JP2022188688A - 電力変換ユニットおよび電力変換装置 - Google Patents

電力変換ユニットおよび電力変換装置 Download PDF

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Hisashi Morooka
亮 茂木
Akira Mogi
新太郎 武田
Shintaro Takeda
誠 阿部
Makoto Abe
央 上妻
Hiroshi Kamitsuma
欣也 中津
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Abstract

【課題】常温・常圧から逸脱した温度・気圧においても動作の信頼性が高く、封止樹脂中のボイドや封止樹脂の剥離が抑制されて高い電気絶縁性能が保たれる電力変換ユニット、および、それを備えた電力変換装置を提供する。【解決手段】電力変換ユニットUは、筐体5a,5bと、筐体5a,5bの内側の空間に配置された放熱板12と、放熱板12と熱的に接続された回路基板2と、回路基板2上に設けられたスイッチング素子1と、筐体5a,5bの内側の空間に充填された封止樹脂9と、を備え、回路基板2と封止樹脂9との間にガスバリア性の材料(20a,20b)を有する。電力変換装置は、このような電力変換ユニットUと、電力変換ユニットUに接続されており、電気的に接地されたフレームと、を備える。【選択図】図1B

Description

本発明は、電力変換ユニットおよび電力変換装置に関する。
近年の地球温暖化の防止の観点から、CO排出量を削減するために、化石燃料の使用量を減らす様々な取り組みが行われている。例えば、自動車については、動力源の電動化が行われており、モータを搭載したハイブリッド自動車や電気自動車の普及が進められている。化石燃料を使用していたエンジンを電動化すると、CO排出量が少なくなるため、地球温暖化の抑制に貢献することが期待されている。
モータの回転速度の制御には、電力変換装置が広く用いられている。電力変換装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車の他、その他の製品でも、モータの稼働効率の向上に必要不可欠となっている。一般に、電力変換装置は、電力を利用するモータや、電力を貯める蓄電池等の主機に対して、補機として備えられている。
現在、動力源としてのモータ、蓄電池等の普及に伴って、動力システムの小型化や軽量化が求められている。また、動力システムの重要なコンポーネントであるモータ、蓄電池等には、高電圧化や大容量化が要求されている。電力変換装置についても、出力密度の向上の観点や、設置上の制約を小さくする観点等から、小型化や軽量化が求められている。また、高電圧や大容量に対応した性能が求められている。
モータ、蓄電池等が普及すると、これらの機器は、必然的に様々な環境下で使用されるようになる。モータ、蓄電池等の普及に伴って、補機を含めた機器の使用環境も拡大することが想定される。そのため、電力変換装置には、小型化、軽量化や、高電圧や大容量に対応可能な性能だけでなく、様々な使用環境に対応できる性能が要求されてきている。
例えば、標高が100m高くなる毎に、気温は約0.6℃ずつ下がる。低温では、結露し易くなるため、標高が高い場所で電力変換装置を使用する場合、回路の短絡、回路素子の劣化や破損、材料の劣化や変質等が起こり易くなる。また、標高が高い場所では、気温だけでなく、気圧も低くなるため、電力変換装置には、標高が低い場所で使用する場合とは異なる性能が要求される。低気圧環境下では、パッシェンの法則にしたがって気中放電が起こり易くなることが知られている。
主機の高電圧化や大容量化に伴って、低温劣化、熱劣化、熱応力による機械的な破壊や、短絡、絶縁破壊等が生じ易い環境においても、所望の動作を長期間にわたって持続できるように、信頼性が高い設計の電力変換装置が望まれている。常温・常圧から逸脱した温度・気圧や、温度変化・気圧変化に対して耐性が高い設計であれば、同一仕様の装置を種々の環境で使用できるため、装置の量産性やコスト効率の改善が期待される。
特許文献1には、電力変換装置の小型化に関連する技術が記載されている。また、電力変換装置の筐体やプリント基板に用いられる一般的な樹脂材料について記載されている。
特開2020-178406号公報
現在、電力変換装置には、小型化、軽量化や、高電圧や大容量に対応可能な性能が要求されてきている。また、常温・常圧から逸脱した温度・気圧や、温度変化・気圧変化に対して耐性が高いことが求められている。気圧の低下や結露が生じ易い使用環境であっても、電気絶縁性が長期間確保されることが重要になっており、高い絶縁信頼性が求められている。
一般に、電力変換装置は、回路素子が実装された回路基板や、回路素子の熱を外部に放熱する放熱機構等を、筐体内に内蔵している。放熱機構としては、熱伝導性が高い材料で形成された放熱部材や、冷媒を循環させる熱交換機構等が、筐体の内部から外部に向けて伝熱経路を形成している。筐体の内部の空間には、回路素子、回路基板、放熱機構等を電気的に絶縁するために、電気絶縁性の封止樹脂(モールド樹脂)が充填されている。
封止樹脂に、空気、水分等の低分子量の成分が含まれていると、電力変換装置が低気圧環境下におかれた場合に、これらの成分が膨張・蒸発して、封止樹脂中にボイドを生じたり、封止樹脂と他の構成要素との間の隙間を拡大させたりする。また、電力変換装置が低温環境下におかれた場合、水分が結露し易いため、水分が筐体の内部の空間において局所的に集中し易くなる。
封止樹脂にボイドが生じたり、封止樹脂が回路基板等から剥離して隙間を生じたりすると、大電圧が印加された場合に、ボイドや隙間に電界が集中し、空隙内で放電が起こり易くなるため、封止樹脂による電気絶縁性が低下するという問題がある。特に、電力変換装置を低気圧環境下で使用する場合、パッシェンの法則にしたがって気中放電が起こり易くなるため、電気絶縁性が著しく低下する虞がある。
封止樹脂としては、未硬化の状態で流動性を示す熱硬化性樹脂のポッティング材が広く用いられている。通常、ポッティング材としては、ボイドや隙間を抑制するために、未硬化の状態で低粘度を示す材料が選択されている。また、筐体の内部の空間への充填時には、ボイドや隙間が生じないように、脱気したポッティング材が減圧条件下で充填されている。
しかし、このような充填法を用いた場合であっても、封止樹脂に含まれる空気、水分等の低分子量の成分を完全に除去することは困難である。また、筐体や回路基板には、軽量で加工性に優れるため、樹脂材料が用いられることがある。樹脂材料には、空気、水分等の低分子量の成分が含まれ得る。樹脂材料に含まれている低分子量の成分は、電力変換装置を低気圧環境下で使用する場合、気圧差によって封止樹脂の側に移行する虞がある。
特許文献1に記載された技術では、装置に内蔵された発熱部品を冷却するために、放熱に関係する構造を改良している。しかし、特許文献1に記載された装置は、内部から外部への放熱性は改善されるものの、低気圧環境下で使用する場合に、絶縁信頼性を確保できる対策が講じられていない。
そこで、本発明は、常温・常圧から逸脱した温度・気圧においても動作の信頼性が高く、封止樹脂中のボイドや封止樹脂の表面の隙間が抑制されて、高い電気絶縁性能が保たれる電力変換ユニット、および、それを備えた電力変換装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る電力変換ユニットは、筐体と、前記筐体の内側の空間に配置された放熱板と、前記放熱板と熱的に接続された回路基板と、前記回路基板上に設けられたスイッチング素子と、前記筐体の内側の空間に充填された封止樹脂と、を備え、前記回路基板と前記封止樹脂との間にガスバリア性の材料を有する。
また、本発明に係る電力変換装置は、前記の電力変換ユニットと、前記電力変換ユニットに接続されており、電気的に接地されたフレームと、を備える。
本発明によれば、常温・常圧から逸脱した温度・気圧においても動作の信頼性が高く、封止樹脂中のボイドや封止樹脂の表面の隙間が抑制されて、高い電気絶縁性能が保たれる電力変換ユニット、および、それを備えた電力変換装置を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る電力変換ユニットの斜視図である。 本発明の実施形態1に係る電力変換ユニットの断面図である。 スイッチング素子の熱を放熱する伝熱経路の構造を示す図である。 本発明の実施形態2に係る電力変換ユニットの断面図である。 本発明の実施形態2に係る電力変換ユニットを分割した状態を示す断面図である。 本発明の実施形態3に係る電力変換ユニットの断面図である。 本発明の実施形態4に係る電力変換ユニットの断面図である。 本発明の実施形態5に係る電力変換ユニットの断面図である。 本発明の実施形態6に係る電力変換ユニットの回路の一例を示す。 本発明の実施形態7に係る電力変換ユニットの斜視図である。 本発明の実施形態7に係る電力変換ユニットの断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る電力変換ユニット、および、それを備えた電力変換装置について、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において、共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
<<実施形態1>>
図1Aは、本発明の実施形態1に係る電力変換ユニットの斜視図である。図1Bは、本発明の実施形態1に係る電力変換ユニットの断面図である。図1Bは、図1AのI-I線の断面図に相当する。
図1Aおよび図1Bに示すように、本実施形態に係る電力変換ユニットUは、入力側の入力側ユニット(入力側電力変換部)14と、出力側の出力側ユニット(出力側電力変換部)15とによって構成されている。
電力変換ユニットUは、スイッチング素子1(図1B参照)、回路基板2、共振コンデンサ3(図8参照)、平滑コンデンサ4(図8参照)、筐体5a、5b、筐体蓋6a、6b、上部電極板7、下部電極板8、封止樹脂9、Oリング10、冷却路11、放熱板12等を備えている。
電力変換ユニットUは、空気、水分等の低分子量の成分に起因する封止樹脂9中のボイドや、これらの成分に起因して封止樹脂9が剥離して生じる封止樹脂9の表面の隙間を抑制するために、封止樹脂9と他の構成要素との間に、ガスバリア材(ガスバリア性の材料)20a,20bを備えている。
図1Aおよび図1Bに示すように、入力側ユニット14は、入力側の筐体5aと、筐体5aを閉じる入力側の筐体蓋6aを備えている。出力側ユニット15は、出力側の筐体5bと、筐体5bを閉じる入力側の筐体蓋6bを備えている。入力側の筐体5aおよび出力側の筐体5bは、それぞれ、一面が開口した形状に設けられている。入力側および出力側の筐体蓋6a,6bは、それらの開口を覆うように、開閉自在にねじ止めされている。
入力側の筐体5aおよび筐体蓋6aと、出力側の筐体5bおよび筐体蓋6bとは、電力変換ユニットUの外郭を形成している。電力変換ユニットUは、入力側ユニット14と出力側ユニット15との合わせ構造に設けられており、筐体蓋6a,6bを両外側にして突き合わされ、ボルトn1で互いに接合されている。
図1Bに示すように、入力側の筐体5aの内部および出力側の筐体5bの内部には、それぞれ、回路基板2が収容されている。回路基板2には、複数のスイッチング素子1、共振コンデンサ3(図8参照)、平滑コンデンサ4(図8参照)等の回路素子が実装されている。入力側ユニット14と出力側ユニット15とは、回路の構成要素、回路の放熱に関係する構成要素等が、互いに同様の構成要素で構成されている。
スイッチング素子1等の回路素子は、ユニットの作動中、それ自体の抵抗によってジュール熱を生じる発熱部品となる。回路上の発熱は、回路素子や材料に熱劣化、熱応力等を生じ、誤作動や経年劣化に繋がる。そのため、発熱部品が生じた熱は、入力側ユニット14と出力側ユニット15との間に設けられる冷却路11に放熱される。
スイッチング素子1は、回路基板2に対して、ボンディングワイヤやリードを介して電気的に接続されている。スイッチング素子1は、筐体5a,5bの内部の回路基板2よりも内側に配置されている。スイッチング素子1の回路基板2と反対側の面には、上部電極板7が接している。スイッチング素子1の端子は、上部電極板7に電気的に接続されている。
上部電極板7は、スイッチング素子1と共に回路を形成している。上部電極板7のスイッチング素子1と反対側の面には、放熱板12が接している。放熱板12の上部電極板7と反対側の面には、下部電極板8が接している。上部電極板7および下部電極板8は、電気伝導性であり、熱伝導性が高い材料で形成される。放熱板12は、電気絶縁性であり、熱伝導性が高い材料で形成される。下部電極板8は、接地電位とすることができる。
上部電極板7および放熱板12は、複数のスイッチング素子1のそれぞれに備えられている。上部電極板7および放熱板12は、筐体5a,5bの筐体蓋6a,6bと反対側の面を貫通するように配置されている。下部電極板8は、筐体5a,5bの筐体蓋6a,6bと反対側の面に設けられた凹部に配置されている。下部電極板8は、スイッチング素子1毎に備えられた放熱板12と接している。
スイッチング素子1と上部電極板7は、互いに積層されて熱的に接続されている。また、上部電極板7と放熱板12は、互いに積層されて熱的に接続されている。また、放熱板12と下部電極板8は、互いに積層されて熱的に接続されている。このような構成要素によって、発熱部品から冷却路11に向けて放熱する伝熱経路が形成されている。
放熱板12は、筐体5a、5bと一体成形されている。一体成形すると、放熱板12や筐体5a、5bの製造が容易になり、電力変換ユニットUの製造プロセスを短縮することができる。但し、放熱板12は、筐体5a、5bと別体として設けてもよい。
筐体5a、5bや筐体蓋6a、6bは、適宜の材料で形成することができる。筐体5a、5bや筐体蓋6a、6bの材料としては、ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ABS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を用いることができる。
筐体5a、5bや筐体蓋6a、6bの材料の線膨張係数は、隣接する部品からの剥離やクラックを防止する観点から、上部電極板7、下部電極板8および放熱板12の線膨張係数に近いことが好ましい。
放熱板12は、電気絶縁性であり、且つ、熱伝導性が高い材料である限り、適宜の材料で形成することができる。放熱板12の材料としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の無機物や、高熱伝導性の樹脂材料を用いることができる。高熱伝導性の樹脂材料としては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の熱伝導率が高いフィラを添加したエポキシ樹脂等が挙げられる。
電力変換ユニットUでは、電力変換機能を持つ電力変換部を、入力側ユニット14と、出力側ユニット15とに分けている。入力側ユニット14と出力側ユニット15は、冷却路11を挟んで対向して配置されている。このような構造によると、入力側ユニット14と出力側ユニット15との電気絶縁性や、各ユニットから冷却路11への放熱性が確保され易くなる。
入力側ユニット14の下部電極板8および出力側ユニット15の下部電極板8は、それぞれ、冷却路11の壁部を形成している。冷却路11には、発熱部品を除熱するための冷却媒体が流される。
冷却路11は、入力側ユニット14と出力側ユニット15との間に形成されており、入力側冷却路11aと出力側冷却路11bとによって構成されている。入力側冷却路11aは、入力側の筐体5aの筐体蓋6aと反対側の面に接するように設けられている。出力側冷却路11bは、出力側の筐体5bの筐体蓋6bと反対側の面に接するように設けられている。
入力側ユニット14と出力側ユニット15との接合面には、Oリング10が取り付けられている。Oリング10を設けると、冷却路11からの冷却媒体の漏洩を防止できる。
なお、図1B等において、下部電極板8は、冷却路11に接しているが、冷却路11に非接触で近接するように設けてもよい。例えば、冷却路11の壁部を形成する部材として、下部電極板8に代えて、熱伝導性が高い別の部材を用いることができる。このような部材を下部電極板8と冷却路11との間に配置して伝熱経路を形成することができる。
図2は、スイッチング素子の熱を放熱する伝熱経路の構造を示す図である。図2は、図1BのII線の矢視図に相当する。
図2に示すように、上部電極板7は、スイッチング素子1よりも幅広に設けられる。スイッチング素子1は、上部電極板7の中央寄りに配置される。また、放熱板12は、上部電極板7よりも幅広に設けられる。上部電極板7は、放熱板12の中央寄りに配置される。また、下部電極板8は、放熱板12よりも幅広に設けられる。
このような構造に設けると、スイッチング素子1からの熱が、順次、面積がより大きい構成要素に伝熱していく。スイッチング素子1から下部電極板8に向けて伝熱面積が拡大していくため、スイッチング素子1からの放熱性を向上させることができる。また、上部電極板7と下部電極板8との沿面距離が長くなるため、電極間の電気絶縁性を確保することができる。上部電極板7よりも幅広い放熱板12によって、上部電極板7と下部電極板8との絶縁と放熱を両立することができる。
図1Bに示すように、入力側ユニット14の筐体5aの内部や、出力側ユニット15の筐体5bの内部には、空間pが設けられる。筐体5a,5bの内部の空間pには、回路の構成要素、回路の放熱に関係する構成要素等が収容される。空間pの他の領域には、封止樹脂9が充填される。
封止樹脂9は、電気絶縁性の確保や、回路素子等の保護に作用する。封止樹脂9によって、回路基板2と筐体5a,5bとの間や、回路基板2と筐体蓋6a,6bとの間や、回路基板2の導体同士の間や、回路素子の周囲等が電気的に絶縁される。また、回路素子や配線等が、筐体5a,5bの外部から加わる外力や、トラッキングによる絶縁破壊や材料の劣化の要因となる水分、塵埃等から保護される。
封止樹脂9としては、電気的安定性、柔軟性、耐熱性、耐湿性、成形性等の点で、未硬化状態で流動性を有し、硬化後に流動性を持たないシリコーン系の樹脂が好ましい。シリコーン系の樹脂としては、オルガノポリシロキサンが挙げられる。封止樹脂9としては、例えば、シリコーンゲルや、シリコーンエラストマを用いることができる。
スイッチング素子1等の回路素子や、回路素子を電気的に接続するボンディングワイヤは、封止樹脂9とは異なる封止材で封止してもよい。例えば、ボンディングワイヤは、エポキシ樹脂等で封止することが好ましい。ボンディングワイヤが露出する構造の場合、弾性率が低く柔軟性が高い封止材を用いると、ワイヤの破損を防ぐことができる。
封止樹脂9としては、ボンディングワイヤよりも高い強度を有するリードで回路素子を電気的に接続する場合、応力による破損を考慮する必要がなくなることから、シリコーンゲルよりも弾性率が高いシリコーンエラストマを用いることが好ましい。接着性の高いシリコーンエラストマを用いることで、低気圧環境や低温環境であっても、気体の膨張によるボイドが生じ難く、さらに剥離し難いことから、部分放電を起こし難くなる。
一方、シリコーンゲルは、低気圧環境で、気体の膨脹によるボイドを生じ易い。また、低温環境で、結露を蓄積し易い。しかし、電力変換ユニットUでは、ガスバリア材20a,20bで酸素や水蒸気を遮断するため、シリコーンゲルを用いることもできる。封止樹脂9としてシリコーンゲルを用いると、低い弾性率が得られるため、スイッチング素子1等の回路素子や、回路基板2や、ボンディングワイヤ自体や、その接合部にかかる応力を、大きく緩和することができる。また、シリコーンゲルを用いると、柔軟性や密着性が高い封止樹脂9が得られる。
図1Bに示すように、封止樹脂9の周囲には、ガスバリア材(ガスバリア性の材料)20a,20bが備えられる。ガスバリア材20a,20bは、酸素、水蒸気等のガス透過性が低い樹脂材料によって、フィルム、薄膜等として設けられる。図1Bにおいて、入力側ユニット14には、入力側のガスバリア材20aが備えられている。出力側ユニット15には、出力側のガスバリア材20bが備えられている。
ガスバリア材20a,20bは、回路基板2と封止樹脂9との間や、筐体5a,5bと封止樹脂9との間や、筐体蓋6a,6bと封止樹脂9との間に介装することができる。すなわち、回路基板2と封止樹脂9との界面や、筐体5a,5bと封止樹脂9との界面や、筐体蓋6a,6bと封止樹脂9との界面に位置するように、相互に密着した状態に配置できる。
封止樹脂9は、空気、水分等の低分子量の成分を含んでいることがある。低分子量の成分は、低気圧環境下で、膨張や蒸発を起こす。そのため、これらの成分が封止樹脂9中に含まれていると、ユニットが低気圧環境下におかれた場合に、封止樹脂9中にボイドを生じることがある。また、封止樹脂と他の構成要素との間の隙間を拡大させて、封止樹脂9を他の構成要素の表面から剥離させる。封止樹脂が剥離すると、封止樹脂9と他の構成要素との間に大きな隙間を生じる。
また、ユニットが低温環境下におかれた場合、水分が結露するため、水分が筐体5a,5bの内部の空間において局所的に集中し易くなる。水分がスイッチング素子1等の回路素子や回路基板2の周辺に移行すると、トラッキングによる絶縁破壊が起こり易くなる。また、集中した水分が蒸発すると、ユニットが低気圧環境下におかれた場合に、ボイドや隙間を生じ易くなる。
封止樹脂9がボイドや隙間を生じると、大電圧が印加された場合に、ボイドや隙間に電界が集中し、これらの空隙内で放電が起こり易くなる。特に、ユニットが低気圧環境下におかれた場合、パッシェンの法則にしたがって気中放電が起こり易くなるため、封止樹脂9の内部や周囲で絶縁破壊が起こり易くなる。封止樹脂9による電気絶縁性が低下するため、長期的に求められる絶縁信頼性が損なわれるという問題がある。
封止樹脂9は、未硬化の状態で脱気しておくことにより、空気、水分等の低分子量の成分を予め除去しておくことも可能である。また、封止樹脂9は、空気、水分等が侵入しないように、減圧条件下で筐体5a,5bの内部に充填することも可能である。しかし、脱気したり減圧条件下で充填したりしても、封止樹脂9中に含まれる低分子量の成分を完全に除くことは容易ではない。これらの成分は、筐体5a,5bの内部の空間において局所的に集中して問題を起こす可能性がある。
また、筐体5a,5bや回路基板2等に樹脂材料が用いられる場合、樹脂材料中に空気、水分等の低分子量の成分が含まれていることがある。これらの成分が封止樹脂9中に含まれていると、ユニットが低気圧環境下におかれた場合に、気圧差によって拡散して、封止樹脂9中に移行する可能性がある。封止樹脂9中に移行した空気、水分等の低分子量の成分は、封止樹脂9にボイドや隙間を生じ、封止樹脂9による電気絶縁性を低下させる。
これに対し、ガスバリア材20a,20bを、回路基板2と封止樹脂9との間や、筐体5a,5bと封止樹脂9との間や、筐体蓋6a,6bと封止樹脂9との間に設けると、筐体5a,5bや回路基板2等に含まれていた酸素、水蒸気等のガスが、封止樹脂9の側に移行するのを防ぐことができる。また、封止樹脂9の脱気や、封止樹脂9の充填条件にかかわらず、封止樹脂9中に含まれていた水分や、筐体5a,5bの外部から内部に侵入した水分の結露を防止できる。筐体5a,5bの内部の空間において、結露が局所的に集中するのを防ぐことができる。
そのため、ユニットが低気圧環境下や低温環境下におかれた場合に、封止樹脂9がボイドや隙間を生じるのを抑制できる。封止樹脂9中のボイドや封止樹脂9の剥離が抑制され、封止樹脂9の内部や周囲で絶縁破壊が起こり難くなる。封止樹脂9による高い電気絶縁性能が長期間にわたって保たれるため、絶縁信頼性が高いユニットが得られる。また、常温・常圧から逸脱した温度・気圧においても、絶縁破壊による故障が起こり難く、動作の信頼性が高いユニットが得られる。
ガスバリア材20a,20bは、筐体5a,5bの内部に封止樹脂9を充填する前に、回路基板2の表面や、筐体5a,5bの内面や、筐体蓋6a,6bの内面に対し、貼付、圧着等によって配置することができる。
ガスバリア材20a,20bは、単層構造のフィルムまたは薄膜であってもよいし、積層構造のフィルムまたは薄膜であってもよい。ガスバリア材20a,20bとしては、酸素バリア性と水蒸気バリア性の両方を備えた材料、および、酸素バリア性を備えた材料と水蒸気バリア性を備えた材料との組み合わせのうち、いずれを用いることもできる。
酸素バリア性と水蒸気バリア性の両方を備えた材料としては、酸素のガス透過係数が、25℃において、0.001×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下、且つ、水蒸気のガス透過係数が300×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下の材料が挙げられる。このような材料を用いると、材料自体の酸素バリア性や水蒸気バリア性が高いため、酸素、水蒸気等のガスの拡散を、薄い層で効率的に抑制できる。
このような材料の具体例としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、MXDナイロン等や、これらの変性体が挙げられる。MXDナイロンは、メタ-キシレンジアミン(MXD)を縮合させたポリアミドであり、アジピン酸との縮合体であるポリアミドMXD-6や、その他の脂肪族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸等との縮合体や変性体が挙げられる。
酸素バリア性を備えた材料と水蒸気バリア性を備えた材料との組み合わせとしては、酸素のガス透過係数が、25℃において、0.001×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下の材料と、水蒸気のガス透過係数が、25℃において、300×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下の材料とが積層された材料が挙げられる。このような材料を用いると、層構成や各層厚さの自由度が大きくなる。
酸素のガス透過係数が0.001×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下の材料の具体例としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、MXDナイロンや、これらの単量体を含む変性体が挙げられる。
水蒸気のガス透過係数が300×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下の材料の具体例としては、前記の酸素バリア性を備えた材料や、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル(PEs)や、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)等のポリアミド(PA)や、ポリ塩化ビニル(PVC)や、これらの単量体を含む変性体が挙げられる。
ガスバリア材20a,20bの厚さは、特に限定されるものではないが、酸素バリア性や水蒸気バリア性を備えた材料について、例えば、300μm以上600μm以下に設けることができる。
ガスバリア材20a,20bは、酸素バリア性や水蒸気バリア性を備えた樹脂材料に加えて、基材や、強度、剛性、耐傷性、耐ピンホール性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐油性、耐薬品性等の他の機能性を示す保護層や、金属や無機物のガスバリア層や、材料同士を接着させる接着層等と共に多層化されてもよい。多層化の方法としては、材料に応じて、ラミネート法、共押出法、物理的・化学的成膜法等、適宜の方法を用いることができる。
ガスバリア材20a,20bの層構成は、特に限定されるものではないが、例えば、ガスバリア層(酸素・水蒸気)、ガスバリア層(酸素)/ガスバリア層(水蒸気)、基材(保護層)/ガスバリア層(酸素・水蒸気)、基材(保護層)/ガスバリア層(酸素)/ガスバリア層(水蒸気)、基材(保護層)/ガスバリア層(酸素・水蒸気)/基材(保護層)、基材(保護層)/ガスバリア層(酸素)/ガスバリア層(水蒸気)/基材(保護層)、基材(保護層)/接着層/ガスバリア層(酸素・水蒸気)/接着層/基材(保護層)等が挙げられる。
基材としては、前記の水蒸気バリア性を備えた材料の二軸延伸材、例えば、ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)や、これらの共重合体等のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル(PEs)や、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)等のポリアミド(PA)等の二軸延伸材を用いることができる。
なお、図1Bにおいて、ガスバリア材20a,20bは、回路基板2と封止樹脂9との間のうち、回路基板2のスイッチング素子1の側のみに介装されている。このような配置であると、大電圧が印加され易い回路素子に対する電気絶縁性を確保し、封止樹脂9のみで絶縁可能な反対側への介装を省略できる。しかし、ガスバリア材20a,20bは、回路基板2のスイッチング素子1の側に加え、回路基板2のスイッチング素子1と反対側に介装してもよい。
また、図1Bにおいて、ガスバリア材20a,20bは、回路基板2と封止樹脂9との間、筐体5a,5bと封止樹脂9との間、および、筐体蓋6a,6bと封止樹脂9との間に、それぞれ介装されている。しかし、ガスバリア材20a,20bは、少なくとも回路基板2と封止樹脂9との間に備えられる限り、筐体5a,5bと封止樹脂9との間や、筐体蓋6a,6bと封止樹脂9との間に備えられなくてもよい。これらの間には、大電圧が印加され難く、封止樹脂9のみで電気絶縁性が確保され易いためである。
<<実施形態2>>
図3は、本発明の実施形態2に係る電力変換ユニットの断面図である。図3は、図1AのI-I線の断面図に相当する。
図3に示すように、筐体5a,5bの内部の空間pには、封止樹脂9が充填されていない未充填部13を設けることができる。図3には、筐体5a,5bの内部の空間pに未充填部13を設けた電力変換ユニットU1を示す。電力変換ユニットU1の他の構成は、前記の電力変換ユニットUと略同様である。
未充填部13は、空気が存在してよいが、筐体5a,5bの外部に対して気密性が確保されることが好ましい。未充填部13は、回路基板2よりも筐体蓋6a,6bの側に形成することが好ましい。すなわち、未充填部13を形成する場合、回路基板2の筐体蓋6a,6bの側の面は、封止樹脂9で覆われることが好ましい。
未充填部13は、筐体5a,5bの内部の空間pに、未硬化の状態の封止樹脂9を中間の高さまで充填する方法で形成できる。未硬化の状態の封止樹脂9は、筐体5a,5bの内部の空間pに対し、回路基板2が位置する底部側に充填する。未硬化の状態の封止樹脂9を、回路基板2が埋没する高さ、且つ、筐体蓋6a,6bの側に空洞が残る高さまで充填して硬化させる。
未充填部13を設けると、スイッチング素子1等の発熱部品が生じた熱が封止樹脂9に伝熱し、封止樹脂9が熱膨張したとしても、封止樹脂9の一部が未充填部13に逃げることができる。膨張した封止樹脂9から、筐体5a,5bの内面、筐体蓋6a,6bの内面、回路基板2への押圧を抑制できるため、筐体5a,5b、筐体蓋6a,6b、回路基板2等の変形や破損、断線等を防ぐことができる。
なお、図3において、ガスバリア材20a,20bは、回路基板2と封止樹脂9との間、および、筐体5a,5bと封止樹脂9との間に介装されている。ガスバリア材20a,20bは、未充填部13には介装されていない。未充填部13では、封止樹脂9の剥離の問題が生じず、また、大電圧が印加され難いため、ガスバリア材20a,20bを省略できる。
図4は、本発明の実施形態2に係る電力変換ユニットを分割した状態を示す断面図である。
図4に示すように、入力側ユニット14と出力側ユニット15とは、分割自在な構造に設けることができる。入力側ユニット14と出力側ユニット15とは、電力変換ユニットU1の設置前、運転後等であっても、ボルトn1(図1A参照)を取り外して自在に分割できる。なお、図1Aおよび図1Bに示す電力変換ユニットUについても、同様の構造に設けることができる。
入力側ユニット14と出力側ユニット15を分割自在な構造に設けると、電力変換ユニットU1の組み立て後であっても、運転を終了した後等に、ユニット毎に絶縁性の試験を行うことができる。絶縁性が不良であることが確認されたユニットのみを交換できるため、コストや廃棄物を削減できる。
<<実施形態3>>
図5は、本発明の実施形態3に係る電力変換ユニットの断面図である。図5は、図1AのI-I線の断面図に相当する。
図5に示すように、封止樹脂9が充填されていない未充填部13には、水分を吸着する吸湿剤16を配置することができる。図5には、未充填部13に吸湿剤16を配置した電力変換ユニットU2を示す。電力変換ユニットU2の他の構成は、前記の電力変換ユニットU1と略同様である。
吸湿剤16としては、シリカゲル、ゼオライト、酸化カルシウム等を用いることができる。吸湿剤16は、筐体5a,5bの内部の空間に設けられた収納部16bに収納されている。収納部16bは、未充填部13に配置されており、封止樹脂9と同じ空間に位置している。収納部16bは、粒子状、粉末状等の吸湿剤16を収納するために、通気性を有する包装体、容器等として設けることができる。
吸湿剤16を未充填部13に配置すると、封止樹脂9が充填された空間の水分を吸着して除去することができる。未充填部13の水分が封止樹脂9中に移行するのを抑制できるため、ユニットが低気圧環境下や低温環境下におかれた場合に、封止樹脂9がボイドや隙間を生じるのを抑制することができる。ガスバリア材20a,20bを、回路基板2のスイッチング素子1と反対側に介装しなくとも、水分による影響を大きく低減することができる。
<<実施形態4>>
図6は、本発明の実施形態4に係る電力変換ユニットの断面図である。図6は、図1AのI-I線の断面図に相当する。
図6に示すように、筐体5a,5bと筐体蓋6a,6bとの接合面には、Oリング17を備えることができる。図6には、Oリング17を備えた電力変換ユニットU3を示す。電力変換ユニットU3の他の構成は、前記の電力変換ユニットU2と略同様である。
Oリング17を設けると、筐体5a,5bと筐体蓋6a,6bとの隙間における気密性が向上するため、筐体5a,5bの外部から内部への空気、水分等の侵入を抑制できる。筐体蓋6a,6bを開閉自在な構造に設けた場合であっても、筐体蓋6a,6bを閉じた状態において、吸湿剤16や封止樹脂9の急速な吸湿を防ぐことができる。そのため、封止樹脂9がボイドや隙間を生じるのを長期間にわたって抑制できる。
<<実施形態5>>
図7は、本発明の実施形態5に係る電力変換ユニットの断面図である。図7は、図1AのI-I線の断面図に相当する。
図7に示すように、電力変換ユニットU1の外側には、盤内フレーム18を配置することができる。電力変換ユニットU1と、電力変換ユニットU1に電気的に接続された盤内フレーム18と、によって電力変換装置Sが構成される。
盤内フレーム18は、入力側ユニット14の外側と出力側ユニット15の外側に配置されている。盤内フレーム18は、板状の部材等として設けられ、電気的に接地される。盤内フレーム18は、電気伝導性が高い材料で形成し、下部電極板8と電気的に接続することができる。盤内フレーム18を設けると、電力変換ユニットU1に触れた場合に、感電を防ぐことができる。
なお、図7において、盤内フレーム18には、単一の電力変換ユニットU1が接続されているが、複数の電力変換ユニットU1を接続してもよい。盤内フレーム18は、複数個を列状、格子状等に組み立て、複数の電力変換ユニットU1を接続することもできる。盤内フレーム18は、電力変換ユニットU1を収容ないし支持する構造に設けることができる。
電力変換装置Sは、複数の電力変換ユニットU1と、電力変換ユニットU1を収容して支持する盤内フレーム18と、を備えることができる。電力変換装置Sは、複数の電力変換ユニットU1が、互いに直列または並列に電気的に接続された構成とすることができる。このような電力変換装置Sによると、高電圧化や大容量化がなされたモータ、蓄電池等の主機に接続する場合に、高電圧や大容量に対応可能な性能を容易に実現できる。
図7には、電力変換ユニットU1を備える電力変換装置Sを示したが、図1Aおよび図1Bに示す電力変換ユニットU、図5に示す電力変換ユニットU2、図6に示す電力変換ユニットU3についても、同様の電力変換装置Sを構成することができる。電力変換装置Sを構成する各ユニットにおいて、ガスバリア材20a,20bは、少なくとも回路基板2と封止樹脂9との間に備えられる限り、筐体5a,5bと封止樹脂9との間や、筐体蓋6a,6bと封止樹脂9との間に備えられなくてもよい。
<<実施形態6>>
図8は、本発明の実施形態6に係る電力変換ユニットの回路の一例を示す。
図8に示すように、入力側ユニット14および出力側ユニット15には、入力側回路Uaと出力側回路Cbで構成される電力変換回路Cを内蔵できる。入力側回路Caと出力側回路Cbとは、高周波トランス19を介して電磁気的に結合している。
前記の電力変換ユニットU,U1,U2,U3は、AC/DC変換を行う機能を備えることができる。入力側回路Caと出力側回路Cbと高周波トランス19は、AC-DCコンバータと共振形のDC-DCコンバータを形成している。高周波トランス19は、筐体5a,5bの内部の空間に収容することができる。
入力側回路Caは、第1ブリッジ回路部1aや、第2ブリッジ回路部1bや、共振コンデンサ3や、平滑コンデンサ4や、高周波トランス19の一次コイルを備えている。出力側回路Cbは、第3ブリッジ回路部1cや、平滑コンデンサ4や、高周波トランス19の二次コイルを備えている。
ブリッジ回路部1a,1b,1cは、それぞれ、スイッチング素子1と、逆並列に接続された還流ダイオードによって、フルブリッジ型回路として形成されている。スイッチング素子1としては、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、GaN、Si、SiC等の半導体素子を用いることができる。
第1ブリッジ回路部1aは、入力側回路Caの入力側の正負端子間に電気的に接続されている。第1ブリッジ回路部1aには、平滑コンデンサ4が並列に接続されている。入力側回路Caの平滑コンデンサ4には、第2ブリッジ回路部1bが並列に接続されている。第2ブリッジ回路部1bの中点には、共振回路が並列に接続されている。
共振回路は、高周波トランス19の一次コイルと、共振コンデンサ3を備えている。高周波トランス19の一次コイルは、入力側回路Caの正負端子間に電気的に接続されている。高周波トランス19の二次コイルは、出力側回路Cbの正負端子間に電気的に接続されている。
高周波トランス19の二次コイルには、第3ブリッジ回路部1cの中点が並列に接続されている。第3ブリッジ回路部1cには、平滑コンデンサ4が並列に接続されている。出力側回路Cbの平滑コンデンサ4は、出力側回路Cbの出力側の正負端子間に電気的に接続されている。
第1ブリッジ回路部1aには、電源から交流電流が入力される。入力された交流電流は、全波整流されて直流電流に変換される。第2ブリッジ回路部1bでは、直流電流が方形波等の交流電流に変換される。高周波トランス19は、交流電流を高周波に変換する。共振コンデンサ3は、共振によりスイッチング時の電流・電圧を下げて、スイッチング損失を低減する。第3ブリッジ回路部1cでは、交流電流が直流電流に変換される。
図8に示す回路によると、共振形のDC-DCコンバータによってスイッチング損失が低減されるため、周波数が高い場合であっても、電力の損失を抑制しつつAC/DC変換することができる。また、電力の損失を抑制して高周波数に変換できるため、高周波トランス19に大型のコアを用いる必要がなく、トランスの小型化が可能になる。そのため、ユニットの小型化および軽量化を図ることができる。
<<実施形態7>>
図9は、本発明の実施形態7に係る電力変換ユニットの斜視図である。図10は、本発明の実施形態7に係る電力変換ユニットの断面図である。
図9および図10に示すように、ユニットの外郭を形成する筐体および筐体蓋は、樹脂で形成された多孔質とすることができる。図9および図10には、樹脂で形成された多孔質の外郭を備えた電力変換ユニットU4を示す。電力変換ユニットU4は、電力変換装置Sを構成したり、図8に示す回路を備えたりすることができる。
電力変換ユニットU4において、入力側ユニット14は、入力側の筐体5cと、筐体5cを閉じる入力側の筐体蓋6cを備えている。出力側ユニット15は、出力側の筐体5dと、筐体5dを閉じる入力側の筐体蓋6dを備えている。入力側の筐体5cおよび出力側の筐体5dは、それぞれ、一面が開口した形状に設けられている。入力側および出力側の筐体蓋6c,6dは、それらの開口を覆うように取り付けられている。
筐体6c,6dの一面には、冷却管用の貫通孔21が設けられている。貫通孔21からは、冷却管22が、筐体6c,6dの内部から外部に引き出されている。冷却管22は、筐体6c,6dの内部において、冷却路形成部材23に接続している。冷却路形成部材23の内部には、冷却路11が形成されている。冷却路形成部材23は、熱伝導性が高い材料で形成される。
冷却路形成部材23は、下部電極板8の放熱板12と反対側の面に接している。下部電極板8と冷却路形成部材23は、互いに積層されて熱的に接続されている。冷却路形成部材23の内部の冷却媒体は、筐体6c,6dの外部との間で、冷却管22を通じて循環される。
このような構成要素によって、スイッチング素子1等の発熱部品が生じた熱を筐体6c,6dの外部に向けて放熱する伝熱経路が形成される。冷却管22を用いた放熱機構によると、筐体6c,6dの外部に向けて強制的な放熱が可能になる。
筐体6c,6dには、冷却管22が挿通される貫通孔21と同様に、電極から外部端子を引き出す不図示の貫通孔が設けられる。外部端子用の貫通孔は、例えば、冷却管用の貫通孔21と反対側の面に設けることができる。
このような冷却管用の貫通孔21や、外部端子用の貫通孔を設けると、筐体5c,5dおよび筐体蓋6c,6dで形成される外郭のうち、冷却管用の貫通孔21や、外部端子用の貫通孔を除いた領域を、断熱性や気密性が高い多孔質の構造に設けることができる。
筐体5c,5dおよび筐体蓋6c,6dは、電気抵抗率が高い樹脂で形成される。筐体5c,5dおよび筐体蓋6c,6dは、樹脂マトリクス中の気孔が主として閉気孔(独立気泡)で構成された多孔質とされる。筐体5c,5dの内部の空間は、冷却管用の貫通孔21や、外部端子用の貫通孔を除いて、気密性の構造に設けられる。
多孔質の筐体5c,5dおよび筐体蓋6c,6dは、例えば、樹脂を発泡させた硬質フォーム状の発泡体や、樹脂マトリクス中に気孔を分散させた成形体として形成することができる。筐体5c,5dおよび筐体蓋6c,6dは、内部への温度や気圧の影響を小さくするために、主として閉気孔を有するが、一部に開気孔を有してもよい。
多孔質の筐体5c,5dおよび筐体蓋6c,6dを形成する方法としては、原料樹脂中にガス生成反応や熱分解反応でガスを発生させる方法、原料樹脂中にガスを注入して気孔を分散させる方法、原料樹脂を攪拌・剪断して気孔を分散させる方法、原料樹脂中にポロジェンを分散させて硬化後の略閉気孔から離脱させる方法、原料樹脂中に中空構造のフィラを分散させる方法、原料樹脂中に高嵩密度のフィラを分散させて攪拌・剪断して気孔を分散させる方法等、適宜の方法を用いることができる。
筐体5c,5dおよび筐体蓋6c,6dの材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。
中空構造のフィラとしては、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン等や、アルミナ、ジルコニア、カーボン、フライアッシュ、シラス、パーライト等で形成された中空構造の無機フィラや、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン-アクリル樹脂等で形成された中空構造の有機フィラ等を用いることができる。高嵩密度のフィラとしては、例えば、フレーク状、多孔質状、繊維状等のフィラが挙げられる。
このような多孔質の外郭を形成すると、非多孔質である外郭の場合と比較して、ユニットを軽量化することができる。また、断熱性や気密性が高い構造になるため、ユニットが置かれる外部環境の常温・常圧から逸脱した温度・気圧や、温度変化・気圧変化に対して高い耐性が得られる。筐体内の内部環境は、外部環境の温度・気圧に影響され難くなるため、装置が置かれる外部環境に対して内部環境が平常に保たれ易くなり、外部環境を原因とする低温劣化、熱劣化、熱応力や、低気圧下の放電による短絡、絶縁破壊等を生じ難くすることができる。
このような多孔質の外郭を形成した場合、ガスバリア材20a,20bは、回路基板2と封止樹脂9との間や、多孔質である筐体5c,5dと封止樹脂9との間や、多孔質である筐体蓋6c,6dとの間に介装することができる。筐体5c,5dや筐体蓋6c,6dを形成する樹脂材料中には、空気、水分等の低分子量の成分が含まれていることがある。しかし、ガスバリア材20a,20bを設けると、酸素、水蒸気等のガスが、封止樹脂9の側に移行するのを防ぐことができる。筐体5c,5dや筐体蓋6c,6dは、容積が大きいため、非多孔質である外郭の場合と比較して、ガスバリア性が大きく作用する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、技術的範囲を逸脱しない限り、様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成に他の構成を加えたりすることが可能である。また、或る実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、構成の削除、構成の置換をすることも可能である。
例えば、前記の電力変換ユニットにおいて、回路の構成要素、回路の放熱に関係する構成要素は、各図に図示されている。しかし、これらの構成要素の配置、構成等は、図示される形態に限定されるものではない。これらの構成要素は、電力変換の機能、電気絶縁の機能、放熱の機能等が損なわれない限り、適宜の配置、構成とすることができる。
前記の電力変換ユニットにおいて、冷却媒体を供給および排出する経路や、回路と電気的に接続される入出力端子は、筐体の適宜の場所に設けることができる。また、前記の電力変換ユニットは、AC/DC変換を行う構成とされているが、DC/AC変換、電圧、電流、周波数等の他の変換を行う装置とされてもよい。また、AC/DC変換を行う回路は、図8に示す回路に限定されるものではない。
1 スイッチング素子
2 回路基板
3 共振コンデンサ
4 平滑コンデンサ
5a、5b,5c,5d 筐体
6a、6b,6c,6d 筐体蓋
7 上部電極板
8 下部電極板
9 封止樹脂
10 Oリング
11 冷却路
12 放熱板
13 未充填部
14 入力側ユニット(入力側電力変換部)
15 出力側ユニット(出力側電力変換部)
16 吸湿剤
16b 収納部
17 Oリング
18 盤内フレーム
19 高周波トランス
20a,20b ガスバリア材(ガスバリア性の材料)
21 貫通孔
22 冷却管
23 冷却路形成部材
U,U1,U2,U3,U4 電力変換ユニット
S 電力変換装置

Claims (10)

  1. 筐体と、前記筐体の内側の空間に配置された放熱板と、前記放熱板と熱的に接続された回路基板と、前記回路基板上に設けられたスイッチング素子と、前記筐体の内側の空間に充填された封止樹脂と、を備え、
    前記回路基板と前記封止樹脂との間にガスバリア性の材料を有する電力変換ユニット。
  2. 請求項1に記載の電力変換ユニットにおいて、
    前記筐体と前記封止樹脂との間または前記筐体を閉じる筐体蓋と前記封止樹脂との間にガスバリア性の材料を有する電力変換ユニット。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電力変換ユニットにおいて、
    前記ガスバリア性の材料は、酸素のガス透過係数が0.001×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下、且つ、水蒸気のガス透過係数が300×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下の材料を含む電力変換ユニット。
  4. 請求項1に記載の電力変換ユニットにおいて、
    前記ガスバリア性の材料は、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、または、MXDナイロンを含む電力変換ユニット。
  5. 請求項1に記載の電力変換ユニットにおいて、
    前記ガスバリア性の材料は、酸素のガス透過係数が0.001×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下の材料と、水蒸気のガス透過係数が300×10-10cm(STP)cm/(cm・s・cmHg)以下の材料とが積層された材料を含む電力変換ユニット。
  6. 請求項1に記載の電力変換ユニットにおいて、
    前記封止樹脂は、シリコーンゲルまたはシリコーンゴムである電力変換ユニット。
  7. 請求項1に記載の電力変換ユニットにおいて、
    前記筐体の内部の空間に前記封止樹脂が充填されていない未充填部が形成されている電力変換ユニット。
  8. 請求項7に記載の電力変換ユニットにおいて、
    前記未充填部に吸湿剤が配置されている電力変換ユニット。
  9. 請求項1に記載の電力変換ユニットにおいて、
    前記筐体は、閉気孔で構成された多孔質である電力変換ユニット。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電力変換ユニットと、前記電力変換ユニットに接続されており、電気的に接地されたフレームと、を備える電力変換装置。
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