JP2023079085A - 多孔炭素膜製造用組成物、多孔炭素膜製造用シート、空気電池正極用の多孔炭素膜の製造方法、及びその方法で得られる多孔炭素膜を正極に用いた空気電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多孔炭素粒子、不活性雰囲気中で800℃に加熱した際の質量減少率が90%未満であるバインダー用高分子材料、不活性雰囲気中で800℃に加熱した際の質量減少率が90%以上である熱分解性有機化合物、並びに任意成分であるカーボンファイバー及びカーボンナノチューブから選択される少なくともいずれかを含有する混合物を製膜し、不活性雰囲気中で焼成することで細孔分布が制御された炭素膜を得る。
【選択図】図1
Description
空気電池は、正極活物質として空気中の酸素を用い、負極活物質として金属を用いた電池で、金属空気電池とも呼ばれ、燃料電池の一種と位置づけられている電池である。その一例としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な金属又は化合物を負極活物質として用いたリチウム空気電池が挙げられる。リチウム空気電池における各電極での反応は、次式で表される。
空気電池では、空気中の酸素が正極活物質であり、放電時の正極での反応は、負極から移動してくる金属イオンが酸素及び電子と結合して酸化物を生成するものである。このため、空気電池の高容量化には、負極から移動してくる金属イオンが正極内の隅々まで移動しやすいこと(高イオン輸送効率)、金属イオンと反応する酸素を含む空気が、正極内の反応場へ浸透拡散しやすいこと(高酸素透過性)、正極内に金属イオンと酸素が反応して酸化物となる反応場が多いこと、及びこの酸化物を蓄えるための細孔容積が大きいことが必要となる。また、小型・軽量な空気電池を低コストで製造するために、正極が構造体として自立することが望まれる。
しかし、特許文献1に記載された孔径1nm以上の細孔が占める細孔容積が1.0ml/g以上4.0ml/g以下である多孔質炭素を用いる正極では、バインダーを使用しているため、多孔質炭素の細孔の一部がバインダーで埋められてしまい、正極としての細孔容積は多孔質炭素の細孔容積よりも小さくなってしまうから、高容量化に限界がある。
特許文献2には、空気電池の高容量を確保しつつ、充放電サイクル特性を向上させるために、孔径が1nm以上200nm以下の第1細孔容積が、200nmを超え10000nm以下の第2細孔容積よりも大きい炭素を含む導電性多孔体を正極層とすることが記載されている。しかし、前記第1細孔容積の好ましい範囲は0.1~2.4cm3/gとされており、より大きな放電容量を持つ空気電池とするには、さらに大きな第1細孔容積を持つ正極層、及びその製造方法が望まれる。
本発明者らは、0.03%より多く5%未満の範囲の酸素濃度を有する酸化性ガス雰囲気中で炭素化処理を行うことにより、空気電池の正極に適した高細孔容積を持つ多孔炭素構造体を製造することを先に提案した(特許文献3)。しかし、酸化燃焼力の高い酸素を処理に用いると、処理条件によっては炭素粒子を主体とした多孔膜が酸化燃焼により消失する虞があるため、酸素濃度、及び酸化温度を低い範囲内で微妙に制御して製造する必要があった。
本発明の一側面に係る多孔炭素膜製造用組成物(以下、単に「第1側面に係る組成物」と記載することがある)は、多孔炭素粒子、不活性雰囲気中で800℃に加熱した際の質量減少率が90%未満であるバインダー用高分子材料、及び不活性雰囲気中で800℃に加熱した際の質量減少率が90%以上である熱分解性有機化合物、並びに任意成分であるカーボンファイバー及びカーボンナノチューブから選択される少なくともいずれかを含有する。以下、前記各成分及びこれら以外の任意成分について詳述する。
多孔炭素粒子は、炭素を主成分とする粒子で、表面に多数の微細な孔を有する。多孔炭素粒子の例としては、ケッチェンブラック(登録商標)等のカーボンブラック、その他テンプレート法にて形成された炭素粒子等が挙げられる。
バインダー用高分子材料は、多孔炭素粒子同士を結着するバインダーとして機能する。また、後述する多孔炭素膜の製造方法における炭素化処理によって炭素化物を生成し、該処理を経て得られる多孔炭素膜中で、多孔炭素粒子同士を接合して膜の形状を保持する機能も発揮する。多孔炭素膜の形状保持機能を発揮させるため、バインダー用高分子としては、不活性雰囲気中で800℃に加熱した際の質量減少率が90%未満であるものを用いる。前記質量減少率は、自立性を有する高強度の多孔炭素膜を得る点からは、85%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。前記質量減少率の下限値は特に限定されないが、工業的に使用されるバインダー用高分子材料においては、通常70%程度である。バインダー用高分子材料の例としては、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルフォン、溶媒可溶型ポリイミド等が挙げられる。
熱分解性有機化合物は、多孔炭素粒子の表面に付着し、後述する多孔炭素膜の製造方法における不融化処理又は炭素化処理によって熱分解することで、多孔炭素粒子の表面を、粒子間の空隙又は多孔炭素膜の表面に露出させる機能を発揮する。これにより、露出した表面に存在する細孔の分だけ、多孔炭素膜の細孔容積が増加する。多孔炭素粒子の表面を露出させる機能を発揮させるため、熱分解性有機化合物としては、不活性雰囲気中で800℃に加熱した際の質量減少率が90%以上であるものを用いる。前記質量減少率は、多孔炭素粒子の表面をより多く露出させる点からは、95%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。前記質量減少率は高い方が好ましいため、100%、すなわち熱分解性有機化合物が、不活性雰囲気中で800℃に加熱した際に完全に分解するものであってもよい。
まず、測定対象とするバインダー用高分子材料又は熱分解性有機化合物(以下、当段落では「測定対象材料」と記載する)の室温での質量を測定する。
次いで、不活性雰囲気中での加熱処理が可能な加熱装置を用いて、測定対象材料を、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で所定の温度まで昇温し、該温度にて30分程度保持した後、降温する。前記所定の温度は、測定対象材料の800℃に加熱した際の質量減少率を得る場合には、800℃とする。他方、測定対象材料の質量減少率が90%になる温度が特定の温度以下であることを確認する場合には、前記所定の温度は当該特定の温度とする。
次いで、降温後の測定対象材料の質量を測定する。
次いで、測定対象材料の室温での質量及び降温後の質量の値から、次記の計算により得られた値を、不活性ガス雰囲気中での前記所定の温度における質量減少率(%)とする。
(室温での質量(g)-降温後の質量(g))/室温での質量(g)×100
なお、本明細書における質量減少率(%)は、測定対象材料の残留する炭素の割合である残炭率(%)と以下の関係にある。
質量減少率(%)=100-残炭率(%)
第1側面に係る組成物は、任意成分として、カーボンファイバー及びカーボンナノチューブから選択される少なくともいずれかを含んでもよい。カーボンファイバー及びカーボンナノチューブから選択される少なくともいずれかを含むことで、得られる多孔炭素膜を高強度とすることができる。カーボンファイバーとしては、例えば、直径が0.1μm以上20μm以下、長さが1mm以上20mm以下のものを用いることができる。また、カーボンナノチューブとしては、例えば、直径が0.5nm以上20nm以下、長さが1μm以上20μm以下のものを用いることができる。
第1側面に係る組成物は、前述した各成分を分散させる溶剤を含んでもよい。
多孔炭素粒子及びバインダー用高分子材料を分散させる溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)などを用いることができる。
本発明の他の一側面に係る多孔炭素膜製造用シート(以下、単に「第2側面に係るシート」と記載することがある)は、第1側面に係る多孔炭素膜製造用組成物で形成される。第1側面に係る多孔炭素膜製造用組成物をシート状とすることで、厚みの揃った多孔炭素膜の量産が容易となる。
本発明の他の一側面に係る空気電池正極用の多孔炭素膜の製造方法(以下、単に「第3側面に係る製造方法」と記載することがある)は、図1に示すように、第1側面に係る多孔炭素膜製造用組成物を含有する合剤スラリーを調製すること(S1)、前記合剤スラリーを成型すること(S2)、前記成型することによって得られた成型体を、前記バインダー用高分子材料の溶解度が低い溶媒に浸漬すること(S3)、前記浸漬して得られた試料を乾燥すること(S4)、及び前記乾燥して得られた試料を、不活性ガス雰囲気中で炭素化すること(S6)を含む。なお、第3側面に係る製造方法は、前記S6の前に、前記S4で得られた試料を、空気中で不融化すること(S5)をさらに含んでもよい。
以下、各工程について詳述する。
合剤スラリーは、第1側面に係る多孔炭素膜製造用組成物を含有する。前記組成物の各成分を混合してスラリーを調製する方法は特に限定されず、インペラーやブレードを持った混合機、容器自身が自公転する混合機及びボールミル混合機等を採用できる。
前記合剤スラリーを成型する方法は、所定の寸法の成型体が得られるものであれば限定されず、例えば、ドクターブレード法、ロールコーター法、ダイコーター法、スピンコート法、スプレーコーティング法などの湿式成膜法を採用できる。
成型後の成型体の形状は、目的に応じたものであればよい。空気電池の小型化のためには、均一な厚みのシート状とすることが好ましい。
溶媒浸漬は、工程S2で成型した成型体を、バインダー用高分子材料の溶解度が低い溶媒中に浸漬する非溶媒誘起相分離法により行う。非溶媒誘起相分離法とは、高分子溶液を高分子の貧溶媒に浸漬して高分子を相分離析出させる方法である。非溶媒誘起相分離法により、バインダー用高分子材料が多孔炭素粒子同士を結合した状態で相分離析出し、多孔炭素粒子並びに任意成分であるカーボンファイバー及びカーボンナノチューブを骨格とする多孔炭素膜を生成することができる。このとき、合剤スラリーの溶剤のほとんどは、上記の貧溶媒と相溶する。
前記バインダー用高分子材料の溶解度が低い溶媒としては、例えば、水、及びエチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール、並びにこれらの混合溶媒などを挙げることができる。
乾燥工程は、合剤スラリーの調製に用いた溶剤及び工程S3で使用した貧溶媒を揮発除去するために行う。乾燥方法としては、乾燥空気環境下に置く方法、減圧乾燥法、真空乾燥法などを挙げることができる。この乾燥工程では、乾燥速度を速めるために、前記溶剤及び貧溶媒の沸点を超える程度の温度に加温してもよい。
不融化処理は、バインダー用高分子材料が、次の工程S6の炭素化処理で溶融分離して炭素粒子同士の結着を損ない、成型体の形状が崩れることを防止する目的で行なう。不融化処理は、使用するバインダー用高分子材料の種類等によっては、実施しないことも可能である。不融化処理が必要なバインダー用高分子材料は、そのまま加熱すると、溶融液状化してしまう構造の高分子であり、溶融液状化防止のため、酸素により分子間架橋を促進し、加熱で溶融液状化しない構造に変化させる必要がある。不融化処理が必要なバインダー用高分子材料の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリビニルアセテート等が挙げられる。一方、不融化処理が不要なバインダー用高分子材料は、酸素を導入しなくとも、加熱することで、自身の持つ官能基により分子間架橋が進行し、軟化はするが、液状にはならずに炭素化が進行するものである。不融化処理が不要なバインダー用高分子材料の例としては、フェノールホルムアルデヒド樹脂(PF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフェニレン(PP)及びセルロース等が挙げられる。バインダー用高分子材料のうち、ポリアクリロニトリル(PAN)は、加熱により、軟化はするものの液状にならずに炭素化が進む高分子であるが、PANから炭素繊維を工業的に製造する場合、より架橋反応を進行させるため、空気中200~400℃で不融化処理を行い、高温でも溶融しない繊維に変えた上で炭素化を実施している。後述する実施例では、合剤スラリーの作製のしやすさ、非溶媒誘起相分離のしやすさから、PANを用いており、炭素繊維の工業的製法にならい、不融化を実施している。
不融化での所定処理温度での保持時間は、不融化を十分進行させる点からは、下限は、1min以上が好ましく、10min以上がより好ましく、20min以上がさらに好ましい。また、保持時間の上限は、製造コストを低減する点からは、100hr以下が好ましく、10hr以下がより好ましく、5hr以下がさらに好ましい。
不融化処理での昇温速度の上限は、バインダー用高分子材料の不融化を十分に進行させる点からは、100℃/min以下であることが好ましく、50℃/min以下であることがより好ましく、30℃/min以下であることがさらに好ましい。昇温速度の下限は特に限定されないが、昇温時間を短縮して不融化処理を短時間で終える点からは、0.01℃/min以上であること好ましい。
炭素化処理の目的は、バインダー用高分子材料を炭素に変化させることにある。バインダー用高分子材料を炭素化することで、電気伝導性が向上し、さらには多孔炭素粒子やカーボンファイバー、カーンボンナノチューブとの結着性が増加し、多孔炭素膜の強度が増大する。
炭素化処理は、例えば、オーブン炉、管状炉、ボックス炉、赤外線炉及びベーク炉などを用いて行うことができる。炭素化処理の温度は、バインダー用高分子材料を十分に炭素化する点からは、600℃以上が好ましく、700℃以上がより好ましく、800℃以上がさらに好ましい。他方、汎用の処理装置を使用して処理コストを低減する点からは、炭酸化処理の温度は、3000℃以下が好ましく、2000℃以下がより好ましく、1500℃以下がさらに好ましい。
炭素化処理での昇温速度は、バインダー用高分子材料を十分に炭素化する点からは、100℃/min以下が好ましく、50℃/min以下がより好ましく、30℃/min以下がさらに好ましい。昇温速度の下限は特に定めないが、処理時間を短縮して処理コストを低減する点からは、0.01℃/min以上が好ましい。
炭素化処理の雰囲気はアルゴン(Ar)ガス、窒素(N2)ガスなどによる不活性雰囲気が好ましい。不活性ガスは、上記炉に封入した状態でも良いが、フローしながら処理をしても良い。不活性ガスをフローする場合、流量は特に限定されないが、炉の構造に起因する外気の混入の影響を抑制する点からは、0.1mL/min以上が好ましく、1mL/min以上がより好ましく、10mL/min以上がさらに好ましい。他方、処理コストを低減する点からは、不活性ガスの流量は、100m3/min以下が好ましく、50m3/min以下がより好ましく、10m3/min以下がさらに好ましい。
第3側面に係る製造方法により得られる多孔炭素膜は、多数の空孔を有し、以下の(a)から(c)のすべての条件を満たすことが好ましい。
(a)直径1nm以上1000nm以下の細孔の占める細孔容積が、3.6cm3/g以上7.0cm3/g以下
(b)直径1nm以上200nm以下の細孔の占める細孔容積が2.8cm3/g以上7.0cm3/g以下
(c)直径1nm以上200nm以下の細孔の占める細孔比表面積が、1000m2/g以上2000m2/g以下
以下、条件(a)から(c)についてそれぞれ詳述する。
条件(a)を満たす多孔炭素膜を空気電池の正極として用いた場合、放電で生成する金属酸化物(リチウム空気電池では過酸化リチウム)をより多く蓄えることができるため、高い放電容量特性を持つ電池を提供できる。また、細孔容積に比例して、この細孔径範囲の細孔を通過する酸素の総量が増大することで、多孔炭素膜体内で空気の透過拡散がしやすくなる。このため、電池外部から正極内へ導入された酸素は、炭素骨格を形成している炭素粒子の隅々まで、高速でいきわたることができる。さらには、この細孔径範囲の細孔は、金属イオン(リチウム空気電池ではLiイオン)の移動経路となるため、その容積が大きいことで、金属イオンがスムーズに移動可能となり、空気や酸素の透過拡散性の高さと相まって、高速放電特性、すなわち高負荷特性に優れた空気電池を提供できる。
したがって、より大きな放電容量と高負荷特性に優れた空気電池を得る点からは、上記の細孔容積は3.6cm3/g以上であることが好ましく、3.7cm3/g以上であることがより好ましく、3.8cm3/g以上であることがさらに好ましい。また、多孔炭素膜の強度を維持する点からは、上記の細孔容積は、7.0cm3/g以下であることが好ましく、6.0cm3/g以下であることがより好ましい。
条件(b)を満たす多孔炭素膜を空気電池の正極に用いた場合、放電で金属イオンと酸素と電子が反応して生成する酸化物を多く蓄えることが可能となり、高放電容量を示す電池を提供できる。
したがって、大きな放電容量を得る点からは、上記の細孔径範囲の細孔容積は2.8cm3/g以上であることが好ましく、2.9cm3/g以上であることがより好ましく、3.0cm3/g以上であることがさらに好ましい。
また、より酸素透過拡散性が高い直径200nmを超える細孔の容積を確保し、高負荷での放電特性にも優れる、すなわち高速での放電容量も大きいものとする点からは、上記の細孔径範囲の細孔容積は、7.0cm3/g以下であることが好ましく、6.0cm3/g以下であることがより好ましく、5.0cm3/g以下であることがさらに好ましい。
上記の比表面積は、電子の受け渡しの反応場を確保するために、1000m2/g以上であることが好ましい。また、金属イオンや酸素の侵入をスムーズに行うためには、上記の比表面積は1700m2/g以下であることが好ましく、1400m2/g以下であることがより好ましい。
(d)直径1nm以上1000nm以下の細孔の占める比表面積が、900m2/g以上、1700m2/g以下
この条件は、直径1nm以上1000nm以下の細孔の占める比表面積が大きいことを示している。空気電池の放電時の正極反応は、負極から移動してきた金属イオンと、正極の外気側から移動拡散してきた酸素とが、正極内部の細孔内で細孔内表面から電子を受け取って金属酸化物を生成する反応である。このため、上記の比表面積が大きいことで、空気電池の正極に用いた際にこの反応を生じる場が多くなり、放電がよりスムーズに行われる結果、高負荷特性に優れる電池が得られる。
前記の比表面積の下限は、反応場を確保する点からは、900m2/g以上であることが好ましく、1000m2/g以上であることがより好ましい。また、前記の比表面積の上限は、多孔炭素膜の強度を維持する点からは、1700m2/g以下であることが好ましく、1400m2/g以下であることがより好ましい。
(e)見かけ密度が、0.10g/cm3以上0.20cm3/g以下
多孔炭素膜の見かけ密度がこの範囲であれば、多孔炭素膜は、酸素が透過拡散するのに必要な空孔を十分に有し、かつ、強度も十分である。したがって、自立性を有する多孔炭素膜とすることができ、金属メッシュ等を使用することなく、空気電池の正極に供することができる。これにより、電池の軽量化、小型化、生産性の向上、低コスト化を可能にする。見かけ密度は、多孔炭素膜の質量をその体積で割って求めることができる。
見かけ密度が小さすぎないことで、多孔炭素膜の強度が大きくなり、金属メッシュ等の集電体に付着させることなく正極とすることができる。この点からは、見かけ密度の下限は、0.10g/cm3以上であることが好ましく、0.11g/cm3以上であることがより好ましく、0.12g/cm3以上であることがさらに好ましい。これにより、空孔を有し、かつ、高い強度を有する多孔炭素膜を得ることができる。
また、見かけ密度が小さいと、多孔炭素膜に存在する空孔量が多くなり、容量が大きく、負荷特性に優れる空気電池が得られる。この点からは、見かけ密度の上限は、0.20g/cm3以下であることが好ましく、0.19g/cm3以下であることがより好ましく、0.18g/cm3以下であることがさらに好ましい。
(f)空隙率が、90%以上99%以下
多孔炭素膜の空隙率は、見かけ密度と真密度とから、(1-多孔炭素膜の見かけ密度/多孔炭素膜の構成材料の真密度)により求めることができる。空隙率が上記下限以上であることは、十分に大きい空隙率を有することを表す。このような多孔炭素膜を空気電池の正極に用いた場合、放電で生成する金属酸化物を多く蓄えることができ、電池外部から正極内への空気や酸素の侵入が抵抗少なくスムーズに行われるため、高い放電容量を有し、かつ、高速での放電が可能な電池を提供できる。
また、空隙率が上記上限以下であることで、多孔炭素膜としての剛性及び強度を確保し、自立が可能となる。空隙率の上限は98%以下であることがより好ましい。
本発明の他の一側面に係る空気電池の製造方法(以下、単に「第4側面に係る製造方法」と記載することがある)は、上述した方法で多孔炭素膜を製造すること、前記多孔炭素膜から正極を形成すると共に、負極及びセパレータを準備すること、前記正極及び負極を、セパレータを介して積層すること、並びに前記セパレータに電解液を充填することを含む空気電池の製造方法である。以下、第4側面に係る製造方法について、コインセル、及び積層型電池を製造する場合を例として挙げ、図面を参照しながら説明する。
図2は、コインセルの一例を示す模式図である。
コインセル600は、負極構造体610と正極構造体620とがセパレータ660を介して積層された積層構造体で構成される。そして、この積層構造体はコインセル型拘束具630により拘束されている。なお、コインセル型拘束具630と金属メッシュ680の間には絶縁性のOリングが配置され(図示なし)、拘束具630と正極構造体620との絶縁性が確保されている。
金属層640は、アルカリ金属、及び/又は、アルカリ土類金属を含有することが好ましい。なかでも、リチウム金属からなる層が好ましい。
負極構造体610と正極構造体620の間には、セパレータ660が配置される。
まず、負極構造体610を準備する。円盤状の集電体635の上に、集電体635と同心状で集電体635より径の小さな円盤状のリチウム等による金属層640を積層し、集電体635の上に柱状のスペーサ650を押し付け、負極構造体610を得る。
金属層640とスペーサ650とセパレータ660との間には、空間670が設けられる。
セパレータ660は、アルカリ金属イオン、及び/又はアルカリ土類金属イオンを通過させることが可能な多孔質の絶縁体である。セパレータ660は、金属層640、及び、電解液との反応性を有さない任意の無機材料(金属材料を含む)、及び、有機材料である。
セパレータ660の素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリオレフィン等の樹脂、及び、ガラス等でよい。セパレータ660は、織布であっても、不織布であってもよい。
金属メッシュ680としては、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、及びパラジウム(Pd)からなる群より選択される少なくとも1種の金属を有するメッシュが使用できる。すなわち、この群から選ばれる金属単体、この群から選ばれる金属を含む合金、この群から選ばれる金属と炭素(C)や窒素(N)などとの化合物からなるメッシュを挙げることができる。合金の場合、鉄(Fe)、クロム(Cr)を含むこともできる。メッシュは、例えば、厚さ0.2mm、目開き1mmとすることができる。
以上の工程により、コインセル600が製造される。
なお、コインセル600は、正極構造体620として、多孔炭素膜690と、金属メッシュ680とを有しているが、本発明の空気電池は、上記のものに制限されず、正極構造体620として、多孔炭素膜690のみを有していてもよい。
図3は、積層型空気電池の一例を示す模式図である。
積層型空気電池500は、正極構造体510と負極構造体100とがセパレータ540を介して積層された積層構造を備える。積層数は、正極構造体510と負極構造体100とが各々1からなる1対を単位として、1対以上複数対でよく、対数に特段の上限はない。
負極構造体100を、一対の負極金属と、それらにより挟まれる負極用集電体520から構成し、負極用集電体520を外部に引き出すようにセパレータ540で囲み、セパレータ内の空間に電解液を充填する。
正極構造体510を、多孔炭素膜550とガス拡散層560とからなる一対の積層体と、それらにより挟まれる正極用集電体525から構成する。なお、正極用集電体525側から、順に、ガス拡散層560、多孔炭素膜550を配置する。
負極構造体100と、正極構造体510とをセパレータ540を介して積層し、積層型空気電池500を作製する。なお、この積層型空気電池500は、収納容器(図示せず)に収容されてもよい。
(1)直径1nm以上1000nm以下の細孔の占める細孔容積
3Flex(Micromeritics Instrument Corp.製)を用いて、窒素吸着法により得られた吸着等温線からBJH(Barrett-Joyner-Hallenda)法を用いて求めた。
(2)直径1nm以上200nm以下の細孔の占める細孔容積
3Flex(Micromeritics Instrument Corp.製)を用いて、窒素吸着法により得られた吸着等温線からBJH法を用いて求めた。
(3)直径1nm以上1000nm以下の細孔の占める比表面積
3Flex(Micromeritics Instrument Corp.製)を用いて、窒素吸着法により得られた吸着等温線からBJH法を用いて求めた。
(4)直径1nm以上200nm以下の細孔の占める比表面積
3Flex(Micromeritics Instrument Corp.製)を用いて、窒素吸着法により得られた吸着等温線からBJH法を用いて求めた。
(5)BET法比表面積
3Flex(Micromeritics Instrument Corp.製)を用いて窒素吸着法により得られた吸着等温線からBET(Brunauer―Emmett―Teller)法に従って求めた。
(6)見かけ密度
多孔炭素膜の質量をその体積で割って求めた。
(7)空隙率(%)
次記の計算により求めた。
(1-多孔炭素膜の見かけ密度/多孔炭素膜の構成材料の真密度)×100
(8)不融化収率(%)
次記の計算より求めた。
不融化後多孔質膜質量(g)/不融化前多孔質膜質量(g)×100
(9)炭素化収率(%)
次記の計算より求めた。
炭素化後多孔炭素膜質量(g)/不融化後多孔質膜質量(g)×100
(10)炭素膜の厚み維持率(%)
次記の計算より求めた。
炭化後多孔炭素膜厚み(μm)/塗布シート厚み(μm)×100
多孔炭素膜をφ16mmに切り出した正極、負極としての金属リチウム(φ16mm、厚さ0.2mm)、及び電解液LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)の1M-テトラエチレングリコールジメチルエーテル溶液100μLを浸漬させたセパレータであるガラス繊維ペーパ(Whatman(登録商標)、GF/A)を、露点温度-50℃以下のドライルーム(乾燥空気内)で、コインセルケース(CR2032型)に実装することで、図2に示すコインセル600を作製した。
このコインセル600を、純酸素雰囲気下、電流密度0.4mA/cm2で放電し、電圧が2.3Vまで下がった時点を放電終点として、得られた放電容量を、正極として用いた多孔炭素膜の質量で割ることで、正極質量当りの放電容量(以下、「多孔炭素膜の放電容量」という。)を算出した。
以下の方法で、空気電池正極用の多孔炭素膜の作製し、上述した方法で評価を行った。
多孔質炭素粒子としてケッチェンブラックEC600JDを75質量部、繊維平均径6μm、平均長さ3mmのカーボンファイバーを5質量部、平均径1.6nm、長さ約5μmのカーボンナノチューブを5質量部、バインダー用高分子材料としてポリアクリロニトリル(PAN)を3質量部、ALDRICH社製の粘度平均分子量600,000のポリエチレンオキサイド(PEO)を12質量部用いると共に、これらを均一に分散する溶剤としてN-メチルピロリドンを加え、シンキー社製の自公転混錬機ARE310で混合し、合剤スラリーを作製した。このとき、多孔炭素粒子に対するポリエチレンオキサイド(PEO)の質量比は、0.16となる。使用したケッチェンブラックEC600JDの性状を表1に示す。
前記合剤スラリーを、ドクターブレードを用いた湿式製膜法にて、厚み550μmに成型してシート化した。
成型したシートをトレーに入れ、そこにメタノール220gを投入し静置した。2時間後、トレー中のメタノールを排出し、新たにメタノール220gを投入し17時間静置後、トレー中のメタノールを排出することで、成型シートを多孔質膜化した。
本工程では、PANのN-メチルピロリドン溶液中に多孔炭素粒子と炭素繊維とが分散した状態にある前記成型シートを、PANの非溶媒(貧溶媒)であるメタノールに浸漬することで、PANが炭素粒子及び炭素繊維を結合した状態で相分離析出し、炭素粒子を骨格とした多孔質膜が生成される。他方、成型シート中のN-メチルピロリドンは、ほとんどがメタノールと相溶し、除去される。
トレーから溶媒浸漬後の多孔質膜を取り出し、50℃で2時間、80℃で10時間の乾燥を行い、多孔質膜に含まれている揮発性の溶媒を取り除いた。
乾燥した多孔質膜に対して、ヤマトイナートオーブンDN411を用いて、大気循環雰囲気下、320℃で3時間の不融化処理を行い、多孔炭素膜中のPANを、不融樹脂に変化させた。多孔膜中のPEOは、この不融化工程で大部分が分解散逸する。この不融化工程での多孔膜収率は86.4%であった。
不融化処理で得られた長さ90mm、幅80mmの不融化多孔膜を、デンケンハイデンタル社のボックス型炉を用い、窒素ガスを600mL/minで流しながら、昇温速度10℃/minで1050℃まで昇温し、1050℃で3時間保持後、室温まで放冷することで、不融化されたPANを炭素化し、全炭素からなる多孔炭素膜を得た。この炭素化工程で、不融化処理後に多孔膜中に残存するPEOがさらに分解され、散逸する。この炭素化工程での多孔膜収率は、94.7%であった。
また、成形したシートの厚みに対する多孔炭素膜の厚みの百分率である、多孔炭素膜の厚み維持率は、51%であった。
さらに、合剤スラリーの配合から計算される多孔炭素膜中の多孔炭素粒子量は、87%であった。
得られた多孔炭素膜は、直径1nm以上1000nm以下の細孔の占める細孔容積が3.6cm3/g、直径1nm以上200nm以下の細孔の占める細孔容積が2.9cm3/g、直径1nm以上1000nm以下の細孔の占める比表面積が1066cm2/g、直径1nm以上200nm以下の細孔の占める比表面積が1056cm2/gと、何れも大きな値を示した。また、得られた多孔炭素膜のBET比表面積は1102m2/g、見かけ密度は0.17g/cm3、空隙率は91.2%であった。
次に、この多孔炭素膜を正極に用いたコインセルを、上述の方法で作製し、多孔炭素膜の放電容量を算出した。その結果、放電容量は、3350mAh/gと大きな値を示した。
PEOを加えず、PANの量を15質量部(実施例1のPANとPEOの合計量と同じ量)とした以外は、実施例1と同様に行った。不融化工程での多孔膜収率は92.3%となり、実施例1の86.4%より高い値であった。これは、実施例1では不融化工程でPEOの分解散逸に相当する質量減少が起こるのに対し、比較例1ではPEOを含まないため、該質量減少が起こらないためと考えられる。また、炭素化工程での多孔膜収率、多孔炭素膜の厚み維持率及び合剤スラリーの配合から計算される多孔炭素膜中の多孔炭素粒子量はそれぞれ、表2に示すとおりであった。
合剤スラリー作製時のPANの使用量を7質量部、PEOの使用量を8質量部としたこと、及び合剤スラリーから成型するシートの厚みを200μmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。このとき、多孔炭素粒子に対するPEOの質量比は、0.107となる。不融化工程での多孔膜収率は90.3%であった。また、炭素化工程での多孔膜収率、多孔炭素膜の厚み維持率、及び合剤スラリーの配合から計算される多孔炭素膜中の多孔炭素粒子量はそれぞれ、表2に示すとおりであった。
PEOを加えず、PANの量を15質量部(実施例1のPANとPEOの合計量と同じ量)とした以外は、実施例2と同様に行った。不融化工程での多孔膜収率は95.1%となり、実施例1の90.3%より高い値であった。これは、実施例2では不融化工程でPEOの分解散逸に相当する質量減少が起こるのに対し、比較例2ではPEOを含まないため、該質量減少が起こらないためと考えられる。また、炭素化工程での多孔膜収率、多孔炭素膜の厚み維持率及び、合剤スラリーの配合から計算される多孔炭素膜中の多孔炭素粒子量はそれぞれ、表2に示すとおりであった。
合剤スラリー作製時のPANの使用量を10質量部、PEOの使用量を5質量部としたこと以外は、実施例2と同様に行った。このとき、多孔炭素粒子に対するPEOの質量比は、0.067となる。不融化工程での多孔膜収率は92.4%であった。また、炭素化工程での多孔膜収率、多孔炭素膜の厚み維持率、及び合剤スラリーの配合から計算される多孔炭素膜中の多孔炭素粒子量はそれぞれ、表2に示すとおりであった。
合剤スラリー作製時の多孔炭素粒子の使用量を85質量部、カーボンナノファイバー及びカーボンナノチューブの使用量をそれぞれ4質量部、PANの使用量を3質量部、PEOの使用量を4質量部としたこと、並びに合剤スラリーから成型するシートの厚みを300μmとしたこと以外は、実施例1と同様に行った。このとき、多孔炭素粒子に対するPEOの質量比は、0.047となる。不融化工程での多孔膜収率は93.4%であった。また、炭素化工程での多孔膜収率、多孔炭素膜の厚み維持率、及び合剤スラリーの配合から計算される多孔炭素膜中の多孔炭素粒子量はそれぞれ、表2に示すとおりであった。
PEOを加えず、PANの量を7質量部(実施例4のPANとPEOの合計量と同じ量)とした以外は、実施例4と同様に行った。不融化工程での多孔膜収率は97.2%となり、実施例4の93.4%より高い値であった。これは、実施例4では不融化工程でPEOの分解散逸に相当する質量減少が起こるのに対し、比較例3ではPEOを含まないため、該質量減少が起こらないためと考えられる。また、炭素化工程での多孔膜収率、多孔炭素膜の厚み維持率、及び合剤スラリーの配合から計算される多孔炭素膜中の多孔炭素粒子量はそれぞれ、表2に示すとおりであった。
610 負極構造体
620 正極構造体
630 コインセル型拘束具
635 集電体
640 金属層
650 スペーサ
660 セパレータ
670 空間(電解質充填用空間)
680 金属メッシュ
690 多孔炭素膜
100 負極構造体
500 積層型空気電池
510 正極構造体
520 負極用集電体
525 正極用集電体
540 セパレータ
550 多孔炭素膜
560 ガス拡散層
Claims (10)
- 多孔炭素粒子、
不活性雰囲気中で800℃に加熱した際の質量減少率が90%未満であるバインダー用高分子材料、
不活性雰囲気中で800℃に加熱した際の質量減少率が90%以上である熱分解性有機化合物、並びに
任意成分であるカーボンファイバー及びカーボンナノチューブから選択される少なくともいずれか
を含有する、多孔炭素膜製造用組成物。 - 前記熱分解性有機化合物が、ポリエチレンオキサイド(PEO)である、請求項1に記載の多孔炭素膜製造用組成物。
- 前記熱分解性有機化合物の含有量が、前記多孔炭素粒子、前記バインダー用高分子材料、前記カーボンナノファイバー及び前記カーボンナノチューブの合計を100質量部とした場合に、0.5質量部以上90質量部以下である、請求項1又は2に記載の多孔炭素膜製造用組成物。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の炭素多孔膜製造用組成物で形成された、多孔炭素膜製造用シート。
- 空気電池正極用の多孔炭素膜の製造方法であって、
請求項1から3のいずれか1項に記載の多孔炭素膜製造用組成物を含有する合剤スラリーを調製すること、
前記合剤スラリーを成型すること、
前記成型することによって得られた成型体を、前記バインダー用高分子材料の溶解度が低い溶媒に浸漬すること、
前記浸漬して得られた試料を乾燥すること、及び
前記乾燥して得られた試料を、不活性ガス雰囲気中で炭素化すること
を含む、空気電池正極用の多孔炭素膜の製造方法。 - 前記炭素化の前に、前記乾燥して得られた試料を、空気中で不融化することを含む、請求項5に記載の多孔炭素膜の製造方法。
- 前記多孔炭素膜が、以下の(a)から(c)のすべての条件を満たす、請求項5又は6に記載の多孔炭素膜の製造方法。
(a)直径1nm以上1000nm以下の細孔の占める細孔容積が、3.6cm3/g以上7.0cm3/g以下
(b)直径1nm以上200nm以下の細孔の占める細孔容積が、2.8cm3/g以上7.0cm3/g以下
(c)直径1nm以上200nm以下の細孔の占める比表面積が、1000m2/g以上2000m2/g以下 - 前記多孔炭素膜が、さらに以下の(e)の条件を満たす、請求項7に記載の多孔炭素膜の製造方法。
(e)見かけ密度が、0.10g/cm3以上0.20g/cm3以下 - 前記多孔炭素素膜が、さらに以下の(f)の条件を満たす、請求項7又は8に記載の多孔炭素膜の製造方法。
(f)空隙率が、90%以上99%以下 - 空気電池の製造方法であって、
請求項5から9のいずれか1項に記載の多孔炭素膜の製造方法により多孔炭素膜を製造すること、
前記多孔炭素膜から正極を形成すると共に、負極及びセパレータを準備すること、
前記正極及び負極を、セパレータを介して積層すること、並びに
前記セパレータに電解液を充填すること
を含む、空気電池の製造方法。
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