JP2023166869A - 旋回式作業機械の駆動制御装置及びこれを備えた旋回式作業機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】旋回モータと他の油圧アクチュエータを作動させるための複合操作が行われる場合であっても、旋回加速度を旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度に調節することが可能な旋回式作業機械の駆動制御装置を提供する。【解決手段】旋回式作業機械100の駆動制御装置101は、油圧ポンプ22と第1アクチュエータ7との間に介在し、油圧ポンプ22から第1アクチュエータ7に供給される作動油の流量を変化させるように開度を調節可能な補償制御弁33と、旋回モータ11を作動させる旋回操作が与えられる旋回操作装置42と、第1アクチュエータ7を作動させる第1操作が与えられる第1操作装置41と、第1操作と旋回操作の複合操作時に、旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度に実際の旋回加速度が制御されるように補償制御弁33の開度を調節するコントローラ70と、を備える。【選択図】図3
Description
本開示は、油圧ショベルなどの旋回式作業機械の駆動制御装置に関する。
旋回式作業機械は、一般に、下部走行体と、下部走行体に旋回可能に支持される上部旋回体と、上部旋回体に装着される作業装置と、上部旋回体を旋回させる油圧モータである旋回モータと、旋回モータに供給されるべき作動油を吐出する油圧ポンプと、当該油圧ポンプと旋回モータとの間に介在する旋回制御弁と、を備える。前記旋回制御弁は、オペレータによる旋回レバー操作に応じて開閉し、前記油圧ポンプから吐出される作動油のうち旋回モータに供給される作動油の流量を変化させる。前記油圧ポンプが吐出する作動油は、旋回モータだけでなくそれ以外の他の油圧アクチュエータ(例えばブームシリンダ)にも用いられる場合が多い。この場合、当該他の油圧アクチュエータは前記旋回制御弁とは別の制御弁を介して前記油圧ポンプに接続される。すなわち、前記油圧ポンプは旋回モータへの作動油の供給と前記他の油圧アクチュエータへの作動油の供給とに兼用される。
上部旋回体の旋回速度を低速から増加させるときには大きな旋回トルクが必要になる。しかし、上記のように油圧ポンプが兼用される場合、旋回モータと前記他の油圧アクチュエータとを同時に動かすための複合操作が行われると、前記他の油圧アクチュエータの作動圧が低いことに起因して旋回トルクが小さくなることがある。以下では、このことを油圧干渉と称する。
特許文献1は、旋回モータ及びそれ以外の油圧アクチュエータへの作動油の適正な分配を行うための旋回式作業機械を開示している。この旋回式作業機械では、上部旋回体の旋回速度が小さいときには大きな制限度でアクチュエータ流量(前記油圧アクチュエータに供給される作動油の流量)を制限し、前記旋回速度が大きいときには前記アクチュエータ流量の制限度を抑えることにより、前記アクチュエータ流量の制限による圧力損失を減らして効率の高い運転を行うことが可能である。
ところで、前記複合操作時における作業性を向上させるためには、オペレータが操作装置に与える操作量に応じた加速度で旋回動作が行われることが望ましい。しかし、特許文献1の旋回式作業機械では、前記複合操作時における旋回動作の加速度は前記油圧アクチュエータの作動圧に応じて変わるため、さらなる改善が望まれる。
本開示は、油圧ポンプが旋回モータと他の油圧アクチュエータのために兼用され、これらのアクチュエータを作動させるための複合操作が行われる場合であっても、旋回加速度を旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度に調節することが可能な旋回式作業機械の駆動制御装置を提供することを目的とする。
提供される旋回式作業機械の駆動制御装置は、油圧ポンプと、第1可動部を含む作業装置を支持する上部旋回体を旋回させる旋回モータと、前記第1可動部を動かす第1アクチュエータと、前記油圧ポンプと前記旋回モータとの間に介在し、前記油圧ポンプから前記旋回モータに供給される作動油の流量を変化させるように開度を調節可能な旋回制御弁と、前記油圧ポンプと前記第1アクチュエータとの間に介在し、前記油圧ポンプから前記第1アクチュエータに供給される作動油の流量を変化させるように開度を調節可能な補償制御弁と、前記旋回モータを作動させる旋回操作が与えられる旋回操作装置と、前記第1アクチュエータを作動させる第1操作が与えられる第1操作装置と、前記第1操作と前記旋回操作の複合操作時に、前記旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度に実際の旋回加速度が制御されるように前記補償制御弁の前記開度を調節するコントローラと、を備える。
この駆動制御装置では、コントローラは、前記複合操作時に補償制御弁の開度を調節して補償制御弁の上流側の圧力を調節することで、複合操作時における第1アクチュエータの作動圧にかかわらず、実際の旋回加速度を目標旋回加速度に調節するために必要とされる旋回トルクを発生させることができる。従って、この駆動制御装置は、油圧ポンプが旋回モータと第1アクチュエータのために兼用され、これらを作動させるための複合操作が行われる場合であっても、実際の旋回加速度を旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度に制御することができる。
前記コントローラは、前記複合操作時に、前記上部旋回体及び前記作業装置を含む回転体の旋回軸回りの慣性モーメントと前記目標旋回加速度とを用いて目標旋回トルクに関連する目標旋回トルク関連値を演算し、前記目標旋回トルク関連値と実際の旋回トルクに関連する実旋回トルク関連値との偏差がゼロに近づくように前記補償制御弁の前記開度を調節することが好ましい。上部旋回体及び作業装置を含む回転体の旋回軸回りの慣性モーメントは第1可動部を含む作業装置の姿勢に応じて変化する。そこで、この構成では、コントローラは、前記慣性モーメントと目標旋回加速度とを用いて目標旋回トルク関連値を演算し、当該目標旋回トルク関連値と実旋回トルク関連値との偏差がゼロに近づくように補償制御弁の開度を調節することで、作業装置の姿勢にかかわらず、実際の旋回加速度を旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度により正確に制御することができる。
前記駆動制御装置は、前記旋回モータのメータイン圧とメータアウト圧との差圧である旋回差圧を検出する差圧検出器をさらに備え、前記目標旋回トルク関連値は、前記旋回差圧の目標である目標旋回差圧であり、前記実旋回トルク関連値は、前記差圧検出器により検出される前記旋回差圧であることが好ましい。この構成では、差圧検出器により検出可能な旋回差圧を目標旋回差圧に近づけることで、実際の旋回加速度を目標旋回加速度に制御するために必要とされる旋回トルクを発生させることができる。
前記コントローラは、前記複合操作時に、前記目標旋回加速度に前記実際の旋回加速度が制御されるように前記旋回制御弁の前記開度を調節することが好ましい。この構成では、前記複合操作時における旋回加速度は、補償制御弁の開度の調節と旋回制御弁の開度の調節の両方により行われるので、旋回加速度を旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度にさらに正確に制御することができる。
提供される旋回式作業機械は、上述した駆動制御装置と、前記第1可動部を含む前記作業装置と、前記上部旋回体と、を備える。この旋回式作業機械では、油圧ポンプが旋回モータと第1アクチュエータのために兼用され、これらを作動させるための複合操作が行われる場合であっても、旋回加速度が旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度に調節される。
本開示によれば、油圧ポンプが旋回モータと第1アクチュエータのために兼用され、これらのアクチュエータを作動させるための複合操作が行われる場合であっても、旋回加速度を旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度に調節することが可能な旋回式作業機械の駆動制御装置が提供される。
本開示の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1に示す旋回式作業機械100は、油圧ショベルである。図1及び図2に示すように、この旋回式作業機械100は、下部走行体1と、上部旋回体2と、作業装置3と、複数のポンプと、複数のアクチュエータと、複数の制御弁と、複数の操作装置と、複数の比例弁と、複数の検出器と、コントローラ70と、を備える。
下部走行体1は、左右一対のクローラ走行装置と、これらのクローラ走行装置に支持される下部フレームと、を備える。上部旋回体2は、旋回軸Zの回りに旋回可能に下部走行体1に支持される。旋回軸Zは上下方向に沿って延びる軸である。上部旋回体2は、下部フレームに支持される上部フレームと、上部フレームの前部に支持されるキャブと、を備える。上部旋回体2は、エンジンなどの駆動源23(図2参照)などを収容する機械室を備える。
作業装置3は、上部旋回体2に起伏可能に支持されるブーム4と、ブーム4に回動可能に支持されるアーム5と、アーム5に回動可能に支持されるバケット6と、を含む。ブーム4は、上部旋回体2の上部フレームに回動可能に取り付けられたブーム基端部と、その反対側のブーム先端部と、を有する。アーム5は、ブーム先端部に回動可能に取り付けられたアーム基端部と、その反対側のアーム先端部と、を有する。バケット6は、アーム先端部に回動可能に取り付けられたバケット基端部を有する。本実施形態では、ブーム4は第1可動部の一例である。
複数のポンプのそれぞれは、駆動源23(例えばエンジン)によって駆動されることにより作動油を吐出する。図1及び図2に示すように、複数のポンプは、第1ポンプ21と、第2ポンプ22と、パイロットポンプ24と、を含む。第1ポンプ21及び第2ポンプ22のそれぞれは、コントローラ70からの容量指令に応じて容量を変えることが可能な可変容量型の油圧ポンプである。具体的には、例えば、第1ポンプ21及び第2ポンプ22のそれぞれは、容量制御用の図略のレギュレータを備え、コントローラ70からの容量指令がレギュレータに入力されると、当該容量指令に応じて傾転角度を変え、これにより容量(押しのけ容積)が変わり、作動油の吐出量が変わる。パイロットポンプ24は、複数の制御弁のそれぞれにパイロット圧を供給する。第2ポンプ22は、本開示における油圧ポンプの一例であり、第1ポンプ21は、当該第2ポンプ22とは別に設けられた他の油圧ポンプの一例である。
複数のアクチュエータは、ブームシリンダ7と、アームシリンダ8と、バケットシリンダ9と、旋回モータ11と、を含む。図2に示すように、ブームシリンダ7は、第1ポンプ21から吐出される作動油の供給を受けて作動する油圧シリンダである。ブームシリンダ7は、ヘッド室とロッド室とを有する。ブームシリンダ7は第1アクチュエータの一例である。旋回モータ11は、第2ポンプ22から吐出される作動油の供給を受けて作動する油圧モータである。旋回モータ11は、一対のポートを有する。
図2では、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9の図示が省略されている。アームシリンダ8は、第1ポンプ21及び第2ポンプ22の何れかのポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する油圧シリンダである。バケットシリンダ9は、第1ポンプ21及び第2ポンプ22の何れかのポンプから吐出される作動油の供給を受けて作動する油圧シリンダである。
複数の制御弁は、図2に示すように、ブーム制御弁31と、旋回制御弁32と、補償制御弁33と、アーム制御弁(図示省略)と、バケット制御弁(図示省略)と、を含む。ブーム制御弁31、旋回制御弁32、アーム制御弁及びバケット制御弁のそれぞれは、例えば、スプールと、パイロットポンプ24からのパイロット圧を受ける一対のパイロットポートと、を有する3位置のパイロット切換弁により構成されていてもよい。補償制御弁33は、例えば、スプールと、パイロットポートと、を有する2位置のパイロット切換弁により構成されていてもよい。
ブーム制御弁31は、第1ポンプ21とブームシリンダ7との間に介在し、第1ポンプ21から吐出される作動油がブームシリンダ7に供給されることを許容するように開度を調節可能に構成される。すなわち、ブーム制御弁31は、第1ポンプ21からブームシリンダ7に供給される作動油の方向及び流量を変化させるように開閉作動する。ブーム制御弁31の一対のパイロットポートは、ブーム上げパイロットポート及びブーム下げパイロットポートを含む。ブーム制御弁31は、第1制御弁の一例である。
旋回制御弁32は、第2ポンプ22と旋回モータ11との間に介在し、第2ポンプ22から吐出される作動油が旋回モータ11に供給されることを許容するように開度を調節可能に構成される。すなわち、旋回制御弁32は、第2ポンプ22から旋回モータ11に供給される作動油の方向及び流量を変化させるように開閉作動する。旋回制御弁32の一対のパイロットポートは、右旋回パイロットポート及び左旋回パイロットポートを含む。
補償制御弁33は、第2ポンプ22とブームシリンダ7との間に介在し、第2ポンプ22から吐出される作動油がブームシリンダ7に供給されることを許容するように開度を調節可能に構成される。すなわち、補償制御弁33は、第2ポンプ22からブームシリンダ7に供給される作動油の流量を変化させるように開閉作動する。すなわち、補償制御弁33は、後述するブーム操作装置41にブーム操作(例えば後述するブーム上げ操作)が与えられた場合に、第2ポンプ22から吐出される作動油がブームシリンダ7のヘッド室に供給されることを許容するように開閉作動する。これにより、ブームシリンダ7には第1ポンプ21及び第2ポンプ22の両方から作動油が供給されるので、例えばブーム上げ動作などのように負荷の高い動作においてもブームシリンダ7の速度が確保される。
本実施形態では、補償制御弁33は、ブーム操作と後述する旋回操作が同時に行われる複合操作時には、旋回モータ11の動作の加速度を補償する。加速度補償については後述する。
前記アーム制御弁は、第1ポンプ21及び第2ポンプの何れかのポンプとアームシリンダ8との間に介在し、当該ポンプから吐出される作動油がアームシリンダ8に供給されることを許容するように開度を調節可能に構成される。すなわち、前記アーム制御弁は、当該ポンプからアームシリンダ8に供給される作動油の方向及び流量を変化させるように開閉作動する。
前記バケット制御弁は、第1ポンプ21及び第2ポンプ22の何れかのポンプとバケットシリンダ9との間に介在し、当該ポンプから吐出される作動油がバケットシリンダ9に供給されることを許容するように開度を調節可能に構成される。すなわち、前記バケット制御弁は、当該ポンプからバケットシリンダ9に供給される作動油の方向及び流量を変化させるように開閉作動する。
複数の操作装置は、ブームシリンダ7を作動させるためのブーム操作が与えられるブーム操作装置41(図2参照)と、旋回モータ11を作動させるための旋回操作が与えられる旋回操作装置42(図2参照)と、アームシリンダ8を作動させるためのアーム操作が与えられるアーム操作装置(図示省略)と、バケットシリンダ9を作動させるためのバケット操作が与えられるバケット操作装置(図示省略)と、を含む。ブーム操作装置41は、第1操作装置の一例である。
複数の操作装置のそれぞれは、オペレータが操作を与えることが可能な操作レバーを有する。なお、1つの操作レバーが2つの操作装置のために兼用されてもよい。複数の操作装置のそれぞれは、操作レバーに対してオペレータによって与えられた操作の方向及び当該操作のレバー操作量に対応する電気信号である操作信号を出力する電気レバー装置である。複数の操作装置のそれぞれから出力された操作信号は、コントローラ70に入力される。具体的には以下の通りである。
ブーム操作装置41は、ブーム上げ動作をブーム4に行わせるためのブーム上げ操作、及びブーム下げ動作をブーム4に行わせるためのブーム下げ操作を受けることが可能なブーム操作レバー41Aを有する。ブーム上げ動作は、ブーム4のブーム先端部が地面から遠ざかるようなブーム4の動作であり、ブーム下げ動作は、ブーム4のブーム先端部が地面に近づくようなブーム4の動作である。ブーム操作装置41は、ブーム操作レバー41Aにブーム上げ操作が与えられると、ブーム上げ操作のレバー操作量に対応するブーム上げ操作信号をコントローラ70に入力する。ブーム操作装置41は、ブーム操作レバー41Aにブーム下げ操作が与えられると、ブーム下げ操作のレバー操作量に対応するブーム下げ操作信号をコントローラ70に入力する。
旋回操作装置42は、右旋回動作を上部旋回体2に行わせるための右旋回操作、及び左旋回動作を上部旋回体2に行わせるための左旋回操作を受けることが可能な旋回操作レバー42Aを有する。旋回操作装置42は、旋回操作レバー42Aに右旋回操作が与えられると、右旋回操作のレバー操作量に対応する旋回操作信号(右旋回操作信号)をコントローラ70に入力する。旋回操作装置42は、旋回操作レバー42Aに左旋回操作が与えられると、左旋回操作のレバー操作量に対応する旋回操作信号(左旋回操作信号)をコントローラ70に入力する。
前記アーム操作装置は、アーム引き動作をアーム5に行わせるためのアーム引き操作、及びアーム押し動作をアーム5に行わせるためのアーム押し操作を受けることが可能である。アーム引き動作は、アーム5のアーム先端部がブーム4に近づくようなアーム5の動作である。アーム押し動作は、アーム5のアーム先端部がブーム4から遠ざかるようなアーム5の動作である。アーム操作装置は、アーム引き操作が与えられると、アーム引き操作のレバー操作量に対応するアーム引き操作信号をコントローラ70に入力する。アーム操作装置は、アーム押し操作が与えられると、アーム押し操作のレバー操作量に対応するアーム押し操作信号をコントローラ70に入力する。前記バケット操作装置の基本的な構成及び機能は、ブーム操作装置41、アーム操作装置などと同様であるので、詳細な説明は省略する。
複数の比例弁のそれぞれは、パイロットポンプ24と何れかの制御弁の何れかのパイロットポートとの間に介在する。複数の比例弁のそれぞれは、コントローラ70から入力される制御指令に応じてパイロットポンプ24の圧油を減圧した二次圧を生成し、当該二次圧は、当該比例弁に対応する制御弁の前記パイロットポートに供給される。複数の比例弁のそれぞれは、例えば電磁比例弁により構成されている。複数の比例弁は、一対のブーム比例弁51,51と、一対の旋回比例弁52,52と、補償比例弁53と、を含む。
一対のブーム比例弁51,51は、パイロットポンプ24とブーム制御弁31のブーム上げパイロットポートとの間に介在するブーム上げ比例弁51と、パイロットポンプ24とブーム制御弁31のブーム下げパイロットポートとの間に介在するブーム下げ比例弁51と、を含む。
ブーム操作装置41は、ブーム上げ操作を受けるとブーム上げ操作信号をコントローラ70に入力し、コントローラ70は、ブーム上げ比例弁51にブーム上げ制御指令を入力する。ブーム上げ比例弁51は、ブーム上げ制御指令に応じた二次圧であるパイロット圧を生成し、生成されたパイロット圧は、ブーム制御弁31のブーム上げパイロットポートに供給される。ブーム制御弁31のスプールは、供給されたパイロット圧に対応する変位量で中立位置からブーム上げ操作に対応する方向にシフトし、ブーム制御弁31の開度は、前記変位量に対応する大きさに調節される。これにより、ブーム制御弁31は、第1ポンプ21から吐出される作動油がブームシリンダ7のヘッド室に前記変位量に対応する流量で供給されることを許容し、ブームシリンダ7のロッド室から作動油が排出されてタンクに戻ることを許容する。その結果、ブームシリンダ7が伸びる方向に作動してブーム4がブーム上げ動作を行う。
ブーム操作装置41は、ブーム下げ操作を受けるとブーム下げ操作信号をコントローラ70に入力し、コントローラ70は、ブーム下げ比例弁51にブーム下げ制御指令を入力する。ブーム下げ比例弁51は、ブーム下げ制御指令に応じた二次圧であるパイロット圧を生成し、生成されたパイロット圧は、ブーム制御弁31のブーム下げパイロットポートに供給される。ブーム制御弁31のスプールは、供給されたパイロット圧に対応する変位量で中立位置からブーム下げ操作に対応する方向にシフトし、ブーム制御弁31の開度は、前記変位量に対応する大きさに調節される。これにより、ブーム制御弁31は、第1ポンプ21から吐出される作動油がブームシリンダ7のロッド室に前記変位量に対応する流量で供給されることを許容し、ブームシリンダ7のヘッド室から作動油が排出されてタンクに戻ることを許容する。その結果、ブームシリンダ7が縮む方向に作動してブーム4がブーム下げ動作を行う。
一対の旋回比例弁52,52は、パイロットポンプ24と旋回制御弁32の右旋回パイロットポートとの間に介在する右旋回比例弁52と、パイロットポンプ24と旋回制御弁32の左旋回パイロットポートとの間に介在する左旋回比例弁52と、を含む。
旋回操作装置42は、右旋回操作を受けると右旋回操作信号をコントローラ70に入力し、コントローラ70は、右旋回比例弁52に右旋回制御指令を入力する。右旋回比例弁52は、右旋回制御指令に応じた二次圧であるパイロット圧を生成し、生成されたパイロット圧は、旋回制御弁32の右旋回パイロットポートに供給される。旋回制御弁32のスプールは、供給されたパイロット圧に対応する変位量で中立位置から右旋回操作に対応する方向にシフトし、旋回制御弁32の開度は、前記変位量に対応する大きさに調節される。これにより、旋回制御弁32は、第2ポンプ22から吐出される作動油が旋回モータ11の一方のポートに前記変位量に対応する流量で供給されることを許容し、旋回モータ11の他方のポートから作動油が排出されてタンクに戻ることを許容する。その結果、旋回モータ11が右旋回方向に動作して上部旋回体2が右旋回動作を行う。
旋回操作装置42は、左旋回操作を受けると左旋回操作信号をコントローラ70に入力し、コントローラ70は、左旋回比例弁52に左旋回制御指令を入力する。左旋回比例弁52は、左旋回制御指令に応じた二次圧であるパイロット圧を生成し、生成されたパイロット圧は、旋回制御弁32の左旋回パイロットポートに供給される。旋回制御弁32のスプールは、供給されたパイロット圧に対応する変位量で中立位置から左旋回操作に対応する方向にシフトし、旋回制御弁32の開度は、前記変位量に対応する大きさに調節される。これにより、旋回制御弁32は、第2ポンプ22から吐出される作動油が旋回モータ11の他方のポートに前記変位量に対応する流量で供給されることを許容し、旋回モータ11の一方のポートから作動油が排出されてタンクに戻ることを許容する。その結果、旋回モータ11が左旋回方向に動作して上部旋回体2が左旋回動作を行う。
補償比例弁53は、パイロットポンプ24と補償制御弁33のパイロットポートとの間に介在する。補償比例弁53は、ブーム上げ動作のときに用いられる。
複数の検出器は、ブーム速度検出器61と、旋回速度検出器62と、差圧検出器65と、ブーム保持圧検出器66と、姿勢検出器67と、を含む。複数の検出器のそれぞれは、検出した検出結果に対応する検出信号をコントローラ70に入力する。
ブーム速度検出器61は、ブームシリンダ7の動作速度又はこれに相関する速度(例えばブーム4の動作速度)を検出する。旋回速度検出器62は、旋回モータ11の動作速度(例えば角速度)又はこれに相関する速度(例えば上部旋回体2の旋回速度)を検出する。差圧検出器65は、旋回モータ11における差圧を検出する。具体的には、差圧検出器65は、旋回モータ11のメータイン圧及びメータアウト圧の一方を検出する第1圧力センサ65Aと、旋回モータ11のメータイン圧及びメータアウト圧の他方を検出する第2圧力センサ65Bと、を含む。ブーム保持圧検出器66は、ブームシリンダ7のヘッド室の圧力を検出する圧力センサである。
姿勢検出器67は、作業装置3の姿勢を検出する。具体的には、本実施形態では、姿勢検出器67は、ブーム4の姿勢を検出するブーム姿勢センサ67Aと、アーム5の姿勢を検出するアーム姿勢センサ67Bと、バケット6の姿勢を検出するバケット姿勢センサ67Cと、を含む(図1参照)。
ブーム姿勢センサ67Aは、例えば、上部旋回体2に対するブーム4の角度を検出するブーム角度センサであってよく、水平面に対するブーム4の角度を検出するブーム角度センサであってよく、ブームシリンダ7の動作を検出するストロークセンサであってもよく、他のセンサであってもよい。ブーム角度センサとしては、例えば、レゾルバ、ロータリーエンコーダ、ポテンショメータ、IMU(慣性計測装置)などを例示できる。ストロークセンサは、油圧シリンダのシリンダ長さを検出するものであってもよく、シリンダチューブに対するピストンロッドの位置を検出するものであってもよい。
アーム姿勢センサ67Bは、例えば、ブーム4に対するアーム5の角度を検出するアーム角度センサであってもよく、水平面に対するアーム5の角度を検出するアーム角度センサであってよく、アームシリンダ8の動作を検出するストロークセンサであってもよく、他のセンサであってもよい。バケット姿勢センサ67Cは、アーム5に対するバケット6の角度を検出するバケット角度センサであってもよく、水平面に対するバケット6の角度を検出するバケット角度センサであってよく、バケットシリンダ9の動作を検出するストロークセンサであってもよく、他のセンサであってもよい。アーム角度センサ及びバケット角度センサとしては、上述したブーム角度センサと同様のものを採用可能である。
姿勢検出器67は、旋回体姿勢センサ67Dをさらに含んでいてもよい(図1参照)。旋回体姿勢センサ67Dは、上部旋回体2の姿勢を検出するためのセンサである。旋回体姿勢センサ67Dは、例えば、水平面に対する上部旋回体2の傾き(姿勢)を検出するセンサであってもよい。また、旋回体姿勢センサ67Dは、例えば、下部走行体1に対する上部旋回体2の角度を検出する旋回角度センサであってもよく、下部走行体1に対する上部旋回体2の角速度(旋回角速度)を検出するジャイロセンサであってもよく、他のセンサであってもよい。
コントローラ70は、CPU、MPUなどの演算処理装置と、メモリと、を備える。コントローラ70は、複数の検出器から入力される検出信号に基づいて、旋回式作業機械100の動作を制御する。なお、図2において、コントローラ70は、便宜上2つの箇所に描かれているが、これは、コントローラ70が2つの部分から構成されていることを意図したものではない。コントローラ70は、単一のコントローラにより構成されていてもよく、複数のコントローラにより構成されていてもよい。
旋回式作業機械100は、本実施形態に係る駆動制御装置101を備える。図2に示す駆動制御装置101は、前記第1ポンプ21と、前記第2ポンプ22と、前記ブームシリンダ7と、前記旋回モータ11と、前記ブーム操作装置41と、前記旋回操作装置42と、前記旋回制御弁32と、前記補償制御弁33と、前記コントローラ70と、を含む。コントローラ70は、予め定めされた複合操作が行われたときに、旋回加速度の目標である目標旋回加速度に実際の旋回加速度である実旋回加速度が制御されるように補償制御弁33の開度を調節する。本実施形態では、旋回加速度を補償する制御を行うときの複合操作の対象は、ブーム操作(例えばブーム上げ操作)と旋回操作とを含む。ブーム操作は、本開示における第1操作の一例である。旋回操作は、右旋回操作又は左旋回操作である。
図3は、本実施形態に係る駆動制御装置101のコントローラ70が行う演算処理の一例を示すフローチャートである。
コントローラ70は、旋回操作装置42に旋回操作が与えられたか否かを判定する(ステップS1)。旋回操作装置42に旋回操作が与えられた場合(ステップS1においてYES)、コントローラ70はステップS2以降の処理を行い、旋回操作装置42に旋回操作が与えられていない場合(ステップS1においてNO)、コントローラ70はステップS2以降の処理を行わない。
旋回操作装置42に旋回操作が与えられた場合、コントローラ70は、ブーム操作装置41にブーム操作(第1操作の一例)が与えられたか否かを判定する(ステップS2)。本実施形態では、前記第1操作としてのブーム操作は、ブーム上げ操作である。ブーム操作装置41にブーム操作が与えられた場合(ステップS2においてYES)、すなわち本実施形態において予め定めされた複合操作が行われた場合、コントローラ70はステップS3以降の処理を行い、ブーム操作装置41にブーム操作が与えられていない場合(ステップS2においてNO)、すなわち前記複合操作が行われていない場合、コントローラ70はステップS21の処理を行う。
コントローラ70は、ステップS1の判定を例えば次のように行うことができる。オペレータが旋回操作装置42の操作レバー42Aに旋回操作を与えると、旋回操作装置42は、旋回操作の方向及び当該旋回操作のレバー操作量に対応する旋回操作信号をコントローラ70に入力し、コントローラ70は、入力された旋回操作信号に基づいて、旋回操作装置42に旋回操作が与えられたと判定することができる。一方、コントローラ70は、前記旋回操作信号がコントローラ70に入力されない場合には旋回操作装置42に旋回操作が与えられていないと判定することができる。
コントローラ70は、ステップS2の判定を例えば次のように行うことができる。オペレータがブーム操作装置41の操作レバー41Aにブーム操作(例えばブーム上げ操作)を与えると、ブーム操作装置41は、ブーム操作の方向及び当該ブーム操作のレバー操作量に対応するブーム操作信号をコントローラ70に入力し、コントローラ70は、入力されたブーム操作信号に基づいて、ブーム操作装置41にブーム操作が与えられたと判定することができる。一方、コントローラ70は、前記ブーム操作信号がコントローラ70に入力されない場合にはブーム操作装置41にブーム操作が与えられていないと判定することができる。
複合操作が行われている場合(ステップS2においてYES)、コントローラ70は、次のような要否決定条件が満たされているか否かを判定する。要否決定条件は、旋回モータ11の動作の加速度を補償するための旋回加速度フィードバック制御(旋回加速度FB制御)を行うか否かを決めるための条件である。本実施形態では、要否決定条件は、実際の旋回速度である実旋回速度が旋回速度の目標である目標旋回速度よりも小さいことである。すなわち、本実施形態では、旋回加速度FB制御を行うか否かを決めるために、コントローラ70は、実旋回速度が目標旋回速度よりも小さいか否かを判定する(ステップS3)。ただし、要否決定条件はこのような具体例に限られない。要否決定条件は、例えば、実旋回速度が予め設定された基準値よりも小さいことであってもよく、この場合、当該基準値は、例えば目標旋回速度よりも小さい値に設定される。また、要否決定条件は、旋回加速度FB制御を行う必要があることを判定可能な他の条件であってもよい。
実旋回速度が目標旋回速度以上である場合(ステップS3においてNO)、旋回モータ11の動作を加速させる必要がないため、コントローラ70は、旋回加速度FB制御を行わずに、ステップS21,S9の処理を含む旋回速度フィードバック制御(旋回速度FB制御)を行う。一方、実旋回速度が目標旋回速度よりも小さい場合(ステップS3においてYES)、コントローラ70は、旋回モータ11の動作の加速度を補償するためにステップS4-S9の処理を含む旋回加速度FB制御を行う。実旋回速度が目標旋回速度よりも小さい場合、上部旋回体2と作業装置3とを含む物体である回転体は加速状態にあることが多いためである。
コントローラ70は、ステップS3の判定を例えば次のように行うことができる。コントローラ70は、旋回操作装置42の旋回操作レバー42Aに与えられる旋回操作のレバー操作量と目標旋回速度との関係を表すマップを予め記憶している。図4は、当該マップの一例を示すグラフである。コントローラ70は、その時点における旋回操作のレバー操作量と前記マップとに基づいて目標旋回速度を決定する。コントローラ70は、旋回速度検出器62から入力される検出信号に基づいてその時点における実旋回速度を取得する。そして、コントローラ70は、決定された目標旋回速度と取得された実旋回速度とを比較することにより実旋回速度が目標旋回速度よりも小さいか否かを判定することができる。
実旋回速度が目標旋回速度以上である場合(ステップS3においてNO)、コントローラ70は、旋回加速度FB制御を行わずに、ステップS21,S9を含む旋回速度FB制御を行う。旋回速度FB制御では、コントローラ70は、実旋回速度が目標旋回速度に制御されるように旋回制御弁32の開度を調節する。すなわち、コントローラ70は、目標旋回速度と実旋回速度との偏差である旋回速度偏差がゼロに近づくように旋回制御弁32の開度を調節するフィードバック制御を行う。これにより、旋回モータ11の動作速度が補償される。具体的には、当該旋回速度FB制御では、コントローラ70は、前記旋回速度偏差がゼロに近づくように旋回比例弁52に対する制御指令である旋回制御指令(電流値)を決定し(ステップS21)、当該旋回制御指令を旋回比例弁52に入力する(ステップS9)。フィードバック制御の方式として、例えばPID制御が用いられてもよく、PI制御が用いられてもよく、P制御が用いられてもよい。PID制御の場合、コントローラ70は、例えば下記の式を用いて旋回制御指令を演算してもよい。
u(t)=Kp×e(t)+Ki∫e(t)dt+Kd(de(t)/dt)
上記の式において、「u」は、旋回制御指令であり、「Kp」、「Ki」、「Kd」は、PIDゲイン(比例ゲイン、積分ゲイン及び微分ゲイン)であり、「e」は、旋回速度偏差である。PIDゲインは、旋回速度FB制御のために予め設定されたものであり、コントローラ70に記憶されている。
上記の式において、「u」は、旋回制御指令であり、「Kp」、「Ki」、「Kd」は、PIDゲイン(比例ゲイン、積分ゲイン及び微分ゲイン)であり、「e」は、旋回速度偏差である。PIDゲインは、旋回速度FB制御のために予め設定されたものであり、コントローラ70に記憶されている。
一方、実旋回速度が目標旋回速度よりも小さい場合(ステップS3においてYES)、コントローラ70は、ステップS4-S9を含む旋回加速度FB制御を行う。旋回加速度FB制御では、まず、コントローラ70は、旋回軸Z(車体旋回軸)回りの前記回転体の慣性モーメントを演算する(ステップS4,S5)。すなわち、コントローラ70は、作業装置3の姿勢、先端重量、合成重心距離などを演算し(ステップS4)、これらの演算結果を用いて慣性モーメントを演算する(ステップS5)。
前記先端重量は、バケット6の重量及びバケット6に保持された土砂などの保持物の重量の合計値である。前記合成重心距離は、旋回軸Zと合成重心との距離である。合成重心は、上部旋回体2の重心と作業装置3の重心とを合成した重心である。バケット6に保持された土砂などの保持物の重量は、ブーム保持圧検出器66により検出されるブームシリンダ7のヘッド室の圧力と、作業装置3の姿勢と、に相関するものである。従って、コントローラ70は、演算された保持物の重量と、予め記憶されたバケット6の重量と、を用いて前記先端重量を演算することができる。
旋回軸Z回りの前記回転体の慣性モーメントは、例えば以下のように演算される。
コントローラ70は、姿勢検出器67から入力される検出信号に基づいて、作業装置3の姿勢を演算する。コントローラ70は、ブーム姿勢センサ67Aから入力される検出信号に基づいてブーム4の姿勢(例えば、上部旋回体2に対するブーム4の角度)を取得することができ、アーム姿勢センサ67Bから入力される検出信号に基づいてアーム5の姿勢(例えば、ブーム4に対するアーム5の角度)を取得することができ、バケット姿勢センサ67Cから入力される検出信号に基づいてバケット6の姿勢(例えば、アーム5に対するバケット6の角度)を取得することができる。コントローラ70は、ブーム4、アーム5及びバケット6の姿勢(例えば、ブーム4の角度、アーム5の角度及びバケット6の角度)の情報を用いて、作業装置3の姿勢を幾何学的に演算することができる。なお、コントローラ70は、旋回体姿勢センサ67Dから入力される検出信号に基づいて、水平面に対する上部旋回体2の傾き(上部旋回体2の姿勢)を取得し、得られた上部旋回体2の姿勢もさらに考慮して作業装置3の姿勢を演算してもよい。この場合、作業装置3の姿勢がより精度よく演算される。
また、作業装置3の重心位置は、作業装置3の姿勢と先端重量に相関するものである。コントローラ70は、ブーム4、アーム5及びバケット6のそれぞれの寸法、重量、重心などの特性を予め記憶している。従って、コントローラ70は、作業装置3の重心位置と作業装置3の重心重量とを、作業装置3の姿勢と先端重量を用いて幾何学的に演算することができる。
コントローラ70は、上部旋回体2の重心位置と、上部旋回体2の重心重量と、を予め記憶している。従って、コントローラ70は、上部旋回体2の重心と作業装置3の重心とを合成することにより旋回軸Zの回りの合成重心の位置と、合成重心重量(m)を演算することができる。コントローラ70は、合成重心の位置と旋回軸Zの位置を用いて、合成重心距離(r)、すなわち旋回軸Zと合成重心との距離を演算することができる。そして、コントローラ70は、合成重心距離(r)と合成重心重量(m)を用いて慣性モーメント(I)を演算することができる(I=mr2)。
次に、コントローラ70は、目標旋回トルク(T)を演算する(ステップS6)。具体的には次の通りである。目標旋回トルク(T)は、式「T=mr2×dω/dt」で表される。この式において「ω」は角速度である。旋回軸Z回りの慣性モーメント(I)は上記のように式「I=mr2」で表される。従って、コントローラ70は、目標旋回トルク(T)を、式「T=I×dω/dt」を用いて演算することができる。この式において、「dω/dt」は、目標旋回加速度(目標角加速度)である。
コントローラ70は、目標旋回加速度を例えば次のように決定することができる。コントローラ70は、旋回操作装置42の旋回操作レバー42Aに与えられる旋回操作のレバー操作量と目標旋回加速度との関係を表すマップを予め記憶している。図5は、当該マップの一例を示すグラフである。コントローラ70は、その時点における旋回操作のレバー操作量と前記マップとに基づいて目標旋回加速度を決定する。そして、コントローラ70は、目標旋回加速度(dω/dt)と慣性モーメント(I)とを用いて目標旋回トルク(T)を演算する。
次に、コントローラ70は、目標旋回差圧(P)を演算する(ステップS7)。目標旋回差圧(P)は、目標旋回トルク(T)に関連する目標旋回トルク関連値の一例である。コントローラ70は、目標旋回差圧(P)を、例えば式「P=2π×I/q×dω/dt」を用いて演算することができる。この式において、「I×dω/dt」の部分は、上記のように演算された目標旋回トルク(T)に相当する。また、この式において、「q」は、旋回モータ等価容量である。旋回モータ等価容量(q)は、減速比も含めたモータ容量である(q=モータ容量×減速比)。旋回モータ等価容量(q)及び目標旋回加速度(dω/dt)が一定値である場合、目標旋回差圧(P)は、慣性モーメント(I)に比例する。
そして、コントローラ70は、実際の旋回差圧が目標旋回差圧(P)に制御されるように補償制御弁33の開度及び旋回制御弁32の開度をそれぞれ調節する(ステップS8,S9)。すなわち、コントローラ70は、目標旋回差圧(P)と実際の旋回差圧との偏差である旋回差圧偏差がゼロに近づくように補償制御弁33の開度を調節するとともに、前記旋回差圧偏差がゼロに近づくように旋回制御弁32の開度を調節する。実際の旋回差圧は、実際の旋回トルクに関連する実旋回トルク関連値の一例である。
具体的には、旋回加速度FB制御では、コントローラ70は、前記旋回差圧偏差がゼロに近づくように補償比例弁53に対する制御指令である補償制御指令(電流値)を決定し(ステップS8)、当該補償制御指令を補償比例弁53に入力する(ステップS9)。また、旋回加速度FB制御では、コントローラ70は、前記旋回差圧偏差がゼロに近づくように旋回比例弁52に対する制御指令である旋回制御指令(電流値)を決定し(ステップS8)、当該旋回制御指令を旋回比例弁52に入力する(ステップS9)。これらのフィードバック制御のそれぞれの方式として、例えばPID制御が用いられてもよく、PI制御が用いられてもよく、P制御が用いられてもよい。PID制御の場合、コントローラ70は、例えば下記の式を用いて補償制御指令及び旋回制御指令のそれぞれを演算してもよい。
u(t)=Kp×e(t)+Ki∫e(t)dt+Kd(de(t)/dt)
上記の式において、「u」は、補償制御指令又は旋回制御指令であり、「Kp」、「Ki」、「Kd」は、PIDゲイン(比例ゲイン、積分ゲイン及び微分ゲイン)であり、「e」は、旋回差圧偏差である。補償制御指令を演算するためのPIDゲイン、及び旋回制御指令を演算するためのPIDゲインは、旋回加速度FB制御のためにそれぞれ個別に予め設定されたものであり、コントローラ70に記憶されている。
上記の式において、「u」は、補償制御指令又は旋回制御指令であり、「Kp」、「Ki」、「Kd」は、PIDゲイン(比例ゲイン、積分ゲイン及び微分ゲイン)であり、「e」は、旋回差圧偏差である。補償制御指令を演算するためのPIDゲイン、及び旋回制御指令を演算するためのPIDゲインは、旋回加速度FB制御のためにそれぞれ個別に予め設定されたものであり、コントローラ70に記憶されている。
コントローラ70は、複合操作時に、上述したステップS1-S9,S21の処理を繰り返し実行する。これにより、本実施形態に係る駆動制御装置101は、前記複合操作時に、作業装置3の姿勢及び前記先端重量にかかわらず、旋回モータ11の実際の旋回加速度を目標旋回加速度に近づけることができ、上部旋回体2の旋回動作の加速度が補償される。
なお、コントローラ70は、ステップS1-S9,S21の処理を実行するときに、第1ポンプ21から吐出される作動油の流量と第2ポンプ22から吐出される作動油の流量をレバー操作量に基づいて制御していもよい。
次に、図6のタイムチャートを参照しながら旋回式作業機械100の動作の具体例について説明する。
図6に示す時間t1までの時間帯は、複数の操作装置の操作レバーに操作が与えられていない無操作の時間帯である。この無操作の時間帯には、コントローラ70は、上部旋回体2及び作業装置3を動作させるための制御を行わない。
図6に示す時間t1から時間t3までの時間帯は、図6の最上のグラフに示すように旋回操作装置42の操作レバー42Aに旋回操作が与えられる一方で、図6の上から2つ目のグラフに示すようにブーム操作装置41の操作レバー41Aにはブーム操作(第1操作の一例)が与えられない旋回単独操作の時間帯を含む。図6に示す時間t1から時間t2までの時間帯は、旋回操作のレバー操作量が増加する時間帯及び当該レバー操作量が一定値(例えば最大値)に維持される時間帯を含み、時間t2から時間t3までの時間帯は、旋回操作のレバー操作量が減少する時間帯及び当該レバー操作量がゼロに維持される時間帯を含む。旋回単独操作の時間帯では、旋回操作とブーム操作を含む複合操作に起因する油圧干渉は生じない。従って、コントローラ70は、実旋回速度が目標旋回速度に近づくように旋回制御弁32の開度を調節するフィードバック制御である旋回速度FB制御を行う。
すなわち、旋回単独操作の時間帯において、コントローラ70は、上述したように、旋回操作装置42の操作レバー42Aに与えられる旋回操作のレバー操作量と、図4に示すマップと、に基づいて、目標旋回速度を決定し、旋回速度検出器62から入力される検出信号に基づいてその時点における実旋回速度を取得する。そして、コントローラ70は、目標旋回速度と実旋回速度との旋回速度偏差がゼロに近づくように旋回比例弁52に対する旋回制御指令を決定し、決定された旋回制御指令を旋回比例弁52に入力する。
旋回単独操作の時間帯を含む時間t1から時間t3の時間帯において、目標旋回速度は、図6の上から3つ目のグラフにおいて破線で示されており、実旋回速度は、図6の上から3つ目のグラフにおいて実線で示されており、旋回制御指令(旋回制御弁32のための電流値)は、図6の上から6つ目のグラフにおいて実線で示されている。旋回単独操作時に上記のような旋回速度FB制御が行われることにより、実旋回速度は、図6の上から3つ目のグラフに示されているように目標旋回速度に近い大きさに調節される。
なお、旋回単独操作が行われる場合には、コントローラ70は、ブリードオフ弁35(図2参照)により旋回トルクが補償されるように比例弁55に指令を入力することが好ましい。具体的には、ブリードオフ弁35は、例えば、パイロットポートを有する2位置のパイロット切換弁により構成される。ブリードオフ弁35は、そのパイロットポートにパイロットポンプ24からのパイロット圧が供給されないときにはブリードオフ通路36を遮断する閉弁位置を保持する一方で、パイロットポートに供給されるパイロット圧に応じて開弁するように構成される。比例弁55は、コントローラ70から指令の入力を受けることにより開弁して、その指令に比例したパイロット圧がブリードオフ弁35のパイロットポートに入力されるのを許容する。旋回単独操作時には、第2ポンプ22から吐出された作動油が旋回モータ11に全量が流れることで旋回モータ11が動作する。この旋回単独操作時において、コントローラ70は、ブリードオフ弁35の開度を調節して当該ブリードオフ弁35を通じて作動油の一部をタンクに逃がすことにより、第2ポンプ22と旋回モータ11との間の通路の圧力を調整し、旋回トルク(加速度)を補償することが好ましい。なお、複合操作時には、ブリードオフ弁35は全閉とされることが好ましい。
図6に示す時間t4から時間t6の時間帯は、図6の最上のグラフ及び上から2つ目のグラフに示すように、旋回操作とブーム操作(第1操作の一例)を含む複合操作の時間帯を含む。図6に示す時間t4から時間t5までの時間帯は、旋回操作のレバー操作量が増加する時間帯及び当該レバー操作量が一定値(例えば最大値)に維持される時間帯を含み、時間t5から時間t6までの時間帯は、旋回操作のレバー操作量が減少する時間帯及び当該レバー操作量がゼロに維持される時間帯を含む。この複合操作の時間帯では、コントローラ70は、上述した旋回加速度FB制御を行うことにより旋回モータ11の旋回動作の加速度を補償する。
複合操作の時間帯を含む時間t4から時間t6の時間帯において、目標旋回差圧(P)は、図6の上から4つ目のグラフにおいて破線で示されており、実旋回差圧は、図6の上から4つ目のグラフにおいて実線で示されている。また、この時間t4から時間t6の時間帯において、旋回制御指令(電流値)は、図6の上から6つ目のグラフにおいて実線で示されており、補償制御指令(電流値)は、図6の上から7つ目のグラフにおいて実線で示されており、ブーム比例弁51に対する制御指令であるブーム制御指令(電流値)は、図6の最下のグラフにおいて実線で示されている。
複合操作時に上記のような旋回加速度FB制御が行われることにより、旋回モータの旋回差圧は、図6の上から4つ目のグラフに示すように目標旋回差圧に近い大きさに調節され、これにより、前記回転体の加速度は、図6の上から3つ目のグラフにおいて実線で示されているようにほぼ一定値に調節される。
図7は、本実施形態の変形例に係る駆動制御装置101のコントローラ70が行う演算処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す演算処理と図3に示す演算処理は、目標旋回差圧の演算方法が異なる。
図3に示す前記実施形態では、旋回操作のレバー操作量に応じて決まる目標旋回加速度を用いて目標旋回トルク(T)を演算し(図3のステップS6)、演算された目標旋回トルク(T)を用いて目標旋回差圧(P)を演算する(ステップS7)。一方、図7に示す変形例に係る演算処理は、図3のステップS6,S7の処理に代えて、図7のステップS11,S12の処理を含む。
この変形例では、ステップS11において、コントローラ70は、基準姿勢と現在の姿勢の慣性モーメントの比(Ir)を演算する。ステップS12において、コントローラ70は、目標旋回差圧基準値(P0)と、式「Pr=Ir×P0」と、を用いて、現在の姿勢での目標旋回差圧(Pr)を演算する。目標旋回差圧基準値(P0)は、基準姿勢における目標旋回差圧であり、予め設定されてコントローラ70に記憶されている。前記慣性モーメントの比(Ir)は、予め決められた基準姿勢における慣性モーメントと、現在の姿勢における慣性モーメントとの比である(Ir=現在の姿勢における慣性モーメント/基準姿勢における慣性モーメント)。基準姿勢における慣性モーメントは、予めコントローラ70に記憶されている。現在の姿勢における慣性モーメントは、上述したように図3のステップS4,S5のように演算される。慣性モーメントが大きくなると必要とされる旋回トルク(必要とされる差圧)が大きくなる。従って、例えば、現在の姿勢における慣性モーメントが基準姿勢における慣性モーメントよりも大きい場合には、慣性モーメントの比(Ir)は1より大きくなり、目標旋回差圧(Pr)は目標旋回差圧基準値(P0)よりも大きくなる。
上述したように、旋回モータ等価容量及び目標旋回加速度が一定値である場合、旋回差圧は慣性モーメントに比例する。従って、目標旋回差圧基準値(P0)と基準姿勢と現在の姿勢の慣性モーメントの比(Ir)とが決まると、コントローラ70は、現在の姿勢での目標旋回差圧(Pr)を、上記の式「Pr=Ir×P0」を用いて演算することができる。コントローラ70は、上記のような演算処理を行うことにより、現在の姿勢において必要とされる目標旋回差圧(Pr)を演算することができる。
図7のフローチャートにおけるステップS1-S5及びステップS8,S9,S21の処理は、図3に示すフローチャートにおけるステップS1-S5及びステップS8,S9,S21の処理と同様であるので、これらの詳細な説明は省略する。
[変形例]
以上、本開示の実施形態に係る旋回式作業機械について説明したが、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
以上、本開示の実施形態に係る旋回式作業機械について説明したが、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
(A)目標旋回加速度について
前記実施形態では、コントローラ70は、その時点における旋回操作のレバー操作量と例えば図5に示す前記マップとに基づいて目標旋回加速度を決定するが、旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度の決定方法は、上記の具体例に限られない。コントローラ70は、例えば、その時点における旋回操作のレバー操作量と予め設定された関係式とに基づいて目標旋回加速度を決定してもよい。また、図5に示す前記マップは、レバー操作量と目標旋回加速度とが比例するような特性を有するものであるが、目標旋回加速度を決めるためのマップの特性は、図5に示すものに限られず、例えば、レバー操作量が増加するにつれて目標旋回加速度が曲線的に増加するような特性を有するものであってもよく、レバー操作量が特定値に到達するまではレバー操作量が増加するにつれて目標旋回加速度が増加し、レバー操作量が前記特定値を超えると目標旋回加速度が一定値になるような特性を有するものであってもよい。
前記実施形態では、コントローラ70は、その時点における旋回操作のレバー操作量と例えば図5に示す前記マップとに基づいて目標旋回加速度を決定するが、旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度の決定方法は、上記の具体例に限られない。コントローラ70は、例えば、その時点における旋回操作のレバー操作量と予め設定された関係式とに基づいて目標旋回加速度を決定してもよい。また、図5に示す前記マップは、レバー操作量と目標旋回加速度とが比例するような特性を有するものであるが、目標旋回加速度を決めるためのマップの特性は、図5に示すものに限られず、例えば、レバー操作量が増加するにつれて目標旋回加速度が曲線的に増加するような特性を有するものであってもよく、レバー操作量が特定値に到達するまではレバー操作量が増加するにつれて目標旋回加速度が増加し、レバー操作量が前記特定値を超えると目標旋回加速度が一定値になるような特性を有するものであってもよい。
(B)目標旋回トルク関連値及び実旋回トルク関連値について
前記実施形態では、前記目標旋回トルク関連値は、前記旋回差圧の目標である目標旋回差圧であり、前記実旋回トルク関連値は、前記差圧検出器により検出される前記旋回差圧であるが、このような具体例に限られない。本開示における目標旋回トルク関連値は、旋回動作に関する慣性モーメントと目標旋回加速度とを用いて演算される目標旋回トルクそのものであってもよく、この場合、本開示における実旋回トルク関連値は、実際の旋回トルクそのものであってもよい。また、目標旋回トルク関連値は、目標旋回トルクに関連する他の物理量であってもよく、実旋回トルク関連値は、実際の旋回トルクに関連する他の物理量であってもよい。
前記実施形態では、前記目標旋回トルク関連値は、前記旋回差圧の目標である目標旋回差圧であり、前記実旋回トルク関連値は、前記差圧検出器により検出される前記旋回差圧であるが、このような具体例に限られない。本開示における目標旋回トルク関連値は、旋回動作に関する慣性モーメントと目標旋回加速度とを用いて演算される目標旋回トルクそのものであってもよく、この場合、本開示における実旋回トルク関連値は、実際の旋回トルクそのものであってもよい。また、目標旋回トルク関連値は、目標旋回トルクに関連する他の物理量であってもよく、実旋回トルク関連値は、実際の旋回トルクに関連する他の物理量であってもよい。
(C)複合操作について
前記実施形態では、コントローラ70が旋回加速度FB制御を行うときの複合操作は、ブーム操作と旋回操作とを含む。当該ブーム操作は、ブーム上げ操作であってもよく、ブーム下げ操作であってもよい。また、本開示においてコントローラが旋回加速度FB制御を行うときの複合操作は、アーム操作(アーム押し操作又はアーム引き操作)と旋回操作とを含んでいてもよく、バケット操作と旋回操作とを含んでいてもよい。
前記実施形態では、コントローラ70が旋回加速度FB制御を行うときの複合操作は、ブーム操作と旋回操作とを含む。当該ブーム操作は、ブーム上げ操作であってもよく、ブーム下げ操作であってもよい。また、本開示においてコントローラが旋回加速度FB制御を行うときの複合操作は、アーム操作(アーム押し操作又はアーム引き操作)と旋回操作とを含んでいてもよく、バケット操作と旋回操作とを含んでいてもよい。
(D)第1可動部、第1アクチュエータ、第1操作装置、第1操作及び第1制御弁について
前記実施形態では、第1可動部はブーム4であり、第1アクチュエータはブームシリンダ7であり、第1操作装置はブーム操作装置であり、第1操作はブーム操作であり、第1制御弁はブーム制御弁であるが、これらは上記のような具体例に限られない。本開示における第1可動部は、アーム又はバケットであってもよく、この場合、第1アクチュエータは、アームシリンダ8又はバケットシリンダ9であってもよく、第1操作装置は、アーム操作装置又はバケット操作装置であってもよく、第1操作は、アーム操作(アーム押し操作若しくはアーム引き操作)又はバケット操作であってもよく、第1制御弁は、アーム制御弁又はバケット制御弁であってもよい。また、作業装置がバケットに代えて例えばグラップル、フォーク、破砕機などの他の先端アタッチメントを含む場合には、本開示における第1可動部は、当該先端アタッチメントであってもよく、第1アクチュエータは当該先端アタッチメントを動かす油圧アクチュエータであってもよく、第1操作は当該油圧アクチュエータを作動させる操作であってもよく、第1操作装置は、当該第1操作が与えられるものであってもよく、第1制御弁は、前記他の油圧ポンプから当該油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を変化させるように開度を調節可能な制御弁であってもよい。
前記実施形態では、第1可動部はブーム4であり、第1アクチュエータはブームシリンダ7であり、第1操作装置はブーム操作装置であり、第1操作はブーム操作であり、第1制御弁はブーム制御弁であるが、これらは上記のような具体例に限られない。本開示における第1可動部は、アーム又はバケットであってもよく、この場合、第1アクチュエータは、アームシリンダ8又はバケットシリンダ9であってもよく、第1操作装置は、アーム操作装置又はバケット操作装置であってもよく、第1操作は、アーム操作(アーム押し操作若しくはアーム引き操作)又はバケット操作であってもよく、第1制御弁は、アーム制御弁又はバケット制御弁であってもよい。また、作業装置がバケットに代えて例えばグラップル、フォーク、破砕機などの他の先端アタッチメントを含む場合には、本開示における第1可動部は、当該先端アタッチメントであってもよく、第1アクチュエータは当該先端アタッチメントを動かす油圧アクチュエータであってもよく、第1操作は当該油圧アクチュエータを作動させる操作であってもよく、第1操作装置は、当該第1操作が与えられるものであってもよく、第1制御弁は、前記他の油圧ポンプから当該油圧アクチュエータに供給される作動油の流量を変化させるように開度を調節可能な制御弁であってもよい。
(E)油圧ポンプについて
前記実施形態に係る駆動制御装置は、第1ポンプ21と第2ポンプ22とを備えるが、第2ポンプ22を備える一方で第1ポンプ21を備えていなくてもよい。
前記実施形態に係る駆動制御装置は、第1ポンプ21と第2ポンプ22とを備えるが、第2ポンプ22を備える一方で第1ポンプ21を備えていなくてもよい。
(F)コントローラについて
前記実施形態では、コントローラ70は、前記複合操作時に、前記回転体の旋回軸回りの慣性モーメントと前記目標旋回加速度とを用いて目標旋回トルクに関連する目標旋回トルク関連値を演算し、前記目標旋回トルク関連値と実際の旋回トルクに関連する実旋回トルク関連値との偏差がゼロに近づくように前記補償制御弁の開度を調節するが、このような具体例に限られない。例えば、コントローラ70は、前記複合操作時に、前記旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度と実際の旋回加速度との偏差がゼロに近づくように前記補償制御弁の開度を調節してもよい。この場合、コントローラは、例えば、旋回速度検出器62により検出される旋回モータ11の動作速度又はこれに相関する速度を時間で微分することにより実際の旋回加速度を演算することができる。また、駆動制御装置101が図略のトルクセンサを備える場合には、コントローラ70は、検出されたトルクと慣性モーメントとを用いて実旋回加速度を演算してもよい。
前記実施形態では、コントローラ70は、前記複合操作時に、前記回転体の旋回軸回りの慣性モーメントと前記目標旋回加速度とを用いて目標旋回トルクに関連する目標旋回トルク関連値を演算し、前記目標旋回トルク関連値と実際の旋回トルクに関連する実旋回トルク関連値との偏差がゼロに近づくように前記補償制御弁の開度を調節するが、このような具体例に限られない。例えば、コントローラ70は、前記複合操作時に、前記旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度と実際の旋回加速度との偏差がゼロに近づくように前記補償制御弁の開度を調節してもよい。この場合、コントローラは、例えば、旋回速度検出器62により検出される旋回モータ11の動作速度又はこれに相関する速度を時間で微分することにより実際の旋回加速度を演算することができる。また、駆動制御装置101が図略のトルクセンサを備える場合には、コントローラ70は、検出されたトルクと慣性モーメントとを用いて実旋回加速度を演算してもよい。
前記実施形態では、コントローラ70は、前記複合操作時に、前記慣性モーメントと前記目標旋回加速度とを用いて目標旋回トルク関連値を演算する。すなわち、前記実施形態では、コントローラ70は、目標旋回加速度が慣性モーメントで補正された目標旋回トルク関連値と実旋回トルク関連値との偏差がゼロに近づくように補償制御弁の開度を調節するが、このような具体例に限られない。本開示におけるコントローラは、前記複合操作時に、目標旋回加速度を慣性モーメントで補正することなく、当該目標旋回加速度と実際の旋回加速度との偏差がゼロに近づくように前記補償制御弁の開度を調節してもよい。
前記実施形態では、コントローラ70は、前記複合操作時に、目標旋回加速度に実際の旋回加速度が調節されるように旋回制御弁の開度を調節するが、前記複合操作時における旋回制御弁の開度の調節は省略可能である。
(G)慣性モーメントについて
前記実施形態では、旋回軸Z回りの慣性モーメント(I)は上記の式「I=mr2」を用いて演算されるが、慣性モーメントの演算方法(演算式)は、前記実施形態で説明した具体例に限られない。
前記実施形態では、旋回軸Z回りの慣性モーメント(I)は上記の式「I=mr2」を用いて演算されるが、慣性モーメントの演算方法(演算式)は、前記実施形態で説明した具体例に限られない。
1 :下部走行体
2 :上部旋回体
3 :作業装置
4 :ブーム(第1可動部の一例)
5 :アーム
6 :バケット
7 :ブームシリンダ(第1アクチュエータの一例)
8 :アームシリンダ
9 :バケットシリンダ
11 :旋回モータ
21 :第1ポンプ(他の油圧ポンプの一例)
22 :第2ポンプ(油圧ポンプの一例)
31 :ブーム制御弁(第1制御弁の一例)
32 :旋回制御弁
33 :補償制御弁
41 :ブーム操作装置(第1操作装置の一例)
42 :旋回操作装置
65 :差圧検出器
65A :第1圧力センサ
65B :第2圧力センサ
70 :コントローラ
100 :旋回式作業機械
101 :駆動制御装置
2 :上部旋回体
3 :作業装置
4 :ブーム(第1可動部の一例)
5 :アーム
6 :バケット
7 :ブームシリンダ(第1アクチュエータの一例)
8 :アームシリンダ
9 :バケットシリンダ
11 :旋回モータ
21 :第1ポンプ(他の油圧ポンプの一例)
22 :第2ポンプ(油圧ポンプの一例)
31 :ブーム制御弁(第1制御弁の一例)
32 :旋回制御弁
33 :補償制御弁
41 :ブーム操作装置(第1操作装置の一例)
42 :旋回操作装置
65 :差圧検出器
65A :第1圧力センサ
65B :第2圧力センサ
70 :コントローラ
100 :旋回式作業機械
101 :駆動制御装置
Claims (5)
- 油圧ポンプと、
第1可動部を含む作業装置を支持する上部旋回体を旋回させる旋回モータと、
前記第1可動部を動かす第1アクチュエータと、
前記油圧ポンプと前記旋回モータとの間に介在し、前記油圧ポンプから前記旋回モータに供給される作動油の流量を変化させるように開度を調節可能な旋回制御弁と、
前記油圧ポンプと前記第1アクチュエータとの間に介在し、前記油圧ポンプから前記第1アクチュエータに供給される作動油の流量を変化させるように開度を調節可能な補償制御弁と、
前記旋回モータを作動させる旋回操作が与えられる旋回操作装置と、
前記第1アクチュエータを作動させる第1操作が与えられる第1操作装置と、
前記第1操作と前記旋回操作の複合操作時に、前記旋回操作の操作量に応じた目標旋回加速度に実際の旋回加速度が制御されるように前記補償制御弁の前記開度を調節するコントローラと、を備える旋回式作業機械の駆動制御装置。 - 前記コントローラは、前記複合操作時に、前記上部旋回体及び前記作業装置を含む回転体の旋回軸回りの慣性モーメントと前記目標旋回加速度とを用いて目標旋回トルクに関連する目標旋回トルク関連値を演算し、前記目標旋回トルク関連値と実際の旋回トルクに関連する実旋回トルク関連値との偏差がゼロに近づくように前記補償制御弁の前記開度を調節する、請求項1に記載の旋回式作業機械の駆動制御装置。
- 前記旋回モータのメータイン圧とメータアウト圧との差圧である旋回差圧を検出する差圧検出器をさらに備え、
前記目標旋回トルク関連値は、前記旋回差圧の目標である目標旋回差圧であり、
前記実旋回トルク関連値は、前記差圧検出器により検出される前記旋回差圧である、請求項2に記載の旋回式作業機械の駆動制御装置。 - 前記コントローラは、前記複合操作時に、前記目標旋回加速度に前記実際の旋回加速度が制御されるように前記旋回制御弁の前記開度を調節する、請求項1~3の何れか1項に記載の旋回式作業機械の駆動制御装置。
- 請求項1に記載の駆動制御装置と、
前記第1可動部を含む前記作業装置と、
前記上部旋回体と、を備える旋回式作業機械。
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022077698A JP2023166869A (ja) | 2022-05-10 | 2022-05-10 | 旋回式作業機械の駆動制御装置及びこれを備えた旋回式作業機械 |
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Family Applications (1)
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JP2022077698A Pending JP2023166869A (ja) | 2022-05-10 | 2022-05-10 | 旋回式作業機械の駆動制御装置及びこれを備えた旋回式作業機械 |
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2022
- 2022-05-10 JP JP2022077698A patent/JP2023166869A/ja active Pending
-
2023
- 2023-04-28 WO PCT/JP2023/016894 patent/WO2023219015A1/ja unknown
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Publication number | Publication date |
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