JP2022118612A - 非晶質ワイヤ付きコイルの異常効果を利用した磁気センサ、及びこれを用いた非破壊検査装置 - Google Patents

非晶質ワイヤ付きコイルの異常効果を利用した磁気センサ、及びこれを用いた非破壊検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】復調器を使用することなく、回路構成が簡単な磁気センサを提供すること。【解決手段】零磁歪となる軟磁性合金の非晶質からなる感磁ワイヤ(2)と、前記感磁ワイヤの周囲に絶縁物を介して巻回された検出コイル(3)と、前記検出コイルの巻回された感磁ワイヤの軸方向に外部磁場を印加する手段(19)と、駆動用周波数帯域の交流電流を供給する信号発生器(5)と、前記検出コイルの接地されていない側の端子と第2のコンデンサ(C2)を介して接続されたローパスフィルタ回路(18)とを備え、信号発生器から供給される交流電流又はパルス電流によって検出コイルに発生する交流電圧の振幅は、前記外部磁場によって検出コイルに発生させるオフセット直流電圧の3倍よりも大きな値を示すように定められると共に、ローパスフィルタ回路のカットオフ周波数は前記駆動用周波数帯域を遮断するように定められている。【選択図】図1

Description

本発明は、非晶質ワイヤ付きコイルの異常効果を利用した磁気センサ、及びこれを用いた非破壊検査装置に関する。
MI磁気センサ(磁気インピーダンスセンサ)は、例えば非特許文献1で説明されている。また、例えば特許文献1、2、3では、アモルファスワイヤを使用した高感度磁気センサについて説明されている。図15は、特許文献3に示す従来のDCバイアス電圧の印加回路を備えた磁気センサの概略図を示している。
図において、MI磁気センサ1は、アモルファスワイヤ2の周りにコイル3を巻き付けた構造をしており、コイル3の一端は接地されている。交流電流源5は、コンデンサC1を介してコイル3の他端に接続されているもので、検出用周波数帯域の信号(例えば100kHz~10MHz)を出力している。直流電流源7は、インダクタL1を介してコイル3の他端に接続されている。
共振回路8は、インダクタ(L2)とコンデンサ(C2)を備えるもので、共振周波数は、例えば1MHzである。コンデンサ(C2)は接地されていると共に、インダクタ(L2)の一端はコイル3の一端に接続されると共に、インダクタ(L2)の他端はコンデンサ(C2)の他端と接続されている。
信号発生器11は、コイル3に供給する100kHz~10MHzの正弦波電流を発生する電気回路である。正弦波電流は、例えば約5mAである。直流電流源12は、直流電流源7として、コイル3に供給する直流バイアス電流を供給するものである。直流バイアス電流は、例えば約50mAである。
前置増幅器13は、共振回路8で得られた検出信号の前置増幅器をすると共に、共振回路8と復調器14の間で検出信号が歪まないようにしている。復調器14は、検出信号に含まれる外部磁気の測定信号成分を抽出する。増幅器15は、復調器14で復調された外部磁気の測定信号成分を増幅する。
このように構成された装置において、交流電流源5から供給される交流電流IACは、磁気インピーダンスセンサ1の測定信号を抽出するために使用される検出用周波数帯域の信号成分を含んでいる。直流電流源7から供給される直流電流IDCは、コイル3に供給されバイアス電流を発生させる。アモルファスワイヤ2のB-H曲線の非線形性のために、アモルファスワイヤ2の比透磁率は外部磁界と共に変化し、それからコイル3のインピーダンスおよびVACの振幅もまた外部磁界と共に変化する。そこで、MI磁気センサは、外部磁界の変化を検出できる。例えば、特許文献1で用いられるアモルファスワイヤ2は、形状が直径0.1mm、長さ5mmのFeCoSiBアモルファスワイヤを使用しており、磁界分解能が約30pT/√Hzの高感度磁気インピーダンスセンサを実現している。
信号発生器11で発生した正弦波電流はコイル3に送られる。信号発生器11で発生する正弦波電流の周波数は、共振回路の共振周波数と同じである。例えば、共振回路の共振周波数が1MHzの場合、1MHzの正弦波電流が使用される。DC電流はバイアス静磁場を発生させるために使用される。交流電圧は共振回路8に送られ、次に低雑音の前置増幅器13に送られる。前置増幅器13で増幅されたコイル3の磁場検出信号は、復調器14の後段に接続された増幅器15によって交流電圧Voutが得られる。Voutの出力電圧は外部磁界の測定に使用される。
特開2015-133397号公報 特開平6-294850号公報 特開2020-197479号公報
磁気センサ理工学(増補)、毛利佳年雄、コロナ社(2015)、第13頁
しかしながら、これらの磁気センサでは、通常、センサに高周波電流を流すと共に、直流のバイアス電圧を印加して高周波信号を変調しているため、磁場測定用の信号を得るために復調器を使用する必要があり、回路構成が複雑になるという課題がある。
本発明は、このような課題を解決するもので、復調器を使用することなく、回路構成が簡単な磁気センサを提供することを目的する。
別の本発明での解決課題は、上記の磁気センサを用いた非破壊検査装置を提供することである。
本発明者は、FeCoSiB非晶質線を用いたコイルでは、大きな直流電圧を直接発生させることができるという新たな効果を見出した。そこで、この効果を利用して、磁気センサを構築することができるのでは考え、本発明を想到するに至った。
この効果を利用して、磁気センサを構築することができると共に、上記の磁気センサを用いた非破壊検査装置を提供できる。
[1]本発明の磁気インピーダンスセンサは、例えば図1に示すように、零磁歪となる軟磁性合金の非晶質からなる感磁ワイヤ(2)と、前記感磁ワイヤの周囲に絶縁物を介して巻回された検出コイル(3)と、前記検出コイルの巻回された感磁ワイヤの軸方向に外部磁場を印加する手段(19)と、前記検出コイルに第1のコンデンサと抵抗を介して接続され、駆動用周波数帯域の交流電流又はパルス電流を供給する信号発生器(5)と、前記検出コイルの接地されていない側の端子と第2のコンデンサ(C2)を介して接続されたローパスフィルタ回路(18)と、を備え、
信号発生器(5)から供給される交流電流又はパルス電流によって検出コイル(3)に発生する交流電圧又はパルス電圧の振幅は、前記外部磁場によって前記検出コイルに発生するオフセット直流電圧の3倍よりも大きな値を示すように定められると共に、
ローパスフィルタ回路(18)のカットオフ周波数は前記駆動用周波数帯域を遮断するように定められていることを特徴とするものである。
[2]本発明の磁気インピーダンスセンサにおいて、好ましくは、信号発生器(5)は前記第1のコンデンサ(C1)と前記抵抗(R)を介して前記検出コイルの接地されていない側の端子に接続されているとよい。
[3]本発明の非破壊検査装置は、[1]又は[2]に記載の磁気インピーダンスセンサと、前記感磁ワイヤの周囲に絶縁物を介して巻回された励磁コイルと、前記励磁コイルに欠陥検出用の渦電流発生信号(ω)を供給する渦電流用信号供給回路と、前記共振回路で出力された前記渦電流発生信号に相当する周波数成分を抽出する渦電流抽出回路と、前記渦電流抽出回路で抽出した前記渦電流周波数成分に相当する欠陥深さに応じた被測定対象物の欠陥位置を算出する演算処理装置と、を備え、前記磁気インピーダンスセンサの測定端となる前記感磁ワイヤを前記被測定対象物に対峙させると共に、前記被測定対象物は非磁性且つ導電性の物質であることを特徴とする。
[4]本発明の非破壊検査装置において、好ましくは、前記演算処理装置は、前記被測定対象物の電気抵抗率(ρ)と透磁率(μ)及び前記渦電流発生信号の角周波数(ω)から定まる表皮深さ{δ=√(2ρ/ωμ)}を用いて、欠陥深さを算出する構成とするとよい。
[5]本発明の非破壊検査装置において、好ましくは、さらに、前記感磁ワイヤの測定端を前記被測定対象物に対峙させた姿勢で、前記被測定対象物の測定面に対して定められた平面内の二軸方向の任意の位置に位置決めさせるX-Yステージを備え、
前記演算処理装置は、前記X-Yステージに対する測定位置指令情報と、前記測定位置指令情報に対応する位置での前記感磁ワイヤの測定端の測定情報とから、前記被測定対象物の欠陥が位置する深さと前記欠陥の形状を求める構成とするとよい。
本発明のバイアス反転技術を使用した磁気センサの場合、復調器を使用することなく、回路構成が簡単な磁気センサが得られる。
本発明の非破壊検査装置によれば、磁界分解能が良好な磁気インピーダンスセンサを用いているので、渦電流周波数に応じた表皮深さでの非磁性且つ導電性の被測定対象物に存在する欠陥、その位置する深さと形状を求めることができる。
本発明の一実施例を示す、非晶質線を用いたコイルの新効果を利用した磁気センサの回路図である。 図1に示す装置の磁気センサの波形の一例を示す図で、(A)は交流電流の1/2周期で発生する磁場が印加された直流磁場Bと同じ方向を持つ場合、(B)は印加された直流磁界Bとは逆方向の電流半周期の電流で生成される磁界の場合を示している。 コイルの直流電圧対印加された直流磁場を示す図である。 正弦波電流の周波数に応じて変化する電圧/磁場伝達係数V/Bを示す図である。 本発明の一実施例を示す、コイルの電圧/電界伝達係数V/B対正弦波電流のピーク間振幅を示す図である。 本発明の一実施例を示す、非晶質ワイヤを用いたコイルの新効果を利用した磁気センサの磁場分解能の説明図である。 本発明の一実施例を示すMI磁気センサを用いた多周波渦電流試験システムの構成図である。 図7の装置の動作を説明するフローチャート図である。 図7に示す装置のコンピュータを、汎用のコンピュータの構成に準拠して構成する場合の機能ブロック図である。 図9に示す機能ブロックを有するコンピュータのためのソフトウェアの機能ブロック図である。 本発明の第2の実施例を示すMIセンサを用いた渦電流試験式の非破壊検査装置の評価システムの構成図である。 図11の装置の動作を説明するフローチャート図である。 図11に示す装置のコンピュータを、汎用のコンピュータの構成に準拠して構成する場合の機能ブロック図である。 図13に示す機能ブロックを有するコンピュータのためのソフトウェアの機能ブロック図である。 従来のDCバイアス電圧の印加回路を備えた磁気センサの概略図を示している。
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は本発明の一実施例を示す、磁気センサ回路の機能ブロック図である。なお図1において、前出の図15の構成要素と同一のものには同一符号を付して、説明を省略する。
MI磁気センサ1のコイル3はFeCoSiB非晶質線2に巻装されるもので、例えば直径0.1mmの銅線を用い、巻数は40ターンである。FeCoSiB非晶質線2は、例えば長さが約8mmで、直径が0.1mmであるが、これに限定されない。
信号発生器5は、検出コイル3の接地されていない側の端子に第1のコンデンサ4aと抵抗4bを介して接続され、駆動用周波数帯域の交流電流又はパルス電流を供給するもので、高周波の交流電流(正弦波、矩形波ともに動作可能)を発生するとよい。第1のコンデンサ4aは、信号発生器5からの直流電流を遮断するために、例えば1μFとし、抵抗器4bは、例えば50Ωとした。
第2のコンデンサ(C2)16は、コイル3の接地されていない側の端子と抵抗4bとの接続点と、増幅器17の入力端子とを接続している。増幅器17のゲインは20dBであった。高周波の背景信号を除去するためにローパスフィルタ18を使用した。ローパスフィルタ18の通過帯域は約500Hzであった。環境ノイズの影響を除去するために、測定時には、コイル3を3層パーマロイ磁気シールドボックスに入れた。
外部磁場印加手段19は、コイル3の巻回された感磁ワイヤ2の軸方向に直流の外部磁場を印加するもので、外部磁場の強さは、例えば0~2Gaussである。コイル3に直流磁界を印加する場合、ローパスフィルタ8の直流出力電圧からコイル3の等価直流電圧を算出できる。
外部磁場印加手段19により印加される外部磁場によって発生する直流電圧は、例えば-1.8ガウスの直流磁界に対して約-280mVであり、他方でコイルが作り出す交流電圧の振幅は1V以上である。そこで、信号発生器5から供給される交流電流又はパルス電流によって検出コイル3に発生する交流電圧又はパルス電圧の振幅は、外部磁場印加手段19により印加される外部磁場によって検出コイル3に発生するオフセット直流電圧の3倍よりも大きな値を示している。即ち、外部磁場によって発生する直流電圧は、コイルが作り出す交流電圧の1/3よりも小さいので、信号発生器5の交流電流の波形に歪みがなく、正弦波電流のピーク間振幅に応じて変化する電圧/電界伝達係数が得られるため、好ましい。
この異常現象を説明するためのモデルを提案する。
図2(A)では、交流電流の1/2周期で発生する磁場が印加された直流磁場Bと同じ方向を持つ場合、FeCoSiB非晶質ワイヤにはより小さなスピン電流が誘起される。
図2(B)では、印加された直流磁界Bとは逆方向に交流電流の半周期の電流で生成される磁界の方が、より大きなスピン電流が誘起される。交流電流の1周期に純スピン電流が誘起される。
コイルに高周波電流が流れると、FeCoSiB非晶質線のスピン方向が急激に変化するため、非晶質線の表面にスピン電流が誘起され、そのスピン電流の方向がコイル内の交流電流の方向と逆になる。図2に示すように、交流電流の前半1/2周期では、交流電流によって生じる磁界の方向は、印加された直流磁界の方向と同じである。磁化が容易になるので、スピン電流は小さくなる。他方、後半の1/2周期では、印加された直流磁界の方向が逆になるので、磁化がしにくくなり、スピン電流が大きくなる。このように、交流電流の1周期で正味のスピン電流が発生する。この正味のスピン電流は、コイル内に直流スピン電位をポンピングし、コイルを横切る異常な直流電圧を発生させる。
図1に示す装置を用いて、コイルの直流電圧と直流磁界、コイルに印加される正弦波電流の周波数と振幅の関係を測定した。直流磁界を印加すると直流電圧が変化する。正弦波電流は周波数6.8MHz、ピーク-ピーク振幅78mAを選択した。直流磁界を印加して変化するコイルの直流電圧を測定した。
図3は、外部直流磁界とコイルの直流電圧との関係を示す図である。外部磁場の強さが-1.8Gaussでコイル3の直流電圧は約-280mVであり、外部磁場の強さが+1.8Gaussでコイル3の直流電圧は約-20mVであり、外部磁場の強さが0Gaussでコイル3の直流電圧は-175mVであった。両者の関係は、厳密には直線的ではないが、外部直流磁界の印加に伴って、コイル3の直流電圧は増加していることがわかる。外部直流磁界V/Bの印加に伴う直流電圧の伝達係数は、0~+1.8ガウス側で約約86mV/ガウスであり、-1.8~0ガウス側は約58mV/ガウスであった。測定結果から、印加直流磁界がゼロガウスのときに出力直流電圧がゼロにならないが、これはFeCoSiB非晶質ワイヤの残留磁化に起因するものと考えられる。
ここで、外部磁場の正の方向は、コイル3を通る交流電流の流れの正の部分により生成した磁場の方向と同じと定義されている(図2参照)。
『正弦波電流の周波数に応じて変化する直流電圧』
図4に正弦波電流の周波数に応じて変化する電圧/磁場伝達係数V/Bを示す。交流電流のピーク間振幅は78mAのままとした。2つのピークが観測された。1つは約1MHzで、もう1つは約6.8MHzであり、約6.8MHzで約90mV/ガウスの最大V/Bが得られた。
『正弦波電流の振幅に応じて変化する直流電圧』
図5は、正弦波電流のピーク間振幅に応じて変化する電圧/電界伝達係数V/Bを示している。交流電流の周波数は6.8MHzとした。V/Bは電流振幅が20mAを超えると急激に増加し、78mA付近で約90mV/gaussのピーク値を得た後、80mAを超えると交流電流の振幅とともに減少した。
次に、本発明の磁気センサを用いた非破壊検査装置について説明する。
図7は、MI磁気センサを備えた非破壊検査装置の一類型としての、多周波数の渦電流試験非破壊評価システムのブロック図を示す。MI磁気センサ20は、試料24に誘導された渦電流によって生成された磁界を測定するために使用される。励磁コイル22は、MI磁気センサ20の主要部をなす、零磁歪となる軟磁性合金のアモルファスからなる感磁ワイヤに巻装される。
試料24は、例えば非磁性且つ導電性の金属物質が好ましく、例えばチタン合金が用いられる。
多周波数の信号発生器25は、渦電流用信号供給回路25として作用するもので、例えば100Hzから100kHzまでの多周波信号を生成するために使用され、当該多周波信号は多周波励起磁場を生成するために励磁コイル22に送信される。
駆動回路30は、例えは図15に示すような電子回路を有するもので、図15に示す信号発生器5と直流電流源12により、MI磁気センサ20に駆動信号を供給すると共に、渦電流抽出回路30としての機能も兼ねている。駆動回路30は、MI磁気センサ20の測定した試料24に関する磁界測定信号を増幅する機能を備えるもので、AD変換器35を介して、磁界測定信号をコンピュータ40に送る。
コンピュータ40は、FFT(高速フーリエ変換)変換プログラムを搭載して周波数分析を行うと共に、X-Yステージ制御装置45に対して、試料24に対向するMI磁気センサ20の測定位置命令信号を送る。FFT変換プログラムは、迅速に測定を行うために、ロックインアンプの代わりに、コンピュータ40で多周波数信号の振幅信号を得るために使用される。
X-Yステージ50は、X-Yステージ制御装置45からの測定位置命令信号に従い、試料24のX-Y平面内の位置を動かす。
このように構成された非破壊検査装置の動作を説明する。図8は、図7の非破壊検査装置の動作を説明するフローチャート図である。まず、MIセンサ測定位置出力ステップでは、X-Yステージ制御装置45に対して、試料24に対向するMI磁気センサ20の測定位置命令を送る(S505)。測定位置命令はセンサ位置データとして、コンピュータ40に記憶される。すると、X-Yステージ50により、試料24のX-Y平面内での位置を動かして、MI磁気センサ20に測定する試料24の位置を調整する。これによって、MI磁気センサ20により磁界測定信号の得られる試料24の任意の場所が指定できる。
測定制御ステップでは、多周波数の信号発生器25から、励磁コイル22に対して、多周波信号の出力を命令する(S510)。多周波励起磁場を生成するために送信される発生信号データは、コンピュータ40に記憶される。
MIセンサ測定値読込ステップでは、試料24に誘導された渦電流によって生成された磁界をMI磁気センサ20で測定し、駆動回路30とAD変換器35を介してMIセンサ測定値として読込む(S520)。
厚み方向測定値演算ステップでは、MIセンサ測定値の周波数解析結果から、試料の厚み方向の測定値を演算する(S525)。入力されたMI磁気センサ20の磁界測定信号に対して、FFT周波数解析を行うことで、試料24の欠陥の深さ情報が得られる。
測定値プロフィール測定ステップでは、MI磁気センサ20の測定位置命令により、試料24のX-Y面内平面の磁場検出信号測定を繰り返すことで、測定値プロフィールを測定する(S530)。
欠陥分布プロフィール解析ステップでは、試料24のX-Y面内平面の磁場検出信号測定により、当該試料の欠陥の三次元的な分布を演算する(S535)。コンピュータ40では、測定値プロフィールや欠陥分布プロフィールの測定結果をディスプレイ装置にグラフ表示してもよい。
このようにして、本発明の非破壊検査装置では、MI磁気センサ20の磁界測定信号を用いて、試料10の三次元的な欠陥分布プロフィールを詳細に測定し、その空間分布を調べることで、試料10を評価することができる。
図9は、本開示によるMI磁気センサを用いて構成された試料の欠陥の三次元的な分布を演算するための、例示的なコンピューティング装置600を示すブロック図である。図7のコンピュータ40は、コンピューティング装置600の全部または一部を使用して実施することができる。
非常に基本的な構成601では、コンピューティング装置600は通常、1つまたは複数のプロセッサ610とシステムメモリ620とを含む。メモリバス630は、プロセッサ610とシステムメモリ620との間の通信に使用され得る。
所望の構成に応じて、プロセッサ610は、マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない任意のタイプのものであり得る。プロセッサ610は、レベル1キャッシュ611およびレベル2キャッシュ612などのもう1つのレベルのキャッシング、プロセッサコア613、およびレジスタ614を含むことができる。例示的なプロセッサコア613は、算術論理演算装置(ALU)、浮動小数点ユニット(FPU)、デジタル信号処理コア(DSPコア)、またはそれらの任意の組み合わせなどを含むことができる。例示的なメモリ制御部615もプロセッサ610と共に使用することができ、またはいくつかの実装形態では、メモリ制御部615はプロセッサ610の内部部分とすることができる。
所望の構成に応じて、システムメモリ620は、揮発性メモリ(RAMなど)、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリなど)、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない任意のタイプのものとすることができる。システムメモリ620は、オペレーティングシステム621、1つまたは複数のアプリケーション622、およびプログラムデータ632を含み得る。アプリケーション622は、上述の例に従ってFFT周波数解析を演算するように構成されたMIセンサ測定値解析623、MIセンサ測定位置解析624、測定値プロフィール解析625、欠陥分布プロフィール解析626を含み得る。
プログラムデータ632は、発生信号データ633、MIセンサ測定データ634、センサ位置データ635、コンピューティング装置600によって計算された測定値プロフィール636、欠陥分布プロフィール637を含み得る。
コンピューティング装置600は、追加の特徴または機能性、および基本構成601と任意の必要な装置およびインターフェースとの間の通信を容易にするための追加のインターフェースを有することができる。例えば、バス/インターフェース制御部640を使用して、ストレージインターフェースバス641を介した基本構成601と1つまたは複数のデータ記憶装置650との間の通信を容易にすることができる。データ記憶装置650は、取り外し可能な記憶装置651、取り外しができない記憶装置652、またはそれらの組み合わせである。取り外し可能な記憶装置および取り外しができない記憶装置の例には、フレキシブルディスクドライブ(FDD)およびハードディスクドライブ(HDD)などの磁気ディスク装置、コンパクトディスク(CD)ドライブまたはデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブなどの光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、テープドライブが含まれる。例示的なコンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実施される揮発性および不揮発性、取り外し可能および固定の媒体を含み得る。
システムメモリ620、取外し可能記憶装置651、および固定記憶装置652はすべてコンピュータ記憶媒体の例である。 コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CDROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置を含むがこれらに限定されない。所望の情報を格納するために使用され得、かつコンピューティング装置600によってアクセスされ得る任意のそのようなコンピュータ記憶媒体は、デバイス600の一部であり得る。
また、コンピューティング装置600はバス/インターフェース制御部640を介して様々なインターフェース装置(例えば、出力インターフェース、周辺インターフェース、および通信インターフェース)から基本構成601への通信を容易にするためのインターフェースバス642を含むことができる。
出力デバイス660では、画像処理ユニット661および音声処理ユニット662が、1つまたは複数のAVポート663を介して表示装置692またはスピーカなどの様々な外部装置と通信するように構成され得る。
例示的な周辺インターフェース670は、入力装置(例えば、キーボード、マウス、ペン、音声入力装置、タッチ入力装置など)のような外部装置と通信するように構成され得るシリアルインターフェース制御部671またはパラレルインターフェース制御部672を含む。周辺インターフェース670は、I/Oポート673を介してMIセンサ駆動回路692、多重周波数信号発生器694、及びX-Yステージ制御部696と通信するように構成され得る。
例示的な通信装置680は、ネットワーク制御部681を含み、ネットワーク制御部681は、1つまたは複数の通信ポート682を介したネットワーク通信リンクを介して、1つまたは複数の他のコンピューティング装置690との通信を容易にするように構成されてもよい。
ネットワーク通信リンクは、通信媒体の一例であり得る。 通信媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波もしくは他の搬送機構などの変調データ信号内の他のデータによって具現化することができ、任意の情報配信媒体を含むことができる。「変調データ信号」は、信号内に情報を符号化するような方法で設定または変更されたその特性のうちの1つまたは複数を有する信号であり得る。限定ではなく例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続などの有線媒体、ならびに音響、無線周波数(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)および他の無線媒体などの無線媒体を含み得る。本明細書で使用されるコンピュータ可読媒体という用語は、記憶媒体と通信媒体の両方を含み得る。
コンピューティング装置600は、携帯電話、パーソナルデータアシスタント(PDA)、パーソナルメディアプレーヤデバイス、ワイヤレスウェブウォッチデバイス、パーソナルコンピュータなどのスモールフォームファクタポータブル(またはモバイル)電子デバイス、上記の機能のいずれかを含むヘッドセットデバイス、特定用途向けデバイス、またはハイブリッドデバイスの一部として実装され得る。コンピューティング装置600はまた、ラップトップコンピュータ構成および非ラップトップコンピュータ構成の両方を含むパーソナルコンピュータとして実装され得る。
図10は、本開示による、MIセンサの磁界測定信号に基づいて試料の三次元的な測定値プロフィールを格納するように構成された例示的なコンピュータプログラム製品700を示すブロック図である。プログラム担持媒体702は、コンピュータ読取可能媒体706、記録可能媒体708、通信媒体709、またはそれらの組み合わせとして実装することができるもので、処理ユニットのすべてまたは一部の処理を実行するように構成することができるプログラム命令格納部704を有する。
プログラム命令格納部704に格納されたプログラム命令は、例えば、AD変換器35を介して入力した、MI磁気センサ20の測定した試料24に関する磁界測定信号に対して、FFT(高速フーリエ変換)変換プログラムにより周波数分析を行うMIセンサ測定値解析部710、X-Yステージ制御装置45に対して、試料24に対向するMI磁気センサ20の測定位置命令を送るMIセンサ測定位置解析部720を含む。また、MIセンサ測定値解析部で解析したMI磁気センサ20の磁界測定信号と、MIセンサ測定位置解析部の測定位置命令から、試料における磁界測定信号の三次元的な分布状態を求める測定
値プロフィール解析部725、測定値プロフィール解析部の試料における磁界測定信号の三次元的な分布状態から、試料における欠陥の三次元的な分布を演算する欠陥分布プロフィール解析部730を含む。
図11は、本発明の磁気センサを用いて開発した第2の渦電流試験非破壊評価システムを表している。なお、図11において、前記図7と同一作用をするものには同一符号を付して説明を省略する。被測定対象物である試料24として、非磁性且つ導電性の金属物質であるTi-6Al-4Vチタン合金試料を使用した。試料24の形状は5cm×5cm×1cmであり、端部近くにいくつかの亀裂欠陥が存在した。その中の欠陥を検出するために、渦電流試験法を用いた。
図において、駆動回路55は、MI磁気センサ20の測定した試料24に関する磁界測定信号を増幅するもので、磁界測定信号をロックインアンプ60に送る。ロックインアンプ60は、励磁コイル22に供給する100kHz~10MHzの正弦波電流を発生するもので、併せて駆動回路55からの駆動信号を入力している。ロックインアンプ60は、図7の多周波数の信号発生器25やAD変換器35の機能を代替するものである。
コンピュータ65は、X-Yステージ制御装置の機能を含んでおり、X-Yステージ50に対してX-Y測定位置命令信号を送ることで、試料24に対向するMI磁気センサ20の位置決めをしている。
X-Yステージ50は、コンピュータ65からの測定位置命令信号に従い、試料24のX-Y平面内の位置を動かす。
図12は、図11の装置の動作を説明するフローチャート図である。なお、図12において、前出の図8のステップと同一作用をするものには同一符号を付して、説明を省略する。
測定制御ステップでは、ロックインアンプ60に対して、励磁コイル22に多周波信号の出力をするように命令する(S515)。多周波励起磁場を生成するために送信される発生信号データは、コンピュータ40に記憶される。
MIセンサ測定値読込ステップでは、試料24に誘導された渦電流によって生成された磁界をMI磁気センサ20で測定し、駆動回路55とロックインアンプ60を介してMIセンサ測定値として読込む(S522)。
図13は、図11に示す装置のコンピュータ65を、汎用のコンピュータの構成に準拠して構成する場合の機能ブロック図である。なお、図13において、前出の図9の構成要素と同一作用をするものには同一符号を付して、説明を省略する。図13では、ロックインアンプ695が、図9のMIセンサ駆動回路692、多重周波数信号発生器694に代えて、装着されている。
図14は、図13に示す機能ブロックを有するコンピュータのためのソフトウェアの機能ブロック図である。なお、図14において、前出の図10の機能ブロックと同一作用をするものには同一符号を付して、説明を省略する。図14では、MIセンサ測定値解析部715が図10の機能ブロック図のMIセンサ測定値解析部710に代えて設けてある。
このように構成された装置においては、ロックインアンプ60の供給する交流電流が励磁コイル22に印加される。励磁コイル22とMI磁気センサ20のアモルファス感磁ワイヤで交流磁場を発生させることで、MI磁気センサ20のアモルファス感磁ワイヤに対向する試料24に渦電流を誘導する。次に、MI磁気センサ20を用いて渦電流によって発生した磁場を測定する。試料24に欠陥が存在すると、渦電流の分布が変化し、次に渦電流によって生成される磁場が変化する。MI磁気センサ20の出力から、試料24の欠陥を検出することができる。通常の渦電流試験装置では、信号が小さくエッジ効果が大きいため、エッジ付近の小さな欠陥を検出することは困難である。
MI磁気センサは広い周波数応答を有する。それはDCから200kHzまでの磁気信号を測定することができるので、MI磁気センサは多周波数の渦電流試験非破壊評価システムを構築するために使用することができる。渦電流の侵入深さは次式で決定される。
δ=1/(πfσμ)1/2 (1)
ここで、δは侵入深さ、fは周波数、σは試料の導電率、そしてμは試料の透磁率である。非破壊検査装置として多周波数の渦電流試験システムを使用すると、欠陥の深さやプロファイルなど、欠陥に関するより多くの情報を取得できる。
なお、本発明の磁気センサの実施例として、FeCoSiB非晶質線をコアにしたコイルを用いた磁気センサを示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、非晶質線を用いたコイルの新効果を利用して、スピン電圧の生成と制御を行うことも可能である。
また、本発明の非破壊検査装置の実施例として、X-Yステージを示しているが、磁気センサの位置決め装置や走査制御装置としては、マニプレーターのような三次元の位置決めが可能なものであってもよい。
本発明の磁気センサによれば、駆動回路に復調器は必要なく、駆動回路は非常にシンプルであるから、FeCoSiB非晶質線をコアにしたコイルの新しい効果を利用して、新しいタイプの磁気センサを構築することができる。
本発明の非破壊検査装置によれば、渦電流周波数に応じた表皮深さでの非磁性且つ導電性の被測定対象物に存在する欠陥、その位置する深さと形状を求めることができる。
1:磁気インピーダンスセンサ(MI)素子
2:アモルファスワイヤ(FeCoSiB非晶質線)
3:コイル
4a:コンデンサC1
4b:抵抗器
5:信号発生器
16:コンデンサC2
17:増幅器
18:ローパスフィルタ
19:外部磁場印加手段
20:MI磁気センサ(磁気インピーダンスセンサ)
22:励磁コイル
24:サンプル(試料)
25:多周波数の信号発生器(渦電流用信号供給回路)
30、55:駆動回路(渦電流抽出回路)
40、65:PC(コンピュータ)
45:X-Yステージ制御装置
50:X-Yステージ

Claims (5)

  1. 零磁歪となる軟磁性合金の非晶質からなる感磁ワイヤと、
    前記感磁ワイヤの周囲に絶縁物を介して巻回された検出コイルと、
    前記検出コイルの巻回された感磁ワイヤの軸方向に外部磁場を印加する手段と、
    前記検出コイルに第1のコンデンサと抵抗を介して接続され、駆動用周波数帯域の交流電流又はパルス電流を供給する信号発生器と、
    前記検出コイルの接地されていない側の端子と第2のコンデンサを介して接続されたローパスフィルタ回路と、
    を備え、
    前記信号発生器から供給される交流電流又はパルス電流によって前記検出コイルに発生する交流電圧又はパルス電圧の振幅は、前記外部磁場によって前記検出コイルに発生するオフセット直流電圧の3倍よりも大きな値を示すように定められると共に、
    前記ローパスフィルタ回路のカットオフ周波数は前記駆動用周波数帯域を遮断するように定められていることを特徴とする磁気インピーダンスセンサ。
  2. 前記信号発生器は、前記第1のコンデンサ(C1)と前記抵抗(R)を介して前記検出コイルの接地されていない側の端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気インピーダンスセンサ。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気インピーダンスセンサと、
    前記感磁ワイヤの周囲に絶縁物を介して巻回された励磁コイルと、
    前記励磁コイルに欠陥検出用の渦電流発生信号(ω)を供給する渦電流用信号供給回路と、
    前記共振回路で出力された前記渦電流発生信号に相当する周波数成分を抽出する渦電流抽出回路と、
    前記渦電流抽出回路で抽出した前記渦電流周波数成分に相当する欠陥深さに応じた被測定対象物の欠陥位置を算出する演算処理装置と、
    を備え、前記磁気インピーダンスセンサの測定端となる前記感磁ワイヤを前記被測定対象物に対峙させると共に、前記被測定対象物は非磁性且つ導電性の物質であることを特徴とする非破壊検査装置。
  4. 前記演算処理装置は、前記被測定対象物の電気抵抗率(ρ)と透磁率(μ)及び前記渦電流発生信号の角周波数(ω)から定まる表皮深さ{δ=√(2ρ/ωμ)}を用いて、欠陥深さを算出することを特徴とする請求項3に記載の非破壊検査装置。
  5. さらに、前記感磁ワイヤの測定端を前記被測定対象物に対峙させた姿勢で、前記被測定対象物の測定面に対して定められた平面内の二軸方向の任意の位置に位置決めさせるX-Yステージを備え、
    前記演算処理装置は、前記X-Yステージに対する測定位置指令情報と、前記測定位置指令情報に対応する位置での前記感磁ワイヤの測定端の測定情報とから、前記被測定対象物の欠陥が位置する深さと前記欠陥の形状を求めることを特徴とする請求項3又は4に記載の非破壊検査装置。
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