JP2023059274A - 生物学的実体を含む液体組成物及びその使用 - Google Patents

生物学的実体を含む液体組成物及びその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】生分解性プラスチック製品の製造に有利に使用することができる、ポリマー分解活性を有する生物学的実体を含む、新規な液体組成物を提供する。【解決手段】ポリマー分解活性を有する生物学的実体と、担体と、水性溶媒とを含み、部分的又は全体的に溶融したポリマーに包含されるのに適した液体組成物であって、ここで、i)担体は、デンプン誘導体、天然ゴム、海洋抽出物、微生物多糖類及び動物多糖類から選択される多糖類であり、ii)組成物は、組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~35重量%の生物学的実体、15重量%~95重量%の水性溶媒、3重量%~80重量%の担体を含む、液体組成物である。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、ポリマーを分解可能な生物学的実体と、加熱プロセス、例えば、押出成形中にこのような生物学的実体を保護及び安定化可能な担体との両方を含む、新規な液体組成物に関する。また、本発明は、生分解性プラスチック物品の製造のためのこのような液体組成物の使用に関し、ここで、生物学的実体は、プラスチック物品中に均一に分散されている。
発明の背景
種々の生分解性プラスチック組成物が、プラスチック環境問題並びに埋立地及び自然生息地におけるプラスチック物品の堆積に対処し、特に、短寿命製品(例えば、バッグ、トレイを含む包装、容器、ボトル、農業用フィルム等)に関する制限的な法律に準拠するために開発されてきた。
これらのプラスチック組成物は、一般的には、多様な穀類から得られるポリエステル、穀粉又はデンプンを含有する。近年、プラスチック物品を製造するのに使用されるプラスチック組成物中にポリエステルを分解可能な生物学的実体を含ませることにより、プラスチック物品の分解をさらに制御するための新たな解決策が提案されている(WO2013/093355;WO2016/198652;WO2016/198650;WO2016/146540;WO2016/062695)。得られるプラスチック製品は、ポリマー中に分散された生物学的実体、特に、酵素を含有し、このような生物学的実体を欠くプラスチック物品と比較して、改善された生分解性を有する。
しかしながら、プラスチック物品の製造中に、部分的に又は全体的に溶融したポリマーに生物学的実体を含ませることは、技術的な問題を引き起こす場合がある。実際に、生物学的実体の組成は、ポリマー中にほとんど混和性でない場合があり、生物学的実体は、ポリマー中での分散が不均質になる場合があり及び/又はそれらの分解活性を少なくとも部分的に失ってしまう場合がある。
発明の概要
これらの問題に取り組むことにより、本発明者らは、このような生物学的実体を全体的に又は部分的に溶融状態にあるポリマー中に均質に分散させることが可能となる、生物学的実体の液体組成物を開発した。得られたプラスチック物品は、固体形態の生物学的実体を使用して製造されたプラスチック製品と比較して、改善された物理特性を示す。特に、本発明者らは、生物学的実体を含有する組成物中の特定の担体の存在により、熱処理の間及び後でさえも、生物学的実体の分解活性を保持することができることを発見した。このため、本発明者らは、少なくとも、ポリマー分解活性を有する生物学的実体と、特定の安定化及び保護担体と、水性溶媒とを含有する液体組成物を開発し、このような安定化液体組成物により、先行技術の液体組成物を使用して製造されたプラスチック製品と比較して、改善された生分解性を有するプラスチック物品がもたらされることを示した。
興味深いことに、本発明者らは、特定の場合において、生物学的実体を含有するプラスチック物品の製造のための2工程プロセスの使用により、生物学的実体の分解活性がさらに保持されることをさらに発見した。より具体的には、第1の工程は、低融点(140℃未満)を有する第1のポリマー中に生物学的実体を含有する液体組成物を導入し、続けて、高融点(140℃超)を有する第2のポリマー中にこのような混合物を導入することからなる。
本発明は、生物学的実体及び担体を含む、新規な液体組成物を提供する。本発明の組成物は、プラスチック物品の少なくとも1種のポリマーを分解可能な生物学的実体を含み、固体形態の生物学的実体を使用して製造されたプラスチック物品と比較して、改善された機械特性、例えば、ヘイズ、表面粗さ、破断点伸び、破断点引張応力、動摩擦係数又はヤング率及び生分解性能を有する生分解性プラスチック物品の製造に特に有用である。特に、このような液体組成物の使用により、固体組成物(例えば、粉末形態)のきつく高価な粉砕操作を経ることなく、プラスチック物品の表面粗さ及び最終的には厚みを小さくすることが可能となる。加えて、このような液体組成物の成分の粉砕は、固体組成物(例えば、粉末形態)と比較して少なくなり、プラスチック物品の製造プロセス中における粒子の吸入の危険性が低下する。
このため、本発明の目的は、部分的に又は全体的に溶融したポリマー中に包含させるのに適しており、ポリマー分解活性を有する生物学的実体と、担体と、水性溶媒とを含む液体組成物であって、
i)担体は、デンプン誘導体、天然ゴム、海洋抽出物、微生物多糖類及び動物多糖類から選択される多糖類であり、
ii)組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01重量%~35重量%の生物学的実体、
- 15重量%~95重量%の水性溶媒、
- 3重量%~80重量%の担体を含む、液体組成物を提供することである。
好ましくは、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.3重量%~30重量%の生物学的実体、好ましくは、プロテアーゼ、エステラーゼ又はリパーゼから選択される生物学的実体、
- 19重量%~60重量%の水性溶媒、好ましくは、水、
- 15重量%~70重量%の担体を含む。
代替的には、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01%~35%の生物学的実体、好ましくは、PLA分解酵素から選択される生物学的実体、
- 30%~75%の水、
- 10%~69.99%の担体、好ましくは、アラビアゴムを含む。
本発明の液体組成物は、プラスチック組成物及びプラスチック物品の製造に特に有用である。有利には、組成物の生物学的実体は、プラスチック物品の少なくとも1種のポリマーを分解可能である。生物学的実体は、得られるプラスチック物品中に均質に分散される。興味深いことに、前記プラスチック物品は、高い機械特性及び分解性を有する。
このため、本発明の別の目的は、本発明の組成物の使用により、好ましくは、押出成形によりプラスチック物品を製造する方法及びこのような組成物から製造されたプラスチック物品を提供することである。
本発明の更なる目的は、本発明の液体組成物を第1のポリマーに導入して、混合物を得る工程と、前記混合物を第1のポリマーとは異なる第2のポリマーに導入する工程とを連続的に含み、第1のポリマーが、140℃未満の融点を有し、第2のポリマーが、140℃超の融点を有する、生物学的実体を含有するプラスチック物品の製造のための方法を提供することである。
また、本発明は、生分解性プラスチック物品中のポリマー分解性生物学的実体の分散の均質性を向上させるための方法であって、プラスチック物品の製造プロセス中に本発明の液体組成物を導入することを含む、方法に関する。
また、本発明は、少なくとも1種のポリマーを含むプラスチック物品の生分解性を向上させるための方法であって、前記方法はプラスチック物品の製造プロセス中に、本発明の液体組成物を導入することを含む、方法を提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、生物学的実体が均質に分散されている、プラスチック物品を製造するのに使用することができる安定化された生物学的実体を含む、新規な液体組成物に関する。本発明の液体組成物は、デンプン誘導体、天然ゴム、海洋抽出物、微生物多糖類及び動物多糖類から選択される担体を含む。これは、水性溶媒中で可溶化されて、加熱プロセス、例えば、押出プロセス中に生物学的実体を保護し、安定化することが可能となる。本発明の組成物により、生物学的実体が均質に分布し、分解活性を有する生分解性プラスチック物品の製造が可能となる。これらの結果は、物理的/機械的特性及び単回使用及び短寿命プラスチック物品に期待される分解性と適合している。
定義
本開示は、下記定義を参照することにより最も良く理解されるであろう。
本発明の文脈において、「プラスチック物品」という用語は、少なくとも1種のポリマーから製造された任意の品目、例えば、プラスチックシート、フィルム、チューブ、ロッド、プロファイル、形状、塊状ブロック、繊維等を指す。好ましくは、プラスチック物品は、硬質又は可撓性の包装、農業用フィルム、バッグ及びサック、使い捨て品目等の製造製品である。好ましくは、プラスチック物品は、半結晶性及び/もしくは非晶質ポリマー又は半結晶性ポリマー及び添加剤の混合物を含む。プラスチック物品は、更なる物質又は添加剤、例えば、可塑剤、無機又は有機充填剤を含有することができる。本発明によれば、プラスチック物品は、プラスチックフィルム、硬質プラスチック物品又は不織布から選択することができる。
本発明によれば、「プラスチックフィルム」という用語は、250μm未満の厚みを有するプラスチックの可撓性シート(すなわち、破断することなく曲げることができる)を指す。薄いフィルムは、100μm未満、好ましくは50μm未満の厚みを有すると考えられ、好ましくは、ブローンフィルム押出成形により製造される。一方、厚いフィルムは、100μm超の厚みを有し、好ましくは、キャストフィルム押出成形により製造される。プラスチックフィルムの例は、農業用フィルム、プラスチックバッグ又はサック、可撓性包装用フィルム、食品フィルム、郵送用フィルム、ライナーフィルム、マルチパックフィルム、工業用フィルム、パーソナルケアフィルム、ネット等を含む。
本発明によれば、「硬質プラスチック物品」という用語は、フィルムではないプラスチック物品を指す。これらの物品は、好ましくは、カレンダー加工、射出成形、熱成形、ブロー成形により又は回転成形及び3D印刷によっても製造される。硬質プラスチック物品の例は、薄肉包装、例えば、食品及び飲料包装、箱、トレイ、容器、食品サービス器具、電子部品ケース、化粧品ケース、屋外庭園用品、例えば、ポット、硬質包装、容器、カード、綿棒、潅漑パイプ等である。一部の硬質プラスチック物品は、250μm以上の厚みを有するプラスチックシートを熱成形することにより製造することができ、このようなプラスチックシートは、フィルムキャスティング又はカレンダー加工により製造される。本発明によれば、硬質プラスチック物品は、5mm未満、好ましくは、3mm未満の厚みを有する。
本明細書で使用する場合、「プラスチック組成物」という用語は、プラスチック物品を製造するための任意の成形工程又はコンディショニング工程の前の、ポリマーと、生物学的実体と、最終的には、更なる化合物(例えば、添加剤、充填剤等)との混合物を指す。本発明の特定の実施態様では、プラスチック組成物は、ポリマー系マトリックスに導入される前の、固体形態にあるマスターバッチである。
「ポリマー系マトリックス」は、主成分として1種以上のポリマーを含むマトリックスを指す。ポリマー系マトリックスは、組成物の総重量に基づいて、少なくとも51重量%、好ましくは、少なくとも60%又は70%のポリマーを含む。ポリマー系マトリックスは、さらに、更なる化合物、例えば、添加剤を含むことができる。本発明によれば、ポリマー系マトリックスは、生物学的実体を何ら含まない。「ポリエステル系マトリックス」は、主成分として1種以上のポリエステルを含むマトリックスを指す。
本明細書で使用する場合、「マスターバッチ」という用語は、選択された成分(例えば、生物学的実体、添加剤等)と、所望の特性を付与するために、前記成分をプラスチック物品又は組成物に導入するのに使用することができるポリマーとの濃縮混合物を指す。マスターバッチ組成物により、加工機は、選択された成分をプラスチック製造プロセス中に経済的に導入することが可能となる。有利には、マスターバッチは、選択された成分が高濃度で包含されているポリマーから構成される。一般的には、マスターバッチは、所望量の選択された成分を有する最終プラスチックを製造するために、ポリマー又はポリマー系マトリックスと混合されるようになっている。マスターバッチは、さらに、無機又は有機充填剤を含むことができる。本発明によれば、マスターバッチは、少なくとも5%のポリマー分解活性を有する本発明の生物学的実体の組成物を含む。
「ポリマー」は、その構造が共有化学結合により連結された複数の繰返し単位から構成されている、化合物又は化合物の混合物を指す。本発明の文脈において、「ポリマー」という用語は、単一種の繰返し単位(すなわち、ホモポリマー)又は異種の繰返し単位(すなわち、ブロックコポリマー及びランダムコポリマー)を含む天然又は合成ポリマーを含む。例として、合成ポリマーは、石油から得られるポリマー又は生物系ポリマー、例えば、ポリオレフィン、脂肪族もしくは芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン及びポリ塩化ビニルを含む。天然ポリマーは、リグニン及び多糖類、例えば、セルロース、ヘミセルロース、デンプン及びそれらの誘導体を含む。同誘導体は、可塑化されていることができ又は可塑化されていないことができる。
「合成ポリマー」は、石油から得られるポリマー又は生物系ポリマーを指し、ポリオレフィン、脂肪族もしくは半芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン又はビニルポリマー及びそれらの誘導体又はこれらの材料のブレンド/混合物からなる群から選択することができる。本発明における使用に好ましいポリオレフィンは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン-1(PB-1)、ポリイソブチレン(PIB)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)、環状オレフィンコポリマー(COC)及びそれらの誘導体又はブレンド/混合物を含むが、これらに限定されない。本発明における使用に好ましい脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(D-乳酸)(PDLA)、ポリ(D,L-乳酸)(PDLLA)、PLA立体複合体(scPLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンスクシナート(PBS)を含むが、これらに限定されない。半芳香族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンイソソルビドテレフタラート(PEIT)、ポリブチレンスクシナートアジパート(PBSA)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリエチレンフラノアート(PEF)、ポリ(エチレンアジパート)(PEA)、ポリエチレンナフタラート(PEN)及びそれらの誘導体又はブレンド/混合物から選択される。本発明における使用に好ましいポリアミドポリマー(ナイロンとも呼ばれる)は、ポリアミド-6又はポリ(β-カプロラクタム)又はポリカプロアミド(PA6)、ポリアミド-6,6又はポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(PA6,6)、ポリ(11-アミノウンデカノアミド)(PA11)、ポリドデカノラクタム(PA12)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(PA4,6)、ポリ(ペンタメチレンセバカミド)(PA5,10)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラアミド)(PA6,9)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(PA6,10)、ポリ(ヘキサメチレンドデカノアミド)(PA6,12)、ポリ(m-キシリレンアジパミド)(PAMXD6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(PA66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(PA66/6I)及びそれらの誘導体又はブレンド/混合物を含むが、これらに限定されない。好ましいビニルポリマーは、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニル(PVdC)、エチレンビニルアセタート(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリビニルアルコール(PVOH)及びこれらの材料の誘導体又はブレンド/混合物を含む。
本発明の文脈において、「ポリエステル」という用語は、その主鎖にエステル官能基を含有するポリマーを指す。エステル官能基は、3つの他の原子に結合した炭素:炭素への単結合、酸素への二重結合及び酸素への単結合により特徴付けられる。単結合された酸素は、別の炭素に結合している。その主鎖の組成に応じて、ポリエステルは、脂肪族、芳香族又は半芳香族であることができる。ポリエステルは、ホモポリマー又はコポリマーであることができる。一例として、ポリ乳酸は、1種のモノマーである乳酸から構成される脂肪族ホモポリマーであり、ポリエチレンテレフタラートは、2種のモノマーであるテレフタル酸及びエチレングリコールから構成される脂肪族-芳香族コポリマーである。このようなポリエステルは、ネイティブであることができ又は化学修飾することができる。
本発明の文脈において、「充填剤」という用語は、プラスチック組成物及び/又はプラスチック物品に、そのコストを低減し又は場合により、その物理特性(例えば、その硬度、剛性又は強度)を改善するために包含される物質を指す。充填剤は、不活性(すなわち、化学作用を起こさない)又は活性材料であることができ、プラスチック組成物又は物品の成分と化学結合を形成することができる。充填剤は、天然、合成又は変性充填剤であることができる。充填剤は、無機又は有機充填剤から選択することができる。本発明の特定の実施態様では、無機充填剤は、カルサイト、炭酸塩又は金属炭酸塩、例えば、炭酸カルシウム(又は石灰岩)、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸銅、チョーク、ドロマイト、ケイ酸塩、例えば、水性ケイ酸マグネシウム、例えば、タルク、せっけん石、ケイ酸カルシウム(ウォラストナイト)、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム(タルク)、ケイ酸アルミニウム(カオリン)又はその混合物、例えば、マイカ、スメクタイト、例えば、モンモリロナイト、バーミキュライト及びパリゴルスカイト-セピオライト、硫酸塩、例えば、硫酸バリウム又は硫酸カルシウム(石膏)、マイカ、水酸化物塩又は金属水酸化物、例えば、水酸化カルシウム又は水酸化カリウム(カリ)又は水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウム又は水酸化ナトリウム(カセイソーダ)、ヒドロタルサイト、金属酸化物又は酸化物塩、例えば、酸化マグネシウム又は酸化カルシウム又は酸化アルミニウム又は酸化鉄又は酸化銅、クレイ、石綿、シリカ、黒鉛、カーボンブラック、金属繊維又は金属フレーク、ガラス繊維、 磁性充填剤、アラミド繊維、セラミック繊維及びその誘導体又はこれらの材料のブレンド/混合物からなる群より選択されるが、これらに限定されない。代替的に又は追加的に、有機充填剤は、木粉、植物又は野菜粉、例えば穀類粉(トウモロコシ粉、小麦粉、米粉、大豆粉、ナッツ殻粉、クラム殻粉、トウモロコシ茎粉、コルク粉、籾殻粉);のこぎり粉;植物繊維、例えば、亜麻繊維、木繊維、麻繊維、竹繊維、鶏羽及びその誘導体又はこれらの材料のブレンド/混合物からなる群より選択される。また、天然ポリマー、例えば、リグニン又は多糖類、例えば、セルロースもしくはヘミセルロース、デンプン、キチン、キトサン及びこれらの材料の誘導体又はブレンド/混合物も、有機充填剤として使用することができる。
本明細書で使用する場合、「生物学的実体」という用語は、活性酵素又は酵素産生微生物、例えば、胞子形成微生物及びそれらの組み合わせを指す。本発明によれば、「生物学的実体」は、好ましくは、酵素を指す。生物学的実体は、固体(例えば、粉末)又は液体形態にあることができる。
本明細書で使用する場合、「多糖類」という用語は、グリコシド結合により互いに結合している単糖単位の長鎖から構成される分子を指す。多糖構造は、直鎖状から高度に分岐していることができる。例は、貯蔵多糖類、例えば、デンプン及びグリコーゲン並びに構造多糖類、例えば、セルロース及びキチンを含む。多糖類は、ネイティブな多糖類又は架橋、酸化、アセチル化、部分加水分解等による化学修飾多糖類を含む。炭水化物ポリマーは、それらの供給源(海洋、植物、微生物又は動物)、構造(直鎖、分岐鎖)及び/又は物理的挙動(例えば、これらの多糖類が熱水又は冷水中で水和して、低濃度のガム又は親水コロイドで粘稠な溶液又は分散液を形成する特性を指す、ガム又は親水コロイドと指定)に従って分類することができる。本発明の文脈において、多糖類は、「Encapsulation Technologies for Active Food Ingredients and Food Processing-Chapter 3-Materials for Encapsulation-Christine Wandrey, Artur Bartkowiak, and Stephen E. Harding」に記載されている分類に従って分類することができる。
- デンプン及び誘導体、例えば、アミロース、アミロペクチン、マルトデキストリン、グルコースシロップ、デキストリン、シクロデキストリン。
- セルロース及び誘導体、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース等。
- 植物滲出物及び抽出物(植物ゴム又は天然ゴムとも呼ばれる)、アラビアゴム(又はアカシアガム)、トラガカントゴム、グアーゴム、ローカストビーンゴム、カラヤゴム、メスキートゴム、ガラクトマンナン、ペクチン、可溶性大豆多糖類を含むが、これらに限定されない。
- 海洋抽出物、例えば、カラギーナン及びアルギナート。
- 微生物及び動物多糖類、例えば、ゲラン、デキストラン、キサンタン及びキトサン。
多糖類は、水中でのそれらの溶解度に従って、さらに分類することができる。特に、セルロースは、水に不溶性である。本発明によれば、担体として使用される多糖類は、水に可溶性である。
本明細書で使用する場合、「周囲温度」又は「室温」という用語は、10℃~30℃、特に、20℃~25℃の温度を意味する。
本明細書で使用する場合、「可溶性」という用語は、液体溶媒中に溶解される溶質(すなわち、担体、酵素)の能力を指す。物質の溶解度は、溶質及び溶媒の両方の物理的及び化学的特性並びに溶液の温度、圧力及びpHにより決まり、国際標準、例えば、IUPACに従って定義することができる。IUPACの定義によれば、溶解度は、指定された溶媒中の指定された溶質の割合として表現される飽和溶液の分析組成である。溶解度は、種々の濃度単位、例えば、モル濃度、重量モル濃度、モル分率、モル比、体積(溶媒)当たりの質量(溶質)、及び他の単位で記述することができる。溶解度は、特定の温度及び特定の大気圧で定義される。溶解度の程度は、極めて溶けやすい(制限なし)又は完全に混和性(例えば、水中のエタノール)からほとんど溶けない(例えば、水中の塩化銀)まで広範囲にわたる。不溶性という用語は、多くの場合、ほとんど溶けない又は極めて溶けにくい溶質に適用される。「最大溶解度」という用語は、追加量の溶質が溶液の濃度を向上させず、過剰量の溶質が沈殿し始める、溶媒中の溶質の飽和濃度を指す。本発明によれば、最大溶解度は、液体組成物中の担体の飽和濃度を指し、ここで、他の成分、例えば、生物学的実体は、溶質の溶解度に影響を及ぼす場合がある。
本明細書で使用する場合、「重量による」という用語は、考慮される組成物又は製品の総重量に基づく量を指す。
本発明の文脈において、「約」という用語は、+/-5%、好ましくは、+/-1%のマージン又は適切な測定装置又は機器の許容範囲内のマージンを指す。
液体組成物
したがって、本発明の目的は、部分的に又は全体的に溶融したポリマーに包含させるのに適しており、ポリマー分解活性を有する生物学的実体と、担体と、水性溶媒を含む液体組成物であって、ここで、
i)担体は、デンプン誘導体、天然ゴム、海洋抽出物、微生物多糖類及び動物多糖類から選択される多糖類であり、
ii)組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01%~35%の生物学的実体、
- 15%~95%の水性溶媒、
- 3%~80%の担体を含む、液体組成物を提供することである。
本発明によれば、「部分的に又は全体的に溶融したポリマーに包含させるのに適している」という表現は、組成物の生物学的実体が熱処理後に活性を保持していることを意味する。特に、生物学的実体は、プラスチック組成物及び/又は最終プラスチック物品においてポリマー分解活性を保持している。
特定の実施態様では、組成物は、ポリマーと共に押出成形されるのに適している。好ましくは、組成物は、合成ポリマー、例えば、ポリオレフィン、脂肪族又は芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン及びポリ塩化ビニル、又は天然ポリマー、例えば、リグニン及び多糖類、例えば、セルロース、ヘミセルロース、デンプン及びそれらの誘導体と共に押出成形されるのに適している。好ましい実施態様では、組成物は、低い融点又は溶融温度(Tm)、すなわち、140℃未満のTmを有するポリマーと共に押出成形されるのに適している。
好ましい実施態様では、水性溶媒は、水である。このような実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、15%~95%の水と、5%~85%の他の成分、例えば、少なくとも0.01%~35%の生物学的実体と、3%~80%の担体を含む。
特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.3%~30%の生物学的実体、
- 19%~85%の水性溶媒、
- 4%~80%の担体を含む。
好ましい実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、19%~85%の水と、15%~81%の他の成分、例えば、少なくとも0.01%~35%の生物学的実体と、3%~80%の担体とを含む。
特定の実施態様では、組成物は、35重量%未満の生物学的実体を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、30重量%未満の生物学的実体を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、20重量%未満の生物学的実体を含む。
好ましい特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、80重量%未満、好ましくは、75重量%未満、70重量%未満、さらにより好ましくは、60重量%未満の水性溶媒を含む。別の好ましい実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%超、好ましくは、30重量%超かつ80重量%未満の水性溶媒を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、20重量%~80重量%、好ましくは、30重量%~75重量%、より好ましくは、40重量%~60重量%の水性溶媒を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、約50%の水性溶媒を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、約40%の水性溶媒を含む。
好ましい実施態様では、水性溶媒は、水である。好ましい実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、75重量%未満、好ましくは、70%未満、より好ましくは、60%未満の水を含む。別の好ましい実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、20重量%超、好ましくは、30重量%超かつ80重量%未満の水を含む。特に、組成物は、20重量%~80重量%の水を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、30重量%~75重量%、好ましくは、40重量%~60重量%の水を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、約50%の水を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、約40%の水を含む。
好ましい特定の実施態様では、組成物は、5重量%超、好ましくは、10重量%超、さらにより好ましくは、15重量%超の担体を含む。
このため、好ましい実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.3重量%~30重量%の生物学的実体、
- 19重量%~60重量%の水性溶媒、
- 15重量%~70重量%の担体を含む。
別の好ましい実施態様では、組成物は、70重量%未満、好ましくは、60重量%未満の担体を含む。特定の実施態様では、組成物は、5%~70%、好ましくは、10%~60%の担体を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、10%~50%の担体を含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01%~35%の生物学的実体、
- 30%~75%の水、
- 10%~69.99%の担体を含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01%~35%の生物学的実体、
- 30%~60%の水、
- 20%~45%の担体を含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01%~35%の生物学的実体、
- 40%~60%の水、
- 20%~45%の担体を含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、約50%の水と、0.01%~35%の生物学的実体と、20%~49.99%の担体とを含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、約40%の水と、0.01%~35%の生物学的実体と、20%~59.99%の担体とを含む。
特定の実施態様では、担体/水性溶媒の重量比は、4未満である。
特定の実施態様では、組成物中の担体の量は、水性溶媒中の担体の最大溶解度の4%~100%、すなわち、水性溶媒中の担体の飽和濃度の4%~100%である。
代替的に又は付加的に、組成物中の担体の量は、組成物中の担体の最大溶解度の4%~100%、すなわち、組成物中の担体の飽和濃度の4%~100%である。
本発明によれば、組成物中の特定の担体の存在により、組成物中だけでなく、組成物が部分的に又は全体的に溶融したポリマー中に導入される加熱処理、例えば、押出成形プロセス中にも、生物学的実体を保護し、安定化することが可能となる。
特定の実施態様では、担体は、周囲温度で固体形態にある。また、有利には、担体は、周囲温度で、水性溶媒、例えば、水に可溶性である。好ましくは、担体は、少なくとも周囲温度で、液体組成物に可溶性である。代替的に又は付加的に、担体は、前記組成物が部分的に又は全体的に溶融状態にあるポリマー中に導入される温度で、液体に可溶性である。
特定の実施態様では、担体は、デンプン誘導体である。好ましくは、担体は、マルトデキストリンである。このような特定の実施態様では、マルトデキストリン/水性溶媒の重量比は、好ましくは、3~4である。特定の実施態様では、組成物中のマルトデキストリンの量は、組成物中のその最大溶解度の5~100%、好ましくは、26~100%、より好ましくは、39~100%である。したがって、組成物は、組成物の総重量に基づいて、4重量%超、好ましくは、20%超、好ましくは、30%超のマルトデキストリンを含む。
特定の実施態様では、担体は、天然ゴムである。好ましくは、担体は、アラビアゴム、グアーゴム、トラガカントゴム、カラヤゴムから選択され、より好ましくは、担体は、アラビアゴムである。特定の実施態様では、アラビアゴム/水性溶媒の重量比は、0.1~1、好ましくは、0.3~0.8、より好ましくは、0.35~0.6、さらにより好ましくは、0.4~0.5である。別の好ましい実施態様では、アラビアゴム/水性溶媒の重量比は、0.8超、好ましくは、0.8~1である。特に、組成物中のアラビアゴムの量は、組成物中のその最大溶解度の6%~100%、好ましくは、その最大溶解度の40%~100%、好ましくは、その最大溶解度の60%~100%である。別の特定の実施態様では、組成物は、4重量%超、好ましくは、10重量%超、より好ましくは、15重量%超、さらにより好ましくは、20重量%超のアラビアゴムを含む。別の特定の実施態様では、組成物は、70重量%未満、好ましくは、60%未満のアラビアゴムを含む。特定の実施態様では、組成物は、5%~70%、好ましくは、10%~60%のアラビアゴムを含む。別の特定の実施態様では、組成物は、10%~50%のアラビアゴムを含む。
別の特定の実施態様では、担体は、海洋抽出物である。好ましくは、担体は、カラギーナン又はアルギナートから選択される。
別の特定の実施態様では、担体は、微生物多糖である。好ましくは、担体は、キサンタンである。
別の特定の実施態様では、担体は、動物多糖である。好ましくは、担体は、キトサンである。
特定の実施態様では、組成物は、デンプン誘導体、天然ゴム、海洋抽出物、微生物及び動物多糖類から選択される少なくとも2種の担体を含む。
別の特定の実施態様では、担体/生物学的実体の重量比は、0.8~1.2、好ましくは、約1である。別の特定の実施態様では、担体/生物学的実体の重量比は、1超、好ましくは、2超である。
本発明によれば、組成物は、さらに、組成物中の生物学的実体として使用されるポリマー分解微生物の培養上清に由来する糖、タンパク質、脂質、有機酸、塩及びビタミンを含むことができる。このような上清は、酵素の濃度を向上させ及び/又は他の成分、例えば、DNAもしくは細胞デブリを除去するために、(例えば、機械的に又は物理的に又は化学的に)予備処理することができる。
特定の実施態様では、組成物は、さらに、ポリオール、例えば、グリセロール、ソルビトール又はプロピレングリコールを含むことができる。これは、特に、ポリオールを含む安定化溶液中で調整された市販の生物学的実体、好ましくは、市販の酵素を使用して、本発明の組成物を製造する場合に当てはまる。特定の実施態様によれば、組成物は、組成物の総重量に基づいて、最大10重量%、好ましくは、最大5%のポリオールを含む。別の特定の実施態様によれば、組成物は、組成物の総重量に基づいて、10重量%~20重量%のポリオールを含む。
特定の実施態様によれば、組成物は、20μm未満の粒径を有する不溶性成分を含むことができる。
代替的に又は付加的に、組成物は、さらに、無機成分、例えば、一部の生物学的実体の熱安定性を向上させることが公知のカルシウム成分、例えば、炭酸カルシウム、塩化カルシウム又は他のカルシウム無機を含む。
有利には、本発明の組成物は安定である、すなわち、化学的及び生物学的に安定である。本発明の文脈において、「化学的に安定」は、生物学的実体が暗所において、室温で規定された期間の間、活性の著しい損失を何ら示さない組成物を指す。とりわけ、「化学的に安定」は、生物学的実体の分解活性の損失が、少なくとも30日、好ましくは、少なくとも90日、より好ましくは、少なくとも1年の期間の間、組成物中に導入される前の前記生物学的実体の分解活性と比較して、50%未満、好ましくは、25%未満、より好ましくは、10%未満である組成物を指す。特定の実施態様では、本発明の組成物は、有利には、4℃で少なくとも90日間、化学的に安定である。特に、本発明の組成物中の生物学的実体の分解活性の損失は、少なくとも90日の期間の間、組成物中に導入する前の前記生物学的実体の分解活性と比較して、10%未満である。
本発明の文脈において、「生物学的に安定」という用語は、暗所において、室温で少なくとも30日、好ましくは、少なくとも90日、より好ましくは、少なくとも1年の規定された期間の間、その後の細菌、酵母、真菌の増殖を何ら示さない組成物を指す。特に、組成物は、さらに、抗真菌及び/又は抗菌成分、例えば、ソルビン酸及び/又はその塩、安息香酸及びその塩、無水亜硫酸又は亜硫酸塩、硝酸塩又は亜硝酸塩、プロピオン酸、酪酸、ナタマイシン、パラベン、酢酸、クエン酸、ホウ酸、植物抽出物を含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01%~35%のPLA分解酵素、
- 30%~75%の水、
- 10%~69.99%のアラビアゴムを含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01%~35%のPLA分解酵素、
- 30%~60%の水、
- 20%~45%のアラビアゴムを含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 0.01%~35%のPLA分解酵素、
- 40%~60%の水、
- 20%~45%のアラビアゴムを含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、約50%の水と、0.01%~35%のPLA分解酵素と、20%~49.99%のアラビアゴムとを含む。
別の特定の実施態様では、組成物は、約40%の水と、0.01%~35%のPLA分解酵素と、20%~59.99%のアラビアゴムとを含む。
上記設定された全ての組成物は、場合により、組成物の総重量に基づいて、0重量%~20重量%、好ましくは、0重量%~5重量%の他の成分を含むことができ、好ましくは、タンパク質、塩、ポリオールから選択される他の成分を含むことができる。
特定の実施態様では、このような組成物のPLA分解酵素は、好ましくは、プロテアーゼである。
特定の実施態様では、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 20重量%~80重量%の水、好ましくは、40重量%~60重量%の水、
- 0.01重量%~30重量%のPLA分解酵素、好ましくは、5重量%~30重量%のPLA分解酵素、例えば、プロテアーゼ、
- 10重量%~50重量%、好ましくは、15重量%~35重量%のアラビアゴムを含む。
特定の実施態様では、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 20重量%~80重量%の水、好ましくは、40重量%~60重量%の水、
- 0.01重量%~30重量%のPLA分解酵素、好ましくは、5重量%~30重量%のPLA分解酵素、例えば、プロテアーゼ、
- 10重量%~50重量%、好ましくは、15重量%~35重量%のアラビアゴム、
- 0重量%~20重量%の他の成分、好ましくは、タンパク質、塩、ポリオールから選択される他の成分を含む。
特定の実施態様では、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 20重量%~80重量%の水、好ましくは、40重量%~60重量%の水、
- 0.01重量%~30重量%のPLA分解酵素、好ましくは、5重量%~30重量%のPLA分解酵素、例えば、プロテアーゼ、
- 10重量%~50重量%、好ましくは、15重量%~40重量%のマルトデキストリンを含む。
特定の実施態様では、本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて、
- 20重量%~80重量%の水、好ましくは、40重量%~60重量%の水、
- 0.01重量%~30重量%のPLA分解酵素、好ましくは、5重量%~20重量%のPLA分解酵素、例えば、プロテアーゼ、
- 10重量%~50重量%、好ましくは、15重量%~40重量%のマルトデキストリン、
- 0%~20%の他の成分、好ましくは、タンパク質、塩、ポリオールから選択される他の成分を含む。
有利には、液体組成物は、少なくとも周囲温度で液体形態にある。好ましくは、液体組成物は、前記組成物が部分的に又は全体的に溶融状態にあるポリマー中に導入される温度で液体形態にある。
有利には、上記された全ての組成物において、担体及び生物学的実体の量は、乾燥物ベース、すなわち、完全脱水、水蒸発又は水除去後のこのような担体及び生物学的実体の量で表現される。したがって、組成物中の水性溶媒の量は、組成物の成分の全ての液体部分、例えば、液体形態で導入される場合の生物学的実体の液体部分及び/又は担体中に含有される場合がある残留水(粉末形態で供給される場合でも)を含む。
生物学的実体
本発明によれば、組成物は、少なくとも1種のポリマーを分解するのに適した生物学的実体を含む。別の特定の実施態様では、組成物は、少なくとも2種のポリマーを分解するのに適した生物学的実体を含む。
好ましい実施態様では、生物学的実体は、少なくともポリマー分解活性を有する酵素及び/又は少なくともポリマー分解活性を有する酵素を発現し、場合により、分泌する微生物を含む。特定の実施態様では、生物学的実体は、少なくとも合成ポリマー分解活性を有する酵素及び/又は少なくとも合成ポリマー分解活性を有する酵素を発現し、場合により、分泌する微生物を含むか又はそれからなる。好ましい実施態様では、生物学的実体は、少なくとも合成ポリマー分解活性を有する酵素からなる。別の特定の実施態様では、生物学的実体は、ポリマー分解活性を有する少なくとも2種の酵素を含むか又はそれらからなる。本発明における使用に適したポリマー分解活性を有する酵素の例は、デポリメラーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、ヒドロラーゼ、プロテアーゼ、ポリエステラーゼ、カルボキシルエステラーゼ、オキシゲナーゼ及び/又はオキシダーゼ、例えば、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼもしくはオキシゲナーゼを含むが、これらに限定されない。
特定の実施態様では、生物学的実体は、少なくともポリエステル分解活性を有する酵素及び/又は少なくともポリエステル分解活性を有する酵素を発現し、場合により、分泌する微生物を含むか又はそれからなる。本発明における使用に適したポリエステル分解活性を有する酵素の例は、デポリメラーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、カルボキシルエステラーゼ、プロテアーゼ又はポリエステラーゼを含むが、これらに限定されない。別の特定の実施態様では、生物学的実体は、ポリエステル分解活性を有する少なくとも2種の酵素を含むか又はそれらからなる。
好ましい実施態様では、生物学的実体は、PLA分解活性を有する酵素を含むか又はそれからなる。より好ましくは、生物学的実体は、PLA分解活性を有する酵素からなる。生物学的実体は、好ましくは、Amycolatopsis sp.、Amycolatopsis orientalisから選択されるプロテアーゼ、Tritirachium album、Actinomadura keratinilytica、Laceyella sacchari LP175、Thermus sp.、Bacillus licheniformis、Bacillus thermoproteolyticusからのプロテイナーゼK又は任意の再構築された(すなわち、市販の担体を除去するために透析ろ過された)PLA分解が公知の市販の酵素、例えば、Savinase(登録商標)、Esperase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Protex(登録商標)、Optimase(登録商標)、Multifect(登録商標)又はスブチリシンCAS9014-01-1のファミリーからの任意の酵素又はその任意の機能的変異体である。
酵素は、純粋な形態もしくは濃縮された形態又は他の賦形剤もしくは希釈剤との混合物であることができる。酵素の組み合わせも、同様に使用することができる。
代替的な実施態様では、生物学的実体は、天然に又は特定の操作の結果としてのいずれかで、このような酵素を産生する微生物(例えば、リコンビナント微生物)を含む。適切な微生物の好ましい例は、細菌、真菌及び酵母を含むが、これらに限定されない。実施態様において、生物学的実体は、胞子形成微生物及び/又はその胞子を含む。
特定の実施態様では、生物学的実体は、ナノカプセル中に封入された酵素、ケージ分子中に封入された酵素及び共に凝集した酵素を含む。「ケージ分子」という用語は、酵素を安定化させ、高温に耐性にするために、前記酵素の構造に挿入することができる分子を指す。封入技術は、当業者に周知であり、例えば、ナノエマルジョンを含む。
生物学的実体は、液体又は固体の形態で供給することができる。例えば、生物学的実体は、粉末形態にあることができる。代替的には、生物学的実体は、懸濁液で供給することができ又は液体に溶解されていることができる。このような場合、本明細書で開示された生物学的実体の量は、好ましくは、乾燥物質ベース(すなわち、液体を奪われた)での生物学的実体の量に相当する。
本発明の組成物の製造
また、本発明の別の目的は、液体組成物を製造するための方法を提供することである。
上記されたように、生物学的実体は、液体又は固体の形態で供給することができる。
市販の酵素及び/又はポリマー分解微生物の培養上清を含む液体生物学的実体は、酵素の濃度を向上させるため及び/又は望ましくない成分を除去するために、前処理に供することができる。特に、液体形態にある生物学的実体は、ろ過、限外ろ過又は透析ろ過に供することができる。この工程は、ポリオールを含有する水溶液中で通常販売されている市販の液体組成物に特に有用である。ついで、得られた液体溶液を粉末形態にある担体と混合し、体積を水性溶媒で調整して、本発明の組成物を得る。ついで、この混合物を、本発明の組成物を均質化するために、振とうに供する。
固体形態、好ましくは、粉末形態にある生物学的実体を、本発明の組成物を得るために、粉末形態にある担体及び水性溶媒と混合する。ついで、この混合物を、本発明の組成物を均質化するために振とうに供する。
得られた本発明の組成物は、水性溶媒中の懸濁液中に20μm未満の粒径を有する不溶性成分を含有することができる溶液である。
本発明の組成物の使用
また、本発明の別の目的は、本発明の組成物を使用する方法を提供することでもある。特に、本発明の組成物は、プラスチック組成物の製造に使用され、このようなプラスチック組成物は、さらに、プラスチック物品の製造に使用される。本発明によれば、本発明の組成物は、薄いプラスチック物品、例えば、プラスチックフィルムの製造に特に有用である。実際に、粒径が20μmを超える粒子が存在しないと、フィルム表面の粗さが低下する。
好ましい実施態様では、本発明の組成物は、組成物の生物学的実体がプラスチック物品の少なくとも1種のポリマーを分解可能である、プラスチック物品の製造に使用される。
一般的に言えば、本発明の液体組成物は、生分解性プラスチック物品を製造するために、前記ポリマーの成形前又は成形中に、部分的に又は全体的に溶融した段階にあるポリマー中に導入される。本発明によれば、組成物の生物学的実体は、部分的に又は全体的に溶融状態にあるポリマーへのそれらの導入後に活性を保持している。
特定の実施態様では、液体組成物は、140℃超の融点(Tm)を有する第1のポリマー中に導入される。別の特定の実施態様では、液体組成物は、低Tm(140℃未満、好ましくは、120℃未満)を有する第1のポリマー、例えば、PCL、PBSA、PBAT、PHA又はPLA中に導入される。非晶質ポリマーに関して、本発明の文脈において、Tmは、非晶質ポリマーが押出成形により加工されるのに十分に流動的である(すなわち、ゴム状又は軟化状態にある)変性温度を指す。ついで、得られた混合物を、高融点を有する第2のポリマー、例えば、PLAに加える。例えば、液体組成物を、部分的に溶融状態になるように約70℃で加熱されたPCLに加える。ついで、この混合物を、部分的に溶融状態になるように約150℃以上に加熱されたPLAに直接加える。代替的には、この混合物を、第2のポリマーに加えられる前に、冷却し、場合により、調整することができる。
有利には、100℃超の温度での第1のポリマー中の液体組成物及びそれによる生物学的実体の滞留時間は、可能な限り短く、好ましくは、5秒~10分、より好ましくは、5分未満、3分未満、2分未満に含まれる短い期間である。
本発明の目的は、マスターバッチを使用してプラスチック物品を製造するための方法を提供することである。
例えば、この方法は、
a)ポリマー分解生物学的実体及び少なくとも第1のポリマーを含むマスターバッチを、
(i)第1のポリマーを加熱し、
(ii)第1のポリマーの加熱中に、マスターバッチの総重量に基づいて、5重量%~50重量%の上記された組成物を導入することにより調製する工程と、
b)プラスチック物品の製造中に、ポリマー系マトリックス中にマスターバッチを導入する工程とを含み、
ここで、工程a)を、第1のポリマーが部分的に又は全体的に溶融状態にある温度で行い、工程b)を、第1のポリマーとポリマー系マトリックスのポリマーとの両方が部分的に又は全体的に溶融状態にある温度で行い、ここで、組成物の生物学的実体は、ポリマー系マトリックスのポリマーを分解可能である。
このため、混合工程(a)を、第1のポリマーの性質に応じて、40℃以上、特に、45℃、55℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃以上又はさらに150℃超の温度で行うことができる。典型的には、この温度は、300℃を超えない。とりわけ、この温度は、250℃を超えない。特定の実施態様では、工程(a)を、140℃超のTmを有するポリマーを使用して行う。好ましい実施態様では、工程(a)を、低融点、すなわち、140℃未満の融点を有するポリマーを使用して行う。例えば、ステップ(a)を、PCL、PBAT、PLA、PHA又はPBSAを使用して行う。混合工程の温度は、ポリマーの種類及び/又はマスターバッチの製造に使用される生物学的実体に応じて、当業者により適合させることができる。特に、この温度は、第1のポリマーの融点又は溶融温度に従って選択される。特定の実施態様では、工程(a)を、第1のポリマーの融点で行う。ついで、ポリマーは、部分的に又は全体的に溶融状態にある。別の実施態様では、工程(a)を、前記ポリマーのガラス転移点より高い温度、特に、前記ポリマーのガラス転移点(Tg)と溶融温度との間の温度で行う。別の特定の実施態様では、混合工程(a)を、前記ポリマーの溶融温度より高い温度で行う。
特定の実施態様では、第1のポリマーは、140℃未満の溶融温度を有する。本発明によれば、第1のポリマーを、140℃未満の温度で加熱し、組成物を、前記加熱工程の間に第1のポリマー中に導入する。別の特定の実施態様では、第1のポリマーは、140℃超の溶融温度を有する。本発明によれば、第1のポリマーを、140℃超の温度で加熱し、組成物を、前記加熱工程の間に第1のポリマーに導入する。より一般的に言えば、マスターバッチの調製工程(工程a)を、組成物の生物学的実体が、押出成形中に第1のポリマー中に埋め込まれるように、第1のポリマーが部分的又には全体的に溶融状態にある温度で行う。好ましくは、工程a)を、押出成形により行う。
好ましい実施態様では、マスターバッチを、(i)第1のポリマー(ここで、前記第1のポリマーは、140℃未満の溶融温度を有する)を押出成形し、(ii)プラスチック物品を製造するために、前記マスターバッチをポリマー系マトリックス中に導入する前に、第1のポリマーの押出成形中に組成物を導入することにより調製する。別の実施態様では、マスターバッチを、(i)第1のポリマー(ここで、前記第1のポリマーは、140℃超の溶融温度を有する)を押出成形し、(ii)プラスチック物品を製造するために、前記マスターバッチをポリマー系マトリックス中に導入する前に、第1のポリマーの押出成形中に組成物を導入することにより調製する。
特定の実施態様では、第1のポリマーは、好ましくは、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ブチレンスクシナート)(PBS)、ポリブチレンスクシナートアジパート(PBSA)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ乳酸(PLA)から選択されるポリエステル又はコポリマーである。別の特定の実施態様では、第1のポリマーは、好ましくは、デンプンから選択される天然ポリマーである。別の特定の実施態様では、マスターバッチは、「ユニバーサル」ポリマー、すなわち、広範囲のポリマーと適合性であるポリマー、例えば、コポリマー(例えば、エチレンビニルアセタートコポリマーEVA)を含む。
特定の実施態様では、マスターバッチは、140℃未満の溶融温度及び/又は70℃未満のガラス転移点を有する第1のポリマーを含む。好ましくは、マスターバッチの第1のポリマーは、120℃未満の溶融温度及び/又は30℃未満のガラス転移点を有する。例えば、このような第1のポリマーは、PCL、PBS、PBSA、PBAT、PLA及びEVAからなる群より選択される。好ましくは、このような第1のポリマーは、PCL、PBAT、EVA及びPLA並びにそれらの混合物からなる群より選択される。特定の実施態様では、第1のポリマーは、PCLである。別の特定の実施態様では、第1のポリマーは、PLAである。このような実施態様の利点は、マスターバッチ製造プロセスの間における組成物中の生物学的実体の加熱を低減することである。
マスターバッチは、マスターバッチの総重量に基づいて、5重量%~50重量%の液体組成物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、10%~40%、より好ましくは、10%~30%に相当する。特定の実施態様では、マスターバッチは、マスターバッチの総重量に基づいて、約20重量%の本発明の組成物を含む。別の特定の実施態様では、マスターバッチは、マスターバッチの総重量に基づいて、約10重量%の本発明の組成物を含む。特定の実施態様では、組成物のポリマー分解生物学的実体は、第1のポリマーを分解可能である。代替的に又は付加的に、ポリマー分解生物学的実体は、マスターバッチを包含する最終プラスチック物品の少なくとも1種のポリマーを分解可能である。
マスターバッチは、さらに、1種又は複数種の更なる化合物を含むことができる。特に、マスターバッチは、さらに、1種以上の添加剤を含むことができる。一般的に言えば、添加剤は、最終製品中の特定の特性を向上させるのに使用される。例えば、添加剤は、可塑剤、着色剤、加工助剤、レオロジー剤、帯電防止剤、UV防止剤、強化剤、衝撃改質剤、相溶化剤、スリップ添加剤、難燃剤、酸化防止剤、酸化促進剤、光安定剤、酸素スカベンジャー、接着剤、製品、賦形剤、スリップ添加剤からなる群より選択することができるが、これらに限定されない。有利には、マスターバッチは、20重量%未満、好ましくは、10重量%未満、典型的には、0.1~10重量%のこのような添加剤を含む。好ましくは、マスターバッチは、可塑剤、スリップ添加剤及び光安定剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含む。特に、マスターバッチは、さらに、少なくとも1種の充填剤を含むことができる。充填剤は、プラスチック産業で使用される任意の従来の充填剤から選択することができる。充填剤の種類及び正確な量は、マスターバッチ組成物の種類に応じて、当業者により適合させることができる。有利には、マスターバッチは、中和充填剤、例えば、炭酸カルシウム、タルク又はシリカから選択される少なくとも1種の充填剤を含む。
特定の実施態様では、マスターバッチ組成物は、マスターバッチの総重量に基づいて、
- 50重量%~95重量%の第1のポリマーと、
- 5重量%~50重量%のポリマー分解性生物学的実体を含む液体組成物と、場合により、
- 少なくとも1種の添加剤とを含む。
別の特定の実施態様では、マスターバッチは、マスターバッチの総重量に基づいて、
- 70重量%~90重量%の第1のポリマーと、
- 10重量%~30重量%のポリマー分解性生物学的実体を含む液体組成物と、場合により、
- 少なくとも1種の添加剤とを含む。
別の特定の実施態様では、マスターバッチは、マスターバッチの総重量に基づいて、
- 70重量%~80重量%の第1のポリマーと、
- 10重量%~20重量%のポリマー分解性生物学的実体を含む液体組成物と、場合により、
- 少なくとも1種の添加剤とを含む。
特定の実施態様では、マスターバッチは、マスターバッチの総重量に基づいて、
- 70重量%~80重量%のPCLと、
- 10重量%~20重量%のPLA分解性生物学的実体を含む液体組成物と、場合により、
- 少なくとも1種の添加剤とを含む。
別の特定の実施態様では、マスターバッチは、マスターバッチの総重量に基づいて、
- 70重量%~80重量%のPLAと、
- 10重量%~20重量%のPLA分解性生物学的実体を含む液体組成物と、場合により、
- 少なくとも1種の添加剤とを含む。
特定の実施態様では、マスターバッチを、「配合」と呼ばれるプロセス、通常、押出造粒プロセスにより製造する。同プロセスにおいて、第1のポリマーを溶融し、本発明の組成物と混合する。配合は、マスターバッチ中の均一性、均質性及び分散を確実にするために、加熱プロセス中に混合及びブレンド技術を組み合わせる。配合は、当業者に公知の技術である。このような配合プロセスを、押出成形機、例えば、一軸押出成形機、同時回転又は逆回転のいずれかの設計の多軸押出成形機、分散混練機、往復一軸押出成形機(同時混練機)により行うことができる。
より一般的には、マスターバッチを調製する工程(a)を、第1のポリマーを加熱し、溶融し、組成物と混合する押出成形機により行うことができる。第1のポリマーを、粉末又は顆粒形態で、好ましくは、顆粒形態で押出機に導入することができる。
好ましい実施態様では、工程(a)のマスターバッチの製造に使用される押出成形機は、多軸押出成形機、好ましくは、二軸押出成形機、より好ましくは、同時回転二軸押出成形機である。特定の実施態様では、押出成形機は、さらに、スクリューの後に、静的ミキサーを含む。別の実施態様では、押出成形機を、孔が穿孔されたダイ、好ましくは、少なくとも2孔ダイと共に使用する。別の好ましい実施態様では、押出成形機を、1孔ダイと共に使用する。当業者であれば、ダイの特性(例えば、孔の数及びサイズ等)を、意図される圧力、出力又はマスターバッチに容易に適合させるであろう。
好ましい実施態様では、押出成形機中での第1のポリマーと組成物との混合物の滞留時間は、5秒~3分の間に含まれ、好ましくは、2分未満である。マスターバッチが、120℃未満の溶融温度を有するポリマーを含む場合、押出成形機中での混合物の滞留時間は、5秒~10分の間に含まれ、好ましくは、5分未満である。
当業者であれば、押出成形機の特性(例えば、スクリューの長さ及び直径、スクリューのプロファイル、脱気ゾーン等)及び滞留時間を、意図される第1のポリマー、組成物及びマスターバッチの種類に容易に適合させるであろう。
特に、このような押出成形機は、主要なホッパー及び複数の連続加熱ゾーンを含むことができ、ここで、温度を独立して制御し、調節することができ、ここで、更なる成分を、プロセスの間の異なる時点で加えることができる。揮発性生成物、例えば、水を除去するために、押出成形の間、真空及び自然脱気ゾーンが必要である。
液体組成物を、ポンプで導入する。特定の実施態様では、液体組成物を、混合工程の後期段階(すなわち、最後の加熱ゾーン)で、とりわけ、第1のポリマーが部分的に又は全体的に溶融状態にあるときに導入する。このため、生物学的実体の高温への暴露が低減される。好ましくは、押出成形機中での液体組成物の滞留時間は、第1のポリマーの滞留時間の長さの半分以下である。別の特定の実施態様では、本発明の液体組成物を、押出成形機中に、ポリマーの前に導入する。このため、液体組成物とポリマーとの間の接触が増加する。
本発明によれば、マスターバッチを調製する工程(a)後、前記マスターバッチを、任意の適切な固体形態に調整することができる。この点に関して、好ましい実施態様では、マスターバッチを、ダイを通してロッドに成形する。ついで、ロッドを冷却し、場合により乾燥させ、その後、マスターバッチの顆粒及び/又はパステルの形態に細断する。水中ペレタイザーも使用することができる。更なる実施態様では、マスターバッチの前記顆粒を、粉砕し又は微粉化して、前記マスターバッチの粉末を生成することができる。ついで、工程(b)の前に、混合物が、部分的又は全体的に溶融状態になるように、粉末を押出造粒プロセスに、好ましくは、押出成形機中に供することが可能である。
本発明の方法によれば、マスターバッチを、プラスチック物品を製造するために、工程(b)の間にポリマー系マトリックス中に導入する。ポリマー系マトリックス中にマスターバッチを導入する工程を、第1のポリマー及び少なくともポリマー系マトリックスのポリマーの両方が部分的に又は全体的に溶融状態にある温度で行う。工程(a)で出されたマスターバッチ及びポリマー系マトリックスが、粒状形態にある場合、ポリマー系マトリックス中にマスターバッチを導入する工程(b)の前に、顆粒を乾式混合の工程に供することが可能である。
ポリマー系マトリックスは、天然もしくは合成ポリマー並びに/又はそれらの誘導体及び/もしくは混合物から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。当業者であれば、最終プラスチック物品の性質に応じて、ポリマー系マトリックスのポリマーを選択可能である。
特定の実施態様では、工程(b)を、高融点、すなわち、140℃超の融点を有するポリマーを使用して行う。例えば、工程(b)を、PLAを使用して行う。
特定の実施態様では、ポリマー系マトリックスは、合成ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーを含んだ。
特定の実施態様では、ポリマー系マトリックスは、乳酸及び/もしくはコハク酸及び/もしくはテレフタル酸又はそれらの混合物のコポリマーの中から選択される少なくとも1種のポリエステルを含む。有利には、ポリエステル系マトリックスは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンスクシナート(PBS)、ポリブチレンスクシナートアジパート(PBSA)、ポリブチレンアジパートテレフタラート(PBAT)及びそれらの誘導体又はブレンド/混合物の中から選択される少なくとも1種のポリエステルを含む。好ましい実施態様では、ポリエステル系マトリックスは、PLA及び/又はPCL及び/又はPBAT、より好ましくは、PLAの中から選択される少なくとも1種のポリエステルを含む。
別の特定の実施態様によれば、ポリマー系マトリックスは、天然ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーを含む。天然ポリマーは、リグニン、多糖類、例えば、セルロースもしくはヘミセルロース、デンプン、キチン、キトサン及びそれらの誘導体又はそれらのブレンド/混合物の群から選択することができる。特定の実施態様では、天然ポリマーは、マスターバッチ組成物を製造するためにそれらを使用する前に(例えば、可塑剤、例えば、水又はグリセロールにより)可塑化される。このような可塑化工程により、天然ポリマーの化学構造が改変され、プラスチック製造プロセスを通してそれらの使用が可能となる。
特に、ポリマー系マトリックスは、さらに、少なくとも1種の充填剤及び/又は少なくとも1種の添加剤を含むことができる。充填剤は、プラスチック産業で使用される任意の従来の充填剤から選択することができる。充填剤の種類及び正確な量は、マスターバッチ組成物の種類に応じて、当業者により適合させることができる。有利には、プラスチック物品は、炭酸カルシウム、タルク又はシリカから選択される少なくとも1種の充填剤を含む。
有利には、プラスチック物品は、プラスチック物品の総重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは、10重量%未満、より好ましくは、5重量%未満、典型的には、0.1~4重量%のこのような添加剤を含む。代替的には、プラスチック物品は、5重量%~10重量%のこのような添加剤を含む。
また、本発明の目的は、生物学的実体が正確に加えられ、均質に分布されたプラスチック物品を実現するために、ポリマー系マトリックスが、多量の生物学的実体を含むマスターバッチと混合される方法を提供することである。
本発明によれば、混合工程(a)及び混合物の適切な固体形態への任意の調整後、製造されるプラスチック組成物を、プラスチック物品に成形する(b)。
有利には、工程(b)を、ポリマー系マトリックスのポリマー及び第1のポリマーが部分的に又は全体的に溶融状態にある温度で実行する。例えば、工程(b)を、ポリマーの性質に応じて、40℃以上、特に、45℃、55℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃以上又はさらに150℃以上の温度で行うことができる。典型的には、この温度は、300℃を超えない。とりわけ、この温度は、250℃を超えない。工程(b)の温度を、マスターバッチ及びポリマー系マトリックスの種類並びに/又は意図されるプラスチック物品の種類に応じて、当業者により適合させることができる。特に、温度は、ポリマー系マトリックスのポリマー及び第1のポリマーの融点又は溶融温度に従って選択される。
特定の実施態様では、工程(b)を、ポリマー系マトリックスのポリマーの融点で行う。ついで、ポリマーは、部分的に又は全体的に溶融状態にある。別の実施態様では、工程(b)を、前記ポリマーのガラス転移点(Tg)と融点との間の温度で行う。別の特定の実施態様では、工程(b)を、前記ポリマーの融点を超える温度で行う。
典型的には、前記工程(b)を、押出成形、押出-配合、押出ブロー成形、ブローフィルム押出成形、キャストフィルム押出成形、カレンダー加工及び熱成形、射出成形、圧縮成形、押出-膨潤、回転成形、アイロン掛け、コーティング、層状化、膨張、引抜成形、圧縮造粒又は3D印刷により行うことができる。このような操作は、当業者に周知であり、当業者であれば、意図されるプラスチック物品の種類に応じて、プロセス条件(例えば、温度、滞留時間等)を容易に適合させるであろう。例として、ブローフィルム及びキャストフィルム押出成形が、プラスチックフィルムの製造に特に適している。別の例として、カレンダー加工プロセスが、プラスチックシートの製造に特に適しており、射出成形、熱成形、ブロー成形、回転成形又は3D印刷が、硬質プラスチック物品の製造に特に適している。
特定の実施態様では、工程(b)を、粉末又は顆粒形態、好ましくは、顆粒形態の固体マスターバッチを使用して実行する。
特定の実施態様では、プラスチック物品の総重量に基づいて、0.5~30重量%、好ましくは、20%未満、より好ましくは、15%未満、さらにより好ましくは、10%未満のマスターバッチを、ポリマー系マトリックスに加える。特定の実施態様では、約5重量%のマスターバッチを、ポリマー系マトリックス中に導入する。特定の実施態様では、約10重量%のマスターバッチを、ポリマー系マトリックス中に導入する。
別の特定の実施態様では、1重量%~5重量%のマスターバッチを、95重量%~99重量%の部分的に又は全体的に溶融状態にあるポリマー系マトリックスに包含させ及び/又は混合する。
別の特定の実施態様では、本発明は、少なくともPLAを含むプラスチック物品を製造するための方法であって、
a)PLA分解性生物学的実体及びPCLを含むマスターバッチを、
(i)PCLを加熱し、
(ii)PCLの加熱中に、マスターバッチの総重量に基づいて、5重量%~50重量%のPLA分解性生物学的実体を含有する本発明の液体組成物を導入することにより、調製する工程と、
b)プラスチック物品の製造中に、PLA系マトリックス中にマスターバッチを導入する工程とを含み、
ここで、工程a)を、PCLが部分的に又は全体的に溶融状態にある温度、好ましくは、65℃超、より好ましくは、70℃超で行い、工程b)を、PCLとPLAとの両方が部分的に又は全体的に溶融状態にある温度、好ましくは、120℃超、より好ましくは、155℃超で行う、方法に関する。
別の特定の実施態様では、本発明は、少なくともPLAを含むプラスチック物品を製造するための方法であって、
a)PLA分解性生物学的実体及びPLAを含むマスターバッチを、
(i)PLAを加熱し、
(ii)PLAの加熱中に、PLA中のマスターバッチの総重量に基づいて、5重量%~50重量%のPLA分解性生物学的実体を含有する本発明の液体組成物を導入することにより、調製する工程と、
b)プラスチック物品の製造中に、PLA系マトリックス中にマスターバッチを導入する工程とを含み、
ここで、工程a)を、PLAが部分的に又は全体的に溶融状態にある温度、好ましくは、100℃超、より好ましくは、130℃超で行い、工程b)を、マスターバッチのPLAとPLA系マトリックスのPLAとの両方が部分的に又は全体的に溶融状態にある温度、好ましくは、120℃超、より好ましくは、155℃超で行う、方法に関する。
別の実施態様では、本発明の液体組成物を、プラスチック物品を構成するポリマー中に直接導入する。
また、本発明の目的は、プラスチック物品を製造するための方法であって、
- 混合物の総重量に基づいて、11重量%未満、特に、0.1重量%~10重量%の本明細書で記載された組成物を、少なくとも1種のポリマーと混合する工程であって、組成物の生物学的実体が、前記ポリマーを分解可能である、混合工程(a)と、
工程(a)の前記混合物をプラスチック物品に成形する工程(b)とを含む、方法を提供することである。
特定の実施態様では、この方法は、さらに、工程(b)の前に、少なくとも1種の添加剤並びに/又は少なくとも第2の合成ポリマー及び/もしくは天然ポリマーを、該ポリマー及び生物学的実体と混合する工程を含む。代替的には、このような添加剤及び/又はポリマーを、工程(a)において、該ポリマー及び生物学的実体と混合することができる。
特定の実施態様では、工程(a)に使用されるポリマーは、粒状形態である。別の実施態様では、ポリマーは、粉末形態にある。この目的のために、ポリマーを、混合工程(a)の前に機械的に前処理して、このような粉末形態をもたらすことができる。特に、ポリマーを粉砕することができる。
混合工程(a)を、ポリマーが部分的又は全体的に溶融状態にある温度で行う。このため、混合工程(a)を、ポリマーの性質に応じて、40℃以上、特に、45℃、55℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃以上又はさらに150℃以上の温度で行うことができる。典型的には、この温度は、300℃を超えない。とりわけ、この温度は、250℃を超えない。混合工程の温度は、プラスチック物品の製造に使用されるポリマーの種類及び/又は組成物に応じて、当業者により適合させることができる。特に、温度は、ポリマーの融点又は溶融温度に従って選択される。特定の実施態様では、混合工程(a)を、プラスチック物品のポリマーの融点で行う。ついで、ポリマーは、部分的に又は全体的に溶融状態にある。別の実施態様では、混合工程(a)を、前記ポリマーのガラス転移点より高い温度、特に、前記ポリマーのガラス転移点(Tg)と溶融温度との間の温度で行う。別の特定の実施態様では、混合工程(a)を、前記ポリマーの溶融温度より高い温度で行う。
特定の実施態様では、工程a)からのプラスチック組成物を、「配合」と呼ばれるプロセス、通常、押出造粒プロセスにより製造することができ、同プロセスにおいて、ポリマーを溶融し、本発明の組成物と混合する。配合は、最終配合物中の均一性、均質性及び分散を確実にするために、加熱プロセス中に混合及びブレンド技術を組み合わせる。配合は、当業者に公知の技術である。このような配合プロセスを、押出成形機、例えば、一軸押出成形機、同時回転又は逆回転のいずれかの設計の多軸押出成形機、分散混練機、往復一軸押出成形機(同時混練機)により行うことができる。
好ましくは、ポリマーと液体組成物とを混合する工程(a)を、ポリマーを加熱し、溶融し、本発明の組成物と混合する、押出成形機を使用して行うことができる。ポリマーを、粉末又は顆粒形態、好ましくは、顆粒形態で押出成形機に導入することができる。
特定の実施態様によれば、混合工程(a)は、低融点(140℃未満、好ましくは、120℃未満)を有する第1のポリマー、例えば、PCL、PBS、PBSA、PLA、PHA、PBAT中に液体組成物を導入する第1の工程と、ついで、高融点を有する第2のポリマー、例えば、PLAを含むポリマー系マトリックスを、第1の工程で得られた混合物に加える第2の工程とを含む。例えば、液体組成物を、部分的に溶融状態になるように約70℃で加熱されたPCLに加える。ついで、部分的に溶融状態になるように約150℃に加熱したPLAを、混合物に直接加える。
好ましい実施態様では、工程a)のプラスチック組成物の製造に使用される押出成形機は、多軸押出成形機、好ましくは、二軸押出成形機、より好ましくは、同時回転二軸押出成形機である。特定の実施態様では、押出成形機は、さらに、スクリューの後に、静的ミキサーを含む。別の実施態様では、押出成形機を、孔が穿孔されたダイと共に使用する。
好ましい実施態様では、押出成形機中での混合物の滞留時間は、5秒~3分の間に含まれ、好ましくは、2分未満である。プラスチック組成物が、120℃未満の溶融温度を有するポリマーを含む場合、押出成形機中での混合物の滞留時間は、好ましくは、5分未満である。
当業者であれば、押出成形機の特性(例えば、スクリューの長さ及び直径、スクリューのプロファイル、脱気ゾーン等)及び滞留時間を、意図されるポリマー、液体組成物の生物学的実体及びプラスチック組成物の種類に容易に適合させるであろう。
特に、このような押出成形機は、主要なホッパー及び複数の連続加熱ゾーンを含むことができ、ここで、温度を独立して制御し、調節することができ、ここで、更なる成分を、プロセスの間の異なる時点で加えることができる。揮発性生成物、例えば、水を除去するために、押出成形の間、真空及び自然脱気ゾーンが必要である。
液体組成物を、ポンプで導入する。特定の実施態様では、生物学的実体を含む液体組成物を、混合工程の後期段階(すなわち、最後の加熱ゾーン)で、とりわけ、ポリマーが部分的に又は全体的に溶融状態にあるときに導入する。このため、高温への暴露が低減される。好ましくは、押出成形機中での液体組成物の滞留時間は、第1のポリマーの滞留時間の長さの半分以下である。別の特定の実施態様では、本発明の液体組成物を、押出成形機中に、ポリマーの前に導入する。このため、液体組成物とポリマーとの間の接触が増加する。
本発明によれば、混合工程(a)後、混合物を、任意の適切な固体形態に調整することができる。この点に関して、好ましい実施態様では、工程(a)から出た混合物を、ダイを通してロッドに成形する。ついで、ロッドを冷却し、場合により乾燥させ、その後、プラスチック組成物の顆粒の形態に細断する。更なる実施態様では、プラスチック組成物の前記顆粒を、粉砕し又は微粉化して、前記プラスチック組成物の粉末を生成することができる。
ポリマーを、合成ポリマーから選択することができる。特定の実施態様では、ポリマーは、脂肪族ポリエステル、好ましくは、PLAから選択される。
別の特定の実施態様では、この方法は、さらに、工程(b)の前に、少なくとも1種の添加剤及び/又は少なくとも第2のポリマー及び/又は少なくとも充填剤を、ポリマー及び組成物と混合する工程を含む。代替的には、このような添加剤及び/又はポリマー及び/又は充填剤を、工程(a)において、ポリマー及び本発明の組成物と混合することができる。
第2のポリマーは、天然又は合成ポリマーから選択することができる。充填剤は、プラスチック産業で使用される任意の従来の充填剤から選択することができる。有利には、プラスチック物品は、炭酸カルシウム、タルク又はシリカから選択される少なくとも1種の充填剤を含む。有利には、プラスチック物品は、20重量%未満、好ましくは、10重量%未満、より好ましくは、5重量%未満、典型的には、0.1~4重量%のこのような添加剤を含む。
本発明によれば、混合工程(a)及び適切な混合物の固体形態への任意の調整後に、製造されたプラスチック組成物を、プラスチック物品に成形する(b)。
有利には、工程(b)を、プラスチック組成物のポリマーが部分的に又は全体的に溶融状態にある温度で実行する。例えば、工程(b)を、プラスチック組成物中のポリマーの性質に応じて、40℃以上、特に、45℃、55℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃以上又はさらに150℃以上の温度で行うことができる。典型的には、この温度は、300℃を超えない。とりわけ、この温度は、250℃を超えない。工程(b)の温度を、プラスチック組成物及びそれが含むポリマーの種類並びに/又は意図されるプラスチック物品の種類に応じて、当業者により適合させることができる。特に、温度は、工程(a)から製造されたプラスチック組成物のポリマーの融点又は溶融温度に従って選択される。
特定の実施態様では、工程(b)を、プラスチック組成物のポリマーの融点で行う。ついで、ポリマーは、部分的に又は全体的に溶融状態にある。別の実施態様では、工程(b)を、前記ポリマーのガラス転移点(Tg)と融点との間の温度で行う。別の特定の実施態様では、工程(b)を、前記ポリマーの融点を超える温度で行う。
典型的には、前記工程(b)を、押出成形、押出-配合、押出ブロー成形、ブローフィルム押出成形、キャストフィルム押出成形、カレンダー加工及び熱成形、射出成形、圧縮成形、押出-膨潤、回転成形、アイロン掛け、コーティング、層状化、膨張、引抜成形、圧縮造粒又は3D印刷により行うことができる。このような操作は、当業者に周知であり、当業者であれば、意図されるプラスチック物品の種類に応じて、プロセス条件(例えば、温度、滞留時間等)を容易に適合させるであろう。例として、ブローフィルム又はキャストフィルム押出成形が、プラスチックフィルムの製造に特に適している。別の例として、カレンダー加工プロセスが、プラスチックシートの製造に特に適しており、射出成形、熱成形、ブロー成形、回転成形又は3D印刷が、硬質プラスチック物品の製造に特に適している。
好ましい実施態様では、工程(b)を、粉末又は顆粒形態、好ましくは、顆粒形態の固体プラスチック組成物を使用して実行する。
プラスチック物品は、プラスチック物品の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%のプラスチック組成物を含む。好ましくは、組成物は、プラスチック物品の0.1%~5%、より好ましくは、0.1%~3%に相当する。代替的には、プラスチック組成物は、プラスチック物品の約5%に相当する。
別の実施態様では、本発明の液体組成物を、プラスチック物品を成形する工程(b)において直接導入する。
特定の実施態様では、本発明は、プラスチック物品を製造するための方法であって、
- 0.1重量%~10重量%の上記された組成物を少なくともPLAと混合する工程(a)であって、組成物の生物学的実体が、PLA分解活性を有するプロテアーゼから選択される、混合工程(a)と、
- 工程(a)の前記混合物をプラスチック物品に成形する工程(b)とを含み、
ここで、混合工程(a)を、好ましくは、150~180℃の温度及び/又は押出成形機、好ましくは、二軸押出成形機、より好ましくは、同時回転二軸押出成形機で行う、方法に関する。
より一般的には、プラスチック物品は、本発明の液体組成物を使用して、当業者に公知の任意の技術により製造することができる。
有利には、本発明のプラスチック物品は、プラスチック物品の総重量に基づいて、
- 10~98%の上記定義されたポリエステル、特に、ポリ乳酸(PLA)、
- 0.01~10%のデンプン誘導体、天然ゴム、海洋抽出物、微生物及び動物多糖類から選択される上記定義された多糖類担体、
- 0~30%の上記定義された140℃未満の溶融温度及び/又は70℃未満のガラス転移点を有する第1のポリマー及び
- 0.01~10%のPLA分解活性を有する生物学的実体を含む。
好ましくは、プラスチック物品は、少なくとも3%の第1のポリマー、より好ましくは、少なくとも4%の第1のポリマーを含む。別の好ましい実施態様では、プラスチック物品は、0.1%~1%の多糖類担体を含む。別の好ましい実施態様では、プラスチック物品は、主成分としてPLAと、1%未満、好ましくは、0.5%未満、好ましくは、約0.25%未満のPLA分解活性を有する生物学的実体とを含む。別の特定の実施態様では、プラスチック物品は、0.1~0.5%、好ましくは、約0.25%のPLA分解活性を有する酵素を含む。
均質分散した生物学的実体を有するプラスチック物品
また、本発明の別の目的は、少なくとも1種のポリマー及び前記生物学的実体を含むプラスチック物品中にポリマー分解性生物学的実体の分散を均質化するための方法であって、このようなプラスチック物品の製造プロセス中に、上記された液体組成物を導入することを含む、方法を提供することでもある。
このため、本発明の別の目的は、少なくとも1種のポリマー及び上記された組成物を含み、ここで、組成物の生物学的実体が、前記ポリマーを分解可能であり、プラスチック物品中に均質に分散されている、プラスチック物品を提供することである。
本発明者らは、本発明の組成物を使用してプラスチック物品を製造することにより、固体形態での生物学的実体を使用して製造されたプラスチック物品と比較して、プラスチック物品中の生物学的実体の分散の均質性が向上したプラスチック物品がもたらされるため、物理特性が向上したプラスチック物品がもたらされることを発見した。また、本発明者らは、製造プロセス中に生物学的実体を保護し、予想される分解及び技術的性能を有するプラスチック物品をもたらすために、担体の選択が重要であることも発見した。
本発明者らは、当技術分野の生物学的実体の固体又は液体組成物の使用と比較して、プラスチック物品の製造プロセス中に本発明の液体組成物を使用することにより、ポリマー及びポリマー分解活性を有する生物学的実体を含むプラスチック物品の分解性並びに物理特性及び/又は機械特性を改善可能であることを示した。
このため、本発明の別の目的は、プラスチック物品中の生物学的実体の分散を均質化するための方法であって、プラスチック物品の製造プロセス中に、本発明の液体組成物を導入することを含む、方法を提供することである。
プラスチック物品中の生物学的実体の分散の均質性を、当業者により、当技術分野においてそれ自体公知の方法に従って評価することができる。例えば、本発明の文脈内で、プラスチック物品中の生物学的実体の分散の均質性を、下記特性:ヘイズ、表面粗さ、動摩擦係数、ヤング率、破断点伸び、破断点引張応力、最大応力、最大応力時歪み、衝撃強度及び生分解性のうちの少なくとも1つの測定により評価することができる。
ヘイズは、プラスチック物品を通って2.5°超で散乱された入射光の割合として定義される。ヘイズは、プラスチック物品中に含有される不純物(例えば、物品中の小さな粒子の蓄積又は表面上の非常に小さな欠点)又はその結晶化度のレベルにより生じる。ヘイズ値が低いほど、物品の透明度は高い。ヘイズは、特定の単位を有さず、%で表される。ヘイズ値が、30%より高い場合、物品は拡散性である。ヘイズメータ及び分光光度計を使用して、ヘイズのレベルを測定することができる。プラスチック物品のヘイズは、ASTM D1003又はNF EN2155-9に従って測定することができる。本発明によれば、物品のヘイズは、NF EN2155-9(1989年8月)に従って測定される。特に、生物学的実体の液体組成物から製造されたプラスチック物品は、当技術分野における生物学的実体の固体組成物から製造された同じプラスチック物品より低いヘイズ値を示すことができる。典型的には、プラスチック物品は、当技術分野における生物学的実体の固体又は液体組成物を使用して製造されたプラスチック物品のヘイズ値と比較して、約1%、2%、3%、4%、5%又はそれ以上低下したヘイズ値を示す。
プラスチック物品の破断点伸び又は破断点歪みは、プラスチック物品がクラックを生じることなく形状変化に抵抗する能力に関する。破断点伸びは、破断歪み又は破断点引張伸びとしても公知である。破断点伸びは、%で測定され、プラスチック物品の破断点伸びをプラスチック物品の初期ゲージ長さで割り、100を掛けることにより計算することができる。
プラスチック物品の破断点引張強さ又は破断点応力としても公知の破断点引張応力は、試験標本が破断した時点での引張応力として定義される。極限引張応力又は最大応力としても公知の引張応力は、引張試験中に試験標本が耐える最大引張応力に相当する。引張応力は、最大負荷を標本の元の最小断面積で割ることにより計算される。結果は、単位面積当たりの力、通常、メガパスカル(MPa)で表わされるものとする。
最大応力時歪み又は引張強度での引張歪みは、引張強度に対応する点での引張歪みであり、%で測定され、プラスチック物品の最大応力時伸びをプラスチック物品の初期ゲージ長さで割り、100を掛けることにより計算することができる。
プラスチック物品のヤング率(弾性率又は引張弾性率としても公知)は、固体材料の剛性の尺度である。ヤング率は、線状弾性固体材料の機械特性である。ヤング率は、材料における応力(単位面積当たりの力)と歪み(比例変形)との間の関係を規定する。結果は、パスカル又はメガパスカル(MPa)で表わされるものとする。
プラスチック物品のヤング率、破断点伸び、破断点引張応力、最大応力、最大応力時歪みは、1mm未満の厚みを有するプラスチック物品について、ASTM D882-12又はNF EN ISO527-3に従って測定することができる。これらは、特に、2つの異なる方向:縦方向又は横方向で測定することができる。1mm~14mmの厚みを有するプラスチック物品についてのこれらの基準の決定を、ASTM D638-14又はNF EN ISO527-2により行われる。
プラスチック物品の破断点伸び、破断点引張応力(又は極限引張強度)、最大応力、最大応力時歪み及びヤング率を、1mm未満の厚みを有するプラスチック物品について、ASTM D882-12又はNF EN ISO527-3に従って測定することができる。これらを、2つの異なる方向:縦方向又は横方向に、下記パラメータ(ヤング率のためのグリップ離間速度:10mm/分、他の特性のためのグリップ離間速度:50mm/分、初期グリップ間隔100mm、プラスチック物品寸法:長さ150mm、幅15mm、平均厚み17μm)又は規格に記載されている他の条件で測定することができる。1mm~14mmの厚みを有するプラスチック物品についてのこれらの基準の決定を、ASTM D638-14又はNF EN ISO 527-2により行う。
特に、上記表わされた液体組成物の使用により得られるプラスチック物品は、生物学的実体の固体組成物から製造された同じプラスチック物品より高い破断点伸びを示すことができる。典型的には、プラスチック物品は、縦方向又は横方向から選択される少なくとも一方の方向において、生物学的実体の固体組成物で製造されたプラスチック物品の破断点伸びより10%高い、好ましくは、20%、50%、100%高い又はそれ以上高い破断点伸びを示す。
特に、本発明の液体組成物で製造されたプラスチック物品は、生物学的実体の固体組成物から製造された同じプラスチック物品より高い破断点引張応力を示すことができる。典型的には、プラスチック物品は、生物学的実体の固体組成物で製造されたプラスチック物品の破断点引張応力より20%高い、好ましくは、30%、40%、50%高い又はそれ以上高い破断点引張応力を示す。典型的には、プラスチック物品は、縦方向又は横方向から選択される少なくとも一方の方向において、生物学的実体の固体組成物から製造されたプラスチック物品の破断点引張応力より5MPa高い、好ましくは、7MPa、10MPa、15MPa高い又はそれ以上高い破断点引張応力を示す。
特に、本発明の液体組成物から製造されたプラスチック物品は、生物学的実体の固体組成物から製造された同じプラスチック物品より高いヤング率を示すことができる。典型的には、プラスチック物品は、縦方向又は横方向から選択される少なくとも一方の方向において、生物学的実体の固体組成物から製造されたプラスチック物品のヤング率より約20%高い、好ましくは、30%、40%、50%高い又はそれ以上高いヤング率を示す。典型的には、プラスチック物品は、縦方向又は横方向から選択される少なくとも一方の方向において、生物学的実体の固体組成物から製造されたプラスチック物品のヤング率より約20MPa高い、好ましくは、30MPa、50MPa、100MPa高い又はそれ以上高いヤング率を示す。
動摩擦係数又は摺動摩擦係数又は動摩擦係数(μとも略される)は、2つの物体が互いに対して移動し、(地面上の塊のように)共に摩擦する時に生じる。本発明によれば、μを、プラスチック物品が別の同じプラスチック物品上を摺動している時に測定する。摺動摩擦係数は、両プラスチック物品に垂直に作用する垂直力Nに対する、プラスチック物品による動摩擦力面(摩擦に打ち勝つのに必要な力)の比として定義される。この係数は、単位を有さない。試験される表面は、平坦な接触状態に置かれ、均一な接触圧力(垂直力N)下に置かれる。表面を互いに対して移動させるのに必要な力(動摩擦力)が記録される。本発明によれば、μを、0.5mm未満の厚みを有するプラスチックフィルム又はプラスチックシートに適合する規格NF EN ISO-8295(2004年12月)に従って測定する。この装置は、プラスチック物品が載置される水平試験テーブルと、プレス力(1.96N)を生成し、プラスチック物品が取り付けられる質量と、質量と試験テーブルとの間の相対運動を生成するための牽引機構とを含む。本発明によれば、質量を、試験テーブル上で引っ張り、移動させる(試験速度=500mm/分)。この測定は、約0.01%の精度である。特に、生物学的実体の液体組成物から製造されたプラスチック物品は、生物学的実体の固体組成物から製造された同じプラスチック物品より低い動摩擦係数を示すことができる。典型的には、プラスチック物品は、生物学的実体の固体組成物から製造されたプラスチック物品の動摩擦係数より5%低い、好ましくは、10%、15%、20%低い又はそれ以上低い動摩擦係数を示す。
プラスチック物品の表面粗さを、ユーザのパネルの目視試験により評価することができる。プラスチック物品は、その表面に目に見える欠陥を示さず、滑らかである。固体組成物から製造されたプラスチック物品は、接触により感じることができ、肉眼で見ることができる粒子凝集体のために、表面上に不規則性を示す。また、これを、Mitutoyo厚みゲージを使用する厚みの測定することにより評価して、プラスチック物品中の凝集体の存在を実証する。
衝撃強度は、高速で適用される応力下での破壊に対する材料の抵抗として定義され、破壊前に吸収されるエネルギーの量により定義される。硬質プラスチック物品の場合、衝撃強度を、規格NF EN ISO179に従って、このようなプラスチック物品の同じ材料で製造され、4mmの厚み及び80mmの全長を有するプラスチック標本を使用して測定することができる。また、4mm未満の厚みを有する硬質プラスチック物品の衝撃強度の測定を、規格NF EN ISO6603-1に従って、このようなプラスチック物品について直接測定することもできる。特に、本発明の生物学的実体の液体組成物の使用により得られるプラスチック物品は、生物学的実体の固体組成物から製造された同じプラスチック物品より高い衝撃強度を示すことができる。典型的には、本発明のプラスチック物品は、生物学的実体の固体組成物から製造されたプラスチック物品の衝撃強度より約20%高い、好ましくは、25%、30%、40%高い衝撃強度を示す。
また、本発明者らは、プラスチック物品の製造プロセス中の本発明の液体組成物による生物学的実体の導入が、生物学的実体を含有しないプラスチック物品と比較して、このようなプラスチック物品の技術的性能に影響を及ぼさないことも示した。
また、本発明は、少なくとも1種のポリマーを含むプラスチック物品の生分解性を増大させるための方法であって、プラスチック物品の製造プロセス中に、本発明の液体組成物を導入することを含む、方法を提供する。
プラスチック物品の生分解性は、水性条件下での規定された期間にわたる単量体、二量体又は水及び二酸化炭素の遊離と定義される。特に、本発明によれば、PLAを含有するプラスチック物品の生分解性は、乳酸及び乳酸の二量体の放出に従って測定される。特に、本発明の液体組成物の使用により得られるプラスチック物品は、当技術分野の生物学的実体の固体又は液体組成物から製造された同じプラスチック物品より高い生分解性を示すことができる。典型的には、本発明のプラスチック物品は、2日後に当技術分野の生物学的実体の固体又は液体組成物から製造されたプラスチック物品の生分解性より約25%、30%、40%又は100%高い生分解性を示す。
特定の実施態様では、プラスチック物品は、少なくとも1種のポリエステルと、前記ポリエステルを分解可能な生物学的実体とを含む、プラスチックフィルムである。
代替的に又は付加的に、本発明のプラスチックフィルムは、100μm未満、好ましくは、50μm未満、より好ましくは、30μm未満、さらにより好ましくは、20μm未満の厚さを有するフィルムである。
特に、本発明の組成物から製造されたプラスチックフィルムは、生物学的実体の固体組成物から製造されたプラスチックフィルムのヘイズ値と比較して、約3%、4%、5%又はそれ以上低いヘイズ値を示す。したがって、プラスチックフィルムのヘイズ値は、80%~95%、好ましくは、85%~93%を含む。代替的には、プラスチックフィルムのヘイズ値は、30%超、好ましくは、50%超、より好ましくは、70%超、さらにより好ましくは、85%超である。そうでなければ、プラスチックフィルムのヘイズ値は、98%未満、好ましくは、96%未満、より好ましくは、95%未満、さらにより好ましくは、94%未満である。別の実施態様では、プラスチックフィルムのヘイズ値は、60%未満である。
別の特定の実施態様では、フィルムのヤング率は、好ましくは、両方向(縦又は横)で200MPa超であり及び/又はフィルムの破断点引張応力は、好ましくは、両方向(縦又は横)で15MPa超であり及び/又はフィルムの破断点伸びは、好ましくは、縦方向で130%超であり、横方向で300%超である。別の特定の実施態様では、本発明のフィルムは、EN ISO527-3に従って測定された、長手方向で130%超及び横方向で240%超の破断点伸び並びに/又はEN ISO6383-1に従って測定されたフィルムの横方向で30N/mm超の引裂強さを有し、一方で、高いPLA含量を有する。また、本発明のフィルムは、EN ISO527-3に従って測定された、長手方向で200MPa超及び横方向で150MPa超の弾性率並びに/又はEN ISO527-3に従って測定された、長手方向で15MPa超及び横方向で13MPa超の最大応力も有する。
別の特定の実施態様では、プラスチック物品は、少なくとも1種のポリエステルと、ポリエステル分解活性を有する生物学的実体とを含む、硬質プラスチック物品である。
特定の実施態様では、本発明の硬質プラスチック物品は、NF EN ISO179に従って、17kJ/m2超、好ましくは、20kJ/m2超の衝撃強度を示す。
別の特定の実施態様では、本発明の硬質プラスチック物品は、NF EN ISO527-2に従って、4GPa未満、好ましくは、3GPa未満の引張弾性率を示し、破断点引張強度は、40MPa超、好ましくは、55MPa超である。
特定の実施態様によれば、本発明の硬質プラスチック物品は、800μm未満、好ましくは、450μm未満の厚みを有するシートである。本発明のシートは、NF EN ISO7765-1に従って、1J超、好ましくは、1.5J超、より好ましくは、2J超の衝撃強度を示す。シートの弾性率は、意図される用途に十分な剛性を維持しながら、両方向(縦方向及び横方向)で2GPa未満であり、シートの最大応力時歪みは、両方向で3%超、好ましくは、4%超である。
別の特定の実施態様では、プラスチック物品は、少なくとも1種のポリエステルと、ポリエステル分解活性を有する生物学的実体とを含む、不織布である。
有利には、得られたプラスチック物品は、当業者に公知の関連規格及び/又はラベル、例えば、規格EN13432、規格NFT51800、規格ASTM D6400、OK Biodegradation Soil(Label TUV Austria)、OK Biodegradation Water(Label TUV Austria)、OK Compost(Label TUV Austria)、OK Compost Home(Label TUV Austria)のうちの少なくとも1つに準拠する生分解性プラスチック物品である。
生分解性プラスチック物品は、環境条件下で、プラスチック物品の少なくとも1種のポリエステルがオリゴマー及び/もしくはモノマー、水、二酸化炭素又はメタン並びにバイオマスに少なくとも部分的に変換されるプラスチックを指す。例えば、プラスチック物品は、水中において生分解性である。好ましくは、約90重量% プラスチック物品が、90日未満、より好ましくは、60日未満、さらにより好ましくは、30日未満で、水中において生分解される。より好ましくは、プラスチック物品は、環境中で起こる湿潤及び温度条件に曝された場合に生分解することができる。好ましくは、約90重量% プラスチック物品が、環境中で3年未満、より好ましくは、2年未満、さらにより好ましくは、1年未満で生分解される。代替的には、プラスチック物品は、温度が50℃超で維持される、工業的堆肥化条件下で生分解することができる。
実施例
実施例1-本発明の液体組成物の調製並びにPCL及びPLAを含むフィルムの製造のためのその使用
1.1-本発明の液体組成物の調製
異なる液体組成物を、液体形態(液体組成物及び水の総重量に基づいて、50重量%超のポリオールを含有)で販売されている市販のプロテアーゼSavinase(登録商標)16L(Novozymes)を使用して調製した。このような酵素は、ポリ乳酸を分解する能力が公知である(Degradation of Polylactide by commercial proteases; Y.Oda, A. Yonetsu, T. Urakami and K. Tonomura; 2000)。
液体組成物A(LC-A)を、5mM CaCl2を使用する3.5Kdメンブラン(透析ろ過因子約50)での市販のSavinase(登録商標)16Lの限外ろ過及び透析ろ過により得た。このような方法により、市販のSavinase(登録商標)に含有されているポリオールを除去することが可能となる。液体組成物Aには、担体が加えられていないため、この組成物は、ネガティブ対照に相当する。
また、液体組成物B及びC(LC-B及びLC-C)も、5mM CaCl2を使用する3.5Kdメンブランでの限外ろ過及び透析ろ過により、市販の液体形態のSavinase(登録商標)から得た。それぞれ、マルトデキストリン(Maldex-TEREOS)及びアラビアゴム(INSTANT GUM AA-NEXIRA)を、これらの2つの担体の保護効果を比較するために、液体組成物の総重量に基づいて、約23重量%の同じ割合でろ液中に粉末形態で加えた。異なる液体組成物の説明を表1にまとめる。
Figure 2023059274000001
1.2-本発明の組成物を使用したマスターバッチの調製
マスターバッチ組成物をポリカプロラクトン(PCL)ポリマー(PerstorpからのCapa(商標)6500)のペレット及び実施例1.1に記載された本発明の組成物から調製した。前記マスターバッチの酵素活性をさらに測定した。
配合機又は同時回転二軸押出成形機を使用した(Leistritz ZSE 18MAXX)。この配合機は、9つの連続する加熱ゾーンZ1~Z9を含み、ここで、温度を独立して制御し、調節することができる。ゾーンZ9の後には、加熱された部分でもある二軸(Z10)のヘッドに対応する更なるゾーンZ10が存在した。本発明の液体組成物を溶融ポリマーと効率的に混合するために、適切なスクリュープロファイルを使用した。各押出しマスターバッチに使用されたパラメータを表2にまとめる。
溶融ポリマーは、3.5mmの1つの孔を有するダイプラートを含むスクリューZ10に到達し、水と砕氷との混合物で満たされた長さ2mの冷水浴に直ちに浸漬された。得られた押出物を3mm未満の固体ペレットに造粒した。
この実験によれば、80重量%のPCLを20重量%の液体組成物と共に押し出した。
Figure 2023059274000002
マスターバッチ中の酵素活性を、以下に記載されたプロトコールに従って決定した。
50mgのペレットを50mLのFalconチューブ中で、ジクロロメタン(Sigma Aldrich、CAS 75-09-2)10mLと混合した。化合物が完全に溶解するまで、溶液を、ボルテックス(Genie2-Scientific Industrie)を使用して混合した。ついで、0.1M Trisバッファー(pH9.5) 5mLを加えた。エマルジョンを生成するために、各チューブを手動で振とうした。ついで、有機相及び水相を、10000Gで5分間の遠心分離(Heraeus Multifuge X302-Thermoscientific)により分離した。水相を除去し、別々に保持した。さらに、0.1M Trisバッファー(pH9.5)5mLを有機相に加え、プロトコールを、水相を除去するまで繰り返した。両方の水相 5mLを混合する。水相 10mL中の微量のジクロロメタンを除去するために、酸素を20分間サンプル中で通気させた。各サンプルのプロテアーゼ活性を、比色試験を使用して決定した。適切な希釈のサンプル 20μLを5mM pNA溶液(N-スクシニル-Ala-Ala-p-ニトロアニリド、Sigma Aldrich-CAS52299-14-6)180μLと混合した。光学密度を、吸光分光光度計(Clariostar-BMG Labtech)を使用して、30℃、420nmで測定した。このため、活性酵素の質量を、検量線を使用して決定した。
化合物中の活性酵素の質量と理論的酵素質量とを比較することにより、マスターバッチ中の残存活性の割合の決定が可能であった。
製造されたマスターバッチの残存活性を表3にまとめる。
Figure 2023059274000003
本発明の液体組成物を使用して製造されたマスターバッチ(LC-B及びLC-C)により、担体を含有しない液体組成物を使用して製造されたマスターバッチ(LC-A-ネガティブ対照)と比較して、より高い残存活性が実証される。このことは、押出成形プロセス中での酵素のより高い保護を示している。アラビアゴムを含む本発明の組成物を使用してマスターバッチにより、マルトデキストリンを含む本発明の組成物を使用して製造されたマスターバッチより、さらに良好な残存活性が示される。
1.3-生分解性プラスチックフィルムの製造
実施例1.2の顆粒化マスターバッチ組成物を使用して、押出成形プロセスにより生分解性ポリ乳酸系プラスチック物品を製造した。前記プラスチック物品の生分解性をさらに試験した。
PLA系マトリックスの調製
PLA系マトリックスを、実施例1.2に記載された二軸押出成形機を使用して押出成形した。このマトリクスの組成は、42.3重量%のPLA 4043D(NatureWorks製)、51.7重量%のPBAT PBE006(NaturePlast製)及び6重量%のCaCO(OMYA製)である。
全ての材料を押出成形前に乾燥させた。PLA及びPBATを60及び40℃それぞれのデシケーター中で約16時間乾燥させた。40℃、40mbで16時間の真空オーブンを炭酸カルシウムに使用した。
押出成形機の10個のゾーンにおける温度を185℃に設定した。スクリュー速度を175rpmとし、全投入質量速度を約7kg/hとした。CaCOを、重量測定フィーダーを使用してゾーン7で溶融ポリマーに導入して、マトリックスを得た。得られた押出物を冷水浴中で冷却し、その後、ペレット化した。
マスターバッチ:実施例1.2に記載されたマスターバッチMB1、MB2、MB3を使用して、プラスチックフィルムを製造した。
フィルムブロー工程
フィルムブロー押出成形の前に、マスターバッチ及びPLA系マトリックスを50℃で40時間デシケーター中において乾燥させた。表4のマスターバッチ中の理論的酵素質量に基づいて、全てのフィルム中に同量の酵素を導入するために、ブレンドを調製した。
Figure 2023059274000004
20mmの30L/D押出成形機タイプLBE20-30/Cを備えたLabTechコンパクトフィルムブローラインタイプLF-250を使用して、フィルムを製造した。スクリュー速度を50rpmとした。設定温度の詳細を表5に記載する。
Figure 2023059274000005
1.4-脱重合試験
脱重合試験を以下で設定されたプロトコールに従って、実施例1.3で製造されたプラスチックフィルムを使用して行った。
100mgの各フィルムを秤量し、0.1M Trisバッファー(pH8) 50mLを含有するプラスチックボトルに導入した。脱重合をInfors HT Multitron Proインキュベーション振とう機中において、28℃、150rpmで各サンプルをインキュベーションすることにより開始した。バッファーのアリコート 1mLを定期的にサンプリングし、0.22μmのシリンジフィルタでろ過し、サンプルを乳酸(LA)及び乳酸二量体の遊離をモニターするために、Aminex HPX-87Hカラムを備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。使用されたクロマトグラフィーシステムを、ポンプモジュール、オートサンプラー、50℃に温度調節されたカラムオーブン及び220nmのUV検出器を含む、Ultimate 3000 UHPLCシステム(Thermo Fisher Scientific, Inc. WalthammA, USA)とした。溶出液を5mM HSOとした。インジェクションをサンプル 20μLとした。LAを市販のLAから作成された検量線に従って測定した。
プラスチックフィルムの加水分解を、遊離したLA及びLAの二量体に基づいて計算した。分解の割合をフィルム中のPLAの割合に関して計算する。
2日後のフィルムの脱重合の結果を表6に示す。
Figure 2023059274000006
本発明の組成物(MB2/LC-B及びMB3/LC-C)を使用して製造されたフィルムは、担体を欠いた液体組成物(MB1/LC-A-ネガティブ対照)を使用して製造された対照フィルムと比較したより高い残存活性のために、より高い脱重合速度を示す。これらの結果から、本発明の液体組成物の使用により、押出成形プロセス中の酵素のより高い保護がもたらされることが確認される。アラビアゴムを含む組成物を使用して製造されたフィルムは、マルトデキストリンを含む組成物を使用して製造されたフィルムより、さらに良好な分解性を示す。
実施例2-本発明の液体組成物の調製、フィルム製造のためのこのような組成物の使用並びにフィルムの機械特性及び分解特性の評価
2.1-生物学的実体を含む組成物の調製
液体組成物(「LC」)を市販のプロテアーゼであるSavinase(登録商標)16L(Novozymes)から調製した。
LCを、濃縮液体組成物を取得し、市販の溶液中に存在するポリオールを除去するために、5mM CaClを使用して、3.5Kdメンブラン上での市販のSavinase(登録商標)16L(透析ろ過係数約100)の限外ろ過し及び透析ろ過により得た。ついで、液体組成物の総重量に基づいて、約23%のアラビアゴム(INSTANT GUM AA-NEXIRA)を液体組成物中に担体として加えた。
また、固体組成物も市販のプロテアーゼであるSavinase(登録商標)16Lを使用する同じプロトコール及び上記設定されたプロトコールに従って調製した。得られた液体組成物を濃縮し、ついで、凍結乾燥により乾燥させて、「SC」と呼ばれる固体組成物を得た。
異なる組成物の比較を表7にまとめる。
Figure 2023059274000007
2.2-マスターバッチの調製
マスターバッチを、実施例1.2と同じ配合機を使用し、ポリカプロラクトンポリマー(PCL-Capa(商標)6500(Perstorp製))のペレット及び2.1の液体組成物又は固体組成物を使用して調製した。
とりわけ、PCL及び実施例2.1からの液体酵素組成物LCを含むマスターバッチを製造した。PCL及びLCを、非加熱ゾーンである供給ゾーンにおいて、押出成形機に別々に導入した。供給のために、重量フィーダーをポリマーに使用し、蠕動ポンプを液体組成物に使用した。得られたマスターバッチをMB-Lと呼んだ。
並行して、PCL及び実施例2.1からの固体酵素組成物SCを含むマスターバッチを製造した。SCを、粉末形態にある固体を投入するのに適した重量フィーダーを使用して、ゾーン7に導入した。得られたマスターバッチを「MB-S」と命名した。
マスターバッチ押出成形に使用されたパラメータの詳細を表8及び表9に記載する。対応する組成物をポリマーと効率的に混合するために、適切なスクリュープロファイルを使用した。
Figure 2023059274000008
Figure 2023059274000009
溶融ポリマーは、3.5mmの1つの孔を有するダイプラートを含むスクリューZ10に到達し、水と砕氷との混合物で満たされた長さ2mの冷水浴に直ちに浸漬された。得られた押出物を3mm未満の固体ペレットに造粒した。
2.3-フィルムの製造
A-PLA系マトリックスの調製
3つの異なるPLA系マトリックス:2種の市販化合物ecovio(登録商標)F2332及びecovio(登録商標)F2223(BASF製)並びに「マトリックス1」と呼ばれる自社配合マトリックスを、フィルムの製造に使用した。
マトリックス1を、12個のゾーンZ1~Z12を含む二軸押出成形機であるCLEXTRAL EV25HTを使用して製造した。ここで、温度を独立して制御し、調節する。マトリックス1は、33%の予め可塑化されたPLA(10重量%のトリブチルアセチルシトラート(CITROFOL(登録商標)BII、Jungbunzlauer製)を含有する)、32%のPBAT Ecoflex C1200(BASFから供給)、30%の熱可塑性デンプン(ここで、デンプンは、Roquetteから供給される標準トウモロコシデンプン171111である)及び5%の炭酸カルシウム(OMYA製)から構成される。
Figure 2023059274000010
B-液体組成物(MB-L)を含むフィルムの製造
フィルムブローのために、20mmの30L/D押出成形機タイプLBE20-30/Cを備えたLabTechコンパクトフィルムブローラインタイプLF-250を使用した。使用されたスクリュー速度を60rpmとした。フィルムのブロー比を17μmの物体について約5とした。
フィルムブローの前に、MB-L(実施例2.2)及び異なるPLA系マトリックスを50℃で40時間デシケーター中において乾燥させた。ついで、MB-LをPLA系マトリックスに、マスターバッチに対するPLAの重量比93/7で混合した。
PLA系マトリックスであるecovio(登録商標)F2332及びecovio(登録商標)F2223を使用して得られたフィルムをそれぞれ、フィルム1及びフィルム2と命名した。表11に、押出成形に使用されたパラメータを示す。
Figure 2023059274000011
マトリックス1を使用して製造されたフィルムをフィルム3と命名した。表12に、押出成形に使用されたパラメータを示す。
Figure 2023059274000012
C-固体組成物(MB-S)を使用する対照フィルムの製造
PLA系マトリックスであるecovio(登録商標)F2332及びecovio(登録商標)F2223並びにマトリックス1をPLA系マトリックスとして使用して、生物学的実体の固体組成物を含むマスターバッチを含むフィルムを製造し、それぞれフィルム4、フィルム5及びフィルム6と命名した。
フィルムブローの前に、MB-S及びPLA系マトリックスを50℃で40時間デシケーター中において乾燥させた。PCL及びアラビアゴム70/30w/wのみを含む更なるマスターバッチを、本発明の全てのフィルムにおいて同じ生物学的実体濃度を得るために、混合物MB-S/PLA系マトリックスに加えた。
最後に、フィルムを、93重量%のPLAベースのマトリックス及び7重量%の両マスターバッチ(MB-S及び更なるマスターバッチ)の混合物を使用することにより製造した。
ついで、MB-SをPLA系マトリックスに乾式混合し、フィルムブロー押出成形機に導入した。
表13に示された温度プロファイルを除いて、フィルム1、2及び3と同じプロセスを使用して、フィルムを製造した。
Figure 2023059274000013
フィルム1及び4、フィルム2及び5並びにフィルム3及び6はそれぞれ、マスターバッチの性質(固体対液体)を除いて、同じ組成を有する。
2.4-プラスチックフィルムの機械特性及び分解特性の評価
実施例2.3で製造されたフィルムを下記パラメータについて分析した。
A.ヘイズ
ヘイズを、NF EN2155-9(1989年8月)に従って、150mmの積分球を備えた分光計UV-可視Perkin Elmer 650Sを使用して測定する。値を、50×30mm2のサンプルで測定する。各フィルムについて、測定をフィルムの3つの異なる部分について3回繰り返す。
B.表面粗さ(動摩擦係数)
動摩擦係数(μ)を、0.5mm未満の厚みを有するプラスチックフィルム又はプラスチックシートに適合する規格NF EN ISO-8295(2004年12月)に従って測定する。動摩擦係数を、20Nのセンサ容量を備えたLloyd Instruments LS5試験機を使用して測定する。この装置は、第1のサンプルが載置される水平試験テーブルと、プレス力(1.96N)を生成し、第2のサンプルが取り付けられる質量と、質量と試験テーブルとの間の相対運動を生成する牽引機構とを備える。質量を、試験テーブル上で引っ張り、移動させる(試験速度=500mm/分)。この測定は、約0.01%の精度である。サンプルの寸法を、下記:80mm×200mmとする。
動摩擦力Fは、1センチメートルの相対運動における6回の平均の力である。
C.機械的引張特性及び厚み
引張機械特性(破断点伸び、破断点引張応力、ヤング率)を、ASTM D882-12規格(23℃及び55%RH)に従って、50Nのセンサ容量を備えたZwick試験機を使用して測定した。2つのフィルム方向:縦方向及び横方向を、下記パラメータで分析した。
- ヤング率のためのグリップ離間速度=10mm/分
- 他の物性のためのグリップ離間速度=50mm/分
- 初期グリップ間隔:100mm、
- サンプル寸法: 150mm×15mm
- 平均厚み:17μm
引張分析に使用された厚みをフィルム重量、寸法及び密度に基づいて決定した。この選択は、特に、固体組成物を使用する場合に、フィルムの表面における粒子の凝集体の存在による厚みの過大評価を克服するために行った。
一方、厚みの測定を、凝集体を含有するフィルムについて観察される表面粗さを実証するために、Mitutoyo厚みゲージを使用して行うことができる。
D.脱重合試験
プロトコールを実施例1.4で使用されたものと同じとした。
E.結果及び比較
本発明の液体組成物を使用して製造されたフィルムについて得られた結果を、固体組成物を使用して製造されたフィルムについて得られた結果と比較した:フィルム1対フィルム4;フィルム2対フィルム5;及びフィルム3対フィルム6。
- 機械特性
表14に、フィルム1、2、4及び5について測定されたヘイズの結果を示す。フィルム1及び2のヘイズ値はそれぞれ、4及び5のヘイズ値より低い。ヘイズは、プラスチック物品中に含有される不純物(例えば、物品中の小さな粒子の蓄積又は表面上の非常に小さな欠点)により生じる。ヘイズ値が低いほど、物品の透明度は高い。プラスチック物品の製造プロセス中に本発明の液体組成物を使用することにより、生物学的実体の固体組成物を使用することと比較して、フィルムのヘイズを小さくすることが可能となる。このことは、本発明の液体組成物により、フィルム中の生物学的実体の分散を向上させることが可能となることを示す。
Figure 2023059274000014
表15及び16に、2.3で製造されたフィルムのMitutoyo厚みゲージにより測定された動摩擦係数、引張特性及び厚みを示す。「s」は、測定された特性と同じ単位の標準偏差に相当する。
Figure 2023059274000015
表16において、MB-Sから製造されたフィルムを参照として使用し、定義されたパラメータの100%とみなしている。
Figure 2023059274000016
摩擦係数は、接触している2つの表面の摺動力と保持力との間の比である。この係数は、2つの材料が互いに摺動するための困難性を特徴付ける。この困難性は、表面が粗いと増大する場合がある。フィルム1、2及び3の動摩擦係数値は、フィルム4、5、6それぞれの動摩擦係数値より低い。このことは、表面粗さが小さいことを示している。製造プロセス中に本発明の液体組成物を使用することにより、動摩擦係数を低下させることが可能となり、このようにして、生物学的実体の固体組成物を使用する場合と比較して、表面粗さを低下させることが可能である。
この特性を肉眼でも見ることができた。フィルム4、5、6は、粒子凝集体による表面の不規則性を示す。
また、Mitutoyo厚みゲージを使用する厚みの測定により、フィルム中に凝集体をもたらす生物学的実体の固体組成物から製造されたフィルムについて観察されたこの表面粗さが実証される。
フィルムについて測定されたヤング率、破断点歪み及び極限引張強度は、固体組成物と比較して、本発明の液体組成物で顕著に高い。本発明の液体組成物は、より小さい粒径を有し、これにより、フィルム中の粒子の微細かつ均質な分散がもたらされ、結果として、機械特性の改善がもたらされる。
脱重合試験
脱重合試験から、表17(ecovio(登録商標)F2332からのフィルム)、表18(ecovio(登録商標)F2223からのフィルム)及び表19(マトリックス1からのフィルム)に示されたように、本発明の液体組成物から得られたフィルムが、固体酵素組成物を使用して得られたものと比較して、顕著に高い脱重合率を有することが示された。MB-Sから製造されたフィルムを参照として使用し、その脱重合レベルを100とみなしている。
Figure 2023059274000017
Figure 2023059274000018
Figure 2023059274000019
2.5-硬質プラスチック物品の製造
射出成形機を、硬質プラスチック物品の製造のために使用した:MC6コンピュータコントローラシステムを備えたKM 50t/380 CX ClassiX型。
硬質プラスチック物品を、実施例2.2のマスターバッチMB-Lを2種類のポリエステル系マトリックスに包含させることにより製造した。これらのマトリックスを、その特性を表20に示す2つのポリ乳酸ポリマーグレードから選択する。
Figure 2023059274000020
乾式混合の前に、ポリエステル系マトリックス及びマスターバッチを、50℃のデシケーター中で40時間乾燥させた。ついで、10%のMB-Lをポリエステル系マトリックスに加えた。比較のために、100%のポリエステル系マトリックスを使用した物品も製造した。
60mm×60mm、厚み1mmの小片を射出成形法により製造した。パラメータを、使用されたポリエステル系マトリックス酸のグレードに応じて設定した。
射出成形について設定されたパラメータを表21にまとめる。
Figure 2023059274000021
バレル中の全組成物滞留時間を測定し、PA1及びPA2については約12分であり、PA3及びPA4については13分である。
製造された硬質物品を実施例1.4に記載されたプロトコールに従って、脱重合試験に供した。結果を表22に示す。PA1及びPA3を参照として使用し、それらの脱重合レベルを100とみなしている。本発明の組成物の使用により、生分解性硬質プラスチック物品の製造が可能となることが実証される。
Figure 2023059274000022
Figure 2023059274000023
実施例3-本発明の液体組成物を使用するマスターバッチの調製、PLA系の硬質物品の製造のためのこのようなマスターバッチの使用及びこのような物品の引張特性、衝撃特性及び分解特性の評価
3.1-本発明の液体組成物を使用するマスターバッチの調製
マスターバッチを、ポリカプロラクトン(PCL)ポリマー(Capa(商標)6500、Perstorp製)のペレット及び表24に記載された液体又は固体酵素組成物を使用して調製した。液体組成物LC-1及び固体組成物SC-1を、実施例2.1で詳述されたのと同じ様式で調製した。
Figure 2023059274000024
PCLを含むマスターバッチMB-LC1及び本発明の液体組成物LC-1を、12個のゾーンZ1~Z12を含む二軸押出成形機Clextral Evolum 25 HTを使用して調製した。ここで、温度を独立して制御し、調節する。プロセスに使用されたパラメータは、下記の通りである:温度プロファイル65℃-65℃-65℃-65℃-65℃-65℃-65℃-65℃-65℃-65℃-65℃-50℃、押出機のスクリュー速度450rpm及び総流量40kg/h。PCLを32kg/hでゾーン1に導入し、液体組成物LC-1を8kg/hでゾーン5に、容積測定ポンプを使用して導入する。押出成形されたマスターバッチの総重量に基づいて、20%の液体酵素組成物をPCLに導入した。
並行して、PCL及び固体組成物SC-1を含むマスターバッチMB-SC1を、下記パラメータ:温度プロファイル70℃-70℃-70℃-70℃-70℃-65℃-65℃-65℃-65℃-65℃、スクリュー速度150rpm及び総流量2kg/hでの同時回転二軸押出成形機(Leistritz ZSE 18MAXX)において調製した。ゾーン7の重量測定フィーダーを使用して、マスターバッチの総重量に基づいて、22%の固体酵素組成物をPCLに導入した。両方のマスターバッチの冷却及び造粒システムの詳細を、実施例1.2に記載されたものと同じとした。
このため、マスターバッチMB-LC1及びMB-SC1は両方とも、同じ生物学的実体濃度を含む。
3.2-射出成形による硬質プラスチックの製造
厚み4mm、全長170mmのプラスチックダンベルを、射出成形機(KM 50t/380 CX ClassiX)を使用して製造した。
ダンベルを、射出成形用PLAグレードであるNatureWorks(登録商標)Ingeo(商標)3251D及び3.1に記載されたマスターバッチMB-LC1から製造した。対照ダンベルを、同じPLAグレード及び3.1に記載されたマスターバッチMB-SC1から製造した。また、100%のPLAダンベルも、標準化された機械特性のために製造した。
硬質物品を製造する前に、PLA及びMB-LC1を、50℃のデシケーターを使用して40時間乾燥させ、MB-SC1を50℃の真空オーブン中で48時間乾燥させた。硬質プラスチック物品を、95重量%のPLA径マトリックス及び5重量%のマスターバッチの使用により製造した。
各物品についての射出成形パラメータの詳細を表25に記載する。
Figure 2023059274000025
3.3-プラスチック物品の引張特性及び衝撃特性
本発明の液体組成物から製造された硬質プラスチック物品及び固体組成物から製造された対照プラスチック物品の引張特性及び衝撃特性を特徴決定した。
引張試験
引張試験を、20kNの力センサを備えたZwick Roell試験機を使用して行った。この試験をISO527-1規格に従って行った。試験の結果を表26に示す。
Figure 2023059274000026
液体組成物からのマスターバッチから製造された硬質物品は、本発明の液体組成物の使用が本発明のこのような組成物から製造された硬質物品の弾性率、最大応力、最大応力時歪み、破断点応力及び破断点歪みに重大な影響を及ぼさないことを示す、測定された機械特性において顕著な差を示さない。
シャルピー衝撃試験
試験を、Zwick振り子衝撃試験機を使用し、NF EN ISO179-1規格に従って行った。試験棒は、加熱切断プライヤーを使用して射出成形標本から切り出した。棒寸法を4mm×10mm×80mmとする。試験結果を表27に示す。
Figure 2023059274000027
本発明の液体組成物から製造された本発明の硬質物品は、固体生物学的実体組成物から製造されたものよりも良好な耐衝撃性を示す。これは、確かに、プラスチック物品中の生物学的実体の微細な分布によるものである。
3.4-脱重合試験
本発明の液体組成物から製造された射出成形硬質物品RA-LC1について、脱重合試験を行った。まず、硬質物品を粗く粉砕し、液体窒素に浸漬し、ついで、500μmの格子を備えたUltra-Centrifugal Mill ZM 200 RETSCHを使用して粉砕した。100mgのこの粉末を秤量し、透析チューブに導入し、封入した。このチューブを0.1M Trisバッファー(pH9.5) 50mLに入れた。脱重合をInfors HT Multitron Proインキュベーション振とう機中において、45℃、150rpmで各サンプルをインキュベーションすることにより開始した。バッファーのアリコート 1mLを定期的にサンプリングし、0.22μmシリンジフィルタでろ過し、サンプルを乳酸(LA)及び乳酸二量体の遊離をモニターするために、Aminex HPX-87Hカラムを備えた高速15液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。使用されたクロマトグラフィーシステムを、ポンプモジュール、オートサンプラー、50℃に温度調節されたカラムオーブン及び220nmのUV検出器を含む、Ultimate 3000 UHPLCシステム(Thermo Fisher Scientific, Inc. Waltham, MA, USA)とした。
溶出液を5mM HSOとした。インジェクションをサンプル 20μLとした。LAを市販のLAから作成された20の検量線に従って測定した。
硬質物品の脱重合レベルは、48時間後に約10%に達した。このことは、生物学的実体が本発明の液体組成物から製造された最終プラスチック物品中でポリエステル分解活性を保持していることを示す。
実施例4-本発明の液体組成物を使用するマスターバッチの調製、硬質シートの製造のためのこのようなマスターバッチの使用及びこのようなシートの引張特性、衝撃特性及び分解特性の評価
4.1-液体組成物を使用するマスターバッチの調製
マスターバッチ組成物を、ポリカプロラクトン(PCL)ポリマー(Capa(商標)6500、Perstorp製)のペレット及び実施例3.1に記載された本発明の液体酵素組成物LC-1から調製した。マスターバッチを、12個のゾーンZ1~Z12を含む同時回転二軸押出成形機CLEXTRAL EV25HTを使用して製造した。ここで、温度を独立して制御し、調節する。
PCLを16kg/hでゾーン1に導入し、液体組成物を4kg/hで蠕動ポンプを使用してゾーン5に導入する。ここで、ゾーンを表27に従って加熱する。マスターバッチの総重量に基づいて、20%の液体組成物LCをPCLに加えた。このマスターバッチをMB-LC2と命名する。
Figure 2023059274000028
マスターバッチ中の酵素活性を、実施例1.2に記載されたプロトコールに従って決定した。マスターバッチ中の活性酵素の質量と理論的酵素質量とを比較することにより、マスターバッチ中の残存活性の割合の決定が可能となる。MB-LC2マスターバッチの残存活性は60%である。
4.2-本発明の生分解性プラスチックシートの製造
熱成形PLAグレードであるTotal Corbion Luminy(登録商標)LX175を使用して、450μm厚のプラスチックシートを製造し、さらに、規格化された衝撃特性及び引張特性の評価並びに生分解性試験に供した。
プラスチックシートの製造のために、4つのゾーンZ1~Z4を含む押出成形機FAIREX(ここで、温度を独立して制御し、45の直径で調節する)、1.5mmの公称開口で調節可能なリップを備えた220mmのフラットダイ及び3つのシリンダーカレンダーを使用した。押出成形及びカレンダー加工の前に、MB-LC2及びPLAを乾燥させ、それら同士を混合した。MB-LC2を真空オーブン中において、40℃で20時間乾燥させ、PLAを乾燥機中において、40℃で4時間乾燥させた。
0%(ネガティブ対照)、5%又は10%のMB-LC2をPLAに加えたものから得られたシートをそれぞれ、S0、S5及びS10と命名した。押出成形及びカレンダー加工パラメータを表28に詳述する。
Figure 2023059274000029
4.3-プラスチックシートの脱重合の評価
プラスチックシートの脱重合率を評価するために、脱重合試験を実施例3.4に既に記載されたプロトコールに従って行った。
8日後、シートS0、S5及びS10の粉末はそれぞれ、0.08%、0.77%及び13.0%のPLAの脱重合率を示す。このことは、生物学的実体が、本発明の液体組成物から製造された最終プラスチック物品(S5及びS10)においてポリエステル分解活性を保持することを示す。
4.4-プラスチックシートのダート試験特性
衝撃試験を、NF EN ISO7765-1に従って、ステップ法を使用して行った。この規格によれば、サンプルをプラスチックシート上で直接切り出す。この試験をLabthink BMC-B1ダート試験機を使用して行う。結果を表29に表わす。
Figure 2023059274000030
衝撃試験の結果から、本発明の液体組成物から製造されたシート(S5及びS10)は、100%のPLAから製造された対照S0と比較して、耐衝撃性の改善を示すことが示される。
4.5-プラスチックシートの引張特性
引張試験を、20kNの力センサを備えたZwick Roell試験機を使用して行った。この試験を、NF EN ISO527-1規格に従って行った。測定された引張特性を表30に表わす。
Figure 2023059274000031
純粋なPLAシート(S0)と比較して、本発明の液体組成物及びPCLから製造されたマスターバッチ自体から製造されたシートは、意図される用途に必要とされる十分な剛性を維持しながら、PLA系シート中へのこのようなマスターバッチの包含の増加と共に改善された柔軟性を示す。
実施例5-本発明の液体組成物の調製並びにPCL及びPLAを含むフィルムの製造のためのこのような組成物の使用
5.1-本発明の液体組成物の調製
本発明の異なる液体組成物を、液体形態で販売されている市販のプロテアーゼであるSavinase(登録商標)16L(Novozymes)を使用して調製した。
液体組成物D、E、F及びGを実施例1.1に記載された方法:3.5Kdメンブランでの市販のSavinase(登録商標)16Lの限外ろ過及び透析ろ過並びにアラビアゴムを担体として加える、に従って得た。
市販のSavinase(登録商標)16Lは、液体組成物Hに相当し、ネガティブ対照として使用する。このような組成物は、液体組成物及び水の総重量に基づいて、50重量%超のポリオールを含む。
異なる液体組成物の説明を表31にまとめる。
Figure 2023059274000032
5.2-本発明の組成物を使用するマスターバッチの調製
マスターバッチ組成物を、実施例1.2と同じ配合機を使用して、ポリカプロラクトン(PCL)ポリマー(Capa(商標)6500、Perstorp製)のペレット及び実施例3.1に記載された本発明の組成物から調製した。
この実験によれば、80重量%のPCLを20重量%の液体組成物と共に押出成形した。各押出成形マスターバッチについて使用されたパラメータを表32にまとめる。
Figure 2023059274000033
前記マスターバッチの酵素活性を、実施例1.2に記載されたプロトコールを使用してさらに決定した。マスターバッチ中の活性酵素の質量と理論的酵素質量とを比較することにより、マスターバッチ中の残存活性の割合を決定することが可能となった。製造されたマスターバッチの残存活性を表33にまとめる。
Figure 2023059274000034
本発明の液体組成物(LC-D~LC-G)を使用して製造された全てのマスターバッチについて、高い残存活性が実証される。反対に、Savinase 16Lを含有し、ネガティブ対照に相当するMB8は、残存活性を何ら示さない。この結果から、既に記載された市販の配合物と比較して、特定の担体を含む本発明の液体組成物の押出成形プロセスへの関心が確認される。
同様の含水量(又は同様の乾燥物質)を有するが、生物学的実体の異なる含量を有するMB5及びMB7は、同等の残存活性を示す。この結果から、関与する生物学的実体の割合がどうであれ、生物学的実体の保護が同等であることを示す傾向がある。
さらに、MB5、MB6又はMB7を製造するのに使用された組成物と比較して、最大量の水を含有する組成物から製造されたMB4は、最低の残存活性を示す。この結果から、水性溶媒の量が70%未満、好ましくは、60%未満である場合及び/又は乾燥物質の量が30%超、好ましくは、40%超の場合に、本発明の液体組成物に導入される生物学的実体の量とは独立して、生物学的実体の保護が向上することを示す傾向がある。
5.3-生分解性プラスチックフィルムの製造
実施例5.2の顆粒化マスターバッチ組成物MB4、MB5及びMB6を使用して、押出プロセスにより生分解性ポリ乳酸系プラスチック物品を製造した。前記プラスチック物品の生分解性をさらに試験した。
PLA系マトリックスの調製
PLA系マトリックスを、実施例1.2に記載された二軸押出成形機を使用して押出成形した。このマトリクスの組成は、42.3重量%のPLA 4043D(NatureWorks製)、51.7重量%のPBAT PBE006(NaturePlast製)及び6重量%のCaCO(OMYA製)である。全の材料を押出成形前に乾燥させた。PLA及びPBATを60及び40℃それぞれのデシケーター中で約5時間乾燥させた。40℃、40mbで16時間の真空オーブンを炭酸カルシウムに使用した。
押出成形機の10個のゾーンにおける温度を185℃に設定した。スクリュー速度を175rpmとし、全投入質量速度を約5kg/hとした。CaCOを、重量測定フィーダーを使用してゾーン7で溶融ポリマーに導入して、PLA系マトリックスを得た。得られた押出物を冷水浴中で冷却し、その後、ペレット化した。
マスターバッチ
実施例5.2に記載されたマスターバッチMB4-MB5-MB6を使用して、プラスチックフィルムを製造する。
フィルムブロー工程
フィルムブロー押出成形の前に、マスターバッチ及びPLA系マトリックスを50℃、40mbで15時間真空オーブン中において乾燥させた。表34のマスターバッチ中の理論的酵素質量に基づいて、全てのフィルム中に同量の酵素を導入するために、ブレンドを調製した。フィルムE及びFについては、全てのフィルムにおいて同一の組成を得るために、PCL 6500(これも同じ条件に従って乾燥)を加える必要があった。
Figure 2023059274000035
ブローを、実施例1.3に記載されたのと同じ機械及びパラメータを使用して実現した。
5.4-脱重合試験
脱重合試験を、実施例1.4に記載されたプロトコールに従って、実施例5.3で製造されたプラスチックフィルムについて行った。
プラスチックフィルムの加水分解を、遊離したLA及びLAの二量体に基づいて計算した。分解の割合をフィルム中のPLAの割合に関して計算する。
4日後のフィルムの脱重合の結果を表35に示す。
Figure 2023059274000036
本発明の組成物を使用して製造された全てのフィルムは、高い脱重合率を示す。このことは、活性酵素の存在を示す。本発明の液体製剤が乾燥物質を多く含有するほど、より高い分解収率が達成される。この結果から、本発明の組成物中のより多い乾燥物質により、両押出成形プロセス(マスターバッチ製造及びプラスチック物品製造)の間の生物学的実体のより高い保護が生じることが確認される。
実施例6-PLAを含むフィルムの製造のための本発明の組成物の使用
6.1-本発明の組成物及びPLAを使用するマスターバッチの調製並びにこのようなマスターバッチの残存活性の評価
実施例3.1からの本発明の液体組成物LC-1及び2つのグレードのポリ乳酸(PLA)をマスターバッチの製造に使用した:非晶質グレードであるLuminy LX930U(Total Corbion製、溶融温度140℃未満)及び半結晶グレードであるIngeo(商標)Biopolymer 4043D(NatureWorks、溶融温度140℃超)。
MB-PLA1、MB-PLA2及びMB-PLA3と命名されたポリ乳酸系マスターバッチを、150rpmのスクリュー速度及び2kg/hの総流量を有する同時回転二軸押出成形機(Leistritz ZSE 18MAXX)で調製した。押出成形温度の詳細を以下の表36に記載する。PLAを非加熱供給ゾーン(Z0)に導入し、LC-1を、ブラベンダーポンプを使用してZ6に導入した。両マスターバッチの冷却及び造粒システムを、実施例1.2で詳述されたものと同じとした。マスターバッチの組成も表36に示す。
Figure 2023059274000037
脱重合試験を、実施例3.4で設定されたプロトコールに従って上記製造されたマスターバッチを使用して行った。24時間後の脱重合レベルを表37に示す。
Figure 2023059274000038
より低い融点を有するPLA LX930Uに基づくマスターバッチ(MB-PLA1及びMB-PLA2)は、より高い押出成形温度を使用したPLA4043Dに基づくMB-PLA3より高い脱重合レベルを示した(生物学的実体が同等量である場合でも)。このため、液体組成物LC-1中の酵素の活性は、140℃未満の融解温度を有するPLAを使用して、より低いプロセス温度で顕著に良好に維持される。しかしながら、この結果から、本発明の液体組成物が、140℃超の融点を有する部分的に又は全体的に溶融したポリマー中に導入されるのにも適しており、生物学的実体は、マスターバッチ中でポリマー分解活性を依然として保持していることが示される。
6.2-フィルムの製造及び脱重合の評価
MB-PLA1又はMB-PLA2及び実施例1.3からのPLA系マトリックス(42.3重量%のPLA 4043D(NatureWorks製)、51.7重量%のPBAT PBE006(NaturePlast製)及び6重量%のCaCO(OMYA製))をフィルムの製造に使用した。フィルムブロー押出成形の前に、マスターバッチ及びPLA系マトリックスを60℃の真空オーブン中で5時間乾燥させた。調製されたブレンドの組成を表38に示す。
Figure 2023059274000039
使用されたフィルムブローライン及び設定温度を実施例1.3と同じとする。スクリュー速度の設定を60rpmとした。冷却空気の強さ及び引抜き速度を調節して、200mmの気泡幅、15~20μmのフィルム厚みを得た。
脱重合試験を、実施例1.4で設定されたプロトコールに従って、上記製造されたフィルムについて行った。26日後の脱重合レベルを表39に示す。
Figure 2023059274000040
140℃未満の溶融温度を有するPLAを含むマスターバッチ及び本発明の組成物から製造されたフィルムは全て、水性溶媒中での分解を示した。フィルム7とフィルム9は、同量の生物体を含有していると仮定されるが、最高濃縮マスターバッチ(20%のLC-1から製造されたMB-PLA1)に基づくフィルム7は、10%のLC-1から製造されたMB-PLA2に基づくフィルム9より高いレベルの分解を示す。
実施例7-3D印刷によるPLA及びPCLを含む硬質プラスチック物品の製造のための本発明の組成物の使用
7.1-本発明の組成物を使用するマスターバッチの調製及びこのようなマスターバッチの残存活性の評価
実施例3.1からの本発明の液体組成物LC-1をマスターバッチ調製に使用した。実施例1.2と同じ押出成形機及び同じパラメータを使用して、90%のPCL(Capa(商用)6500、Perstorp製)及び10%の液体組成物LC-1から構成されるマスターバッチ(MB9と命名)を調製した。150rpmのスクリュー速度及び2kg/hの全流量を設定した。
マスターバッチ中の酵素活性を実施例1.2に記載されたプロトコールに従って決定した。MB9の残存活性は、87%である。
7.2 PLA及びPCLを含む硬質プラスチック物品のフィラメント製造及び3D印刷
PLA系フィラメントを、Ingeo(商標)Biopolymer 4043D(NatureWorks製)を使用して製造した。フィラメント押出成形の前に、マスターバッチMB9及びPLAを真空オーブン中において、50℃で15時間乾燥させた。マスターバッチを重量で30%/70%の比率でPLAと乾式ブレンドし、ついで、押出成形機の3つのゾーンに設定された100℃-170℃-190℃及びダイにおいて180℃で、一軸押出成形機(Scamex-Rheoscam、φ20-11L/D)で押出成形した。47rpmのスクリュー速度を使用した。押出物を加圧空気で冷却し、フィラメントの最終直径は、約1.75mmであった。
デカルト型プリンタを使用した。Neocoreモデルであるこのプリンタは、200℃まで加熱することができる30×30cmの玄武岩プラトーと、400℃まで加熱することができるBondTechフィラメント系を備えた単一ノズルE3Dとを有する。3D印刷試験を、ISO537-2に従って5A引張標本形状を使用して行った。3D印刷パラメータの詳細を表40に記載する。
Figure 2023059274000041
7.3 脱重合試験
脱重合試験を、実施例3.4におけるのと同じプロトコールを使用して、100mgの微粉化5A引張標本(1m格子)について行った。標本の脱重合は、45℃、pH9.5のバッファー中で、8日後に11%に達する(透析系)。
脱重合の結果から、生物学的実体が、本発明の組成物から製造された3D印刷プラスチック物品において、3D印刷中の高温での2回目の加熱後でも、ポリマー分解活性を保持することが確認される。

Claims (28)

  1. ポリマー分解活性を有する生物学的実体と、担体と、水性溶媒とを含み、部分的又は全体的に溶融したポリマーに包含されるのに適した液体組成物であって、ここで、
    i)担体は、デンプン誘導体、天然ゴム、海洋抽出物、微生物多糖類及び動物多糖類から選択される多糖類であり、
    ii)組成物は、組成物の総重量に基づいて、
    - 0.01重量%~35重量%の生物学的実体、
    - 15重量%~95重量%の水性溶媒、
    - 3重量%~80重量%の担体を含む、
    液体組成物。
  2. 組成物の総重量に基づいて、
    - 0.3重量%~30重量%の生物学的実体、
    - 19重量%~85重量%の水性溶媒、
    - 4重量%~80重量%の担体を含む、請求項1記載の組成物。
  3. 組成物の総重量に基づいて、
    - 0.3重量%~30重量%の生物学的実体、
    - 19重量%~60重量%の水性溶媒、
    - 15重量%~70重量%の担体を含む、請求項1又は2記載の組成物。
  4. 水性溶媒が、水であり、ここで、組成物が、組成物の総重量に基づいて、20重量%超の水性溶媒、好ましくは、30重量%超かつ80重量%未満の水を含む、請求項1~3のいずれか一項記載の組成物。
  5. 組成物が、組成物の総重量に基づいて、30重量%~75重量%、好ましくは、40%~60%の水を含む、請求項1~4のいずれか一項記載の組成物。
  6. 組成物が、約50%の水を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の組成物。
  7. 組成物が、約40%の水を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の組成物。
  8. 生物学的実体が、ポリマー分解活性を有する酵素から選択され、より好ましくは、ポリエステル分解活性を有する酵素から選択され、より好ましくは、プロテアーゼ、エステラーゼ又はリパーゼから選択される、請求項1~7のいずれか一項記載の組成物。
  9. 生物学的実体が、PLA分解活性を有する酵素から選択され、好ましくは、プロテアーゼから選択される、請求項1~8のいずれか一項記載の組成物。
  10. 組成物が、70重量%未満、好ましくは、60重量%未満の担体を含む、請求項1~9のいずれか一項記載の組成物。
  11. 担体が、天然ゴムであり、好ましくは、アラビアゴム、グアーゴム、トラガカントゴム、カラヤゴムから選択される、請求項1~10のいずれか一項記載の組成物。
  12. 担体が、アラビアゴムである、請求項11記載の組成物。
  13. 組成物の総重量に基づいて、
    - 0.01%~35%の生物学的実体、好ましくは、PLA分解酵素、
    - 30%~75%の水、
    - 10%~69.99%の担体、好ましくは、アラビアゴムを含む、請求項1~12のいずれか一項記載の組成物。
  14. 組成物の総重量に基づいて、
    - 0.01%~35%の生物学的実体、好ましくは、PLA分解酵素、
    - 30%~60%の水、
    - 20%~45%の担体、好ましくは、アラビアゴムを含む、請求項1~13のいずれか一項記載の組成物。
  15. 組成物の総重量に基づいて、
    - 0.01%~35%の生物学的実体、好ましくは、PLA分解酵素、
    - 40%~60%の水、
    - 20%~45%の担体、好ましくは、アラビアゴムを含む、請求項1~14のいずれか一項記載の組成物。
  16. 組成物の総重量に基づいて、約50%の水と、0.01%~35%のPLA分解酵素と、20%~49.99%のアラビアゴムを含む、請求項1~15のいずれか一項記載の組成物。
  17. 担体が、デンプン誘導体、好ましくは、マルトデキストリンである、請求項1~9のいずれか一項記載の組成物。
  18. プラスチック組成物の製造のための、請求項1~17のいずれか一項記載の液体組成物の使用。
  19. 液体組成物の生物学的実体が、プラスチック物品の少なくとも1種のポリマーを分解可能である、請求項18記載の使用。
  20. 少なくとも1種のポリマーと、請求項1~17のいずれか一項記載の組成物とを含み、
    ここで、組成物の生物学的実体が、前記ポリマーを分解可能である、
    プラスチック物品。
  21. プラスチック物品を製造するための方法であって、
    a)ポリマー分解生物学的実体及び第1のポリマーを含むマスターバッチを、
    (i)前記第1のポリマーを加熱し、
    (ii)第1のポリマーの加熱中に、マスターバッチの総重量に基づいて、5重量%~50重量%の請求項1~17のいずれか一項記載の組成物を導入することにより、調製する工程と、
    b)プラスチック物品の製造中に、ポリマー系マトリックス中にマスターバッチを導入する工程とを含み、
    ここで、工程a)を、第1のポリマーが部分的に又は全体的に溶融状態にある温度で、好ましくは、押出しにより行い、工程b)を、第1のポリマーとポリマー系マトリックスのポリマーとの両方が部分的に又は全体的に溶融状態にある温度で行い、ここで、組成物の生物学的実体は、ポリマー系マトリックスのポリマーを分解可能である、
    方法。
  22. 第1のポリマーが、ポリエステル、デンプン、EVA及びそれらの混合物の中から選択される、140℃未満の溶融温度及び/又は70℃未満のガラス転移点を有するポリマーである、請求項21記載の方法。
  23. 第1のポリマーが、PCL、EVA、PBAT、PLA及びそれらの混合物の中から選択される、請求項21又は22記載の方法。
  24. 0.01重量%~10重量%の請求項1~17のいずれか一項記載の組成物を、少なくとも1種のポリマーと混合する工程(a)であって、ここで、組成物の生物学的実体が、前記ポリマーを分解可能である、工程(a)と、工程(a)の前記混合物を、プラスチック物品に成形する工程(b)とを含む、
    プラスチック物品を製造するための方法。
  25. 混合工程(a)を、ポリマーが部分的に又は全体的に溶融状態にある温度で行う、請求項24記載の方法。
  26. 生分解性プラスチック物品中のポリマー分解生物学的実体の分散の均一性を向上させるための方法であって、
    プラスチック物品の製造過程において、請求項1~17のいずれか一項記載の液体組成物を導入することを含む、
    方法。
  27. 少なくとも1つのポリマーと、ポリマー分解生物学的実体とを含むプラスチック物品の生分解性を向上させるための方法であって、
    プラスチック物品の製造過程において、請求項1~17のいずれか一項記載の液体組成物を導入することを含む、
    方法。
  28. 生物学的実体を含有するプラスチック物品を製造するための方法であって、
    請求項1~17のいずれか一項記載の液体組成物を、第1のポリマーに導入して、混合物を得る工程と、前記混合物を、第1のポリマーとは異なる第2のポリマーに導入する工程とを連続的に含み、
    ここで、第1のポリマーは、140℃未満の融点を有し、第2のポリマーは、140℃超の融点を有する、
    方法。
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