JP2023081861A - ポリプロピレン系樹脂組成物及び当該組成物の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物及び当該組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インフレーション成形によって製造されるポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムの強度の不十分、当該フィルムの透明性の低さもしくは当該フィルムの印刷高級感を損なう表面粗さの改善などを改善することである。【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂(X)と、ポリプロピレン系樹脂(Y)とを含有するポリプロピレン系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物及び当該組成物からなるフィルムの製造方法に関する。
特許文献1は、メタロセン化合物を用いたプロピレン-α-オレフィンランダム共重合体及び造核剤を含有する空冷インフレーション成形によって製造されるポリプロピレンフィルムを開示する。
特許文献2は、メタロセン化合物を用いた融点110~155℃のプロピレン-α-オレフィン共重合体及び分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含有する空冷インフレーション成形によって製造されるポリプロピレンフィルムを開示する。
しかしながら、従来技術によるインフレーション成形によって製造されるポリプロピレンフィルムは、強度が不十分であり、フィルムの透明性が低く、フィルムに印刷した際に表面粗さによる高級感を損なうという問題があった。
特開2004-182967号 特開2014-132068号
本発明が解決しようとする課題は、インフレーション成形によって製造されるポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムの強度の不十分、当該フィルムの透明性の低さもしくは当該フィルムの印刷高級感を損なう表面粗さの改善、またはこれらのうち複数を改善することである。
本発明において課題を解決するための手段を反映した態様には、以下の態様がある。
態様1は、
ポリプロピレン系樹脂(X)とポリプロピレン系樹脂(Y)の合計質量を100質量%として、
(1)下記特性(1-i)~(1-v):
(1-i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が10~70g/10分である
(1-ii)Mw/Mnが2.0~5.0である
(1-iii)W1Mが0.5~4.0質量%である
(1-iv)g’が0.70~0.95である
(1-v)(mm)が95%以上である
を有する1~60質量%のポリプロピレン系樹脂(X)と、
(2)下記特性(2-i):
(2-i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が0.1以上10未満g/10分以下である
を有する40~99質量%のポリプロピレン系樹脂(Y)とを
含有するポリプロピレン系樹脂組成物である。
態様2は、
プロピレン系樹脂(Y)が、ホモポリマーである、態様1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物である。
態様3は、態様1に記載のポリプロピレン系樹脂(X)と、態様1に記載のポリプロピレン系樹脂(Y)とをドライブレンドする工程を含むポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法である。
態様4は、
インフレーション法による、態様1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムの製造方法である。
態様5は、
インフレーション法が空冷インフレーション法である、態様4に記載のフィルムの製造方法である。
本開示において、「Mw/Mn」は、重量平均分子量(以下、「Mw」という。)を数平均分子量(以下、「Mn」という。)で割って得た値を意味する。
本開示において、「W1M」は、分子量が100万以上の成分の割合を意味する。
本開示において、「MT230℃」は、230℃での単位gfで表記する溶融張力を意味する。
本開示において、「MFR」は、メルトフローレートを意味する。
本開示において、「ドライブレンド」は、溶媒を添加せずに、複数の樹脂を混合することを意味する。
本開示において、「g’」は、
[η]br/[η]lin
で求めた値である。ここで、[η]brは長鎖分岐構造を有するポリマー(この式の説明では、「br」という。)の固有粘度であり、[η]linは、brと同じ分子量を有する同種の直鎖状高分子ポリマーの固有粘度[η]linである。g’は、長鎖分岐構造が多いほど、小さな値をとる。
g’の解説が、「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に、記載されている。
本開示において、「(mm)」は、ポリプロピレン系樹脂(X)中のプロピレン単位3連鎖中各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるであるものの割合である。
本開示において、「Mw/Mn」は、重量平均分子量(以下、「Mw」という。)を数平均分子量質量分布(以下、「Mn」という。)で割って得られる分子量の分布を示す数値である。
本開示において、「Mz/Mw」は、z平均分子量(以下、「Mz」という。)をMwで割って得られる分子量の分布を示す数値である。
本開示において、特記のない限り、ポリプロピレン系樹脂(X)及びポリプロピレン系樹脂(Y)についての樹脂組成物中の含有量は、ポリプロピレン系樹脂(X)とポリプロピレン系樹脂(Y)との合計質量を100質量%としたときの、質量比で表す。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物
1-1.ポリプロピレン系樹脂(X)
ポリプロピレン系樹脂組成物のインフレーション成形のしやすさから、ポリプロピレン系樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂(X)のMFR(230℃、荷重2.16kgf)は、10~70g/10分が好ましく、10~50g/10分がより好ましく、10~30g/10分が最も好ましい。
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、(i)ポリプロピレン系樹脂の重合の際の温度および/または圧力の変更および/または(ii)ポリプロピレン系樹脂の重合の際に水素そのほかの連鎖移動剤をモノマーに添加することで、調整できる。
ポリプロピレン系樹脂組成物のインフレーション成形のしやすさから、ポリプロピレン系樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂(X)のMw/Mnは、2.0~5.0が好ましく、2.1~4.6がより好ましく、2.2~4.2がさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(X)のMw、MnおよびMw/Mnは、重合の温度や圧力の変更、水素そのほかの連鎖移動剤を重合時に添加およびその量、および/または当該重合の際の触媒の種類及び個々の触媒量の比率で調整できる。
ポリプロピレン系樹脂組成物のインフレーション成形のしやすさから、ポリプロピレン系樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂(X)のMwは、16.0万~28.0万が好ましく、17.0万~26.0万がより好ましく、18.0万~24.0万がさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂組成物のインフレーション成形のしやすさおよび/またはフィッシュアイの発生低減その他の外観改良のため、ポリプロピレン系樹脂(X)のW1Mは、0.5~4.0質量%が好ましく、1.0~3.5質量%がより好ましく、1.5~3.0質量%がさらに好ましい。
ポリマーのW1Mは、重合時に使用するより高分子量のポリマーが得られる触媒と、重合時に使用するより低分子量のポリマーが得られる触媒の比率の調整、重合時に添加する水素量、重合時の反応温度を調整することで、調整できる。
インフレーション法によって作製するフィルムの品質向上のため、ポリプロピレン系樹脂(X)のg’は、0.70~0.95好ましく、0.72~0.90がより好ましく、0.75~0.88がさらに好ましく、0.80~0.85が特に好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(X)の長鎖分岐を多く導入することにより、g’を0.80~0.85付近に誘導できる。ポリプロピレン系樹脂(X)の重合の際、メタロセン系触媒の選択、当該触媒の組み合わせおよび/または当該触媒の量の比ならびに当該重合の際の予備重合条件の制御により、ポリプロピレン系樹脂(X)の長鎖分岐を多く導入できる。
ポリプロピレン系樹脂(X)を含むインフレーション成形フィルムの対候性を向上させるために、当該ポリプロピレン系樹脂(X)の(mm)は、95%以上が好ましく、96%以上がより好ましい。
高結晶性の重合体の製造を可能にする重合触媒を用いることで、製造されるポリプロピレン系樹脂(X)の(mm)を、95%以上にさせることができる。当該重合触媒は、メタロセン系触媒が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(X)の製造方法
高い立体規則性、比較的広い分子量分布、g’、高い溶融張力等の条件を調整できるため、ポリプロピレン系樹脂(X)の重合において、メタロセン触媒の組み合わせを利用したマクロマー共重合法が、好ましい。特開2009-57542号公報に、当該マクロマー共重合法の例が、記載されている。
ポリプロピレン系樹脂(X)は、フィルム強度とコストとの観点からプロピレン単独重合体が好ましい。プロピレン単独重合体は、プロピレンモノマーを単独重合して得てもよい。
ポリプロピレン系樹脂(X)の形状は、パウダー状および粒子状などであってもよい。
ここで粒子状のポリプロピレン系樹脂(X)は、ポリプロピレン系樹脂(X)の造粒物を含む。
付加的成分の混合によるポリプロピレン系樹脂(X)の製造は、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、混練機および/またはタンブラーブレンダー等を利用できる。造粒物の製造は、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機を利用できる。
1-2.ポリプロピレン系樹脂(Y)
ポリプロピレン系樹脂組成物のインフレーション成形のしやすさから、ポリプロピレン系樹脂(Y)のMFR(230℃、荷重2.16kgf)は、0.1以上10未満g/10分が好ましく、0.1~8g/10分がより好ましく、0.1~6g/10分が最も好ましい。
プロピレン重合の際の温度条件の変更、プロピレン重合の際の圧力条件の変更および/または水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法の変更により、ポリプロピレン系樹脂(Y)のMFRを調整できる。
ポリプロピレン系樹脂(Y)の製造方法
ポリプロピレン系樹脂(Y)を製造するための重合触媒としては、チーグラー・ナッタ系触媒および/またはメタロセン系触媒が挙げられるが、そのほかの触媒であってもよい。
チーグラー・ナッタ系触媒は、「ポリプロピレンハンドブック」エドワード・P・ムーアJr.編著、保田哲男・佐久間暢翻訳監修、工業調査会(1998)の2.3.1節(20~57ページ)に記載されている。チーグラー・ナッタ系触媒は、(1)三塩化チタンとハロゲン化有機アルミニウムからなる三塩化チタニウム系触媒、塩化マグネシウム、ハロゲン化チタン、(2)電子供与性化合物を含有する固体触媒成分と有機アルミニウムと有機珪素化合物からなるマグネシウム担持系触媒、(3)固体触媒成分を有機アルミニウム及び有機珪素化合物を接触させて形成した有機珪素処理固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒などを含む。
メタロセン系触媒は、(i)メタロセン化合物、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒、(iii)有機アルミニウム化合物を組み合わせた触媒などを含む。
ポリプロピレン系樹脂(Y)の機械的特性向上のため、ポリプロピレン系樹脂(Y)を合成するメタロセン化合物は、プロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物が好ましく、プロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物がより好ましい。
(i)のメタロセン化合物は、特開昭60-35007号、特開昭61-130314号、特開昭63-295607号、特開平1-275609号、特開平2-41303号、特開平2-131488号、特開平2-76887号、特開平3-163088号、特開平4-300887号、特開平4-211694号、特開平5-43616号、特開平5-209013号、特開平6-239914号、特表平7-504934号および特開平8-85708号に記載がある。
(i)のメタロセン化合物の具体例としては、
メチレンビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレン1,2-(4-フェニルインデニル)(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4-メチルシクロペンタジエニル)(3-t-ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン(2-メチル-4-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(3’-t-ブチル-5’-メチル-シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス[1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス[1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス[4-(1-フェニル-3-メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン(フルオレニル)t-ブチルアミドジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス[1-(2-メチル-4-(1-ナフチル)-インデニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス[1-(2-メチル-4,5-ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス[1-(2-メチル-4-フェニル-4H-アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス[1-(2-エチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス[1-(2-エチル-4-ナフチル-4H-アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス[1-(2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス[1-(2-エチル-4-(3-フルオロビフェニリル)-4H-アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、
ジメチルゲルミレンビス[1-(2-エチル-4-(4-クロロフェニル)-4H-アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、および
ジメチルゲルミレンビス[1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド
などのジルコニウム化合物などである。
(i)のメタロセン化合物のジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに置き換えたもの、および/またはこれらの混合物も、ポリプロピレン系樹脂(Y)を製造するための重合触媒に利用できる。(i)のメタロセン化合物のクロリドを、他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えたものも、ポリプロピレン系樹脂(Y)を製造するための重合触媒に利用できる。
ポリプロピレン系樹脂(Y)を含む樹脂組成物の成形性向上のため、ポリプロピレン系樹脂(Y)を製造するための重合触媒である(i)のメタロセン化合物は、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(Y)を製造するための重合触媒は、無機または有機化合物に担持させてもよい。ポリプロピレン系樹脂(Y)の生産量向上のため、当該担体は、多孔質が好ましい。当該担体は、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(Y)の生産量向上のため、メタロセン化合物とともに助触媒を併用することが好ましい。助触媒は、アルミノキサン化合物などの有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(Y)の生産量向上のため、(iii)の有機アルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、メチルアルモキサン、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイドなどが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の製造効率向上のため、ポリプロピレン系樹脂(Y)の製造方法は、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法などが好ましい。ポリプロピレン及びプロピレン系ランダム共重合体の製造のため、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法などの多段重合法が利用できる。
混合によるポリプロピレン系樹脂(Y)の製造は、必要な付加的成分とともに、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等により混合して得てもよい。混練によるポリプロピレン系樹脂(Y)の製造は、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサーなどの混練機で混練して得てもよい。
ポリプロピレン系樹脂(Y)は、プロピレンの重合の際、プロピレンを除くモノマー非存在下で、重合して得たものが好ましい。即ち、ポリプロピレン系樹脂(Y)が、ホモポリマーであることが好ましい。
高速インフレーションの加工性並びに高速インフレーションによるフィルムの透明性および強度の観点から、示差走査熱量測定により測定したポリプロピレン系樹脂(Y)の融点は、140~180℃が好ましく、150~170℃がより好ましく、160~170℃がさらに好ましい。高速インフレーションの加工性並びに高速インフレーションによるフィルムの透明性および強度の観点から、ポリプロピレン系樹脂(Y)のMFRは、0.1~10g/10分が好ましく、0.1~8g/10分がより好ましく、0.1~5g/10分がさらに好ましい。高速インフレーションの加工性並びに高速インフレーションによるフィルムの透明性および強度の観点から、ポリプロピレン系樹脂(Y)の(mm)により求められる結晶度は、90%以上が好ましく、93%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(Y)の形状は、パウダー状および粒子状などであってもよい。ポリプロピレン系樹脂(Y)の粒子状は、ポリプロピレン系樹脂(Y)の造粒物を含む。
1-5.ポリプロピレン系樹脂組成物
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(X)及びポリプロピレン系樹脂(Y)を以下で詳述する特定の比率で含むポリプロピレン系樹脂組成物である。
高速インフレーションの加工性、高速インフレーションによるフィルムの透明性の観点から、ポリプロピレン系樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂(X)の含有量は、1~60質量%が好ましく、10~50質量%が好ましい。
高速インフレーションの加工性、高速インフレーションによるフィルムの透明性の観点から、ポリプロピレン系樹脂組成物中のポリプロピレン系樹脂(Y)の含有量は、40~99質量%が好ましく、50~90質量%が好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述のポリプロピレン樹脂(X)及びポリプロピレン系樹脂(Y)以外に、さらに必要に応じ、添加剤を含むことができる。添加剤を適宜選択することで、ポリプロピレン系樹脂組成物の機能を向上させることができる。添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリプロピレン系樹脂組成物中の添加剤の含有量は、ポリプロピレン樹脂(X)とポリプロピレン系樹脂(Y)との合計100質量部に対し、例えば、0~1質量部であることが好ましい。
添加剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンおよびn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネートで代表されるフェノール系安定剤、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトやトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトなどで代表されるホスファイト系安定剤、高級脂肪酸アミドや高級脂肪酸エステルで代表される滑剤、炭素原子数8~22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステルなどの帯電防止剤、シリカ、炭酸カルシウム、タルクなどで代表されるブロッキング防止剤などがある。
また、紫外線吸収剤や光安定剤なども挙げられる。ポリプロピレン系樹脂組成物中に紫外線吸収剤および光安定剤を配合することで、ポリプロピレン系樹脂組成物の耐候性を向上させることができる。
紫外線吸収剤は、トリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケルキレート系紫外線吸収剤、無機微粒子系紫外線吸収剤などの、紫外線領域に吸収帯を持つ化合物である。このうちトリアゾール系紫外線吸収剤が典型的である。
トリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾールなどがある。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなどがある。
サリシレート系紫外線吸収剤としては、例えば、4-t-ブチルフェニルサリシレートなどがある。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル(3,3-ジフェニル)シアノアクリレートなどがある。
ニッケルキレート系紫外線吸収剤としては、例えば、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどがある。
無機微粒子系紫外線吸収剤としては、例えば、TiO、ZnO、CeOなどがある。
典型的な光安定剤としては、ヒンダードアミン骨格を有する化合物(以下、「HALS」という。)などがある。
HALSには、セバケート型化合物、ブタンテトラカルボキシレート型化合物、コハク酸ポリエステル型化合物、トリアジン型化合物などがある。
セバケート型化合物としては、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートなどがある。
ブタンテトラカルボキシレート型化合物としては、例えば、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール及びトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール及びトリデシルアルコールとの縮合物などがある。
コハク酸ポリエステル型化合物としては、例えば、コハク酸と1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの縮合重合体などがある。
トリアジン型化合物としては、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ポリ{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ、ポリ(6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル){(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノなどがある。
ポリプロピレン系樹脂組成物中の改質剤は、ポリプロピレン系樹脂組成物の性能を向上または性質を調整させる。エラストマー、ポリエチレン系樹脂などが、改質剤であるが、これらに限定されるものではない。
エチレン-α-オレフィン共重合体、プロピレンと炭素数4~12のα-オレフィンとの二元ランダム共重合体樹脂、プロピレンとエチレンと炭素数4~12のα-オレフィンとの三元ランダム共重合体樹脂などが、エラストマーである。
スチレン系エラストマーもエラストマーである。スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン-イソプレンブロック共重合体の水素添加物スチレン-ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン-ブタジエンランダム共重合体の水素添加物などが挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、インフレーション成形に好適に用いることができる。即ち、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の1つの側面は、インフレーション成形用のポリプロピレン系樹脂組成物である。
1-5.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(X)とポリプロピレン系樹脂(Y)と、必要に応じて使用される添加剤とを、上記した含有量となるような割合で、従来公知の方法により配合・混合・溶融混練することにより、製造することができる。
ポリプロピレン系樹脂組成物の混合方法は、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどによるドライブレンドなどがある。
また、溶融混練・造粒して製造する際には、前記各成分の配合物を同時に混練してもよく、さらに、性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、先ず使用される成分の一部を混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、使用される成分をドライブレンドにて混合して製造されることが好ましい。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法の好ましい実施形態としては、ポリプロピレン樹脂(X)と、ポリプロピレン系樹脂(Y)とをドライブレンドにより混合することである。これにより、比較的短時間に、低コストで均一混合でき、安定した性能が選らることである。
得られた混合物は、上述のとおり、通常、溶融混練が行われる。
1-6.インフレーション法によるフィルムの成形方法
本発明のもう1つの実施態様は、インフレーション法による、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムの製造方法である。
小ロット多品種生産、連続品種切替えなど作業性の観点から、インフレーション法によるフィルムの成形は、ポリプロピレン系樹脂組成物を環状ダイ付きの押出機により溶融させてチューブ状にして押出し、ブロアーなどから供給される空気を空冷リングから溶融チューブに吹き付けて冷却固化させた後、ガイド板を経てピンチロールにて折り畳み、引取機にて引き取ることにより行うことが好ましい。
空冷インフレーション成形法によるフィルムの作製においては、ダイ径はφ50mm~φ500mmが典型的であり、ダイリップ幅は0.8mm~4.0mmが典型的である。フィルムの透明性などの意匠性、安定した連続成形などの生産性の観点から、当該成形温度は170~250℃が好ましく、170~220℃がより好ましい。フィルムのばたつき抑制などのフィルムの均質性向上のため、当該成形速度は5~100m/分が好ましく、10~50m/分がより好ましい。
インフレーション成形方法は、空冷インフレーション、水冷インフレーション法およびチューブラー式二軸延伸形法があるが、製造設備コストおよび作業性の観点から、空冷インフレーションで行うことが好ましい。
インフレーション成形方法のフィルムの冷却は、チューブ状フィルムの外部及び/又は内部から行う。
チューブ状フィルムの吹込み製膜方法は、上向き方式、水平方式又は下向き方式などがある。製造設備の低コスト化および小型化など並びに当該フィルム冷却効率化などの生産性向上のため、チューブ状フィルムの吹込み製膜方法は、上向き方向による製膜方法が、好ましい。
表面粗さを表す指標であるRzが小さいフィルムは、フィルムの表面の凸凹の程度が少ないため、フィルムの表面で光の乱反射が起きにくい。このため、Rzが小さいフィルムの印刷物は、印刷物がはっきりと見えやすく、フィルムの印刷高級感を演出する。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
本実施例において、「Mw」、「Mn」、「Mz」およびg’は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)で求める。
本実施例において、「高速攪拌式混合機」は、商品名、ヘンシェルミキサーをいう。
本実施例において、「MD方向」は、押出成形するときのフィルムの送り方向をいう。
本実施例において、「TD方向」は、押出成形するときのフィルムの送りと垂直であってフィルム面と平行の方向をいう。
評価方法
(1)MFR:
JIS K6921-1:2018の方法に従い、MFRを測定する。単位はg/10分である。
(2)分子量分布:
Mw、Mn、Mzおよび積分分子量分布曲線は、GPCで得る。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:0.5mg/mLのジブチルヒドロキシトルエンのo-ジクロロベンゼン溶液(以下、「ODCB+BHT」という。)
測定温度:140℃
流速:1.0mL/分
注入量:0.2mL
試料を140℃で約1時間要して溶解させ、1mg/mLの試料のODCB+BHTを調製し、装置に注入する。
また、GPCで得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、東ソー社製の以下の銘柄である:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
それぞれの標準ポリスチレンが0.5mg/mLとなるように、ODCB+BHTに溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。最小二乗法で近似して得られる三次式を較正曲線とする。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
ポリスチレンの場合:K=1.38×10-4、α=0.7
ポリプロピレンの場合:K=1.03×10-4、α=0.78
(3)W1M
本実施例において、W1Mは、GPCによって得られる積分分子量分布曲線から、分子量100万までの積分値を除いた割合を100分率(%)で算出した値である。
(4)MT230℃:
東洋精機製作所製キャピログラフ1Bにより、以下の条件で、MT230℃を、測定する。
・キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
・シリンダー径:9.55mm
・シリンダー押出速度:20mm/分
・引き取り速度:4.0m/分
・温度:230℃
ただし、MT230℃が高い値の場合には、引き取り速度4.0m/分では、試料が破断してしまう場合があり、当該破断の場合には、引取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMT230℃とする。
(5)g’
具体的なg’の算出方法は、以下の通りである。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置であるWaters社製のAlliance GPCV2000を用いる。光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(以下、「MALS」という。)Wyatt Technology社のDAWN-Eを用いる。検出器は、MALS、RI、Viscometerの順で接続する。移動相溶媒は、BASFジャパン社製酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加した1,2,4-トリクロロベンゼン溶液である。
GPCの流量は1mL/分である。GPCのカラムは、東ソー社製GMHHR-H(S) HTを2本連結して用いる。当該カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとし、注入量、つまり、サンプルループ容量は0.2175mLである。
MALS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)により、MALSから得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度(以下、[η]という。)を得る。
日本ポリプロ社製ノバテックPP(登録商標)であって、グレード名がFY6であるものを標準として、Mark-Houwink-Sakurada式で外挿することにより、[η]linを得る。
なお、g’を算出するあたり、この明細書に記載のない事項は、下記の文献を準拠する:
1.「Developments in Polymer Characterization-4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495-6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424-2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945-6952(2000)。
(6)mm分率:
13C-NMR測定の結果から、次式で、(mm)を算出する。
(mm)=Imm×100/(Imm+3×Imrrm)
ここで、Immは、I23.6~21.113Cシグナルの積分強度、Imrrmは、I19.8~19.713Cシグナルの積分強度である。
試料375mgを10φのNMRサンプル管中で重水素化1,1,2,2-テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃においてプロトン完全デカップリング法で測定する。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2-テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定する。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
・フリップ角:90度
・パルス間隔:10秒
・共鳴周波数:100MHz以上
・積算回数:10,000回以上
・観測域:-20ppmから179ppm
・データポイント数:32768
Polymer Jounral,16巻,717頁(1984),朝倉書店、Macromolecules,8卷,687頁(1975年)、Polymer,30巻 1350頁(1989年)などを参照し、NMRスペクトルのシグナルの帰属を、特定する。
(7)透視度(LSI):
東洋精機製作所製LSI計(N207)を使用して、フィルムのLSIを測定する。LSIは、小角度の光散乱量を測定するもので、視感に合ったフィルムの透視度の目安となる。数値が高い程透視性が悪く、数値が低い程透視性に優れる。
(8)内部HAZE(単位 %):
JIS K 7136に準拠し、2枚の標準ガラス片にオイルを入れて、その中にフィルムを挿入し、フィルムの内部ヘイズ値を計測する。
当該オイルは、流動パラフィンである。
(9)全HAZE(単位 %):
JIS K7105に準拠して、計測する。
(10)光沢度(単位 %):
JIS K7105-1981に準拠し、60°鏡面の光沢度を測定する。光沢度の値が大きいほど光沢性がある。
インフレーションフィルムの外面の光沢度を、「光沢度(外面)」とする。
インフレーションフィルムの内面の光沢度を、「光沢度(内面)」とする。
(11)ヤング率
JIS K 7127に準拠してヤング率を計測する。ヤング率の値が大きいほど強度がある。
MD方向のフィルムのヤング率を「ヤング率(MD)」とする。
TD方向のフィルムのヤング率を「ヤング率(TD)」とする。
(12)引裂強度
JIS K 7128に準拠して、エルメンドルフ引裂法により、引裂強度を計測する。
MD方向のフィルムの引裂強度を「引裂強度(MD)」とする。
TD方向のフィルムの引裂強度を「引裂強度(TD)」とする。
(13)表面粗さ
JIS B 0601 に準拠して、東京精密社製表面粗さ計(SURFCOM1500DX)により、表面粗さを計測する。表面粗さの計測の際、触針先端曲率半径が5μm、カットオフ波長が0.05mm、カットオフ種別が2CR(位相補償)、測定速度が0.3mm、測定方向がフィルムのMD方向、測定範囲が2mmに設定する。
インフレーションフィルムの外側の表面粗さを、「Rz(外面)」とする。
インフレーションフィルムの内側の表面粗さを、「Rz(内面)」とする。
(14)加熱収縮率
JIS Z 1712に準拠して、フィルムの加熱収縮率を計測する。当該規格の温度120℃を、140℃、160℃、180℃に変更した場合も、測定する。
120℃15分間で生じたMD方向のフィルムの加熱収縮率を、「HSR120MD」とする。
120℃15分間で生じたTD方向のフィルムの加熱収縮率を、「HSR120TD」とする。
140℃15分間で生じたMD方向のフィルムの加熱収縮率を、「HSR140MD」とする。
140℃15分間で生じたTD方向のフィルムの加熱収縮率を、「HSR140TD」とする。
160℃15分間で生じたMD方向のフィルムの加熱収縮率を、「HSR160MD」とする。
160℃15分間で生じたTD方向のフィルムの加熱収縮率を、「HSR160TD」とする。
180℃15分間で生じたMD方向のフィルムの加熱収縮率を、「HSR180MD」とする。
180℃15分間で生じたTD方向のフィルムの加熱収縮率を、「HSR180TD」とする。
計測対象のフィルムが溶融し、加熱収縮率が計測できないときは、「溶融」と表記する。
フィルムの作製
ポリプロピレン系樹脂組成物を、当該空冷インフレーション成形機の押出機に投入し、押出機温度220℃、ダイ温度230℃、全吐出量7.5kg/hとなる条件で押出し、フィルム折り幅500mm(ブロー比1.6)、引取速度10m/分の条件で単層空冷インフレーションフィルムを成形し、厚みが30μmになるように調整する。
使用材料
(1)ポリプロピレン系樹脂(X)
[製造例1(PP1の製造)]
<触媒合成例1>
(1)錯体の合成
rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムを、特開2012-149160号公報の合成例1の方法に準じて合成する。
rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}]ハフニウムを、特開平11―240909号公報の実施例7の方法に準じて合成する。
(2)触媒の調製
(2-a)イオン交換性層状ケイ酸塩の化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた1Lの3つ口フラスコに、645.1gの蒸留水と82.6gの98重量%硫酸を加え、95℃まで昇温する。
そこへ、100gのモンモリロナイトを添加し、95℃で320分反応させる。反応開始から320分後に、0.5Lの蒸留水を加えて反応を停止し、濾過して、255gの固体を得る。
当該モンモリロナイトは、水澤化学工業社製ベンクレイKKであり、Al=9.78質量%、Si=31.79質量%、Mg=3.18質量%、Al/Si(モル比)=0.320、平均粒径14μmである。
当該固体1gには、0.31gの中間物が含まれている。中間物の化学組成は、Al=7.68質量%、Si=36.05質量% Mg=2.13質量%、Al/Si(モル比)=0.222である。
当該固体に蒸留水1545gを加えスラリー化し、40℃まで昇温する。水酸化リチウム・水和物5.734gを固体のまま加え、40℃で1時間反応させる。1時間後、反応スラリーを濾過し、1Lの蒸留水で3回洗浄し、固形物を得る。
当該固形物を乾燥し、化学処理モンモリロナイト80gを得る。この化学処理モンモリロナイトの化学組成は、Al=7.68質量%、Si=36.05質量%、Mg=2.13質量%、Al/Si(モル比)=0.222、Li=0.53質量%である。
(2-b)予備重合
内容積1mの反応器に、当該固形物150kgを入れ、ヘキサン2832Lを加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム74.4kg(375mol)を85分かけて投入し60分間攪拌する。その後ヘキサンで1/32まで洗浄し、全容量を900Lとする。
この化学処理モンモリロナイトが入ったスラリー溶液を50℃に保ち、そこへトリイソブチルアルミニウム0.65kg(濃度15.3質量%のヘキサン溶液4.257kg 3.28mol)を加える。
5分間撹拌した後に、rac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-メチル-4-(4-クロロフェニル)-4-ヒドロアズレニル}]ハフニウム0.657kg(0.81mol)とトルエン96Lを加え、60分間撹拌を続ける。
その後、トリノルマルオクチルアルミニウム9.758kg(26.61mol)を加えて6分間撹拌した後、別の撹拌装置付き容器に、トルエン240Lにトリイソブチルアルミニウム0.064kg(濃度0.648質量%のトルエン溶液を9.88kg、0.32mol)を加えたところへrac-ジクロロ[1,1’-ジメチルシリレンビス{2-(5-メチル-2-フリル)-4-(4-i-プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム1.768kg(1.89mol)を加えて調製しておいた溶液を投入し、トルエン100Lを加え、さらに20分間撹拌を続ける。
その後ヘキサン2387Lを追加し、反応器の内部温度を40℃にしたのち、プロピレン328.1kgを240分間かけてフィードし40℃を保ちながら予備重合を行う。
その後、プロピレンフィードを止めて、40℃のまま80分間残重合を行う。
残重合終了後、撹拌を停止し内容物を沈降させて静置する。当該内容物の上澄みを溶液量が1500Lになるように除去し、トリイソブチルアルミニウム12.7kgを加えて再びヘキサンを3974L加え撹拌した後に静置する。上澄みを溶液量が1500Lになるまで繰り返し、清浄物を得る。
当該清浄物に、42.9kgの20.8質量%トリイソブチルアルミニウムヘキサン溶液(溶液中のトリイソブチルアルミニウムは8.9kgである。)と、ヘキサン205Lを加え、反応液を得る。
当該反応液を乾燥機へ移送し、40度で9時間乾燥させ、乾燥予備重合触媒465kgを得て、触媒1と名付ける。
当該乾燥予備重合触媒の予備重合倍率は2.10である。予備重合倍率は、予備重合ポリマーの重量/固体触媒の重量で算出する値である。
<重合>
20Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却する。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)18.7mL、Hを1.02NL導入した後に液体プロピレン5000gを導入した後、63℃まで昇温する。その後、触媒1を、予備重合ポリマーを除いた質量で300mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送して重合を開始し、速やかに70℃まで昇温する。そのまま70℃で保持し、重合開始から1時間後、未反応のプロピレンをすばやくパージし重合を停止する。そうしたところ2922gの重合体パウダー(以下、「PP2」という。)が得られる。
PP2の触媒活性(PP2/触媒)は9740g/gである。PP2のMFRは32g/10分である。
[製造例2(PP3の製造)]
製造例1の製造方法において、Hの導入量を1.28NLに変更し、予備重合ポリマーを除いた触媒1の質量を220mgに変更し、2508gの重合体パウダー(以下「PP3」という。)を得る。
PP3の触媒活性(PP3/触媒)は11400g/gである。PP3のMFRは60g/10分である。
[製造例3(PP1の製造)]
製造例1の製造方法において、Hの導入量を、0.95NLに変更し、触媒1を、予備重合ポリマーを除いた触媒1の質量を、200mgに変更し、1583gの重合体パウダー(以下「PP1」という。)を得る。
PP1の触媒活性(PP3/触媒)は7915g/gであった。PP1のMFRは15g/10分である。
<ペレットの製造>
[ポリプロピレン系樹脂のペレット(X1)~(X3)の製造]
100質量部のPP1に対し、0.125質量部のIRGANOX1010、0.125質量部のIRGAFOS 168を配合し、高速攪拌式混合機を用いて、室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練し、ポリプロピレン樹脂のペレット(X1)を得る。
IRGANOX1010は、BASFジャパン株式会社製のテトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト]メタンである。
IRGAFOS 168は、BASFジャパン株式会社製のトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイトである。
ポリプロピレン系樹脂のペレット(X1)の製造におけるPP1を、PP2に置き換えることで、ポリプロピレン系樹脂のペレット(X2)を得る。
ポリプロピレン系樹脂のペレット(X1)の製造におけるPP1を、PP3に置き換えることで、ポリプロピレン系樹脂のペレット(X3)を得る。
なお、二軸押出機には、テクノベル社製KZW-25を用い、スクリュー回転数は400RPM、混練温度は、ホッパー下から80℃、160℃、210℃、230℃(以降、ダイス出口まで230℃)となるように設定する。
ポリプロピレン系樹脂のペレット(X1)~(X3)(表中では、単に「X1」などという。)の評価結果を、表1に示す。
Figure 2023081861000001
(2)ポリプロピレン系樹脂(Y)
ポリプロピレン系樹脂(Y)として、以下の市販のプロピレン単重合体(Y1)~(Y2)を用いる。
ポリプロピレン系樹脂(Y1):日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)FL4」、チーグラー・ナッタ系触媒によるプロピレン単独重合体、MFR=4.2g/10分、Tm=164℃、g’=1.00
ポリプロピレン系樹脂(Y2)
日本ポリプロ(株)製、商品名「ノバテック(登録商標)SA4L」、チーグラー・ナッタ系触媒によるプロピレン単独重合体、MFR=5.3g/10分、Tm=161℃、g’=1.00
[実施例1~5および比較例1~2]
1.配合
表2に記載の量のポリプロピレン系樹脂(X)、ポリプロピレン系樹脂(Y)を、高速攪拌式混合機に投入し、3分間攪拌し、混合ペレットを得る。表2の「0」は、対応する成分が対応する混合ペレットに存在しないことを示す。
2.フィルムの製造
当該混合ペレットを、押出機温度220℃、環状ダイ温度230℃、吐出量7.5kg/hとなる条件で押出し、フィルム折幅500mm(ブロー比1.6)、引取速度10m/分の条件で、単層30μmのである空冷インフレーションフィルムを得る。ポリプロピレン系樹脂組成物のフィルムの物性を表3に記載する。
Figure 2023081861000002
Figure 2023081861000003
よって、表3の結果は、本開示の態様が課題を達成することを示す。
具体的には、表3の結果から、実施例1~5のインフレーションフィルムは、インフレーション成形によって製造されるポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムの強度の不十分の改善については引裂強度の向上、当該フィルムの透明性の低さの改善についてはLSI、全HAZE、光沢度の改善、当該フィルムの印刷高級感を損なう表面粗さの改善については表面粗さ(HSR)の改善、またはこれらのうち複数が改善されている。

Claims (5)

  1. ポリプロピレン系樹脂(X)とポリプロピレン系樹脂(Y)の合計質量を100質量%として、
    (1)下記特性(1-i)~(1-v):
    (1-i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が10~70g/10分である
    (1-ii)Mw/Mnが2.0~5.0である
    (1-iii)W1Mが0.5~4.0質量%である
    (1-iv)g’が0.70~0.95である
    (1-v)(mm)が95%以上である
    を有する1~60質量%のポリプロピレン系樹脂(X)と、
    (2)下記特性(2-i):
    (2-i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が0.1以上10未満g/10分以下である
    を有する40~99質量%のポリプロピレン系樹脂(Y)とを
    含有するポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. ポリプロピレン系樹脂(Y)が、ホモポリマーである、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. ポリプロピレン系樹脂(X)と、ポリプロピレン系樹脂(Y)とをドライブレンドする工程を含む、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
    前記ポリプロピレン樹脂(X)は、下記特性(1-i)~(1-v)を有し、
    (1-i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が10~70g/10分である
    (1-ii)Mw/Mnが2.0~5.0である
    (1-iii)W1Mが0.5~4.0質量%である
    (1-iv)g’が0.70~0.95である
    (1-v)(mm)が95%以上である
    前記ポリプロピレン系樹脂(Y)は、下記特性(2-i)を有する、
    (2-i)MFR(230℃、荷重2.16kgf)が0.1以上10未満g/10分以下である
    該製造方法。
  4. インフレーション法による、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムの製造方法。
  5. 前記インフレーション法が空冷インフレーション法である、請求項4に記載のフィルムの製造方法。
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