JP2023062727A - 複合型シリンダブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】金属製メインブロックを合成樹脂材料の溶融温度付近にまで加熱することで合成樹脂製のアウタ部材と接合する加熱溶着を可能とする。【解決手段】内燃機関の複合型シリンダブロックは、金属製メインブロックと、合成樹脂製アウタ部材と、から構成され、シリンダ軸方向と直交する接合面において加熱溶着される。メインブロックは、シリンダヘッドボルトボス部となる柱状部14(14A,14C,14E,14G)を備え、アウタ部材側の柱状部対向面52(52A,52C,52E,52F)が柱状部14の外側面に微小隙間を介して対向する。隙間寸法は、加熱溶着時にメインブロック2が熱膨張しても干渉しないように、「Δ1>Δ3」および「Δ8>Δ6」の関係がある【選択図】図12

Description

この発明は、金属製部材と合成樹脂製部材とを組み合わせて構成された内燃機関の複合型シリンダブロックに関する。
特許文献1には、アルミニウム合金等を用いて鋳造した金属製シリンダブロックからシリンダライナを囲むウォータジャケット外壁部分を機械加工により除去し、シリンダライナ外周面に嵌合する円筒壁を備えた樹脂ブロックを組み合わせた構成のシリンダブロックが開示されている。機械加工により除去する際には、円筒形のシリンダライナとシリンダヘッドボルトボス部となる複数の柱状部が残される。樹脂ブロックは各柱状部が嵌合する貫通孔を備えている。そして、シリンダライナ外周面および柱状部外周面に接着剤層を設けた上で、樹脂ブロックの円筒壁および柱状部用の貫通孔と嵌合させることによって、樹脂ブロックと金属製ブロックとが一体化されている。
特開2020-112147号公報
このような構成では、金属製シリンダブロックと樹脂ブロックとを組み合わせる際に、複数の柱状部が樹脂ブロックの貫通孔に接着剤層とともに密に嵌合する必要があるので、実際には僅かな寸法誤差があっても組立が困難となる。
この発明は、少なくともシリンダ壁と主軸受部とを含む金属製のメインブロックと、上記シリンダ壁を囲むように構成され、上記シリンダ壁との間にウォータジャケットを構成するとともに、シリンダヘッドが上面に配置されるアッパデッキ部を含む合成樹脂製のアウタ部材と、を備え、上記アウタ部材が、上記メインブロックを加熱することで上記メインブロックに加熱溶着されてなる複合型シリンダブロックであって、
上記メインブロックは、上記シリンダヘッドを固定するシリンダヘッドボルトにそれぞれ対応して、上記アッパデッキ部の上面に達するように立ち上がった複数の柱状部を備えており、
上記アウタ部材は、上記柱状部の外側面に微小隙間を介して対向する柱状部対向面を備えており、
各柱状部の気筒列方向外側へ向かう外側面とこれに対応する柱状部対向面との間の上記微小隙間の気筒列方向に沿った寸法が、気筒列方向中心から気筒列方向に離れた柱状部ほど大きく設定されている。
このような構成では、加熱溶着に際して金属製メインブロックが加熱されると、金属製メインブロックが熱膨張するため、柱状部の位置、詳しくは合成樹脂製アウタ部材側の柱状部対向面に対する相対的な位置が気筒列方向に変位する。従って、上記のように微小隙間の気筒列方向に沿った寸法を設定しておくことで、加熱溶着の際に各柱状部で適当な隙間が確保されることとなる。
この発明によれば、金属製メインブロックの複数の柱状部が合成樹脂製アウタ部材側の柱状部対向面と干渉することなく個々に製造したメインブロックとアウタ部材とを加熱溶着することが可能となる。従って、複合型シリンダブロックの製造工程が簡単となり、低コストに製造することができる。
一実施例の複合型シリンダブロックの斜視図。 複合型シリンダブロックの平面図。 複合型シリンダブロックの底面図。 メインブロックの斜視図。 メインブロックの平面図。 アウタ部材の斜視図。 アウタ部材を上下反転させた状態での斜視図。 図7の一部の拡大図。 アウタ部材の平面図。 アウタ部材の底面図。 図2のA-A線に沿った断面の斜視図。 図2の要部の拡大説明図。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
初めに、一実施例の複合型シリンダブロック1の全体的な構成を説明する。複合型シリンダブロック1は、金属製のメインブロック2と、合成樹脂製のアウタ部材3と、の2つの部材から構成されている。図1~図3および図11は、メインブロック2とアウタ部材3とを一体化した状態での複合型シリンダブロック1を示し、図4,図5は、メインブロック2を単体で示し、図6~図10は、アウタ部材3を単体で示している。メインブロック2およびアウタ部材3は、それぞれ個別に製造され、後述する加熱溶着技術を用いて一体に溶着されている。
図示例は、直列3気筒機関用のシリンダブロック1であり、説明の便宜のために、図1に「♯1」等と付したように、図1の右手前側から順に、♯1気筒、♯2気筒、♯3気筒、と呼ぶこととする。そして、これら3つの気筒の中心が並ぶ直線と平行な方向を「気筒列方向」、各気筒の中心軸と平行な方向を「シリンダ軸方向」、気筒列方向と直交する方向を「幅方向」、とそれぞれ呼ぶこととする。また、一般的な上死点および下死点の方向に倣って、「上」、「上方」、「下」、「下方」等の語を用いる。なお、本発明は、直列3気筒機関に限定されるものではない。さらに、シリンダブロック1の「前」は気筒列方向について♯1気筒側を意味し、「後」は♯3気筒側を意味する。
金属製のメインブロック2は、内燃機関の燃焼・爆発に伴う荷重ないし反力を支承する部分を一体に集約したものであり、適宜な金属材料を用いて各部一体に鋳造されている。好ましい一実施例では、アルミニウム合金を用いてダイキャスト製法により一体に鋳造されている。図4,図5に示すように、メインブロック2は、シリンダ軸方向と直交する平面に沿った板状をなすロアデッキ11と、このロアデッキ11の上面から上方へ立ち上がった台座部12と、この台座部12からさらに上方へ延びた3つの円筒形のシリンダ壁13と、同じく台座部12から上方へ立ち上がった計8つの柱状部14と、ロアデッキ11の下面に設けられた4つの主軸受部15と、を備えている。各々のシリンダ壁13によってシリンダボア16が構成されており、これらのシリンダボア16は、台座部12を貫通してロアデッキ11の下面まで延びている。
ロアデッキ11は、気筒列を中心として幅方向に略対称をなすよう拡がっており、♯3気筒側の部分では幅方向寸法が相対的に大きく、♯1気筒側の部分では幅方向寸法が相対的に小さく構成されている(図3参照)。板状のロアデッキ11は、必要な剛性を有するように適当な厚さを有する。なお、シリンダボア16は、ロアデッキ11の下面で終端している。つまりシリンダ壁13はロアデッキ11よりも下方へは突出していない。最終的に内燃機関として組み立てられた状態では、ロアデッキ11の下面に図示しないクランクケース構成部材(例えばオイルパン)が取り付けられる。
主軸受部15は、図示しないクランクシャフトを回転自在に支持するために、気筒列方向の前後両端と気筒間位置との計4カ所に設けられている。主軸受部15は、それぞれ長方形の比較的に厚肉の板状をなすようにロアデッキ11の下面から下方へ突出して形成されており、それぞれの下面中央に、半円形をなす軸受凹部15aを備えている。これらの主軸受部15には、最終的に図示しないベアリングキャップが取り付けられ、図示しないベアリングメタルを介してクランクシャフトのジャーナル部が回転自在に支持される。ロアデッキ11の下面は、主軸受部15を除き、シリンダ軸方向と直交する1つの平面に沿った平坦面をなしている。
シリンダ壁13は、実質的に一定の厚さ(半径方向寸法)を有する円筒形をなしている。また、図示例では、3つの円筒形のシリンダ壁13が気筒間部分で互いに連結されたいわゆるサイアミーズ構造をなしている。つまり、シリンダ壁13の外径よりもボアピッチが短くなっている。図示例ではメインブロック2がアルミニウム合金から形成されているので、シリンダボア16の内周面に、図示しない鋳鉄製のシリンダライナの挿入や耐摩耗性金属の溶射等がなされる。
台座部12は、ロアデッキ11の上面から実質的に直角に立ち上がる側面21と、ロアデッキ11の上面および下面と平行な頂面22と、を有する。柱状部14は、それぞれ台座部12の頂面22から上方へ実質的に直角に(換言すればシリンダ軸方向に沿って)立ち上がっている。
柱状部14は、3つのシリンダ壁13が一連となった気筒列を囲むように、気筒列方向の前後両端と気筒間位置との計8カ所にそれぞれ設けられている。以下では、各々を区別する必要がある場合には、図4に示すように、♯1気筒側から順に、第1柱状部14A、第2柱状部14B、第3柱状部14C、第4柱状部14D、第5柱状部14E、第6柱状部14F、第7柱状部14G、第8柱状部14H、と呼び、区別の必要がない場合は柱状部14と総称する。各々の柱状部14は個々に独立しており、シリンダ壁13からも分離している。これらの柱状部14は、シリンダブロック1の上に配置される図示しないシリンダヘッドを固定するためのシリンダヘッドボルト(図示せず)がそれぞれ螺合するボルトボス部として機能するものである。
第1柱状部14Aおよび第2柱状部14Bを除く6つの柱状部14つまり第3柱状部14C~第8柱状部14Hは、それぞれ断面円形の単純な円柱形をなしており、上端部の中心にシリンダヘッドボルトが螺合するボルト孔24が形成されている。基本的に第3柱状部14C~第8柱状部14Hの径は、互いに等しく設定されている。ここで、図示例では、メインブロック2がダイキャスト製法により鋳造されることから、シリンダ軸方向に沿った各部の面に、必要に応じていわゆる抜き勾配が与えられており、従って、円柱形である第3柱状部14C~第8柱状部14Hは、厳密には、上端部が僅かに小径となったテーパ状をなしている。
第3柱状部14C~第8柱状部14Hと異なり、第1柱状部14Aは、2本の平行な円柱を外周面の一部で接合したかのような形状をなしている。換言すれば、図5のような平面図およびシリンダ軸方向と直交する断面図において、「8」の字の形状をなしている。具体的には、第3柱状部14C~第8柱状部14Hと同様の径を有する主円柱部14Aaと、これよりも小径な副円柱部14Abと、が一体となっている。主円柱部14Aaは、第3柱状部14C~第8柱状部14Hと同様にシリンダヘッドボルトのためのボルトボス部として機能する部分であり、上端部中心にボルト孔24を有する。この主円柱部14Aaは、♯1気筒の気筒中心を挟んで第4柱状部14Dと対称となる位置、つまり計8本のシリンダヘッドボルトの配置が均等となる位置、に設けられている。副円柱部14Abは、主円柱部14Aaの斜め外側つまり♯1気筒のシリンダ壁13とは反対側となる位置にある。この副円柱部14Abの中心には、図外のオイルポンプで加圧されたオイルをシリンダヘッドへ供給するためのシリンダ軸方向に沿ったオイル通路25が形成されている。換言すれば、副円柱部14Abは、断面円形のオイル通路25を構成する管に相当する。このように、第1柱状部14Aは、ボルトボス部となる主円柱部14Aaとオイル通路25の管となる副円柱部14Abとが周面の一部で接続されたものであり、両者間の外周面には、一対の凹溝部14Acが残存する。
第2柱状部14Bは、第1柱状部14Aと類似しており、2本の平行な円柱を外周面の一部で接合したかのような形状をなしている。換言すれば、図5のような平面図およびシリンダ軸方向と直交する断面図において、「8」の字の形状をなしている。具体的には、第3柱状部14C~第8柱状部14Hよりも小径な主円柱部14Baと、これよりも僅かに小径な副円柱部14Bbと、が一体となっている。主円柱部14Baは、第3柱状部14C~第8柱状部14Hと同様にシリンダヘッドボルトのためのボルトボス部として機能する部分であり、上端部中心にボルト孔24を有する。この主円柱部14Baは、♯1気筒の気筒中心を挟んで第3柱状部14Cと対称となる位置、つまり計8本のシリンダヘッドボルトの配置が均等となる位置、に設けられている。副円柱部14Bbは、主円柱部14Baの前側かつ幅方向内側、つまり、♯1気筒の気筒中心を中心とする円弧上において主円柱部14Baの隣りに並ぶ位置にある。この副円柱部14Bbの中心には、第1柱状部14Aの副円柱部14Abと同様に、図外のオイルポンプで加圧されたオイルをシリンダヘッドへ供給するためのシリンダ軸方向に沿ったオイル通路26が形成されている。換言すれば、副円柱部14Bbは、断面円形のオイル通路26を構成する管に相当する。このように、第2柱状部14Bは、ボルトボス部となる主円柱部14Baとオイル通路26の管となる副円柱部14Bbとが周面の一部で接続されたものであり、両者間の外周面には、一対の凹溝部14Bcが残存する。
また、図示例では、第2柱状部14Bは、他の柱状部14(第1柱状部14A、第3柱状部14C~第8柱状部14H)が台座部12の側面21とは連続せずに台座部12の頂面22から突出しているのに対し、当該第2柱状部14Bの下部部分が台座部12の側面21と一体化したような形に構成されている。つまり、「8」の字形の断面形状をなす第2柱状部14Bの外周面の中で、その内側部分(シリンダ壁13へ向かう部分)は台座部12の頂面22から立ち上がっているのに対し、外側部分(シリンダ壁13とは反対側となる部分)は頂面22よりも下方へ延びてロアデッキ11まで連続したような形となっている。
第1柱状部14Aを通るオイル通路25の下端部および第2柱状部14Bを通るオイル通路26の下端部は、ロアデッキ11の前端部付近に形成されたメインブロック2の幅方向に延びるサブオイルギャラリ(図示せず)にそれぞれ連通している。そして、この幅方向に沿ったサブオイルギャラリは、シリンダ壁13の列の下部側方に形成された気筒列方向に沿って延びたメインオイルギャラリ27(図11、図4参照)に連通している。メインオイルギャラリ27には図外のオイルポンプから加圧された高圧のオイル(潤滑油)が供給される。この高圧のオイルの一部は、2本のオイル通路25,26を介してシリンダヘッド側へ供給される。また、図11に示すように、高圧のオイルの一部は、主軸受部15内を通るオイル通路28を介して軸受凹部15aへと供給される。
台座部12は、直列に並んだ3つのシリンダ壁13の外側の輪郭から略一定の幅で外側に張り出すように形成されているとともに、第2柱状部14Bを除く柱状部14の外側の輪郭から略一定の幅で外側に張り出すように形成されている。つまり、シリンダ壁13および柱状部14の外側の輪郭に沿いつつその外側を囲むように台座部12の側面21の形状が定められている。基本的に、側面21は、シリンダ壁13と同心円をなす円筒面と、柱状部14と同心円をなす円筒面と、を組み合わせたものとなっている。
換言すれば、図5に示すように、柱状部14との隣接部分を除くシリンダ壁13の周囲に頂面22が略一定の幅(図5中の符号D1参照)で存在するとともに、柱状部14の周囲に頂面22が相対的に狭い略一定の幅(図5中の符号D2参照)で存在する。第1柱状部14Aの周囲には、該第1柱状部14Aの「8」の字形の断面形状に沿って、他の柱状部14の周囲と同様の幅で頂面22が存在する。また、第2柱状部14Bを除く各柱状部14とこれに隣接するシリンダ壁13との間にも相対的に狭い幅で頂面22が存在する。
第2柱状部14Bについては、主円柱部14Baおよび副円柱部14Bbの双方が他の柱状部14よりも小径であることから、他の柱状部14との隣接部分以外の幅(図5のD1参照)と同程度の幅の頂面22がシリンダ壁13との間に存在する。他方、第2柱状部14Bの外側には、頂面22は存在しない。
さらに、台座部12は、平面視で四角形状をなすオイル落とし孔形成部31を3カ所に備えている。第1オイル落とし孔形成部31Aは、♯1気筒と♯2気筒との間で第3柱状部14Cの外側となる位置にあり、第2オイル落とし孔形成部31Bは、♯2気筒と♯3気筒との間で第5柱状部14Eの外側となる位置にある。第3オイル落とし孔形成部31Cは、これら2つのオイル落とし孔形成部31A,31Bとは気筒列を挟んで反対側にあり、第4柱状部14Dと第6柱状部14Fとの間つまり♯2気筒の側方にある。これらのオイル落とし孔形成部31の中央部には、シリンダ軸方向に延びたオイル落とし孔下半部32がそれぞれ形成されている。このオイル落とし孔下半部32は、後述するように、シリンダヘッド側で使用したオイルをクランクケース内に自重で戻すためのオイル落とし孔の一部を構成する。オイル落とし孔下半部32は、図5に開口形状を示すように、気筒列方向に細長い略長方形の断面形状を有しているが、最終的なオイルの出口となるロアデッキ11の下面では、図3に示すように、円形の孔に絞られた形となっている。
図4,図5に示すように、オイル落とし孔形成部31は、台座部12の一部としてシリンダ壁13周囲等と等しい高さを有しており、同一の平面をなす台座部12の頂面22の一部がオイル落とし孔下半部32の周囲を囲んでいる。
台座部12の頂面22は、シリンダ壁13の周囲を囲む部分、柱状部14の周囲を囲む部分、オイル落とし孔下半部32の周囲を囲む部分、を含む全体が、シリンダ軸方向と直交する1つの平面に沿っている。この頂面22は、後述するように、合成樹脂製のアウタ部材3との接合面となる面であり、シリンダ軸方向と直交する平面をなし、従って、ロアデッキ11の下面と平行な平面となる。
次に、合成樹脂製のアウタ部材3は、内燃機関の燃焼・爆発に伴う荷重ないし反力を支承する部材ではなく、主にメインブロック2との間で冷却水が流れるウォータジャケットを構成するとともに、シリンダヘッドとの接合面となるアッパデッキ部分を構成するものであり、適宜な合成樹脂材料を用いて各部一体に構成されている。一実施例においては、熱可塑性樹脂、例えば、ポリアミド樹脂にガラス繊維を配合した繊維強化樹脂を用いて一体に射出成形されている。
図6~図10に示すように、アウタ部材3は、全体として略長方形の枠状ないし筒状をなしている。アウタ部材3は、主要な部分として、シリンダヘッドとの接合面ないし境界面となるアッパデッキ部41と、メインブロック2のシリンダ壁13および第2柱状部14B以外の柱状部14を囲ってウォータジャケットを構成するウォータジャケット構成壁42と、このウォータジャケット構成壁42の下端から内周側に張り出した接合フランジ部43と、複合型シリンダブロック1の前端面および後端面となる前側フランジ部44および後側フランジ部45と、メインブロック2側のオイル落とし孔形成部31にそれぞれ対応したオイル落とし孔形成部46と、メインブロック2側の台座部12の周囲を覆う下側側壁部47と、を備えている。後述するように、アウタ部材3は、メインブロック2のシリンダ壁13をウォータジャケット構成壁42の内周側に収容しつつメインブロック2の上に被せるようにしてメインブロック2と組み合わされる。
アッパデッキ部41は、アウタ部材3の上端において略長方形の枠状に連続しており、その上面は、シリンダ軸方向と直交する1つの平面に沿った平坦面をなしている。アッパデッキ部41は、直線状をなす左右の側縁部41a,41bと、前端縁部41cと、後端縁部41dと、を含んでいる。側縁部41a,41bは、幅方向に延びたいくつかのリブ41eを介して、内側に位置するウォータジャケット構成壁42上部と連結されている。ウォータジャケット構成壁42の上端面は、アッパデッキ部41の一部を構成しており、側縁部41a,41b、前端縁部41c、後端縁部41d、とともに、1つの平面に沿っている。図外のシリンダヘッドは、シリンダヘッドガスケット(図示せず)を介してアッパデッキ部41の上に搭載される。シリンダヘッドガスケットとしては、例えば、シリンダ壁13頂面等の金属製のメインブロック2と接する部分をメタルシールとし、合成樹脂製アッパデッキ部41と接する部分をゴムシールとした複合型ガスケットが用いられる。
ウォータジャケット構成壁42は、平面視上で、メインブロック2のシリンダ壁13および柱状部14(第2柱状部14Bを除く)の外側の輪郭に概ね沿った形状をなし、かつ実質的にシリンダ軸方向に平行な壁面を有している。より具体的には、ウォータジャケット構成壁42は、柱状部14と重ならずにシリンダ壁13の外周面に対向する比較的緩く湾曲した左右各3つおよび前後両端の計8つのシリンダ対向面51と、第2柱状部14B以外の柱状部14を囲む計7つの柱状部対向面52と、を組み合わせた構成となっている。図9に示すように、8つのシリンダ対向面51を個々に区別する必要があるときは、前端部から時計回り方向の順に、第1シリンダ対向面51A,第2シリンダ対向面51B・・・第8シリンダ対向面51Hとする。7つの柱状部対向面52については、その中に挿入される柱状部14の名称に準じて、第1柱状部対向面52A,第3柱状部対向面52C・・・第8柱状部対向面52H、として個々に区別する。柱状部対向面52は、それぞれ隣接する2つのシリンダ対向面51の間に位置し、相対的に小さな曲率半径の凹溝面として凹んだ形をなしている。
シリンダ対向面51は、メインブロック2と組み合わせたときに、図1に示すように、シリンダ壁13との間に例えば数ミリ程度の適当な間隔(換言すればウォータジャケット)が生じるように、その位置が設定されている。これに対し、柱状部対向面52は、各柱状部14の外周面との間に相対的に小さな隙間が生じるように、各柱状部14の径よりも僅かに大きな径の円弧面をなし、メインブロック2と組み合わせたときに、各柱状部14と概ね同心状をなすように構成されている。より詳しくは、第3柱状部14C~第6柱状部14Fに対応する第3柱状部対向面52C~第6柱状部対向面52Fは、それぞれ断面略半円の円筒面をなす。第7柱状部14G,第8柱状部14Hに対応する第7柱状部対向面52G,第8柱状部対向面52Hは、連続したウォータジャケットの端部のコーナ部分に相当する位置にあるので、半円よりも大きな3/4円程度の断面の円筒面をなしている。つまり、第7柱状部14G,第8柱状部14Hは、円周の3/4程度が第7柱状部対向面52G,第8柱状部対向面52Hに囲まれた形となる。第1柱状部14Aに対応する第1柱状部対向面52Aは、断面「8」の字状をなす第1柱状部14Aに対応して、全周に僅かな隙間が残存するように「8」の字の外形に沿った断面形状を有している。これにより、図1に示すように、全周に僅かな隙間を残して第1柱状部14Aが第1柱状部対向面52A内に嵌合する。
第2柱状部14Bについては、ウォータジャケット構成壁42には対応する凹溝部(柱状部対向面)を具備していない。第2柱状部14Bに対しては、ウォータジャケットから独立するように、ウォータジャケット構成壁42(詳しくは第1シリンダ対向面51Aないし第8シリンダ対向面51H)の外側に、第2柱状部挿入孔53がシリンダ軸方向に延びた管路状に形成されている(図6,図10参照)。第2柱状部挿入孔53は、断面「8」の字状をなす第2柱状部14Bに対応して、全周に僅かな隙間が残存するように「8」の字の外形に沿った断面形状を有している。この「8」の字の外形に沿った断面形状を有する第2柱状部挿入孔53は、上端がアッパデッキ部41の上面に開口し、ここから下方へと延びている。これにより、図1,図2に示すように、全周に僅かな隙間を残して第2柱状部14Bが第2柱状部挿入孔53内に嵌合する。
ウォータジャケット構成壁42の下端から内周側に張り出した接合フランジ部43は、ウォータジャケット構成壁42の下端面とともにシリンダ軸方向と直交する1つの平面に沿って形成されており、アウタ部材側接合面57を構成している。このアウタ部材側接合面57は、基本的には、メインブロック2の台座部12の頂面22の領域に対応した形状をなしている。すなわち、台座部12の頂面22において一連に連なった3つのシリンダ壁13の周囲の輪郭に沿うように接合フランジ部43が庇状に張り出しているとともに、第2柱状部14Bを除く7つの柱状部14に対応した7つの開口部54を備えており、これらの下面に、アウタ部材側接合面57が連続して構成されている。第3柱状部14C~第8柱状部14H用の6つの開口部54は円形であり、第1柱状部14A用の開口部54は、第1柱状部対向面52Aと同様の略「8」の字形をなす。各開口部54の外側の開口縁は、対応する柱状部対向面52と段差なくシリンダ軸方向に連続している。
ここで、ウォータジャケット構成壁42下面および接合フランジ部43の下面を含むアウタ部材側接合面57には、図7,図8および図10に示すように、合成樹脂材料の加熱溶着のために、該アウタ部材側接合面57から一定幅のビード状に下方へ突出した溶着リブ56が形成されている。溶着リブ56は、ウォータジャケット構成壁42の輪郭と同様に3つのシリンダ壁13および7つの柱状部14の外側を通るようにして全周に亘って連続した主溶着リブ56aと、7つの開口部54の内側部分(気筒間に入り込む部分)に個々に沿った円弧形の柱状部用溶着リブ56bと、を有し、柱状部用溶着リブ56bは主溶着リブ56aに連続している。
なお、図10および図8は、溶着加工を行う前のアウタ部材3における溶着リブ56を示している。溶着工程を経てアウタ部材3がメインブロック2に接合された状態では、溶着リブ56は、加熱溶融することで、その高さ(突出量)が減少し、僅かに残存する程度となる。
アウタ部材3のオイル落とし孔形成部46は、メインブロック2側のオイル落とし孔形成部31にそれぞれ対応するようにアウタ部材3の3カ所に設けられている。各々のオイル落とし孔形成部46は、アッパデッキ部41から下方へ管路状に突出しており、内周側に、シリンダ軸方向に延びたオイル落とし孔上半部58が形成されている。このオイル落とし孔上半部58は、メインブロック2側のオイル落とし孔下半部32と連続することで、シリンダヘッドからクランクケースに至るオイル落とし孔を構成する。なお、オイル落とし孔上半部58の上端は、アッパデッキ部41の側縁部41a,41bとウォータジャケット構成壁42との間で開口している。オイル落とし孔上半部58の下端は、図7および図10に示すように、接合フランジ部43およびウォータジャケット構成壁42の下面と同一の平面において、気筒列方向に沿って細長い形に開口している。つまりオイル落とし孔形成部46の下端面がアウタ部材側接合面57の一部を構成しており、このアウタ部材側接合面57にオイル落とし孔上半部58の下端が開口している。そして、各オイル落とし孔上半部58の周囲を囲むように、アウタ部材側接合面57に、上述したものと同様の溶着リブ56(オイル落とし孔用溶着リブ56c)が形成されている。
前側フランジ部44は、上端部がアッパデッキ部41の前端縁部41cに連続し、比較的に剛性が高いフランジ面44a(図6参照)を構成している。同様に、後側フランジ部45は、上端部がアッパデッキ部41の後端縁部41dに連続し、比較的に剛性が高いフランジ面45a(図7参照)を構成している。フランジ面44a,45aは、気筒列方向に直交する平面に沿っている。
下側側壁部47は、メインブロック2側の台座部12の周囲を覆うように、アウタ部材側接合面57の外周側の位置から下方へシリンダ軸方向に沿って延びている。下側側壁部47の下端は、メインブロック2と組み合わせたときにアッパデッキ部41の上面付近に達するように構成されている。また、オイル落とし孔形成部46の箇所では、メインブロック2側のオイル落とし孔形成部31との干渉を避けるために、下側側壁部47が切り欠かれている。
なお、♯1気筒の側方となる第8シリンダ対向面51Hに、アウタ部材3の外側面からウォータジャケットへ至る冷却水入口59(図6参照)が設けられている。
次に、メインブロック2とアウタ部材3との接合ならびにこの接合により最終的に構成される複合型シリンダブロック1について説明する。
上述のように金属製のメインブロック2と合成樹脂製のアウタ部材3とは、個々に製造された上で、加熱溶着技術(一種の熱板溶着)を用いて接合される。接合は、台座部12の頂面22とアウタ部材側接合面57との間でなされる。接合工程においては、金属製のメインブロック2のロアデッキ11の下面に加熱用のヒータを配置し、メインブロック2とアウタ部材3とが離れた状態において、台座部12を下側から加熱する。ヒータは、例えば主軸受部15がそれぞれ貫通する4つの矩形の開口部を備えた板状の構成であり、少なくとも台座部12の投影面を覆う範囲に設けられ、ロアデッキ11の下面に実質的に密接するように配置される。このヒータを用いた加熱により、メインブロック2側の接合面となる台座部12の頂面22付近の温度が、合成樹脂製のアウタ部材3の溶着リブ56が溶融軟化し得る適当な温度(例えば200~300℃程度)に上昇したら、台座部12の頂面22にアウタ部材側接合面57を密着させ、かつ、アウタ部材3をメインブロック2へ向けて加圧する。これにより、溶着リブ56が溶融して、メインブロック2とアウタ部材3とが一体に接合される。従って、溶着リブ56が両者間の実質的なシール線となる。なお、接合力を高めるために、必要に応じて、接合面となる台座部12の頂面22に予め適当なプライマ処理を施すようにしてもよい。
一体に接合された状態では、メインブロック2のシリンダ壁13とアウタ部材3のウォータジャケット構成壁42との間に、冷却水の流路となるウォータジャケットが構成される。このウォータジャケットは、シリンダ壁13の周囲を囲むように設けられた台座部12の頂面22とアウタ部材側接合面57との間の接合によってシールされる。つまり、図10に示すシール線となる溶着リブ56において、ウォータジャケットがシールされる。なお、溶着リブ56が溶着した状態においては、メインブロック2のシリンダ壁13の上端面とアウタ部材3のアッパデッキ部41の上面とがほぼ同一平面上に整列する。なお、アウタ部材3のアッパデッキ部41とシリンダヘッドとの間のシールがゴムシールとなることを考慮し、アッパデッキ部41の上面をメインブロック2のシリンダ壁13の上端面より僅かに低くしても良い。
第2柱状部14Bを除く他の7つの柱状部14は、いずれもウォータジャケット内にあり、冷却水が柱状部14の外周面を囲っている。溶着リブ56からなるシール線は、7つの柱状部14の外側つまり開口部54の外側(ウォータジャケット構成壁42側)を通過しており、7つの柱状部14を含む形でウォータジャケットをシールしている。従って、例えば図11に示すように、柱状部14外周面とウォータジャケット構成壁42(柱状部対向面52)との間に、比較的幅の狭いウォータジャケットが存在する。
これに対し、第2柱状部14Bは、アウタ部材3の第2柱状部挿入孔53の中に収容されており、ウォータジャケットから隔絶されている。つまり、第2柱状部14Bは、合成樹脂からなる第2柱状部挿入孔53周囲の壁に囲まれており、冷却水に接触しない。第2柱状部挿入孔53内壁面と第2柱状部14B外周面との間には、空気層となる僅かな隙間が存在する。
図示せぬシリンダヘッドは、アッパデッキ部41の上面に配置され、シリンダヘッドボルトを介して固定される。シリンダヘッドボルトは、柱状部14のボルト孔24にそれぞれ螺合する。ボルトボス部となる柱状部14は、いずれも台座部12に至るまでシリンダ軸方向に沿って直線上に連続しており、ボルト軸方向に沿った荷重を台座部12に直線的に伝達する。そして台座部12は厚肉で堅固に構成されており、シリンダヘッドから作用する荷重を台座部12が確実に支承する。同様に、主軸受部15は堅固な台座部12と一体化されており、クランクシャフトを確実に支持することができる。
また、メインブロック2のオイル落とし孔形成部31とアウタ部材3のオイル落とし孔形成部46とは、図1および図11に示すように互いに突き合わされる形で接合されている。ウォータジャケットと同様に、アウタ部材3側に設けられた溶着リブ56(56c)が溶融軟化し、メインブロック2側の接合面(頂面22)に接合される。これにより、オイル落とし孔下半部32とオイル落とし孔上半部58とが1本の通路として連続し、オイル落とし孔が構成される。なお、オイル落とし孔の上端は、さらに、シリンダヘッド側のオイル落とし孔に接続される。
このように、上記実施例の複合型シリンダブロック1は、荷重や反力を受ける金属製のメインブロック2が最小限の容積となるように構成されており、ウォータジャケット構成壁42等の多くの部分がアウタ部材3として合成樹脂製のものとなるので、大幅な軽量化が実現できる。
次に、本発明の要部について説明する。上記の複合型シリンダブロック1は、金属製のメインブロック2と合成樹脂製のアウタ部材3とが個々に製造され、両者が一種の熱板溶着のような加熱溶着によって一体に接合されるので、製造工程が簡単であり、低コストに製造し得る。ここで、加熱溶着の際には、例えばアルミニウム合金等からなる金属製メインブロック2が例えば200℃~300℃程度にまで加熱されるので、気筒列方向に熱膨張が生じ、複数の柱状部14において合成樹脂製アウタ部材3との間で干渉が生じることが懸念される。そのため、上記実施例では、柱状部14の気筒列方向外側へ向かう外側面と対応する柱状部対向面との間の上記微小隙間の気筒列方向に沿った寸法が、気筒列方向中心から気筒列方向に離れた柱状部ほど大きく設定されている。
図12は、メインブロック2とアウタ部材3とが一体化してなる複合型シリンダブロック1の平面図の要部を拡大した図であり、特に、気筒列方向に並んで位置する、第1柱状部14A、第3柱状部14C、第5柱状部14E、第7柱状部14Gの各柱状部14付近を拡大して対比した説明図である。シリンダブロック1の気筒列方向中心は、第3柱状部14Cと第5柱状部14Eとの間にある。
従って、第1柱状部14Aの気筒列方向外側へ向かう外側面とこれに対応する柱状部対向面(第1柱状部対向面52Aの図右側部分)との間には気筒列方向に隙間Δ1が存在し、第3柱状部14Cの気筒列方向外側へ向かう外側面とこれに対応する柱状部対向面(第3柱状部対向面52Cの図右側部分)との間には気筒列方向に隙間Δ3が存在する。ここで、両者は、「Δ1>Δ3」の関係がある。つまり、柱状部14の気筒列方向外側へ向かう外側面とこれに対応する柱状部対向面との間の微小隙間の気筒列方向に沿った寸法が、気筒列方向中心から気筒列方向に離れた柱状部ほど大きく設定されている。
同様に、第5柱状部14Eの気筒列方向外側へ向かう外側面とこれに対応する柱状部対向面(第5柱状部対向面52Eの図左側部分)との間には気筒列方向に隙間Δ6が存在し、第7柱状部14Gの気筒列方向外側へ向かう外側面とこれに対応する柱状部対向面(第7柱状部対向面52Gの図左側部分)との間には気筒列方向に隙間Δ8が存在する。そして、両者は、「Δ8>Δ6」の関係がある。
このような構成では、加熱溶着の際に金属製メインブロック2が例えば200℃~300℃程度にまで加熱されたときに、メインブロック2の気筒列方向に沿った熱膨張が生じても、各柱状部14と対応する柱状部対向面との間で干渉が生じることがない。従って、金属製メインブロック2を合成樹脂材料の溶融温度に近い温度にまで加熱して行う加熱溶着を実現することができる。例えば、加熱溶着時には、メインブロック2およびアウタ部材3はそれぞれ治具によって把持され、気筒列方向中心を基準として組み合わされる。
なお、上記実施例では、メインブロック2とアウタ部材3との接合面つまり溶着面の全体がシリンダ軸方向と直交する1つの平面に沿っており、メインブロック2の気筒列方向に沿った熱膨張および収縮が容易に許容される。
図示例では、第3柱状部14C、第5柱状部14E、第7柱状部14Gは断面円形の円柱形であり、これらと組み合わされる柱状部対向面52C,52E,52Gは、柱状部14C,14E,14Gの径よりも所定量大きな径の円弧面をなしている。そして、これら円弧面(52C,52E,52G)の中心が柱状部14C,14E,14Gの中心から気筒列方向外側にそれぞれ偏心している。従って、例えば第7柱状部14Gの気筒列方向内側(図右側)にも隙間Δ7が形成されるが、この隙間Δ7は気筒列方向外側の隙間Δ8よりも小さなものとなる。つまり「Δ8>Δ7」である。同様に、上記の偏心によって、第3柱状部14Cについては、「Δ3>Δ4」の関係があり、第5柱状部14Eについては「Δ6>Δ5」の関係がある。
「8」の字状をなす第1柱状部14Aに関しても基本的には同様であり、第1柱状部対向面52Aは径が大小異なる2つの円弧を連続させたような形をなしており、各々の円弧は第1柱状部14Aの主円柱部14Aaおよび副円柱部14Abの径よりも所定量大きな径を有し、かつ各円弧の中心が気筒列方向外側(図の右側)に偏心している。従って、第1柱状部14Aについて、気筒列方向内側(図の左側)に生じる隙間Δ2は、気筒列方向外側の隙間Δ1よりも小さく、「Δ1>Δ2」である。
このように、図示例では、柱状部14の外側面と相似形をなす柱状部対向面を気筒列方向外側へ変位(換言すれば偏心)させた構成となっており、その変位量(偏心量)が、気筒列方向中心から気筒列方向に離れた柱状部ほど大きく設定されている。例えば、第5柱状部14Eについての第5柱状部対向面52Eの偏心量よりも、第7柱状部14Gについての第7柱状部対向面52Gの偏心量の方が大きく設定されている。
このように柱状部対向面の基本的な形状を柱状部14と相似形とした上で気筒列方向に変位させた構成とすることで、合成樹脂製のアウタ部材3における柱状部対向面付近の肉厚が不必要に薄肉化したりすることがなく、アウタ部材3の剛性・強度の確保の上で有利である。
なお、図9や図10に示した接合フランジ部43における各柱状部14に対応した開口部54においても、上記の隙間寸法の関係や気筒列方向外側への偏心は同様である。換言すれば、開口部54の内周面は柱状部対向面の一部とも言える。
上記の気筒列方向の隙間寸法の説明は、図示はしないが、図2のように気筒列方向に並んだ、第2柱状部14B、第4柱状部14D、第6柱状部14F、第8柱状部14Hに関しても全く同様である。第4柱状部14D、第6柱状部14F、第8柱状部14Hは断面円形の円柱形であり、これらと組み合わされる柱状部対向面52D,52F,52Hは、柱状部14D,14F,14Hの径よりも所定量大きな径の円弧面をなしている。そして、これら円弧面(52D,52F,52H)の中心が柱状部14D,14F,14Hの中心から気筒列方向外側にそれぞれ偏心している。
「8」の字状をなす第2柱状部14Bに対しては、上述したようにアッパデッキ部41に開口する第2柱状部挿入孔53が設けられており、この第2柱状部挿入孔53の内周面が柱状部対向面となる。第2柱状部挿入孔53は径が大小異なる2つの円弧を連続させたような形をなしており、各々の円弧は第2柱状部14Bの主円柱部14Baおよび副円柱部14Bbの径よりも所定量大きな径を有し、かつ各円弧の中心が気筒列方向外側(図2の右側)に偏心している。これは、図12に示す第1柱状部14Aと第1柱状部対向面52Aとの関係に類似している。
従って、第2柱状部14B、第4柱状部14D、第6柱状部14F、第8柱状部14Hの各々に関して、図12と同様に、Δ1,Δ2,Δ3,Δ4,Δ5,Δ6,Δ7,Δ8の隙間が存在し、「Δ1>Δ3」および「Δ8>Δ6」の関係がある。また、各柱状部14について、上述した円弧中心の偏心によって、「Δ1>Δ2」、「Δ3>Δ4」、「Δ6>Δ5」、「Δ8>Δ7」の関係がある。
なお、各隙間の寸法差や円弧中心の偏心量等は、気筒数やシリンダ径、メインブロック2の材質等によって異なるものとなり、加熱溶着時の温度等をも考慮して最適に設定される。
以上、この発明の一実施例を詳細に説明したが、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施例では、第2柱状部14B以外の柱状部14がウォータジャケット内にあるが、全ての柱状部14が第2柱状部14Bのようにウォータジャケット外部にあってもよい。逆に第2柱状部14Bを含む全ての柱状部14がウォータジャケット内にあってもよい。また、柱状部14は円柱形以外の角柱形等であってもよい。
1…複合型シリンダブロック
2…メインブロック
3…アウタ部材
11…ロアデッキ
12…台座部
13…シリンダ壁
14…柱状部
15…主軸受部
24…ボルト孔
52…柱状部対向面
53…第2柱状部挿入孔53(柱状部対向面)

Claims (6)

  1. 少なくともシリンダ壁と主軸受部とを含む金属製のメインブロックと、上記シリンダ壁を囲むように構成され、上記シリンダ壁との間にウォータジャケットを構成するとともに、シリンダヘッドが上面に配置されるアッパデッキ部を含む合成樹脂製のアウタ部材と、を備え、上記アウタ部材が、上記メインブロックを加熱することで上記メインブロックに加熱溶着されてなる複合型シリンダブロックであって、
    上記メインブロックは、上記シリンダヘッドを固定するシリンダヘッドボルトにそれぞれ対応して、上記アッパデッキ部の上面に達するように立ち上がった複数の柱状部を備えており、
    上記アウタ部材は、上記柱状部の外側面に微小隙間を介して対向する柱状部対向面を備えており、
    各柱状部の気筒列方向外側へ向かう外側面とこれに対応する柱状部対向面との間の上記微小隙間の気筒列方向に沿った寸法が、気筒列方向中心から気筒列方向に離れた柱状部ほど大きく設定されている、複合型シリンダブロック。
  2. 上記柱状部は断面円形の円柱形をなし、
    上記柱状部対向面は、上記柱状部の径よりも所定量大きな径の円弧面をなしている、請求項1に記載の複合型シリンダブロック。
  3. 少なくとも気筒列方向の端部に位置する柱状部においては、上記円弧面の中心が上記柱状部の中心から気筒列方向外側に偏心している、請求項2に記載の複合型シリンダブロック。
  4. 上記柱状部が上記ウォータジャケットの中に位置し、
    上記柱状部対向面は、上記ウォータジャケットを構成するように上記シリンダ壁外周面に対向する2つのシリンダ対向面の間の凹溝面として構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の複合型シリンダブロック。
  5. 上記柱状部が上記ウォータジャケットから独立して位置し、
    上記柱状部対向面は、上記柱状部がシリンダ軸方向に挿入される孔として構成されている、請求項1~3のいずれかに記載の複合型シリンダブロック。
  6. 上記メインブロックと上記アウタ部材との溶着面の全体が、シリンダ軸方向と直交する1つの平面上にある、請求項1~5のいずれかに記載の複合型シリンダブロック。
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