JP2022172615A - 剥離フィルム付き粘着シートおよびその利用 - Google Patents

剥離フィルム付き粘着シートおよびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】2枚の剥離フィルムで各面が保護された剥離フィルム付き両面接着性の粘着シートから一方の剥離フィルムを剥離して、一方の粘着面を被着体に貼り付けた後、2枚目の剥離フィルムを粘着シートから剥離する際に、上記一方の粘着面と上記被着体との接着面に欠陥が発生することを防止できる剥離フィルム付き粘着シートを提供すること。【解決手段】剥離フィルム付き粘着シートは、粘着剤層を備える両面接着性の粘着シートと、粘着シートの第一粘着面上に配置された第一剥離フィルムと、粘着シートの第二粘着面上に配置された第二剥離フィルムと、を備える。また、剥離フィルム付き粘着シートは、第一剥離フィルムを第一粘着面から剥がし、該第一粘着面にシクロオレフィンポリマーフィルムを貼り合わせた後、第二剥離フィルムを、所定の条件で第二粘着面から剥がしたときの剥離力が0.03N/50mm以上1N/50mm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、剥離フィルム付き粘着シート、および、該粘着シートを含む構造体に関する。
一般に、粘着剤(感圧接着剤ともいう。以下同じ。)は、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する。このような性質を活かして、粘着剤は、例えば、支持基材上に粘着剤層を有する基材付き粘着シートの形態で、あるいは支持基材のない基材レス粘着シートの形態で、家電製品から自動車、OA機器等の各種産業分野において広く利用されている。近年では、液晶表示装置や有機EL(electroluminescence)表示装置、タッチパネルディスプレイ等を有するスマートフォンその他の電子機器における部材の接合や固定、保護等を目的として、粘着シートは用いられている。かかる用途に用いられる両面粘着テープに関する技術文献として特許文献1~2が挙げられる。
特開2017-57382号公報 特開2019-35092号公報
スマートフォン等の電子機器に利用される移動通信技術は、急速に進歩しており、最新の第5世代(5G)移動通信システムは、より高速大容量の通信、低遅延、多数同時接続を実現するものとして、普及が進んでいる。かかる移動通信システムでは、Sub6(周波数3~5GHz)、さらにはミリ波帯(周波数24GHz超)の電波が利用されている。ミリ波帯や、あるいは、そのダウンコンバートを想定した周波数帯の電波通信に用いられるデジタル通信用アンテナでは、高周波数帯でのアンテナ性能の低下や損失を極力避けるため、従来のアンテナと異なる構成が採用され得る。上記高速大容量を可能とするアンテナの構成例として、例えば、ガラス板等の透明部材と、銅等の金属から形成されたアンテナ部材をその上に配置した有機部材(典型的には、シクロオレフィンポリマー(COP)や液晶ポリマー(LCP)等から形成された有機板)とを積層した構造や、透明部材/アンテナ部材/有機部材の積層構造、あるいは、部材の配置を逆にした構造(有機部材/アンテナ部材/透明部材)、さらには両者を組み合わせた積層構造(透明部材/アンテナ部材/有機部材/アンテナ部材/透明部材)等が検討されている。
上記アンテナの形成に用いられる接合固定手段についても、アンテナ性能への影響が高度に制御されたものを用いることが望ましい。例えば、ガラス板と有機板との積層は、異種材料の貼合せとなるため、その接合に用いられ得る粘着剤は、両者に対して接着信頼性よく均質に密着する性能が求められる。接着不良が生じたり、接着面に空気等が混入した場合には、アンテナ通信に用いられる電波が影響を受け、通信障害の原因になるおそれがある。
上記アンテナ形成用接合手段として粘着シートを利用する場合、その使用態様として、2枚の剥離フィルムで各粘着面が保護された両面接着性の粘着シートから、1枚目の剥離フィルムを剥離して一方の粘着面を露出させて、該粘着面を、例えば、COP等の有機板(その表面にアンテナ部材が配置されたものであり得る。)に貼り付けた後、2枚目の剥離フィルムを剥離して他方の粘着面を露出させ、ガラス板等の透明部材に貼り付ける態様が想定される。この態様において、粘着シートの一方の粘着面を有機板の表面に貼り付けた後、2枚目の剥離フィルムを粘着シートから剥離するときに、その剥離操作時の外力によって、すでに接着された粘着シートと有機板との接着面に、浮きや、目視でわかるような気泡等の欠陥が生じてはならない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、2枚の剥離フィルムで各面が保護された剥離フィルム付き両面接着性の粘着シートから一方の剥離フィルムを剥離して、一方の粘着面を被着体に貼り付けた後、2枚目の剥離フィルムを粘着シートから剥離する際に、上記一方の粘着面と上記被着体との接着面に浮きや気泡等の欠陥が発生することを防止できる剥離フィルム付き粘着シートを提供することを目的とする。関連する他の目的は、そのような粘着シートを用いた構造体を提供することである。
この明細書によると、剥離フィルム付き粘着シートが提供される。この剥離フィルム付き粘着シートは、粘着剤層を備える両面接着性の粘着シートと、前記粘着シートの第一粘着面上に配置された第一剥離フィルムと、前記粘着シートの第二粘着面上に配置された第二剥離フィルムと、を備える。また、上記剥離フィルム付き粘着シートは、前記第一剥離フィルムを前記第一粘着面から剥がし、該第一粘着面にシクロオレフィンポリマーフィルムを貼り合わせた後、前記第二剥離フィルムを、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で前記第二粘着面から剥がしたときの剥離力が0.03N/50mm以上1N/50mm以下である。上記の構成によると、第一および第二の剥離フィルムで各粘着面が保護された両面接着性の粘着シートから第一剥離フィルムを剥離して、第一粘着面を被着体に貼り付けた後、第二剥離フィルムを粘着シートの第二粘着面から剥離する際に、第二剥離フィルムの第二粘着面からの剥離力が所定の範囲にあるので、上記第一粘着面と上記被着体との接着面に浮きや気泡等の欠陥が発生することを防止しながら、第二剥離フィルムを粘着シートから剥離できる。上記第二剥離フィルムの第二粘着面からの剥離力の評価に先立って、第一粘着面に貼り付けられる被着体材料としてのシクロオレフィンポリマー(COP)は、一般に接着性を得にくい非極性材料の典型例であり、第二剥離フィルムの剥離時に、上記COPフィルムに対して浮きなく良好な接着状態を保持できる粘着剤層は、種々の被着体に対しても良好な接着状態を保持し得る。
いくつかの好ましい態様では、前記第二剥離フィルムの前記第二粘着面からの剥離力Rが、前記第一剥離フィルムの前記第一粘着面からの剥離力Rよりも大きい。第二剥離フィルム(重剥離側)の第二粘着面からの剥離力Rを、第一剥離フィルム(軽剥離側)の第一粘着面からの剥離力Rよりも大きくなるよう設計することにより、第一剥離フィルム剥離時の泣き別れを防止することができる。ここで「泣き別れ」とは、両面接着性の粘着シートの各面(両面)がそれぞれ剥離フィルムで保護された形態の剥離フィルム付き粘着シートにおいて、粘着シートの一方の表面(粘着面)から該一方の表面を覆う剥離フィルムを除去する際に、該粘着シートの他方の表面(粘着面)が該他方の表面を覆う剥離フィルムから持ち上がる現象をいう。泣き別れが発生してしまうと、被着体への貼り付け時にシワが発生するなど、上記被着体との接着面に浮き等の欠陥が生じる場合があり、望ましくない。ここに開示される技術によると、第一剥離フィルムの剥離時に泣き別れを防止でき、かつ、第二剥離フィルムの剥離時に、第一粘着面と被着体との接着面に浮きや気泡等の欠陥が発生することを防止できる。なお、上記剥離力Rは、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で測定される。また、上記第二剥離フィルムの第二粘着面からの剥離力Rと、第一剥離フィルムの第一粘着面からの剥離力Rとの剥離力差(R-R)は、0.01N/50mm以上0.5N/50mm以下の範囲にあることがより好ましい。第二剥離フィルム(重剥離側)と第一剥離フィルム(軽剥離側)の剥離力差を上記の範囲とすることにより、第一および第二の剥離フィルムは、良好な剥離性を有しつつ、剥離フィルム剥離時の泣き別れをより確実に防止することができる。
いくつかの好ましい態様では、前記粘着シートの少なくとも前記第一粘着面は、シクロオレフィンポリマーフィルムに対する粘着力(対COP粘着力)が3N/20mm以上20N/20mm以下である。上記対COP粘着力が3N/20mm以上であることで、被着体(例えばCOPフィルム等の有機板)に接着信頼性よく密着することができる。そのような粘着シートは、接着面に微小な気泡等が存在しない優れた接着状態を実現し得る。かかる粘着力を有する構成に対して、ここに開示される技術による効果(第二剥離フィルムの剥離時に、第一粘着面と被着体との接着面に欠陥が発生することを防止する効果)は好ましく発揮される。また、上記対COP粘着力が20N/20mm以下であることにより、被着体への貼付け直後に貼り直しがしやすく、また、良好なリワーク性が得られやすい。
いくつかの好ましい態様では、前記粘着剤層は、23℃、55%RH、周波数1MHzにおける比誘電率が1.1よりも大きく4以下である。比誘電率が1.1よりも大きい粘着剤は、良好な粘着力を発揮しやすい。また、比誘電率が4以下である粘着剤によると、電力損失が抑制される。このことは、例えばアンテナ形成用途などアンテナの近傍で使用される態様において、粘着シートがアンテナ性能を阻害しないものとなり得る点で有利である。
いくつかの好ましい態様では、前記粘着シートは、JIS Z 0208に準じて40℃、90%RHの条件で測定される透湿度が300g/(m・day)以下である。透湿度が所定値以下となるよう設計することにより、粘着シートは低い誘電率を保持しやすい。上記透湿度を有する粘着シートは、電力損失が少ない。このことは、例えばアンテナ形成用途などアンテナの近傍で使用される態様において、粘着シートがアンテナ性能を阻害しないものとなり得る点で有利である。
いくつかの態様では、前記粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤またはポリエステル系粘着剤から選択される。上記種類の粘着剤を用いることにより、ここに開示される技術による効果を発揮する構成が得られやすい。例えば、COPフィルム等の非極性被着体に対して十分な粘着力を有し、また、低誘電率を有する粘着シートは、上記種類の粘着剤を用いて好ましく作製され得る。いくつかの好ましい態様では、上記粘着剤として、ゴム系粘着剤が用いられる。
いくつかの好ましい態様では、前記粘着剤層は、60℃における貯蔵弾性率G′が1.0×10Pa以下である。上記範囲の貯蔵弾性率G′を有する粘着剤を使用することにより、長期にわたって良好な接着状態を維持しやすい。また、例えば、上記粘着剤を用いて硬質部材を接合した携帯電子機器は、落下時等に衝撃を受けた場合であっても、当該衝撃によっても粘着剤の接着面に微小な気泡等が生じにくく、密着した接着状態を維持しやすい。このことは、例えばアンテナ形成用途などアンテナの近傍で使用される態様において、接着界面に気泡が存在するなどしてアンテナ性能が阻害されることを防止し得る点で有利である。
いくつかの好ましい態様では、前記粘着剤層は、ベースポリマーとして、酸性基含有モノマーが実質的に共重合されていないポリマーを含む。粘着剤層のベースポリマーとして、酸性基含有モノマーが共重合されていないポリマーを用いることにより、低誘電率を有する粘着剤を形成しやすい。上記ベースポリマーは、酸性基および水酸基を実質的に含まれないことがより好ましい。
いくつかの好ましい態様では、前記粘着シートは、60℃、95%RHの環境に1週間放置した後に測定される表面抵抗値SR1の、初期表面抵抗値SR0に対する表面抵抗値上昇率(%):(SR1-SR0)/SR0×100;が10%未満である。上記表面抵抗上昇率が10%未満である粘着シートは、銅等の金属を腐食しにくい。そのため、例えばアンテナ部材の接合や固定に用いた場合に、アンテナ部材を構成する金属を腐食せず、長期にわたってアンテナ性能を阻害しないものとなりやすい。
いくつかの好ましい態様では、前記粘着シートの全光線透過率は50%以上である。上記の透過性を有する粘着シートは、被着体に貼り合わせる際に、粘着シート越しに被着体への貼付け位置を確認することができるので、貼り損ないが生じにくい。また、粘着シート越しに被着体との貼り合わせ具合を目視で確認しながら、粘着シートを被着体に貼り付けることができるので、浮きや気泡等の欠陥のない貼り合わせを実現しやすい。
いくつかの好ましい態様では、前記粘着シートは、荷重500g、23℃、1時間の条件で実施される保持力試験におけるズレ距離が1mm以下である。上記保持力特性を有する粘着シートによると、被着体への貼付け形態にかかわらず、剥がれやズレが生じにくく、優れた接着信頼性を実現しやすい。
ここに開示される粘着シートは、上記のようにアンテナ性能を阻害しないものであり得るので、アンテナの形成や、アンテナの接合または固定用途(まとめてアンテナ用途ともいう。)に好適であり、特に5G移動通信システムに用いられるアンテナ用途に好適である。例えば、アンテナ部材と他の部材との接合固定用途に好ましく用いられ得る。上記アンテナは、例えば、ガラス板等の透明部材と、COP等の有機部材とを有する構造体であり、上記透明部材と有機部材との接合に、ここに開示される粘着シートは好適である。上記構造体(アンテナ構造体ともいう。)において、アンテナ部材は、典型的には、上記透明部材および有機部材の間に配置されている。ここに開示される粘着シートは、異種材料を接合する態様においても良好な接着信頼性を発揮し、被着体に対し密着し得るので、アンテナ性能を阻害しにくい優れた接合手段となり得る。したがって、この明細書によると、透明部材と、有機部材と、該透明部材および該有機部材の間に配置されたアンテナ部材と、を有する構造体が提供される。この構造体において、前記透明部材および前記有機部材は、ここに開示されるいずれかの粘着シートによって接合されている。そのような構造体は、例えば、透明部材と、アンテナ部材を配置したCOP等の有機部材(基材ともいう。)とを積層した構造、換言すれば、透明部材/アンテナ部材/有機部材の積層構造を有するものであってもよく、より具体的には、例えば、透明部材と、ここに開示されるいずれかの粘着シートと、アンテナ部材と、有機部材とをこの順で有する積層体であってもよい。あるいは、構造体は、上記の部材配置を逆にした構造(有機部材/アンテナ部材/透明部材)を有するものでもよく、さらには両者を組み合わせた積層構造(透明部材/アンテナ部材/有機部材/アンテナ部材/透明部材)を有するものでもよい。
一実施形態に係る剥離フィルム付き粘着シートを示す模式的断面図である。 粘着シートを含む構造体を示す模式的断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品(粘着シート、構造体)のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
本明細書において「粘着剤」とは、前述のように、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料をいう。ここでいう粘着剤は、「C. A. Dahlquist, “Adhesion : Fundamentals and Practice”, McLaren & Sons, (1966) P. 143」に定義されているとおり、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)であり得る。
<剥離フィルム付き粘着シートの構成例>
ここに開示される剥離フィルム付き粘着シートは、第一粘着面および第二粘着面を有するシート状(テープ状等の長尺状の形態を包含する意味である。)の粘着シートと、上記粘着シートの第一粘着面上に配置された第一剥離フィルムと、上記粘着シートの第二粘着面上に配置された第二剥離フィルムと、を含んで構成されている。なお、ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。ここに開示される粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
一実施形態に係る剥離フィルム付き粘着シートの構成を図1に示す。この剥離フィルム付き粘着シート30は、粘着剤層11からなる基材レスの粘着シート1を備える。粘着シート1の一方の表面は、粘着剤層11の一方の表面11Aにより構成された第一粘着面1Aであり、粘着シート1の他方の表面は、粘着剤層11の他方の表面11Bにより構成された第二粘着面1Bである。粘着剤層11は、2層以上の多層構造であってもよいが、単層構造であることが好ましい。
ここで、基材レス両面粘着シートとは、第一粘着面と第二粘着面との間に非剥離性の支持基材を含まない両面粘着シートをいう。非剥離性の支持基材とは、当該支持基材を含む粘着シートの使用期間中において、粘着剤層と分離することが意図されていない支持基材をいう。ここに開示される粘着シートは、基材レス両面粘着シートであることが好ましいが、これに限定されず、粘着シートは、非剥離性の基材(支持基材)の両面に粘着剤層を有する形態の基材付き両面粘着シートであってもよい。
粘着シート1の第一粘着面1Aは、該第一粘着面1A上に配置された第一剥離フィルム21によって保護されている。粘着シート1の第二粘着面1Bは、該第二粘着面1B上に配置された第二剥離フィルム22によって保護されている。
第一粘着面11Aに接する第一剥離フィルム21の表面(第一剥離面)21Aと、第二粘着面11Bに接する第二剥離フィルム22の表面(第二剥離面)22Aとは、いずれも剥離面、すなわち該表面から上記粘着剤層を剥離可能な表面となっている。第一剥離フィルム21の第一剥離面21Aとは反対側の表面(背面)21Bは、剥離面であってもよく、非剥離面であってもよい。同様に、第二剥離フィルム22の第二剥離面22Aとは反対側の表面22Bは、剥離面であってもよく、非剥離面であってもよい。
このように構成された剥離フィルム付き粘着シート30は、まず第一粘着面1Aから第一剥離フィルム21を剥がし、これにより露出した第一粘着面1Aを第一被着体に圧着し、その後、第二粘着面1Bから第二剥離フィルム22を剥がし、これにより露出した第二粘着面1Bを第二被着体に圧着する態様で好適に用いられ得る。このようにして、粘着シートにより、第一被着体と第二被着体とが接合される。ここに開示される剥離フィルム付き粘着シートによると、上記第一粘着面と上記被着体との接着面に浮きや気泡等の欠陥が発生することを防止しながら、第二剥離フィルムを粘着シートから剥離でき、良好な接着状態で被着体を接合することができる。第一被着体、第二被着体としては、後述する透明部材や有機部材が好ましく用いられる。例えば、第一被着体の好適例としては、COPフィルムやLCPフィルムが挙げられ、第二被着体の好適例としては、ガラスやポリカーボネート等の透明材料から形成された透明部材が挙げられる。
<剥離フィルム付き粘着シートの特性>
(第二剥離フィルムの剥離力R
ここに開示される剥離フィルム付き粘着シートは、第一剥離フィルムを粘着シートの第一粘着面から剥がし、該第一粘着面にシクロオレフィンポリマーフィルムを貼り合わせた後、前記第二剥離フィルムを、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で粘着シートの第二粘着面から剥がしたときの剥離力Rが0.03N/50mm以上1N/50mm以下(具体的には1.0N/50mm以下)であることを特徴とする。この特徴を満足することにより、第一および第二の剥離フィルムで各粘着面が保護された両面接着性の粘着シートから第一剥離フィルムを剥離して、第一粘着面を被着体に貼り付けた後、第二剥離フィルムを粘着シートの第二粘着面から剥離する際に、上記第一粘着面と上記被着体との接着面に浮きや気泡等の欠陥が発生することを防止しながら、第二剥離フィルムを粘着シートから剥離できる。上記剥離力Rは、例えば1.0N/50mm未満であり、好ましくは0.5N/50mm以下、より好ましくは0.3N/50mm以下、さらに好ましくは0.15N/50mm未満、特に好ましくは0.1N/50mm以下であり、0.1N/50mm未満(例えば0.08N/50mm以下)であってもよい。剥離力Rを低く設定することにより、剥離作業性が向上する傾向があり、また第二剥離フィルムを剥離した後に、平滑な第二粘着面が得られやすい。また、いくつかの好ましい態様において、上記剥離力Rは、例えば0.04N/50mm以上であってよく、0.05N/50mm以上でもよい。上記剥離力Rが所定値以上であることにより、第二剥離フィルムによる第二粘着面の保護性が好適に発揮される傾向があり、また、第一剥離フィルム剥離時に泣き別れが生じにくい。上記のように第一粘着面を被着体に貼り付けた後、第二剥離フィルムを粘着シートから剥離する際の剥離が良好で、良好な接着界面(第一粘着面)を維持し、かつ第二粘着面が平滑面となるものは、上記粘着シートと被着体(有機部材等)との接着面において、目視では確認できないような微小な気泡等の欠陥が存在しないか、あるいは微小欠陥が高度に抑制されたものとなりやすい。そのような微小欠陥のない、あるいは微小欠陥が高度に抑制された接合によると、例えば、高速大容量通信用アンテナに用いられた場合には、より高度に通信障害を防止または抑制することができる。すなわち、ここに開示される技術によると、アンテナ性能の阻害を高度に防止することができる接合手段が提供され得る。第二剥離フィルムの剥離力Rは、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
いくつかの態様において、第二剥離フィルムの第二粘着面からの剥離力Rは、第一剥離フィルムの第一粘着面からの剥離力Rよりも大きいことが好ましい。このように剥離フィルムの剥離力を設定することにより、第一剥離フィルム剥離時の泣き別れを防止することができる。これにより、泣き別れを原因として、被着体との接着面に浮き等の欠陥が生じることを防止できる。いくつかの好ましい態様において、第二剥離フィルムの第二粘着面からの剥離力Rと、第一剥離フィルムの第一粘着面からの剥離力Rとの剥離力差(R-R)は、剥離フィルム剥離時の泣き別れをより確実に防止する観点から、0.01N/50mm以上とすることが適当であり、例えば0.02N/50mm以上であってもよく、0.03N/50mm以上でもよく、0.04N/50mm以上でもよい。上記剥離力差(R-R)の上限は、使用目的や使用態様に応じて適切に設定されるため、特定の範囲に限定されない。第一剥離フィルムによる第一粘着面の保護性や、第二剥離フィルムの剥離作業性等の観点から、いくつかの好ましい態様において、上記剥離力差(R-R)は、0.5N/50mm以下であり、より好ましくは0.3N/50mm以下、さらに好ましくは0.1N/50mm以下、特に好ましくは0.07N/50mm以下であり、0.05N/50mm以下であってもよい。
(第一剥離フィルムの剥離力R
第一剥離フィルムを粘着シートの第一粘着面から剥がすときの剥離力Rは、使用態様等に応じて適切に設定されるため、特定の範囲に限定されるものではない。いくつかの好ましい態様において、第一剥離フィルムの第一粘着面からの剥離力Rは、上述したように、泣き別れ防止の観点から、第二剥離フィルムの第二粘着面からの剥離力Rよりも小さい。第一剥離フィルムの剥離力Rは、例えば0.5N/50mm未満であり、好ましくは0.2N/50mm未満、より好ましくは0.1N/50mm以下、さらに好ましくは0.1N/50mm未満、特に好ましくは0.07N/50mm以下であり、0.05N/50mm以下(例えば0.03N/50mm以下)であってもよい。剥離力Rを低く設定することにより、剥離作業性が向上する傾向があり、また第一剥離フィルムを剥離した後に、平滑な第一粘着面が得られやすい。また、いくつかの好ましい態様において、上記剥離力Rは、例えば0.01N/50mm以上であってよく、0.02N/50mm以上でもよく、0.03N/50mm以上でもよい。上記剥離力Rが所定値以上であることにより、第一剥離フィルムによる第一粘着面の保護性が好適に発揮される傾向がある。第一剥離フィルムの剥離力Rは、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で測定される。より具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
なお、剥離フィルムの剥離力(第一剥離フィルムの剥離力Rおよび第二剥離フィルムの剥離力R)は、使用する粘着剤の種類に応じて、剥離フィルム基材の材質および厚さ、剥離処理層の形成に用いる剥離処理剤の種類、剥離処理層の厚さおよび形成条件、等により調節することができる。
<剥離フィルム>
第一剥離フィルムおよび第二剥離フィルムとして用いられる剥離フィルムは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。使用し得る剥離フィルムの非限定的な例には、剥離フィルム基材の表面に剥離処理層を有する剥離フィルム;フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性樹脂からなる剥離フィルム;等が含まれる。いくつかの態様において、剥離フィルム基材上に剥離処理層を有する構成の剥離フィルムを好ましく採用し得る。
剥離フィルム基材としては、各種のプラスチックフィルムを用いることができる。この明細書においてプラスチックフィルムとは、典型的には非多孔質のシートであって、例えば不織布とは区別される(すなわち、不織布を含まない)概念である。上記剥離フィルム基材としては、非多孔質の構造であって、典型的には実質的に気泡を含まない(ボイドレスの)樹脂フィルムを好ましく使用し得る。上記樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、二層以上の多層構造(例えば三層構造)であってもよい。
剥離フィルム基材を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂(PA)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリウレタン樹脂(PU)、エチレン-酢酸ビニル樹脂(EVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、アクリル樹脂、等を用いることができる。ここで、ポリエステル樹脂とは、ポリエステルを50重量%を超える割合で含有する樹脂のことをいう。同様に、ポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィンを50重量%を超える割合で含有する樹脂のことをいう。他の樹脂についても同様である。
剥離フィルム基材は、このような樹脂の1種を単独で含む樹脂材料を用いて形成されたものであってもよく、2種以上がブレンドされた樹脂材料を用いて形成されたものであってもよい。上記樹脂フィルムは、無延伸であってもよく、延伸(一軸延伸または二軸延伸)されたものであってもよい。なかでも好ましい剥離フィルム基材として、ポリエステル系樹脂から形成されたポリエステル系樹脂フィルム(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム)が挙げられる。
剥離フィルム基材には、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤(染料、顔料等)、充填材、スリップ剤、アンチブロッキング剤等の公知の添加剤を、必要に応じて配合することができる。添加剤の配合量は特に限定されず、剥離フィルム付き粘着シートの使用態様等に応じて適宜設定することができる。
剥離フィルム基材の製造方法は特に限定されない。例えば、押出成形、インフレーション成形、Tダイキャスト成形、カレンダーロール成形等の、従来公知の一般的な樹脂フィルム成形方法を適宜採用することができる。
剥離フィルムとしては、このような剥離フィルム基材の少なくとも一方の表面に剥離処理層を有するものを好ましく採用し得る。上記一方の表面は、上記剥離フィルムが粘着剤層に対向する側の表面(以下、前面ともいう。)である。剥離フィルム基材の他方の表面(以下、背面ともいう。)には、剥離処理層が設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。
剥離処理層は、上述のような剥離フィルム基材を剥離処理剤により表面処理して形成されたものであり得る。剥離処理剤としては、シリコーン系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、硫化モリブデン(IV)等の公知の剥離処理剤を用いることができる。剥離処理層の厚さや形成方法は特に限定されず、剥離フィルムの剥離処理面において所望の剥離性が発揮されるように設定することができる。特に限定するものではないが、剥離処理層の厚さは、通常、0.01μm以上とすることが適当であり、0.05μm以上が好ましく、0.08μm以上でもよい。また、剥離処理層の厚さは、例えば3μm以下とすることができ、1μm以下でもよく、0.5μm以下でもよい。剥離フィルム上に剥離処理層を形成する方法としては、剥離フィルム基材に剥離処理剤を付与して硬化(乾燥、架橋、反応等)させる方法、あらかじめ作製した剥離処理層を剥離フィルム基材に積層する方法、剥離フィルム基材またはその成形材料と剥離処理剤とを共押出成形する方法、等を例示することができるが、これらに限定されない。
上記剥離処理剤の一好適例として、シリコーン系剥離処理剤が挙げられる。使用するシリコーン系剥離処理剤は、溶剤型、無溶剤型、水性(水溶液型、水分散型)等のいずれの形態でもよい。いくつかの態様において、粘度調節の容易性や、均質性の高い剥離処理層の形成しやすさ等の観点から、溶剤型のシリコーン系剥離処理剤を好ましく採用し得る。
シリコーン系剥離処理剤は、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型等のいずれでもよい。反応性や性能安定性等の観点から、いくつかの態様において、付加反応型のシリコーン系剥離処理剤を好ましく採用し得る。
付加反応型シリコーン系剥離処理剤は、通常、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサンとを含み、無溶剤型および溶剤型のいずれであってもよい。例えば、熱付加反応により架橋して硬化する熱硬化性付加反応型シリコーン系剥離処理剤を好ましく使用し得る。
熱硬化性付加反応型シリコーン剥離処理剤としては、例えば、分子中にケイ素原子(Si)に結合した水素原子(H)を有するポリシロキサン(Si-H基含有ポリシロキサン)と、分子中にSi-H結合(SiとHとの共有結合)に対して反応性を有する官能基(Si-H基反応性官能基)を含むポリシロキサン(Si-H基反応性ポリシロキサン)と、を含む剥離処理剤を使用することができる。かかる剥離処理剤は、Si-H基とSi-H基反応性官能基とが付加反応して架橋することにより硬化する。
上記Si-H基含有ポリシロキサンにおいて、Hが結合したSiは、主鎖中のSiおよび側鎖中のSiのいずれであってもよい。分子中にSi-H基を二個以上含むポリシロキサンが好ましい。二個以上のSi-H基を含有するポリシロキサンとして、ポリ(ジメチルシロキサン-メチルシロキサン)等のジメチルハイドロジェンシロキサン系ポリマーが挙げられる。
一方、上記Si-H基反応性ポリシロキサンとしては、Si-H基反応性官能基またはかかる官能基を含む側鎖が、シロキサン系ポリマーの主鎖(骨格)を形成するSi(例えば、主鎖末端のSi、主鎖内部のSi)に結合した態様のポリシロキサンを使用することができる。なかでも、Si-H基反応性官能基が主鎖中のSiに直接結合した態様のポリシロキサンが好ましい。また、分子中にSi-H基反応性官能基を二個以上含むポリシロキサンが好ましい。Si-H基反応性官能基としては、例えば、ビニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等が挙げられる。
上記主鎖部分を形成するシロキサン系ポリマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン等のポリジアルキルシロキサン(2つのアルキル基は、同じでもよく、異なってもよい。);ポリアルキルアリールシロキサン;ポリ(ジメチルシロキサン-メチルシロキサン)等の、複数のSi含有モノマーを重合してなるポリマー;等が挙げられる。特に好適な主鎖ポリマーとして、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
いくつかの態様において、分子中にSi-H基を二個以上含むポリシロキサンと、分子中にSi-H基反応性官能基を二個以上含むポリシロキサンと、を含有する熱硬化性付加反応型シリコーン剥離処理剤を好ましく使用し得る。上記剥離処理剤に含まれるSi-H基含有ポリシロキサンとSi-H基反応性ポリシロキサンとの混合比は、該剥離処理剤が十分に硬化して上述のシリコーン移行量が実現され得る範囲であれば特に制限されないが、Si-H基のSiのモル数XとSi-H基反応性官能基のモル数Yとが、X≧Yとなるように選択されることが好ましく、通常、X:Yが、1:1~2:1(より好ましくは、1.2:1~1.6:1)程度とすることが好ましい。
付加反応型シリコーン系剥離処理剤は、架橋反応を速めるための触媒を含んでいてもよい。かかる触媒としては、例えば、白金微粒子、塩化白金酸およびその誘導体等の白金系触媒が挙げられる。触媒の添加量は特に制限されないが、例えば、Si-H基反応性ポリシロキサンに対して、好ましくは0.1~1000ppm(より好ましくは1~100ppm)の範囲から選択される。
また、シリコーン系剥離処理剤には、剥離力を調整することが可能な剥離コントロール剤を含ませてもよい。例えば、剥離力を重剥離化させる場合は、一般的にオルガノポリシロキサンレジンやシリカ粒子、重剥離力のシリコーン等を適当量添加することが好ましい。そのような剥離コントロール剤(重剥離化剤)は、例えば第二剥離フィルムの剥離処理に好ましく用いられる。重剥離化剤の市販品の例としては、信越化学工業社製の「KS-3800」、「X-92-183」、東レダウコーニング社製の「SDY7292」、「BY24-843」、「BY24-4980」等が挙げられる。また、剥離力を軽剥離化させる場合は、適当な低分子量シロキサン化合物(例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等)を選択し、適当量添加してもよい。剥離コントロール剤の添加量は、特に限定されず、シリコーン系剥離処理剤中、例えば0.1重量%以上であり、剥離コントロール剤の添加効果を効果的に発揮する観点から、1重量%以上であってもよく、3重量%以上でもよく、5重量%以上でもよく、10重量%超でもよい。シリコーン系剥離処理剤中の剥離コントロール剤の添加量の上限は、例えば50重量%未満であり、30重量%以下程度であってもよく、15重量%以下(例えば12重量%以下)でもよい。
シリコーン系剥離処理剤としては、上述のような成分を適宜調製または入手して混合したもの、あるいは上述のような成分を含む市販品を使用することができる。また、上述のような成分以外に、必要に応じて、例えば充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色料(染料、顔料等)等、他の公知慣用の添加剤を適宜添加してもよい。
他のいくつかの態様において、長鎖アルキル系剥離処理剤による剥離処理層を有する剥離フィルムを採用してもよい。長鎖アルキル系剥離処理剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系重合体に長鎖(例えば、炭素原子数8~30の)アルキルイソシアネートを反応させて得られたポリビニルカーバメートや、ポリエチレンイミンに長鎖(例えば、炭素原子数8~30の)アルキルイソシアネートを反応させて得られたアルキル尿素誘導体等が用いられ得る。また、特開2016-145341号公報に記載されているような長鎖アルキル系材料を含む長鎖アルキル系剥離処理剤を、ここに開示される剥離フィルムの剥離処理剤として採用することができる。なお、特開2016-145341号公報は、参照により本明細書に組み込まれている。
剥離フィルムの厚さは特に限定されない。強度と柔軟性との兼ね合いから、通常は、厚さが約10μm~約500μm程度の剥離フィルムを好ましく採用し得る。
いくつかの態様において、第一剥離フィルムの厚さtは、例えば10μm以上であってよく、15μm以上でもよく、20μm以上でもよい。第一剥離フィルムの厚さtの増大により、取扱い性が向上する傾向にある。また、剥離フィルム付き粘着シートの厚さが不必要に大きくなることを避ける観点から、第一剥離フィルムの厚さtは、例えば150μm以下であってよく、70μm以下でもよく、50μm以下でもよく、30μm以下でもよい。第一剥離フィルムの厚さが所定値以下に制限されていることにより、第二剥離フィルムに支持された形態の粘着シートから第一剥離フィルムを剥離除去しやすい。
いくつかの態様において、第二剥離フィルムの厚さtは、例えば10μm以上であってよく、20μm以上でもよく、30μm以上でもよく、35μm以上でもよい。第二剥離フィルムの厚さtの増大により、第一剥離フィルム剥離後の粘着シート(第二剥離フィルムに支持された形態の粘着シート)の取扱い性が向上する傾向にある。また、例えば第二剥離フィルム上の粘着シートを、COP等の難接着性の被着体に貼り付けられる態様で使用され得る剥離フィルム付き粘着シートでは、転写性向上の観点から、第二剥離フィルムの厚さtは、例えば150μm以下であってよく、100μm以下でもよく、80μm以下でもよく、60μm以下でもよく、45μm以下でもよい。
第一剥離フィルムの厚さtと第二剥離フィルムの厚さtとの関係は、特に限定されない。第二剥離フィルムの厚さtに対する第一剥離フィルムの厚さtの比、すなわち厚さ比(t/t)は、例えば0.3~10程度とすることができる。上記厚さ比(t/t)は、例えば1~10程度であってよく、通常は1より大きく5以下であることが適当であり、1より大きく3以下であってもよい。上記厚さ比(t/t)を有する第一剥離フィルムおよび第二剥離フィルムの使用により、第一剥離フィルムを剥離除去しやすく、また、第一剥離フィルム剥離後の粘着シート(第二剥離フィルムに支持された形態の粘着シート)は取り扱いやすいものとなる。
<粘着剤層>
ここに開示される技術において、粘着剤層を構成する粘着剤の種類は特に限定されない。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系、合成ゴム系、これらの混合系等)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、フッ素系粘着剤等の公知の各種粘着剤から選択される1種または2種以上の粘着剤を含んで構成された粘着剤層であり得る。非極性または低極性被着体に対する粘着力、低誘電率および低透湿度を有する粘着剤としては、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含むアクリル系粘着剤、ゴム系ポリマーをベースポリマーとして含むゴム系粘着剤、ウレタン系ポリマーをベースポリマーとして含むウレタン系粘着剤、ポリエステル系ポリマーをベースポリマーとして含むポリエステル系粘着剤を好ましく採用し得る。なかでも、ゴム系粘着剤がより好ましい。
以下、ゴム系粘着剤について主に説明するが、ここに開示される粘着シートの粘着剤層をゴム系粘着剤により構成されたものに限定する意図ではない。
なお、粘着剤の「ベースポリマー」とは、該粘着剤に含まれるゴム状ポリマー(室温付近の温度域においてゴム弾性を示すポリマー)のうちの主成分(すなわち、該ゴム状ポリマーの50重量%超を占める成分)をいう。
いくつかの好ましい態様において、粘着剤層は、ゴム系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤層(ゴム系粘着剤層)である。上記ベースポリマーの例としては、天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR);ポリイソプレン;ブテン(1-ブテン、およびcis-もしくはtrans-2-ブテンを指す。)および/または2-メチルプロペン(イソブチレン)を主モノマーとするブテン系ポリマー;A-B-A型ブロック共重合体ゴムおよびその水素化物、例えばスチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体ゴム(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SIS)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SIBS)、スチレン-ビニル・イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SVIS)、SBSの水素化物であるスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)、SISの水素化物であるスチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体ゴム(SEPS)やスチレン-イソプレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SIPS);等の種々のゴム系ポリマーが挙げられる。これらのゴム系ポリマーは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、低い誘電正接を有するSEPSが特に好ましい。
(ブロック共重合体)
上記ゴム系ポリマーの好適例として、モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体が挙げられる。本明細書において「モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体」とは、モノビニル置換芳香族化合物を主モノマー(50重量%を超える共重合成分をいう。以下同じ。)とするセグメント(以下「Aセグメント」ともいう。)と、共役ジエン化合物を主モノマーとするセグメント(以下「Bセグメント」ともいう。)とを、それぞれ少なくとも一つ有するポリマーをいう。一般に、Aセグメントのガラス転移温度はBセグメントのガラス転移温度よりも高い。かかるポリマーの代表的な構造として、Bセグメント(ソフトセグメント)の両端にそれぞれAセグメント(ハードセグメント)を有するトリブロック構造の共重合体(A-B-A構造のトリブロック体)、一つのAセグメントと一つのBセグメントとからなるジブロック構造の共重合体(A-B構造のジブロック体)等が挙げられる。
上記モノビニル置換芳香族化合物とは、ビニル基を有する官能基が芳香環に一つ結合した化合物を指す。上記芳香環の代表例として、ベンゼン環(ビニル基を有しない官能基(例えばアルキル基)で置換されたベンゼン環であり得る。)が挙げられる。上記モノビニル置換芳香族化合物の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられる。上記共役ジエン化合物の具体例としては、1,3-ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。このようなブロック共重合体は、1種を単独で、または2種以上を併用してベースポリマーに用いることができる。
また、上記モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体は、その少なくとも一部が水素化(水素原子が付加)した水素化物であり得る。上記ブロック共重合体の水素化物は、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位が有する炭素-炭素二重結合の少なくとも一部が単結合化されている。このようなブロック共重合体のBセグメント(ソフトセグメント)の少なくとも一部は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン・プロピレン)、ポリ(エチレン・ブチレン)等のポリオレフィン単位から構成されたものであり得る。上記ブロック共重合体の水素化物は、熱安定性、耐候性に優れ、誘電率および誘電正接が低い傾向がある。なかでも、ブロック共重合体のBセグメント(ソフトセグメント)は、ポリ(エチレン・プロピレン)単位を含むことが好ましい。上記ブロック共重合体の水素化は、合成ゴムの分野において公知の水素添加触媒(例えば、Ni、Co系Ziegler触媒、メタロセン系触媒、Pt等を担持した貴金属系触媒)を用いるなどして、公知ないし慣用の手法、条件で実施することができる。
上記ブロック共重合体におけるAセグメント(ハードセグメント)は、上記モノビニル置換芳香族化合物(2種以上を併用し得る。)の共重合割合が凡そ70重量%以上(より好ましくは凡そ90重量%以上であり、実質的に100重量%であってもよい。)であることが好ましい。上記ブロック共重合体におけるBセグメント(ソフトセグメント)は、上記共役ジエン化合物(その水素化物を包含し、2種以上を併用し得る。)の共重合割合が凡そ70重量%以上(より好ましくは凡そ90重量%以上であり、実質的に100重量%であってもよい。)であることが好ましい。かかるブロック共重合体によると、より高性能な接着シートが実現され得る。
上記ブロック共重合体は、ジブロック体、トリブロック体、放射状(radial)体、これらの混合物、等の形態であり得る。トリブロック体や放射状体においては、ポリマー鎖の末端にAセグメント(例えばスチレンブロック)が配されていることが好ましい。ポリマー鎖の末端に配されたAセグメントは、集まってドメインを形成しやすく、これにより疑似的な架橋構造が形成されて粘着剤の凝集性が向上するためである。
(スチレン系ブロック共重合体)
いくつかの好ましい態様では、粘着剤層はスチレン系ブロック共重合体を含む。本明細書において「スチレン系ブロック共重合体」とは、少なくとも一つのスチレンブロックを有するポリマーを意味する。上記スチレンブロックとは、スチレンを主モノマーとするセグメントを指す。実質的にスチレンのみからなるセグメントは、ここでいうスチレンブロックの典型例である。
スチレン系ブロック共重合体としては、例えば、スチレンイソプレンブロック共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体、その水素化物から選択される少なくとも1種を含む。本明細書において「スチレンイソプレンブロック共重合体」とは、少なくとも一つのスチレンブロックと、少なくとも一つのイソプレンブロック(イソプレンを主モノマーとするセグメント)とを有するポリマーをいう。スチレンイソプレンブロック共重合体の代表例として、イソプレンブロック(ソフトセグメント)の両端にそれぞれスチレンブロック(ハードセグメント)を有するトリブロック構造の共重合体(トリブロック体)、一つのイソプレンブロックと一つのスチレンブロックとからなるジブロック構造の共重合体(ジブロック体)等が用いられる。「スチレンブタジエンブロック共重合体」とは、少なくとも一つのスチレンブロックと、少なくとも一つのブタジエンブロック(ブタジエンを主モノマーとするセグメント)とを有するポリマーをいう。スチレンイソプレンブロック共重合体の水素化物とは、そのイソプレンブロックの少なくとも一部が水素化された共重合体をいう。同様に、スチレンブタジエンブロック共重合体の水素化物とは、そのブタジエンブロックの少なくとも一部が水素化された共重合体をいう。
ここに開示される技術は、粘着剤に含まれるスチレン系ブロック共重合体のうち、スチレンイソプレンブロック共重合体の割合が凡そ50重量%以上(例えば70重量%以上)であるか、スチレンブタジエンブロック共重合体の割合が50重量%以上(例えば70重量%以上)であるか、あるいはスチレンイソプレンブロック共重合体とスチレンブタジエンブロック共重合体との合計割合が凡そ50重量%以上(例えば70重量%以上)である態様で好ましく実施される。
いくつかの好ましい態様では、粘着剤層に含まれるスチレン系ブロック共重合体のうち、スチレン系ブロック共重合体の水素化物の割合が凡そ50重量%以上であり、より好ましくは凡そ75重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。より好ましい態様では、上記スチレン系ブロック共重合体の実質的に全部(例えば凡そ95~100重量%)がスチレン系ブロック共重合体の水素化物である。スチレン系ブロック共重合体の好適例としては、スチレンイソプレンブロック共重合体の水素化物およびスチレンブタジエンブロック共重合体の水素化物が挙げられる。なかでも、スチレンイソプレンブロック共重合体の水素化物がより好ましい。
上記スチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量は、例えば、凡そ5~40重量%であり得る。凝集性を高めて接着信頼性を得る観点から、通常は、スチレン含有量が凡そ8重量%以上(より好ましくは10重量%以上)のスチレン系ブロック共重合体が好ましい。また、粘着力向上の観点から、スチレン含有量は凡そ30重量%以下(典型的には凡そ20重量%以下、より好ましくは凡そ15重量%以下)が好ましい。なお、スチレン系ブロック共重合体の「スチレン含有量」とは、当該ブロック共重合体の全体重量に占めるスチレン成分の重量割合をいう。上記スチレン含有量は、NMR(核磁器共鳴スペクトル法)により測定することができる。
いくつかの態様では、粘着剤に含まれるポリマー成分の50重量%より多く(例えば70重量%以上、さらには90重量%以上)が上記ブロック共重合体である。ここに開示される技術は、上記粘着剤層が上記ブロック共重合体以外のゴム状ポリマーを実質的に含有しない態様(例えば、上記ブロック共重合体100重量部当たりの含有量が0~1重量部である態様)で好ましく実施され得る。
また、ベースポリマーとしては、カルボキシ基等の酸性基含有モノマーが実質的に共重合されていないポリマー(例えば上記ブロック共重合体、好適にはスチレン系ブロック共重合体)が好ましく用いられる。かかるベースポリマーは、換言すれば、酸性基(カルボキシ基等)を実質的に含まない。粘着剤層のベースポリマーとして、酸性基含有モノマーが共重合されていないポリマーを用いることにより、低誘電率を有する粘着剤を形成しやすい。同様の観点から、ベースポリマーとして、水酸基含有モノマーが実質的に共重合されていないポリマー(例えば上記ブロック共重合体、好適にはスチレン系ブロック共重合体)が好ましく用いられる。かかるベースポリマーは、換言すれば、水酸基を実質的に含まない。なかでも、上記ベースポリマーは、酸性基および水酸基が実質的に含まれていないことがより好ましい。なお、「・・・モノマーが実質的に共重合されていない」とは、ポリマー(具体的にはベースポリマー)における上記モノマーの共重合割合が1重量%未満であることをいう。ベースポリマーにおける酸性基含有モノマーおよび/または水酸基含有モノマーの共重合割合は0.3重量%未満であってもよく、0.1重量%未満でもよい。
他のいくつかの態様では、上記粘着剤層が上記ブロック共重合体以外のゴム状ポリマーを含む組成であってもよい。上記ブロック共重合体以外のゴム状ポリマーは、粘着剤の分野において公知のアクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、オレフィン系、ゴム系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系、酢酸ビニル系、塩化ビニル系、ビニルアルコール系、ビニルアセタール系、ビニルブチラール系等の各種ポリマーの1種または2種以上であり得る。上記ゴム系のゴム状ポリマーの例としては、天然ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、再生ゴム等が挙げられる。
上記ベースポリマー(例えばスチレン系ブロック共重合体)の分子量は特に制限されず、例えば重量平均分子量(Mw)が凡そ5×10以上(好ましくは凡そ15×10以上、例えば凡そ20×10以上)のものを適宜選択して使用することができる。上記Mwの上限は特に限定されず、凡そ150×10以下(好ましくは凡そ100×10以下、例えば凡そ50×10以下)であり得る。Mwが上記範囲内であることにより、粘着剤の弾性率を好ましい範囲に調節しやすく、また良好な凝集力を発揮しやすい。なお、ベースポリマーのMwとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定に基づいて求められるポリスチレン換算の値をいう。GPC測定装置としては、例えば、東ソー(TOSOH)社製、型式「HLC-8120GPC」を使用することができる。
(粘着付与剤)
ここに開示される粘着剤層は、上記ベースポリマーに加えて粘着付与剤を含むことが好ましい。粘着付与剤としては、石油樹脂、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂、ロジン誘導体樹脂、ケトン系樹脂等の、公知の各種粘着付与樹脂から選択される1種または2種以上を用いることができる。
石油樹脂(石油系粘着付与剤)としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、脂肪族/芳香族共重合系(C5/C9系)石油樹脂、これらの水素添加物(例えば、芳香族系石油樹脂に水素添加して得られる脂環族系石油樹脂)等が挙げられる。また、石油系粘着付与剤の他の例としては、スチレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂が挙げられる。
スチレン系樹脂の例としては、スチレンの単独重合体を主成分とするもの、α-メチルスチレンの単独重合体を主成分とするもの、ビニルトルエンの単独重合体を主成分とするもの、スチレン、α-メチルスチレンおよびビニルトルエンのうち2種以上をモノマー組成に含む共重合体を主成分とするもの(例えば、α-メチルスチレン/スチレン共重合体を主成分とするα-メチルスチレン/スチレン共重合体樹脂)等が挙げられる。
クマロン・インデン樹脂としては、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分としてクマロンおよびインデンを含む樹脂を用いることができる。クマロンおよびインデン以外に樹脂の骨格に含まれ得るモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエン等が例示される。
テルペン樹脂の例としては、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等が挙げられる。変性テルペン樹脂の例としては、上記テルペン樹脂を変性(フェノール変性、スチレン変性、水素添加変性、炭化水素変性等)したものが挙げられる。具体的には、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が例示される。上記テルペンフェノール樹脂には、水素添加テルペンフェノール樹脂が含まれ得る。誘電率および誘電正接を低下する観点から、水素添加テルペン樹脂、水素添加テルペンフェノール樹脂の使用が好ましい。
上記「テルペンフェノール樹脂」とは、テルペン残基およびフェノール残基を含むポリマーを指し、テルペンとフェノール化合物との共重合体(テルペン-フェノール共重合体樹脂)と、テルペンの単独重合体または共重合体(テルペン樹脂、典型的には未変性テルペン樹脂)をフェノール変性したもの(フェノール変性テルペン樹脂)との双方を包含する概念である。上記テルペンフェノール樹脂を構成するテルペンの好適例としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン(d体、l体およびd/l体(ジペンテン)を包含する。)等のモノテルペンが挙げられる。
ロジン系樹脂の具体的としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);等が挙げられる。また、ロジン誘導体樹脂の例としては、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、ロジンのエステル化物)、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)をアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、変性ロジンのエステル化物)等のロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等)、不飽和脂肪酸変性ロジン類または不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシ基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;等が挙げられる。
いくつかの好ましい態様において、粘着剤層は、1種または2種以上の石油系粘着付与剤を含む。石油系粘着付与剤の軟化点は特に限定されず、目的とする特性(対COP粘着力、比誘電率、誘電正接、透湿度、貯蔵弾性率、表面抵抗値、全光線透過率、保持力等)が得られるよう適当な軟化点を有するものを用いることができる。石油系粘着付与剤の軟化点は、凡そ200℃以下であり、凡そ170℃以下であってもよい。いくつかの態様において、石油系粘着付与剤の軟化点は、例えば100℃未満であり、50℃以下であってもよく、30℃以下でもよく、15℃以下(例えば10℃以下)でもよい。軟化点が30℃以下である粘着付与樹脂は、液状粘着付与樹脂ともいう。軟化点が所定値以下である石油系粘着付与剤を使用することにより、タックや粘着力等の粘着特性が向上し、また貯蔵弾性率が低下する傾向がある。また、上記石油系粘着付与剤の使用により、粘着剤の柔軟性が向上し、さらに密着性が向上して誘電特性が安定する傾向がある。石油系粘着付与剤の軟化点の下限値は、例えば-30℃以上であり、-10℃以上であってもよく、0℃以上でもよい。
本明細書における粘着付与剤の軟化点は、JIS K5902およびJIS K2207に規定する軟化点試験方法(環球法)に基づいて測定された値として定義される。具体的には、試料をできるだけ低温ですみやかに融解し、これを平らな金属板の上に置いた環の中に、泡ができないように注意して満たす。冷えたのち、少し加熱した小刀で環の上端を含む平面から盛り上がった部分を切り去る。つぎに、径85mm以上、高さ127mm以上のガラス容器(加熱浴)の中に支持器(環台)を入れ、グリセリンを深さ90mm以上となるまで注ぐ。つぎに、鋼球(径9.5mm、重量3.5g)と、試料を満たした環とを互いに接触しないようにしてグリセリン中に浸し、グリセリンの温度を20℃プラスマイナス5℃に15分間保つ。つぎに、環中の試料の表面の中央に鋼球をのせ、これを支持器の上の定位置に置く。つぎに、環の上端からグリセリン面までの距離を50mmに保ち、温度計を置き、温度計の水銀球の中心の位置を環の中心と同じ高さとし、容器を加熱する。加熱に用いるブンゼンバーナーの炎は、容器の底の中心と縁との中間にあたるようにし、加熱を均等にする。なお、加熱が始まってから40℃に達したのちの浴温の上昇する割合は、毎分5.0プラスマイナス0.5℃でなければならない。試料がしだいに軟化して環から流れ落ち、ついに底板に接触したときの温度を読み、これを軟化点とする。軟化点の測定は、同時に2個以上行い、その平均値を採用する。
粘着剤層が石油系粘着付与剤を含む態様において、粘着剤層に含まれる石油系粘着付与剤の総量に占める軟化点100℃未満の石油系粘着付与剤の割合は、特に限定されず、例えば30重量%以上であり、50重量%以上であってもよく、いくつかの好ましい態様では、60重量%以上であり、80重量%以上であってもよく、90~100重量%でもよい。
粘着剤層中の石油系粘着付与剤の含有量は、特に限定されず、粘着特性など目的とする特性が得られるよう適当量使用され得る。ベースポリマー100重量部に対する石油系粘着付与剤の含有量は、石油系粘着付与剤含有の効果を効果的に得る観点から、10重量部以上とすることが適当であり、好ましくは50重量部以上、より好ましくは65重量部以上、さらに好ましくは80重量部以上であり、100重量部以上(例えば100重量部超)であってもよい。また、ベースポリマー100重量部に対する石油系粘着付与剤の含有量の上限は、例えば200重量部以下であり、150重量部以下であってもよく、120重量部以下でもよい。上記の範囲で石油系粘着付与剤を適当量使用することにより、粘着特性(粘着力向上等)を改善したり、誘電率や透湿度を低下させたりすることができる。また、貯蔵弾性率を調節することができる。
いくつかの好ましい態様として、粘着剤層が、1種または2種以上のテルペンフェノール樹脂を含む態様が挙げられる。テルペンフェノール樹脂の軟化点は特に限定されず、例えば、軟化点が80℃以上のテルペンフェノール樹脂を使用することができる。いくつかの好ましい態様では、テルペンフェノール樹脂の軟化点は、凝集性の観点から、100℃以上であり、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上(例えば125℃以上)である。高い軟化点を有するテルペンフェノール樹脂を使用することにより、高温時の接着信頼性が向上する傾向がある。また、被着体に対する粘着力等の観点から、粘着剤層に含まれるテルペンフェノール樹脂の軟化点は、通常、200℃以下が適当であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。
テルペンフェノール樹脂の水酸基価は特に限定されず、例えば水酸基価が150mgKOH/g以下のテルペンフェノール樹脂を用いることができる。水酸基価が所定値以下のテルペンフェノール樹脂を用いることにより、粘着特性と低誘電率とを両立した粘着剤が得られやすい傾向がある。テルペンフェノール樹脂の水酸基価は、120mgKOH/g以下が適当であり、好ましくは80mgKOH/g未満、より好ましくは70mgKOH/g未満である。また、テルペンフェノール樹脂の水酸基価は0mgKOH/g以上であり、凝集力を高め、粘着特性を改善する観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、50mgKOH/g以上であってもよい。
粘着付与剤の水酸基価としては、JIS K0070:1992に規定する電位差滴定法により測定される値を採用することができる。具体的な測定方法は以下に示すとおりである。
[水酸基価の測定方法]
1.試薬
(1)アセチル化試薬としては、無水酢酸約12.5g(約11.8mL)を取り、これにピリジンを加えて全量を50mLにし、充分に攪拌したものを使用する。または、無水酢酸約25g(約23.5mL)を取り、これにピリジンを加えて全量を100mLにし、充分に攪拌したものを使用する。
(2)測定試薬としては、0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を使用する。
(3)その他、トルエン、ピリジン、エタノールおよび蒸留水を準備する。
2.操作
(1)平底フラスコに試料約2gを精秤採取し、アセチル化試薬5mLおよびピリジン10mLを加え、空気冷却管を装着する。
(2)上記フラスコを100℃の浴中で70分間加熱した後、放冷し、冷却管の上部から溶剤としてトルエン35mLを加えて攪拌した後、蒸留水1mLを加えて攪拌することにより無水酢酸を分解する。分解を完全にするため再度浴中で10分間加熱し、放冷する。
(3)エタノール5mLで冷却管を洗い、取り外す。次いで、溶剤としてピリジン50mLを加えて攪拌する。
(4)0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液を、ホールピペットを用いて25mL加える。
(5)0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で電位差滴定を行う。得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
(6)空試験は、試料を入れないで上記(1)~(5)を行う。
3.計算
以下の式により水酸基価を算出する。
水酸基価(mgKOH/g)=[(B-C)×f×28.05]/S+D
ここで、
B: 空試験に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、
C: 試料に用いた0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液の量(mL)、
f: 0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、
S: 試料の重量(g)、
D: 酸価、
28.05: 水酸化カリウムの分子量56.11の1/2、
である。
粘着剤層中のテルペンフェノール樹脂の含有量は特に限定されず、粘着特性など目的とする特性が得られるよう適当量使用され得る。テルペンフェノール樹脂の含有量は、テルペンフェノール樹脂含有の効果を効果的に得る観点から、ベースポリマー100重量部に対して例えば10重量部以上とすることが適当であり、好ましくは30重量部以上、より好ましくは50重量部以上、さらに好ましくは60重量部以上であり、65重量部以上(例えば70重量部以上)であってもよい。また、ベースポリマー100重量部に対するテルペンフェノール樹脂の含有量の上限は、例えば150重量部以下であり、120重量部以下であってもよく、90重量部以下でもよい。上記の範囲でテルペンフェノール樹脂を適当量使用することにより、粘着特性(粘着力向上等)を改善したり、誘電率や透湿度を低下させたりすることができる。また、貯蔵弾性率を調節することができる。
いくつかの態様において、粘着剤層は、1種または2種以上のテルペン樹脂を含んでもよい。適当なテルペン樹脂を選択して使用することにより、低い誘電率を維持しつつ、もしくは誘電率を低下させつつ、粘着力を改善することができる。使用されるテルペン樹脂の軟化点は特に限定されず、例えば、軟化点が70℃以上のテルペン樹脂を使用することができる。いくつかの好ましい態様では、テルペン樹脂の軟化点は、凝集性の観点から、80℃以上であり、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上(例えば110℃以上)である。また、被着体に対する粘着力等の観点から、粘着剤層に含まれるテルペン樹脂の軟化点は、通常、200℃以下が適当であり、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。
テルペン樹脂の水酸基価は特に限定されず、例えば水酸基価が30mgKOH/g未満のテルペン樹脂を用いることができる。水酸基価が所定値以下のテルペン樹脂を用いることにより、粘着特性と低誘電率とを両立した粘着剤が得られやすい傾向がある。テルペン樹脂の水酸基価は、10mgKOH/g未満であってもよく、3mgKOH/g未満でもよく、1mgKOH/g未満でもよい。また、テルペン樹脂の水酸基価の下限値は0mgKOH/g以上である。
粘着剤層は、テルペン樹脂を含んでもよく含まなくてもよい。粘着剤層がテルペン樹脂を含む態様において、粘着剤層中のテルペン樹脂の含有量は特に限定されず、粘着特性など目的とする特性が得られるよう適当量使用される。テルペン樹脂の含有量は、テルペン樹脂含有の効果を効果的に得る観点から、ベースポリマー100重量部に対して例えば1重量部以上であり、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、さらに好ましくは15重量部以上であり、20重量部以上(例えば30重量部以上)であってもよい。また、ベースポリマー100重量部に対するテルペン樹脂の含有量の上限は、例えば100重量部以下であり、60重量部以下であってもよく、30重量部以下でもよい。上記の範囲でテルペン樹脂を適当量使用することにより、粘着特性(粘着力向上等)を改善したり、誘電率や透湿度を低下させたりすることができる。また、貯蔵弾性率を調節することができる。
ここに開示される技術は、粘着剤層が、軟化点が100℃未満である粘着付与剤(以下「低軟化点粘着付与剤」ともいう。)を含む態様で好ましく実施され得る。低軟化点粘着付与剤を使用することにより、各種特性(対COP粘着力、比誘電率、誘電正接、透湿度、貯蔵弾性率、保持力等)を調節することができる。上記低軟化点粘着付与剤の軟化点は、50℃以下であってもよく、30℃以下でもよく、15℃以下(例えば10℃以下)でもよい。軟化点が所定値以下である粘着付与剤を使用することにより、タックや粘着力が向上し、また貯蔵弾性率が低下する傾向がある。上記低軟化点粘着付与剤の軟化点の下限値は、例えば-30℃以上であり、-10℃以上であってもよく、0℃以上でもよい。上記低軟化点粘着付与剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤層中の上記低軟化点粘着付与剤の含有量は、特に限定されず、粘着特性など目的とする特性が得られるよう適当量使用され得る。ベースポリマー100重量部に対する低軟化点粘着付与剤の含有量は、低軟化点粘着付与剤含有の効果を効果的に得る観点から、10重量部以上とすることが適当であり、好ましくは50重量部以上、より好ましくは65重量部以上、さらに好ましくは80重量部以上であり、100重量部以上(例えば100重量部超)であってもよい。また、ベースポリマー100重量部に対する低軟化点粘着付与剤の含有量の上限は、例えば200重量部以下であり、150重量部以下であってもよく、120重量部以下でもよい。上記の範囲で低軟化点粘着付与剤を適当量使用することにより、粘着特性(粘着力向上等)を改善したり、誘電率や透湿度を低下させたりすることができる。また、貯蔵弾性率を調節することができる。
ここに開示される技術は、粘着剤層が、軟化点が100℃以上である粘着付与剤(以下「高軟化点粘着付与剤」ともいう。)を含む態様で好ましく実施され得る。高軟化点粘着付与剤を使用することにより、各種特性(対COP粘着力、比誘電率、誘電正接、透湿度、貯蔵弾性率、保持力等)を調節することができる。上記高軟化点粘着付与剤の軟化点は、105℃以上が適当であり、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上(例えば125℃以上)である。また、被着体に対する粘着力等の観点から、粘着剤層に含まれる上記高軟化点粘着付与剤の軟化点の上限値は、通常、200℃以下が適当であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。上記高軟化点粘着付与剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
粘着剤層中の上記高軟化点粘着付与剤の含有量は、特に限定されず、粘着特性など目的とする特性が得られるよう適当量使用され得る。上記高軟化点粘着付与剤の含有量は、高軟化点粘着付与剤含有の効果を効果的に得る観点から、ベースポリマー100重量部に対して例えば10重量部以上とすることが適当であり、好ましくは30重量部以上、より好ましくは50重量部以上、さらに好ましくは60重量部以上であり、65重量部以上(例えば70重量部以上)であってもよく、85重量部以上でもよく、100重量部以上(例えば100重量部超)でもよい。また、ベースポリマー100重量部に対する高軟化点粘着付与剤の含有量の上限は、例えば200重量部以下であり、150重量部以下であってもよく、120重量部以下でもよく、90重量部以下でもよい。上記の範囲で高軟化点粘着付与剤を適当量使用することにより、粘着特性(粘着力向上等)を改善したり、誘電率や透湿度を低下させたりすることができる。また、貯蔵弾性率を調節することができる。
また、ここに開示される技術は、上記低軟化点粘着付与剤と高軟化点粘着付与剤とを併用する態様で好ましく実施され得る。かかる態様において、粘着剤層中の低軟化点粘着付与剤の含有量Tと高軟化点粘着付与剤の含有量Tの比(T/T)は、特に限定されず、目的とする特性が得られるよう適切な範囲に設定され得る。上記比(T/T)は、例えば0.3以上であってもよく、0.6以上でもよく、0.9以上でもよく、1.2以上でもよく、1.5以上でもよい。これにより、低軟化点粘着付与剤の効果が好ましく発揮される。また、上記比(T/T)は、例えば3.0以下であってもよく、2.0以下でもよく、1.6以下でもよく、1.3以下でもよく、1.1以下でもよい。これにより、高軟化点粘着付与剤の効果が好ましく発揮される。
また、ここに開示される粘着剤層に含まれる粘着付与剤の総量に占める水酸基価が10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下(例えば30mgKOH/g以上120mgKOH/g以下)の粘着付与剤(以下「高水酸基価粘着付与剤」ともいう。)の割合は、例えば50重量%以下であり、45重量%以下であってもよく、40重量%以下(例えば35重量%以下)でもよい。高水酸基価粘着付与剤の割合を制限することにより、低誘電率を実現しやすい。また、上記粘着付与剤の総量に占める高水酸基価粘着付与剤の割合は、例えば5重量%以上であり、15重量%以上であってもよく、25重量%以上(例えば30重量%)でもよい。高水酸基価粘着付与剤を適当量用いることにより、粘着力等の粘着特性を効果的に改善することができる。
ここに開示される粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有量(総量)は、特に限定されず、粘着特性など目的とする特性が得られるよう適当量使用され得る。ベースポリマー100重量部に対する粘着付与剤の総量は、10重量部以上とすることが適当であり、好ましくは50重量部以上、より好ましくは100重量部以上、さらに好ましくは150重量部以上であり、180重量部以上(例えば200重量部以上)であってもよい。また、ベースポリマー100重量部に対する粘着付与剤の総量の上限は、例えば400重量部以下であり、300重量部以下であってもよく、250重量部以下(例えば220重量部以下)でもよい。上記の範囲で適当量の粘着付与剤使用量とすることにより、目的とする粘着特性(粘着力、保持力等)や、比誘電率や透湿度、貯蔵弾性率を好ましく実現することができる。
(軟化剤)
いくつかの好ましい態様において、粘着剤層は軟化剤を含む。粘着剤層に軟化剤を含ませることによって、粘着剤の柔軟性が向上し、さらに密着性が向上して誘電特性が安定する傾向がある。また例えば、ベースポリマーおよび粘着付与剤を含む組成においては、貯蔵弾性率を適度に低下させて、所望の粘着特性を得ることができる。軟化剤としては、特に限定されず、例えば、重量平均分子量(Mw)が5×104未満である軟化剤(例えばポリマー)を使用することができる。軟化剤のMwは、3×104未満であってもよく、1×104未満でもよく、凡そ5000以下でもよい。Mwの低い軟化剤を使用することにより、貯蔵弾性率を低下させる効果が得られやすい。いくつかの態様に係る軟化剤は、室温(例えば25℃)において液体または粘稠性を示す流動体である。軟化剤のMwの下限値は特に限定されず、例えばMwが1000以上(好ましくは1500以上、より好ましくは2000以上)である軟化剤を使用することができる。これによって、良好な保持力が得られやすく、また、低透湿度を実現しやすい。なお、軟化剤(典型的にはポリマー)のMwは、GPC測定に基づいて求められるポリスチレン換算の値をいう。GPC測定装置としては、例えば、東ソー(TOSOH)社製、型式「HLC-8120GPC」を使用することができる。
軟化剤の種類は特に限定されず、ベースポリマー成分の種類等に応じて適切なものが選択される。軟化剤としては、例えばゴム系ポリマー(典型的にはジエン系ポリマー)、オレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー等を用いることができる。軟化剤の他の例としては、例えば、ステアリン酸やパルミチン酸のような高級脂肪酸のエステル(高級脂肪酸エステル)や、脂肪酸アミドが挙げられる。軟化剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
いくつかの好ましい態様において、使用される軟化剤は、オレフィン系ポリマーおよびジエン系ポリマーから選択される。これらのポリマーは、一般に極性が低く、側鎖が短いため、低誘電率を実現しやすく、また低透湿度を実現しやすい傾向がある。また、ベースポリマーがゴム系ポリマーである場合には、粘着剤層に良好に相溶あるいは分散しやすい傾向がある。なかでも、熱安定性、耐候性に優れるオレフィン系ポリマーがより好ましい。上記ポリマーを重合するためのモノマー成分としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、イソプレン、ブタジエンから選択される1種または2種以上のモノマーが挙げられる。ここでいうブテンは、1-ブテン、およびcis-もしくはtrans-2-ブテンを包含する意味で用いられる。軟化剤は、上記で例示した1種または2種以上のモノマーを50重量%以上の割合で含むモノマー成分の重合物であることが好ましい。具体例としては、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-ブテン-非共役ジエン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-非共役ジエン共重合体等が挙げられる。かかるポリマーにはエチレンプロピレンゴムと称されるものが含まれる。
より好ましい態様では、軟化剤は、ブテン、イソブチレンおよびイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種のモノマーを50重量%以上の割合で含むモノマー成分の重合物である。上記モノマーから得られる重合物は、疎水性かつ非極性であるので、低誘電率を実現しやすく、また低透湿度を実現しやすい傾向がある。上記ポリマーを重合するためのモノマー成分は、上記モノマーの1種または2種以上を、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上、特に好ましくは90重量%以上(例えば95重量%以上)の割合で含む。全モノマー成分中に占める上記モノマーの含有割合は、99重量%以上であってもよい。上記ポリマーには、上記例示したモノマーと共重合可能な他のモノマー(例えばブタジエン、スチレン、エチレン、プロピレン)の1種または2種以上が共重合されたものであり得る。
特に好ましい態様では、軟化剤は、ブテン(1-ブテン、およびcis-もしくはtrans-2-ブテンを指す。)およびイソブテン(イソブチレン)から選択されるモノマーを50重量%以上の割合で含むモノマー成分の重合物、すなわちポリブテンである軟化剤としてのポリブテンにおけるブテンおよびイソブテンの重合割合は、好ましくは凡そ75重量%以上、より好ましくは凡そ85重量%以上、さらに好ましくは凡そ90重量%以上(例えば凡そ95重量%以上)である。全モノマー成分中に占めるブテンおよびイソブテンの含有割合は、99重量%以上であってもよい。
上記ポリブテンは、典型的には、イソブテンを主成分とし、任意に所定量のノルマルブテン(1-ブテン、cis-もしくはtrans-2-ブテン)を含むモノマー成分の重合物である。ポリブテンは、ジエン系ゴムと異なり分子鎖中に二重結合を有しないため熱安定性や耐候性に優れる。また、防湿性にも優れ、誘電率も低い傾向がある。側鎖が短いイソブテン(側鎖-CH3)を主成分としており、分子構造上、主鎖の運動性が低い。ポリブテンにおけるイソブテンの共重合割合は、好ましくは凡そ50重量%以上、より好ましくは凡そ70重量%以上であり、凡そ80重量%以上(例えば凡そ90重量%以上)であってもよい。
軟化剤としてのポリマーは、公知の各種重合法を適切に選択して得ることができる。あるいは、市販品を入手して使用することができる。例えば、ポリブテンは、ルイス酸触媒(例えば塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素)を用いる等してブテン、イソブテンを含むモノマー成分を重合することにより得ることができる。あるいは、JXTGエネルギー社製の「日石ポリブテン」シリーズ、日油社製の「日油ポリブテン」シリーズ等の市販品のなかから、適当な材料を選択して用いることができる。他のいくつかの態様において、軟化剤として用いられる高級脂肪酸エステルの製品としては、三新化学工業社製の製品名「サンエイドLP」が挙げられる。軟化剤として用いられる脂肪酸アミドとしては、三菱ケミカル社製の製品(脂肪酸アマイド)が挙げられる。
ここに開示される粘着剤層における軟化剤の含有量は、軟化剤含有の効果を考慮して適切に設定される。粘着剤層中の軟化剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して10重量部以上とすることが適当であり、好ましくは20重量部以上、より好ましくは25重量部以上であり、30重量部以上(例えば35重量部以上)であってもよい。軟化剤の含有量を増大することにより、貯蔵弾性率を低下させることができる。また、保持力低下を抑制する観点から、粘着剤層中の軟化剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して100重量部以下とすることが適当であり、好ましくは70重量部以下、より好ましくは60重量部以下であり、50重量部以下(例えば45重量部以下)であってもよい。
(その他の添加剤)
粘着剤層を形成する粘着剤組成物には、上述した各成分以外に、必要に応じてレベリング剤、架橋剤、架橋助剤、充填剤、顔料や染料等の着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の、粘着剤の分野において一般的な各種の添加剤が含まれていてもよい。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
ここに開示される粘着剤層は、水系粘着剤組成物、溶剤型粘着剤組成物、ホットメルト型粘着剤組成物、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物から形成された粘着剤層であり得る。水系粘着剤組成物とは、水を主成分とする溶媒(水系溶媒)中に粘着剤(粘着剤層形成成分)を含む形態の粘着剤組成物のことをいい、典型的には、水分散型粘着剤組成物(粘着剤の少なくとも一部が水に分散した形態の組成物)等と称されるものが含まれる。また、溶剤型粘着剤組成物とは、トルエン等の有機溶媒中に粘着剤を含む形態の粘着剤組成物のことをいう。ここに開示される技術は、粘着特性等の観点から、溶剤型粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備える態様で特に好ましく実施され得る。
ここに開示される粘着シートは、従来公知の方法によって形成することができる。例えば、粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを形成する方法としては、第一剥離フィルムおよび第二剥離フィルムのいずれか一方に粘着剤組成物を直接付与(典型的には塗布)して乾燥または硬化させることにより該剥離フィルム上で粘着剤層を形成する方法(直接法)を採用することができる。また、第一、第二剥離フィルムとは異なる剥離面に粘着剤組成物を付与して乾燥または硬化させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層を第一剥離フィルムおよび第二剥離フィルムのいずれか一方に転写する方法(転写法)を採用してもよい。直接法、転写法のいずれの場合にも粘着剤層の露出面を他方の剥離フィルムで覆うことにより、剥離フィルム付き粘着シートが形成される。直接法により粘着シートを形成する場合には、ハンドリング性のよい第二剥離フィルムに粘着剤組成物を付与することが好ましい。なお、粘着剤層は典型的には連続的に形成されるが、このような形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。
粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、ダイコーター、バーコーター等の、従来公知のコーターを用いて行うことができる。あるいは、含浸やカーテンコート法等により粘着剤組成物を塗布してもよい。
架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、粘着剤組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。乾燥温度は、例えば40~150℃程度とすることができ、通常は60~130℃程度とすることが好ましい。粘着剤組成物を乾燥させた後、さらに、粘着剤層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、基材フィルムや粘着剤層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。
粘着剤層の厚さは特に制限されない。粘着剤層の厚さは、通常、凡そ300μm以下が適当であり、好ましくは凡そ200μm以下、より好ましくは凡そ150μm以下、さらに好ましくは凡そ100μm以下である。いくつかの好ましい態様に係る粘着シートでは、粘着剤層の厚さが凡そ50μm以下(通常は40μm以下)である。粘着剤層の厚さの下限は特に制限されないが、接着性、被着体追従性の観点からは、凡そ3μm以上とすることが有利であり、好ましくは凡そ6μm以上、より好ましくは凡そ10μm以上(例えば凡そ15μm以上)であり、さらに好ましくは25μm以上、特に好ましくは35μm以上(例えば40μm以上)である。粘着剤層の厚さが大きくなるほど、低い透湿度を実現しやすい。好適例として、上記粘着シートが上記厚さの粘着剤層のみからなる基材レス粘着シートである剥離フィルム付き粘着シートが挙げられる。
(粘着剤層の特性)
ここに開示される粘着剤層は、23℃、55%RH、周波数1MHzにおける比誘電率が4以下であることが好ましい。誘電率は、電子の振動によるエネルギーロスの指標であり、材料の誘電率を低くすることにより、電力損失を抑制することができる。したがって、例えばアンテナ形成用途などアンテナの近傍で使用される態様において、誘電率の低い粘着剤はアンテナ性能を阻害しないものとなり得る。なお、本明細書において「誘電率」は比誘電率のことをいうものとする。粘着剤層の比誘電率(23℃55%RH 周波数1MHz)は、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下であり、2.3以下であってもよく、2.1以下でもよく、2.0以下(例えば1.9以下)でもよい。また、上記比誘電率は、1.1よりも大きいことが適当である。比誘電率が1.1よりも大きい粘着剤は、良好な粘着特性(粘着力等)が得られやすい。そのような観点から、上記比誘電率は、1.2超であってもよく、1.5超でもよく、1.8以上(例えば2.0超)でもよい。粘着剤層の比誘電率は、Clausius-Mossottiの式より、分子の双極子モーメントを小さくし、モル体積を大きくすることにより低下させることができる。粘着力や保持力等の粘着特性とのバランスを考慮しながら、適当な材料や組成を採用することにより、上記範囲の比誘電率を得ることができる。なお、粘着シートが基材レス両面粘着シートである態様においては、粘着シートの比誘電率(23℃55%RH 周波数1MHz)は、上記の範囲となり得る。粘着剤層の上記比誘電率(23℃55%RH 周波数1MHz)は、JIS K6911に準じて測定することができる。より具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
また、粘着剤層は、23℃、55%RH、周波数1MHzにおける誘電正接が0.05以下であることが好ましい。ここで誘電正接は、分子鎖の振動によるエネルギーロスの指標であり、材料の誘電正接を低くすることにより、電力損失を抑制することができる。したがって、例えばアンテナ形成用途などアンテナの近傍で使用される態様において、低誘電正接の粘着剤は、アンテナ性能を阻害しないものとなり得る。粘着剤層の誘電正接(23℃55%RH 周波数1MHz)は、より好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.06以下であり、0.005以下であってもよい。また、上記誘電正接は、通常、0.001以上であることが適当である。誘電正接が0.001以上であることにより、粘着特性が得られやすく、良好な粘着力を発揮しやすい。そのような観点から、上記誘電正接は、0.002以上であってもよく、0.003以上でもよい。粘着剤層の誘電正接は、粘性成分の比率を小さくすることにより低下させることができる。粘着力や保持力等の粘着特性とのバランスを考慮しながら、適当な材料や組成を採用することにより、上記範囲の誘電正接を得ることができる。なお、粘着シートが基材レス両面粘着シートである態様においては、粘着シートの誘電正接(23℃55%RH 周波数1MHz)は、上記の範囲となり得る。粘着剤層の上記誘電正接(23℃55%RH 周波数1MHz)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
いくつかの態様において、粘着剤層の60℃における貯蔵弾性率G′は1.0×10Pa以下であることが好ましい。上記範囲の貯蔵弾性率G′(60℃)を有する粘着剤によると、長期にわたって良好な接着状態を維持しやすい。また、例えば、上記粘着剤を用いて硬質部材(ガラス板等)を接合した携帯電子機器は、落下時等に衝撃を受けた場合であっても、当該衝撃によっても微小な気泡等が生じにくく、密着した接着状態を維持しやすい。このことは、例えばアンテナ形成用途などアンテナの近傍で使用される態様においては、接着界面に気泡が存在するなどしてアンテナ性能が阻害されることを防止し得る点で有利である。また、貯蔵弾性率G′(60℃)が所定値以下の粘着剤は、段差追従性にも優れる傾向がある。粘着剤層の貯蔵弾性率G′(60℃)は、より好ましくは5.0×10Pa以下であり、3.0×10Pa以下であってもよい。また、粘着剤層の貯蔵弾性率G′(60℃)は、保持力等の観点から、通常、1.0×10Pa以上が適当であり、好ましくは3.0×10Pa以上、より好ましくは1.0×10Pa以上であり、2.0×10Pa以上であってもよい。なお、粘着シートが基材レス両面粘着シートである態様においては、粘着シートの貯蔵弾性率G′(60℃)は、上記の範囲となり得る。粘着剤層の貯蔵弾性率G′(60℃)は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
<基材>
ここに開示される粘着シートが基材付き粘着シートの形態である態様において、粘着剤層を支持(裏打ち)する基材としては、樹脂フィルム、発泡体フィルム、紙、布、金属箔、これらの複合体等を用いることができる。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン製フィルム;PET等のポリエステルフィルム;塩化ビニル樹脂フィルム;酢酸ビニル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;ポリアミド樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;セロハン等が挙げられる。紙の例としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
なお、ここでいう不織布は、主として粘着テープその他の粘着シートの分野において使用される粘着シート用不織布を指す概念であって、典型的には一般的な抄紙機を用いて作製されるような不織布(いわゆる「紙」と称されることもある。)をいう。また、ここでいう樹脂フィルムとは、典型的には非多孔質の樹脂シートであって、例えば不織布とは区別される(すなわち、不織布を含まない)概念である。上記樹脂フィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。また、該基材の粘着剤層が設けられる面には、下塗り剤の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
ここに開示される基材フィルムの厚さは特に限定されない。粘着シートが過度に厚くなることを避ける観点から、基材フィルム(例えば樹脂フィルム)の厚さは、例えば凡そ200μm以下、好ましくは凡そ150μm以下、より好ましくは凡そ100μm以下とすることができる。粘着シートの使用目的や使用態様に応じて、基材フィルムの厚さは、凡そ70μm以下であってよく、凡そ50μm以下でもよく、凡そ30μm以下(例えば凡そ25μm以下)でもよい。いくつかの態様において、基材フィルムの厚さは、凡そ20μm以下であってよく、凡そ15μm以下でもよく、凡そ10μm以下(例えば凡そ5μm以下)でもよい。基材フィルムの厚さを小さくすることにより、粘着シートの総厚さが同じであっても粘着剤層の厚さをより大きくすることができる。このことは、基材との密着性向上の観点から有利となり得る。基材フィルムの厚さの下限は特に制限されない。粘着シートの取扱い性(ハンドリング性)や加工性等の観点から、基材フィルムの厚さは、通常は凡そ0.5μm以上(例えば1μm以上)、好ましくは凡そ2μm以上、例えば凡そ4μm以上である。いくつかの態様において、基材フィルムの厚さは、凡そ6μm以上とすることができ、凡そ8μm以上でもよく、凡そ10μm以上(例えば10μm超)でもよい。
<粘着シートの特性>
(対COP粘着力)
いくつかの好ましい態様において、粘着シートは、少なくとも第一粘着面がシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムに対して3N/20mm以上の粘着力を有する。上記対COP粘着力が3N/20mm以上であることにより、被着体(例えばCOPフィルム等の有機板)に対して接着信頼性よく密着することができる。そのような粘着シートは、接着面に微小な気泡等が存在しない優れた接着状態を実現し得る。また、上記対COP粘着力を有する構成に対して、ここに開示される技術による効果(第二剥離フィルムの剥離時に、第一粘着面と被着体との接着面に欠陥が発生することを防止する効果)は好ましく発揮される。対COP粘着力は、より好ましくは4N/20mm以上である。より高い接着信頼性が求められる態様では、上記対COP粘着力は、5N/20mm以上であってもよく、8N/20mm以上でもよく、12N/20mm以上でもよく、15N/20mm以上でもよい。上記対COP粘着力の上限は特に限定されず、例えば20N/20mm以下であり、16N/20mm以下であってもよく、10N/20mm以下でもよく、6N/20mm以下(例えば5N/20mm未満)でもよい。対COP粘着力が所定値以下に設定されていることにより、被着体への貼付け直後に貼り直しがしやすく、また、良好なリワーク性が得られやすい。ここに開示される両面粘着シートは、各粘着面(第一粘着面および第二粘着面)が、上記範囲の対COP粘着力を有するものであり得る。そのような両面粘着シートとしては、粘着剤層のみからなる基材レス両面粘着シートが挙げられる。対COP粘着力は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
(保持力)
ここに開示される粘着シートは、荷重500g、23℃、1時間の条件で実施される保持力試験におけるズレ距離が1mm以下であることが好ましい。上記保持力特性を有する粘着シートによると、被着体への貼付け形態にかかわらず、剥がれやズレが生じにくく、優れた接着信頼性を実現しやすい。上記保持力試験におけるズレ距離は、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下、特に好ましくは0~0.1mmである。上記保持力試験は、具体的には後述の実施例に記載の方法で実施される。
(透湿度)
ここに開示される粘着シートの透湿度は特に限定されない。いくつかの態様において、粘着シートは、JIS Z 0208に準じて40℃、90%RHの条件で測定される透湿度が300g/(m・day)以下であることが好ましい。透湿度が所定値以下となるよう設計することにより、粘着シートは低い誘電率を保持しやすい。上記透湿度を有する粘着シートは、電力損失が少ないので、例えばアンテナ形成用途などアンテナの近傍で使用される態様において、アンテナ性能を阻害しないものとなり得る。粘着シートの上記透湿度は、より好ましくは100g/(m・day)以下、さらに好ましくは30g/(m・day)以下、特に好ましくは10g/(m・day)以下であり、7g/(m・day)以下であってもよく、5g/(m・day)以下(例えば3g/(m・day)以下)でもよい。また、粘着シートの上記透湿度の下限値は、理論上0g/(m・day)であり、粘着特性等の観点から、0.1g/(m・day)以上であってもよく、1g/(m・day)以上でもよい。粘着シートが基材レス粘着シートである態様においては、上記透湿度の範囲は、粘着剤層の透湿度の範囲となり得る。上記透湿度は、粘着剤含有成分(ゴム系粘着剤や粘着付与剤、軟化剤等)等の選択により、調節することができる。上記透湿度は、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定される。
(全光線透過率)
粘着シートの全光線透過率は、特に限定されない。ここに開示される技術においては、例えば全光線透過率が50%以上である粘着シートが使用される。上記の透過性を有する粘着シートは、被着体に貼り合わせる際に、粘着シート越しに被着体への貼付け位置を確認することができるので、貼り損ないが生じにくい。また、粘着シート越しに被着体との接着具合を目視で確認しながら、粘着シートを被着体に貼り付けることができるので、貼り合わせの際に浮きや気泡等が生じにくい。粘着シートの全光線透過率は、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上(例えば85%以上)である。粘着シートの全光線透過率の上限は、例えば95%以下程度であってもよい。粘着シートが基材レス粘着シートである態様においては、上記全光線透過率の範囲は、粘着剤層の全光線透過率の範囲となり得る。上記全光線透過率は、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定される。
(表面抵抗値上昇率)
ここに開示される粘着シートは、60℃、95%RHの環境に1週間放置した後に測定される表面抵抗値SR1の、初期表面抵抗値SR0に対する表面抵抗値上昇率(%):(SR1-SR0)/SR0×100;が10%未満であることが好ましい。上記表面抵抗上昇率が10%未満である粘着シートは、銅等の金属を腐食しにくい。そのため、例えばアンテナ部材の接合や固定に用いた場合に、アンテナ部材を構成する金属を腐食せず、長期にわたってアンテナ性能を阻害しないものとなりやすい。表面抵抗上昇率が10%未満である構成は、粘着剤中に酸性成分(例えばポリマーの酸性基)を含ませないことや、粘着剤中に含まれる酸性成分量を制限することにより得ることができる。上記表面抵抗値上昇率は、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定される。
<粘着シートの総厚さ>
ここに開示される粘着シート(粘着剤層を含み、基材を有する構成ではさらに基材を含むが、剥離フィルムは含まない。)の総厚さは、特に限定されず、薄膜化、軽量化、省資源化等の観点から、通常、凡そ300μm以下が適当であり、好ましくは凡そ200μm以下、より好ましくは凡そ150μm以下、さらに好ましくは凡そ100μm以下である。いくつかの好ましい態様において、粘着シートの総厚さは、凡そ50μm以下(通常は40μm以下)である。粘着シートの総厚さの下限は特に制限されないが、接着性、被着体追従性の観点からは、凡そ3μm以上とすることが有利であり、好ましくは凡そ6μm以上、より好ましくは凡そ10μm以上(例えば凡そ15μm以上)であり、さらに好ましくは25μm以上、特に好ましくは35μm以上(例えば40μm以上)である。粘着シートの厚さが大きくなるほど、低い透湿度を実現しやすい。
<用途>
ここに開示される剥離フィルム付き粘着シートは、剥離フィルムを除去して被着体に貼り付けた後、被着体との接着面に欠陥が存在しない良好な接着状態を実現することができる。そのような粘着シートは、良好な性能を発揮しやすく、被着体に対する接着性に優れたものとなり得る。このような特徴を活かして、上記剥離フィルム付き粘着シートは、被着体に対する接着性や密着性がよく、欠陥のない高品質な接着状態が望まれる各種用途に利用され得る。例えば、高品質な接着が求められ得る各種の携帯機器(ポータブル機器)において部材を固定する用途に、ここに開示される剥離フィルム付き粘着シートは好ましく適用され得る。上記携帯電子機器の非限定的な例には、携帯電話、スマートフォン、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、各種ウェアラブル機器(例えば、腕時計のように手首に装着するリストウェア型、クリップやストラップ等で体の一部に装着するモジュラー型、メガネ型(単眼型や両眼型。ヘッドマウント型も含む。)を包含するアイウェア型、シャツや靴下、帽子等に例えばアクセサリの形態で取り付ける衣服型、イヤホンのように耳に取り付けるイヤウェア型等)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、音響機器(携帯音楽プレーヤー、ICレコーダー等)、計算機(電卓等)、携帯ゲーム機器、電子辞書、電子手帳、電子書籍、車載用情報機器、携帯ラジオ、携帯テレビ、携帯プリンター、携帯スキャナ、携帯モデム等が含まれる。なお、この明細書において「携帯」とは、単に携帯することが可能であるだけでは充分ではなく、個人(標準的な成人)が相対的に容易に持ち運び可能なレベルの携帯性を有することを意味するものとする。
ここに開示される粘着シートは、アンテナ性能を阻害しない特性を有するものであり得るので、アンテナの形成や、アンテナの接合または固定用途に好適である。また、アンテナが配置される周辺での接合または固定用途にも利用可能である。ここに開示される粘着シートは、5G移動通信システムに用いられるアンテナ用途に特に好適である。例えば、アンテナ部材と他の部材との接合固定用途に、ここに開示される粘着シートは好ましく用いられ得る。かかる粘着シートによる接合固定の一態様を図2に示す。特に限定されるものではないが、例えば図2に示すように、アンテナ(アンテナ構造体)100は、アンテナ部材50が、アンテナ基材としての有機部材(有機板ともいう。)60の表面に配置された形態を有する。アンテナ部材50が配置された有機部材60は、そのアンテナ部材配置面が、粘着シート1によって透明部材70と接合されている。換言すると、アンテナ構造体100は、透明部材70と、粘着シート1と、アンテナ部材50を配置した有機部材60との積層構造を有している。なお、この実施形態に係るアンテナ構造体100には、有機部材60の背面(アンテナ部材配置面の反対面)に、銅等の金属材料からなるグランド80が配置されている。
なお、アンテナ部材を含む構造体は、図2に示す構造に限定されない。例えば、図2に示すように、透明部材と、粘着シートと、アンテナ部材と、有機部材とをこの順で有する構造体であってもよい(この場合、透明部材/アンテナ部材/有機部材の積層構造を有する構造体となる。)。あるいは、構造体(アンテナ構造体)は、上記の部材配置を逆にした構造、すなわち、有機部材/アンテナ部材/透明部材の積層構造を有する構造体であってもよい。さらに、構造体(アンテナ構造体)は、透明部材/アンテナ部材/有機部材/アンテナ部材/透明部材の積層構造を有するものであってもよい。かかる構造体において、粘着シートは、アンテナ部材を固定するものでもあり得る。そのような粘着シートは、アンテナ部材と直接接触した状態で構造体内に配置されたものであり得る。
上記アンテナ構造体に用いられる透明部材としては、全光線透過率が50%以上(好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上)の部材が用いられ得る。このような透明部材は、透明部材越しに粘着シートの位置合わせが可能であり、また粘着シートの接着状態を確認することができる。全光線透過率は、後述の実施例に記載の方法と同様の方法で測定することができる。透明部材は、無色透明であってもよく、有色透明であってもよい。上記アンテナ構造体に用いられる透明部材の材料としては、ガラスや、透明性を有する樹脂材料等を用いることができ、例えばガラスや、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、ポリイミド(変性ポリイミド(MPI)を包含する。)、PET等の樹脂からなる透明材料から形成された部材が用いられ得る。なかでも、ガラスやポリカーボネートが好ましい。透明部材の厚さは、特に限定されるものではないが、50~300μm程度である。
また、アンテナ部材が配置される有機部材としては、特に限定されるものではないが、アンテナ性能を阻害しにくい低誘電率の材料が好ましく用いられる。例えば、JIS K6911に準じて測定される比誘電率(23℃55%RH 周波数1MHz)が凡そ3以下(例えば1.1超3以下)の有機材料が用いられる。好適例としては、COPフィルムや、液晶ポリマーフィルムが挙げられる。液晶ポリマーフィルムの製品としては、クラレ社製の製品名「ベクスター」や、パナソニック社製の製品名「FELIOS LCP」等が挙げられる。かかる有機部材の厚さは、10~500μm(例えば25~200μm)程度である。ここに開示される粘着シートは、上記透明部材や有機部材のような異種材料の接合において、良好な接着信頼性を発揮することができ、両被着体に密着して、アンテナ性能を阻害しにくい優れた接合を実現し得る。
また、アンテナ部材は、通常、銅等の金属部材からなり、その厚さは1~30μm(例えば5~20μm)程度であり、例えば、有機部材や透明部材の表面に部分的に配置される。また、アンテナ部材は、構造体内において、粘着シートの第一粘着面および/または第二粘着面に接触した状態で配置されていてもよく、粘着剤層内に配置された形態であってもよい。かかる態様において、アンテナ部材は、粘着シートに固定された形態であり得る。上記のように、アンテナ部材の接合や固定に用いられる粘着剤には、部分的に配置されたアンテナ部材による段差への追従性や金属腐食防止性が求められ得る。また、アンテナ用途に用いられる粘着シートの接着対象物には、COP等の有機材料表面や透明部材表面、アンテナ部材の金属面が含まれ得るので、当該表面に貼り付けられる粘着シートには、種々の材料に対して良好に接着することができるものが望ましい。ここに開示される粘着シートは、段差追従性や金属腐食防止性に優れ、異種材料に対する接着性にも優れたものであり得るので、この点においてもアンテナ固定用途に好適である。
上記より、本明細書によると、例えば図2に示すような、透明部材70と、有機部材60と、透明部材70および有機部材60の間に配置されたアンテナ部材50とを有する構造体(アンテナ構造体)100が提供される。この構造体100において、透明部材70および有機部材60は、ここに開示されるいずれかの粘着シートによって接合されている。かかる構造体は、アンテナ性能を阻害しない接合によって形成されているので、より高性能なアンテナ性能が求められる5G移動通信システムに用いられるデジタル通信用アンテナとして特に好適である。上記構造体は、例えばSub6(周波数3~5GHz)、さらにはミリ波帯(周波数24GHz超)の高周波数帯の電波を利用する移動通信システムに用いられて、アンテナ性能の低下を高度に抑制することができる。そのようなアンテナ構造体が組み込まれた移動通信システムは、スマートフォン等の電子機器に好ましく利用されて、より高速大容量の通信、低遅延、多数同時接続の実現に寄与するものとなり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<実施例1>
(粘着剤組成物の調製)
ゴム系ポリマーとしてスチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS、商品名「SEPTON 2063」、スチレン含有量13%、クラレ社製)100部と、粘着付与剤として水添テルペンフェノール(商品名「YSポリスターTH130」、軟化点130℃、水酸基価60mgKOH/g、ヤスハラケミカル社製)73部、石油系粘着付与剤(商品名「ピコラスチックA5」、ビニルトルエン系粘着付与剤、軟化点5℃、イーストマンコダック社製)111部、軟化剤としてポリブテン(商品名「HV-300」、重量平均分子量3000、JX日鉱日石エネルギー社製)39部を配合したトルエン溶液(粘着剤溶液)を固形分が30%になるように調整し、粘着剤組成物溶液を調製した。
(第一剥離フィルム(軽剥離側)の作製)
熱硬化性付加型シリコーン(商品名「KS―847T」、信越化学工業社製、30%トルエン溶液)100部に、白金触媒(商品名「PL―50T」、信越化学工業社製、トルエン溶液)1部、ヘプタン3000部を加えて、混合、溶解して剥離剤組成物を調製した。この剥離剤組成物を、厚さ25μmのPETフィルムの一方の表面に塗布し、熱により硬化させて第一剥離フィルム(軽剥離側)を得た。
(第二剥離フィルム(重剥離側)の作製)
熱硬化性付加型シリコーン(商品名「KS―3703」、信越化学工業社製)90部、剥離コントロール剤(商品名「X―92―183」、信越化学工業社製)10部および白金系触媒(商品名「PL―50T」、信越化学工業社製)2部を、さらにトルエンを加えて、混合、溶解して剥離剤組成物を調製した。この剥離剤組成物を厚さ38μmのPETフィルムの一方の表面に塗布し、熱により硬化させて第二剥離フィルム(重剥離側)を得た。
(粘着シートの作製)
得られた粘着剤組成物溶液を、上記第二剥離フィルム(重剥離側)の剥離処理面に塗布して塗布層を形成した。次いで、当該塗布層の有機溶剤量が1000ppm以下になるまで塗布層を乾燥させて、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。そして、この粘着剤層の露出粘着面に、上記第一剥離フィルム(軽剥離側)を、その剥離処理面が粘着剤層側となるように貼り合わせた。このようにして、上記粘着剤層からなる基材レス粘着シートの第一粘着面および第二粘着面が第一剥離フィルム(軽剥離側)および第二剥離フィルム(重剥離側)でそれぞれ覆われた形態の剥離フィルム付き粘着シートを得た。
<実施例2~5>
粘着剤組成や粘着剤層厚さを表1に示す内容に変更した他は実施例1と同様にして、各例に係る剥離フィルム付き粘着シートを得た。表1中の「テルペン樹脂」は、ヤスハラケミカル社製の製品名「YSレジンPX1150N」(軟化点115℃、水酸基価1mgKOH/g未満)である。
<比較例1>
第二剥離フィルム(重剥離側)として、高密度ポリエチレン(HDPE)を押し出して厚さ150μmのフィルムに成形したものを使用した他は実施例1と同様にして本例に係る剥離フィルム付き粘着シートを得た。
<評価方法>
[第一剥離フィルム(軽剥離側)の剥離力]
各例に係る剥離フィルム付き粘着シートを幅50mm、長さ150mmのサイズにカットし、23℃の環境下、引張試験機(商品名:AUTOGRAPH AG-IS、SHIMADZU社製)を用いて剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で第一剥離フィルム(軽剥離側)を粘着シートから剥離したときの剥離力[N/50mm]を測定した。
[第二剥離フィルム(重剥離側)の剥離力]
23℃の環境下、各例に係る剥離フィルム付き粘着シートから第一剥離フィルム(軽剥離側)を剥がして、露出した第一粘着面を、厚み25μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(製品名「ゼオノアフィルムZF16」、日本ゼオン社製)に圧着し、粘着シートの第一粘着面にCOPフィルムを裏打ちした。粘着シートのCOPフィルムへの圧着は、23℃の環境下、2kgローラーを300mm/分の速度で一往復させることにより行った。これを幅50mm、長さ150mmのサイズにカットし、同環境下にて、引張試験機(商品名:AUTOGRAPH AG-IS、SHIMADZU社製)を用いて剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で第二剥離フィルムを粘着シートから剥離したときの剥離力[N/50mm]を測定した。COPフィルムを裏打ちしてから剥離力を測定するまでの時間は5分以内とした。
[第二剥離フィルムの剥離形態評価]
上記第二剥離フィルムの剥離力評価において、第二剥離フィルムを剥離したときの剥離形態を目視で確認した。粘着剤層表面の全面において、第二剥離フィルムが粘着剤層との界面から剥離した場合、「〇」と判定し、粘着剤の一部が第二剥離フィルムから剥離せずに残った場合、「×」と判定した。
[対COP粘着力]
粘着シートの対COP粘着力は以下の方法で測定した。
各例に係る剥離フィルム付き粘着シートを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットし、第一剥離フィルムを剥離して、粘着シートの粘着面を露出させて、該粘着面にPETフィルム(厚さ25μm)に裏打ちし、粘着シート試験片を得た。
また、COPフィルム(製品名「ゼオノアフィルムZF16」、日本ゼオン社製)を、両面テープ(製品名「No.5000NS」、日東電工社製)を用いて固定板(ベークライト板)に貼り付け、被着体を得た。
上記粘着シート試験片から第二剥離フィルムを剥離し、23℃、50%RHの環境下で、上記粘着シート試験片の露出粘着面(測定面)と上記被着体のCOPフィルム表面とを貼り合わせ、2kgローラーを一往復させることにより圧着し、30分間放置した。
放置後、引張試験機(商品名:AUTOGRAPH AG-IS、SHIMADZU社製)を用いて、被着体から粘着シート試験片を引き剥がす剥離試験を行い、COPに対する粘着力(対COP粘着力)[N/20mm]を測定した。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った。
[比誘電率および誘電正接]
粘着シート(粘着剤層)の比誘電率および誘電正接は以下の方法で測定した。
各例に係る剥離フィルム付き粘着シートの粘着剤層単体(基材レス両面粘着シート)を銅箔と電極の間に挟み、JIS K 6911に準じて、下記条件で、周波数1MHzにおける比誘電率および誘電正接を測定した。測定は、3サンプルを作製し、それらの3サンプルに対する測定値の平均を採用した。
測定方法:容量法(装置:Agilent Technologies E4980A Precision LCR Meter使用)
電極構成:13.2mmΦ、0.5mm厚みのアルミニウム板
対向電極:3oz 銅板
測定環境:23℃、55%RH
[透湿度]
各例に係る粘着シート(粘着剤層)の透湿度は、JIS Z 0208の透湿度試験方法(カップ法)に準拠した測定した。具体的には、各例に係る剥離フィルム付き粘着シートから第一剥離フィルム(軽剥離側)を剥がし、粘着面を露出させて、この露出粘着面を、中心に20mm角(20mm×20mmの正方形)の穴があいたアルミニウム積層フィルムにゴムローラーを用いて貼り合わせて、評価用サンプルを得た。そして、上記評価用サンプル(粘着シート)の他方の粘着面を覆う第二剥離フィルムを剥がして、当該評価用サンプルを、内部に所定量の吸湿剤(塩化カルシウム)が入った試験用カップ(アルミニウム製、JIS Z0208で規定される透湿カップ)の口を覆うように貼り付けて密閉し、下記の条件で、粘着シートの上記20mm角領域を通過する水蒸気量から透湿度(水蒸気透過率)[g/(m・day)]を測定した。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
なお、測定の際には、恒温恒湿槽を使用した。
[60℃における貯蔵弾性率]
粘着シート(粘着剤層)の貯蔵弾性率は以下の方法で測定した。
各例に係る剥離フィルム付き粘着シートから2枚の剥離フィルムを剥がし、粘着剤層を1.5mmの厚さになるように重ね合わせ、オートクレーブ(50℃、15分、5atm)で脱泡処理を行い、評価用サンプルを得た。そして、TA Instruments社製の「ARES-G2」を使用し、以下の条件で動的粘弾性測定を行い、60℃における粘着剤の貯蔵弾性率[Pa]を測定した。
・測定モード:せん断モード
・温度範囲 :-60℃~130℃
・昇温速度 :5℃/min
・測定周波数:1Hz
・測定プローブ:8mmΦステンレススチール
[表面抵抗値上昇率]
粘着シート(粘着剤層)の表面抵抗値上昇率は以下の方法で測定した。
市販の両面粘着テープを用いて、スライドガラスと導電性透明フィルム(製品名「エレクリスタ」、日東電工社製)を貼り付けて被着体とした。
また、各例に係る剥離フィルム付き粘着シートの第一剥離フィルム(軽剥離側)を剥がして、露出した粘着面にPETフィルム(製品名「ルミラーS10」、東レ社製、50μm厚)を裏打ちした。これを2.5cm×2.5cmのサイズに切り出し、他方の粘着面を覆う第二剥離フィルムを剥がして、露出した粘着面を被着体の導電性透明フィルム表面に貼り付けて評価用サンプルを得た。23℃、50%RHの環境下にて、抵抗計(製品名「RM3548」、HIOKI社製)を用いて電極間距離5cmの被着体の初期表面抵抗値を測定した。次いで、評価用サンプルを温度60℃、95%RHに1週間保存した後、23℃、50%RHの環境下にて、電極間距離5cmの被着体の表面抵抗値(高温高湿保存後表面抵抗値)を測定した。
初期表面抵抗値に対する高温高湿保存後表面抵抗値の上昇率が10%未満であれば、長期にわたって金属腐食が抑制され、アンテナ特性を阻害しない、すなわち合格(〇)と判定される。
[全光線透過率]
粘着シート(粘着剤層)の全光線透過率は以下の方法で測定した。
各例に係る剥離フィルム付き粘着シートを25mm×70mmに切り出し、第一剥離フィルム(軽剥離側)を剥がしてスライドガラス(製品名「S1214」、松浪硝子工業社製)に貼り付けた。次いで、第二剥離フィルム(重剥離側)を剥がして、サンプルセット位置に取り付けて、へーズメーター(製品名「ヘーズメーター HM-150」、村上色彩技術研究所製)を用いて、全光線透過率[%]を測定した。測定は、23℃、50%RHの条件で行った。
[保持力試験]
粘着シートの保持力は以下の方法で測定した。
各例に係る剥離フィルム付き粘着シートから、第一剥離フィルム(軽剥離側)を剥がして、露出した粘着面に厚さ50μmのPETフィルム(東レ社製、商品名「ルミラーS10」)を裏打ちした。これを幅10mm、長さ100mmのサイズに切り出した。次いで、室温(23℃)にて、他方の粘着面を覆う第二剥離フィルム(重剥離側)を剥がして、露出した粘着面を、幅10mm、長さ20mmの接着面積で被着体としてのベークライト板(フェノール樹脂板)に2kgローラーを1往復させて圧着した。このようにして被着体に貼り付けた粘着シート試験片を同環境下に30分間放置した後、試験片の長さ方向が鉛直方向となるように被着体を垂下し、該試験片の自由端に500gの荷重を付与し、JIS Z0237に準じて、該荷重が付与された状態で同環境下に1時間放置した。当該放置後の試験片のずれた距離(ズレ距離)[mm]を測定した。
各例の評価結果を表1に示す。表1には、各例の概要もあわせて示す。
Figure 2022172615000002
表1に示されるように、実施例1~5に係る剥離フィルム付き粘着シートは、第二剥離フィルム剥離力が0.03以上1N/50mm以下であり、第二剥離フィルムの剥離形態評価が合格であった。一方、比較例1に係る剥離フィルム付き粘着シートは、第二剥離フィルム剥離力の測定時に裏打ちしたフィルムと粘着剤層との間で浮きが生じ、第二剥離フィルム剥離力を測定できなかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 粘着シート
1A 第一面(第一粘着面)
1B 第二面(第二粘着面)
11 粘着剤層
11A 一方の表面
11B 他方の表面
21 第一剥離フィルム
21A 表面(第一剥離面)
21B 背面
22 第二剥離フィルム
22A 表面(第二剥離面)
30 剥離フィルム付き粘着シート
50 アンテナ部材
60 有機部材
70 透明部材
80 グランド
100 構造体(アンテナ構造体)

Claims (12)

  1. 粘着剤層を備える両面接着性の粘着シートと、
    前記粘着シートの第一粘着面上に配置された第一剥離フィルムと、
    前記粘着シートの第二粘着面上に配置された第二剥離フィルムと、
    を備える剥離フィルム付き粘着シートであって、
    前記第一剥離フィルムを前記第一粘着面から剥がし、該第一粘着面にシクロオレフィンポリマーフィルムを貼り合わせた後、前記第二剥離フィルムを、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で前記第二粘着面から剥がしたときの剥離力が0.03N/50mm以上1N/50mm以下である、剥離フィルム付き粘着シート。
  2. 前記第二剥離フィルムの前記第二粘着面からの剥離力Rが、前記第一剥離フィルムの前記第一粘着面からの剥離力Rよりも大きい、請求項1に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  3. 前記粘着シートの少なくとも前記第一粘着面は、シクロオレフィンポリマーフィルムに対する粘着力が3N/20mm以上20N/20mm以下である、請求項1または2に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  4. 前記粘着剤層は、23℃、55%RH、周波数1MHzにおける比誘電率が1.1よりも大きく4以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  5. 前記粘着シートは、JIS Z 0208に準じて40℃、90%RHの条件で測定される透湿度が300g/(m・day)以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  6. 前記粘着剤層を構成する粘着剤は、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤またはポリエステル系粘着剤から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  7. 前記粘着剤層は、60℃における貯蔵弾性率G′が1.0×10Pa以下である、請求項6に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  8. 前記粘着剤層は、ベースポリマーとして、酸性基含有モノマーが実質的に共重合されていないポリマーを含む、請求項6または7に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  9. 前記粘着シートは、60℃、95%RHの環境に1週間放置した後に測定される表面抵抗値SR1の、初期表面抵抗値SR0に対する表面抵抗値上昇率(%):(SR1-SR0)/SR0×100;が10%未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  10. 前記粘着シートの全光線透過率は50%以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  11. 前記粘着シートは、荷重500g、23℃、1時間の条件で実施される保持力試験におけるズレ距離が1mm以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の剥離フィルム付き粘着シート。
  12. 透明部材と、有機部材と、該透明部材および該有機部材の間に配置されたアンテナ部材と、を有する構造体であって、
    前記透明部材および前記有機部材は、請求項1~11のいずれか一項に記載の粘着シートによって接合されている、構造体。


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