JP2023138454A - ポリウレタン樹脂成型体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ポリウレタン樹脂成型体に求められる性能である、強度、耐薬品性及び低水膨潤率を有し、且つ、大腸菌や黄色ブドウ球菌等の微生物等を表面から除去しやすくし、微生物等が残存しにくくする性質(細菌低付着性)を有するポリウレタン樹脂の成型体を提供することにある。【解決手段】1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(A)と、1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)と、ポリカーボネートジオール(C)を反応させて得られ、ポリカーボネートジオール(C)が、オキシアルキレングリコールに由来する構造単位を有する、ポリウレタン樹脂成型体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタン樹脂成型体に関する。
ポリウレタン樹脂は弾性及び耐久性に優れることから種々の成型体として用いられており、今後は、水等に含浸した状態、または、水拭き等で表面が一時的に水で含浸された状態で使用する、歯科材料、整形材料等の医療機器や、パッキン、シーリング、繊維等への用途展開が期待されている。
これらの用途に用いるポリウレタン樹脂には、強度、耐薬品性及び低水膨潤率が強く求められている。また、昨今の消費者要求によって、表面の細菌やウイルスが簡易に除去できるような性能が望まれている。
ポリカーボネートジオール及び有機ポリイソシアネートを用いたポリウレタン樹脂として、特許文献1では、合成皮革用のポリウレタン樹脂が提案されている。
また、特許文献2では、アクリル樹脂の表面に微細な凹凸をつけることで、菌体の低付着を実現する方法が提案されている。
特開2021-152239号公報 特開2020-028813号公報
特許文献1で提案されているポリウレタン樹脂は、合成皮革用途には適しているが、水等に含浸した状態、または、水拭き等で表面が一時的に水で含浸された状態で使用する成型体として使用できる記載はない。
特許文献2で提案されている方法は、剛直な樹脂としての利用であり、ポリウレタン樹脂のような柔軟性が必要とされる成型体には使用できないものであった。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリウレタン樹脂を構成する原料の1つとして、特定の構造を有するジオールを用いることで、ポリウレタン樹脂成型体として必要な強度、耐薬品性及び低水膨潤率を有し、且つ、得られたポリウレタン樹脂成型体が大腸菌や黄色ブドウ球菌等の微生物等を表面から除去しやすくし、微生物等が残存しにくくする性質(細菌低付着性)を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[1] 1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(A)と、1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)と、ポリカーボネートジオール(C)を反応させて得られ、
該ポリカーボネートジオール(C)が、オキシアルキレングリコールに由来する構造単位を有する、ポリウレタン樹脂成型体。
[2] 前記ポリカーボネートジオール(C)が有するオキシアルキレングリコールに由来する構造単位が、ジエチレングリコールに由来する構造単位及びトリエチレングリコールに由来する構造単位、または、トリエチレングリコールに由来する構造単位を含む、[1]に記載のポリウレタン樹脂成型体。
[3] 前記ポリカーボネートジオール(C)が有するオキシアルキレングリコールに由来する構造単位が、ジエチレングリコールに由来する構造単位及びトリエチレングリコールに由来する構造単位、または、トリエチレングリコールに由来する構造単位を含み、
該ジエチレングリコールに由来する構造単位と、該トリエチレングリコールに由来する構造単位のモル比(ジエチレングリコール由来構造単位/トリエチレングリコール由来構造単位)が0/100~50/50である、[1]又は[2]に記載のポリウレタン樹脂成型体。
[4] 前記ポリカーボネートジオール(C)の数平均分子量が、250~5,000である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂成型体。
[5] 前記イソシアネート化合物(A)が、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートから選ばれる1種以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂成型体。
[6] 前記1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)が、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンから選ばれる1種以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂成型体。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂成型体からなる、医療機器。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂成型体からなる、パッキン。
[9] [1]~[6]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂成型体からなる、シーリング。
[10] [1]~[6]のいずれかに記載のポリウレタン樹脂成型体からなる、繊維。
本発明のポリウレタン樹脂成型体は、ポリウレタン樹脂を構成する原料の1つとして特定のジオールを用いたものであり、強度及び耐薬品性に優れ、低い水膨潤率を有し、大腸菌や黄色ブドウ球菌をはじめとした微生物等を表面から除去しやすくし、微生物等が残存しにくくする性質(細菌低付着性)を有する。
本発明のポリウレタン樹脂成型体は、強度及び耐薬品性に優れ、細菌低付着性を有することから、水等に含浸した状態で使用する成型体、または、水拭き等で表面が一時的に水で含浸された状態で使用する成型体として好適である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
また、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後に記載される数値あるいは物理値を含む意味で用いることとする。また、上限、下限として記載した数値あるいは物理値は、その値を含む意味で用いることとする。
本発明のポリウレタン樹脂成型体は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(A)と、1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)と、ポリカーボネートジオール(C)を反応させて得られ、該ポリカーボネートジオール(C)がオキシアルキレングリコールに由来する構造単位を有するポリウレタン樹脂(以下「本発明のポリウレタン樹脂」と称す場合がある。)の成型体である。
[1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(A)]
本発明の1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(A)は、イソシアネート基を2個以上有するものであればよく、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種公知のイソシアネート化合物が挙げられる。
以下、「1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(A)」を、単に「イソシアネート化合物(A)」と記載する場合がある。
イソシアネート化合物(A)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート)、o-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1-メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも得られるポリウレタン樹脂の物性のバランスが好ましい点、耐候性に優れる点から、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートから選ばれる1種以上であることが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートがより好ましい。
[1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)]
本発明の1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)は、イソシアネート基と反応する活性水素基を2個以上有する低分子量化合物であり、各種のポリオール又はポリアミンが挙げられる。
以下、「1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)」を、単に「化合物(B)」と記載する場合がある。
化合物(B)がポリオールである場合、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の直鎖ジオール類;プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ヘプタンジオール、1,4-ジメチロールヘキサン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ダイマージオール等の分岐鎖を有するジオール類;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール等のエーテル基を有するジオール類;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ジヒドロキシエチルシクロヘキサン等の脂環構造を有するジオール類;キシリレングリコール、1,4-ジヒドロキシエチルベンゼン、4,4’-メチレンビス(ヒドロキシエチルベンゼン)等の芳香族基を有するジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類が挙げられる。
化合物(B)がポリアミンである場合、例えば、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン等のヒドロキシアミン類;エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、メチレンビス(o-クロロアニリン)、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’-ジアミノピペラジン等のポリアミン類が挙げられる。
これらポリオールの中でも、得られるポリウレタン樹脂のソフトセグメントとハードセグメントの相分離性に優れることによる柔軟性に優れる点、工業的に安価に多量に入手が可能な点から、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが好ましい。
また、これらポリアミンの中でも、取り扱いが容易であり、反応の制御容易性の観点から、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンが好ましい。
即ち、化合物(B)は、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンから選ばれる1種以上であることが好ましい。
化合物(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[ポリカーボネートジオール(C)]
本発明のポリカーボネートジオール(C)は、分子の両末端に水酸基を有し、主鎖中にカーボネート結合を有する。
ポリカーボネートジオール(C)の数平均分子量は好ましくは250~5,000であり、500~4,000がより好ましく、900~3,500が更に好ましい。
ポリカーボネートジオール(C)の数平均分子量が上記下限以上であれば、得られるポリウレタン樹脂の強度や耐薬品性が良好となり、上記上限以下であれば、得られるポリウレタン樹脂の柔軟性が良好となる。
ここでポリカーボネートジオール(C)の数平均分子量は、後掲の実施例の項に記載された方法で求められる。
本発明のポリカーボネートジオール(C)は、オキシアルキレングリコールに由来する構造単位を有する。
該オキシアルキレングリコールに由来する構造単位は、具体的には、下記式(A1)で表されるオキシアルキレングリコールに由来する構造単位である。
Figure 2023138454000001
(上記式(A1)中、mは2~4の整数を表し、RA1は炭素数2~5の分岐を含んでいてもよい炭素鎖を表す。式(A1)に含まれるm個のRA1は同一であってもよく、異なっていてもよい。)
オキシアルキレングリコールに由来する構造単位は、ジエチレングリコールに由来する構造単位及びトリエチレングリコールに由来する構造単位、または、トリエチレングリコールに由来する構造単位を含むことが好ましい。
オキシアルキレングリコールに由来する構造単位が、ジエチレングリコールに由来する構造単位及びトリエチレングリコールに由来する構造単位、または、トリエチレングリコールに由来する構造単位を含めば、ポリカーボネートジオール(C)の構造単位の規則性を乱すことで水素結合による凝集を防ぐことができ、得られるポリウレタン樹脂の柔軟性が良好となる。
ジエチレングリコールに由来する構造単位とトリエチレングリコールに由来する構造単位の比率は、モル比(ジエチレングリコール由来構造単位/トリエチレングリコール由来構造単位)が好ましくは0/100~50/50であり、0/100~40/60がより好ましく、0/100~30/70が更に好ましい。
オキシアルキレングリコールに由来する構造単位中の、ジエチレングリコールに由来する構造単位及びトリエチレングリコールに由来する構造単位の合計の含有率は、柔軟性及び耐薬品性の観点から、好ましくは70質量%以上であり、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
オキシアルキレングリコールは、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール以外に、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール等を用いることができる。
ポリカーボネートジオール(C)の製造原料には多価アルコールが含まれていてもよい。
多価アルコールとしては、例えば、グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,4-ヘキサントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、ビス(トリメチロールプロパン)、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖誘導体が挙げられる。
多価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネートジオール(C)の製造に使用可能なカーボネート化合物としては、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、アルキレンカーボネートが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、反応性の観点からジアリールカーボネートが好ましい。
カーボネート化合物の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートが挙げられ、ジフェニルカーボネートが好ましい。
ポリカーボネートジオール(C)は、下記式(A2)で表される繰り返し単位を、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含有する。
Figure 2023138454000002
(式(A2)中、m、RA1は式(A1)と同義である。)
[ポリウレタン樹脂の組成]
本発明のポリウレタン樹脂の製造に用いるポリカーボネートジオール(C)と、化合物(B)との活性水素基数の総計を1当量とした場合、イソシアネート化合物(A)の使用量は、0.7~3.0当量が好ましく、0.8~2.0当量がより好ましく、0.9~1.5当量が更に好ましい。
イソシアネート化合物(A)の使用量が上記下限以上であれば、得られるポリウレタン樹脂の分子量が十分に大きくなり、ポリウレタン樹脂の強度が良好となる。上記上限以下であれば、得られるポリウレタン樹脂の溶解性や、柔軟性が良好となる。
本発明のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、ポリウレタン樹脂の機械的特性、耐久性の観点から50,000以上であることが好ましく、70,000以上であることがより好ましく、100,000以上であることが更に好ましい。一方、生産性、取り扱い性の観点から、本発明のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、500,000以下であることが好ましく、400,000以下であることがより好ましく、300,000以下であることが更に好ましい。
ここで、本発明のポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、後掲の実施例の項に記載された方法で求められる。
[ポリウレタン樹脂の製造方法]
本発明のポリウレタン樹脂の製造方法としては、ポリウレタン樹脂の公知の製造方法が適用可能である。
その具体例としては、イソシアネート化合物(A)、化合物(B)、ポリカーボネートジオール(C)を一括に混合して反応させる一段法や、イソシアネート化合物(A)、ポリカーボネートジオール(C)を反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、そのプレポリマーと化合物(B)を反応させる二段法がある。
本発明のポリウレタン樹脂の製造を溶液法で実施する場合は、溶剤としてN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、MEK、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を用いることができる。
ポリウレタン樹脂を製造する際には、必要に応じて鎖停止剤、触媒、添加剤等、公知のものを用いてもよい。
[鎖停止剤]
本発明のポリウレタン樹脂を製造する際、ポリウレタン樹脂の分子量を制御する目的で、必要に応じて、1個の活性水素基、又は、1個のアミノ基とアミノ基以外の活性水素基を持つ鎖停止剤を用いてもよい。
鎖停止剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール類;ジエチルアミン、ジブチルアミン、n-ブチルアミン等の脂肪族モノアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-プロパノールアミン、モルホリン等のアルカノールアミン類が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[触媒]
本発明のポリウレタン樹脂を製造する際、ポリウレタン形成反応において、トリエチルアミン、N-エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒、又は、トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジオクチルチンジネオデカネート等のスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物等の有機金属塩に代表される公知のウレタン重合触媒を用いてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[添加剤]
本発明のポリウレタン樹脂には、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、難燃剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、本発明のポリウレタン樹脂の特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
熱安定剤としては、例えば、燐酸、亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルぺンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等のリン化合物;フェノール系誘導体、特にヒンダードフェノール化合物;チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオン酸エステル系等のイオウを含む化合物;スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等のスズ系化合物が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、「TINUVIN328」、「TINUVIN234」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。
着色剤としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料等の染料;カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカ等の無機顔料;カップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系等の有機顔料が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、燐及びハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合物、ポリ燐酸アンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の添加及び反応型難燃剤が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、ガラス短繊維、カーボンファイバー、アルミナ、タルク、グラファイト、メラミン、白土が挙げられる。
これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの添加剤は、ポリウレタン樹脂の製造時の任意の段階で添加することができ、製造後に添加してもよい。
これらの添加剤の添加量は、ポリウレタン樹脂に対する質量比として、下限が好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、上限が好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
添加剤の添加量が少な過ぎるとその添加効果を十分に得ることができず、多過ぎるとポリウレタン樹脂中で析出したり、濁りを発生したりする場合がある。
[成型方法]
本発明のポリウレタン樹脂から成型体を得るには、公知の方法を用いればよい。
具体的には、本発明のポリウレタン樹脂を押出成型機、射出成型機、又は、溶融プレス成型機によって成型すればよい。成型温度は、樹脂が溶融する温度以上であればよく、180~250℃が好ましい。
[溶媒]
本発明の成型体を、溶液キャスティングによって得る場合は、非プロトン性極性溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒から選ばれる1種以上の溶媒を用いればよい。
非プロトン性極性溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドンが挙げられる。
これらの中では、ポリウレタン樹脂の溶解性の観点から、N,N-ジメチルホルムアミドが好ましい。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、MEK、2-ペンタノン、3-ペンタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソホロンが挙げられる。
これらの中では、ポリウレタン樹脂の溶解性と蒸発速度の点から、MEK、シクロヘキサノンが好ましい。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルが挙げられる。
これらの中では、ポリウレタン樹脂の溶解性と蒸発速度の点から、酢酸エチル、酢酸n-ブチルが好ましい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、2-エチルヘキサノールが挙げられる。
これらの中では、ポリウレタン樹脂の溶解性の点から、イソプロピルアルコールが好ましい。
[細菌低付着性]
実施例に記載の細菌低付着性の評価方法において、大腸菌の付着菌体量は好ましくは1.00×10cfu/mL未満であり、6.00×10cfu/mL未満がより好ましい。
黄色ブドウ球菌の付着菌体量は好ましくは5.00×10cfu/mL未満であり、1.90×10cfu/mL未満がより好ましい。
それぞれの菌体付着量が上記範囲であれば、本発明のポリウレタン樹脂を成型体としたときに十分な細菌低付着性を得ることができる。
[用途]
本発明のポリウレタン樹脂成型体は、水、唾液、生体体液、血液等の水が主成分となる液体に含浸した状態で使用する成型体、または、水拭き等で表面が一時的に水で含浸された状態で使用する成型体として、好適に用いられる。
これら成型体の用途としては、医療機器、他の一般用途が挙げられる。
医療機器としては、歯科材料、整形材料、その他が挙げられる。
他の一般用途としては、パッキン、シーリング、繊維等が挙げられる。
医療機器の内、歯科材料としては、入れ歯安定材等が挙げられる。
また、整形材料としては、人工骨、インプラント等が挙げられる。インプラントとしては、膝関節、股関節等の関節、椎間板、人工心臓等が挙げられる。
医療機器の内、その他としては、ミキサー、バイオリアクター、ジャーファーメンター等の細胞治療用機器;再生医療用製品のバッグ;抗体医薬品用シャーレ、抗体医薬品用セル、抗体医薬品用マイクロプレート、抗体医薬品用プレート、抗体医薬品用バッグ、抗体医薬品用容器、抗体医薬品用シリンジ、抗体医薬品用フラスコ等の抗体医薬品関連器具;人工弁、血液フィルター、血漿分離用装置、人工臓器(人工肺、人工腎臓等)、輸血用具、癒着防止膜、創傷被覆材、メス、ピンセット、コンタクトレンズ、ステント、注射筒、注射針、点滴針、点滴バッグ、血液バッグ(全血、血漿、血小板、赤血球)、血液製剤用バイアル、血液製剤用バッグ、ガーゼ、ピペットチップ、シャーレ、セル、マイクロプレート、保存バッグ、プレート、試薬保管容器等が挙げられる。
他の一般用途として挙げたパッキン、シーリング、繊維等は、水等に含浸した状態、または、水拭き等で表面が一時的に水で含浸された状態で使用するのに好適である。
上記の繊維は、これを単独で用いて布としてもよく、他の繊維と共に用いて布としてもよい。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
[成型体の作成]
(1)フィルムの作成
ポリウレタン樹脂の溶液を9.5milのアプリケーターでフッ素樹脂シート(フッ素テープニトフロン900、厚さ0.1mm、日東電工株式会社製)上に塗布し、50℃で1時間、続いて100℃で0.5時間乾燥させた。さらに100℃の真空状態で0.5時間、80℃で15時間乾燥させた後、23℃、55%RHの恒温恒湿下で12時間以上静置し、厚さ100μmのポリウレタン樹脂フィルムを得た。
ここで、ポリウレタン樹脂の溶液は、実施例で得られたポリウレタン樹脂のDMF溶液を、そのまま用いた。
(2)シートの作成
溶融成型用の金型(150mm×150mm×2mm)に、PET製離型フィルム、ポリウレタン樹脂を設置し、さらにPET製離型フィルム、金型の順に載せた。ここで、ポリウレタン樹脂は予め100℃で2時間減圧乾燥させ、水分を除去したものを用いた。
これらを200℃に予熱した加熱プレス機(ミニテストプレス、株式会社東洋精機製作所製)のステージ上に設置した後、加熱プレス機のステージを接触させ、圧力0.5MPaで2分間予備圧縮した。その後、加熱プレス機の圧力設定を徐々に上げ、13MPaで2分間、本圧縮を実施した。
その後、加熱プレス機の圧力を解放して金型を取出し、予め冷却しておいた冷却用プレス機(ミニテストプレス、株式会社東洋精機製作所製)に設置し、10MPaで2分間冷却加圧をし、厚さ2mmのポリウレタン樹脂シートを得た。
[評価方法]
(1)分子量
ポリウレタン樹脂をジメチルアセトアミドに溶解し、濃度が0.14質量%になるようにジメチルアセトアミド溶液とした。GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC-8220」(カラム:TskgelGMH-XL・2本)〕を用いて、該ジメチルアセトアミド溶液を注入し、標準ポリスチレン換算で、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量を測定した。
(2)水酸基価・数平均分子量
JIS K1557-1に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にて、ポリカーボネートジオール、ポリアルキレンエーテルグリコールの水酸基価を測定した。
得られた水酸基価から、下記式により数平均分子量を求めた。
数平均分子量=2×56.1/(水酸基価×10-3
(3-1)引張強さ 100μm
上記の方法で作成したポリウレタン樹脂フィルムから3cm×3cmの試験片を切り出し、この試験片について、JIS K6301(2010)に準じ、万能卓上試験機(株式会社島津製作所製、製品名「万能卓上試験機 AGX-1kNX」)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度60%で引張試験を実施し、試験片が破断した時点での応力:引張強さを測定した。
強度は引張強さから以下の評価とした。
×:20.0MPa未満
〇:20.0MPa以上、40.0MPa未満
◎:40.0MPa以上
(3-2)引張強さ 2mm
上記の方法で作成したポリウレタン樹脂シートを、レバー式試料裁断機(SDL-200、株式会社ダンベル製)、及び、スーパーダンベル(SDK-300、株式会社ダンベル製)を用いてダンベル状3号型に打ち抜いた。
この試験片について、JIS K6301(2010)に準じ、万能卓上試験機(株式会社島津製作所製、製品名「万能卓上試験機 AGS-10kNX」)、及び、伸び計(DSES-1000、株式会社島津製作所製)を用いて、標線間距離20mm、引張速度200mm/分にて、温度23℃、相対湿度60%で引張試験を実施し、試験片が破断した時点での応力:引張強さを測定した。
強度は引張強さから以下の評価とした。
×:20.0MPa未満
〇:20.0MPa以上、40.0MPa未満
◎:40.0MPa以上
(4)硬さ 2mm
上記の方法で作成したポリウレタン樹脂シートから3cm×3cmの試験片を切り出し、これを3枚重ねたものを試験片とした。
アスカーゴム硬度計ISO-A型(高分子計器株式会社製)を用いて圧子接触から15秒後の硬度の値を測定し、中央値から求めた。
硬さは以下の評価とした。
×:A90以上
○:A80以上、A90未満
◎:A80未満
(5)細菌低付着性
ポリウレタン樹脂の細菌低付着性能は、下記の方法によって測定した。
予め、黄色ブドウ球菌S209株(S.aureus 209P),大腸菌K12株(E.coli K12)を37℃で一晩培養し、OD600=0.5~0.7となるようにリン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)を用いて希釈培養液を調製した。
上記の方法で作成したポリウレタン樹脂フィルムから3cm×3cmの試験片を切り出し、TPP製細胞培養フラスコ(コロナ処理済み)の内側に貼り付けた後、希釈培養液100ml添加し、37℃で1時間静置させて各種菌を付着させた後、希釈培養液を吸引除去後、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)100mlにてポリウレタン樹脂フィルムを3回洗浄した。
ポリウレタン樹脂フィルム表面の液滴を十分に除去した後、アデノシン三リン酸;ATP測定キット(Kikkoman ルシパックA3 Surface)の綿棒をイオン交換水にて湿らせてからフィルム表面を拭い、発光量(Relative Light Unit;RLU)により付着菌体量を比較した。
細菌低付着性は下記の評価とした。
大腸菌
×:1.00×10cfu/mL以上
〇:6.00×10cfu/mL以上、1.00×10cfu/mL未満
◎:6.00×10cfu/mL未満
黄色ブドウ球菌
×:5.00×10cfu/mL以上
〇:1.90×10cfu/mL以上、5.00×10cfu/mL未満
◎:1.90×10cfu/mL未満
(6)耐オレイン酸性
上記の方法で作成したポリウレタン樹脂フィルムから3cm×3cmの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶媒としてオレイン酸50mlを入れた容量250mlのガラス瓶に投入して、80℃の窒素雰囲気下の恒温槽にて16時間静置した。
試験後、試験片を取り出して、表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で重量測定を行ない、試験前からの重量変化率(増加率)を算出した。
耐オレイン酸性は下記の評価とした。
×:重量変化率 10.0%以上
〇:重量変化率 5.0%以上、10.0%未満
◎:重量変化率 5.0%未満
(7)耐エタノール性
上記の方法で作成したポリウレタン樹脂フィルムから3cm×3cmの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、試験溶媒としてエタノール50mlを入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して約23℃の室温にて1時間浸漬した。
試験後、試験片を取り出して、表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で重量測定を行ない、試験前からの重量変化率(増加率)を算出した。
耐エタノール性は下記の評価とした。
×:重量変化率 20.0%以上
〇:重量変化率 10.0%以上、20.0%未満
◎:重量変化率 10.0%未満
(8)水膨潤率
上記の方法で作成したポリウレタン樹脂フィルムから3cm×3cmの試験片を切り出した。精密天秤で試験片の重量を測定した後、イオン交換水50mLを入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して、約23℃の室温にて48時間浸漬した。
試験後、試験片を取り出して、表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で重量測定を行ない、試験前からの重量変化率を算出した。
水膨潤率性は下記の評価とした。
×:重量変化率 20.0%以上
〇:重量変化率 5.0%以上、20.0%未満
◎:重量変化率 5.0%未満
[原材料等]
T6001:分子量1,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(水酸基価112.1mgKOH/g)[東ソー(株)製]
PTMG1000:分子量1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(水酸基価112.1mgKOH/g)[三菱ケミカル(株)製]
PEG1000:分子量1,000のポリエチレングリコール(水酸基価:112.1mgKOH/g)[三洋化成工業(株)製]
MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート[東ソー(株)製]
1,4BG:1,4-ブタンジオール[三菱ケミカル(株)製]
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド(超脱水グレード)[富士フイルム和光純薬工業(株)製]
[合成例1] ポリカーボネートジオール(C-1)
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコにジエチレングリコール 768.3g、トリエチレングリコール 1003.6g、ジフェニルカーボネート 2228.2g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液 7.11mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:59.7mg)を入れ、窒素ガス置換した。
攪拌下、内温を160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を24kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら90分間反応させた。次いで、圧力を9.3kPaまで90分間かけて下げ、さらに0.4kPaまで30分間かけて下げて反応を続けた後に、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら60分間反応させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。
その後、0.85質量%リン酸水溶液 2.81mLを加えて酢酸マグネシウムを失活させて、ポリカーボネートジオール含有組成物を得た。
得られたポリカーボネートジオール含有組成物を約20g/分の流量で薄膜蒸留装置に送液し、薄膜蒸留(温度:170℃、圧力:53~67Pa)をした。薄膜蒸留装置としては、直径50mm、高さ200mm、面積0.0314mの内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS-300特型を使用した。
上記の操作により、ポリカーボネートジオール(C-1)を得た。得られた(C-1)の性状及び水酸基価基準の数平均分子量を表1に示す。
[合成例2,3] ポリカーボネートジオール(C-2),(C-3)
原料を表1に記載の量に変更した以外は、合成例1と同様にしてポリカーボネートジオール(C-2),(C-3)を得た。結果を表1に示す。
Figure 2023138454000003
[実施例1-1]
合成例1で得られたポリカーボネートジオール(C-1)を用いて、以下の操作でポリウレタン樹脂を製造した。
60℃のオイルバス上に、熱電対、冷却管及び撹拌装置を具備したセパラブルフラスコを設置し、予め80℃に加温した(C-1) 64.8g、1,4BG 5.9g、DMF 241.3gを入れ、次いで、MDI 29.9gを添加し、セパラブルフラスコ内を窒素雰囲気下、60rpmで撹拌しながらオイルバスを1時間程度で80℃に昇温した。反応溶液が70℃となった後、ウレタン化触媒としてネオスタンU-830(以下「U-830」と記載することがある。日東化成株式会社製)0.02gを添加し、70℃で、さらに2時間程度撹拌した。
その後、MDI 2.4gを分割添加して分子量を調整し、分子量14.9万のポリウレタン樹脂のDMF溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂の評価結果を表2に示す。
[実施例1-2]
合成例1で得られたポリカーボネートジオール(C-1)を用いて、以下の操作でポリウレタン樹脂を製造した。
1Lブリキタイプの反応器に、100℃で融解した(C-1)398.8gを入れ、スリーワンモータBL6000(新東科学株式会社)を用いて撹拌混合した。そこに70℃に融解したMDI 201.2gを静かに加え、15分程反応させてプレポリマーを得た。
得られたプレポリマーに1,4BG 32.8gを加え、即座に撹拌混合し、得られた粘稠物を100℃の金型上へ流し込んだ。30分後、100℃のオーブンで、さらに10時間温調し、ポリウレタン樹脂を得た。
得られたポリウレタン樹脂の評価結果を表2に示す。
実施例1-1と実施例1-2は、ポリウレタン樹脂製造時の方法とスケールが異なっているが、ポリウレタン樹脂の組成は同等である。
比較のため、表2には、実施例1-2で用いる(C-1)の量を64.8gとした場合の、1,4BGとMDIの量をカッコ内に併記した。
[実施例2,3-1]
(C-1)の代わりに(C-2)又は(C-3)を用い、表2記載の量に変更した以外
は実施例1-1と同様にしてポリウレタン樹脂のDMF溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂の評価結果を表2に示す。
[実施例3-2]
(C-1)の代わりに(C-3)を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例1-2と同様にしてポリウレタン樹脂を得た。
得られたポリウレタン樹脂の評価結果を表2に示す。
実施例3-1と実施例3-2は、ポリウレタン樹脂製造時の方法とスケールが異なっているが、ポリウレタン樹脂の組成は同等である。
比較のため、表2には、実施例3-2で用いる(C-3)の量を64.8gとした場合の、1,4BGとMDIの量をカッコ内に併記した。
[比較例1]
(C-1)の代わりにT6001を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例1-1と同様にしてポリウレタン樹脂のDMF溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂の評価結果を表2に示す。
[比較例2-1]
(C-1)の代わりにPTMG1000を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例1-1と同様にしてポリウレタン樹脂のDMF溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂の評価結果を表2に示す。
[比較例2-2]
(C-1)の代わりにPTMG1000を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例1-2と同様にしてポリウレタン樹脂を得た。
得られたポリウレタン樹脂の評価結果を表2に示す。
比較例2-1と比較例2-2は、ポリウレタン樹脂製造時の方法とスケールが異なっているが、ポリウレタン樹脂の組成は同等である。
比較のため、表2には、比較例2-2で用いるPTMG1000の量を65.8gとした場合の、1,4BGとMDIの量をカッコ内に併記した。
[比較例3]
(C-1)の代わりにPEG1000を用い、表2記載の量に変更した以外は実施例1-1と同様にしてポリウレタン樹脂のDMF溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂の評価結果を表2に示す。
Figure 2023138454000004
表2に示す通り、実施例1~3に示すポリウレタン樹脂は、成型体に必要な強度と耐薬品性を有し、且つ、細菌低付着性を有することから、ポリウレタン樹脂成型体として適していることがわかった。
一方、比較例1に示すポリウレタン樹脂は、成型体に必要な強度と耐薬品性を有するものの、大腸菌や黄色ブドウ球菌等の細菌が付着しやすいため、ポリウレタン樹脂成型体には適していないことがわかった。
比較例2に示すポリウレタン樹脂は、成型体に必要な強度を有し、且つ、細菌低付着性を有するものの、耐薬品性が劣り、成型体としたときの硬さも高くなるため、ポリウレタン樹脂成型体には適していないことがわかった。
また、比較例3に示すポリウレタン樹脂は、細菌低付着性を有するものの、強度、耐薬品性及び水膨潤率が劣るため、ポリウレタン樹脂成型体には適していないことがわかった。

Claims (10)

  1. 1分子中にイソシアネート基を2個以上有するイソシアネート化合物(A)と、1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)と、ポリカーボネートジオール(C)を反応させて得られ、
    該ポリカーボネートジオール(C)が、オキシアルキレングリコールに由来する構造単位を有する、ポリウレタン樹脂成型体。
  2. 前記ポリカーボネートジオール(C)が有するオキシアルキレングリコールに由来する構造単位が、ジエチレングリコールに由来する構造単位及びトリエチレングリコールに由来する構造単位、または、トリエチレングリコールに由来する構造単位を含む、請求項1に記載のポリウレタン樹脂成型体。
  3. 前記ポリカーボネートジオール(C)が有するオキシアルキレングリコールに由来する構造単位が、ジエチレングリコールに由来する構造単位及びトリエチレングリコールに由来する構造単位、または、トリエチレングリコールに由来する構造単位を含み、
    該ジエチレングリコールに由来する構造単位と、該トリエチレングリコールに由来する構造単位のモル比(ジエチレングリコール由来構造単位/トリエチレングリコール由来構造単位)が0/100~50/50である、請求項1に記載のポリウレタン樹脂成型体。
  4. 前記ポリカーボネートジオール(C)の数平均分子量が、250~5,000である、請求項1に記載のポリウレタン樹脂成型体。
  5. 前記イソシアネート化合物(A)が、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートから選ばれる1種以上である、請求項1に記載のポリウレタン樹脂成型体。
  6. 前記1分子中に2個以上の活性水素基を有する分子量500以下の化合物(B)が、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミンから選ばれる1種以上である、請求項1に記載のポリウレタン樹脂成型体。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂成型体からなる、医療機器。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂成型体からなる、パッキン。
  9. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂成型体からなる、シーリング。
  10. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリウレタン樹脂成型体からなる、繊維。
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