JP2024065853A - 硬化性組成物、繊維強化複合材及び繊維強化複合材の製造方法 - Google Patents

硬化性組成物、繊維強化複合材及び繊維強化複合材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性と成形性とのバランスに優れた硬化性組成物等を提供すること。【解決手段】本発明の一態様によれば、ハンドレイアップ成形工法又はスプレーアップ成形工法で繊維基材に含浸させて用いられる硬化性組成物が提供される。この硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル発生剤(B)と、難燃剤(C)と、を含む。難燃剤(C)は、水酸化アルミニウム(C1)と、25℃で液状のリン系化合物(C2)と、を含む。水酸化アルミニウム(C1)の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して150~300質量部である。リン系化合物(C2)に含まれるリン含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.5~3質量部である。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、繊維強化複合材及び繊維強化複合材の製造方法に関する。
従来、繊維強化プラスチック(FRP; Fiber Reinforced Plastics)を得るにあたって、ハンドレイアップ法やスプレーアップ法という手法が用いられる場合がある(たとえば特許文献1参照)。
一方、上述のハンドレイアップ法やスプレーアップ法とは異なるが、特許文献2には、水酸化アルミニウム等を用い、繊維強化複合材料に難燃性を付与する技術が開示されている。なお、この特許文献2では、このような材料を得るにあたって、真空圧と大気圧との差圧を利用して繊維構造体に樹脂を含浸させるという工夫がなされている。
特開平8-25493号公報 国際公開公報第2014/109021号パンフレット
ところで、ハンドレイアップ成形工法やスプレーアップ成形工法を用いて得られた繊維強化複合材においても難燃性が求められる場合がある。この場合、難燃剤である水酸化アルミニウムを樹脂材料に多量配合することも考えられるが、このような手法を採用すると、成形性が低下してくることがある。
本発明では上記事情に鑑み、難燃性と成形性とのバランスに優れた硬化性組成物等を提供することとした。
本発明の一態様によれば、ハンドレイアップ成形工法又はスプレーアップ成形工法で繊維基材に含浸させて用いられる硬化性組成物が提供される。この硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル発生剤(B)と、難燃剤(C)と、を含む。難燃剤(C)は、水酸化アルミニウム(C1)と、25℃で液状のリン系化合物(C2)と、を含む。水酸化アルミニウム(C1)の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して150~300質量部である。リン系化合物(C2)に含まれるリン含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.5~3質量部である。
上記態様によれば、難燃性と成形性とのバランスに優れた硬化性組成物等が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタアクリレート」の双方を包含する概念を表す。また、本明細書中の「~」はとくに断りがなければ以上から以下を表す。
[硬化性組成物]
まず、本実施形態の硬化性組成物について説明する。
本実施形態の硬化性組成物は以下に示されるものである。
ハンドレイアップ成形工法又はスプレーアップ成形工法で繊維基材に含浸させて用いられる硬化性組成物であって、
ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル発生剤(B)と、難燃剤(C)と、を含み、
前記難燃剤(C)は、水酸化アルミニウム(C1)と、25℃で液状のリン系化合物(C2)と、を含み、
前記水酸化アルミニウム(C1)の含有量は、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して150~300質量部であり、
前記リン系化合物(C2)に含まれるリン含有量は、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.5~3質量部である、硬化性組成物。
本実施形態の硬化性組成物は、ハンドレイアップ成形工法又はスプレーアップ成形工法で繊維基材に含浸させて用いられる。
ハンドレイアップ成形工法とは、オープンモールドの上に繊維基材を積層し、熱硬化性組成物を繊維基材に接触させながら、含浸ローラーでしごいて繊維基材の間にある空気を追い出し、手作業で樹脂を含浸するFRPの成形方法である。ここでの繊維基材は、典型的には繊維の織物(主としてガラスロービングクロス)やマット(主としてガラスチョップドストランドマット)が用いられる。この繊維基材の材質の具体例は後述する通りである。
一方、スプレーアップ成形工法とは、ハンドレイアップ成形を省力化するために考えられた成形方法で、スプレーガンに付属しているストランドカッターで繊維基材を所定の長さに切断しながら、熱硬化性組成物をスプレーガンでオープンモールドに吹き付け、切断された繊維基材と熱硬化性組成物を同時にオープンモールドの上に堆積させて含浸させる成形方法である。
なお、これら各工法は必ずしも上記した内容に限定されるものではなく、たとえばオープンモールドに対してゲルコートや離型剤を適用する態様なども包含する。
ハンドレイアップ成形工法またはスプレーアップ成形工法で用いられる繊維基材は公知のものを採用することができ、たとえば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ザイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ボロン繊維、バサルト繊維、セルロース等を用いることができる。
この繊維基材の中でも、本実施形態の工法においては、繊維基材が、ガラス繊維である場合が好ましい。このような態様を採用することにより、硬化後のFRPの強度や比重等を好適なものとすることができる。
続いて、本実施形態の硬化性組成物に必須又は任意に含まれる成分について説明する。
(ラジカル重合性化合物(A))
本実施形態の硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物(A)を含む。
このラジカル重合性化合物(A)は、典型的にはその化学構造の中にラジカル重合性基(典型的には炭素-炭素の不飽和結合)が含まれる化合物であり、公知の材料の中から適宜選択して用いればよい。
より具体的には、ラジカル重合性化合物(A)は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂のような樹脂成分を含み得る。なお、このように硬化性組成物が樹脂成分を含む場合は、本実施形態の組成物を「(硬化性)樹脂組成物」と称することもできる。
また、ラジカル重合性化合物(A)は、ラジカル重合性モノマーや、このラジカル重合性モノマーの多量体を含むことができる。
本実施形態の硬化性組成物は、これらの中でも、ラジカル重合性化合物(A)として、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びウレタン(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選択される1以上の樹脂を含むことが好ましい。
また、本実施形態の硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物(A)として、ラジカル重合性モノマーを含むことが好ましい。なお、上述した各種樹脂成分と当該ラジカル重合性モノマーとを組み合わせてラジカル重合性化合物(A)を構成することも好ましい態様である。
以下、このラジカル重合性化合物(A)に相当する成分について説明を続ける。
・ビニルエステル樹脂
本実施形態におけるビニルエステル樹脂は、公知の方法で製造することができる。たとえば、公知の禁止剤、公知のエステル化触媒の存在下又は非存在下、不活性ガス気流中又は空気雰囲気下にてエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させる(縮合させる)ことにより所望の樹脂とすることができる。必要に応じて反応系の溶融粘度を下げる目的で他のラジカル重合性モノマーや有機溶剤を入れて反応させることができる。なお、このビニルエステル樹脂は、上述のような製法によって得られることから、「エポキシ(メタ)アクリレート樹脂」とも称される。
本実施形態におけるビニルエステル樹脂は、一例として、例えば、1分子中に2個以上のグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂にアクリル酸またはメタクリル酸を付加反応させて得られる分子末端にアクリレートまたはメタクリレートの二重結合を有する樹脂とすることができる。
上記1分子中に2個以上のグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等、あるいはこれらの誘導体からのビスフェノール型エポキシ樹脂;ビキシレノールおよびその誘導体からのビキシレノール型エポキシ樹脂;ビフェノールおよびその誘導体からのビフェノール型エポキシ樹脂;あるいはナフタレンおよびその誘導体からのナフタレン型エポキシ樹脂;さらにはノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂であってよい。
これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。エポキシ樹脂の分子量の目安になるエポキシ当量は174~2000eq/gのものが好ましい。
・不飽和ポリエステル樹脂
本実施形態における不飽和ポリエステル樹脂は、一例において、例えば、不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸及びグリコール類を公知の脱水縮合反応により得ることができ、通常、2~40mgKOH/gの酸価を有することができる。不飽和ポリエステル樹脂の製造において、不飽和多塩基酸、飽和多塩基酸の酸成分の選択や組合せ、及びグリコール類の選択や組合せ、それらの配合割合等を適宜選択することにより所望の不飽和ポリエステル樹脂とすることができる。
不飽和多塩基酸類は、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、グルタコン酸等を挙げることができる。
飽和多塩基酸類は、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘット酸、テトラブロム無水フタル酸等を挙げることができる。
グリコール類は、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド化合物、シクロヘキサンジメタノール、ジブロムネオペンチルグリコール等を挙げることができる。
本実施形態においては、不飽和ポリエステル樹脂の中でも、不飽和多塩基酸としてフマル酸や無水マレイン酸、飽和多塩基酸としてイソフタル酸やテレフタル酸、アジピン酸が使用され、グリコールとして主成分にエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノールやネオペンチルグリコールを使用した不飽和ポリエステル樹脂が好適である。
・ウレタン(メタ)アクリレート樹脂
本実施形態におけるウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、一分子中に2個以上の水酸基を有するポリアルコールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとジイソシアネートとを反応させた分子末端のイソシアネート、および/または一分子中に1個以上のイソシアネートに、アルコール性水酸基と1個以上のアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物を反応させることで得ることができる樹脂である。
または、まずアルコール性水酸基と1個以上のアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物とジイソシアネートとをイソシアネート基が残るように反応させ、残ったイソシアネート基と一分子中に2個以上の水酸基を有するポリアルコールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとを反応させて得ることができる樹脂である。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂の製造において、イソシアネートと、ポリアルコールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールの組み合わせ、及びアルコール性水酸基と1個以上のアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物を適宜選択する事により、樹脂の物性を調整することができる。
上記アルコール性水酸基と1個以上のアクリレート基またはメタクリレート基を有する化合物には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を用いることができる。
また、上記一分子中に2個以上の水酸基を有するポリアルコールには、例えば、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等を用いることができる。
また、上記一分子中に2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオールには、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等のポリアルコールと、アジピン酸、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の多塩基酸との脱水縮合反応から得られる分子量1000~2000の飽和ポリエステルポリオールを用いることができる。
また、上記一分子中に2個以上の水酸基を有するポリエーテルポリオールには、エチレンオキシド或いはプロピレンオキシドの開環反応により得られる分子量300~2000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール類又は、カプロラクトンの開環反応で得られるポリカプロラクトン等を用いることができる。
これらは、単独または2種類以上を併用して使用することができる。
上記一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、芳香族及び/又は脂肪族ポリイソシアネート化合物が用いられ、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2官能イソシアネート化合物が3量化されたイソシアヌレート環を有する3官能イソシアネート、市販されているポリオールで変性されたイソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。
これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。
・ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂
本実施形態におけるポリエステル(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、ポリエステルポリオールとアクリル酸あるいはメタクリル酸とのエステル化によって得られる樹脂である。
あるいは、酸末端ポリエステルとグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレートとの反応により得られる樹脂であってもよい。
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の製造において、ポリエステルポリオールとアクリル酸あるいはメタクリル酸、あるいは酸末端ポリエステルとグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレートを適宜選択する事によりポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の特性を調整することができる。
・ポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂
本実施形態におけるポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂は、例えば、ポリエーテルポリオールとアクリル酸あるいはメタクリル酸とのエステル化によって得られる樹脂である。
あるいは、酸末端ポリエーテルとグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレートとの反応により得られる樹脂であってもよい。
ポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂の製造において、ポリエーテルポリオールとアクリル酸あるいはメタクリル酸、あるいは酸末端ポリエステルとグリシジル基を有するアクリレートまたはメタクリレートを適宜選択する事によりポリエステル(メタ)アクリレート樹脂の特性を調整とすることができる。
・ラジカル重合性モノマー等
本実施形態におけるラジカル重合性モノマーとしては、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノルボルネンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ラジカル重合性モノマーは、常温(25℃)で固体のモノマー、常温(25℃)で液体のモノマーのいずれであってもよい。
また、本実施形態の硬化性組成物は、上述したラジカル重合性モノマーの多量体をラジカル重合性化合物(A)として含んでもよい。この例としては、ジアリルフタレートプレポリマー、タイクプレポリマー、エポキシプレポリマー、ウレタンプレポリマー、アクリレートプレポリマー等が挙げられる。
硬化性組成物全体におけるラジカル重合性化合物(A)の含有割合は、たとえば25.5質量%以上38質量%以下であり、好ましくは25.8質量%以上36質量%以下であり、より好ましくは26質量%以上34質量%以下である。
このような範囲に設定することにより、成形過程の取り扱い性と、硬化後の機械特性とのバランスを取りやすくなる。
なお、ラジカル重合性化合物(A)が樹脂成分を含む場合、その含有量は、ラジカル重合性化合物(A)全体を100質量部としたときに、15質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましい。樹脂成分の含有量についてこのような範囲に設定することで成形過程における成形性が向上する。
なお、ラジカル重合性化合物(A)全体を樹脂成分とすることもできるが、樹脂成分の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)全体を100質量部としたときに、95質量部以下や90質量部以下とすることもできる。
なお、ラジカル重合性化合物(A)がラジカル重合性モノマーを含む場合、その含有量は、ラジカル重合性化合物(A)全体を100質量部としたときに、15質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましい。ラジカル重合性モノマーの含有量についてこのような範囲に設定することで施工の作業性が向上する。
なお、ラジカル重合性化合物(A)全体をラジカル重合性モノマーとすることもできるが、ラジカル重合性モノマーの含有量は、ラジカル重合性化合物(A)全体を100質量部としたときに、95質量部以下や90質量部以下とすることもできる。
(ラジカル発生剤(B))
また、本実施形態の硬化性組成物は、ラジカル発生剤(B)を含む。
前述したように、本実施形態の硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物(A)を含む。すなわち、このようにラジカル発生剤(B)を組成物中に含ませることにより、適切にラジカル重合性化合物(A)の重合反応を進行させ、組成物としての硬化性を担保することができる。
ラジカル発生剤(B)としては、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート等の過酸化物(有機過酸化物);過酸化水素;2,2'-アゾビス-イソブチロニトリル、2,2'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2'-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
また、本実施形態においては、これらの成分に加え、ラジカル発生能を向上させる副材が存在してもよく、これらを組み合わせてラジカル発生剤(B)に用いることができる。本明細書では、これらの組み合わせをまとめて「ラジカル発生剤(B)」と称することもある。
また、本実施形態のラジカル発生剤(B)は、好ましくは過酸化物(B1)と、有機酸コバルト化合物(B2)と、の組み合わせである。このような組み合わせであれば、低温でラジカルを発生させやすくなる。
具体的には、パーメックN〔商品名、メチルエチルケトンパーオキサイド、日油株式会社製〕と、ナフテン酸コバルトや、オクチル酸コバルト、オクテン酸コバルト等のコバルト化合物と、の組み合わせ;パーブチルZ〔商品名、ターシャリーブチルパーベンゾエート、日油株式会社製〕と、ナフテン酸コバルトや、オクチル酸コバルト、オクテン酸コバルト等のコバルト化合物と、の組み合わせ等が挙げられる。
本実施形態の硬化性組成物におけるラジカル発生剤(B)の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して好ましく0.1~10質量部であり、より好ましくは0.2~8質量部であり、さらに好ましくは0.3~5質量部である。
このような範囲に設定することにより、組成物の硬化性と、硬化後の機械特性とのバランスを取りやすくなる。
(難燃剤(C))
また、本実施形態の硬化性組成物は、難燃剤(C)を含む。すなわち、本実施形態の硬化性組成物はこのような難燃剤(C)を含むことによって、得られる硬化物に難燃性を付与することができる。
この難燃剤(C)は、固体難燃剤と、液体難燃剤との双方を含む概念であるが、本実施形態の硬化性組成物においては、難燃剤(C)として、25℃で固体状の水酸化アルミニウム(C1)と、25℃で液状のリン系化合物(C2)と、を含むという特徴を有する。以下、固体難燃剤と、液体難燃剤の例を示す。
・固体難燃剤
固体難燃剤は、25℃において固体状の難燃剤である。すなわち、25℃において流動性(分解しない温度下)を有さない、定まった形と体積を持つ難燃剤である。なお、固体難燃剤は、流動性を有さず、細分化された固形物(粒状、フレーク状、粉末状等)として加工できる性状のものが好ましい。
この固体難燃剤としては、具体的には、金属水酸化物、金属化合物の水和物、粘土鉱物、赤リン、ホウ素系難燃剤、リン酸塩系難燃剤、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、アンチモン含有難燃剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
なお、これら固体難燃剤としては、公知の剤を用いることができる。たとえば、固体難燃剤としては、以下のような化合物が含まれる。
金属水酸化物には、水酸化アルミニウムのほか、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)が含まれる。
金属化合物の水和物には、ケイ酸カルシウム水和物、酸化アルミニウム水和物、塩化マグネシウム水和物、硫酸マグネシウム水和物等が含まれる。
粘土鉱物には、クレー、カオリン、ハイドロタルサイト等が含まれる。
ホウ素系難燃剤には、ホウ酸類、ホウ酸塩類、ホウ素系非金属化合物、有機ホウ素系化合物等が含まれる。
リン酸塩系難燃剤には、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、有機ホスフィン酸塩等が含まれる。
臭素系難燃剤には、ヘキサブロモベンゼン、臭素化ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールA等が含まれる。
塩素系難燃剤には、塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、塩素化パラフィン、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等が含まれる。
アンチモン含有難燃剤には、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン酸塩等が含まれる。
これらの中でも、本実施形態の硬化性組成物においては、難燃剤(C)として入手容易性の高さ等から水酸化アルミニウム(C1)が含まれる。
なお、水酸化アルミニウム(C1)の形状はとくに限定されないが、たとえば粒状である。その場合の粒径は、たとえば0.1μm~100μmの範囲であってもよく、0.5μm~50μmの範囲であってもよく、1μm~20μmの範囲であってもよい。
また、本実施形態において、水酸化アルミニウム(C1)の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して150~300質量部である。これによって、バランスよく硬化物の難燃性を実現することができる。なお、水酸化アルミニウム(C1)の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して180~290質量部の範囲であってもよく、200~280質量部の範囲であってもよい。
・液体難燃剤
液体難燃剤は、25℃において液体の難燃剤である。すなわち、25℃において流動性(分解しない温度下)を有する難燃剤である。
この液体難燃剤としては、有機リン酸エステル等のリン系化合物や、ハロゲン化パラフィン等を用いることができるが、本実施形態の硬化性組成物は、この液体難燃剤として、25℃で液状のリン系化合物(C2)を含む。
なお、有機リン酸エステルには、有機リン酸モノエステル、有機リン酸ジエステル、有機リン酸トリエステルが含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、有機リン酸エステルには、モノリン酸エステル及び縮合リン酸エステルが含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
リン系化合物(C2)として、具体的には以下の化合物が含まれる。
モノリン酸エステルとして、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ-2,6-キシレニルホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート[トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート]、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナントレン等が含まれる。
また、縮合リン酸エステルとしては、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6-キシリル)ホスフェート、及びこれらの縮合物等が含まれる。
また、本実施形態において、リン系化合物(C2)に含まれるリン含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.5~3質量部である。これによって、硬化物の難燃性と硬化性組成物の取り扱い性の両立を実現することができる。なお、リン系化合物(C2)のリン含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.8~2.8質量部の範囲であってもよく、1~2.5質量部の範囲であってもよい。
なお、本明細書において「リン含有量」は、硬化性組成物に対するリン系化合物(C2)の配合量と、リン系化合物(C2)の分子量全体に対するリン原子の占める割合との積に基づいて計算することができる。
また、リン系化合物(C2)の25℃における粘度は100mPa・s以下であることが好ましく、80mPa・s以下であることがより好ましく、60mPa・s以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、硬化性組成物を用いた成形工法の操作性が向上しやすい。なお、リン系化合物(C2)の25℃における粘度の下限値はとくに限定されるものではないが、たとえば1mPa・s以上である。
なお、この粘度は、たとえばJISK7117-1に準拠し、B型粘度計を用いて25℃で測定することができる。
本実施形態の硬化性組成物における難燃剤(C)全体の含有量は、ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して好ましく160~500質量部であり、より好ましくは180~480質量部であり、さらに好ましくは200~400質量部である。
このような範囲に設定することにより、組成物の硬化性と、硬化後の難燃性とのバランスを取りやすくなる。
(その他の成分)
なお、本実施形態の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記以外の樹脂;揺変剤;揺変助剤;フィラー;シランカップリング剤;ジメチルアニリン等の重合促進剤;ハイドロキノン等の重合抑制剤;減粘剤;沈降防止剤;緑、赤、青、黄、および黒等の染料、黒色顔料等の顔料、色素からなる群から選択される一種以上を含む着色剤;低応力剤;消泡剤;レベリング剤;発泡剤;酸化防止剤;イオン捕捉剤;ゴム成分等の上記の成分以外の添加剤を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上述の揺変剤としては、有機系揺変剤と無機系揺変剤のいずれも用いることができる。有機系揺変剤としては、植物油脂肪酸とアミンより合成される脂肪酸アミド類(アマイドワックス系);水素添加ひまし油系;酸化ポリエチレン系;重合油系;界面活性剤系;尿素変性化合物が含まれ得る。無機系揺変剤としては、ベントナイト類、タルク、マイカ等の粘土鉱物等が含まれ得る。これらの揺変剤の配合量は目的に合わせて適宜設定される。
揺変助剤は、たとえばポリヒドロキシカルボン酸エステル誘導体、ポリカルボン酸アマイド誘導体、ポリエーテルリン酸エステル誘導体であってよい。
ポリヒドロキシカルボン酸エステル誘導体としては、たとえば、BYK-R 606(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名)等を使用することができる。ポリカルボン酸アマイド誘導体としては、たとえば、BYK-405、及びBYK-R 605等(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名)等を使用することができる。ポリエーテルリン酸エステル誘導体としては、たとえば、ディスパロン3500(楠本化成株式会社製、商品名)等を使用することができる。
その他、揺変助剤の具体的な例としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、ベタイン型界面活性剤のほか、ポリエチレングリコールが挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩等を使用することができる。カチオン界面活性剤としては、高級アミンハロゲン酸塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム、第四アンモニウム塩等を使用することができる。ノニオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等を使用することができる。ベタイン型界面活性剤としては、アミノ酸等を使用することができる。
なお、揺変助剤としてポリエチレングリコールを用いる際の平均分子量は任意であるが、一例としては200以上1500以下に設定することができ、250以上1000以下と設定することもできる。
また、上述のフィラーとしては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等が含まれ得る。これらフィラーは単独で用いても複数種を組み合わせて用いてもよく、その粒径や配合量は任意で設定することができる。
(硬化性組成物の製造方法)
本実施形態の硬化性組成物は、上述した各材料を混合することによって製造することができる。
たとえば、各材料について、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて混合することによって、所定の硬化性組成物が得られる。
混合の際の温度条件や、撹拌条件等は使用する材料に応じて適宜設定すればよい。
[繊維強化複合材]
本実施形態の繊維強化複合材は、前述の硬化性組成物を適用したハンドレイアップ成形工法又はスプレーアップ成形工法によって得られるものである。すなわち、本実施形態の繊維強化複合材は、各種工法で用いられる繊維基材と、本実施形態の硬化性組成物の硬化物と、が複合化されたもの(FRPと称してもよい)である。
本実施形態の繊維強化複合材における繊維基材の含有割合は、たとえば10質量%~90質量%とすることができ、機械特性と成形性の面から、好ましくは20質量%~80質量%とすることができる。
一方、本実施形態の繊維強化複合材における硬化性組成物の硬化物の含有割合は、たとえば10質量~90質量%とすることができ、機械特性と成形性の面から、好ましくは20質量%~80質量%とすることができる。
この繊維強化複合材の用途は適宜設定することができる。一例としては、電気電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品であってもよいが、これらに限定されるものではない。
なお、本実施形態の繊維強化複合材は、前述の通り難燃剤(C)を含む硬化性組成物から生成されるものであるため、難燃性が付与されている。例示的な実施形態では、繊維強化複合材は、ISO5660-1:2002に準拠して測定される発熱速度から、欧州鉄道規格EN45545-2に準拠して求められる最大平均発熱速度が65kW/m以下であることが好ましく、60kW/m以下であることがより好ましい。
[繊維強化複合材の製造方法]
上述の繊維強化複合材は、たとえば以下の工程を組み合わせることで製造することができる。
(S1)繊維基材に本実施形態の硬化性組成物を含浸させる
(S2)硬化性組成物を硬化させる
工程(S1)では、通常のハンドレイアップ成形工法又はスプレーアップ成形工法の手順に従い、本実施形態の硬化性組成物を繊維基材に含浸させる。
工程(S2)では、硬化性組成物を硬化させるが、この温度条件は、硬化性組成物の内容に応じ適宜設定すればよい。たとえば、ラジカル発生剤(B)として、過酸化物(B1)と、有機酸コバルト化合物(B2)とを組み合わせて用いた場合、室温付近(たとえば-5℃~50℃の温度範囲)で硬化を行うことができる。一方、ラジカル発生剤(B)がラジカルを発生させるのに加熱が必要である場合は、そのラジカル発生剤(B)の種類に応じて加熱条件を採用することができる。一例として、当該加熱条件は50℃超であってもよく、70℃超であってもよく、100℃超であってもよい。加熱条件の上限値は制限されるものではないが、一例としては600℃以下である。なお、加熱に際しては、公知のオーブンなどを採用することができる。
以上のようにして繊維強化複合材を製造することができるが、この製造方法も上記には限られず、公知の改良手法が加えられてもよい。
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
(1)ハンドレイアップ成形工法又はスプレーアップ成形工法で繊維基材に含浸させて用いられる硬化性組成物であって、ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル発生剤(B)と、難燃剤(C)と、を含み、前記難燃剤(C)は、水酸化アルミニウム(C1)と、25℃で液状のリン系化合物(C2)と、を含み、前記水酸化アルミニウム(C1)の含有量は、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して150~300質量部であり、前記リン系化合物(C2)に含まれるリン含有量は、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.5~3質量部である、硬化性組成物。
(2)上記(1)に記載の硬化性組成物において、前記ラジカル重合性化合物(A)は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びウレタン(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選択される1以上の樹脂を含む、硬化性組成物。
(3)上記(1)又は(2)に記載の硬化性組成物において、前記ラジカル重合性化合物(A)は、ラジカル重合性モノマーを含む、硬化性組成物。
(4)上記(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の硬化性組成物において、前記リン系化合物(C2)の25℃における粘度が100mPa・s以下である、硬化性組成物。
(5)上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の硬化性組成物において、前記ラジカル発生剤(B)は、過酸化物(B1)と、有機酸コバルト化合物(B2)と、の組み合わせである、硬化性組成物。
(6)繊維強化複合材であって、繊維基材と、上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の硬化性組成物の硬化物と、が複合化された、繊維強化複合材。
(7)上記(6)に記載の繊維強化複合材において、ISO5660-1:2002に準拠して測定される発熱速度から、欧州鉄道規格EN45545-2に準拠して求められる最大平均発熱速度が65kW/m以下である、繊維強化複合材。
(8)繊維強化複合材の製造方法であって、繊維基材に上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の硬化性組成物を含浸させることと、前記硬化性組成物を硬化させることと、を含む、繊維強化複合材の製造方法。
もちろん、この限りではない。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
[合成例]
攪拌機、分留装置、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、プロピレングリコール1075.9質量部、アジピン酸385.5質量部、無水マレイン酸776.0質量部を添加し200℃まで昇温した。200℃で5時間反応させ、酸価が8mgKOH/gなったら、反応物を2000質量部のスチレンモノマー(以下「SM」と略記する)で希釈し、樹脂分50%の不飽和ポリエステル樹脂を得た。なお、本実施例項において、得られた樹脂を「樹脂(A-1)」と略記する。
[実施例1:硬化性樹脂組成物の調製及び評価]
樹脂(A-1)100質量部に、12%オクチル酸コバルト(以下「12-CoO」と略記する)0.25質量部、ジメチルアニリン(以下「DMA」と略記する)0.07質量部、ハイドロキノン(以下「HQ」と略記する)100ppm、トリメチルホスフェート(以下「TMP」と略記する)10質量部、BYK製減粘剤BYK W 966 0.25質量部、日本軽金属社製水酸化アルミニウムBX053(以下「BX053」と略記する) 270質量部を添加し、均一まで撹拌した後、パーメックN〔商品名、メチルエチルケトンパーオキサイド、日油株式会社製〕1質量部を添加しさらに撹拌することにより常温硬化性の樹脂組成物を得た。
(積層の含浸作業性評価)
離形剤を塗布したガラス板450チョップストランドマット(以下「CM」と略記する)を置き、実施例1で調整した樹脂組成物を含浸ローラーでCMに含浸させてから、さらに2層目のCMに樹脂組成物を含浸させた。この作業を繰り返すことで、計3層のCMを使用し、含浸作業性を評価した。
〇:CMのガラス繊維が含浸ローラーに巻き付くことがなく、かつCMに未含浸の部分がない。
×:CMのガラス繊維が含浸ローラーに巻き付く、或いはCMに未含浸な部分がある。
(成形物難燃性評価)
上記積層作業で製作した成形物について、常温で24時間硬化後、ダイヤモンドカッターで100mm×100mmの大きさに切削し、EN45545-2材料および部品の燃焼挙動に関する要求を規定する規格に従い、コーンカロリーメーター試験(ISO 5660-1)を行い、平均発熱速度の最大値(以下「MARHE」と略記する)を測定した。なお、この評価項目では、測定値を得るとともに、以下の基準によりクラス分けを行った。
〇:MARHE ≦60 kW/m
×:MARHE >60 kW/m
[比較例1:硬化性樹脂組成物の調製及び評価]
水酸化アルミニウムBX053 250質量部を添加する及びTMPを添加しない以外は実施例1と同様に硬化性樹脂組成物を調製し、評価した。
[比較例2:硬化性樹脂組成物の調製及び評価]
TMPを添加しない以外は実施例1と同様に硬化性樹脂組成物を調製し、評価した。
[比較例3:硬化性樹脂組成物の調製及び評価]
水酸化アルミニウムBX053 270質量部を添加する、TMPの代わりにSM 10質量部を添加する以外は実施例1と同様に硬化性樹脂組成物を調製し、評価した。
本実施例項で作製した成形物と、各評価結果とについて、以下の表1にまとめた。なお、比較例2では、(積層の含浸作業性評価)にて含浸不十分となったため、難燃性に関する評価は行わなかった。
以上の実施例の結果から、特定の要件を満たすことで、難燃性と成形性とのバランスに優れた硬化性組成物等が得られることが確認された。

Claims (8)

  1. ハンドレイアップ成形工法又はスプレーアップ成形工法で繊維基材に含浸させて用いられる硬化性組成物であって、
    ラジカル重合性化合物(A)と、ラジカル発生剤(B)と、難燃剤(C)と、を含み、
    前記難燃剤(C)は、水酸化アルミニウム(C1)と、25℃で液状のリン系化合物(C2)と、を含み、
    前記水酸化アルミニウム(C1)の含有量は、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して150~300質量部であり、
    前記リン系化合物(C2)に含まれるリン含有量は、前記ラジカル重合性化合物(A)100質量部に対して0.5~3質量部である、硬化性組成物。
  2. 請求項1に記載の硬化性組成物において、
    前記ラジカル重合性化合物(A)は、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びウレタン(メタ)アクリレート樹脂からなる群から選択される1以上の樹脂を含む、硬化性組成物。
  3. 請求項1に記載の硬化性組成物において、
    前記ラジカル重合性化合物(A)は、ラジカル重合性モノマーを含む、硬化性組成物。
  4. 請求項1に記載の硬化性組成物において、
    前記リン系化合物(C2)の25℃における粘度が100mPa・s以下である、硬化性組成物。
  5. 請求項1に記載の硬化性組成物において、
    前記ラジカル発生剤(B)は、過酸化物(B1)と、有機酸コバルト化合物(B2)と、の組み合わせである、硬化性組成物。
  6. 繊維強化複合材であって、
    繊維基材と、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物と、が複合化された、繊維強化複合材。
  7. 請求項6に記載の繊維強化複合材において、
    ISO5660-1:2002に準拠して測定される発熱速度から、欧州鉄道規格EN45545-2に準拠して求められる最大平均発熱速度が65kW/m以下である、繊維強化複合材。
  8. 繊維強化複合材の製造方法であって、
    繊維基材に請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含浸させることと、
    前記硬化性組成物を硬化させることと、
    を含む、繊維強化複合材の製造方法。
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