JP2024077683A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性に優れ、耐ホットオフセット性及び耐折り曲げ性が良好なトナーの提供。【解決手段】結晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bと離型剤とを含有するトナーであって、結晶性樹脂Aは、(i)特定のユニット(a)を30.0質量%以上含有し、(ii)トナーを基準として、20.0~80.0質量%含有されており、非晶性樹脂Bは、5.0~80.0質量%含有されており、結晶性樹脂Aと前記非晶性樹脂Bとの合計の含有量が、50.0質量%以上であり、トナーをテトラヒドロフランと、さらにノルマルヘキサンに溶解して可溶分をGPCにより分子量5000以下を分取して得られる成分を成分Wとし、成分Wの含有量が、0.5~20.0質量%であり、成分Wの最大吸熱ピークのピーク温度をTmW(℃)、成分W由来のトナーの吸熱ピークの温度をTmT(℃)としたとき、50.0≦TmW≦85.0、-2.0≦TmW-TmT≦4.5を満足する。【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法、静電記録法に用いられるトナーに関するものである。
従来、電子写真装置においても省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられ、定着装置にかかる熱量の大幅な削減が検討されている。特に、トナーにおいては、より低エネルギーでの定着が可能な、いわゆる「低温定着性」のニーズが高まっている。
低温での定着を可能にするための手法として、結着樹脂に結晶性樹脂を使用する方法が検討されている。トナー用の結着樹脂として一般的に用いられる非晶性の樹脂は、示差走査熱量計(DSC)測定において明確な吸熱ピークを示さないが、結晶性樹脂成分を含有する場合には、DSC測定における吸熱ピークが現れる。
結晶性樹脂は、分子内の側鎖が規則的に配列することにより、吸熱ピーク温度まではほとんど軟化しないといった性質を有する。また、吸熱ピーク温度を境に結晶が急激に融解し、それに伴った急激な粘度の低下が起こる。このため、シャープメルト性に優れ、低温定着性を示す材料として注目されている。
結晶性樹脂として、長鎖アルキル基を分子内の側鎖に有する結晶性のビニル樹脂を使用したトナーが挙げられる。通常、結晶性のビニル樹脂は、主鎖骨格に長鎖アルキル基を側鎖として有し、側鎖の長鎖アルキル基同士が結晶化することで、結晶性樹脂となる。特許文献1では、結晶性のビニル樹脂を主成分とする海部と非晶性樹脂を主成分とする島部とで構成される海島構造が見られるトナーが提案されている。特許文献2では、α-オレフィンモノマーユニットを含有する離型剤を結晶性のビニル樹脂に添加したトナーが提案されている。
特開2014-142632号公報 特開2022-96213号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載のトナーは低温定着性を満足しているものの、耐ホットオフセット性及び、定着後のベタ画像(印字比率が非常に高い画像)の耐折り曲げ性が十分ではないことが分かった。この耐折り曲げ性は、フルカラーの広い普及に伴い、より重要な特性の一つとなっている。
特許文献1に記載のトナーは、結晶成分である長鎖アルキル基を有するビニル樹脂となじみの良い離型剤を使用している。定着時に離型剤が内部に残存することにより、高温定着時に離型剤による離型効果が低下するため、ホットオフセットが発生しやすくなっていると考えられる。また、定着後のベタ画像を折り曲げた際に、トナー内部の離型剤が起因となって割れや剥がれが発生し、耐折り曲げ性が低下すると考えられる。
特許文献2に記載のトナーは、結着樹脂中の結晶成分が多く、高温定着時に粘度が低下しすぎるため、耐ホットオフセット性が不十分となる。また、結晶性樹脂の結晶の方向に沿った割れ(劈開)が起こることにより、定着後のベタ画像を折り曲げた際に、割れや剥がれが発生し、耐折り曲げ性が低下すると考えられる。以上のことから、低温定着性に優れ、耐ホットオフセット性と定着後のベタ画像の耐折り曲げ性に優れたトナーの実現にはさらなる改善が求められている。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、低温定着性に優れ、耐ホットオフセット性と定着後のベタ画像の耐折り曲げ性に優れたトナーを提供することにある。
本発明は、結晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bと離型剤とを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性樹脂Aは、
(i)下記式(1)で表されるユニット(a)を30.0質量%以上含有し、
(ii)トナーの質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下含有されており、
前記非晶性樹脂Bは、トナーの質量を基準として、5.0質量%以上80.0質量%以下含有されており、
前記結晶性樹脂Aと前記非晶性樹脂Bとの合計の含有量が、トナーの質量を基準として、50.0質量%以上であり、
トナーをテトラヒドロフランに溶解して、テトラヒドロフラン可溶分を得て、得られた前記テトラヒドロフラン可溶分をノルマルヘキサンに溶解してノルマルヘキサン可溶分を得て、得られた前記ノルマルヘキサン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量5000以下を分取して得られる成分を成分Wとしたとき、
成分Wの含有量が、トナーの質量を基準として、0.5質量%以上20.0質量%以下であり、
成分Wの最大吸熱ピークのピーク温度をTmW(℃)、成分W由来のトナーの吸熱ピークの温度をTmT(℃)としたとき、
前記TmWと前記TmTとが、
50.0≦TmW≦85.0
-2.0≦TmW-TmT≦4.5
を満足することを特徴とするトナーに関する。
Figure 2024077683000001
[式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、L1は、単結合、エステル結合、またはアミド結合を表し、mは15以上30以下の整数を表す。]
本発明によれば、低温定着性に優れ、耐ホットオフセット性と定着後のベタ画像の耐折り曲げ性に優れたトナーを提供できる。
本発明において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
「モノマーユニット」とは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。例えば、ポリマー中の重合性単量体が重合した主鎖中の、炭素-炭素結合1区間を1ユニットとする。重合性単量体とは下記式(C)で表すことができる。
Figure 2024077683000002
[式(C)中、RAは水素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基)を表し、RBは任意の置換基を表す。]
<本発明の特徴>
本発明者らは、結晶性樹脂を用いたトナーにおいて、結着樹脂中の結晶性樹脂及び非晶性樹脂の含有量、更にトナー中における結着樹脂と離型剤の相溶性を適切に制御することで、上記課題を解決できることを見出した。
本発明は、結晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bと離型剤とを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性樹脂Aは、
(i)下記式(1)で表されるユニット(a)を30.0質量%以上含有し、
(ii)トナーの質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下含有されており、
前記非晶性樹脂Bは、トナーの質量を基準として、5.0質量%以上80.0質量%以下含有されており、
前記結晶性樹脂Aと前記非晶性樹脂Bとの合計の含有量が、トナーの質量を基準として、50.0質量%以上であり、
トナーをテトラヒドロフランに溶解して、テトラヒドロフラン可溶分を得て、得られた前記テトラヒドロフラン可溶分をノルマルヘキサンに溶解してノルマルヘキサン可溶分を得て、得られた前記ノルマルヘキサン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量5000以下を分取して得られる成分を成分Wとしたとき、
成分Wの含有量が、トナーの質量を基準として、0.5質量%以上20.0質量%以下であり、
成分Wの最大吸熱ピークのピーク温度をTmW(℃)、成分W由来のトナーの吸熱ピークの温度をTmT(℃)としたとき、
前記TmWと前記TmTとが、
50.0≦TmW≦85.0
-2.0≦TmW-TmT≦4.5
を満足することを特徴とする。
Figure 2024077683000003
[式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、L1は、単結合、エステル結合、またはアミド結合を表し、mは15以上30以下の整数を表す。]
低温定着性と耐ホットオフセット性を両立するためには、広い温度領域の定着時において離型剤が定着画像表面に染み出すことと、トナーがシャープメルト性を有しつつ高温定着時に粘度が低すぎないことが重要である。
本発明者らは、結着樹脂と離型剤の相分離性を高め、相分離性を示すパラメータであるTmW-TmTを小さくし、かつトナーに非晶性樹脂を一定量用いることにより、低温定着性と耐ホットオフセット性を改善させ、さらにベタ定着画像の耐折り曲げ性にも効果があることを見出した。
ここで、TmW-TmTは、トナーから取り出した離型剤の吸熱ピーク温度と、トナー中の離型剤の吸熱ピーク温度との差を示す。離型剤と結着樹脂との相分離性が高い場合、離型剤が融ける際に結着樹脂による影響を受けづらく、TmW-TmTは小さい値を示す。
ベタ定着画像を折り曲げた際に割れや剥がれが発生する理由としては、(1)割れ等の起因となる離型剤が定着画像内部に残存すること、及び、(2)結晶成分による劈開が起こることが考えられる。
上記(1)の離型剤が定着画像内部に残存することに関しては、定着時には熱がかかり、トナー粒子で微分散していた離型剤が融け、その融けた離型剤が定着画像の表面もしくは内部で冷えて固まり、大きなドメインとなる。この離型剤の大きなドメインが定着画像の内部に存在すると、定着画像を折り曲げた際に、このドメインが破断面となって画像に割れ等が発生しやすくなる。このような離型剤が定着画像内部に残存することを防ぐには、トナー中で離型剤と結着樹脂との相分離性を高めた状態を作り出し、定着時に速やかに定着画像表面に染み出させる必要がある。
そこで、結着樹脂に非晶性樹脂を含有させることで、非晶性樹脂による分子同士の絡まりにより、定着時の結晶性樹脂と離型剤の相溶を阻害でき、離型剤と結着樹脂との相分離性が高まる。そのため、非晶性樹脂が定着時における定着画像表面への離型剤の染み出しを促進でき、離型剤のドメインが定着後のベタ画像内部に残りづらくなる。
上記(2)の結晶成分による劈開についても同様に、定着後にトナーが冷え固まった際に、定着画像内で結晶性成分が大きな結晶となることで、折り曲げた際に結晶に沿った割れ等が発生しやすくなる。非晶性樹脂は、分子同士の絡まりが多いことで適度な靭性を有しているため、結着樹脂に非晶性樹脂を含有させることで、結晶成分の劈開を抑制する効果も発現できる。
このようなメカニズムによって、低温定着性と耐ホットオフセット性、ベタ定着画像の耐折り曲げ性のいずれもが良好なトナーの提供が達成される。
以下、本発明のトナーについて詳細に述べる。
本発明のトナーは、結晶性樹脂Aを含有する。結晶性樹脂Aは、式(1)で表されるユニット(a)を有する樹脂である。
Figure 2024077683000004
[式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、L1は、単結合、エステル結合、またはアミド結合を表し、mは15以上30以下の整数を表す。]
式(1)は、長鎖アルキル基を有することを示しており、長鎖アルキル基を有することで、樹脂が結晶性を示す。
式(1)中のmが15以上30以下の範囲であれば、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。より好ましくは、mが18以上24以下である。
結晶性樹脂Aにユニット(a)を導入するための方法としては、αオレフィンやβオレフィン、(メタ)アクリル酸エステル、長鎖アルキルを有するN-アルキルアクリルアミドなどのモノマーをビニル重合に添加する方法が挙げられる。
中でも、SP値や、吸熱ピーク温度といった結晶性樹脂Aの物性の制御のしやすさから、式(a-A)で示されるユニットを有することが好ましい。
Figure 2024077683000005
[式(a-A)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、mは15以上30以下の整数を表す。]
式(a-A)で示されるユニットを導入するための方法としては、以下に例示するような(メタ)アクリル酸エステルをビニル重合に添加する方法が挙げられる。
具体的には、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ヘンエイコサニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセリル、(メタ)アクリル酸セリル、(メタ)アクリル酸オクタコサ、(メタ)アクリル酸ミリシル、(メタ)アクリル酸ドドリアコンタ及び(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル等のモノマーである。
結晶性樹脂Aにおけるユニット(a)の割合は、30.0質量%以上100質量%以下である。ユニット(a)の割合が30.0質量%未満の場合、結晶成分が少なく低温定着性が悪化する。
ユニット(a)の割合の好ましい範囲の上限は、90.0質量%以下である。好ましい下限は50.0質量%以上であり、より好ましくは60.0質量%以上であり、更に好ましくは70.0質量%以上である。
本発明のトナーにおける結晶性樹脂Aの含有割合は、トナーの質量を基準として20.0質量%以上80.0質量%以下である。
結晶性樹脂Aの含有割合が20.0質量%未満である場合は、結晶成分が少なく低温定着性が悪化する。結晶性樹脂Aの含有割合が80.0質量%を超えるトナーは、高温定着時にトナーの粘度が低くなってしまい、耐ホットオフセット性が悪化する。
結晶性樹脂Aの含有割合の好ましい範囲の下限は、25.0質量%以上である。また、好ましい上限は60.0質量%以下であり、より好ましくは50.0質量%以下、さらに好ましくは40.0質量%以下である。
本発明のトナーは、結晶性樹脂Aに加えて、非晶性樹脂Bを含有する。
本発明のトナーにおける非晶性樹脂Bの含有割合は、トナーの質量を基準として5.0質量%以上80.0質量%以下である。
非晶性樹脂Bの含有割合が5.0質量%未満である場合は、結晶成分の割合が多く劈開を抑えきれず、ベタ画像定着性が悪化する。非晶性樹脂Bの含有割合が80.0質量%を超えるトナーは、結晶成分の割合が小さく低温定着性が悪化する。
非晶性樹脂Bの含有割合の好ましい範囲の下限は、10.0質量%以上である。より好ましくは30.0質量%以上であり、さらに好ましくは40.0質量%以上である。一方、好ましい上限は65.0質量%以下である。
本発明のトナーにおける結晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bの合計の含有割合は、トナーの質量を基準として50.0質量%以上である。
結晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bの合計の含有割合が50.0質量%未満である場合、結着樹脂が少なく、定着時にトナーが紙に結着しづらくなり、折り曲げ耐性が悪化する。
本発明における成分Wは、トナーをテトラヒドロフランに溶解して、テトラヒドロフラン可溶分を得て、得られた前記テトラヒドロフラン可溶分をノルマルヘキサンに溶解してノルマルヘキサン可溶分を得て、得られた前記ノルマルヘキサン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量5000以下を分取して得られる成分とする。
成分Wはヘキサンに溶解する成分であり、極性が低いことから離型剤が主成分である。
本発明のトナーにおける成分Wの含有割合は、トナーの質量を基準として0.5質量%以上20.0質量%以下である。
成分Wの含有割合が0.5質量%未満である場合は、定着時の離型効果が小さく、耐ホットオフセット性が悪化してしまう。成分Wの含有割合が20.0質量%より大きい場合は、定着時に成分Wが内部に残り、成分Wが起因になり、ベタ画像の耐折り曲げ性が悪化する。
成分Wの好ましい範囲の下限は、2.0質量%以上である。より好ましくは5.0質量%以上である。また、好ましい上限は、16.0質量%以下である。
本発明のトナーは、成分Wの最大吸熱ピークのピーク温度をTmW(℃)、成分W由来のトナーの吸熱ピークの温度をTmT(℃)としたとき、
前記TmWと前記TmTとが、
50.0≦TmW≦85.0
-2.0≦TmW-TmT≦4.5
を満足する。
トナーの吸熱ピークを測定する場合、熱履歴を受けることでトナー中での相溶状態が変化する恐れがあるため、DSC測定において第一昇温過程の測定結果を用いる。また、成分Wの吸熱ピークを測定する場合、トナーから成分Wを取り出す操作において結晶状態が変化してしまう恐れがあるため、DSC測定において第二昇温過程の測定結果を用いる。
TmWが50.0℃未満である場合、成分Wが結着樹脂と相溶しやすくなり、耐ホットオフセット性が悪化する。TmWが85.0℃よりも大きいと、低温定着時の離型効果が小さく、低温定着性が悪化する。
TmWは、65.0℃以上80.0℃以下であることが好ましい。
TmTは、トナー中で成分Wと結晶性樹脂Aが相溶している場合、TmWより低い値を示す。また、成分Wが単体で存在しているときよりも、トナー中で結晶化度が高い場合、TmTはTmWより大きい値を示す場合がある。これは結晶性樹脂Aによって離型剤の結晶化度がより向上していることを意味する。
-2.0はTmW-TmTの取りうる値の下限である。TmW-TmTが4.5よりも大きい場合、トナー中で成分Wと結晶性樹脂Aの相溶性が高く、耐ホットオフセット性と耐折り曲げ性が悪化する。
TmW-TmTの好ましい範囲の上限は、4.0以下である。より好ましくは3.0以下である。
TmW-TmTはトナーに使用する離型剤の種類や、結晶性樹脂AのSP値等により制御可能である。
結晶性樹脂Aについて述べる。結晶性樹脂Aに使用可能なユニット(a)ユニット(a)、及びユニット(a-A)を有するモノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、結晶性樹脂Aはユニット(a)とは別に、他のユニットを有することも可能である。他のユニットを導入するための方法としては、先に例示したモノマーと、他のビニル系単量体を重合させる方法がある。
他のビニル系単量体としては、以下が挙げられる。
スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステル類。
ウレア基を有する単量体;例えば炭素数3以上22以下のアミン[1級アミン(ノルマルブチルアミン、t-ブチルアミン、プロピルアミン及びイソプロピルアミン等)、2級アミン(ジノルマルエチルアミン、ジノルマルプロピルアミン、ジノルマルブチルアミン等)、アニリン及びシクロキシルアミン等]と、エチレン性不飽和結合を有する炭素数2以上30以下のイソシアネートとを公知の方法で反応させた単量体等。
カルボキシ基を有する単量体;例えば、メタクリル酸、アクリル酸、(メタ)アクリル酸-2-カルボキシエチル。
ヒドロキシ基を有する単量体;例えば、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル等。
アミド基を有する単量体;例えば、アクリルアミド、炭素数1以上30以下のアミンとエチレン性不飽和結合を有する炭素数2以上30以下のカルボン酸(アクリル酸及びメタクリル酸等)を公知の方法で反応させた単量体。
ニトリル基を有する単量体;例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
ビニルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル。
中でも、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチルを使用することが好ましい。
結晶性樹脂AのSP値が18.4(J/cm30.5以上20.5(J/cm30.5以下であることが好ましい。
結晶性樹脂AのSP値が18.4(J/cm30.5以上であると、離型剤と相溶しにくくなり、耐折り曲げ性が向上しやすくなる。20.5(J/cm30.5以下であると、ユニット(a)の割合が多く結晶量が多くなり、低温定着性が向上しやすくなる。より好ましい範囲は、19.5(J/cm30.5以上20.2(J/cm30.5以下である。
本発明に使用可能な非晶性樹脂Bとしては、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられるが、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂であることが、結晶性樹脂Aとの相分離性を制御する観点で好ましい。
前記非晶性樹脂Bがビニル樹脂の場合、モノマーユニットとして前記結晶性樹脂Aに使用可能なビニル系単量体を使用することができる。中でも、スチレンまたは(メタ)アクリル酸アルキルを使用したビニル樹脂であることが同様の観点で好ましい。前記モノマーユニットは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。より好ましくはモノマーユニットとしてスチレンと(メタ)アクリル酸エステルの両方を含むビニル樹脂である。
前記非晶性樹脂Bがモノマーユニットとしてスチレンと(メタ)アクリル酸エステルの両方を含む共重合体であると、結晶性樹脂Aとの相分離性を適度に保ち、ベタ定着画像の耐折り曲げ性を向上しやすくなる。
前記非晶性樹脂Bがビニル樹脂の場合、前記モノマーユニットに加えて、他のモノマーユニットを有することも可能である。他のモノマーユニットを導入するための方法としては、前記(メタ)アクリル酸エステルと、前記結晶性樹脂Aに使用可能なビニル系単量体を重合させる方法がある。
前記非晶性樹脂Bがポリエステル樹脂の場合、2価以上の多価カルボン酸と多価アルコールの反応により得ることができるポリエステル樹脂のうち、結晶性を示さない樹脂が使用可能である。
多価カルボン酸としては例えば以下の化合物が挙げられる。琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、ドデセニルコハク酸のような二塩基酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル、並びに、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸。1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、及びこれらの無水物又はこれらの低級アルキルエステル。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、以下の化合物を挙げることができる。アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,3-プロピレングリコール);アルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール);ビスフェノール類(ビスフェノールA);脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド)付加物。アルキレングリコール及びアルキレンエーテルグリコールのアルキル部分は直鎖状であっても、分岐していてもよい。さらに、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、酸価や水酸基価の調整を目的として、必要に応じて酢酸及び安息香酸のような1価の酸、シクロヘキサノール及びベンジルアルコールのような1価のアルコールも使用することができる。
ポリエステル樹脂の製造方法については特に限定されないが、例えばエステル交換法や直接重縮合法を単独で又は組み合わせて用いることができる。
前記非晶性樹脂Bは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
非晶性樹脂BのSP値が18.9(J/cm30.5以上21.4(J/cm30.5以下であることが好ましい。
非晶性樹脂BのSP値が18.9(J/cm30.5以上であると、非晶性樹脂Bがトナー中でドメイン化しやすく、結晶性樹脂Aの密度が高くなり、低温定着性を達成しやすくなる。21.4(J/cm30.5以下であると、結晶性樹脂Aとの相分離性を適度に維持しやすく、樹脂間の界面が少なくなり、ベタ定着画像の耐折り曲げ性を達成しやすくなる。より好ましくは、19.5(J/cm30.5以上20.2(J/cm30.5以下である。
前記成分WのGPCによるピーク分子量Mpは、1000以上3000以下であることが好ましい。Mpが1000以上であると、高温定着時の離型効果が高く耐ホットオフセット性が向上しやすくなる。Mpが3000以下であると、低温定着時の離型効果が高く、低温定着性が向上しやすくなる。
成分WのSP値が16.5(J/cm30.5以上17.6(J/cm30.5以下であることが好ましい。
成分WのSP値が16.5(J/cm30.5以上であると、離型性が確保しやすくなり、低温定着性と耐折り曲げ性が向上しやすくなる。17.6(J/cm30.5以下であると、結晶性樹脂Aと相溶しにくくなり、耐折り曲げ性を向上しやすくなる。
成分Wとして使用可能な離型剤は、炭化水素系ワックス、エステルワックス及びシリコーンワックスからなる群から選択される少なくとも一である。炭化水素系ワックス、エステルワックス、シリコーンワックスを使用することで、有効な離型性を確保しやすくなる。
炭化水素系ワックスとしては特に限定はないが、例えば以下のものが挙げられる。
脂肪族炭化水素系ワックス:低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量オレフィン共重合体、フィッシャートロプシュワックス、ポリα-オレフィンまたはこれらが酸化、酸付加されたワックス。
エステルワックスは、1分子中にエステル結合を少なくとも1つ有していればよく、天然エステルワックス、合成エステルワックスのいずれを用いてもよい。
エステルワックスとしては特に限定はないが、例えば以下のものが挙げられる。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル等の1価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
セバシン酸ジベヘニル等の2価カルボン酸とモノアルコールのエステル類;
エチレングリコールジステアレート、ヘキサンジオールジベヘネート等の2価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
グリセリントリベヘネート等の3価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート等の4価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;
ポリグリセリンベヘネート等の多官能アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステルワックス類;
中でも、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、ジペンタエリスリトールヘキサベヘネート等の6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類が好ましい。
シリコーンワックスとしては、1分子中にシロキサン結合及び炭素数13以上40以下のアルキレン基をそれぞれ少なくとも1つ有していればよい。例えば、アルキル基含有変性ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、ジメチコン含有コポリマーが挙げられる。
成分Wは、式(2)の構造を有することが好ましい。式(2)の構造を有することで、上記TmW-TmTを制御しやすくなる。中でもポリα-オレフィンを表す、X1及びY1が、下記式(ii)の組み合わせであることがより好ましい。
Figure 2024077683000006
[式(2)中、
5は水素原子またはメチル基を表し、
6は炭素数14以上34以下の直鎖アルキル基を表し、
1及びY1が、以下の(i)または(ii)のいずれかの組合せである。
(i)X1が酸素原子を表し、Y1がケイ素原子を表す。
(ii)X1がメチレン基を表し、Y1が炭素原子を表す。]
なお、離型剤は、炭化水素系ワックス又はエステルワックス又はシリコーンワックスを単独で用いてもよく、炭化水素系ワックス、エステルワックス、シリコーンワックスを併用してもよく、それぞれ二種類以上を混合して用いてもよい。
<貯蔵弾性率、および、損失弾性率の貯蔵弾性率に対する比>
本発明のトナーは、トナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が1.0×107Paとなる温度をT1[℃]、としたとき、下記式(7)を満足することが好ましい。
50.0≦T1≦70.0 (7)
式(7)を満足することで、トナーの低温定着性と放置後カブリ抑制を両立できる。
T1が50.0℃以上であると、放置後カブリ抑制が向上する。一方、T1が70.0℃以下であると、低温定着性が向上する。
T1は、結晶性樹脂Aの長鎖アルキル基の長さや、結着樹脂中の長鎖アルキル基の割合等により制御可能である。
また、本発明のトナーは、トナーの粘弾性測定において、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T1)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)としたとき、以下の式(8)及び(9)を満足することが好ましい。
0.30≦tanδ(T1)≦1.00 式(8)
1.00≦tanδ(T1)/tanδ(T1-10)≦1.90 式(9)
T1は、トナーが溶けている最中の温度であるため、tanδ(T1)が式(8)の範囲内であることで、低温定着時における変形のしやすさが適度に保たれ、転写材が粗い質感のラフ紙のような場合でも、ラフ紙でのグロスを高く維持しやすくなる。また、tanδ(T1)/tanδ(T1-10)が式(9)の範囲内であることで、ラフ紙での凸部及び凹部において変形のしやすさが一定の範囲内になり、グロス均一性が良化しやすくなる。tanδ(T1)の下限は0.40以上であることがより好ましい。また、tanδ(T1)の上限は、0.90以下であることがより好ましく、0.80以下であることがさらに好ましい。
tanδ(T1)は、トナーにおける樹脂の添加量等で制御可能である。また、結晶性樹脂Aの長鎖アルキル基の長さや、結着樹脂中の長鎖アルキル基の割合等により制御可能である。さらに、トナー製造時における架橋剤の種類や添加量によっても制御可能である。
tanδ(T1)/tanδ(T1-10)の下限は、1.10以上であることがより好ましく、1.20以上であることがさらに好ましい。また、上限は、1.80以下であることがより好ましい。
tanδ(T1)/tanδ(T1-10)は、トナーに使用する重合性単量体の種類や添加量等で制御可能である。
<トナー>
トナー粒子の重量平均粒径D4は、4.00μm以上15.00μm以下であることが好ましく、より好ましくは5.00μm以上8.00μm以下である。重量平均粒径(D4)が上記範囲であれば、耐折り曲げ性を向上しやすくなる。
本発明のトナーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるテトラヒドロフラン(THF)可溶分の重量平均分子量(Mw)が、10000以上200000以下であることが好ましい。下限は30000以上であることがより好ましく、50000以上であることが更に好ましい。上限は180000以下であることがより好ましい。Mwが上記範囲内であることで、トナーの耐久性が向上しやすくなる。
<着色剤>
本発明のトナーは、着色剤を含有してもよい。着色剤として、公知の有機顔料、有機染料、無機顔料、黒色着色剤としてのカーボンブラック、磁性粒子などが挙げられる。
イエロー用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180が好適に用いられる。
マゼンタ用着色剤としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が好適に用いられる。
シアン用着色剤としては、以下のものが挙げられる。銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が好適に用いられる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、トナー中の分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、好ましくは結着樹脂100.0質量部に対し、1.0質量部以上20.0質量部以下である。着色剤として磁性粒子を用いる場合、その含有量は結着樹脂100.0質量部に対し、40.0質量部以上150.0質量部以下であることが好ましい。
<荷電制御剤>
必要に応じて荷電制御剤をトナー粒子に含有させてもよい。また、荷電制御剤をトナー粒子に外部添加してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。
荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。
荷電制御剤として、トナーを負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。ニグロシン、四級アンモニウム塩、高級脂肪酸の金属塩、ジオルガノスズボレート類、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上20.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
<外添剤>
トナー粒子はそのままトナーとして用いてもよいし、必要により外添剤などを混合しトナー粒子表面に付着させることで、トナーとしてもよい。
外添剤としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子からなる群から選ばれる無機微粒子又はその複合酸化物などが挙げられる。複合酸化物としては、例えば、シリカアルミニウム微粒子やチタン酸ストロンチウム微粒子などが挙げられる。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上4.0質量部以下であることがより好ましい。
<トナーの製造方法>
本発明のトナー粒子は、本件構成の範囲内であれば、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、粉砕法といった、従来公知のいずれの方法において製造されてもよいが、懸濁重合法によって製造されることが好ましい。
懸濁重合法について、詳細を述べる。
例えば、予め合成した結晶性樹脂Aを離型剤と共に、本発明の非晶性樹脂Bを生成する各重合性単量体の混合物に添加する。必要に応じて、着色剤、荷電制御剤などのその他材料を添加し、均一に溶解、又は分散して重合性単量体組成物を調製する。
その後、該重合性単量体組成物を水系媒体中に撹拌器などを用いて分散し、重合性単量体組成物の懸濁粒子を調製する。その後、粒子に含有される重合性単量体を開始剤等によって重合させることにより、トナー粒子を得る。
トナー粒子は重合終了後、公知の方法によって濾過、洗浄、乾燥を行い、必要に応じて外添剤を添加して、トナーを得るとよい。
該重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることが可能である。
例えば、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレ-ト、t-ブチルパーオキシイソブチレ-ト、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドのような過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
また、公知の連鎖移動剤、重合禁止剤を用いてもよい。
該水系媒体は、無機又は有機の分散安定剤を含有してもよい。
分散安定剤としては、公知の分散安定剤を用いることが可能である。
無機の分散安定剤としては、例えば、ヒドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛のようなリン酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのような炭酸塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウムのような硫酸塩;メタケイ酸カルシウム;ベントナイト;シリカ;アルミナが挙げられる。
一方、有機の分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンが挙げられる。
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成させて用いてもよい。
例えば、ヒドロキシアパタイトや第三リン酸カルシウムのようなリン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を混合するとよい。
該水系媒体は界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることが可能である。例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
〔各種物性値の測定法〕
トナー及びトナー材料の各種物性についての算出方法及び測定方法について以下に記す。
<吸熱ピークのピーク温度の測定方法>
吸熱ピークのピーク温度は、DSC Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、示差走査熱量測定を行う。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いる。昇温過程として、10℃/minの速度で180℃まで昇温させる。そして、各ピークからピーク温度を算出する。
成分Wの最大吸熱ピークについては、以下のように条件を変更して測定を行う。
昇温速度:10℃/min
降温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
第一昇温終了温度:180℃
降温終了温度:20℃
第二昇温終了温度:180℃
第一昇温過程として、10℃/minの速度で180℃まで昇温させる。その後、20℃まで降温させ、第二昇温過程として、10℃/minの速度で180℃まで昇温させる。第二昇温過程で検出されたピークからピーク温度を算出する。その他の条件は、上記と同様である。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールターカウンターMultisizer3、ベックマンコールター社製)、及び、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト(商品名:ベックマンコールターMultisizer3 Version3.51、ベックマンコールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマンコールター社製のISOTONII(商品名)が使用できる。
なお、測定及び解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマンコールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTONII(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm~60μmに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer3専用のガラス製の250mL丸底ビーカーに上記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに上記電解水溶液約30mLを入れる。そして、この中に分散剤として、富士フイルム和光純薬(株)製のコンタミノンN(商品名)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。コンタミノンN(商品名)は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤および有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液である。
(3)超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora 150、日科機バイオス(株)製)の水槽に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。Ultrasonic Dispersion System Tetora 150は、発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器である。
(4)上記(2)のビーカーを上記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー粒子約10mgを少量ずつ上記電解水溶液に添加し、分散させる。さらに、60秒間、超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃~40℃となるように適宜水温を調節する。
(6)サンプルスタンドの内部に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー粒子を分散させた上記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の上記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「算術径」が重量平均粒径(D4)である。
<分子量の測定方法>
トナー及び結晶性樹脂A、非晶性樹脂B、成分Wのテトラヒドロフラン可溶分の分子量(重量平均分子量Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
サンプルを60℃にて、24時間かけてテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
・装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<トナーから成分Wの分離方法>
トナーから成分Wの分離は、トナーをテトラヒドロフランに溶解して、テトラヒドロフラン可溶分を得て、得られた前記テトラヒドロフラン可溶分をノルマルヘキサンに溶解してノルマルヘキサン可溶分を得て、得られた前記ノルマルヘキサン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量5000以下を分取することで分離する。
トナーのテトラヒドロフラン可溶分は以下の手順で得る。トナー500mgを円筒濾紙(商品名:No.86R、サイズ28×100mm、アドバンテック東洋社製)に入れてソックスレー抽出器にセットする。溶媒としてTHF200mLを用いて18時間抽出し、その際に溶媒の抽出サイクルが約5分に一回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、エバポレーターで溶媒を除去し、40℃で8時間真空乾燥し、トナーのテトラヒドロフラン可溶分を得る。
ノルマルヘキサン可溶分は以下の手順で得る。上記のテトラヒドロフラン可溶分にノルマルヘキサン200mLを入れて、室温で24時間かけてノルマルヘキサンに溶解する。ノルマルヘキサン溶液をろ過し、ろ液を取り出し、エバポレーターで溶媒を除去し、40℃で8時間真空乾燥することで、ノルマルヘキサン可溶分を得る。
次にノルマルヘキサン可溶分をGPC(リサイクルHPLC)により、分子量5000以下の成分を離型剤として分離する。分取方法を以下に示す。
前記ノルマルヘキサン可溶分のクロロホルム溶液を作製する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、クロロホルムに可溶な成分の濃度が1.0質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件でGPC(リサイクルHPLC)による分取を行う。得られた分取溶液を真空乾燥させ、成分Wを得る。
・装置:LC-Sakura NEXT(日本分析工業社製)
・カラム:JAIGEL2H、4H(日本分析工業社製)
・溶離液:クロロホルム
・流速:10.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:1.0ml
・分取条件:分子量校正曲線において分子量5000となる溶出時間以降を分取
分取条件にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<トナーからの結晶性樹脂A及び非晶性樹脂Bの分離方法>
トナーからの結晶性樹脂A及び非晶性樹脂Bの分離については、公知の方法により可能であるが、以下に一例を示す。
トナーからの樹脂成分を分離する方法として、グラジエントLCを使用する。本分析では、分子量によらず、結着樹脂中の樹脂の極性に応じた分離をすることができる。
まず、上記成分Wの分離する過程でノルマルヘキサンに不溶である成分をクロロホルムに溶解する。試料はクロロホルムにてサンプル濃度が0.1質量%となるように調整し、その溶液を0.45μmのPTFEフィルターで濾過したものを測定に供した。グラジエントポリマーLC測定条件を以下に示す。
装置 :UlTIMATE3000 (Thermo Fisher Scientific製)
移動相 :A クロロホルム(HPLC)、B アセトニトリル(HPLC)
グラジエント:2min(A/B=0/100)→25min(A/B=100/0) (なお、移動相の変化の勾配は直線になるようにした。)
流速 :1.0mL/分
注入 :0.1質量%×20μL
カラム :Tosoh TSKgel ODS(4.6mmφx150mm x 5μm)
カラム温度 :40℃
検出器 :Corona荷電化粒子検出器(Corona-CAD)(Thermo Fisher Scientific製)
測定で得られた時間-強度のグラフについて、極性に応じて樹脂成分が2ピークに分離できる。その後、再度上記測定を行い、それぞれのピークの谷になる時間で分取することで、二種類の樹脂に分離することが可能である。分離した樹脂についてDSC測定を行い、吸熱ピークが存在する樹脂を結晶性樹脂A、存在しない樹脂を非晶性樹脂Bとする。
<樹脂中の各種モノマーユニットの含有割合の測定方法>
樹脂中の各種モノマーユニットの含有割合の測定は、1H-NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。得られた1H-NMRチャートを解析し、各モノマーユニットの構造を同定する。ここでは一例として、結晶性樹脂A中のモノマーユニット(a)の含有割合の測定について記載する。得られた1H-NMRチャートにおいて、モノマーユニット(a)の構成要素に帰属されるピークの中から、その他のモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークとは独立したピークを選択し、このピークの積分値S1を算出する。樹脂A中に含有されるその他のモノマーユニットについても、それぞれ同様に積分値を算出する。
結晶性樹脂Aを構成するモノマーユニットがモノマーユニット(a)とその他のモノマーユニット1種である場合、モノマーユニット(a)の含有割合は、上記積分値S1、及びその他のモノマーユニットのピークの積分値S2を用いて、以下のようにして求める。なお、n1、n2はそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
モノマーユニット(a)の含有割合(モル%)=
{(S1/n1)/((S1/n1)+(S2/n2))}×100
その他のモノマーユニットが2種以上ある場合でも同様にモノマーユニット(a)の含有割合を算出できる。
なお、ビニル基以外の構成要素に水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、1H-NMRにて同様にして算出する。上記方法によって算出した各モノマーユニットの割合(モル%)に、各モノマーユニットの分子量を乗じて、各モノマーユニットの含有割合を質量%に変換する。
非晶性樹脂Bにおいても同様の方法を用いて測定を行う。
<成分W中の長鎖アルキル基の鎖長の測定方法>
成分W中の長鎖アルキル基の鎖長の測定方法は、下記測定条件による固体熱分解GC/MSが用いられる。300℃程度で熱分解させた際に生じる、成分W由来の分解物の成分のマススペクトルを計測し、分解ピークをデータベースと照合することで、長鎖アルキル基の炭素数を測定することができる。
(熱分解GC/MSの測定条件)
熱分解装置:EGA/PY-3030D(フロンティア・ラボ)
分解温度:300℃
インターフェース温度:320℃
GC/MS装置: TRACE 1310 ISQ LT(Thermo Fisher)
カラム:HP-5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:280℃
スプリットフロー:30mL/min
キャリアフロー:1mL/min
スプリット比率:30
オーブン温度:40℃ 5分保持 10℃/1分昇温 320℃ 20分保持
MSイオン化:EI
イオン源温度:250℃
Mass Range:25-800
<成分Wの同定方法>
成分Wの同定は、公知の方法により可能であるが、以下に一例を示す。
成分Wがポリα-オレフィンである場合、上述した成分W中の長鎖アルキル基の鎖長の測定方法により、長鎖アルキル基の鎖長を測定し、上述した分子量の測定方法により、成分Wの分子量を求め、成分Wが同定できる。
<溶解度パラメータ(SP値)の算出方法>
本発明の結晶性樹脂A、非晶性樹脂B及び成分WのSP値は、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求めた。
例えば、成分WのSP値(J/cm30.5を計算する場合、同定を行った成分Wの分子構造中の原子又は原子団に対して、「Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(J/mol)及びモル体積(Δvi)(cm3/mol)を求め、下記式(8)により算出する。
式(8):SPw1=(ΣΔei/ΣΔvi)0.5
本発明の樹脂のSP値はFedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求めた。
まず、樹脂を構成する繰り返しユニットのSP値を以下のようにして求める。ここで、樹脂を構成する繰り返しユニットとは、樹脂を重合によって得る場合に用いられるモノマーの二重結合が重合によって開裂した状態の分子構造を意味する。
例えば、繰り返しユニットのSP値(σm)(J/cm30.5を計算する場合、その繰り返しユニットの分子構造中の原子又は原子団に対して、「Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(J/mol)及びモル体積(Δvi)(cm3/mol)を求め、下記式(9)より算出する。
式(9): σm=(ΣΔei/ΣΔvi)0.5
樹脂のSP値は、樹脂を構成する繰り返しユニットの蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)を繰り返しユニット毎に求める。そして各繰り返しユニットの樹脂中におけるモル比(j)との積をそれぞれ算出し、各繰り返しユニットの蒸発エネルギーの総和をモル体積の総和で割ることによって求め、下記式(10)より算出する。
式(10): σp={(Σj×ΣΔei)/(Σj×ΣΔvi)}0.5
例えば、樹脂がX及びYの2種類の繰り返しユニットより構成されるものと仮定した時、各繰り返しユニットの組成比をWx及びWy(質量%)、分子量をMx及びMy、蒸発エネルギーをΔei(X)、Δei(Y)、及び、モル体積をΔvi(X)、Δvi(Y)とすると、各繰り返しユニットのモル比(j)はそれぞれWx/Mx及びWy/Myとなり、この樹脂のSP値(σp)は下記式(11)のようになる。
式(11): σp=[{(Wx/Mx)×Δei(X)+Wy/My×Δei(Y)}/{(Wx/Mx)×Δvi(X)+Wy/My×Δvi(Y)}]0.5
さらに2種類以上の樹脂を混合した場合は、その混合物のSP値(σM)は混合物の質量組成比(Wi)とそれぞれの樹脂のSP値(σi)の積として算出し、下記式(12)のようになる。
式(12): σM=Σ(Wi×σi)
<tanδの測定方法>
本発明において、tanδは、粘弾性測定装置(レオメーター)ARES(Rheometrics Scientific社製)を用いて測定を行う。測定の概略は、Rheometrics Scientific社製発行のARES操作マニュアル902-30004(1997年8月版)、902-00153(1993年7月版)に記載されているが、以下の通りである。
・測定治具:torsion rectangular
・測定試料:トナーについて、加圧成型機を用い幅約12mm、高さ約20mm、厚み約2.5mmの直方体型試料を作製する(常温で30分間25kNを維持する)。加圧成型機はNPaシステム社製100kNプレスNT-100Hを用いる。
治具及びサンプルを常温(23℃)に1時間放置した後、治具にサンプルを取り付ける。測定部の幅約12mm、厚さ約2.5mm、高さ10.0mmになるように固定する。測定開始温度30℃まで10分間かけて温調した後、下記設定で測定を行う。
・測定周波数 :6.28rad/s
・測定歪みの設定:初期値を0.1%に設定し、自動測定モードにて測定を行う
・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整
・測定温度 :30℃から150℃まで毎分2℃の割合で昇温する
・測定間隔 :30秒おき、すなわち1℃おきに粘弾性データを測定する
Microsoft社製Windows2000上で動作するRSI Orchesrator(制御、データ収集および解析ソフト)(Rheometrics Scientific社製)へ、インターフェースを通じてデータ転送する。
測定データのうち、1.0×107Paとなる温度をT1[℃]とする。また、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T2)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)とする。
〔本発明の実施形態に含まれる構成〕
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)結晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bと離型剤とを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性樹脂Aは、
(i)上記式(1)で表されるユニット(a)を30.0質量%以上含有し、
(ii)トナーの質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下含有されており、
前記非晶性樹脂Bは、トナーの質量を基準として、5.0質量%以上80.0質量%以下含有されており、
前記結晶性樹脂Aと前記非晶性樹脂Bとの合計の含有量が、トナーの質量を基準として、50.0質量%以上であり、
トナーをテトラヒドロフランに溶解して、テトラヒドロフラン可溶分を得て、得られた前記テトラヒドロフラン可溶分をノルマルヘキサンに溶解してノルマルヘキサン可溶分を得て、得られた前記ノルマルヘキサン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量5000以下を分取して得られる成分を成分Wとしたとき、
成分Wの含有量が、トナーの質量を基準として、0.5質量%以上20.0質量%以下であり、
成分Wの最大吸熱ピークのピーク温度をTmW(℃)、成分W由来のトナーの吸熱ピークの温度をTmT(℃)としたとき、
前記TmWと前記TmTとが、
50.0≦TmW≦85.0
-2.0≦TmW-TmT≦4.5
を満足することを特徴とするトナー。
(構成2)前記成分Wのピーク分子量Mpが1000以上3000以下である構成1に記載のトナー。
(構成3)前記結晶性樹脂Aが、上記式(1)で示すユニット(a)を50.0質量%以上90.0質量%以下含有する構成1または2に記載のトナー。
(構成4)前記結晶性樹脂Aが、トナーの質量を基準として、25.0質量%以上60.0質量%以下含有されている構成1~3のいずれかに記載のトナー。
(構成5)前記非晶性樹脂Bが、トナーの質量を基準として、30.0質量%以上80.0質量%以下含有されている構成1~4のいずれかに記載のトナー。
(構成6)前記結晶性樹脂AのSP値が18.4(J/cm30.5以上20.5(J/cm30.5以下である構成1~5のいずれかに記載のトナー。
(構成7)前記非晶性樹脂BのSP値が18.9(J/cm30.5以上21.4(J/cm30.5以下である構成1~6のいずれかに記載のトナー。
(構成8)前記非晶性樹脂Bが、スチレンと、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルの両方を含むモノマーの共重合体である構成1~7のいずれかに記載のトナー。
(構成9)前記成分WのSP値が16.5(J/cm30.5以上17.6(J/cm30.5以下である構成1~8のいずれかに記載のトナー。
(構成10)前記成分Wが、上記式(2)で示されるユニットを有する構成1~9のいずれかに記載のトナー。
(構成11)上記式(2)中、X1がメチレン基であり、Y1が炭素原子である構成10に記載のトナー。
(構成12)前記トナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が1.0×107Paとなる温度をT1[℃]とし、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T1)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)としたとき、以下の式(7)~(9)
50.0≦T1≦70.0 (7)
0.30≦tanδ(T1)≦1.00 (8)
1.00≦tanδ(T1)/tanδ(T1-10)≦1.90 (9)
を満足する構成1~11のいずれかに記載のトナー。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
<結晶性樹脂A1の調製>
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・トルエン 100.0質量部
・単量体組成物 100.0質量部
[単量体組成物は以下の単量体を以下に示す割合で混合したものとする。
・アクリル酸ベヘニル(単量体(a);式(1)のR1=水素、L1=エステル結合、m=21) 80.0質量部
・メタクリロニトリル 20.0質量部]
・重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)0.5質量部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0質量部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して結晶性樹脂A1を得た。得られた結晶性樹脂A1の物性を表2に示す。
<結晶性樹脂A2~A11の調製>
結晶性樹脂A1の調製において、単量体組成物の種類及び添加量を表1に変更する以外はすべて同様にして、結晶性樹脂A2~A11を調製した。得られた結晶性樹脂A2~A11の物性を表2に示す。
Figure 2024077683000007
Figure 2024077683000008
<非晶性樹脂B1の調製>
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・トルエン 100.0質量部
・単量体組成物 100.0質量部
[単量体組成物は以下の単量体を以下に示す割合で混合したものとする。
・アクリル酸ブチル 25.0質量部
・スチレン 75.0質量部]
・重合開始剤 t-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)0.5質量部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、70℃に加熱して12時間重合反応を行い、単量体組成物の重合体がトルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0質量部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して非晶性樹脂B1を得た。非晶性樹脂B1の組成はアクリル酸ブチル25.0質量%、スチレン75.0質量%、Mwは52600、SP値は20.1(j/cm30.5であった。
<離型剤W1の製造例>
・溶媒:トルエン 100.0質量部
・1-トリアコンテン 100.0質量部
加熱乾燥したオートクレーブに、水素雰囲気下、上記材料及び、下記材料を加え、160℃で130分間重合した。
・トリイソブチルアルミニウム 0.5mmol
・(1,2’-ジメチルシリレン)(2,1’―ジメチルシリレン)ビス(3-トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド 2μmol
・ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート 8μmol
重合反応終了後、沈殿した反応物を25℃で分離し、アセトンにて洗浄した後、加熱・減圧下で、乾燥処理することにより、離型剤W1を得た。離型剤W1のピーク分子量は1900、温度―吸熱量曲線のピークトップ温度は70.0℃であった。
<離型剤W2~W4、W8~W9の製造例>
離型剤W1の製造例において、それぞれの重合性単量体及び添加量を表3となるように変更した以外は同様にして反応を行い、離型剤W2~W4、W8~W9を得た。得られた離型剤Wの物性を表3に示す。
<離型剤W5の製造例>
(α-オレフィン混合体(α1)の調製)
出光興産社製のα-オレフィンの混合体「リニアレン26+」をナスフラスコに入れ、減圧蒸留装置にて0.1kPa下で蒸留を行った。留分温度が200℃~300℃である留分α-オレフィン混合体(α1)を得た。
(離型剤W5の調製)
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・ポリ(メチルヒドロシロキサン)(平均数平均分子量390、シグマアルドリッチ社製)
15.0質量部
・α-オレフィン混合体(α1) 55.1質量部
・トルエン 100.0質量部
・塩化白金酸 0.0055質量部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、100℃に加熱して6時間反応を行うことで、トルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0質量部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して離型剤W5を得た。得られた離型剤W5の物性を表3に示す。
<離型剤W6の製造例>
(離型剤W6の調製)
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・ポリ(ジメチルシロキサン),ヒドリド末端(平均数平均分子量580、シグマアルドリッチ社製 15.0質量部
・α-オレフィン混合体(α1) 19.6質量部
・トルエン 49.3質量部
・塩化白金酸 0.0020質量部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、100℃に加熱して6時間反応を行うことで、トルエンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0質量部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して離型剤W6を得た。得られた離型剤W6の物性を表3に示す。
<離型剤W7の製造例>
(離型剤W7の調製)
還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、窒素雰囲気下、下記材料を投入した。
・ポリ(メチルヒドロシロキサン)(数平均分子量390、シグマアルドリッチ社製)
15.0質量部
・ウンデシレン酸メチル 20.0質量部
・トルエン 100.0質量部
・塩化白金酸 0.0020質量部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、100℃に加熱して6時間反応を行った。その後加水分解反応を行ったのち、溶媒を除去し、40℃で24時間真空乾燥にて、加水分解物1を得た。
次いで、加水分解物1が入った反応容器に下記材料を投入した。
・ベヘニルアミン 28.4質量部
・キシレン 100.0質量部
上記反応容器内を200rpmで撹拌しながら、135℃に加熱して10時間反応を行うことで、キシレンに溶解した溶解液を得た。続いて、上記溶解液を25℃まで降温した後、1000.0質量部のメタノール中に上記溶解液を撹拌しながら投入し、メタノール不溶分を沈殿させた。得られたメタノール不溶分をろ別し、更にメタノールで洗浄後、40℃で24時間真空乾燥して離型剤W7を得た。得られた離型剤W7の物性を表3に示す。
Figure 2024077683000009
〔実施例1〕
[懸濁重合法によるトナーの製造]
(トナー粒子1の製造)
・アクリル酸ブチル(非晶性樹脂B構成モノマー) 12.1質量部
・スチレン(非晶性樹脂B構成モノマー) 36.4質量部
・着色剤 ピグメントブルー15:3 6.5質量部
からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。
一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0質量部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0質量部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、イオン交換水65.0質量部に塩化カルシウム(2水和物)9.0質量部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを6.0に調整し、ヒドロキシアパタイトを含む無機分散安定剤が水中に分散した水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、
・結晶性樹脂A1 34.0質量部
・離型剤W1 9.0質量部
を添加して60℃を保持しながら100rpmで30分間撹拌した後、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート(日油社製:パーブチルPV)9.0質量部を添加してさらに1分間撹拌した後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃に昇温した。70℃を保持しながら150rpmで12時間重合反応を行い、トナー粒子分散液を得た。
得られたトナー粒子分散液を150rpmで撹拌しながら45℃まで冷却した後、45℃を維持したまま5時間熱処理を行った。その後、撹拌を保持したままpHが1.5になるまで希塩酸を加えて分散安定剤を溶解させた。固形分をろ別し、イオン交換水で充分に洗浄した後、30℃で24時間真空乾燥して、トナー粒子1を得た。トナー粒子1の重量平均粒径(D4)は6.54μmであった。
(トナー1の調製)
上記トナー粒子1:98.0質量部に対して、外添剤として、シリカ微粒子(シリコーンオイルによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0質量部を加えてFMミキサ(日本コークス工業社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー1を得た。得られたトナー1の物性を表5に示す。
〔実施例2~29、32~36〕
実施例1において、使用する結晶性樹脂A、重合性単量体(非晶性樹脂B構成モノマー)、離型剤Wの種類と添加量を表4のように変更する以外はすべて同様にして、トナー粒子2~29、32~36を得た。
さらに、実施例1と同様の外添を行い、トナー2~29、32~36を得た。トナーの物性を表5に示す。
〔実施例30〕
[粉砕法によるトナーの作製]
・結晶性樹脂A1 34.0質量部
・非晶性樹脂B1 48.5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 6.5質量部
・離型剤W1 9.0質量部
上記材料をFMミキサー(日本コークス工業(株)製)で前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM-30型))によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T-250)で粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)7.16μmのトナー粒子30を得た。
トナー粒子30に対し、実施例1と同様の外添を行い、トナー30を得た。トナー30の物性を表5に示す。
〔実施例31〕
[乳化凝集法によるトナーの製造]
(結晶性樹脂分散液の調製)
・トルエン 300.0質量部
・結晶性樹脂A1 100.0質量部
上記材料を秤量・混合し、90℃で溶解させた。
別途、イオン交換水700.0質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0質量部、ラウリン酸ナトリウム10.0質量部を加え90℃で加熱溶解させた。次いで前記のトルエン溶液と水溶液を混ぜ合わせ、超高速攪拌装置T.K.ロボミックス(プライミクス製)を用いて7000rpmで攪拌した。さらに、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)用いて200MPaの圧力で乳化した。その後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い結晶性樹脂A1微粒子の濃度20%の結晶性樹脂分散液を得た。
結晶性樹脂A1微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)を動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いて測定したところ、0.41μmであった。
(非晶性樹脂分散液の調製)
・トルエン 300.0質量部
・非晶性樹脂B1 100.0質量部
上記材料を秤量・混合し、90℃で溶解させた。
別途、イオン交換水700.0質量部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.0質量部、ラウリン酸ナトリウム10.0質量部を加え90℃で加熱溶解させた。次いで前記のトルエン溶液と水溶液を混ぜ合わせ、超高速攪拌装置T.K.ロボミックス(プライミクス製)を用いて7000rpmで攪拌した。さらに、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)用いて200MPaの圧力で乳化した。その後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、イオン交換水で濃度調整を行い非晶性樹脂微粒子の濃度20%の非晶性樹脂分散液を得た。
非晶性樹脂微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)を動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いて測定したところ、0.39μmであった。
(離型剤分散液の調製)
・離型剤W1 100.0質量部
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 5.0質量部
・イオン交換水 395.0質量部
上記材料を秤量し、攪拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック製)へ循環させて分散処理を60分間行った。分散処理の条件は、以下のようにした。
・ローター外径3cm
・クリアランス0.3mm
・ローター回転数19000r/min
・スクリーン回転数19000r/min
分散処理後、ローター回転数1000r/min、スクリーン回転数0r/min、冷却速度10℃/minの冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、離型剤微粒子の濃度20%の離型剤分散液を得た。
離型剤微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)を動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いて測定したところ、0.14μmであった。
(着色剤分散液の調製)
・C.I.ピグメントブルー15:3 50.0質量部
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 7.5質量部
・イオン交換水 442.5質量部
上記材料を秤量・混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて1時間分散して、着色剤を分散させてなる着色剤微粒子の濃度10%の着色剤分散液を得た。
着色剤微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)を動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA-EX150(日機装製)を用いて測定したところ、0.20μmであった。
(トナー31の製造)
・結晶性樹脂分散液 200.0質量部
・非晶性樹脂分散液 300.0質量部
・離型剤分散液 45.0質量部
・着色剤分散液 65.0質量部
・イオン交換水 160.0質量部
前記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入、混合した。続いてホモジナイザー ウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて5000r/minで10分間分散した。1.0%硝酸水溶液を添加し、pHを3.0に調整した後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで58℃まで加熱した。形成された凝集粒子の体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIIを用い、適宜確認し、重量平均粒径(D4)が6.83μmである凝集粒子が形成されたところで、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、攪拌を継続しながら、75℃まで加熱した。そして、75℃で1時間保持することで凝集粒子を融合させた。
その後、45℃まで冷却し5時間の熱処理を行った。
その後、25度まで冷却し、ろ過・固液分離した後、イオン交換水で洗浄を行った。洗浄終了後に真空乾燥機を用いて乾燥することで、重量平均粒径(D4)が6.65μmのトナー粒子31を得た。
トナー粒子31に対し、実施例1と同様の外添を行い、トナー31を得た。トナー31の物性を表5に示す。
〔比較例1~7〕
実施例1において、使用する結晶性樹脂A、重合性単量体(非晶性樹脂B構成モノマー)、離型剤の種類と添加量を表4のように変更する以外はすべて同様にして、比較用トナー粒子1~7を得た。
さらに、実施例1と同様の外添を行い、比較用トナー1~7を得た。トナーの物性を表5に示す。
〔比較例8〕
・結晶性樹脂A11 65.8質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 25.7質量部
・離型剤W1 6.6質量部
上記材料をFMミキサー(日本コークス工業(株)製)で前混合した後、二軸混練押し出し機(池貝鉄工(株)製PCM-30型))によって、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T-250)で粉砕し、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径(D4)6.67μmの比較用トナー粒子8を得た。
比較用トナー粒子8に対し、実施例1と同様の外添を行い、比較用トナー8を得た。比較用トナー8の物性を表5に示す。
Figure 2024077683000010
Figure 2024077683000011
Figure 2024077683000012
<トナーの評価方法>
得られた各トナーに対し、それぞれ下記評価を行った。
<1>低温定着性
トナーが充填されたプロセスカートリッジを25℃、湿度40%RHにて48時間放置した。定着器を外しても動作するように改造したLBP-712Ci(キヤノン株式会社製)を用いて、30mm×30mmの四角画像が転写紙全体に均等に9ポイント配列された画像パターンの未定着画像を出力した。転写紙上のトナー乗り量は、0.80mg/cm2とし、定着開始温度を評価した。なお、転写紙は、粗い質感のA4用紙(「プローバーボンド紙」:105g/m2、フォックスリバー社製)を使用した。
定着器は、LBP-712Ciの定着器を外部へ取り外し、レーザービームプリンター外でも動作するようにした外部定着器を用いた。なお、外部定着器は、定着温度を90℃から5℃刻みに上げて行き、プロセススピード:260mm/secの条件で定着を行った。
定着画像を目視で確認し、コールドオフセットが発生しない最低温度を定着開始温度として、低温定着性を以下の基準で評価した。評価結果を表6に示す。
(評価基準)
A:定着開始温度が100℃以下
B:定着開始温度が105℃以上110℃以下
C:定着開始温度が115℃以上120℃以下
D:定着開始温度が125℃以上
<2>耐ホットオフセット性
低温定着性と同条件でホットオフセットが観察されなかった最高温度を最高定着温度とし、最高定着温度と最低定着温度の差を定着可能領域とした。定着可能領域の評価基準は以下の通りである。評価結果を表6に示す。
(評価基準)
A:定着可能領域が60℃以上
B:定着可能領域が50℃以上60℃未満
C:定着可能領域が40℃以上50℃未満
D:定着可能領域が40℃未満
<3>耐折り曲げ性
上記<1>の評価における定着開始温度より10℃高い温調にて設定し、カラー複写機・プリンター用普通紙 GF-C209(坪量209g/cm2、厚さ212μm;キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)上に、A4片面にトナー載り量が0.70mg/cm2のベタ画像形成し、ベタ画像が形成された記録紙を十字に折り曲げた。折り曲げる条件は、折り曲げ部を平らな重りで4.9kPaの荷重をかけつつ、5往復移動させることとした。その後、折り曲げた画像部を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、目視観察にて折り曲げ部の評価を行った。
次に、折り曲げ部を、CCDカメラ用い、800ピクセル/インチの解像度で、512ピクセル四方の領域について撮影した。
閾値を60%に設定し、画像を二値化した。トナーが剥離した部分は白部であり、白部の面積率が小さいほど、耐折り曲げ性に優れていることを表す。評価結果を表6に示す。(評価基準)
A:白部の面積率が1.0%未満
B:白部の面積率が1.0%以上2.0%未満
C:白部の面積率が2.0%以上3.0%未満
D:白部の面積率が3.0%以上
<4>グロス及びグロスムラの評価
上記<1>の評価における、定着開始温度の定着画像を使用した。ハンディ型グロスメーターPG-1(日本電色工業株式会社製)を用いてグロス値を測定した。測定条件は、投光角度、受光角度をそれぞれ75°に合わせ、9ポイント配列された画像パターンをすべて測定し、その平均値を評価した。評価結果を表6に示す。
[グロス評価基準]
A:グロスの平均値が24.0%以上
B:グロスの平均値が20.0%以上25.0%未満
C:グロスの平均値が15.0%以上20.0%未満
D:グロスの平均値が15.0%未満
また、測定値の標準偏差をグロスムラの評価とした。評価結果を表6に示す。
[グロスムラ評価基準]
A:グロスの標準偏差が1.00以下
B:グロスの標準偏差が1.00を超えて2.00以下
C:グロスの標準偏差が2.00を超えて3.00以下
D:グロスの標準偏差が3.00を超える
Figure 2024077683000013

Claims (12)

  1. 結晶性樹脂Aと非晶性樹脂Bと離型剤とを含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結晶性樹脂Aは、
    (i)下記式(1)で表されるユニット(a)を30.0質量%以上含有し、
    (ii)トナーの質量を基準として、20.0質量%以上80.0質量%以下含有されており、
    前記非晶性樹脂Bは、トナーの質量を基準として、5.0質量%以上80.0質量%以下含有されており、
    前記結晶性樹脂Aと前記非晶性樹脂Bとの合計の含有量が、トナーの質量を基準として、50.0質量%以上であり、
    トナーをテトラヒドロフランに溶解して、テトラヒドロフラン可溶分を得て、得られた前記テトラヒドロフラン可溶分をノルマルヘキサンに溶解してノルマルヘキサン可溶分を得て、得られた前記ノルマルヘキサン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量5000以下を分取して得られる成分を成分Wとしたとき、
    成分Wの含有量が、トナーの質量を基準として、0.5質量%以上20.0質量%以下であり、
    成分Wの最大吸熱ピークのピーク温度をTmW(℃)、成分W由来のトナーの吸熱ピークの温度をTmT(℃)としたとき、
    前記TmWと前記TmTとが、
    50.0≦TmW≦85.0
    -2.0≦TmW-TmT≦4.5
    を満足することを特徴とするトナー。
    Figure 2024077683000014
    [式(1)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、L1は、単結合、エステル結合、またはアミド結合を表し、mは15以上30以下の整数を表す。]
  2. 前記成分Wのピーク分子量Mpが1000以上3000以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結晶性樹脂Aが、前記式(1)で示すユニット(a)を50.0質量%以上90.0質量%以下含有する請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記結晶性樹脂Aが、トナーの質量を基準として、25.0質量%以上60.0質量%以下含有されている請求項1または2に記載のトナー。
  5. 前記非晶性樹脂Bが、トナーの質量を基準として、30.0質量%以上80.0質量%以下含有されている請求項1または2に記載のトナー。
  6. 前記結晶性樹脂AのSP値が18.4(J/cm30.5以上20.5(J/cm30.5以下である請求項1または2に記載のトナー。
  7. 前記非晶性樹脂BのSP値が18.9(J/cm30.5以上21.4(J/cm30.5以下である請求項1または2に記載のトナー。
  8. 前記非晶性樹脂Bが、スチレンと、アクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルの両方を含むモノマーの共重合体である請求項1または2に記載のトナー。
  9. 前記成分WのSP値が16.5(J/cm30.5以上17.6(J/cm30.5以下である請求項1または2に記載のトナー。
  10. 前記成分Wが、下記式(2)で示されるユニットを有する請求項1または2に記載のトナー。
    Figure 2024077683000015
    [式(2)中、
    5は水素原子またはメチル基を表し、
    6は炭素数14以上34以下の直鎖アルキル基を表し、
    1及びY1が、以下の(i)または(ii)のいずれかの組合せである。
    (i)X1が酸素原子を表し、Y1がケイ素原子を表す。
    (ii)X1がメチレン基を表し、Y1が炭素原子を表す。]
  11. 前記式(2)中、X1がメチレン基であり、Y1が炭素原子である請求項10に記載のトナー。
  12. 前記トナーの粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’が1.0×107Paとなる温度をT1[℃]とし、温度T1[℃]における損失弾性率G”の貯蔵弾性率G’に対する比(tanδ)をtanδ(T1)、温度T1-10[℃]におけるtanδをtanδ(T1-10)としたとき、以下の式(7)~(9)
    50.0≦T1≦70.0 (7)
    0.30≦tanδ(T1)≦1.00 (8)
    1.00≦tanδ(T1)/tanδ(T1-10)≦1.90 (9)
    を満足する請求項1または2に記載のトナー。
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