JP2023157501A - 核種変換装置および核種変換方法 - Google Patents

核種変換装置および核種変換方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023157501000001
【課題】核種変換反応の活性点をより多く確保して、核種変換の効率を高める。
【解決手段】被核種変換物を、重水素を用いて核種変換する核種変換装置は、被核種変換物の存在下で重水素が供給された時に、酸素サイトにおけるデューテリド置換と共に、核種変換物の核種変換が進行する酸水素化物である核種変換触媒と、核種変換触媒と被核種変換物とを、接触された状態で収容する収容部と、収容部に対して重水素を供給する重水素供給部と、収容部を、核種変換触媒において前記デューテリド置換および前記核種変換が進行する温度として予め設定した温度に加熱する加熱部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本開示は、核種変換装置および核種変換方法に関する。
近年、常温から数百℃程度の低温で核種が変換する凝縮系核反応が進行する装置が提案されている。例えば、特許文献1~3、および非特許文献1には、パラジウム(Pd)等の水素吸蔵金属や水素吸蔵合金で構成される層と、酸化カルシウム(CaO)等の仕事関数の低い物質で構成される層と、を交互に成膜した積層体において、一方の表面であるパラジウム等の層の表面に、ストロンチウム(Sr)やセシウム(Cs)等の、核種変換を施す物質を付着させた装置が開示されている。このような装置では、上記積層体の一方の表面側に重水素を供給して、他方の表面側を真空状態にすることにより、積層体の一方の表面側から他方の表面側に向けて重水素を流して、核種変換反応、例えば、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Cs)を、それぞれモリブデン(Mo)、プラセオジム(Pr)に変換する反応を進行させる。
特許第4346838号公報 特許第4347261号公報 特許第4347262号公報
Yasuhiro Iwamura et al., Jpn. J. Appl. Phys., 41 (2002)4642-4650
しかしながら、上記のように、水素吸蔵金属や水素吸蔵合金を用いて成膜した積層体に重水素を流す構成では、核種変換を施す物質が付着された積層体の表面において、反応の活性点をより多く確保して、核種変換反応による生成物を増加させることが困難であった。そのため、核種変換の効率をさらに高めることが可能となる技術が望まれていた。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、被核種変換物を、重水素を用いて核種変換する核種変換装置が提供される。この核種変換装置は、前記被核種変換物の存在下で重水素が供給された時に、酸素サイトにおけるデューテリド置換と共に、前記核種変換物の核種変換が進行する酸水素化物である核種変換触媒と、前記核種変換触媒と前記被核種変換物とを、接触された状態で収容する収容部と、前記収容部に対して重水素を供給する重水素供給部と、前記収容部を、前記核種変換触媒において前記デューテリド置換および前記核種変換が進行する温度として予め設定した温度に加熱する加熱部と、を備える。
この形態の核種変換装置によれば、触媒と被核種変換物とを接触させて、加熱しつつ重水素を供給することにより、被核種変換物の核種変換反応を進行させることができる。このとき、核種変換反応は、デューテリド置換が進行して核種変換反応で用いるデューテリドが供給される核種変換触媒の酸素サイトにおいて、広く行うことができる。そのため、核種変換反応の活性点をより多く確保して、核種変換の効率を高めることができる。
(2)上記形態の核種変換装置において、前記核種変換触媒は、酸素サイトがヒドリド置換され、ヒドリド置換された酸素サイトがさらにデューテリド置換される、ペロブスカイト型酸水素化物であることとしてもよい。このような構成とすれば、核種変換効率を高めることが、より容易になる。
(3)上記形態の核種変換装置において、前記核種変換触媒は、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)のうちの少なくとも一つの水素化物を含むこととしてもよい。このような構成とすれば、核種変換効率を高めることが、より容易になる。
(4)上記形態の核種変換装置において、前記収容部は、粉体状の前記核種変換触媒と、粉体状の前記被核種変換物と、を混合した混合物を収容することとしてもよい。このような構成とすれば、核種変換触媒と被核種変換物との接触面積をより大きく確保して、核種変換反応の活性点をより多く確保することができる。
(5)本開示の他の一形態によれば、被核種変換物を、重水素を用いて核種変換する核種変換方法が提供される。この核種変換方法は、前記被核種変換物の存在下で重水素が供給された時に、酸素サイトにおけるデューテリド置換と共に、前記核種変換物の核種変換が進行する核種変換触媒と、前記被核種変換物と、を接触させ、互いに接触する前記核種変換触媒と前記被核種変換物とに対して重水素を供給しつつ、前記核種変換触媒および前記被核種変換物を、前記核種変換触媒において前記デューテリド置換および前記核種変換が進行する温度として予め設定した温度に加熱する。
この形態の核種変換方法によれば、触媒と被核種変換物とを接触させて、加熱しつつ重水素を供給することにより、被核種変換物の核種変換反応を進行させることができる。このとき、核種変換反応は、デューテリド置換が進行して核種変換反応で用いるデューテリドが供給される核種変換触媒の酸素サイトにおいて、広く行うことができる。そのため、核種変換反応の活性点をより多く確保して、核種変換の効率を高めることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、核種変換方法や、核種変換触媒や、核種変換装置の製造方法等の形態で実現することが可能である。
核種変換装置の概略構成を表す説明図。 置換装置の概略構成を表す説明図。 担持装置の概略構成を表す説明図。
A.核種変換装置の構成:
図1は、本開示の第1実施形態としての核種変換装置10の概略構成を表す説明図である。核種変換装置10は、一端が閉塞されたガラス管12と、両端が開放されたアルミナチューブ14と、核種変換触媒および被核種変換物を収容する収容部22と、重水素供給路16と、排出路18と、加熱部30と、熱電対32と、を備える。ガラス管12およびアルミナチューブ14の軸方向において、ガラス管12の閉塞された一端側(図1の下方側)を「先端側」とも呼び、ガラス管12の開放された他端側(図1の上方側)を「基端側」とも呼ぶ。
図1に示すように、核種変換装置10において、アルミナチューブ14は、ガラス管12の基端側からガラス管12内部に挿入して配置され、アルミナチューブ14の基端側に取り付けられた第1継手15を介して重水素供給路16に接続されている。重水素供給路16は、図示しない重水素供給装置に接続されており、重水素供給装置から供給される重水素が、アルミナチューブ14内に供給可能となっている。上記重水素供給装置は、予め設定した流量の重水素を、連続的に供給することができる。重水素供給路16および重水素供給装置は、「重水素供給部」を構成する。
また、ガラス管12は、ガラス管12の基端側に取り付けられた第2継手17を介して排出路18に接続されている。重水素供給装置からアルミナチューブ14に供給された重水素は、後述するように収容部22内で進行する核種変換反応に供され、残余のガスは、アルミナチューブ14とガラス管12との間の空間を流れて、排出路18へと排出される。図1では、アルミナチューブ14の先端からのガス流れの様子を矢印で示している。
アルミナチューブ14の先端側には、核種変換触媒および被核種変換物を収容する収容部22が配置されている。収容部22は、化学的に安定性の高い貴金属製の容器とすることができ、例えば、白金(Pt)るつぼを用いることができる。本実施形態の収容部22は、粉末状の核種変換触媒と、粉末状の被核種変換物と、を混合した混合物を収容している。
核種変換触媒は、被核種変換物の存在下で重水素が供給された時に、酸素サイトにおけるデューテリド置換と共に、核種変換物の核種変換が進行する酸水素化物である。核種変換触媒としては、例えば、酸素サイトがヒドリド置換され、ヒドリド置換された酸素サイトがさらにデューテリド置換される、ペロブスカイト型酸水素化物を好適に用いることができる。核種変換触媒としては、上記したペロブスカイト型酸水素化物の中でも、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)のうちの少なくとも一つの水素化物を含むことが望ましい。チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)のように、ヒドリド伝導性を有する酸水素化物を用いる場合には、核種変換触媒の内部の酸素サイトにおいてもデューテリドを含有することが可能になるため、反応効率や反応速度の観点から好ましい。
これらのペロブスカイト型酸水素化物である核種変換触媒は、核種変換触媒として用いるのに先だって、ペロブスカイト型結晶構造を有する複合酸化物の酸素サイトの一部をヒドリド置換することにより、用意することができる。また、これらのペロブスカイト型酸水素化物は、核種変換触媒として用いるのに先だって、ペロブスカイト型結晶構造を有する複合酸化物の酸素サイトをヒドリド置換した後に、さらに、ヒドリド置換した酸素サイトをデューテリド置換することが望ましい。核種変換触媒の酸素サイトにおいてデューテリド置換が進行するとは、核種変換触媒に対して気相の重水素ガスを供給したときに、酸素サイトを置換しているヒドリドやデューテリドが、気相由来のデューテリドと交換されることをいう。酸素サイトのヒドリド置換は、例えば、ヒドリド置換のためのヒドリド源として、水素化カルシウム(CaH)、水素化リチウム(LiH)、水素化ナトリウム(NaH)等の、強力な還元力を有する金属水素化物を用意し、上記ペロブスカイト型酸水素化物の原料としてのペロブスカイト型複合酸化物と、上記ヒドリド源の化合物とを混合し、真空中で加熱することにより行うことができる。例えば、ヒドリド源として水素化カルシウム(CaH)を用い、ペロブスカイト型複合酸化物としてチタン酸バリウム(BaTiO)を用いる場合には、これらの粉末を混合した後にペレット状に成形して真空封管し、500~600℃で数日間加熱することにより、濃青色から黒色の生成物として、ヒドリド置換された核種変換触媒を得ることができる(例えば、矢島健ら、ペロブスカイト型酸水素化物、日本結晶学会誌、55,242-247(2013)参照)。
核種変換触媒は、微細な粉末であることが好ましい。核種変換触媒の2次粒子の粒径は、少なくとも100μm以下であることが好ましく、10nm~10μmであることがより好ましい。1次粒子の粒径は、1~1000nmであることが好ましい。
核種変換触媒は、核種変換触媒の活性を高める助触媒をさらに含んでいてもよい。助触媒としては、例えば、水素を吸収あるいは解離してイオン化する活性を有するパラジウム(Pd)や白金(Pt)等の貴金属を用いることができる。助触媒も、上記した核種変換触媒と同様の微細な粉末であることが好ましい。
核種変換装置10において、核種変換触媒と被核種変換物とが接触された状態で保持する際には、例えば、核種変換触媒上に被核種変換物を担持することとすればよい。核種変換触媒上に被核種変換物を担持させる方法としては、例えば、核種変換触媒により形成したカソード電極と、貴金属により形成したアノード電極と、を用いて、被核種変換物を含む塩の重水素溶液を電気分解する方法を挙げることができる。このようにして電気分解を行うことで、カソード電極として用いた核種変換触媒の表面に、被核種変換物を析出させることができる。核種変換触媒により形成したカソード電極上に被核種変換物を析出させる動作と、被核種変換物が析出したカソード電極を粉砕した後に再度カソード電極として成形する動作とを繰り返すことで、より多くの被核種変換物が担持された粉末状の核種変換触媒を得ることができる。
核種変換装置10において核種変換反応を行う際には、例えば電気炉によって構成される加熱部30によって、核種変換触媒においてデューテリド置換および核種変換が進行する温度として予め設定した温度になるように、収容部22が加熱される。図1に示すように、核種変換装置10には、収容部22の温度を測定するための熱電対32が設けられており、熱電対32の検出値に基づいて加熱部30の加熱制御を行うことで、収容部22の温度が上記した設定温度に維持される。収容部22の加熱温度は、用いる核種変換触媒に応じて適宜設定すればよいが、通常は、1000℃以下に設定することが好ましい。
上記のように収容部22を加熱しつつ、アルミナチューブ14を介して収容部22に対して重水素が供給されると、核種変換触媒のデューテリド置換された酸素サイトにおいて、デューテリド置換および核種変換反応が進行する。なお、酸素サイトがヒドリド置換された核種変換触媒を用いる場合には、核種変換反応に先立って、ヒドリド置換された酸素サイトがデューテリド置換される。核種変換反応が進行する際には、上記酸素サイトにおいて、加熱によりデューテリドが脱離して、脱離したデューテリドが核種変換反応により消費されることにより、デューテリド欠損が生じる。そして、重水素から解離したデューテリドが上記欠損に供給されて、上記反応が継続される。上記のように核種変換反応に供された残余のガスは、既述したようにアルミナチューブ14とガラス管12との間の空間を流れて、排出路18へと排出される。
B.核種変換反応:
核種変換反応を行って得られた結果に基づいて推定される核種変換反応の機構を、以下に説明する。ここでは、核種変換触媒として、チタン酸バリウム(BaTiO)の酸素サイトの一部がデューテリド置換された水素化物を用いると共に、被核種変換物としてストロンチウム(Sr)を用いる場合について説明する。核種変換反応は、以下に示す機構1から機構3により進行すると考えられる。Srに含まれる安定同位体で最も多いものが、88Srであるため、88Srの反応を一例として記載する。
機構1:D+BaTiO3-x → BaTiO3-x+2
機構2:2Y+2π中間子
機構3:2Y+4π中間子+88Sr → 96Mo
核種変換反応が進行する際には、まず、機構1において、気相中の重水素分子(D)から解離したDが、BaTiO3-xのヒドリド含有サイトに存在するDと交換し、その時に核種変換触媒からDイオンが放出される。その結果、核種変換触媒の表面において、デューテリド(D)が析出すると考えられる。次に、機構2において、核種変換触媒の表面において、2個のデューテリド(D)が、核種変換反応物である新たな核種Y(質量数4)と、2つのπ中間子と、を生成する。そして、機構3において、上記した核種変換反応物Yとπ中間子とを取り込みながら、被核種変換物(88Sr)が、新たな質量数を持った元素(96Mo)に転換されると考えられる。
上記した機構1~3に基づく説明では、核種変換反応物である新たな核種として、質量数4のYを想定したが、核種変換反応物である新たな核種として、質量数8のY’が生じる可能性があり、この場合には、上記機構1~3に代えて、以下の機構1a~3aが進行すると考えられる。なお、機構1と機構1aとは、同じ反応を表す。
機構1a:D+BaTiO3-x → BaTiO3-x+2
機構2a:4Y’+2π中間子
機構3a:Y’+2π中間子+88Sr → 96Mo
これらの反応が、核種変換触媒におけるデューテリド置換された酸素サイトで連続的に起こり続けるため、高い反応効率で核種変換を進行させることが可能になる。上記した新たな核種Yは、He原子またはHeイオンであると考えられる。Heイオンとしては、確認されている短寿命のHeもしくは機構的に考えられる未確認のHe2-が考えられる。上記した新たな核種Y’は、Li原子やLiイオン、あるいは、Be原子やBeイオンであると考えられる。
上記した機構1~3の反応は、エネルギの観点から、以下の式(1)に基づいて、下記のように説明され得る。なお、式(1)において、uは、原子質量単位と呼ばれ、u=1.6605655×10-27kgである。
2Dの質量(4.0282u)- Y(He)の質量(4.0026u) = 0.0256u … (1)
アインシュタインの特殊相対性理論から、エネルギと質量とは、以下の式(2)のように等価とされる。
Δmc = ΔE … (2)
ただし、式(2)において、mは質量であり、cは光の速さ(299792458m/s)であり、Eはエネルギである。
エネルギ換算を行うと、式(1)の右辺の0.0256uは、23.846MeVと等価となる。既述したように、機構1~3において、新たな核種YはHe原子またはHeイオンと考えられ、厳密には、核種Yが有する電子の数によってYの質量は異なるが、式(1)では、簡単のため、質量が4桁以上小さい電子の質量(0.0005485u)は除外して示している。
π中間子である荷電パイ粒子(π)は、アップクオークと反ダウンクオークからなり、2個のπ中間子の質量(エネルギ)は、概ね12.8~15.8MeVとなる。したがって、例えば機構2で2個のデューテリド()がY(He)に変化するときに、新たに生じるπ中間子の質量(エネルギ)のために必要な質量(エネルギ)は、2個のデューテリド()がHeに変化するときの前後の質量変化において、必要十分に放出されるといえる。そのため、2個のデューテリド()からHeへの質量減少によって、π中間子(または、相当する粒子)が形成されると考えられる。機構1a~3aについて同様に質量(エネルギ)に基づく計算を行う場合にも、4個のデューテリド()がY’(LiやBe)に変化するときに、新たに生じるπ中間子の質量(エネルギ)のために必要な質量(エネルギ)が得られることが理解される。
また、π中間子が、上記とは符号が逆のπ中間子(荷電パイ粒子(π)であり、反アップクオークとダウンクオークからなる)の場合も、同様の質量変化である。また、符号が同じπ中間子(中間パイ粒子(π)であり、アップクオークとダウンクオーク、あるいは、反アップクオークと反ダウンクオークからなる)の場合も同様である。なお、π中間子の静止エネルギは140MeVといわれるが、これは陽子と中性子の間でやり取りをするエネルギを示しているだけであり、生成に必要な質量(エネルギー)は、アップクオークとダウンクオークの質量の和で表される。
上記のような核種変換に係る反応は、温度が高いほど核種変換触媒の活性が高くなるので、触媒温度が高いほど反応が進行しやすい。一方で、触媒温度が高すぎると、BaTiO3-x等の核種変換触媒が不安定になる。そのため、核種変換反応を進行させる際の温度は、2000℃以下が好ましく、1000℃以下がより好ましい。
以上のように構成された本実施形態の核種変換装置および核種変換方法によれば、触媒と被核種変換物とを接触させて、加熱しつつ重水素を供給することにより、被核種変換物の核種変換反応を進行させることができる。このとき、核種変換反応は、デューテリド置換が進行して核種変換反応で用いるデューテリドが供給される核種変換触媒の酸素サイトにおいて、広く行うことができる。そのため、核種変換反応の活性点をより多く確保して、核種変換の効率を高めることができる。特に、本実施形態の核種変換触媒は、粉末形状で被核種変換物と混合して核種変換装置を進行させることが可能である。例えば、核種変換触媒を膜状に形成して一方の面側に被核種変換物を配置して重水素を供給する核種変換装置では、上記一方の面側の表面のみに、核種変換反応が進行する活性点が存在する。これに対して本実施形態の核種変換装置10では、核種変換触媒と被核種変換物との接触面積をより大きく確保して、核種変換反応の活性点をより多く確保することが容易になる。
また、本実施形態によれば、核種変換反応で用いるデューテリドは、核種変換触媒の酸素サイトにおいて、加熱により継続的に進行するデューテリド置換により供給される。すなわち、核種変換触媒に応じた温度に加熱するにより、核種変換触媒において重水素ガスとの間でデューテリド置換が連続的に進行して、核種変換触媒の表面においてデューテリドが連続的に生じ、このようにして核種変換触媒表面に生じたデューテリドが、連続的に核種変換反応に供給される。そのため、例えば核種変換触媒を膜状に形成して、膜の両面間で重水素濃度差を設ける核種変換装置とは異なり、膜の両面で重水素濃度差を設けるための装置が不要であり、より簡素な装置構成とすることができる。さらに、上記のように膜の両面で重水素濃度差を設ける核種変換装置とは異なり、重水素濃度差を設けるための真空ポンプなどで消費するエネルギが不要であり、核種変換装置におけるエネルギ効率を高めることができる。
C.他の実施形態:
上記した実施形態の核種変換装置10では、粉末状の核種変換触媒と、粉末状の被核種変換物と、を混合した混合物を収容部22に収容することとしたが、異なる構成としてもよい。核種変換触媒と被核種変換物とは、両者の接触面積を確保した状態で互いに接触していればよい。例えば、核種変換触媒を板状に形成して、その両面に接触するように被核種変換物を配置することとしてもよい。この場合には、核種変換触媒を板状に形成する際に、例えば波打ち形状にして、核種変換触媒の比表面積をより大きくすることが望ましい。また核種変換触媒を、メッシュ状、多孔体状、あるいはハニカム形状に形成して、その表面に接触するように被核種変換物を配置することとしてもよい。この場合には、核種変換触媒の比表面積がより大きくなるように、メッシュの開口や、多孔体あるいはハニカム形状の細孔径等を微細にすることが望ましい。このように核種変換触媒の比表面積を大きくすることにより、核種変換反応を促進することができる。あるいは、核種変換触媒と被核種変換物とを混合した状態で流動させつつ重水素を供給するなど、種々の態様を採用可能である。
以下、本開示を実施例によりさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例の記載に限定されるものではない。
<核種変換触媒の作製>
[サンプルS1]
サンプルS1の核種変換触媒として、チタン酸バリウム(BaTiO)の水素化物を作製した。核種変換触媒は、市販のチタン酸バリウム(戸田工業株式会社製、高分散グレード)を出発物質として用いて、チタン酸バリウムの酸素サイトのヒドリド置換およびデューテリド置換を行うことにより作製した。まず、大気中で、出発物質としてのチタン酸バリウムを1g秤量した。これ以降の作業はすべて、窒素置換されたグローブボックス中で行った。その後、市販の水素化カルシウム(CaH)片5gを秤量し、上記出発物質と混合して混合物を作製し、パイレックスチューブ(パイレックスは登録商標)を用いて真空封入を行った。真空封入は、一端が封止されたパイレックスチューブ内に上記混合物を配置して、真空ポンプで10-4Pa以下になるまで真空引きした後に、パイレックスチューブの他端をバーナーで溶着させることにより実施した。
次にグローブボックス中に設置した小型電気炉を用いて、上記のように真空封入した混合物を550℃で24時間加熱し、水素化カルシウム由来のヒドリドとチタン酸バリウムとを反応させ、チタン酸バリウムの水素化物(BaTiO3-x)を合成した。チタン酸バリウムの酸素サイトがヒドリド置換されてチタン酸バリウムの水素化物が得られたことは、上記混合物の粉末の色が白色から青色に変化したことで確認した。ヒドリド置換の反応後にチタン酸バリウムの水素化物と共に存在する水素化カルシウム由来のカルシウムの水酸化物は、純水または弱酸による洗浄ろ過によって取り除いた。また、上記した試料の色の変化による確認とは別に、ヒドリド化の反応後の試料をアルゴン(Ar)ガスの流通下で600℃まで加熱して分解させ、下流に流通されたガスに水素が含まれることを四重極質量分析計(Q-mass)を用いて検出することによって、チタン酸バリウムの水素化物の生成を確認した。ここでは、置換されたヒドリドの量は、チタン酸バリウム1mol当たり0.3molと計算された(BaTiO3-xにおいてx=0.3)。
図2は、上記のようにして得られたチタン酸バリウムの水素化物を対象として、ヒドリド置換された酸素サイトをさらにデューテリド置換するための置換装置40の概略構成を表す説明図である。置換装置40は、図1に示した核種変換装置10と同様の構成を有するため、核種変換装置10と共通する部分には同じ参照番号を付し、核種変換装置10とは異なる点について以下に説明する。
置換装置40は、核種変換装置10の収容部22に代えて、白金るつぼ41を備える。白金るつぼ41には、デューテリド置換の対象である上記したチタン酸バリウムの水素化物(BaTiO0.70.3)を収容した。第1継手15および第2継手17としては、ウルトラ・トール継手(Swagelok社製)を用いた。ここでは、第1継手15および第2継手17を加熱部30から大きく離間させることにより、第1継手15および第2継手17が備えるOリングの過熱を抑えている。デューテリド置換に供する重水素としては、同位体濃縮度(D/(D+H))が99.8%以上である重水素(岩谷産業株式会社製)を用いた。
重水素供給路16および第1継手15を介して置換装置40内に重水素ガスを流量1sccmにて導入しつつ、置換装置40内を重水素ガスで1時間置換した。その後、加熱部30を用いて5℃/minの昇温速度で450℃まで昇温し、450℃で24時間加熱した後、10℃/minの降温速度で室温まで降温して、デューテリド置換を行った。試料の酸素サイトがデューテリド置換されたか否かは、試料を通過して排出路18に排出されたガスの分析を四重極質量分析計で行い、重水素分子(D)分子のみならず、重水素化水素(HD)が生成されていることにより確認した。排出路18に排出されたガス中の重水素化水素に含まれる軽水素原子(H)は、チタン酸バリウムの水素化物の酸素サイトにおいて、供給された重水素由来のデューテリドと置換することにより生じたヒドリド(軽水素のアニオンであるプロチド)に由来すると考えられるためである。上記のような重水素との反応により生成された化合物は、重水素化水素(HD)の分子量の変化から、ほぼ全量のヒドリドがデューテリドに置換され、BaTiO0.70.3になっていると推測された。このような処理を数回繰り返して、所望量の核種変換触媒を作製した。得られた核種変換触媒の粒径を、操作電子顕微鏡(SEM)および透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定したところ、1次粒径が数十nm~200nm程度であり、2次粒子が0.1μm~3.0μm程度であった。
[サンプルS2]
サンプルS2の核種変換触媒として、サンプルS1のチタン酸バリウムと同様に、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸アルカリ土類金属であるチタン酸ストロンチウム(SrTiO)の、水素化物を作製した。出発物質として、チタン酸バリウムに代えてチタン酸ストロンチウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、純度99%)を用いたこと以外は、サンプルS1と同様にして作製した。これにより、チタン酸ストロンチウムの酸素サイトをヒドリド化して、SrTiO3-y(y=0.3)を得て、得られた水素化物におけるヒドリド置換された酸素サイトをさらにデューテリド置換して、サンプルS2の核種変換触媒(SrTiO0.70.3)を得た。
[サンプルS3]
サンプルS3の核種変換触媒として、サンプルS1のチタン酸バリウムと同様に、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸アルカリ土類金属であるチタン酸カルシウム(CaTiO)の、水素化物を作製した。出発物質として、チタン酸バリウムに代えてチタン酸カルシウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、純度99%)を用いたこと以外は、サンプルS1と同様にして作製した。これにより、チタン酸カルシウムの酸素サイトをヒドリド化して、CaTiO3-y(y=0.4)を得て、得られた水素化物におけるヒドリド置換された酸素サイトをさらにデューテリド置換して、サンプルS3の核種変換触媒(CaTiO0.60.4)を得た。
<被核種変換物の担持>
図3は、核種変換触媒に被核種変換物を担持させるための担持装置50の概略構成を表す説明図である。図3に示す担持装置50を用いて、核種変換触媒であるサンプルS1~サンプルS3の各々について、被核種変換物であるストロンチウム(Sr)あるいはセシウム(Cs)を担持させた。具体的には、図3に示すように、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))または硝酸セシウム(CsNO)の重水溶液54を用意し、核種変換触媒で形成した電極を用いて、室温で上記重水溶液54を電気分解して、被核種変換物であるストロンチウムやセシウムの微粒子を核種変換触媒上に析出させることにより、被核種変換物の担持を行った。以下では、一例として、核種変換触媒としてサンプルS1であるチタン酸バリウムの水素化物を用い、被核種変換物としてストロンチウムを用いる場合について説明する。
被核種変換物としてストロンチウムを用いる場合には、アノード電極52として白金メッシュ電極を用いた。カソード電極としては、核種変換触媒であるBaTiO0.70.3を2g秤量し、50MPaの条件下で5mm×5mm×20mmの大きさにペレタイズして、棒状に成形したカソード電極51を用いた。重水溶液54としては、重水に水酸化ストロンチウムを溶解して、0.01規定の濃度とした水溶液を用いた。上記したアノード電極52およびカソード電極51を用いて、電源装置56によって1Vの電圧を10秒間、両極に印加することにより、カソード電極51の表面に金属ストロンチウム(Sr)を析出させた。その後、ストロンチウムを析出させたカソード電極51をグローブボックス中でメノウ乳鉢を用いて粉砕し、粉砕して得た粉末を混合した後に再度ペレタイズして棒状に成形し、カソード電極51として用いることにより、上記した電気分解の操作を行った。電気分解を伴う上記した一連の操作を30回繰り返すことで、核種変換触媒に十分な量の被核種変換物(Sr)を担持させた。最後に、ストロンチウムが付着したカソード電極51をメノウ乳鉢で十分に粉砕し、100℃で10時間乾燥させることにより重水を除去し、被核種変換物が担持された核種変換触媒を得た。
核種変換触媒としてサンプルS1を用い、被核種変換物としてセシウム(Cs)を用いる場合にも、同様の方法で、核種変換触媒に被核種変換物(Cs)を担持させた。また、核種変換触媒であるサンプルS2についても、同様の方法で、被核種変換物であるストロンチウムおよびセシウムの各々を担持させた。さらに、核種変換触媒であるサンプルS3についても、同様の方法で、被核種変換物であるストロンチウムおよびセシウムの各々を担持させた。核種変換触媒上に担持された被核種変換物(金属)は、大気中に保持すると容易に酸化されて粒径が大きくなるため、担持された被核種変換物の本来の粒径を確認することは困難である。上記した被核種変換物の担持方法は、金属の担持方法として一般的な方法であり、酸化された粒子の粒径から推察して、被核種変換物は数nm程度の粒径で担持されていると考えられる。
<核種変換の確認>
[サンプルS1]
ストロンチウムを析出させたサンプルS1の核種変換触媒(以下では、サンプルS1-Sと呼ぶ)、および、セシウムを析出させたサンプルS1の核種変換触媒(以下では、サンプルS1-Cと呼ぶ)の各々について、図1に示した核種変換装置10を用いて、核種変換を行った。核種変換装置10が備える収容部22としては白金るつぼを用い、ガラス管12としては石英ガラス管を用いた。サンプルS1-SおよびサンプルS1-Cの各々を1gずつ秤量し、これらの粉末を、各々、収容部22に収容して、核種変換装置10内に配置した。流量1sccmの重水素ガスを、重水素供給路16を介して核種変換装置10に導入しつつ、核種変換装置10内を重水素ガスで1時間置換した後、5℃/minの昇温速度で450℃まで昇温し、450℃で100時間加熱して、核種変換反応を行った。その後、10℃/minの降温速度で室温まで降温し、核種変換反応を終了させた。さらに、サンプルS1-SとサンプルS1-Cの各々について、加熱を行うことなく重水素の流通のみを行うガス流通試験を、比較例として行った。
サンプルS1-S、サンプルS1-C、およびこれらの比較例について、D-SIMS(ダイナミックSIMS:2次イオン質量分析法)を用いて、加熱の前後(比較例ではガス流通試験の前後)における被核種変換物の量の変化と、核種変換により生じた物質の量の変化とを調べた。すなわち、サンプルS1-Sおよびその比較例については、核種変換触媒表面の表面積当たりのストロンチウム原子の個数の変化と、モリブデン(Mo)原子の個数の変化とを調べた。また、サンプルS1-C、およびその比較例については、核種変換触媒表面の表面積当たりのセシウム原子の個数の変化と、プラセオジム(Pr)原子の個数の変化とを調べた。サンプルS1-Sおよびその比較例についての結果を以下の表1に示し、サンプルS1-Cおよびその比較例についての結果を以下の表2に示す。
Figure 2023157501000002
Figure 2023157501000003
表1および表2に示すように、サンプルS1-SおよびサンプルS1-Cの比較例においては、ストロンチウム原子およびセシウム原子の個数変化は確認されなかった。これに対して、450℃での加熱を行ったサンプルS1-Sを分析すると、モリブデン原子の個数は、0atoms/cmから9×1015atoms/cmに増加し、ストロンチウム原子の個数は、17×1015atoms/cmから7×1015atoms/cmに減少していることが確認された。また、450℃での加熱を行ったサンプルS1-Cを分析すると、プラセオジム原子の個数は、0atoms/cmから7×1015atoms/cmに増加し、セシウム原子の個数は、14×1015atoms/cmから6×1015atoms/cmに減少していることが確認された。以上より、サンプルS1の核種変換触媒を重水素ガス中で加熱処理することにより、被核種変換物であるストロンチウムをモリブデンに核種変換する反応や、被核種変換物であるセシウムをプラセオジムに核種変換する反応が進行することが確認された。
[サンプルS2]
ストロンチウムを析出させたサンプルS2の核種変換触媒(以下では、サンプルS2-Sと呼ぶ)、および、セシウムを析出させたサンプルS2の核種変換触媒(以下では、サンプルS2-Cと呼ぶ)の各々について、図1に示した核種変換装置10を用いて、上記したサンプルS1と同様にして、核種変換反応を行った。さらに、サンプルS2-SとサンプルS2-Cの各々について、加熱を行うことなく重水素の流通のみを行うガス流通試験を、比較例として行った。
サンプルS2-S、サンプルS2-C、およびこれらの比較例について、D-SIMS(ダイナミックSIMS:2次イオン質量分析法)を用いて、加熱の前後(比較例ではガス流通試験の前後)における被核種変換物の量の変化と、核種変換により生じた物質の量の変化とを調べた。すなわち、サンプルS2-Sおよびその比較例については、核種変換触媒表面の表面積当たりのストロンチウム原子の個数の変化と、モリブデン(Mo)原子の個数の変化とを調べた。また、サンプルS2-C、およびその比較例については、核種変換触媒表面の表面積当たりのセシウム原子の個数の変化と、プラセオジム(Pr)原子の個数の変化とを調べた。サンプルS2-Sおよびその比較例についての結果を以下の表3に示し、サンプルS2-Cおよびその比較例についての結果を以下の表4に示す。
Figure 2023157501000004
Figure 2023157501000005
表3および表4に示すように、サンプルS2-SおよびサンプルS2-Cの比較例においては、ストロンチウム原子およびセシウム原子の個数変化は確認されなかった。これに対して、450℃での加熱を行ったサンプルS2-Sを分析すると、モリブデン原子の個数は、0atoms/cmから6×1015atoms/cmに増加し、ストロンチウム原子の個数は、17×1015atoms/cmから11×1015atoms/cmに減少していることが確認された。また、450℃での加熱を行ったサンプルS2-Cを分析すると、プラセオジム原子の個数は、0atoms/cmから5×1015atoms/cmに増加し、セシウム原子の個数は、14×1015atoms/cmから9×1015atoms/cmに減少していることが確認された。以上より、サンプルS2の核種変換触媒を重水素ガス中で加熱処理することにより、被核種変換物であるストロンチウムをモリブデンに核種変換する反応や、被核種変換物であるセシウムをプラセオジムに核種変換する反応が進行することが確認された。
[サンプルS3]
ストロンチウムを析出させたサンプルS3の核種変換触媒(以下では、サンプルS3-Sと呼ぶ)、および、セシウムを析出させたサンプルS3の核種変換触媒(以下では、サンプルS3-Cと呼ぶ)の各々について、図1に示した核種変換装置10を用いて、上記したサンプルS1と同様にして、核種変換反応を行った。さらに、サンプルS3-SとサンプルS3-Cの各々について、加熱を行うことなく重水素の流通のみを行うガス流通試験を、比較例として行った。
サンプルS3-S、サンプルS3-C、およびこれらの比較例について、D-SIMS(ダイナミックSIMS:2次イオン質量分析法)を用いて、加熱の前後(比較例ではガス流通試験の前後)における被核種変換物の量の変化と、核種変換により生じた物質の量の変化とを調べた。すなわち、サンプルS3-Sおよびその比較例については、核種変換触媒表面の表面積当たりのストロンチウム原子の個数の変化と、モリブデン(Mo)原子の個数の変化とを調べた。また、サンプルS3-C、およびその比較例については、核種変換触媒表面の表面積当たりのセシウム原子の個数の変化と、プラセオジム(Pr)原子の個数の変化とを調べた。サンプルS3-Sおよびその比較例についての結果を以下の表5に示し、サンプルS3-Cおよびその比較例についての結果を以下の表6に示す。
Figure 2023157501000006
Figure 2023157501000007
表5および表6に示すように、サンプルS3-SおよびサンプルS3-Cの比較例においては、ストロンチウム原子およびセシウム原子の個数変化は確認されなかった。これに対して、450℃での加熱を行ったサンプルS3-Sを分析すると、モリブデン原子の個数は、0atoms/cmから10×1015atoms/cmに増加し、ストロンチウム原子の個数は、17×1015atoms/cmから6×1015atoms/cmに減少していることが確認された。また、450℃での加熱を行ったサンプルS3-Cを分析すると、プラセオジム原子の個数は、0atoms/cmから8×1015atoms/cmに増加し、セシウム原子の個数は、14×1015atoms/cmから5×1015atoms/cmに減少していることが確認された。以上より、サンプルS3の核種変換触媒を重水素ガス中で加熱処理することにより、被核種変換物であるストロンチウムをモリブデンに核種変換する反応や、被核種変換物であるセシウムをプラセオジムに核種変換する反応が進行することが確認された。
本開示は、上述の実施形態等に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…核種変換装置
12…ガラス管
14…アルミナチューブ
15…第1継手
16…重水素供給路
17…第2継手
18…排出路
22…収容部
30…加熱部
32…熱電対
40…置換装置
50…担持装置
51…カソード電極
52…アノード電極
54…重水溶液
56…電源装置

Claims (5)

  1. 被核種変換物を、重水素を用いて核種変換する核種変換装置であって、
    前記被核種変換物の存在下で重水素が供給された時に、酸素サイトにおけるデューテリド置換と共に、前記核種変換物の核種変換が進行する酸水素化物である核種変換触媒と、
    前記核種変換触媒と前記被核種変換物とを、接触された状態で収容する収容部と、
    前記収容部に対して重水素を供給する重水素供給部と、
    前記収容部を、前記核種変換触媒において前記デューテリド置換および前記核種変換が進行する温度として予め設定した温度に加熱する加熱部と、
    を備えることを特徴とする
    核種変換装置。
  2. 請求項1に記載の核種変換装置であって、
    前記核種変換触媒は、酸素サイトがヒドリド置換され、ヒドリド置換された酸素サイトがさらにデューテリド置換される、ペロブスカイト型酸水素化物であることを特徴とする
    核種変換装置。
  3. 請求項2に記載の核種変換装置であって、
    前記核種変換触媒は、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)のうちの少なくとも一つの水素化物を含むことを特徴とする
    核種変換装置。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の核種変換装置であって、
    前記収容部は、粉体状の前記核種変換触媒と、粉体状の前記被核種変換物と、を混合した混合物を収容することを特徴とする
    核種変換装置。
  5. 被核種変換物を、重水素を用いて核種変換する核種変換方法であって、
    前記被核種変換物の存在下で重水素が供給された時に、酸素サイトにおけるデューテリド置換と共に、前記核種変換物の核種変換が進行する核種変換触媒と、前記被核種変換物と、を接触させ、
    互いに接触する前記核種変換触媒と前記被核種変換物とに対して重水素を供給しつつ、前記核種変換触媒および前記被核種変換物を、前記核種変換触媒において前記デューテリド置換および前記核種変換が進行する温度として予め設定した温度に加熱することを特徴とする
    核種変換方法。
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