JP2024052582A - 異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法およびボンド磁石 - Google Patents

異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法およびボンド磁石 Download PDF

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貴士 麻田
Takashi Asada
秀一 多田
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Abstract

【課題】磁性粉末の充填率と配向率を両立した異方性磁性粉末圧縮成形体を提供する。また、磁気特性に優れたボンド磁石を提供する。【解決手段】磁性粉末を磁場配向しながら、前記磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いて、金型内で圧縮する圧縮工程と、前記圧縮パンチと異なる形状の成形パンチを用いて、圧縮した前記磁性粉末を圧縮成形する圧縮成形工程とを含む異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法に関する。【選択図】 図1

Description

本発明は、異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法およびボンド磁石に関する。
特許文献1には、希土類磁性粉末と、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる結合剤を含むボンド磁石が開示されている。保形可能な程度の少量の熱可塑性樹脂で磁性粉末を結合した成形体を作製後、成形体の隙間に液状の熱硬化性樹脂を含浸させることで、従来よりも樹脂成分の含有量を低減したうえで、強度低下がなく磁性粉末の充填率の高いボンド磁石を得るというものである。また、特許文献2には、磁性粉末をパンチで圧縮した後に、前記パンチを引き戻し、前記パンチまたは別のパンチで加圧する製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1には、パンチの構造は開示されておらず、特許文献2には、パンチまたは別のパンチとして磁性粉末との全接触面が圧縮方向に垂直である平面を有するパンチしか開示されていない。これらの方法では、磁性粉末の充填率や配向率の大幅な向上は期待できない。
特開2014-146655号公報 特開2019-173102号公報
本開示の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法は、磁性粉末の充填率と配向率を両立した異方性磁性粉末圧縮成形体を提供することを目的とする。また、本開示のボンド磁石は、磁気特性に優れたボンド磁石を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法は、磁性粉末を磁場配向しながら、前記磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いて、金型内で圧縮する圧縮工程と、前記圧縮パンチと異なる形状の成形パンチを用いて、圧縮した前記磁性粉末を圧縮成形する圧縮成形工程とを含む。
本開示の一態様にかかるボンド磁石は、磁性粉末および熱硬化性樹脂の硬化物を含み、磁性粉末の充填率が70vol%以上かつ、配向率が96%以上である。
本開示の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法によれば、磁性粉末の充填率および配向率が高い圧縮成形体を得ることができ、その圧縮成形体から磁気特性が向上したボンド磁石を得ることができる。
本開示の一態様にかかる異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法における各工程を説明する工程図である。 本開示の他の態様にかかる異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法における各工程を説明する工程図である。 磁性粉末を充填した図1の圧縮工程で使用する圧縮装置の斜視図である。 本開示の製造方法で使用する第1圧縮パンチの斜視図である。 本開示の製造方法で使用する第2圧縮パンチの斜視図である。 本開示の製造方法で使用する他の第1圧縮パンチの斜視図である。 本開示の製造方法で使用する他の第2圧縮パンチの斜視図である。 本開示の製造方法で使用する可動式の第1圧縮パンチの斜視図である。 本開示の製造方法で使用する可動式の第2圧縮パンチの斜視図である。 本開示の製造方法で使用する平面パンチの斜視図である。
以下、本開示の実施形態について詳述する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための一例であり、本発明を以下のものに限定するものではない。なお、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法は、磁性粉末を磁場配向しながら、磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いて、金型内で圧縮する圧縮工程と、圧縮パンチと異なる形状の成形パンチを用いて、圧縮した磁性粉末を圧縮成形する圧縮成形工程とを含むことを特徴とする。図1および図2に、本実施形態の製造方法の各工程の具体例を示す。図1と図2には、圧縮工程(最上段の工程)、圧縮成形工程(2段目の工程)以外に、任意工程である熱硬化性樹脂の接触工程(3段目の工程)、および、熱処理工程(4段目の工程)を含めた工程図を示す。図3に、本開示の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法に使用する、配向磁石を含めた異方性磁性粉末圧縮成形体の製造装置の斜視図を示す。なお、図1および2に記載した製造装置は、図3に記載した配向磁石7が設置された装置の側面側から見た図を示しており、配向磁石7は省略して記載するが、紙面の前後に設置されている。
<圧縮工程>
圧縮工程では、磁性粉末を磁場配向しながら、磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いて、金型内で圧縮する。図1と図2の最上段の工程が、圧縮工程である。磁性粉末との全接触面が圧縮方向に垂直である面を有する平面パンチでは、磁性粉末に加わる圧力が均一であり、磁性粉末が加圧方向に垂直方向にしか動かず、特に中心付近の磁性粉末が配向しにくいという問題がある。磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いて金型内で圧縮することにより、圧縮時に磁性粉末の流動性が上昇して中心付近の磁性粉末が配向しやすくなり、磁性粉末の充填率だけでなく、配向率も向上する。
圧縮工程において、磁場配向させるために印加する外部磁場の大きさは特に限定されないが、0.5T以上が好ましく、1T以上がより好ましい。0.5T未満では、磁性粉末を十分に配向させることができないことがある。
圧縮工程で使用する金型の構造は特に限定されず、たとえば、外部金型、外部金型内に設置される内板、内容物を反対方向から印加するための1組の圧縮パンチと成形パンチ、外部金型を保持するためのバネで構成された金型等が挙げられる。特に熱硬化性樹脂の硬化物を含むボンド磁石を作製する場合には、熱硬化性樹脂を接触後、余分な熱硬化性樹脂が除去されやすいように、内板を有する金型が好ましい。金型の大きさは特に限定されないが、余分な熱硬化性樹脂が除去されやすいように、成形品の体積は0.1cm以上10cm以下が好ましい。
圧縮パンチは、磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する。垂直とは、略垂直(90°±5°)を意味するが、完全に垂直であることが好ましい。ここで、圧縮方向に垂直でない面には、磁性粉末が充填される金型内のキャビティ側面に最も近接して面した圧縮パンチの側面、すなわち圧縮方向と垂直な方向における圧縮パンチの最外周を含む面(後述する本体部位の側面)は含まない。つまり、キャビティ側面との間において意図せずに磁性粉末が侵入する程度の隙間が形成される圧縮パンチの側面は、磁性粉末との接触面には含まれない。圧縮方向に垂直でない面としては、平面であってもよいが、一部またはすべてが曲面であってもよい。少なくとも磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有することが必要であるが、接触面の一部を圧縮方向に垂直でない面とすることも、全接触面を圧縮方向に垂直でない面とすることもできる。
圧縮パンチの具体例としては、磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチ、磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチ、磁性粉末との接触面が傾斜形状のパンチ、磁性粉末との接触面に複数の凸部または凹部を有するパンチなどが挙げられる。圧縮パンチの一部が可動して磁性粉末との接触面に凸形状や凹形状を形成して、第1圧縮パンチや第2圧縮パンチとなる可動式の圧縮パンチであってもよい。なお、可動式の圧縮パンチでは、圧縮工程において、磁性粉末との接触面が、圧縮時に常に圧縮方向に垂直でない面となっている必要はなく、一部の圧縮時において磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面となっていればよい。
図4A、図5A、図6Aには、磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチの斜視図を示す。図4B、図5B、図6Bには、磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチの斜視図を示す。各圧縮パンチは、本体部位4と磁性粉末10との接触面が圧縮方向に垂直でない面Xを有する。圧縮パンチは、非平面部位3と本体部位4とを含む。ここで、非平面部位3とは、面Xを含む部位であって、面Xを通り、かつ、圧縮方向に垂直な平面が圧縮パンチと交わる部位をいう。本体部位4とは、圧縮パンチのうち非平面部位3と異なる部位をいう。例えば、図5Aにおいては、符号3で示す突起部分が非平面部位であり、その下方に位置する符号4で示す四角柱は本体部位である。図4A~図6Bでは、非平面部位3と本体部位4の境界を点線で示す。本体部位4の圧縮方向に垂直な断面の形状としては、三角形、四角形などを含む多角形、円形、U字形、V字形、円弧形、楕円形、円環形などが挙げられ、所望の圧縮成形体に合わせた形状とする。
圧縮パンチにおける非平面部位3の長さLは、得られる磁性粉末圧縮成形体11の高さに対して、5%以上80%以下が好ましく、10%以上60%以下がより好ましい。ここで、非平面部位3の長さLとは、圧縮方向における非平面部位3の長さが最大となる部分での当該長さのことをいう。また、磁性粉末圧縮成形体11の高さとは、圧縮成形工程で得られる磁性粉末圧縮成形体11における圧縮方向の長さをいう。非平面部位3の長さLを磁性粉末圧縮成形体11の高さに対して5%以上とすることで、圧縮工程における磁性粉末の流動性の向上により、配向率がより向上する傾向がある。凸部の長さLを磁性粉末圧縮成形体11の高さに対して80%以下とすることで、圧縮パンチの出し入れ時に圧粉体が崩れづらくなり、配向率の低下を低減できる傾向がある。
図4Aに示す第1圧縮パンチでは、非平面部位3の頂角θを挟む2つの平面が圧縮方向に垂直でない面Xとなる。図4Aに示す第1圧縮パンチにおいて、頂角θは10°以上120°以下が好ましく、30°以上90°以下がより好ましい。頂角を10°以上とすると、配向後の圧縮パンチの出し入れ時の配向の低下を低減できやすく、120°以下とすると、圧縮時に磁性粉末の流動性を向上できることで中心付近の磁性粉末が配向しやすくなり、磁性粉末の配向率が向上しやすくなる。
図5Aに示す第1圧縮パンチでは、非平面部位3である中央の凸部の側面が圧縮方向に垂直でない面Xとなる。図5Aに示す第1圧縮パンチでは、凸部の圧縮方向に垂直な断面の面積は、第1圧縮パンチの本体部位4の圧縮方向に垂直な断面の面積(金型キャビティの圧縮方向に垂直な断面の面積)の10%以上75%以下が好ましく、30%以上50%以下がより好ましい。凸部の長さLは、本体部位4の圧縮方向に対する垂直な断面の直径または最短辺の5%以上80%以下が好ましく、10%以上60%以下がより好ましい。また、本体部位4の圧縮方向に対する垂直な断面の直径または最短辺とは、本体部位4が円柱の場合には直径を、本体部位4が四角柱の場合には、四角形における短い辺の長さをいう。
図6Aと図6Bに示す圧縮パンチは、非平面部位3を形成する中心部位と本体部位4の一部を形成する2つの側面部位に分離して可動式としたものである。非平面部位3を形成する中心部位は可動し、本体部位4の一部を形成する側面部位の磁性粉末10との接触面よりも突き出た場合には、接触面が凸形状の図6Aに示す第1圧縮パンチになる。本体部位4の一部を形成する側面部位の磁性粉末10との接触面よりも非平面部位3を形成する中心部位の磁性粉末との接触面を引っ込めた場合には、磁性粉末との接触面が凹形状の図6Bに示す第2圧縮パンチとなる。本体部位4の一部を形成する側面部位と非平面部位3を形成する中心部位の磁性粉末10との接触面に段差がないようにした場合には、平面パンチとなる。
接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いるとは、圧縮工程の全圧縮時において、常に接触面が垂直でない面を有する圧縮パンチを用いることもできるが、一部の圧縮時において、接触面が垂直でない面を有する圧縮パンチを用いることもできる。たとえば、前述した可動式の圧縮パンチを使用する場合や、圧縮工程において、1組の平面パンチを併用する場合などが挙げられる。
具体的な圧縮方法としては、圧縮パンチとして、磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチと、磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチとを用いて、第1圧縮パンチと第2圧縮パンチとで磁性粉末を挟み込んで圧縮する方法が挙げられる。圧縮時に磁性粉末の流動性をより向上させる点で、第1圧縮パンチと第2圧縮パンチとを入れ替えて2回以上圧縮することが好ましい。圧縮回数は3回以上がより好ましい。圧縮回数の上限は特に限定されないが、20回以下が好ましい。なお、複数回の圧縮を行う場合、全ての圧縮を第1圧縮パンチと第2圧縮パンチとを交互に入れ替えて行うことも、1回の圧縮のみ第1圧縮パンチと第2圧縮パンチとを入れ替えて行うこともできる。
図1に、第1圧縮パンチと第2圧縮パンチを用いる方法の工程図を示す。最上段の工程が圧縮工程であり、第1圧縮パンチと第2圧縮パンチとを用いて磁性粉末を圧縮した後に、第1圧縮パンチと第2圧縮パンチを入れ替えて圧縮することを4回繰り返す態様を示している。
第1圧縮パンチと第2圧縮パンチを使用する場合、圧縮により磁性粉末の圧粉体に、より大きな変形を付与でき、より多くの磁性粉末を流動状態にできる点で、第1圧縮パンチの接触面と第2圧縮パンチの接触面とが嵌合するような形状であることが好ましい。例えば、図4Aと図4Bに示す圧縮パンチの組み合わせ、図5Aと図5Bに示す圧縮パンチの組み合わせ、図6Aと図6Bに示す圧縮パンチの組み合わせにおいて、接触面同士が嵌合するような形状を有している。
他の具体的な圧縮方法としては、圧縮パンチとして、磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチと、磁性粉末との接触面が平面である平面パンチとを用いて、第1圧縮パンチと平面パンチとで磁性粉末を挟み込んで圧縮した後、第1圧縮パンチに代えて、磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチを用いて、第2圧縮パンチと平面パンチとで磁性粉末を挟み込んで圧縮する方法が挙げられる。また、圧縮パンチとして、磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチと、磁性粉末との接触面が平面である平面パンチとを用いて、第2圧縮パンチと平面パンチとで磁性粉末を挟み込んで圧縮した後、第2圧縮パンチに代えて、磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチを用いて、第1圧縮パンチと平面パンチとで磁性粉末を挟み込んで圧縮する方法も挙げられる。第1圧縮パンチと第2圧縮パンチとを入れ替えた圧縮は、2回以上行うこともできる。圧縮回数は3回以上が好ましい。圧縮回数の上限は特に限定されないが、20回以下が好ましい。
図2に、第2圧縮パンチと平面パンチを用いる方法の工程図を示す。最上段の工程が圧縮工程であり、第1圧縮パンチと平面パンチで圧縮した後に、第1圧縮パンチの代わりに第2圧縮パンチに替えて圧縮、第2圧縮パンチの代わりに第1圧縮パンチに替えて圧縮、第1圧縮パンチの代わりに第2圧縮パンチで圧縮する態様である。
圧縮工程において、金型に印加する圧力の大きさは特に限定されないが、0.1トン/cm以上4トン/cm以下が好ましく、0.5トン/cm以上2トン/cm以下がより好ましい。0.1トン/cm未満では、磁性粉末の再配列が進まず、磁性粉末の充填率が減少する傾向があり、4トン/cmを超えると、熱硬化性樹脂を含浸させる場合に、十分に含浸させることができず成形不良となる場合がある。
圧縮工程において、2回以上の圧縮のうちの連続する2回の圧縮で、直前の圧縮時の圧力よりも直後の圧縮時の圧力を高くすることが好ましい。2回の連続する圧縮以外の圧縮では、直前の圧縮時の圧力よりも直後の圧縮時の圧力を高くすることも、低くすることも、同じにすることもでき、全ての圧縮で、直前の圧縮時の圧力よりも直後の圧縮時の圧力を高くすることもできる。2回の連続する圧縮において、直後の圧縮時の圧力は、直前の圧縮時の圧力よりも0.1トン/cm以上高いことが好ましく、1トン/cm以上高いことがより好ましい。このような方法で圧縮することにより、磁性粉末の充填率だけでなく、配向率も大きく向上する。
圧縮パンチによる圧縮方向は、磁場配向方向と垂直な方向であることが好ましい。本明細書における磁場配向方向と垂直な方向とは、略垂直(90°±5°)を意味するが、完全に垂直であることが好ましい。
圧縮パンチの磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面Xが、磁場配向方向に平行であることが好ましい。ここで、平行とは、略平行(0°±5°)を意味するが、完全に平行であることが好ましい。圧縮工程において、面Xが磁場配向方向に平行になるように、圧縮パンチを配置して圧縮することで、配向時に圧縮パンチに押し当てられる磁粉が少なくなり、圧縮パンチの出し入れ時に圧粉体が崩れづらくなることで、配向率の低下を抑制することができる。
<圧縮成形工程>
圧縮成形工程では、圧縮パンチと異なる形状の成形パンチを用いて、圧縮した磁性粉末を圧縮成形する。圧縮パンチと異なる形状の成形パンチは、最終的な異方性磁性粉末圧縮成形体の形状となるような圧縮成形体を作製することができる成形パンチである。たとえば、圧縮成形体が四角柱や円柱の場合には、磁性粉末との全接触面が平面である前述した平面パンチなどが挙げられる。図1および2において、2段目の工程が、圧縮成形工程である。
圧縮成形工程では、磁場配向させるために外部磁場を印加することもできる。外部磁場の大きさは特に限定されないが、0.5T以上が好ましく、1T以上がより好ましい。0.5T未満では、磁性粉末を十分に配向させることができないことがある。
圧縮成形工程において、金型に印加する圧力の大きさは特に限定されないが、0.1トン/cm以上12トン/cm未満が好ましく、0.5トン/cm以上10トン/cm未満がより好ましい。0.1トン/cm未満では、磁性粉末の再配列が進まず、磁性粉末の充填率が減少する傾向があり、12トン/cm以上では、熱硬化性樹脂を含浸させる場合に、十分に含浸させることができず成形不良となる傾向がある。
本開示の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法で使用する磁性粉末は特に限定されず、SmFeN系、NdFeB系、SmCo系の希土類磁性粉末などが挙げられる。なかでも、耐熱性や、希少金属を含有しない点で、SmFeN系磁性粉末が好ましい。SmFeN系磁性粉末としては、ThZn17型の結晶構造をもち、一般式がSmFe100-x-yで表される希土類金属Smと鉄Feと窒素Nからなる窒化物が挙げられる。ここで、xは、8.1原子%以上10原子%以下、yは13.5原子%以上13.9原子%以下、残部が主としてFeとされることが好ましい。
SmFeN系磁性粉末については、特開平11-189811号公報に開示された方法により製造できる。NdFeB系磁性粉末については、国際公開2003/85147号公報に開示されたHDDR法により製造できる。SmCo系磁性粉末については、特開平08-260083号公報に開示された方法により製造できる。
磁性粉末の平均粒径は10μm以下が好ましく、磁気特性の点より6μm以下がより好ましく、4μm以下がさらに好ましい。10μmを超えると、結晶粒径が大きくなることで、磁粉の保磁力が著しく減少する傾向がある。なお、平均粒径は、粒度分布における小粒径側からの体積累積50%に相当する粒径として測定され、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置(日本レーザー株式会社のHELOS&RODOS)によって測定できる。
磁性粉末の体積基準による粒度分布の積算値が10%および90%に相当する粒子径をそれぞれD10およびD90とすると、磁性粉末の粒度分布D90/D10は、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。D90/D10が4を超えると、相対的に粒径が大きく、固有保磁力の小さい磁性粒子が増えることで、磁性粉末としての固有保磁力、角型性といった磁気特性が悪化する。
磁性粉末は、リン酸処理することができる。リン酸処理することで、磁性粉末の表面にP-O結合を有する不動態膜が形成される。
リン酸処理は、リン酸処理剤と磁性粉末を反応させることにより行われる。リン酸処理剤としては、例えば、オルトリン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム等のリン酸塩系、次亜リン酸、次亜リン酸塩系、ピロリン酸、ポリリン酸系等の無機リン酸、有機リン酸およびそれらの塩が挙げられる。
磁性粉末は、成形体作製段階での酸化や得られた成形体の使用中の酸化からの保護の点で、アルキルシリケートにより処理するシリカ処理が行われていることが好ましい。アルキルシリケートは、下記一般式で表され、なかでもメチルシリケートまたはエチルシリケートが好ましい。
Si(n-1)(OR)(2n+2)
(Rはアルキル基であり、nは1~10の整数である。)
シリカ処理は、上述のアルキルシリケートを、該シリケートを加水分解させるために必要な水分とともに磁性粉末に混合し、不活性ガス雰囲気中で加熱処理することで、シリカ薄膜を形成することができる。シリケートを加水分解させるために必要な水分としては、酢酸水溶液、硫酸、リン酸水溶液等の酸性水溶液及びアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の塩基性水溶液が挙げられる。アルキルシリケートの混合量は、磁性粉末100重量部に対して、1重量部以上4重量部以下が好ましく、1.5重量部以上2.5重量部以下がより好ましい。
磁性粉末は、磁性粉末の磁気特性が向上するとともに、樹脂との濡れ性、磁石の強度を改善することができるという点で、カップリング剤により処理することが好ましく、特に上述のシリカ処理が行われた磁性粉末に対し、カップリング剤により処理することが好ましい。
カップリング剤としては、特に限定されないが、炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有さないシランカップリング剤、炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するカップリング剤が挙げられる。アルキル基又はアルケニル基の炭素数は、10以上24以下が好ましい。ここで、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が8未満だと、潤滑性の付与が不十分となり、炭素数が24より大きいと、処理液の粘度が著しく増すため均一な被覆が難しくなる。
炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するカップリング剤としては、シランカップリング剤、ホスフェートカップリング剤またはハイドロゲンホスファイトカップリング剤などが挙げられる。これらのカップリング剤は、1種のみを使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。ここで、カップリング剤とは、分子中に2個以上の異なった基を持っており、その一つは、無機質材料と作用する基、もう一つが有機質材料と作用する基を有するものを言う。
炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するシランカップリング剤は、下記一般式で表されるものが挙げられる。具体例としては、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン等が挙げられ、なかでもオクタデシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランが好ましい。
(RSi(OR(4-x)
(Rは、C2n+1で示されるアルキル基またはC2n-1で示されるアルケニル基であり、nは8~24の整数であり、RはC2m+1で示されるアルキル基であり、mは1~4の整数であり、xは1~3の整数である。)
なお、シランカップリング剤における有機質材料と作用する基は、例えばケイ素原子と炭素原子が直接結合しているものをいい、上記式ではRであり、無機質材料と作用する基はORである。
炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するホスフェートカップリング剤としては、下記一般式として表されるものが挙げられる。具体例としては、ジデシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデジシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、イソステアリルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート等が挙げられ、なかでもオレイルアシッドホスフェートが好ましい。
(RO)PO(OH)(3-x)
(Rは、C2n+1で示されるアルキル基またはC2n-1で示されるアルケニル基であり、nは8~24の整数であり、xは1~2の整数である。)
なお、ホスフェートカップリング剤における有機質材料と作用する基は、上記式ではROであり、無機質材料と作用する基はOHである。
炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するハイドロゲンホスファイトカップリング剤としては、下記一般式として表されるものが挙げられる。具体例としては、ジデシルハイドロゲンホスファイト、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト等が挙げられ、なかでもジオレイルハイドロゲンホスファイトが好ましい。
(RO)POH
(Rは、C2n+1で示されるアルキル基またはC2n-1で示されるアルケニル基であり、nは8~24の整数である。)
なお、ハイドロゲンホスファイトカップリング剤における有機質材料と作用する基は、上記式ではROであり、無機質材料と作用する基はOHである。
炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するシランカップリング剤、ホスフェートカップリング剤またはハイドロゲンホスファイトカップリング剤は1種のみを使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するカップリング剤による処理は、上述のカップリング剤を、カップリング剤を加水分解させるために必要な水分とともに磁性粉末に混合し、不活性ガス雰囲気中で加熱処理することで、カップリング剤の被膜を形成することができる。カップリング剤を加水分解させるために必要な水分としては、酢酸水溶液、硫酸、リン酸水溶液等の酸性水溶液及びアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の塩基性水溶液が挙げられる。カップリング剤の混合量は、磁性粉末100重量部に対して、0.01重量部以上1重量部以下が好ましく、0.05重量部以上0.5重量部以下がより好ましい。0.01重量部未満では磁性粉末に充分な潤滑性を付与することはできず、1重量部以上では得られた成形品の機械強度が損なわれる。
カップリング剤による処理として、上述の炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するシランカップリング剤とは異なるシランカップリング剤(炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有さないシランカップリング剤)を用いてもよい。炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するシランカップリング剤とは別のシランカップリング剤としては、例えば、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチレンジシラザン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルオクタデシル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、β-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、1,3,5-N-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン等が挙げられる。また環状構造を有しているシランカップリング剤としては、環状構造として、モノシクロ環、ビシクロ環等の脂環構造、または、芳香族環を有するカップリング剤が挙げられる。芳香族環骨格を有するカップリング剤としてN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-アミノエチルアミノメチルフェニル-3-エチルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、m-アリルフェニルプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は1種のみを使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有さないシランカップリング剤による処理は、上述のカップリング剤を、カップリング剤を加水分解させるために必要な水分とともに磁性粉末に混合し、不活性ガス雰囲気中で加熱処理することで、シランカップリング剤の被膜を形成することができる。カップリング剤を加水分解させるために必要な水分としては、酢酸水溶液、硫酸、リン酸水溶液等の酸性水溶液またはアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の塩基性水溶液が挙げられる。シランカップリング剤の混合量は、磁性粉末100重量部に対して、0.1重量部以上2重量部以下が好ましく、0.2重量部以上1.2重量部以下がより好ましい。0.1重量部未満ではカップリング剤の効果が小さく、2重量部を超えると、磁性粉末の凝集により、磁気特性が低下する傾向がある。
カップリング剤による処理は、潤滑性を高めることで圧縮成形時の粒子間に働く摩擦力を低下させ、成形品中の磁性粉末を高充填させる点で、炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有さないシランカップリング剤で処理した後に、炭素数が8以上24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するカップリング剤で処理することが好ましい。
本開示の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法により得られた異方性磁性粉末圧縮成形体を焼結することによって、焼結磁石とすることができる。また、得られた異方性磁性粉末圧縮成形体を樹脂と混合することで、ボンド磁石とすることもできる。ボンド磁石を得る際、熱硬化性樹脂を用いる場合には、得られた異方性磁性粉末圧縮成形体に熱硬化性樹脂を接触させ、熱処理により硬化させることによって、ボンド磁石とすることもできる。また、ボンド磁石を得る際、熱可塑性樹脂を用いる場合には、加熱した熱可塑性樹脂を用いて、得られた異方性磁性粉末圧縮成形体に接触させた後、冷却することによって、ボンド磁石とすることもできる。以下では、熱硬化性樹脂を用いた場合の形態について説明する。
<熱硬化性樹脂の接触工程>
接触工程では、異方性磁性粉末圧縮成形体と熱硬化性樹脂とを接触させた後に圧縮する。磁性粉末として、10μm以下と平均粒径が非常に小さく、嵩高い磁性粉末を使用する場合、充填率が低くなる。圧縮工程および圧縮成形工程で充分に配向させた後に、熱硬化性樹脂と接触させて圧縮すると、余分な熱硬化性樹脂が除去されて磁性粉末の充填率および配向率がさらに上昇し、ボンド磁石の磁気特性が向上する。
異方性磁性粉末圧縮成形体に熱硬化性樹脂を接触させる方法は特に限定されず、金型内に存在する異方性磁性粉末圧縮成形体に、たとえば熱硬化性樹脂を加えて接触させればよい。接触させる熱硬化性樹脂の量は特に限定されないが、成形体の体積の0.25倍以上2倍以下が好ましく、0.5倍以上1.5倍以下がより好ましい。0.25倍未満では、異方性磁性粉末圧縮成形体に熱硬化性樹脂の含浸が十分にできずに成形不良となり、2倍を超えると、樹脂および磁性粉末が金型からあふれ出し、収率が低下すると同時にあふれ出した材料を除去なければならなくなる傾向がある。
熱硬化性樹脂の粘度は特に限定されないが、200mPa・S以下が好ましく、100mPa・S以下がより好ましく、50mPa・S以下がさらに好ましく、20mPa・S以下が最も好ましい。200mPa・Sを超えると、含浸が十分にできずに成形不良となる傾向がある。
熱硬化性樹脂は、熱硬化するものであれば特に限定されない。異方性磁性粉末圧縮成形体に接触させる硬化前の熱硬化性樹脂としては、熱硬化性モノマーまたは熱硬化性プレポリマーなどが挙げられる。熱硬化性モノマーとしては、ノルボルネン系モノマー、エポキシ系モノマー、フェノール系モノマー、アクリル系モノマー、ビニルエステル系モノマーなどが挙げられる。エポキシ系モノマーとしては、脂環式エポキシモノマー、ビスフェノールA型エポキシモノマー、ビスフェノールF型エポキシモノマーなどが挙げられる。熱硬化性プレポリマーとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、アリルカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂とともに、熱硬化性樹脂の開始剤や硬化剤を配合することができる。開始剤としては、ベンゼンスルホン酸エステル、アルキルスルホニウム塩等の熱カチオン重合開始剤、アゾ化合物、過酸化物等の熱ラジカル重合開始剤等が挙げられる。硬化剤としては、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリアミド系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、フェノール樹脂系硬化剤、ポリメルカプタン樹脂系硬化剤、ポリスルフィド樹脂系硬化剤、有機酸ヒドラジド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤などが挙げられる。アミン系硬化剤としては、ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
接触後の圧縮工程において、印加する圧力の大きさは特に限定されないが、より高充填の磁石を作製する点で、4トン/cm以上11トン/cm以下が好ましく、6トン/cm以上10トン/cm以下がより好ましい。4トン/cm未満では、磁性粉末の充填率を十分に上げることができなくなり、11トン/cmを超えると保磁力が低下してしまう傾向がある。
接触後の圧縮工程においても、前述した圧縮工程と同様に、磁場配向させることができる。磁場配向させる場合、印加する外部磁場の大きさは特に限定されず、前述した圧縮工程での外部磁場の大きさをそのまま適用できる。
<熱処理工程>
熱硬化性樹脂を接触後、熱処理することによって、熱硬化性樹脂を硬化させる。熱処理温度は特に限定されないが、100℃以上220℃以下が好ましく、110℃以上200℃以下がより好ましい。100℃未満では樹脂の硬化が十分に進行せずに強度不足となり、220℃を超えると、空気により樹脂や磁粉の酸化が進行し強度不足や磁気特性不足となる傾向がある。
熱処理時間は特に限定されないが、1分以上120分以下が好ましく、1分以上30分以下がより好ましい。1分未満では樹脂の硬化が十分に進行せずに強度不足となり、120分を超えると、空気により樹脂の酸化が進行し強度不足となる傾向がある。
熱処理終了後、金型から内板とパンチを引き出し、ボンド磁石成形体を取り出し、配向方向にパルス磁場を加えることで着磁することができる。
着磁磁場については、1T以上36T以下が好ましく、3T以上12T以下がより好ましい。1T未満では、磁石を十分に着磁することができず、残留磁束密度を出すことができない。36Tを超えると着磁時に発生する熱によるヒートショックが大きすぎることで磁石が割れてしまう。
本実施形態のボンド磁石は、磁性粉末および熱硬化性樹脂の硬化物を含み、磁性粉末の充填率が70vol%以上で、配向率が96%以上であることを特徴とする。該ボンド磁石は、たとえば前述した本実施形態の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法により得られた圧縮成形体を用い、前述した熱硬化性樹脂の接触工程、熱処理工程を行うことによって製造することができる。ここで、磁性粉末、熱硬化性樹脂、磁性粉末の平均粒径等は、前述した通りである。
ボンド磁石において、樹脂で占められるべき領域において、実際には樹脂で占められていない領域の割合である含浸欠乏率は、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましく、1%以下が最も好ましい。12%を超えると、機械強度の低下する傾向がある。含浸欠乏率は、光学顕微鏡を用いてボンド磁石の切断面の全面が入る最低倍率にて観察した画像において、樹脂の含浸していない部分との面積(樹脂欠乏部分面積)と画像の外郭である切断面全体の面積(切断面の面積)とを明度の2値化解析(BMPEdit)により算出し、切断面の面積に対する樹脂欠乏部分面積の割合とした。なおボンド磁石の切断面は、得られたボンド磁石に対して、樹脂を接触させた面の中心をとおり、接触させた面に垂直でかつ、切断した面積が最大となるように切断することにより作製する。
ボンド磁石に含まれる磁性粉末の割合、すなわち充填率は特に限定されないが、70体積%以上が好ましく、71体積%以上がより好ましい。70体積%以上とすることで、残留磁束密度をより高くすることができる。
ボンド磁石の配向率は96%以上が好ましく、97%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましい。ボンド磁石の配向率を96%以上とすることにより、残留磁束密度が高くなる。ここで、配向率は、ボンド磁石の残留磁束密度を、磁性粉末の残留磁束密度とボンド磁石の体積充填率との積により除した値を100倍することで求められる。
ボンド磁石の固有保磁力は、特に限定されないが、1100kA/m以上が好ましく、1200kA/m以上がより好ましい。1100kA/m以上とすることで、120℃以上の高温で作動する強力なモーター等に使用した際の減磁を低減できる傾向がある。
ボンド磁石の残留磁束密度は、特に限定されないが、0.75T以上が好ましく、0.95T以上がより好ましく、0.96T以上がさらに好ましい。0.75T以上とすることで、モーター等に使用した際によりトルクを引き出しやすくなる傾向がある。
ボンド磁石に含まれる磁性粉末の平均粒径、粒度分布D90/D10は、前述したとおりである。
以下、実施例について説明する。なお、特に断りのない限り、「%」は重量基準である。
製造例1
[アルキルシリケート処理工程]
ミキサーに、SmFeN系磁性粉末(平均粒径3μm、粒度分布D90/D10=2.7)300gと、エチルシリケート(Si(OEt)12)7.5gを投入し、窒素雰囲気下で5分間混合した。引き続いて、pH11.7のアンモニア水0.8gを投入し、5分間混合し、減圧下180℃で10時間加熱処理し、表面にシリカ薄膜が形成されたSmFeN系異方性磁性粉末を得た。
[表面処理工程1]
ミキサーに、シリカ処理した磁性粉末300gと、pH4の酢酸水溶液を1.5g投入し、窒素雰囲気下で5分間混合した。続いて、シランカップリング剤Aとして3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学(株)製シランカップリング剤KBE-403)3gを添加して、窒素雰囲気下で、5分間混合した。混合物を取り出し、減圧下、100℃で5時間加熱処理し、シリカ膜上にカップリング剤Aから形成された被覆層を有する磁性粉末を得た。
[表面処理工程2]
ミキサーに、カップリング剤Aから形成された被覆層を有するSmFeN系磁性粉末300gと、pH4の酢酸水溶液を1.5g投入し、窒素雰囲気下で5分間混合した。続いて、カップリング剤Bとしてオクタデシルトリエトキシシラン(東京化成工業株式会社製)0.5g、エタノール0.5gの混合溶液を添加し、窒素雰囲気下で5分間混合した。減圧下100℃で5時間加熱処理し、表面にカップリング剤Aとカップリング剤Bから形成された被覆層を有するSmFeN系異方性磁性粉末を得た。
実施例1
[圧縮工程]
7×5mm角のキャビティを設けた非磁性超硬の金型内に、製造例1で作製した、表面に被覆層AとBが形成されたSmFeN系異方性磁性粉末1.5gを充填した。θ=90°、凸部の長さL=2.5mm、本体部位の断面が7×5mmの大きさである図4Aに示す凸形状の圧縮パンチと、上記凸形状の圧縮パンチと填め合う形状の凹形状を有し、本体部位の断面が7×5mmの大きさである図4Bに示す凹形状の圧縮パンチをそれぞれ金型の上部、下部に取り付けて、1Tの配向磁場中にて圧縮圧力1トン/cmとして圧縮することで、第1成形体(圧粉体)を得た。
[圧縮成形工程]
圧縮工程で得られた圧粉体に対して、図7に示す、磁性粉末との接触面が平面の成形パンチを金型の上部および下部に取り付け、1Tの配向磁場中にて圧縮圧力6トン/cmで圧縮することで、高さが7mmである異方性磁性粉末圧縮成形体を得た。
[熱硬化性樹脂の接触・圧縮工程]
続いて、上側のパンチを取り外し、得られた異方性磁性粉末圧縮成形体に脂環式エポキシモノマー(テトラヒドロインデンジエポキシド、室温での粘度20mPa・s、密度1.2g/cc)100重量部に対して、反応開始剤としてカチオン重合開始剤SI-150L(三新化学工業製)1.5重量部を含む混合液を0.34g滴下し30秒保持した。さらに、上側パンチ、下側パンチの両方を図7に示す平面パンチとして、1Tの配向磁場中にて圧縮圧力6トン/cmまで昇圧し圧縮することで熱硬化性モノマーを含浸させるとともに余分な混合液成分を排出し、熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂含浸圧縮成形体を得た。
[熱処理工程]
得られた樹脂含浸圧縮成形体を引き続き、圧縮された状態のまま180℃で3分間加熱することにより、ボンド磁石(サイズ:7×7×5mm)を得た。得られたボンド磁石の体積充填率、固有保磁力、残留磁束密度、含浸欠乏率、配向率を以下に示す方法で測定した。その結果を表1に示す。
<体積充填率>
ボンド磁石の密度を寸法と重量測定により算出した。磁性粉末と樹脂の密度をもとに作成した磁性粉末充填率と磁石密度との検量線から算出した密度をあてはめて、体積充填率を計算した。
<含浸欠乏率>
得られたボンド磁石に対して、熱硬化性モノマーを接触させた面の中心をとおり、接触面に垂直でかつ、切断した面積が最大となるように切断し、その切断面をサンドペーパーにて研磨した。光学顕微鏡(倍率25倍)にて観察した切断面の画像より断面全体に樹脂が均一に含まれており、含浸できていない欠乏部分は観測できなかった(含浸欠乏率=0)。
<残留磁束密度、固有保磁力および配向率>
表面に被覆層AとBが形成されたSmFeN系磁性粉末を、パラフィンワックスと共に試料容器に詰め、ドライヤーにてパラフィンワックスを溶融した後、2Tの配向磁場にてその磁化容易磁区を揃える。この磁場配向した試料を6Tの着磁磁場でパルス着磁し、最大磁場2TのVSM(振動試料型磁力計)を用いて、残留磁束密度(T)と固有保磁力iHc(kA/m)を測定したところ、SmFeN系磁性粉末の残留磁束密度は1.38T、保磁力は1380kA/mであった。
また、各実施例で作製したボンド磁石について、6Tの着磁磁場でパルス着磁した後、BHトレーサーを用いて残留磁束密度(T)と固有保磁力iHc(kA/m)を測定した。配向率は、ボンド磁石の残留磁束密度÷(磁性粉末の残留磁束密度×体積充填率/100)×100という計算式で算出した。
実施例2
圧縮工程において、下側パンチとして図7に示す平面パンチを用いた以外は、実施例1と同様に行い、異方性磁性粉末圧縮成形体を作製した。得られた異方性磁性粉末圧縮成形体を用いて、実施例1と同様にボンド磁石を作製した。
実施例3
圧縮工程において、実施例1と同様の方法で1回目の圧縮を行った後、上側パンチとして用いた凸形状のパンチと下側パンチとして用いた凹形状のパンチとを上下入れ替えて用いて1Tの配向磁場中にて圧縮圧力2トン/cmで圧縮することで、2回目の圧縮を行った。さらに、再び上下パンチを入れ替えて用い、1Tの配向磁場中にて圧縮圧力3トン/cmで圧縮することで、3回目の圧縮を行い、異方性磁性粉末圧縮成形体を作製した。得られた異方性磁性粉末圧縮成形体を用いて、実施例1と同様にボンド磁石を作製した。
比較例1
圧縮工程において、上側パンチと下側パンチの両方を、図6に示す平面パンチを用いた以外は、実施例1と同様に行うことで異方性磁性粉末圧縮成形体を作製した。得られた異方性磁性粉末圧縮成形体を用いて、実施例1と同様にボンド磁石を作製した。
Figure 2024052582000002
表1より、比較例1に比べて、磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いる実施例1~3では、配向率が高くなっており、高い残留磁束密度のボンド磁石を得ることができた。さらに、一つ前の圧縮工程と異なる形状を有する圧縮パンチを用いて複数回の圧縮を行い、圧力を段階的に上げていく実施例3では、より高い配向率を得ることができた。このように、より高い磁気特性を有するボンド磁石を得られることから、圧縮方向に垂直でない面を有する非平面形状の圧縮パンチを用いることで、磁場配向時の磁性粉末の流動性を高めることができ、配向率と残留磁束密度の高い異方性磁性粉末圧縮成形体を作製することができることを確認した。
本開示の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法によれば、磁性粉末の充填率および配向率が高い圧縮成形体を得ることができる。また、その圧縮成形体から磁気特性が向上したボンド磁石を得ることができることから、モーター等の用途に好適に適用することができる。
本開示は以下の形態を含む。
(項1)磁性粉末を磁場配向しながら、前記磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いて、金型内で圧縮する圧縮工程と、
前記圧縮パンチと異なる形状の成形パンチを用いて、圧縮した前記磁性粉末を圧縮成形する圧縮成形工程とを含む異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項2)前記圧縮工程において、前記圧縮パンチとして、前記磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチと、前記磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチとを用いて、前記第1圧縮パンチと前記第2圧縮パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮する項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項3)前記圧縮工程において、前記第1圧縮パンチと前記第2圧縮パンチとを用いて前記磁性粉末を圧縮した後に、前記第1圧縮パンチと前記第2圧縮パンチを入れ替えてさらに前記磁性粉末を圧縮する項2に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項4)前記圧縮工程において、前記第1圧縮パンチの接触面と前記第2圧縮パンチの接触面とが嵌合するような形状である項2または3に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項5)前記圧縮工程において、前記圧縮パンチとして、前記磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチと、前記磁性粉末との接触面が平面である平面パンチとを用いて、前記第1圧縮パンチと平面パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮した後、前記第1圧縮パンチに代えて、前記磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチを用いて、前記第2圧縮パンチと前記平面パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮する項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項6)前記圧縮工程において、前記圧縮パンチとして、前記磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチと、前記磁性粉末との接触面が平面である平面パンチとを用いて、前記第2圧縮パンチと平面パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮した後、前記第2圧縮パンチに代えて、前記磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチを用いて、前記第1圧縮パンチと前記平面パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮する項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項7)前記圧縮工程において、2回以上の圧縮のなかで連続する2回の圧縮で、直前の圧縮時の圧力よりも直後の圧縮時の圧力を高くする項3~6のいずれか1項に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項8)前記圧縮パンチによる圧縮方向が、磁場配向方向と垂直な方向である項1~7のいずれか1項に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項9)前記圧縮パンチの磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面が、磁場配向方向に平行である項1~8のいずれか1項に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項10)前記磁性粉末が、SmFeN系磁性粉末である項1~9のいずれか1項に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
(項11)項1~10に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法により異方性磁性粉末圧縮成形体を作製する工程、および、得られた異方性磁性粉末圧縮成形体に熱硬化性樹脂を接触させ、前記熱硬化性樹脂を熱処理により硬化させる工程を含むボンド磁石の製造方法。
(項12)磁性粉末および熱硬化性樹脂の硬化物を含み、磁性粉末の充填率が70vol%以上で、配向率が96%以上であるボンド磁石。
(項13)
前記磁性粉末が、SmFeN系磁性粉末である項12に記載のボンド磁石。
(項14)前記磁性粉末の平均粒径が1μm以上10μm以下である項12または13に記載のボンド磁石。
(項15)前記磁性粉末の粒度分布D90/D10が4以下である項12~14のいずれか1項に記載のボンド磁石。
(項16)残留磁束密度が0.95T以上で、固有保磁力が1200kA/m以上である項12~15のいずれか1項に記載のボンド磁石。
1:第1圧縮パンチ
2:第2圧縮パンチ
3:非平面部位
4:本体部位
5:平面パンチ
6:外部金型
7:配向磁石
10:磁性粉末
11:圧縮成形体
12:熱硬化性樹脂
13:ボンド磁石
θ:頂角
X:圧縮方向に垂直でない面
L:凹部または凸部の長さ


Claims (16)

  1. 磁性粉末を磁場配向しながら、前記磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面を有する圧縮パンチを用いて、金型内で圧縮する圧縮工程と、
    前記圧縮パンチと異なる形状の成形パンチを用いて、前記圧縮した前記磁性粉末を圧縮成形する圧縮成形工程とを含む異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  2. 前記圧縮工程において、前記圧縮パンチとして、前記磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチと、前記磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチとを用いて、前記第1圧縮パンチと前記第2圧縮パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮する請求項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  3. 前記圧縮工程において、前記第1圧縮パンチと前記第2圧縮パンチとを用いて前記磁性粉末を圧縮した後に、前記第1圧縮パンチと前記第2圧縮パンチとを入れ替えてさらに前記磁性粉末を圧縮する請求項2に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  4. 前記圧縮工程において、前記第1圧縮パンチの接触面と前記第2圧縮パンチの接触面とが嵌合するような形状である請求項2に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  5. 前記圧縮工程において、前記圧縮パンチとして、前記磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチと、前記磁性粉末との接触面が平面である平面パンチとを用いて、前記第1圧縮パンチと平面パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮した後、前記第1圧縮パンチに代えて、前記磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチを用いて、前記第2圧縮パンチと前記平面パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮する請求項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  6. 前記圧縮工程において、前記圧縮パンチとして、前記磁性粉末との接触面が凹形状の第2圧縮パンチと、前記磁性粉末との接触面が平面である平面パンチとを用いて、前記第2圧縮パンチと平面パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮した後、前記第2圧縮パンチに代えて、前記磁性粉末との接触面が凸形状の第1圧縮パンチを用いて、前記第1圧縮パンチと前記平面パンチとで前記磁性粉末を挟み込んで圧縮する請求項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  7. 前記圧縮工程において、2回以上の圧縮のなかで連続する2回の圧縮で、直前の圧縮時の圧力よりも直後の圧縮時の圧力を高くする請求項3に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  8. 前記圧縮パンチによる圧縮方向が、磁場配向方向と垂直な方向である請求項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  9. 前記圧縮パンチの磁性粉末との接触面が圧縮方向に垂直でない面が、磁場配向方向に平行である請求項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  10. 前記磁性粉末が、SmFeN系磁性粉末である請求項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法。
  11. 請求項1に記載の異方性磁性粉末圧縮成形体の製造方法により異方性磁性粉末圧縮成形体を作製する工程、および、
    得られた異方性磁性粉末圧縮成形体に熱硬化性樹脂を接触させ、前記熱硬化性樹脂を熱処理により硬化させる工程を含むボンド磁石の製造方法。
  12. 磁性粉末および熱硬化性樹脂の硬化物を含み、磁性粉末の充填率が70vol%以上で、配向率が96%以上であるボンド磁石。
  13. 前記磁性粉末が、SmFeN系磁性粉末である請求項12に記載のボンド磁石。
  14. 前記磁性粉末の平均粒径が1μm以上10μm以下である請求項12に記載のボンド磁石。
  15. 前記磁性粉末の粒度分布D90/D10が4以下である請求項12に記載のボンド磁石。
  16. 残留磁束密度が0.95T以上で、固有保磁力が1200kA/m以上である請求項12に記載のボンド磁石。
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