JP2024049817A - 重畳画像表示装置 - Google Patents

Abstract

【課題】案内分岐点の位置を正確に車両の乗員に把握させることが可能となるとともに、車両が退出すべきでない退出路へと誤って退出してしまうことについて防止した重畳画像表示装置を提供する。【解決手段】車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトをフロントディスプレイ４に表示し、その虚像を車両周辺の風景に重畳して視認させることにより車両の乗員に対する案内を行うに際して、案内オブジェクトの表示を開始する時点の車両位置から案内分岐点までの間に、特に案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合については、車両が他の分岐点を通過した後に案内オブジェクトの表示態様をより視認性の高い表示態様へと移行するように構成する。【選択図】図１６

Description

本発明は、車両の走行支援を行う重畳画像表示装置に関する。

従来より、車両の乗員に対して経路案内や障害物の警告等の車両の走行支援を行う為の各種情報を提供する情報提供手段として、様々な手段が用いられている。例えば、車両に設置された液晶ディスプレイによる表示や、スピーカから出力する音声等である。そして、近年、このような情報提供手段の一つとして、乗員の周辺環境（風景、実景）に重畳する画像を表示することによって、情報の提供を行う装置がある。例えば、ヘッドアップディスプレイ、ウインドウシールドディスプレイの他、液晶ディスプレイに表示した車両周辺の撮像画像に重畳して画像を表示する方法等が該当する。

ここで、上記周辺環境に重畳する画像を表示することによって特に案内分岐点の案内を行う場合について、車両が右左折可能な分岐点が車両の進行方向に複数ある場合に、どの分岐点が案内対象となる（車両が右左折すべき）案内分岐点であるかを乗員に誤りなく認識させることが重要である。例えば特開２０２２－３１３４０号公報には、ヘッドアップディスプレイにより案内分岐点の案内を行う場合において、車両の乗員から視認できる実景の道路の上空に沿って案内分岐点で右左折する推奨ルートの画像を表示し、更に案内分岐点以外に分岐点がある場合についてはその分岐点で右左折する迂回ルートの画像についても同様に表示し、更に推奨ルートの画像を迂回ルートの画像よりも強調して表示する技術について開示されている。

特開２０２２－３１３４０号公報（段落００７７、図８）

ここで、上記周辺環境に重畳する画像を表示する技術の内、特にヘッドアップディスプレイは表示領域に表示された映像を車両内に配置されたフロントガラスやコンバイナ等の反射部材で反射させて車両の乗員に視認させることによって車両周辺の実景に重畳して映像の虚像を視認させる技術である。ヘッドアップディスプレイは乗員から視認できる車外の実際の風景（実景）に案内画像を重畳できるメリットがあるが、一方で案内画像を重畳して車両の乗員に視認させることが可能な範囲が限られるという問題があった。例えば上記特許文献１では進行方向前方の道路上空の一部に限られている。

そして、このような案内画像を重畳できる領域が限られた状態では、上記特許文献１のように推奨ルート以外に迂回ルートについても表示すると情報量の密度が高くなり過ぎ、かえって案内分岐点の位置が分かり難くなる問題がある。また、案内分岐点の上空が案内画像を重畳できる領域から外れる状況が生じることも予想され、そのような状況では上空に表示する推奨ルートの画像が案内分岐点の位置と対応せず、案内分岐点の位置を乗員に把握させることが難しい問題もある。

本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両位置から案内分岐点までの間に、案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合においても、案内分岐点の位置を正確に車両の乗員に把握させることが可能となるとともに、車両が退出すべきでない退出路へと誤って退出してしまうことについて防止した重畳画像表示装置を提供することを目的とする。

前記目的を達成するため本発明に係る重畳画像表示装置は、車両に搭載され、表示領域に表示された映像を車両内に配置された反射部材で反射させて車両の乗員に視認させることによって前記車両周辺の風景に重畳して前記映像の虚像を視認させる重畳画像表示装置であって、車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、前記映像として前記案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトを表示するオブジェクト表示手段を有し、前記オブジェクト表示手段は、前記案内オブジェクトの表示を開始する時点の車両位置から前記案内分岐点までの間に、前記案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合に、車両が前記他の分岐点を通過するまでは第１の表示態様で前記案内オブジェクトを表示し、車両が前記他の分岐点を通過した後に前記案内オブジェクトの表示態様を第１の表示態様よりも車両の乗員への視認性の高い第２の表示態様へと移行して表示する。
尚、「視認性が高い表示態様」とは、形状を変えずに透過率、明度、色などを変化させて乗員により視認し易く表示すること、或いは形状を変えて乗員により視認し易く表示することについても含む。
また、「案内分岐点における車両の退出方向と同方向」とは厳密に角度まで完全一致する必要はなく、ある程度の角度のズレは許容される。即ち他の分岐点は案内分岐点における車両の退出方向と厳密に角度まで完全に一致する方向の退出路を備えていなかったとしても、近い方向（例えば±４５度以内）の退出路を備えていれば同方向への退出路を備えていると判定するのが望ましい。

前記構成を有する本発明に係る重畳画像表示装置によれば、案内オブジェクトの表示態様を変化させることによって、車両位置から案内分岐点までの間に、案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合においても、案内分岐点の位置を正確に車両の乗員に把握させることが可能となる。そして、車両が退出すべきでない退出路へと誤って退出してしまうことについて防止できる。

本実施形態に係る重畳画像表示装置の概略構成図である。 車両の乗員によって視認される風景と風景に重畳される虚像の一例を示した図である。 本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。 本実施形態に係る走行支援処理プログラムのフローチャートである。 第１案内オブジェクト表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。 第１案内オブジェクト及び第２案内オブジェクトの配置例を示した図である。 第１案内オブジェクトの矢印の数の変移を示した図である。 ３次元空間に配置された第１案内オブジェクト及び第２案内オブジェクトを視認した視認画像の一例を示した図である。 第１案内オブジェクト表示処理において車両の乗員から視認される案内オブジェクトの例を示した図である。 第１案内オブジェクトのアニメーション表示の例を示した図である。 第２案内オブジェクト表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。 第３案内オブジェクトの配置例を示した図である。 ３次元空間に配置された第３案内オブジェクトを視認した視認画像の一例を示した図である。 第２案内オブジェクト表示処理において車両の乗員から視認される案内オブジェクトの例を示した図である。 車両の走行に伴うフロントディスプレイに表示対象となる案内オブジェクトの変移を示した図である。 車両の走行に伴って車両の乗員から視認される案内オブジェクトの変移を示した図である。

以下、本発明に係る重畳画像表示装置１を具体化した実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る重畳画像表示装置１の概略構成について図１を用いて説明する。図１は本実施形態に係る重畳画像表示装置１の概略構成図である。

図１に示すように重畳画像表示装置１は、車両２に搭載されたナビゲーション装置３と、同じく車両２に搭載されるとともにナビゲーション装置３と接続されたフロントディスプレイ４とを基本的に有する。尚、フロントディスプレイ４は後述のように車両２のフロントガラス５とともにヘッドアップディスプレイとして機能し、車両２の乗員６に対して様々な情報の提供を行う情報提供手段となる。

ここで、ナビゲーション装置３は、目的地までの推奨経路を探索したり、サーバから取得したりメモリに格納された地図データに基づいて車両２の現在位置周辺の地図画像を表示したり、設定された案内経路に沿った走行案内等をフロントディスプレイ４とともに行う機能を有する。尚、上記機能の全てをナビゲーション装置３が備えている必要はなく、少なくとも案内経路に沿った走行案内を行う機能を有していれば本願発明を構成することが可能である。尚、ナビゲーション装置３の構造の詳細については後述する。

一方、フロントディスプレイ４は、車両２のダッシュボード７内部に設置され、前面に設けられた画像表示面に対して画像を表示する機能を有する液晶ディスプレイである。バックライトとしては例えばＣＣＦＬ（冷陰極管）や白色ＬＥＤが用いられる。尚、フロントディスプレイ４としては、液晶ディスプレイ以外に、有機ＥＬディスプレイや液晶プロジェクタとスクリーンの組み合わせを用いても良い。

そして、フロントディスプレイ４は車両２のフロントガラス５とともにヘッドアップディスプレイとして機能し、フロントディスプレイ４から出力される画像を、運転席の前方のフロントガラス５に反射させて車両２の乗員６に視認させるように構成されている。

ここで、本実施形態ではフロントディスプレイ４において表示され、車両２の乗員６に視認させる画像としては、車両２に関する情報や乗員６の運転の支援の為に用いられる各種情報がある。例えば乗員６に対して警告対象となる対象物（他車両、歩行者、案内標識）に対する警告、ナビゲーション装置３で設定された案内経路や案内経路に基づく案内情報（右左折方向を示す矢印等）、路面に表示する警告（追突注意、制限速度等）、車両が走行する車線の区画線、現在車速、シフト位置、エネルギ残量、広告画像、施設情報、地図画像、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、接続されたスマートフォンの画面、テレビ番組等がある。尚、以下に説明する本実施形態では、特に車両の進行方向前方にある案内分岐点における案内を行う為の情報を案内オブジェクトとしてフロントディスプレイ４に表示する。より具体的には案内交差点における車両の退出方向を示す一又は複数の矢印とする。

また、フロントガラス５を反射して乗員６がフロントディスプレイ４に表示された映像を視認した場合に、乗員６にはフロントガラス５の位置ではなく、フロントガラス５の先の遠方の位置にフロントディスプレイ４に表示された映像が虚像１０として視認されるように構成される。また、虚像１０は車両前方の周辺環境（風景、実景）に重畳して表示されることとなり、例えば車両前方に位置する任意の対象物（路面、交差点、建築物、警告対象となる物等）に重畳させて表示させることも可能である。

例えば、図２は虚像１０を車両前方の周辺環境（風景、実景）に重畳して表示した場合の例である。図２に示すようにフロントディスプレイ４に対して例えば矢印の画像９を表示する。その結果、フロントディスプレイ４に表示された矢印の画像９をフロントガラス５に反射して車両の乗員６が視認することによって、フロントガラス５越しの風景に重畳して矢印の画像９の虚像１０が視認されることとなる。但し、虚像１０はフロントガラス５越しの風景のどこにでも重畳させることができるわけではなく、虚像１０を重畳して車両の乗員６に視認させることが可能な範囲は限られている。具体的には、フロントディスプレイ４の表示画面のサイズやダッシュボード７に対する設置位置によってその範囲が決められることとなり、例えば図２に示す例では破線に囲まれた範囲Ｒが、虚像１０を重畳して車両の乗員６に視認させることが可能な範囲（重畳可能範囲）となる。

一方で、虚像１０を生成する奥行き方向の位置、より具体的には乗員６から虚像１０までの距離（以下、結像距離という）Ｌについては、フロントディスプレイ４の位置によって決定される。例えば、フロントディスプレイ４において映像の表示された位置からフロントガラス５までの光路に沿った距離（光路長）によって結像距離Ｌが決定される。例えば結像距離Ｌが１．５ｍとなるように光路長が設定されている。

また、本実施形態では車両周辺の風景に重畳する画像を表示する手段としてダッシュボード７内部に設置されたフロントディスプレイ４を用いているが、他の手段を用いても良い。例えば、ヘッドアップディスプレイ（ＨＵＤ）装置を車載器として有しても良いし、フロントガラス５を透過液晶ディスプレイとしてフロントガラス５に直接画像を表示しても良い。更に、後述のフロントカメラ１１で撮像した車両周辺の風景を車内の液晶ディスプレイに表示し、同一の液晶ディスプレイ内において表示された風景に重畳する画像を表示することも可能である。その場合においても液晶ディスプレイに表示された画像は、ＨＵＤと同様に車両周辺の風景に重畳する画像となる。

また、車両のフロントバンパの上方やルームミラーの裏側等にはフロントカメラ１１が設置される。フロントカメラ１１は、例えばＣＣＤ等の固体撮像素子を用いたカメラを有する撮像装置であり、光軸方向を車両の進行方向前方に向けて設置される。そして、フロントカメラ１１により撮像された撮像画像に対して画像処理が行われることによって、フロントガラス越しに乗員６に視認される前方環境（即ち虚像１０が重畳される環境）の状況等が検出される。尚、フロントカメラ１１の代わりにミリ波レーダ等のセンサを用いても良い。

また、車両のインストルメントパネルの上面には車内カメラ１２が設置される。車内カメラ１２は、例えばＣＣＤ等の固体撮像素子を用いたカメラを有する撮像装置であり、光軸方向を運転席に向けて設置される。車内において一般的に乗員の顔が位置すると予想される範囲を検出範囲（車内カメラ１２の撮像範囲）として設定し、運転席に座った乗員６の顔を撮像する。そして、車内カメラ１２により撮像された撮像画像に対して画像処理が行われることによって、乗員６の目の位置（視線開始点）や視線方向を検出する。

次に、上記重畳画像表示装置１を構成するナビゲーション装置３の概略構成について図３を用いて説明する。図３は本実施形態に係るナビゲーション装置３を示したブロック図である。

図３に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置３は、ナビゲーション装置３が搭載された車両２の現在位置を検出する現在位置検出部１３と、各種のデータが記録されたデータ記録部１４と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションＥＣＵ１５と、ユーザからの操作を受け付ける操作部１６と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ１７と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ１８と、記憶媒体であるＤＶＤを読み取るＤＶＤドライブ１９と、プローブセンタやＶＩＣＳ（登録商標：Vehicle Information and Communication System）センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール２０と、を有する。また、ナビゲーション装置３はＣＡＮ等の車載ネットワークを介して、前述したフロントディスプレイ４、フロントカメラ１１及び車内カメラ１２等が接続されている。

以下に、ナビゲーション装置３が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部１３は、ＧＰＳ２１、車速センサ２２、ステアリングセンサ２３、ジャイロセンサ２４等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ２２は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションＥＣＵ１５に出力する。そして、ナビゲーションＥＣＵ１５は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記４種類のセンサをナビゲーション装置３が全て備える必要はなく、これらの内の１又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置３が備える構成としても良い。

また、データ記録部１４は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク（図示せず）と、ハードディスクに記録された地図情報ＤＢ３１や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド（図示せず）とを備えている。尚、データ記録部１４はハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやＣＤやＤＶＤ等の光ディスクを有していても良い。また、地図情報ＤＢ３１は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置３が通信により取得する構成としても良い。

ここで、地図情報ＤＢ３１は、例えば、道路（リンク）に関するリンクデータ３２、ノード点に関するノードデータ３３、分岐点に関する分岐点データ３４、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。

また、リンクデータ３２としては、道路ネットワークを構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾（こう）配、カント、バンク、路面の状態、ノード間のリンク形状（例えばカーブ道路ではカーブの形状）を特定する為の形状補完点データ、道路の車線数、車線毎の進行方向の通行区分、対向車線の有無（対面通行区間か否か）、中央分離帯の有無、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、Ｔ字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、高速道路と一般道（国道、県道、細街路等）を表すデータがそれぞれ記録される。

また、ノードデータ３３としては、実際の道路の分岐点（交差点、Ｔ字路等も含む）や各道路に曲率半径等に応じて所定の距離毎に設定されたノード点の座標（位置）、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ（高度）等に関するデータ等が記録される。

また、分岐点データ３４としては、分岐点の交差点名称、分岐点を形成するノードを特定する該当ノード情報、分岐点に接続されるリンクを特定する接続リンク情報、分岐点に接続されるリンクに対応する方面名称、分岐点の形状（特に道路の接続方向）を特定する情報等が記憶される。

一方、ナビゲーションＥＣＵ（エレクトロニック・コントロール・ユニット）１５は、ナビゲーション装置３の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのＣＰＵ４１、並びにＣＰＵ４１が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるＲＡＭ４２、制御用のプログラムのほか、後述の走行支援処理プログラム（図４）等が記録されたＲＯＭ４３、ＲＯＭ４３から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ４４等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションＥＣＵ１５は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、オブジェクト表示手段は、車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、映像として案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトを表示する。

操作部１６は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ（図示せず）を有する。そして、ナビゲーションＥＣＵ１５は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部１６は液晶ディスプレイ１７の前面に設けたタッチパネルを有していても良い。また、マイクと音声認識装置を有していても良い。

また、液晶ディスプレイ１７には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、本実施形態では情報の表示手段としてフロントディスプレイ４を備えているので、上記地図画像等の表示をフロントディスプレイ４で行う構成とすれば液晶ディスプレイ１７は省略しても良い。

また、スピーカ１８は、ナビゲーションＥＣＵ１５からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。

また、ＤＶＤドライブ１９は、ＤＶＤやＣＤ等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報ＤＢ３１の更新等が行われる。尚、ＤＶＤドライブ１９に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。

また、通信モジュール２０は、交通情報センタ、例えば、ＶＩＣＳセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やＤＣＭが該当する。

続いて、前記構成を有するナビゲーション装置３においてナビゲーションＥＣＵ１５が実行する走行支援処理プログラムについて図４に基づき説明する。図４は本実施形態に係る走行支援処理プログラムのフローチャートである。ここで、走行支援処理プログラムは車両のＡＣＣ電源(accessory power supply)がＯＮされた後に実行され、フロントディスプレイ４に表示された画像を車両周辺の風景（実景）に重畳して視認させることによって、車両の走行支援を行うプログラムである。尚、以下の図４、図５及び図１１にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置３が備えているＲＡＭ４２やＲＯＭ４３に記憶されており、ＣＰＵ４１により実行される。

以下の説明では案内オブジェクトを用いた車両の走行支援として、ナビゲーション装置３で設定された案内経路に沿った車両の走行案内を行う例について説明する。また、表示対象となる案内オブジェクトは、車両の進行方向前方にある案内分岐点における案内を行う為の案内情報とし、特に案内分岐点の退出方向を示す矢印を案内オブジェクトとして表示する場合の処理を例に挙げて説明する。但し、重畳画像表示装置１では案内オブジェクトを用いて上記走行支援以外の案内や情報提供を行うことも可能である。また、表示対象となる案内オブジェクトは、上記矢印以外の情報とすることも可能である。例えば、案内オブジェクトとして乗員に対して警告対象となる対象物（他車両、歩行者、案内標識）に対する警告、路面に表示する警告（追突注意、制限速度等）、次の案内分岐点までの距離、現在車速、シフト位置、エネルギ残量、広告画像、施設情報、案内標識、地図画像、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、接続されたスマートフォンの画面等を表示することも可能である。

先ず、走行支援処理プログラムでは、ステップ（以下、Ｓと略記する）１においてＣＰＵ４１は、車両の現在位置を現在位置検出部１３の検出結果や地図情報に基づいて特定する。尚、車両の現在位置を特定する際には、車両の現在位置を地図情報にマッチングさせるマップマッチング処理についても行う。その後、ナビゲーション装置３で設定されている案内経路を読み出し、特定された車両の現在位置から案内経路に沿った次の案内分岐点までの距離を算出する。尚、案内分岐点とは、ナビゲーション装置３に設定されている案内経路に従ってナビゲーション装置３が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点（交差点）である。尚、右左折はしないが特殊な形状を有する分岐点（難交差点）も案内分岐点に該当する。

次に、Ｓ２においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１で算出された次の案内分岐点までの距離が、所定の案内開始距離未満か否かを判定する。尚、案内開始距離は車両が走行する道路の道路種別によって決定され、例えば高速道路は５００ｍ、一般道は高速道路よりも短い１００ｍとする。但し、案内開始距離は固定値でなく変動する値としても良い。例えば車両の走行速度に応じて設定しても良い。

そして、前記Ｓ１で算出された次の案内分岐点までの距離が案内開始距離未満であると判定された場合（Ｓ２：ＹＥＳ）には、Ｓ３へと移行する。それに対して、前記Ｓ１で算出された次の案内分岐点までの距離が案内開始距離未満でないと判定された場合（Ｓ２：ＮＯ）には、Ｓ１へと戻る。

Ｓ３においてＣＰＵ４１は、地図情報に基づいて車両の現在位置から案内経路に沿った次の案内分岐点までの間に他の分岐点があるか否かを判定する。

そして、車両の現在位置から案内経路に沿った次の案内分岐点までの間に他の分岐点（以下、手前分岐点という）があると判定された場合（Ｓ３：ＹＥＳ）には、地図情報の内、特に分岐点データ３４を用いて更にその手前分岐点が案内分岐点における車両の退出方向と同方向（対応する方向）への退出路を備えているか否かを判定する（Ｓ４）。例えば、案内分岐手における車両の退出方向が進入方向に対して右方向であれば、手前分岐点が同じく車両の進入方向に対して右方向への退出路を備えているか否かを判定することとなる。但し、同方向とは厳密に角度まで一致する必要はなく、ある程度の角度のズレは許容される。即ち手前分岐点は案内分岐点における車両の退出方向と厳密に角度まで完全に一致する方向の退出路を備えていなかったとしても、近い方向の退出路を備えていれば同方向への退出路を備えていると判定するのが望ましい。例えば案内分岐点における車両の退出方向が進入方向に対して９０度右である場合に、手前分岐点は車両の進入方向に対して６０度右（右手前方向）や１２０度右（右奥方向）の退出路のみを備えていたとしても案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備えていると判定しても良い。

そして、手前分岐点が案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備えていると判定された場合（Ｓ４：ＹＥＳ）には、Ｓ５へと移行する。それに対して、車両の現在位置から案内経路に沿った次の案内分岐点までの間に他の分岐点がない、或いはあったとしても案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備えていないと判定された場合（Ｓ３：ＮＯ又はＳ４：ＮＯ）には、Ｓ７へと移行する。

Ｓ５においてＣＰＵ４１は、後述の第１案内オブジェクト表示処理（図５）を行う。第１案内オブジェクト表示処理は、ナビゲーション装置３で現在設定されている案内経路や車両の現在位置に基づいて、フロントディスプレイ４に対して車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内を行う為の案内オブジェクトを表示する処理である。尚、特に第１案内オブジェクト表示処理では、手前分岐点の存在を考慮して車両が手前分岐点で誤って退出しないように案内分岐点の存在や案内分岐点における車両の退出方向を案内しつつも直進方向に進むことについても併せて案内を行う。詳細については後述する。

その後、Ｓ６においてＣＰＵ４１は、現在位置検出部１３の検出結果に基づいて車両の現在位置を特定するとともに車両が手前分岐点を通過したか否かが判定される。

そして、車両が手前分岐点を通過していないと判定された場合（Ｓ６：ＮＯ）には、Ｓ５へと戻り継続して第１案内オブジェクト表示処理による案内オブジェクトの表示が行われる。それに対して、車両が手前分岐点を通過したと判定された場合（Ｓ６：ＹＥＳ）には、Ｓ７へと移行する。

Ｓ７においてＣＰＵ４１は、後述の第２案内オブジェクト表示処理（図１１）を行う。第２案内オブジェクト表示処理は、ナビゲーション装置３で現在設定されている案内経路や車両の現在位置に基づいて、フロントディスプレイ４に対して車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内を行う為の案内オブジェクトを表示する処理である。但し、第２案内オブジェクト表示処理が行われる段階では案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備えた手前分岐点は存在しないので、車両が手前分岐点で誤って退出する虞がない。従って、前記Ｓ５の第１案内オブジェクト表示処理に比べて案内分岐点における車両の退出方向をより視認性の高い表示態様で表示を行う。詳細については後述する。

その後、Ｓ８においてＣＰＵ４１は、車両が案内分岐点を通過したか否かを判定する。例えば現在位置検出部１３で検出された車両の現在位置と地図情報に基づいて判定される。

そして、車両が案内分岐点を通過したと判定された場合（Ｓ８：ＹＥＳ）には、フロントディスプレイ４に対して制御信号を送信し、フロントディスプレイ４に表示されていた案内オブジェクトを非表示とする（Ｓ９）。尚、フロントディスプレイ４には次の案内分岐点が案内開始距離未満に接近するまで何も表示しないようにしても良いし、その間において車速や周辺の地図画像等の他の情報を表示するようにしても良い。

一方、車両が案内分岐点を通過していないと判定された場合（Ｓ８：ＮＯ）にはＳ７へと戻り、案内オブジェクトの表示を継続して行う。

次に、前記Ｓ５において実行される第１案内オブジェクト表示処理のサブ処理について図５に基づき説明する。図５は第１案内オブジェクト表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。

先ずＳ１１においてＣＰＵ４１は、案内オブジェクトによって案内対象とする車両の進行方向前方にある案内分岐点の座標を取得する。尚、案内分岐点の座標はナビゲーション装置３が有する地図情報から特定することとするが、フロントカメラ１１で撮像した画像に対して画像認識処理を行うことにより特定しても良い。

続いて、Ｓ１２においてＣＰＵ４１は、車両の現在位置周辺（特に車両進行方向の前方）に対応した３次元空間（仮想空間）を生成する。尚、３次元空間には、道路以外に、建築物、道路標識などについてもモデリングしても良いし、道路のみをモデリングしても良い。或いは道路についてもモデリングしない地面のみがある単なる空白の３次元空間としても良い。また、３次元空間は予め３次元地図情報として地図情報ＤＢ３１に格納しておき、前記Ｓ１１では地図情報ＤＢ３１から該当する自車位置周辺の３次元地図情報を読み出しても良い。また、フロントカメラ１１で撮像した画像に基づいて３次元空間を生成しても良い。例えばフロントカメラ１１で撮像した撮像画像に対して点群マッチングを行うことによって、道路や道路周辺にある構造物を検出し、３次元空間を生成することが可能である。

また、前記Ｓ１２でＣＰＵ４１は、現在位置検出部１３で検出されたパラメータに基づいて、生成された３次元空間における自車両の現在位置及び方位についても特定する。尚、生成された３次元空間の補正を行う為にフロントカメラ１１で撮像した撮像画像と３次元空間との比較を行う場合には、処理を容易化する為に自車両の現在位置は特に自車両に設置されたフロントカメラ１１の設置位置とし、自車両の方位はフロントカメラ１１の光軸方向とするのが望ましい。尚、自車両の位置は車両の乗員の位置、自車両の方位は車両の乗員の視線方向にも相当する。また、前記Ｓ１２では前記Ｓ１１で取得した案内分岐点の座標に基づいて、生成された３次元空間における案内分岐点の位置についても特定する。尚、図５に示す第１案内オブジェクト表示処理については、Ｓ６の条件を達成するまで繰り返し実行されるが、前記Ｓ１２の３次元空間の生成については基本的に初回のみ行われる。但し、３次元空間内の自車両の現在位置や方位は自車両の移動に伴って適宜更新される。

次に、Ｓ１３においてＣＰＵ４１は、表示対象とする案内オブジェクトを生成する。尚、第１案内オブジェクト表示処理において表示対象となる案内オブジェクトは、図６に示すように案内分岐点５０の退出方向を示す２等辺三角形状を有する矢印（以下、第１案内オブジェクト５１という）と、直進方向を進むことを示す矢印（以下、第２案内オブジェクト５２という）の２種類とする。第１案内オブジェクト５１及び第２案内オブジェクト５２の大きさは例えばいずれも縦２ｍ横２ｍに設定する。また、各案内オブジェクトは２次元ポリゴンとし、基本的に厚みは存在しないこととする。但し、厚みを持たせた３次元ポリゴンとしても良い。また、前記Ｓ１３で生成される第１案内オブジェクト５１及び第２案内オブジェクト５２の形状は適宜変更可能であり、車両の進路を示すことができる形状であれば矢印以外の形状であっても良い。

更に、特に第１案内オブジェクト５１については図７に示すように車両が案内分岐点に接近するのに従って、矢印の数を増加するようにする。例えば、案内分岐点までの距離が案内開始距離となった時点（案内分岐点に対する案内を開始する時点）では１のみの矢印とし、その後に１０ｍ進むごとに矢印の数を増加し、最大で５個の矢印とする。その結果、車両が案内分岐点に接近するのに従って、案内オブジェクトが表示される領域を段階的に増加させることとなり、案内分岐点が接近していることを車両の乗員に分かり易く示唆することが可能となる。尚、案内オブジェクトが表示される領域を段階的に増加させる手段としては矢印の数を増やすのではなく、矢印の形状を大きくすることも可能である。

更に、前記Ｓ１３においてＣＰＵ４１は、生成された第１案内オブジェクト５１及び第２案内オブジェクト５２を、前記Ｓ１２で生成された３次元空間に対して配置する。尚、３次元空間に対して第１案内オブジェクト５１を配置する位置は、図６に示すように案内分岐点５０の中央よりもやや奥側に位置するとともに、案内分岐点５０における車両の退出方向に矢印の先端が向くように配置される。従って、案内分岐点で右折する場合には車両から見て右向きの矢印となり、案内分岐点で左折する場合には車両から見て左向きの矢印となる。複数の矢印からなる場合については図７に示すように案内分岐点５０における車両の退出方向（図７に示す例では右方向）に沿って所定間隔で並べて配置する。また、配置する高さは路面から所定距離（例えば１ｍ）だけ上方の位置（車両の乗員の目線の位置）とする。また、第１案内オブジェクト５１が配置される位置は車両の現在位置に関わらず案内分岐点５０に対して位置が固定される。即ち、車両からは案内分岐点に近づくにつれて徐々に第１案内オブジェクト５１が近づくように視認されることとなる。

また、第２案内オブジェクト５２を配置する位置は、図６に示すように車両の現在位置の所定距離（例えば５ｍ）前方の路面上に路面に対して平行に位置するとともに、車両の現在の進行方向（即ち車両が走行する道路の進行方向）に矢印の先端が向くように配置される。従って、車両から見て直進方向に進む矢印となる。また、第２案内オブジェクト５２が配置される位置は車両の現在位置に対して相対位置が固定される。即ち、車両からは常に同じ距離だけ離れた位置に第２案内オブジェクト５２が視認されることとなる。その後、Ｓ１４へと移行する。

次に、Ｓ１４においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ１３において各案内オブジェクトが配置された３次元空間において、車両（乗員）の視点から車両の進行方向に視認した画像（以下、視認画像という）を取得する。特に車両の視点は車両の乗員の目の位置とする。尚、乗員の目の位置については車内カメラ１２によって検出することが可能である。即ち、取得された視認画像は３次元立体地図に配置された各案内オブジェクトを車両（乗員）の視点から車両の進行方向に視認した際に視認できる像であり、車両の乗員の視界に相当する。尚、視認画像については車両（乗員）の視点から視認した画像であれば、必ずしも車両の進行方向に視認した画像である必要は無い。但し、少なくとも視認画像に案内画像と案内画像の周辺にある対象物仮想体が含まれる必要はある。例えば、図８は図６に示す態様で各案内オブジェクトが配置された場合に取得される視認画像５５を示した図である。

その後、ＣＰＵ４１は、視認画像に含まれる各案内オブジェクトの大きさ及び形状を、フロントディスプレイ４により表示対象とする案内オブジェクトの大きさ及び形状として記憶する。ここで、前記Ｓ１４で記憶される案内オブジェクトの大きさ及び形状は、３次元空間に配置された各案内オブジェクトを現在の車両の乗員の視点から視認した際に視認できる各案内オブジェクトの大きさ及び形状である。

その後、Ｓ１５においてＣＰＵ４１は、フロントディスプレイ４において各案内オブジェクトを表示する位置（範囲）を決定する。具体的には以下の処理を行う。

先ず、ＣＰＵ４１は、車両の乗員の目の位置を車内カメラ１２で撮像した撮像画像に基づいて検出する。次に、フロントディスプレイ４によって画像を投影する対象となるフロントガラス５の位置を取得する。尚、車両の乗員の目の位置やフロントガラス５の位置は３次元の位置座標で特定される。続いて、ＣＰＵ４１は、前記Ｓ１３で３次元立体地図において配置された各案内オブジェクト、即ちフロントディスプレイ４に表示対象となる案内オブジェクトについて風景に対して重畳する位置を取得する。第１案内オブジェクト表示処理では、前述したように第１案内オブジェクト５１は案内分岐点の路面から所定距離（例えば１ｍ）上方であり、第２案内オブジェクト５２は車両の現在位置から所定距離（例えば５ｍ）前方の路面とする。
続いて、ＣＰＵ４１は、上記特定された車両の乗員の目の位置とフロントガラス５の位置と各案内オブジェクトを重畳する位置とに基づいて、フロントガラス５における各案内オブジェクトの投影範囲を決定する。更に、決定された投影範囲からフロントディスプレイ４における各案内オブジェクトの表示範囲についても決定する。尚、案内オブジェクトの表示範囲は、前記Ｓ１４で記憶される大きさ及び形状を有する案内オブジェクトが、車両の乗員から上記予め案内オブジェクト毎に決められた風景内の位置（第１案内オブジェクト５１は案内分岐点の路面から所定距離（例えば１ｍ）上方であり、第２案内オブジェクト５２は車両の現在位置から所定距離（例えば５ｍ）前方の路面）に重畳して視認される範囲となる。

但し、前述したように案内オブジェクトを風景に重畳して車両の乗員６に視認させることが可能な範囲（重畳可能範囲）は予め決められており（図２の範囲Ｒ）、前記Ｓ１５では重畳可能範囲Ｒについて考慮してフロントディスプレイ４において各案内オブジェクトを表示する位置（範囲）を決定する。例えば前述したように第１案内オブジェクト５１は案内分岐点の位置に重畳させるが、重畳可能範囲Ｒに案内分岐点が含まれる場合には原則通り案内分岐点に重畳する位置に第１案内オブジェクト５１を表示する。一方で、重畳可能範囲Ｒに案内分岐点が含まれない場合には、重畳可能範囲Ｒ内であって案内分岐点に最も近い位置に重畳するように第１案内オブジェクト５１を表示する。特に、図９に示すように車両の現在位置が案内分岐点から遠い場合には、重畳可能範囲Ｒよりも上方に案内分岐点が位置することが予想される。そのような場合には案内分岐点に第１案内オブジェクトを重畳させることができないので、案内分岐点にできる限り近い重畳可能範囲Ｒの上端に第１案内オブジェクト５１（正確には第１案内オブジェクト５１の虚像）が視認されるように、フロントディスプレイ４における第１案内オブジェクト５１の表示位置を決定する。

続いて、Ｓ１６においてＣＰＵ４１は、フロントディスプレイ４に対して制御信号を送信し、フロントディスプレイ４に対して前記Ｓ１４で記憶された形状の案内オブジェクトの画像を、前記Ｓ１５で決定された表示範囲に表示する。その結果、車両の乗員に風景に重畳された案内オブジェクト（正確には案内オブジェクトの虚像）を視認させることが可能となる。具体的には、第１案内オブジェクト５１の虚像は風景内の案内分岐点の位置（或いは案内分岐点にできる限り近い位置）に重畳して視認され、また、車両が案内分岐点に近づくにつれて（風景内の案内分岐点の位置が変化するにつれて）、第１案内オブジェクト５１の虚像の表示位置も変化し、サイズは段階的に拡大することとなる。一方で、第２案内オブジェクトの虚像は車両の現在位置から所定距離（例えば５ｍ）前方の路面に重畳して視認され、車両からは常に同じ相対位置で大きさも固定される。尚、車両が手前分岐点を通過するまで繰り返しＳ１１～Ｓ１６の処理を行うこととなる。

また、前記Ｓ１６でＣＰＵ４１は、車両が直進方向に進むことを案内する第２案内オブジェクト５２については視認性の高い表示態様で表示する一方、案内分岐点における車両の退出方向を案内する第１案内オブジェクト５１については視認性の低い表示態様で表示する。具体的には、図９に示すように第２案内オブジェクト５２は輪郭を実線で表示し、第１案内オブジェクト５１は輪郭を破線で表示する。また、第１案内オブジェクト５１は塗りつぶしなしの輪郭線のみで表示しても良い。それによって、車両が手前分岐点を通過する前の段階では退出方向に曲がることよりも直進することを優先した案内を行うことが可能であり、車両が手前分岐点で誤って退出方向へと曲がることを防止できる。

尚、本実施形態では輪郭線の線種によって視認性に差を設けているが、表示色や形状によって差を設けても良い。例えば、第２案内オブジェクト５２については目立ちやすい赤色や黄色で表示し、第１案内オブジェクト５１は目立ちにくい白色や青色で表示することも可能である。

更に、前述したように第１案内オブジェクト５１については車両が案内分岐点に接近するのに従って矢印の数を増加することとなるが（図７）、複数の矢印を表示する場合に図１０に示すように複数の矢印の内の一部の矢印を強調して表示するとともに、強調して表示する対象となる矢印を、複数の矢印の内で退出方向へと段階的に切り替えるようにする。例えば、複数の矢印の内の一の矢印のみを表示色を変えて、表示色の変えた矢印を複数の矢印の内で退出方向へと段階的に移動するアニメーション表示を一定間隔で繰り返し行う。それによって、第１案内オブジェクト５１を視認性の低い表示態様で表示したとしても、退出方向を比較的容易に乗員に把握させることが可能となる。

次に、前記Ｓ７において実行される第２案内オブジェクト表示処理のサブ処理について図１１に基づき説明する。図１１は第２案内オブジェクト表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。

先ずＳ２１においてＣＰＵ４１は、案内オブジェクトによって案内対象とする車両の進行方向前方にある案内分岐点の座標を取得する。尚、案内分岐点の座標はナビゲーション装置３が有する地図情報から特定することとするが、フロントカメラ１１で撮像した画像に対して画像認識処理を行うことにより特定しても良い。

続いて、Ｓ２２においてＣＰＵ４１は、車両の現在位置周辺（特に車両進行方向の前方）に対応した３次元空間（仮想空間）を生成する。尚、詳細については前述した第１案内オブジェクト表示処理（図５）のＳ１２と同様であるので省略する。尚、第２案内オブジェクト表示処理（Ｓ７）を第１案内オブジェクト表示処理（Ｓ５）に続いて行う場合については、既に３次元空間が生成されているのでＳ２１及びＳ２２の処理については省略しても良い。但し、３次元空間内の自車両の現在位置や方位は自車両の移動に伴って適宜更新される。

次に、Ｓ２３においてＣＰＵ４１は、表示対象とする案内オブジェクトを生成する。尚、第２案内オブジェクト表示処理において表示対象となる案内オブジェクトは、図１２に示すように案内分岐点５０の退出方向を示す２等辺三角形状を有する複数個（例えば５個）の矢印（以下、第３案内オブジェクト５３という）とする。第３案内オブジェクト５３の大きさは例えばいずれも縦２ｍ横２ｍに設定する。また、各案内オブジェクトは２次元ポリゴンとし、基本的に厚みは存在しないこととする。但し、厚みを持たせた３次元ポリゴンとしても良い。また、前記Ｓ２３で生成される第３案内オブジェクト５３の形状は適宜変更可能であり、車両の進路を示すことができる形状であれば矢印以外の形状であっても良い。

更に、前記Ｓ２３においてＣＰＵ４１は、生成された第３案内オブジェクト５３を、前記Ｓ２２で生成された３次元空間に対して配置する。尚、３次元空間に対して第３案内オブジェクト５３を配置する位置は、図１２に示すように案内分岐点５０の中央よりもやや奥側に車両の退出方向（図１２に示す例では右方向）へと５個の矢印を所定間隔で並べて配置する。更に、案内分岐点５０における車両の退出方向に矢印の先端が向くように配置される。従って、案内分岐点で右折する場合には車両から見て右向きの矢印となり、案内分岐点で左折する場合には車両から見て左向きの矢印となる。また、配置する高さは路面から所定距離（例えば１ｍ）だけ上方の位置（車両の乗員の目線の位置）とする。また、第３案内オブジェクト５３が配置される位置は車両の現在位置に関わらず案内分岐点５０に対して位置が固定される。即ち、車両からは案内分岐点に近づくにつれて徐々に第３案内オブジェクト５３が近づくように視認されることとなる。その後、Ｓ２４へと移行する。

次に、Ｓ２４においてＣＰＵ４１は、前記Ｓ２３において案内オブジェクトが配置された３次元空間において、車両（乗員）の視点から車両の進行方向に視認した画像（以下、視認画像という）を取得する。特に車両の視点は車両の乗員の目の位置とする。尚、乗員の目の位置については車内カメラ１２によって検出することが可能である。即ち、取得された視認画像は３次元立体地図に配置された案内オブジェクトを車両（乗員）の視点から車両の進行方向に視認した際に視認できる像であり、車両の乗員の視界に相当する。尚、視認画像については車両（乗員）の視点から視認した画像であれば、必ずしも車両の進行方向に視認した画像である必要は無い。但し、少なくとも視認画像に案内画像と案内画像の周辺にある対象物仮想体が含まれる必要はある。例えば、図１３は図１２に示す態様で案内オブジェクトが配置された場合に取得される視認画像５５を示した図である。

その後、ＣＰＵ４１は、視認画像に含まれる案内オブジェクトの大きさ及び形状を、フロントディスプレイ４により表示対象とする案内オブジェクトの大きさ及び形状として記憶する。ここで、前記Ｓ２４で記憶される案内オブジェクトの大きさ及び形状は、３次元空間に配置された案内オブジェクトを現在の車両の乗員の視点から視認した際に視認できる案内オブジェクトの大きさ及び形状である。

その後、Ｓ２５においてＣＰＵ４１は、フロントディスプレイ４において案内オブジェクトを表示する位置（範囲）を決定する。具体的には以下の処理を行う。

先ず、ＣＰＵ４１は、車両の乗員の目の位置を車内カメラ１２で撮像した撮像画像に基づいて検出する。次に、フロントディスプレイ４によって画像を投影する対象となるフロントガラス５の位置を取得する。尚、車両の乗員の目の位置やフロントガラス５の位置は３次元の位置座標で特定される。続いて、ＣＰＵ４１は、前記Ｓ２３で３次元立体地図において配置された案内オブジェクト、即ちフロントディスプレイ４に表示対象となる案内オブジェクトについて風景に対して重畳する位置を取得する。第２案内オブジェクト表示処理では、前述したように第３案内オブジェクト５３は案内分岐点の路面から所定距離（例えば１ｍ）上方とする。
続いて、ＣＰＵ４１は、上記特定された車両の乗員の目の位置とフロントガラス５の位置と案内オブジェクトを重畳する位置とに基づいて、フロントガラス５における案内オブジェクトの投影範囲を決定する。更に、決定された投影範囲からフロントディスプレイ４における案内オブジェクトの表示範囲についても決定する。尚、案内オブジェクトの表示範囲は、前記Ｓ２４で記憶される大きさ及び形状を有する案内オブジェクトが、車両の乗員から上記予め案内オブジェクト毎に決められた風景内の位置（第３案内オブジェクト５３は案内分岐点の路面から所定距離（例えば１ｍ）上方）に重畳して視認される範囲となる。

但し、前述したように案内オブジェクトを風景に重畳して車両の乗員６に視認させることが可能な範囲（重畳可能範囲）は予め決められており（図２の範囲Ｒ）、前記Ｓ２５では重畳可能範囲Ｒについて考慮してフロントディスプレイ４において案内オブジェクトを表示する位置（範囲）を決定する。例えば前述したように第３案内オブジェクト５３は案内分岐点の位置に重畳させるが、重畳可能範囲Ｒに案内分岐点が含まれる場合には原則通り案内分岐点に重畳する位置に第３案内オブジェクト５３を表示する。一方で、重畳可能範囲Ｒに案内分岐点が含まれない場合には、重畳可能範囲Ｒ内であって案内分岐点に最も近い位置に重畳するように第３案内オブジェクト５３を表示する。

続いて、Ｓ２６においてＣＰＵ４１は、フロントディスプレイ４に対して制御信号を送信し、フロントディスプレイ４に対して前記Ｓ２４で記憶された形状の案内オブジェクトの画像を、前記Ｓ２５で決定された表示範囲に表示する。その結果、車両の乗員に風景に重畳された案内オブジェクト（正確には案内オブジェクトの虚像）を視認させることが可能となる。具体的には、図１４に示すように第３案内オブジェクト５３の虚像は風景内の案内分岐点の位置（或いは案内分岐点にできる限り近い位置）に重畳して視認され、また、車両が案内分岐点に近づくにつれて（風景内の案内分岐点の位置が変化するにつれて）、第３案内オブジェクト５３の虚像の表示位置も変化し、サイズは段階的に拡大することとなる。尚、車両が案内分岐点を通過するまで繰り返しＳ２１～Ｓ２６の処理が行われ、最終的には車両が案内分岐点を通過するのに伴い第３案内オブジェクト５３の虚像は車両の後方へと移動し、非表示となる（Ｓ９）。

そして、上述した第１案内オブジェクト表示処理（Ｓ５）及び第２案内オブジェクト表示処理（Ｓ７）を実行するのに伴い、本実施形態において案内分岐点が案内開始点距離未満となった状態で車両の乗員から視認される風景に重畳する案内オブジェクト（正確には案内オブジェクトの虚像である、以下同じ）は手前分岐点の通過に伴って図１５のように変移し、具体的には図１６のような像となる。

先ず、車両から案内分岐点までの距離が案内開始距離（一般道では１００ｍ）未満で手前分岐点を通過する前では、車両から離れた案内分岐点の上方に退出方向を案内する第１案内オブジェクト５１が視認され、車両の近くの進行方向前方の路面上に直進方向を案内する第２案内オブジェクト５２が視認される。第２案内オブジェクト５２については輪郭が実線で視認性の高い状態で表示され、一方で第１案内オブジェクト５１については輪郭が破線で視認性の低い状態で表示される。従って、車両の乗員は案内分岐点の存在や案内分岐点の退出方向について把握しつつも、直進方向に進むことを強く意識する。その結果、車両が手前分岐点で誤って退出方向へと曲がることを防止できる。

その後、車両が手前分岐点を通過すると、直進方向を案内する第２案内オブジェクト５２は非表示となる。更に、退出方向を案内する第１案内オブジェクト５１は同じく退出方向を案内する第３案内オブジェクト５３へと切り替わる。第３案内オブジェクト５３は基本的に第１案内オブジェクト５１と同じ外観形状を有するが、第１案内オブジェクト５１が視認性の低い表示態様で表示されていたのに対して、第３案内オブジェクト５３については視認性の高い表示態様で表示する。即ち、車両が手前分岐点を通過した後に退出方向を案内する案内オブジェクトの表示態様は、車両の乗員への視認性の低い表示態様から高い表示態様へと移行することとなる。その結果、車両の乗員は案内分岐点の存在や案内分岐点の退出方向を強く意識し、案内分岐点と対応させて車両の退出方向や進路を明確に乗員に把握させることが可能となる。

その後、車両が案内分岐点に進入した後は、案内分岐点の通過に伴って乗員から視認される第３案内オブジェクト５３は徐々に大きくなる。また、車両の移動に伴って車両の現在位置より後方に位置することとなった第３案内オブジェクト５３は順に非表示となり、車両が案内分岐点の通過を完了したタイミングで第３案内オブジェクトは視認できなくなる。

尚、案内分岐点から案内開始距離（一般道では１００ｍ）手前までの間に他の分岐点がない状態では、第１案内オブジェクト表示処理（Ｓ５）は実施されず最初から第２案内オブジェクト表示処理（Ｓ７）が実施されるので、車両から案内分岐点までの距離が案内開始距離となった時点で第３案内オブジェクトによる案内が行われることとなる。

以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る重畳画像表示装置１及び重畳画像表示装置１で実行されるコンピュータプログラムによれば、車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトをフロントディスプレイ４に表示し、その虚像を車両周辺の風景に重畳して視認させることにより車両の乗員に対する案内を行うに際して、案内オブジェクトの表示を開始する時点の車両位置から案内分岐点までの間に、特に案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合については、車両が他の分岐点を通過するまでは第１の表示態様で案内オブジェクトを表示し（Ｓ５）、車両が他の分岐点を通過した後に案内オブジェクトの表示態様を第１の表示態様よりも車両の乗員への視認性の高い第２の表示態様へと移行して表示する（Ｓ７）ので、案内オブジェクトの表示態様を変化させることによって、車両位置から案内分岐点までの間に、案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合においても、案内分岐点の位置を正確に車両の乗員に把握させることが可能となる。そして、車両が退出すべきでない退出路へと誤って退出してしまうことについて防止できる。
また、車両周辺の風景の内、案内オブジェクトを重畳して車両の乗員に視認させることが可能な重畳可能範囲Ｒは予め決められており、重畳可能範囲Ｒに案内分岐点が含まれる場合には、案内分岐点に重畳する位置に案内オブジェクトを表示し、重畳可能範囲Ｒに案内分岐点が含まれない場合には、重畳可能範囲Ｒ内であって案内分岐点に最も近い位置に重畳するように案内オブジェクトを表示する（Ｓ５、Ｓ７）ので、重畳可能範囲が狭く限られた状態であっても、表示された案内オブジェクトによってできる限り案内分岐点の位置を誤りなく乗員に把握させることが可能となる。
また、車両が案内分岐点に接近するのに従って、案内オブジェクトが表示される領域を段階的に増加させる（Ｓ５）ので、案内分岐点が接近していることを車両の乗員に分かり易く示唆することが可能となる。
また、案内オブジェクトは、案内分岐点における車両の退出方向を示す複数の矢印であって、第１の表示態様では、複数の矢印の内の一部の矢印を強調して表示するとともに、強調して表示する対象となる矢印を、複数の矢印の内で退出方向へと段階的に切り替える（Ｓ１６）ので、案内オブジェクトを視認性の低い表示態様で表示したとしても、退出方向を比較的容易に乗員に把握させることが可能となる。
また、案内オブジェクトの表示を開始する時点の車両位置から案内分岐点までの間に、案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合に、車両が他の分岐点を通過するまでは案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトに加えて直進方向を進むことを示す案内オブジェクトを表示し（Ｓ１６）、車両が他の分岐点を通過した後に直進方向を進むことを示す案内オブジェクトを非表示とする（Ｓ２６）ので、車両が他の分岐点を通過する前の段階では退出方向に曲がることよりも直進することを優先した案内を行うことが可能であり、車両が他の分岐点で誤って退出方向へと曲がることを防止できる。

尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば車両周辺の風景に重畳する画像を表示する手段として、本実施形態ではヘッドアップディスプレイシステムを用いているが、フロントガラス５を透過液晶ディスプレイとしてフロントガラス５に直接画像を表示しても良い。更に、後述のフロントカメラ１１で撮像した車両周辺の風景を車内の液晶ディスプレイに表示し、同一の液晶ディスプレイ内において表示された風景に重畳する画像を表示することも可能である。その場合においても液晶ディスプレイに表示された画像は、ＨＵＤと同様に車両周辺の風景に重畳する画像となる。

また、本実施形態では、フロントディスプレイ４によって車両２のフロントガラス５の前方に虚像を生成する構成としているが、フロントガラス５以外のウィンドウの前方に虚像を生成する構成としても良い。また、フロントディスプレイ４により映像を反射させる対象はフロントガラス５自身ではなくフロントガラス５の周辺に設置されたバイザー（コンバイナー）であっても良い。

また、本実施形態では輪郭線の線種によって案内オブジェクトの視認性に差を設けているが、表示色や形状によって差を設けても良い。例えば、第２案内オブジェクト５２や第３案内オブジェクト５３については目立ちやすい赤色や黄色で表示し、第１案内オブジェクト５１は目立ちにくい白色や青色で表示することも可能である。或いは、第２案内オブジェクト５２や第３案内オブジェクト５３については透過率を低く（例えば透過率１０％）表示し、第１案内オブジェクト５１はそれよりも高い透過率（例えば透過率５０％）で表示することも可能である。また、第１案内オブジェクト５１よりも第３案内オブジェクト５３の形状を大きくすることで、車両が手前分岐点を通過するのに伴って退出方向を案内する案内オブジェクトの視認性を高く移行させることも可能である。

また、本実施形態では、案内オブジェクトの表示を開始する時点の車両位置から案内分岐点までの間に、案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える手前分岐点が存在するという条件を満たした場合（Ｓ３、Ｓ４：ＹＥＳ）に第２案内オブジェクト表示処理（Ｓ７）に加えて第１案内オブジェクト表示処理（Ｓ５）を実行しているが、更に案内分岐点と手前分岐点との間の距離が閾値（例えば３０ｍ）以内であることを条件に追加しても良い。そのような構成とすれば、特に案内分岐点と手前分岐点が近くにあり誤認し易い状況でのみ第１案内オブジェクト表示処理（Ｓ５）を実行し、車両が誤って手前分岐点で退出することを防止できる。尚、案内分岐点と手前分岐点が閾値以上に離れている場合には、第２案内オブジェクト表示処理（Ｓ７）のみで案内を行っても第３案内オブジェクト５３の大きさや重畳する位置によって他の分岐点が案内分岐点でないことを車両の乗員は把握できると予想される。

また、本実施形態では、案内オブジェクトを用いて案内分岐点の案内を行っているが、案内オブジェクトにより案内対象とする地点は案内分岐点に限られることなく、例えば車線減少地点や合流区間等の車両の乗員に注意を促す他の地点としても良い。また、案内対象地点の種類によって表示する案内オブジェクトの内容を変更するのが望ましい。

また、本実施形態では、走行支援処理プログラム（図４）の処理をナビゲーション装置３のナビゲーションＥＣＵ１５が実行する構成としているが、実行主体は適宜変更することが可能である。例えば、フロントディスプレイ４の制御部、車両制御ＥＣＵ、その他の車載器が実行する構成としても良い。

１…重畳画像表示装置、２…車両、３…ナビゲーション装置、４…フロントディスプレイ、５…フロントガラス、６…乗員、１５…ナビゲーションＥＣＵ、４１…ＣＰＵ、４２…ＲＡＭ、４３…ＲＯＭ、５０…案内分岐点、５１…第１案内オブジェクト、５２…第２案内オブジェクト、５３…第３案内オブジェクト

Claims (5)

1. 車両に搭載され、表示領域に表示された映像を車両内に配置された反射部材で反射させて車両の乗員に視認させることによって前記車両周辺の風景に重畳して前記映像の虚像を視認させる重畳画像表示装置であって、
   車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、前記映像として前記案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトを表示するオブジェクト表示手段を有し、
   前記オブジェクト表示手段は、
   前記案内オブジェクトの表示を開始する時点の車両位置から前記案内分岐点までの間に、前記案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合に、
   車両が前記他の分岐点を通過するまでは第１の表示態様で前記案内オブジェクトを表示し、車両が前記他の分岐点を通過した後に前記案内オブジェクトの表示態様を第１の表示態様よりも車両の乗員への視認性の高い第２の表示態様へと移行して表示する重畳画像表示装置。
2. 前記車両周辺の風景の内、前記案内オブジェクトを重畳して車両の乗員に視認させることが可能な重畳可能範囲は予め決められており、
   前記オブジェクト表示手段は、
   前記重畳可能範囲に前記案内分岐点が含まれる場合には、前記案内分岐点に重畳する位置に前記案内オブジェクトを表示し、
   前記重畳可能範囲に前記案内分岐点が含まれない場合には、前記重畳可能範囲内であって前記案内分岐点に最も近い位置に重畳するように前記案内オブジェクトを表示する請求項１に記載の重畳画像表示装置。
3. 前記オブジェクト表示手段は、
   車両が前記案内分岐点に接近するのに従って、前記案内オブジェクトが表示される領域を段階的に増加させる請求項１又は請求項２に記載の重畳画像表示装置。
4. 前記案内オブジェクトは、前記案内分岐点における車両の退出方向を示す複数の矢印であって、
   前記オブジェクト表示手段は、
   前記第１の表示態様では、複数の矢印の内の一部の矢印を強調して表示するとともに、強調して表示する対象となる矢印を、前記複数の矢印の内で退出方向へと段階的に切り替える請求項１又は請求項２に記載の重畳画像表示装置。
5. 前記オブジェクト表示手段は、
   前記案内オブジェクトの表示を開始する時点の車両位置から前記案内分岐点までの間に、前記案内分岐点における車両の退出方向と同方向への退出路を備える他の分岐点がある場合に、
   車両が前記他の分岐点を通過するまでは前記案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトに加えて直進方向を進むことを示す案内オブジェクトを表示し、車両が前記他の分岐点を通過した後に前記直進方向を進むことを示す案内オブジェクトを非表示とする請求項１に記載の重畳画像表示装置。

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