JP2024063856A - 質量分析方法、及びクロマトグラフ質量分析装置 - Google Patents

質量分析方法、及びクロマトグラフ質量分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】質量分析装置の電極に印加する電圧の値を低コストで高精度にチューニングする。【解決手段】移動相又はキャリアガスである媒体を供給する媒体供給部11と、媒体供給部から供給される媒体を質量分析装置に導入する流路15と、該流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともに該媒体をイオン化するイオン化部211と、質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つに対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件を用いて予め決められたイオンを質量分離して測定する測定実行部25、27、43と、該イオンの強度が予め決められた基準を満たすように、各電極に対して印加する電圧の値を決定する電圧値決定部44とを備えるクロマトグラフ質量分析装置1。【選択図】図1

Description

本発明は、質量分析に関する。
試料に含まれる成分を同定したり定量したりするために、液体クロマトグラフ質量分析装置が用いられている。液体クロマトグラフ質量分析装置では、液体試料に含まれる成分を液体クロマトグラフのカラムで分離し、質量分析装置でイオン化したあと質量電荷比に応じて分離し検出する。
質量分析装置では、各部に配置された電極のそれぞれに所定の電圧を印加することによりイオンの飛行経路を制御したり、イオンを選別したりする。これらの電極に対して印加する電圧の値には、理論的に決められるものと、実験的に決められるものがある。例えば、四重極マスフィルタのメインロッド電極に印加する、イオンを選別するための直流電圧及び高周波電圧の値は、Mathieu方程式に基づいて理論的に決められる。一方、四重極マスフィルタのメインロッド電極や、その手前に位置するプレロッド電極(例えば特許文献1、2)に印加する直流バイアス電圧の値は、実際にイオンを測定することによって実験的に決められる。そこで、後者の電極に対する電圧の値を決めるために、液体クロマトグラフ質量分析装置を据付する際や、一定時間の使用後には、質量分析装置のチューニングが行われている。
質量分析装置のチューニングでは、多くの場合、チューニング用に調製された標準試料が用いられる。標準試料は、専用に設けられたガス加圧式の送液機構(例えば特許文献3)からイオン化部に注入することにより、連続的に質量分析装置に導入される(インフュージョン分析)。標準試料には所定の標準物質(例えばポリエチレングリコール)が含まれており、その標準物質から生成される複数の異なる質量電荷比のイオンのそれぞれについて、検出感度が予め決められた基準を満たす(測定強度が最大になる、測定強度が予め決められた閾値を超えるなど)ように、質量電荷比毎に、各電極に印加する電圧の値を決定する。チューニング時に測定したイオンの質量電荷比以外の質量電荷比については、測定したイオンの質量電荷比について決定した電圧値を用いた線形補間によって印加電圧の値が決められる。
また、例えば試料に含まれる微量の目的物質を高感度で測定する場合には、目的物質そのものを含む、ユーザ自らが調製した試料や分析対象の試料そのもの(以下、まとめて「ユーザ試料」と呼ぶ。)を用いて質量分析装置をチューニングすることにより、該目的物質から生成される測定対象のイオンに適した印加電圧の値を決定している。ユーザ試料は通常、クロマトグラフのインジェクタから移動相に注入し、質量分析装置に導入する(フローインジェクション分析)。そして、目的物質から生成されるイオンについて良好な検出感度が得られるように各電極に印加する電圧の値を決定する。
国際公開第2008/044285号 国際公開第2017/081770号 国際公開第2017/056173号
従来の質量分析装置では、標準試料を用いたチューニングを行うために、ガス加圧式の送液機構などの専用の導入ラインを設けたり、分析対象試料の導入ラインと標準試料の導入ラインの切替機構を設けたりする必要があるため、その分だけ高コストになっている。ユーザ試料を用いたチューニングではこうしたコストは発生しないが、フローインジェクションによってユーザ試料を質量分析装置に導入することから、チューニングを実行可能な時間が、目的物質が流出する保持時間に限定される。そのため、限られた電圧値の組み合わせでしかイオンを測定することができず、高精度なチューニングを行うことが難しい。また、ユーザ試料が貴重なものである場合には、チューニングに使用するユーザ試料を準備することが難しかったり、準備できたとしても高価であったりする。
本発明が解決しようとする課題は、質量分析装置の電極に印加する電圧の値を、従来よりも低コストで高精度にチューニングすることができる技術を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、所定の流路から導入される試料を質量分析する方法であって、
前記流路に流体である所定の媒体を導入し、
前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化し、
質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件で、前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定し、
前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する
ものである。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別の態様は、クロマトグラフと質量分析装置を組み合わせてなるクロマトグラフ質量分析装置であって、
移動相又はキャリアガスである媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体供給部から供給される媒体を質量分析装置に導入する流路と、
前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化するイオン化部と、
質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件を用いて、前記イオン化部で前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定する質量分離部と、
前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する電圧値決定部と
を備える。
本発明に係る質量分析方法では、試料を導入するために設けられている所定の流路に、流体である所定の媒体を導入する。この媒体には、イオン化部に到達するまでの間に媒体流路の壁面などに付着した様々な物質が混入する。これらの物質は、試料の測定時にいわゆるバックグラウンドを生じさせるものである。本発明に係る質量分析方法では、こうしたバックグラウンドを生じさせる物質を質量分析装置のチューニングに使用する。即ち、媒体とともにイオン化部に流入したこれらの物質をイオン化し、少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件で、前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定する。こうしたバックグラウンドを生じさせる物質は様々であり、それらからは広い質量電荷比範囲に満遍なくイオンが生成される。そのため、任意の質量電荷比のイオンをチューニングに使用することができる。
本発明に係るクロマトグラフ質量分析装置は、本発明に係る質量分析方法を実施するために用いられる。本発明に係るクロマトグラフ質量分析装置では、試料の測定時に使用する移動相(液体クロマトグラフの場合)やキャリアガス(ガスクロマトグラフの場合)を上記媒体とし、その媒体に混入した物質から生成されるイオンをチューニングに使用する。本発明では、チューニング用の標準試料を使用しないため、該標準試料を導入する専用のラインを設ける必要がなく、コストを低減することができる。また、貴重であったり高価であったりするユーザ試料も用いる必要がない。さらに、移動相やキャリアガスが質量分析装置に連続的に導入される(インフュージョン分析)ため、フローインジェクション分析のようにチューニングを実行可能な時間が限定されることがない。従って、各電極に印加する電圧の値を細かく設定して、質量分析装置を高精度にチューニングすることができる。
本発明に係る質量分析方法の一実施形態を実行するために用いられる液体クロマトグラフ質量分析装置の要部構成図。 本発明に係る質量分析方法の一実施形態における装置のチューニングに関するフローチャート。 本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置で取得した、水とアセトニトリルを混合した移動相のマススペクトル。 本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置で取得した、水とアセトニトリルを混合した移動相のマススペクトルの拡大図。 本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置で移動相を用いて行ったチューニング結果と標準試料を用いて行ったチューニング結果を比較した図。 本実施形態の質量分析方法における装置の状態確認に関するフローチャート。
本発明に係る質量分析方法及びクロマトグラフ質量分析装置の一実施形態について、以下、図面を参照して説明する。本実施形態のクロマトグラフ質量分析装置は、液体クロマトグラフ質量分析装置1である。
図1は、液体クロマトグラフ質量分析装置1の要部構成図である。本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置は、液体クロマトグラフ10、質量分析装置20、及びこれらの動作を制御する制御・処理部40を備えている。
液体クロマトグラフ10は、移動相が貯留された移動相容器11と、移動相を吸引して一定流量で流路15に送給するポンプ12と、該流路15を流れる移動相中に液体試料を注入するインジェクタ13と、液体試料に含まれる化合物を分離するカラム14とを備える。複数の液体試料を連続分析する場合には、更に、図示しないオートサンプラを備え、該オートサンプラにセットされた複数の液体試料を順にインジェクタ13から導入する。
質量分析装置20は、イオン化室21と真空チャンバを備えている。真空チャンバは真空ポンプ(図示なし)により真空排気される。真空チャンバの内部には、イオン化室21の側から順に、第1中間真空室22、第2中間真空室23、及び分析室24を備えており、この順に真空度が高くなる多段差動排気系の構成を有している。
イオン化室21には、試料溶液に電荷を付与して噴霧するエレクトロスプレイイオン化(ESI: Electrospray Ionization)プローブ211が設置されている。イオン化室21と後段の第1中間真空室22との間は細径の加熱キャピラリ212を通して連通している。
第1中間真空室22には、複数のロッド電極で構成されるイオンガイド221が配置されている。イオンガイド221は、イオン光軸Cに沿ってイオンの飛行経路を収束させる。第1中間真空室22と第2中間真空室23との間は頂部に小孔を有するスキマー222で隔てられている。
第2中間真空室23には、複数のロッド電極で構成されるイオンガイド231が配置されている。イオンガイド231も、イオンガイド221と同様に、イオン光軸Cに沿ってイオンの飛行経路を収束させる。第2中間真空室23と分析室24との間は、小孔が形成された隔壁によって隔てられている。
分析室24には、前段四重極マスフィルタ25、コリジョンセル26、後段四重極マスフィルタ27、及びイオン検出器28が配置されている。前段四重極マスフィルタ25は、プレロッド電極251とメインロッド電極252を備えている。コリジョンセル26の内部には、多重極イオンガイド261が配置されている。また、コリジョンセル26には、図示しないガス源から衝突誘起解離(CID: Collision-Induced Dissociation)ガスが導入される。後段四重極マスフィルタ27は、プレロッド電極271とメインロッド電極272を備えている。
質量分析装置20では、選択イオンモニタリング(SIM: Selected Ion Monitoring)測定、MS/MSスキャン(プロダクトイオンスキャン)測定、多重反応モニタリング(MRM: Multiple Reaction Monitoring)測定等を行うことができる。SIM測定では、前段四重極マスフィルタ25ではイオンを選別せず(マスフィルタとして機能させず)、後段四重極マスフィルタ27を通過させるイオンの質量電荷比を固定してイオンを検出する。
一方、MS/MSスキャン測定及びMRM測定では、前段四重極マスフィルタ25及び後段四重極マスフィルタ27の両方をマスフィルタとして機能させる。前段四重極マスフィルタ25ではプリカーサイオンとして設定されたイオンのみを通過させる。また、コリジョンセル26の内部にCIDガスを供給するとともにプリカーサイオンを加速してその内部に導入し、プリカーサイオンとCIDガスを衝突させてプリカーサイオンの開裂を促す。MS/MSスキャン測定では後段四重極マスフィルタ27を通過するイオンの質量電荷比を走査し、MRM測定では後段四重極マスフィルタ27を通過するイオンの質量電荷比を固定して、特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみを通過させる。
制御・処理部40は、記憶部41を有する。記憶部41には、前回のチューニングで決定された各部への印加電圧の値の情報(初回のチューニングの場合には、装置出荷時等のチューニングで決定された各部への印加電圧の値の情報)が保存されている。また、これら各部に印加する印加電圧は、理論的に決められるものと、チューニングによって実験的に決定するものに分類されている。
制御・処理部40は、機能ブロックとして、条件設定部42、測定実行部43、電圧値決定部44、状態確認部45、及びメンテナンス報知部46を備えている。制御・処理部40の実体はパーソナルコンピュータであり、該コンピュータに予めインストールされた専用のプログラムを実行することにより上記各部として機能させる。さらに、制御・処理部40には、マウスやキーボードなどで構成される入力部5、液晶ディスプレイなどで構成される表示部6が接続されている。
本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1は、質量分析装置20の各部に印加する電圧のチューニングを行う際の処理に特徴を有している。
上記の通り、質量分析装置20は、イオンガイド221、イオンガイド231、プレロッド電極251、メインロッド電極252、多重極イオンガイド261、プレロッド電極271、及びメインロッド電極272を備えており、質量分析を行う際には、これらの電極にそれぞれ直流電圧及び/又は高周波電圧が印加される。また、これらの電極のほか、加熱キャピラリ212が取り付けられる隔壁、コリジョンセル26の入口と出口にもそれぞれ所定の電位を設定するための電圧が印加される(接地を含む)。
上記の各部に印加する電圧の値には、理論的に決められるものと、実験的に決められるものがある。例えば、前段四重極マスフィルタ25のメインロッド電極252や後段四重極マスフィルタ27のメインロッド電極272に印加する、イオンを選別するための直流電圧及び高周波電圧の値は、Mathieu方程式に基づいて理論的に決められる。また、上記隔壁は、多くの場合、接地される。一方、前段四重極マスフィルタ25のプレロッド電極251とメインロッド電極252、及び後段四重極マスフィルタ27のプレロッド電極271とメインロッド電極272に印加する、イオンを後段に輸送したりエネルギー障壁を設けたりする電位勾配を形成するための直流電圧(直流バイアス電圧)の値は、実際にイオンを測定することによって実験的に決められる。
本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1において質量分析装置20のチューニングを行う際には、予め、移動相容器11に、チューニングに使用する移動相を収容しておく。移動相としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトニトリル、水(必要に応じてpHを調整したもの)、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、アンモニア水、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、パーフルオロカルボン酸(C2~C8)、ジブチルアミン、トリエチルアミン、DMSO、DMF、THF、アセトン、エステル、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサンなど、様々なものを用いることができる。質量分析装置20のチューニングの前後に試料の測定を行う場合には、それらの測定に使用する移動相をそのまま使用してもよい。
本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1において、入力部5を通じた所定の操作によって使用者が装置のチューニングの実行を指示すると、条件設定部42は、チューニングの対象とするイオンの質量電荷比を入力する画面を表示部6に表示する。この画面では、1乃至複数の質量電荷比の値を入力することができる。
図2は、本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1において、質量分析装置20の各部に印加する電圧のチューニングを行う手順を示すフローチャートである。
使用者がチューニングを行うイオンの質量電荷比を入力すると(ステップ1)、測定実行部43は、記憶部41に保存されている、前回のチューニング時に決定した各部への印加電圧の値(初期値)の情報を読み出す。
測定実行部43は、移動相容器11に収容された移動相をポンプ12で送液し、ESIプローブ211に導入する。移動相は、質量分析装置20のチューニングを終了するまでの間、連続的に導入される(インフュージョン分析)。このとき、インジェクタ13からは何も注入しない。また、液体クロマトグラフ10においてカラム14を使用しない流路15に切り替え可能である場合には、カラム14を通さずに移動相をESIプローブ211に送液してもよい。移動相容器11からESIプローブ211に導入されるまでに、流路15の壁面などに付着した様々な物質が移動相に混入し、移動相とともにESIプローブ211に導入される。
本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1では、測定実行部43が、以下のような流れによりメタヒューリスティックな方法で各部に印加する電圧の値を決定する。メタヒューリスティックな方法としては、例えば、遺伝的アルゴリズム(GA: Genetic Algorithm)、タブサーチ(TS: Tabu Search)、シミュレーテッドアニーリング(SA: Simulated Annealing)、粒子群最適化(PSO: Particle Swarm Optimization)、蟻コロニー最適化(ACO: Ant Colony Optimization)、進化的プログラミング(EP: Evolutionary Programming)、免疫アルゴリズムなど、様々なアルゴリズムを用いることができる。以下は、その具体的な一例である。
測定実行部43は、入力された質量電荷比のうちの1つ(例えば最も小さい質量電荷比)の値をチューニング対象に設定し(ステップ2)、その質量電荷比の値に対応付けられた初期値の電圧を各部に印加する(ステップ3)。そして、移動相及び該移動相とともに流入した各種の物質をESIプローブ211から噴霧してイオン化する(ステップ4)。イオン化の条件は、使用する移動相の種類に応じて適宜に決めればよい。あるいは、標準的なESI条件を適用してもよい。生成されたイオンのうち、チューニング対象に設定した質量電荷比のイオンを選別が、前段四重極マスフィルタ25(又は後段四重極マスフィルタ27)で選別され、イオン検出器28で検出される(ステップ5)。
次に、チューニングによって実験的に決定する電圧のうちの1乃至複数の種類の電圧を選択する(ステップ6)。そして、選択した種類の電圧の値を、初期値から予め決められた第1の値(例えば初期値の10%)だけ変更する(ステップ7)。このとき選択する電圧の種類及び数は、予め決めておいてもよく、あるいは都度ランダムに決めてもよい。そして、再び上記同様に、移動相及び該移動相とともに流入した各種の物質をESIプローブ211から噴霧し、前段四重極マスフィルタ25(又は後段四重極マスフィルタ27)において、チューニング対象に設定した質量電荷比のイオンを選別し、イオン検出器28で強度を測定する(ステップ8)。
測定実行部43は、イオンの測定強度が初期値の電圧を印加したときに比べて予め決められた基準(例えば測定強度が5%以上増大)を満たしているかを判定する(ステップ9)。そして、この基準を満たしている場合には(ステップ9でYES)、先に変更した種類の電圧の値を更に変更する(ステップ10)。ただし、ここでは上記予め決められた第1の値よりも小さい値である、予め決められた第2の値(例えば電圧値の2%)ずつ変更した複数の値を設定し、それぞれを用いて上記同様にイオンの強度を測定する(ステップ11)。即ち、予め決められた第1の値は、印加電圧の値をある程度大きく変更して、その効果の有無を検証するものであり、予め決められた第2の値は、効果があると判定された場合に更に細かい調整を行うものである。設定した複数の値のそれぞれについてイオンの測定強度を取得すると、その中で最も測定強度が高い印加電圧の値の組を新たな初期値として設定し(ステップ12)、再び1乃至複数の種類の電圧を選択して(ステップ6)、上記同様の処理を繰り返す。ただし、ここでは、先に選択したものとは異なる1乃至複数の電圧を選択する。
イオンの測定強度が初期値の電圧を印加したときに比べて予め決められた基準を満たしていない場合には(ステップ9でNO)、当該質量電荷比のイオンの測定回数が所定回数に達したか否かを判定する(ステップ13)。所定回数は、求められるチューニングの精度やチューニングに要する時間などを考慮して適宜に決めればよく、例えば100回とすることができる。この時点では、未だ測定回数は所定回数に達していないため(ステップ13でNO)、変更した印加電圧の値を初期値に戻し(ステップ12)、ステップ6に戻り、先に選択した種類の電圧とは異なる種類の電圧を選択して、上記同様の処理を繰り返す。
一方、測定回数が所定回数に達した場合には(ステップ13でYES)、電圧値決定部44が、それまでに測定した中で最も測定強度が大きい印加電圧の組み合わせをその質量電荷比のイオンに関する印加電圧の値として決定する(ステップ14)。
続いて、チューニングの対象として設定されたイオンの全てについて印加電圧の値が決定されたかを判定し(ステップ15)、未測定のものがあれば(ステップ15でNO)、ステップ2に戻って上記同様の処理を繰り返す。そして、全てのイオンについて電圧値決定部44が印加電圧の値を決定すると(ステップ15でYES)チューニングを終了する。
従来、質量分析装置のチューニングを行う際には、チューニング用に調製された標準試料を専用に設けられたガス加圧式の送液機構からESIプローブに導入したり、あるいはユーザが自ら調製した試料(ユーザ試料)を移動相とともにESIプローブに導入したりしていた。標準試料を用いる場合には、ガス加圧式の送液機構などの専用の導入ラインを設けたり、分析対象試料の導入ラインと標準試料の導入ラインの切替機構を設けたりする必要があるため、その分だけ高コストで大型になっていた。また、ユーザ試料を用いる場合には、フローインジェクションによってユーザ試料を質量分析装置に導入することから、チューニングを実行可能な時間が、目的物質がカラムから流出する保持時間に限定され、限られた電圧値の組み合わせでしかイオンを測定することができず、高精度なチューニングを行うことが難しかった。特に、多くの種類の印加電圧の値をチューニングによって決定する場合、それらの値の組み合わせ数が非常に多く、限られた時間の中で適切なチューニング結果を得ることが難しかった。また、ユーザ試料が貴重なものである場合には、チューニングに使用するユーザ試料を準備することが難しかったり、準備できたとしても高価であったりするという問題もあった。
本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1では、試料を導入するために用いられる移動相をそのまま使用する。移動相には、ESIプローブ211に到達するまでの間に流路15の壁面などに付着した様々な物質が混入する。これらの物質は、試料の測定時にいわゆるバックグラウンドを生じさせる夾雑物である一方、幅広い質量電荷比範囲に広くイオンを生じさせることができる。そのため、任意の質量電荷比のイオンを選択してチューニングに使用することができる。また、本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1では、試料の測定時に使用する移動相及びその流路15をそのまま用いるため、専用の送液機構を設けることなく、インフュージョン分析により移動相を送液し続けてチューニングを行うことができる。
次に、本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1を用いて実際に質量分析装置20のチューニングを行った結果を説明する。ここでは、水とアセトニトリルを3:7の比率で混合した移動相を用い、0.4ml/minで送液した。この移動相をMSスキャン測定することにより取得したマススペクトルを図3に示す。また、縦軸(強度)を100倍に拡大したマススペクトルを図4に示す。なお、縦軸は最大の測定強度を1として規格化した規格化強度である。また、横軸は、所定の基準位置への印加電圧との差(相対電圧)を、チューニング範囲全体を1として規格化したもの(規格化電圧)である。
これらのマススペクトル(特に図4のマススペクトル)から分かるように、水とアセトニトリルを混合した移動相であっても、これら以外の物質から幅広い質量電荷比範囲でイオンが生成されていることが分かる。従って、任意の質量電荷比を対象として、質量分析装置20のチューニングを行うことができる。
図5は、質量分析装置のチューニング用に調製された標準試料(ポリエチレングリコール)と、上記移動相を用いて、前段四重極マスフィルタ25のプレロッド電極251に対する印加電圧の値に対する正イオン(質量電荷比168)の強度の変化を測定した結果を比較したものである。即ち、プレロッド電極251に対する印加電圧のチューニングにおける測定結果である。図5から分かるように、移動相を用いた場合でも、専用の標準試料を用いた場合とほぼ同じチューニング結果が得られた。
特許文献1に記載されているように、前段四重極マスフィルタ25のプレロッド電極251や、後段四重極マスフィルタ27のプレロッド電極271では、印加電圧の値がわずかに変化するだけで、イオンの測定強度が大きく変化する。そのため、従来のように標準試料を用いたチューニング結果に基づく線形補間によって目的試料から生成される測定対象イオンの質量電荷比における直流バイアス電圧の値を求めた場合、その値が適切な値(最大強度又はそれに近い強度が得られる電圧値)からわずかに外れるだけで測定強度が大幅に低下してしまう。従って、本実施形態のようにインフュージョンで移動相を連続導入しつつ、測定対象のイオンについて適切な印加電圧の値を決定することが有効である。
本実施形態の液体クロマトグラフ質量分析装置1では、さらに、チューニングにより決定された各部への印加電圧の値に基づいて、質量分析装置20の各部のメンテナンスを使用者に促すことができる。図6は、質量分析装置20のチューニング後に実行される、装置の状態確認に関するフローチャートである。
質量分析装置20のチューニングを完了すると、状態確認部45は、電圧値決定部44によって決定された各部への印加電圧の値と、それまでに記憶部41に保存されていた各部への印加電圧の値を比較する(ステップ21)。そして、いずれかの電圧値について、両者の相違が予め決められた値(例えば記憶部41に保存されている値の30%)を超えて変化している場合には(ステップ22でYES)、その値の電圧が印加される電極等の電圧被印加部位を特定する(ステップ23)。いずれの電圧についても予め決められた値以上の変化が生じていない場合には(ステップ22でNO)、質量分析装置20の状態が良好であることを示す画面を表示部6に表示する(ステップ24)。
チューニングにより決定された印加電圧の値が大きく変化する要因には、その電圧が印加される電極等の部位に汚れが付着したり酸化が生じたりしていること、即ち当該部位の状態が先のチューニング時から変化していることが考えられる。また、こうした状態が放置されると、質量分析の感度や精度の低下につながる。そこで、メンテナンス報知部46は、状態確認部45によって特定された電極等(又はその電極等が設けられたユニット)について、前回チューニング時に決定された電圧値からの変化の大きさと、該電極等のメンテナンスを促す画面を表示部6に表示する(ステップ25)。これにより、使用者は、メンテナンスを要する電極等を容易に把握することができる。
上記実施形態は好ましい一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
上記実施形態は液体クロマトグラフ質量分析装置1としたが、ガスクロマトグラフ質量分析装置など、所定の流路から導入される試料を質量分析する構成を有する他の質量分析装置において上記同様の構成を採ることができる。また、質量分析装置20の内部の構成(イオン化部、イオン光学系、マスフィルタなど)の種類についても上記実施形態のものに限定されず、適宜に変更することができる。
上記実施形態では、メタヒューリスティックな手法で各部に印加する電圧の値を決定する例を示した。これは、メタヒューリスティックな手法が、多数のパラメータを同時に最適化し、良好な値の組み合わせを決定するのに有効な手法であるためである。質量分析装置では、スキマーの電位(接地電位)を基準として、それよりも後段に位置する各部に直流バイアス電圧を印加してイオンを輸送したりエネルギー障壁を設けたりする電位勾配を形成する。こうした電位勾配は複数の印加電圧の値の関係によって決まるため、チューニング時にはこれら複数の印加電圧の値を同時にチューニングする必要があり、こうした場合にメタヒューリスティックな手法を用いることにより、効率的に適切な結果を得ることができる。しかし、本発明に係る質量分析方法において、メタヒューリスティックな手法を用いることは必須でなく、各部に印加する電圧値の全ての組み合わせについてイオンの強度を測定する等、他の方法で印加電圧の値を決定してもよい。
上記実施形態では1つの質量電荷比のイオンについて所定回数の測定を実行し、その中で最も測定強度が大きい印加電圧の値をチューニング結果としたが、他の方法を採ることもできる。例えば、予め測定強度の閾値を決めておき、その閾値を超える強度でイオンが測定された時点で当該質量電荷比のイオンの測定を終了し、その時点で設定されている印加電圧の値をチューニング結果とするなど、予め決められた条件を満たすように各電極等に対する印加電圧の値を決定するように構成することもできる。
上記実施形態では、電極等のメンテナンスを促す情報を表示部6の画面に表示したが、音声や紙による出力や、メンテナンスランプの点灯などによって行ってもよい。
[態様]
上述した例示的な実施形態が以下の態様の具体例であることは、当業者には明らかである。
(第1項)
本発明の一態様は、所定の流路から導入される試料を質量分析する方法であって、
前記流路に流体である所定の媒体を導入し、
前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化し、
質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件で、前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定し、
前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する
ものである。
(第2項)
本発明の別の一態様は、クロマトグラフと質量分析装置を組み合わせてなるクロマトグラフ質量分析装置であって、
移動相又はキャリアガスである媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体供給部から供給される媒体を質量分析装置に導入する流路と、
前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化するイオン化部と、
質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件を用いて、前記イオン化部で前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定する測定実行部と、
前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する電圧値決定部と
を備える。
第1項に係る質量分析方法では、試料を導入するために設けられている所定の流路に、流体である所定の媒体を導入する。この媒体には、イオン化部に到達するまでの間に媒体流路の壁面などに付着した様々な物質が混入する。これらの物質は、試料の測定時にいわゆるバックグラウンドを生じさせるものである。第1項に係る質量分析方法では、こうしたバックグラウンドを生じさせる物質を質量分析装置のチューニングに使用する。即ち、媒体とともにイオン化部に流入したこれらの物質をイオン化し、少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件で、前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定する。こうしたバックグラウンドを生じさせる物質は様々であり、それらからは広い質量電荷比範囲に満遍なくイオンが生成される。そのため、任意の質量電荷比のイオンをチューニングに使用することができる。
第2項に係るクロマトグラフ質量分析装置は、第1項に係る質量分析方法を実施するために用いられる。第2項に係るクロマトグラフ質量分析装置では、試料の測定時に使用する移動相(液体クロマトグラフの場合)やキャリアガス(ガスクロマトグラフの場合)を上記媒体とし、その媒体に混入した物質から生成されるイオンをチューニングに使用する。第1項に係る質量分析方法及び第2項に係るクロマトグラフ質量分析装置では、チューニング用の標準試料を使用しないため、該標準試料を導入する専用のラインを設ける必要がなく、コストを低減することができる。また、貴重であったり高価であったりするユーザ試料も用いる必要がない。さらに、移動相やキャリアガスが質量分析装置に連続的に導入される(インフュージョン分析)ため、フローインジェクション分析のようにチューニングを実行可能な時間が限定されることがない。従って、各電極に印加する電圧の値を細かく設定して、質量分析装置を高精度にチューニングすることができる。
(第3項)
第3項に係るクロマトグラフ質量分析装置は、第2項に係るクロマトグラフ質量分析装置において、
前記質量分析装置が、プレロッド電極とメインロッド電極を有する四重極マスフィルタを備え、
前記少なくとも1つの電極が、前記プレロッド電極である。
第3項に係るクロマトグラフ質量分析装置によれば、わずかな印加電圧のずれに対して測定強度が大きく変化するプレロッド電極に関しても、適切な印加電圧の値を決定することができる。
(第4項)
第4項に係るクロマトグラフ質量分析装置は、第2項又は第3項に係るクロマトグラフ質量分析装置において、
前記測定実行部が、第1の測定条件におけるイオンの強度と、該第1の測定条件に含まれる印加電圧の値の一部を変更した第2の測定条件におけるイオンの強度を比較し、該第2の測定条件におけるイオンの強度のほうが高い場合に、該第2測定条件に含まれる印加電圧の値の一部を変更した第3の測定条件におけるイオンの強度を測定するという処理を繰り返し実行する。
第4項に係るクロマトグラフ質量分析装置では、いわゆるメタヒューリスティックな方法で各電極に印加する電圧の値を決定する。この方法では、複数の印加電圧の値の一部を変更し、変更後にイオンの強度が増大したことに基づいて測定条件を変更していくため、測定の実行回数を抑えて短時間で印加電圧の値を最適化することができる。
(第5項)
第5項に係るクロマトグラフ質量分析装置は、第2項から第4項のいずれかに係るクロマトグラフ質量分析装置において、さらに、
前記1乃至複数の電極に対する印加電圧の基準値の情報が保存された記憶部と、
前記電圧値決定部により決定された前記1乃至複数の電極に対する印加電圧の値と、前記記憶部に保存された前記印加電圧の基準値を比較した結果を出力する比較結果出力部と
を備える。
第5項に係るクロマトグラフ質量分析装置では、例えば、クロマトグラフ質量分析装置の据付時に行ったチューニングにより決定された、各電極に対する印加電圧の値を記憶部に保存しておく。第5項に係るクロマトグラフ質量分析装置では、電圧値決定部により決定された印加電圧の値と基準値の差の大小から、質量分析装置の状態の変化の有無を確認することができる。
(第6項)
第6項に係るクロマトグラフ質量分析装置は、第5項に係るクロマトグラフ質量分析装置において、
前記比較結果出力部が、さらに、前記電圧値決定部により決定された前記1乃至複数の電極に対する印加電圧の値と、前記記憶部に保存された前記印加電圧の基準値の差が予め決められた閾値を超えている場合に、その電圧が印加される電極のメンテナンスを促す情報を出力するメンテナンス情報出力部
を備える。
第6項に係るクロマトグラフ質量分析装置では、経年劣化等によって状態が変化した電極のメンテナンス時期を容易に把握することができる。
1…液体クロマトグラフ質量分析装置
10…液体クロマトグラフ
11…移動相容器
12…ポンプ
13…インジェクタ
14…カラム
15…流路
20…質量分析装置
21…イオン化室
21…第1中間真空室
211…ESIプローブ
212…加熱キャピラリ
22…第1中間真空室
221…イオンガイド
222…スキマー
23…第2中間真空室
231…イオンガイド
24…分析室
25…前段四重極マスフィルタ
251…プレロッド電極
252…メインロッド電極
26…コリジョンセル
261…多重極イオンガイド
27…後段四重極マスフィルタ
271…プレロッド電極
272…メインロッド電極
28…イオン検出器
40…制御・処理部
41…記憶部
42…条件設定部
43…測定実行部
44…電圧値決定部
45…状態確認部
46…メンテナンス報知部
5…入力部
6…表示部
C…イオン光軸
本発明が解決しようとする課題は、質量分析装置の電極に印加する電圧を、従来よりも低コストで高精度にチューニングすることができる技術を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、所定の流路から導入される試料を質量分析する方法であって、
前記流路に流体である所定の媒体を導入し、
前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化し、
質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件のそれぞれで、前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定し、
前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する
ものである。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別の態様は、クロマトグラフと質量分析装置を組み合わせてなるクロマトグラフ質量分析装置であって、
移動相又はキャリアガスである媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体供給部から供給される媒体を質量分析装置に導入する流路と、
前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化するイオン化部と、
質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件のそれぞれを用いて、前記イオン化部で前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定する測定実行部と、
前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する電圧値決定部と
を備える。
測定実行部43は、入力された質量電荷比のうちの1つ(例えば最も小さい質量電荷比)の値をチューニング対象に設定し(ステップ2)、その質量電荷比の値に対応付けられた初期値の電圧を各部に印加する(ステップ3)。そして、移動相及び該移動相とともに流入した各種の物質をESIプローブ211から噴霧してイオン化する(ステップ4)。イオン化の条件は、使用する移動相の種類に応じて適宜に決めればよい。あるいは、標準的なESI条件を適用してもよい。生成されたイオンのうち、チューニング対象に設定した質量電荷比のイオンが、前段四重極マスフィルタ25(又は後段四重極マスフィルタ27)で選別され、イオン検出器28で検出される(ステップ5)。
(第1項)
本発明の一態様は、所定の流路から導入される試料を質量分析する方法であって、
前記流路に流体である所定の媒体を導入し、
前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化し、
質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件のそれぞれで、前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定し、
前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する
ものである。
(第2項)
本発明の別の一態様は、クロマトグラフと質量分析装置を組み合わせてなるクロマトグラフ質量分析装置であって、
移動相又はキャリアガスである媒体を供給する媒体供給部と、
前記媒体供給部から供給される媒体を質量分析装置に導入する流路と、
前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化するイオン化部と、
質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件のそれぞれを用いて、前記イオン化部で前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定する測定実行部と、
前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する電圧値決定部と
を備える。
1…液体クロマトグラフ質量分析装置
10…液体クロマトグラフ
11…移動相容器
12…ポンプ
13…インジェクタ
14…カラム
15…流路
20…質量分析装置
21…イオン化室
211…ESIプローブ
212…加熱キャピラリ
22…第1中間真空室
221…イオンガイド
222…スキマー
23…第2中間真空室
231…イオンガイド
24…分析室
25…前段四重極マスフィルタ
251…プレロッド電極
252…メインロッド電極
26…コリジョンセル
261…多重極イオンガイド
27…後段四重極マスフィルタ
271…プレロッド電極
272…メインロッド電極
28…イオン検出器
40…制御・処理部
41…記憶部
42…条件設定部
43…測定実行部
44…電圧値決定部
45…状態確認部
46…メンテナンス報知部
5…入力部
6…表示部
C…イオン光軸

Claims (6)

  1. 所定の流路から導入される試料を質量分析する方法であって、
    前記流路に流体である所定の媒体を導入し、
    前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化し、
    質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件で、前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定し、
    前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する
    ものである、質量分析方法。
  2. クロマトグラフと質量分析装置を組み合わせてなるクロマトグラフ質量分析装置であって、
    移動相又はキャリアガスである媒体を供給する媒体供給部と、
    前記媒体供給部から供給される媒体を質量分析装置に導入する流路と、
    前記媒体を、前記流路を構成する部材から該媒体に混入した物質とともにイオン化するイオン化部と、
    質量分析装置に設けられた1乃至複数の電極のうちの少なくとも1つの電極に対する印加電圧の値が異なる複数の測定条件を用いて、前記イオン化部で前記物質から生成される、予め決められた1乃至複数の質量電荷比を有するイオンを質量分離して測定する測定制御部と、
    前記1乃至複数の質量電荷比のイオンの強度が予め決められた基準を満たすように、前記1乃至複数の電極に対して印加する電圧の値を決定する電圧値決定部と
    を備えるクロマトグラフ質量分析装置。
  3. 前記質量分析装置が、プレロッド電極とメインロッド電極を有する四重極マスフィルタを備え、
    前記少なくとも1つの電極が、前記プレロッド電極である、請求項2に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
  4. 前記測定制御部が、第1の測定条件におけるイオンの強度と、該第1の測定条件に含まれる印加電圧の値の一部を変更した第2の測定条件におけるイオンの強度を比較し、該第2の測定条件におけるイオンの強度のほうが高い場合に、該第2測定条件に含まれる印加電圧の値の一部を変更した第3の測定条件におけるイオンの強度を測定するという処理を繰り返し実行する、請求項2に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
  5. さらに、
    前記1乃至複数の電極に対する印加電圧の基準値の情報が保存された記憶部と、
    前記電圧値決定部により決定された前記1乃至複数の電極に対する印加電圧の値と、前記記憶部に保存された前記印加電圧の基準値を比較した結果を出力する比較結果出力部と
    を備える、請求項2に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
  6. 前記比較結果出力部が、さらに、前記電圧値決定部により決定された前記1乃至複数の電極に対する印加電圧の値と、前記記憶部に保存された前記印加電圧の基準値の差が予め決められた閾値を超えている場合に、その電圧が印加される電極のメンテナンスを促す情報を出力するメンテナンス情報出力部
    を備える、請求項2に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
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