブデンから選択される金属を含む、項4に記載の方法。
項6.金属系ルイス酸触媒が、アルカリ金属触媒又はアルカリ土類金属触媒を含む、項3~5のいずれか一項に記載の方法。
項7.触媒が、カルシウム、マグネシウム、及びストロンチウムから選択されるアルカリ土類金属を含む、項6に記載の方法。
項8.金属系ルイス酸触媒が、遷移金属及びアルカリ土類金属を含む、項6又は7に記載の方法。
項9.金属系ルイス酸触媒が、混合金属酸化物触媒である、項3~8のいずれか一項に記載の方法。
項10.触媒が、酢酸マグネシウム、酢酸ジルコニウム、ジルコニウムブトキシド、Na2MoO4、ZnMoO4、及びハフニウム塩から選択される1つ以上の構成成分を含む、項3~9のいずれか一項に記載の方法。
項11.触媒が、キレート剤を更に含む、項3~10のいずれか一項に記載の方法。
項12.キレート剤が、生物由来(例えば、植物、真菌又は微生物によって産生される生物由来の化合物又は材料)である、項11に記載の方法。
項13.キレート剤が、コウジ酸(5-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-4-ピロン)、フラネオール(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3-フラノン)、マルトール(3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン)、及びメープルラクトン(3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン)から選択される、項11又は12に記載の方法。
項14.触媒が、グリコール溶媒(例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコール溶媒)に溶解した混合金属酸化物触媒及びキレート剤を含む液体触媒組成物として混合物に添加される、項1~13のいずれか一項に記載の方法。
項15.触媒が、アルミノケイ酸塩鉱物(例えば、マグネシウムアルミニウムフィロケイ酸塩粘土又はacti-gel 208)である、項1又は2に記載の方法。
項16.触媒が、カオリン、カオリナイト、ゼオライト、イライト、アタパルジャイト、パリゴルスカイト、及びベントナイトから選択される、項15に記載の方法。
項17.触媒が、プロトンイオン性塩を含む有機触媒である、項1又は2に記載の方法。
項18.触媒が、非金属であり、スルホン酸基又はその塩を含む、項1又は2に記載の方法。
項19.触媒が、分散した多糖ナノ結晶を更に含む液体触媒組成物として反応混合物に添加される、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
項20.生成されたポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂が、約0.9~約1.5dL/gの固有粘度(例えば、毛細管ベースの粘度計を用いて20℃で測定した場合)を示す、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
項21.重合が、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーをエステル化して複数のオリゴマーを生成することと、多糖ナノ結晶の存在下で複数のオリゴマーを重縮合させて、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂中で高MWポリマーを生成することと、を含む、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
項22.エステル化工程及び重縮合工程が、(例えば、異なる温度及び圧力の反応条件下で)順次行われる、項21に記載の方法。
項23.エステル化工程及び縮合工程が、同じ反応容器内で(例えば、同じ温度及び圧力の反応条件で)行われる、項21又は22に記載の方法。
項24.複数のオリゴマーが3kDa未満の平均MWを有し、高MWポリマーが10kDa以上の平均MWを有する、項21に記載の方法。
項25.エステル化が、混合物を100℃~140℃の初期温度で加熱することを含む、項21~24のいずれか一項に記載の方法。
項26.エステル化が、反応温度が140℃を超えた後、混合物を200℃~250℃の第2の温度に加熱することを更に含む、項25に記載の方法。
項27.
複数のオリゴマーの重縮合が、反応容器内で、減圧下(例えば、約500mTorr以下の圧力)で行われ、かつ/又は、
複数のオリゴマーの重縮合が、200℃~250℃の反応温度で行われる、項21~26のいずれか一項に記載の方法。
項28.エステル化工程及び重縮合工程が、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するのに十分な一連の反応条件下で、ワンポット反応で行われる、項21に記載の方法。
項29.樹脂中の複数の重縮合ポリマーが、10kDa以上の平均MWを有する、項28に記載の方法。
項30.ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂をペレット化して樹脂ペレットを生成することと、任意選択でペレットを乾燥させること(例えば、ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂中のポリマーの平均MWを増加させるのに十分な条件下で)と、を更に含む、項1~28のいずれか一項に記載の方法。
項31.重合反応が開始されるときに、混合物が予め組み合わされ、触媒を含有する、項1~30のいずれか一項に記載の方法。
項32.触媒が、重合の開始後に反応混合物に添加される、項1~30のいずれか一項に記載の方法。
項33.触媒を混合物に添加して、モノマーのエステル化を触媒する、項32に記載の方法。
項34.触媒を混合物に添加して、複数のオリゴマーの重縮合を触媒する、項32に記載の方法。
項35.重合が、エポキシ化脂質(例えば、エポキシ化油、エポキシ化トリグリセリド、エポキシ化脂肪酸エステル、又はエポキシ化テルペン)である添加剤の存在下で行われる、項1~34のいずれか一項に記載の方法。
項36.エポキシ化脂質が、重合の開始後に反応混合物に添加される、項35に記載の方法。
項37.重合が、反応混合物のオリゴマー又はポリマーをエポキシ化脂質(例えば、エポキシ化油)と縮合させることを更に含む、項35又は36に記載の方法。
項38.ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂をエポキシ化脂質(例えば、エポキシ化油、エポキシ化トリグリセリド、エポキシ化脂肪酸エステル、又はエポキシ化テルペン)と縮合させることを更に含む、項1~37のいずれか一項に記載の方法。
項39.エポキシ化脂質が、エポキシ化油である、項35~38のいずれか一項に記載の方法。
項40.エポキシ化油が、リノレン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸及びステアリン酸から選択される1つ以上の脂肪酸に由来する、項39に記載の方法。
項41.エポキシ化油が、エポキシ化亜麻仁油である、項39又は40に記載の方法。
項42.多糖ナノ結晶が、セルロース、デンプン又はキチンに由来する、項1~41のいずれか一項に記載の方法。
項43.多糖ナノ結晶が、セルロースナノ結晶である、項1~42のいずれか一項に記載の方法。
項44.セルロースナノ結晶が、資源木材、綿、細菌、又は藻類からの酸加水分解されたセルロースに由来する、項43に記載の方法。
項45.セルロースナノ結晶が、約3~約50nmの幅、及び約100~約1000nmの長さの平均寸法を有する、項43又は44に記載の方法。
項46.アルカンジオールモノマーが、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、及び1,2-エタンジオールから選択される、項1~45のいずれか一項に記載の方法。
項47.アルカンジオールモノマーが、1,4-ブタンジオールである、項46に記載の方法。
項48.アルカン二酸剤モノマーが、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、無水コハク酸、アジピン酸、アジピン酸モノアルキル、アジピン酸ジアルキル(例えば、アジピン酸ジメチル又はアジピン酸ジエチル)、及び無水アジピン酸から選択される、項1~47のいずれか一項に記載の方法。
項49.アルカン二酸剤モノマーが、無水コハク酸である、項48に記載の方法。
項50.方法が、ポリブチレンサクシネート-セルロースナノコンポジット樹脂を生成するためのものであり、
分散したセルロースナノ結晶、1,4-ブタンジオールモノマー、コハク酸剤モノマー、金属酸化物触媒、キレート剤及び任意選択の添加剤を含む混合物を調製することと、
分散混合物中の1,4-ブタンジオールモノマー及びコハク酸剤モノマーを重合させて、ポリブチレンサクシネート-セルロースナノコンポジット樹脂を生成することと、を含む、項1~49のいずれか一項に記載の方法。
項51.混合物の調製が、
金属酸化物触媒及びキレート剤の溶液に分散したセルロースナノ結晶を含むセルロースナノ結晶-触媒分散液と、
1,4-ブタンジオールモノマー、コハク酸剤モノマー、及び任意選択の添加剤のモノマー混合物と、を組み合わせることを含む、項1~49のいずれか一項に記載の方法。
項52.セルロースナノ結晶が、資源木材、綿、細菌、又は藻類からの供給源からの酸加水分解されたセルロースに由来する、項50に記載の方法。
項53.セルロースナノ結晶が、約3~50nmの幅、及び約100~1000nmの長さの平均寸法を有する、項51又は52に記載の方法。
項54.コハク酸剤モノマーが、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、及び無水コハク酸から選択される、項51~53のいずれか一項に記載の方法。
項55.アルカン二酸剤モノマーが、無水コハク酸である、項54に記載の方法。
項56.混合物(例えば、分散液)が、1つ以上の追加のモノマー、及び/又はエポキシ化脂質を更に含む、項1~55のいずれか一項に記載の方法。
項57.複数のオリゴマー及び高MWポリマーがそれぞれ、ブチレンサクシネート繰り返し単位を含む、項55に記載の方法。
項58.ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂のポリマーが、ポリブチレンサクシネートホモポリマー又はポリブチレンサクシネートコポリマーである、項1~57のいずれか一項に記載の方法。
項59.混合物(例えば、分散液)の調製が、アルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーの一方又は両方を含むモノマー溶液(例えば、均質溶液)中にセルロースナノ結晶を分散させることを含む、項1~58のいずれか一項に記載の方法。
項60.モノマー溶液が、溶媒中のアルカンジオールモノマー及びアルカン二酸剤モノマーからなる、項59に記載の方法。
項61.モノマー溶液が、触媒を更に含む、項59又は60に記載の方法。
項62.モノマー溶液が、非水性有機溶媒を更に含む、項59~61のいずれか一項に記載の方法。
項63.モノマー溶液が、水を更に含む、項59~61のいずれか一項に記載の方法。
項64.分散が、
セルロースナノ結晶を1,4-ブタンジオール(BDO)及び無水コハク酸を含む溶液と接触させて、セルロース混合物を生成することと、
セルロース混合物を超音波処理して、セルロースナノ結晶を溶液中に均質に分散させ、分散液を生成することと、を含む、項59~63のいずれか一項に記載の方法。
項65.セルロース混合物の超音波処理が、目に見える沈降が存在しない分散液を生成するのに十分な条件下で行われる、項64に記載の方法。
項66.セルロース混合物の超音波処理が、約5分以上の持続時間にわたって、超音波処理することを含む、項64又は65に記載の方法。
項67.多糖ナノ結晶が、キチンに由来する、項1~66のいずれか一項に記載の方法。
項68.予備混合溶液中の多糖ナノ結晶の分散液を調製することを更に含む、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
項69.予備混合溶液が、触媒を含まない、項68に記載の方法。
項70.予備混合溶液が、触媒を更に含む、項68に記載の方法。
項71.多糖ナノ結晶及び触媒が、反応混合物への添加前に、予備混合溶液中で加熱される、項70に記載の方法。
項72.触媒が、遷移金属酸化物触媒を含む、項71に記載の方法。
項73.触媒が、混合金属酸化物触媒である、項71又は72に記載の方法。
項74.分散した多糖ナノ結晶が、セルロースナノ結晶である、項68~73のいずれか一項に記載の方法。
項75.予備混合溶液が、重合の開始後に反応混合物に添加される、項68~74のいずれか一項に記載の方法。
項76.予備混合溶液が、反応混合物中のオリゴマーの重縮合の前に添加される、項75に記載の方法。
項77.重合が、エポキシ化油添加剤(例えば、ELO又はESO)の存在下で行われる、項68~76のいずれか一項に記載の方法。
項78.エポキシ化油が、重合の開始後、反応混合物中のオリゴマーの重縮合前に、反応混合物に添加される、項77に記載の方法。
項79.エポキシ化油が、重合の開始前に反応混合物に添加される、項77に記載の方法。
項80.項1~79のいずれか一項に従って生成された、ナノコンポジット樹脂。
項81.樹脂が、約0.9~約1.5dL/gの固有粘度(例えば、毛細管ベースの粘度計を使用して20℃で測定した場合)を示す、項80に記載のナノコンポジット樹脂。
項82.項80又は81に記載のナノコンポジット樹脂を含む、物品。
項83.物品が、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、押出し、及び溶融紡糸から選択される方法を使用して、ナノコンポジット樹脂から製造された、項82に記載の物品。
項84.物品が、成形物品である、項82又は項83に記載の物品。
項85.物品が、糸又は繊維である、項82又は83に記載の物品。
以下の実施例は、本開示を説明するために提供されるものであり、決して本技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。機能的に同等な任意の方法が、本技術の範囲内である。本明細書に記載されているものに加えて、本技術の様々な変更は、前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。このような変更は、添付の特許請求の範囲内に入る。
全般的な評価方法
本開示のナノコンポジット樹脂及びそれから製造された物品(例えば、繊維)は、様々な方法によって評価することができる。
固有粘度
固有粘度測定は、ASTM D445及びD2515試験方法、又はMaron及びReznik(「A new method for determination of intrinsic viscosity.」Journal of Polymer Science Part A-2:Polymer Physics,Volume7,Issue2,February 1969,Pages 309-32によって記載された方法に従って行うことができる。例えば、毛細管ベースの自動希釈粘度計を使用することによって、以下の条件:毛細管定数=0.003mm/s、温度=20℃、溶媒=クロロホルム、及び5つの濃度レベルで測定することができる。
粘度/レオロジー
ポリマー材料は、分子構造及び配合の違いに直接関連する粘弾性挙動を示す。分子構造及び粘弾性挙動を正確に評価するために、レオロジー測定などの実験を、観察される粘弾性特性が課された応力又は歪みレベルとは無関係である領域、例えば線形粘弾性領域で行うことができる。評価は、Cox WP,Merz EH(1958)Correlation of dynamic and steady-flow viscosities.J Polym Sci28:619-622の方法に従い、平行板レオメーターを用いて行うことができる。例示的な条件;25mmプレート、1mmギャップ、ペレットとしてポリマー樹脂を装填。窒素下(4~5L/分)実験:温度掃引(140~200℃)、ひずみ振幅掃引(1~10%)、周波数掃引(1~500/s)、時間温度重ね合わせ、Cox-Merz則。
PBSナノコンポジットの引張強度試験
引張強度試験を、ASTM D882-18:薄いプラスチックシートの引張特性のための標準試験方法に従って実施することができる。簡単に説明すると、材料を145℃で15分間、20,000lbsのホットプレスにかける。シートの厚さをスペーサーによって約1mmに制御する。次に、試料を50mmx10mmのストリップに切断し、約30mmのゲージ長を試験に使用する。試料を、24時間又は72時間のいずれかにわたって、約65%の含水量で20℃に保つ。試料をInstronの機械的グリップに置き、6mm/分のクロスヘッド速度に供する。試料の厚さは、ゲージ長に沿った5つの異なる点での平均厚さとして測定される。
実施例1:コハク酸+ブタンジオールから作製された純PBS
113.55gの1,4ブタンジオール(BDO)及び141.71gのコハク酸(SA)を1Lのガラス反応容器に充填する。反応物を、均質なスラリーが形成されるまで、N流により150rpmで攪拌する。次に、温度を約100分かけて225℃に上昇させ、反応混合物を継続的に攪拌する。この上昇中に、水及びTHFが形成され、蒸留装置を介して反応器から除去される。反応が225℃に達した際に、600uLの触媒を添加し(1-ブタノール中の80重量%のジルコニウムブトキシド(ZBO)、合計470ppm[Zr])、容器内の圧力を約1時間半かけて、約500mTorrの最終圧力まで徐々に低減する。温度を230℃に上昇させ、この時点から3時間、重縮合反応を進行させる。容器を再加圧し、110℃に冷却した後、ポリマーを除去する。反応には合計で約6時間かかり、ベージュ色の半結晶性ポリマーが生成される。
実施例2:0.1重量%のナノ結晶セルロースを有するPBS(SA+BDO法)
112.26gの1,4ブタンジオール(BDO)及び140.09gのコハク酸(SA)を1Lのガラス反応容器に充填する。反応物を、均質なスラリーが形成されるまで、N流により150rpmで攪拌する。5.4mLの4.8重量%のナノ結晶セルロース(NCC)のDI水分散液をスラリーに添加して、総NCC濃度が約0.1重量%に達するようにする。次に、温度を約2時間かけて225℃に上昇させ、反応混合物を継続的に攪拌する。この上昇中に、水及びTHFが形成され、蒸留装置を介して反応器から除去される。反応が225℃に達した際に、ある量の触媒を添加し(1-ブタノール中の80重量%のジルコニウムブトキシド(ZBO)、合計470ppm[Zr])、容器内の圧力を約2時間かけて、約500mTorrの最終圧力まで徐々に低減する。温度を230℃に上昇させ、この時点から1時間、重縮合反応を進行させる。容器を再加圧し、110℃に冷却した後、ポリマーを除去する。反応には合計で約5時間かかり、ベージュ色の半結晶性ポリマーが生成される。
実施例3:0.4重量%のELOを有するPBS(SA+BDO法)
113.55gの1,4ブタンジオール(BDO)及び141.71gのコハク酸(SA)を1Lのガラス反応容器に充填する。反応物を、均質なスラリーが形成されるまで、N流により150rpmで攪拌する。次に、温度を約2時間かけて225℃に上昇させ、反応混合物を継続的に攪拌する。この上昇中に、水及びTHFが形成され、蒸留装置を介して反応器から除去される。反応が225℃に達した際に、600uLの触媒を添加し(1-ブタノール中の80重量%のジルコニウムブトキシド(ZBO)、合計470ppm[Zr])、容器内の圧力を約1時間半かけて、約500mTorrの最終圧力まで徐々に低減する。温度を230℃に上昇させ、この時点から2時間、重縮合反応を進行させる。容器を再加圧し、1.03gのエポキシ化亜麻仁油(ELO)を溶融物に添加し、15分間反応させる。次に、容器を110℃に冷却した後、ポリマーを除去する。反応には合計で約7時間かかり、ベージュ色の半結晶性ポリマーが生成される。
実施例4:0.1重量%のNCC+0.4重量%のELOを有するPBS(SA+BDO法)
97.79gの1,4ブタンジオール(BDO)及び122.05gのコハク酸(SA)を1Lのガラス反応容器に充填する。反応物を、均質なスラリーが形成されるまで、N流により150rpmで攪拌する。4.7mLの4.8重量%のNCCのDI水分散液をスラリーに添加して、総NCC濃度が約0.1重量%になるようにする。次に、温度を約2時間かけて225℃に上昇させ、反応混合物を継続的に攪拌する。この上昇中に、水及びTHFが形成され、蒸留装置を介して反応器から除去される。反応が225℃に達した際に、600uLの触媒を添加し(1-ブタノール中の80重量%のジルコニウムブトキシド(ZBO)、合計470ppm[Zr])、容器内の圧力を約1時間かけて、約500mTorrの最終圧力まで徐々に低減する。温度を230℃に上昇させ、この時点から1時間、重縮合反応を進行させる。容器を再加圧し、0.89gのELOを溶融物に添加し、15分間反応させる。次に、容器を110℃に冷却した後、ポリマーを除去する。反応には合計で約4.5時間かかり、ベージュ色の半結晶性ポリマーが生成される。
実施例5:1重量%のNCCを有するPBS(SA+BDO法)
97.79gの1,4ブタンジオール(BDO)及び122.05gのコハク酸(SA)を1Lのガラス反応容器に充填する。反応物を、均質なスラリーが形成されるまで、N流により150rpmで攪拌する。46.64mLの4.8重量%のNCCのDI水分散液をスラリーに添加して、総NCC濃度が約1重量%になるようにする。次に、温度を約2時間かけて225℃に上昇させ、反応混合物を継続的に攪拌する。この上昇中に、水及びTHFが形成され、蒸留装置を介して反応器から除去される。反応物は、暗褐色である。反応が225℃に達した際に、ある量の触媒を添加し(1-ブタノール中の80重量%のジルコニウムブトキシド(ZBO)、合計470ppm[Zr])、容器内の圧力を約2時間かけて、約500mTorrの最終圧力まで徐々に低減する。温度を230℃に上昇させ、この時点から約15分間、重縮合反応を進行させ、ポリマーの粘度が高いことにより早まって停止する。容器を再加圧し、110℃に冷却した後、ポリマーを除去する。反応には合計で約4.5時間かかり、暗褐色の脆いポリマーが生成される。
実施例6:0.1重量%のNCC+0.4重量%のELO無水コハク酸+BDOを有するPBS
115.35gのBDO及び128.09gの無水コハク酸(SAn)を1Lの反応容器に充填する。反応物を、均質なスラリーが形成されるまで、N流により150rpmで攪拌する。23.95gの1重量%のBDO及びNCCの分散液を反応容器に添加し、反応温度を30分間かけて110℃に上昇させる。反応が110℃に達すると、吸熱が起こり、熱電対プローブを介して測定される。大きな発熱が起こった直後に、温度は最大約135℃に上昇する。次に、温度を1時間かけて225℃に上昇させる。この上昇中に、水が形成され、反応器から除去される。反応が225℃に達した際に、575uLの触媒を添加し(1-ブタノール中の80重量%のジルコニウムブトキシド(ZBO)、合計470ppm[Zr])、容器内の圧力を約1時間かけて、約500mTorrの最終圧力まで徐々に低減する。次に、温度を230℃に上昇させる。この時点から1時間、反応が進行するが、停止することもある。容器を再加圧し、1gのELOを混合物に添加し、約15分間反応させる。反応には約3.5時間かかり、加工に役立つ、非常に強靭で高い溶融粘度を有する材料が生成される。
実施例7:0.1重量%のNCC+0.4重量%のELO無水コハク酸+BDOを有するPBS
491.31gのBDO及び513.36の無水コハク酸(SAn)を2Lの反応容器に充填する。反応物を、均質なスラリーが形成されるまで、N流により190rpmで攪拌する。114.11gの1重量%のBDO及びNCCの分散液を反応容器に添加し、反応温度を110分間かけて225℃に上昇させる。反応が130℃に達すると、穏やかな吸熱が起こり、熱電対プローブを介して測定される。発熱が起こった直後に、温度は最大約155℃に上昇し、そこで安定して、225℃に上昇し続ける。この上昇中に、水が形成され、反応器から除去される。反応が225℃に達した際に、2.45gの触媒を添加し(1-ブタノール中の80重量%のジルコニウムブトキシド(ZBO)、合計470ppm[Zr])、容器内の圧力を約1時間かけて、約500mTorrの最終圧力まで徐々に低減する。次に、温度を230℃に上昇させる。この時点から30分間、反応が進行し、溶融物の粘度が上昇するにつれて、攪拌速度は、順次50rpmまで減速される。容器を再加圧し、4gのELOを混合物に添加し、約15分間反応させる。次に、0.6gの50重量%のフィチン酸のDI水溶液を、熱安定剤及び脱色剤として添加する。反応には約4時間かかり、加工に役立つ、非常に強靭で高い溶融粘度を有する材料が生成される。
実施例8(A):PBSベンチマーク
実施例9(B):PBSエポキシドキャップ化
実施例10(C):PBS NCC延伸
実施例11(D):PBS NCC延伸、エポキシドキャップ化
実施例12(E):PBS 10倍のNCC延伸、エポキシドキャップ化
実施例13(F):PBS SAn NCC延伸によるもの、エポキシドキャップ化
実施例14(G):PBS NCC+エポキシド延伸、超音波処理法
実施例15(H):PBS NCC+エポキシド延伸、高剪断分散法
上に示されるように、「キャップ化」という用語は、本明細書では、反応の終了時に添加される反応物(この場合はELO)として定義される。実施例9、11、12、及び13では、これは、ELOがポリマーの冷却及び排出の直前に容器を再加圧した後に添加されたことを意味する。「延伸」という用語は、反応物(NCC、ELO)がBDO、及びSA又はSAnとともに前もって添加されていると定義される。実施例11、12、及び13では、NCCは、反応の開始時に分散液の形態で添加される。実施例14及び15では、ELOは、触媒が添加され、重縮合が行われる直前のエステル化プロセスの最後に添加される。これらの実施例では、ELOを5分間反応させた後、触媒を添加する。
高剪断分散器法は、時間及び電力消費に関して超音波処理法と同じプロセスに従うが、https://www(dot)mixers(dot)com/products/high-speed-dispersers/に記載されている機器を代わりに使用する。
セルロース-BDO混合物の超音波処理
セルロース-BDO混合物を次のいずれかによって調製する:i)約20gの反応物を組み合わせることにより1重量%のNCCの1,4ブタンジオール溶液を40mLのシンチレーションバイアルに調製することか、又はii)約20gの4.8重量%のNCCのDI水分散液(CelluForceによって提供される)を40mLのシンチレーションバイアルに添加すること。Qsonica Q55超音波処理ホモジナイザー(Qsonica LLCから入手可能)とステンレス鋼プローブチップ(55W)とを使用して、セルロース-BDO混合物を、合計5分間、60%の振幅でパルス超音波処理する。完全セルロース-BDO分散液を混合及びN下でスラリーに添加する。
PBSナノコンポジットの引張強度試験
PBSナノコンポジットのための引張強度試験を、ASTM D882-18:薄いプラスチックシートの引張特性のための標準試験方法に従って実施する。簡単に説明すると、材料を145℃で15分間、20,000lbsのホットプレスにかける。シートの厚さをスペーサーによって約1mmに制御する。次に、試料を50mmx10mmのストリップに切断し、約30mmのゲージ長を試験に使用する。試料を、24時間又は72時間のいずれかにわたって、約65%の含水量で20℃に保つ。試料をInstronの機械的グリップに置き、6mm/分のクロスヘッド速度に供する。試料の厚さは、ゲージ長に沿った5つの異なる点での平均厚さとして測定される。表1に、65%の含水量で20℃に保った試料に基づく実施例4~6の引張強度を列挙する。表2に、65%の含水量で24時間、20℃に保った試料に基づく、50mm/分のひずみ速度での実施例8~13の引張強度を列挙し、表3に、72時間保った試料に基づく引張強度を列挙する。表4に、6mm/分のひずみ速度及び24時間のコンディショニングでの実施例11~13の引張強度を列挙し、表5に、72時間のコンディショニングに基づく引張強度を列挙する。表6に、150mm/分のひずみ速度及び24時間のコンディショニングでの実施例13で形成されたPBSから構成されるポリマー繊維の引張強度を列挙し、表7に、24時間のコンディショニングの55mm/分のひずみ速度での引張強度を列挙する。
Figure 2024500790000010
Figure 2024500790000011
Figure 2024500790000012
Figure 2024500790000013
Figure 2024500790000014
Figure 2024500790000015
Figure 2024500790000016
引張強度データは、本明細書に開示される方法を使用して合成されたPBSナノコンポジットが、先行技術で既知の従来の手段を使用して合成されたベンチマークPBSに匹敵することを例示する。いくつかの例では、PBSナノコンポジットは、ベンチマークPBSよりも改善された特性を示す。
PBSナノコンポジットの固有粘度試験
固有粘度試験をASTM D445及びD2515試験方法に従って実行した。簡単に説明すると、4gの材料を2日かけて、メスフラスコ内の100mLのクロロホルムに溶解する。次に、ポリマー溶液をガラスコア漏斗で濾過し、異なる濃度に希釈した後、CANNON-FENSKE粘度計(Cannon Instrument Company(State College,PA)から入手可能)に入れる。各測定の前に、粘度計全体を10分間、約25℃の水浴に入れておく。各ポリマー溶液をデバイスに投入し、溶液が2本の赤い線の間を通過するのにかかる時間を測定する。固有粘度を、ゼロ点濃度での相対粘度及び比粘度のプロット間の交点として計算する。
表に8、実施例1~6の粘度値を列挙し、表9に、実施例8~15の粘度値を列挙する。より高い粘度値は、より高分子量のポリマー及びより高品質の材料に関連する。エステル化の前にBDOにNCCを分散させると、実施例15に示されるように、PBSナノコンポジットの粘度がより高くなる。また、無水コハク酸でエステル化した場合も、コハク酸でエステル化する場合と比較して、PBSナノコンポジットの固有粘度が上昇する(実施例6及び13を参照されたい)。
Figure 2024500790000017
Figure 2024500790000018
実施例15の酸価
実施例15の酸価をASTM D7409規格に従って決定する。簡単に説明すると、約0.6gの試料をクロロホルム/メタノール溶液に溶解する。フェノールフタレインを溶液に添加し、エタノール中の0.1N KOHを使用してメトローム測光滴定装置を用いて滴定する。実施例15の酸価は約0.9mg KOH/gであり、これは、1メートルトン当たり約16個のカルボン酸末端基当量に相当する。
動的粘度
動的粘度値を、ブルックフィールドHAHB粘度計を使用することによって決定する。図1は、実施例15の粘度対温度の間の関係を例示するプロットを提供する。動的粘度値を、27番スピンドル及びサーモ容器を備えるブルックフィールドAMETEK回転粘度計を使用することによって決定する。少量のポリマーを試料容器に入れ、温度を230℃に上昇させて、溶融を誘発した。粘度測定値を、試料温度が時間とともに減少するにつれて段階的に記録した。温度がポリマーの溶融温度に近づくと、データ収集を停止した。
示差走査熱量測定(DSC)
試料を、窒素ガス流下で、30℃で1分間平衡化したTA Instruments Q2000に入れる。第1のサイクルでは、熱量計を10℃/分で140℃まで昇温する。次いで、試料を3分間等温保持する。第2のサイクルで、熱量計を20℃/分で-60℃に下げる。2分間等温保持して、第2のサイクルを終了する。最後のサイクルを行い、熱量計を10℃/分で380℃に昇温する。
熱重量分析(TGA)
試料を、窒素ガス流下で、30℃で1分間平衡化する。オーブンを10℃/分で600℃に加熱する。
Figure 2024500790000019
実施例8~15の熱分析
表10に、各PBSナノコンポジットの多数の熱特性の比較を提供する:1)ガラス転移温度(T)、2)結晶溶融温度(T)、3)低温結晶化温度(T)、4)5%の質量損失での分解温度(T5%)、及び5)結晶化度パーセント(X)。特性のほとんどは、様々なPBSナノコンポジット間で実質的に同等である。低温結晶化温度は、NCC延伸され、エポキシ化亜麻仁油でエステル化されているPBSナノコンポジットの場合に上昇する。実施例13から生成されたポリマーを、19個の円形の穴を有する紡糸口金ブロックに供給される、二軸押出し機を使用する基本的な溶融紡糸手順にかけた。バレル温度及び紡糸口金を両方とも190℃に設定し、バレル圧力を500psiに保持した。非等温条件下で、一切のドローイング手順なしで、繊維を回転ドラム上に収集した。この温度で、ポリマーは、核形成を開始し、結晶ドメインを成長させる。場合によっては、より高いTを有すると、ポリマーの寸法安定性の助けになる。
H-NMR
ポリマー及び組成物は、H NMRによって特定することができる。
Figure 2024500790000020
実施例8~13の数平均分子量を表11に提供する。無水コハク酸の添加により、コハク酸でエステル化されたPBSナノコンポジットと比較して、より高いMが提供される。
粒径分析
実施例13から生成されたポリマー繊維を、100ppmの濃度でクロロホルムに溶解する。溶液を均質化し、次にMalvern Nano ZS Zetasizerを使用して粒径分析を行う。繊維の吸光係数をゼロに設定し、試料片の屈折率を1.49(PBSの値)に設定する。実験を5回実行する。
Figure 2024500790000021
表12及び図2には、溶解したポリマー繊維の粒径分布を示す。ポリマー繊維の粒子の大部分は、約10~30nmの平均直径を有する。
超音波処理を使用して分散したNCCの粒径分析
ナノ結晶セルロースを、攪拌しながら1,4ブタンジオールに1:10(w/w)でゆっくりと添加する。溶液を連続的に攪拌及び混合して、塊が存在しない粘性の白色液体を得る。試料を1Hzの周波数で、異なる振幅(60%、80%、及び100%)で分散する。各振幅について、試料を1分、3分、及び5分の超音波処理で収集する。各試料を、5%(w/v)の蒸留水を使用して希釈する。試料の粒径分析を、Malvern Nano ZS Zetasizerを使用して行う。NCCの吸光係数を0.001に設定し、屈折率を1.58に設定する。水の吸光係数をゼロに設定し、屈折率を1.33に設定する。9回の実行ごとに5回実験を繰り返して、再現性を確認し、ゲルサイズの精度及び多分散度を改善する。
Figure 2024500790000022
図3A~図3C及び表13では、超音波処理の異なる時点及び振幅にわたる粒径分布データを比較する。粒径は、BDOにおけるNCCの分散の程度と相関し、粒径が小さくなると、NCCの分散が向上することを示す。超音波処理の振幅が大きくなると、特に短時間の超音波処理では、概してNCC分散のレベルが向上する(小粒径の分布が大きくなることによって示される)。超音波処理値の差は、持続時間が増加するにつれて減少する。同様に、超音波処理の持続時間が長くなると、NCCの分散が大きくなる。
均質化を使用して分散したNCCの粒径分析
ナノ結晶セルロースを、攪拌しながら1,4ブタンジオールに1:10(w/w)でゆっくりと添加する。溶液を連続的に攪拌及び混合して、塊が存在しない粘性の白色液体を得る。試料を、10000rpm~16667rpmの範囲の3つの異なるホモジナイザー速度で分散させる。各速度設定で、1分、3分、及び5分の均質化で試料を収集する。各試料を、5%(w/v)の蒸留水を使用して希釈する。試料の粒径分析を、Malvern Nano ZS Zetasizerを使用して行う。Nccの吸光係数を0.001に設定し、屈折率を1.58に設定する。水の吸光係数をゼロに設定し、屈折率を1.33に設定する。9回の実行ごとに5回実験を繰り返して、再現性を確認し、ゲルサイズの精度及び多分散度を改善する。
Figure 2024500790000023
図4A~図4C及び表14では、均質化の異なる時点及び速度にわたる粒径分布データを比較する。より高い速度はより高い剪断レベルに対応し、粒径は、BDOにおけるNCCの分散の程度と相関し、粒径が小さくなると、NCC分散が向上することを示す。表14に見られるように、NCCを効果的に分散させるには、高速の均質化が必要である。13,330及び10,000rpmの速度では、中及び大粒径のより高い分布がもたらされる。
実施例16:PBS NCC+エポキシド延伸、超音波処理法
実施例16は、ELOがモノマーとともにプロセスの開始時に添加されることを除いて、実施例14と同様の方法である。実施例15は、本開示の特定の方法のエステル化工程と重縮合工程との間に添加される場合、ELOが、鎖延長剤及び/又は分岐剤として使用できることを実証する。実施例13、12、11、9、7、6、4及び3は、キャッピング剤として使用されたELOの使用を示す。
実施例17:増量剤及びキャッピング剤の両方で使用されたELO
実施例16は、ELOの半分をエステル化後に添加し、残りの半分を重合反応の終了時に添加することを除いて、実施例14と同様の方法である。
実施例18:フィチン酸(PA)の添加
実施例18は、フィチン酸溶液がエステル化工程の前に添加されることを除いて、実施例7と同様の方法である。
実施例19:エステル化/重縮合の間のPA添加
実施例19は、フィチン酸溶液をエステル化工程の後、触媒の添加前に添加することを除いて、実施例7と同様の方法である。
実施例20:エステル化/重縮合の間のPA添加
実施例20は、フィチン酸溶液をエステル化工程の後、ELOの添加前に添加することを除いて、実施例15と同様の方法である。反応終了時のPA添加を実施例7に示す。
実施例21:エステル化/重縮合工程の間のNCCの添加
実施例21は、NCC分散液を、エステル化工程の後、ELOの添加前にモノマー含有反応混合物に添加することを除いて、実施例15と同様の方法である。
実施例22:キチンナノファイバーの添加
実施例22は、NCCの代わりにキチンナノファイバー(CNF)を利用することを除いて、実施例15と同じ方法である。
実施例23:キチンナノファイバーとNCCとの混合物
実施例23は、キチンナノファイバー(CNF)をNCCと50/50重量%の混合物として利用することを除いて、実施例15と同じ方法である。
実施例24:エステル化触媒を用いた0.1重量%のNCC+0.4重量%のELOを有するPBS(重縮合なし)
BDO及びSAを2Lの反応容器に入れる。反応物を、均質なスラリーが形成されるまで、N流により190rpmで攪拌する。BDO及びNCCの分散液を反応容器に添加して、BDO:SAモル比を1.05:1に、NCC含有量を約0.1重量%にした。エステル化触媒(ハフニウムtert-ブトキシド(HtBO)、合計100~500ppm[Hf])を添加した後、反応温度を110分かけて225℃に上昇させる。この上昇中に、水が形成され、反応器から除去される。225℃に達すると、閾値粘度/末端基濃度に達するまで反応物を撹拌しておき、次いでELOを添加する(0.4重量%)。次に、温度を230℃に上昇させる。この時点から30分間、反応が進行し、溶融物の粘度が上昇するにつれて、攪拌速度は、順次50rpmまで減速される。容器を再加圧し、50重量%のフィチン酸のDI水溶液を熱安定剤及び脱色剤として添加する(0.4重量%PA固形分)。ペレット化前の最終工程として、エステル交換触媒(1-ブタノール中のジルコニウムブトキシド(ZBO)80重量%、合計100~500ppm[Zr])を添加する。中分子量ポリマーが形成され、これを固相重合(SSP)に供して、溶融紡糸前のペレット乾燥段階中に、又は続いて糸形態での溶融紡糸後に、分子量を望ましい値に増加させることができる。
実施例25.
混合金属酸化物触媒溶液の調製
触媒1(溶液C1):
溶液A:Zr含有量16.5重量%を有するHO(Sigma)中の酢酸ジルコニウム(Zr)。
溶液B:HO中の酢酸マグネシウムの原液を、Mg含有量4.12重量%で調製した。
溶液C:HO中のコウジ酸(KA)の原液を、KA含有量3.7重量%で調製した。
方法:溶液A及びある量の脱イオン(DI)水を50℃に昇温し、溶液Bを撹拌しながら滴下する。1時間後、粘性の白色ゾルゲルが発生する。溶液は、コロイドの形成を示す青色/ピンク色の色調を有する。次に、金属コロイド溶液を室温で撹拌しながら溶液Cに滴下する。最終溶液は粘性の白色/黄色の沈殿物である。
ある量のグリコールを溶液に添加し、残りの水及び酢酸を穏やかな蒸留によって蒸発させる。蒸留の過程で、溶液は透明になる。最終溶液は、完全に透明な黄色の液体であり、最終的なZr含有量は約4.92重量%である。
上記の方法を適合させることによって、様々な触媒を調製することができる。
セルロースナノ結晶(NCC)の分散液の調製
NCC予備分散
NCC粉末(NanoCrystalline Cellulose、硫酸セルロースナトリウム塩、CAS番号9005-22-5)を、篩を通して、液体の水、1,4-ブタンジオール(BDO)、又は水/BDOの組み合わせの渦に添加して、最大4重量%のNCC溶液とする。純粋な水溶液については、0.05~1.5重量%の範囲のNCC溶液を作製することが最も好ましい。
NCC分散液
上記のNCC予備分散液は、以下の手順のうちの1つ以上に従って更に処理することができる。
予備分散液を最大1時間撹拌しながら30~40℃に加熱し、篩を通して濾過して、望ましくない夾雑物質/ゲルを除去することができる。
60~80%の振幅で動作し、NCC1グラム当たり2500~8000ジュールを供給するプローブチップソニケータを使用して、予備分散液を超音波処理することができる。得られた溶液を篩に通して濾過して、残存する夾雑物質/ゲルを除去する。
場合によっては、ローターステーターミキサ又は高剪断ブレードなどの高剪断分散機を使用して、予備分散液を更に分散させることができる。典型的には、溶液を、分散機の定格出力の50~80%で1~2分間撹拌する。得られた溶液を篩に通して濾過して、残存する夾雑物質/ゲルを除去する。
NCC機能化の選択肢-なし、触媒、及び非触媒
所望の樹脂及び樹脂特性に応じて、分散したNCC溶液を、異なる手順による重合反応のために反応混合物に組み込むことができる。NCC分散液は、更に機能化することなくそのまま使用してもよく、エステル化前のスラリー混合物に添加してもよく、重縮合前のオリゴマー混合物に添加してもよい。様々な好便な方法を使用して、NCC分散液を重縮合前のオリゴマー混合物に添加し、反応混合物中で所望のNCC及び溶媒濃度を達成することができる。
活性化NCC分散触媒溶液
NCC分散液を、酢酸ジルコニウム、酢酸水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニル八水和物、プロピオン酸ジルコニウム、酢酸マグネシウム四水和物、塩化マグネシウム六水和物、又はこれらの生成物の組み合わせを含有する水溶液に添加して、触媒活性溶液を作製することができる。これらの溶液の添加順序は変更することができる。例えば、混合金属酸化物触媒を利用する場合、NCC分散液をジルコニウム含有溶液に添加し、続いてマグネシウム含有溶液を添加することができる。あるいは、NCC分散液を、混合金属イオン触媒を含有する溶液、例えば、ジルコニウム及びマグネシウムを含有する溶液に添加することができる。
混合されたNCC分散液及び触媒溶液の温度は変更することができる。例えば、溶液を室温(25℃)で混合し、次いで50~80℃の温度範囲に上昇させることができる。概して、NCC分散触媒溶液を、反応混合物への添加の前に、50~80℃で少なくとも1時間撹拌する。
所望の特定の樹脂及び樹脂特性に応じて、NCC分散液及び金属系触媒溶液の構成成分の量及び比率は変化し得ることが理解される。
触媒の金属溶液を、典型的には、2~20重量%の濃度で脱イオン水中にて作製する。より好ましくは、3~12重量%の濃度の溶液である。
マグネシウムイオン対ジルコニウムイオンの比は、最終分散液中で1~3mol/molであり得る。NCC対金属イオンの比は、1~20重量/重量であり得る。最終分散液において、最も好ましい比は5~15重量/重量である。
非触媒NCC分散液
NCC分散液を、酢酸アルミニウム、二酢酸アルミニウム、三酢酸アルミニウム、又はこれらの組み合わせの水溶液に添加して、非触媒活性溶液を作製することができる。溶液の温度は変更することができる。例えば、金属溶液を室温で添加し、50~80℃の温度範囲に上昇させた後、最終溶液を50~80℃の温度範囲で少なくとも1時間撹拌することができる。
金属溶液を、典型的には2~20重量%の濃度で脱イオン水中にて作製すれる。より好ましいのは、3~12重量%の濃度の溶液である。NCC対アルミニウムイオンの比は、最終分散液において1~20重量/重量であり得る。好ましい比は5~15重量/重量である。
NCC分散特性評価
分散液の品質は、NCCポケット若しくは大きなNCCゲルの塊、又はその他の非懸濁材料の有無を探ることによって視覚的に評価することができる。
NCC分散液を(例えば、2重量%以下に)希釈し、偏光フィルタ間で観察することができる。このアプローチは、懸濁液中で他の方法よっては見えない非懸濁物質を識別するのに役立つ。高濃度では、NCC懸濁液を黒い面に置いて押し付けると、薄いNCCゲルができ、これは非懸濁物質を可視化するのに役立つ。
Malvern Zetasizer Nano ZS機器などの粒径分析器を用いて、NCC分散液を特性評価することができる。試料を0.1重量%に希釈し、シリンジフィルタで夾雑物質を除去した後、試験を行うことができる。典型的には、溶液中に分散したNCC粒子は、75~125nmのサイズ範囲を有する。金属機能化NCC(例えば、上記のようなもの)は、わずかに大きいサイズ及びサイズ範囲を有し得る。
Shafiei-Sabet et al.,「Rheology of Nanocrystalline Cellulose Aqueous Suspensions.」Langmuir 2012,28,17124-17133によって記載されているものを含む様々な方法を使用して、NCC分散液の特性評価を行うことができる。
エポキシ化トリグリセリド(ELO、ESO)
エポキシ化亜麻仁油(ELO)又はエポキシ化大豆油(ESO)などのエポキシ化トリグリセリドを重合反応に使用することができる。触媒溶液の添加前、及び反応の重縮合工程前に、液体としてELO又はESOを添加する。重合が単一工程プロセスである場合、ELO又はESOを初期反応混合物に添加する。
概して、添加されたELO又はESOは、混合物中で酸スカベンジャーとして作用し、生成される樹脂の色及び熱安定性を改善することができる。
添加されたELO又はESOはまた、ポリマー鎖長を延長し、最終ポリマーの溶融強度及び固有粘度を改善することもできる。
また、重合反応混合物にELO又はESOを添加することで、プロセスを向上させることができる。エポキシド基は、プレポリマー混合物中に存在する残留BDO又は水溶媒と反応して、加工速度を向上させることができる。この特性は、Zrブトキシドなどの水分感受性触媒を使用する場合、及び重縮合前の工程を含む重合方法を使用する場合に重要であり得る。
ポリブチレンサクシネート(PBS)コポリマーの調製
触媒溶液は、実施例2~7及び実施例8~15に記載される重合方法のいずれか1つを適合させることによって、ポリブチレンサクシネートコポリマーナノコンポジット樹脂組成物の合成において使用される。
組成物1の条件:混合金属酸化物触媒溶液C1を使用して、本明細書に記載の方法に従ってPBSナノコンポジット樹脂(130ppm Zr+17ppmmg)を調製した。
エポキシ化亜麻仁油(ELO)を重縮合前に添加することで、重縮合前の工程を不要にした。概して、重縮合前の工程は、水分感受性触媒にとって重要である。
添加剤としてのELOの使用は、より高いMWのポリマー組成物を実現するのに役立ち、得られた樹脂組成物の溶融強度を高めるポリマー分岐点を作り出す。
2.5ミリバールの真空で約1.5時間かけて重縮合し、トルク強度22ニュートン・cm(Ncm)に達したところでポリマーを排出した。概して、ポリマー反応混合物で観察されるトルクの増大とPBSナノコンポジット樹脂の重合度との間には線形相関がある。トルクを使用して、重合中にin situで分子量をモニタリングすることができる。最終樹脂生成物(300g)は、低着色の強靭な軟質プラスチックである。
組成物2の条件:チタン触媒を使用して、同様の方法に従ってPBSナノコンポジット樹脂(862ppmのTi)を調製した。1ミリバール未満の真空で2.33時間かけて重縮合し、あまり望ましくない色を有する900gの樹脂を生成した。
組成物3の条件:ジルコニウム触媒を使用して、同様の方法に従ってPBSナノコンポジット樹脂(442ppmのZr)を調製した。1ミリバール未満の真空で6時間かけて重縮合し、許容可能な色を有する8kgの樹脂を生成した。
PBSナノコンポジット樹脂の評価
生成された樹脂組成物を、有色/無色の外観、固有粘度及び紡糸性について評価する。
PBSポリマー組成物1-0.82dL/g固有粘度。
PBSポリマー組成物2-0.83dL/g固有粘度。
PBSポリマー組成物3-0.88dL/g固有粘度。
PBSナノコンポジット樹脂の溶融紡糸
生成された樹脂組成物を使用して、溶融紡糸プロセスを用いて繊維を調製する。生成された繊維を、加水分解安定性、繊維径、線密度、及び引張強度(例えば、弾性率、粘り強さ、及び破断点ひずみ)などの様々な特性について評価する。
図5は、PBSポリマー樹脂についての固有粘度と最大紡糸長との間の予想される関係を示すプロットである。
様々な溶融紡糸条件(例えば、延伸比(DR)を1から10に増加させる)下で、本開示のPBSナノコンポジット樹脂から生成された繊維の直径、引張強度、加水分解安定性、及び他の特性を、従来の方法を使用して評価する。
本開示のPBSナノコンポジット樹脂は、商業的な溶融紡糸プロセスを用いて繊維に加工可能であることが実証された。生成された繊維は、無色又は望ましい少ない着色、長期間にわたる加水分解安定性、染色手順に対する安定性(例えば、可染性)、及び望ましい引張強度などの望ましい特性を有することが実証された。
本アプローチは、好ましい実施形態及びそれらの特定の実施例を参照して本明細書に例示及び記載されてきたが、他の実施形態及び実施例が同様の機能を果たし、かつ/又は同様の結果を達成し得ることは当業者には容易に明らかである。全てのそのような同等の実施形態及び実施例は、本アプローチの趣旨及び範囲内にある。

Claims (85)

  1. ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するための方法であって、
    混合物であって、
    アルカンジオールモノマーと、
    アルカン二酸剤モノマーと、
    前記混合物中に分散した多糖ナノ結晶と、
    触媒と、
    1つ以上の任意選択の添加剤と、を含む、混合物を、
    ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するのに十分な条件下で重合すること、を含む、方法。
  2. 前記触媒が、ルイス酸触媒である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記触媒が、金属系ルイス酸触媒である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記金属系ルイス酸触媒が、遷移金属触媒を含む、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記遷移金属触媒が、アルミニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、鉄、銅、亜鉛、ハフニウム及びモリブデンから選択される金属を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記金属系ルイス酸触媒が、アルカリ金属触媒又はアルカリ土類金属触媒を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記触媒が、カルシウム、マグネシウム、及びストロンチウムから選択されるアルカリ土類金属を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記金属系ルイス酸触媒が、遷移金属及びアルカリ土類金属を含む、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 前記金属系ルイス酸触媒が、混合金属酸化物触媒である、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記触媒が、酢酸マグネシウム、酢酸ジルコニウム、ジルコニウムブトキシド、NaMoO、ZnMoO、及びハフニウム塩から選択される1つ以上の構成成分を含む、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記触媒が、キレート剤を更に含む、請求項3~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記キレート剤が、生物由来(例えば、植物、真菌又は微生物によって産生される生物由来の化合物又は材料)である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記キレート剤が、コウジ酸(5-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-4-ピロン)、フラネオール(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3-フラノン)、マルトール(3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン)、及びメープルラクトン(3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン)から選択される、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記触媒が、グリコール溶媒(例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコール溶媒)に溶解した混合金属酸化物触媒及びキレート剤を含む液体触媒組成物として前記混合物に添加される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記触媒が、アルミノケイ酸塩鉱物(例えば、マグネシウムアルミニウムフィロケイ酸塩粘土又はacti-gel 208)である、請求項1又は2に記載の方法。
  16. 前記触媒が、カオリン、カオリナイト、ゼオライト、イライト、アタパルジャイト、パリゴルスカイト、及びベントナイトから選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記触媒が、プロトンイオン性塩を含む有機触媒である、請求項1又は2に記載の方法。
  18. 前記触媒が、非金属であり、スルホン酸基又はその塩を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  19. 前記触媒が、分散した多糖ナノ結晶を更に含む液体触媒組成物として前記反応混合物に添加される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 生成された前記ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂が、約0.9~約1.5dL/gの固有粘度(例えば、毛細管ベースの粘度計を用いて20℃で測定した場合)を示す、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記重合が、
    前記アルカンジオールモノマー及び前記アルカン二酸剤モノマーをエステル化して、複数のオリゴマーを生成することと、
    前記多糖ナノ結晶の存在下で前記複数のオリゴマーを重縮合させて、前記ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂中で高MWポリマーを生成することと、を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記エステル化工程及び前記重縮合工程が、(例えば、異なる温度及び圧力の反応条件下で)順次行われる、請求項21に記載の方法。
  23. 前記エステル化工程及び前記縮合工程が、同じ反応容器内で(例えば、同じ温度及び圧力の反応条件で)行われる、請求項21又は22に記載の方法。
  24. 前記複数のオリゴマーが3kDa未満の平均MWを有し、前記高MWポリマーが10kDa以上の平均MWを有する、請求項21に記載の方法。
  25. 前記エステル化が、前記混合物を100℃~140℃の初期温度で加熱することを含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記エステル化が、前記反応温度が140℃を超えた後、前記混合物を200℃~250℃の第2の温度に加熱することを更に含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記複数のオリゴマーの前記重縮合が、反応容器内で、減圧下(例えば、約500mTorr以下の圧力)で行われ、かつ/又は、
    前記複数のオリゴマーの前記重縮合が、200℃~250℃の反応温度で行われる、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記エステル化工程及び前記重縮合工程が、前記ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂を生成するのに十分な一連の反応条件下で、ワンポット反応で行われる、請求項21に記載の方法。
  29. 前記樹脂中の複数の重縮合ポリマーが、10kDa以上の平均MWを有する、請求項28に記載の方法。
  30. 前記ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂をペレット化して樹脂ペレットを生成することと、任意選択で前記ペレットを乾燥させること(例えば、前記ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂中の前記ポリマーの前記平均MWを増加させるのに十分な条件下で)と、を更に含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記重合反応が開始されるときに、前記混合物が予め組み合わされ、前記触媒を含有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記触媒が、重合の開始後に前記反応混合物に添加される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記触媒を前記混合物に添加して、前記モノマーのエステル化を触媒する、請求項32に記載の方法。
  34. 前記触媒を前記混合物に添加して、前記複数のオリゴマーの前記重縮合を触媒する、請求項32に記載の方法。
  35. 前記重合が、エポキシ化脂質(例えば、エポキシ化油、エポキシ化トリグリセリド、エポキシ化脂肪酸エステル、又はエポキシ化テルペン)である添加剤の存在下で行われる、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記エポキシ化脂質が、重合の開始後に前記反応混合物に添加される、請求項35に記載の方法。
  37. 前記重合が、前記反応混合物のオリゴマー又はポリマーを前記エポキシ化脂質(例えば、エポキシ化油)と縮合させることを更に含む、請求項35又は36に記載の方法。
  38. 前記ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂をエポキシ化脂質(例えば、エポキシ化油、エポキシ化トリグリセリド、エポキシ化脂肪酸エステル、又はエポキシ化テルペン)と縮合させることを更に含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記エポキシ化脂質が、エポキシ化油である、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記エポキシ化油が、リノレン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸及びステアリン酸から選択される1つ以上の脂肪酸に由来する、請求項39に記載の方法。
  41. 前記エポキシ化油が、エポキシ化亜麻仁油である、請求項39又は40に記載の方法。
  42. 前記多糖ナノ結晶が、セルロース、デンプン又はキチンに由来する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記多糖ナノ結晶が、セルロースナノ結晶である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記セルロースナノ結晶が、資源木材、綿、細菌、又は藻類からの酸加水分解されたセルロースに由来する、請求項43に記載の方法。
  45. 前記セルロースナノ結晶が、約3~約50nmの幅、及び約100~約1000nmの長さの平均寸法を有する、請求項43又は44に記載の方法。
  46. 前記アルカンジオールモノマーが、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、及び1,2-エタンジオールから選択される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法
  47. 前記アルカンジオールモノマーが、1,4-ブタンジオールである、請求項46に記載の方法。
  48. 前記アルカン二酸剤モノマーが、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、無水コハク酸、アジピン酸、アジピン酸モノアルキル、アジピン酸ジアルキル(例えば、アジピン酸ジメチル又はアジピン酸ジエチル)、及び無水アジピン酸から選択される、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記アルカン二酸剤モノマーが、無水コハク酸である、請求項48に記載の方法。
  50. 前記方法が、ポリブチレンサクシネート-セルロースナノコンポジット樹脂を生成するためのものであり、
    分散したセルロースナノ結晶、1,4-ブタンジオールモノマー、コハク酸剤モノマー、金属酸化物触媒、キレート剤及び任意選択の添加剤を含む混合物を調製することと、
    前記分散混合物中の前記1,4-ブタンジオールモノマー及び前記コハク酸剤モノマーを重合させて、ポリブチレンサクシネート-セルロースナノコンポジット樹脂を生成することと、を含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 前記混合物の調製が、
    前記金属酸化物触媒及び前記キレート剤の溶液に分散した前記セルロースナノ結晶を含むセルロースナノ結晶-触媒分散液と、
    1,4-ブタンジオールモノマー、コハク酸剤モノマー、及び任意選択の添加剤のモノマー混合物と、を組み合わせることを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
  52. 前記セルロースナノ結晶が、資源木材、綿、細菌、又は藻類からの供給源からの酸加水分解されたセルロースに由来する、請求項50に記載の方法。
  53. 前記セルロースナノ結晶が、約3~50nmの幅、及び約100~1000nmの長さの平均寸法を有する、請求項51又は52に記載の方法。
  54. 前記コハク酸剤モノマーが、コハク酸、コハク酸モノアルキル、コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジメチル又はコハク酸ジエチル)、及び無水コハク酸から選択される、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記アルカン二酸剤モノマーが、無水コハク酸である、請求項54に記載の方法。
  56. 前記混合物(例えば、分散液)が、1つ以上の追加のモノマー、及び/又はエポキシ化脂質を更に含む、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記複数のオリゴマー及び前記高MWポリマーがそれぞれ、ブチレンサクシネート繰り返し単位を含む、請求項55に記載の方法。
  58. 前記ポリマー-多糖ナノコンポジット樹脂の前記ポリマーが、ポリブチレンサクシネートホモポリマー又はポリブチレンサクシネートコポリマーである、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記混合物(例えば、分散液)の前記調製が、前記アルカンジオールモノマー及び前記アルカン二酸剤モノマーの一方又は両方を含むモノマー溶液(例えば、均質溶液)中にセルロースナノ結晶を分散させることを含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記モノマー溶液が、溶媒中の前記アルカンジオールモノマー及び前記アルカン二酸剤モノマーからなる、請求項59に記載の方法。
  61. 前記モノマー溶液が、前記触媒を更に含む、請求項59又は60に記載の方法。
  62. 前記モノマー溶液が、非水性有機溶媒を更に含む、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
  63. 前記モノマー溶液が、水を更に含む、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
  64. 前記分散が、
    セルロースナノ結晶を1,4-ブタンジオール(BDO)及び無水コハク酸を含む溶液と接触させて、セルロース混合物を生成することと、
    前記セルロース混合物を超音波処理して、前記セルロースナノ結晶を前記溶液中に均質に分散させ、前記分散液を生成することと、を含む、請求項59~63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記セルロース混合物の前記超音波処理が、目に見える沈降が存在しない分散液を生成するのに十分な条件下で行われる、請求項64に記載の方法。
  66. 前記セルロース混合物の前記超音波処理が、約5分以上の持続時間にわたって、超音波処理することを含む、請求項64又は65に記載の方法。
  67. 前記多糖ナノ結晶が、キチンに由来する、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 予備混合溶液中の前記多糖ナノ結晶の分散液を調製することを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
  69. 前記予備混合溶液が、触媒を含まない、請求項68に記載の方法。
  70. 前記予備混合溶液が、前記触媒を更に含む、請求項68に記載の方法。
  71. 前記多糖ナノ結晶及び前記触媒が、前記反応混合物への添加前に、前記予備混合溶液中で加熱される、請求項70に記載の方法。
  72. 前記触媒が、遷移金属酸化物触媒を含む、請求項71に記載の方法。
  73. 前記触媒が、混合金属酸化物触媒である、請求項71又は72に記載の方法。
  74. 分散した前記多糖ナノ結晶が、セルロースナノ結晶である、請求項68~73のいずれか一項に記載の方法。
  75. 前記予備混合溶液が、重合の開始後に前記反応混合物に添加される、請求項68~74のいずれか一項に記載の方法。
  76. 前記予備混合溶液が、前記反応混合物中のオリゴマーの重縮合の前に添加される、請求項75に記載の方法。
  77. 前記重合が、エポキシ化油添加剤(例えば、ELO又はESO)の存在下で行われる、請求項68~76のいずれか一項に記載の方法。
  78. 前記エポキシ化油が、重合の開始後、前記反応混合物中のオリゴマーの重縮合前に、前記反応混合物に添加される、請求項77に記載の方法。
  79. 前記エポキシ化油が、重合の開始前に前記反応混合物に添加される、請求項77に記載の方法。
  80. 請求項1~79のいずれか一項に従って生成された、ナノコンポジット樹脂。
  81. 前記樹脂が、約0.9~約1.5dL/gの固有粘度(例えば、毛細管ベースの粘度計を使用して20℃で測定した場合)を示す、請求項80に記載のナノコンポジット樹脂。
  82. 請求項80又は81に記載のナノコンポジット樹脂を含む、物品。
  83. 前記物品が、射出成形、ブロー成形、圧縮成形、押出し、及び溶融紡糸から選択される方法を使用して、前記ナノコンポジット樹脂から製造された、請求項82に記載の物品。
  84. 前記物品が、成形物品である、請求項82又は83に記載の物品。
  85. 前記物品が、糸又は繊維である、請求項82又は83に記載の物品。
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