JP2023056611A - 検査システム - Google Patents

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Shinji Miyoshi
典彦 齋藤
Norihiko Saito
孝吉 土井
Kokichi Doi
優多 原田
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Abstract

【課題】検査システムにおいて、使用されるAE波の周波数帯域と重複する周波数を有するノイズの影響を低減する。【解決手段】検査システムは、前記タンクにおいて生じるアコースティック・エミッション波を検出するAEセンサと、前記タンクの内部の圧力を検出する圧力センサと、前記AEセンサによって検出されたアコースティック・エミッション波に基づいて、前記タンクの状態に関する判定を行い、前記判定の結果を出力する判定部と、を備える。前記判定部は、前記タンクの満充填の圧力に対する、前記圧力センサによって検出される前記圧力の比があらかじめ定められた閾値より小さいときに、前記判定を行わず、前記比が前記閾値より大きいときに、前記判定を行う。【選択図】図3

Description

本開示は、高圧タンクの検査システムに関する。
従来、アコースティック・エミッション法(以下、「AE法」とも表記する)により、圧力容器の欠陥診断を行う技術が存在する。特許文献1の技術においては、水素ステーションにおいて使用されている圧力タンクに水素を充填しているときに、アコースティック・エミッション波(以下、「AE波」とも表記する)が計測される。アコースティック・エミッション波は、物体が変形しまたは破壊される際に物体に蓄えられていた弾性エネルギーが音波として放出されたものである。特許文献1の技術においては、AE波の第1周波数帯域における振幅値の代表値に対する、AE波の第2周波数帯域における振幅値の代表値の割合である振幅比の値が、AEパラメータとして取得される。AEパラメータに基づいて、圧力タンクの疲労損傷が判断される。
特開2017-223564号公報
しかし、特許文献1に記載された検査方法においては、検出されるAE波の周波数帯域と重複する周波数を有するノイズについては、考慮されていない。特許文献1に記載された検査方法においては、検出されるAE波の周波数帯域と重複する周波数を有するノイズのために、圧力タンクの損傷に関して誤った判断がなされることがある。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、ガスを貯蔵するタンクの検査システムが提供される。この検査システムは、前記タンクにおいて生じるアコースティック・エミッション波を検出するAEセンサと、前記タンクの内部の圧力を検出する圧力センサと、前記AEセンサによって検出されたアコースティック・エミッション波に基づいて、前記タンクの状態に関する判定を行い、前記判定の結果を出力する判定部と、を備える。前記判定部は、前記タンクの満充填の圧力に対する、前記圧力センサによって検出される前記圧力の比があらかじめ定められた閾値より小さいときに、前記判定を行わず、前記比が前記閾値より大きいときに、前記判定を行う。
このような態様とすれば、タンクにおいて発生するガスの流れに起因するノイズであって、判定の判断材料とすべきアコースティック・エミッション波の周波数と重複する周波数を有するノイズによる影響を低減して、タンクの状態に関する判定を行うことができる。
(2)上記形態の検査システムにおいて、前記閾値は、1/20~1/5である、態様とすることができる。
このような態様とすれば、ガスの充填処理の初期にタンクにおいて発生する、ガスの流れに起因するノイズによる影響を低減して、タンクの状態に関する判定を行うことができる。
(3)上記形態の検査システムにおいて、前記タンクは、熱硬化性樹脂と炭素繊維とを含む層を備えており、前記判定部は、前記AEセンサによって検出され10kHz~100kHzの周波数を有する前記アコースティック・エミッション波に基づき、前記AEセンサによって検出され他の周波数を有する前記アコースティック・エミッション波に基づかずに、前記タンクの状態に関する判定を行う、態様とすることができる。
このような態様とすることにより、判定の根拠とするアコースティック・エミッション波の周波数帯域を限定することにより、ノイズが混入する可能性を低減した上で、タンクの熱硬化性樹脂が損傷する破壊を、検知することができる。
(4)上記形態の検査システムにおいて、前記判定部は、前記AEセンサによって検出され60dB未満の強度を有する前記アコースティック・エミッション波に基づかず、前記AEセンサによって検出され60dBより大きい強度を有する前記アコースティック・エミッション波に基づいて、前記タンクの状態に関する判定を行う、態様とすることができる。
このような態様とすることにより、タンクにおいて発生するノイズであって、摩擦音に起因するノイズによる影響を低減して、タンクの状態に関する判定を行うことができる。
本開示は、検査システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、検査方法、その検査方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
高圧タンク100の構成を示す部分断面図である。 車両600に取り付けられている高圧タンク100の構成を示す断面図である。 第1実施形態の検査システム300の構成を示す説明図である。 高圧タンク100の状態に関する判定を行うための処理を示すフローチャートである。 水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が行われる際に検知されるアコースティック・エミッション波を示すグラフである。 高圧タンク100に損傷がある場合に、AEセンサSaeによって検出されるアコースティック・エミッション波の強度の変化を模式的に表すグラフである。 高圧タンク100に損傷がない場合に、AEセンサSaeによって検出されるアコースティック・エミッション波の強度の変化を模式的に表すグラフである。 高圧タンク100に損傷がある場合に検出されるアコースティック・エミッション波の強度の変化を模式的に表すグラフである。 高圧タンク100に損傷がない場合に検出されるアコースティック・エミッション波の強度の変化を模式的に表すグラフである。 高圧タンク100の状態に関する判定を行うための処理を示すフローチャートである。 補強層120において生じるモードIの損傷を示す模式図である。 補強層120において生じるモードIIの損傷を示す模式図である。 炭素繊維121と熱硬化性樹脂122との界面における割れCcrおよび熱硬化性樹脂122内の割れCrと、アコースティック・エミッション波の周波数と、の関係を示す図である。 水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が行われる際に検知されるアコースティック・エミッション波の強度分布を示すグラフである。 高圧タンク100の状態に関する判定を行うための処理を示すフローチャートである。 水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が行われる際に検知されるアコースティック・エミッション波の強度を示すグラフである。 水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が行われる際に検知されるアコースティック・エミッション波の強度を示すグラフである。 高圧タンク100の周辺の構成を示す部分断面図である。
A.第1実施形態:
図1は、高圧タンク100の構成を示す部分断面図である。高圧タンク100は、車両600に搭載されている。高圧タンク100は、水素ガスを貯蔵するタンクである。高圧タンク100は、最大で87.5MPaの水素を貯蔵することができる。
図2は、車両600に取り付けられている高圧タンク100の構成を示す断面図である。図2は、図1におけるII-II断面図である。高圧タンク100は、ライナー110と、補強層120と、口金130と、主止弁150と、充填管160と、を備える。
ライナー110は、水素ガスを内部の空間に保持する機能を奏する。ライナー110は、略円筒状のシリンダ部と、シリンダ部の両端に配される一対のドーム部と、を備える。ライナー110は、強化プラスチックで構成される。
補強層120は、ライナー110の外表面に配されている。補強層120は、高圧の水素ガスの充填に起因するライナー110の膨張を抑制し、かつ破壊を防止する機能を奏する。補強層120は、熱硬化性樹脂122と炭素繊維121とを含むCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)層である。炭素繊維121は、ライナー110の外表面に巻き付けられている。熱硬化性樹脂122は、隣り合う炭素繊維121同士の隙間および、ライナー110に巻き付けられている炭素繊維121のさらに外側に配されている。
口金130は、一対のドーム部の一方に配されている。口金130は、ライナー110および補強層120の外側からライナー110の内部にまで及ぶ。口金130は、ライナー110の内部空間と、高圧タンク100の外部空間とを連通している。口金130を介して、外部からライナー110の内部空間に水素ガスが供給される。口金130を介して、ライナー110の内部空間から外部に水素ガスが供給される。
主止弁150は、口金130に取り付けられている。主止弁150は、ライナー110および補強層120の外側からライナー110の内部にまで及ぶ。主止弁150は、口金130を通じた水素ガスの流通を止め、または流通を許容する。
充填管160は、ライナー110の内部空間において、主止弁150に取り付けられている。充填管160は、主止弁150を通じてライナー110の内部空間に供給される水素ガスを、ライナー110の中心軸からそれた方向に誘導する。ライナー110の内部空間に供給される水素ガスは、充填管160の先端から、ライナー110のシリンダ部の内壁に向かって射出される。その結果、高圧タンク100内において水素ガスが撹拌され、高圧タンク100内の温度の分布が均一に近づく。ライナー110の中心軸の向きに対する、充填管160が噴出する水素ガスの向きは、20度である。
ライナー110の内部空間において、口金130には、温度センサStが取り付けられている。温度センサStは、ライナー110の内部空間の水素ガスの温度を検知する。温度センサStは、水素充填設備200に接続されている。温度センサStが検出した水素ガスの温度は、水素充填設備200に送信される。水素充填設備200は、温度センサStが検出する高圧タンク100内の水素ガスの温度、および圧力センサSpが検出する高圧タンク100内の水素ガスの圧力に基づいて、高圧タンク100への水素の充填を制御する。水素充填設備200および圧力センサSpについては、後に説明する。
図3は、第1実施形態の検査システム300の構成を示す説明図である。検査システム300は、水素充填設備200から車両600の高圧タンク100への水素の充填が行われる際に、高圧タンク100の状態に関する判定を行う。
水素充填設備200は、車両600に搭載されている高圧タンク100に水素ガスを充填する。水素充填設備200は、温度センサStが検出する高圧タンク100内の水素ガスの温度、および圧力センサSpが検出する高圧タンク100内の水素ガスの圧力に基づいて、高圧タンク100への水素の充填を制御する。圧力センサSpについては、後に説明する。
水素充填設備200は、高圧ガス源210と、ディスペンサ220と、配管230と、を備える。高圧ガス源210は、87.5MPaよりも高い圧力の水素ガスを供給することができる。ディスペンサ220は、車両600に取り付けられて、車両600に水素ガスを供給する。配管230は、高圧ガス源210とディスペンサ220とを接続している。配管230は、高圧ガス源210から供給される水素ガスを、ディスペンサ220に送る(図3の矢印Ah1参照)。
車両600は、ネックマウント部材610と、バンド部材620と、レセプタクル630、配管640と、配管650と、を備える。
ネックマウント部材610は、高圧タンク100の口金130を保持することにより、高圧タンク100を車両600に固定する。バンド部材620は、高圧タンク100のライナー110のシリンダ部を囲んで保持することにより、高圧タンク100を車両600に固定する。
レセプタクル630は、水素充填設備200のディスペンサ220に接続され、ディスペンサ220から供給される水素ガスを受け入れる。配管640は、レセプタクル630と、高圧タンク100の主止弁150とを接続している。配管640は、高圧ガス源210から、ディスペンサ220およびレセプタクル630を介して供給される水素ガスを、高圧タンク100の主止弁150に送る(図1および図3の矢印Ah2参照)。
配管650は、高圧タンク100から、主止弁150を介して供給される水素ガスを、車両600に搭載されている燃料電池に送る(図3の矢印Ah3参照)。
検査システム300は、プロセッサー310と、記憶部330と、ディスプレイ340と、を備えている。記憶部330は、プロセッサー310の主記憶装置と、補助記憶装置と、を含む。記憶部330の補助記憶装置は、高圧タンク100の満充填の圧力Pmaxを記憶する。ディスプレイ340は、プロセッサー310に制御されて、プロセッサー310の処理結果を出力する。プロセッサー310は、記憶部330の補助記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを、記憶部330の主記憶装置にロードして実行することによって、様々な機能を実現する。
検査システム300は、さらに、AEセンサSaeと、圧力センサSpと、を備える。AEセンサSaeは、高圧タンク100の主止弁150に取り付けられている。AEセンサSaeは、高圧タンク100において生じるアコースティック・エミッション波を検出する。AEセンサSaeは、プロセッサー310に接続されている。AEセンサSaeが検出したアコースティック・エミッション波の情報は、プロセッサー310に送信される。技術の理解を容易にするため、図面において、AEセンサを白抜きの丸で示す。
圧力センサSpは、車両600の配管640に取り付けられている。圧力センサSpは、配管640内の水素ガスの圧力を検出する。圧力センサSpは、プロセッサー310および水素充填設備200に接続されている。圧力センサSpが検出した水素ガスの圧力は、プロセッサー310および水素充填設備200に送信される。配管640を通じて水素充填設備200から高圧タンク100に水素ガスが供給されているときには、圧力センサSpは、高圧タンク100の内部の圧力Pmを検出することができる。
図4は、高圧タンク100の状態に関する判定を行うための処理を示すフローチャートである。図4の処理は、水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が開始された後に、検査システム300のプロセッサー310によって実行される。
ステップS100において、プロセッサー310は、高圧タンク100の満充填の圧力Pmaxを記憶部330に記録する。具体的には、プロセッサー310は、無線または有線の通信によって車両600から高圧タンク100の満充填の圧力Pmaxを受信し、圧力Pmaxを記憶部330に記録する。
ステップS200において、プロセッサー310は、高圧タンク100内の圧力Pmを検出する。具体的には、プロセッサー310は、高圧タンク100の圧力センサSpから高圧タンク100内の圧力Pmを受信する。
ステップS300において、プロセッサー310は、高圧タンク100内の圧力Pmが満充填の圧力Pmaxに達したか否かを判定する。高圧タンク100内の圧力Pmが満充填の圧力Pmaxと等しい場合は、処理は終了する。高圧タンク100内の圧力Pmが満充填の圧力Pmax未満である場合は、処理はステップS400に進む。
ステップS400において、プロセッサー310は、高圧タンク100の満充填の圧力Pmaxに対する、圧力センサSpによって検出された圧力Pmの比Rp=Pm/Pmaxを計算する。ステップS400の機能を実現するプロセッサー310の機能部を、圧力比計算部314として図3に示す。
ステップS500において、プロセッサー310は、比Rpが閾値Rthより大きいか否かを判定する。比Rpが閾値Rthより大きい場合は、処理は、S600に進む。比Rpが閾値Rth以下である場合は、処理は、S200に戻る。
ステップS600において、プロセッサー310は、AEセンサSaeによってアコースティック・エミッション波を検出する。
ステップS700において、プロセッサー310は、AEセンサSaeによって検出されたアコースティック・エミッション波に基づいて、高圧タンク100の健全性に関する判定を行う。そして、プロセッサー310は、判定の結果を、ディスプレイ340に表示する。それまでにすでにステップS700の処理が行われている場合には、プロセッサー310は、ディスプレイ340に表示されている判定の結果を更新する。その後、処理は、ステップS200に戻る。
補強層120が損傷している場合には、高圧タンク100にガスを充填する際に、補強層120から強度の大きいアコースティック・エミッション波が生じる。このときに生じるアコースティック・エミッション波の周波数は、10kHz~600kHzである。プロセッサー310は、このアコースティック・エミッション波を検知して、高圧タンク100が不健全である旨の判定を行う。
具体的には、あらかじめ定められた周波数帯に含まれるアコースティック・エミッション波の強度が、閾値Tha未満である場合には、プロセッサー310は、対象である高圧タンク100を合格、すなわち健全であると判定する。その周波数帯に含まれるアコースティック・エミッション波の強度が、閾値以上である場合には、プロセッサー310は、対象である高圧タンク100を不合格、すなわち不健全であると判定する。
ステップS500~S700の処理により、プロセッサー310は、高圧タンク100の満充填の圧力Pmaxに対する、圧力センサSpによって検出される圧力Pmの比Rpがあらかじめ定められた閾値Rth以下のときには、判定を行わず、比Rpが閾値Rthより大きいときに、判定を行うこととなる。ステップS500~S700の機能を実現するプロセッサー310の機能部を、判定処理部312として図3に示す。
図5は、水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が行われる際に検知されるアコースティック・エミッション波を示すグラフである。図5の横軸は、高圧タンク100の内部の圧力Pmである。図5の縦軸は、アコースティック・エミッション波の周波数である。高圧タンク100の満充填の圧力Pmaxは固定値である。このため、図5の横軸は、高圧タンク100の満充填の圧力Pmaxに対する、圧力センサSpによって検出される圧力Pmの比Rpと把握することもできる。図5の下段に圧力Pmと対応する比Rp=Pm/Pmaxを示す。
AEセンサSaeは、150kHz前後に共振周波数を有する。このため、図5のグラフにおいて、150kHz前後の周波数帯域においては、高圧タンク100の内部の圧力Pmによらず、一貫してアコースティック・エミッション波が検出されている。これらはノイズとして、図4のステップS700における判定の材料からは除かれる。具体的には、図4のステップS700における判定は、120kHz以下の周波数帯のアコースティック・エミッション波に基づいて、行われる(図5の右下部分参照)。
図5において、比Rpが1/20以下の圧力の領域Rnにおいて、30~50MHzの周波数のアコースティック・エミッション波が検出されている。これは、高圧タンク100において発生するガスの流れに起因する衝撃波連成騒音N1である。
図5において、比Rpが1/20以下の圧力の領域Rnにおいて、50~250MHzの周波数のアコースティック・エミッション波が検出されている。これは、高圧タンク100において発生するガスの流れに起因する噴流衝突騒音N2である。
衝撃波連成騒音N1は、ライナー110の内部空間に位置する充填管160の開口端において生じ、球状にタンク内を伝播し、ライナー110の内壁に達する(図1参照)。噴流衝突騒音N2は、充填管160から射出された水素ガスの噴流がライナー110の内壁に衝突する際に発生する(図1参照)。これら衝撃波連成騒音N1および噴流衝突騒音N2は、高圧タンク100の内部空間の圧力と、高圧タンク100の内部空間に流入する水素ガスの圧力と、の差が大きい場合に生じると考えられる。
前述のように、図4のステップS700における判定は、120kHz以下の周波数帯のアコースティック・エミッション波に基づいて、行われる。衝撃波連成騒音N1および噴流衝突騒音N2の周波数帯は、ステップS700における判定に使用されるアコースティック・エミッション波の周波数帯と重なっている。
図6は、高圧タンク100に損傷がある場合に、AEセンサSaeによって検出されるアコースティック・エミッション波の強度の変化を模式的に表すグラフである。図7は、高圧タンク100に損傷がない場合に、AEセンサSaeによって検出されるアコースティック・エミッション波の強度の変化を模式的に表すグラフである。図6および図7の横軸は、高圧タンク100の内部空間の圧力Pmである。
図5における点の分布からも分かるように、図6および図7において、AEセンサSaeによって検出されたアコースティック・エミッション波の強度を表すグラフGp1,Gp0は、高圧タンク100内の圧力Pmが小さい領域において一つのピークを有する。このピークは、図4のステップS700の判定において使用される閾値Thaよりも高い強度を有する。このピークは、図6の損傷がある高圧タンク100のグラフGp1および図7の損傷がない高圧タンク100のグラフGp0において、同様に存在する。
一方、AEセンサSaeによって検出されたアコースティック・エミッション波の強度は、高圧タンク100内の圧力Pmが大きい領域においても増大する。この部分の強度は、図6の損傷がある高圧タンク100のグラフGp1において、図7の損傷がない高圧タンク100のグラフGp0よりも、大きい。このため、高圧タンク100内の圧力Pmが大きい領域におけるアコースティック・エミッション波に基づいて、図4のステップS700における判定が行われる(図4のS500参照)。
図5において、ノイズN1,N2は、高圧タンク100の満充填の圧力Pmaxに対する、圧力センサSpによって検出された圧力Pmの比が1/20以下の圧力の領域Rnにおいて、生じている。したがって、領域Rnと重複せず領域Rnよりも圧力が高い範囲である領域Rmのアコースティック・エミッション波に基づいて、図4のステップS700における判定を行うことにより、衝撃波連成騒音N1および噴流衝突騒音N2による影響を排除して、判定を行うことができる。
図8は、高圧タンク100に損傷がある場合に、図4のステップS600の処理においてAEセンサSaeによって検出されるアコースティック・エミッション波の強度の変化を模式的に表すグラフである。図9は、高圧タンク100に損傷がない場合に、図4のステップS600の処理においてAEセンサSaeによって検出されるアコースティック・エミッション波の強度の変化を模式的に表すグラフである。図4のステップS500の処理によって、比Rpが閾値Rth以下である場合は、ステップS600の処理が行われない。このため、図8および図9のグラフG1,G0においては、図6および図7に存在する、高圧タンク100内の圧力Pmが小さい領域におけるピークが存在しない。
本実施形態において、閾値Rthは、図5の領域Rnの圧力の上端より十分大きく、領域Rmの圧力の下端よりも小さい値に設定されている。このため、高圧タンク100において発生するガスの流れに起因するノイズであって、判定の判断材料とすべきアコースティック・エミッション波の周波数と重複する周波数を有するノイズN1,N2による影響を低減して、高圧タンク100の状態に関する判定を行うことができる。
より具体的には、本実施形態において、閾値Rthは、1/10である。このため、ガスの充填処理の初期に高圧タンク100において発生する、ガスの流れに起因するノイズN1,N2による影響を、低減して、高圧タンク100の状態に関する判定を行うことができる。
本実施形態における高圧タンク100を、「タンク」とも呼ぶ。プロセッサー310を、「判定部」とも呼ぶ。
B.第2実施形態:
第2実施形態においては、図4のステップS600の処理に代えて、他の処理が行われる。第2実施形態の他の点は、第1実施形態と同じである。
図10は、高圧タンク100の状態に関する判定を行うための処理を示すフローチャートである。図10に示す処理は、図4のステップS600の処理に代えて、ステップS610の処理を備える。図10の処理の他の点は、図4の処理と同じである。
ステップS610において、プロセッサー310は、AEセンサSaeによってアコースティック・エミッション波を検出する。その際、プロセッサー310は、AEセンサSaeによって検出されたアコースティック・エミッション波であって、10kHz~100kHzの周波数を有するアコースティック・エミッション波のみを検出する。
その結果、ステップS700において、プロセッサー310は、AEセンサSaeによって検出され10kHz~100kHzの周波数を有するアコースティック・エミッション波に基づき、AEセンサSaeによって検出され、他の周波数を有するアコースティック・エミッション波に基づかずに、高圧タンク100の状態に関する判定を行う。
図11は、補強層120において生じるモードIの損傷を示す模式図である。補強層120において、炭素繊維121がのびる方向に対して垂直な方向に引張力Ap1,Ap2がかかった場合には、以下の2種類の割れが生じる。炭素繊維121と熱硬化性樹脂122との界面において、割れCcrが生じる。熱硬化性樹脂122内において、割れCrが生じる。
図12は、補強層120において生じるモードIIの損傷を示す模式図である。補強層120において、炭素繊維121がのびる方向に平行な方向に歪み力As1,As2がかかった場合には、熱硬化性樹脂122内において、歪み力As1,As2に略平行な方向に、割れCrが生じる。図12において、熱硬化性樹脂122内部のズレのイメージをクロスハッチで示す。なお、技術の理解を容易にするため、図11および図12ではそれぞれの割れの領域が大きく表示されているが、AE波で検出されるこれらの割れは、実際には微小な割れである。
図13は、炭素繊維121と熱硬化性樹脂122との界面における割れCcrおよび熱硬化性樹脂122内の割れCrと、アコースティック・エミッション波の周波数と、の関係を示す図である。熱硬化性樹脂122内の割れCrが生じた場合には、10~100kHzのアコースティック・エミッション波が検出される。炭素繊維121と熱硬化性樹脂122との界面における割れCcrが生じた場合には、200~300kHzのアコースティック・エミッション波が検出される。炭素繊維121の破断Ccが生じた場合には、400~600kHzのアコースティック・エミッション波が検出される。
引張力によるモードIの損傷と歪み力によるモードIIの損傷との両方において検出されるアコースティック・エミッション波は、熱硬化性樹脂122内の割れCrが生じた場合に生じる10~100kHzのアコースティック・エミッション波である。
図14は、水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が行われる際に検知されるアコースティック・エミッション波の強度分布を示すグラフである。図14の横軸は、アコースティック・エミッション波の周波数である。
図14において、10~100kHzの周波数帯域に一つのピークがある。10~100kHzの周波数帯域のアコースティック・エミッション波は、熱硬化性樹脂122内の割れCrが生じた場合に検出されるアコースティック・エミッション波である。図14において、200~300kHzの周波数帯域にもう一つのピークがある。200~300kHzの周波数帯域のアコースティック・エミッション波は、炭素繊維121と熱硬化性樹脂122との界面における割れCcrが生じた場合に検出されるアコースティック・エミッション波である。
第2実施形態においては、図10のステップS610,S700の処理により、AEセンサSaeによって検出された、10kHz~100kHzの周波数を有するアコースティック・エミッション波に基づき、他の周波数を有するアコースティック・エミッション波に基づかずに、高圧タンク100の健全性に関する判定が行われる。このため、判定の根拠とするアコースティック・エミッション波の周波数帯域を限定することによりノイズが混入する可能性を低減できる。一方で、高圧タンク100の熱硬化性樹脂122が損傷するモードIとモードIIの両方の破壊を、検知することができる。
C.第3実施形態:
第3実施形態においては、図4のステップS600の処理に代えて、他の処理が行われる。第3実施形態の他の点は、第1実施形態と同じである。
図15は、高圧タンク100の状態に関する判定を行うための処理を示すフローチャートである。図15に示す処理は、図4のステップS600の処理に代えて、ステップS620の処理を備える。図15の処理の他の点は、図4の処理と同じである。
ステップS620において、プロセッサー310は、AEセンサSaeによってアコースティック・エミッション波を検出する。その際、プロセッサー310は、AEセンサSaeによって検出され60dB未満の強度を有するアコースティック・エミッション波を検出せず、AEセンサSaeによって検出され60dBより大きい強度を有するアコースティック・エミッション波のみを検出する。
その結果、ステップS700において、プロセッサー310は、AEセンサSaeによって検出され60dB未満の強度を有するアコースティック・エミッション波に基づかず、AEセンサSaeによって検出され60dBより大きい強度を有するアコースティック・エミッション波に基づいて、高圧タンク100の状態に関する判定を行う。
図16は、水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が行われる際に検知されるアコースティック・エミッション波の強度を示すグラフである。図16の横軸は、水素ガスの充填開始後の経過時間である。
図17は、水素充填設備200から高圧タンク100への水素の充填が行われる際に検知されるアコースティック・エミッション波の強度を示すグラフである。図17の横軸は、水素ガスの充填開始後の経過時間である。ただし、図17は、図16が示す水素ガスの充填開始後の経過時間よりも後の経過時間を含む。
水素ガスの充填開始直後には、高圧タンク100内の圧力が上昇するにつれて、ライナー110および補強層120が大きく膨張する。その結果、高圧タンク100を構成する部材同士で摩擦が生じる。その摩擦音が、アコースティック・エミッション波として検知される。図16において示されている40dB以下のアコースティック・エミッション波は、そのような摩擦音に起因するノイズNfである。
水素ガスの充填開始後、十分に時間が経過した状態、すなわち、高圧タンク100内の圧力が高い状態においては、ライナー110および補強層120の膨張量が小さい。このため、高圧タンク100を構成する部材同士の摩擦に起因するノイズは小さい。一方で、水素ガスの充填開始後、十分に時間が経過した状態では、高圧タンク100内の圧力が高いことに起因して、補強層120において損傷が生じる。図17の中央部および右上部において示されているアコースティック・エミッション波は、そのような損傷に起因するアコースティック・エミッション波である。補強層120の損傷に起因するアコースティック・エミッション波は、70dB以上の強度を有することが分かる。
第3実施形態においては、AEセンサSaeによって検出され60dB未満の強度を有するアコースティック・エミッション波に基づかず、AEセンサSaeによって検出され60dBより大きい強度を有するアコースティック・エミッション波に基づいて、高圧タンク100の状態に関する判定が行われる。このような処理を行うことにより、高圧タンク100において発生するノイズであって、摩擦音に起因するノイズNfによる影響を低減して、高圧タンク100の状態に関する判定を行うことができる。
D.第4実施形態:
第4実施形態の検査システム303は、さらに、AEセンサSae2,Sae3を備える。第4実施形態の検査システム303においては、図4のステップS600,S700の処理が、第1実施形態の検査システム300とは異なる。第4実施形態の他の点は、第1実施形態と同じである。
図18は、高圧タンク100の周辺の構成を示す部分断面図である。AEセンサSae2,Sae3は、車両600のバンド部材620に取り付けられている。その結果、AEセンサSae2,Sae3は、ライナー110の中心軸に沿った方向について、AEセンサSaeとは異なる位置に配されている。AEセンサSae2,Sae3は、ライナー110の中心軸に垂直な断面において、ライナー110の中心軸を中心に相互に90度をなす角度位置に配されている。AEセンサSae2,Sae3は、高圧タンク100において生じるアコースティック・エミッション波を検出する。
図4のステップS600において、プロセッサー310は、AEセンサSae,Sae2,Sae3によってアコースティック・エミッション波を検出する。
ステップS700において、プロセッサー310は、AEセンサSae,Sae2,Sae3によって検出されたアコースティック・エミッション波に基づいて、高圧タンク100の健全性に関する判定を行う。その際、AEセンサSaeによって検出されたアコースティック・エミッション波と、AEセンサSae2によって検出されたアコースティック・エミッション波と、の相違に基づいて、高圧タンク100において発生した損傷の、ライナー110の中心軸に沿った方向についての位置を特定することができる。AEセンサSae2によって検出されたアコースティック・エミッション波と、AEセンサSae3によって検出されたアコースティック・エミッション波と、の相違に基づいて、高圧タンク100において発生した損傷の、ライナー110の中心軸を中心とする角度位置を特定することができる。プロセッサー310は、それらの情報に基づく判定の結果を、ディスプレイ340に表示する。
E.他の実施形態:
E1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態においては、最大で87.5MPaの水素ガスを貯蔵することができる高圧タンク100についての判定が行われる。しかし、検査システムの判定の対象は、最大で40MPaの水素ガスを貯蔵することができるタンクなど、他のタンクであってもよい。また、検査システムの判定の対象は、酸素や窒素等のガスを貯蔵するタンクであってもよい。ただし、検査システムの判定の対象は、大気圧よりも高い圧力でガスを貯蔵するタンクであることが好ましい。
(2)上記実施形態においては、ライナー110の中心軸の向きに対する、充填管160が噴出する水素ガスの向きは、20度である(図1参照)。しかし、ライナーの中心軸の向きに対する、充填管が噴出する水素ガスの向きは、15度や25度など、他の角度であってもよい。ただし、ライナーの中心軸の向きに対する、充填管が噴出する水素ガスの向きは、10~30度であることが好ましい。
(3)上記実施形態においては、充填管160は、口金130を通じてライナー110の内部空間に供給される水素ガスを、ライナー110の中心軸からそれた方向に誘導する(図1参照)。しかし、タンクの充填管は、ガスを、タンクの中心軸に沿った方向に射出してもよい。検査システムは、そのような態様のタンクについても、衝撃波連成騒音に起因するアコースティック・エミッション波のノイズの影響を避けて、アコースティック・エミッション波に基づく判定を行うことができる。
(4)上記実施形態においては、AEセンサSaeは、高圧タンク100の主止弁150に取り付けられている(図1参照)。上記第3実施形態においては、AEセンサSae2,Sae3は、車両600のバンド部材620に取り付けられている(図18参照)。しかし、1以上のAEセンサは、タンクにおいて生じるアコースティック・エミッション波を検出することができる部位であれば、タンク自体およびタンク以外の構成において、任意の場所に配置されることができる。
(5)上記実施形態においては、圧力センサSpは、車両600の配管640に取り付けられている(図3参照)。しかし、圧力センサは、タンク内の圧力を検出することができる部位であれば、タンクの内部およびタンクの外部において、任意の場所に配置されることができる。
(6)上記第2実施形態においては、AEセンサSaeによって検出され10kHz~100kHzの周波数を有するアコースティック・エミッション波に基づき、AEセンサSaeによって検出され他の周波数を有するアコースティック・エミッション波に基づかずに、高圧タンク100の状態に関する判定が行われる(図10のS610参照)。上記第3実施形態においては、60dB未満の強度を有するアコースティック・エミッション波に基づかず、60dBより大きい強度を有するアコースティック・エミッション波に基づいて、高圧タンク100の状態に関する判定が行われる(図15のS620参照)。
しかし、AEセンサによるアコースティック・エミッション波の検出は、周波数帯域と強度との組み合わせによって限定されたアコースティック・エミッション波のみについて、行われてもよい。
また、AEセンサによるアコースティック・エミッション波の検出は、周波数帯域および強度を問わずに行われ、判定部としてのプロセッサーが、アコースティック・エミッション波のうちの一部を、周波数帯域と強度のうちの少なくとも一方を含む条件に基づいて抽出し、抽出されたAE波に基づいて、タンクの判定を行ってもよい。
(7)上記第1実施形態においては、あらかじめ定められた周波数帯に含まれるアコースティック・エミッション波の強度が、閾値Tha未満である場合には、対象である高圧タンク100を合格、すなわち健全であると判定する。その周波数帯に含まれるアコースティック・エミッション波の強度が、閾値以上である場合には、対象である高圧タンク100を不合格、すなわち不健全であると判定する(図4のS700参照)。
しかし、タンクに関する判定は他の方法で行われてもよい。たとえば、ある周波数帯域におけるAE波の強度と、別の周波数帯域におけるAE波の強度と、の比や差に基づいて、タンクに関する判定が行われることができる。たとえば、それらの比や差が閾値よりも大きいときには、タンクを不合格、すなわち不健全であると判定し、それらの比や差が閾値よりも小さいときには、タンクを合格、すなわち健全であると判定する態様とすることもできる。また、ある条件を満たすAE波の発生数をカウントし、その発生数が閾値以上となった場合、タンクを不合格、すなわち不健全であると判定し、その発生数が閾値よりも小さいときには、タンクを合格、すなわち健全であると判定する態様とすることもできる。
また、判定部は、タンクの満充填の圧力に対する、圧力センサによって検出される圧力の比が、第1の範囲にあるときのAE波に基づいてタンクの判定を行わず、その比が第1の範囲の最大値よりも大きい第2の範囲にあるときに、タンクの判定を行う態様とすることもできる。すなわち、閾値は、判定の処理に使われなくてもよい。判定の処理に使用されるAE波が検知される圧力比の範囲と、判定の処理に使用されないAE波が検知される圧力比の範囲との間に、閾値を決めることができればよい。
(8)上記第4実施形態においては、AEセンサSae2,Sae3は、ライナー110の中心軸に沿った方向について、AEセンサSaeとは異なる位置に配されている(図18参照)。AEセンサSae2,Sae3は、ライナー110の中心軸に垂直な断面において、ライナー110の中心軸を中心に相互に90度をなす角度位置に配されている。しかし、複数のAEセンサは、他の位置に配されていてもよい。
たとえば、タンクの中心軸方向について同じ位置に配されている二つのAEセンサは、タンクの中心軸を中心に相互に80度をなす角度位置や、60度をなす角度位置に配されていてもよい。ただし、タンクの中心軸方向について同じ位置に配されている二つのAEセンサは、タンクの中心軸を中心に相互に45度以上135度以下となる角度位置に配されていることが好ましい。そのような態様とすることにより、それらのAEセンサによって検出されたアコースティック・エミッション波のずれに基づいて、タンクにおいて発生した損傷の、中心軸を中心とする角度位置を、正確に特定することができる。
E2.他の実施形態2:
上記実施形態においては、満充填の圧力Pmaxに対する検出された圧力Pmの比Rpの閾値Rthは、1/10である。しかし、閾値Rthは、1/20、1/15、1/5、1/4など、他の値とすることもできる。ただし、閾値Rthは、1/20~1/5の範囲に含まれる値であることが好ましく、1/15~1/6の範囲に含まれる値であることがより好ましく、1/12~1/8の範囲に含まれる値であることがさらに好ましい。
E3.他の実施形態3:
(1)上記実施形態においては、高圧タンク100の補強層120は、熱硬化性樹脂122と炭素繊維121とを含む(図11および図12参照)。しかし、タンクは、炭素繊維に代えて、ガラス繊維、アラミド繊維など、他の繊維を備える態様であってもよい。また、タンクは、熱硬化性樹脂に代えて、熱可塑性樹脂を備える態様であってもよい。
また、高圧タンク100は、ライナー110と補強層120の二つの層を備える。しかし、タンクの本体は、一つの層で構成されてもよい。また、タンクの本体は、たとえば、ライナーと、補強層と、補強層の損傷を防ぐための保護層と、を含む3以上の層で構成されていてもよい。
(2)上記第2実施形態においては、AEセンサSaeによって検出され10kHz~100kHzの周波数を有するアコースティック・エミッション波に基づき、AEセンサSaeによって検出され他の周波数を有するアコースティック・エミッション波に基づかずに、高圧タンク100の状態に関する判定が行われる(図10のS610参照)。
しかし、タンクの状態に関する判定は、10kHz~100kHz以外の周波数を有するAE波に基づいて行われてもよい。たとえば、タンクの状態に関する判定は、9kHz以上の周波数を有するAE波に基づいて行われてもよく、8kHz以上の周波数を有するAE波に基づいて行われてもよい。また、タンクの状態に関する判定は、110kHz以下の周波数を有するAE波に基づいて行われてもよく、120kHz以下の周波数を有するAE波に基づいて行われてもよい。
E4.他の実施形態4:
(1)上記第3実施形態においては、60dB未満の強度を有するアコースティック・エミッション波に基づかず、60dBより大きい強度を有するアコースティック・エミッション波に基づいて、高圧タンク100の状態に関する判定が行われる(図15のS620参照)。
しかし、タンクの状態に関する判定は、60dB未満の強度を有するアコースティック・エミッション波に基づいて、行われてもよい。たとえば、タンクの状態に関する判定は、55dB以上の強度を有するAE波に基づいて行われてもよく、50dB未満の強度を有するAE波に基づいて行われてもよい。
100…高圧タンク、110…ライナー、120…補強層、121…炭素繊維、122…熱硬化性樹脂、130…口金、150…主止弁、160…充填管、200…水素充填設備、210…高圧ガス源、220…ディスペンサ、230…配管、300…検査システム、310…プロセッサー、312…判定処理部、314…圧力比計算部、330…記憶部、340…ディスプレイ、600…車両、610…ネックマウント部材、620…バンド部材、630…レセプタクル、640…配管、650…配管、Nf…摩擦音に起因するノイズ、Ah1…水素ガスの流れを示す矢印、Ah2…水素ガスの流れを示す矢印、Ah3…水素ガスの流れを示す矢印、Ap1…引張力、Ap2…引張力、As1…歪み力、As2…歪み力、Cc…破断、Ccr…炭素繊維と熱硬化性樹脂との界面における割れ、Cr…熱硬化性樹脂内の割れ、G0…損傷がない高圧タンクのAE波のグラフ、G1…損傷がある高圧タンクのAE波のグラフ、Gp0…損傷がない高圧タンクのAE波のグラフ、Gp1…損傷がある高圧タンクのAE波のグラフ、N1…衝撃波連成騒音、N2…噴流衝突騒音、Pm…圧力、Pmax…圧力の上限値、Rm…判定に使用されるAE波の圧力の領域、Rn…ノイズN1,N2が生じる圧力の領域、Rp…比、Rth…閾値、Sae…AEセンサ、Sae2…AEセンサ、Sae3…AEセンサ、Sp…圧力センサ、St…温度センサ、Tha…アコースティック・エミッション波の強度の閾値

Claims (1)

  1. ガスを貯蔵するタンクの検査システムであって、
    前記タンクにおいて生じるアコースティック・エミッション波を検出するAEセンサと、
    前記タンクの内部の圧力を検出する圧力センサと、
    前記AEセンサによって検出されたアコースティック・エミッション波に基づいて、前記タンクの状態に関する判定を行い、前記判定の結果を出力する判定部と、を備え、
    前記判定部は、前記タンクの満充填の圧力に対する、前記圧力センサによって検出される前記圧力の比があらかじめ定められた閾値より小さいときに、前記判定を行わず、前記比が前記閾値より大きいときに、前記判定を行う、検査システム。
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