JP2024057904A - ウォーム減速機 - Google Patents

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【課題】ホイール歯部とウォーム歯部との噛合部で発生する騒音を低減することができるウォーム減速機を提供する。【解決手段】ウォーム減速機は、外周面にホイール歯部9を有するウォームホイール2と、外周面にホイール歯部9と噛合するウォーム歯部12を有するウォーム3とを備える。ホイール歯部9の進み角をα1、ウォーム歯部12の進み角をα2としたときに、α1<α2の関係を満たす。ホイール歯部9の圧力角をβ1、ウォーム歯部12の圧力角をβ2としたときに、β1>β2の関係を満たす。【選択図】図3

Description

本開示は、電動パワーステアリング装置などに組み込むことが可能なウォーム減速機に関する。
近年、ステアリング装置において、電動モータを補助動力源として、運転者がステアリングホイールを操作するのに要する力を低減する電動パワーステアリング装置が普及している。
電動パワーステアリング装置は、電動モータのトルクを増大させるためのウォーム減速機を備える。ウォーム減速機は、外周面にホイール歯部を有するウォームホイールと、外周面にホイール歯部と噛合するウォーム歯部を有するウォームとを備える。電動モータのトルクは、ウォームを介してウォームホイールに伝達されることにより増大されてから、ステアリングシャフトやステアリングギヤユニットのピニオン軸またはラック軸などの操舵力伝達部材に補助動力として付与される。これにより、運転者がステアリングホイールを操作するのに要する力が低減される。
ウォーム減速機では、通常、ウォームホイールの中心軸とウォームの中心軸との交角は90゜に設定される。この場合、ホイール歯部とウォーム歯部との噛み合いのフィット感を考慮して、ホイール歯部とウォーム歯部とのそれぞれの圧力角および進み角は、互いに等しくなるように設定される。
ウォーム減速機の作動時には、ホイール歯部とウォーム歯部との噛合部で、歯打ち音などによる騒音が発生する。従来、このような騒音を低減するために、ウォームホイールのうちホイール歯部が存在する部分を、金属ではなく、合成樹脂により構成することが提案されている(たとえば特開2020-128803号公報参照)。
特開2016-217469号公報には、ウォームとウォームホイールとの間におけるトルク変動を低減するために、ウォーム歯部の圧力角をホイール歯部の圧力角よりも小さくすることが提案されている。
特開2020-128803号公報 特開2016-217469号公報
特開2020-128803号公報などで提案されているように、ウォームホイールのうちホイール歯部が存在する部分を合成樹脂により構成すれば、ホイール歯部とウォーム歯部との噛合部で発生する騒音を低減することができる。しかしながら、ホイール歯部に要求される強度レベルが高く、ホイール歯部が存在する部分を金属により構成しなければならない場合もある。この場合には、他の手段により、ホイール歯部とウォーム歯部との噛合部で発生する騒音を低減することが求められる。また、ホイール歯部が存在する部分を合成樹脂により構成することができる場合でも、ホイール歯部とウォーム歯部との噛合部で発生する騒音を、さらに低減することが求められる。
一方、特開2016-217469号公報には、ウォーム歯部の圧力角をホイール歯部の圧力角よりも小さくすることにより、ウォームとウォームホイールとの間におけるトルク変動を低減できることは記載されているが、それと同時にホイール歯部とウォーム歯部との噛合部で発生する騒音を低減できるか否かについては記載されていない。すなわち、特開2016-217469号公報には、該騒音の低減を実現するための具体的な手段については、記載されていない。
本開示は、ホイール歯部とウォーム歯部との噛合部で発生する騒音を低減することができるウォーム減速機を提供することを目的とする。
本開示の一態様のウォーム減速機は、外周面にホイール歯部を有するウォームホイールと、外周面に前記ホイール歯部と噛合するウォーム歯部を有するウォームとを備える。
前記ホイール歯部の進み角をα1、前記ウォーム歯部の進み角をα2としたときに、α1<α2の関係を満たす。
前記ホイール歯部の圧力角をβ1、前記ウォーム歯部の圧力角をβ2としたときに、β1>β2の関係を満たす。
本開示の一態様のウォーム減速機は、α2-α1≦1.5゜の関係を満たす。
本開示の一態様のウォーム減速機は、β1-β2≦1.5゜の関係を満たす。
本開示の一態様のウォーム減速機では、前記ホイール歯部が、歯面と歯先面との接続部に、前記ウォーム歯部の歯面と接触するR面取り部を有する。
この場合には、前記R面取り部の曲率半径を2.0mm以下とすることができる。
本開示の一態様のウォーム減速機では、前記ウォーム歯部の条数が2である。
本開示のウォーム減速機は、上述した各態様の構成を、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
本開示の一態様のウォーム減速機によれば、ホイール歯部とウォーム歯部との噛合部で発生する騒音を低減することができる。
図1は、本開示の実施の形態の第1例のウォーム減速機を組み込んだ電動パワーステアリング装置を示す図である。 図2は、図1のA-A断面図である。 図3は、第1例のウォーム減速機を構成するウォームとウォームホイールの一部とを取り出して示す図である。 図4(a)は、第1例のウォーム減速機を構成するウォームの平面図であり、図4(b)は、該ウォーム減速機を構成するウォームホイールを径方向外側から見た図である。 図5(a)は、第1例のウォーム減速機を構成するウォームの部分断面図であり、図5(b)は、該ウォーム減速機を構成するウォームホイールの部分断面図である。 図6は、第1例のウォーム減速機において、ホイール歯部に対してウォーム歯部が接触する箇所を説明するための図である。 図7(a)は、第1例におけるウォーム歯とホイール歯との噛合部を模式的に示す断面図であり、図7(b)は、比較例についての図7(a)に相当する図である。 図8(a)は、第1例におけるウォーム歯とホイール歯との噛合部を径方向外側から見た模式図であり、図7(b)は、比較例についての図8(a)に相当する図である。 図9(a)は、第1例のウォーム減速機の作動時にウォームに作用する軸方向荷重の時間変化を示す概念図であり、図9(b)は、比較例についての図9(a)に相当する概念図である。 図10は、本開示の実施の形態の第2例のウォーム減速機のホイール歯部の部分断面図である。
[第1例]
本開示の実施の形態の第1例のウォーム減速機について、図1~図9を用いて説明する。
(1)ウォーム減速機
本開示のウォーム減速機は、各種機械装置の一部に組み込まれるウォーム減速機に適用可能であるが、本例では、自動車用の電動パワーステアリング装置の一部に組み込まれるウォーム減速機に、本開示のウォーム減速機を適用する場合について説明する。
本例のウォーム減速機1は、図2および図3に示すように、ウォームホイール2と、ウォーム3とを備える。
本例では、ウォームホイール2およびウォーム3は、ハウジング4に収容されている。
ハウジング4は、ホイール収容部5と、ホイール収容部5の中心軸に対しねじれの位置にある中心軸を有し、かつ、軸方向中間部がホイール収容部5に開口したウォーム収容部6とを備える。
ホイール収容部5は、筒状に構成されている。図2において、ホイール収容部5の中心軸は、表裏方向に伸長している。
ウォーム収容部6は、筒状に構成され、かつ、軸方向両側の端部に開口部を有する。図2において、ウォーム収容部6の中心軸は、左右方向に伸長している。すなわち、ホイール収容部5の中心軸の方向とウォーム収容部6の中心軸の方向とは、互いに直交している。ウォーム収容部6の軸方向一方側(図2の右側)の開口部は、蓋体7により塞がれている。ウォーム収容部6の軸方向他方側(図2の左側)の開口部は、ハウジング4に結合固定された電動モータ8により塞がれている。
ウォームホイール2は、外周面に、はすば歯車状のホイール歯部9を有する。本例では、ウォームホイール2は、鋼などの金属製で円輪板状の芯部10の周囲に、外周面にホイール歯部9を有する合成樹脂製のギヤ部11を結合固定してなる。本開示の構造を実施する場合、ギヤ部11の素材となる合成樹脂材料の種類は、ギヤ部11に求められる耐久性を確保できる限り任意であるが、たとえば、ポリアミド66(PA66)にガラスファイバー(GF)を混入したものを用いることができる。ガラスファイバーの混入量は、ギヤ部11に求められる耐久性を確保できる限り任意であるが、たとえば25wt%程度とすることができる。なお、ウォームホイール2の全体を鋼などの金属製とすることもできる。
ウォームホイール2は、ホイール収容部5の内側に回転自在に支持される。本例では、ウォームホイール2は、ホイール収容部5の内側に回転自在に支持された回転軸の軸方向一部分(本例では、車両の前後方向に関するステアリングシャフト20の前側部)に外嵌固定されている。
ウォーム3は、軸方向中間部外周面に、ウォームホイール2のホイール歯部9と噛合する、ねじ状のウォーム歯部12を有する。ウォーム3は、鋼などの金属製である。
ウォーム3は、ウォーム収容部6の内側に回転自在に支持される。すなわち、ウォームホイール2の中心軸とウォーム3の中心軸との交角は90゜に設定される。
本例では、ウォーム3の基端寄り部分(図2の左端寄り部分)は、ウォーム収容部6に対し、玉軸受13により回転自在に支持されている。本例では、玉軸受13の外輪がウォーム収容部6に径方向の隙間を介して内嵌され、かつ、玉軸受13の内輪がウォーム3の基端寄り部分に径方向の隙間を介して外嵌されている。これにより、ウォーム3の基端寄り部分が、ウォーム収容部6に対し、回転および揺動変位を可能に支持されている。なお、ウォーム3の基端寄り部分を、ウォーム収容部6に対して、回転および揺動変位を可能に支持する構造については、本例の構造に限らず、各種構造を採用することができる。
本例では、ウォーム3の先端部(図2の右端部)は、ウォーム収容部6に対し、玉軸受14により回転自在に支持されている。玉軸受14の外周面とウォーム収容部6の内周面との間には、コイルばね、板ばねなどの弾性体を含んで構成される付勢機構15が組み付けられている。付勢機構15により、ウォーム3の先端部をウォームホイール2の側に向け弾性的に付勢している。このような構成により、ホイール歯部9とウォーム歯部12との間のバックラッシュを抑えることで、ウォーム3の回転方向が反転する際の歯打ち音の発生を抑制している。なお、ウォーム3の先端部をウォームホイール2の側に向けて弾性的に付勢する機構については、本例の構造に限らず、各種構造を採用することができる。
本開示のウォーム減速機を実施する場合には、ウォームの基端部をウォーム収容部に対して揺動可能に支持する構成、および、ウォームの先端部をウォームホイールの側に向けて弾性的に付勢する構成を、省略することもできる。
本例では、ウォーム3の基端部は、電動モータ8の出力軸16の先端部に対し、カップリング17を用いて、トルク伝達および揺動変位を可能に接続される。なお、ウォーム3の基端部を、電動モータ8の出力軸16の先端部に対し、スプライン係合などにより、トルク伝達および揺動変位を可能に接続することもできる。
ウォームホイール2のホイール歯部9は、図3および図4(b)に示すように、はすば歯車状に構成されている。すなわち、ホイール歯部9は、周方向に等ピッチに配置された複数の歯9aを有しており、それぞれの歯9aの歯筋方向が、ウォームホイール2の中心軸O1の方向に対し、進み角α1だけ傾斜している。
ウォームホイール2の中心軸O1に対して直交する仮想平面で切断した歯9aの断面(以下、単に断面という)は、歯先側である径方向外側に向かうにしたがって周方向幅が小さくなる略等脚台形状を有する(図5(b)参照)。つまり、歯9aの周方向両側の側面である歯面9bは、径方向外側に向かうにしたがって、該歯9aの周方向中央側に向かう方向に延びている。ホイール歯部9には、圧力角β1が設定されている。歯9aの断面において、ホイール歯部9のピッチ円筒C1と歯面9bとの交点をP1とし、交点P1を通過するウォームホイール2の半径線を基準直線L1とし、交点P1における歯面9bの接線をS1としたときに、圧力角β1は、基準直線L1に対する接線S1の傾斜角で表される。
ウォーム3のウォーム歯部12は、図3および図4(a)に示すように、ねじ状に構成されている。具体的には、ウォーム歯部12は、それぞれが螺旋状に形成されたn枚(nは正の整数)の歯12aを有しており、それぞれの歯12aは、径方向外側から見て、ウォーム3の中心軸O2に直交する仮想平面に対し、進み角α2だけ傾斜している。ここで、ウォーム歯部12の歯12aの枚数nを、ウォーム歯部12の条数という。ウォーム歯部12の条数nは、任意に設定することができるが、本例では2である。
ウォーム3の中心軸O2を含む仮想平面で切断した歯12aの断面(以下、単に断面という)は、歯先側である径方向外側に向かうにしたがって軸方向幅が小さくなる略等脚台形状を有する(図5(a)参照)。つまり、歯12aの軸方向両側の側面である歯面12bは、径方向外側に向かうにしたがって、該歯12aの軸方向幅の中央側に向かう方向に延びている。ウォーム歯部12には、圧力角β2が設定されている。歯12aの断面において、ウォーム歯部12のピッチ円筒C2と歯面12bとの交点をP2とし、交点P2を通過するウォーム3の半径線を基準直線L2とし、交点P2における歯面12bの接線をS2としたときに、圧力角β2は、基準直線L2に対する接線S2の傾斜角で表される。
本例では、ホイール歯部9の進み角α1、および、ウォーム歯部12の進み角α2は、α2がα1よりも大きくなるように、すなわち、α1<α2の関係を満たすように設定されている。また、ホイール歯部9の圧力角β1、および、ウォーム歯部12の圧力角β2は、β2がβ1よりも小さくなるように、すなわち、β1>β2の関係を満たすように設定されている。このため、本例の構造では、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛合部で発生する騒音を抑えることができる。この理由について、以下に説明する。
ウォーム減速機1において、ウォーム歯部12の条数がn(nは正の整数)である場合、ウォーム歯部12とホイール歯部9との噛み合い状態は、ウォーム3およびウォームホイール2の回転に伴って、n歯同士の噛み合い状態と、(n+1)歯同士の噛み合い状態とが、交互に繰り返される。
本例のように、ウォーム歯部12の条数nが2である場合には、ウォーム歯部12とホイール歯部9との噛み合い状態は、ウォーム3およびウォームホイール2の回転に伴って、2歯同士の噛み合い状態と、3歯同士の噛み合い状態とが、交互に繰り返される。
この際に、3歯同士の噛み合い状態では、ホイール歯部9の周方向に連続する3つの歯9a(1)、9a(2)、9a(3)のうち、図6に示す3箇所K1、K2、K3に対して、ウォーム歯部12が接触する。ウォームホイール2の回転方向Aの前側から数えて1番目の箇所K1は、該1番目の歯9a(1)の歯元側に位置している。回転方向Aの前側から数えて2番目の箇所K2は、該2番目の歯9a(2)のうち、歯元側と歯先側との間に位置している。回転方向Aの前側から数えて3番目の箇所K3は、該3番目の歯9a(3)の歯先側に位置している。
それぞれの箇所K1、K2、K3には、ウォーム歯部12から、ウォーム3の軸方向を向いた荷重F1、F2、F3が加わる。図6では、便宜上、荷重F1、F2、F3をすべて同じ大きさ、すなわち荷重F1、F2、F3の荷重ベクトルをすべて同じ長さで描いている。ただし、実際は、ウォームホイール2の中心軸O1からそれぞれの箇所K1、K2、K3までの距離である回転半径R1、R2、R3が異なる(R1<R2<R3)ことに起因して、荷重F1、F2、F3の大きさは異なる傾向となる。具体的には、回転半径が相対的に小さい箇所K1、K2、の荷重F1、F2よりも、回転半径が相対的に大きい箇所K3の荷重F3が大きくなる傾向がある(たとえば、図7(a)および図7(b)参照)。
なお、図7(b)、図8(b)、図9(b)に示した比較例は、α1=α2の関係を満たし、かつ、β1=β2の関係を満たすようにした点のみが、本例と異なる例である。
一方、ウォーム3およびウォームホイール2の回転時に、ウォーム3に作用する軸方向荷重Fxは、たとえば、図9(a)および図9(b)に示すように周期的に変化する。具体的には、軸方向荷重Fxは、2歯同士の噛み合い状態から3歯同士の噛み合い状態に変化したタイミング、すなわち、回転方向Aの前側から数えて3番目の箇所K3に荷重F3が加わったタイミングで、急激に上昇し、図9(a)および図9(b)に矢印で示すピークに達する。
このことから、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛合部で騒音が発生する原因の1つは、回転方向Aの前側から数えて3番目の箇所K3に加わる荷重F3の変動にあることが分かる。したがって、箇所K3に加わる荷重F3の大きさを抑えることができれば、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛合部で発生する騒音を抑えることができる。
この点に関して、本例の構造では、ウォーム歯部12の進み角α2がホイール歯部9の進み角α1よりも大きくなるように設定されており(α1<α2)、かつ、ウォーム歯部12の圧力角β2がホイール歯部9の圧力角β1よりも小さくなるように設定されている(β1>β2)。
α1<α2の関係を満たすようにホイール歯部9の進み角α1およびウォーム歯部12の進み角α2を設定する本例では、α1=α2の関係を満たすようにホイール歯部9の進み角α1およびウォーム歯部12の進み角α2を設定する比較例に比べて、箇所K3にウォーム歯部12が接触する瞬間の接触面積を小さくすることができる(図8(a)および図8(b)参照)。すなわち、本例では、箇所K3にウォーム歯部12を小さい領域から接触させ始めることで、接触した瞬間の荷重F3の立ち上がり量を比較例よりも抑えることができ(図7(a)および図7(b)参照)、軸方向荷重Fxのピークの立ち上がり量を比較例よりも抑えることができる(図9(a)および図9(b)参照)。
β1>β2の関係を満たすようにホイール歯部9の圧力角β1およびウォーム歯部12の圧力角β2を設定する本例では、β1=β2の関係を満たすようにホイール歯部9の圧力角β1およびウォーム歯部12の圧力角β2を設定する比較例に比べて、箇所K3にウォーム歯部12が接触する瞬間の接触面積を小さくすることができる。すなわち、本例では、箇所K3にウォーム歯部12を小さい領域から接触させ始めることで、接触した瞬間の荷重F3の立ち上がり量を比較例よりも抑えることができ(図7(a)および図7(b)参照)、軸方向荷重Fxのピークの立ち上がり量を比較例よりも抑えることができる(図9(a)および図9(b)参照)。
なお、α1<α2の関係を満たすことによる効果と、β1>β2の関係を満たすことによる効果とは、互いに背反とならず、相加的、相乗的に軸方向荷重Fxのピークの立ち上がり量を抑える効果がある。このため、本例では、β1>β2の関係だけを満たす場合に比べて、α1<α2の関係を満たす分、箇所K3にウォーム歯部12が接触する瞬間の接触面積をより小さくすることができ、荷重F3の立ち上がり量、すなわち軸方向荷重Fxのピークの立ち上がり量を抑えられる効果が高い。
なお、本例と比較例とで、それぞれの箇所K1、K2、K3に加わる荷重F1、F2、F3の総和(F1+F2+F3)は、互いに等しい。このため、本例では、箇所K3に加わる荷重F3が比較例よりも小さくなった分、箇所K1、K2に加わる荷重F1、F2が比較例よりも大きくなる(図7(a)および図7(b)参照)。
以上のように本例では、箇所K3に加わる荷重F3の大きさを抑えることができるため、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛合部で発生する騒音を抑えることができる。なお、ギヤ部11を構成する合成樹脂として、ポリアミド66にガラスファイバーを25wt%程度混入した材料を用いる場合、当該材料は、合成樹脂としては硬めの材料であるため、荷重F3が大きくなりやすい。このため、荷重F3の大きさを抑える本例の特徴(α1<α2、β1>β2)は、当該材料を用いる場合に、噛合部で発生する騒音を抑える上で、特に有効である。
本例の構造を実施する場合、ホイール歯部9の進み角α1は、ウォーム減速機に求められる効率やセルフロック性などを考慮した上で、任意の大きさに設定することができる。また、ホイール歯部9の圧力角β1は、ウォーム減速機に求められるギヤ強度などを考慮した上で、任意の大きさに設定することができる。なお、本例では、進み角α1を19.36度とし、圧力角β1を14.50度としている。進み角α1は、ギヤ効率を考慮すると、19.36度が最も好ましい。
本例の構造を実施する場合には、荷重F3の低減効果を高める観点から、ホイール歯部9の進み角α1とウォーム歯部12の進み角α2との角度差(α2-α1)、および、ホイール歯部9の圧力角β1とウォーム歯部12の圧力角β2との角度差(β1-β2)は、基本的には大きい方が良い。
ただし、角度差(α2-α1)および(β1-β2)のそれぞれについて、1.5゜を超えると、荷重F3の低減効果は、ほぼ飽和すると、経験上推測される。また、角度差(α2-α1)および(β1-β2)のそれぞれについて、1.5゜を超えると、ウォーム歯部12の歯厚が小さくなり、また、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛合部の摩耗量が増大し、耐久性が低下しやすくなると、経験上推測される。
このため、本例の構造を実施する場合、角度差(α2-α1)については、α2-α1≦1.5゜の関係を満たすことが好ましく、角度差(β1-β2)については、β1-β2≦1.5゜の関係を満たすことが好ましい。
なお、ウォーム3に作用する軸方向荷重Fxの変動幅、すなわち、トルクリップルを低減させることは、ホイール歯部9において、歯先側に加わる荷重を緩和できるが、他方で、歯元側に加わる荷重が強まる。歯元側を中心とした歯面当りを実現させると、荷重、面圧の偏りによっては、ホイール歯部9の耐久強度が低下する可能性がある。このため、対策として、ホイール歯部9の耐久強度の低下率を見積もっておき、安全率内で収まるように、角度差(α2-α1)および(β1-β2)を決定することもできる。
本例の構造を実施する場合で、ホイール歯部9とウォーム歯部12との角度差(α2-α1)および(β1-β2)を変更する場合には、ホイール歯部9の諸元(α1、β1)を変更することなく、ウォーム歯部12の諸元(α2、β2)を変更することが、手間やコストを抑える面で有効である。この理由は、本例では、合成樹脂製のホイール歯部9の諸元(α1、β1)を変更する際には、高価で複雑な射出成形用設備の変更を伴うのに対し、金属製のウォーム歯部12の諸元(α2、β2)は、加工により容易に変更することができるためである。
なお、ウォーム歯部12の諸元(α2、β2)を変更することで、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛み合い位置の変動が大きくなり、その結果、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛み合い反力が小さい範囲でのトルクリップルである無負荷作動トルクリップルが悪化することが懸念される。このため、対策として、ラップ加工によるホイール歯部9の加工、すなわち砥粒を電着した加工用のウォームを用いたホイール歯部9の加工などにより、ホイール歯部9およびウォーム歯部12の形状を最適化してもよい。なお、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛み合い反力が小さい範囲とは、該噛み合い反力によってウォーム3がウォームホイール2と反対側に浮き上がらない範囲をいう。
(2)電動パワーステアリング装置
本例の電動パワーステアリング装置18は、図1に示すように、ステアリングホイール19と、ステアリングシャフト20と、ステアリングコラム21と、1対の自在継手22a、22bと、中間シャフト23と、ステアリングギヤユニット24と、本例のウォーム減速機1および電動モータ8とを備える。
ステアリングホイール19は、ステアリングシャフト20の後端部に支持固定されている。ステアリングシャフト20は、車体に支持されたステアリングコラム21の内側に、回転可能に支持されている。ステアリングシャフト20の前端部は、後側の自在継手22aと、中間シャフト23と、前側の自在継手22bとを介して、ステアリングギヤユニット24のピニオン軸25に接続されている。このため、運転者がステアリングホイール19を回転させると、ステアリングホイール19の回転は、ステアリングシャフト20と1対の自在継手22a、22bと中間シャフト23とを介して、ピニオン軸25に伝達される。ピニオン軸25の回転は、ピニオン軸25と噛合した、ステアリングギヤユニット24の不図示のラック軸の直線運動に変換される。この結果、1対のタイロッド26が押し引きされることで、左右の操舵輪にステアリングホイール19の回転操作量に応じた舵角が付与される。
本例の電動パワーステアリング装置18は、ステアリングコラム21の前端部にウォーム減速機1および電動モータ8が支持されたコラムタイプであり、電動モータ8の補助動力を、ウォーム減速機1により増大してからステアリングシャフト20の前端部に付与することにより、運転者がステアリングホイール19を操作するのに要する力を軽減できるように構成されている。
本例の電動パワーステアリング装置18では、比較的運転席に近い位置に配置されたウォーム減速機1について、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛合部で発生する騒音を抑えることができるため、運転席の居住性を良好にすることができる。
なお、本開示のウォーム減速機を実施する場合には、ウォーム歯部12の条数nを任意に決定することができる。また、ホイール歯部9とウォーム歯部12との噛合部で発生する騒音を抑える効果、すなわち、ホイール歯部9のうち、ウォームホイール2の回転方向の前側から数えて(n+1)番目の箇所に加わる荷重F(n+1)の大きさを抑える効果は、条数nが小さいほど大きくなり、条数n=1である場合に最も大きくなる。ただし、当該効果に加えて、電動パワーステアリング装置に組み込むウォーム減速機として適切なトルク比、減速比、ギヤ強度などを考慮すると、条数n=1ではなく、本例のように条数=2とすることが最も好ましい。すなわち、条数n=1とすると、条数=2の場合に比べて、減速比を大きくできるため、補助動力を確保する面で有利になるが、転追性を確保する面で不利になり、また、ギヤ強度が2倍必要になるため製造コスト面で不利になる。
本開示のウォーム減速機を備えた電動パワーステアリング装置を実施する場合には、ステアリングギヤユニットのピニオン軸またはラック軸に補助動力を付与する位置に、ウォーム減速機1および電動モータ8を配置することもできる。
[第2例]
本開示の実施の形態の第2例のウォーム減速機について、図10を用いて説明する。
本例の構造では、ホイール歯部9が、周方向両側の歯面9bと歯先面9cとの接続部に、ウォーム歯部の歯面と接触するR面取り部27を有する。
本例の構造では、ホイール歯部9の箇所K3(図6参照)にウォーム歯部が接触する際に、ウォーム歯部をR面取り部27に接触させることで、該接触部の接触面積を広くすることができ、その結果、ホイール歯部9の箇所K3に加わる荷重F3をより小さくすることができる。したがって、ホイール歯部9とウォーム歯部との噛合部で発生する騒音をより抑えることができる。
R面取り部27の曲率半径R27の大きさは任意に設定することができるが、2.0mm以下に設定することが好ましい。曲率半径R27が2.0mmを超えると、ホイール歯部9の肉が少なくなり、ホイール歯部9の耐久強度を確保しにくくなるためである。すなわち、曲率半径R27が2.0mm以下であれば、噛合部で発生する騒音の抑制とホイール歯部9の耐久強度の確保とを両立しやすい。より好ましくは、曲率半径R27を1.0±0.1mmの範囲に収めれば、騒音の抑制とホイール歯部9の耐久強度の確保とを、より高いレベルで両立できる。すなわち、曲率半径R27が0.9mmより小さいと、騒音の抑制を向上させる効果が得にくくなり、曲率半径R27が1.1mmより大きいと、ホイール歯部9の肉が少なくなり、その分、ホイール歯部9の耐久強度が低下する。本例についてのその他の構成および作用効果は、第1例と同様である。
1 ウォーム減速機
2 ウォームホイール
3 ウォーム
4 ハウジング
5 ホイール収容部
6 ウォーム収容部
7 蓋体
8 電動モータ
9 ホイール歯部
9a 歯
9b 歯面
9c 歯先面
10 芯部
11 ギヤ部
12 ウォーム歯部
12a 歯
12b 歯面
13 玉軸受
14 玉軸受
15 付勢機構
16 出力軸
17 カップリング
18 電動パワーステアリング装置
19 ステアリングホイール
20 ステアリングシャフト
21 ステアリングコラム
22a、22b 自在継手
23 中間シャフト
24 ステアリングギヤユニット
25 ピニオン軸
26 タイロッド
27 R面取り部

Claims (6)

  1. 外周面にホイール歯部を有するウォームホイールと、
    外周面に前記ホイール歯部と噛合するウォーム歯部を有するウォームと、
    を備え、
    前記ホイール歯部の進み角をα1、前記ウォーム歯部の進み角をα2としたときに、α1<α2の関係を満たし、
    前記ホイール歯部の圧力角をβ1、前記ウォーム歯部の圧力角をβ2としたときに、β1>β2の関係を満たす、
    ウォーム減速機。
  2. α2-α1≦1.5゜の関係を満たす、請求項1に記載のウォーム減速機。
  3. β1-β2≦1.5゜の関係を満たす、請求項1に記載のウォーム減速機。
  4. 前記ホイール歯部が、歯面と歯先面との接続部に、前記ウォーム歯部の歯面と接触するR面取り部を有する、請求項1に記載のウォーム減速機。
  5. 前記R面取り部の曲率半径が2.0mm以下である、請求項4に記載のウォーム減速機。
  6. 前記ウォーム歯部の条数が2である、請求項1に記載のウォーム減速機。
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