JP2022119622A - クラッチ装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022119622000001
【課題】転動体カムの原点復帰時の破損を抑制可能なクラッチ装置を提供する。
【解決手段】第1駆動カム溝401は、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の一方側へ延びるよう形成されている。第2駆動カム溝402は、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の他方側へ延び、駆動カム本体41の一方の端面411に対する溝底403の傾斜角が第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角より大きい。第1従動カム溝は、従動カム特定位置から従動カム本体の周方向の一方側へ延びるよう形成されている。第2従動カム溝は、従動カム特定位置から従動カム本体の周方向の他方側へ延び、従動カム本体の一方の端面に対する溝底の傾斜角が第1従動カム溝の溝底の傾斜角より大きい。制御部は、通常作動時、ボール3が第1駆動カム溝401および第1従動カム溝を転動するよう原動機の作動を制御する。
【選択図】図7

Description

本発明は、クラッチ装置に関する。
従来、クラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更することにより、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を許容または遮断するクラッチ装置が知られている。
例えば、特許文献1のクラッチ装置では、電動モータの回転運動を減速機で減速し、転動体カムによって並進運動に変換し、クラッチを押圧することで、クラッチの状態を変更する。
特開2015-17635号公報
特許文献1のクラッチ装置では、電動モータへの電流遮断時等、クラッチ側からの負荷荷重によって、転動体カムは原点に復帰する。転動体カムが原点に復帰するとき、転動体および周囲の部品は比較的大きな衝撃を受ける。この衝撃を緩和し、さらに溝から転動体が抜け出すのを抑制するため、この転動体カムは、通常作動時に転動体が転動する溝とは反対側に、衝撃緩和部と抜け出し防止部とを有している。
特許文献1のクラッチ装置は、転動体カムを原点側に付勢する付勢部材を備えている。また、特許文献1には、転動体と抜け出し防止部との接触角が、転動体と衝撃緩和部との接触角よりも大きく設定された形態が開示されている。
特許文献1のクラッチ装置では、転動体カムの回転角は、有限範囲の制限があり、抜け出し防止部にも回転角度を割り付けるため、衝撃緩和部が短くなり、衝撃を十分に緩和できないおそれがある。また、回転慣性力が想定以上に大きい場合、抜け出し防止部で大きな衝撃荷重が発生し、転動体カムの構成部品が破損するおそれがある。
本発明の目的は、転動体カムの原点復帰時の破損を抑制可能なクラッチ装置を提供することにある。
本発明に係るクラッチ装置は、ハウジング(12)と原動機(20)と減速機(30)と転動体カム(2)とクラッチ(70)と状態変更部(80、90)と制御部(10)とを備える。原動機は、ハウジングに設けられ、通電により作動しトルクを出力可能である。減速機は、原動機のトルクを減速して出力可能である。
転動体カムは、駆動カム本体(41)および駆動カム本体の一方の端面(411)に形成された複数の駆動カム溝(400)を有し減速機から出力されたトルクが入力されるとハウジングに対し相対回転する駆動カム(40)、従動カム本体(51)および従動カム本体の一方の端面(511)に形成された複数の従動カム溝(500)を有し駆動カムがハウジングに対し相対回転するとハウジングに対し軸方向に相対移動する従動カム(50)、および、駆動カム溝と従動カム溝との間で転動可能に設けられた転動体(3)を有する。
クラッチは、ハウジングに対し相対回転可能に設けられた第1伝達部(61)と第2伝達部(62)との間に設けられ、係合状態のとき、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を許容し、非係合状態のとき、第1伝達部と第2伝達部との間のトルクの伝達を遮断する。状態変更部は、従動カムから軸方向の力を受け、ハウジングに対する従動カムの軸方向の相対位置に応じてクラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。制御部は、原動機への通電を制御し、原動機の作動を制御可能である。
駆動カム溝は、第1駆動カム溝(401)および第2駆動カム溝(402)を有する。第1駆動カム溝は、駆動カム本体の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置(PSd1)から駆動カム本体の周方向の一方側へ延び、駆動カム特定位置から駆動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう駆動カム本体の一方の端面(411)に対し溝底(403)が傾斜して形成されている。第2駆動カム溝は、駆動カム特定位置から駆動カム本体の周方向の他方側へ延び、駆動カム特定位置から駆動カム本体の周方向の他方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう駆動カム本体の一方の端面(411)に対し溝底(403)が傾斜して形成され、駆動カム本体の一方の端面(411)に対する溝底(403)の傾斜角が第1駆動カム溝の溝底(403)の傾斜角より大きい。
従動カム溝は、第1従動カム溝(501)および第2従動カム溝(502)を有する。第1従動カム溝は、従動カム本体の周方向の特定の位置である従動カム特定位置(PSv1)から従動カム本体の周方向の一方側へ延び、従動カム特定位置から従動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう従動カム本体の一方の端面(511)に対し溝底(503)が傾斜して形成されている。第2従動カム溝は、従動カム特定位置から従動カム本体の周方向の他方側へ延び、従動カム特定位置から従動カム本体の周方向の他方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう従動カム本体の一方の端面(511)に対し溝底(503)が傾斜して形成され、従動カム本体の一方の端面(511)に対する溝底(503)の傾斜角が第1従動カム溝の溝底(503)の傾斜角より大きい。
制御部は、通常作動時、転動体が第1駆動カム溝および第1従動カム溝を転動するよう原動機の作動を制御する。ここで、「通常作動時」とは、原動機に通電し転動体カムを作動させクラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更するよう作動する時間を意味する。
本発明では、例えば通常作動時、転動体が第1駆動カム溝および第1従動カム溝にあり、従動カムが初期位置(原点)からクラッチ側へ所定距離離れた位置にあるとき、電源失陥により原動機への通電が遮断されると、クラッチ側からの付勢力により、従動カムが初期位置側へ戻る。このとき、転動体は、第1駆動カム溝および第1従動カム溝を転動し、原点を越え、第2駆動カム溝および第2従動カム溝に乗り上げる。
ここで、第2駆動カム溝および第2従動カム溝の傾斜角は、第1駆動カム溝および第1従動カム溝の傾斜角より大きく設定されている。そのため、原点を越えて第2駆動カム溝および第2従動カム溝に乗り上げた転動体は、転動の速度が小さくなり、停止し、原点側に転動し、原点への復帰が完了する。このように、本発明では、転動体カムの原点復帰時の衝撃を効果的に抑制できる。したがって、転動体カムの原点復帰時の破損を抑制可能である。
第1実施形態によるクラッチ装置を示す断面図。 第1実施形態によるクラッチ装置の一部を示す断面図。 2kh型の不思議遊星歯車減速機の模式図、および、入出力パターンと慣性モーメントおよび減速比との関係を示す表。 3k型の不思議遊星歯車減速機の模式図、および、入出力パターンと慣性モーメントおよび減速比との関係を示す表。 従動カムのストロークとクラッチに作用する荷重との関係を示す図。 第1実施形態によるクラッチ装置の原動機のコイルを示す模式図。 第1実施形態によるクラッチ装置の駆動カム本体を示す図。 第1実施形態によるクラッチ装置の従動カム本体を示す図。 第1実施形態によるクラッチ装置の駆動カム溝および従動カム溝を示す断面図。 第1実施形態によるクラッチ装置の駆動カム溝および従動カム溝を示す断面図であって、図9と異なる状態を示す図。 第1実施形態によるクラッチ装置の駆動カム溝および従動カム溝を示す断面図であって、図9と異なる状態を示す図。 第1実施形態によるクラッチ装置の駆動カムと従動カムとの相対回転角と、駆動カムに対する従動カムの変位との関係を示す図。 第1実施形態によるクラッチ装置の駆動カム溝および従動カム溝を示す断面図であって、位相のずれが発生した状態を示す図。 第1実施形態によるクラッチ装置の駆動カム溝および従動カム溝を示す断面図であって、原点位置状態を示す図。 転動体が第2駆動カム溝を登るよう転動するために必要な駆動カムのトルクと、第2駆動カム溝および第2従動カム溝の傾斜角との関係を示す図。 転動体が第1駆動カム溝を転動することなく滑るために必要な駆動カムのトルクと、第2駆動カム溝および第2従動カム溝の傾斜角との関係を示す図。 第2実施形態によるクラッチ装置の一部を示す断面図。
以下、複数の実施形態によるクラッチ装置を図面に基づき説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態によるクラッチ装置を図1、2に示す。クラッチ装置1は、例えば車両の内燃機関と変速機との間に設けられ、内燃機関と変速機との間のトルクの伝達を許容または遮断するのに用いられる。
クラッチ装置1は、ハウジング12と、「原動機」としてのモータ20と、減速機30と、「回転並進部」または「転動体カム」としてのボールカム2と、クラッチ70と、状態変更部80と、「制御部」としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という)10と、を備えている。
また、クラッチ装置1は、「第1伝達部」としての入力軸61と、「第2伝達部」としての出力軸62と、を備えている。
ECU10は、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM、RAM等、入出力手段としてのI/O等を有する小型のコンピュータである。ECU10は、車両の各部に設けられた各種センサからの信号等の情報に基づき、ROM等に格納されたプログラムに従い演算を実行し、車両の各種装置および機器の作動を制御する。このように、ECU10は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行する。このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。
ECU10は、各種センサからの信号等の情報に基づき、内燃機関等の作動を制御可能である。また、ECU10は、後述するモータ20の作動を制御可能である。
入力軸61は、例えば、図示しない内燃機関の駆動軸に接続され、駆動軸とともに回転可能である。つまり、入力軸61には、駆動軸からトルクが入力される。
内燃機関を搭載する車両には、固定体11が設けられる(図2参照)。固定体11は、例えば筒状に形成され、車両のエンジンルームに固定される。固定体11の内周壁と入力軸61の外周壁との間には、ボールベアリング141が設けられる。これにより、入力軸61は、ボールベアリング141を介して固定体11により軸受けされる。
ハウジング12は、固定体11の内周壁と入力軸61の外周壁との間に設けられる。ハウジング12は、ハウジング内筒部121、ハウジング板部122、ハウジング外筒部123、ハウジング小板部124、ハウジング段差面125、ハウジング小内筒部126、ハウジング側スプライン溝部127等を有している。
ハウジング内筒部121は、略円筒状に形成されている。ハウジング小板部124は、ハウジング内筒部121の端部から径方向外側へ延びるよう環状の板状に形成されている。ハウジング小内筒部126は、ハウジング小板部124の外縁部からハウジング内筒部121とは反対側へ延びるよう略円筒状に形成されている。ハウジング板部122は、ハウジング小内筒部126のハウジング小板部124とは反対側の端部から径方向外側へ延びるよう環状の板状に形成されている。ハウジング外筒部123は、ハウジング板部122の外縁部からハウジング小内筒部126およびハウジング内筒部121と同じ側へ延びるよう略円筒状に形成されている。ここで、ハウジング内筒部121とハウジング小板部124とハウジング小内筒部126とハウジング板部122とハウジング外筒部123とは、例えば金属により一体に形成されている。
上述のように、ハウジング12は、全体としては、中空、かつ、扁平形状に形成されている。
ハウジング段差面125は、ハウジング小板部124のハウジング小内筒部126とは反対側の面において円環の平面状に形成されている。ハウジング側スプライン溝部127は、ハウジング内筒部121の軸方向に延びるようハウジング内筒部121の外周壁に形成されている。ハウジング側スプライン溝部127は、ハウジング内筒部121の周方向に複数形成されている。
ハウジング12は、外壁の一部が固定体11の壁面の一部に当接するよう固定体11に固定される(図2参照)。ハウジング12は、図示しないボルト等により固定体11に固定される。ここで、ハウジング12は、固定体11および入力軸61に対し同軸に設けられる。また、ハウジング内筒部121の内周壁と入力軸61の外周壁との間には、略円筒状の空間が形成される。
ハウジング12は、収容空間120を有している。収容空間120は、ハウジング内筒部121とハウジング小板部124とハウジング小内筒部126とハウジング板部122とハウジング外筒部123との間に形成されている。
モータ20は、収容空間120に収容されている。モータ20は、ステータ21、ロータ23等を有している。ステータ21は、ステータコア211、コイル22を有している。ステータコア211は、例えば積層鋼板により略円環状に形成され、ハウジング外筒部123の内側に固定される。コイル22は、ステータコア211の複数の突極のそれぞれに設けられている。
モータ20は、「永久磁石」としてのマグネット230を有している。ロータ23は、例えば鉄系の金属により略円環状に形成されている。より詳細には、ロータ23は、例えば磁気特性が比較的高い純鉄により形成されている。
マグネット230は、ロータ23の外周壁に設けられている。マグネット230は、磁極が交互になるようロータ23の周方向に等間隔で複数設けられている。
クラッチ装置1は、ベアリング151を備えている。ベアリング151は、ハウジング小内筒部126の外周壁に設けられている。ベアリング151の径方向外側には、後述するサンギヤ31が設けられている。ロータ23は、サンギヤ31の径方向外側においてサンギヤ31に対し相対回転不能に設けられている。ベアリング151は、収容空間120に設けられ、サンギヤ31、ロータ23およびマグネット230を回転可能に支持している。
ここで、コイル22は、巻線組25を有している(図6参照)。巻線組25は、U相巻線251、V相巻線252、W相巻線253を有している。U相巻線251、V相巻線252、W相巻線253は、それぞれ、ステータコア211に巻き回され、それぞれの一端が電気的に接続されている。
ECU10は、スイッチング素子271~276、電圧検出部250を有している。
スイッチング素子271は、一端が図示しないバッテリの正極に接続し、他端がスイッチング素子272の一端に接続している。スイッチング素子272の他端は、グランドに接続している。スイッチング素子273は、一端が図示しないバッテリの正極に接続し、他端がスイッチング素子274の一端に接続している。スイッチング素子274の他端は、グランドに接続している。スイッチング素子275は、一端が図示しないバッテリの正極に接続し、他端がスイッチング素子276の一端に接続している。スイッチング素子276の他端は、グランドに接続している。
U相巻線251の他端は、スイッチング素子271とスイッチング素子272との接続点に接続している。V相巻線252の他端は、スイッチング素子273とスイッチング素子274との接続点に接続している。W相巻線253の他端は、スイッチング素子275とスイッチング素子276との接続点に接続している。
電圧検出部250は、スイッチング素子272、274、276とグランドとの間に設けられ、当該箇所の電位差を検出可能である。
ECU10は、コイル22に供給する電力を制御することにより、モータ20の作動を制御可能である。コイル22に電力が供給されると、ステータコア211に回転磁界が生じ、ロータ23が回転する。これにより、ロータ23からトルクが出力される。このように、モータ20は、ステータ21、および、ステータ21に対し相対回転可能に設けられたロータ23を有し、電力の供給によりロータ23からトルクを出力可能である。
より詳細には、ECU10は、スイッチング素子271~276のスイッチング作動を制御することで、バッテリから巻線組25に供給する電力を制御することにより、ロータ23が正転または逆転するようモータ20の作動を制御可能である。
このように、本実施形態では、モータ20は、1つの巻線組(25)、すなわち、1系統の巻線組を有し、通常時、巻線組25への通電によりトルクを出力する。なお、巻線組25が断線した場合等の電源失陥時には、巻線組25への通電が遮断され、モータ20の作動が停止する。
ECU10は、電圧検出部250により検出した電圧により、巻線組25に流れる電流値を検出可能である。これにより、ECU10は、巻線組25の断線を検出可能である。
ここで、ロータ23は、ステータ21のステータコア211の径方向内側において、ステータ21に対し相対回転可能に設けられている。モータ20は、インナロータタイプのブラシレス直流モータである。
本実施形態では、クラッチ装置1は、回転角センサ104を備えている。回転角センサ104は、収容空間120に設けられている。
回転角センサ104は、ロータ23と一体に回転するセンサマグネットから発生する磁束を検出し、検出した磁束に応じた信号をECU10に出力する。これにより、ECU10は、回転角センサ104からの信号に基づき、ロータ23の回転角および回転数等を検出することができる。また、ECU10は、ロータ23の回転角および回転数等に基づき、ハウジング12および後述する従動カム50に対する駆動カム40の相対回転角度、ハウジング12および駆動カム40に対する従動カム50および状態変更部80の軸方向の相対位置等を算出することができる。
減速機30は、収容空間120に収容されている。減速機30は、サンギヤ31、プラネタリギヤ32、キャリア33、第1リングギヤ34、第2リングギヤ35等を有している。
サンギヤ31は、ロータ23と同軸かつ一体回転可能に設けられている。つまり、ロータ23とサンギヤ31とは、別体に形成され、一体に回転可能なよう同軸に配置されている。
より詳細には、サンギヤ31は、サンギヤ本体310、「歯部」および「外歯」としてのサンギヤ歯部311、ギヤ側スプライン溝部315を有している。サンギヤ本体310は、例えば金属により略円筒状に形成されている。ギヤ側スプライン溝部315は、サンギヤ本体310の一方の端部側の外周壁において軸方向に延びるよう形成されている。ギヤ側スプライン溝部315は、サンギヤ本体310の周方向に複数形成されている。サンギヤ本体310は、一方の端部側がベアリング151によって軸受けされている。
ロータ23の内周壁には、ギヤ側スプライン溝部315に対応するスプライン溝部が形成されている。ロータ23は、サンギヤ31の径方向外側に位置し、スプライン溝部がギヤ側スプライン溝部315とスプライン結合するよう設けられている。これにより、ロータ23は、サンギヤ31に対し、相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。
サンギヤ歯部311は、サンギヤ31の他方の端部側の外周壁に形成されている。ロータ23と一体回転するサンギヤ31には、モータ20のトルクが入力される。ここで、サンギヤ31は、減速機30の「入力部」に対応する。本実施形態では、サンギヤ31は、例えば鉄鋼材により形成されている。
プラネタリギヤ32は、サンギヤ31の周方向に沿って複数設けられ、サンギヤ31に噛み合いつつ自転しながらサンギヤ31の周方向に公転可能である。より詳細には、プラネタリギヤ32は、例えば金属により略円筒状に形成され、サンギヤ31の径方向外側においてサンギヤ31の周方向に等間隔で4つ設けられている。プラネタリギヤ32は、「歯部」および「外歯」としてのプラネタリギヤ歯部321を有している。プラネタリギヤ歯部321は、サンギヤ歯部311に噛み合い可能なようプラネタリギヤ32の外周壁に形成されている。
キャリア33は、プラネタリギヤ32を回転可能に支持し、サンギヤ31に対し相対回転可能である。より詳細には、キャリア33は、サンギヤ31に対し径方向外側に設けられている。キャリア33は、ロータ23およびサンギヤ31に対し相対回転可能である。
キャリア33は、キャリア本体330、ピン331を有している。キャリア本体330は、例えば金属により略円環状に形成されている。キャリア本体330は、径方向においてはサンギヤ31とコイル22との間に位置し、軸方向においてはロータ23およびマグネット230とプラネタリギヤ32との間に位置している。なお、プラネタリギヤ32は、キャリア本体330およびコイル22に対しハウジング板部122とは反対側に位置している。
ピン331は、接続部335、支持部336を有している。接続部335および支持部336は、それぞれ、例えば金属により円柱状に形成されている。接続部335と支持部336とは、それぞれの軸がずれて平行な状態となるよう一体に形成されている。そのため、接続部335および支持部336は、それぞれの軸を含む仮想平面による断面形状がクランク形状となる(図1参照)。
ピン331は、一方の端部側の部位である接続部335がキャリア本体330に接続するようにしてキャリア本体330に固定されている。ここで、支持部336は、キャリア本体330のロータ23およびマグネット230とは反対側において、接続部335の軸に対し軸がキャリア本体330の径方向外側に位置するよう設けられている(図1参照)。ピン331は、プラネタリギヤ32の数に対応し、合計4つ設けられている。
減速機30は、プラネタリギヤベアリング36を有している。プラネタリギヤベアリング36は、例えばニードルベアリングであり、ピン331の支持部336の外周壁とプラネタリギヤ32の内周壁との間に設けられている。これにより、プラネタリギヤ32は、プラネタリギヤベアリング36を介してピン331の支持部336により回転可能に支持されている。
第1リングギヤ34は、プラネタリギヤ32に噛み合い可能な歯部である第1リングギヤ歯部341を有し、ハウジング12に固定されている。より詳細には、第1リングギヤ34は、例えば金属により略円環状に形成されている。第1リングギヤ34は、コイル22に対しハウジング板部122とは反対側において、外縁部がハウジング外筒部123の内周壁に嵌合するようハウジング12に固定されている。そのため、第1リングギヤ34は、ハウジング12に対し相対回転不能である。
ここで、第1リングギヤ34は、ハウジング12、ロータ23、サンギヤ31に対し同軸に設けられている。「歯部」および「内歯」としての第1リングギヤ歯部341は、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321の軸方向の一方の端部側に噛み合い可能なよう第1リングギヤ34の内縁部に形成されている。
第2リングギヤ35は、プラネタリギヤ32に噛み合い可能な歯部であり第1リングギヤ歯部341とは歯数の異なる第2リングギヤ歯部351を有し、後述する駆動カム40と一体回転可能に設けられている。より詳細には、第2リングギヤ35は、例えば金属により略円環状に形成されている。第2リングギヤ35は、ギヤ内筒部355、ギヤ板部356、ギヤ外筒部357を有している。ギヤ内筒部355は、略円筒状に形成されている。ギヤ板部356は、ギヤ内筒部355の一端から径方向外側へ延びるよう環状の板状に形成されている。ギヤ外筒部357は、ギヤ板部356の外縁部からギヤ内筒部355とは反対側へ延びるよう略円筒状に形成されている。
ここで、第2リングギヤ35は、ハウジング12、ロータ23、サンギヤ31に対し同軸に設けられている。「歯部」および「内歯」としての第2リングギヤ歯部351は、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321の軸方向の他方の端部側に噛み合い可能なようギヤ外筒部357の内周壁に形成されている。本実施形態では、第2リングギヤ歯部351の歯数は、第1リングギヤ歯部341の歯数よりも多い。より詳細には、第2リングギヤ歯部351の歯数は、第1リングギヤ歯部341の歯数よりも、プラネタリギヤ32の個数である4に整数を乗じた数分だけ多い。
また、プラネタリギヤ32は、同一部位において2つの異なる諸元をもつ第1リングギヤ34および第2リングギヤ35と干渉なく正常に噛み合う必要があるため、第1リングギヤ34および第2リングギヤ35の一方もしくは両方を転位させて各歯車対の中心距離を一定にする設計としている。
上記構成により、モータ20のロータ23が回転すると、サンギヤ31が回転し、プラネタリギヤ32のプラネタリギヤ歯部321がサンギヤ歯部311と第1リングギヤ歯部341および第2リングギヤ歯部351とに噛み合いつつ自転しながらサンギヤ31の周方向に公転する。ここで、第2リングギヤ歯部351の歯数が第1リングギヤ歯部341の歯数より多いため、第2リングギヤ35は、第1リングギヤ34に対し相対回転する。そのため、第1リングギヤ34と第2リングギヤ35との間で第1リングギヤ歯部341と第2リングギヤ歯部351との歯数差に応じた微小差回転が第2リングギヤ35の回転として出力される。これにより、モータ20からのトルクは、減速機30により減速されて、第2リングギヤ35から出力される。このように、減速機30は、モータ20のトルクを減速して出力可能である。本実施形態では、減速機30は、3k型の不思議遊星歯車減速機を構成している。
第2リングギヤ35は、後述する駆動カム40とは別体に形成され、駆動カム40と一体回転可能に設けられている。第2リングギヤ35は、モータ20からのトルクを減速して駆動カム40に出力する。ここで、第2リングギヤ35は、減速機30の「出力部」に対応する。
ボールカム2は、「回転部」としての駆動カム40、「並進部」としての従動カム50、「転動体」としてのボール3を有している。
駆動カム40は、駆動カム本体41、駆動カム内筒部42、駆動カム板部43、駆動カム外筒部44、駆動カム溝400等を有している。駆動カム本体41は、略円環の板状に形成されている。駆動カム内筒部42は、駆動カム本体41の外縁部から軸方向に延びるよう略円筒状に形成されている。駆動カム板部43は、駆動カム内筒部42の駆動カム本体41とは反対側の端部から径方向外側へ延びるよう略円環の板状に形成されている。駆動カム外筒部44は、駆動カム板部43の外縁部から駆動カム内筒部42とは反対側へ延びるよう略円筒状に形成されている。ここで、駆動カム本体41と駆動カム内筒部42と駆動カム板部43と駆動カム外筒部44とは、例えば金属により一体に形成されている。
駆動カム溝400は、駆動カム本体41の駆動カム内筒部42側の面である一方の端面411から他方の端面412側へ凹むよう形成されている(図7参照)。駆動カム溝400は、駆動カム本体41の周方向において一方の端面411からの深さが変化するよう形成されている。駆動カム溝400は、例えば駆動カム本体41の周方向に等間隔で3つ形成されている。駆動カム溝400のより詳細な構成については、後に説明する。
駆動カム40は、駆動カム本体41がハウジング内筒部121の外周壁とサンギヤ31の内周壁との間に位置し、駆動カム板部43がプラネタリギヤ32に対しキャリア本体330とは反対側に位置するようハウジング内筒部121とハウジング外筒部123との間に設けられている。駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転可能である。
第2リングギヤ35は、ギヤ内筒部355の内周壁が駆動カム外筒部44の外周壁に嵌合するよう駆動カム40と一体に設けられている。第2リングギヤ35は、駆動カム40に対し相対回転不能である。すなわち、第2リングギヤ35は、「回転部」としての駆動カム40と一体回転可能に設けられている。そのため、モータ20からのトルクが、減速機30により減速されて、第2リングギヤ35から出力されると、駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転する。すなわち、駆動カム40は、減速機30から出力されたトルクが入力されるとハウジング12に対し相対回転する。
従動カム50は、従動カム本体51、従動カム筒部52、カム側スプライン溝部54、従動カム溝500等を有している。従動カム本体51は、略円環の板状に形成されている。従動カム筒部52は、従動カム本体51の外縁部から軸方向に延びるよう略円筒状に形成されている。ここで、従動カム本体51と従動カム筒部52とは、例えば金属により一体に形成されている。
カム側スプライン溝部54は、従動カム本体51の内周壁において軸方向に延びるよう形成されている。カム側スプライン溝部54は、従動カム本体51の周方向に複数形成されている。
従動カム50は、従動カム本体51が駆動カム本体41に対しハウジング段差面125とは反対側かつ駆動カム内筒部42および駆動カム板部43の径方向内側に位置し、カム側スプライン溝部54がハウジング側スプライン溝部127とスプライン結合するよう設けられている。これにより、従動カム50は、ハウジング12に対し、相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。
従動カム溝500は、従動カム本体51の駆動カム本体41側の面である一方の端面511から他方の端面512側へ凹むよう形成されている(図8参照)。従動カム溝500は、従動カム本体51の周方向において一方の端面511からの深さが変化するよう形成されている。従動カム溝500は、例えば従動カム本体51の周方向に等間隔で3つ形成されている。従動カム溝500のより詳細な構成については、後に説明する。
なお、駆動カム溝400と従動カム溝500とは、それぞれ、駆動カム本体41の従動カム本体51側の面側、または、従動カム本体51の駆動カム本体41側の面側から見たとき、同一の形状となるよう形成されている。
ボール3は、例えば金属により球状に形成されている。ボール3は、3つの駆動カム溝400と3つの従動カム溝500との間のそれぞれにおいて転動可能に設けられている。すなわち、ボール3は、合計3つ設けられている。
このように、駆動カム40と従動カム50とボール3とは、「転動体カム」としてのボールカム2を構成している。駆動カム40がハウジング12および従動カム50に対し相対回転すると、ボール3は、駆動カム溝400および従動カム溝500においてそれぞれの溝底に沿って転動する。
図1に示すように、ボール3は、第1リングギヤ34および第2リングギヤ35の径方向内側に設けられている。より詳細には、ボール3は、大部分が、第1リングギヤ34および第2リングギヤ35の軸方向の範囲内に設けられている。
上述のように、駆動カム溝400および従動カム溝500は、駆動カム40または従動カム50の周方向において深さが変化するよう形成されている。そのため、減速機30から出力されるトルクにより駆動カム40がハウジング12および従動カム50に対し相対回転すると、ボール3が駆動カム溝400および従動カム溝500において転動し、従動カム50は、駆動カム40およびハウジング12に対し軸方向に相対移動、すなわち、ストロークする。
このように、従動カム50は、駆動カム溝400との間にボール3を挟むようにして一方の端面511に形成された複数の従動カム溝500を有し、駆動カム40およびボール3とともにボールカム2を構成している。従動カム50は、駆動カム40がハウジング12に対し相対回転すると駆動カム40およびハウジング12に対し軸方向に相対移動する。ここで、従動カム50は、カム側スプライン溝部54がハウジング側スプライン溝部127とスプライン結合しているため、ハウジング12に対し相対回転しない。また、駆動カム40は、ハウジング12に対し相対回転するものの、軸方向には相対移動しない。
本実施形態では、クラッチ装置1は、「付勢部材」としてのリターンスプリング55、リターンスプリングリテーナ56、Cリング57を備えている。リターンスプリング55は、例えばコイルスプリングであり、従動カム本体51の駆動カム本体41とは反対側において、ハウジング内筒部121のハウジング小板部124とは反対側の端部の径方向外側に設けられている。リターンスプリング55は、一端が従動カム本体51の駆動カム本体41とは反対側の面に当接している。
リターンスプリングリテーナ56は、例えば金属により略円環状に形成され、ハウジング内筒部121の径方向外側においてリターンスプリング55の他端に当接している。Cリング57は、リターンスプリングリテーナ56の内縁部の従動カム本体51とは反対側の面を係止するようハウジング内筒部121の外周壁に固定されている。
<4>リターンスプリング55は、軸方向に伸びる力を有している。そのため、従動カム50は、駆動カム40との間にボール3を挟んだ状態で、リターンスプリング55により駆動カム本体41側へ付勢されている。
出力軸62は、軸部621、板部622、筒部623、摩擦板624を有している(図2参照)。軸部621は、略円筒状に形成されている。板部622は、軸部621の一端から径方向外側へ環状の板状に延びるよう軸部621と一体に形成されている。筒部623は、板部622の外縁部から軸部621とは反対側へ略円筒状に延びるよう板部622と一体に形成されている。摩擦板624は、略円環の板状に形成され、板部622の筒部623側の端面に設けられている。ここで、摩擦板624は、板部622に対し相対回転不能である。筒部623の内側には、クラッチ空間620が形成されている。
入力軸61の端部は、ハウジング内筒部121の内側を通り、従動カム50に対し駆動カム40とは反対側に位置している。出力軸62は、従動カム50に対し駆動カム40とは反対側において、入力軸61と同軸に設けられる。軸部621の内周壁と入力軸61の端部の外周壁との間には、ボールベアリング142が設けられる。これにより、出力軸62は、ボールベアリング142を介して入力軸61により軸受けされる。入力軸61および出力軸62は、ハウジング12に対し相対回転可能である。
クラッチ70は、クラッチ空間620において入力軸61と出力軸62との間に設けられている。クラッチ70は、内側摩擦板71、外側摩擦板72、係止部701を有している。内側摩擦板71は、略円環の板状に形成され、入力軸61と出力軸62の筒部623との間において、軸方向に並ぶよう複数設けられている。内側摩擦板71は、内縁部が入力軸61の外周壁とスプライン結合するよう設けられている。そのため、内側摩擦板71は、入力軸61に対し相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。
外側摩擦板72は、略円環の板状に形成され、入力軸61と出力軸62の筒部623との間において、軸方向に並ぶよう複数設けられている。ここで、内側摩擦板71と外側摩擦板72とは、入力軸61の軸方向において交互に配置されている。外側摩擦板72は、外縁部が出力軸62の筒部623の内周壁とスプライン結合するよう設けられている。そのため、外側摩擦板72は、出力軸62に対し相対回転不能、かつ、軸方向に相対移動可能である。複数の外側摩擦板72のうち最も摩擦板624側に位置する外側摩擦板72は、摩擦板624に接触可能である。
係止部701は、略円環状に形成され、外縁部が出力軸62の筒部623の内周壁に嵌合するよう設けられる。係止部701は、複数の外側摩擦板72のうち最も従動カム50側に位置する外側摩擦板72の外縁部を係止可能である。そのため、複数の外側摩擦板72、複数の内側摩擦板71は、筒部623の内側からの脱落が抑制される。なお、係止部701と摩擦板624との距離は、複数の外側摩擦板72および複数の内側摩擦板71の板厚の合計よりも大きい。
複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに接触、つまり係合した状態である係合状態では、内側摩擦板71と外側摩擦板72との間に摩擦力が生じ、当該摩擦力の大きさに応じて内側摩擦板71と外側摩擦板72との相対回転が規制される。一方、複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに離間、つまり係合していない状態である非係合状態では、内側摩擦板71と外側摩擦板72との間に摩擦力は生じず、内側摩擦板71と外側摩擦板72との相対回転は規制されない。
クラッチ70が係合状態のとき、入力軸61に入力されたトルクは、クラッチ70を経由して出力軸62に伝達される。一方、クラッチ70が非係合状態のとき、入力軸61に入力されたトルクは、出力軸62に伝達されない。
このように、クラッチ70は、入力軸61と出力軸62との間でトルクを伝達する。クラッチ70は、係合している係合状態のとき、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達を許容し、係合していない非係合状態のとき、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達を遮断する。
本実施形態では、クラッチ装置1は、通常、非係合状態となる、所謂常開式(ノーマリーオープンタイプ)のクラッチ装置である。
状態変更部80は、「弾性変形部」としての皿ばね81、皿ばねリテーナ82、スラストベアリング83を有している。皿ばねリテーナ82は、リテーナ筒部821、リテーナフランジ部822を有している。リテーナ筒部821は、略円筒状に形成されている。リテーナフランジ部822は、リテーナ筒部821の一端から径方向外側へ延びるよう環状の板状に形成されている。リテーナ筒部821とリテーナフランジ部822とは、例えば金属により一体に形成されている。皿ばねリテーナ82は、リテーナ筒部821の他端の外周壁が従動カム筒部52の内周壁に嵌合するよう従動カム50に固定されている。
皿ばね81は、内縁部がリテーナ筒部821の径方向外側において、従動カム筒部52とリテーナフランジ部822との間に位置するよう設けられている。スラストベアリング83は、従動カム筒部52と皿ばね81との間に設けられている。
皿ばねリテーナ82は、リテーナフランジ部822が皿ばね81の軸方向の一端すなわち内縁部を係止可能なよう従動カム50に固定されている。そのため、皿ばね81およびスラストベアリング83は、リテーナフランジ部822により、皿ばねリテーナ82からの脱落が抑制されている。皿ばね81は、軸方向に弾性変形可能である。
図1、2、7、8に示すように、ボール3が、駆動カム溝400の一方の端面411から駆動カム本体41の軸方向すなわち深さ方向に最も離れた部位である最深部に対応する位置(原点)、および、従動カム溝500の一方の端面511から従動カム本体51の軸方向すなわち深さ方向に最も離れた部位である最深部に対応する位置(原点)に位置するとき、駆動カム40と従動カム50との距離は、比較的小さく、皿ばね81の軸方向の他端すなわち外縁部とクラッチ70との間には、隙間Sp1が形成されている(図1参照)。そのため、クラッチ70は非係合状態であり、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達は遮断されている。
ここで、クラッチ70の状態を変更する通常作動時、ECU10の制御によりモータ20のコイル22に電力が供給されると、モータ20が回転し、減速機30からトルクが出力され、駆動カム40がハウジング12に対し相対回転する。これにより、ボール3が最深部に対応する位置から駆動カム溝400および従動カム溝500の周方向の一方側へ転動する。これにより、従動カム50は、リターンスプリング55を圧縮しながらハウジング12に対し軸方向に相対移動、すなわち、クラッチ70側へ移動する。これにより、皿ばね81は、クラッチ70側へ移動する。
従動カム50の軸方向の移動により皿ばね81がクラッチ70側へ移動すると、隙間Sp1が小さくなり、皿ばね81の軸方向の他端は、クラッチ70の外側摩擦板72に接触する。皿ばね81がクラッチ70に接触した後さらに従動カム50が軸方向に移動すると、皿ばね81は、軸方向に弾性変形しつつ、外側摩擦板72を摩擦板624側へ押す。これにより、複数の内側摩擦板71および複数の外側摩擦板72が互いに係合し、クラッチ70が係合状態となる。そのため、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達が許容される。
このとき、皿ばね81は、スラストベアリング83に軸受けされながら従動カム50および皿ばねリテーナ82に対し相対回転する。このように、スラストベアリング83は、皿ばね81からスラスト方向の荷重を受けつつ、皿ばね81を軸受けする。
ECU10は、クラッチ伝達トルクがクラッチ要求トルク容量に達すると、モータ20の回転を停止させる。これにより、クラッチ70は、クラッチ伝達トルクがクラッチ要求トルク容量に維持された係合保持状態となる。このように、状態変更部80の皿ばね81は、従動カム50から軸方向の力を受け、ハウジング12および駆動カム40に対する従動カム50の軸方向の相対位置に応じてクラッチ70の状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。
出力軸62は、軸部621の板部622とは反対側の端部が、図示しない変速機の入力軸に接続され、当該入力軸とともに回転可能である。つまり、変速機の入力軸には、出力軸62から出力されたトルクが入力される。変速機に入力されたトルクは、変速機で変速され、駆動トルクとして車両の駆動輪に出力される。これにより、車両が走行する。
次に、本実施形態の減速機30が採用する3k型の不思議遊星歯車減速機について説明する。
本実施形態のような電動のクラッチ装置では、クラッチとアクチュエータとの初期隙間(隙間Sp1に相当)を詰める初期応答に要する時間を短くすることが求められる。初期応答を速くするには、回転運動方程式から、入力軸周りの慣性モーメントを小さくすればよいことがわかる。入力軸が中実円筒部材の場合の慣性モーメントは、長さと密度一定で比較したとき、外径の4乗に比例して大きくなる。本実施形態のクラッチ装置1では、ここでいう「入力軸」に対応するサンギヤ31は中空円筒部材であるが、この傾向は変わらない。
図3の上段に、2kh型の不思議遊星歯車減速機の模式図を示す。また、図4の上段に、3k型の不思議遊星歯車減速機の模式図を示す。ここで、サンギヤをA、プラネタリギヤをB、第1リングギヤをC、第2リングギヤをD、キャリアをSとする。2kh型と3k型とを比較すると、3k型は、2kh型にサンギヤAを加えた構成である。
2kh型の場合、入力軸周りの慣性モーメントが最も小さくなるのは、構成要素の中で最も径方向内側に位置するキャリアSを入力要素とする場合である(図3の下段の表参照)。
一方、3k型の場合、入力軸周りの慣性モーメントが最も小さくなるのは、構成要素の中で最も径方向内側に位置するサンギヤAを入力要素とする場合である(図4の下段の表参照)。
慣性モーメントの大きさは、2kh型においてキャリアSを入力要素とした場合の方が、3k型においてサンギヤAを入力要素とした場合よりも大きい。したがって、初期応答の速さが要求される電動のクラッチ装置において、その減速機に不思議遊星歯車減速機を採用する場合、3k型で、かつ、サンギヤAを入力要素とすることが望ましい。
また、電動のクラッチ装置では必要荷重が数千~10数千Nと非常に大きく、高応答と高荷重を両立させるためには、減速機の減速比を大きくとる必要がある。2kh型と3k型において、同一歯車諸元でそれぞれの最大減速比を比較すると、3k型の最大減速比が2kh型の最大減速比に対し約2倍となり、大きい。また、3k型において大減速比が取り出せるのは、慣性モーメントが最も小さくなる、サンギヤAを入力要素としたときである(図4の下段の表参照)。したがって、高応答と高荷重を両立させる上で最適な構成は、3k型で、かつ、サンギヤAを入力要素とする構成であるといえる。
本実施形態では、減速機30は、サンギヤ31(A)を入力要素、第2リングギヤ35(D)を出力要素、第1リングギヤ34(C)を固定要素とする3k型の不思議遊星歯車減速機である。そのため、サンギヤ31周りの慣性モーメントを小さくできるとともに、減速機30の減速比を大きくすることができる。したがって、クラッチ装置1において高応答と高荷重を両立させることができる。
また、2kh型の場合、動力伝達にキャリアSが直接寄与するため、ピンによりプラネタリギヤBをキャリアSの本体に対して片持ち支持する構成では、プラネタリギヤBの回転支持軸(ピン)とキャリアSの本体との間に大きな曲げモーメントが働くおそれがある(図3の上段の模式図参照)。
一方、3k型の場合、キャリアSは、プラネタリギヤBを、サンギヤAと第1リングギヤCおよび第2リングギヤDとに対して適正な位置に保持する機能のみを有するため、プラネタリギヤBの回転支持軸(ピン)とキャリアSの本体との間に働く曲げモーメントは小さい(図4の上段の模式図参照)。
そのため、本実施形態では、減速機30を高応答、高荷重の3k型の不思議遊星歯車減速機とすることにより、クラッチ装置1の応答性および耐久性を損なうことなく、キャリア本体330およびピン331によって、プラネタリギヤ32を軸方向の一方側から支持する構成、すなわち片持ち支持とすることができる。
次に、状態変更部80が弾性変形部としての皿ばね81を有することによる効果について説明する。
図5に示すように、従動カム50の軸方向の移動、すなわち、ストロークとクラッチ70に作用する荷重との関係について、軸方向に弾性変形し難い剛体でクラッチ70を押す構成(図5の一点鎖線参照)と、本実施形態のように軸方向に弾性変形可能な皿ばね81でクラッチ70を押す構成(図5の実線参照)とを比較すると、ストロークのばらつきが同じとき、皿ばね81でクラッチ70を押す構成の方が、剛体でクラッチ70を押す構成よりも、クラッチ70に作用する荷重のばらつきが小さいことがわかる。これは、剛体でクラッチ70を押す構成と比較し、皿ばね81を介することにより、合成ばね定数を低減できるため、アクチュエータ起因の従動カム50のストロークのばらつきに対する荷重のばらつきを低減することができるからである。本実施形態では、状態変更部80が弾性変形部としての皿ばね81を有するため、従動カム50のストロークのばらつきに対する荷重のばらつきを低減でき、クラッチ70に狙い荷重を容易に作用させることができる。
以下、本実施形態の各部の構成について、より詳細に説明する。
本実施形態では、クラッチ装置1は、オイル供給部5を備えている(図1、2参照)。オイル供給部5は、一端がクラッチ空間620に露出するよう、出力軸62において通路状に形成されている。オイル供給部5の他端は、図示しないオイル供給源に接続される。これにより、オイル供給部5の一端からクラッチ空間620のクラッチ70にオイルが供給される。
ECU10は、オイル供給部5からクラッチ70に供給するオイルの量を制御する。クラッチ70に供給されたオイルは、クラッチ70を潤滑および冷却可能である。このように、本実施形態では、クラッチ70は、湿式クラッチであり、オイルにより冷却され得る。
本実施形態では、「回転並進部」としてのボールカム2は、「回転部」としての駆動カム40および第2リングギヤ35とハウジング12との間に収容空間120を形成している。ここで、収容空間120は、駆動カム40および第2リングギヤ35に対しクラッチ70とは反対側においてハウジング12の内側に形成されている。モータ20および減速機30は、収容空間120に設けられている。クラッチ70は、駆動カム40に対し収容空間120とは反対側の空間であるクラッチ空間620に設けられている。
本実施形態では、クラッチ装置1は、スラストベアリング161、スラストベアリングワッシャ162を備えている。スラストベアリングワッシャ162は、例えば金属により略円環の板状に形成され、一方の面がハウジング段差面125に当接するよう設けられている。スラストベアリング161は、スラストベアリングワッシャ162の他方の面と駆動カム本体41の従動カム50とは反対側の面との間に設けられている。スラストベアリング161は、駆動カム40からスラスト方向の荷重を受けつつ駆動カム40を軸受けする。本実施形態では、クラッチ70側から従動カム50を経由して駆動カム40に作用するスラスト方向の荷重は、スラストベアリング161およびスラストベアリングワッシャ162を経由してハウジング段差面125に作用する。そのため、ハウジング段差面125により駆動カム40を安定して軸受けできる。
本実施形態では、クラッチ装置1は、「シール部材」としての内側シール部材191、外側シール部材192を備えている。内側シール部材191、外側シール部材192は、例えばゴム等の弾性材料および金属環により環状に形成されたオイルシールである。
内側シール部材191の内径および外径は、外側シール部材192の内径および外径より小さい。
内側シール部材191は、径方向においてはハウジング内筒部121とスラストベアリング161との間に位置し、軸方向においてはスラストベアリングワッシャ162と駆動カム本体41との間に位置するよう設けられている。内側シール部材191は、ハウジング内筒部121に固定され、駆動カム40に対し相対回転可能である。
外側シール部材192は、第2リングギヤ35のギヤ内筒部355とハウジング外筒部123のクラッチ70側の端部との間に設けられている。外側シール部材192は、ハウジング外筒部123に固定され、第2リングギヤ35に対し相対回転可能である。
ここで、外側シール部材192は、内側シール部材191の軸方向から見たとき、内側シール部材191の径方向外側に位置するよう設けられている(図1、2参照)。
駆動カム本体41のスラストベアリングワッシャ162側の面は、内側シール部材191のシールリップ部と摺動可能である。すなわち、内側シール部材191は、「回転部」としての駆動カム40に接触するよう設けられている。内側シール部材191は、駆動カム本体41とスラストベアリングワッシャ162との間を気密または液密にシールしている。
第2リングギヤ35のギヤ内筒部355の外周壁は、外側シール部材192の内縁部であるシールリップ部と摺動可能である。すなわち、外側シール部材192は、「回転部」としての駆動カム40の径方向外側において、駆動カム40と一体回転する第2リングギヤ35に接触するよう設けられている。外側シール部材192は、ギヤ内筒部355の外周壁とハウジング外筒部123の内周壁との間を気密または液密にシールしている。
上述のように設けられた内側シール部材191、および、外側シール部材192により、モータ20および減速機30を収容する収容空間120と、クラッチ70が設けられたクラッチ空間620との間を気密または液密に保持可能である。これにより、例えばクラッチ70において摩耗粉等の異物が発生したとしても、当該異物がクラッチ空間620から収容空間120へ侵入するのを抑制できる。そのため、異物によるモータ20または減速機30の作動不良を抑制できる。
本実施形態では、内側シール部材191、外側シール部材192により、収容空間120とクラッチ空間620との間が気密または液密に保持されているため、クラッチ70に供給されたオイル中に摩耗粉等の異物が含まれていても、当該異物を含むオイルがクラッチ空間620から収容空間120へ流れ込むのを抑制できる。
本実施形態では、ハウジング12は、外側シール部材192の径方向外側に対応する部位から内側シール部材191の径方向内側に対応する部位まで閉じた形状となるよう形成されている(図1、2参照)。
本実施形態では、ハウジング12との間で収容空間120を形成する駆動カム40および第2リングギヤ35は、ハウジング12に対し相対回転するものの、ハウジング12に対し軸方向には相対移動しない。そのため、クラッチ装置1の作動時、収容空間120の容積の変化を抑制でき、収容空間120に負圧が発生するのを抑制できる。これにより、異物を含むオイル等がクラッチ空間620側から収容空間120へ吸い込まれるのを抑制できる。
また、駆動カム40の内縁部に接触する内側シール部材191は、駆動カム40と周方向において摺動するものの、軸方向においては摺動しない。また、第2リングギヤ35のギヤ内筒部355の外周壁に接触する外側シール部材192は、第2リングギヤ35と周方向において摺動するものの、軸方向においては摺動しない。
図1に示すように、駆動カム本体41は、駆動カム外筒部44よりもクラッチ70とは反対側に位置している。すなわち、「回転部」としての駆動カム40は、軸方向に屈曲することで、駆動カム40の内縁部である駆動カム本体41と、駆動カム40の外縁部である駆動カム外筒部44とが軸方向において異なる位置となるよう形成されている。
従動カム本体51は、駆動カム本体41のクラッチ70側において駆動カム内筒部42の径方向内側に位置するよう設けられている。すなわち、駆動カム40と従動カム50とは、軸方向において、入れ子状に設けられている。
より詳細には、従動カム本体51は、第2リングギヤ35のギヤ板部356、ギヤ外筒部357、駆動カム板部43および駆動カム内筒部42の径方向内側に位置している。さらに、サンギヤ31のサンギヤ歯部311、キャリア33およびプラネタリギヤ32は、駆動カム本体41および従動カム本体51の径方向外側に位置している。これにより、減速機30およびボールカム2を含むクラッチ装置1の軸方向の体格を大幅に小さくできる。
また、本実施形態では、図1に示すように、駆動カム本体41の軸方向において、駆動カム本体41とサンギヤ31とキャリア33とコイル22とは、一部が重複するよう配置されている。言い換えると、コイル22は、一部が、駆動カム本体41、サンギヤ31およびキャリア33の軸方向の一部の径方向外側に位置するよう設けられている。これにより、クラッチ装置1の軸方向の体格をさらに小さくできる。
次に、駆動カム溝400、従動カム溝500のより詳細な構成について説明する。
<1>図7に示すように、駆動カム溝400は、第1駆動カム溝401、第2駆動カム溝402を有している。第1駆動カム溝401は、駆動カム40の駆動カム本体41の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の一方側へ延び、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう駆動カム本体41の一方の端面411に対し溝底403が傾斜して形成されている。
第2駆動カム溝402は、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の他方側へ延び、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の他方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう駆動カム本体41の一方の端面411に対し溝底403が傾斜して形成され、駆動カム本体41の一方の端面411に対する溝底403の傾斜角が第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角より大きい。なお、駆動カム本体41の周方向において、駆動カム特定位置PSd1と駆動カム溝400の最深部とは一致している。
図8に示すように、従動カム溝500は、第1従動カム溝501、第2従動カム溝502を有している。第1従動カム溝501は、従動カム50の従動カム本体51の周方向の特定の位置である従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の一方側へ延び、従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう従動カム本体51の一方の端面511に対し溝底503が傾斜して形成されている。
第2従動カム溝502は、従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の他方側へ延び、従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の他方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう従動カム本体51の一方の端面511に対し溝底503が傾斜して形成され、従動カム本体51の一方の端面511に対する溝底503の傾斜角が第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角より大きい。なお、従動カム本体51の周方向において、従動カム特定位置PSv1と従動カム溝500の最深部とは一致している。また、第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角と第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角とは同じである。さらに、第2駆動カム溝402の溝底403の傾斜角と第2従動カム溝502の溝底503の傾斜角とは同じである。
図7に示すように、駆動カム本体41の一方の端面411において、第2駆動カム溝402の溝底403に沿う軌跡LLd2全体の円周角θd2は、第1駆動カム溝401の溝底403に沿う軌跡LLd1全体の円周角θd1より小さい。ここで、円周角θd2は、駆動カム本体41の中心Od1と駆動カム特定位置PSd1とを結ぶ直線と、中心Od1と第2駆動カム溝402の溝底403および軌跡LLd2の端部とを結ぶ直線との成す角に対応している。また、円周角θd1は、駆動カム40の中心Od1と駆動カム特定位置PSd1とを結ぶ直線と、中心Od1と第1駆動カム溝401の溝底403および軌跡LLd1の端部とを結ぶ直線との成す角に対応している。
図8に示すように、従動カム本体51の一方の端面511において、第2従動カム溝502の溝底503に沿う軌跡LLv2全体の円周角θv2は、第1従動カム溝501の溝底503に沿う軌跡LLv1全体の円周角θv1より小さい。ここで、円周角θv2は、従動カム本体51の中心Ov1と従動カム特定位置PSv1とを結ぶ直線と、中心Ov1と第2従動カム溝502の溝底503および軌跡LLv2の端部とを結ぶ直線との成す角に対応している。また、円周角θv1は、従動カム50の中心Ov1と従動カム特定位置PSv1とを結ぶ直線と、中心Ov1と第1従動カム溝501の溝底503および軌跡LLv1の端部とを結ぶ直線との成す角に対応している。
図7に示すように、駆動カム本体41には、同様の構成の駆動カム溝400が、駆動カム本体41の周方向に等間隔で3つ形成されている。駆動カム溝400の第1駆動カム溝401および第2駆動カム溝402は、駆動カム本体41の一方の端面411において、駆動カム本体41の中心Od1と溝底403との距離Rd1が一定になるよう形成されている。
図8に示すように、従動カム本体51には、同様の構成の従動カム溝500が、従動カム本体51の周方向に等間隔で3つ形成されている。従動カム溝500の第1従動カム溝501および第2従動カム溝502は、従動カム本体51の一方の端面511において、従動カム本体51の中心Ov1と溝底503との距離Rv1が一定になるよう形成されている。
ECU10は、スイッチング素子271~276の作動を制御することで、巻線組25への通電を制御し、モータ20の作動を制御可能である。また、ECU10は、電圧検出部250で検出した電圧により、「巻線組25が断線していない通常時」か「巻線組25が断線している非常時」を判別可能である。
ECU10は、巻線組25が断線していない通常時、ボール3が第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を転動するようモータ20の作動を制御する。このとき、ECU10は、巻線組25に通電することにより、モータ20からトルクを出力し、ボール3が第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を転動するよう駆動カム40を従動カム50に対し相対回転させる。これにより、従動カム50が駆動カム40およびハウジング12に対し軸方向に相対移動し、クラッチ70の係合状態が非係合状態または係合状態に変化する。ここで、モータ20のコイル22の巻線組25に通電しボールカム2を作動させクラッチ70の状態を係合状態または非係合状態に変更するよう作動する時間を「通常作動時」という。
次に、クラッチ装置1の作動等について、より詳細に説明する。なお、図9~11、13、14では、駆動カム溝400の溝底403および従動カム溝500の溝底503を通り駆動カム本体41の一方の端面411および従動カム本体51の一方の端面511に対し垂直な曲面による断面を示している。
図9に示すように、モータ20への通電が停止されているとき、ボール3は、駆動カム特定位置PSd1および従動カム特定位置PSv1、すなわち、初期位置である原点に位置する。このとき、ボール3は、第1駆動カム溝401および第2駆動カム溝402の溝底403に接触するとともに、第1従動カム溝501および第2従動カム溝502の溝底503に接触している。また、駆動カム本体41の一方の端面411と従動カム本体51の一方の端面511とは、距離L1離れている。なお、ボール3が原点に位置する「原点状態」のとき、従動カム50は、クラッチ70側への軸方向の移動量がゼロである。そのため、このときの状態を「ストロークゼロ状態」ともいう。
ここで、一方の端面411に対する第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角をα、一方の端面411に対する第2駆動カム溝402の溝底403の傾斜角をβとすると、α<βである。また、一方の端面511に対する第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角は、一方の端面511に対する第2従動カム溝502の溝底503の傾斜角より小さい。
巻線組25が断線していない通常時における通常作動時、通電によりモータ20が回転すると、ボール3は、第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を転動し、第1駆動カム溝401の駆動カム特定位置PSd1とは反対側の端部、および、第1従動カム溝501の従動カム特定位置PSv1とは反対側の端部に到達する(図10参照)。このとき、駆動カム本体41の一方の端面411と従動カム本体51の一方の端面511とは、距離L2離れた状態となる。また、このとき、従動カム50は、クラッチ70側への軸方向の移動量が最大となる。そのため、このときの状態を「ストローク最大状態」ともいう。
ストローク最大状態のとき(図10参照)、例えば巻線組25の断線等による電源失陥によりモータ20への通電が遮断されると、クラッチ70側からのリターンスプリング55の付勢力等により、従動カム50が初期位置側へ戻る。このとき、ボール3は、第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を転動し、第1駆動カム溝401と第2駆動カム溝402との間、および、第1従動カム溝501と第2従動カム溝502との間の原点を越え、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502に乗り上げる(図11参照)。このとき、ボール3は、第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501には接触しておらず、第2駆動カム溝402の溝底403および第2従動カム溝502の溝底503のみに接触している。
上述のように、ストローク最大状態から電源失陥して、駆動カム40、および、減速機30を介して駆動カム40に連結されたモータ20が逆駆動され、ボール3および従動カム50が原点位置まで復帰するとき、クラッチ70およびリターンスプリング55の弾性エネルギが、全て回転部材の回転エネルギに変換される。
さらに、ボール3が第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502に乗り上げ転動する過程で(図11参照)、その回転エネルギが弾性エネルギに再び変換されていく。その過程で、摩擦によるロスを考慮すると、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の最大ストローク位置までボール3が乗り上げることは決してない。そのため、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の初期位置(原点)とは反対側の端部の最深部からの高さは、最大でも、第1駆動カム溝401および第2駆動カム溝402の初期位置(原点)とは反対側の端部の最深部からの高さと同一であれば、原点復帰時の衝撃エネルギを余裕をもって吸収できる。
<2>本実施形態では、駆動カム特定位置PSd1における駆動カム溝400の溝底403上の点である駆動カム特定点PDd1を通り駆動カム本体41の一方の端面411に対し平行な面を駆動カム特定仮想面PPd1とすると、駆動カム特定仮想面PPd1と、第2駆動カム溝402の溝底403の駆動カム特定点PDd1とは反対側の端部との距離Dd2は、駆動カム特定仮想面PPd1と、第1駆動カム溝401の溝底403の駆動カム特定点PDd1とは反対側の端部との距離Dd1以下に設定されている(図9参照)。ここで、駆動カム特定点PDd1は、駆動カム溝400の最深部に対応する。また、本実施形態では、第1駆動カム溝401の溝底403および第2駆動カム溝402の溝底403は、それぞれ、駆動カム溝400を形成する壁面のうち一方の端面411および駆動カム特定仮想面PPd1に対する傾斜角が一定の部分に対応している。
上記構成について、別の表現をすると、第2駆動カム溝402の溝底403の駆動カム特定点PDd1(最深部)とは反対側の端部と最深部との深さ方向の距離(Dd2)は、第1駆動カム溝401の溝底403の駆動カム特定点PDd1(最深部)とは反対側の端部と最深部との深さ方向の距離(Dd1)以下に設定されている。
なお、本実施形態では、駆動カム特定仮想面PPd1と、第2駆動カム溝402の駆動カム特定点PDd1とは反対側の端部(一方の端面411上の部位)との距離Dd21は、駆動カム特定仮想面PPd1と、第1駆動カム溝401の駆動カム特定点PDd1とは反対側の端部(一方の端面411上の部位)との距離Dd11以下に設定されている(図9参照)。
従動カム特定位置PSv1における従動カム溝500の溝底503上の点である従動カム特定点PDv1を通り従動カム本体51の一方の端面511に対し平行な面を従動カム特定仮想面PPv1とすると、従動カム特定仮想面PPv1と、第2従動カム溝502の溝底503の従動カム特定点PDv1とは反対側の端部との距離は、従動カム特定仮想面PPv1と、第1従動カム溝501の溝底503の従動カム特定点PDv1とは反対側の端部との距離以下に設定されている(図9参照)。ここで、従動カム特定点PDv1は、従動カム溝500の最深部に対応する。また、本実施形態では、第1従動カム溝501の溝底503および第2従動カム溝502の溝底503は、それぞれ、従動カム溝500を形成する壁面のうち一方の端面511および従動カム特定仮想面PPv1に対する傾斜角が一定の部分に対応している。
上記構成について、別の表現をすると、第2従動カム溝502の溝底503の従動カム特定点PDv1(最深部)とは反対側の端部と最深部との深さ方向の距離は、第1従動カム溝501の溝底503の従動カム特定点PDv1(最深部)とは反対側の端部と最深部との深さ方向の距離以下に設定されている。
なお、本実施形態では、従動カム特定仮想面PPv1と、第2従動カム溝502の従動カム特定点PDv1とは反対側の端部(一方の端面511上の部位)との距離は、従動カム特定仮想面PPv1と、第1従動カム溝501の従動カム特定点PDv1とは反対側の端部(一方の端面511上の部位)との距離以下に設定されている(図9参照)。
通常作動時における駆動カム40に対する従動カム50の軸方向の最大の変位は、L2-L1であり、駆動カム溝400の最深部と最浅部との溝深さの差と、従動カム溝500の最深部と最浅部との溝深さの差との合計に対応する。駆動カム40と従動カム50との相対回転角と、駆動カム40に対する従動カム50の変位との関係は、図12に示す通りである。
図9、10に示すように、駆動カム本体41の一方の端面411に対する第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角αは、駆動カム特定仮想面PPd1に対する第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角(α)と同じである。また、駆動カム本体41の一方の端面411に対する第2駆動カム溝402の溝底403の傾斜角βは、駆動カム特定仮想面PPd1に対する第2駆動カム溝402の溝底403の傾斜角(β)と同じである。
さらに、従動カム本体51の一方の端面511に対する第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角は、従動カム特定仮想面PPv1に対する第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角と同じである。また、従動カム本体51の一方の端面511に対する第2従動カム溝502の溝底503の傾斜角は、従動カム特定仮想面PPv1に対する第2従動カム溝502の溝底503の傾斜角と同じである。
次に、ECU10による原点学習制御について説明する。
ECU10は、起動時等に、ボールカム2の原点を記憶すなわち学習する原点学習制御を行う。原点学習制御を行うことにより、ボールカム2およびクラッチ装置1を精度よく作動させることができる。
原点学習制御時、例えば、いずれかのボール3と駆動カム溝400または従動カム溝500の位相とのずれが発生した状態(図13参照)で、原点を記憶すると、誤った原点を学習することになる。なお、この状態では、ボール3は、駆動カム溝400とは1点(第1駆動カム溝401)でのみ接触し、従動カム溝500とは2点(第1従動カム溝501、第2従動カム溝502)で接触している(図13参照)。
そこで、本実施形態では、ECU10は、ボール3と駆動カム溝400とが1点で接触し、かつ、ボール3と従動カム溝500とが2点で接触した状態のまま、ボール3が第1駆動カム溝401を滑るようにして、駆動カム40を駆動カム本体41の周方向の一方側に回転させ、強制的に原点位置状態にする(図14参照)。なお、この状態、すなわち、原点位置状態では、ボール3は、駆動カム溝400とは2点(第1駆動カム溝401、第2駆動カム溝402)で接触し、従動カム溝500とは2点(第1従動カム溝501、第2従動カム溝502)で接触している(図14参照)。
図14に示すように強制的に原点位置状態にした状態で原点を記憶することにより、正確に原点を学習することができる。
次に、原点学習時の駆動カム40に与える駆動トルク、および、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角の設定について説明する。
原点学習時、ボール3と駆動カム溝400または従動カム溝500の位相とのずれが発生した状態(図13参照)から、強制的に原点位置状態にするとき、駆動カム40のトルクであるトルクが過剰に大きいと、ボール3が原点を越えて第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502を登るおそれがある。この現象が発生すると、正確な原点学習ができない。そのため、原点学習を正確に行うためには、ボール3が第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502を登らないような値未満にトルクを制限する必要がある。
したがって、原点学習時、ボール3が第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502を登るよう転動するために必要な駆動カム40のトルクをT2とし、ボール3と駆動カム溝400とが1点で接触し、かつ、ボール3と従動カム溝500とが2点で接触した状態(図13参照)のまま、ボール3が第1駆動カム溝401を滑るようにして、駆動カム40を駆動カム本体41の周方向の一方側に回転させるときに必要な駆動カム40のトルクをT3とすると、正確な原点学習を実現するためには、T3<T2となるように第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角βを設定する必要がある。
ここで、T2は、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角βが大きくなるほど、大きくなる(図15参照)。また、T3は、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角βの大きさに関わらず、一定である(図16参照)。
具体的には、図15、16に示すように、傾斜角βがβ1のときのT2であるT2(β1)が、傾斜角βがβ1のときのT3であるT3(β1)よりも大きくなるように、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角βを設定する必要がある。
また、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角βが比較的小さい場合、図13に示す状態から、駆動カム40を駆動カム本体41の周方向の一方側に回転させたときに、駆動カム40の第1駆動カム溝401とボール3との接触点でボール3が滑らずに、従動カム50の第2従動カム溝502を登ってしまう現象が生じるおそれがある。この現象が生じると、正確な原点学習を行うことができない。
よって、この現象を回避するため、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角βの最小値には制限(βmin)を設ける必要がある。そのため、β1の選定において、β1は、βmin以上に設定する必要がある。
以上より、本実施形態では、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角βは、T3<T2、βmin≦βの関係を満たすように設定されている。
以上説明したように、<1>本実施形態では、第1駆動カム溝401は、駆動カム本体41の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の一方側へ延び、駆動カム本体41の一方の端面411に対し溝底403が傾斜して形成されている。第2駆動カム溝402は、駆動カム特定位置PSd1から駆動カム本体41の周方向の他方側へ延び、駆動カム本体41の一方の端面411に対する溝底403の傾斜角が第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角より大きい。
第1従動カム溝501は、従動カム本体51の周方向の特定の位置である従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の一方側へ延び、従動カム本体51の一方の端面511に対し溝底503が傾斜して形成されている。第2従動カム溝502は、従動カム特定位置PSv1から従動カム本体51の周方向の他方側へ延び、従動カム本体51の一方の端面511に対する溝底503の傾斜角が第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角より大きい。
ECU10は、通常作動時、ボール3が第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を転動するようモータ20の作動を制御する。
本実施形態では、例えば通常作動時、ボール3が第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501にあり、従動カム50が初期位置(原点)からクラッチ70側へ所定距離離れた位置にあるとき、電源失陥によりモータ20への通電が遮断されると、クラッチ70側からの付勢力により、従動カム50が初期位置側へ戻る。このとき、ボール3は、第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501を転動し、原点を越え、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502に乗り上げる。
ここで、第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502の傾斜角は、第1駆動カム溝401および第1従動カム溝501の傾斜角より大きく設定されている。そのため、原点を越えて第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502に乗り上げたボール3は、転動の速度が小さくなり、停止し、原点側に転動し、原点への復帰が完了する。このように、本実施形態では、ボールカム2の原点復帰時の衝撃を効果的に抑制しつつ、速やかに原点復帰させることができる。したがって、ボールカム2の原点復帰時の破損を抑制可能である。
また、<2>本実施形態では、駆動カム特定位置PSd1における駆動カム溝400の溝底403上の点である駆動カム特定点PDd1を通り駆動カム本体41の一方の端面411に対し平行な面を駆動カム特定仮想面PPd1とすると、駆動カム特定仮想面PPd1と、第2駆動カム溝402の溝底403の駆動カム特定点PDd1とは反対側の端部との距離Dd2は、駆動カム特定仮想面PPd1と、第1駆動カム溝401の溝底403の駆動カム特定点PDd1とは反対側の端部との距離Dd1以下に設定されている(図9参照)。
従動カム特定位置PSv1における従動カム溝500の溝底503上の点である従動カム特定点PDv1を通り従動カム本体51の一方の端面511に対し平行な面を従動カム特定仮想面PPv1とすると、従動カム特定仮想面PPv1と、第2従動カム溝502の溝底503の従動カム特定点PDv1とは反対側の端部との距離は、従動カム特定仮想面PPv1と、第1従動カム溝501の溝底503の従動カム特定点PDv1とは反対側の端部との距離以下に設定されている(図9参照)。
そのため、ボールカム2の原点復帰時、クラッチ70およびリターンスプリング55に蓄積された弾性エネルギを十分に吸収できる容量を第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502に設定できる。
また、<3>本実施形態では、ボール3が第1駆動カム溝401と第2駆動カム溝402とに同時に接触するとき、ボール3と第1駆動カム溝401との接触点である第1駆動カム接触点PTd1、および、ボール3と第2駆動カム溝402との接触点である第2駆動カム接触点PTd2の2点のみで接触する(図14参照)。なお、このとき、第1駆動カム接触点PTd1と第2駆動カム接触点PTd2との間において、ボール3と溝底403とは接触しておらず、ボール3と溝底403との間には隙間S1が形成されている。
上記構成について、別の表現をすると、第1駆動カム溝401の第2駆動カム溝402側の端部と第2駆動カム溝402の第1駆動カム溝401側の端部とは、間に駆動カム本体41の一方の端面411に対し平行な部分を溝底403に有することなく、連続して形成されている。
ボール3が第1従動カム溝501と第2従動カム溝502とに同時に接触するとき、ボール3と第1従動カム溝501との接触点である第1従動カム接触点PTv1、および、ボール3と第2従動カム溝502との接触点である第2従動カム接触点PTv2の2点のみで接触する(図13、14参照)。なお、このとき、第1従動カム接触点PTv1と第2従動カム接触点PTv2との間において、ボール3と溝底503とは接触しておらず、ボール3と溝底503との間には隙間S2が形成されている。
上記構成について、別の表現をすると、第1従動カム溝501の第2従動カム溝502側の端部と第2従動カム溝502の第1従動カム溝501側の端部とは、間に従動カム本体51の一方の端面511に対し平行な部分を溝底503に有することなく、連続して形成されている。
ところで、特許文献1(特開2015-17635号公報)のクラッチ装置では、転動体カムの原点に対応する溝部分が、転動体カムの軸に対し垂直となる平面状に形成されている。そのため、原点学習時、転動体の位置が不安定になり易く、原点学習を正確に行えないおそれがある。
一方、本実施形態では、駆動カム溝400は、ボール3が第1駆動カム溝401と第2駆動カム溝402とに同時に接触するとき、ボール3と駆動カム溝400とは2点のみで接触するよう形成されている。また、従動カム溝500は、ボール3が第1従動カム溝501と第2従動カム溝502とに同時に接触するとき、ボール3と従動カム溝500とは2点のみで接触するよう形成されている。
そのため、原点学習時のボール3の位置が安定し、原点学習精度を向上できる。
また、<4>本実施形態は、従動カム50をハウジング12に対しクラッチ70とは反対側へ付勢可能なリターンスプリング55をさらに備える。
クラッチ70の弾性力による従動カム50の戻りだけでは、電源失陥に伴うクラッチ隙間(Sp1)を十分に確保できないおそれがある。本実施形態では、リターンスプリング55により、クラッチ隙間を十分に確保し、電源失陥時のクラッチ70の引き摺りトルクを効果的に低減できる。
また、<5>本実施形態では、ボール3が第2駆動カム溝402を登るよう転動するために必要な駆動カム40のトルクをT2とし、ボール3が第1従動カム溝501と第2従動カム溝502とに同時に接触し、かつ、ボール3が第1駆動カム溝401および第2駆動カム溝402のうち第1駆動カム溝401のみに接触した状態で、ボール3が第1駆動カム溝401を転動することなく滑るために必要な駆動カム40のトルクをT3とすると、第2駆動カム溝402は、駆動カム本体41の一方の端面411に対する溝底403の傾斜角が、T3<T2の関係を満たすよう設定されている。
また、<6>本実施形態では、ボール3が第2従動カム溝502を登るよう転動するために必要な駆動カム40のトルクをT2とし、ボール3が第1駆動カム溝401と第2駆動カム溝402とに同時に接触し、かつ、ボール3が第1従動カム溝501および第2従動カム溝502のうち第1従動カム溝501のみに接触した状態で、ボール3が第1従動カム溝501を転動することなく滑るために必要な駆動カム40のトルクをT3とすると、第2従動カム溝502は、従動カム本体51の一方の端面511に対する溝底503の傾斜角が、T3<T2の関係を満たすよう設定されている。
そのため、原点学習を適正に行うことができる。具体的には、モータ20のトルクを上記のように設定し、T2とT3との間に余裕を設定することで、ボール3が第2駆動カム溝402および第2従動カム溝502に乗り上げることなく、かつ、ボール3が第1駆動カム溝401と第2駆動カム溝402と第1従動カム溝501と第2従動カム溝502とで4点接触した原点位置状態を正確に作り出すことができる。そのため、精度よく原点学習を行うことができる。
(第2実施形態)
第2実施形態によるクラッチ装置を図17に示す。第2実施形態は、クラッチや状態変更部の構成等が第1実施形態と異なる。
本実施形態では、固定体11の内周壁と入力軸61の外周壁との間には、ボールベアリング141、143が設けられる。これにより、入力軸61は、ボールベアリング141、143を介して固定体11により軸受けされる。
ハウジング12は、外壁の一部が固定体11の壁面に当接するよう固定体11に固定される。例えば、ハウジング12は、ハウジング小板部124のボール3とは反対側の面、ハウジング内筒部121の内周壁およびハウジング小内筒部126の内周壁が固定体11の外壁に当接するよう固定体11に固定される。ハウジング12は、図示しないボルト等により固定体11に固定される。ここで、ハウジング12は、固定体11および入力軸61に対し同軸に設けられる。
ハウジング12に対するモータ20、減速機30、ボールカム2等の配置は、第1実施形態と同様である。
本実施形態では、出力軸62は、軸部621、板部622、筒部623、カバー625を有している。軸部621は、略円筒状に形成されている。板部622は、軸部621の一端から径方向外側へ環状の板状に延びるよう軸部621と一体に形成されている。筒部623は、板部622の外縁部から軸部621とは反対側へ略円筒状に延びるよう板部622と一体に形成されている。出力軸62は、ボールベアリング142を介して入力軸61により軸受けされる。筒部623の内側には、クラッチ空間620が形成されている。
クラッチ70は、クラッチ空間620において入力軸61と出力軸62との間に設けられている。クラッチ70は、支持部73、摩擦板74、摩擦板75、プレッシャプレート76を有している。支持部73は、出力軸62の板部622に対し従動カム50側において、入力軸61の端部の外周壁から径方向外側へ延びるよう略円環の板状に形成されている。
摩擦板74は、略円環の板状に形成され、支持部73の外縁部において出力軸62の板部622側に設けられている。摩擦板74は、支持部73に固定されている。摩擦板74は、支持部73の外縁部が板部622側に変形することにより、板部622に接触可能である。
摩擦板75は、略円環の板状に形成され、支持部73の外縁部において出力軸62の板部622とは反対側に設けられている。摩擦板75は、支持部73に固定されている。
プレッシャプレート76は、略円環の板状に形成され、摩擦板75に対し従動カム50側に設けられている。
摩擦板74と板部622とが互いに接触、つまり係合した状態である係合状態では、摩擦板74と板部622との間に摩擦力が生じ、当該摩擦力の大きさに応じて摩擦板74と板部622との相対回転が規制される。一方、摩擦板74と板部622とが互いに離間、つまり係合していない状態である非係合状態では、摩擦板74と板部622との間に摩擦力は生じず、摩擦板74と板部622との相対回転は規制されない。
クラッチ70が係合状態のとき、入力軸61に入力されたトルクは、クラッチ70を経由して出力軸62に伝達される。一方、クラッチ70が非係合状態のとき、入力軸61に入力されたトルクは、出力軸62に伝達されない。
カバー625は、略円環状に形成され、プレッシャプレート76の摩擦板75とは反対側を覆うよう出力軸62の筒部623に設けられている。
本実施形態では、クラッチ装置1は、第1実施形態で示した状態変更部80に代えて状態変更部90を備えている。状態変更部90は、「弾性変形部」としてのダイアフラムスプリング91、リターンスプリング92、レリーズベアリング93等を有している。
ダイアフラムスプリング91は、略円環の皿ばね状に形成され、軸方向の一端すなわち外縁部がプレッシャプレート76に当接するようカバー625に設けられている。ここで、ダイアフラムスプリング91は、外縁部が内縁部に対しクラッチ70側に位置するよう形成され、内縁部と外縁部との間の部位がカバー625により支持されている。また、ダイアフラムスプリング91は、軸方向に弾性変形可能である。これにより、ダイアフラムスプリング91は、軸方向の一端すなわち外縁部によりプレッシャプレート76を摩擦板75側へ付勢している。これにより、プレッシャプレート76は、摩擦板75に押し付けられ、摩擦板74は、板部622に押し付けられている。すなわち、クラッチ70は、通常、係合状態となっている。
本実施形態では、クラッチ装置1は、通常、係合状態となる、所謂常閉式(ノーマリークローズタイプ)のクラッチ装置である。
リターンスプリング92は、例えばコイルスプリングであり、一端が従動カム筒部52のクラッチ70側の端面に当接するよう設けられている。
レリーズベアリング93は、リターンスプリング92の他端とダイアフラムスプリング91の内縁部との間に設けられている。リターンスプリング92は、レリーズベアリング93をダイアフラムスプリング91側へ付勢している。レリーズベアリング93は、ダイアフラムスプリング91からスラスト方向の荷重を受けつつダイアフラムスプリング91を軸受けする。なお、リターンスプリング92の付勢力は、ダイアフラムスプリング91の付勢力より小さい。
図17に示すように、ボール3が駆動カム溝400および従動カム溝500の最深部に対応する位置(原点)に位置するとき、駆動カム40と従動カム50との距離は、比較的小さく、レリーズベアリング93と従動カム50の従動カム筒部52の端面との間には、隙間Sp2が形成されている。そのため、ダイアフラムスプリング91の付勢力により摩擦板74が板部622に押し付けられ、クラッチ70は係合状態であり、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達は許容されている。
ここで、ECU10の制御によりモータ20のコイル22に電力が供給されると、モータ20が回転し、減速機30からトルクが出力され、駆動カム40がハウジング12に対し相対回転する。これにより、ボール3が最深部に対応する位置から駆動カム溝400および従動カム溝500の周方向の一方側へ転動する。これにより、従動カム50は、ハウジング12および駆動カム40に対し軸方向に相対移動、すなわち、クラッチ70側へ移動する。これにより、レリーズベアリング93と従動カム筒部52の端面との間の隙間Sp2が小さくなり、リターンスプリング92は、従動カム50とレリーズベアリング93との間で軸方向に圧縮される。
従動カム50がクラッチ70側にさらに移動すると、リターンスプリング92が最大限圧縮され、レリーズベアリング93が従動カム50によりクラッチ70側へ押圧される。これにより、レリーズベアリング93は、ダイアフラムスプリング91の内縁部を押圧しつつ、ダイアフラムスプリング91からの反力に抗してクラッチ70側へ移動する。
レリーズベアリング93がダイアフラムスプリング91の内縁部を押圧しつつクラッチ70側へ移動すると、ダイアフラムスプリング91は、内縁部がクラッチ70側へ移動するとともに、外縁部がクラッチ70とは反対側へ移動する。これにより、摩擦板74が板部622から離間し、クラッチ70の状態が係合状態から非係合状態に変更される。その結果、入力軸61と出力軸62との間のトルクの伝達が遮断される。
ECU10は、クラッチ伝達トルクが0になると、モータ20の回転を停止させる。これにより、クラッチ70の状態が非係合状態に維持される。このように、状態変更部90のダイアフラムスプリング91は、従動カム50から軸方向の力を受け、ハウジング12に対する従動カム50の軸方向の相対位置に応じてクラッチ70の状態を係合状態または非係合状態に変更可能である。
本実施形態では、第1実施形態と同様、ボールカム2の原点復帰時の衝撃を効果的に抑制しつつ、速やかに原点復帰させることができる。したがって、ボールカム2の原点復帰時の破損を抑制可能である。
本実施形態においても、「シール部材」としての内側シール部材191、外側シール部材192は、収容空間120とクラッチ空間620との間を気密または液密に保持可能である。
本実施形態では、クラッチ装置1は、第1実施形態で示したオイル供給部5を備えていない。すなわち、本実施形態では、クラッチ70は、乾式クラッチである。
このように、本発明は、乾式クラッチを備えた常閉式のクラッチ装置にも適用可能である。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、第1駆動カム溝401の溝底403および第2駆動カム溝402の溝底403が、一方の端面411に対する傾斜角が一定である例を示した。また、第1従動カム溝501の溝底503および第2従動カム溝502の溝底503が、一方の端面511に対する傾斜角が一定である例を示した。これに対し、他の実施形態では、第2駆動カム溝402の溝底403の傾斜角が第1駆動カム溝401の溝底403の傾斜角より大きいのであれば、第1駆動カム溝401の溝底403および第2駆動カム溝402の溝底403は、一方の端面411に対する傾斜角が一定でなくてもよい。また、第2従動カム溝502の溝底503の傾斜角が第1従動カム溝501の溝底503の傾斜角より大きいのであれば、第1従動カム溝501の溝底503および第2従動カム溝502の溝底503は、一方の端面511に対する傾斜角が一定でなくてもよい。
また、他の実施形態では、「付勢部材」としてのリターンスプリング55を備えていなくてもよい。
また、他の実施形態では、状態変更部の弾性変形部は、軸方向に弾性変形可能であれば、例えばコイルスプリングまたはゴム等であってもよい。また、他の実施形態では、状態変更部は、弾性変形部を有さず、剛体のみで構成されていてもよい。
また、他の実施形態では、駆動カム溝400および従動カム溝500は、それぞれ、3つ以上であれば、いくつ形成されていてもよい。また、ボール3も、駆動カム溝400および従動カム溝500の数に合わせ、いくつ設けられていてもよい。
また、本発明は、内燃機関からの駆動トルクによって走行する車両に限らず、モータからの駆動トルクによって走行可能な電気自動車やハイブリッド車等に適用することもできる。
また、他の実施形態では、第2伝達部からトルクを入力し、クラッチを経由して第1伝達部からトルクを出力することとしてもよい。また、例えば、第1伝達部または第2伝達部の一方を回転不能に固定した場合、クラッチを係合状態にすることにより、第1伝達部または第2伝達部の他方の回転を止めることができる。この場合、クラッチ装置をブレーキ装置として用いることができる。
このように、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
本開示に記載のクラッチ装置の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載のクラッチ装置の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載のクラッチ装置の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
1 クラッチ装置、2 ボールカム(転動体カム)、3 ボール(転動体)、10 ECU(制御部)、12 ハウジング、20 モータ(原動機)、30 減速機、40 駆動カム、41 駆動カム本体、50 従動カム、51 従動カム本体、61 入力軸(第1伝達部)、62 出力軸(第2伝達部)、70 クラッチ、80、90 状態変更部、400 駆動カム溝、401 第1駆動カム溝、402 第2駆動カム溝、403 溝底、411 一方の端面、500 従動カム溝、501 第1従動カム溝、502 第2従動カム溝、503 溝底、511 一方の端面、PSd1 駆動カム特定位置、PSv1 従動カム特定位置

Claims (6)

  1. ハウジング(12)と、
    前記ハウジングに設けられ、通電により作動しトルクを出力可能な原動機(20)と、
    前記原動機のトルクを減速して出力可能な減速機(30)と、
    駆動カム本体(41)および前記駆動カム本体の一方の端面(411)に形成された複数の駆動カム溝(400)を有し前記減速機から出力されたトルクが入力されると前記ハウジングに対し相対回転する駆動カム(40)、従動カム本体(51)および前記従動カム本体の一方の端面(511)に形成された複数の従動カム溝(500)を有し前記駆動カムが前記ハウジングに対し相対回転すると前記ハウジングに対し軸方向に相対移動する従動カム(50)、および、前記駆動カム溝と前記従動カム溝との間で転動可能に設けられた転動体(3)を有する転動体カム(2)と、
    前記ハウジングに対し相対回転可能に設けられた第1伝達部(61)と第2伝達部(62)との間に設けられ、係合状態のとき、前記第1伝達部と前記第2伝達部との間のトルクの伝達を許容し、非係合状態のとき、前記第1伝達部と前記第2伝達部との間のトルクの伝達を遮断するクラッチ(70)と、
    前記従動カムから軸方向の力を受け、前記ハウジングに対する前記従動カムの軸方向の相対位置に応じて前記クラッチの状態を係合状態または非係合状態に変更可能な状態変更部(80、90)と、
    前記原動機への通電を制御し、前記原動機の作動を制御可能な制御部(10)と、を備え、
    前記駆動カム溝は、
    前記駆動カム本体の周方向の特定の位置である駆動カム特定位置(PSd1)から前記駆動カム本体の周方向の一方側へ延び、前記駆動カム特定位置から前記駆動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記駆動カム本体の一方の端面(411)に対し溝底(403)が傾斜して形成された第1駆動カム溝(401)、および、
    前記駆動カム特定位置から前記駆動カム本体の周方向の他方側へ延び、前記駆動カム特定位置から前記駆動カム本体の周方向の他方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記駆動カム本体の一方の端面(411)に対し溝底(403)が傾斜して形成され、前記駆動カム本体の一方の端面(411)に対する溝底(403)の傾斜角が前記第1駆動カム溝の溝底(403)の傾斜角より大きい第2駆動カム溝(402)を有し、
    前記従動カム溝は、
    前記従動カム本体の周方向の特定の位置である従動カム特定位置(PSv1)から前記従動カム本体の周方向の一方側へ延び、前記従動カム特定位置から前記従動カム本体の周方向の一方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記従動カム本体の一方の端面(511)に対し溝底(503)が傾斜して形成された第1従動カム溝(501)、および、
    前記従動カム特定位置から前記従動カム本体の周方向の他方側へ延び、前記従動カム特定位置から前記従動カム本体の周方向の他方側へ向かうに従い深さが浅くなるよう前記従動カム本体の一方の端面(511)に対し溝底(503)が傾斜して形成され、前記従動カム本体の一方の端面(511)に対する溝底(503)の傾斜角が前記第1従動カム溝の溝底(503)の傾斜角より大きい第2従動カム溝(502)を有し、
    前記制御部は、通常作動時、前記転動体が前記第1駆動カム溝および前記第1従動カム溝を転動するよう前記原動機の作動を制御するクラッチ装置。
  2. 前記駆動カム特定位置における前記駆動カム溝の溝底(403)上の点である駆動カム特定点(PDd1)を通り前記駆動カム本体の一方の端面(411)に対し平行な面を駆動カム特定仮想面(PPd1)とすると、
    前記駆動カム特定仮想面と、前記第2駆動カム溝の溝底(403)の前記駆動カム特定点とは反対側の端部との距離は、前記駆動カム特定仮想面と、前記第1駆動カム溝の溝底(403)の前記駆動カム特定点とは反対側の端部との距離以下に設定され、
    前記従動カム特定位置における前記従動カム溝の溝底(503)上の点である従動カム特定点(PDv1)を通り前記従動カム本体の一方の端面(511)に対し平行な面を従動カム特定仮想面(PPv1)とすると、
    前記従動カム特定仮想面と、前記第2従動カム溝の溝底(503)の前記従動カム特定点とは反対側の端部との距離は、前記従動カム特定仮想面と、前記第1従動カム溝の溝底(503)の前記従動カム特定点とは反対側の端部との距離以下に設定されている請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 前記転動体が前記第1駆動カム溝と前記第2駆動カム溝とに同時に接触するとき、前記転動体と前記第1駆動カム溝との接触点である第1駆動カム接触点、および、前記転動体と前記第2駆動カム溝との接触点である第2駆動カム接触点の2点のみで接触し、
    前記転動体が前記第1従動カム溝と前記第2従動カム溝とに同時に接触するとき、前記転動体と前記第1従動カム溝との接触点である第1従動カム接触点、および、前記転動体と前記第2従動カム溝との接触点である第2従動カム接触点の2点のみで接触する請求項1または2に記載のクラッチ装置。
  4. 前記従動カムを前記ハウジングに対し前記クラッチとは反対側へ付勢可能な付勢部材をさらに備える請求項1~3のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  5. 前記転動体が前記第2駆動カム溝を登るよう転動するために必要な前記駆動カムのトルクをT2とし、
    前記転動体が前記第1従動カム溝と前記第2従動カム溝とに同時に接触し、かつ、前記転動体が前記第1駆動カム溝および前記第2駆動カム溝のうち前記第1駆動カム溝のみに接触した状態で、前記転動体が前記第1駆動カム溝を転動することなく滑るために必要な前記駆動カムのトルクをT3とすると、
    前記第2駆動カム溝は、前記駆動カム本体の一方の端面(411)に対する溝底(403)の傾斜角が、T3<T2の関係を満たすよう設定されている請求項1~4のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  6. 前記転動体が前記第2従動カム溝を登るよう転動するために必要な前記駆動カムのトルクをT2とし、
    前記転動体が前記第1駆動カム溝と前記第2駆動カム溝とに同時に接触し、かつ、前記転動体が前記第1従動カム溝および前記第2従動カム溝のうち前記第1従動カム溝のみに接触した状態で、前記転動体が前記第1従動カム溝を転動することなく滑るために必要な前記駆動カムのトルクをT3とすると、
    前記第2従動カム溝は、前記従動カム本体の一方の端面(511)に対する溝底(503)の傾斜角が、T3<T2の関係を満たすよう設定されている請求項1~4のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
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