JP2023006300A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】ビード部におけるトゥ欠けを効果的に抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】スチール補強層10のタイヤ幅方向外側に内側の有機繊維補強層11と外側の有機繊維補強層12が配置され、内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iは、ビードコア5のタイヤ径方向内側に最も突出した頂点からビードベース表面に引いた法線からなる線分Jよりもタイヤ幅方向内側に位置し、外側の有機繊維補強層12は内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iを被覆するように配置され、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iは、内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iから5mm以上離れており、かつ、スチール補強層10のタイヤ幅方向外側の端部10eからタイヤ幅方向に引いた水平線からなる線分Lよりもタイヤ径方向内側に位置する。【選択図】図2
Description
本発明は、トラックやバス等に使用される重荷重用として好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、ビード部におけるトゥ欠けを効果的に抑制することを可能にした空気入りタイヤに関する。
トラックやバス等に使用される重荷重用の空気入りタイヤにおいて、一対のビード部間にカーカス層が装架され、該カーカス層が各ビード部のビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられ、各ビード部に複数本のスチールコードを含むスチール補強層がカーカス層を包み込むように配置されたものがある。この種の空気入りタイヤでは、タイヤ組み替え時においてビード部に生じるトゥ欠けの頻度が比較的高いという問題がある。
上述のように構成される空気入りタイヤにおいて、スチール補強層のタイヤ幅方向外側に複数層の有機繊維補強層を配置し、これら有機繊維補強層をビードコア下においても交差積層させた構造とした場合(例えば、特許文献1参照)、加硫時におけるビードヒールからのゴム流れが抑制されるため、ビードコアをトゥ側に配置することが可能となり、トゥが形成する角度を鈍角化することが可能となる。そのため、ビード部に有機繊維補強層を追加した構造では、トゥ欠けの問題が低減されている。しかしながら、ビード部に有機繊維補強層を追加した構造であっても、依然としてトゥ欠けが発生することがあり、更なる改善が求められている。
本発明の目的は、ビード部におけるトゥ欠けを効果的に抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ外径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間にカーカス層が装架され、該カーカス層が各ビード部のビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられ、各ビード部に複数本のスチールコードを含むスチール補強層が前記カーカス層を包み込むように配置された空気入りタイヤにおいて、
前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側に2層の有機繊維補強層が配置され、該2層の有機繊維補強層は前記スチール補強層に隣接する内側の有機繊維補強層と該内側の有機繊維補強層よりもタイヤ幅方向外側に位置する外側の有機繊維補強層を含み、
前記内側の有機繊維補強層の内径側端部は、前記ビードコアのタイヤ径方向内側に最も突出した頂点からビードベース表面に引いた法線からなる線分よりもタイヤ幅方向内側に位置し、
前記外側の有機繊維補強層は前記内側の有機繊維補強層の内径側端部を被覆するように配置され、前記外側の有機繊維補強層の内径側端部は、前記内側の有機繊維補強層の内径側端部から5mm以上離れており、かつ、前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部からタイヤ幅方向に引いた水平線からなる線分よりもタイヤ径方向内側に位置することを特徴とするものである。
前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側に2層の有機繊維補強層が配置され、該2層の有機繊維補強層は前記スチール補強層に隣接する内側の有機繊維補強層と該内側の有機繊維補強層よりもタイヤ幅方向外側に位置する外側の有機繊維補強層を含み、
前記内側の有機繊維補強層の内径側端部は、前記ビードコアのタイヤ径方向内側に最も突出した頂点からビードベース表面に引いた法線からなる線分よりもタイヤ幅方向内側に位置し、
前記外側の有機繊維補強層は前記内側の有機繊維補強層の内径側端部を被覆するように配置され、前記外側の有機繊維補強層の内径側端部は、前記内側の有機繊維補強層の内径側端部から5mm以上離れており、かつ、前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部からタイヤ幅方向に引いた水平線からなる線分よりもタイヤ径方向内側に位置することを特徴とするものである。
本発明者は、ビード部に有機繊維補強層が配置されたタイヤ構造について鋭意研究した結果、トゥ欠けで生じるクラックの殆どが有機繊維補強層の端部に伝播しており、そのような現象は有機繊維補強層の端部がビード部のトゥに近い領域で他の補強層によって被覆されずにゴムと接触していることに起因することを知見し、本発明に至ったのである。
即ち、本発明では、ビードコアのタイヤ径方向内側に最も突出した頂点からビードベース表面に引いた法線からなる線分を基準として、内側の有機繊維補強層及び外側の有機繊維補強層の双方を少なくともビードコア下まで延在させているので、加硫時におけるビード部のゴム流れが抑制され、ビードコアの位置がトゥ側に寄り、ビード部のトゥが形成する角度を増加させ、延いては、鈍角化することができる。その結果、ビード部のトゥの剛性が増加し、トゥ欠けが生じ難くなる。また、外側の有機繊維補強層は内側の有機繊維補強層の内径側端部を被覆するように配置され、外側の有機繊維補強層の内径側端部は、内側の有機繊維補強層の内径側端部から5mm以上離れているので、リム外し時にビード部のトゥが変形を受けても、外側の有機繊維補強層の内径側端部及び内側の有機繊維補強層の内径側端部を起点とするクラックが生じ難くなる。その結果、耐トゥ欠け性を大幅に改善することができる。
本発明において、内側の有機繊維補強層が一方向に引き揃えられた複数本の有機繊維コードを含み、該有機繊維コードの繊維構造が800dtex/2~1500dtex/2の範囲にあることが好ましい。このように内側の有機繊維補強層を構成する有機繊維コードを細くすることにより、外側の有機繊維補強層が内側の有機繊維補強層の内径側端部を被覆するように配置された際に生じる段差部を小さくし、その段差部への応力集中を低減し、トゥ欠けを効果的に抑制することができる。また、内側の有機繊維補強層を構成する有機繊維コードについて必要最小限の太さが確保されているので、ゴム流れを抑制する効果も発揮することができる。
或いは、内側の有機繊維補強層が経糸と緯糸からなる平織り材を含み、該平織り材の経糸と緯糸の繊維構造がそれぞれ200dtex/1~1000dtex/1の範囲にあることが好ましい。このように内側の有機繊維補強層を構成する平織り材の経糸と緯糸を細くすることにより、外側の有機繊維補強層が内側の有機繊維補強層の内径側端部を被覆するように配置された際に生じる段差部を小さくし、その段差部への応力集中を低減し、トゥ欠けを効果的に抑制することができる。また、内側の有機繊維補強層を構成する平織り材の経糸と緯糸について必要最小限の太さが確保されているので、ゴム流れを抑制する効果も発揮することができる。
ビードコアの幅方向外側に最も突出した頂点を通りビードコアの最長辺に平行な直線に沿って測定される距離であって前記頂点からビードヒール位置までの距離Aが2.5mm~5.5mmの範囲にあることが好ましい。このように距離Aを十分に確保することにより、ビードコアの位置がトゥ側に寄り、ビード部のトゥが形成する角度を増加させることができる。その結果、ビード部のトゥの剛性が増加し、トゥ欠けが生じ難くなる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる重荷重用の空気入りタイヤを示し、図2~図3はその要部を示すものである。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本のスチールコードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられた構造を有している。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
トレッド部1におけるカーカス層4の外径側には4層のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本のベルトコード(スチールコード)を含んでいる。これらベルト層7は、ベルトコードが互いに交差する中央2層の主ベルト層72,73と、これら主ベルト層72,73の内径側及び外径側に配置された補助ベルト層71,74とを有している。主ベルト層72,73を構成するベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば15°~35°の範囲に設定され、補助ベルト層71,74を構成するベルトコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば15°~75°の範囲に設定されている。
上記空気入りタイヤにおいて、各ビード部3には、複数本のスチールコードを含むスチール補強層10がカーカス層4、ビードコア5及びビードフィラー6を包み込むように配置されている。スチール補強層10のタイヤ幅方向外側には、2層の有機繊維補強層11,12が配置されている。内側の有機繊維補強層11はスチール補強層10に隣接し、外側の有機繊維補強層12は内側の有機繊維補強層11よりもタイヤ幅方向外側に位置している。これら有機繊維補強層11,12の各々は、一方向に引き揃えられた複数本の有機繊維コードを含むものであっても良く、或いは、平織り材を含むものであっても良い。
図2に示すように、内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iは、ビードコア5のタイヤ径方向内側に最も突出した頂点からビードベース3bの表面に引いた法線からなる線分Jよりもタイヤ幅方向内側に位置している。つまり、内側の有機繊維補強層11はビードコア5の下まで延在している。内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iは、ビード部3の先端に形成されるトゥ3tの近傍に位置している。
一方、外側の有機繊維補強層12は、内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iを被覆するように配置されている。つまり、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iは、内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iよりもタイヤ幅方向内側に位置している。そして、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iは、内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iから5mm以上離れており、かつ、スチール補強層10のタイヤ幅方向外側の端部10eからタイヤ幅方向に引いた水平線からなる線分Lよりもタイヤ径方向内側に位置している。なお、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iと内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iとの離間距離はスチール補強層10に沿って測定される距離である。また、線分Lを特定するための水平線はタイヤ単体で無負荷時に特定されるものである。
上述した空気入りタイヤによれば、ビードコア5のタイヤ径方向内側に最も突出した頂点からビードベース3bの表面に引いた法線からなる線分Jを基準として、内側の有機繊維補強層11及び外側の有機繊維補強層12の双方を少なくともビードコア5の下まで延在させているので、加硫時におけるビード部3のゴム流れが抑制され、ビードコア5の位置がトゥ3t側に寄り、ビード部3のトゥ3tが形成する角度θを増大させ、延いては、鈍角化することができる。その結果、ビード部3のトゥ3tの剛性が増加し、トゥ欠けが生じ難くなる。
また、外側の有機繊維補強層12は内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iを被覆するように配置され、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iは、内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iから5mm以上離れているので、リム外し時にビード部3のトゥ3tが変形を受けても、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12i及び内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iを起点とするクラックが生じ難くなる。その結果、耐トゥ欠け性を大幅に改善することができる。
ここで、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iと内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iとの離間距離が5mm未満であると、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iがビード部3のトゥ3t近傍に位置するため、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iを起点とするクラックが生じ易くなり、トゥ欠けが生じ易くなる。また、スチール補強層10のタイヤ幅方向外側の端部10eからタイヤ幅方向に引いた水平線からなる線分Lよりもタイヤ径方向内側の領域Rはタイヤ転動時において動きの少ない領域であるが、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iが線分Lよりもタイヤ径方向外側に位置していると、タイヤ転動時の動きが大きくなるため、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iからセパレーションを生じ易くなる。
上記空気入りタイヤにおいて、内側の有機繊維補強層11は一方向に引き揃えられた複数本の有機繊維コードを含み、該有機繊維コードの繊維構造が800dtex/2~1500dtex/2の範囲にあると良い。このように内側の有機繊維補強層11を構成する有機繊維コードを細くすることにより、外側の有機繊維補強層12が内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iを被覆するように配置された際に生じる段差部を小さくし、その段差部への応力集中を低減し、トゥ欠けを効果的に抑制することができる。また、内側の有機繊維補強層11を構成する有機繊維コードについて必要最小限の太さが確保されているので、ゴム流れを抑制する効果も発揮することができる。
ここで、有機繊維コードの繊維構造が800dtex/2よりも小さいと、ビード部3におけるゴム流れを抑制することができず、逆に1500dtex/2よりも大きいと、外側の有機繊維補強層12が内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iを被覆するように配置された際に生じる段差部が大きくなり、その段差部への応力集中に起因してトゥ欠けを抑制する効果が低下する。なお、内側の有機繊維補強層11が一方向に引き揃えられた複数本の有機繊維コードからなる補強材を含む場合、外側の有機繊維補強層12の補強材は一方向に引き揃えられた複数本の有機繊維コードであっても良く、或いは、経糸と緯糸からなる平織り材であっても良い。
上記空気入りタイヤにおいて、他の態様として、内側の有機繊維補強層11が経糸と緯糸からなる平織り材を含み、該平織り材の経糸と緯糸の繊維構造がそれぞれ200dtex/1~1000dtex/1の範囲にあると良い。このように内側の有機繊維補強層11を構成する平織り材の経糸と緯糸を細くすることにより、外側の有機繊維補強層12が内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iを被覆するように配置された際に生じる段差部を小さくし、その段差部への応力集中を低減し、トゥ欠けを効果的に抑制することができる。また、内側の有機繊維補強層11を構成する平織り材の経糸と緯糸について必要最小限の太さが確保されているので、ゴム流れを抑制する効果も発揮することができる。
ここで、平織り材の経糸と緯糸の繊維構造が200dtex/1よりも小さいと、ビード部3におけるゴム流れを抑制することができず、逆に1000dtex/1よりも大きいと、外側の有機繊維補強層12が内側の有機繊維補強層11の内径側端部11iを被覆するように配置された際に生じる段差部が大きくなり、その段差部への応力集中に起因してトゥ欠けを抑制する効果が低下する。なお、内側の有機繊維補強層11が経糸と緯糸を含む平織り材からなる補強材を含む場合、外側の有機繊維補強層12の補強材は一方向に引き揃えられた複数本の有機繊維コードであっても良く、或いは、経糸と緯糸からなる平織り材であっても良い。
上記空気入りタイヤにおいて、図3に示すように、ビードコア5の幅方向外側に最も突出した頂点Eを通りビードコア5の最長辺に平行な直線Dに沿って測定される距離であって頂点Eからビードヒール位置までの距離Aが2.5mm~5.5mmの範囲にあると良い。このように距離Aを十分に確保することにより、ビードコア5の位置がビード部3のトゥ3t側に寄り、ビード部3のトゥ3tが形成する角度θを増加させることができる。その結果、ビード部3のトゥ3tの剛性が増加し、トゥ欠けが生じ難くなる。
なお、距離Aの具体的な求め方を以下の通りである。ビードコア5はタイヤ子午線断面において複数本のワイヤが配列された積層構造を有する。頂点Eはビードコア5の最も幅方向外側に位置するワイヤの重心を通りビードコア5の最長辺に平行な直線Dが最も幅方向外側に位置するワイヤの輪郭と交わる点である。ここで、ビードコア5の幅方向外側に最も突出した頂点Eを通りビードコア5の最長辺に平行な直線Dと、ビード底面のプロファイルを形成する辺の延長線とビード背面のプロファイルを構成する曲線の延長線とが交差する仮想交点Hと、該仮想交点Hを通り直線Dに対して直交する直線Mと、頂点Eを通り直線Dに対して直交する直線Fとを求めたとき、距離Aは直線Mと直線Fとの間に区画される直線D上の線分の長さである。
ここで、距離Aが2.5mm未満であると、ビードコア5の位置がトゥ3t側に十分に寄らず、トゥ3tの剛性の増加が少ないため、トゥ欠けを抑制する効果が低下し、逆に5.5mm超であると、過大なコスト増を招くことになる。
図4は従来の空気入りタイヤ(有機繊維補強層なし)のビード部を示し、図5は従来の他の空気入りタイヤ(有機繊維補強層あり)のビード部を示すものである。図4に示すように、ビード部3に有機繊維補強層11,12が配置されていない場合、加硫時にビード部3においてゴム流れが生じ、ビードコア5がビードヒール側に位置するため、ビード部3のトゥ3tが形成する角度θが小さくなる。そのため、ビード部3におけるトゥ欠けが生じ易い。一方、図5に示すように、ビード部3に有機繊維補強層11,12が配置されるものの、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iがビード部3のトゥ3t近傍に位置し、その内径側端部12iが他の補強層によって被覆されていない場合、外側の有機繊維補強層12の内径側端部12iを起点とするクラックが生じ難くなり、耐トゥ欠け性を十分に改善することができない。上述した本発明の実施形態からなる空気入りタイヤによれば、これら問題点を解消し、ビード部におけるトゥ欠けを効果的に抑制することができる。
上述した実施形態からなる空気入りタイヤは、単輪でのロードインデックスが121以上、又は、プライレーティングが10PR以上であると良い。このようなロードインデックス又はプライレーティングを有する空気入りタイヤは一般的に重荷重用タイヤである。本発明は、重荷重用空気入りタイヤにおいて顕著な効果を期待することができる。
タイヤサイズ275/70R22.5で、トレッド部と一対のサイドウォール部と一対のビード部とを備え、該一対のビード部間に複数本のスチールコードを含むカーカス層が装架され、該カーカス層が各ビード部のビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられ、各ビード部に複数本のスチールコードを含むスチール補強層がカーカス層を包み込むように配置された空気入りタイヤにおいて、ビード部の構造だけを異ならせた従来例1~4、比較例1~2及び実施例1~7のタイヤを製作した。
これら従来例1~4、比較例1~2及び実施例1~7のタイヤにおいて、有機繊維補強層の有無、内側有機繊維補強層の種類、内側有機繊維補強層の繊維構造、内側繊維補強層の内径側端部の位置、外側有機繊維補強層の種類、外側有機繊維補強層の繊維構造、外側繊維補強層の内径側端部の位置、外側有機繊維補強層による内側繊維補強層の内径側端部の被覆の有無、外側有機繊維補強層の内径側端部と内側有機繊維補強層の内径側端部との距離、ビードコアの距離A、トゥの角度θを表1のように設定した。
内側有機繊維補強層及び外側有機繊維補強層の種類について、補強材が一方向に引き揃えられた複数本の有機繊維コードである場合を「簾織り」とし、補強材が経糸と緯糸からなる平織り材である場合を「平織り」とした。内側有機繊維補強層の内径側端部の位置について、内径側端部が線分Jよりもタイヤ幅方向内側に位置する場合を「内側」とし、内径側端部が線分Jよりもタイヤ幅方向外側に位置する場合を「外側」とした。外側有機繊維補強層の内径側端部の位置について、内径側端部が線分Lよりもタイヤ径方向内側に位置する場合を「下側」とし、内径側端部が線分Lよりもタイヤ径方向外側に位置する場合を「上側」とした。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、耐セパレーション性(有機繊維補強層、カーカス層)、耐トゥ欠け性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
耐セパレーション性(有機繊維補強層、カーカス層):
各試験タイヤをそれぞれJATMAの規定リムに装着して、JATMAの規定空気圧の75%とし、JATMAの規定荷重の1.4倍を負荷し、走行速度49km/hの条件でドラム試験機にて走行試験を実施した。40,000km走行後、試験タイヤをタイヤ周方向に等間隔となる8箇所でタイヤ子午線に沿って切断し、両ビード部の8箇所の切断面(合計16箇所)において外側有機繊維補強層の内径側端部及びカーカス層の巻き上げ端部を起点とするクラックの断面方向長さをそれぞれ測定した。そして、外側有機繊維補強層の内径側端部及びカーカス層の巻き上げ端部を起点とするクラックの断面方向長さの総和をそれぞれ求めた。評価結果は、測定値の逆数を用い、有機繊維補強層及びカーカス層の各々について、従来例3を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、耐セパレーション性が優れていることを意味する。
各試験タイヤをそれぞれJATMAの規定リムに装着して、JATMAの規定空気圧の75%とし、JATMAの規定荷重の1.4倍を負荷し、走行速度49km/hの条件でドラム試験機にて走行試験を実施した。40,000km走行後、試験タイヤをタイヤ周方向に等間隔となる8箇所でタイヤ子午線に沿って切断し、両ビード部の8箇所の切断面(合計16箇所)において外側有機繊維補強層の内径側端部及びカーカス層の巻き上げ端部を起点とするクラックの断面方向長さをそれぞれ測定した。そして、外側有機繊維補強層の内径側端部及びカーカス層の巻き上げ端部を起点とするクラックの断面方向長さの総和をそれぞれ求めた。評価結果は、測定値の逆数を用い、有機繊維補強層及びカーカス層の各々について、従来例3を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、耐セパレーション性が優れていることを意味する。
耐トゥ欠け性:
各試験タイヤをそれぞれJATMAの規定リムに装着して、JATMAの規定空気圧の75%とし、JATMAの規定荷重の1.4倍を負荷し、走行速度49km/hの条件でドラム試験機にて走行試験を実施した。40,000km走行後、試験タイヤをリムから外すことと装着することを繰り返し、トゥ欠けが初めて発生したときの着脱回数を計測した。評価結果は、従来例1でのトゥ欠け発生時の着脱回数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、耐トゥ欠け性が優れていることを意味する。
各試験タイヤをそれぞれJATMAの規定リムに装着して、JATMAの規定空気圧の75%とし、JATMAの規定荷重の1.4倍を負荷し、走行速度49km/hの条件でドラム試験機にて走行試験を実施した。40,000km走行後、試験タイヤをリムから外すことと装着することを繰り返し、トゥ欠けが初めて発生したときの着脱回数を計測した。評価結果は、従来例1でのトゥ欠け発生時の着脱回数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、耐トゥ欠け性が優れていることを意味する。
表1から判るように、実施例1~7のタイヤは、従来例1~4に比べて耐トゥ欠け性が大幅に改善されており、しかも、耐セパレーション性は十分に確保されていた。従来例1のタイヤは、有機繊維補強層を備えていないため、加硫時のゴム流れに起因してカーカスラインの平衡化が達成されず、その結果として、カーカス層の巻き上げ端部にクラックが生じ易くなっていた。比較例1のタイヤは、外側有機繊維補強層の内径側端部と内側有機繊維補強層の内径側端部との距離が小さ過ぎるため、耐トゥ欠け性の改善効果が不十分であった。比較例2のタイヤは、外側有機繊維補強層の内径側端部が線分Lよりもタイヤ径方向外側に位置しているため、外側有機繊維補強層の内径側端部を起点とするクラックが発生し易いものであった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
3t トゥ
3b ビードベース
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
10 スチール補強層
10e 端部
11 内側の有機繊維補強層
11i 内径側端部
12 外側の有機繊維補強層
12i 内径側端部
2 サイドウォール部
3 ビード部
3t トゥ
3b ビードベース
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
10 スチール補強層
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11 内側の有機繊維補強層
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12i 内径側端部
Claims (4)
- タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ外径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間にカーカス層が装架され、該カーカス層が各ビード部のビードコアの廻りにタイヤ内側から外側へ巻き上げられ、各ビード部に複数本のスチールコードを含むスチール補強層が前記カーカス層を包み込むように配置された空気入りタイヤにおいて、
前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側に2層の有機繊維補強層が配置され、該2層の有機繊維補強層は前記スチール補強層に隣接する内側の有機繊維補強層と該内側の有機繊維補強層よりもタイヤ幅方向外側に位置する外側の有機繊維補強層を含み、
前記内側の有機繊維補強層の内径側端部は、前記ビードコアのタイヤ径方向内側に最も突出した頂点からビードベース表面に引いた法線からなる線分よりもタイヤ幅方向内側に位置し、
前記外側の有機繊維補強層は前記内側の有機繊維補強層の内径側端部を被覆するように配置され、前記外側の有機繊維補強層の内径側端部は、前記内側の有機繊維補強層の内径側端部から5mm以上離れており、かつ、前記スチール補強層のタイヤ幅方向外側の端部からタイヤ幅方向に引いた水平線からなる線分よりもタイヤ径方向内側に位置することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記内側の有機繊維補強層が一方向に引き揃えられた複数本の有機繊維コードを含み、該有機繊維コードの繊維構造が800dtex/2~1500dtex/2の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記内側の有機繊維補強層が経糸と緯糸からなる平織り材を含み、該平織り材の経糸と緯糸の繊維構造がそれぞれ200dtex/1~1000dtex/1の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ビードコアの幅方向外側に最も突出した頂点を通り前記ビードコアの最長辺に平行な直線に沿って測定される距離であって前記頂点からビードヒール位置までの距離Aが2.5mm~5.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
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JP2021108833A JP2023006300A (ja) | 2021-06-30 | 2021-06-30 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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2021
- 2021-06-30 JP JP2021108833A patent/JP2023006300A/ja active Pending
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
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