JP2024126184A - 木造建築物用の張弦梁ユニット及び梁組構造 - Google Patents

木造建築物用の張弦梁ユニット及び梁組構造 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、通常規格外の高価な梁を用いず、主要部材に同じサイズの木製角材を用い、安価に作製可能な木造建築物用の張弦梁ユニット及び梁組構造の提供。
【解決手段】本発明は、通常規格寸法の木製角材から構成されて両端部に被接続部材への接続部11Aをそれぞれ形成され、所定間隔を開けて2本配置された一対の木製梁部材11と、一対の木製梁部材11の両端部近傍において両端部がピン接合されて中央部から広角V字状に折り曲げられた鋼材製弦材12と、一対の木製梁部材11の中央部から突出して取り付けられて先端部近傍が鋼材製弦材12のV字状の中央部近傍に関連付けられた束部材13と、を有する木造建築物用の張弦梁ユニット1である。また、張弦梁ユニット1を4つ用い、各張弦梁ユニット1の木製梁部材11の一端部を他の張弦梁ユニット1の木製梁部材11の側面にそれぞれ接合して、巴状に構成された木造建築物用の梁組構造。
【選択図】図1

Description

本発明は木造建築物用の張弦梁ユニット及びそれを利用した床や天井等の梁組構造に関する。
一般に木造建築物の床や天井等の梁組構造で使用する木材は、通常規格寸法の角材だけで数十種類の木材が使用され、形状だけでなく長さや太さも多種類の木材が使用されている。このため、木材の調達が煩雑であり、現場に持ち込む前の加工なども複雑であった。特に、木造梁組の場合は、スパンに応じた梁成をもって架け渡しているので、梁材には大断面が必要であるとともに長さや太さが市販される通常規格寸法以外になることが多く、高価であり経済的ではなかった。
木造建築物の張弦梁構造は、梁と引張材を組み合せた構造で、軽量で安全性が高く張弦梁構造を支持する下部構造への負担を最小限にできる等の利点がある。このため、張弦梁構造は、広い空間の大屋根などを有する体育館やドーム状の施設等に利用されている。一方、体育館やドーム球場などに比べて、通常の木造建築物、特に木造住宅は面積が狭いので、張弦梁構造は殆んど利用されていない。
張弦梁構造を床支持構造とする提案として、特許文献1(特開平11-29983)がある。この特許文献1の構造は、複数の杭の上部に基礎フーチングを設け、互いに対向する基礎フーチング間に、床スラブを支持するための構造を置き、この構造材を、前記互いに対向する基礎フーチング間に張弦材を介して接続した建造物の床支持構造である。より具体的には、構造材の底面より下部方向に支柱を突設させ、この支柱の下端に、前記互いに対向する基礎フーチングより延長する張弦材を接続したり、互いに対向する基礎フーチング及び構造材より接続線を突出させ、両接続線間にジョイントを介して張弦材を接続した建造物の床支持構造である。
この特許文献1は、軟弱地盤上に杭を用いることなく、床スラブを支持可能とする目的であり、張弦梁構造を木造建築物の床や天井などに応用する記載はない。従って、この床支持構造を木造建築物の床や天井などに応用する技術的思想は開示されていない。
特開平11―29983号公報
本発明は、通常規格寸法以外の高価な梁を用いず、主要部材に通常規格寸法の同じサイズ(太さ)の木製角材を用い、所定の強度を有するとともに、安価に作製できる木造建築物用の張弦梁ユニット及びそれを利用した梁組構造を提供することを目的とする。
本発明は、通常規格寸法の木製角材から構成されるとともに両端部に被接続部材への接続部をそれぞれ形成され、所定間隔を開けて2本配置された一対の木製梁部材と、前記一対の木製梁部材の両端部近傍において両端部がピン接合されるとともに中央部から広角V字状に折り曲げられた鋼材製弦材と、前記一対の木製梁部材の中央部から突出して取り付けられるとともに先端部近傍が前記鋼材製弦材のV字状に折り曲げられた中央部近傍に関連付けられた束部材と、を有する木造建築物用の張弦梁ユニットである。なお、本発明で言う「広角V字状」とは、V字状の角度が90度以上180度未満のものを指す。また、本発明で「関連付けられた」とは、鋼材製弦材の中央部近傍が束部材と溶接等で固定、接続具等で連結、あるいは、当接などにより、鋼材製弦材の張力などの力を束部材を介して木製梁部材に伝達できる構造であればよい。
本発明において、前記一対の木製梁部材の両端部近傍に前記鋼材製弦材をピン接合するための接合部材を設け、前記接合部材は、前記一対の木製梁部材の両端部において一対の木製梁部材間にそれぞれ掛け渡された軸部材と、前記鋼材製弦材の両端部にそれぞれ固定されるとともに前記軸部材に回動自在に支持された取付部材と、前記軸部材に回動自在に支持されるとともに前記取付部材と前記一対の木製梁部材の内側面との間に配置されたスペーサーとを備えて構成されることが好ましい。
本発明において、前記鋼材製弦材には、鋼材製弦材のV字状に折り曲げられた中央部と鋼材製弦材の両端部との中間の少なくとも一方にターンバックルが設けられることが好ましい。
本発明において、束部材が、木製梁部材に取り付けられるベースプレートと、前記ベースプレートから立設された2枚の鉄板と、を備えて構成され、これらの2枚の鉄板間に前記鋼材製弦材が溶接で固定されることが好ましい。
本発明において、前記張弦梁ユニットを4つ用い、各前記張弦梁ユニットの前記木製梁部材の一端部を他の前記張弦梁ユニットの前記木製梁部材の側面にそれぞれ接合して、平面視全体として巴状に構成された木造建築物用の梁組構造とすることが好ましい。
本発明において、前記巴状の梁組構造を複数組み合わせて木造建築物用の梁組構造とすることが好ましい。
本発明によれば、通常規格寸法の木製角材から構成されるとともに接続部を両端部に形成された一対の木製梁部材と、一対の木製梁部材の両端部近傍において両端部がピン接合されるとともに中央部から広角V字状に折り曲げられた鋼材製弦材と、前記木製梁部材の中央部から突出して取り付けられるとともに先端部近傍が前記鋼材製弦材のV字状に折り曲げられた中央部近傍に固定された束部材と、を有する木造建築物用の張弦梁ユニットに形成することにより、従来使用していた大断面の高価な梁の代りに本発明の張弦梁ユニットを使用でき、梁組構造を安価に作製できる。
また、前記鋼材製弦材として、鋼材製弦材のV字状に折り曲げられた中央部と鋼材製弦材の両端部との中間に少なくとも一つのターンバックル取り付けることにより、前記木製梁部材に適宜な曲げ力を付与でき、支持荷重に対して最適状態で支持可能となる。
更に、前記張弦梁ユニットを4つ用い、各前記張弦梁ユニットの前記木製梁部材の一端部を他の張弦梁ユニットの木製梁部材の側面にそれぞれ接合して、平面視全体として巴状の構造を備える木造建築物用の梁組構造とすることにより、高価で重量の大きな梁を用いず、且つ、主要部材に同じサイズの木製角材を用いることができ、しかも所定の建築物に必要な強度が確保できる。
また、巴状の梁組構造を複数組み合わせることにより、木造建築物の床部、天井などの大きさや形状を様々に変化させた形状とすることができるため、デザイン性に優れた木造建築物の建築が可能となる。
本発明の一実施形態の張弦梁ユニットを示す斜視図である。 本実施形態の張弦梁ユニットを示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は手前の木製梁部材を除いた状態の正面図である。 本実施形態の張弦梁ユニットの端部が桁に接合された状態を示す拡大説明図である。 本実施形態の張弦梁ユニットを利用して、3間四方に形成された床梁の梁組構造の一実施形態を示す説明図である。 本実施形態の張弦梁ユニットを利用して方形枠状に形成した異なる3つの実施形態の床梁構造を示す説明図である。 本実施形態の張弦梁ユニットを利用して異形状に形成した床梁構造の一実施形態を示す説明図である。
以下、本発明に係る張弦梁ユニット及び張弦梁ユニットを利用した梁組構造の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1、図2において、本実施形態に係る張弦梁ユニット1は、通常規格寸法の木製角材から構成されるとともに所定間隔を開けて2本配置され、かつ、被接続部材への接続部11Aを両端部に形成された一対の木製梁部材11と、前記一対の木製梁部材11の両端部近傍において両端部がピン接合されるとともに中央部から広角V字状に折り曲げられた鋼材製弦材12と、前記木製梁部材11の中央部から突出して取り付けられるとともに先端部近傍が前記鋼材製弦材12のV字状に折り曲げられた中央部近傍に溶接等で固定された例えば鋼材製の束部材13と、一対の木製梁部材11の両端部近傍において一対の木製梁部材11と鋼材製弦材12との両端部がピン接合されるための接合部材14と、を有している。
ここにおいて、鋼材製弦材12の中央部近傍と束部材13とは、必ずしも、溶接等で固定されるものに限らず、接続具等で連結、あるいは、当接などにより、鋼材製弦材12の張力などの力を束部材13を介して木製梁部材11に伝達できる構造、要するに、関連付けられたものであればよい。
前記木製梁部材11は、通常規格寸法の木製角材であり、例えば、断面形状の縦横寸法が120mm×120mmの木製角材で、長さが2間(3.64m)ものを用いるのが好ましい。前記木製梁部材11の両端部に形成された接続部11Aは、アリ継ぎのホゾ(突起)状に形成され、そのホゾの図1中上下方向の幅は図1に示すように木製角材の太さ(高さ寸法)の略半分である。また、一対の木製梁部材11の一方、図1中後方の木製梁部材11の長手方向中央には、接続される他の木製梁部材11の接続部11Aを嵌合する凹部(ホゾ穴)11Bが形成されている。この凹部11Bの深さは、木製梁部材11の太さ(高さ寸法)の略半分とされている。
なお、アリ継ぎのホゾや凹部の上下方向の幅や深さは、必ずしも、木製角材の太さ(高さ寸法)の略半分である必要はなく、角材の太さなどにより、適宜に設定することが可能である。
また、図1において、凹部11Bを想像線で記載してあるのは、木製梁部材11に他の木製梁部材11の接続部11Aが接続されない場合は、凹部11Bを設けない趣旨である。
前記鋼材製弦材12は、中央部から広角V字状に折り曲げられた丸棒状の鋼材121と、前記鋼材121の両端部に溶接で固定された鉄板などからなる取付部材122と、前記鋼材121の両端部と広角V字状に折り曲げられた中央部の間にそれぞれ備えられたターンバックル123とから構成されている。前記取付部材122は木製梁部材11の両端部近傍においてピン接合されている。
ここにおいて、本実施形態の鋼材製弦材12の広角V字状は、例えば、150度とされているが、実施にあたり、V字状の角度が90度以上180度未満とすることができる。90度未満あるいは180度以上では木製梁部材11の荷重を分担する弦材の機能として不充分である。
この際、鋼材製弦材12の張力調整は、各張弦梁ユニット1のターンバックル123を回して、木製梁部材11が所定量の上反り状態、すなわち、所定の曲げ力が加わった状態になるように調整しておく。この上反りは、建築物が完成した際、上部の荷重が木製梁部材11に加わることにより、水平状態になる。
前記鋼材製の束部材13は、木製梁部材11の中間部底面に取り付けられた鉄製で四角状のベースプレート131と、前記ベースプレート131から立設されて端部を溶接で固定された2枚の鉄板132と、木製梁部材11の中間部底面にベースプレート131を固定するネジ等の固定具133と、を備えて構成されている。前記2枚の鉄板132間に前記鋼材製弦材12の広角V字状に折り曲げられた鋼材121の中央部が溶接で固定されている。
ここにおいて、束部材13の材料としては、必ずしも鋼材製である必要はなく、木製、その他の材料を用いても良い。しかし、鋼材製とすれば、束部材13と前記鋼材製弦材12の鋼材121との関連付け、例えば、固定を、溶接等により、簡易に行える。
前記接合部材14は、図1~図3に示すように、前記一対の木製梁部材11の間に掛け渡されるボルトなどの軸部材141と、軸部材141の先端に螺合されるナット142と、前記取付部材122と前記一対の木製梁部材11の内側面との間に配置された複数のスペーサー143と、軸部材141及びナット142と一対の木製梁部材11の外側面との間に配置されたワッシャ144と、を備えて構成されている。
前記スペーサー143は、鋼材製弦材12の両端部に固定された取付部材122を、一対の木製梁部材11の所定間隔部分の略中心に位置するように配置するためのもので、軸部材141に回動自在に支持されている。
本実施形態に係る木製梁部材11の接続部11Aが他の張弦梁ユニット1Xに接合される場合において、接続部11Aの両脇には、図2の右側に示されるように、補強部材15が設けられている。補強部材15は、接続される側の他の張弦梁ユニット1Xの一対の木製梁部材11を貫通するボルト151と、貫通したボルト151の先端部に螺合されるナット152と、一対の木製梁部材11間に配置されボルト151の締結力による一対の木製梁部材11の変形を防止する支持筒体153と、を備えて構成されている。
また、張弦梁ユニット1が建物の他の張弦梁ユニット1Xに接合される場合、木製梁部材11の接続部11Aが他の張弦梁ユニット1Xの木製梁部材11における一方の木製梁部材11の長手方向中央に形成された凹部(ホゾ穴)11Bに嵌合して固定される。
本実施形態に係る張弦梁ユニット1が建物の桁2に接合される場合において、接合部の両脇には、図1~図3の左側に示されるように、一対の桁側補強部材16が設けられている。桁側補強部材16は、アイボルト161と、アイボルト161に螺合される桁側ナット162と、桁側ワッシャ163とを備えている。アイボルト161は、中央に貫通孔を有する扁平に形成された環状頭部161Aと、ねじ部161Bとを有している(図3参照)。
環状頭部161Aは、一対の木製梁部材11の外側位置に置いて、ワッシャ144を介して接合部材14の軸部材141に挿通されている。アイボルト161のねじ部161Bは、桁2を貫通して突出され、貫通したねじ部161Bには、桁側ワッシャ163を介して桁側ナット162が螺合されている。
このような構成において、アイボルト161に対して桁側ナット162を適宜にねじ込むことにより、一対の木製梁部材11と桁2とが強固に固定され、必要とされる連結強度が確保できる。
また、張弦梁ユニット1が建物の桁2に接合される場合、木製梁部材11の接続部11Aが桁2の側面に形成された凹部(ホゾ穴)21Bに嵌合して固定される。
〔本実施形態の作用〕
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態において、張弦梁ユニット1を他の桁2や梁材に接続して、木造建築物の所定の床構造や天井構造などを構成する場合、上弦材としての一対の木製梁部材11に加わる曲げ、剪断応力、圧縮軸力などの木造建築物に必要な荷重などは、一対の木製梁部材11及び鋼材製弦材12により十分に荷重を分担して支持できる。
すなわち、一対の木製梁部材11の両端部間には、広角V字状に折り曲げられた鋼材製弦材12の両端部がピン接合されているから、一対の木製梁部材11に加わる荷重の一部を鋼材製弦材12が負担し、より大きな構造耐久力を有することとなる。
鋼材製弦材12に加わる力が鋼材製弦材12のV字を開く方向に作用すると、鋼材製弦材12のV字の中央部が束部材13により固定、支持されており、より耐久力を発揮できる。
また、一対の木製梁部材11に対する鋼材製弦材12の支持荷重が不充分な場合、鋼材製弦材12に設けられたターンバックル123を操作することにより、適正な構造耐力を得ることができるように容易に調整できる。
〔本実施形態の効果〕
本実施形態によれば、張弦梁ユニット1を、通常規格寸法の木製角材から構成された一対の木製梁部材11と、一対の木製梁部材11の両端部近傍において両端部がピン接合されるとともに中央部から広角V字状に折り曲げられた鋼材製弦材12と、木製梁部材11の中央部から突出して取り付けられるとともに先端部近傍が前記鋼材製弦材12のV字状に折り曲げられた中央部近傍に固定された鋼材製の束部材13と、一対の木製梁部材11の両端部近傍において一対の木製梁部材11と鋼材製弦材12との両端部がピン接合されるための接合部材14とを備えて構成されたから、高価な規格外角材を用いることなく安価に張弦梁ユニット1を作製することができる。
また、張弦梁ユニット1は軽量な木材から構成されるとともに、鋼材製弦材12や束部材13なども簡易な構造により構成されているので、張弦梁ユニット1そのものも軽量となり、木造建築物に加わる荷重を軽減できる。
さらに、張弦梁ユニット1を他の張弦梁ユニット1Xや桁2に接続する場合、張弦梁ユニット1と他の張弦梁ユニット1Xとの間、張弦梁ユニット1と桁2との間は、それぞれ接続部11Aと凹部11B、21Bとにより、アリ継ぎされ、かつ、補強部材15、桁側補強部材16によって接続されるので、十分な接続強度を有することができる。
〔本実施形態の張弦梁ユニットを利用した梁組構造の実施形態〕
次に、図1~図3に示された実施形態の張弦梁ユニット1を利用した梁組構造を床構造に適用した実施形態について説明する。
図4は張弦梁ユニット1を利用して、3間四方の床構造を構成した場合の実施形態を示す図であり、張弦梁ユニット1は、4つ使用して巴状に組み合わされている。
巴状に組み合わされた張弦梁ユニット1の周囲には、複数本の木製角材により構成された桁2が接続され、全体として3間四方の方形枠状の床構造が形成されている。
本実施形態に係る桁2は、木製梁部材11と同じサイズ、例えば、断面形状の縦横寸法が120mm×120mmの木製角材で、長さが2間(3.64m)の通常規格寸法の木製角材を用い、方形枠状を形成する各桁2はそれぞれ、1本半の木製角材を用いて構成されている。
巴状に組み合わされた張弦梁ユニット1の巴の外側に配置された各木製梁部材11と対向する桁2との間、及び、張弦梁ユニット1の巴の内側には、適宜な間隔で小梁3が固定されている。
本実施形態に係る小梁3は、前記木製梁部材11や桁2と同じサイズの120mm×120mmの木製角材を用い、その小梁3の長さとして1間(1.82m)ものを用いるのが好ましい。
本実施形態において、図4中の点線で表示された位置には、各小梁3を補強するツナギ4が配置されている。ツナギ4は小梁3の中央部で直交して接合される。
本実施形態に係るツナギ4としては、断面形状の縦横寸法が105mm×105mmの木製角材を用い、長さは、掛け渡される小梁3の寸法に応じて切断されて用いられるのが好ましい。
本実施形態の梁組構造の床構造は、以上のように構成されている。
なお、本実施形態の梁組構造を建物床構造に適用する場合、図4に示されるように、方形枠状の桁2の上面でかつ半間(0.91m)間隔で柱5が立設される。前記方形枠状の桁2の四隅に立設する柱5は、通し柱を使用するのが好ましい。
次に、図4に示す床梁構造の梁組する場合の作業工程について説明する。
まず始めに、桁2を複数本、具体的には、方形枠の各辺の長さが2間の通常規格寸法の木製角材を1本半、用いて3間四方の方形枠状に形成する。次に張弦梁ユニット1を4つ(1A,1B,1C,1D)用意する。各張弦梁ユニット1の凹部11Bを方形枠状の桁2の中央側に向けて組み合せる。
つまり、図4に示すように、1つめの張弦梁ユニット1Aを、一端部の接続部11Aを桁2の凹部21B(図1~3参照)に嵌合して接続する。次に、2つめの張弦梁ユニット1Bの一端部の接続部11Aを桁2の凹部21Bに接続するとともに他端部の接続部11Aを張弦梁ユニット1Aの中央部の凹部11Bに嵌合して接続する。3つめの張弦梁ユニット1Cの一端部の接続部11Aを桁2の凹部21Bに接続するとともに他端部の接続部11Aを張弦梁ユニット1Bの中央部の凹部11Bに嵌合して接続する。更に、4つめの張弦梁ユニット1Dの一端部の接続部11Aを桁2の凹部21Bに接続するとともに他端部の接続部11Aを張弦梁ユニット1Cの中央部の凹部11Bに嵌合して接続する。そして、張弦梁ユニット1Dの中央部の凹部11Bと1つめの張弦梁ユニット1Aの他端の接続部11Aとを嵌合して接続する。すると、4つの張弦梁ユニット1A,1B,1C,1Dによって、平面視全体として巴状の構造に組み合される。その後、各張弦梁ユニット1のターンバックル123を回して、木製梁部材11が所定量の上反り状態にしておく。この上反りは、建築物が完成した際、上部の荷重が木製梁部材11に加わることにより、水平状態になる。
次に小梁3を所定数配置する。前記小梁3の一端を桁2と、他端を張弦梁ユニット1と接続させる。これにより、小梁3は略半間間隔で配置される。
また、ツナギ4を、桁2と小梁3の間、小梁3の間、張弦梁ユニット1の間、に配置する。これにより、図4に示す床梁構造となる。この時、木製梁部材11や桁2などの主要部材の木製角材として同じサイズのものを使用する場合、全て地元周辺の桧120mm×120mm角材(間伐材でも可能)を使用することにより、地域産業の活性化に貢献できる。
小梁3やツナギ4の接続は、通常の接続方法、例えば、適宜な接続金具などを用いて行われる。
その後、木造建築物を建築する場合には、柱5を方形枠状の桁2の上面でかつ半間間隔で立設すると、内部に柱5を設けなくとも3階迄の木造建築物の建築が可能となる。このため、仕切りを自由に設けてレイアウトすることができ、模様替えやリフォームにも柔軟に対応できる。
また、本実施形態の床梁構造を利用して、所定の木造建築物を建築する場合、建築物に必要な強度が確保できる。
なお、張弦梁ユニット1同士、張弦梁ユニット1と桁2との各接合部は、図1~図3に示される補強部材15、及び、桁補強部材16が設けられている。以下の各実施形態においても、同様である。
図5は張弦梁ユニット1を利用して、方形枠状(四角形状)に形成した異なる3つの大きさ(広さ)の床梁構造の実施形態を示す図である。
図5(a)には、図4と同一の構成の床張り構造が示されており、張弦梁ユニット1を4つ利用して、4つ巴状に組み合された3間四方の床梁構造を形成した図が示されている。
図5(b)は張弦梁ユニット1を、8つ利用して、4間四方の床梁構造を形成した図が示されている。
図5(c) は張弦梁ユニット1を、16ユニット利用して5間四方の床梁構造を形成した図が示されている。
これらの実施形態においても、図1~図4に示された実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
すなわち、通常規格寸法の木製角材から構成された木製梁部材11を用いて、安価、軽量で、十分な耐荷重力のある張弦梁ユニット1を用いた木造建築物の建築が可能となる。
図6は張弦梁ユニット1を利用して、四角形状以外の異形状、例えば、雁行状に形成した床梁構造の他の実施形態を示す図である。
これは張弦梁ユニット1を多数利用し、巴状の構造を複数組み合わして構成された木造建築物用の梁組構造であり、その形状としては、図6の形状に限定されるものではなく、例えば、L字状,クランク状,コの字状,更に任意な形状に形成することが可能となる。
なお、図6において、張弦梁ユニット1の開放端部間には、適宜な木製構造材6が設けられている。木製構造材6は、基本的に、木製梁部材11などと同様な通常規格寸法の木製角材を用いるが、必要に応じて、他の寸法の角材などを用いても良い。
このような実施形態においても、図1~図5に示された実施形態と同様な作用効果を奏することができる。
また、巴状の梁組構造を複数組み合わせることにより、木造建築物の床部や天井の大きさや形状を様々に変化させた形状とすることができるため、デザイン性に優れた木造建築物の建築が可能となる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、木製梁部材11同士、あるいは、木製梁部材11と桁2との接続は、前記実施形態のようなアリ継ぎに限らず、鋼板とボルト、接着剤、その他の接続方法でも良い。しかし、木造建築物で多用されるアリ継ぎ構造とすれば、簡易な構造で十分な接続耐力を達成できるメリットがある。
1 張弦梁ユニット
11 木製梁部材
11A 接続部
11B 凹部
12 鋼材製弦材
123 ターンバックル
13 束部材
131 ベースプレート
132 鉄板
14 接合部材
141 軸部材
142 ナット
143 スペーサー
2 桁
21B 凹部

Claims (8)

  1. 通常規格寸法の木製角材から構成されるとともに両端部に被接続部材への接続部をそれぞれ形成され、所定間隔を開けて2本配置された一対の木製梁部材と、前記一対の木製梁部材の両端部近傍において両端部がピン接合されるとともに中央部から広角V字状に折り曲げられた鋼材製弦材と、前記一対の木製梁部材の中央部から突出して取り付けられるとともに先端部近傍が前記鋼材製弦材のV字状に折り曲げられた中央部近傍に関連付けられた束部材と、を有する木造建築物用の張弦梁ユニット。
  2. 請求項1に記載の木造建築物用の張弦梁ユニットにおいて、前記一対の木製梁部材の両端部近傍に前記鋼材製弦材をピン接合するための接合部材を設け、前記接合部材は、前記一対の木製梁部材の両端部において前記一対の木製梁部材間にそれぞれ掛け渡された軸部材と、前記鋼材製弦材の両端部にそれぞれ固定されるとともに前記軸部材に回動自在に支持された取付部材と、前記軸部材に回動自在に支持されるとともに前記取付部材と前記一対の木製梁部材の内側面との間に配置されたスペーサーとを備えて構成された木造建築物用の張弦梁ユニット。
  3. 請求項1または請求項2に記載の木造建築物用の張弦梁ユニットにおいて、前記鋼材製弦材のV字状に折り曲げられた中央部と前記鋼材製弦材の両端部との中間の少なくとも一方にターンバックルが設けられた木造建築物用の張弦梁ユニット。
  4. 請求項1または請求項2に記載の木造建築物用の張弦梁ユニットにおいて、前記束部材は、前記一対の木製梁部材に取り付けられるベースプレートと、前記ベースプレートから立設された2枚の鉄板と、を備えて構成され、これらの2枚の鉄板間に前記鋼材製弦材が溶接で固定された木造建築物用の張弦梁ユニット。
  5. 請求項1に記載の木造建築物用の前記張弦梁ユニットを4つ用い、各前記張弦梁ユニットの前記木製梁部材の一端部を他の前記張弦梁ユニットの前記木製梁部材の側面にそれぞれ接合して、平面視全体として巴状に構成された木造建築物用の梁組構造。
  6. 請求項2に記載の木造建築物用の前記張弦梁ユニットを4つ用い、各前記張弦梁ユニットの前記木製梁部材の一端部を他の前記張弦梁ユニットの前記木製梁部材の側面にそれぞれ接合して、平面視全体として巴状に構成された木造建築物用の梁組構造。
  7. 請求項5または請求項6に記載の木造建築物用の梁組構造において、前記鋼材製弦材のV字状に折り曲げられた中央部と前記鋼材製弦材との中間の少なくとも一方にターンバックルが設けられた木造建築物用の梁組構造。
  8. 請求項5または請求項6に記載の木造建築物用の梁組構造を複数組み合わせて構成された木造建築物用の梁組構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH01322043A (ja) * 1988-06-24 1989-12-27 Kajima Corp 集成材梁の屋根架構
JP3032197U (ja) * 1996-03-04 1996-12-17 株式会社西村建設 建物の木製強力ラチス梁構造

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