JP2023128403A - 厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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裕之 川田
Hiroyuki Kawada
寛志 多根井
Hiroshi Tanei
貴幸 原野
Takayuki Harano
辰彦 坂井
Tatsuhiko Sakai
竜一 本間
Ryuichi Honma
浩幸 白幡
Hiroyuki Shirahata
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Abstract

【課題】レーザー切断におけるバーニングの発生が抑制または防止され、それゆえレーザー切断を適用するのに有用な厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】鋼板とスケールとを含み、スケールが表面から順にヘマタイトからなる第1層と、マグネタイトからなる第2層と、ウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる第3層とを有し、第1層の平均厚さが0.5~5.0μmであり、第1層による鋼板の表面被覆率が50%以上であり、第2層の平均厚さがスケールの平均厚さの10~40%であり、第3層の平均厚さがスケールの平均厚さの50%以上であり、第3層の厚さの板幅方向における偏差が0.40以下であり、かつ、第3層におけるウスタイトの平均粒径が15μm以下である厚鋼板およびその製造方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、厚鋼板およびその製造方法に関し、より詳しくは構造体の成形に当たってレーザー切断を施して利用する厚鋼板およびその製造方法に関する。
船舶、建築部材、産業機械、橋梁等の大型鋼構造物には多量の厚鋼板が使用されている。これらの鋼構造物の構築では、切断および溶接が施工工数の多くを占める。そのため、切断工数を削減するとともに、溶接工数を削減するために精度の良い切断を行うことが求められる。
鋼板の切断方法としては、従来のガス切断に加えて、レーザー切断やプラズマ切断が知られている。レーザー切断は、従来のガス切断と比較して、切断面の精度に優れ、切断による熱影響部が小さく、さらには自動化による工数削減が可能なことから薄手の鋼板の切断を中心に普及してきた。近年では、高出力のレーザー切断機の実用化により、前記大型鋼構造物に用いられる厚手の鋼板の切断においてもレーザー切断が行われることがある。
厚鋼板等の鋼板の製造はスラブを熱間圧延する工程を一般に含み、熱間圧延された鋼板には大気中で酸化してその表面にスケール(酸化鉄)が形成することが知られている。鋼板のレーザー切断はレーザーを照射することによって鋼板に熱を与え、鋼板を溶融させて切断することから、レーザーが照射された箇所における吸熱性の変化によって溶融状況が大きく変化する。鋼板の吸熱性は表面のスケールの状態によって大きく変動するため、その状態によっては鋼板が安定して切断できなかったり、切断面にえぐれた異常切断部が生じたりし、却って工数の増大や切断精度の劣化が起こる。特に、レーザー照射によって表面のスケールが不規則に剥離する場合、吸熱性も同様に不規則に大きく変動するため、レーザー切断は特に不安定となり、バーニングと呼ばれる切断部からの溶融物の噴出が発生する。
レーザー切断性を改善する手法として、例えば、特許文献1では、鋼板の表面にチタニア粉末および亜鉛粉末およびアルミニウム粉末および黒色酸化鉄顔料、黒色焼成顔料の1種または2種以上からなる着色顔料を含有する乾燥塗膜を付与した鋼材が提案されている。特許文献1では、塗装鋼材の塗膜中にレーザー吸収性の高いチタニア粉末を添加してレーザーの吸収率を高めることによりレーザー切断性を向上させることが教示されている。また、特許文献2では、表面に2以上のアルコキシ基を有するアルコキシシランおよび/もしくはその加水分解物もしくは縮合物(例、テトラアルコキシシラン)、亜鉛末、ならびにリン酸アルミニウム(好ましくはトリポリリン酸アルミニウム)の粉末もしくはリン酸アルミニウムとリン酸亜鉛との混合粉末を含有する塗料組成物を塗布した鋼材が提示されている。
一方、特許文献3では、レーザー切断性を改善するために、鋼板表面のスケールに占めるマグネタイト相(Fe34)の割合を85%以上として密着性を高め、かつ、当該スケールの厚さを6μm以下に制限した鋼板が提示されている。
また、特許文献4では、熱間鋳片を熱間圧延後に冷却するに当たって、巻取り温度を525~325℃の範囲に制御することで、スケール中のマグネタイトを地鉄との界面から生成させ、スケールの密着性を向上させてレーザー切断性を高める技術が提案されている。更に、特許文献5では、熱間圧延後の鋼板を当該鋼板の表面酸素濃度が20%未満の雰囲気中で温度変化が0.400℃/分以下となるように250℃以上400℃以下の温度範囲で5分間以上240分間以下の時間にわたって均熱保持することで、鋼板表面のスケールをマグネタイト相からなる層と、ウスタイト相および粒状マグネタイト相からなる層とからなる構造とし、スケールの密着性を向上させてレーザー切断性を高める技術が提案されている。
また、特許文献6では、厚鋼板のスケールと地鉄との界面に合金元素の濃化層を形成することで、スケールの密着性を高め、レーザー切断性を高める技術が提案されている。更に、特許文献7では、スケールにおけるマグネタイト相の分率を50%以上とすることで、スケールの密着性を高め、レーザー切断性を高める技術が提案されている。
国際公開第2013/065349号 特開2008-156377号公報 特開2003-221640号公報 特開平10-158734号公報 特開2020-114938号公報 特開2002-332541号公報 特開2008-095155号公報
人口減社会における省コスト化のため、鋼板をレーザーによって切断するに当たって、その自動化の要求は一層高まっている。一方、構造体の大型化による切断対象の厚肉化と、高出力のファイバーレーザーによる切断の高速化に対応するため、従来よりも更にレーザー切断性に優れた鋼板が必要とされている。具体的には、レーザー切断性を改善するために、従来よりも高出力のレーザー照射に対して切断中にバーニングを起こさない鋼板が求められている。レーザー切断では、切断幅が狭いために溶融物が当該切断幅内で詰まる場合があり、このような詰まりを起点として周辺部が過剰に溶融したり、溶融物が吹き上げたりするバーニングと呼ばれる切断不良が発生することがあり、特に高出力のレーザー照射では、バーニングの発生が大きな課題となり得る。
特許文献1~7では、レーザーの吸収率を高めたり、スケールの密着性を高めたりすることなどによってレーザー切断性を高めることが提案されているものの、バーニングの発生を抑制または防止するという観点からは必ずしも十分な検討はなされていない。したがって、これらの特許文献に記載の鋼材では、レーザー切断性の向上に関して依然として改善の余地があった。
そこで、本発明は、レーザー切断におけるバーニングの発生が抑制または防止され、それゆえレーザー切断を適用するのに有用な厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、レーザー切断において安定して連続切断を行うために必要な鋼板表層について検討を行った。その結果、レーザーを連続照射する鋼板表層において、スケールの相および各相の厚さを適切なものとし、更に、スケールを形成する主要な相であるウスタイト相の結晶粒径を微細とすることにより、バーニングの発生を顕著に抑制または防止することができ、それによって厚鋼板のレーザー切断性が改善することを見出した。
上記スケールの特徴のレーザー切断性への作用メカニズムは不明であるが、スケールの相およびそれぞれの厚さが適正化されることでレーザー照射時の表層のスケール溶融に伴う吸熱量が安定すると推定される。更に、スケールの最表面に存在する主相を固定し、かつ、レーザーの入射方向に対するウスタイト相の結晶方位が微細化に伴ってランダムとなることで、スケールのレーザー照射による入熱の吸熱性が安定すると推定される。本発明に係る厚鋼板では、これらの効果によって、高出力レーザーによる切断を試みた際のバーニングの発生を抑制できると推定している。
上記目的を達成し得た本発明は下記の通りである。
(1)鋼板と、前記鋼板の表面に形成されたスケールとを含み、前記スケールが表面から順にヘマタイトからなる第1層と、マグネタイトからなる第2層と、ウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる第3層とを有し、前記第1層の平均厚さが0.5~5.0μmであり、前記第1層による前記鋼板の表面被覆率が50%以上であり、前記第2層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの10~40%であり、前記第3層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの50%以上であり、前記第3層の厚さの板幅方向における偏差が0.40以下であり、かつ、前記第3層におけるウスタイトの平均粒径が15μm以下である、厚鋼板。
(2)前記スケールの平均厚さが6~60μmである、上記(1)に記載の厚鋼板。
(3)前記鋼板が、質量%で、
C:0.001~0.300%、
Si:0.01~1.00%、
Mn:0.10~2.50%、
P:0.001~0.050%、
S:0.0001~0.0100%、
Al:0.001~0.200%、
N:0.0150%以下、
O:0.0050%以下、
Cu:0~1.00%、
Ni:0~2.00%、
Cr:0~1.00%、
Mo:0~1.00%、
W:0~0.50%、
Nb:0~0.500%、
Ti:0~0.500%、
V:0~1.000%、
B:0~0.0100%、
Sn:0~0.500%、
Sb:0~0.500%、
Ca:0~0.0100%、
Mg:0~0.0100%、
Hf:0~0.0100%、
Te:0~0.0100%、
Sr:0~0.0100%、
REM:0~0.0100%、ならびに
残部:Feおよび不純物からなる化学組成を有する、上記(1)または(2)に記載の厚鋼板。
(4)前記化学組成が、質量%で、
Cu:0.01~1.00%、
Ni:0.01~2.00%、
Cr:0.01~1.00%、
Mo:0.01~1.00%、
W:0.003~0.50%、
Nb:0.003~0.500%、
Ti:0.003~0.500%、
V:0.003~1.000%、
B:0.0003~0.0100%、
Sn:0.003~0.500%、
Sb:0.003~0.500%、
Ca:0.0003~0.0100%、
Mg:0.0003~0.0100%、
Hf:0.0003~0.0100%、
Te:0.0003~0.0100%、
Sr:0.0003~0.0100%、および
REM:0.0003~0.0100%
からなる群から選択される1種または2種以上を含む、上記(3)に記載の厚鋼板。
(5)第3層に占める前記共析組織の割合が20~80%である、上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の厚鋼板。
(6)スラブを加熱する工程であって、前記スラブの表面温度が1050~1300℃となる最高加熱温度まで加熱し、1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間が下記式(1)を満たすように制御される加熱工程、
前記スラブを熱間圧延する工程であって、前記スラブの表面温度が1000~1100℃の温度範囲で累積圧下率が15~30%の圧延を施した後、得られた圧延材の表面温度が1000~1100℃の温度範囲で高圧水デスケーリングを施し、更に1000℃以下の温度域において1000℃に到達した時点の板厚に比して累積圧下率を30%以上とする圧延であって、2以上の圧延パスを含み、各圧延パスの圧下率が30%未満であり、少なくとも1つの圧延パスの圧下率が5%以上であり、最終圧延パスの圧延温度が800~950℃である圧延を施す熱間圧延工程、
得られた鋼板を冷却する工程であって、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が下記式(2)を満たすように制御され、水冷停止温度を500~600℃とする冷却工程
を含む、上記(1)~(5)のいずれか1項に記載の厚鋼板の製造方法。
1.0≦x10≦10.0 ・・・式(1)
1=D1・D2・(T1 3+D31 2+D41+D5)・(T1-D60.5・{1-exp(D71+D8)}0.5・Δt0.5
n=xn 2・D1 -2・D2 -2・(Tn+1 3+D3n+1 2+D4n+1+D5-2・(Tn+1-875)-1・{1-exp(D6n+1+D7)}-1
n=D1・D2・(Tn 3+D3n 2+D4n+D5)・(Tn-D60.5・{1-exp(D7n+D8)}0.5・(tn-1+Δt0.5
1=(1-0.850[C]-0.052[Si]-0.026[Mn]-0.065[Al])0.5
nは、加熱工程においてスラブの表面温度が1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
1はスラブの化学組成による影響を考慮したものであり、上記式中の[C]、[Si]、[Mn]および[Al]はスラブにおけるそれぞれの元素の含有量[質量%]であり、
2、D3、D4、D5、D6、D7およびD8は定数であり、それぞれ8.66×10-10、-3.99×103、5.36×106、-2.32×109、8.75×102、-3.50×10-3および3.06×100であり、
nは10等分した区間のn番目の領域における平均スラブ温度[℃]であり、
Δtは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
10は、上記計算式によりx1からx2、x3・・・と順に計算することで得られ、
1.0≦y10≦10.0 ・・・式(2)
1=E1・(1+E2・Mn)・exp{E31+E4/(J1+E5)}・Δk0.5
n=yn 2・E1 -2・(1+E2・Mn)-2・exp{-2・E3n+1-2・E4/(Jn+1+E5)}
n=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3n+E4/(Jn+E5)}・(kn-1+Δk)0.5
nは、冷却工程において熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
1、E2、E3、E4およびE5は定数であり、それぞれ5.00×107、1.24×10-1、-9.56×10-3、-1.05×104および2.73×102であり、
nは10等分した区間のn番目の領域における平均鋼板温度[℃]であり、
Δkは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
10は、上記計算式により、y1からy2、y3・・・と順に計算することで得られる。
(7)水冷停止後、400~500℃の温度範囲における平均冷却速度を0.10~10.0℃/分とする、上記(6)に記載の厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、レーザー切断におけるバーニングの発生を抑制または防止し、それゆえレーザー切断を適用するのに有用な厚鋼板およびその製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る厚鋼板のスケール構造の模式図を示す。 EBSD法を用いた結晶方位解析によるスケール内部でのヘマタイト、マグネタイトおよびウスタイトの分布を示す。 EBSD法を用いた結晶方位解析によるウスタイト結晶粒の判別例を示す。
以下、本発明の実施形態に係る厚鋼板およびその製造方法についてより詳しく説明するが、これらの説明は本発明の好ましい形態の例示を意図するものであって、本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
[好ましい化学組成]
本発明の実施形態においては、鋼板の化学組成は、特に限定されず、レーザー切断において適用するのに有用な範囲内で適切に決定すればよい。本発明は、上記のとおり、レーザー切断におけるバーニングの発生が抑制または防止され、それゆえレーザー切断を適用するのに有用な厚鋼板を提供することを目的とするものであって、スケールが表面から順にヘマタイトからなる第1層と、マグネタイトからなる第2層と、ウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる第3層とを有し、第1層の平均厚さを0.5~5.0μm、第1層による鋼板の表面被覆率を50%以上、第2層の平均厚さをスケールの平均厚さの10~40%、第3層の平均厚さをスケールの平均厚さの50%以上、そして第3層の厚さの板幅方向における偏差を0.40以下とし、さらには第3層におけるウスタイトの平均粒径を15μm以下とすることによって上記の目的を達成するものである。したがって、鋼板の化学組成自体は、本発明の目的を達成する上で必須の技術的特徴でないことは明らかである。以下、本発明の実施形態に係る鋼板の好ましい化学組成について説明するが、これらの説明は、単なる例示を意図するものであって、本発明をこのような特定の化学組成を有する鋼板に限定することを意図するものではない。また、以下の説明において、各元素の含有量の単位である「%」は、特に断りが無い限り、「質量%」を意味するものである。
[C:0.001~0.300%]
Cは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素であり、0.001%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくない。この観点から、Cの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。Cは強度を大きく高める元素であり、強度を高めるため、0.030%以上含有することが好ましく、0.050%以上含有することが更に好ましい。一方、Cが0.300%を超えると、鋼板の靭性が大きく劣化するため、Cの含有量は0.300%以下とすることが好ましい。また、Cは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点から、Cの含有量は0.230%以下であることが好ましく、0.200%以下であることが更に好ましい。
[Si:0.01~1.00%]
Siは脱酸元素であり、強度の向上にも寄与する元素である。これらの効果を十分に得るため、Si含有量は0.01%以上とすることが好ましい。特に強度を高めるため、Siの含有量は0.05%以上であることが好ましく、0.10%以上であることが更に好ましい。一方、Siの含有量が多いと、鋼板の表面におけるスケールの形成挙動が不均質となる場合があるため、Siの含有量は1.00%以下とすることが好ましい。また、Siは鋼板の靭性を損なう元素であり、この観点からSiの含有量は0.70%以下であることが好ましく、0.50%以下であることが更に好ましい。
[Mn:0.10~2.50%]
Mnは強度の向上に寄与する元素であり、この効果を十分に得るため、Mnの含有量は0.10%以上とすることが好ましい。強度を高める観点から、Mnの含有量は0.30%以上とすることが好ましく、0.50%以上とすることが更に好ましい。一方、Mnを過度に含有すると、粗大なMnSが生成し、鋼板の靭性が大きく劣化する懸念がある。この観点から、Mnの含有量は2.50%以下に制限することが好ましい。また、Mnは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点からMnの含有量は2.00%以下であることが好ましく、1.80%以下であることが更に好ましい。
[P:0.001~0.050%]
Pは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素であり、0.001%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくない。この観点から、Pの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。一方、Pは靭性を損なう元素であり、この観点から、Pの含有量は0.050%以下に制限することが好ましい。また、Pは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点からPの含有量は0.030%以下であることが好ましく、0.020%以下であることが更に好ましい。
[S:0.0001~0.0100%]
Sは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素であり、0.0001%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくない。この観点から、Sの含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。一方、Sは粗大な硫化物を形成して靭性を損なう元素であり、この観点から、Sの含有量は0.0100%以下に制限することが好ましい。また、Sは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点からSの含有量は0.0060%以下であることが好ましく、0.0040%以下であることが更に好ましい。
[Al:0.001~0.200%]
Alは脱酸元素であり、その効果を得るため、Alの含有量は0.001%以上とすることが好ましい。脱酸効果を十分に発揮するためには、Alの含有量は0.005%以上であることが好ましい。一方、Alは靭性を損なう元素であり、Alの含有量は0.200%以下に制限することが好ましい。また、Alは溶接性および溶接部の靭性も損なうことから、Alの含有量は0.120%以下であることが好ましく、0.080%以下であることが更に好ましい。
[N:0.0150%以下]
Nは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素である。多量のNが含まれると粗大な窒化物が形成され、鋼板の靭性が損なわれるため、Nの含有量は0.0150%以下に制限することが好ましい。また、Nは溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点から、Nの含有量は0.0100%以下にすることが好ましく、0.0060%以下とすることが更に好ましい。Nの含有量の下限は特に設けないが、0.0003%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくないため、0.0003%以上とすることが好ましい。
[O:0.0050%以下]
Oは一般的な製鉄法において不可避的に含まれる元素である。多量のOが含まれると粗大な酸化物が形成され、鋼板の靭性が損なわれるため、Oの含有量は0.0050%以下に制限することが好ましい。また、Oは溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点から、Oの含有量は0.0035%以下にすることが好ましく、0.0025%以下とすることが更に好ましい。Oの含有量の下限は特に設けないが、0.0002%未満に制限することは製錬工程における負荷が大きく、経済的に好ましくないため、0.0002%以上とすることが好ましい。
本発明の実施形態に係る鋼板の基本化学組成は上記のとおりである。さらに、当該鋼板は、必要に応じて以下の任意選択元素のうち1種または2種以上を含有してもよい。鋼板は、Cu:0~1.00%、Ni:0~2.00%、Cr:0~1.00%、Mo:0~1.00%およびW:0~0.50%からなる群から選択される1種または2種以上を含有してもよい。また、鋼板は、Nb:0~0.500%、Ti:0~0.500%およびV:0~1.000%からなる群から選択される1種または2種以上を含有してもよい。また、鋼板は、B:0~0.0100%を含有してもよい。また、鋼板は、Sn:0~0.500%およびSb:0~0.500%からなる群から選択される1種または2種を含有してもよい。また、鋼板は、Ca:0~0.0100%、Mg:0~0.0100%、Hf:0~0.0100%、Te:0~0.0100%、Sr:0~0.0100%およびREM:0~0.0100%からなる群から選択される1種または2種以上を含有してもよい。以下、これらの任意選択元素について詳しく説明する。
[Cu:0~1.00%]
Cuは、Niと共に鋼板とスケールの密着性を高め、鋼板のレーザー切断性を高める元素である。Cuの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上であってもよい。この効果を得るには、Cuの含有量は0.01%以上とすることが好ましく、0.04%以上とすることが更に好ましい。一方、Cuの含有量が過剰であると、鋳片の表面に疵が発生し、圧延に支障が生じる懸念があるため、Cuの含有量は1.00%以下に制限することが好ましい。また、Cuは溶接性を劣化させるため、Cuの含有量は0.50%以下とすることが更に好ましい。
[Ni:0~2.00%]
Niは、Cuと共に鋼板とスケールの密着性を高め、鋼板のレーザー切断性を高める元素である。Niの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上であってもよい。この効果を得るには、Niの含有量は0.01%以上とすることが好ましく、0.04%以上とすることが更に好ましい。一方、Niの含有量が過剰であると、鋳片の表面に疵が発生し、圧延に支障が生じる懸念があるため、Niの含有量は2.00%以下に制限することが好ましい。また、Niは溶接性を劣化させるため、Niの含有量は1.00%以下とすることが更に好ましい。
[Cr:0~1.00%]
Crは強度の向上に寄与する元素である。Crの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.01%以上であってもよい。強度を高める観点から、Crの含有量は0.05%以上とすることが好ましく、0.15%以上とすることが更に好ましい。一方、Crを過度に含有すると、粗大なCr炭窒化物が生成し、鋼板の靭性が大きく劣化する懸念がある。この観点から、Crの含有量は1.00%以下に制限することが好ましい。また、Crは溶接性および溶接部の靭性を損なう元素であり、この観点からCrの含有量は0.60%以下であることが好ましい。
[Mo:0~1.00%]
Moは強度の向上に寄与する元素である。Moの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.01%以上であってもよい。強度を高める観点から、Moの含有量は0.02%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることが更に好ましい。一方、Moを過度に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれる懸念がある。この観点から、Moの含有量は1.00%以下に制限することが好ましく、0.30%以下であることが更に好ましい。
[W:0~0.50%]
Wは強度の向上に寄与する元素である。Wの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.003%以上であってもよい。強度を高める観点から、Wの含有量は0.05%以上とすることが好ましく、0.15%以上とすることが更に好ましい。一方、Wを過度に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれる懸念がある。この観点から、Wの含有量は0.50%以下に制限することが好ましく、0.30%以下であることが更に好ましい。
[Nb:0~0.500%]
Nbは強度の向上に寄与する元素である。Nbの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.003%以上であってもよい。強度を高める観点から、Nbの含有量は0.005%以上とすることが好ましく、0.010%以上とすることが更に好ましい。一方、Nbを過度に含有すると、粗大なNb炭窒化物が生成し、鋼板および溶接部の靭性が大きく劣化する懸念がある。この観点から、Nbの含有量は0.500%以下に制限することが好ましく、0.100%以下であることが更に好ましい。
[Ti:0~0.500%]
Tiは強度の向上に寄与する元素である。Tiの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.003%以上であってもよい。強度を高める観点から、Tiの含有量は0.005%以上とすることが好ましく、0.010%以上とすることが更に好ましい。一方、Tiを過度に含有すると、粗大なTi炭窒化物が生成し、鋼板および溶接部の靭性が大きく劣化する懸念がある。この観点から、Tiの含有量は0.500%以下に制限することが好ましく、0.200%以下であることが更に好ましい。
[V:0~1.000%]
Vは強度の向上に寄与する元素である。Vの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.001%以上または0.003%以上であってもよい。強度を高める観点から、Vの含有量は0.030%以上とすることが好ましく、0.080%以上とすることが更に好ましい。一方、Vを過度に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれる懸念がある。この観点から、Vの含有量は1.000%以下に制限することが好ましく、0.600%以下であることが更に好ましい。
[B:0~0.0100%]
Bは強度の向上に寄与する元素である。Bの含有量は0%であってもよいが、含有させる場合には0.0001%以上であってもよい。強度を高める観点から、Bの含有量は0.0003%以上とすることが好ましく、0.0008%以上とすることが更に好ましい。一方、Bを過度に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれる懸念がある。この観点から、Bの含有量は0.0100%以下に制限することが好ましく、0.0035%以下であることが更に好ましい。
[Sn:0~0.500%]
Snは、鋼板とスケールの界面に濃化し、同界面近傍における他の金属元素の濃縮を促進する元素であり、CuNi濃化部の形成を促進して、スケールの密着性を高める効果がある。Snの含有量は0%であってもよいが、スケールの密着性を高め、レーザー切断性を向上させるため、Snの含有量は0.001%以上または0.003%以上であることが好ましい。この効果を十分に得るには、Snの含有量は0.005%以上であることが好ましく、0.025%以上であることが更に好ましい。一方、Snを多量に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれるため、Snの含有量は0.500%以下に制限することが好ましい。この観点から、Snの含有量は0.300%以下とすることが好ましく、0.200%以下であることが更に好ましい。
[Sb:0~0.500%]
Sbは、鋼板とスケールの界面に濃化し、同界面近傍における他の金属元素の濃縮を促進する元素であり、CuNi濃化部の形成を促進して、スケールの密着性を高める効果がある。Sbの含有量は0%であってもよいが、スケールの密着性を高め、レーザー切断性を向上させるため、Sbの含有量は0.001%以上または0.003%以上であることが好ましい。この効果を十分に得るには、Sbの含有量は0.005%以上であることが好ましく、0.025%以上であることが更に好ましい。一方、Sbを多量に含有すると、溶接性および溶接部の靭性が損なわれるため、Sbの含有量は0.500%以下に制限することが好ましい。この観点から、Sbの含有量は0.300%以下とすることが好ましく、0.200%以下であることが更に好ましい。
[Ca:0~0.0100%]
[Mg:0~0.0100%]
[Hf:0~0.0100%]
[Te:0~0.0100%]
[Sr:0~0.0100%]
[REM:0~0.0100%]
Ca、Mg、Hf、Te、SrおよびREMは、硫化物を微細化し、鋼板の靭性を向上させる元素である。Ca、Mg、Hf、Te、SrおよびREMの含有量は0%であってもよいが、この効果を得るには、Ca、Mg、Hf、Te、SrおよびREMの含有量は、それぞれ0.0001%以上または0.0003%以上であることが好ましい。一方、これらの元素を過度に含有すると、効果が飽和し、それゆえCa、Mg、Hf、Te、SrおよびREMを必要以上に鋼板に含有させることは製造コストの上昇を招く。従って、Ca、Mg、Hf、Te、SrおよびREMの含有量は0.0100%以下に制限することが好ましく、0.0040%以下であることが更に好ましい。ここで、REMとは、Sc、Yおよびランタノイド(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLu)の総称であり、これら17元素の含有量の総計をREMの含有量とする。
本発明の実施形態に係る鋼板において、上記の元素以外の残部はFeおよび不純物からなる。不純物とは、鋼板を工業的に製造する際に、鉱石やスクラップ等のような原料をはじめとして、製造工程の種々の要因によって混入する成分等である。
鋼板の化学組成は、一般的な分析方法によって測定すればよい。例えば、鋼板の化学組成は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry)を用いて測定すればよい。CおよびSは燃焼―赤外線吸収法を用いる。
続いて、本発明の実施形態に係る厚鋼板について、そのスケールにおける特徴を述べる。
[第1層:ヘマタイト(Fe23)、第2層:マグネタイト(Fe34)、第3層:ウスタイト(FeO)またはウスタイト相およびフェライトとマグネタイトの共析組織]
本発明の実施形態に係る厚鋼板は、表層に3つの層を有するスケールを有する。図1に、本発明の実施形態に係る厚鋼板のスケール構造の模式図を示す。図1を参照すると、厚鋼板10は、鋼板(地鉄)11と、当該鋼板11の表面に形成された3つの層を含むスケール12とを備え、スケール12のうち厚鋼板10の最表面にある第1層13は、ヘマタイトからなり、続いて存在する第2層14はマグネタイトからなり、3つの層のうち最もスケール/鋼板(地鉄)界面に近い第3層15はウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる。表層のスケールは、地鉄側から拡散する鉄(Fe)と大気中の酸素(O2)とが反応することによって生成されるため、地鉄側ほどウスタイト等の低次の酸化鉄が生成され、大気側ほどヘマタイト等の高次の酸化鉄が生成されることとなる。本発明の実施形態に係る厚鋼板においては、上記3つの層の厚さを適切なものとしつつ、スケールを構成する主要相であるウスタイトの粒径等を小さくすることによりレーザー切断性を向上させるものである。以下、各層についてより詳細に説明する。
[第1層の平均厚さ:0.5~5.0μm]
本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの第1層は、レーザーの照射を主に受ける層であり、十分な厚さで存在することにより、第1層を形成する相の物性に応じて、レーザーによる入熱を吸収することができる。第1層の平均厚さが0.5μmを下回ると、レーザーの照射による蒸散や、厚鋼板の取り回しにおける摩耗などにより、第1層がレーザー照射を受ける層として働かない領域が広範囲に渡って発生し、スケールの吸熱性が大きく変動するため、レーザー切断性が損なわれる。一方、第1層の平均厚さを5.0μm超とすると、過剰な酸素供給によってスケール内にき裂や空孔が多数発生し、スケールが剥離しやすくなり、レーザー照射に伴う熱応力によってスケールが剥離して厚鋼板の吸熱性が大きく変動するため、レーザー切断性が損なわれる。以上の観点から、本発明の実施形態に係る厚鋼板において、スケールの第1層の平均厚さは0.5~5.0μmとし、好ましくは0.8~4.0μmとする。第1層がこのような平均厚さを有することで、照射されたレーザーを安定して受けることができ、すなわちレーザー照射による入熱の吸熱性が安定し、バーニング等の発生を十分に抑制または防止してレーザー切断性を改善することが可能となる。
[第1層の表面被覆率:50%以上]
レーザーの照射によるスケールの吸熱性を安定にするには、鋼板のスケール表面における第1層の表面被覆率を50%以上とする必要がある。前記表面被覆率が50%を下回ると、スケールの吸熱性に与える第2層の影響が大きくなり、場所による吸熱性の変動が大きくなり、レーザー切断性が損なわれる。前記表面被覆率は大きいほど好ましいことから、65%以上とすることが好ましく、80%以上とすることがより好ましく、100%とすることが最も好ましい。
[第2層の平均厚さ:スケール平均厚さの10~40%]
本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの第2層について、その平均厚さをスケール平均厚さの10~40%に制限する。第2層の厚さが過度に薄いと、第2層が存在しない箇所が発生してスケールの吸熱量が場所によって大きく変動するようになり、レーザー切断性が損なわれるため、第2層の平均厚さをスケール平均厚さの10%以上とする。第2層の平均厚さはスケール平均厚さの15%以上または20%以上であってもよい。一方で、第2層の厚さが過度に厚いと、所定の厚さを有する第1層および/または第3層を得ることが困難となり、レーザー切断性が損なわれるため、第2層の平均厚さをスケール平均厚さの40%以下とする。第2層の平均厚さはスケール平均厚さの35%以下または30%以下であってもよい。
[第3層の平均厚さ:スケール平均厚さの50%以上]
本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの第3層は、本発明の実施形態に係る厚鋼板のスケールを構成する主要な層であり、スケールに占める第3層の割合を高めることで、スケールの溶融時の吸熱量を安定にすることができる。この観点から、第3層の平均厚さはスケールの平均厚さの50%以上とし、60%以上とすることが好ましい。一方、第3層がスケールに占める割合が過剰に大きくなると、第1層および/または第2層が十分に存在できず、レーザー切断性が劣化するため、第3層の平均厚さはスケールの平均厚さの85%以下とすることが好ましく、75%以下とすることが更に好ましい。
[第3層におけるウスタイトの平均粒径:15μm以下]
第3層における吸熱性は、第1層と同様に、スケールの吸熱性に大きく影響する。スケールの吸熱性は、その結晶方位に依存しており、結晶方位に偏りがあると吸熱性にも偏りが生じ、レーザー切断性が損なわれる。第3層における吸熱性を安定させるため、第3層におけるウスタイトの結晶粒径を微細とすることで、粗大な結晶粒の場合と比較して多様な結晶方位からなるスケールとすることができる。また、第3層にはフェライトとマグネタイトの共析組織も含まれるが、同共析組織はウスタイトを母相として生成するため、ウスタイトの粒径を微細とすることにより、同共析組織も微細となり、多様な結晶方位からなるスケールとなる。以上の観点から、第3層におけるウスタイトの平均粒径は15μm以下とし、12μm以下または10μm以下とすることが好ましく、8μm以下であってもよい。ウスタイトの平均粒径の下限は特に設定しないが、ウスタイトを微細にする過程でスケールにき裂が発生し、スケールの密着性が損なわれ、レーザー切断性が劣化する懸念があることから、ウスタイトの平均粒径は1μm以上または3μm以上に留めることが好ましい。
[第3層の厚さの板幅方向偏差:0.40以下]
第3層の厚さはスケールの溶融における吸熱量に大きく影響するため、その厚さは厚鋼板の各所で均質であることが好ましい。第3層の厚さの板幅方向における偏差は0.40以下とすることが好ましく、0.25以下とすることが更に好ましく、0.15以下とすることがより好ましい。下限値は特に限定されないが、例えば、第3層の厚さの板幅方向における偏差は0.01以上または0.02以上であってもよい。
[第3層に占めるフェライトとマグネタイトの共析組織の割合:20~80%]
第3層はウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる層である。好ましくは、同共析組織の割合を20%以上とすることで、同共析組織の割合が場所により大きく変動するのを顕著に抑制することができ、第3層の吸熱性および溶融に当たっての吸熱量をより安定化させることが可能となる。より好ましくは、第3層に占めるフェライトとマグネタイトの共析組織の割合は30%以上である。一方、同共析組織の割合を80%超としても共析組織の割合の変動を抑える効果は飽和し、かつ、その割合を得るには圧延工程において長時間の徐冷が必要となる。このため、経済的な観点からは、第3層に占めるフェライトとマグネタイトの共析組織の割合は80%以下とすることが好ましく、70%以下とすることが更に好ましい。
本発明の実施形態に係る厚鋼板において、その表層のスケールは上記の3つの層を有するが、上記の各層における特徴を満たす範囲において、その他の層や内容物をスケールに含んでも構わない。例えば、本発明の実施形態に係る厚鋼板のスケールは、第3層と鋼板との間に、ファイアライト(Fe2SiO4)などからなる薄い合金元素濃化層を含んでも構わない。また、スケール内の各層に、それぞれの層を構成する相とは異なる相からなる微細な粒子、例えば金属Cuやファイアライト、あるいは第2層におけるウスタイトなど、が含まれていても構わない。
[スケールの平均厚さ:6~60μm]
本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの平均厚さは、6~60μmとすることが好ましい。スケールの平均厚さを6μm以上とすることで、各層の厚さを確保することができ、特に第1層の厚さを十分に確保することができるため、上記のスケールの特徴を比較的容易に満足させることが可能となる。スケールの平均厚さは、10μm以上、15μm以上または20μm以上であってもよい。一方、スケールの密着性を十分に確保してレーザー切断性をさらに改善する観点からは、スケールの平均厚さは適度な厚さであることが好ましく、例えば60μm以下であることが好ましく、50μm以下、40μm以下または30μm以下であってもよい。
ここまで述べたスケールの特徴の評価は、スケールの断面における結晶方位解析ならびに組織観察によって行う。具体的には、厚鋼板の1/4幅、1/2幅および3/4幅の各箇所から小片を切り出し、圧延方向に平行で板面に垂直な断面を観察面とし、観察面に湿式研磨およびコロイダルシリカによる研磨を施して鏡面とし、厚鋼板の最表面からスケール/鋼板界面までの区間において、電界放出型走査型電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope(FE-SEM))を用いた観察と、FE-SEMに搭載した電子線後方散乱回折法(Electron Backscattering Diffraction:EBSD法)を用いた結晶方位解析装置による解析を行う。EBSD法を用いた結晶方位解析により、図2に示す通り、スケール内部でのヘマタイト、マグネタイトおよびウスタイトの分布が分かり、更に、図3に示す通り、ウスタイトの結晶粒を判別することができる。また、FE-SEMによる観察により、フェライトとマグネタイトの共析組織の分布が分かる。
各観察サンプルにおいて、観察面における表層の評価は、圧延方向に平行な長さ100μmの範囲において行う。スケールおよびスケール内の各層の厚さは、各観察サンプルにおいて板面に垂直な方向に任意の5本の線を引き、それぞれの線上においてスケールおよびスケール内の各層に対応する線分の長さを評価し、5つの線における値の単純平均によって同サンプルにおけるスケールおよびスケール内の各層の厚さとする。各厚鋼板におけるスケールおよびスケール内の各層の平均厚さは、1/4幅、1/2幅および3/4幅の各箇所から切り出した計3つのサンプルにおけるそれぞれの厚さの単純平均とする。また、第3層の厚さの板幅方向偏差は、前記3つのサンプルにおける第3層の厚さの最大値と最小値の差を、前記3つのサンプルにおける第3層の厚さの平均値で除したものとする。
第1層の表面被覆率は、EBSD法によって得られる相分布マップから、スケールの最表面の長さとスケールの最表面においてヘマタイト相が存在する箇所の合計長さを読み取り、後者を前者で除すことによって得られる。また、第3層におけるウスタイト相の平均粒径は、EBSD法によって得られる相分布マップから読み取った任意の10個のウスタイト結晶粒における円相当直径の単純平均をそのサンプルにおけるウスタイトの粒径とし、前記3つのサンプルにおけるウスタイトの粒径の単純平均をもってウスタイトの平均粒径とする。
第3層に占めるフェライトとマグネタイトの共析組織の割合は、FE-SEMにより圧延方向に平行な長さ100μmの範囲のスケールを観察し、撮影した写真上に板厚方向に平行な任意の5本の線を引き、それぞれの線上において、同共析組織が占める線分の長さを評価して同共析組織の厚さとし、前記3つのサンプルにおける同共析組織の厚さの平均値をもって同共析組織の平均厚さとし、それを上記第3層の平均厚さによって除すことで得られる。
本発明の実施形態に係る厚鋼板は、レーザー切断の適用が可能である任意の厚さを有することができ、特に限定されないが、例えば6~40mmの板厚を有していてもよい。板厚は、例えば8mm以上、10mm以上、15mm以上または20mm以上であってもよい。同様に、板厚は、例えば35mm以下、30mm以下または25mm以下であってもよい。
続いて、本発明の実施形態に係る厚鋼板について、その好ましい製造方法について説明する。以下の説明は、本発明の実施形態に係る厚鋼板を製造するための特徴的な方法の例示であって、当該厚鋼板を、以下に説明する製造方法によって製造されるものに限定するものではない。
本発明の実施形態に係る厚鋼板の製造方法は、
スラブを加熱する工程であって、前記スラブの表面温度が1050~1300℃となる最高加熱温度まで加熱し、1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間が下記式(1)を満たすように制御される加熱工程、
前記スラブを熱間圧延する工程であって、前記スラブの表面温度が1000~1100℃の温度範囲で累積圧下率が15~30%の圧延を施した後、得られた圧延材の表面温度が1000~1100℃の温度範囲で高圧水デスケーリングを施し、更に1000℃以下の温度域において1000℃に到達した時点の板厚に比して累積圧下率を30%以上とする圧延であって、2以上の圧延パスを含み、各圧延パスの圧下率が30%未満であり、少なくとも1つの圧延パスの圧下率が5%以上であり、最終圧延パスの圧延温度が800~950℃である圧延を施す熱間圧延工程、
得られた鋼板を冷却する工程であって、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が下記式(2)を満たすように制御され、水冷停止温度を500~600℃とする冷却工程
を含むことを特徴としている。
1.0≦x10≦10.0 ・・・式(1)
1=D1・D2・(T1 3+D31 2+D41+D5)・(T1-D60.5・{1-exp(D71+D8)}0.5・Δt0.5
n=xn 2・D1 -2・D2 -2・(Tn+1 3+D3n+1 2+D4n+1+D5-2・(Tn+1-875)-1・{1-exp(D6n+1+D7)}-1
n=D1・D2・(Tn 3+D3n 2+D4n+D5)・(Tn-D60.5・{1-exp(D7n+D8)}0.5・(tn-1+Δt0.5
1=(1-0.850[C]-0.052[Si]-0.026[Mn]-0.065[Al])0.5
nは、加熱工程においてスラブの表面温度が1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
1はスラブの化学組成による影響を考慮したものであり、上記式中の[C]、[Si]、[Mn]および[Al]はスラブにおけるそれぞれの元素の含有量[質量%]であり、
2、D3、D4、D5、D6、D7およびD8は定数であり、それぞれ8.66×10-10、-3.99×103、5.36×106、-2.32×109、8.75×102、-3.50×10-3および3.06×100であり、
nは10等分した区間のn番目の領域における平均スラブ温度[℃]であり、
Δtは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
10は、上記計算式によりx1からx2、x3・・・と順に計算することで得られ、
1.0≦y10≦10.0 ・・・式(2)
1=E1・(1+E2・Mn)・exp{E31+E4/(J1+E5)}・Δk0.5
n=yn 2・E1 -2・(1+E2・Mn)-2・exp{-2・E3n+1-2・E4/(Jn+1+E5)}
n=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3n+E4/(Jn+E5)}・(kn-1+Δk)0.5
nは、冷却工程において熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
1、E2、E3、E4およびE5は定数であり、それぞれ5.00×107、1.24×10-1、-9.56×10-3、-1.05×104および2.73×102であり、
nは10等分した区間のn番目の領域における平均鋼板温度[℃]であり、
Δkは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
10は、上記計算式により、y1からy2、y3・・・と順に計算することで得られる。
[鋳造工程]
本発明の実施形態に係る厚鋼板に適用されるスラブの製造方法は特に指定せず、例えば、連続鋳造法、あるいは、分塊法によって製造することができる。また、レーザー切断性の安定化や、製品の外観向上などを目的として、鋳造後のスラブ表面を研削し、スケールおよびスケール/鋼板界面を除いても構わない。
[加熱工程]
製造したスラブを、熱間圧延するため、最高加熱温度を、1050~1300℃の範囲とする加熱処理に供する。この加熱処理によって、スラブ表面におけるスケールの成長を促し、スケール内部に空隙やき裂を発生させて剥離しやすいスケールとすることで、後述するデスケーリング工程において均質に剥がれ落ちるスケールを有するスラブが得られる。その結果として、その後のスケール形成を均質なものとし、最終的に所望のスケール構造を達成してレーザー照射による入熱の吸熱性を安定化させることで、バーニング等の発生を十分に抑制または防止することが可能となる。加熱温度が1050℃を下回ると、スケールの成長が不十分となって剥離しづらいスケールを有するスラブとなり、デスケーリング後にスケールが過度に残存し、その後のスケールの形成が不均質となり、第3層の厚さ偏差が大きくなる。その結果として、レーザーが照射された際の吸熱性が不安定となり、バーニング等の発生を十分に抑制または防止することができず、レーザー切断性が損なわれる。一方、加熱温度が1300℃を超えると、スラブにおけるスケール/鋼板界面の凹凸が過度に大きくなり、デスケーリング後のスケール残存度合いが不均質となり、その後のスケールの形成が不均質となり、レーザー切断性が損なわれる。以上の観点から、スラブの最高加熱温度は1050~1300℃とし、1080~1250℃とすることが好ましい。
加熱工程におけるスラブ表面でのスケールの成長には、加熱温度に加え、加熱される時間も大きく影響するため、加熱は、1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間が下記式(1)を満たすように施す。ここで、式(1)のx10は後述する計算によって求められる、加熱過程での刻々の温度に応じた時間経過によるスケール成長への影響の変化を考慮した、スラブ表面でのスケールの成長度合いを表す指標である。経過時間が短すぎ、x10が1.0を下回ると、スケールの成長が不十分となって剥離しづらいスケールを有するスラブとなり、デスケーリング後にスケールが過度に残存し、その後のスケールの形成が不均質となり、レーザー切断性が損なわれる。このため、x10を1.0以上とする。スラブのスケールの密着性を下げ、デスケーリングによるスケールの除去を容易にするため、x10は1.5以上とすることが好ましく、2.0以上とすることが更に好ましい。一方、経過時間が長すぎると、スケールの成長によってスラブにおけるスケール/鋼板界面の凹凸が過度に大きくなり、デスケーリング後のスケールの残存度合いが不均質となり、その後のスケールの形成が不均質となり、レーザー切断性が損なわれる。このため、x10は10.0以下に制限し、9.0以下とすることが好ましく、8.0以下とすることが更に好ましい。
1.0≦x10≦10.0 ・・・式(1)
1=D1・D2・(T1 3+D31 2+D41+D5)・(T1-D60.5・{1-exp(D71+D8)}0.5・Δt0.5
n=xn 2・D1 -2・D2 -2・(Tn+1 3+D3n+1 2+D4n+1+D5-2・(Tn+1-875)-1・{1-exp(D6n+1+D7)}-1
n=D1・D2・(Tn 3+D3n 2+D4n+D5)・(Tn-D60.5・{1-exp(D7n+D8)}0.5・(tn-1+Δt0.5
1=(1-0.850[C]-0.052[Si]-0.026[Mn]-0.065[Al])0.5
これらの計算は、加熱工程においてスラブの表面温度(スラブ温度ともいう)が1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合い(xn)を評価するものであり、添字nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示す。D1はスラブの化学組成による影響を考慮するための項であり、上記式で計算される値であり、式中の[C]、[Si]、[Mn]および[Al]はスラブにおけるそれぞれの元素の含有量[質量%]である。D2、D3、D4、D5、D6、D7およびD8は定数であり、それぞれ8.66×10-10、-3.99×103、5.36×106、-2.32×109、8.75×102、-3.50×10-3および3.06×100である。Tnは10等分した区間のn番目の領域における平均スラブ温度[℃]、すなわち、n番目の領域全体における所定時間ごと、例えば10秒ごとの温度測定値の算術平均である。Δtは、前記経過時間の10分の1の時間[秒]である。式(1)におけるx10は、上記計算式により、x1からx2、x3・・・と順に計算することで得られる。
[熱間圧延工程]
前記加熱処理を施したスラブの表面には、剥離しやすい不均質なスケールが存在する。よって、熱間圧延および高圧水によるデスケーリングを施し、不均質なスケールの大部分を除去し、かつ、鋼板の表面全域におけるスケールの残存量を揃えることで、その後のスケールの形成挙動を均質化し、その後に適正な圧延および冷却処理を施すことによって、本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケールの構造を得ることができる。
デスケーリングによってスケールを十分に除去するため、デスケーリングに先立って熱間圧延を施し、スケールを破砕する。デスケーリングに先立つ圧延は、スラブの表面温度が1000~1100℃の温度範囲において、1回ないし複数回に分けて施し、その圧下率は、スラブ厚に対して、累積で15~30%とする。すなわち、デスケーリングに先立つ圧延を複数回に分けて施す場合には、スラブ厚に対する当該複数回の圧延完了後の板厚によって求められる累積圧下率を15~30%とする。スラブ温度が1000℃を下回ると、スケールが過剰に破砕され、デスケーリング後にスケールが不均質に残存し、その後のスケールの形成挙動が不均質となって、レーザー切断性が劣化する。一方、スラブ温度が1100℃を上回ると、スケールの破砕が不十分となり、デスケーリング後のスケールの残存度合いが不均質となり、その後のスケールの形成挙動が不均質となって、レーザー切断性が劣化する。
また、上記熱間圧延の累積圧下率が15%未満であると、スケールの破砕が不十分となり、デスケーリング後にスケールが不均質に残存し、その後のスケールの形成挙動が不均質となって、レーザー切断性が劣化する。一方、当該熱間圧延の累積圧下率が30%を超えると、スケールが過剰に破砕され、デスケーリングによってスケールが過剰に除去され、却ってその後のスケールの形成挙動が不均質となって、レーザー切断性が劣化する。
上記熱間圧延の後、得られた圧延材に対して高圧水によるデスケーリングを施す。デスケーリングは、例えば衝突圧が10~15MPaの高圧水を用いて実施することができる。ここで、デスケーリングを施す温度(圧延材の表面温度)が1000℃を下回ると、一部の不均質に成長したスケールが残存し、その後のスケールの形成が不均質となる。一方、デスケーリングを施す温度が1100℃を超えると、デスケーリングによってスケールが過剰に除去され、その後のスケールの形成が不均質となる。上記の観点から、上記熱間圧延後にデスケーリングを施す温度は、1000~1100℃の範囲に制限する。
上記デスケーリング後、鋼板の表層にはウスタイトが形成されるが、その粒径を微細とするため、1000℃以下の温度域において、1000℃に到達した時点の板厚に比して累積30%以上の圧下率の圧延を施す。より詳しくは、1000℃に到達した時点の板厚に対する1000℃以下の温度域における全圧延完了後の板厚によって求められる累積圧下率が30%以上となる圧延を施す。ここで、1パスの圧延で圧下率30%以上の圧延を施すと、スケールにき裂が生じ、き裂を伝ってスケール/鋼板界面に酸素が供給され、マグネタイトが多量に生成して第2層が過剰に厚くなり、レーザー切断性が損なわれる。圧延は2パス以上で施す多段圧延とし、4パス以上で施すことが好ましい。
一方、全ての圧延パスにおける圧下率が、各圧延パスで付与される各圧延パス前での板厚に比して、全て5%未満であると、ウスタイトへ十分にひずみが付与されず、ウスタイトが粗大となり、レーザー切断性が損なわれるため、少なくとも1つの圧延パスでの前記圧下率は5%以上とする必要があり、前記圧下率が5%以上の圧延を4回以上施すことが好ましい。
また、1000℃に到達した時点の板厚に比して、累積での圧下率が30%未満であると、ウスタイトへ十分にひずみが付与されず、ウスタイトが粗大となり、レーザー切断性が損なわれるため、累積圧下率は30%以上とする。この累積圧下率は、ウスタイトを十分に微細にするため、40%以上とすることが好ましく、50%以上とすることが更に好ましい。一方、この累積圧下率の上限は特に規定しないが、累積圧下率が95%を超えると、スケールにき裂が生じ、き裂を伝ってスケール/鋼板界面に酸素が供給され、マグネタイトが多量に生成して第2層が過剰に厚くなり、レーザー切断性が損なわれる懸念があり、好ましくない。また、1000℃超の温度域における圧延ではウスタイトへ十分にひずみが付与されないため、この累積圧下率では考慮しない。
複数のパスで施す圧延のうち、最終圧延パスにおける圧延温度は、800~950℃とする。800℃を下回って圧延を施すと、スケールにき裂が生じ、き裂を伝ってスケール/鋼板界面に酸素が供給され、マグネタイトが多量に生成して第2層が過剰に厚くなり、レーザー切断性が損なわれる。一方、950℃超の温度域で圧延を完了すると、ウスタイトが成長して粗大化し、レーザー切断性が損なわれる。以上の観点から、最終圧延パスにおける圧延温度は800~950℃とし、830~920℃とすることが好ましい。
スケールの過剰な成長を抑制し、外観品位を向上させる目的で、上記デスケーリングに続いて施す圧延と、上記最終圧延パスの圧延との間に、更に1回ないし2回以上のデスケーリングを施しても構わない。
[冷却工程]
熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を制御し、スケール表層にヘマタイトおよびマグネタイトを形成し、本発明の実施形態に係る厚鋼板におけるスケール構造を形成する。両相の形成速度は温度によって異なるため、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間は式(2)によって管理する。ここで、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が短すぎ、y10が1.0を下回ると、スケールの成長が過度に抑制され、スケール表面でのヘマタイトおよび/またはマグネタイトの形成が不十分となり、十分な厚さの第1層および/または第2層を得ることができず、レーザー切断性が損なわれるため、y10を1.0以上とする。一方、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が長すぎ、y10が10.0を超えると、スケールに過度に酸素が供給され、第1層および/または第2層が過度に成長し、レーザー切断性が損なわれるため、y10を10.0以下とする。スケールの構造を整え、レーザー切断性を高めるには、y10は2.0以上、8.0以下とすることが好ましく、3.0以上、7.0以下とすることが更に好ましい。
1.00≦y10≦10.00 ・・・式(2)
ここで、ynは下記の計算によって求められる。
1=E1・(1+E2・Mn)・exp{E31+E4/(J1+E5)}・Δk0.5
n=yn 2・E1 -2・(1+E2・Mn)-2・exp{-2・E3n+1-2・E4/(Jn+1+E5)}
n=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3n+E4/(Jn+E5)}・(kn-1+Δk)0.5
これらの計算は、冷却工程において熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合い(yn)を評価するものであり、添字nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示す。E1、E2、E3、E4およびE5は定数であり、それぞれ5.00×107、1.24×10-1、-9.56×10-3、-1.05×104および2.73×102である。Jnは10等分した区間のn番目の領域における平均鋼板温度[℃]、すなわち、n番目の領域全体における所定時間ごとの温度測定値の算術平均である。Δkは、前記経過時間の10分の1の時間[秒]である。式(3)におけるy10は、上記計算式により、y1からy2、y3・・・と順に計算することで得られる。
前記水冷は、鋼板温度が500~600℃に達した時点で停止する。この水冷停止温度が高すぎると、スケール表面の一部のヘマタイトがマグネタイトへと変化し、スケール表面における第1層の表面被覆率が低下し、レーザー切断性が損なわれる。一方、水冷停止温度が低すぎると、水冷中に熱応力によってスケールにき裂が発生し、水冷停止後に酸素がき裂に沿って侵入して、第2層が過剰に成長し、レーザー切断性が損なわれる。以上の観点から、前記水冷の停止温度は515~585℃とすることが好ましい。
更に、水冷完了後、第3層における共析変態を適度に進めるため、400~500℃の温度範囲における平均冷却速度を0.10~10.0℃/分に制限することが好ましい。平均冷却速度が過剰に小さいと、共析変態と並行してマグネタイトの成長が進み、ヘマタイトが侵食されて第1層が薄くなり、レーザー切断性が損なわれる。一方、平均冷却速度が過剰に大きいと、共析変態が十分に進まず、共析組織が部分的に生じ、スケールが不均質となってレーザー切断性が損なわれる。
本発明の実施形態に係る厚鋼板の製造方法では、400℃以下での鋼板の冷却条件は特に定めないが、水冷後に過度に保熱すると鋼板の靭性が損なわれる懸念があり、放冷ないし空冷することが好ましい。あるいは、水冷後ないし水冷中の鋼板をコイル状に巻き取り、更に、上記の製造方法の特徴を満たした上で、水冷、空冷、および/または放冷しても構わない。また、鋼板を冷却完了後、本発明の実施形態に係る厚鋼板の特徴を損なわない範囲で、焼戻処理を施しても構わない。
本発明の実施形態に係る厚鋼板の製造方法では、上記の加熱工程、熱間圧延工程、冷却工程に加えて、ホットレベラー等による平坦化工程を更に含んでいてもよい。
本発明の実施形態に係る厚鋼板の製造方法によって製造された厚鋼板は、鋼板と、前記鋼板の表面に形成されたスケールとを含み、前記スケールが表面から順にヘマタイトからなる第1層と、マグネタイトからなる第2層と、ウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる第3層とを有し、前記第1層の平均厚さが0.5~5.0μmであり、第1層による前記鋼板の表面被覆率が50%以上であり、前記第2層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの10~40%であり、前記第3層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの50%以上であり、前記第3層の厚さの板幅方向における偏差が0.40以下であり、かつ、前記第3層におけるウスタイトの平均粒径が15μm以下であるため、レーザー照射による入熱の吸熱性が安定化し、それによってレーザー切断作業におけるバーニングの発生を抑制または防止し、安定して任意の形状への切断を進めることができ、造成、建築、産業機械、橋梁等の構造物に供することができる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性および効果を確認するために採用する一条件例である。本発明は、これらの条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用しうる。
以下の実施例では、本発明の実施形態に係る厚鋼板を種々の条件下で製造し、得られた厚鋼板をレーザー切断した際のバーニングの発生の有無について調べた。
まず、表1に示す化学組成を有するスラブを用い、表2に示す条件で加熱工程、熱間圧延工程および冷却工程を実施することで、実施例および比較例を含む、実験例としての厚鋼板を得た。特に、実験例2、5、13、19、31、32、37、42および67は加熱完了からデスケーリングを施すまでの間に圧延材を誘導加熱によって再加熱し、圧延材温度を制御した実験例である。
[レーザー切断による評価]
得られた厚鋼板のレーザー切断性は、レーザー切断試験に供した際のバーニング発生の有無によって以下のようにして評価した。まず、500mm×500mmの寸法に切り出した厚鋼板に対し、以下の条件で照射するCO2レーザーによって100mm×100mmの小片の切断を実施するレーザー切断を行い、次いで同切断を3回行ってバーニングが発生しない物を「◎」、1回発生するものを「○」、2回発生するものを「△」、3回全てで発生するものを「×」とし、「◎」または「○」が得られた厚鋼板を、レーザー切断におけるバーニングの発生が抑制または防止され、それゆえレーザー切断性に優れた厚鋼板として、判断した。切断に供する厚鋼板の厚さは16mmとした。実験例のうち、板厚が16mmを超える厚鋼板はレーザーを照射する面と反対の面を研削して切断部の厚さを16mmとした。実験例のうち、板厚が16mmを下回る厚鋼板はレーザーを照射する面と反対の面を研削し、同じく表面を研削した同一の厚鋼板と研削面同士が重なるように積層し、板厚の合計が16mmとなるようにして切断した。その結果を表3に示す。
レーザー出力:3500W
周波数:500Hz
デューティ:75%
アシストガス圧力:15MPa
切断速度:750mm/分
表1~3に記載する実験例において、実験例10は、加熱工程におけるスラブの最高加熱温度が低く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、すなわち第3層の厚さの板幅方向における偏差が大きくなり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。一方、実験例29は、加熱工程におけるスラブの最高加熱温度が高く、同様にスケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例23は、加熱工程における加熱時間が短く、式(1)が満たされない場合であり、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。一方、実験例50は、加熱工程における加熱時間が長く、式(1)が満たされない場合であり、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例13は、デスケーリング前に熱間圧延を施す温度が低く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。また、実験例56は、デスケーリング前に熱間圧延を施す温度が高く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例28は、デスケーリング前に施す熱間圧延の累積圧下率が小さく、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。また、実験例22は、デスケーリング前に施す熱間圧延の累積圧下率が大きく、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例57は、デスケーリングを施す温度が低く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。一方、実験例5は、デスケーリングを施す温度が高く、スケールの第3層の厚さが不均質であり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例8は、1000℃以下で施す圧延の最大圧下率が小さく、スケールの第3層のウスタイトが粗大となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。実験例16は、1000℃以下で施す圧延の最大圧下率が大きく、スケールの第2層および第3層の厚さが本発明の範囲を逸脱し、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例61は、1000℃以下で施す圧延の累積圧下率が小さく、スケールの第3層のウスタイトが粗大となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例4は、最終圧延パスの圧延温度が低く、スケールの第2層の厚さが大きくなり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。また、実験例60は、最終圧延パスの圧延温度が高く、スケールの第3層のウスタイトが粗大となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例21および74は、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が短く、式(2)が満たされない場合であり、スケールの第1層あるいは第2層が十分に得られず、レーザー切断性が劣位となった比較例である。一方、実験例3および53は、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が長く、式(2)が満たされない場合であり、スケールの第1層および/または第2層の厚さが過剰となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例75は、水冷停止温度が低く、スケールの第2層の厚さが過剰となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。また、実験例9は、水冷停止温度が高く、スケールの第1層のスケール表面被覆率が小さく、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
実験例82は鋼板のSi含有量が過多であり、スケールの第3層の厚さが不均質となり、レーザー切断性が劣位となった比較例である。
上記の比較例を除く実験例、すなわち、実験例1、2、6、7、11、12、14、15、17~20、24~27、30~49、51、52、54、55、58、59、62~73および76~81は、本発明の実施例であり、レーザー切断におけるバーニングの発生が抑制または防止され、それゆえレーザー切断性に優れた厚鋼板が得られた。
10 厚鋼板
11 鋼板
12 スケール
13 第1層
14 第2層
15 第3層

Claims (7)

  1. 鋼板と、前記鋼板の表面に形成されたスケールとを含み、前記スケールが表面から順にヘマタイトからなる第1層と、マグネタイトからなる第2層と、ウスタイトからなるかまたはウスタイトおよびフェライトとマグネタイトの共析組織からなる第3層とを有し、前記第1層の平均厚さが0.5~5.0μmであり、前記第1層による前記鋼板の表面被覆率が50%以上であり、前記第2層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの10~40%であり、前記第3層の平均厚さが前記スケールの平均厚さの50%以上であり、前記第3層の厚さの板幅方向における偏差が0.40以下であり、かつ、前記第3層におけるウスタイトの平均粒径が15μm以下である、厚鋼板。
  2. 前記スケールの平均厚さが6~60μmである、請求項1に記載の厚鋼板。
  3. 前記鋼板が、質量%で、
    C:0.001~0.300%、
    Si:0.01~1.00%、
    Mn:0.10~2.50%、
    P:0.001~0.050%、
    S:0.0001~0.0100%、
    Al:0.001~0.200%、
    N:0.0150%以下、
    O:0.0050%以下、
    Cu:0~1.00%、
    Ni:0~2.00%、
    Cr:0~1.00%、
    Mo:0~1.00%、
    W:0~0.50%、
    Nb:0~0.500%、
    Ti:0~0.500%、
    V:0~1.000%、
    B:0~0.0100%、
    Sn:0~0.500%、
    Sb:0~0.500%、
    Ca:0~0.0100%、
    Mg:0~0.0100%、
    Hf:0~0.0100%、
    Te:0~0.0100%、
    Sr:0~0.0100%、
    REM:0~0.0100%、ならびに
    残部:Feおよび不純物からなる化学組成を有する、請求項1または2に記載の厚鋼板。
  4. 前記化学組成が、質量%で、
    Cu:0.01~1.00%、
    Ni:0.01~2.00%、
    Cr:0.01~1.00%、
    Mo:0.01~1.00%、
    W:0.003~0.50%、
    Nb:0.003~0.500%、
    Ti:0.003~0.500%、
    V:0.003~1.000%、
    B:0.0003~0.0100%、
    Sn:0.003~0.500%、
    Sb:0.003~0.500%、
    Ca:0.0003~0.0100%、
    Mg:0.0003~0.0100%、
    Hf:0.0003~0.0100%、
    Te:0.0003~0.0100%、
    Sr:0.0003~0.0100%、および
    REM:0.0003~0.0100%
    からなる群から選択される1種または2種以上を含む、請求項3に記載の厚鋼板。
  5. 第3層に占める前記共析組織の割合が20~80%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の厚鋼板。
  6. スラブを加熱する工程であって、前記スラブの表面温度が1050~1300℃となる最高加熱温度まで加熱し、1050℃以上を超えてから加熱工程完了までの経過時間が下記式(1)を満たすように制御される加熱工程、
    前記スラブを熱間圧延する工程であって、前記スラブの表面温度が1000~1100℃の温度範囲で累積圧下率が15~30%の圧延を施した後、得られた圧延材の表面温度が1000~1100℃の温度範囲で高圧水デスケーリングを施し、更に1000℃以下の温度域において1000℃に到達した時点の板厚に比して累積圧下率を30%以上とする圧延であって、2以上の圧延パスを含み、各圧延パスの圧下率が30%未満であり、少なくとも1つの圧延パスの圧下率が5%以上であり、最終圧延パスの圧延温度が800~950℃である圧延を施す熱間圧延工程、
    得られた鋼板を冷却する工程であって、熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間が下記式(2)を満たすように制御され、水冷停止温度を500~600℃とする冷却工程
    を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の厚鋼板の製造方法。
    1.0≦x10≦10.0 ・・・式(1)
    1=D1・D2・(T1 3+D31 2+D41+D5)・(T1-D60.5・{1-exp(D71+D8)}0.5・Δt0.5
    n=xn 2・D1 -2・D2 -2・(Tn+1 3+D3n+1 2+D4n+1+D5-2・(Tn+1-875)-1・{1-exp(D6n+1+D7)}-1
    n=D1・D2・(Tn 3+D3n 2+D4n+D5)・(Tn-D60.5・{1-exp(D7n+D8)}0.5・(tn-1+Δt0.5
    1=(1-0.850[C]-0.052[Si]-0.026[Mn]-0.065[Al])0.5
    nは、加熱工程においてスラブの表面温度が1050℃を超えてから加熱工程完了までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
    1はスラブの化学組成による影響を考慮したものであり、上記式中の[C]、[Si]、[Mn]および[Al]はスラブにおけるそれぞれの元素の含有量[質量%]であり、
    2、D3、D4、D5、D6、D7およびD8は定数であり、それぞれ8.66×10-10、-3.99×103、5.36×106、-2.32×109、8.75×102、-3.50×10-3および3.06×100であり、
    nは10等分した区間のn番目の領域における平均スラブ温度[℃]であり、
    Δtは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
    10は、上記計算式によりx1からx2、x3・・・と順に計算することで得られ、
    1.0≦y10≦10.0 ・・・式(2)
    1=E1・(1+E2・Mn)・exp{E31+E4/(J1+E5)}・Δk0.5
    n=yn 2・E1 -2・(1+E2・Mn)-2・exp{-2・E3n+1-2・E4/(Jn+1+E5)}
    n=E1・(1+E2・Mn)・exp{E3n+E4/(Jn+E5)}・(kn-1+Δk)0.5
    nは、冷却工程において熱間圧延工程完了から水冷開始までの経過時間を10等分し、各区間が完了した後のスケールの成長度合いを表す指標であり、nは10等分した区間のn番目に当たる計算であることを示し、
    1、E2、E3、E4およびE5は定数であり、それぞれ5.00×107、1.24×10-1、-9.56×10-3、-1.05×104および2.73×102であり、
    nは10等分した区間のn番目の領域における平均鋼板温度[℃]であり、
    Δkは前記経過時間の10分の1の時間[秒]であり、
    10は、上記計算式により、y1からy2、y3・・・と順に計算することで得られる。
  7. 水冷停止後、400~500℃の温度範囲における平均冷却速度を0.10~10.0℃/分とする、請求項6に記載の厚鋼板の製造方法。
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