JP2024077240A - 加工性に優れた粘弾性体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来、シリコーンゲルシート等は柔らかさを追求する為に粘着力が強く、打抜き加工、裁断加工、スリット加工等の加工時に刃に粘弾性体が貼り付いてしまったり、また多くの実装作業者は手作業で実装している現状にあり、その作業性の悪さについて改善が要求されていた。【解決手段】 不織布で形成された三次元繊維構造物と、エラストマーと、フッ素樹脂粉末とを混合して一体化した、加工性に優れた粘弾性体である。前記粘弾性体を構成するエラストマーは、シリコーンゲルまたはウレタンゲルでアスカーF硬度が30以下、針入度が50以上、前記粘弾性体を構成する三次元繊維構造体の空隙率は51%以上で、厚さはの前記粘弾性体の厚さの30~99%であり、前記粘弾性体の表面に露出しないように配置されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、切断面が非粘着面である、加工性に優れた粘弾性体に関する。
アスカーFを用いて測定した硬度が30以下の非常に柔らかい粘弾性体、例えば、シリコーンゲルは粘性が高いため制振性は大きいが、接着性が強く、伸度が大きいため非常に低い力で伸びるという特徴がある。
このような粘弾性体を加工する場合、例えば、正方形等の粘弾性体を打ち抜き機で別の形状に打ち抜くために、打ち抜き機へ粘弾性体をセットする際に、粘着性と伸び易さにより前記粘弾性体が型崩れを起こしやすく、正方形の形状通りに打ち抜き機にセットすることが難しいという問題があった。
これを解決するために本出願人は、三次元繊維構造物と一体化され、アスカーF硬度が30以下、針入度が50以上の粘弾性体であり、前記三次元繊維構造物が不織布であり、シリコーンゲルまたはウレタンゲル含み、空隙率は51%以上である粘弾性体を開示している(特許文献1参照。)。
また、ICチップ等の発熱性部品、ヒートシンク等の放熱部品に対して過度の応力を付加することなく、これらの部品に対して十分な間隙充填性及び接触面積を確保することができる、三次元形状の熱伝導性成形体が開示されている。該三次元形状の熱伝導性成形体の実施態様は、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含んでいる。しかしながら、前記三次元形状熱伝導性成形体は、略平坦な底面と、該底面の内部に位置する三次元形状部とを有しており、底面より上方の前記三次元形状部の高さが少なくとも2か所で相違する複雑な構造の三次元形状熱伝導性成形体及びその製造方法である(特許文献2参照。)。
また、シリコーンゲルシート及びシリコーンパテシートから選ばれる少なくとも一つのシリコーンシートが開示されている。前記シリコーンシートの硬さはショア00で75以下で厚さ方向に切断されており、前記シリコーンシートの切断面同士は隙間なく隣接し、前記シリコーンシートの前記切断面は非粘着性であり、前記切断面で分離可能であり、前記切断面の粘着性はタッキネスチェッカーで0.6N以下である(特許文献3参照。)。
特開2020-125557号公報 WO2018-078436号公報 特開2019-169692号公報
しかし近年、機器の小型化、高性能化に伴いシリコーンゲルシート等には柔らかさ、高熱伝導性能および薄型化が求められている。従来、シリコーンゲルシート等は制振性及び耐衝撃性を追及するために柔らかく粘着力が強く、また多くの実装作業者は手作業で実装している現状にあり、その作業性の悪さについて改善が要求されていた。
本発明の粘弾性体は、不織布で形成された三次元繊維構造物と、エラストマーと、フッ素樹脂粉末とを混合して一体化したものであり、エラストマーは、シリコーンゲルまたはウレタンゲルである。前記エラストマーのアスカーF硬度は30以下、針入度は50以上である。また、前記粘弾性体を構成する三次元繊維構造物の空隙率は51%以上で、厚さは、前記粘弾性体の厚さの30~99%である。
本発明の粘弾性体は、三次元繊維構造物と、エラストマーと、フッ素樹脂粉末とを混合して一体化した。アスカーF硬度が30以下で、針入度が50以上のエラストマーを使用しているにもかかわらず、三次元繊維構造物と一体化されることにより伸びにくく引張強度が高い粘弾性体となった。またフッ素樹脂粉末の滑り性により刃に張り付かずに打ち抜き又は裁断加工できる回数が、従来品の10倍以上となった。したがって、本発明の粘弾性体は加工性に極めて優れている。
本発明の粘弾性体は、所定の厚みを有し、方形に形成されている。また、前記粘弾性体は厚さ方向に切断されても、切断面同士は互いに隙間なく隣接しているとともに、前記切断された切断面は非粘着性であるため、該切断面で容易に分割片として分離可能である。
これにより、切断加工された面は互いに密着することがなく、容易に手作業が行えるので、従来作業に比べて作業性を格段に向上させることができる。
樹脂(シリコーンゲル又はウレタンゲル)にフッ素樹脂粉末を添加することにより、打ち抜き刃からの剥離性が向上した。また、前記樹脂と三次元繊維構造物(不織布)を一体化することにより、樹脂を不織布の繊維間に閉じ込めて変形を抑止することができる。また、ゲルと不織布を一体化することにより、樹脂の粘着性を生かして、重合体としての耐荷重を高くできるため、重い対象物に対しても制振性、衝撃吸収性の向上が期待できる。
本発明の実施形態の一例を示す斜視図である。 本発明の実施形態の一例を示す平面図である。 図2のAーA線断面の一部の顕微鏡写真である。
本発明の粘弾性体1は、不織布で形成された三次元繊維構造物11に、エラストマー12と、フッ素樹脂粉末13とを混合したものを充填して一体化したものであり、エラストマー12は、シリコーンゲルまたはウレタンゲルである。エラストマー12のアスカーF硬度は30以下、針入度は50以上である。
前記粘弾性体1を構成する三次元繊維構造物11の空隙率は51%以上である。また、前記三次元繊維構造物11は、前記粘弾性体1の厚さの30~99%であり、好ましくは前記粘弾性体1の厚さの50~90%である。
本発明におけるエラストマーとは常温で粘弾性を認識できる高分子材料のことで、他の高分子材料と比較して、常温での伸度が高く、大きい破壊ひずみを持った高分子化合物の総称である。また本発明におけるフッ素樹脂粉末とは、フッ素原子を分子構造に含む有機物の粉体の事で、有機フッ素化合物粉末とも言う。フッ素樹脂にはPTFE、PFA、FEP、ETFE、PCTFE、PVDEなどがある。粉体の直径は0.3~800μmのものがある。PTFEの粉体は圧縮成型用のモールディングパウダー、圧力がかかると繊維化するファインパウダー、水系分散体であるディスパージョンなどがある。
本発明において、三次元繊維構造物11とは、不織布、織布、編布、スポンジなどの連続気泡構造体などが挙げられるが、立体的に見て空隙率の均一性の点で、不織布が好ましい。
ここで、均一性とは、織布や編布は、糸が交差して重なり合う部分の密度が高くなり、空隙率にばらつきが生じるが、不織布では、繊維1本1本が混ざっているので、どの部分を切り取ってもほぼ構造が同じで、空隙率のバラツキが少ないということを意味する。
即ち、三次元繊維構造物11はジャングルジムのような構造をしており、繊維間の十分な空間にエラストマー12及びフッ素樹脂粉末13を保持するため、三次元繊維構造物11の空隙率は51%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。なお、空隙率が51%未満では、三次元繊維構造物11の内部にエラストマー12及びフッ素樹脂粉末13が浸透し難く、三次元繊維構造物11とエラストマー12及びフッ素樹脂粉末13の間に界面が生じ易くなる。
三次元繊維構造物11に不織布を使用する場合、目付は特に限定されないが、1~5,000g/mが好ましく、1~500g/mがより好ましい。1g/m未満では、繊維本数が少なくなるため空隙率のコントロールが難しくなり、5,000g/mを超えると、繊維本数が多くなり空隙率のコントロールが難しくなる傾向がある。
不織布11の作製方法は特に限定されず、公知の方法を適用できる。例えば、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法が挙げられる。ニードルパンチ法では、カード機で繊維を開繊した後、繊維同士を針で機械的に絡める方法であり、空隙率はせいぜい75~90%程度である。
空隙率を90%より高くする場合は、ニードルパンチ法等で繊維同士を絡めるのではなく、繊維同士の接点を繊維表面が熱で溶けるバインダー繊維で、繊維間を熱接着するサーマルボンド法を使用することが好ましい。サーマルボンド法の繊維の固定方法としては、熱風、熱板プレス、熱カレンダーなどが挙げられる。
サーマルボンド法においては、ニードルパンチ法等を併用することができる。この場合、バインダー繊維の混合比率は特に限定されない。バインダー繊維を使わない方法としては、不織布11の繊維間に霧吹き等で付着させ、乾燥させた樹脂をバインダーとするレジンボンド法や、不織布11の繊維間に熱溶融する粉体を付着させて溶かすという方法を採用することができる。
逆に空隙率を75%より低くする場合は、ニードルパンチ法等により繊維同士を絡めた後、繊維表面が熱で溶けるバインダー繊維により繊維間同士をさらに固定させる方法を使用することが好ましい。
三次元繊維構造物11の厚さは特に限定されないが、0.1~50mmが好ましく、0.5~20mmがより好ましく、1~10mmがさらに好ましい。0.1mm未満では、強度が弱くなり、50mmを超えると、三次元繊維構造物11の作製が難しくなり、特別な装置が必要となる。
三次元繊維構造物11を構成する繊維材料は特に限定されず、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、アラミド、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリイミド等の有機系繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミック繊維等の無機系繊維などが使用できる。繊維の形態も特に限定されず、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープルファイバー、ショートカットファイバー等が挙げられる。
繊維の繊度は特に限定されないが、1~100dtexが好ましく、3~18dtexがより好ましい。100dtexを超えると、繊維が太いために剛性が強く、繊維同士の反発力が強くなるため、空隙率を低くするコントロール(密度を高くすること)が難しくなり、1dtex未満では、繊維が細いため剛性が弱く、繊維同士が反発することなく重なり合いやすくなるため、空隙率を高くするコントロール(密度を低くすること)が難しくなる傾向がある。
エラストマー12は特に限定されず、シリコーンゲル、ウレタンゲル又はハイドロゲル等が挙げられる。なかでも、長期的な使用において溶媒の揮発が生じ難い点で、シリコーンゲルやウレタンゲルが好ましい。
シリコーンゲルとしては、2官能のオルガノシロキサンと3官能以上のオルガノシロキサンを反応させて架橋することにより得ることができる。シロキサンゲルが立体網目構造を形成し、この立体網目構造の間にシリコーンオイルが担持された構造を有する。シロキサンゲルとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンゲル、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサンゲル、ポリフェニルメチルシロキサンゲルなどとシリコーンオイルで構成された粘弾性体が特に好ましい。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
ポリウレタンゲルは、2官能以上のポリオールと2官能以上のイソシアネートを反応させることにより得る事ができる。ポリウレタンが立体網目構造を形成し、この立体網目構造の間に可塑剤が入り込んだ構造を有する。前記ポリウレタンゲルとしてはポリエーテル系ウレタン、ポリエステル系ウレタン、ポリカーボネート系ウレタン、ポリカプロラクトン系ウレタン、ポリオレフィン系ウレタンなどが挙げられる。前記可塑剤としてはフタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、クエン酸エステル系、セバシン酸エステル系、マレイン酸エステル系、安息香酸エステル系、ポリエステル系などが挙げられる。
三次元繊維構造物11の一体化とは、それぞれの層に別れておらず、不織布11よりなる三次元繊維構造物11とエラストマー12とフッ素樹脂粉末13とが複合されていることをいう。ここで、三次元繊維構造物11の厚さは、粘弾性体1よりなる厚さの30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。30%未満では、粘弾性体1が厚さ方向に伸びやすくなり、取り扱い性が低下する傾向がある。
三次元繊維構造物11と一体化させる方法は、特に限定されないが、例えば、型の内部で、三次元繊維構造物11に粘弾性体1の原料となるモノマーやプレポリマーを含浸させ、硬化させることにより作製する方法などが挙げられる。金型のサイズは、作製したい粘弾性体1のサイズに合わせて適宜調整する。また、硬化時間や温度は、使用するエラストマー12の種類に応じて、適宜設定する。
本発明のエラストマー12のアスカーF硬度は30以下であるが、25以下が好ましく、20以下がより好ましい。30を超えると、粘弾性体1が硬くて伸びにくくなるため、三次元繊維構造物11を使用することによるメリットが低下する。
本発明のエラストマー12の針入度は、50以上であるが、100以上が好ましく、120以上がより好ましい。50未満では、粘弾性体1が硬くて伸びにくくなるため、三次元繊維構造物11を有することによるメリットが低下する。ここで、針入度は、JIS K 2207に基づいて測定した値である。
本発明の粘弾性体1の厚さは特に限定されないが、0.1~100mmが好ましく、0.5~50mmがより好ましい。0.1mm未満では、薄くなり十分な粘弾性が得られなくなり、100mmを超えると、成型時における脱泡等の加工性が悪くなる傾向がある。
本発明の粘弾性体1の用途は特に限定されないが、制振材、防振材、防音材、遮熱材、電磁波シールド材、緩衝材、衝撃吸収材等が挙げられる。
以下、実施例について説明するが、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
(実施例1)
三次元繊維構造物は不織布を用い、繊維径が16dtexのポリエステル繊維(HUVIS社製)および繊維径が16dtexのポリエステルバインダー繊維(HUVIS社製)を使用し、配合比率を調整して、サーマルボンド法(カード機で開繊した後、乾燥機を通して熱接着する)により、厚さが3.0mm、目付300g/m、空隙率が90%のポリエステル不織布を作製した。
作製したポリエステル不織布(三次元繊維構造物)に、シリコーンゲルの原料となる2液(旭化成ワッカーシリコーン株式会社製SILGEL612 A液B液)の配合比率を調整し混ぜ合わせた。また、フッ素樹脂粉末は、モールディングパウダー25μm(ダイキン工業株式会社製)に、モールディングパウダー6μmまたはファインパウダー6μm(セイシン企業株式会社製)を適量比率で混合したものを用いた。
不織布2%に、シリコーンゲルを78%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー25μmを20%含侵させて、恒温乾燥機にて(23℃、24時間)架橋させて粘弾性体を得た。粘弾性体シートの厚さは3mm、アスカーCでの硬度は15であった。
(実施例2)
不織布2%に、シリコーンゲルを78%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー6μmを20%含侵させて粘弾性体を作製した。それ以外は、実施例1と同様であった。
(実施例3)
不織布2%に、シリコーンゲルを78%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー25μmを12%、モールディングパウダー6μmを8%、を含侵させて粘弾性体を作製した。それ以外は、実施例1と同様であった。
(実施例4)
不織布2%に、ウレタンゲルを78%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー25μmを12%、モールディングパウダー6μmを8%、を含侵させて粘弾性体を作製した。それ以外は、実施例1と同様であった。
(実施例5)
不織布15%に、シリコーンゲルを65%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー25μmを12%、モールディングパウダー6μmを8%、を含侵させて粘弾性体を作製した。それ以外は、実施例1と同様であった。
(実施例6)
不織布2%に、シリコーンゲルを88%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー25μmを6%、モールディングパウダー6μmを4%、を含侵させて粘弾性体を作製した。それ以外は、実施例1と同様であった。
(実施例7)
不織布2%に、シリコーンゲルを68%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー25μmを18%、モールディングパウダー6μmを12%、を含侵させて粘弾性体を作製した。それ以外は、実施例1と同様であった。
(比較例1)
シリコーンゲル100%を混合して粘弾性体を作製した。それ以外は、実施例1と同様であった。
(比較例2)
不織布2%に、シリコーンゲルを98%含侵させ粘弾性体を作製した。それ以外は、実施例1と同様であった。
(比較例3)
不織布23%に、シリコーンゲルを57%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー25μmを12%、モールディングパウダー6μmを8%、を含侵させて粘弾性体を作製した。しかし、不織布内へのシリコーンゲルの浸透が不十分で粘弾性体を成形できなかった。
(比較例4)
不織布2%に、シリコーンゲルを58%、フッ素樹脂粉末のモールディングパウダー25μmを24%、モールディングパウダー6μmを16%、を含侵させて粘弾性体を作製した。しかし、不織布内へのシリコーンゲルの浸透が不十分で粘弾性体を成形できなかった。
(比較例5)
不織布2%に、シリコーンゲルを78%、フッ素樹脂粉末のファインパウダー6μmを20%、を含侵させて粘弾性体を作製した。しかし、フッ素樹脂粉末のファインパウダーが凝集してしまい均一な粘弾性体を成形できなかった。
実施例1~7および比較例1~5で作製した粘弾性体について、以下に示す方法で評価した。実施例の評価結果を表1に、比較例の評価結果を表2に示す。
<硬さ(硬度)>
デュロメータータイプE(ショアE)またはアスカーC型硬度計で硬度を測定した。
<加工性>
実施例1~実施例7,および比較例1~比較例5で作成した。仕上がり寸法は厚さ3.0mm、巾220mm、長さ220mm。
◎:エラストマーに抜けが無く、目立った気泡が無く、シート寸法が安定している。
〇:エラストマーの抜け、目立った気泡等なく作成できたがエラストマーの浸透性が低く繊維構造体への含浸に時間がかかった。
×:粘弾性体を作製できなかったため、以降の試験を行わなかった
<制振性>
回転型レオメーターにて動的粘弾性を測定しtanδを比較した。
◎:tanδ≧0.4
〇:tanδ<0.4
<耐荷重>
試料t20×15mm角をフォースゲージで試料上面に圧300g/cmをかけた際の試料の厚み(mmを測定し、何%変形したかを確認した。
◎:厚さの変形率20%以下
〇:厚さの変形率30%以下
×:厚さの変形率30%以上
2次加工性:坂本造機株式会社製のテーブル連続打抜き機PAL500でφ30mm丸形状に打ち抜き加工をした。試験片を100個準備し、打ち抜き加工後の形状を目視観察した。
<離型性>
打抜き加工時の打抜き刃からの離型性を確認。具体的には打抜き後、刃の掃除を行わずに何ショット連続して打抜きができるかで評価した。
◎:50ショット以上
〇:10ショット以上
×:10ショット未満
<形状安定性>
φ30mmの打抜き加工後、打抜き型から取り出した時の寸法安定性。
◎:寸法公差±5%以内で歪み等が発生していない。
〇:寸法公差±10%以内、または目視で形状の歪みがわずかに確認できる。
×:寸法公差±10%越え、または厚さ、丸形状に対し明らかに変形している。
Figure 2024077240000002
Figure 2024077240000003
(評価)
実施例1~7と比較例1~5の硬度と形状安定性より三次元繊維構造物が一体化して複合された粘弾性体は、三次元繊維構造物が存在するため、伸びにくくなり、加工性が向上していることが分かる。またフッ素樹脂粉末は主となる直径に対し3分の2以下の小さい直径のフッ素樹脂粉末を3~4割まぜる事により加工時の粘度を低下させ成形しやすくなり、また仕上りの硬度も低くなる。
比較例1と2は2次加工時の打抜き型からの離型性が悪く、3~5は粘弾性体を作成する事ができなかった、実施例1~7の粘弾性体と比較して形状安定性が悪いために打ち抜き加工後の保形性が悪く、加工性に劣る結果となった。
本発明の粘弾性体は、柔軟性の高いエラストマーを使用しているため制振性(耐衝撃性)が高いにもかかわらず、伸びにくく引張強度も高い加工性に優れているため、制振材、防振材、防音材、遮熱材、電磁波シールド材、緩衝材、衝撃吸収材等に最適に使用することができる。
1 粘弾性体
2 切断面
3 分割片
4 粘着層
11 三次元繊維構造体(不織布)
12 エラストマー(シリコーンゲル、ウレタンゲル)
13 フッ素樹脂粉末

Claims (4)

  1. 繊維で形成された三次元繊維構造物と、エラストマーと、フッ素樹脂粉末とを混合して一体化した、加工性に優れた粘弾性体。
  2. 前記エラストマーが、シリコーンゲルまたはウレタンゲルである、請求項1に記載の、加工性に優れた粘弾性体。
  3. 前記エラストマーは、アスカーF硬度が30以下、針入度が50以上、三次元繊維構造物の空隙率は51%以上の物を使用する、請求項1または2に記載の、加工性に優れた粘弾性体。
  4. 前記粘弾性を構成する三次元繊維構造物の厚さは、前記粘弾性体の厚さの30~99%である請求項1または2に記載の、加工性に優れた粘弾性体。
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