JP2023122005A - 硬質金属部材の製造方法及び硬質金属部材並びにその原料粉末 - Google Patents

硬質金属部材の製造方法及び硬質金属部材並びにその原料粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化による硬質粒子(WC粒子)の劣化及び当該酸化に起因するボイド欠陥の形成を抑制することができる簡便かつ効率的な硬質金属部材の製造方法、及び当該製造方法によって得られる硬質金属部材、並びに当該製造方法に好適に使用することができる付加製造法用原料粉末を提供する。【解決手段】WC粒子を含む硬質粒子と、金属結合相と、を含有する混合粉末を原料とし、付加製造法によって金属基材の表面に硬質金属肉盛層を形成させる硬質金属部材の製造方法であって、高エネルギービーム照射によって混合粉末の溶融領域を形成すると共に、当該溶融領域に脱酸元素を添加し、当該脱酸元素が、溶融領域においてCOの標準生成自由エネルギー(ΔGCO)よりも低い標準生成自由エネルギーを有していること、を特徴とする硬質金属部材の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、金属基材の表面に硬質金属肉盛層を有する硬質金属部材の製造方法及び当該製造方法によって得られる硬質金属部材並びに当該製造方法に使用する原料粉末に関する。
従来、表面処理技術の一つとして、金属基材の表面に当該金属基材とは異なる高硬度材料を肉盛りすることにより、最表面の耐摩耗性等を向上させる技術が知られている。当該技術を用いた場合、硬質金属部材を高効率かつ安価に製造することができる。また、高硬度材料を用いて形成した表面の肉盛層が摩耗しても、基材は元の形状を保持できるため、当該基材に対して再度同様の肉盛りを行うことで、繰り返し使用することも可能である。
例えば、本発明者らも、特許文献1(特開2013-176778号公報)において、レーザを用いて金属基材表面に高硬度の肉盛層を形成するレーザクラッディング法を開示している。
上記特許文献1に記載のレーザクラッディング法においては、「Fe基材表面にクラッド材としてFe系の高速度工具鋼粉末を供給し、レーザビームの走査によってFe基材とクラッド材とを一体化するクラッディング工程と、クラッディング工程の後に全体を加熱しその後徐冷し、レーザ走査部分のビッカース硬度が700以上1000以下とする熱処理工程と、を含むことを特徴とするレーザクラッディング方法」によって、レーザクラッディング層の割れを抑制しつつ、硬度を高めることができる。
また、特許文献2(特開2009-214110号公報)においては、「軟鋼パイプと該軟鋼パイプ内に充填された超硬合金粒子からなる肉盛溶接材において、前記超硬合金粒子が銅のコーティングを施されていることを特徴とする硬装用肉盛溶接棒」、が開示されている。
一般的に行われている硬装肉盛りは、超硬粒子を軟鋼チューブに充填した溶接棒(硬装肉盛溶接棒)が用いられ、肉盛り溶接施工に際して、溶融した鉄(軟鋼チューブ)が超硬合金粒子組織中に侵入して超硬合金本来の優れた特性を劣化させるところ、上記特許文献2に記載の硬装用肉盛溶接棒においては、鉄は銅および銅合金と固溶体を作り難く、溶け合うことが無いという特性を利用して超硬合金粒子の周囲を銅で保護することで、鉄が超硬合金粒の内部に侵入することを防止できる、とされている。また、その結果、硬化肉盛層中での超硬粒子の分散性が優れ、超硬合金本来の性能を維持させ、溶融金属の微細空隙への侵入を容易にしてポアの減少を図ることで作業性を改善し、劣化の少ない超硬合金粒子によって形成された硬装肉盛層を得ることができる、とされている。
特開2013-176778号公報 特開2009-214110号公報
超硬合金は極めて優れた硬さと破壊靭性を有しており、適当な金属基材の表面に超硬合金層を形成させ、耐摩耗材料等として活用することが期待されている。しかしながら、超硬合金に大量に含まれる硬質粒子(WC粒子)は高温下で酸素と反応して劣化することに加え、当該反応によって生成するCOガスによって超硬合金中に多数のボイド欠陥が形成されてしまう。
これに対し、上記特許文献1に記載のレーザクラッディング方法は高速度工具鋼粉末を原料としてクラッディング層を形成させるものであり、超硬合金からなるクラッディング層を形成させるものではない。
また、上記特許文献2に記載の硬装用肉盛溶接棒は超硬合金からなる肉盛層を形成させるためのものであるが、硬質粒子(WC粒子)の酸化については考慮されていない。加えて、溶接肉盛に使用される溶接棒であり、より成形自由度の高いレーザクラッディング(レーザ粉体肉盛溶接)等の付加製造法に用いることはできない。
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、酸化による硬質粒子(WC粒子)の劣化及び当該酸化に起因するボイド欠陥の形成を抑制することができる簡便かつ効率的な硬質金属部材の製造方法、及び当該製造方法によって得られる硬質金属部材、並びに当該製造方法に好適に使用することができる付加製造法用原料粉末を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、硬質金属肉盛層の組成及び形成方法について鋭意研究を重ねた結果、付加製造中に形成される溶融領域に脱酸元素を添加すること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
WC粒子を含む硬質粒子と、金属結合相と、を含有する混合粉末を原料とし、付加製造法によって金属基材の表面に硬質金属肉盛層を形成させる硬質金属部材の製造方法であって、
高エネルギービーム照射によって前記混合粉末の溶融領域を形成すると共に、前記溶融領域に脱酸元素を添加し、
前記脱酸元素が、前記溶融領域においてCOの標準生成自由エネルギー(ΔGCO)よりも低い標準生成自由エネルギーを有していること、
を特徴とする硬質金属部材の製造方法、を提供する。
高エネルギービームは本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、付加製造法に用いることができる従来公知の種々の高エネルギービームを用いることができる。当該高エネルギービームとしては、例えば、レーザ、電子ビーム及びPTA(プラズマトランスファードアーク)等を用いることができるが、レーザを用いることが好ましい。
本発明の硬質金属部材の製造方法においては、脱酸元素によってWC粒子の酸化が抑制されるため、硬質金属肉盛層におけるWC粒子の劣化及びボイド欠陥の形成を極めて効果的に抑制することができる。
脱酸元素は溶融領域においてWCよりも優先的に酸化が進行する元素であればよく、具体的には、溶融領域においてCOの標準生成自由エネルギー(ΔGCO)よりも低い酸化物生成の標準生成自由エネルギーを有している元素を用いることができる。ここで、標準生成自由エネルギーの値は温度に依存するが、「超硬合金に使用されているCoやNi等の金属結合相が溶融する温度~高エネルギービーム照射で想定される溶融領域の最高温度」の温度範囲で検討すればよい。より具体的には、例えば、1500~2000℃の範囲における標準生成自由エネルギーを比較すればよい。
本発明の硬質金属部材の製造方法においては、前記脱酸元素を前記混合粉末に添加すること、が好ましい。溶融領域への脱酸元素の添加方法は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されないが、脱酸元素を混合粉末に予め添加しておくことで、効率的かつ簡便に溶融領域に添加することができる。また、脱酸元素を混合粉末に予め添加しておくことで、厚さ方向に多層の硬質金属肉盛層を形成させる場合であっても、脱酸元素の作用効果を一定に維持することができる。
その他、例えば、金属基材の表面に添加元素を配置してもよく、付加製造法を用いて添加元素からなる肉盛層を形成させてもよい。また、粉末を供給するノズル等を用いて、付加製造中に外部から添加元素を添加してもよい。更に、脱酸元素を含有する金属基材を選定することで、金属基材の脱酸元素を溶融領域に供給してもよい。
また、本発明の硬質金属部材の製造法においては、前記混合粉末を造粒粉とすること、が好ましい。造粒粉を用いることで各原料粉末の混合状態を均質化することができ、良好な硬質金属肉盛層を形成させることができる。また、脱酸元素を含有させる場合は当該脱酸元素を均一分散させることができ、硬質金属肉盛層におけるWC粒子の劣化及びボイド欠陥の形成をより確実に抑制することができる。
また、本発明の硬質金属部材の製造方法においては、前記硬質金属肉盛層を形成させる前記金属基材の表面に、前記脱酸元素を配置すること、が好ましい。上述のように、脱酸元素の添加方法は限定されないが、硬質金属肉盛層の所望の厚さが薄い場合(例えば、厚さ方向に1層又は2層程度の硬質金属肉盛層を形成させる場合)、特別な原料粉末を用いることなく簡便かつ効率的に硬質金属肉盛層におけるWC粒子の劣化及びボイド欠陥の形成を抑制することができる。
また、本発明の硬質金属部材の製造方法においては、前記硬質金属肉盛層を厚さ方向に多層の肉盛層とすること、が好ましい。本発明の硬質金属部材の製造方法においては、適当な脱酸元素の添加方法を選択することができるため、例えば、厚さ方向に3層以上の硬質金属肉盛層を形成させても当該脱酸元素の作用効果を発現させることができる。
更に、本発明の硬質金属部材の製造方法においては、前記脱酸元素がCa、Be、Mg、Ce、Al、Zr、Ti及びSiより選択される一種以上の元素であること、が好ましい。これらの元素は溶融領域においてWCよりも優先的に酸化が進行する元素であり、硬質金属肉盛層におけるWC粒子の劣化及びボイド欠陥の形成を抑制することができる。より好ましい脱酸元素はAl、Zr、Ti及びSiであり、最も好ましい脱酸元素はAlである。Alは溶融領域においてWCよりも優先的に酸化されるだけでなく、比較的安価かつ入手が容易であり、大量の原料粉末を要する場合であっても好適に用いることができる。
また、本発明は、
金属基材の表面に硬質金属肉盛層が形成され、
前記硬質金属肉盛層はWC粒子を含む硬質粒子、金属結合相及び脱酸元素を含有し、
前記脱酸元素がCa、Be、Mg、Ce、Al、Zr、Ti及びSiより選択される一種以上の元素であること、
を特徴とする硬質金属部材、も提供する。
本発明の硬質金属部材においては、硬質金属肉盛層の形成に際してWC粒子の酸化を抑制するために脱酸元素を用いており、当該脱酸元素が硬質金属肉盛層に含まれており、より具体的には、Ca、Be、Mg、Ce、Al、Zr、Ti及びSiより選択される一種以上の元素が含まれている。
金属結合相は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の金属結合相を用いることができ、例えば、CoやNiを用いることができる。また、硬質粒子にはWC粒子が含まれていればよく、従来公知の種々の硬質粒子を用いることができる。
また、本発明の硬質金属部材においては、前記硬質金属肉盛層の気孔率が5%以下であること、が好ましい。本発明の硬質金属部材は、脱酸元素によってボイド欠陥の形成が抑制されている。より好ましい気孔率は4%以下であり、最も好ましい気孔率は3%以下である。
更に、本発明は、
本発明の硬質金属部材の製造方法で使用する混合粉末であって、
WC粒子を含む硬質粒子、金属結合相及び脱酸元素を含有し、
前記脱酸元素がCa、Be、Mg、Ce、Al、Zr、Ti及びSiより選択される一種以上の元素であること、
を特徴とする付加製造法用原料粉末、も提供する。
本発明の付加製造法用原料粉末における各成分の含有量や粒径等は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、付加製造法によって得られる硬質金属肉盛層の所望の特性に応じて適宜調整すればよい。
また、本発明の付加製造法用原料粉末は、前記脱酸元素をAlとし、前記Alの含有量を0.1~2.0質量%とすること、が好ましい。Alの含有量を0.1質量%以上とすることで、硬質金属肉盛層におけるWC粒子の劣化及びボイド欠陥の形成を抑制することができる。また、Alの含有量を2.0質量%以下とすることで、Alと金属基材(Fe)との反応によって形成する脆い金属間化合物の形成を抑制でき、当該金属間化合物の形成に起因する硬質金属肉盛層の割れを抑制することができる。
また、本発明の付加製造法用原料粉末は、造粒粉とすることが好ましい。造粒粉を用いることで各原料粉末の混合状態を均質化することができ、良好な硬質金属肉盛層を形成させることができる。また、脱酸元素を含有させる場合は当該脱酸元素を均一分散させることができ、硬質金属肉盛層におけるWC粒子の劣化及びボイド欠陥の形成をより確実に抑制することができる。ここで、造粒粉の形状、粒径及び粒度分布は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、付加製造法に用いる装置及び溶接条件や得られる硬質金属肉盛層の所望の特性に応じて適宜調整すればよい。
本発明によれば、酸化による硬質粒子(WC粒子)の劣化及び当該酸化に起因するボイド欠陥の形成を抑制することができる簡便かつ効率的な硬質金属部材の製造方法、及び当該製造方法によって得られる硬質金属部材、並びに当該製造方法に好適に使用することができる付加製造法用原料粉末を提供することができる。
同軸クラッディングトーチを用いて硬質金属肉盛層を形成させる場合の概略図である。 各種酸化物の標準生成自由エネルギーと温度の関係を示すグラフである。 本発明の硬質金属部材の一態様を示す概略断面図である。 実施例1におけるレーザ粉体肉盛溶接の模式図である。 実施例1で得られた硬質金属肉盛層の断面写真である。 実施例1で金属基材に直接形成させた硬質金属肉盛層の断面写真である。 実施例1において各レーザ出力で得られた硬質金属肉盛層の断面写真である。 実施例1において各レーザ出力で金属基材に直接形成させた硬質金属肉盛層の断面写真である。 実施例1における硬質金属肉盛層の気孔率とレーザ出力の関係を示すグラフである。 実施例1で得られた硬質金属肉盛層のSEM写真である。 実施例1で金属基材に直接形成させた硬質金属肉盛層のSEM写真である。 実施例1で得られた硬質金属肉盛層のSEM-EDS分析結果である。 実施例1で得られた硬質金属肉盛層のXRDパターンである。 実施例1で得られた硬質金属肉盛層と金属基材の接合界面のSEM写真である。 実施例1で金属基材に直接形成させた硬質金属肉盛層と金属基材の接合界面のSEM写真である。 実施例2におけるレーザ粉体肉盛溶接の模式図である。 実施例2で得られた硬質金属肉盛層の外観写真及び断面写真である。 実施例2で得られた硬質金属肉盛層の断面におけるビッカース硬度分布である。 実施例3で得られた硬質金属肉盛層の外観写真及び断面写真である。 実施例4で得られた硬質金属肉盛層の断面写真である。 実施例4で金属基材に直接形成させた硬質金属肉盛層の断面写真である。 実施例5で得られた硬質金属肉盛層の断面写真である。 実施例5で得られた硬質金属肉盛層のSEM写真である。 実施例6で得られた造粒粉のSEM写真及びSEM-EDS分析結果である。 実施例6で得られた各硬質金属肉盛層の断面写真である。
以下、図を参照しながら、本発明の硬質金属部材の製造方法及び硬質金属部材並びにその原料粉末の代表的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は図示されるものに限られるものではなく、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて比や数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。
1.硬質金属部材の製造方法
付加製造法の一態様として、同軸クラッディングトーチを用いたレーザ粉体肉盛溶接の場合について説明する。
(1)付加製造方法
図1は同軸クラッディングトーチを用いて硬質金属肉盛層を形成させる場合の概略図である。レーザ加工ヘッド11は中心軸に沿って中空のレーザ光路11aを形成しており、レーザ光12がこの光路に沿って内部を進行する。具体的には、レーザ光12がレーザ加工ヘッド11の入射口11bから入射し、ミラー21により鉛直下方に反射して凸レンズ22まで到達する。凸レンズ22に到達したレーザ光12は集光されてレーザ加工ヘッド11の下端の照射口11dから照射される。そして、レーザ光12は光軸11c上でレーザ加工ヘッド12の下端直下が集光点となって又はディフォーカスされて金属基材13の表面上に照射される。このとき金属基材13は、従来のレーザ粉体肉盛溶接と同様にレーザ光12の照射面が溶かされて液体化した溶融池13aを形成する。
レーザ加工ヘッド11は、レーザ光路11aと同軸(光軸11cと同軸(共軸))に中心軸側から順に、原料粉末15を下方に送り出す原料粉末供給管14と、冷却水20を下方に送り出す冷却水供給管19と、不活性ガス18を下方に送り出すシールドガス供給管17と、が設けられている。詳細には、まず水平平面においてレーザ光路11aの同心円状外側に原料粉末供給管14が配置されており、上端からレーザ光12の集光に倣って光軸11c側に収束し、レーザ加工ヘッド11の下端の照射口11d近傍まで連通している。
図示しないが、原料粉末供給管14は、水平平面において所定の角度ごとに配置された1以上の管であっても良く、周全体につながった環状の管であっても良い。したがって、原料粉末供給管14は、その上端から原料粉末15を流入し、レーザ光12が金属基材13の表面上に照射される位置すなわち金属基材13表面の溶融池13aに放出する。放出された原料粉末15はレーザ光12と金属基材13の溶融池13aとで入熱され、レーザ加工ヘッド11の移動方向(矢印Y参照)の後側の金属基材13の表面に硬質金属肉盛層16を形成する。
とりわけ、同軸クラッディングトーチを用いたレーザ粉体肉盛溶接ではレーザ光12の焦点等と原料粉末15との両者ともに1つのレーザ加工ヘッド11の下端から放出されるため、レーザ光12の照射位置(溶融池13aの位置)と原料粉末15の放出位置との位置決め制御を行う必要がない。したがって、レーザ加工ヘッド11が金属基材13の表面を走査しても硬質金属肉盛層16の厚さ等を制御し易く加工プロセス回数も軽減できる点で有利である。
また、水平平面におけるレーザ光路11aに対して原料粉末供給管14より同心円状外側(同軸外側)にはシールドガス供給管17が配置されており、その上端からレーザ光12の集光に倣って光軸11c側に収束し、レーザ加工ヘッド11の下端の照射口11d近傍まで連通している。したがって、シールドガス供給管17はその上端から流入したアルゴンガス等の不活性ガス18を下端で放出する。放出された不活性ガス18は原料粉末15(ひいては硬質金属肉盛層16)に吹き付けられるため、硬質金属肉盛層16が金属基材13の表面に堆積されながら即に酸化防止処理を施すこととなる。このシールドガス供給管17は硬質金属肉盛層16の酸化防止可能な程度の量の不活性ガス18を吹き付けられるものであれば良く、複数の管や周全体につながった環状の管などが考えられる。
さらに、シールドガス供給管17の同心円状外側には冷却水供給管19が配置されており、その上端からレーザ加工ヘッド11の下端から所定距離上方に位置まで連通している。なお、この冷却水供給管19はレーザ加工ヘッド11の必須部品ではなく、レーザ加工ヘッド11の冷却機能である。
用いるレーザの種類、レーザ出力、レーザ焦点サイズ、走査速度及び走査パターン等は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、硬質金属肉盛層16の所望の形状、大きさ及び機械的性質等に応じて適宜調整すればよい。
本発明の硬質金属部材の製造方法における最大の特徴は、溶融池13aに脱酸元素を添加し、WC粒子の酸化を抑制することにある。溶融池13aに脱酸元素を添加する方法は特に限定されないが、脱酸元素を原料粉末15に添加することが好ましい。脱酸元素を原料粉末15に予め添加しておくことで、効率的かつ簡便に溶融池13aに脱酸元素を添加することができる。また、脱酸元素を原料粉末15に予め添加しておくことで、厚さ方向に多層の硬質金属肉盛層を形成させる場合であっても、脱酸元素の作用効果を一定に維持することができる。
その他、例えば、金属基材13の表面に添加元素を配置してもよく、付加製造法を用いて添加元素からなる肉盛層を形成させてもよい。また、粉末を供給するノズル等を用いて、付加製造中に外部から添加元素を添加してもよい。更に、脱酸元素を含有する金属基材13を選定することで、金属基材の脱酸元素を溶融池13aに供給してもよい。
原料粉末15として脱酸元素を含む粉末を用いることで、硬質金属肉盛層16を形成させるための予備処理として、金属基材13の表面に脱酸元素を含む肉盛層を形成させることができる。また、金属基材13の表面に脱酸元素を含むワイヤーや粉末等を配置し、当該領域にレーザ光12を照射してもよい。即ち、硬質金属肉盛層16の形成とその予備処理を同一の装置で担うことができる。
(2)原料粉末
硬質金属肉盛層16の原料粉末15は、WC粒子を含む硬質粒子と金属結合相とを含有する混合粉末である。
当該混合粉末には、脱酸元素を添加することが好ましい。脱酸元素は溶融領域においてWCよりも優先的に酸化が進行する元素であればよく、具体的には、溶融領域においてCOの標準生成自由エネルギー(ΔGCO)よりも低い酸化物生成の標準生成自由エネルギーを有している元素を用いることができる。図2に金属データブックに記載されている各種酸化物の標準生成自由エネルギーと温度の関係を示す。「超硬合金に使用されているCoやNi等の金属結合相が溶融する温度~高エネルギービーム照射で想定される溶融領域の最高温度」の温度範囲(1500~2000℃の範囲)において、脱酸元素としてCa、Be、Mg、Ce、Al、Zr、Ti及びSiを使用できることが分かる。
脱酸元素、WC粒子を含む硬質粒子及び金属結合相の含有量や粒径等は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、付加製造法によって得られる硬質金属肉盛層16の所望の特性に応じて適宜調整すればよい。
ここで、脱酸元素はAlとし、当該Alの含有量を0.1~2.0質量%とすることが好ましい。Alの含有量を0.1質量%以上とすることで、硬質金属肉盛層16におけるWC粒子の劣化及びボイド欠陥の形成を抑制することができる。また、Alの含有量を2.0質量%以下とすることで、Alと金属基材13との反応によって形成する脆い金属間化合物の形成を抑制でき、当該金属間化合物の形成に起因する硬質金属肉盛層16の割れを抑制することができる。
WC粒子以外の硬質粒子は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、超硬合金やサーメットに使用されている従来公知の種々の硬質粒子を用いることができる。例えば、周期律表のIVa、Va、VIa金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、ホウ化物及び酸化物等の硬質粒子を用いることができる。より具体的には、例えば、WC、TiC、VC、MoC、ZrC、HfC、NbC、TaC、Cr、SiC、Si及びTiB等を用いることができる。
金属結合相の種類は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、超硬合金やサーメットに使用されている従来公知の種々の金属結合相を用いることができ、例えば、Co及びNiを好適に用いることができる。
また、原料粉末15は造粒粉とすることが好ましい。造粒粉を用いることで各原料粉末の混合状態を均質化することができ、良好な硬質金属肉盛層16を形成させることができる。また、脱酸元素を含有させる場合は当該脱酸元素を均一分散させることができ、硬質金属肉盛層16におけるWC粒子の劣化及びボイド欠陥の形成をより確実に抑制することができる。ここで、造粒粉の形状、粒径及び粒度分布は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、付加製造法に用いる装置及び溶接条件や得られる硬質金属肉盛層16の所望の特性に応じて適宜調整すればよい。
2.硬質金属部材
図3に本発明の硬質金属部材の一態様を示す概略断面図を示す。硬質金属部材21は、
金属基材13の表面に硬質金属肉盛層16が形成されたものである。硬質金属肉盛層16は金属基材13の全ての領域に形成されている必要はなく、任意の領域に形成されていればよい。
硬質金属肉盛層16はWC粒子を含む硬質粒子及び金属結合相を有し、更に、脱酸元素(Ca、Be、Mg、Ce、Al、Zr、Ti及びSi)を含有していることを特徴としている。脱酸元素としてAlを用いた場合、当該Alはアルミナとして硬質金属肉盛層16に分散しており、Al含有量は0.1~2.0質量%であることが好ましい。
脱酸元素によってWC粒子の酸化が抑制されていることから、硬質金属肉盛層16はボイド欠陥が極めて少ない緻密な状態となっている。硬質金属肉盛層16の気孔率は5%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、3%以下であることが最も好ましい。
また、脱酸元素としてAlを用いた場合であっても、金属基材13と硬質金属肉盛層16の接合界面に当該Al添加に起因する金属間化合物層が形成していないことが好ましい。具体的には、Alを添加しない原料粉末15を用いて硬質金属肉盛層16を形成させた場合と同様の接合界面となっていることが好ましい。
WC粒子を含む硬質粒子及び金属結合相の種類や含有量は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、硬質金属肉盛層16の所望の特性に応じて適宜調整すればよい。
WC粒子以外の硬質粒子は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、超硬合金やサーメットに使用されている従来公知の種々の硬質粒子とすることができる。例えば、周期律表のIVa、Va、VIa金属の炭化物、窒化物または炭窒化物等の硬質粒子とすることができる。より具体的には、例えば、WC、TiC、VC、MoC、ZrC、HfC、NbC、TaC、Cr、SiC、Si及びTiB等を用いることができる。
硬質金属肉盛層16の厚さは特に限定されないが、厚さ方向に多層の肉盛層とすることが好ましい。硬質金属肉盛層16が厚さ方向に3層以上の肉盛層で形成されている場合であっても、ボイド欠陥が少ない緻密な状態となっている。
金属基材13は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の金属基材を用いることができるが、表面に形成させる硬質金属肉盛層16との密着性、機械的性質及び価格等の観点から、鋼材を用いることが好ましく、例えば、工具鋼や軸受鋼等を好適に用いることができる。より具体的には、金属基材13として、例えば、中炭素鋼材(S45C等)、クロムモリブデン鋼鋼材、合金工具鋼鋼材、高炭素クロム軸受鋼鋼材、ステンレス鋼材等を用いることができる。
3.付加製造法用原料粉末
本発明の付加製造法用原料粉末は、本発明の硬質金属部材の製造方法に好適に使用できるものであり、上記の「(2)原料粉末」で記載された特徴を有している。
付加製造法用原料粉末の製造方法は本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の粉末製造方法を用いることができる。
以下、実施例において本発明の硬質金属部材の製造方法及び硬質金属部材並びにその原料粉末について更に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
《実施例1》
図1に示す同軸クラッディングトーチを用いて、ステンレス鋼(SUS304)基材の表面に硬質金属肉盛層を形成させた。原料粉末にはGTV社製のWC-Co造粒粉(WC:88質量%、Co:12質量%、粒径:45~90μm)を用い、レーザ粉体肉盛溶接条件はレーザ出力:1400W、レーザ走査速度:5mm/s、原料粉末供給速度:10g/minとした。レーザには半導体レーザを用いた。また、付加製造法はアルゴンチャンバー内で実施し、当該チャンバー内の酸素は~100ppmとした。
レーザ粉体肉盛溶接の前処理として、硬質金属肉盛層を形成させるステンレス鋼基材の表面にファイバーレーザを用いて線状の溝を加工し、当該溝にφ0.5mmの純アルミニウムワイヤーを配置した。次に、純アルミニウムワイヤーを配置した領域にレーザ出力:1800W、レーザ走査速度:3mm/sの条件で半導体レーザを照射し、ステンレス鋼基材の表面をAl合金化させた後、研磨を施して被処理領域を形成させた。
図4に示すように被処理領域に対して1パスのレーザ粉体肉盛溶接を行い、硬質金属肉盛層を形成させた。得られた硬質金属肉盛層の断面写真を図5に示す。また、比較として、被処理領域を形成させることなくステンレス鋼基材の表面に1パスのレーザ粉体肉盛溶接を直接行って得られた硬質金属肉盛層の断面写真を図6に示す。ステンレス鋼基材の表面にAlを添加した場合は緻密な硬質金属肉盛層が形成しているのに対し、Alを添加しない場合は多数のボイド欠陥が形成していることが分かる。
レーザ出力を1200W、1400W、1600Wとして、被処理領域に対して1パスのレーザ粉体肉盛溶接を行って得られた硬質金属肉盛層の断面写真を図7に示す。また、同様のレーザ粉体肉盛溶接条件を用いて被処理領域を形成させることなくステンレス鋼基材の表面に1パスのレーザ粉体肉盛溶接を直接行って得られた硬質金属肉盛層の断面写真を図8に示す。全てのレーザ出力において、Alを添加することによる顕著なボイド欠陥の抑制効果が認められる。
図7及び図8に示す各硬質金属肉盛層について、断面光学顕微鏡写真の画像解析によって気孔率を測定した。より具体的には、解析ソフトImageJを使用し、肉盛層のピクセル数とポアのピクセル数の比から面積率を算出して気孔率とした。得られた気孔率とレーザ出力の関係を図9に示す。Alを添加しない場合の気孔率はレーザ出力1400W以上では20%以上となっているのに対し、Alを添加した場合の気孔率は全ての条件で5%以下となっている。
レーザ出力1400Wで得られた硬質金属肉盛層のミクロ組織について、Alを添加した場合及びAlを添加しなかった場合の走査電子顕微鏡(SEM)写真を図10及び図11にそれぞれ示す。Alを添加しなかった場合はWC粒子が粗大化しており、有害相(WC相)の生成が認められる。一方で、Alを添加した場合は微細なWC粒子が均一分散しており、有害相(WC相)の生成も認められない。
レーザ出力1400WでAlを添加して得られた硬質金属肉盛層のSEM-EDS分析結果を図12に示す。硬質金属肉盛層には微細なアルミニウム酸化物が分散していることが確認できる(元素マッピングの矢印)。また、金属基材のAl合金化領域及び硬質金属肉盛層のAl含有量を測定したところ、それぞれ0.8質量%及び0.5質量%であった。
原料粉末及びレーザ出力1400Wで得られた硬質金属肉盛層(Alを添加した場合及び添加しない場合)に対してXRD測定を行った。得られたXRDパターンを図13に示す。Alを添加して得られた硬質金属肉盛層の構成相は原料粉末から大きく変化してないことが分かる。また、Al添加に起因するAl系化合物は検出されなかった。一方で、Alを添加しない場合は図中に◆で示す有害相(WC相)に起因するピーク強度が大きくなり、WC粒子の劣化が進行していることが分かる。
レーザ出力を1400Wとした場合の硬質金属肉盛層と金属基材の接合界面に関して、Alを添加した場合及び添加しない場合のSEM観察結果を図14及び図15にそれぞれ示す。Alを添加した場合にアルミニウム酸化物(図中の矢印)が観察されること以外は大きな差異は認められず、Alを添加したことによる金属間化合物層の形成等は確認されなかった。
《実施例2》
図16に示すように被処理領域に対して1パスのレーザ粉体肉盛溶接を行ったこと以外は実施例1と同様にして、硬質金属肉盛層を形成させた(レーザ出力:1400W)。得られた硬質金属肉盛層の外観写真及び断面写真を図17に示す。Alを添加した被処理領域に形成した硬質金属肉盛層は緻密化されているのに対し、金属基材に直接形成させた硬質金属肉盛層には多数のボイド欠陥が形成していることが分かる。
図17に示す硬質金属肉盛層断面について、マイクロビッカース硬度測定を行った(測定荷重:300gf)。得られた結果を図18に示す。硬質金属肉盛層の硬度は大きく変化しておらず、Alの添加による顕著な影響は認められない。当該結果は、Alの添加によって超硬合金の特性を損なうことなくボイド欠陥を低減できることを示している。
《実施例3》
脱酸元素をZrとしたこと以外は実施例2と同様にして、硬質金属肉盛層を形成させた。得られた硬質金属肉盛層の外観写真及び断面写真を図19に示す。Zrを添加した被処理領域に形成した硬質金属肉盛層は緻密化されているのに対し、金属基材に直接形成させた硬質金属肉盛層には多数のボイド欠陥が形成していることが分かる。また、実施例1と同様にして硬質金属肉盛層の気孔率を測定したところ、Zrを添加した被処理領域に形成した硬質金属肉盛層の気孔率は1.9%、基材に直接形成させた硬質金属肉盛層の気孔率は25.7%であった。
《実施例4》
原料粉末にはGTV社製のWC-Ni造粒粉(WC:88質量%、Ni:12質量%、粒径:45~90μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬質金属肉盛層を形成させた(レーザ出力:1600W)。得られた硬質金属肉盛層の断面写真を図20に示す。また、比較として、被処理領域を形成させることなくステンレス鋼基材の表面にレーザ粉体肉盛溶接を直接施した場合の硬質金属肉盛層の断面写真を図21に示す。金属結合相がNiの場合であっても、Alの添加によって硬質金属肉盛層のボイド欠陥が顕著に抑制されていることが分かる。
《実施例5》
金属基材に約0.8質量%のAlを含有するSACM645基材を用い、Alを追加で添加することなく、SACM645基材にレーザ粉体肉盛溶接を直接施した。レーザ粉体肉盛溶接の処理条件及び原料粉末は実施例1と同様である(レーザ出力:1600W)。
1パスのレーザ粉体肉盛溶接を施した場合、厚さ方向に2パスのレーザ粉体肉盛溶接を重畳させた場合、及び厚さ方向に3パスのレーザ粉体肉盛溶接を重畳させた場合の硬質金属肉盛層の断面写真を図22に示す。2層目まではAlの供給によってボイド欠陥の形成が抑制されているが、3層目にはボイド欠陥が形成されている。
図22に示す3パスのレーザ粉体肉盛溶接を重畳させた場合の硬質金属肉盛層断面のSEM写真を図23に示す。図23に示す1層目、2層目及び3層目についてEDS分析を行い、Alの含有量を測定したところ、1層目:0.235質量%、2層目:0.159質量%、3層目:0.089質量%であった(SACM645基材:0.845質量%)。当該結果は、ボイド欠陥の抑制には、少なくとも0.1質量%以上のAlの添加が必要であることを示している。
《実施例6》
WC-Co造粒粉(WC:88質量%、Co:12質量%、粒径:15~45μm)に直径約3μmのAl粒子を混合して造粒し、Al含有量が0.5質量%、1.0質量%、2.5質量%の造粒粉を得た。造粒粉は原料粉末を手混合した後、PVA水溶液をバインダーとして噴霧し、乾燥及び分級することで製造した。
得られた造粒粉(Al含有量:1.0質量%)のSEM写真及びSEM-EDSマッピングを図24に示す。略球状のWC-Co造粒粉と微細なAl粒子からなる造粒粉が得られていることが分かる。
得られた各造粒粉を原料粉末として用い、金属基材にAlを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、硬質金属肉盛層を形成させた(レーザ出力:1600W)。
得られた各硬質金属肉盛層の断面写真を図25に示す。全ての硬質金属肉盛層においてAl添加による緻密化が認められる。一方で、造粒粉のAl含有量を2.5質量%とした場合、硬質金属肉盛層に割れが認められる。当該結果は、硬質金属肉盛層の割れを抑制するためには、造粒粉のAl含有量の上限値を2.0質量%程度にする必要があることを示している。
11・・・レーザ加工ヘッド、
11a・・・レーザ光路、
11b・・・入射口、
11c・・・光軸、
12・・・レーザ光、
13・・・金属基材、
13a・・・溶融池、
14・・・原料粉末供給管、
15・・・原料粉末、
16・・・硬質金属肉盛層、
17・・・シールドガス供給管、
18・・・不活性ガス、
19・・・冷却水供給管、
20・・・冷却水、
21・・・硬質金属部材。

Claims (10)

  1. WC粒子を含む硬質粒子と、金属結合相と、を含有する混合粉末を原料とし、付加製造法によって金属基材の表面に硬質金属肉盛層を形成させる硬質金属部材の製造方法であって、
    高エネルギービーム照射によって前記混合粉末の溶融領域を形成すると共に、前記溶融領域に脱酸元素を添加し、
    前記脱酸元素が、前記溶融領域においてCOの標準生成自由エネルギー(ΔGCO)よりも低い標準生成自由エネルギーを有していること、
    を特徴とする硬質金属部材の製造方法。
  2. 前記脱酸元素を前記混合粉末に添加すること、
    を特徴とする請求項1に記載の硬質金属部材の製造方法。
  3. 前記混合粉末を造粒粉とすること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の硬質金属部材の製造方法。
  4. 前記硬質金属肉盛層を形成させる前記金属基材の表面に、前記脱酸元素を配置すること、
    を特徴とする請求項1~3のうちのいずれかに記載の硬質金属部材の製造方法。
  5. 前記硬質金属肉盛層を厚さ方向に多層の肉盛層とすること、
    を特徴とする請求項1~4のうちのいずれかに記載の硬質金属部材の製造方法。
  6. 前記脱酸元素をAlとすること、
    を特徴とする請求項1~5のうちのいずれかに記載の硬質金属部材の製造方法。
  7. 金属基材の表面に硬質金属肉盛層が形成され、
    前記硬質金属肉盛層はWC粒子を含む硬質粒子、金属結合相及び脱酸元素を有し、
    前記脱酸元素がCa、Be、Mg、Ce、Al、Zr、Ti及びSiより選択される一種以上の元素であること、
    を特徴とする硬質金属部材。
  8. 前記硬質金属肉盛層の気孔率が5%以下であること、
    を特徴とする請求項7に記載の硬質金属部材。
  9. 請求項1~6に記載の硬質金属部材の製造方法で使用する混合粉末であって、
    WC粒子を含む硬質粒子、金属結合相及び脱酸元素を含有し、
    前記脱酸元素がCa、Be、Mg、Ce、Al、Zr、Ti及びSiより選択される一種以上の元素であること、
    を特徴とする付加製造法用原料粉末。
  10. 前記脱酸元素をAlとし、
    前記Alの含有量を0.1~2.0質量%とすること、
    を特徴とする請求項9に記載の付加製造法用原料粉末。
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