JP2023041452A - 軟カプセル剤及びその製造方法、並びに軟カプセル剤の吸湿を抑制する方法 - Google Patents

軟カプセル剤及びその製造方法、並びに軟カプセル剤の吸湿を抑制する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造後の速乾性に優れ、且つ保存時の吸湿性が低い軟カプセル剤用の皮膜を提供することを課題とする。【解決手段】皮膜が、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である、軟カプセル剤により、上記の課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膜が、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である軟カプセル剤、およびその製造方法に関する。本発明は、軟カプセル剤の吸湿を抑制する方法に関する。
軟カプセル剤は、液状の物質を内容物として密封できるため、医薬品やサプリメントとして広く用いられている。軟カプセル剤は、主にロータリーダイ法とシームレス法とによる2種の方法によって製造される。特開2004-196706号公報(特許文献1)には、ゼラチンを用い、シームレス法によって軟カプセル用皮膜を製造する一般的な方法が記載されている。
特開2004-196706号公報
特許文献1のような、ゼラチンを含む皮膜を有する一般的な軟カプセル剤は、吸湿性が高い。そのため、高温多湿の条件に置くと軟カプセル剤が変形することがある。また、水の存在により安定性を失う物質を軟カプセル剤の内容物として用いると、内容物の安定性が低下することがあるなどの問題があった。さらに、一般的な軟カプセル剤は、製造時における皮膜の乾燥の早さも満足できるものではなかった。そのため、本発明は、製造後の速乾性に優れ、且つ保存時の吸湿性が低い軟カプセル剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、ゼラチン及び可塑剤を含む皮膜であって、前記可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である、皮膜を用いて軟カプセル剤を製造することで、保存時に吸湿性が低く、且つ速乾性に優れた軟カプセル剤となること見出して、本発明を完成した。よって、本発明は、皮膜が、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である、軟カプセル剤を提供する。
また、本発明は、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜形成液を調製する工程と、皮膜形成液を用いて、軟カプセル剤を成形する工程とを含む軟カプセル剤の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、軟カプセル剤の吸湿を抑制する方法であって、軟カプセル剤の皮膜を、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜とする方法を提供する。
本発明によれば、製造後の速乾性に優れ、且つ保存時の吸湿性が低い軟カプセル剤及びその製造方法が提供される。
(軟カプセル剤)
本実施形態の軟カプセル剤は、ゼラチン及び可塑剤を含み、前記可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜内に、内容液が充填された構成を有する。軟カプセル剤は、例えば、シームレス法に用いるシームレス式充填機や、ロータリーダイ法に用いるロータリーダイ式充填機によって製造される。ここではシームレス式充填機によって製造される軟カプセル剤をシームレス式軟カプセル剤、ロータリーダイ式充填機によって製造される軟カプセル剤をロータリーダイ式軟カプセル剤とする。軟カプセル剤としては、ロータリーダイ式軟カプセル剤であることが好ましい。内容液や、軟カプセル剤の製造方法については後述する。
皮膜に用いられるゼラチンは特に限定されず、公知のゼラチンを用いることができる。ゼラチンの由来は特に限定されず、ウシ、ブタ、ニワトリ、サケなどの動物の骨、軟骨、腱、皮などから得られたものを用いることができる。ゼラチンは、一種でもよいし、二種以上を組み合わせてもよい。ゼラチンとしては、例えば新田ゼラチン株式会社や株式会社ニッピの製品を用いることができる。
ゼラチンのゼリー強度(ゲル強度)は特に限定されないが、日本薬局方に規定される方法により測定されるゼリー強度が、150g~280gの範囲内にあるのが好ましく、230g~280gの範囲内にあるのがより好ましい。
本実施形態では、ゼラチンに加えて又はゼラチンに替えて、ゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物、修飾ゼラチンなどを用いてもよい。修飾ゼラチンとしては、例えばコハク化ゼラチン、フタル化ゼラチンなどが挙げられる。混合する場合、ゼラチン及び修飾ゼラチンの合計量を皮膜におけるゼラチンの含有量とする。
皮膜におけるゼラチンの含有量は、特に限定されないが、乾燥した皮膜100質量部に対して50質量部以上95質量部以下であることが好ましい。皮膜におけるゼラチンの含有量の上限は、乾燥した皮膜100質量部に対して例えば、95質量部、94質量部、93質量部、92質量部、91質量部、90質量部である。皮膜におけるゼラチンの含有量の下限は、乾燥した皮膜100質量部に対して例えば、50質量部、51質量部、52質量部、53質量部、54質量部、55質量部、56質量部、57質量部、58質量部、59質量部、60質量部である。ここで、乾燥した皮膜とは、皮膜を十分に乾燥させた、水分を含まない皮膜のことを指す。
本実施形態では、皮膜に含まれる可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である。可塑剤として薬学的に許容される二糖類を含むことにより、保存時に吸湿性が低く、且つ速乾性に優れた軟カプセル剤を製造することができる。
本発明において、「吸湿性が低い」とは、後述する実施例のように、乾燥させた軟カプセル剤用の皮膜や軟カプセルを多湿条件下においたときの、時間経過による水分値の増加が少ないことを指す。時間経過による水分値の増加が少ないことは、例えば、後述の実施例のように、多湿条件下に11時間置いたときの吸湿量(%)が、9%以下であることによって吸湿性が低いと判断してもよいし、8%以下であることによって吸湿性が低いと判断してもよい。水分値の測定は、例えば、電気抵抗式の水分計を用いて測定することができる。
本発明において、「速乾性に優れる」とは、後述の実施例のように、製造後の皮膜の水分値と、所定時間が経過した後の皮膜の水分値との差が大きいことを指す。水分値の減少が大きいことは、例えば、後述の実施例のように、製造後の皮膜(又は軟カプセル剤)の製造時と3時間経過後との水分値を比較した場合、水分値の平均減少量(%)が9%/時間以上あることによって速乾性に優れると判断としてもよいし、10%/時間以上あることによって速乾性に優れると判断してもよいし、11%/以上あることによって速乾性に優れると判断としてもよい。皮膜やカプセル剤がこのような速乾性を満たしていることで、軟カプセル剤の製造後の乾燥コストを低減することができる。
可塑剤に占める薬学的に許容される二糖類の量は、可塑剤の50質量%以上であれば特に限定されず、55質量%以上であってもよいし、60質量%以上であってもよいし、65質量%以上であってもよいし、70質量%以上であってもよいし、75質量%以上であってもよいし、80質量%以上であってもよいし、85質量%以上であってもよいし、90質量%以上であってもよいし、95質量%以上であってもよいし、可塑剤がすべて薬学的に許容される二糖類であってもよい。
薬学的に許容される二糖類は特に限定されないが、例えば、トレハロース、ラクトース、スクロース、マルトースまたはこれらの異性体などが挙げられる。このうち、トレハロース、ラクトース、スクロース、マルトースから選択されることが好ましい。二糖類は、一種でもよいし、二種以上を組み合わせてもよい。
可塑剤は、二糖類だけであってもよいし、薬学的に許容される二糖類以外の可塑剤と組み合わせて用いてもよい。薬学的に許容される二糖類以外の可塑剤としては、例えば、グリセロール(グリセリン)、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ごま油、ペプチド、デキストリン又はオリゴ糖などが挙げられる。薬学的に許容される二糖類以外の可塑剤は、一種でもよいし、二種以上を組み合わせてもよいし、含んでいなくてもよい。
本明細書において、可塑剤は、上記の例示された物質そのものだけではなく、それらの薬学的に許容される塩や水和物を包含する。ここで、薬学的に許容される塩とは、可塑剤の化合物と有機又は無機の酸又は塩基とから形成される、ヒトを含む哺乳動物への投与が許容される塩をいう。そのような薬学的に許容される塩としては、例えばリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、硝酸塩又は炭酸塩などが挙げられる。
本実施形態の軟カプセル剤は、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類であるように製造することで、水分値の低い軟カプセル剤でも十分な可塑性を有した軟カプセル剤を製造することができる。従来の軟カプセル剤の多くは、軟カプセル剤に可塑性を与えるために軟カプセル剤に多量の水分を含ませることが多かった。軟カプセル剤が多量の水分を含むと、軟カプセル剤の変形の原因になったり、軟カプセルが包装に付着してしまうことがあるが、本発明では、可塑剤として薬学的に許容される二糖類を用いることで、水分値の低い軟カプセル剤でも十分な可塑性を有した軟カプセル剤を製造することができる。
本実施形態では、軟カプセル剤の皮膜は、糖アルコールを実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、皮膜において糖アルコールは、含まれるとしても少量であり、糖アルコールを積極的に添加しないことをいう。糖アルコールが少量含まれる場合としては、例えば、不純物として微量に混入する場合、何らかの化学反応や含有成分の分解などにより微量に発生する場合などが挙げられる。糖アルコールとしては、例えばトウモロコシデンプン由来糖アルコール液、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パラチノース、ソルビタンなどが挙げられる。
皮膜における可塑剤の含有量は、特に限定されないが、ゼラチン100質量部に対して10質量部以上100質量部以下であることが好ましい。皮膜における可塑剤の含有量の上限は、ゼラチン100質量部に対して例えば、100質量部、99質量部、95質量部、90質量部、85質量部、80質量部、75質量部、70質量部である。皮膜における可塑剤の含有量の下限は、ゼラチン100質量部に対して例えば、10質量部、15質量部、20質量部、22.5質量部、25質量部、27.5質量部、30質量部である。
皮膜における可塑剤の含有量は、乾燥した皮膜100質量部に対して5質量部以上50質量部以下であることが好ましい。皮膜における可塑剤の含有量の上限は、乾燥した皮膜100質量部に対して、例えば、50質量部、47.5質量部、45質量部、42.5質量部、40質量部、37.5質量部、35質量部である。膜における可塑剤の含有量の下限は、乾燥した皮膜100質量部に対して、例えば、5質量部、7.5質量部、10質量部、12.5質量部、15質量部、17.5質量部、20質量部、22.5質量部である。
必要に応じて、本実施形態の軟カプセル剤の皮膜には、軟カプセル皮膜に通常用いられる薬学的に許容される添加剤を配合してもよい。そのような添加剤としては、例えば、三二酸化鉄、酸化チタン、アルミニウムレーキ、黄色5号などの着色剤、パラベンなどの防腐剤、寒天、ペクチン、ポリガラクチュロン酸、アルギン酸、澱粉、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、プルランなどの多糖類、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、サッカリンナトリウムなどの甘味剤、ストロベリーミクロン、ペパーミントミクロン、ピーチミクロン、ライチミクロン及びパイナップルミクロンなどの香料、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの基剤などが挙げられる。
本実施形態では、軟カプセル剤の大きさ、重量、形状は特に限定されず、用途や内容物に応じて適宜選択して用いることができる。軟カプセル剤の形状としては、例えば球形(ラウンド)、楕円形(オーバル)、細長楕円形(オブロング)、チューブ形、坐剤形などが挙げられる。
本実施形態の軟カプセル剤には、内容液が充填されている。内容液は、溶剤と、溶剤中に溶解又は分散された有効成分とを含む。有効成分とは、薬やサプリメントとして用いられる医薬成分や栄養補助成分を指し、溶剤に溶解・懸濁して用いられる。医薬成分としては、例えば、ルビプロストン、アルファカルシドール、カルシトリオール、イコサペント酸エチル、シクロスポリン、エルデカルシトール、デュタステリドなどが挙げられる。これらの医薬成分には、医薬成分の薬学的に許容される塩もしくはそれらの溶媒和物も含まれる。ここで、薬学的に許容される塩とは、医薬成分の化合物と有機又は無機の酸又は塩基とから形成される、ヒトを含む哺乳動物への投与が許容される塩をいう。そのような薬学的に許容される塩としては、例えばリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、アミン塩、硝酸塩又は炭酸塩などが挙げられる。薬学的に許容される塩の溶媒和物とは、医薬成分の化合物又はその薬学的に許容される塩と、ヒトを含む哺乳動物への投与が許容される溶媒とから形成される固体分子をいう。そのような溶媒としては、例えば水、酢酸、エタノールなどが挙げられる。
栄養補助成分としては、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、カフェイン、酸化鉄、二酸化亜鉛、クエン酸、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、コラーゲン加水分解物、食用油(ごま油、大豆油、オリーブ油など)、セサミン、希少糖(D-プシコースやD-アロースなど)、生薬エキス、漢方エキス、茶抽出物、酵母抽出液、乳酸菌抽出液、酵母培養液、乳酸菌培養液などが挙げられる。これらの有効成分は一種類でもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。生薬エキスなどの抽出液や培養液は、濃縮されていてもよい。軟カプセル剤あたりの有効成分の総量は特に限定されないが、例えば1カプセル当たり0.1μg~2000mgとすることができる。
溶剤は、有効成分を溶解又は分散可能な媒体であれば、特に限定されない。そのような溶剤は、軟カプセル剤の内容液に通常用いられる水性媒体及び非水性媒体から適宜選択できる。水性媒体としては、例えばエタノールなどが挙げられる。非水性媒体としては、例えば脂肪酸トリグリセリド、植物性及び動物性の油脂類、ロウ類、ワックス類、硬化油、鉱物油などが挙げられる。脂肪酸トリグリセリドとしては、中鎖又は長鎖(例えば炭素数6~24)の飽和脂肪酸のトリグリセリドが挙げられる。植物性及び動物性の油脂類としては、例えばオリーブ油、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、シソ油、ダイズ油、ツバキ油、トウモロコシ油、ハッカ油、ヒマシ油、綿実油、ヤシ油、ラッカセイ油、魚油、卵黄油、牛脂、豚脂などが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、例えばミツロウ、カルナバロウ、ラノリンなどが挙げられる。硬化油としては、例えば水素添加硬化ヒマシ油などの油脂類の水素添加物が挙げられる。鉱物油としては、例えば流動パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。好ましい実施形態では、溶剤は中鎖脂肪酸トリグリセリドである。溶剤は、一種でもよいし、二種以上を組み合わせてもよい。
本実施形態において、皮膜は、後述の実施例における可塑性の試験のように、皮膜を製造する成分で作製したゼラチンブロックに対して、ローターが1mm陥入するために必要な圧力(N)が10N以上400N以下であることが好ましく、10N以上300N以下であることがより好ましい。圧力がこのような範囲にあることで、皮膜を用いて製造した軟カプセルに、軟カプセルとして用いるのに十分な可塑性を付与することができる。
(軟カプセル剤の製造方法)
本実施形態の軟カプセル剤は、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜内に、有効成分及び溶剤を含む内容液を充填することにより製造できる。具体的には、次のとおりである。
ゼラチンと、可塑剤(可塑剤中、薬学的に許容される二糖類が、可塑剤の50質量%以上となるように少なくとも含まれる)と、水とを混合して、皮膜形成液を調製する。混合時に、加熱しながら混合してもよい。また、あらかじめ可塑剤又はゼラチンと水とを混合して可塑剤溶液又はゼラチン溶液を調製していてもよい。必要に応じて、可塑剤溶液、ゼラチン溶液又は皮膜形成液に上述した添加剤を配合してもよい。得られた皮膜形成液を、ロータリー式充填機又はシームレス式充填機に供給し、別途用意した内容液を皮膜に充填してカプセル剤を形成することで、本実施形態の軟カプセル剤を製造することができる。
ロータリー式充填機では、皮膜形成液を冷却してゲル化させてシート状に皮膜を形成し、形成した2枚の皮膜シート間に内容液を充填しながら、一対のダイロールで挟み込んで皮膜シートを圧着し、打ち抜くことにより、内容液が充填された軟カプセル剤が形成される。シームレス式充填機では、同心の二重ノズルの外側から皮膜溶液を流し出し、同時に内側から内容液を流し出し、パルセータによりノズルに振動を与えて流出液を切断することにより、内容液が充填された軟カプセル剤が形成される。好ましい実施形態では、ロータリー式充填機により皮膜内に内容液を充填する。このように、ゼラチンと、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である可塑剤とを用いて軟カプセル剤を製造することで、吸湿性の低い軟カプセル剤を製造することができる。
成形された軟カプセル剤は、必要に応じて、PTP包装、ビン充填、アルミ包装などにより包装されていてもよい。PTP包装の素材としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスチレン又はポリカーボネートなどの樹脂や、アルミニウムなどの金属が挙げられる。これらの素材は、一種類で用いても、複数種類を組み合わせて用いてもよい。組み合わせの例としては、例えば、ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンとを積層することや、ポリ塩化ビニルとポリクロロトリフルオロエチレンとを積層することなどが挙げられる。上記の樹脂を公知の方法で成形した樹脂シートの、成形したポケットに軟カプセル剤を入れ、アルミニウム箔を用いて蓋をすることで、包装することができる。軟カプセル剤が収容されたPTP包装は、更にアルミピローによって包装されていてもよい。このアルミピローには、更に乾燥剤が収容されていてもよい。乾燥剤としては、例えば、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカゲル又はゼオライトなどが挙げられる。
本発明の一実施形態は、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜形成液を調製する工程と、皮膜形成液から皮膜を形成することを含む、軟カプセル剤用皮膜の製造方法である。皮膜形成液、皮膜については上述の通りである。ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜形成液を用いて軟カプセル剤用皮膜を製造することで、該皮膜を用いて吸湿性の低い軟カプセル剤を製造することができる。
本発明の一実施形態は、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜形成液を調製する工程と、皮膜形成液をロータリーダイ式充填機に充填する工程と、皮膜形成液をロータリーダイ式軟カプセル剤用皮膜に成形する工程と、成形した皮膜内に内容液を充填する工程とを含む、ロータリーダイ式軟カプセル剤の製造方法である。皮膜形成液、皮膜、軟カプセル剤については上述の通りである。
本発明の一実施形態は、軟カプセル剤における吸湿を抑制する方法である。ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜を用い、軟カプセル剤を製造することで、軟カプセル剤の吸湿性を低下させることができる。この方法における軟カプセル剤の製造の詳細については、上述の本実施形態の軟カプセル剤の製造方法について述べたことと同じである。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
[試験例1:二糖類の有無による皮膜への影響]
以下の表1及び2に記載の組成で、二糖類としてトレハロースを含む皮膜と、二糖類を含まない皮膜を作製して皮膜の性質について検討した。水や各化合物の数値は配合比(質量比)を示す。ゼラチンとしては、ウシ由来であり、230~280gのゼリー強度を有している株式会社ニッピのものを用いた。表中の膜厚は、デジタルノギス(株式会社ミツトヨ)を用いて測定した。各表中の「可塑剤における二糖類の割合」は皮膜に用いた可塑剤中の二糖類の割合(%)を示し、「ゼラチンに対する二糖類の割合」は、皮膜中のゼラチン100質量部に対する二糖類の割合(質量部)を示す。
Figure 2023041452000001
Figure 2023041452000002
軟カプセル剤用の皮膜は、次のようにして製造した。
各表に示す割合でゼラチン、可塑剤(トレハロース又は濃グリセリン)及び精製水を混合し、70℃で1時間撹拌した。撹拌後の溶液をアスピレーターに供し減圧脱気することで、皮膜製造用の混合液を得た。10cm角のPETフィルムの上に、厚さ1mmのステンレスの枠を置いた。この枠に、製造した混合液を流し込み、28℃、23%RH(Relative Humidity : 相対湿度)の環境で乾燥させた。これにより、軟カプセル剤の皮膜を得た。
(製造後の皮膜の吸湿性の測定)
28℃、23%RHの条件にて十分に乾燥させた各皮膜を、高湿条件下に置くことで、皮膜の吸湿性について検討した。各皮膜を25℃、75%RHの条件で静置し、静置直後、静置後0.5、1、2、4.5及び11時間の水分値を測定した。水分値の測定には、株式会社ケツト科学研究所製の電気抵抗式の水分計を用い、皮膜の表面の水分値を測定した。その結果を以下の表3及び4にそれぞれ示す。各実施例において、水分値は、1枚の皮膜に対して5箇所測定した平均値である(以降の実験においても同様)。各表において、吸湿量は[終了時の水分値(%)―開始時の水分値(%)]を指す。
Figure 2023041452000003
Figure 2023041452000004
表3及び4より、二糖類であるトレハロースを用いて製造した実施例1~6の皮膜の方が、濃グリセリンを用いて製造した比較例1~6の皮膜よりも吸湿性が低いことがわかる。
(製造後の皮膜の水分減少量の測定)
製造した皮膜の水分値の変化を測定した。測定は、製造した直後の各皮膜を28℃、23%RHの条件に静置し、製造直後、製造後1時間、製造後3時間の水分値を測定した。その結果を以下の表5及び6にそれぞれ示す。
Figure 2023041452000005
Figure 2023041452000006
表5及び6より、二糖類であるトレハロースを用いて製造した実施例1~6の皮膜は全て優れた水分減少量を示したのに対して、濃グリセリンを用いて製造した比較例1~6の皮膜は平均水分減少量が低かった。
[試験例2:二糖類の量又は割合の変化による皮膜への影響]
以下の表7及び8に記載の組成で、可塑剤中の二糖類の量又は割合を変化させた場合の皮膜の性質について検討した。水や各化合物の数値は配合比(質量比)を示す。皮膜の製造は上記試験例1と同様にして行った。
Figure 2023041452000007
Figure 2023041452000008
製造した各皮膜のうち、実施例3及び7~10と比較例7~11の皮膜に対して吸湿量を測定した。吸湿量の測定は試験例1と同様に行った。測定結果を表9及び10に示す。
Figure 2023041452000009
Figure 2023041452000010
表9及び10より、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である実施例3及び7~10の皮膜は、50質量%未満である比較例7~11の皮膜よりも吸湿性が低いことがわかる。このように、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜を製造することで、吸湿性の低い皮膜を製造できることが示された。
製造した実施例3及び7~10と比較例7~11の皮膜の水分値の変化を測定した。測定は試験例1と同様に行った。測定結果を表11及び12にそれぞれ示す。
Figure 2023041452000011
Figure 2023041452000012
表11及び12より、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である実施例3及び7~10の皮膜は、全て優れた水分減少量を示したのに対して、可塑剤中の二糖類の割合が50%未満である比較例7~11の皮膜は、平均水分減少量が低いことがわかる。
[試験例3:可塑剤の種類による皮膜への影響]
以下の表13に記載の組成で、皮膜中の可塑剤の種類と量を変化させた場合の皮膜の性質について検討した。水や各化合物の数値は配合比(質量比)を示す。皮膜の製造は上記試験例1と同様にして行った。
Figure 2023041452000013
製造した実施例11~13及び比較例12の皮膜に対して吸湿量及び水分値の変化を測定した。吸湿量の測定は試験例1と同様に行った。測定結果を表14及び15にそれぞれ示す。
Figure 2023041452000014
Figure 2023041452000015
表14及び15より、二糖類ではないソルビトールを用いた皮膜(比較例12)は、二糖類であるラクトース、マルトース及びスクロースを用いた皮膜(実施例11~13)に比べ、吸湿量が高く、平均水分減少量も低いことが分かる。これらの結果から、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜を製造することで、吸湿性の低い皮膜を製造できることが示された。
[試験例4:製造後の皮膜の可塑性の測定]
製造した皮膜の可塑性について測定した。測定は、ゼラチンブロックに対してローターを陥入させ、1mm侵入するために必要な圧力(N)を測定することによって行った。
ゼラチンブロックは、上述の実施例7、11~13又は比較例11、12の組成の皮膜製造用の混合液と、下記表16に記載のゼラチンと水のみの組成の皮膜製造用の混合液(比較例13)を、それぞれ24.5mm×9.0mmのPTPシートへ流し込み、28℃23%RHにて乾燥させて製造した。
小型卓上試験機 EZ Testシリーズ(EZ-SX:株式会社島津製作所)のステージに製造したゼラチンブロックを設置し、ローターが1mm侵入するために必要な圧力(N)を測定した。以下の表17に測定結果を示す(表中の圧力(N)は、ローターが1mm進入するのに必要な圧力(N)を指す)。
Figure 2023041452000016
Figure 2023041452000017
表17より、実施例7及び11~13の皮膜は、比較例11及び12のソルビトールや濃グリセリンを可塑剤として用いた皮膜と同等の可塑性を有しており、軟カプセルに用いるのに十分な可塑性を有していることが示された。
以上の結果より、ゼラチン及び可塑剤を含み、可塑剤の50質量%以上が二糖類である皮膜が、軟カプセルに用いるのに十分な可塑性と製造後の速乾性を有し、かつ保存時に吸湿性が低いことが示され、軟カプセル用の皮膜として優れた性質を有していることが示された。

Claims (9)

  1. 皮膜が、ゼラチン及び可塑剤を含み、前記可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である、軟カプセル剤。
  2. ロータリーダイ式軟カプセル剤である、請求項1に記載の軟カプセル剤。
  3. 前記皮膜における前記可塑剤の含有量が、前記ゼラチン100質量部に対して10質量部以上100質量部以下である、請求項1又は2に記載の軟カプセル剤。
  4. 前記皮膜における前記ゼラチンの含有量が、乾燥した前記皮膜100質量部に対して50質量部以上95質量部以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の軟カプセル剤。
  5. 前記皮膜における前記可塑剤の含有量が、乾燥した前記皮膜100質量部に対して5質量部以上50質量部以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の軟カプセル剤。
  6. 前記二糖類が、トレハロース、ラクトース、スクロース及びマルトースから選ばれる少なくとも1つである、請求項1~5のいずれか1項に記載の軟カプセル剤。
  7. 前記軟カプセル剤が、糖アルコールを実質的に含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の軟カプセル剤。
  8. ゼラチン及び可塑剤を含み、前記可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜形成液を調製する工程と、
    前記皮膜形成液を用いて、軟カプセル剤を成形する工程と、
    を含む軟カプセル剤の製造方法。
  9. 軟カプセル剤における吸湿を抑制する方法であって、前記軟カプセル剤の皮膜を、ゼラチン及び可塑剤を含み、前記可塑剤の50質量%以上が、薬学的に許容される二糖類である皮膜とする方法。
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