JP2022126332A - 給排気状態推定システム - Google Patents
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Abstract
Description
このような排気装置において、排気ファンの劣化・故障、排気口に設けられるフィルタ汚れ(フィルタの目詰まり)、排気ダクトの入口に設けられる防火ダンパの故障(閉止状態が維持)が生じていることを検知するべく、排気流量を推定する技術があるが、これまで、排気ファンの回転数が一定に維持されている排気装置においては、排気流量を推定する技術が知られておらず、新たな技術の開発が望まれていた。
給排気対象領域の気体を給排気対象領域外へ導く給排気装置による給排気流量を含む給排気状態を推定する給排気状態推定システムであって、その特徴構成は、
前記給排気対象領域の気体を送風手段により給排気口を介し気体通流路を通流させて前記給排気対象領域外へ導いている前記給排気状態のときに、前記給排気対象領域から前記送風手段までの間で気体の流量が同一とみなせる2地点のうち、少なくとも前記給排気口の下流側の第1地点の圧力である第1圧力と、当該第1地点よりも上流側の第2地点の圧力である第2圧力との差圧を導出可能な差圧導出部を備え、
一時点における前記給排気状態での一の給排気流量と前記差圧導出部から導出された一の前記差圧と、所望の時点における前記差圧とから給排気流量を含む前記給排気状態を推定する給排気状態推定部を有する点にある。
尚、本発明において、一時点における排気状態での位置の給排気流量は、超音波流量計等の既知の流量計を気体通流路に設置することで計測できる。場合によっては、送風手段の既知の送風量と給排気装置の気体通流路の圧損とから導出しても構わない。
結果、排気ファンの回転数等が調整できない給排気装置であっても、簡易な構成で給排気流量を含む給排気状態を推定できる給排気状態推定システムを実現できる。
尚、本明細書において、「気体の流量が同一とみなせる2地点」とは、分岐がない流路上での2地点を意味するものとする。
Q=a×ΔP1/2 〔式1〕
ただし、Qを給排気流量、ΔPを差圧とする。
前記給排気口から前記送風手段までの間の温度を計測する温度計測手段を備え、
前記給排気状態推定部は、下記の〔式2〕に基づいて、所望の時点にて前記温度計測手段にて計測された温度を用いて温度補正後の前記所望の時点での前記給排気流量を推定する点にある。
Q=a×ΔP1/2
=a×{(T’+273.15)/(T+273.15)ΔP’}1/2 〔式2〕
ただし、Tは一時点における温度、T’は所望の時点における温度、ΔP’は所望の時点における差圧とする。
前記差圧導出部は、前記給排気口としての排気口を覆う排気フードの外に設けられており、
前記第1地点と前記差圧導出部とをつなぐ第1圧力伝達パイプと、前記第2地点と前記差圧導出部とをつなぐ第2圧力伝達パイプとを備える点にある。
前記第1圧力伝達パイプは前記差圧導出部から前記第1地点にかけて鉛直方向での高さ位置が徐々に低くなるように傾斜して配設されると共に、前記第2圧力伝達パイプは前記差圧導出部から前記第2地点にかけて鉛直方向での高さ位置が徐々に低くなるように傾斜して配設される点にある。
上記特徴構成によれば、このように発生した結露が、圧力センサ等が設けられる差圧導出部側に導かれることを防止し、結露による圧力センサの劣化を防ぐことができる。
前記第1圧力伝達パイプ及び前記第2圧力伝達パイプは、その途中に排水口を有すると共に当該排水口を開閉する開閉バルブを有する点にある。
前記差圧導出部は、前記第2地点を前記排気フードの内部とし、且つ前記第1地点と前記第2地点との間に圧力損失を発生させる圧力損失発生部位を有する状態で前記差圧を導出する点にある。
上記特徴構成によれば、差圧導出部は、第2地点を排気フードの内部としているから、給排気対象領域が負圧となった場合であっても、導出される差圧は換気部での圧力損失がふくまれないものとなるため、当該差圧に基づいて推定される給排気流量は、実際給の排気流量に大凡対応した値とすることができる。
尚、第1地点と第2地点との間には、差圧を発生させるべく、圧力損失発生部位が設けられていることが好ましい。
前記排気状態を外部の監視装置へ送信可能な通信手段を備えている点にある。
以下、図1、2に基づいて、当該実施形態に係る給排気状態推定システム200について説明する。
排気対象領域SP1は、キッチンや厨房等であり、排気対象領域SP1と排気対象領域外SP2とを区画する区隔壁には、換気口Wが設けられている。これにより、排気装置100を駆動して排気対象領域SP1から排気対象領域外SP2への排気を行っている場合にも、当該換気口Wを介して排気対象領域外SP2から排気対象領域SP1へ外気が自然給気されるため、排気対象領域SP1は大気圧に維持される、即ち、負圧にならない。
排気フード21の内部空間と排気ダクト25との接続部位には、一対のバンクの夫々に排気口23a(給排気口の一例)が設けられているVバンク22が設けられ、当該排気口23aに対してグリスフィルタ23(圧力損失発生部位の一例)が設置されている。
更に、排気フード21の内部空間と排気ダクト25との接続部位で、Vバンク22の下流側には、排気ファン26のON/OFFに連動する形態で開閉する防火ダンパ24が設けられている。
正常でない排気状態にある場合、ガスコンロ10の排気ガスEが排気対象領域SP1の内部から排気対象領域外SP2へ排出され難くなるといったことがおきるため、使用者は、排気状態としての排気流量が正常か否かを知れることが好ましい。
尚、本明細書において、「気体の流量が同一とみなせる2地点」とは、分岐がない同一の流路にある2地点をいうものとする。
尚、当該実施形態にあっては、第1圧力伝達パイプEf1は差圧計DPDから第1地点P1にかけて鉛直方向での高さ位置が徐々に低くなるように傾斜して配設されると共に、第2圧力伝達パイプEf2は差圧計DPDから第2地点P2にかけて鉛直方向での高さ位置が徐々に低くなるように傾斜して配設されており、第1圧力伝達パイプEf1及び第2圧力伝達パイプEf2の内部に結露が発生した場合に、当該結露が差圧計DPDの側へ流入することを防止できる配置となっている。即ち、当該実施形態にあっては、第1圧力伝達パイプEf1及び第2圧力伝達パイプEf2は、排気フード21を貫通する形態で配設されている。
ただし、Qを排気流量、ΔPを差圧とする。
図2のグラフ図から判明するように、上述の〔式1〕にて導出した排気流量と差圧との関係式は、排気口の大小の関わらず、測定値に沿ったものとなっていることがわかる。
即ち、以上の図2に示す結果により、ΔPの乗数を1/2に固定した場合であっても、換気口の大小に関わらず、測定値に大凡沿う排気流量を推定できることを実験的に確認できた。
尚、上述している通り、当該実施形態に係る給排気状態推定システム200では、〔式1〕を決定するために導出すべき定数はaのみであるため、排気ファン26の回転数が固定のものであっても、〔式1〕を適切に決定して、排気流量の推定を行うことができる。
これにより、例えば、排気装置100の排気状態が異常である場合に、監視センターK1にて当該排気状態の異常を即座に把握でき、現場に作業員を派遣して、排気状態の改善を図る等の処置をとることができる。
例えば、換気口Wの近傍に換気口Wを塞ぐ荷物が置かれたときには、排気対象領域SP1が負圧となる場合があるが、第2地点P2を、排気フード21の内部にする場合、図3に示すように、排気対象領域SP1が、通常環境(大気圧)と負圧環境の何れであっても、導出される近似式が、測定値に沿ったものとなる。
一方、第2圧力を計測する第2地点P2を、排気対象領域SP1の外部で、換気口Wの外側の排気対象領域外SP2に設ける場合(図1でP0を第2地点とする場合)において、例えば換気口Wの近傍に換気口Wを塞ぐ荷物が置かれたときには、排気対象領域SP1が負圧となり、当該換気口Wにて圧力損失が発生し、当該圧力損失の分だけ差圧が大きく出力されるため、図3で「負圧環境下、基準圧=排気対象領域外(測定値)」で示すように、「負圧環境下、基準圧=排気フードの内部(測定値)」からズレることとなり、それにより近似式では、適正な排気流量を導出できないことになる。
(1)差圧導出部は、一の差圧計DPDから構成する例を示した。
当該差圧導出部は、第1地点の圧力を計測するものとして第1圧力センサと、第2地点の圧力を計測するものとして第2圧力センサと、第1圧力センサ及び第2圧力センサにて計測された圧力の差圧を導出する差圧導出部を有する演算装置とを有する構成を採用しても構わない。
しかしながら、例えば、差圧計DPDに、差圧に関する差圧情報を送信可能な通信部(図示せず)を設け、監視センターK1及び通信端末K2に対して排気状態推定部S1を設ける構成を採用しても構わない。
しかしながら、例えば、厨房として排気ファン26の回転数が可変のものであっても、その排気流量を含む排気状態を良好に推定することができる。
具体的には、排気フード21の内部(より詳細には、排気口23a)から排気ファン26までの間の温度を計測する温度センサ(図示せず:温度計測手段の一例)を備える構成を採用し、排気状態推定部S1は、下記の〔式2〕に基づいて、所望の時点にて温度センサにて計測された温度を用いて温度補正後の所望の時点での排気流量を推定する。
Q=a×ΔP1/2
=a×{(T’+273.15)/(T+273.15)ΔP’}1/2 〔式2〕
ただし、Tは一時点における温度、T’は所望の時点における温度、ΔP’は所望の時点における差圧とする。
例えば、公知の圧力センサを第1地点P1及び第2地点P2に各別に設け、これらの圧力センサにて計測された圧力の差圧を導出する構成を採用しても構わない。
また、上記実施形態では、第1圧力伝達パイプEf1は、差圧計DPDから第1地点P1まで鉛直方向での高さ位置が徐々に低くなるように配設した。また、第2圧力伝達パイプEf2は、差圧計DPDから第2地点P2まで鉛直方向での高さ位置が徐々に低くなるように配設した。
しかしながら、本発明に係る給排気状態推定システム200は、当該構成に限定されるものではない。
例えば、図4に示すように、第1圧力伝達パイプEf1の途中に第1排水口Em1を設けると共に当該第1排水口Em1を開閉する第1開閉弁EV1(開閉バルブの一例)を備えると共に、第2圧力伝達パイプEf2の途中に第2排水口Em2を設けると共に当該第2排水口Em2を開閉する第2開閉弁EV2(開閉バルブの一例)を備える構成を採用しても構わない。
当該構成を採用する場合、第1圧力伝達パイプEf1及び第2圧力伝達パイプEf2の内部に発生した結露を効果的に外部へ排出するためには、第1排水口Em1は、第1圧力伝達パイプEf1のうち鉛直方向で高さ位置が最も低い箇所に設けることが好ましく、第2排水口Em2は、第2圧力伝達パイプEf2のうち鉛直方向で高さ位置が最も低い箇所に設けることが好ましい。
他の構成例として、給気装置(図示せず)による給気口からの給気流量を含む給気状態を推定するものであっても構わない。
また、給排気状態推定システム200は、排気フード21を設けない構成であっても、良好に給排気状態を推定することができる。
23a :排気口
24 :防火ダンパ
25 :排気ダクト
26 :排気ファン
100 :排気装置
200 :給排気状態推定システム
DPD :差圧計
E :排気ガス
EV1 :第1開閉弁
EV2 :第2開閉弁
Ef1 :第1圧力伝達パイプ
Ef2 :第2圧力伝達パイプ
Em1 :第1排水口
Em2 :第2排水口
K1 :監視センター
K2 :通信端末
N :ネットワーク回線
P1 :第1地点
P2 :第2地点
S :制御装置
S1 :排気状態推定部
SP1 :排気対象領域
SP2 :排気対象領域外
a :定数
Claims (8)
- 給排気対象領域の気体を給排気対象領域外へ導く給排気装置による給排気流量を含む給排気状態を推定する給排気状態推定システムであって、
前記給排気対象領域の気体を送風手段により給排気口を介し気体通流路を通流させて前記給排気対象領域外へ導いている前記給排気状態のときに、前記給排気対象領域から前記送風手段までの間で気体の流量が同一とみなせる2地点のうち、少なくとも前記給排気口の下流側の第1地点の圧力である第1圧力と、当該第1地点よりも上流側の第2地点の圧力である第2圧力との差圧を導出可能な差圧導出部を備え、
一時点における前記給排気状態での一の給排気流量と前記差圧導出部から導出された一の前記差圧と、所望の時点における前記差圧とから給排気流量を含む前記給排気状態を推定する給排気状態推定部を有する給排気状態推定システム。 - 前記給排気状態推定部は、一時点における前記給排気状態での一の給排気流量と前記差圧導出部から導出された一の前記差圧とから決定される下記の〔式1〕の定数aと、所望の時点における前記差圧とから給排気流量を含む前記給排気状態を推定する請求項1に記載の給排気状態推定システム。
Q=a×ΔP1/2 〔式1〕
ただし、Qを給排気流量、ΔPを差圧とする。 - 前記給排気口から前記送風手段までの間の温度を計測する温度計測手段を備え、
前記給排気状態推定部は、下記の〔式2〕に基づいて、所望の時点にて前記温度計測手段にて計測された温度を用いて温度補正後の前記所望の時点での前記給排気流量を推定する請求項2に記載の給排気状態推定システム。
Q=a×ΔP1/2
=a×{(T’+273.15)/(T+273.15)ΔP’}1/2 〔式2〕
ただし、Tは一時点における温度、T’は所望の時点における温度、ΔP’は所望の時点における差圧とする。 - 前記差圧導出部は、前記給排気口としての排気口を覆う排気フードの外に設けられており、
前記第1地点と前記差圧導出部とをつなぐ第1圧力伝達パイプと、前記第2地点と前記差圧導出部とをつなぐ第2圧力伝達パイプとを備える請求項1~3の何れか一項に記載の給排気状態推定システム。 - 前記第1圧力伝達パイプは前記差圧導出部から前記第1地点にかけて鉛直方向での高さ位置が徐々に低くなるように傾斜して配設されると共に、前記第2圧力伝達パイプは前記差圧導出部から前記第2地点にかけて鉛直方向での高さ位置が徐々に低くなるように傾斜して配設される請求項4に記載の給排気状態推定システム。
- 前記第1圧力伝達パイプ及び前記第2圧力伝達パイプは、その途中に排水口を有すると共に当該排水口を開閉する開閉バルブを有する請求項4又は5に記載の給排気状態推定システム。
- 前記差圧導出部は、前記第2地点を前記排気フードの内部とし、且つ前記第1地点と前記第2地点との間に圧力損失を発生させる圧力損失発生部位を有する状態で前記差圧を導出する請求項4~6の何れか一項に記載の給排気状態推定システム。
- 前記給排気状態を外部の監視装置へ送信可能な通信手段を備えている請求項1~7の何れか一項に記載の給排気状態推定システム。
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