JP2022143267A - 車両用外装部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】薄型化でき、また検知性能の低下が抑制された車両用外装部品を提供する。【解決手段】装飾部品10は、透明層21および加飾層22を有する意匠部20と、車両90に取り付け可能な取付部30とを備える。取付部30は、ミリ波レーダー装置92の電波照射エリアArの外に配置されている。意匠部20の電波透過部26のミリ波レーダー装置92側の背面27は平滑であり、電波透過部26の肉厚は均一である。このようにして電波透過部26から凹凸を無くすことで、部分的に厚肉になる箇所が無い分だけ電波透過部26を薄型化できる。また、意匠部20単体で電波透過部26の肉厚が均一になっているので、電波透過部26に対してミリ波レーダー装置92側に他の部材を設ける必要がない。そのため、装飾部品10が全体として薄型化されるとともに、意匠部20と他の部材との境界の剥離に起因する検知性能の低下を回避できる。【選択図】図2
Description
本発明は、車両用外装部品に関する。
従来、車載レーダー装置の電波照射方向の前方に設置される車両用外装部品が知られている。特許文献1には、ミリ波レーダー装置のミリ波照射方向の前方に取付けられて車両を装飾するとともに、ミリ波透過性を有するエンブレムが開示されている。エンブレムの主要部としての装飾本体部は、車両前方側から順に透明部材、加飾層および基材を備えている。透明部材のミリ波レーダー装置側は凹凸形状になっており、加飾層は透明部材の凹凸に倣うように凹凸状に形成されている。基材は、加飾層の凹凸に対応する凹凸形状を有しつつも、装飾本体部の肉厚が均一になるように形成されている。
特許文献1では、透明部材および基材は、凹凸形状に起因してミリ波が透過する範囲に薄肉部と厚肉部をもつ形状になっている。樹脂成形時における薄肉部の樹脂の充填性により肉厚設定に制約があるため、装飾本体部の肉厚を小さくするには限界がある。また、接合箇所の劣化により加飾層と基材との境界が剥離した場合、それらの間に空気層が生まれて電波透過性が低下し、レーダー装置の検知性能が低下するおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、薄型化でき、また検知性能の低下が抑制された車両用外装部品を提供することにある。
本発明は、車載レーダー装置の電波照射方向の前方に設置される車両用外装部品であって、透明層および加飾層を有する意匠部と、車両に取り付け可能な取付部とを備える。取付部は、車載レーダー装置の電波照射エリアの外に配置されている。意匠部のうち電波照射エリアに対応する部分のことを電波透過部と定義すると、電波透過部の車載レーダー装置側の面は平滑であり、電波透過部の肉厚は均一である。
このようにして電波透過部から凹凸を無くすことで、樹脂の充填性により肉厚設定に制約があっても、部分的に厚肉になる箇所が無い分だけ電波透過部を薄型化できる。また、意匠部単体で電波透過部の肉厚が均一になっているので、電波透過部に対して車載レーダー装置側に他の部材を設ける必要がない。そのため、車両用外装部品が全体として薄型化されるとともに、意匠部と他の部材との境界の剥離に起因する検知性能の低下を回避できる。さらに、凹凸が無いことに加えて薄型化により電波透過性能が向上する。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態同士で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
[第1実施形態]
第1実施形態の車両用外装部品としての装飾部品10を図1に示す。装飾部品10は、車両90のフロント部のうちフロントグリル91の中央に設けられたエンブレムである。
第1実施形態の車両用外装部品としての装飾部品10を図1に示す。装飾部品10は、車両90のフロント部のうちフロントグリル91の中央に設けられたエンブレムである。
図2に示すように、車両90の内部には、ミリ波レーダー装置92が設けられている。ミリ波レーダー装置92は、車載レーダー装置の一種であって、ミリ波を車両前方に向けて照射して反射波を測定することにより、車両前方にある対象物までの距離や方向を測る装置である。これにより車両90と前方車両との車間距離や、車両90から障害物までの距離を測定できる。
図1~図4に示すように、装飾部品10は、ミリ波レーダー装置92のミリ波照射方向の前方に設置されており、フロントグリル91の通孔に設けられている。装飾部品10は、意匠部20および取付部30を備える。
以下の説明において、装飾部品10に対するミリ波レーダー装置92側のことを適宜「車両内側」と記載する。また、装飾部品10に対するミリ波レーダー装置92とは反対側、すなわち車両90の外部側のことを適宜「車両外側」と記載する。
意匠部20は、エンブレム本体であって、透明なPC(ポリカーボネート)樹脂からなる透明層21と、透明層21に対して車両内側に設けられた加飾層22とを有する。他の実施形態では、透明層21は、PC樹脂と同様に誘電正接の小さな樹脂材料である例えばPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等から形成されてもよい。
透明層21に対して車両外側にはハードコート層25が形成されている。ハードコート層25は、有機系ハードコート剤、無機系ハードコート剤、または有機無機ハイブリッド系ハードコート剤等の表面処理剤が塗布されてなる。他の実施形態では、ハードコート層25は塗装に限らず、例えばフィルム等をインサート、接着または溶着すること等により形成されてもよい。
加飾層22は、不透明層23および金属層24などを含んで構成されている。装飾部品10を車両外側から見たときマークとして認識させたい領域をマーク領域A1とし、それ以外の領域を非マーク領域A2とすると、不透明層23は非マーク領域A2に対応する箇所に形成されており、黒色等の比較的暗い色のインクまたは塗料を印刷または塗装等してなる有色層である。金属層24は、不透明層23に対して車両内側であってマーク領域A1に対応する箇所に形成されており、インジウム等の金属材料を塗装、印刷または蒸着等してなる層である。他の実施形態では、加飾層22の構成は装飾内容に応じて適宜変更し得る。
取付部30は、車両90に取り付け可能である。具体的には、取付部30は、意匠部20の外周部に沿って環状に形成された本体部31と、本体部31から車両外側に突き出した枠状の突出部32と、本体部31から車両内側に突き出してフロントグリル91等に嵌め込み可能な爪部33とを有する。第1実施形態では、突出部32は意匠部20の外周面に被さるように設けられている。
取付部30は、ミリ波レーダー装置92の電波照射エリアArの外に配置されている。本体部31は、電波照射エリアArを含む範囲で開いている開口部34を有する。意匠部20と取付部30との間には接着部40がある。取付部30は、接着部40による接着により意匠部20に接合されている。これにより意匠部20は取付部30と一体になっている。
意匠部20のうち電波照射エリアArに対応する部分のことを電波透過部26と定義する。電波透過部26の車両内側の面(以下、背面)27は平滑である。つまり、背面27は凹凸形状になっていない。平滑とは、平面に限らず、緩やかに湾曲している場合も含む。電波透過部26の肉厚は均一である。第1実施形態では、電波透過部26を含む意匠部20全体がフラット化している。背面27は、開口部34を通してミリ波レーダー装置92側の空間に露出する。ミリ波レーダー装置92が照射したミリ波は、取付部30を通ることなく、意匠部20のみを通って車両前方へ進むようになっている。
ここで、電波照射エリアArにおける装飾部品10の肉厚tの設定要件について確認する。電波の波長をλとし、材料の比誘電率をεrとし、ミリ波の照射方向中心線O1と装飾部品10の表面の面直方向とのなす角度をθとし、自然数をnとすると、次式(1)が成り立つように肉厚tを設定することが要件となる。
t=n×λ/(2√(εr-sin2θ))・・・(1)
t=n×λ/(2√(εr-sin2θ))・・・(1)
角度θの最小値を0°とし、最大値を30°とする。そしてミリ波に応じた波長λ=3.919、PC樹脂に応じた比誘電率εr=2.85を式(1)に代入すると、図5に示すように肉厚tと自然数nと角度θの関係が導かれる。なお、同じ材料でもメーカーやグレードにより比誘電率εrがわずかに変わるため、その比誘電率εrの違いの分だけ図5および後述の図9に示す肉厚tが変わる可能性がある。
第1実施形態では、電波照射エリアArには意匠部20の電波透過部26のみが存在するため、肉厚tは電波透過部26の肉厚に等しい。意匠部20の樹脂成形時における樹脂の充填性を考慮すると、PC樹脂部材単体の肉厚は2.2mm以上にすることが望ましい。そのため自然数n=1のときの肉厚t=1.161~1.215mmは実現しないが、自然数n=2以上のときの肉厚tであれば実現する。なお、樹脂部材単体の肉厚が約6mm以上になると、樹脂収縮による形状不良や外観不良が生じるため好ましくない。第1実施形態では、例えば角度θ=12°、自然数n=3のときの肉厚t≒3.5mmに設定される。
これに対して、図10に示す比較形態について考える。比較形態の装飾部品110は、車両前方側から順に意匠部111および基材114を備えている。意匠部111は透明部112および加飾層113を有する。透明部112の車両内側は凹凸形状になっており、加飾層113は透明部112の凹凸に倣うように凹凸状に形成されている。基材114は、加飾層113の凹凸に対応する凹凸形状を有しつつも、装飾部品110の肉厚が均一になるように形成されている。透明部112の材質はPC樹脂であり、基材114の材質はAES(アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合)樹脂である。
このような比較形態では、PC樹脂とAES樹脂の組合せに応じた比誘電率εr=2.84を式(1)に代入すると、図11に示すように肉厚tcと自然数nと角度θの関係が導かれる。
電波照射エリアArにおける装飾部品110の肉厚tcの設定要件は、第1実施形態と略同じになる。しかし比較形態では、電波照射エリアArには意匠部111だけではなく基材114も存在する。さらに意匠部111および基材114は共に薄肉部と厚肉部をもつ形状になっている。厚肉部の肉厚が薄肉部の肉厚よりも大きいこと、および、成形時の樹脂充填性を考慮したPC樹脂の薄肉部の必要肉厚が2.2mm、AES樹脂の薄肉部の必要肉厚が1.5mmであることから、装飾部品110の肉厚tcは3.7mmよりも大きくする必要がある。そのため自然数n=3以下のときの肉厚tcは実現しない。また、理論的には自然数n=4のときの肉厚tc=4.651~4.870mmは実現するが、実際には凹凸を大きくして立体感を出す目的より、市場での最小の肉厚tc≒6mmになっている。
つまり、第1実施形態の装飾部品10の構造であれば、電波照射エリアArにおける装飾部品10の肉厚t(すなわち電波透過部26の肉厚)を、比較形態の装飾部品110の構造では実現不可能であった2.2~3.7mmの範囲に設定することができる。
(効果)
以上説明したように、装飾部品10は、透明層21および加飾層22を有する意匠部20と、車両90に取り付け可能な取付部30とを備える。取付部30は、ミリ波レーダー装置92の電波照射エリアArの外に配置されている。意匠部20の電波透過部26のミリ波レーダー装置92側の面(すなわち背面27)は平滑であり、電波透過部26の肉厚は均一である。
以上説明したように、装飾部品10は、透明層21および加飾層22を有する意匠部20と、車両90に取り付け可能な取付部30とを備える。取付部30は、ミリ波レーダー装置92の電波照射エリアArの外に配置されている。意匠部20の電波透過部26のミリ波レーダー装置92側の面(すなわち背面27)は平滑であり、電波透過部26の肉厚は均一である。
このようにして電波透過部26から凹凸を無くすことで、樹脂の充填性により肉厚設定に制約があっても、部分的に厚肉になる箇所が無い分だけ電波透過部26を薄型化できる。また、意匠部20単体で電波透過部26の肉厚が均一になっているので、電波透過部26に対してミリ波レーダー装置92側に他の部材を設ける必要がない。そのため、装飾部品10が全体として薄型化されるとともに、意匠部20と他の部材との境界の剥離に起因する検知性能の低下を回避できる。さらに、凹凸が無いことに加えて薄型化により電波透過性能が向上する。
電波透過部26の肉厚は2.2mm以上であって3.7mm以下である。これは図10に示す比較形態では実現不可能な肉厚である。したがって、第1実施形態の装飾部品10によれば、比較形態の装飾部品110と比べて薄型化でき、また電波透過性能が向上する。
(第2実施形態)
第2実施形態では、図6に示すように取付部30が意匠部20に接着されつつ、取付部30が意匠部20の裏側に隠れるようになっている。すなわち、車両外側から見て取付部30が見えないように、意匠部20の外周端が外側に延出している。このような形態においても取付部30が電波照射エリアArの外に配置されていることで、電波照射エリアAr内には意匠部20のみを配置し、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
第2実施形態では、図6に示すように取付部30が意匠部20に接着されつつ、取付部30が意匠部20の裏側に隠れるようになっている。すなわち、車両外側から見て取付部30が見えないように、意匠部20の外周端が外側に延出している。このような形態においても取付部30が電波照射エリアArの外に配置されていることで、電波照射エリアAr内には意匠部20のみを配置し、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、図7に示すように取付部30は、インサート成形により形成され、意匠部20に接合している。このようにインサート成形時の溶着により取付部30と意匠部20が一体にされてもよい。それでも取付部30が電波照射エリアArの外に配置されていることで、電波照射エリアAr内には意匠部20のみを配置し、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
第3実施形態では、図7に示すように取付部30は、インサート成形により形成され、意匠部20に接合している。このようにインサート成形時の溶着により取付部30と意匠部20が一体にされてもよい。それでも取付部30が電波照射エリアArの外に配置されていることで、電波照射エリアAr内には意匠部20のみを配置し、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態では、図8に示すように取付部30がインサート成形により形成されつつ、取付部30が意匠部20の裏側に隠れるようになっている。すなわち、車両外側から見て取付部30が見えないように、意匠部20の外周端が外側に延出している。このような形態においても取付部30が電波照射エリアArの外に配置されていることで、電波照射エリアAr内には意匠部20のみを配置し、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
第4実施形態では、図8に示すように取付部30がインサート成形により形成されつつ、取付部30が意匠部20の裏側に隠れるようになっている。すなわち、車両外側から見て取付部30が見えないように、意匠部20の外周端が外側に延出している。このような形態においても取付部30が電波照射エリアArの外に配置されていることで、電波照射エリアAr内には意匠部20のみを配置し、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
他の実施形態では、透明層はPMMA樹脂から構成され、電波照射エリアにおける装飾部品の肉厚の設定要件は図9に示すとおりである。このような形態であっても、電波照射エリアにおける装飾部品の肉厚を、比較形態の装飾部品の構造では実現不可能であった2.2~3.7mmの範囲に設定することができる。
他の実施形態では、透明層はPMMA樹脂から構成され、電波照射エリアにおける装飾部品の肉厚の設定要件は図9に示すとおりである。このような形態であっても、電波照射エリアにおける装飾部品の肉厚を、比較形態の装飾部品の構造では実現不可能であった2.2~3.7mmの範囲に設定することができる。
他の実施形態では、意匠部は電波透過部とそれ以外の一部との肉厚が異なっていてもよい。要するに、電波透過部の背面が平滑であって電波透過部の肉厚が均一であればよい。
他の実施形態では、取付部は例えば溶着等の他の方法により意匠部に接合されてもよい。また、取付部は、環状に限らず、例えば意匠部の外周に沿って点在するように複数設けられてもよい。また、取付部の外部への取り付け方法は、爪部の嵌め込みに限らず、例えばねじ締結等の他の方法であってもよい。
他の実施形態では、車載レーダー装置は、ミリ波レーダー装置に限らず、他の電波を用いるものであってもよい。
他の実施形態では、車両用外装部品は、発熱や発光等の機能をもたせたエンブレムであってもよいし、エンブレム以外の装飾部品であってもよいし、バンパー等の機能部品の一部であってもよい。また、車両用外装部品は、フロントグリル以外の例えばバンパーやフロントガーニッシュ等の他の外装部品に取り付けられてもよい。
他の実施形態では、車両用外装部品は、発熱や発光等の機能をもたせたエンブレムであってもよいし、エンブレム以外の装飾部品であってもよいし、バンパー等の機能部品の一部であってもよい。また、車両用外装部品は、フロントグリル以外の例えばバンパーやフロントガーニッシュ等の他の外装部品に取り付けられてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
10 装飾部品(車両用外装部品)、20 意匠部、21 透明層、22 加飾層、
26 電波透過部、27 背面(電波透過部の車載レーダー装置側の面)、
30 取付部、34 開口部、90 車両、
92 ミリ波レーダー装置(車載レーダー装置)、Ar 電波照射エリア。
26 電波透過部、27 背面(電波透過部の車載レーダー装置側の面)、
30 取付部、34 開口部、90 車両、
92 ミリ波レーダー装置(車載レーダー装置)、Ar 電波照射エリア。
Claims (2)
- 車載レーダー装置の電波照射方向の前方に設置される車両用外装部品であって、
透明層および加飾層を有する意匠部と、
車両に取り付け可能な取付部と、
を備え、
前記取付部は、前記車載レーダー装置の電波照射エリアの外に配置され、
前記意匠部のうち前記電波照射エリアに対応する部分のことを電波透過部と定義すると、
前記電波透過部の前記車載レーダー装置側の面は平滑であり、
前記電波透過部の肉厚は均一である、車両用外装部品。 - 前記電波透過部の肉厚は2.2mm以上であって3.7mm以下である、請求項1に記載の車両用外装部品。
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2021
- 2021-03-17 JP JP2021043695A patent/JP2022143267A/ja active Pending
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