JP2023160611A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Shinobu Ishizu
香枝 山▲崎▼
Kae Yamazaki
悦司 山路
Etsuji Yamaji
賢一 北林
Kenichi Kitabayashi
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Abstract

【課題】本発明は、ポリアミド樹脂と液晶ポリマーの分解が抑制され、かつブリスターの発生も抑制されたポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、ポリアミド樹脂(A)100質量部、液晶ポリマー(B)0.1~100質量部、およびエポキシ樹脂(C)0.01~20質量部を含む、ポリアミド樹脂組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂、液晶ポリマーおよびエポキシ樹脂を含むポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、エンジニアリングプラスチックとして機械的および化学的に優れた特性を有し、自動車や電気電子機器の部品、食品用フィルム、衣料品、建材など各種の工業分野において広く使用されている。
一方、上記ポリアミド樹脂に対しては、耐熱性不足、吸水に伴う寸法安定性不良などの問題点が指摘されている。特に近年の表面実装技術(SMT)の進歩に伴うリフローハンダ耐熱性を必要とする電気・電子分野や、年々耐熱性の要求が高まる自動車のエンジンルーム部品などにおいては、従来のポリアミド樹脂の使用が困難となってきており、耐熱性、機械物性、低吸水性に優れるポリアミド樹脂の開発が望まれている。
このような要望から、ポリアミド樹脂の改質を目的として、ポリアミド樹脂に液晶ポリエステルをブレンドすることが提案されている(特許文献1)。
特開2011-57976号公報
しかしながら、ポリアミド樹脂と液晶ポリマーのブレンド組成物は高温成形時の滞留によって分解しやすく、特に自動車部品などの大型成形品を成形する際にはガスの発生などが懸念されていた。また、成形品において高温でのリフロー処理により、成形品表面にブリスターと呼ばれる膨れが発生するという問題があった。本発明は、ポリアミド樹脂と液晶ポリマーの分解が抑制され、かつブリスターの発生も抑制されたポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂と液晶ポリマーにさらにエポキシ樹脂を添加することによって、高温での成形時におけるポリアミド樹脂と液晶ポリマーの分解が抑制され、かつブリスターの発生も抑制し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕ポリアミド樹脂(A)100質量部、液晶ポリマー(B)0.1~100質量部、およびエポキシ樹脂(C)0.01~20質量部を含む、ポリアミド樹脂組成物。
〔2〕液晶ポリマー(B)は、式(I)
で表される繰返し単位を全繰返し単位中25モル%以上含み、かつ、結晶融解温度が280℃以下の液晶ポリエステルである、〔1〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔3〕液晶ポリマー(B)は、式(I)~(IV)
[式中、ArおよびArは、それぞれ一種以上の2価の芳香族基を示し、p、q、rおよびsは、各繰返し単位の液晶ポリマー(B)中での組成比(モル%)であり、以下の条件を満たすものである:
0.4≦p/q≦2.0
2≦r≦15、および
2≦s≦15]
で表される繰返し単位を含む液晶ポリエステルである、〔1〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔4〕式(I)~(IV)で表される繰返し単位の組成比が以下の条件
[35≦p≦48、
35≦q≦48、
2≦r≦15、および
2≦s≦15]
を満たす、〔3〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔5〕式(III)および/または式(IV)は、ArおよびArが、互いに独立して、式(1)~(4)
からなる群から選択される芳香族基である繰返し単位の1種または2種以上を含む、〔3〕または〔4〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔6〕ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド6である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
〔7〕エポキシ樹脂(C)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
〔8〕ポリアミド樹脂(A)100質量部とエポキシ樹脂(C)0.01~20質量部を溶融混練し混合物を得る工程、および、得られた混合物にさらに液晶ポリマー(B)0.1~100質量部を加えて溶融混練する工程を含む、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
〔9〕〔1〕~〔7〕のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物から構成される成形品。
〔10〕成形品は、インストルメントパネル、ドアパネル、ルーフパネル、ルームフロアパネル、ドアトリム、ミドルボード、ドアオーナメント、カバーシートリヤアンダートレイ、トラックカバー、サービスホールカバー、ピラー、スカッフプレート、センターコンソール、カップホルダー、およびコラムカバーからなる群から選択される1種を構成する部品である、〔9〕に記載の成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、高温での成形時におけるポリアミド樹脂と液晶ポリマーの分解が抑制され、かつブリスターの発生も抑制される。
本発明において使用されるポリアミド樹脂は、分子中にアミド結合を有するポリマーであり、α-ピロリドン、α-ピペリドン、ε-カプロラクタム、6-アミノカプロン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、ω-ラウロラクタム等を重合して得られる重合体;ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどのジアミンと、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸とを縮重合して得られる重合体等が挙げられる。
本発明において使用されるポリアミド樹脂の具体例としては、ε-カプロラクタムを重合して得られるポリアミド6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とを縮重合して得られるポリアミド66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸とを縮重合して得られるポリアミド610、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とを縮重合して得られるポリアミド6T、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とを縮重合して得られるポリアミド6I、ジアミノブタンとアジピン酸とを縮重合して得られるポリアミド46、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを縮重合して得られるポリアミドMXD6、ノナンジアミンとテレフタル酸とを縮重合して得られるポリアミド9T、11-アミノウンデカン酸を重合して得られるポリアミド11、12-アミノドデカン酸あるいはω-ラウロラクタムを重合して得られるポリアミド12等が挙げられる。これらのうち、本発明において使用されるポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド6Iおよびポリアミド9Tが好ましく、特に、吸湿による物性変化や寸法変化が少ないことから、ポリアミド6、ポリアミド66が好ましい。これらポリアミド樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明において好適に使用されるポリアミド6としては、市販品として、例えばユニチカ株式会社製のユニチカナイロン6A1030BRL、宇部興産株式会社製のUBEナイロン1013B、東洋紡株式会社製のグラマイドT-802等が例示される。
本発明に用いられる液晶ポリマー(B)は、異方性溶融相を形成するものであり、当業者にサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるものであれば特に制限されない。
液晶ポリマーの異方性溶融相の性質は直交偏向子を利用した通常の偏向検査法、すなわち、ホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で観察することにより確認できる。
本発明に用いられる液晶ポリマー(B)を構成する、主たる繰返し単位は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位および芳香族ジオキシ繰返し単位から選択される1種以上である。
芳香族オキシカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、オルトヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、5-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中では、得られる液晶ポリマーの特性や結晶融解温度を調整しやすい点から、4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸が好ましい。
芳香族ジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル等の芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中では、得られる液晶ポリマーの機械物性、耐熱性、結晶融解温度、成形性を適度なレベルに調整しやすい点から、テレフタル酸および2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエ-テル等の芳香族ジオール、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中では、重合時の反応性や得られる液晶ポリマーの特性などの点から、ハイドロキノンおよび4,4’-ジヒドロキシビフェニルが好ましく、ハイドロキノンがより好ましい。
これらの各繰返し単位から構成される液晶ポリマー(B)は構成成分およびポリマー中の組成比、シークエンス分布によっては、異方性溶融相を形成するものと異方性溶融相を形成しないものが存在するが、本発明に使用される液晶ポリマー(B)は異方性溶融相を形成するものに限られる。
本発明のポリアミド樹脂組成物に含有される液晶ポリマー(B)は、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.1~100質量部、好ましくは1~70質量部、より好ましくは2~60質量部、さらに好ましくは5~50質量部である。液晶ポリマー(B)の含有量を上記範囲とすることにより、ポリアミド樹脂(A)の有する性能を損なうことなく、ポリアミド樹脂組成物に液晶ポリマーの有する耐熱性やガスバリア性が付与される。
本発明に用いられる液晶ポリマー(B)は、式(I)
で表される繰返し単位を全繰返し単位中25モル%以上含み、かつ、結晶融解温度が280℃以下である液晶ポリエステルが好適に使用される。
本発明に用いられる液晶ポリマー(B)は、式(I)で表される繰返し単位の含有量が、より好ましくは30~55モル%、さらに好ましくは33~45モル%である。式(I)で表される繰返し単位が全繰返し単位中25モル%未満である場合、液晶ポリマーの結晶融解温度が高くなる傾向がある。
本発明に用いられる液晶ポリマー(B)は、結晶融解温度が150~280℃であるものが好ましく、155~260℃であるものがより好ましく、160~250℃であるものがさらに好ましい。
結晶融解温度が280℃を上回る場合、混練時や成形加工時の温度が高温となるため、ポリアミド樹脂の分解が進行し、ポリアミド樹脂組成物が得られ難くなる傾向がある。
尚、本明細書および特許請求の範囲において、「結晶融解温度」とは、示差走査熱量計(Differential scanning calorimeter、以下DSCと略す)によって、昇温速度20℃/分で測定した際の結晶融解温度ピーク温度から求めたものである。より具体的には、液晶ポリマー樹脂の試料を、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1より20~50℃高い温度で10分間保持し、次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却した後に、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を液晶ポリマー樹脂の結晶融解温度とする。測定機器としては、例えば、セイコーインスツルメンツ株式会社製Exstar6000等を用いることができる。
式(I)で表される繰返し単位を与える単量体としては、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ならびに、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる液晶ポリマー(B)は、キャピラリーレオメーターで測定した溶融粘度が1~1000Pa・sであるものが好ましく、5~300Pa・sであるものがより好ましい。
本発明に用いられる液晶ポリマー(B)として、式(I)~(IV)
[式中、ArおよびArは、それぞれ一種以上の2価の芳香族基を表し、p、q、rおよびsは、各繰返し単位の液晶ポリマー(B)中での組成比(モル%)であり、以下の式を満たすものである:
0.4≦p/q≦2.0
2≦r≦15、および
2≦s≦15]
で表される繰返し単位を含む液晶ポリエステルが特に好適に使用される。
本明細書および特許請求の範囲において、「式(I)~(IV)で表される繰返し単位を含む液晶ポリエステル」とは、液晶ポリエステルがその構成成分として式(I)~(IV)で表される繰返し単位の他に、他の繰返し単位を含有していてもよいことを意味する。
他の繰返し単位としては、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位やチオエステル結合を含むものであってもよい。チオエステル結合を与える単量体としては、メルカプト芳香族カルボン酸、および芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体の使用量は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族アミノオキシ繰返し単位、芳香族ジアミノ繰返し単位および芳香族アミノカルボニル繰返し単位を与える単量体などの合計量を含む全体に対して10モル%以下であるのが好ましい。
本発明の一つの好ましい態様において、上記式(I)~(IV)で表される繰返し単位の組成比は、p+q+r+s=100モル%である。
上記の好適な液晶ポリエステルは式(I)および式(II)で表される繰り返し単位を、両者のモル比率(p/q)が0.3~2.0、好ましくは0.5~1.8、特に好ましくは0.7~1.6となるように含むものである。
一つの態様において、本発明に好ましく用いられる液晶ポリマー(B)は、式(I)および式(II)で表される繰返し単位を、それぞれ、30~50モル%含む液晶ポリエステルが好ましく、33~47モル%含むものが特に好ましい。
本発明で好ましく用いられる液晶ポリエステル(B)は、式(I)および式(II)で表される繰返し単位を上述した割合で含むと、結晶融解温度が280℃以下である液晶ポリエステルを得やすくなるため好ましい。
また、本発明に好ましく用いられる液晶ポリエステルは、式(III)および式(IV)で表される繰返し単位を、それぞれ、好ましくは2~15モル%、より好ましくは5~13モル%含むものであり、式(III)および式(IV)で表される繰り返し単位の含有量は、等モルであるのが好ましい。
式(I)で表される繰返し単位を与える単量体は上述した通りである。
式(II)で表される繰返し単位を与える単量体としては、4-ヒドロキシ安息香酸ならびに、そのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
式(III)および/または式(IV)は、ArおよびArが、互いに独立して、式(1)~(4)
からなる群から選択される芳香族基である繰返し単位の1種または2種以上を含むものが好ましい。
式(III)で表される繰返し単位を与える単量体としては、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエ-テル、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレンなどの芳香族ジオール、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
このなかでも、式(III)で表される繰返し単位としては、式(1)および式(3)で表される芳香族基が、重合時の反応性および得られる液晶ポリエステルの機械物性、耐熱性、結晶融解温度および成形加工性を適度なレベルに調整しやすいことからより好ましい。これら繰返し単位を与える単量体としては、ハイドロキノンおよび4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ならびにこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(IV)で表される繰返し単位を与える単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、ビス(4-カルボキシフェニル)エーテルなどの芳香族ジカルボン酸、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
式(IV)で表される繰返し単位としては、式(1)および式(4)で表される芳香族基が、得られる液晶ポリエステルの機械物性、耐熱性、結晶融解温度および成形加工性を適度なレベルに調整しやすいことからより好ましい。これら繰返し単位を与える単量体としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸ならびにこのエステル形成性誘導体が挙げられる。
本発明に用いられる液晶ポリマー(B)は、前記の一般式(I)~(IV)で表される繰返し単位を与える本発明の液晶ポリマー(B)における主たる単量体の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、該主たる単量体とは他種の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、あるいは芳香族ヒドロキシジカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオール、芳香族メルカプトフェノールなどを他の単量体成分として共重合せしめたものであってもよい。これらの他の単量体成分の割合は、一般式(I)~(IV)で表される繰返し単位を与える単量体成分の合計に対し、10モル%以下であるのが好ましい。
本発明の樹脂組成物中の樹脂成分として用いられる液晶ポリマー(B)の製造方法には特に限定はなく、前記の単量体成分によるエステル結合を形成させる公知のポリエステルの重縮合法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを用いることができる。
溶融アシドリシス法とは、本発明に用いる液晶ポリマー(B)を製造するのに適した方法であり、この方法は、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融液を形成し、反応を継続することにより溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリマー(B)を製造する際に使用する重合性単量体成分は、常温において、ヒドロキシル基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2~5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記単量体成分のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
単量体の低級アシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリマー(B)の製造時にモノマーに無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても反応時、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタン、三酸化アンチモン、アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);ルイス酸(たとえばBF)、ハロゲン化水素(たとえばHCl)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
触媒の使用割合は、通常モノマーに対し10~1000ppm、好ましくは20~200ppmである。
このような重縮合反応によって得られた液晶ポリマー(B)は、溶融状態で重合反応槽より抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工される。
本発明において使用されるエポキシ樹脂(C)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、等のビスフェノール型エポキシ樹脂;オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、アルコキシ基含有ノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;その他、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(通称ザイロック樹脂のエポキシ化物)、レゾルシンのジグリシジルエーテル、ハイドロキノンのジグリシジルエーテル、カテコールのジグリシジルエーテル、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、硫黄含有エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルシソシアヌレート、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール樹脂のエポキシ化物)、アルコキシ基含有ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中では、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。
また、本発明において使用されるエポキシ樹脂(C)は、エポキシ当量が100~5000であるものが好ましく、500~3000であるものがより好ましく、1000~2500であるものがさらに好ましい。
本発明において使用されるエポキシ樹脂(C)は、ポリアミド樹脂組成物中、ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.01~20質量部、好ましくは0.1~18質量部、より好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.3~10質量部、よりさらに好ましくは0.5~5質量部含有される。エポキシ樹脂の含有量がポリアミド樹脂組成物中0.01質量部を下回る場合、あるいは20質量部を超える場合、分解抑制効果、ブリスター抑制効果、強度維持のうち、少なくとも1種の効果が得られない傾向がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、任意の成分として、無機および/または有機充填材を含有してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物が含有してもよい、無機および/または有機充填材の具体例としては、例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイト、クレー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられる。これらは単独で用いてよく、または2種以上を併用してもよい。
これらの中では、ガラス繊維、炭素繊維、タルクおよびマイカが、物性とコストのバランスが優れている点で好ましい。
無機および/または有機充填材を配合する場合、その含有量は、ポリアミド樹脂、液晶ポリマーおよびエポキシ樹脂の合計量100質量部に対して、1~150質量部であることが好ましく、10~100質量部であることがより好ましい。
無機および/または有機充填材の含有量が1質量部未満であると、ポリアミド樹脂組成物について無機および/または有機充填材による機械強度および耐熱性の向上効果が得られにくく、150質量部を超えると流動性が低下する傾向がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、ポリアミド樹脂、液晶ポリマーおよびエポキシ樹脂の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに他の添加剤や樹脂成分が添加されてもよい。
他の添加剤の具体例としては、例えば、滑剤である高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩(ここで高級脂肪酸とは、炭素原子数10~25のものをいう)など、離型剤であるポリシロキサン、フッ素樹脂など、着色剤である染料、顔料、カーボンブラックなど、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、造核剤であるタルク、有機リン酸塩、ソルビトール類など、アンチブロッキング剤、酸化防止剤であるリン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤など、耐候剤、熱安定剤、中和剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは2種以上を併用することができる。
ポリアミド樹脂組成物における他の添加剤の合計量は、ポリアミド樹脂、液晶ポリマーおよびエポキシ樹脂の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.1~3質量部である。
他の添加剤の合計量が0.01質量部未満であると、添加剤の機能を実現しにくく、5質量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物の成形加工時の熱安定性が悪くなる傾向がある。
また、上記他の添加剤のうち、滑剤、離型剤、アンチブロッキング剤などの添加剤を使用する場合は、ポリアミド樹脂組成物を作製する際に添加してもよいし、成形する際にポリアミド樹脂組成物のペレット表面に付着させてもよい。
他の樹脂成分の具体例としては、例えば、熱可塑性樹脂であるポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどや、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂成分は単独でまたは2種以上を併用してもよい。
他の樹脂成分を含有する場合、その含有量は、ポリアミド樹脂、液晶ポリマーおよびエポキシ樹脂の合計量100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記のポリアミド樹脂、液晶ポリマーおよびエポキシ樹脂と、所望により上記の無機充填材および/または有機充填材、他の添加剤や他の樹脂成分などを所定の組成で配合し、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出し機などを用いて溶融混練することによって、本発明のポリアミド樹脂組成物とすることができる。また、ポリアミド樹脂、液晶ポリマーおよびエポキシ樹脂をドライ混合し、成形機内で溶融混練することによっても、本発明のポリアミド樹脂組成物とすることができる。
特に、ポリアミド樹脂(A)とエポキシ樹脂(C)を2軸押出機などによって溶融混練し、得られたポリアミド樹脂組成物と液晶ポリマー(B)を2軸押出機などによって溶融混練する工程でポリアミド樹脂組成物を得る方法によると、分解抑制効果が高くなるため好ましい。すなわち、本発明は、ポリアミド樹脂(A)100質量部とエポキシ樹脂(C)0.01~20質量部を溶融混練し混合物を得る工程、および、得られた混合物にさらに液晶ポリマー(B)0.1~100質量部を加えて溶融混練する工程を含む、ポリアミド樹脂組成物の製造方法にも関する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)は0.1~100g/10分であるのが好ましく、0.3~70g/10分であるのがより好ましい。
ここで、MFRは、ISO 1133に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した値である。
本発明のポリアミド樹脂組成物のMFRが0.1g/10分未満であると、成形加工性が低下する傾向にあり、100g/10分を超えると、曲げ弾性率が低下する傾向にある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、これから構成される成形品についてISO 527-1に準拠した引張強度が、好ましくは56MPa以上、より好ましくは56~170MPa、さらに好ましくは60~160MPaである。
この様にして得られた、本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形機、押出機などを用いる公知の成形方法によって成形ないし加工され、所望の成形品を得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物によれば、高温での成形時における分解が抑制され、かつブリスターの発生も抑制されるため、インストルメントパネル、ドアパネル、ルーフパネル、ルームフロアパネル、ドアトリム、ミドルボード、ドアオーナメント、カバーシートリヤアンダートレイ、トラックカバー、サービスホールカバー、ピラー、スカッフプレート、センターコンソール、カップホルダー、およびコラムカバーなどの自動車部材に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中の結晶融解温度、メルトフローレート、引張強度、ブリスターの発生有無および重量減少率の測定、評価は以下に記載の方法で行った。
〈結晶融解温度〉
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000を用いて、試料を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)を測定した後、Tm1より50℃高い温度で10分間保持する。次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を結晶融解温度(Tm)とする。
〈メルトフローレート(MFR)〉
メルトインデクサ(株式会社東洋精機製作所製G-02)を用いて、温度230℃、荷重2.16kg、ダイ(径2.095mm、長さ8.000mm)、予熱時間300秒の条件で、ISO 1133を参照して測定した。
〈引張強度〉
射出成形機(日精樹脂工業株式会社製UH1000-110)を用いて、シリンダ設定温度を250~270℃、金型温度40℃で射出成形し、厚み4.0mmのタイプA1のダンベル試験片を作製した。オートグラフAG-X plus(株式会社島津製作所製万能試験機)を用いて、標線間75mmの接触式の伸び計を使用し、試験速度5mm/分、チャック間距離115mmの条件で、ISO 527-1に準拠して測定した。
〈ブリスター抑制効果の確認〉
射出成形機(日精樹脂工業株式会社製UH1000-110)を用いて、シリンダ設定温度を250~270℃、金型温度40℃で射出成形し、長さ80.0mm、幅10.0mm、厚み4.0mmの短冊状試験片を作製した。
次いで、短冊試験片を各3本用いて、23℃のメタノール中に72時間浸漬した後、180℃のオーブンで5分間加熱し、冷却後、目視により表面におけるブリスター(膨れ)の発生を観察した。発生したブリスターの数が0~1個の場合を〇、2~4個の場合を△、5個以上の場合を×とした。
〈重量減少度〉
得られたペレットを窒素下で300℃、30分間ホールドさせた時の重量減少度を測定した。
以下、実施例および比較例において下記の略号は以下の化合物を表す。
LCP:液晶ポリマー
POB:4-ヒドロキシ安息香酸
BON6:6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸
HQ:ハイドロキノン
BP:4,4’-ジヒドロキシビフェニル
NDA:2,6-ナフタレンジカルボン酸
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
[合成例1(LCP-1)]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた2Lの反応容器にBON6、POB、HQおよびTPAを、下記に示す組成比で、総量5モルとなるように仕込み、次いで酢酸カリウム0.05g(全モノマーに対し67モルppm)および全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.025倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。重合は、窒素ガス雰囲気下に室温~150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去させつつ210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、335℃まで3時間かけて昇温した後、30分かけて20mmHgにまで減圧を行い、所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕を行い、LCP樹脂のペレットLCPを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたLCPのDSCにより測定された結晶融解温度は221℃であった。
POB :276.23g(40モル部)
BON6:376.34g(40モル部)
HQ :55.05g(10モル部)
TPA :83.06g(10モル部)
[合成例2(LCP-2)]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB、BON6、BP、NDAおよびIPAを下記に示す組成比にて、総量6.5モルとなるように仕込み、さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。窒素ガス雰囲気下に室温から150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去させつつ210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、340℃まで4時間かけ昇温した後、80分かけ10mmHgにまで減圧を行なった。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕機によりLCP-2のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたLCP-2のDSCにより測定された結晶融解温度は183℃であった。
POB :386.0g(43モル部)
BON6:403.6g(33モル部)
BP :145.2g(12モル部)
NDA :126.0g(9モル部)
IPA :32.4g(3モル部)
以下の実施例および比較例で使用したポリアミド樹脂およびエポキシ樹脂を示す。
〈ポリアミド樹脂〉
ポリアミド6(ユニチカ株式会社製 ユニチカナイロン6 A1030BRL)
〈エポキシ樹脂〉
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製 エピクロン7050)
[実施例1]
ポリアミド樹脂100質量部に対して、エポキシ樹脂を3質量部、ドライ混合し、2軸押出機(株式会社日本製鋼所、TEX-30)を用いて、260℃のシリンダ温度にて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。
次いで、得られたペレット状の樹脂組成物80質量部に対して、合成例で得られたLCP-1を20質量部、ドライ混合し、2軸押出機(株式会社日本製鋼所、TEX-30)を用いて、260℃のシリンダ温度にて溶融混練し、ポリアミド樹脂100質量部、エポキシ樹脂3質量部およびLCP26質量部を含むポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。上記方法により、メルトフローレート(MFR)、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
エポキシ樹脂の量を1質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、MFR、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
エポキシ樹脂を添加せずに、実施例1と同様にして、MFR、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表1に示す。

[実施例3]
エポキシ樹脂含有ポリアミド樹脂組成物90質量部に対して、合成例で得られたLCP-1を10質量部とした以外は実施例1と同様にして、MFR、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表2に示す。
[比較例2]
エポキシ樹脂を添加せず、ポリアミド樹脂90質量部とLCP-1を10質量部とした以外は実施例1と同様にして、MFR、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表2に示す。

[実施例4]
エポキシ樹脂含有ポリアミド樹脂組成物70質量部に対して、合成例で得られたLCP-1を30質量部とした以外は実施例1と同様にして、MFR、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表3に示す。
[比較例3]
エポキシ樹脂を添加せず、ポリアミド樹脂70質量部とLCP-1を30質量部とした以外は実施例1と同様にして、MFR、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表3に示す。

[実施例5]
液晶ポリマーをLCP-2に変更した以外は実施例1と同様にして、MFR、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表4に示す。
[比較例4]
エポキシ樹脂を添加せず、LCP-1をLCP-2に変更した以外は実施例1と同様にしてMFR、引張強度、ブリスターの有無および重量減少度を測定または評価した。結果を表4に示す。

[比較例5]
エポキシ樹脂の量を30質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、溶融混練したが、粘度が著しく上昇したため撹拌困難となり、目的とする樹脂組成物を得ることができなかった。
表1~4に示す通り、本発明のポリアミド樹脂組成物は、MFRが適正範囲であり、引張強度を維持しつつ、ブリスターが抑制されていた。また、重量減少度も低いことから、樹脂組成物の分解が抑制されていた。

Claims (10)

  1. ポリアミド樹脂(A)100質量部、液晶ポリマー(B)0.1~100質量部、およびエポキシ樹脂(C)0.01~20質量部を含む、ポリアミド樹脂組成物。
  2. 液晶ポリマー(B)は、式(I)
    で表される繰返し単位を全繰返し単位中25モル%以上含み、かつ、結晶融解温度が280℃以下の液晶ポリエステルである、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 液晶ポリマー(B)は、式(I)~(IV)
    [式中、ArおよびArは、それぞれ一種以上の2価の芳香族基を示し、p、q、rおよびsは、各繰返し単位の液晶ポリマー(B)中での組成比(モル%)であり、以下の条件を満たすものである:
    0.4≦p/q≦2.0
    2≦r≦15、および
    2≦s≦15]
    で表される繰返し単位を含む液晶ポリエステルである、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 式(I)~(IV)で表される繰返し単位の組成比が以下の条件
    [35≦p≦48、
    35≦q≦48、
    2≦r≦15、および
    2≦s≦15]
    を満たす、請求項3に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 式(III)および/または式(IV)は、ArおよびArが、互いに独立して、式(1)~(4)
    からなる群から選択される芳香族基である繰返し単位の1種または2種以上を含む、請求項3に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. ポリアミド樹脂(A)は、ポリアミド6である、請求項1のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. エポキシ樹脂(C)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂である、請求項1のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. ポリアミド樹脂(A)100質量部とエポキシ樹脂(C)0.01~20質量部を溶融混練し混合物を得る工程、および、得られた混合物にさらに液晶ポリマー(B)0.1~100質量部を加えて溶融混練する工程を含む、ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1~7のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物から構成される成形品。
  10. 成形品は、インストルメントパネル、ドアパネル、ルーフパネル、ルームフロアパネル、ドアトリム、ミドルボード、ドアオーナメント、カバーシートリヤアンダートレイ、トラックカバー、サービスホールカバー、ピラー、スカッフプレート、センターコンソール、カップホルダー、およびコラムカバーからなる群から選択される1種を構成する部品である、請求項9に記載の成形品。
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