JP2022160187A - 露光装置、露光方法及び物品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性の点で有利な露光装置を提供する。【解決手段】原版と基板とを走査方向に移動させながら前記基板を露光する露光装置であって、前記原版を保持する原版ステージの位置を計測して第1計測値を取得する第1計測部と、前記基板を保持する基板ステージの位置を計測して第2計測値を取得する第2計測部と、前記原版ステージと前記基板ステージとを前記走査方向に同期させて駆動させている期間における前記原版ステージと前記基板ステージとの同期誤差を演算する演算部と、前記基板上の露光すべき領域の単位となる各区画領域内で、前記同期誤差を評価すべき評価領域と、前記同期誤差を評価しない非評価領域とを決定する決定部と、前記同期誤差に応じた処理を行う処理部と、を有し、前記演算部は、前記基板上の各区画領域について、前記評価領域を露光している期間に前記第1計測部及び前記第2計測部のそれぞれで取得される前記第1計測値及び前記第2計測値に基づいて前記同期誤差を演算することを特徴とする露光装置を提供する。【選択図】図8
Description
本発明は、露光装置、露光方法及び物品の製造方法に関する。
半導体素子などのデバイスを製造するフォトリソグラフィ工程では、一般的に、原版(レチクル又はマスク)を照明して、原版のパターンを基板(ウエハ)に投影する露光装置が用いられている(特許文献1及び2参照)。
特許文献1には、基板を保持する基板ステージと、基板ステージの位置に関する物理量を計測する第1計測部と、原版を保持する原版ステージと、原版ステージの位置に関する物理量を計測する第2計測部とを有する露光装置が開示されている。特許文献1に開示された露光装置では、基板ステージ及び原版ステージの相対駆動中に第1計測部及び第2計測部のそれぞれの計測値をモニタし、そのモニタ結果に基づいて基板ステージと原版ステージとの同期誤差を求める。そして、基板ステージと原版ステージとの同期誤差から、基板上に転写されるパターンの位置ずれを評価している。
特許文献2には、原版のパターンを基板に投影する投影光学系の光軸の方向に関して、基板ステージに保持された基板の位置(高さ方向の位置)を計測する位置計測部を有する露光装置が開示されている。特許文献2に開示された露光装置では、位置計測部の計測結果に基づいて基板ステージを投影光学系の光軸に直交する方向に駆動(所謂、フォーカス・レベリング駆動)する際に、予め定められた制限値(駆動量)を超えないように、基板ステージの駆動を制御する。この際、かかる制限値を基板ステージの速度などに基づいて決定することで、基板ステージの過度な駆動に起因する、基板上に転写されるパターンの精度(転写精度)の低下が抑制される。
露光装置においては、生産性(歩留まり)を向上させるために、基板の周辺に位置する、露光すべき領域の単位となる区画領域(ショット領域)に対しても露光を行うことが求められている。基板の周辺に位置する区画領域は、チップが構成されるチップ領域と、チップが構成されない非チップ領域(基板エッジに接する領域又は基板外の領域)とが混在していることが多い。そこで、従来技術では、区画領域のうちチップ領域のみについて高さ位置を計測し、その計測値に基づいてフォーカス・レベリング駆動の目標値を生成することで、チップ領域の表面位置を投影光学系の像面に合わせている。
しかしながら、基板の周辺に位置する区画領域では、異物の付着やレジスト(感光剤)の塗布むらに起因して、表面の平坦度が低下しやすい。平坦度が低下している領域に対するフォーカス・レベリング駆動は、基板ステージの駆動量が大きくなる(即ち、過度な駆動となる)ため、フォーカス・レベリング追従誤差を招くだけではなく、基板ステージと原版ステージとの同期誤差につながる。特に、チップ領域と非チップ領域との境界付近での平坦度が低下している場合、基板ステージと原版ステージとの同期誤差が低下する傾向にある。基板ステージと原版ステージとの同期誤差を低減するために、フォーカス・レベリング駆動における駆動量を制限することも考えられるが、この場合、フォーカス・レベリング追従誤差が発生し、デフォーカスによる解像不良を引き起こす可能性がある。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、生産性の点で有利な露光装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての露光装置は、原版と基板とを走査方向に移動させながら前記基板を露光する露光装置であって、前記原版を保持する原版ステージの位置を計測して第1計測値を取得する第1計測部と、前記基板を保持する基板ステージの位置を計測して第2計測値を取得する第2計測部と、前記原版ステージと前記基板ステージとを前記走査方向に同期させて駆動させている期間における前記原版ステージと前記基板ステージとの同期誤差を演算する演算部と、前記基板上の露光すべき領域の単位となる各区画領域内で、前記同期誤差を評価すべき評価領域と、前記同期誤差を評価しない非評価領域とを決定する決定部と、前記同期誤差に応じた処理を行う処理部と、を有し、前記演算部は、前記基板上の各区画領域について、前記評価領域を露光している期間に前記第1計測部及び前記第2計測部のそれぞれで取得される前記第1計測値及び前記第2計測値に基づいて前記同期誤差を演算することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、生産性の点で有利な露光装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としての露光装置100の構成を示す概略図である。露光装置100は、原版102と基板104とを走査方向に移動させながら原版102を照明し、基板上に原版102のパターンを転写する。本実施形態では、露光装置100は、露光領域を矩形又は円弧のスリット形状とし、原版102と基板104とを相対的に高速に移動させて大画角で高精度に露光するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(スキャナー)である。
露光装置100は、図1に示すように、投影光学系101と、原版ステージ103と、基板ステージ105と、照明光学系106と、主制御部127と、計測部MUとを有する。図1に示すように、投影光学系101の光軸AXと平行な方向にZ軸を定義し、Z軸に直交する方向にX軸及びY軸を定義する。投影光学系101の像面は、Z方向と垂直な関係にある。
原版102は、原版ステージ103に保持される。原版102のパターンは、投影光学系101の倍率(例えば、1/4、1/2、1/5)で投影され、投影光学系101の像面に像を形成する。
基板104は、例えば、その表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハである。基板104には、先の露光処理で形成された同一のパターン構造を有する複数のショット領域が配列されている。
基板ステージ105は、基板104を保持して移動するステージである。基板ステージ105は、基板104を吸着(固定)するチャックを含む。また、基板ステージ105は、X方向及びY方向のそれぞれに水平移動可能なXYステージや投影光学系101の光軸AXと平行なZ方向(基板104の高さ方向)に移動可能なZステージを含む。更に、基板ステージ105は、X軸及びY軸の回りに回転可能なレベリングステージやZ軸の回りに回転可能な回転ステージも含む。このように、基板ステージ105は、原版102のパターンの像を基板104のショット領域に一致させるための6軸駆動系を構成している。基板ステージ105のX方向、Y方向及びZ方向の位置は、基板ステージ105に配置されたバーミラー123と、干渉計124とによって常に計測されている。
計測部MUは、基板104の表面位置(高さ方向の位置)及び傾きを計測する機能を有する。計測部MUは、本実施形態では、基板ステージ105に保持された基板104の露光すべき領域の単位となる区画領域(ショット領域)の計測対象箇所の表面位置(高さ方向の位置)を計測する。計測部MUは、例えば、光源110と、コリメータレンズ111と、スリット部材112と、投光側光学系113と、投光側ミラー114とを含む。また、計測部MUは、例えば、受光側ミラー115と、受光側光学系116と、ストッパ絞り117と、補正光学系118と、光電変換素子119とを含む。
光源110は、ランプ又は発光ダイオードなどを含む。コリメータレンズ111は、光源110からの光を、断面の強度分布がほぼ均一な平行光に変換する。スリット部材112は、一対のプリズム(プリズム形状の部材)を互いの斜面が相対するように貼り合わせて構成され、かかる貼り合わせ面には、複数の開口(例えば、9個のピンホール)がクロムなどの遮光膜を用いて形成されている。投光側光学系113は、両側テレセントリック系であって、スリット部材112の複数の開口を通過した光のそれぞれを、投光側ミラー114を介して、基板104の区画領域の複数の計測対象箇所に導光する。
投光側光学系113に対して、開口が形成された平面(貼り合わせ面)と基板104の表面を含む平面とは、シャインプルーフの条件を満たすように設定されている。本実施形態において、投光側光学系113から基板104への光の入射角(光軸AXとなす角)Φは、70度以上である。投光側光学系113を通過した複数(例えば、9個)の光は、基板上の互いに独立した各計測対象箇所に入射して結像する。また、投光側光学系113からの光は、基板上の複数(例えば、9個)の計測対象箇所が互いに独立して観察可能なように、X方向からXY平面内でθ度(例えば、22.5度)回転した方向から入射する。
受光側光学系116は、両側テレセントリック系である。基板104の各計測対象箇所で反射された複数の光(反射光)は、受光側ミラー115を介して、受光側光学系116に入射する。ストッパ絞り117は、受光側光学系116の内部に配置され、基板上の複数の計測対象箇所に対して共通に設けられている。ストッパ絞り117は、基板104に形成されているパターンによって発生する高次の回折光(ノイズ光)を遮断する。
受光側光学系116を通過した複数の光は、その光軸が互いに平行になっている。補正光学系118は、複数(例えば、9個)の補正レンズを含み、受光側光学系116を通過した複数の光を、光電変換素子119の光電変換面(受光面)に対して、互いに同一の大きさを有するスポット光として再結像する。また、受光側光学系116、ストッパ絞り117及び補正光学系118は、基板上の各計測対象箇所と光電変換素子119の光電変換面とが互いに共役となるように倒れ補正を行っている。従って、基板上の各計測対象箇所の局所的な傾きに起因する光電変換面での開口像(ピンホール像)の位置の変化はなく、各計測対象箇所の高さ(光軸AXと平行な方向における位置)の変化に応じて、光電変換面で開口像が変化する。ここで、光電変換素子119は、例えば、複数(例えば、9個)の1次元CCDラインセンサで構成されるが、2次元センサを複数配置して構成してもよい。
露光装置100において、原版102は、上述したように、原版ステージ103に保持されている。原版ステージ103は、投影光学系101の光軸AXに直交する面内で、Y方向(矢印103aの方向)に一定速度で駆動される。この際、原版ステージ103は、原版ステージ103のX方向の位置が常に目標位置を維持するように補正駆動される。原版ステージ103のX方向及びY方向の位置は、原版ステージ103に配置されたバーミラー120と、干渉計121とによって常に計測されている。
照明光学系106は、エキシマレーザなどのパルス光を発生する光源からの光を用いて、原版102を照明する。照明光学系106は、ビーム整形光学系、オプティカルインテグレータ、コリメータレンズ、ミラー及びマスキングブレードなどを含み、遠紫外領域のパルス光を効率的に透過又は反射する。ビーム整形光学系は、入射光の断面形状(寸法)を予め定められた形状に整形する。オプティカルインテグレータは、光の配光特性を均一にして原版102を均一な照度で照明する。マスキングブレードは、チップサイズに対応する矩形の照明領域を規定する。かかる照明領域で部分照明された原版102のパターンは、投影光学系101を介して、基板104に投影される。
主制御部127は、例えば、CPUやメモリなどを含むコンピュータ(情報処理装置)で構成され、記憶部などに記憶されたプログラムに従って露光装置100の各部を統括的に制御する。主制御部127は、原版102のパターンからの光を基板104の所定領域に結像させるために、原版102を保持する原版ステージ103や基板104を保持する基板ステージ105を制御する。例えば、主制御部127は、原版ステージ103や基板ステージ105を介して、原版102や基板104のXY面内の位置(X方向及びY方向の位置、及び、Z軸に対する回転)やZ方向の位置(X軸及びY軸のそれぞれに対する回転)を調整する。また、主制御部127は、原版ステージ103と基板ステージ105とを、投影光学系101に対して同期させて駆動する。このように、主制御部127は、原版ステージ103及び基板ステージ105により原版102及び基板104を走査しながら、基板104の区画領域のそれぞれを露光領域において露光する露光処理(走査露光)を制御する。
上述したように、原版ステージ103を矢印103aの方向に駆動(走査)する場合、基板ステージ105は、矢印105aの方向に、投影光学系101の倍率(縮小倍率)だけ補正した速度で駆動(走査)される。原版ステージ103を駆動する速度は、照明光学系106におけるマスキングブレードの走査方向の幅、及び、基板104の表面に塗布されたレジストの感度に基づいて、生産性が有利となるように決定される。
原版102のパターンに対する基板104のXY面内での位置合わせ(アライメント)は、原版ステージ103の位置、基板ステージ105の位置、及び、基板ステージ105に対する基板104(各区画領域)の位置に基づいて行われる。原版ステージ103の位置及び基板ステージ105の位置のぞれぞれは、上述したように、干渉計121及び124によって計測される。換言すれば、干渉計121は、原版ステージ103の位置を計測して第1計測値を取得する第1計測部として機能し、干渉計124は、基板ステージ105の位置を計測して第2計測値を取得する第2計測部として機能する。基板ステージ105に対する基板104の位置は、アライメント光学系(不図示)によって基板ステージ105に設けられた基準マーク及び基板104に設けられたアライメントマークを検出することで得られる。
原版102のパターンに対する基板104のZ方向の位置合わせ、即ち、投影光学系101の像面への基板104の位置合わせは、計測部MUの計測結果に基づいて、基板ステージ105(に含まれるレベリングステージ)を制御することで実現される。
また、主制御部127は、本実施形態では、原版ステージ103と基板ステージ105とを走査方向に同期させて駆動させている期間における原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算する演算部として機能する。図2を参照して、主制御部127による原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算する演算処理について具体的に説明する。主制御部127は、図2に示すように、原版ステージ103の制御偏差、及び、基板ステージ105の制御偏差から、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算する。具体的には、まず、原版ステージ103に関して、主制御部127は、原版ステージ103の目標位置と、干渉計121で取得される原版ステージ103の位置に関する第1計測値との差分、即ち、原版ステージ103の制御偏差を求める。同様に、基板ステージ105に関して、主制御部127は、基板ステージ105の目標位置と、干渉計124で取得される基板ステージ105の位置に関する第2計測値との差分、即ち、基板ステージ105の制御偏差を求める。そして、主制御部127は、原版ステージ103の制御偏差と、基板ステージ105の制御偏差との差分を、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差とする。なお、基板104のある1点を露光スリット(露光領域)が通過する間の同期誤差の平均値(移動平均MA)を、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差としてもよい。また、基板104のある1点を露光スリット(露光領域)が通過する間の同期誤差の標準偏差(移動標準偏差MSD)を、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差としてもよい。
図3は、計測部MUが基板104の区画領域301に形成する計測点303乃至311と、露光スリット302との関係を示す図である。露光スリット302は、図3に破線で示す矩形の露光領域である。換言すれば、露光領域は、露光スリット302が投影されるXY平面内の領域である。計測点303、304及び305は、露光スリット302に形成された計測点である。計測点306、307及び308、及び、計測点309、310及び311は、計測点303、304及び305のそれぞれから距離Lpだけ離れた位置に形成された計測点である。
主制御部127は、基板ステージ105を駆動する方向(走査方向)に応じて、区画領域301の計測対象箇所の表面位置(高さ方向の位置)の計測に用いる計測点を切り替える。例えば、図3を参照するに、基板ステージ105を矢印Fに示す方向に駆動する場合、計測点306乃至308において区画領域301の計測対象箇所の表面位置を計測する。一方、基板ステージ105を矢印Rに示す方向に駆動する場合、計測点309乃至311において区画領域301の計測対象箇所の表面位置を計測する。主制御部127は、これらの計測結果に基づいて、区画領域301の計測対象箇所を含む露光対象領域の表面位置(Z方向の位置)を算出する。そして、主制御部127は、露光対象領域が露光スリット302に到達するまでに、露光対象領域が最適露光位置(目標位置)に位置するように、基板ステージ105をZ方向(基板104の高さ方向)に駆動する、所謂、フォーカス・レベリング駆動を行う。ここで、最適露光位置とは、原版102のパターンの結像面、即ち、投影光学系101の像面の位置(ベストフォーカス位置)である。但し、最適露光位置とは、投影光学系101の像面の位置に完全に一致する位置を意味するものではなく、許容焦点深度の範囲内を含むものである。
ここで、図4(a)及び図4(b)を参照して、基板上の区画領域Rについて詳細に説明する。基板上の区画領域Rは、図4(a)に示すように、X方向に3個、Y方向に4個、合計で12個のチップ領域(チップが構成される領域)を含む。図4(b)は、基板の周辺に位置し、図4(a)に示す区画領域Rと同一のチップ配列を有する区画領域RRを示している。区画領域RRは、チップが構成されるチップ領域CRと、チップが構成されない非チップ領域NRとを含む。非チップ領域NRは、基板エッジSEに接する領域や基板外の領域に相当する。チップ領域CRと非チップ領域NRとが混在する区画領域RRに対するフォーカス・レベリング駆動では、チップ領域CRの表面位置のみを計測部MUで計測する。これは、フォーカス・レベリング駆動において、非チップ領域NRに影響されることなく、チップ領域CRの表面位置を投影光学系101の像面の位置である最適露光位置に合わせるためである。
以下、図5、図6A乃至図6D、図7(a)乃至図7(d)及び図8を参照して、露光装置100による露光処理、及び、かかる露光処理におけるフォーカス・レベリング駆動について具体的に説明する。
図5は、基板エッジ501と、基板エッジ501の近傍に位置する2つの区画領域510及び520とを示している。本実施形態において、区画領域510を露光する際には、基板ステージ105を矢印Fに示す方向に駆動し、区画領域520を露光する際には、基板ステージ105を矢印Rに示す方向に駆動する。区画領域510は、X方向に3個、Y方向に3個、合計で9個のチップ領域510Aを含む。区画領域520は、チップ領域520Aと、非チップ領域520Bとを含む。また、区画領域510には、計測部MUにより表面位置を計測すべき箇所として、各チップ領域に対応して、計測対象箇所511、512及び513が存在する。同様に、区画領域520には、計測部MUにより表面位置を計測すべき箇所として、各チップ領域又は各非チップ領域に対応して、計測対象箇所521、522及び523が存在する。なお、図5において、○で示す計測対象箇所は、計測部MUにより表面位置を計測可能な計測対象箇所であり、×で示す計測対象箇所は、計測部MUで表面位置を計測不可能な(或いは、計測しない)計測対象箇所である。チップ領域520Aと非チップ領域520Bとが混在する区画領域520では、上述したように、チップ領域520Aのみ、即ち、チップ領域520Aに存在する計測対象箇所522の一部及び計測対象箇所523を計測部MUで計測する。なお、区画領域510及び520のそれぞれには、それらの全体の表面位置を計測するために、Y方向に対して複数の計測対象箇所が存在するが、図5では、簡略化して、計測対象箇所511、512、513、521、522及び523のみを示している。
図6A乃至図6Dは、基板エッジ501と、区画領域510及び520のそれぞれに存在する計測対象箇所511乃至513、及び、521乃至523と、露光スリット302と、計測部MUの計測点303乃至311との位置関係を示している。図6Aを参照するに、区画領域510は、これから露光する(露光処理の対象となる)領域であり、区画領域520は、区画領域510の次に露光する領域である。区画領域510の前に露光する区画領域(不図示)に対する露光処理が終了すると、区画領域510が投影光学系101の下に向かうように、基板ステージ105を駆動する。そして、基板ステージ105が加速開始点に到達したら、基板ステージ105を矢印Fの方向に加速する。
図6Bは、計測部MUの計測点306乃至308が区画領域510の計測対象箇所511に到達した状態を示している。まず、計測部MUの計測点306乃至308が区画領域510の計測対象箇所511に到達したら、計測点306乃至308のそれぞれにおいて計測対象箇所511のそれぞれの表面位置を計測して第3計測値を取得する。換言すれば、計測部MUは、基板上の区画領域の高さ方向の位置を計測して第3計測値を取得する第3計測部として機能する。このようにして得られた第3計測値に基づいて、主制御部127は、フォーカス・レベリング駆動を実施する。例えば、計測対象箇所511を含む露光対象領域を最適露光位置に位置させるためのフォーカス・レベリング駆動における基板ステージ105の目標位置を決定し、基板ステージ105をZ方向、回転方向及びチルト方向に駆動する。このようなフォーカス・レベリング駆動を、計測部MUの計測点306乃至308が区画領域510の計測対象箇所512及び513のそれぞれに到達するタイミングで繰り返す。また、露光スリット302の一部の領域が区画領域510に到達したら、光源の発光を開始し、区画領域510の露光を開始する。そして、露光スリット302の全ての領域が区画領域510の外に到達したら、光源の発光を停止し、区画領域510の露光を終了する。この際、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差は、従来技術では、光源の発光を開始してから停止するまでの期間における原版ステージ103の制御偏差及び基板ステージ105の制御偏差に基づいて演算される。
区画領域510に対する露光処理が終了すると、区画領域520が投影光学系101の下に向かうように、基板ステージ105をY方向に減速させながらX方向に駆動する。そして、基板ステージ105が加速開始点に到達したら、基板ステージ105を矢印Rの方向に加速する。
図6Cは、計測部MUの計測点309乃至311が区画領域520の計測対象箇所521に到達した状態を示している。区画領域520において、計測対象箇所521が存在する領域は、非チップ領域520Bであるため、計測対象箇所511については、その表面位置を計測しない(計測できない)。従って、計測部MUの計測点309乃至311が区画領域520の計測対象箇所521に到達しても、フォーカス・レベリング駆動を実施しない。但し、露光スリット302の一部の領域が区画領域520に到達したら、光源の発光を開始し、区画領域520の露光を開始する。
図6Dは、計測部MUの計測点309乃至311が区画領域520の計測対象箇所522に到達した状態を示している。計測対象箇所522が存在する領域は、チップ領域520Aと非チップ領域520Bとが混在する領域である。従って、計測部MUの計測点309乃至311が区画領域520の計測対象箇所522に到達したら、計測点309及び310のそれぞれで、チップ領域520Aに存在する計測対象箇所522のそれぞれの表面位置を計測して第3計測値を取得する。一方、非チップ領域520Bに存在する(計測点311が位置する)計測対象箇所522については、その表面位置を計測しない。このようにして、計測点309及び310で得られた第3計測値に基づいて、主制御部127は、フォーカス・レベリング駆動を実施する。計測部MUの計測点309乃至311が区画領域520の計測対象箇所523に到達したら、計測点309乃至311のそれぞれにおいて計測対象箇所523のそれぞれの表面位置を計測して第3計測値を取得する。このようにして得られた第3計測値に基づいて、主制御部127は、フォーカス・レベリング駆動を実施する。また、露光スリット302の一部の領域が区画領域520に到達したら、光源の発光を開始し、区画領域520の露光を開始する。そして、露光スリット302の全ての領域が区画領域520の外に到達したら、光源の発光を停止し、区画領域520の露光を終了する。
図7(a)乃至図7(d)を参照して、フォーカス・レベリング駆動における基板ステージ105の駆動について詳細に説明する。図7(a)は、区画領域510に対するフォーカス・レベリング駆動時(図6B)の基板ステージ105の駆動軌跡及び制御偏差を示している。図7(b)は、区画領域510に対するフォーカス・レベリング駆動時の原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を示している。図7(c)は、区画領域520に対するフォーカス・レベリング駆動時(図6C、図6D)の基板ステージ105の駆動軌跡及び制御偏差を示している。図7(d)は、区画領域520に対するフォーカス・レベリング駆動時の原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を示している。
図7(a)乃至図7(d)において、時刻t0は、基板ステージ105の駆動(高さ方向、回転方向、チルト方向)を開始する時刻である。図7(a)及び図7(b)において、時刻t1は、露光スリット302の一部が区画領域510に到達し、光源の発光を開始して区画領域510の露光を開始する時刻である。同様に、図7(c)及び図7(d)において、時刻t2は、露光スリット302の一部が区画領域520に到達し、光源の発光を開始して区画領域520の露光を開始する時刻である。図7(a)及び図7(b)において、時刻t3は、露光スリット302の全ての領域が区画領域510の外に到達し、光源の発光を停止して区画領域510の露光を終了する時刻である。同様に、図7(c)及び図7(d)において、時刻t4は、露光スリット302の全ての領域が区画領域520の外に到達し、光源の発光を停止して区画領域520の露光を終了する時刻である。図7(a)及び図7(c)において、縦軸Zpositionは、基板ステージ105のZ方向(高さ方向)の位置を示し、縦軸Zerrorは、基板ステージ105のZ方向の目標位置に対する制御偏差を示している。また、Ztargetは、フォーカス・レベリング駆動における基板ステージ105の目標位置(Z方向)を示している。図7(b)及び図7(d)において、縦軸Zsyncは、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を示している。なお、図7(a)乃至図7(d)において、横軸は、時間を示している。また、601は、基板ステージ105の駆動軌跡を示し、602は、基板ステージ105の制御偏差を示している。603は、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を示し、604は、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差の閾値を示している。
図7(a)を参照するに、区画領域510に対するフォーカス・レベリング駆動に関しては、基板ステージ105の駆動を開始する時刻t0の近傍では、基板ステージ105の駆動量が大きく、基板ステージ105の制御偏差も大きくなっている。時刻t0から時間が経過するにつれて、基板ステージ105の駆動量が減少し、基板ステージ105の制御偏差も低減していく。区画領域510の露光を開始する時刻t1では、基板ステージ105の駆動量がほぼゼロとなり、基板ステージ105の制御偏差もゼロ近傍に収束している。このように、区画領域510の露光を開始する時刻t1よりも前にフォーカス・レベリング駆動が完了していると、時刻t1での基板ステージ105の制御偏差が小さくなる。
図7(b)には、区画領域510の露光を開始してから終了するまでの期間における原版ステージ103の制御偏差及び基板ステージ105の制御偏差から演算される、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を示している。具体的には、時刻t1と時刻t3との間の期間に対する原版ステージ103の制御偏差及び基板ステージ105の制御偏差に基づいて、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算する。図7(b)を参照するに、時刻t1から時刻t3までの期間において、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差は、閾値の範囲内に収まっている。
図7(c)を参照するに、区画領域520に対するフォーカス・レベリング駆動に関しては、基板ステージ105の駆動を開始する時刻t0の近傍では、基板ステージ105の駆動量が大きく、基板ステージ105の制御偏差も大きくなっている。時刻t0から時間が経過するにつれて、基板ステージ105の駆動量が減少し、基板ステージ105の制御偏差も低減していく。但し、区画領域520の露光を開始する時刻t2では、基板ステージ105の駆動量がゼロ近傍に収束していないため、基板ステージ105の制御偏差も十分に収束していない。このように、区画領域520の露光を開始する時刻t2よりも前にフォーカス・レベリング駆動が完了していないと、時刻t2での基板ステージ105の制御偏差が大きくなる。
図7(d)には、区画領域520の露光を開始してから終了するまでの期間における原版ステージ103の制御偏差及び基板ステージ105の制御偏差から演算される、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を示している。具体的には、時刻t2と時刻t4との間の期間に対する原版ステージ103の制御偏差及び基板ステージ105の制御偏差に基づいて、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算する。図7(d)を参照するに、時刻t2から時刻t3までの期間の一部において、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差が閾値を超えている。
図7(d)に示すように、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差が閾値を超えている場合、主制御部127は、通知部128を介して、基板上の区画領域520に異常が発生していることを通知する。このように、主制御部127は、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差に応じた処理を行う処理部として機能する。また、通知部128は、異常が発生している区画領域を画像で表示する表示装置や異常が発生している区画領域を音で出力する出力装置などを含む。なお、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差に応じた処理は、上述したように、同期誤差が閾値を超えている区画領域を通知する処理に限定されるものではない。例えば、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差に応じた処理として、同期誤差が閾値を超えている区画領域を含む基板104をリワーク基板とする処理などを含んでもよい。
ここで、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を低減するための手法として、フォーカス・レベリング駆動における基板ステージ105の駆動量を制限することが考えられる。上述したように、フォーカス・レベリング駆動における基板ステージ105の駆動量と基板ステージ105の制御偏差との間には相関関係があるため、基板ステージ105の駆動量を制限することで、基板ステージ105の制御偏差は低減する。但し、フォーカス・レベリング追従誤差が発生し、デフォーカスによる解像不良を引き起こす可能性がある。
また、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を低減するための別の手法として、原版ステージ103及び基板ステージ105の走査速度を遅くすることも考えられる。原版ステージ103及び基板ステージ105の走査速度を遅くすると、フォーカス・レベリング駆動を開始してから露光を開始するまでの時間が増加するため、露光を開始する時点での基板ステージ105の制御偏差は低減する。但し、露光が終了するまでの時間も増加し、生産性が低下する。
そこで、本実施形態では、基板上の1つの区画領域内で、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算する領域(演算領域)と、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算しない領域(非演算領域)とを設ける(定義する)。換言すれば、基板上の1つの区画領域内で、同期誤差を評価すべき評価領域と、同期誤差を評価しない非評価領域とを決定する決定部として主制御部127を機能させる。
図8(a)は、本実施形態において、区画領域520に対するフォーカス・レベリング駆動時(図6C、図6D)の基板ステージ105の駆動軌跡及び制御偏差を示している。図8(b)は、本実施形態において、区画領域520に対するフォーカス・レベリング駆動時の原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を示している。図8(a)及び図8(b)において、横軸は、時間を示している。時刻t0は、基板ステージ105の駆動(高さ方向、回転方向、チルト方向)を開始する時刻である。時刻t2は、露光スリット302の一部が区画領域520に到達し、光源の発光を開始して区画領域520の露光を開始する時刻である。時刻t31は、露光スリット302の一部が区画領域520のチップ領域520Aに到達する時刻である。時刻t4は、露光スリット302の全ての領域が区画領域520の外に到達し、光源の発光を停止して区画領域520の露光を終了する時刻である。縦軸Zpositionは、基板ステージ105のZ方向(高さ方向)の位置を示し、縦軸Zerrorは、基板ステージ105のZ方向の目標位置に対する制御偏差を示している。縦軸Zsyncは、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を示している。また、Ztargetは、フォーカス・レベリング駆動における基板ステージ105の目標位置(Z方向)を示している。
本実施形態では、主制御部127は、時刻t31を境界として、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を評価すべき評価領域として演算領域と、同期誤差を評価しない非評価領域として非演算領域とを決定する。時刻t31よりも前、詳細には、時刻t2から時刻t31までの期間は、区画領域520のうち非チップ領域520Bを露光している期間である。このようなチップが構成されない領域、即ち、非チップ領域520Bを、本実施形態では、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算しない領域(非演算領域)605と定義する。一方、時刻t31よりも後、詳細には、時刻t31から時刻t4までの期間は、区画領域520のうちチップ領域520を露光している期間である。このようなチップが構成される領域、即ち、チップ領域520Aを、本実施形態では、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算する領域(演算領域)606と定義する。上述したように、フォーカス・レベリング駆動においては、区画領域のうちチップが構成される領域であるチップ領域を最適露光位置に合わせる。従って、主制御部127は、時刻t31において、基板ステージ105のZ方向の位置が目標位置Ztargetとなるように、フォーカス・レベリング駆動における基板ステージ105の目標値を生成し、基板ステージ105を駆動する。
図8(a)を参照するに、時刻t2から時刻t31までの期間は、基板ステージ105の駆動量がゼロ近傍に収束していないため、基板ステージ105の制御偏差も十分に収束していない。従って、時刻t2から時刻t31までの期間においては、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差が閾値を超える。但し、時刻t2から時刻t31までの期間では、区画領域520の非チップ領域520Bを露光する期間であり、チップ領域520Aでの解像不良を引き起こす要因とはならない。従って、時刻t2から時刻t31までの期間では、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を求める必要はなく、非チップ領域520Bを非演算領域605としても何ら問題ない。時刻t31から時刻t4までの期間は、基板ステージ105の駆動量がほぼゼロとなり、基板ステージ105の制御偏差もゼロ近傍に収束している。従って、時刻t31から時刻t4までの期間では、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差は、閾値の範囲内に収まっている。時刻t31から時刻t4までの期間では、区画領域520のチップ領域520Aを露光する期間であるため、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を求める必要がある。そこで、本実施形態では、チップ領域520Aを演算領域606として、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算する。そして、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差が閾値を超えている場合、上述したように、主制御部127は、通知部128を介して、基板上の区画領域520に異常が発生していることを通知する。
なお、基板上の各区画領域のチップ領域(及び非チップ領域のうちの少なくとも一方の領域)を特定する際には、入力部129を介して入力される各区画領域内のチップ領域を示すチップ領域情報を用いればよい。例えば、チップ領域情報は、図4(b)に示すように、区画領域Rにおいてチップ領域CRと非チップ領域NRとを示す情報として入力部129に入力される。また、チップ領域情報の代わりに、基板上の区画領域に構成されるチップの配列を示す設計情報に基づいて、各区画領域のチップ領域(及び非チップ領域のうちの少なくとも一方の領域)を特定することも可能である。
図7(a)乃至図7(d)、図8(a)及び図8(b)では、基板ステージ105のZ方向(高さ方向)の目標位置に対する制御偏差及び同期誤差について説明したが、これに限定されるものではない。基板ステージ105のX方向やY方向の目標位置に対する制御偏差及び同期誤差についても本発明を適用することができる。また、基板ステージ105の回転やチルトの目標位置に対する制御偏差及び同期誤差についても本発明を適用することができる。
なお、本実施形態では、基板上の区画領域内の非チップ領域を露光している期間については、原版ステージ103の位置や基板ステージ105の位置を干渉計121及び124で計測していない。従って、非チップ領域を露光している期間については、干渉計121及び124のそれぞれで第1計測値及び第2計測値を取得することができないため、主制御部127は、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差を演算することができない。従って、原版ステージ103と基板ステージ105とを走査方向に同期させて駆動させている期間における同期誤差として、チップ領域を露光している期間に干渉計121及び124のそれぞれで取得された第1計測値及び第2計測値に基づいて同期誤差を演算する。なお、非チップ領域を露光している期間についても原版ステージ103の位置や基板ステージ105の位置を干渉計121及び124で計測し、同期誤差を演算する際には、これらの計測値を使用しないようにしてもよい。また、非チップ領域を露光している期間についても同期誤差を演算してもよい。そして、同期誤差が閾値を超えているかどうかを判定(評価)する際には、かかる同期誤差のうち、基板上の区画領域内で注目すべき注目領域(例えば、チップ領域)を露光している期間における同期誤差を抽出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、基板上の区画領域内で、同期誤差を評価すべき評価領域と同期誤差を評価しない非評価領域とを、チップ領域であるか非チップ領域であるかに応じて定義しているが、これに限定されるものではない。例えば、フォーカス・レベリング駆動において基板ステージ105を駆動する際の駆動量に基づいて、同期誤差を評価すべき評価領域と同期誤差を評価しない非評価領域とを定義してもよい。
例えば、図6(a)乃至図6(d)、図8(a)及び図8(b)を参照するに、時刻t31よりも前の期間におけるフォーカス・レベリング駆動では、基板ステージ105を駆動する際の駆動量が大きい。このようなフォーカス・レベリング駆動において基板ステージ105を駆動する際の駆動量が予め定められた駆動量以上となる基板上の領域を、同期誤差を評価しない非評価領域(非演算領域)とする。これは、時刻t2から時刻t31までの期間は、上述したように、チップが構成されない非チップ領域520Bを露光している期間であるからである。一方、時刻t31から時刻t4までの期間におけるフォーカス・レベリング駆動では、基板ステージ105を駆動する際の駆動量が小さい。このようなフォーカス・レベリング駆動において基板ステージ105を駆動する際の駆動量が予め定められた駆動量未満となる基板上の領域を、同期誤差を評価すべき評価領域(演算領域)とする。これは、時刻t31から時刻t4までの期間は、上述したように、チップが構成されるチップ領域520Aを露光している期間であるからである。
また、基板上の各区画領域内の平坦度(を示す情報)に基づいて、フォーカス・レベリング駆動において基板ステージ105を駆動する際の駆動量に基づいて、同期誤差を評価すべき評価領域と同期誤差を評価しない非評価領域とを定義してもよい。基板上の各区画領域内においては、上述したように、チップが構成される領域と、チップが構成されない領域とで、その平坦度が異なる。従って、基板上の各区画領域内の平坦度からチップが構成されるチップ領域(又はチップが構成されない非チップ領域)を推定して、チップ領域を評価領域とし、チップ領域を除いた領域(非チップ領域)を非評価領域とする。
本実施形態のように、基板上の区画領域内で同期誤差を評価すべき評価領域と同期誤差を評価しない非評価領域とを定義することで、非チップ領域などの不要な領域における同期誤差を除外して、同期誤差を評価することができる。これにより、非チップ領域などの不要な領域における同期誤差に影響されて区画領域に異常が発生していると評価することが低減されるため、露光装置100における生産性(歩留まり)を向上させることができる。
図9を参照して、露光装置100における動作、即ち、露光処理について説明する。かかる露光処理は、上述したように、主制御部127が露光装置100の各部を統括的に制御することで行われる。
S1において、露光装置100に基板104を搬入する。具体的には、搬送ハンド(不図示)によって基板104を搬送し、かかる基板を基板ステージ105に保持させる。
S2において、グローバルアライメントのためのプリアライメント(事前計測及び補正)を行う。具体的には、グローバルアライメントで用いる高倍視野アライメント光学系(不図示)の計測範囲に基板104の上のアライメントマークが収まるように、低倍視野アライメント光学系(不図示)を用いて基板104の回転誤差などのずれ量を計測して補正する。
S3において、グローバルチルトを行う。具体的には、図10に示すように、基板104の複数の区画領域のうちサンプル領域901の表面位置(高さ方向の位置)を計測部MUによって計測する。そして、計測部MUによって計測されたサンプル領域901の表面位置に基づいて、基板104の全体的な傾きを算出して補正する。
S4において、露光中(原版ステージ103や基板ステージ105の駆動中)における基板104の表面位置の計測のための事前調整を行う。事前調整は、例えば、計測部MUの光源110の光量の調整や基板104の区画領域におけるパターン段差の記憶などを含む。
S5において、投影光学系101の調整を行う。具体的には、基板ステージ105に配置された光量センサ及び基準マーク(不図示)や原版ステージ103に配置された基準プレート(不図示)を用いて、投影光学系101の傾きや像面湾曲などを求める。例えば、基板ステージ105をX方向、Y方向及びZ方向に駆動したときの露光光の光量の変化を、基板ステージ105に配置された光量センサで計測する。そして、露光光の光量の変化に基づいて、基準プレートに対する基準マークのずれ量を求めて投影光学系101を調整する。
S6において、グローバルアライメントを行う。具体的には、高倍視野アライメント光学系を用いて基板104のアライメントマークを検出し、基板104の全体のずれ量及び各区画領域で共通なずれ量を求める。アライメントマークを高精度に検出するためには、アリアメントマークのコントラストがベストコントラストとなる位置(ベストコントラスト位置)にアライメントマークが位置していなければならない。ベストコントラスト位置の計測には、計測部MU及びアライメント光学系を用いればよい。例えば、予め定められた高さ(Z方向の位置)に基板ステージ105を駆動し、アライメント光学系でコントラストを計測するとともに、計測部MUで基板104のZ方向の位置を計測することを繰り返す。この際、基板ステージ105のZ方向の各位置に応じたコントラストの計測結果と基板104のZ方向の位置の計測結果とを対応付けて保存する。そして、複数のコントラストの計測結果に基づいて、コントラストが最も高くなる基板ステージ105のZ方向の位置を求めてベストコントラスト位置とする。
S7において、基板104の各区画領域の露光を行う。具体的には、上述したように、フォーカス・レベリング駆動を実施しながら、基板104の露光対象の区画領域を露光する。この際、上述したように、基板上の区画領域内で同期誤差を評価すべき評価領域と同期誤差を評価しない非評価領域とを定義する。そして、原版ステージ103と基板ステージ105との同期誤差として、非チップ領域などの不要な領域における同期誤差を除外し、チップ領域における同期誤差を評価する。
S8において、露光装置100から基板104を搬出する。具体的には、露光された基板104を、搬送ハンド(不図示)によって基板ステージ105から受け取って露光装置100の外部に搬送する。
本実施形態における露光処理によれば、基板上の区画領域内の非チップ領域などの不要な領域における同期誤差に影響されて区画領域に異常が発生していると評価することを低減することができる。
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、フラットパネルディスプレイ、液晶表示素子、半導体素子、MEMSなどの物品を製造するのに好適である。かかる製造方法は、上述した露光装置100を用いて感光剤が塗布された基板を露光する工程と、露光された感光剤を現像する工程とを含む。また、現像された感光剤のパターンをマスクとして基板に対してエッチング工程やイオン注入工程などを行い、基板上に回路パターンが形成される。これらの露光、現像、エッチングなどの工程を繰り返して、基板上に複数の層からなる回路パターンを形成する。後工程で、回路パターンが形成された基板に対してダイシング(加工)を行い、チップのマウンティング、ボンディング、検査工程を行う。また、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、レジスト剥離など)を含みうる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
100:露光装置 102:原版 103:原版ステージ 104:基板 105:基板ステージ 127:主制御部
Claims (14)
- 原版と基板とを走査方向に移動させながら前記基板を露光する露光装置であって、
前記原版を保持する原版ステージの位置を計測して第1計測値を取得する第1計測部と、
前記基板を保持する基板ステージの位置を計測して第2計測値を取得する第2計測部と、
前記原版ステージと前記基板ステージとを前記走査方向に同期させて駆動させている期間における前記原版ステージと前記基板ステージとの同期誤差を演算する演算部と、
前記基板上の露光すべき領域の単位となる各区画領域内で、前記同期誤差を評価すべき評価領域と、前記同期誤差を評価しない非評価領域とを決定する決定部と、
前記同期誤差に応じた処理を行う処理部と、を有し、
前記演算部は、前記基板上の各区画領域について、前記評価領域を露光している期間に前記第1計測部及び前記第2計測部のそれぞれで取得される前記第1計測値及び前記第2計測値に基づいて前記同期誤差を演算することを特徴とする露光装置。 - 前記処理部は、前記処理として、前記演算部で演算された前記評価領域に対する前記同期誤差が閾値を超えている区画領域を通知することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
- 前記処理部は、前記処理として、前記演算部で演算された前記評価領域に対する前記同期誤差が閾値を超えている区画領域を含む基板をリワーク基板とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
- 前記基板上の各区画領域について、区画領域内のチップ領域を示すチップ領域情報を入力する入力部を更に有し、
前記決定部は、前記入力部に入力された前記チップ領域情報に基づいて、前記チップ領域を前記評価領域として決定し、前記区画領域内の前記チップ領域を除いた領域を前記非評価領域として決定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の露光装置。 - 前記決定部は、前記基板上の各区画領域に構成されるチップの配列を示す設計情報に基づいて、区画領域内のチップ領域を前記評価領域として決定し、前記区画領域内の前記チップ領域を除いた領域を前記非評価領域として決定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記決定部は、前記基板上の各区画領域内の平坦度を示す情報に基づいて、区画領域内でチップ領域と推定される領域を前記評価領域として決定し、前記区画領域内のチップ領域と推定される領域を除いた領域を前記非評価領域として決定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記基板ステージに保持された前記基板上の区画領域が前記区画領域に対する露光が行われる露光領域に到達する前に、前記区画領域の高さ方向の位置を計測して第3計測値を取得する第3計測部を更に有し、
前記決定部は、前記第3計測値に基づいて決定される、前記区画領域が前記露光領域に到達するまでに前記基板ステージに保持された前記基板の高さ方向の位置が目標位置となるように前記基板ステージを駆動する際の駆動量に基づいて、前記評価領域と、前記非評価領域とを決定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の露光装置。 - 前記決定部は、前記基板上の区画領域内で、前記駆動量が予め定められた駆動量未満となる領域を前記評価領域として決定し、前記駆動量が前記予め定められた駆動量以上となる領域を前記非評価領域として決定することを特徴とする請求項7に記載の露光装置。
- 前記演算部は、前記第1計測部で取得された前記第1計測値及び前記第2計測部で取得された前記第2計測値から、前記評価領域を露光している期間に取得された前記第1計測値及び前記第2計測値を抽出して、前記同期誤差を演算することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の露光装置。
- 前記第1計測部は、前記評価領域を露光している期間において前記原版ステージの位置を計測して前記第1計測値を取得し、前記非評価領域を露光している期間には前記原版ステージの位置を計測せず、
前記第2計測部は、前記評価領域を露光している期間において前記基板ステージの位置を計測して前記第2計測値を取得し、前記非評価領域を露光している期間には前記基板ステージの位置を計測しないことを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の露光装置。 - 原版と基板とを走査方向に移動させながら前記基板を露光する露光装置であって、
前記原版を保持する原版ステージの位置を計測して第1計測値を取得する第1計測部と、
前記基板を保持する基板ステージの位置を計測して第2計測値を取得する第2計測部と、
前記原版ステージと前記基板ステージとを前記走査方向に同期させて駆動させている期間に前記第1計測部及び前記第2計測部のそれぞれで取得される前記第1計測値及び前記第2計測値に基づいて、前記原版ステージと前記基板ステージとの同期誤差を演算する演算部と、
前記演算部で演算された前記同期誤差のうち、前記基板上の露光すべき領域の単位となる各区画領域内で注目すべき注目領域を露光している期間における同期誤差に応じた処理を行う処理部と、
を有することを特徴とする露光装置。 - 原版と基板とを走査方向に移動させながら前記基板を露光する露光方法であって、
前記原版を保持する原版ステージと前記基板を保持する基板ステージとを前記走査方向に同期させて駆動させている期間における前記原版ステージと前記基板ステージとの同期誤差を演算する第1工程と、
前記基板上の露光すべき領域の単位となる各区画領域内で、前記同期誤差を評価すべき評価領域と、前記同期誤差を評価しない非評価領域とを決定する第2工程と、
前記同期誤差に応じた処理を行う第3工程と、
を有し、
前記第1工程では、前記基板上の各区画領域について、前記評価領域を露光している期間に前記原版ステージの位置を計測して取得される第1計測値及び前記基板ステージの位置を計測して取得される第2計測値に基づいて前記同期誤差を演算することを特徴とする露光方法。 - 原版と基板とを走査方向に移動させながら前記基板を露光する露光方法であって、
前記原版を保持する原版ステージと前記基板を保持する基板ステージとを前記走査方向に同期させて駆動させている期間に前記原版ステージの位置を計測して取得される第1計測値及び前記基板ステージの位置を計測して取得される第2計測値に基づいて、前記原版ステージと前記基板ステージとの同期誤差を演算する第1工程と、
前記第1工程で演算された前記同期誤差のうち、前記基板上の露光すべき領域の単位となる各区画領域内で注目すべき注目領域を露光している期間における同期誤差に応じた処理を行う第2工程と、
を有することを特徴とする露光方法。 - 請求項1乃至11のうちいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
露光した前記基板を現像する工程と、
現像された前記基板から物品を製造する工程と、
を有することを特徴とする物品の製造方法。
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