JP2023134303A - 変形防止枠、これを用いた支保及び変形防止枠の作製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような支保には、更生管を既設管内の所定の位置に保持させるために、既設管から反力を取って裏込め材による浮力に抵抗させる機能と、裏込め材の重量及びその発熱硬化による膨張と冷却による収縮に伴う更生管の座屈(曲げ・圧縮・軸力)変形を抑止する機能が求められる。
そのため、更生管寸法に比例した大きさの支保材が用いられ、更生管が大口径になるほど剛性の高い大きなサイズの支保材が用いられている。例えば、更生管が約1.5m×1.5mの概略矩形である場合、支保材を構成する変形防止枠には、約100mm×100mm程度の断面形状を有する複数の角筒状の鋼材を概略矩形の枠型に組み立てたものが用いられている。
そこで、本発明は、供用水を止めずに更生管を施工する場合において、流水の阻害を可及的に防止し、かつ、剛性を保持し得る変形防止枠及びこの変形防止枠を用いた支保を提供する。
この構成によれば、変形防止枠の高さ(即ち、内側板部及び外側板部の厚さを含む内側板部及び外側板部間の寸法)を可及的に小さく抑えるとともに、その高さ寸法に対して奥行き寸法の大きい筒状のような変形防止枠とすることで、その剛性を保持することができる。
この構成によれば、変形防止枠の剛性が高まる。
この構成によれば、変形防止枠の長手方向に対する剛性が高まる。
この構成によれば、変形防止枠の短手方向に対する剛性が高まる。
この構成によれば、フレーム部材の固定に用いる部材すなわちジャッキボルト等を挿通させる箇所が補強される。
この構成によれば、フレーム部材を容易かつ堅固に固定することができる。
この構成によれば、連結部におけるフレーム部材のぶれを防止し、連結の緩みを防止することができる。
この構成によれば、簡便にフレーム部材を形成することができるとともに、中間壁部も内側板部及び外側板部と連結しているため、フレーム部材の剛性が強固となる。
この構成によれば、フレーム部材の把持が容易となるため、フレーム部材の運搬等を行いやすい。
この構成によれば、上記いずれかの効果を有する支保とすることができる。
この構成により、フレーム部材に用いる鋼材の厚さ寸法、フレーム部材の梁成及び(変形防止枠の更生管への設置時の)奥行き寸法を自由に設定することが可能となる。
この構成によれば、フレーム部材の作製において内側板部及び外側板部を区別することなく同一部材で作製することができる。また、フレーム部材の溶接をバランスよく行うことができる。
この構成によれば、フレーム部材の最小単位を大型化することなく、より大型の変形防止枠を作製することができる。
図1に示すように、支保1は、多角形のリング形状(本実施形態では8角形)の変形防止枠2と、更生管Xの内壁面に固定する複数の腹起し材3と、変形防止枠2と腹起し材3との間に突っ張らせる支持部材5とを主として有している。
図2(a)-(c)に示すように、フレーム部材6は、内側板部8と、外側板部9と、これらを連結する一対の側壁部10,10と、側壁部10,10同士の間で内側板部8と外側板部9との間を部分的に区分けしている中間壁部11A,11Bとを有している。
内側板部8及び外側板部9は、共にほぼ矩形で同形状に形成された鋼板の部材である。
嵌合切欠き12,12の間には、挿通孔15が嵌合切欠き12,12の近傍と、嵌合切欠き12,12のほぼ中央に形成されている。
第1の中間壁部11Aは、挿通孔15の近傍を通るように、短辺8a,8a間に亘って、長手方向即ち側壁部10と平行に延びている。
第1の中間壁部11Aと側壁部10との間には、第1の中間壁部11Aから側壁部10に向かって直交する方向に延びる3本の第2の中間壁部11Bが形成されている。
側壁部10には、内側板部8の外方に突出した取っ手13が固定されている。取っ手13は、内側板部8を外側板部9と固定してフレーム部材6とした際に、フレーム部材6を持ち上げるために把持しやすい形状であればどのような形状でいくつ形成されていてもよい。
嵌合切欠き12及び2本の第1の中間壁部11Aの両外側には、コーナー部材7を連結させるためのボルトの挿通孔16が形成されている。
内側板部8と外側板部9とは、内表面8cと内表面9cとを対向させた際の向きを、それぞれの第1の中間壁部11A等が形成された半面どうしを入れ違いにして、すなわち、第1の中間壁部11A等が形成された半面を、これらが形成されていない半面に対向させて重ね合わされている。そして、内側板部8と外側板部9とは、側壁部10,10とこれに対向して接する内表面8c,9cと溶接することにより偏平な箱型ないし角筒状に堅固に固定されている。
厚板部17は、フレーム部材6の高さとほぼ同じ厚さ寸法を有している。厚板部17の長手方向及び短手方向のほぼ中央には、厚さ方向に貫通して図1に示すジャッキボルト14を螺入させることができる雌螺子孔19が形成されている。
内板部20及び外板部21は、内側板部8又は外側板部9の短辺8aよりも長い長辺を有し、フレーム部材6の端部6eを挿入可能な程度の短辺寸法を有した矩形に形成されている。
内板部20と外板部21とをそれぞれの偏平面を対向配置させ、内板部20,外板部21の長手方向の両端部の間に側板部22の偏平面を垂直に立てて溶接することで、連結部18は偏平な角筒状に形成されている。
嵌合壁部23は、図2に示すフレーム部材6の内側板部8及び外側板部9に形成された嵌合切欠き12の相対的な挿通を許す厚さ寸法に形成されている。
本発明のフレーム部材6及びコーナー部材7には、一般鋼材を広く用いることができ、ステンレス鋼材をより好適に用いることができる。
以上の構成により、連結部18内にフレーム部材6の端部6eを、嵌合壁部23に嵌合切欠き12が当たるまで挿入することができるようになっている。
この構成により、コーナー部材7の連結部18にフレーム部材6を嵌合させた状態で挿通孔25にボルトを挿通させてナットで締めて、連結部18とフレーム部材6とを堅固に固定できるようになっている。
また、大口径の更生管Xに用いられる変形防止枠2においては、変形防止枠2の内側に垂直方向又は水平方向に架けて固定される不図示の補強部材を備えていてもよい。
変形防止枠2の作製は、内側板部8及び外側板部9を形成する板部形成工程、側壁部10等を間に挟んで内側板部8及び外側板部9を固定したフレーム部材形成工程、及び複数のフレーム部材6をコーナー部材7でリング状に組み立てる組立工程を通じて行われる。
これにより、内側板部8及び外側板部9の矩形の半面に形成した側壁部10及び第1及び第2の中間壁部11A,11Bが、側壁部10等が形成されていない面に重ね合わされて接した状態となり、側壁部10が対向する内側面8c又は内側面9cに溶接された状態となる。
組立工程では、フレーム部材6の端部6eをコーナー部材7の連結部18内に嵌合させて固定していき、全体として八角形を成すリング状の変形防止枠2とする。
まず、図1に示すように、鋼材により形成された長尺な棒状の角材からなる複数の腹起し材3を、更生管Xの軸線Lに周りに所定の間隔でかつ軸線Lにほぼ平行に固定していく。更生管Xが矩形又は馬蹄形の場合、更生管Xのコーナー部で張り出しが必要な部分にも腹起し材3を固定する。
この状態で、フレーム部材6及びコーナー部材7に形成された雌螺子孔15にジャッキボルト14を螺入し、腹起し材3に固定した板部材14a及び腹起し材3にジャッキボルト14を挿入固定して、座屈防止処置を行う。
以上の作業によって、支保1の更生管Xへの形状出しと更生管Xの固定が完了し、更生管Xの既設管に対する位置決めができた状態となる。
更生管X内に軸線方向に所定の間隔で複数の支保1が設置された後、既設管Yと更生管Xとの間にモルタル等の裏込め材を充填する。裏込め材がある程度養生固化したら、上述した支保1を設置時の手順と逆の手順で撤去し、更生管Xの外で解体する。
これにより、変形防止枠2は、フレーム部材6の高さ(梁成)、奥行き寸法(本実施形態では短辺8a,9a)及び鋼板の厚さを自由に設定することができる。したがって、本発明は、更生管Xの座屈(曲げ、圧縮及び軸力)変形に耐え得る剛性及び軽量化のために取り得る、フレーム部材6の最小限の高さ及び最小限の鋼板の厚さを実現することができ、必要な剛性を担保し得る奥行き寸法及び中間壁部11A,11Bの構成を採用することができる。
本実施形態では、主として第1の実施形態と異なる構成について説明し、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
複数の角筒部材34は、側壁部37の短辺が高さを構成するように、側壁部37の偏平面どうしを重ね合わせて溶接して形成されている。
互いに連結した角筒部材34の両端に位置する角筒部材34の外側の側壁部37は、第1の実施形態のフレーム部材6における側壁部10を構成し、互いに重ね合わせて溶接した側壁部37は、フレーム部材6の内部空間の長手方向に延びて短手方向に区分けする中間壁部38を構成している。
また、中間壁部38が角筒部材34の側壁部37同士を溶接したもので構成されるので、フレーム部材6の剛性を一層高めることができるという効果を奏する。
また、上述した開口部27及び水抜き用切欠き28は、フレーム部材6の内側板部8及び外側板部9の双方並びに内板部20及び外板部21の双方に形成されていることが好ましいが、外側板部9及び外板部21にのみ形成されていてもかまわない。
また、変形防止枠に用いるフレーム部材6は、その短辺を変形防止枠2の奥行き方向に向けて用いるのが一般的になると考えられるが、フレーム部材6の短辺を奥行き方向に設定するように用いることは必須ではなく、長辺を奥行き方向に用いることも可能である。
2 変形防止枠
3 腹起し材
5 支持部材
6 フレーム部材
7 コーナー部材
8 内側板部
8b 長辺
9 外側板部
10 側壁部
10a 側壁部の短辺
11A,11B 中間壁部
12 嵌合切欠き
14 ジャッキボルト
14a 板部材
17 厚板部
18 連結部
23 嵌合壁部
27 開口部
28 水抜き用切欠き
30 浮上防止柱
34 角筒部材
X 更生管
Y 既設管
上であることが好ましい。またフレーム部材6の奥行き寸法は、高さ寸法の10倍以上
であることが好ましく、更には15倍以上であるとなおよい。
Claims (14)
- 更生管の設置に用いられる支保を構成する変形防止枠であって、
互いに間隔を空けて対向配置した内側板部及び外側板部、並びに前記内側板部及び外側板部の端部間を連結し内部空間を形成する少なくとも一対の側壁部を有したフレーム部材を具備し、
前記フレーム部材の端部同士を複数連結させて、更生管内を軸線周りに囲うリング形状に形成され、
少なくとも一つの前記フレーム部材は、前記更生管の内壁面に前記外側板部を対向配置させた際の前記更生管の奥行き方向に延びる長さを、前記内側板部及び前記外側板部間の方向に形成される高さ寸法の5倍以上とした変形防止枠。 - 前記内部空間を少なくとも部分的に仕切る1以上の中間壁部が形成されている請求項1に記載の変形防止枠。
- 前記中間壁部は、前記フレーム部材の長手方向に形成されている請求項2に記載の変形防止枠。
- 前記中間壁部は、前記フレーム部材の短手方向に形成されている請求項2又は3に記載の変形防止枠。
- 前記中間壁部は、前記フレーム部材の固定に用いる部材を挿通させる挿通孔の周辺に及び/又は前記挿通孔に交差する方向に設けられている請求項2から4のいずれか一項に記載の変形防止枠。
- 複数の前記フレーム部材は、厚板部と、厚板部の両端部に設けられ、フレーム部材の端部を嵌合させて固定可能な連結部とを備え、前記フレーム部材の設置向きを変更させて固定するコーナー部材により連結されている請求項1から5のいずれか一項に記載の変形防止枠。
- 前記フレーム部材の前記端部には、嵌合切欠きが形成され、
前記連結部には、前記嵌合切欠きに嵌合可能な嵌合壁部が形成されている請求項6に記載の変形防止枠。 - 前記フレーム部材の前記端部を嵌合させる前記連結部の端部、又は、前記連結部の端部及び前記フレーム部材の端部の双方に、フレーム部材内に進入した水の排出が可能な開口部又は水抜き用切欠きが形成されている請求項6又は7に記載の変形防止枠。
- 前記フレーム部材は、側壁面同士を重ね合わせて固定した複数の角筒部材により形成されている請求項1から8のいずれか一項に記載の変形防止枠。
- 前記フレーム部材に取っ手が形成されている請求項1から9のいずれか一項に記載の変形防止枠。
- 既設管内に形成される更生管の内部に、前記更生管内の軸線周りに組まれる変形防止枠と、前記変形防止枠に固定して前記更生管に対する突っ張りとなる支持部材と、腹起し材と、前記更生管の前記既設管における浮上を防止する浮上防止柱とを備え、
請求項1から10のいずれか一項に記載の前記変形防止枠が用いられている支保。 - 鋼板の一方の面にこの鋼板の一辺に沿って立ち上がる側壁部、及び前記側壁部と間隔を空けて前記一方の面から立ち上がる中間壁部を設けた内側板部及び外側板部を形成する板部形成工程と、
前記内側板部と前記外側板部とを、それぞれの前記側壁部が互いに対向して平行に延びるように重ね合わせ、前記側壁部をこれに対向する前記一方の面に溶接し、前記側壁部間に前記中間壁部を立設させたフレーム部材の形成工程と、
複数のフレーム部材の端部を、これら複数のフレーム部材間で設置の向きを変えて連結するコーナー部材で連結してリング状にする組立工程とを有した変形防止枠の作製方法。 - 前記板部形成工程において、前記内側板部及び外側板部を同一形状に形成し、前記側壁部及び前記中間壁部を、前記鋼板の一方の面を2等分した半分側のみ形成した請求項12に記載の変形防止枠の作製方法。
- 前記組み立て工程において、複数のフレーム部材を同一方向に連結して大型フレーム部材を形成し、前記大型フレーム部材の両端部をコーナー部材に連結する請求項12又は13に記載の変形防止枠の作製方法。
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