JP2022152955A - ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性に優れたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を生産性良く提供し得るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】分岐状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物と炭酸ガスとを含む組成物を溶融混練する溶融混練工程と、ホットカット法によりポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程とを含み、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量とダイの入口部の組成物の圧力とが特定の値である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、緩衝性、軽量性、および断熱性などの特徴を有する。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法としては、不連続プロセスであるバッチ発泡法、および連続プロセスである押出発泡法等が挙げられる。押出発泡法は、効率面および環境面等において多くの利点を有するが、成形性のよいポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることが難しいという問題がある。
この問題を解決する手段として、溶融張力が向上された改質ポリプロピレン樹脂を原料として使用することが検討されている。
例えば、特許文献1には、特定のラジカル重合開始剤を用いることにより、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を押出発泡法により製造する方法が開示されている。
国際公開公報第2020/004429号
しかしながら、上述のような従来技術は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の良好な成形性を保持したまま、生産性をさらに向上させる観点からは十分なものでなく、さらなる改善の余地があった。
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、成形性に優れたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を生産性良く提供し得るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および発泡剤としての炭酸ガスを含む組成物のダイの入口部における圧力を適正な範囲に制御することにより、ホットカット法における高生産条件下であっても、成形性に優れたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
〔1〕分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物と、発泡剤としての炭酸ガスとを含む組成物を溶融混練する溶融混練工程と、
ホットカット法によりポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程と、を含み、
前記ホットカット法は、ダイの穴を通して、前記組成物を空気中に押出し、前記ダイの穴から押出される前記組成物を空気中にてカッターで切断し、切断された前記組成物を発泡させながら、または発泡させた後に空気中にて冷却する工程であり、
前記ダイの1穴あたりの前記組成物の吐出量は、0.350kg/hr以上であり、
前記ダイの入口部の前記組成物の圧力は、前記炭酸ガスの飽和圧力より大きく、かつ、前記炭酸ガスの飽和圧力+4MPa以下である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔2〕前記ダイの穴は円柱状の流路を有する、〔1〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔3〕前記ダイの穴の直径は、0.5mm~2.0mmである、〔1〕または〔2〕に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔4〕前記ダイに進入直後の前記組成物の温度は、前記樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+25℃である、〔1〕~〔3〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
〔5〕前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率は、9倍~45倍である、〔1〕~〔4〕の何れか1つに記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、成形性に優れたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を生産性良く提供し得るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態で使用するダイの出口付近の構成を示す断面図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
〔1.本発明の技術的思想〕
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法のうち、バッチ発泡法である除圧発泡法では、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練し、押出することによりポリプロピレン系樹脂粒子を得る工程、並びに、得られたポリプロピレン系樹脂粒子を無機系分散剤および発泡剤とともに水系溶媒中で加圧加温し、発泡剤を樹脂中に含浸させた後、低圧下に放出して発泡させる発泡工程を要する。除圧発泡法は、不連続プロセスであるために工程が複雑であるという問題、および、無機系分散剤を使用するために廃水処理設備が必要であり、広範な設備敷地が必要であるという問題がある。
これに対し、押出発泡法は、熱可塑性樹脂と発泡剤とを含む組成物を押出機に供給し、組成物を溶融混練および任意で冷却して溶融混練された組成物(以下「発泡性溶融樹脂」とも称する)を得る。その後、押出機先端に取付けたダイを通じて低圧領域に前記組成物を押出し、細断することにより熱可塑性樹脂の発泡粒子を得る方法である。
押出発泡法は、除圧発泡法とは異なり、(a)連続プロセスであるため工程を簡略化することができ、また、(b)廃水処理設備などの広範な設備敷地が不要であるため、需要地の近くに生産拠点を設けることができ、運送費、および労務費等の削減が可能である。したがって、押出発泡法は、効率面および環境面などにおいて多くの利点を有し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を安価に生産することが可能である。しかし、成形性のよいポリプロピレン系樹脂発泡粒子を押出発泡法で得ることは難しいという問題がある。特に、発泡剤として環境負荷の少ない炭酸ガスを用いた押出発泡法は、有機系発泡剤を用いた押出発泡法に比べて発泡時のガス保持性が低い。このため、炭酸ガスを用いた押出発泡法では、成形性のよいポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることが特に難しい。
押出発泡法にて発泡粒子を得るための細断方法(造粒方法)は、コールドカット法とダイフェースカット法とに大別される。ダイフェースカット法は、ダイから押出された組成物をダイのフェース面に接触しながらまたは僅かに隙間を確保しながら回転するカッターで切断する方法である。
ダイフェースカット法は、さらに冷却方法の違いから次の3方式に分けられる。すなわち、アンダーウォータカット(以下、UWCと称する場合もある)法、ウォータリングカット(以下、WRCと称する場合もある)法、およびホットカット(以下、HCと称する場合もある)法である。
HC法は、空気中にて前記カッターで切断された組成物が発泡しながら、または発泡後に空気中にて冷却される方法である。搬送方法は空気輸送によって行われるのが一般的である。HC法は、大気圧雰囲気において粒子の発泡が行われるため、高発泡倍率の押出発泡粒子を製造することができる点において利点を有する。
HC法において、生産性を高めるためには、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量を増加させる、および/または、ダイの穴の数を増加させる方法が挙げられる。ここで、ダイの穴の数を増加させる場合には、設備の大型化または追加の生産設備が必要となり、高額の費用が要求される。一方、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量を増加させる場合、追加設備の導入のための費用は必要とされない。しかしながら、本発明者は、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量を増加させる場合、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の成形性が低下する場合があることを初めて見出した。すなわち、従来は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の良好な成形性を保持したまま、生産性を向上させることが困難な場合があることがわかった。
そこで、本発明者は、HC法において、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の良好な成形性を保持したまま、生産性を向上し得る(例えばダイの1穴あたりの組成物の吐出量を増加させ得る)ベく、鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、以下の知見を独自に見出し、本発明を完成するに至った:(a)ダイの1穴あたりの組成物の吐出量を増加させる場合、組成物として、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および炭酸ガスを含む組成物を使用し、当該組成物のダイの入口部の圧力を適正な範囲に制御することにより、驚くべきことに、得られる押出発泡粒子の成形性が向上すること;(b)組成物のダイの入口部の圧力の適正な範囲とは、ダイの入口部の組成物の圧力が、炭酸ガスの飽和圧力より大きく、かつ、炭酸ガスの飽和圧力+4MPa以下となる範囲であること。
さらに、本発明者は、ダイの入口部の圧力の制御により、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量を増加させる場合であっても、押出発泡粒子の成形性を向上させることができる原因を調べた。その結果本発明者は、前記原因を以下のように推察した:
(a)ダイの1穴あたりの発泡性溶融樹脂の吐出量が多い高生産条件下では、発泡性溶融樹脂が空気中に吐出されてから発泡を開始するまでにかかる時間(以下、「発泡準備時間」とも称する)が長くなると推測される。発泡準備時間が長い場合、発泡性溶融樹脂の発泡が始まる前(すなわち、セルが膨らみ始める前)に、発泡性溶融樹脂の冷却による固化が始まると推測される。固化により樹脂が伸びにくくなった状態で、発泡によりセルが膨らむと、セル膜が破断しやすい。破断したセル膜を多く含むポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、成形性に劣る;
(b)発泡性溶融樹脂として、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂および炭酸ガスを含む発泡性溶融樹脂を使用し、当該発泡性溶融樹脂のダイ内の圧力を適正な範囲に制御することにより、発泡準備時間が短くなると推測される。発泡準備時間が短い場合、発泡性溶融樹脂は発泡しながら冷却され、発泡によりセルが膨らみながら、または発泡によりセルが十分に膨らんだ後に、固化が始まると推測される。したがって、得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、セル膜が保持されており、優れた成形性を示す。
上記「発泡準備時間」は、空気中に吐出された発泡性溶融樹脂の圧力が、発泡を開始し得る圧力(炭酸ガスの飽和圧力)まで低下するのにかかる時間、ともいえる。なお、かかる推測により、本発明はなんら限定されない。
なお、本明細書における「成形性」は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の特性であり、成形の容易さを意味する。本明細書における「成形性がよい」とは、型内発泡成形時に、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子をさらに発泡させ、かつ押出発泡粒子同士を融着させることが容易であることを意図する。すなわち、本明細書における「成形性がよい」とは、高発泡倍率であり、かつ融着性に優れるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を容易に得られることを意図する。本明細書において、当該成形性は、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の内圧減衰試験により評価される。内圧減衰試験については、後述の実施例に詳説される。
〔2.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物と、発泡剤としての炭酸ガスとを含む組成物を溶融混練する溶融混練工程と、ホットカット法によりポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程と、を含み、前記ホットカット法は、ダイの穴を通して、前記組成物を押出し、前記ダイの穴から押出される前記組成物を空気中にてカッターで切断し、前記切断された組成物を発泡させながら、または発泡した後に空気中にて冷却する工程であり、前記ダイの1穴あたりの前記組成物の吐出量は、0.350kg/hr以上であり、前記ダイの入口部の前記組成物の圧力は、炭酸ガスの飽和圧力より大きく、かつ、炭酸ガスの飽和圧力+4MPa以下である。
本明細書において、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」を「分岐状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子」を「押出発泡粒子」と称する場合があり、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物と、発泡剤としての炭酸ガスとを含む組成物」を「組成物」と称する場合があり、「本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法」を、「本製造方法」と称する場合がある。
本製造方法は、前述した構成を有するため、成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を、高い生産性で得ることができるという利点を有する。より具体的には、本製造方法によれば、ホットカット法において、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量を0.350kg/hr以上の高生産条件とした場合であっても、成形性に優れたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得ることができるという利点を有する。
まず、本製造方法で使用する原料(成分)、および製造装置について説明し、その後各工程について説明する。
(2-1.樹脂混合物)
本製造方法において、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物とは、組成物における発泡剤以外の成分ともいえる。樹脂混合物は、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含み、さらに任意で気泡核形成剤等の添加剤を含み得る。
本明細書において、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」とは、(a)分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂の分子同士を分子間で一部架橋させたポリプロピレン系樹脂、および(b)分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂に対して、(ポリ)プロピレン以外のジエン化合物等を分岐鎖として導入したポリプロピレン系樹脂を意図する。また、本明細書において、分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂は、200℃、0.1rad/sにおける損失正接tanδが5以下であるポリプロピレン系樹脂を意図する。損失正接tanδのその他の態様(測定方法など)は、後述の(分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂)の項に詳説する。
本明細書において、「分岐構造が導入されていないポリプロピレン系樹脂」を「線状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂」を「分岐状ポリプロピレン系樹脂」と称する場合があり、「線状ポリプロピレン系樹脂」および「分岐状ポリプロピレン系樹脂」をまとめて「ポリプロピレン系樹脂」と称する場合がある。線状ポリプロピレン系樹脂は、分岐状ポリプロピレン系樹脂の原料ともいえる。
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂とは、樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単量体に由来する構造単位を50モル%以上含む樹脂を意図する。本明細書において、「プロピレン単量体に由来する構造単位」を「プロピレン単位」と称する場合がある。
(線状ポリプロピレン系樹脂)
線状ポリプロピレン系樹脂は、(a)プロピレンの単独重合体であってもよく、(b)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのブロック共重合体もしくはランダム共重合体であってもよく、または(c)これらの2種以上の混合物であってもよい。
線状ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単位に加えて、プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位を1単位以上有していてもよく、1種以上有していてもよい。線状ポリプロピレン系樹脂の製造で使用される「プロピレン単量体以外の単量体」を「コモノマー」と称する場合もあり、線状ポリプロピレン系樹脂に含まれる「プロピレン単量体以外の単量体に由来する構造単位」を「コモノマー単位」と称する場合がある。
コモノマーとしては、以下のような単量体が挙げられる:(a)エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどの炭素数2または4~12のα-オレフィン、(b)シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]-4-ドデセンなどの環状オレフィン、(c)5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエン、並びに(d)塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレン系単量体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル系単量体、など。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピルおよびアクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルおよびメタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
スチレン系単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、アルファメチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、t-ブチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレンおよびトリクロロスチレンなどが挙げられる。
線状ポリプロピレン系樹脂は、コモノマー単位として、炭素数2または4~12のα-オレフィンに由来する構造単位を有することが好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン、1-オクテンおよび/または1-デセンなどに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセンおよび/または4-メチル-1-ペンテンに由来する構造単位を有することがより好ましく、エチレン、1-ブテン、イソブテンおよび/または1-ペンテンに由来する構造単位を有することがよりさらに好ましく、エチレンおよび/または1-ブテンに由来する構造単位を有することがより特に好ましい。当該構成によると、(a)高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点、並びに(b)得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂が成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
線状ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、ポリプロピレン系ブロック共重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることが好ましく、プロピレン単独重合体および/またはポリプロピレン系ランダム共重合体であることがより好ましい。当該構成によると、(a)高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点、並びに(b)得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂が成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できるという利点を有する。
線状ポリプロピレン系樹脂は、当該線状ポリプロピレン系樹脂に含まれる全構造単位100モル%中、プロピレン単位を90モル%以上含むことが好ましく、93モル%以上含むことがより好ましく、95モル%以上含むことがさらに好ましく、97モル%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、高い溶融張力および低いゲル分率を有する分岐状ポリプロピレン系樹脂が得られるという利点を有する。
線状ポリプロピレン系樹脂の融点は、特に限定されない。線状ポリプロピレン系樹脂の融点は、例えば、130℃~165℃であることが好ましく、135℃~164℃であることがより好ましく、138℃~163℃であることがさらに好ましく、140℃~162℃であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂の融点が上述した範囲内である場合、(a)得られる押出発泡粒子が成形性に優れるという利点、および(b)当該押出発泡粒子が耐破断性に優れる発泡成形体を提供できるという利点、を有する。線状ポリプロピレン系樹脂の融点が、(a)130℃以上である場合、発泡成形体の寸法安定性が低下する虞がなく、発泡成形体の耐熱性が不十分となる虞がなく、かつ発泡成形体の圧縮強度が強くなる傾向があるという利点を有し、(b)165℃以下である場合、押出発泡粒子を比較的低い蒸気圧で成形することが可能となるため、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子用の汎用成形機を使用して押出発泡粒子を成形できるという利点を有する。
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂の融点は、示差走査熱量計法(以降、「DSC法」と称する)により測定して求められる値である。具体的な操作手順は以下の通りである:(1)線状ポリプロピレン系樹脂5~6mgの温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温することにより当該線状ポリプロピレン系樹脂を融解させる;(2)その後、融解された線状ポリプロピレン系樹脂の温度を10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温することにより当該線状ポリプロピレン系樹脂を結晶化させる;(3)その後、さらに、結晶化された線状ポリプロピレン系樹脂の温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温する。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られる当該線状ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該線状ポリプロピレン系樹脂の融点として求めることができる。なお、上述の方法により、2回目の昇温時に得られる、線状ポリプロピレン系樹脂のDSC曲線において、ピーク(融解ピーク)が複数存在する場合、融解熱量が最大のピーク(融解ピーク)の温度を、線状ポリプロピレン系樹脂の融点とする。示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型を用いることができる。
線状ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(Melt Flow Rate;MFR)は、特に限定されない。線状ポリプロピレン系樹脂のMFRは、例えば、0.5g/10分~50.0g/10分であることが好ましく、1.0g/10分~30.0g/10分であることがより好ましく、2.0g/10分~20.0g/10分であることがさらに好ましく、2.0g/10分~10.0g/10分であることが特に好ましい。線状ポリプロピレン系樹脂のMFRが上述した範囲内である場合、MFRが0.5g/10分~20g/10分である分岐状ポリプロピレン系樹脂を容易に得ることができる、という利点を有する。
本明細書において、線状ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に記載のMFR測定器を用い、オリフィスの直径が2.0959±0.0050mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、そして、荷重が2160g、230±0.2℃の条件下で測定して求められる値である。
(分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂)
分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)は、線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入することによって得ることができる。線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、(a1)線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射する方法、および(a2)線状ポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を溶融混練する方法などが挙げられる。
前記(a1)の方法の具体的な方法としては、例えば特表2002-542360に記載の方法が挙げられる。
前記(a2)の方法についてさらに説明する。前記(a2)の方法では、例えば、以下(i)~(iv)を順に行い分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができる:(i)線状ポリプロピレン系樹脂と共役ジエン化合物とラジカル重合開始剤とを含む混合物を、ダイを備える装置で溶融混練する;(ii)得られた溶融混練物をダイから押出す;(iii)押出された溶融混練物(ストランドとも称される。)を冷却する;(iv)ストランドの冷却と同時にまた、冷却後に、ストランドを細断する。前記(a2)の方法の具体的な方法としては、例えばWO2020/004429に記載の方法が挙げられる。
(i)線状ポリプロピレン系樹脂に分岐構造を安定して導入でき、かつ分岐構造の導入の再現性が高いことから、および/または(ii)複雑な設備を必要とせず、かつ高い生産性で分岐状ポリプロピレン系樹脂を得ることができるとことから、本発明の一実施形態において、分岐状ポリプロピレン系樹脂は、上述の(a2)の方法によって得られる分岐状ポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
分岐状ポリプロピレン系樹脂は、原料である線状ポリプロピレン系樹脂と同様の組成を有し得る。すなわち、分岐状ポリプロピレン系樹脂は、(a)プロピレンの単独重合体であってもよく、(b)プロピレンとプロピレン以外の単量体とのブロック共重合体もしくはランダム共重合体であってもよく、または(c)これらの2種以上の混合物であってもよい。また、分岐状ポリプロピレン系樹脂は、上述したコモノマーに由来する構成単位(コモノマー単位)を含んでいてもよい。また、分岐状ポリプロピレン系樹脂は、分岐状プロピレン単独重合体、分岐状ポリプロピレン系ブロック共重合体および/または分岐状ポリプロピレン系ランダム共重合体であることが好ましく、分岐状ポリプロピレン単独重合体および/または分岐状ポリプロピレン系ランダム共重合体であることがより好ましい。分岐状ポリプロピレン系樹脂がこれらの構成であることにより得られる利点は、線状ポリプロピレン系樹脂がこれらの構成であることにより得られる利点と同じである。
分岐状ポリプロピレン系樹脂の損失正接tanδは、線状ポリプロピレン系樹脂の損失正接tanδと比較して小さくなり得る。損失正接tanδは、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G''との比(G''/G’)である。樹脂の損失正接tanδが小さいほど、得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の成形性を高めることができる。分岐状ポリプロピレン系樹脂の200℃、0.1rad/sにおける損失正接tanδは、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましく、2以下であることがさらに好ましい。
本明細書における損失正接tanδの測定方法について以下に説明する。本明細書では、損失正接tanδ、貯蔵弾性率G’、および損失弾性率G''は、窒素雰囲気下、測定温度200℃で、測定角周波数0.1rad/sで、回転式レオメータ(TAインスツルメンツ社製、商品名:ARES)を用いた振動実験により測定される。具体的には、以下(1)~(3)の通りである:(1)2枚のパラレルプレート(ギャップ1mm)の間に、測定用の試料樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を挟む;(2)片側プレートを駆動することにより、プレート間の試料樹脂に振動による周期的な歪を印可する;(3)印加された歪に対する応答としてのせん断応力の波形およびそれらの位相差から、貯蔵弾性率G’、損失弾性率G''、および損失正接tanδが求められる。
分岐状ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、特に限定されない。分岐状ポリプロピレン系樹脂のMFRは、例えば、0.5g/10分~20.0g/10分であることが好ましく、1.0g/10分~15.0g/10分であることがより好ましく、2.0g/10分~10.0g/10分であることが特に好ましい。
本明細書において、分岐状ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に記載のMFR測定器を用い、オリフィスの直径が2.0959±0.0050mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、そして、荷重が2160g、230±0.2℃の条件下で測定して求められる値である。
分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力は、特に限定されない。分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力は、例えば3cN~20cNであることが好ましく、3cN~15cNであることがより好ましく、3cN~10cNであることが特に好ましい。
本明細書において、分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力は、キャピログラフ1D(日本 株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定する。具体的には、(1)~(5)の通りである:(1)試験温度(200℃)に加熱された径9.55mmのバレルに測定用の試料樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を充填する;(2)次いで、試料樹脂を10分間、試験温度(200℃)に加熱されたバレル内で加熱する;(3)次いで、キャピラリーダイ(口径1.0mm、長さ10mm)から、一定に保持したピストン降下速度(10mm/分)にて、試料樹脂を紐状に出しながら、この紐状物を前記キャピラリーダイの下方350mmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いる巻取りを開始する;(4)紐状物の引き取りが安定した後、紐状物の巻取り速度を初速1.0m/分から、4分間で200m/分の速度に達するまで一定の割合で増加させる;(5)紐状物が破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を溶融張力として測定する。
(その他の樹脂またはゴム)
樹脂混合物は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、分岐状ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂(「その他の樹脂」と称する場合がある。)またはゴムをさらに含んでいてもよい。その他の樹脂としては、(a)エチレン/プロピレンランダム共重合体、エチレン/プロピレンブロック共重合体、プロピレン単独重合体などの線状のポリプロピレン系樹脂、(b)高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、およびエチレン/メタアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、並びに(c)ポリスチレン、スチレン/無水マレイン酸共重合体、およびスチレン/エチレン共重合体などのスチレン系樹脂、などが挙げられる。前記ゴムとしては、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/ブテンゴム、エチレン/ヘキセンゴム、エチレン/オクテンゴムなどのオレフィン系ゴムが挙げられる。
樹脂混合物中のその他の樹脂の含有量は、例えば、樹脂混合物100重量部に対して60重量部以下であることが好ましく、40重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましい。その他の樹脂の含有量の下限値は特に限定されず、例えば、樹脂混合物100重量部に対して0重量部であってよい。
(気泡核形成剤)
樹脂混合物は、得られる押出発泡粒子の気泡数および気泡の形状をコントロールする目的で、気泡核形成剤を含んでいてもよい。気泡核形成剤としては、重炭酸ソーダ-クエン酸混合物、クエン酸モノナトリウム塩、タルク、および炭酸カルシウムなどを挙げることができる。これら気泡核形成剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
気泡核形成剤の使用量、換言すれば樹脂混合物中の気泡核形成剤の含有量、は特に限定されない。気泡核形成剤の使用量は、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部~5.00重量部であることが好ましく、0.01重量部~3.50重量部であることがより好ましく、0.01重量部~1.00重量部であることがさらに好ましく、0.01重量部~0.50重量部であることが特に好ましい。
(その他成分)
樹脂混合物は、必要に応じてその他成分として、(a)酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、および制酸吸着剤などの安定剤、並びに/または、(b)架橋剤、連鎖移動剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、難燃剤、着色剤、および帯電防止剤などの添加剤、をさらに含んでいてもよい。これらその他成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(樹脂混合物の融点)
樹脂混合物の融点は、特に限定されない。樹脂混合物の融点は、例えば、130℃~165℃であることが好ましく、135℃~164℃であることがより好ましく、138℃~163℃であることがさらに好ましく、140℃~162℃であることが特に好ましい。樹脂混合物の融点が上述した範囲内である場合、(a)得られる押出発泡粒子が成形性に優れるという利点、および(b)当該押出発泡粒子が耐破断性に優れる発泡成形体を提供できるという利点、を有する。樹脂混合物の融点が、(a)130℃以上である場合、発泡成形体の寸法安定性が低下する虞がなく、発泡成形体の耐熱性が不十分となる虞がなく、かつ発泡成形体の圧縮強度が強くなる傾向があるという利点を有し、(b)165℃以下である場合、押出発泡粒子を比較的低い蒸気圧で成形することが可能となるため、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子用の汎用成形機を使用して押出発泡粒子を成形できるという利点を有する。
本明細書において、樹脂混合物の融点は、DSC法により測定して求められる値である。具体的には、線状ポリプロピレン系樹脂に代えて樹脂混合物を使用する以外は、上述した線状ポリプロピレン系樹脂の融点の測定方法と同じ方法により特定できる。
(2-2.組成物)
本製造方法において、上述した樹脂混合物に発泡剤を加えて得られた物質を、「組成物」と称する場合がある。
本製造方法において、発泡剤としては、炭酸ガスが使用される。これにより、本製造方法は、生産コストが小さく、かつ環境負荷が小さいという利点を有する。
組成物は、発泡剤として機能し得る炭酸ガス以外の物質を実質的に含まないことが好ましい。具体的に、発泡剤として機能し得る炭酸ガス以外の物質の組成物中の含有量が、組成物100重量部に対して0.01重量部以下であることが好ましく、0.001重量部以下であることがより好ましく、0.0001重量部以下であることがさらに好ましく、0重量部であることが特に好ましい。
発泡剤として機能し得る炭酸ガス以外の物質としては、例えば、(a)プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンおよびヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、(b)シクロペンタンおよびシクロブタンなどの脂肪式環化水素類、(c)空気および窒素などの無機ガス、並びに(d)水など、が挙げられる。
発泡剤の使用量は、目標とする発泡体の発泡倍率に応じて、適宜調整すればよい。本製造方法において、使用する発泡剤の合計使用量は、組成物100重量部に対して、1重量部~20重量部であることが好ましく、1重量部~15重量部であることがより好ましく、1重量部~10重量部であることがさらに好ましく、2重量部~10重量部であることが特に好ましい。「発泡剤の使用量」は、「組成物中の発泡剤の含有量」ともいえる。
(2-3.製造装置)
以下、本製造方法で使用する製造装置について説明する。本実施形態で使用する製造装置は、組成物を溶融混練し、溶融混練された組成物を押出し、空気中にてカットすることによりポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒するための装置である。このような製造装置としては、押出機と、ダイを有する造粒部とを備えるものであればよい。押出機と、ダイを有する造粒部とは連結しており、組成物の押出方向の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。押出機には、原料供給装置および発泡剤供給装置が接続されている。押出機と造粒部との間に、組成物の温度を低下させる冷却部が配設されていてもよい。また、押出機と冷却部との間および/または冷却部と造粒部との間に、樹脂を輸送する輸送部が配設されていてもよい。
製造装置では、(a)原料供給装置を介して分岐状ポリプロピレン系樹脂などの樹脂混合物の原料が、(b)発泡剤供給装置を介して発泡剤としての炭酸ガスが、押出機内に供給される。押出機内の樹脂混合物および発泡剤としての炭酸ガスは溶融混練される。そして、溶融混練された組成物は、必要に応じて輸送部および冷却部を通過して、造粒部に到達する。そして、造粒部のダイの穴から押出された組成物は、カッターで切断され、発泡しつつ造粒されることにより、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子が製造される。ここで、押出機から造粒部へ向かう組成物の流れに対して、押出機側を上流側とし、造粒部側を下流側とする。
押出機は、従来公知の押出機から適宜選択して使用することができ、例えばスクリュを用いた押出機が挙げられる。スクリュを用いた押出機としては、例えば、単軸押出機や二軸押出機を採用することが可能である。二軸押出機を採用する場合のスクリュ回転方向は、同方向であっても異方向であっても構わない。
原料供給装置は、分岐状ポリプロピレン系樹脂などを供給するための部材で構成されている。原料供給装置の数は、樹脂混合物の原料の特性、種類、数などに応じて適宜設定することができる。
発泡剤供給装置は、押出機にて溶融混練される樹脂混合物に対し、発泡剤としての炭酸ガスを供給する部材により構成されている。より具体的には、発泡剤供給装置は、発泡剤貯蔵部(炭酸ガスボンベ)およびポンプ(高圧ポンプ)を備えている。発泡剤供給装置では、ポンプにより、発泡剤貯蔵部にて貯蔵されている発泡剤が押出機へ供給される。
輸送部は、押出機から造粒部へ組成物を輸送するための輸送部材によって構成されている。当該輸送部材は、押出発泡法にて使用される公知の輸送部材であればよく、例えばギアポンプである。ギアポンプは、組成物の流れの圧力を維持する、あるいは適宜昇圧するために有用な部材である。
冷却部は、輸送部(輸送部が省略される場合は押出機)から輸送された組成物を冷却する冷却部材から構成されている。当該冷却部材は、押出発泡法にて使用される公知の冷却部材であればよい。当該冷却部材としては、例えば、単軸押出機、またはスタティックミキサー、メルトクーラーなどが挙げられる。上述した冷却部材は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ダイを有する造粒部は、組成物の流れにおいて、最も下流側に配置されている。図1は、本発明の一実施形態で使用するダイの出口付近の構成を示す断面図である。
ダイ10は、その末端にフェース面11を備えている。フェース面11は、ダイ10において外部と接する面であり、本発明の一実施形態において気相と接している面である。ダイ10のフェース面11には、組成物の出口となる穴12が少なくとも1つ形成されている。穴12は、ダイ10の内部において樹脂通路13に連通している。ダイ10において、穴12の直径は、樹脂通路13の直径よりも小さい。穴12と樹脂通路13との間には、穴12の直径と同直径を有し、樹脂通路13の直径よりも小さい直径を有する流路14を備えるランド部15が形成されている。換言すれば、穴12は、流路14を有するともいえる。また、ランド部15は、ダイ10において、樹脂通路13の直径よりも小さい直径を有する流路14を備える領域を指す。
なお、穴12の直径は、図1において符号bで示される。なお、本明細書において、穴12の形状が真円形でない場合、穴12の直径は、穴12の形状の内接円の直径を意図する。樹脂通路13の、押出方向に対して垂直な断面の形状(以下、単に「樹脂通路の形状」と称する場合がある。)が真円形である場合、樹脂通路13の直径は、樹脂通路13の形状の直径を意図する。樹脂通路13の形状が真円形でない場合、樹脂通路13の直径は、樹脂通路13の形状の内接円の直径を意図する。流路14の、押出方向に対して垂直な断面の形状(以下、単に「流路14の形状」と称する場合がある。)が真円形である場合、流路14の直径は、流路14の形状の直径を意図する。流路14の形状が真円形でない場合、流路14の直径は、流路14の形状の内接円の直径を意図する。
樹脂通路13は、押出機先端の出口にも連通している。すなわち、押出機内で溶融混練された組成物は、押出機先端から、ダイ10内の樹脂通路13内を通過し、ランド部15の流路14を通過して、穴12に達し、穴12から空気中に押し出される。
ダイ10の穴12の、押出方向に対して垂直な断面の形状(以下、単に「穴の形状」と称する場合がある。)は、特に限定されない。球状または略球状の形状を有する押出発泡粒子を得ることができることから、ダイの穴の形状は、真円形、略円形、楕円形、などであることが好ましく、真円形または略円形であることがより好ましい。ダイが備える穴の数は、特に限定されない。
穴12の直径は、特に限定されないが、0.5mm~2.0mmであることが好ましく、0.5mm~1.5mmであることがより好ましく、0.5mm~1.2mmであることがさらに好ましく、0.5mm~1.0mmであることが特に好ましい。穴12の直径が0.5mm未満である場合、ダイの入口部の組成部の圧力が高くなるため、ダイの耐圧の観点から好ましくない。また、穴12の直径が2.0mm以上である場合、ダイの入口部の組成部の圧力が低くなり、当該圧力を炭酸ガスの飽和圧力より大きくすることが難しい。
また、ランド部15における流路14は、円柱状であることが好ましい。これにより、組成物を滞留なく穴12まで押し出しやすい。ランド部15における流路14が円柱状である場合、穴12は、円柱状の流路を有するともいえる。
ランド部15の長さ、すなわち、流路14の長さ(図1中の符号a)を調整することにより、ダイ10内の組成物の圧力が望ましい範囲となるように制御することができる。ランド部15の長さは、ランド部15の押出方向の長さともいえる。ランド部15の長さが長くなるほど、ダイ10内の組成物の圧力が増大する傾向があり、ランド部15の長さが短くなるほど、ダイ10内の組成物の圧力が減少する傾向がある。ランド部15の好ましい長さは、分岐状ポリプロピレン系樹脂の物性、組成物の温度、および組成物の吐出量などにより変化し、特に限定されない。一実施形態として、ランド部15の長さは、例えば、0.5mm~5.5mmであることが好ましく、1.0mm~3.5mmであることがより好ましく、1.5mm~2.5mmであることがさらに好ましい。ランド部15の長さが0.5mm以上であれば、ランド部15が良好な耐圧性能を備えることにより、穴12の形状および大きさが保持され易いという利点を有する。ランド部15の長さが5.5mm以下であれば、ダイ10内の組成物の圧力を好適な範囲に制御し易いという利点を有する。なお、流路14の直径は、穴12の直径と同じである。したがって、ランド部15の長さは、上述の直径を有する穴12の長さともいえる。
樹脂通路13の長さはおよび直径は特に限定されず、穴12の数に応じた組成物の総吐出量などに応じて、適宜に調整することができる。
造粒部は、さらにカッターを備える。造粒部では、HC法によりポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子が造粒される。カッターは、ダイの穴から押出された組成物を空気中にて切断する部材である。カッターは、1枚または複数枚のカッター刃と、回転軸とを備えていてよい。カッター刃は、回転軸の軸周りを回転しつつ、ダイのフェース面を押し付けるまたは僅かに隙間を確保するように構成されている。
造粒部は、造粒されたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を搬送するために、エアー吐出口をさらに備えていてもよい。一実施形態において、エアー吐出口は、カッター刃の回転方向の後方に配置され、カッター刃の回転方向の前方へエアーを吐出するように構成されていることが好ましい。これにより、造粒部では、カッター刃による切断直後の組成物に対して、エアー吐出口からエアーを吹き付けるようになっている。このようにエアー吐出口が設けられていることにより、カッター刃の切断後において、組成物のカッター刃に対する刃離れが良好になる。また、エアー吐出口の代わりに水噴出口を配置することもできる。
造粒部は、ダイのフェース面に対して冷却水を噴霧するミストノズルをさらに備えていてもよい。一実施形態において、ミストノズルは、ダイの穴に向かって冷却水を噴霧し得る位置に設けられていることが好ましい。換言すれば、ミストノズルは、ダイの穴に向けて配置される噴霧口を有することが好ましい。これにより、噴霧口から噴霧された水と空気との混合ミストが、ダイの穴の近傍の空間に充満し、押出発泡粒子同士の互着を防ぐことができる。なお、本明細書において、「空気中」とは、混合ミストが充満している空間を包含する。
また、造粒部は、カッターを収容するカッターケースをさらに備えていてもよい。一実施形態において、カッターケースは、HC法により製造された押出発泡粒子を回収するために、押出発泡粒子が排出される排出口を備えていてもよい。
(2-4.溶融混練工程)
本製造方法は、分岐状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物と、発泡剤としての炭酸ガスとを含む組成物を溶融混練する溶融混練工程を含む。溶融混練工程は、製造装置の押出機にて、分岐状ポリプロピレン系樹脂を溶融させて、分岐状ポリプロピレン系樹脂に発泡剤を溶解させる工程ともいえる。また、溶融混練工程は、分岐状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物と発泡剤とを含む組成物の溶融混練物を調製する工程ともいえる。
溶融混練工程では、最終的に、分岐状ポリプロピレン系樹脂に発泡剤が溶解されていればよい。溶融混練工程において、分岐状ポリプロピレン系樹脂および発泡剤を溶融混練部に供給する順序並びに方法としては、特に限定されず、例えば以下の方法が挙げられる:(1)分岐状ポリプロピレン系樹脂を原料供給装置から押出機に供給し、当該分岐状ポリプロピレン系樹脂を溶融混練する;(2)その後、溶融混練された分岐状ポリプロピレン系樹脂に対して、押出機の途中にある発泡剤供給装置から発泡剤を供給し、すなわち、押出機内にて組成物を調製(完成)し、当該組成物をさらに溶融混練する方法。
上述した方法において、必要に応じて使用するその他の樹脂、気泡核形成剤およびその他成分を上記組成物に添加する場合、これらの原料を押出機に供給する方法および順序は特に限定されない。必要に応じて使用するその他の樹脂、気泡核形成剤およびその他成分は、分岐状ポリプロピレン系樹脂および/または発泡剤と同時に添加してもよく、別々に、かつ順不同に、添加してもよい。
溶融混練工程において、分岐状ポリプロピレン系樹脂などの原料を溶融させるための押出機内のバレル温度は、特に限定されず、原料に対する発泡剤の供給に支障の無い範囲であればよい。押出機における発泡剤の供給位置にて分岐状ポリプロピレン系樹脂が溶融していないと、発泡剤が押出機の上流側へ抜ける可能性がある。このため、分岐状ポリプロピレン系樹脂を完全溶融させつつ、樹脂温度が高いことによる発泡剤気化が起こらないようにバレル温度を設定することが好ましい。例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂は、160℃~260℃のバレル温度で溶融混練されることが好ましく、170℃~240℃のバレル温度で溶融混練されることがより好ましく、180℃~220℃のバレル温度で溶融混練されることがさらに好ましい。
溶融混練工程は、例えば上述した方法で組成物を溶融混練した後、溶融混練された組成物が固化しない温度の範囲内において、溶融混練された組成物の温度を下げる冷却工程をさらに有していてもよい。冷却工程は、押出機内で溶融混練された組成物を、冷却部に送り、冷却部内で組成物を所望の温度まで冷却することにより行われる。
冷却部にて冷却工程を行う場合、冷却部の出口部における組成物の温度は、例えば、分岐状ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+25℃の範囲であることが好ましく、前記樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+20℃の範囲であることがより好ましく、前記樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+15℃の範囲であることがさらに好ましい。冷却部の出口部における組成物の温度が上記の範囲であれば、ダイに進入直後の組成物の温度を、好ましい範囲に調整しやすいという利点を有する。冷却部の出口部における組成物の温度は、冷却部材の温度および伝熱面積、並びに、冷却部材内における組成物の滞留時間などを調整することにより、所望の範囲に制御することができる。
(2-5.造粒工程)
本製造方法は、ホットカット法によりポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程を含む。当該ホットカット法は、ダイの穴を通して、前記組成物を押出し、前記ダイの穴から押出される前記組成物を空気中にてカッターで切断し、前記切断された組成物を発泡させながら、または発泡した後に空気中にて冷却する工程である。造粒工程は、溶融混練工程で得られた組成物、すなわち溶融混練された組成物を、ダイを通して空気中に押し出し、押し出された組成物を切断する工程ともいえる。
本製造方法では、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量は0.350kg/hr以上である。当該構成により、本製造方法は生産性が高いという利点を有する。生産性を高める観点からは、造粒工程におけるダイの1穴あたりの組成物の吐出量は大きいほど好ましい。ダイの1穴あたりの組成物の吐出量は、特に限定されるものではないが、例えば、0.400kg/hr以上であってもよく、0.500kg/hr以上であってもよく、0.600kg/hr以上であってもよく、0.650kg/hr以上であってもよい。一方で、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量が増加するほど、ダイの入口部の組成物の圧力が増加する傾向がある。ダイの1穴あたりの組成物の吐出量の上限値は、ダイの入口部の組成物の圧力値により決定され得、特に限定されない。得られる押出発泡粒子の成形性を高いレベルに保つ観点からは、ダイの1穴あたりの組成物の吐出量の上限値は、2.500kg/hr以下であることが好ましく、2.000kg/hr以下であることがより好ましく、1.500kg/hr以下であることがさらに好ましい。
ダイの1穴あたりの組成物の吐出量を所望の範囲内に調整する方法としては、組成物の総吐出量による調整する方法、もしくはダイの穴数により調整する方法、などが挙げられる。
本製造方法においては、ダイの入口部の組成物の圧力は、炭酸ガスの飽和圧力より大きく、かつ、炭酸ガスの飽和圧力+4MPa以下となるように調整する。当該圧力は、炭酸ガスの飽和圧力+0MPaより大きく、当該飽和圧力+4.0MPa以下であることが好ましく、炭酸ガスの飽和圧力+0MPaより大きく、当該飽和圧力+3.5MPa以下であることがより好ましく、炭酸ガスの飽和圧力+0MPaより大きく、当該飽和圧力+3.0MPa以下であることがさらに好ましい。ダイの入口部の組成物の圧力が、炭酸ガスの飽和圧力より大きいことにより、ダイ入口部で炭酸ガスが気化し発泡性溶融樹脂が発泡してセル膜が破断する現象(以下、「ダイ内発泡」とも称する)を防ぐことができる。また、ダイの入口部の組成物の圧力が、炭酸ガスの飽和圧力+4MPa以下であることにより、高生産条件下であっても、発泡準備時間をほぼゼロとすることが可能である。これにより、セル膜が保持されており、優れた成形性を示すポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得ることができる。
なお、炭酸ガスの飽和圧力は、組成物中の炭酸ガスの含有率、および組成物の温度により変化するが、ダイ内発泡の有無により測定することができる。より具体的には、組成物中の炭酸ガスの含有率および組成物の温度を一定にした条件下で、組成物の吐出量などを変化させることによってダイの入口部の組成物の圧力を変化させて、ダイ内発泡が起きる時点の、ダイの入口部の組成物の圧力を、炭酸ガスの飽和圧力とする。一実施形態において、組成物中の炭酸ガスの含有率が5重量%であり、組成物の温度が145℃である場合、炭酸ガスの飽和圧力は5.5MPa~6.5MPaの範囲内である。なお、以下の(1)~(3)に示す現象の少なくとも1つが起きる場合に「ダイ内発泡が有」と判断される:(1)ダイの入口部の組成部の圧力が一定の値に安定しない(例えば±5.0MPa以上変動する)、(2)ダイの穴から空気中に押出された組成物が発泡直後に収縮する(例えば50%以上収縮する)、(3)ダイの穴から組成物が空気中に押出される際、パチパチという音が発生する。
ダイの入口部の組成物の圧力を、炭酸ガスの飽和圧力より大きく、かつ、炭酸ガスの飽和圧力+4MPa以下となるように調整する方法としては、ダイの入口部の組成物の圧力および炭酸ガスの飽和圧力に影響を与え得る種々の条件を各々調整する方法が挙げられる。これらの圧力に影響を与え得る種々の条件としては、(a)ランド部の長さ、(b)ダイの1穴あたりの組成物の吐出量、(c)ダイ内の組成物の温度(例えばダイに進入直後の組成物の温度)、(d)組成物中の炭酸ガスの含有率、(e)穴の直径などが挙げられる。
ダイの入口部の組成物の圧力は、(a)ダイの入口部付近に設置された圧力計、または(b)ダイに進入直前に、例えば輸送部の出口付近に、組成物と接するように設置された圧力計、によって測定され得る。組成物の圧力は、組成物がダイを通過する途中に変化する場合がある。ダイに進入直後の組成物の圧力を測定するための圧力計は、例えば、押出方向に沿って、ダイの入口部から上流または下流に20mm以内に設置されたものであることが好ましい。
本製造方法においては、ダイに進入直後の組成物の温度は、樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+25℃となるように調整することが好ましく、樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+20℃となるように調整することがより好ましく、樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+15℃となるように調整することがさらに好ましい。当該構成によると、発泡時のセルの破断が抑制され、優れた成形性を示すポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得ることができる。ダイの進入直後の組成物の温度が低いほど、組成物の粘度が上昇し、ダイの入口部の組成物の圧力が増加する傾向がある。
ダイに進入直後の組成物の温度を、樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+25℃の範囲内に調整する方法としては、当該温度に影響を与え得る種々の条件を各々調整する方法が挙げられる。このような種々の条件としては、(a)ダイ以前の部材(押出機、冷却部、輸送部)の設定温度、(b)ダイの設定温度、(c)ダイの押出方向の長さ(ダイの厚さと称する場合もある。)、(d)ダイのフェース面の大きさ(空気中との接触面積)、および(e)空気(組成物が押出される領域)の温度などが挙げられる。
ダイに進入直後の組成物の温度は、(a)ダイの入口部付近に設置された温度計、または(b)ダイに進入直前に、例えば輸送部の出口付近に、組成物と接するように設置された温度計、によって測定され得る。組成物の温度は、組成物がダイを通過する途中に変化する場合がある。ダイに進入直後の組成物の温度を測定するための温度計は、例えば、押出方向に沿って、ダイの入口部から上流または下流に20mm以内に設置されたものであることが好ましい。
造粒工程において、組成物が押出される領域の温度は、特に限定されないが、押出発泡粒子同士が互着したものが少ない押出発泡粒子を得やすいことから、20℃~90℃であることが好ましく、20℃~75℃であることがより好ましく、20℃~65℃であることがさらに好ましく、20℃~50℃であることが特に好ましい。本明細書において、当該領域の温度とは、例えば、製造された押出発泡粒子を収容するカッターケース内の温度を指す。
〔3.ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子〕
本明細書において、「本製造方法によって得られるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子」を「本押出発泡粒子」と称する場合もある。
(成形性)
本押出発泡粒子は、成形性に優れるという利点、具体的には、内圧減衰試験における成含から60分後の内圧が高い(例えば1.30MPa以上)という利点を有する。なお、「成含」とは、押出発泡粒子を密閉容器内に入れ、加圧下で一定時間保持することにより、押出発泡粒子内部の圧力を高めることを指す。
内圧減衰試験における成含から60分後の内圧は、以下の方法によって測定される:(1)押出発泡粒子5.0gを密閉容器(内部体積1m)内に入れ、空気によりゲージ圧0.32MPaに加圧する;(2)18時間保持することにより、押出発泡粒子内部の圧力を高める;(3)押出発泡粒子を容器から取り出し、25℃において、60分経過後の押出発泡粒子内部の圧力を測定する。押出発泡粒子内部の圧力は、押出発泡粒子内部の空気の重量a(g)を測定し、以下の式により算出することができる。
1+a/28.8×0.082×気温(K)×1000/5.0×押出発泡粒子の基材樹脂の密度(g/cm)/押出発泡粒子の発泡倍率
なお、「押出発泡粒子内部の空気の重量a」は、常圧、常温下で1日以上静置した押出発泡粒子の重量と、内圧減衰試験における成含から60分後の押出発泡粒子の重量と、の重量差から算出することができる。また、「押出発泡粒子の基材樹脂の密度」および「押出発泡粒子の発泡倍率」は、後述の(発泡倍率)の項に記載される方法により算出される。60分経過後の押出発泡粒子内部の圧力が高いほど、成形性に優れる。
本押出発泡粒子の成含から60分後の内圧は、1.30MPa以上であることが好ましく、1.35MPa以上であることがより好ましく、1.45MPa以上であることがさらに好ましい。成含から60分後の内圧が1.30MPa以上である押出発泡粒子は、成形性に優れ、高発泡倍率であり、かつ融着性に優れる。したがって、本押出発泡粒子を成形(例えば型内発泡成形)することにより、圧縮強度に優れ、融着性に優れる発泡成形体を得ることができる。
(発泡倍率)
本押出発泡粒子は、好ましくは9倍~45倍という高い発泡倍率を示し得る。本押出発泡粒子の発泡倍率は、より好ましくは9倍~30倍であり、さらに好ましくは10倍~25倍である。前記構成によると、当該押出発泡粒子を用いて得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体において、形状の任意性、緩衝性、軽量性、および断熱性などの特徴がより発揮される、という利点を有する。
本明細書において、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率は、以下の方法によって算出される:(1)押出発泡粒子の重量w(g)を測定する;(2)次に、重量の測定に用いた押出発泡粒子を、メスシリンダー中に入っているエタノール中に沈め、メスシリンダーの液面位置の上昇分に基づき押出発泡粒子の体積v(cm)を測定する;(3)重量w(g)を体積v(cm)で除し、押出発泡粒子の密度ρを算出する;(4)押出発泡粒子の代わりに基材樹脂を用いて(1)~(3)と同様の操作を行うことにより、基材樹脂の密度ρを算出する;(5)押出発泡粒子の基材樹脂の密度ρを押出発泡粒子の密度ρで除し(ρ/ρ)、得られた値を発泡倍率とする。
本明細書において、基材樹脂とは、押出発泡粒子を実質的に構成している樹脂成分であるともいえる。押出発泡粒子の基材樹脂の密度は、前記押出発泡粒子を減圧下で融解して樹脂塊に戻す操作によっても、実質的に変化しない。従って、押出発泡粒子を減圧下で融解して得られる樹脂塊の密度は、押出発泡粒子の基材樹脂の密度と見做すことができる。本明細書において、押出発泡粒子を減圧下で融解して樹脂塊を得ることを「樹脂戻しする」と称する場合があり、樹脂戻しして得られる樹脂塊を「戻し樹脂」と称する場合がある。
樹脂戻しの具体的な方法としては特に限定されないが、例えば以下(b1)~(b5)を順に行う方法が挙げられる:(b1)線状ポリプロピレン系樹脂の融点+10℃に調整した乾燥機中に、押出発泡粒子を入れる;(b2)次いで、5~10分かけて真空ポンプを使用して、前記乾燥機内の圧力を-0.05MPa(ゲージ圧)~-0.10MPa(ゲージ圧)になるまで減圧する;(b3)その後、前記乾燥機内で30分間、押出発泡粒子を放置し、樹脂塊(戻し樹脂)を調製する;(b4)次いで、乾燥機内の温度を室温まで冷却した後、乾燥機内の圧力を常圧まで戻す;(b5)その後、乾燥機から前記樹脂塊を取り出す。
以下に実施例によって本発明の一実施形態をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
(測定および評価方法)
[融点]
樹脂混合物の融点は、以下の方法によって、DSC法により測定した:(1)樹脂混合物5~6mgの温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温することにより当該樹脂混合物を融解させた;(2)その後、融解された樹脂混合物の温度を10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温することにより当該樹脂混合物を結晶化させた;(3)その後、さらに、結晶化された樹脂混の温度を10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温した。2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られる当該樹脂混合物のDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度を当該樹脂混合物の融点とした。なお、上述の方法により、2回目の昇温時に得られる、樹脂混合物のDSC曲線において、ピーク(融解ピーク)が複数存在する場合、融解熱量が最大のピーク(融解ピーク)の温度を、樹脂混合物の融点とした。示差走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型を使用した。
[分岐状ポリプロピレン系樹脂のMFR]
分岐状ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に記載のMFR測定器を用いて以下の条件で測定した:オリフィスの直径が2.0959±0.0050mmφ、オリフィスの長さが8.000±0.025mm、かつ荷重が2160g、230±0.2℃。
[発泡倍率]
以下の方法によって、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率を算出した:(1)押出発泡粒子の重量w(g)を測定した;(2)次に、重量の測定に用いた押出発泡粒子を、メスシリンダー中に入っているエタノール中に沈め、メスシリンダーの液面位置の上昇分に基づき押出発泡粒子の体積v(cm)を測定した;(3)重量w(g)を体積v(cm)で除し、押出発泡粒子の密度ρを算出した;(4)押出発泡粒子の代わりに基材樹脂(戻し樹脂)を用いて(1)~(3)と同様の操作を行うことにより、基材樹脂の密度ρを算出した;(5)押出発泡粒子の基材樹脂の密度ρを押出発泡粒子の密度ρで除し(ρ/ρ)、発泡倍率とした。
実施例および比較例では、押出発泡粒子を樹脂戻しして得られる樹脂塊の密度を、前記基材樹脂の密度と見做した。以下(b1)~(b5)を順に行い、得られた樹脂塊を押出発泡粒子の戻し樹脂とした:(b1)押出発泡粒子を、温度を160℃に調整した乾燥機に入れた;(b2)次いで、5~10分かけて真空ポンプを使用して、前記乾燥機内の圧力を-0.05MPa(ゲージ圧)~-0.10MPa(ゲージ圧)になるまで減圧した;(b3)その後、前記乾燥機内で30分間、押出発泡粒子を放置し、樹脂塊(戻し樹脂)を調製した;(b4)次いで、乾燥機内の温度を室温まで冷却した後、乾燥機内の圧力を常圧まで戻した;(b5)その後、乾燥機から前記樹脂塊を取り出した。
[損失正接tanδ]
分岐状ポリプロピレン系樹脂の損失正接tanδ(損失弾性率G''/貯蔵弾性率G’)は、以下の方法によって振動実験により測定した:(1)2枚のパラレルプレート(ギャップ1mm)の間に、測定用の試料樹脂(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を挟んだ;(2)片側プレートを駆動することにより、プレート間の試料樹脂に振動による周期的な歪を印可した;(3)印加された歪に対する応答としてのせん断応力の波形およびそれらの位相差から、貯蔵弾性率G’、損失弾性率G''、および損失正接tanδを求めた。振動実験は、窒素雰囲気下、測定温度200℃で、測定角周波数0.1rad/sで、回転式レオメータ(TAインスツルメンツ社製、商品名:ARES)を用いて行った。
[溶融張力]
実施例および比較例で用いた分岐状ポリプロピレン系樹脂の溶融張力を、キャピログラフ1D(日本 株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定した。具体的には、以下(1)~(5)の通りであった:(1)200℃に加熱された径9.55mmのバレルに実施例および比較例で用いた分岐状ポリプロピレン系樹脂を充填した;(2)次いで、分岐状ポリプロピレン系樹脂を10分間、200℃に加熱されたバレル内で加熱した;(3)次いで、キャピラリーダイ(口径1.0mm、長さ10mm)から、一定に保持したピストン降下速度(10mm/分)にて、分岐状ポリプロピレン系樹脂を紐状に出しながら、この紐状物を前記キャピラリーダイの下方350mmに位置する張力検出のプーリーに通過させた後、巻取りロールを用いる巻取りを開始した;(4)紐状物の引き取りが安定した後、紐状物の巻取り速度を初速1.0m/分から、4分間で200m/分の速度に達するまで一定の割合で増加させた;(5)紐状物が破断したときのロードセル付きプーリーにかかる荷重を溶融張力として測定した。
[成形性]
成形性は、以下の方法によって、内圧減衰試験における成含から60分後の押出発泡粒子の内圧を測定することにより評価した:(1)押出発泡粒子5.0gを密閉容器(内部体積1m)内に入れ、空気によりゲージ圧0.32MPaに加圧した;(2)18時間保持することにより、押出発泡粒子内部の圧力を高めた;(3)押出発泡粒子を容器から取り出し、25℃において、60分経過後の押出発泡粒子内部の圧力を測定した。成含から60分後の押出発泡粒子の内圧が1.30MPa以上であれば、成形性は良であり、1.30MPa未満であれば、成形性は不良であると評価した。
(製造装置)
以下の実施例および比較例では、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造に使用する製造装置として、押出機、第1の輸送部、冷却部、第2の輸送部、およびダイを備える造粒部がこの順に直列に連結された装置を使用した。押出機としては、二軸押出機を使用した。第1および第2の輸送部としては、ギアポンプを使用した。冷却部としては、スタティックミキサーを使用した。ダイとしては、樹脂通路の直径10mm、穴の形状は真円形、穴の直径0.7mm、円柱状の流路を有するランド部の長さ1.6mmまたは2.1mm、および穴の数1、のダイを使用した。造粒部としては、カッターおよびカッターケースを備える造粒部を使用した。
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂として、樹脂1~3を用意した。
樹脂1(分岐状ポリプロピレン系樹脂)は、以下(1)~(5)を順に行うことにより製造した:(1)ランダムポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、F-724NPC)100重量部と、ラジカル重合開始剤1.4重量部とを70kg/hにて軸径φ45mmの二軸押出機に供給した;(2)二軸押出機途中に設けた圧入部より、ランダムポリプロピレン樹脂100重量部に対して0.56重量部のイソプレンを共役ジエン系化合物として供給した;(3)二軸押出機内の混合物をシリンダ温度200℃かつスクリュ回転数230rpmにて溶融混練した;(4)溶融混練物を二軸押出機が末端に備えるダイから押出し、押出された溶融混練物(ストランド)を水槽にて水冷した;(5)水槽の先に設けたペレタイザーにてストランドを細断して、樹脂1(分岐状ポリプロピレン系樹脂)を得た。得られた樹脂1(分岐状ポリプロピレン系樹脂)のMFRは7.2g/10分であり、溶融張力は7.1cNであった。また、損失正接tanδは5以下であった。ラジカル重合開始剤としては、2,2-ジ-t-ブチルペルオキシブタン(DT50)およびt-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(PBI)のDT50/PBI=1/2の混合物を使用した。
樹脂2(分岐状ポリプロピレン系樹脂)は、ランダムポリプロピレン樹脂100重量部に対するラジカル重合開始剤の量を1.33重量部とし、共役ジエン系化合物の量を0.58重量部とした以外は、樹脂1と同様に製造した。得られた樹脂2のMFRは7.0g/10分であり、損失正接tanδは1.7であり、溶融張力は9.9cNであった。
樹脂3(線状ポリプロピレン系樹脂)としては、ランダムポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、F-724NPC)を使用した。樹脂3のMFRは7.0g/10分であり、損失正接tanδは6.8であった。
(実施例1)
製造装置としてランド部の長さが2.1mmである製造装置を使用し、以下の方法により押出発泡粒子を製造した。
(溶融混練工程)
樹脂1(分岐状ポリプロピレン系樹脂)100重量部、および気泡核形成剤としてタルク0.02重量部をブレンドし、樹脂混合物を調製した。上述の方法により、調製した樹脂混合物の融点を測定した結果、145℃であった。次いで、樹脂混合物を0.350kg/hにて原料供給装置から二軸押出機に投入し、バレル温度180℃、スクリュ回転数35rpmにて樹脂混合物の溶融混練を開始した。樹脂混合物の溶融混練の途中にて、樹脂混合物100重量部に対して5重量部の炭酸ガスを発泡剤として二軸押出機内に圧入し、組成物を調製した。溶融混練した組成物を、第1の輸送部(第1の輸送部の出口部における設定温度180℃)、冷却部(冷却部の出口部における設定温度148℃)、および第2の輸送部(第2の輸送部の出口部における設定温度146℃)をこの順に通過させた。
(造粒工程)
第2の輸送部を通過した組成物を、設定温度142℃のダイに進入させた。ダイに進入直後の組成物の温度は、146℃であり、樹脂混合物の融点145℃+1℃であった。ダイの入口部において、炭酸ガスの飽和圧力は6.0MPaであり、組成物の圧力は6.7MPaであった。組成物を、ランド部を通過させて穴から吐出量0.350kg/hrにて押出した。押出された組成物を、空気中(温度35℃)にてカッター(回転数175rpm)で切断した。切断された組成物を発泡および冷却させて、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。得られたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子について、発泡倍率および成含60分後の内圧値を測定した。各製造条件および測定結果を表1に示す。
(実施例2)
原料供給装置における樹脂混合物の投入量を0.675kg/hr、スクリュ回転数を68rpm、カッター回転数を338rpm、穴からの吐出量を0.675kg/hrに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。ダイの入口部において、炭酸ガスの飽和圧力は6.0MPaであり、組成物の圧力は8.8MPaであった。
(実施例3)
製造装置としてランド部の長さが1.6mmである製造装置を使用し、分岐状ポリプロピレン系樹脂として樹脂2を使用した以外は、実施例2と同じ製法で、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。ダイの入口部において、炭酸ガスの飽和圧力は6.0MPaであり、組成物の圧力は6.6MPaであった。
(実施例4)
原料供給装置における樹脂混合物の投入量を1.000kg/hr、スクリュ回転数を100rpm、カッター回転数を500rpm、穴からの吐出量を1.000kg/hrに変更した以外は、実施例3と同じ製法で、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。ダイの入口部において、炭酸ガスの飽和圧力は6.0MPaであり、組成物の圧力は8.1MPaであった。
(実施例5)
原料供給装置における樹脂混合物の投入量を1.500kg/hr、スクリュ回転数を150rpm、カッター回転数を750rpm、穴からの吐出量を1.500kg/hrに変更した以外は、実施例3と同じ製法で、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。ダイの入口部において、炭酸ガスの飽和圧力は6.0MPaであり、組成物の圧力は9.5MPaであった。
(比較例1)
原料供給装置における樹脂混合物の投入量を1.000kg/hr、スクリュ回転数を100rpm、カッター回転数を500rpm、穴からの吐出量を1.000kg/hrに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。ダイの入口部において、炭酸ガスの飽和圧力は6.0MPaであり、組成物の圧力は10.3MPaであった。
(比較例2)
原料供給装置における樹脂混合物の投入量を2.000kg/hr、スクリュ回転数を200rpm、カッター回転数を1000rpm、穴からの吐出量を2.000kg/hrに変更した以外は、実施例3と同じ製法で、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を得た。ダイの入口部において、炭酸ガスの飽和圧力は6.0MPaであり、組成物の圧力は10.9MPaであった。
(比較例3)
樹脂2の代わりに樹脂3(線状ポリプロピレン系樹脂)を使用した以外は、実施例4と同じ製法で、溶融混練工程および造粒工程を行ったところ、ダイの穴から吐出直後の組成物が収縮し、押出発泡粒子を得ることができなかった。また、装置内の圧力は安定せず、ダイの入口部において、組成物の初期の圧力は9.8MPaであったが、時間経過と共に上昇した。また、圧力が不安定であったため、冷却部において実施例4と同じ温度まで組成物を冷却することができず、冷却部の出口部における温度は152℃であり、設定温度147℃のダイに進入直後の組成物の温度は152℃であった。
Figure 2022152955000001
表1より、本製造方法によって製造された実施例1~5のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、良好な発泡倍率を示し、かつ、成含60分後の内圧が1.30MPa以上であり、成形性に優れるものであった。したがって、本製造方法によれば、ホットカット法において1穴あたりの吐出量が0.350kg/hr以上の高生産条件下であっても、発泡倍率および成形性に優れたポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を提供できることがわかった。これに対し、ダイの入口部の組成物の圧力が、炭酸ガスの飽和圧力+4MPaを超える比較例1および比較例2のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子は、成含60分後の内圧が1.30MPa未満であり、成形性に劣るものであった。また、原料として分岐状ポリプロピレン系樹脂の代わりに線状ポリプロピレン系樹脂を使用した比較例3では、押出発泡粒子を製造することができなかった。
本発明の一実施形態によれば、成形性に優れるポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を高い生産性で提供することができる。そのため、本発明の一実施形態は、形状の任意性、緩衝性、軽量性、圧縮強度および断熱性などにおいて良好な物性を有するポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得るために、好適に利用できる。そのため、本発明の一実施形態は、自動車内装部材、緩衝材、包装材、および断熱材等の分野等において好適に利用できる。
10 ダイ
11 フェース面
12 穴
13 樹脂通路
14 ランド部における流路
15 ランド部
a ランド部の長さ
b 穴の直径

Claims (5)

  1. 分岐構造を有するポリプロピレン系樹脂を含む樹脂混合物と、発泡剤としての炭酸ガスとを含む組成物を溶融混練する溶融混練工程と、
    ホットカット法によりポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子を造粒する造粒工程と、を含み、
    前記ホットカット法は、ダイの穴を通して、前記組成物を空気中に押出し、前記ダイの穴から押出される前記組成物を空気中にてカッターで切断し、切断された前記組成物を発泡させながら、または発泡させた後に空気中にて冷却する工程であり、
    前記ダイの1穴あたりの前記組成物の吐出量は、0.350kg/hr以上であり、
    前記ダイの入口部の前記組成物の圧力は、前記炭酸ガスの飽和圧力より大きく、かつ、前記炭酸ガスの飽和圧力+4MPa以下である、ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  2. 前記ダイの穴は円柱状の流路を有する、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  3. 前記ダイの穴の直径は、0.5mm~2.0mmである、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  4. 前記ダイに進入直後の前記組成物の温度は、前記樹脂混合物の融点+0℃~当該融点+25℃である、請求項1~3の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の発泡倍率は、9倍~45倍である、請求項1~4の何れか1項に記載のポリプロピレン系樹脂押出発泡粒子の製造方法。
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