JP2022100552A - 展示台、展示ケース、並びに物品の展示方法 - Google Patents

展示台、展示ケース、並びに物品の展示方法 Download PDF

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Tomoyuki Nemoto
祐介 中井
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雅行 内田
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Abstract

【課題】光や景色の映り込みによる視認性の低下を防止できるとともに、展示物に対する鑑賞者の注目度をより高めることが可能な展示台及び展示ケース、並びに、それらを用いた物品の展示方法を提供する。【解決手段】物品を展示するための展示台1であり、透明部材2により構成され、透明部材2の表面の少なくとも一部に反射防止膜3を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、展示台及び展示ケース、並びに、それらを用いた物品の展示方法に関する。
一般に、美術品、学術資料、あるいは高価な商品等の物品を展示物として展示する際、これらの展示物が、埃の付着や人が触ること等で汚れたり劣化したりすることや、展示物に外的な力が加わって損傷すること等を防止することを目的として、展示物を展示ケースに収容して保護する方法が採用されている。また、展示物を展示ケースに収容しない場合においても、展示物を展示台に載置し、例えばショーウインドーの内側に配置することで、展示物を保護する方法が採用されている。
しかしながら、上記のような方法で展示物を展示した場合、展示ケースを構成する部材の表面、あるいは、ショーウインドーの表面に、これらの外側に配置された照明器具等からの光や景色が映り込み、展示物が視認しにくくなるという問題がある。
また、近年においては、上記のような展示物の視認性を改善することに加え、さらに、展示物がより視覚的に映えるように展示することで、展示物のみが来場者に注目されるような展示方法が望まれている。
上記のような展示ケースやショーウインドーの表面への光や景色の映り込みを防止するため、例えば、透明基材の少なくとも片面側に形成された反射防止膜を備える展示物又は表示物用カバー部材が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に開示された展示物又は表示物用カバー部材によれば、反射防止膜の作用により、透明基材に光等が映り込むのを防止できることから、鑑賞者あるいは消費者(以下、「鑑賞者等」という。)からは自分と展示物との間には何も存在しないように見えるので、鑑賞者が展示物自体をはっきりと視認できるという効果が得られる。
また、所謂モスアイ構造による低反射率を有する反射低減フィルムを透明板に貼付し、この低反射透明板を展示物に覆設する展示用ケースが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特許文献2に開示された展示用ケースによれば、上記構成により、鑑賞者から展示物が滲んで見えたりすること等を防止できる効果が得られる。
国際公開第2013/132963号 特開2013-63656号公報
しかしながら、特許文献1に記載の展示物又は表示物用カバー部材では、展示物と同時に台座(基台)が鑑賞者の視界に入ることから、展示物自体への鑑賞者の注目度が十分とはならない場合があった。
また、特許文献2に記載の展示用ケースにおいても、特許文献1の場合と同様、展示物と同時に、展示物の周囲の額や標本箱等が鑑賞者の目に入ることから、展示物自体への鑑賞者の注目度が低くなるという問題があった。
このため、展示物自体に対する鑑賞者の注目度がより高められるような展示台や展示ケースが求められていた。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、光や景色の映り込みによる視認性の低下を防止できるとともに、展示物に対する鑑賞者の注目度をより高めることが可能な展示台及び展示ケース、並びに、それらを用いた物品の展示方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。この結果、展示物が配置される展示台を板状の透明部材から構成し、その一面側における少なくとも一部に反射防止膜を備えることにより、鑑賞者から見て展示台が視覚的に目立たなくなり、展示物に対する鑑賞者の注目度をより高めることが可能になることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] 透明部材により構成され、前記透明部材の表面の少なくとも一部に反射防止膜を備えた、物品を展示するための展示台。
[2] 前記反射防止膜は、平均間隔が20nm以上400nm以下、且つ、平均高さが60nm以上400nm以下とされた複数の凸部からなる微細凹凸構造を有する、上記[1]に記載の展示台。
[3] 前記展示台は、柱体の透明部材から構成される、[1]又は[2]に記載の展示台。
[4] 前記展示台は、板状の透明部材から構成される、[1]又は[2]に記載の展示台。
[5] 前記板状の透明部材の一方の面又は両方の面における少なくとも一部に反射防止膜を備える、上記[4]に記載の展示台。
[6] 前記板状の透明部材における両方の面に前記反射防止膜が設けられるとともに、該反射防止膜が、一方の面側と他方の面とで対応する位置に設けられている、上記[4]に記載の展示台。
[7] 前記板状の透明部材における一方の面又は両方の面の全面に反射防止膜を備える、上記[4]に記載の展示台。
[8] 前記透明部材がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び無機ガラスの内の少なくとも一種からなる、上記[1]~[7]の何れか一項に記載の展示台。
[9] 上記[1]~[8]の何れかに記載の展示台と、板状の透明部材から構成されるとともに、前記板状の透明部材の一方の面又は両方の面における少なくとも一部に反射防止膜を備え、前記展示台を物品が配置された状態で覆う収容カバーと、を備える展示ケース。
[10] 前記収容カバーに備えられる前記反射防止膜が、平均間隔が20nm以上400nm以下、且つ、平均高さが60nm以上400nm以下とされた複数の凸部からなる微細凹凸構造を有する、上記[9]に記載の展示ケース。
[11] 前記反射防止膜の面積は、展示される物品が前記透明部材に投影される面積以上である、上記[9]又は[10]に記載の展示ケース。
[12] 前記収容カバーは、前記板状の透明部材における両方の面に前記反射防止膜が設けられるとともに、該反射防止膜が、一方の面側と他方の面側とで対応する位置に設けられている、上記[9]~[11]の何れかに記載の展示ケース。
[13] 前記収容カバーは、前記板状の透明部材における一方の面又は両方の面の全面に反射防止膜を備える、上記[9]又は[10]に記載の展示ケース。
[14] 前記収容カバーは、前記透明部材がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び無機ガラスの内の少なくとも一種からなる、上記[9]~[13]の何れかに記載の展示ケース。
[15] 前記展示台の垂直方向における最大長が、前記物品の垂直方向における最大長以上である、上記[9]~[14]の何れかに記載の展示ケース。
[16] ショーウインドーの一方の面及び他方の面の内の一方又は両方の面の少なくとも一部に反射防止フィルムが設けられ、前記ショーウインドーの一方の面側又は他方の面側に、上記[1]~[8]の何れかに記載の展示台、あるいは、上記[9]~[15]の何れかに記載の展示ケースを配置する物品の展示方法。
[17] 前記ショーウインドーに設けられた前記反射防止フィルムが、平均間隔が20nm以上400nm以下、且つ、平均高さが60nm以上400nm以下とされた複数の凸部からなる微細凹凸構造を有する、上記[16]に記載の物品の展示方法。
本発明に係る展示台によれば、該展示台を透明部材から構成し、その表面の少なくとも一部に反射防止膜を備えることにより、光や景色の映り込みを抑制できるので、展示物である物品の視認性が低下するのを防止することが可能になる。さらに、鑑賞者から見て展示台が視覚的に目立たなくなるので、展示物に対する鑑賞者の注目度をより高めることが可能になる。
また、本発明に係る展示ケースによれば、上記の本発明に係る展示台と、板状の透明部材の一方の面又は両方の面における少なくとも一部に反射防止膜を備え、前記展示台を、物品が配置された状態で覆う収容カバーとを備えるものなので、上記同様、展示物である物品の視認性が低下するのを防止できるとともに、展示物に対する鑑賞者の注目度がより高められる。
さらに、本発明に係る物品の展示方法によれば、ショーウインドーの一方の面及び他方の面の内の一方又は両方の面の少なくとも一部に反射防止フィルムが設けられ、該反射防止フィルムが設けられた面側に、上記の本発明に係る展示台あるいは展示ケースを配置する方法なので、上記同様、展示物である物品の視認性が低下するのを防止できるとともに、展示物に対する鑑賞者の注目度がより高められる。
本発明に係る展示台、展示ケースの一実施形態を模式的に説明する図であり、展示台と収容カバーとを組み合わせた展示ケースの一例を示す概略図である。 本発明に係る展示台、展示ケースの一実施形態を模式的に説明する図であり、図1に示した展示ケース内に物品として眼鏡を配置、展示した例を示す概略図である。 本発明に係る展示台、展示ケースの一実施形態を模式的に説明する図であり、展示台を構成する透明部材、又は、展示ケースを構成する収容カバーの表面に設けられる反射防止膜の層構造の一例を示す断面図である。 本発明に係る展示台の一実施形態を模式的に説明する図であり、図4(a),(b)は、展示台を構成する板状の透明部材の形状の他の例を示す概略図である。 本発明に係る展示台の一実施形態を模式的に説明する図であり、図5(a)~(d)は、展示台を構成する板状の透明部材を中空状に構成した例を示す概略図で、図5(e)~(h)は、展示台を構成する透明部材を中実状に構成した例を示す概略図である。 本発明に係る展示台、展示ケースの一実施形態を模式的に説明する図であり、展示台と収容カバーとを上下に重ねて配置するとともに、展示台上に物品として靴を配置、展示し、この物品を収容カバーで覆った他の例を示す概略図である。 本発明に係る物品の展示方法の一実施形態を模式的に説明する図であり、図1,2に示した展示台を含む展示ケースを、ショーウインドーの表面における反射防止フィルムが設けられた面側に配置した例を示す概略図である。
以下、本発明に係る展示台及び展示ケース、並びに、それらを用いた物品の展示方法の実施の形態を挙げ、図1~図7を適宜参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる各図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。
また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本発明の展示台及び展示ケースは、例えば、美術品や学術資料の他、高価な商品等の物品を展示する際、これらの展示品を鑑賞者等から視認しやすくすることや、各展示品を保護すること等を目的として用いられるものである。
<展示台>
図1は、本実施形態の展示台1が収容カバー5に覆われて構成された展示ケース10を示す概略図であり、図2は、展示ケース10内における展示台1上に物品50として眼鏡を配置し、展示した例を示す概略図、図3は、展示台1を構成する透明部材2、又は、展示ケース10を構成する収容カバー5の表面に設けられる反射防止膜3,13の層構造の一例を示す断面図である。
本実施形態の展示台1は、透明部材2により構成され、透明部材2の表面の少なくとも一部に反射防止膜3を備えた、物品を展示するためのものであり、物品50(図2を参照)が配置される展示部22を有する。また、図示例の展示台1は、平面領域又は曲面領域の内の一方又は両方を有する板状の透明部材2から構成され、透明部材2の一面(一方の面)2a側及び他面(他方の面)2b側の内の一方又は両方の面における少なくとも一部に反射防止膜13を備える。
より具体的に説明すると、図1中に例示した展示台1は、透明部材2が、平面領域23のみを有した2枚の板状部材21A,21Bが図視略のスリット等で嵌合されることで、上面視で(図1の縦長方向上方から見て)十字状に直交するように構成されている。
また、図示例の展示台1は、透明部材2を構成する2枚の板状部材21A,21Bの何れもが、一面2a側及び他面2b側の両面全体に反射防止膜3が設けられている。また、展示台1は、上面視で十字状とされた、板状部材21A,21Bの上端側が、物品が載置される展示部22とされている。
なお、図2において、展示台1によって展示する物品50の一例として、眼鏡を配置した例を示している。
以下、本実施形態の展示台1の構成について詳述する。
[透明部材]
透明部材2の材料は、可視光を透過するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の透明樹脂の他、無機ガラス等が挙げられる。これらの材料の中でも、透明性等の光学特性、耐衝撃性、耐熱性、耐久性(耐候性)等の観点から、アクリル樹脂及び無機ガラスが好ましく、取り扱い性等の観点からアクリル樹脂がより好ましい。
さらに、透明部材2の表面には、密着性、耐擦傷性等の特性を改良する目的として、例えば、コーティング処理、コロナ処理等が施されていてもよい。
また、透明部材2の形状や、厚さ等のサイズは、展示台1の用途や使用状況等に応じて適宜選択することができる。
上述したように、図1中に示す例の展示台1を構成する透明部材2は、板状部材21A,21Bが互いに直行するように嵌合された構成とされているが、本実施形態で用いる透明部材の形状は、このような形状には限定されない。例えば、図4(a)に示すような、断面略コの字状とされた透明部材2Aから展示台を構成してもよい。また、図4(b)に示すような、断面略Z字状の透明部材2Bから展示台を構成しても構わない。即ち、図4(a)に示した透明部材2Aは、3箇所の平面領域23及び2箇所の曲面領域24を有した形状とされており、3箇所の平面領域23のうちの水平面となる1箇所が展示部22とされている。また、図4(b)に示した透明部材2Bも、3箇所の平面領域23及び2箇所の曲面領域24を有した形状とされており、3箇所の平面領域23のうちの最上面となる1箇所が展示部22とされている。なお、本実施形態においては、例えば、図4(a),(b)に示す例の透明部材の形状・構造において、曲面領域を有さずに、平面領域のみで構成される透明部材を採用してもよい。
さらに、本実施形態の展示台は、図5(a)~(d)に示すような、全体として概略柱体とされ、且つ、外殻部が板状とされた中空状の透明部材から構成してもよい。例えば、図5(a)に示すような、内部が中空とされた略三角柱状の透明部材2Cから展示台を構成してもよいし、図5(b)に示すような略円筒形状の透明部材2Dから展示台を構成してもよい。また、図5(c)に示すような、内部が中空とされた略六角柱状の透明部材2Eから展示台を構成してもよいし、図5(d)に示すような、略半円筒状の透明部材2Fから展示台を構成してもよい。即ち、図5(a)に示した透明部材2Cは、側面が3箇所の平面領域23から構成されており、図5(b)に示した透明部材2Dは、側面全体が曲面領域24とされている。また、図5(c)に示した透明部材2Eは、側面が6箇所の平面領域23から構成されており、図5(d)に示した透明部材2Fは、側面が、1箇所の平面領域23と1箇所の曲面領域24とから構成されている。また、これら中空状の柱体からなる透明部材2C,2D,2E,2Fは、何れも上端部がエッジ状(端部状)の展示部22とされている。
またさらに、本実施形態の展示台は、図5(e)~(h)に示すような、柱体とされた中実状の透明部材から構成してもよい。例えば、図5(e)に示すような、内部が中実とされた略三角柱状の透明部材2Gから展示台を構成してもよいし、図5(f)に示すような略円柱形状の透明部材2Hから展示台を構成してもよい。また、図5(g)に示すような、内部が中実とされた略六角柱状の透明部材2Jから展示台を構成してもよいし、図5(h)に示すような、略半円柱状の透明部材2Kから展示台を構成してもよい。即ち、図5(e)に示した透明部材2Gは、図5(a)に示した透明部材2Cと同様、側面が3箇所の平面領域23から構成されており、図5(f)に示した透明部材2Hは、図5(b)に示した透明部材2Dと同様、側面全体が曲面領域24とされている。また、図5(g)に示した透明部材2Jは、図5(c)に示した透明部材2Eと同様、側面が6箇所の平面領域23から構成されており、図5(h)に示した透明部材2Kは、図5(d)に示した透明部材2Fと同様、側面が、1箇所の平面領域23と1箇所の曲面領域24とから構成されている。また、これら中実状の柱体からなる透明部材2G,2H,2J,2Kは、何れも上端部が平面状の展示部22とされている。
ここで、本発明における「柱体」とは、例えば、互いに平行な二つの平面に囲まれて構成される立体のことをいい、例えば、角柱や円柱等が挙げられる。また、上記の平面は、例えば、半円や扇形等、直線と曲線で構成されたものであってもよい。
また、透明部材の形状は、可能な限り、反射面が少ないシンプルな形状であることが、上述した反射防止効果がさらに顕著に得られる点からより好ましい。
透明部材2を板状に構成した場合、その厚さとしては、特に限定されず、例えば、その全体形状に依存する強度等を勘案しながら適宜設定することができる。板状部材を組み合わせることで、展示台、収納カバーあるいは展示ケースとする場合、透明部材2の厚さは、物品を展示したときの機械的強度の確保の観点から、1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましい。また、可視光の透過性や部材の加工性の観点から、20mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。さらに透明部材は視認性や部材の加工性の観点から、均一な厚さであることが好ましい。
なお、強度をそれほど必要としない軽量の物品の展示台とする場合には、反射防止膜3を、透明部材2を介することなく、対向する面と逆向きに貼り合せたようなフィルム状の形態を採用してもよい。この場合、フィルム状の端面を視認されにくくする観点からは、このフィルム厚は500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。
ここで、本発明における「板状」とは、厚さが30mm未満であって、最小の幅が120mm以上のものと便宜的に定義する。なお、上述した「最小の幅」とは、当該板状部材の平面に沿った任意の幅の内、最小値となる位置の幅のことをいう。また、本発明においては、パイプ状(中空状)のものも「板状」に含まれるものとする。
上述したように、板状の透明部材2は、平面領域又は曲面領域を有するもの、あるいはその両方を有するものである。板状の透明部材2は、そのまま使用してもよく、あるいは、複数の透明部材2を組み合わせて使用してもよい。さらに、板状の透明部材2を成形加工することにより、様々な形状に加工して使用してもよい。
また、板状の透明部材2で構成される展示台1あるいは展示ケース10(収容カバー5)は、光が反射する面の数ができる限り少なく単純な構成が好ましい。このように、光が反射する面の数が最小限になるように構成することで、本発明によって得られる効果がより顕著となる。
[反射防止膜]
反射防止膜3は、上述したように、透明部材2の一面2a側及び他面2b側の内の一方又は両方の面における少なくとも一部に設けられる。
反射防止膜3としては、反射波の干渉により反射防止性能が付与される多層構造の反射防止膜、例えば、図3の断面図に示すような微小凹凸構造によって反射防止性能が付与される、所謂モスアイ構造を含む反射防止膜等が挙げられる。中でも、光の波長によって反射率がほとんど変化しないモスアイ構造を含む反射防止膜3が好ましい。
本実施形態で説明する反射防止膜3は、基材31上に、微細凹凸構造を有する硬化樹脂層32が積層された構成である。
(基材)
反射防止膜3を構成する基材31の材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン、メチルメタクリレート-スチレン共重合体等のスチレン樹脂;セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルスルフォン樹脂;ポリスルフォン樹脂;ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリウレタン樹脂;ガラス等が挙げられる。これらの材料の中でも、基材31の材料としては、可視光の透過率に優れることから、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂がより好ましい。
基材31の材料としてアクリル樹脂を採用する場合、その具体例としては、アクリプレン(登録商標:HBS010P、HBS006、HBA002P:三菱ケミカル社製);テクノロイ(登録商標:S000、S020、S001G、S014G、TSF001、TSF002、MX001M30、MXS001M60:エスカーボシート社製);サンデュレン(登録商標:SD009、SD010:カネカ社製);アクリビュア(登録商標:FZ、FV、HV:日本触媒社製)等が挙げられる。
ポリカーボネートの具体例としては、パンライト(登録商標:PC-1151、PC-2151、PC-1141、PC-2141、NJ-5100、NK-5101:帝人社製);C000、C001、C003、C101、C103、C010(エスカーボシート社製);PC-10、AW-10、PW-10(シャインテクノ社製);エルメックRフィルム(登録商標:カネカ社製)等が挙げられる。
ポリエステルの具体例としては、ダイアホイル(登録商標:T910E、T600E:三菱ケミカル社製);ルミラー(登録商標:U343、U483,U403,U413、UD03、UH13、UF83、QTH0、SF20:東レ社製);コスモシャイン(登録商標:A4300、A2330、TA017、TA015、TA042、TA044、TA048:東洋紡社製);ソフトシャインTA009(登録商標:東洋紡社製)等が挙げられる。
セルロース系の具体例としては、フジタック(登録商標:TD80U、TD80UL、T80UZ、T80SE、TD60ULP:富士フィルム社製);TACフィルムKC4UA(コニカミノルタ社製)等が挙げられる。
また、脂環式ポリオレフィンの具体例としては、ゼオノア(登録商標:ZF14、ZF16:日本ゼオン社製);アートンフィルム(登録商標:JSR社製);TOPAS(ポリプラスチックス社製)等が挙げられる。
(基材の形態及び厚さ)
基材31の形態としては、例えば、フィルム、シート等の公知の形態が挙げられる。これらの形態の中でも、基材31は、生産性や取り扱い性に優れるという観点から、フィルム状の形態であることが好ましい。
基材31の厚さとしては、特に限定されないが、ハンドリングの容易さや、熱力学物性の安定性、透明部材への追従性の観点から、例えば、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。また、基材31の厚さは、700μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
基材31の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、射出成形法、押出成形法、キャスト成形法等の公知の製造方法が挙げられる。これらの製造方法の中でも、生産性に優れるという観点から、押出成形法、キャスト成形法が好ましい。
また、 基材31の表面には、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性、意匠性等の特性を改良することを目的として、例えば、コーティング処理やコロナ処理、凹凸構造の形成処理等が施されていてもよい。
(微細凹凸構造(モスアイ構造))
上述したように、反射防止膜3の片側の面である一面3aには、複数の凸部32a及び複数の凸部間に形成される凹部32bとからなる微細凹凸構造が形成されている。この微細凹凸構造は、例えば、複数の凸部32aの平均間隔wが20nm以上400nm以下であり、且つ、これら凸部32aの平均高さhが60nm以上400nm以下とされている。本実施形態の展示台1に用いられる反射防止膜3は、上記のような微細凹凸構造、即ちモスアイ構造によって反射防止性能が付与される。
反射防止膜3の微細凹凸構造において、互いに隣接する凸部32a間の平均間隔wは、例えば、20nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましい。また、互いに隣接する凸部32a間の平均間隔wは、例えば、400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。微細凹凸構造において隣接する凸部32a間の平均間隔wが20nm以上であると、反射防止性能が付与されることに加え、後述する方法で、陽極酸化ポーラスアルミナの複数の細孔を転写して複数の凸部を形成する場合に、これら凸部32aを形成し易いという利点がある。また、微細凹凸構造において、互いに隣接する凸部32a間の平均間隔wが400nm以下であると、陽極酸化ポーラスアルミナの複数の細孔を転写して凸部32aを形成する場合に、細孔間隔を大きくするための電圧を抑制することができ、陽極酸化ポーラスアルミナを工業的に製造しやすいという利点がある。
なお、本明細書において、互いに隣接する凸部32a間の平均間隔wは、電子顕微鏡観察を用いて、隣接する凸部32a間の間隔(凸部32aの中心から隣接する凸部32aの中心までの距離)を無作為に10点測定し、これらの値を平均した値とする。
反射防止膜3の微細凹凸構造において、 複数の凸部32aの平均高さhは、例えば、60nm以上好ましく、90nm以上がより好ましい。また、複数の凸部32aの平均高さhは、例えば、400nm以下が好ましく、350nm以下がより好ましい。微細凹凸構造における複数の凸部32aの平均高さhが60nm以上であると、反射防止性能が付与されることに加え、最低反射率や特定波長の反射率の上昇を抑制することができ、優れた反射防止性能が得られる。また、微細凹凸構造において、複数の凸部32aの平均高さhが400nm以下であると、凸部32aを形成しやすく、凸部32aの耐擦傷性に優れるという利点がある。
なお、本明細書において、複数の凸部32aの平均高さhは、電子顕微鏡観察を用いて、凸部32aの最頂部と隣接する凹部32bの最底部との間の垂直距離を無作為に10点測定し、これらの値を平均した値とする。
また、反射防止膜3の微細凹凸構造において、 凸部32aのアスペクト比(複数の凸部32aの平均高さ/隣接する凸部32a間の平均間隔)は、例えば、0.8以上がが好ましく、1.2以上がより好ましく、1.5以上がさらに好ましい。また、凸部32aのアスペクト比は、例えば、5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下がより好ましい。微細凹凸構造における凸部32aのアスペクト比が0.8以上であると、優れた反射防止性能が得られる。また、凸部32aのアスペクト比が5.0以下であると、凸部32aを形成しやすく、凸部32aの耐擦傷性に優れるという利点がある。
上記の微細凹凸構造を構成する凸部32aの形状としては、特に限定されないが、例えば、円錐形状、角錐形状、釣鐘形状、円柱形状等が挙げられる。これらの凸部32aの各形状は、1種の形状を単独で用いてもよく、2種以上の形状を併用してもよい。また、凸部32aの形状は、近傍の空気から、微細凹凸構造を形成する材料表面までの間で、連続的に屈折率を増大させ、低反射率と低波長依存性を両立させた反射防止性能を発現させることができるという観点から、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が、最頂部から深さ方向に向けて連続的に増加する形状がより好ましい。即ち、上記のような凸部32aの各形状の中でも、特に、円錐形状、角錐形状、釣鐘形状が好ましい。
また、凸部32aは、微細な複数の凸部が合一して1つの凸部となったものであってもよい。
(硬化樹脂層)
反射防止膜3に設けられる 微細凹凸構造は、より簡便に微細凹凸構造を形成することができるという観点から、基材31上に積層される硬化樹脂層32として形成されていることが好ましい。
本実施形態で説明する硬化樹脂層32は、例えば、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる層である。硬化樹脂層32が活性エネルギー線硬化性組成物からなることで、透明部材2や基材31と比較して、耐擦傷性、耐溶剤性に優れることから、アルコール、酸、アルカリ、塩素等の成分を含む消毒剤の使用や清掃により、傷つき及び白化等の変質が生じるのを防止できる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する組成物である。
活性エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等が挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化性に優れることから、紫外線、電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、重合性化合物、重合開始剤、及び、必要に応じて、他の添加剤を含むことが好ましい。
重合性化合物としては、例えば、分子中にラジカル重合性結合及びカチオン重合性結合の少なくとも1種を含むモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。これらの重合性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等を有する単官能モノマー、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等を有する多官能モノマー等が挙げられる。これらのラジカル重合性結合を有するモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称であり、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマー等が挙げられる。これらのカチオン重合性結合を有するモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分子中にラジカル重合性結合及びカチオン重合性結合の少なくとも1種を含むオリゴマー又は反応性ポリマーとしては、例えば、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル化合物;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;ポリオール(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;カチオン重合型エポキシ化合物;側鎖に前記ラジカル重合性結合を有するモノマーの単独又は共重合ポリマー等が挙げられる。これらの分子中にラジカル重合性結合及びカチオン重合性結合の少なくとも1種を含むオリゴマー又は反応性ポリマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、例えば、公知の光重合開始剤、公知の電子線重合開始剤、公知の熱重合開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の添加剤としては、例えば、非反応性のポリマー、酸化防止剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等が挙げられる。これらの他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態で用いられる反射防止膜3は、以下に説明するように、撥水性や親水性を考慮し、微細凹凸構造を有する面側、即ち、図3中に示す例における一面3a側(硬化樹脂層32)の水接触角が90°以上、又は、25°以下であることが好ましい。
即ち、微細凹凸構造を有する側の表面に撥水性を付与する場合、具体的には、微細凹凸構造を有する一面3aと水との接触角を90°以上とする場合、疎水性を発現する材料を得ることが可能な活性エネルギー線硬化性組成物として、フッ素含有化合物、シリコーン系化合物、長鎖アルキル系化合物を硬化樹脂層32に含むことが好ましい。微細凹凸構造の表面が撥水性を有することで、反射防止膜3の一面3a側における水等の液滴の付着を抑制できる。
一方、微細凹凸構造を有する側の表面に親水性を付与する場合、具体的には、微細凹凸構造を有する一面3aと水との接触角を25°以下とする場合、親水性を発現する材料を得ることが可能な活性エネルギー線硬化性組成物として、四官能以上の多官能(メタ)アクリレートと二官能以上の親水性(メタ)アクリレートとを併用した材料を硬化樹脂層32に含むことが好ましい。微細凹凸構造の表面が親水性を有することで、反射防止膜3の一面3a側に曇り止め作用(防曇性)を付与できる。これにより、微細凹凸構造を有する一面3aにおいて、アルコール等が濡れ広がりやすくなるので、消毒や清掃が容易になる。
活性エネルギー線硬化性組成物の具体的な組成等は、例えば、特開2013-175733号公報、特開2015-129947号公報に記載された組成等が挙げられる。
モールドと基材31との間に活性エネルギー線硬化性組成物を挟持する方法としては、例えば、モールドと基材31との間に活性エネルギー線硬化性組成物を配置した状態でモールドと基材31とを押圧することによって、モールドの微細凹凸構造に活性エネルギー線硬化性組成物を注入する方法等が挙げられる。
(微細凹凸構造の形成方法)
上記のような、反射防止膜3に微細凹凸構造を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、以下に説明する方法(1)~(3)等が挙げられる。
方法(1):微細凹凸構造の反転構造を表面に有する図視略のモールドを用いて射出成形又はプレス成形を行い、反射防止膜3の表面(他面6b)に直接微細凹凸構造を形成する方法。
方法(2):微細凹凸構造の反転構造を有するモールドと基材31との間に活性エネルギー線硬化性組成物を挟持した状態で、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて硬化樹脂層32(図3を参照)を形成した後、硬化樹脂層32とモールドとを分離する方法。
方法(3):微細凹凸構造の反転構造を有するモールドと基材31との間に活性エネルギー線硬化性組成物を挟持し、活性エネルギー線硬化性組成物にモールドの微細凹凸構造を転写してからモールドを分離した後、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて硬化樹脂層32を形成する方法。
上記の方法(1)~(3)に示す方法の中でも、 微細凹凸構造の転写性に優れ、また、表面組成の自由度に優れるという観点から、硬化樹脂層32を形成する方法(2)又は方法(3)が好ましく、方法(2)がより好ましい。
微細凹凸構造の形成に用いるモールドとしては、特に限定されないが、例えば、リソグラフィ法によって表面に微細凹凸構造の反転構造を設けたモールド、レーザー加工によって表面に微細凹凸構造の反転構造を設けたモールド、複数の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールド、微細凹凸構造を有するマザーモールドから電鋳法等で複製されたレプリカモールド等が挙げられる。これらのモールドの中でも、反射防止性能に優れ、低コストで大面積の微細凹凸構造を形成し易いという観点から、複数の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドを用いることが好ましい。
リソグラフィ法としては、例えば、電子ビームリソグラフィ法、レーザー干渉リソグラフィ法等が挙げられる。
リソグラフィ法によって表面に微細凹凸構造の反転構造を設けたモールドを製造する方法としては、例えば、基材の表面にフォトレジスト膜を塗布し、紫外線レーザー、電子線、X線等で露光し、現像することによって、レジストパターンからなる微細凹凸構造を表面に有するモールドを得る方法;レジストパターンを介して、基材をドライエッチング等によって選択的にエッチングした後、レジストパターンを除去することによって、微細凹凸構造が基材の表面に直接形成されたモールドを得る方法等が挙げられる。
複数の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドを製造する方法としては、例えば、アルミニウムを、シュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧で陽極酸化する方法等が挙げられる。
また、陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドを製造する方法としても、例えば、アルミニウムを、シュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧で陽極酸化する方法が挙げられる。
上記のような、 アルミニウムを、シュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧で陽極酸化する方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、酸化皮膜の全部又は一部を一旦除去し、再び陽極酸化することで、非常に規則性の高い細孔が自己組織化的に形成された陽極酸化ポーラスアルミナを形成できるため、好ましい。また、2回目に陽極酸化する工程において、陽極酸化処理と孔径拡大処理とを組み合わせることで、矩形状の断面形状のみならず、三角形状や釣鐘型の断面形状である細孔を形成することも可能となる。さらに、陽極酸化処理及び孔径拡大処理の時間、回数、条件等を適宜調節することにより、細孔最奥部の角度が鋭くなるように形成することも可能となる。
上記のような、陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドを製造する方法の具体例は、例えば、特開2015-129706号公報に記載された方法等が挙げられる。
モールドの形状としても、特に限定されないが、例えば、平板状、ベルト状、ロール状等が挙げられる。これらのモールドの各形状の中でも、連続的に微細凹凸構造を転写することができ、基材の生産性に優れることから、ベルト状やロール状であることが好ましい。
(その他の層)
反射防止膜3は、上述した基材31及び硬化樹脂層32に加え、その他の各種機能を有する層を備えることができ、例えば、反射防止膜3を透明部材2に貼付するための図視略の粘着層を備えることが好ましい。この場合、粘着層は、基材31において硬化樹脂層32が備えられる側とは反対側の面に設けられる。
上記のような粘着層に用いる粘着剤としては、貼り易さ、位置合わせのし易さ、エア抜け性等の観点から、自己吸着タイプの粘着剤を用いることが好ましい。即ち、粘着層には、例えば、シリコーン系、ウレタン系、オレフィン系の内の少なくとも一つを含む粘着剤を用いることが好ましい。これらの粘着剤は、十分な耐溶剤性を有しており、また、アルコールで粘着面をふき取っても直ぐに乾燥することから、速やかに貼付することができる。このような粘着剤の具体例としては、パナック社製ゲルポリ(オレフィン系)、きもと社製ProsaveSQ(シリコーン系)、日榮新化社製ウレタン系微粘着剤等が挙げられる。
ここで、例えばアクリル系等の粘着剤は粘着力が強すぎるため、このような粘着剤を用いた場合には、位置決めのための貼り直しが難しくなる懸念がある。これに対し、粘着層に上記の粘着剤を用いた場合には、剥離可能であって、且つ、貼り易さや位置合わせのし易さに優れたものとなる。また、透明部材が、図4(a),(b)に示す例のような曲面領域24を含むものである場合でも、その形状に良好に追随させながら、上記の微細凹凸構造を有する反射防止膜3を貼付することができる。
なお、粘着層を設ける場合、その厚さは、エア抜け性に優れ貼り易い点から、10μm以上であることが好ましく、粘着層の形成が容易であって生産性に優れる点から、200μm以下であることが好ましい。
また、反射防止膜3は、さらに、上記の粘着層を保護するための図視略の剥離フィルムと、反射防止膜3に設けられた微細凹凸構造を保護するための剥離可能な図視略の剥離フィルムとを備えた、透明部材に貼付して展示台1を製造するための積層体として構成されていてもよい。
即ち、例えば、反射防止膜3を透明部材2に貼付する際は、図視略の剥離フィルムを粘着層から剥離し、粘着層の粘着面を露出させることで、簡便な手順で貼付することができる。
剥離フィルムに用いる基材としては、以下に説明する図視略の保護フィルムの基材と同様のものを用いることができる。
また、図視略の保護フィルムは、反射防止膜3における微細凹凸構造が設けられた一面3a上に積層される。
保護フィルムとしては、反射防止膜3から剥離した後に、反射防止膜3の一面3a上に糊残り等し難いものが好ましい。
保護フィルムは、通常、フィルム基材上に粘着剤が積層された積層構造を有する。つまり、保護フィルムにおける、反射防止膜3の一面3aと接する面、即ち、反射防止膜3における微細凹凸構造が設けられた面と接する面に粘着剤が積層されている。
保護フィルムに用いられる粘着剤としては、公知のものを用いることができるが、可視光を透過する材料からなるものを採用することが好ましい。保護フィルムに用いられる粘着剤の具体例としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合(EVA)系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤等が挙げられる。また、保護フィルムに用いられる粘着剤としては、各種接着剤等も挙げられる。
保護フィルムに用いられる基材としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セロハン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリブテン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、アセチルセルロース等の材料からなるものが挙げられる。
また、保護フィルムとしては、予め粘着剤が積層された市販品を用いてもよい。このような市販品としては、例えば、サンエー化研社製のポリオレフィン系フィルム「PAC-4-50(商品名)」、「PETベースマスキングSAT116タイプ(商品名)」、スミロン社製の「EC-2035(商品名)」、パナック社製「LR」等が挙げられる。
なお、反射防止膜3の微細凹凸構造が設けられた一面3aと反対側の他面側に粘着層を積層する際は、一面3aに微細凹凸構造を形成した後に、粘着剤を塗布して粘着層を形成することが好ましい。このような工程順とすることで、図3に示すような反射防止膜3を含む積層体を製造するのが容易になる。
(透明部材への反射防止膜の配置位置)
反射防止膜3は、上述したように、透明部材2の表面の少なくとも一部に設けられ、透明部材2の一面2a側及び他面2b側の内の一方の面又は両方の面における少なくとも一部に設けられるものであり、図1及び図2に示す例では、透明部材2を構成する板状部材21A,21Bの一面2a側及び他面2b側の全面にわたって設けられている。
また、反射防止膜3は、透明部材2の一方の面にのみ設ける場合には、例えば一面2a側に設けてもよいし、あるいは他面2b側に設けてもよい。
本実施形態においては、反射防止膜3の貼付面を上記の何れの面とした場合においても、微細凹凸構造による優れた反射防止効果が得られることで、図2中に示した物品50を、鑑賞者等が明瞭に視認することが可能になる。より具体的には、透明部材2の何れかの面の全面に反射防止膜3が設けられていることで、図2に示すように、透明部材2の存在が、鑑賞者等から見てほぼ目立たなくなり、物品50が宙に浮き上がっているように見える効果が得られる。
また、本実施形態においては、透明部材2の一面2a側及び他面2b側の両面に反射防止膜3を設けることが、より優れた反射防止効果が得られる点から好ましく、透明部材2の両方の面の全面にわたって反射防止膜3を設けることがより好ましい。
さらに、反射防止膜3を透明部材2の両面に設ける場合には、反射防止膜3が、一面2a側と他面2b側とで対応する位置、即ち、透明部材2を介して重なる位置で設けられていることが、顕著な反射防止効果が得られる点でより好ましい。
なお、反射防止膜3を、透明部材2の何れかの面にのみ設ける場合には、例えば、物品を載置する展示部22の位置に反射防止膜3を設けることが、上述した反射防止効果により、図2中に示した物品50を、鑑賞者等が明瞭に視認できる点で好ましい。
しかしながら、本実施形態では、透明部材2の何れかの面の全面、あるいは、両面の全面に反射防止膜3を設けることが、図1中に示した2枚の板状部材21A,21Bが直交してなる透明部材2のような形状のみならず、如何なる形状の透明部材であっても、反射防止効果により、鑑賞者等が透明部材2を意識することなく、物品のみを明瞭に視認できる点から好ましい。即ち、透明部材の両面に反射防止膜3を設けることにより、例えば、図5(a)に示した透明部材2C、又は図5(c)に示した透明部材2Eのように平面領域23が比較的多い形状である場合、あるいは、図5(b)に示した透明部材2D、又は図5(d)に示した透明部材2Eのように曲面領域24が比較的多く設けられた形状の何れであっても、鑑賞者が物品のみを明瞭に視認することが可能になる。
<展示ケース>
以下に、本実施形態の展示ケース10について、上記の展示台1の説明と同じ図面を引用しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の展示ケース10は、上述した本実施形態の展示台1が収容カバー5に覆われて構成されている。より具体的には、展示ケース10は、本実施形態の展示台1と、板状の透明部材20から構成されるとともに、透明部材20の一面20a側及び他面20b側の内の一方の面又は両方の面における少なくとも一部に反射防止膜13を備え、展示台1を物品50が配置された状態で覆う収容カバー5とを備え、概略構成される。
収容カバー5は、図1及び図2に示す例のように、展示台1全体を覆うことができるよう、前板51、天板52、側板53,53、及び底板54からなり、背面側が開口した概略箱状に構成される。図示例の収容カバー5は、前板51、天板52、側板53,53、及び底板54が平板状(平面領域)とされている。
また、収容カバー5は、底板54上に展示台1を設置することで、この展示台1を覆いながら、該展示台1及びその上に配置される物品50を外部から視認することが可能な透明部材20から構成されている。
収容カバー5を構成する透明部材20としては、展示台1を構成する透明部材2と同様、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び無機ガラスの内の少なくとも一種からなる材料を何ら制限無く採用することができる。
また、板状の透明部材20としては、平面領域又は曲面領域の内の一方又は両方を有するものを用いることができる。
図1及び図2に示す例において、収容カバー5の外面側となる透明部材20の一面20a側、及び、内面側となる透明部材20の他面20b側には、その全面を覆うように反射防止膜13が設けられている。透明部材20の一面20a側及び他面20b側に設けられる反射防止膜13は、上述した展示台1の場合と同様、一面20a及び他面20bの内の何れかの面の全面を覆うように設けてもよいし、両面の全面を覆うように設けてもかまわない。
また、上述したように、反射防止膜13は、例えば、透明部材20の一面20a側における一部にのみ反射防止膜13が設けられた構成であってもよいし、他面20b側の一部にのみ反射防止膜13が設けられた構成であってもよい。このように、反射防止膜13を、透明部材20の何れかの面の一部に設ける場合には、例えば、鑑賞者等が展示ケース10内を見たときに、透明部材20(収容カバー5)において物品50が視覚的に透過する位置で、反射防止膜13を設けることが好ましい。
また、透明部材20における一面20a側及び他面20b側の両方の面に反射防止膜13を設ける場合には、反射防止膜13が、一面20a側と他面20b側とで対応する位置で設けられていることが、反射防止効果が顕著に得られる観点から好ましい。
反射防止膜13としては、上述した展示台1に用いられる反射防止膜3と同様の材料及び層構造を有するものを用いることができる。
即ち、反射防止膜13としても、上述した反射防止膜3と同様、平均間隔が20nm以上400nm以下、且つ、平均高さが60nm以上400nm以下とされた複数の凸部からなる微細凹凸構造を有する、所謂モスアイ構造とされたものを採用することが好ましい。
なお、本実施形態の展示ケース10における、展示台1及び収容カバー5と、展示する物品50との寸法関係は特に限定されないが、例えば、展示台1の垂直方向(図1及び図2の縦長方向)における最大長が、物品50の垂直方向における最大長以上であることが好ましく、さらに、収容カバー5の寸法が、上記関係とされた展示台1及び物品50を収容可能な寸法であることが好ましい。展示台1、収容カバー5、及び物品50の各寸法が上記のような関係であることにより、鑑賞者等から見て展示台1や収容カバー5が視覚的に目立たなくなるので、物品50が宙に浮き上がっているように見え、展示物に対する鑑賞者の注目度がより高められる効果がより顕著に得られる。
また、本実施形態の展示ケース10においては、収容カバー5の表面に設けられる反射防止膜13の面積が、展示される物品50が透明部材20に投影される面積以上であることが好ましい。このように、反射防止膜13の面積を、物品50の透明部材20への投影面積以上とすることにより、上述したような、展示物である物品50の視認性が低下するのを防止でき、また、展示物に対する鑑賞者の注目度がより高められる効果がより顕著に得られる。
なお、本発明における「反射防止膜の面積」とは、見かけの面積、即ち、平面視における表面的な面積のことをいい、例えば、微細凹凸構造における側面等の表面積は含めない面積である。
また、図1等においては、収容カバー5を構成する透明部材20が、それぞれ平板状(平面領域)とされた前板51、天板52、側板53,53、及び底板54からなる例を説明しているが、これには限定されず、例えば、曲面状(曲面領域)を含む形状の透明部材を用いてもよい。
ここで、本実施形態の展示ケース10が対象とする可視光、即ち、透明部材20及びその表面に設けられた反射防止膜13を透過することで、物品の鑑賞者等が視認できる可視光の波長は、400~800nmである。
そして、本実施形態の展示ケース10における、400~800nmの波長を有する可視光の透過率は、93%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上がさらに好ましい。
<物品の展示方法>
以下に、本実施形態の展示台1又は展示ケース10を用いて、ショーウインドーを介して物品を展示する方法について、図7の他、上記の展示台1及び展示ケース10の説明と同じ図面(図1,2)を引用しながら説明する。
本実施形態の物品の展示方法は、ショーウインドー60の一面(一方の面)60a及び他面(他方の面)60bの内の一方又は両方の面の少なくとも一部に反射防止フィルム3Aが設けられ、該反射防止フィルム3Aが設けられた一面60a側又は他面60b側に、上述した本実施形態の展示台1、あるいは、展示ケース10を配置する展示方法である。図7に示す例では、ショーウインドー60の一面60a及び他面60bの両方の面の全面に反射防止フィルム3Aが設けられている。
本実施形態の展示方法で説明するショーウインドー60とは、例えば、百貨店やブティック等の商業施設の他、博物館の展示室等に設置される、比較的肉厚で強度が高く、且つ可視光の透過度が高く、視覚的に美麗なガラス又はアクリル等からなるものである。
ショーウインドー60の何れかの面に設けられる反射防止フィルム3Aとしては、上述した本実施形態の展示台1に備えられる反射防止膜3、あるいは、展示ケース10に備えられる反射防止膜13と同じものを採用することができる。
また、反射防止フィルム3Aは、上記同様、平均間隔が20nm以上400nm以下、且つ、平均高さが60nm以上400nm以下とされた複数の凸部からなる、所謂モスアイ構造(微細凹凸構造)を有するものであることが、顕著な反射防止効果が得られる点から好ましい。
本実施形態の物品50の展示方法によれば、上記のように、ショーウインドー60の一面60a及び他面60bの内の少なくとも何れかの面に反射防止フィルム3Aが設けられ、該反射防止フィルム3Aが設けられた面の側に、本実施形態の展示台1又は展示ケース10を配置する方法を採用している。これにより、上述した本実施形態の展示台1及び展示ケース10の場合と同様、光や景色の映り込みを抑制でき、物品50の視認性が低下するのを防止できる効果が得られる。また、鑑賞者等から見て展示台1や収容カバー5が視覚的に目立たなくなるので、物品50が宙に浮き上がっているように見え、展示物に対する鑑賞者の注目度がより高められる効果が得られる。
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の展示台1によれば、該展示台1を板状の透明部材2から構成し、その一面2a側及び他面2b側の内の一方又は両方の面における少なくとも一部に反射防止膜3を備えることにより、光や景色の映り込みを抑制できるので、展示物である物品50の視認性が低下するのを防止することが可能になる。さらに、鑑賞者から見て展示台1が視覚的に目立たなくなるので、展示物に対する鑑賞者の注目度をより高めることが可能になる。
また、本実施形態の展示ケース10によれば、上記の本実施形態に係る展示台1と、該展示台1を、物品50が配置された状態で覆う収容カバー5とを備えるものなので、上記同様、展示物である物品50の視認性が低下するのを防止できるとともに、展示物に対する鑑賞者の注目度がより高められる。
また、本実施形態の物品の展示方法によれば、ショーウインドー60の一面60a及び他面60bの内の一方又は両方の面の少なくとも一部に反射防止フィルム3Aが設けられ、該反射防止フィルム3Aが設けられた面の側に、上記の本実施形態に係る展示台1あるいは展示ケース10を配置する方法なので、上記同様、展示物である物品50の視認性が低下するのを防止でき、また、展示物に対する鑑賞者の注目度がより高められる。
<その他の形態>
以上、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述したが、本実施形態で説明する各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
一例として、図2(図7も参照)においては、展示台1が、物品50が配置された状態で収容カバー5に覆われた例の展示ケース10を示しているが、これには限定されない。例えば、図6に示した展示ケース10Aのように、物品50Aが載置された展示台1Aの上に収容カバー5Aが配置され、且つ、収容カバー5Aが、展示台1Aを覆うこと無く、物品50Aのみを覆うように配置された構成を採用してもよい。図示例においては、展示台1Aの上部に物品50Aとしてハイヒール靴が配置され、このハイヒール靴(物品50A)のみを覆うように収容カバー5Aが配置されている。
上述した展示ケース10Aのような構成を採用した場合でも、図2等に示した展示ケース10と同様、物品50Aの視認性が低下するのを防止でき、また、展示物に対する鑑賞者の注目度がより高められる効果が得られる。
以下、実施例、比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例等に限定されるものではない。
本実施例においては、まず、図1に示すような、展示台1を含む展示ケース10を作成し、以下に示すような方法で可視光の透過率を評価した。なお、透明部材2,20に貼付する反射防止膜3,13は、以下に説明する製造例1~4に示す方法で作製した。
[可視光の透過率の測定]
以下に説明する実施例及び比較例で得られた展示台及び展示ケースに備えられる透明部材の可視光の透過率を、市販の分光光度計(機種名「U-4000」、(株)日立製作所製)を用いて測定した。
[視認性の評価方法]
以下に説明する実施例及び比較例で得られた展示台及び展示ケースにおいて、展示台上に物品を配置した状態を評価者が目視確認することで、以下の評価基準により、展示物となる物品の視認性を評価した。
(1)○:外部からの光による反射がほとんど無く、物品が明瞭に視認でき、且つ、物品が中に浮き上がったように視認できる。
(2)×:外部からの光による反射が顕著に発生し、物品を明瞭に視認することができない一方、展示台がはっきりと視認できる。
[製造例1]モールドの製造
純度99.99%のアルミニウムインゴットを、外径200mm、内径155mm、長さ350mmに切断した圧延痕の無い円筒状のアルミニウム基材に羽布研磨処理を施した後、過塩素酸/エタノール混合溶液中(体積比=1/4)で電解研磨し、鏡面化した。
次いで、アルミニウム基材に対し、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で10分間、陽極酸化を実施した。その後、アルミニウム基材を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に浸漬して、酸化皮膜を除去した。
次いで、酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、30℃の5質量%リン酸水溶液に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を実施した(孔径拡大処理工程)。
その後、アルミニウム基材に対し、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を実施した(酸化皮膜成長工程)。
そして、上記の孔径拡大処理工程と酸化皮膜成長工程とを合計4回繰り返し、最後に孔径拡大処理工程を行うことで、設計上で平均間隔100nm、深さ200nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状のモールドを得た。
[製造例2]活性エネルギー線硬化性組成物の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート25質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート25質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート25質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのエチレンオキサイド変性化合物25質量部を混合し、さらに、第1の光重合開始剤(商品名「イルガキュア184(登録商標)」、BASF社製)1質量部、第2の光重合開始剤(商品名「イルガキュア819(登録商標)」、BASF社製)0.5質量部、及び、添加剤(商品名「TDP-2」、日光ケミカルズ(株)製)0.1質量部を加えて混合し、活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
[製造例3]微細凹凸構造(モスアイ構造)を含む反射防止膜の製造
製造例1で得られたロール状のモールドを回転させ、モールドの外周面に沿ってモールドの回転方向にポリエチレンテレフタレート基材(商品名「ルミラーU403(登録商標)」、東レ(株)製、厚さ50μm)を走行させながら、モールドの外周面と走行している基材との間に、製造例2で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を供給し、紫外線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた。得られた硬化物をモールドから剥離し、微細凹凸構造(モスアイ構造)を含む反射防止膜3,13を製造した。得られた反射防止膜3,13の微細凹凸構造は、複数の凸部32aの平均間隔wが100nm、平均高さhが200nmであった。なお、複数の凸部32aの平均間隔w及び平均高さhは、特開2013-175733号公報に記載の方法(当該文献の段落0159を参照)により測定した。
[製造例4]微細凹凸構造(モスアイ構造)を含む反射防止膜の製造
製造例1で得られたロール状のモールドを回転させ、モールドの外周面に沿ってモールドの回転方向にトリアセチルセルロース基材(商品名「TD80ULM」、富士フィルム(株)製、厚さ80μm)を走行させながら、モールドの外周面と走行している基材との間に、製造例2で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を供給し、紫外線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた。得られた硬化物をモールドから剥離し、微細凹凸構造(モスアイ構造)を含む反射防止膜3,13を製造した。得られた反射防止膜3,13の微細凹凸構造は、複数の凸部32aの平均間隔wが100nm、平均高さhが200nmであった。なお、複数の凸部32aの平均間隔w及び平均高さhは、製造例3と同様の方法で測定した。
[実施例1]
上記の製造例3で得られた反射防止膜3における微細凹凸構造のある側と反対側の面に、粘着剤を厚さ50μmで塗布して粘着層を形成した。
また、アクリル樹脂からなる板状部材を用い、図1中に示すような透明部材2を作製した。
次いで、上記の粘着層を介して、透明部材2全体における一面2a及び他面2bの両面に反射防止膜3を貼付することにより、図1中に示すような展示台1を得た。なお、粘着層には、テクノフローワン社製シリコーン系粘着剤を使用した。
そして、上述した方法により、反射防止膜3が貼付された透明部材2の可視光の透過率を測定し、結果を下記表1に示した。
また、上記の評価基準により、物品50の視認性を評価し、結果を下記表1に示した。
[実施例2]
上記の製造例4で得られた反射防止膜3を、実施例1と同様、透明部材2全体における各面の一面2a及び他面2bの両面に貼付することにより、図1中に示すような展示台1を得た。
そして、実施例1と同様の方法で、反射防止膜3が貼付された透明部材2の可視光の透過率を測定するとともに、物品50の視認性を評価し、結果を下記表1に示した。
[実施例3]
上記の製造例3で得られた反射防止膜13における微細凹凸構造のある側と反対側の面に、粘着剤を厚さ50μmで塗布して粘着層を形成した。
また、アクリル樹脂からなる透明部材を用い、図1中に示すような、展示ケース10を構成する概略箱状の収容カバー5を作製した。
次いで、上記の粘着層を介して、透明部材20全体における一面20a及び他面20bの両面に反射防止膜13を貼付することにより、図1中に示すような収容カバー5を得た。なお、粘着層には、実施例1に示した反射防止膜3の場合と同様、テクノフローワン社製シリコーン系粘着剤を使用した。
そして、上述した方法により、反射防止膜13が貼付された透明部材20の可視光の透過率を測定し、結果を下記表1に示した。
さらに、実施例1で得られた展示台1を収容カバー5内に収容した状態で物品50の視認性を評価し、結果を下記表1に示した。
[実施例4]
上記の製造例4で得られた反射防止膜13を、実施例3と同様、透明部材20全体における一面20a及び他面20bの両面に反射防止膜3を貼付することにより、図1中に示すような収容カバー5を得た。
そして、実施例3と同様の方法で、反射防止膜13が貼付された透明部材20の可視光の透過率を測定し、結果を下記表1に示した。
さらに、実施例2で得られた展示台1を収容カバー5内に収容した状態で物品50の視認性を評価し、結果を下記表1に示した。
[比較例1]
透明部材2の表面に反射防止膜3を貼付しなかった点を除き、実施例1と同様の手順で展示台を作製した。
そして、上記同様の方法で透明部材2の可視光の透過率を測定するとともに、物品の視認性を評価し、結果を下記表1に示した。
[比較例2]
透明部材20の表面に反射防止膜13を貼付しなかった点を除き、実施例3と同様の手順で収容カバーを作製した。
そして、上記同様の方法で透明部材20の可視光の透過率を測定するとともに、比較例1の展示台をを収容カバー内に収容した状態で物品の視認性を評価し、結果を下記表1に示した。
Figure 2022100552000002
<評価結果>
表1中に示したように、実施例1,2の展示台1は、反射防止膜3を両面に設けた透明部材2の可視光の透過率が99%(実施例1)及び99%(実施例2)であり、光の反射が抑制されていることが確認できた。
また、実施例1,2の展示台1は、視認性の評価が「○」であり、外部からの光による反射がほとんど無く、物品が明瞭に視認でき、且つ、物品が中に浮き上がったように視認することができ、展示品となる物品の注目度が高められることが確認できた。
また、実施例3,4の収容カバー5は、反射防止膜13を両面に設けた透明部材20の可視光の透過率が99%(実施例3)及び99%(実施例4)であり、であり、光の反射が抑制されていることが確認できた。
また、実施例3,4の収容カバーは、実施例1又は実施例2の展示台1を収容して展示ケース10を構成したときの視認性の評価が「○」であり、外部からの光による反射がほとんど無く、物品が明瞭に視認でき、且つ、物品が中に浮き上がったように視認することができ、展示品となる物品の注目度が高められることが確認できた。
これに対し、透明部材の表面に反射防止膜3設けなかった比較例1の展示台は、反射防止膜を設けなかった透明部材の可視光の透過率が92%であり、光の反射が顕著に発生していることが確認された。
また、比較例2の収容カバーは、比較例1の展示台を収容して展示ケースを構成したときの視認性の評価が「×」であり、外部からの光による反射が顕著に発生し、物品を明瞭に視認することができない一方、展示台がはっきりと視認できることが確認された。
以上説明した実施例の結果より、本発明に係る展示台及び展示ケースが、反射防止性能に優れるとともに、展示物となる物品に対する鑑賞者の注目度をより高めることが可能であることが明らかとなった。
本発明の展示台及び展示ケースは、光や景色の映り込みによる視認性の低下を防止できるとともに、展示物に対する鑑賞者の注目度をより高めることが可能なものである。従って、本発明の展示台及び展示ケースは、例えば、美術品や学術資料の他、高価な商品等の物品を展示する用途等において非常に好適である。
1,1A…展示台
2…透明部材
2a…一面
2b…他面
21A,21B…板状部材
22…展示部
23…平面領域
24…曲面領域
2A,2B,2C,2D,2E,2F…透明部材
3…反射防止膜
3a…一面
31…基材
32…硬化樹脂層
32a…凸部
32b…凹部
10,10A…展示ケース
5,5A…収容カバー
20…透明部材
20a…一面
20b…他面
13…反射防止膜
51…前板
52…天板
53…側板
54…底板
60…ショーウインドー
60a…一面(一方の面)
60b…他面(他方の面)
3A…反射防止フィルム
50,50A…物品

Claims (17)

  1. 透明部材により構成され、前記透明部材の表面の少なくとも一部に反射防止膜を備えた、物品を展示するための展示台。
  2. 前記反射防止膜は、平均間隔が20nm以上400nm以下、且つ、平均高さが60nm以上400nm以下とされた複数の凸部からなる微細凹凸構造を有する、請求項1に記載の展示台。
  3. 前記展示台は、柱体の透明部材から構成される、請求項1又は請求項2に記載の展示台。
  4. 前記展示台は、板状の透明部材から構成される、請求項1又は請求項2に記載の展示台。
  5. 前記板状の透明部材の一方の面又は両方の面における少なくとも一部に反射防止膜を備える、請求項4に記載の展示台。
  6. 前記板状の透明部材における両方の面に前記反射防止膜が設けられるとともに、該反射防止膜が、一方の面側と他方の面とで対応する位置に設けられている、請求項4に記載の展示台。
  7. 前記板状の透明部材における一方の面又は両方の面の全面に反射防止膜を備える、請求項4に記載の展示台。
  8. 前記透明部材がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び無機ガラスの内の少なくとも一種からなる、請求項1~請求項7の何れか一項に記載の展示台。
  9. 請求項1~請求項8の何れか一項に記載の展示台と、
    板状の透明部材から構成されるとともに、前記板状の透明部材の一方の面又は両方の面における少なくとも一部に反射防止膜を備え、前記展示台を物品が配置された状態で覆う収容カバーと、を備える展示ケース。
  10. 前記収容カバーに備えられる前記反射防止膜が、平均間隔が20nm以上400nm以下、且つ、平均高さが60nm以上400nm以下とされた複数の凸部からなる微細凹凸構造を有する、請求項9に記載の展示ケース。
  11. 前記反射防止膜の面積は、展示される物品が前記透明部材に投影される面積以上である、請求項9又は請求項10に記載の展示ケース。
  12. 前記収容カバーは、前記板状の透明部材における両方の面に前記反射防止膜が設けられるとともに、該反射防止膜が、一方の面側と他方の面側とで対応する位置に設けられている、請求項9~請求項10の何れか一項に記載の展示ケース。
  13. 前記収容カバーは、前記板状の透明部材における一方の面又は両方の面の全面に反射防止膜を備える、請求項9又は請求項10に記載の展示ケース。
  14. 前記収容カバーは、前記透明部材がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び無機ガラスの内の少なくとも一種からなる、請求項9~請求項13の何れか一項に記載の展示ケース。
  15. 前記展示台の垂直方向における最大長が、前記物品の垂直方向における最大長以上である、請求項9~請求項14の何れか一項に記載の展示ケース。
  16. ショーウインドーの一方の面及び他方の面の内の一方又は両方の面の少なくとも一部に反射防止フィルムが設けられ、前記ショーウインドーの一方の面側又は他方の面側に、請求項1~請求項8の何れか一項に記載の展示台、あるいは、請求項9~請求項15の何れか一項に記載の展示ケースを配置する物品の展示方法。
  17. 前記ショーウインドーに設けられた前記反射防止フィルムが、平均間隔が20nm以上400nm以下、且つ、平均高さが60nm以上400nm以下とされた複数の凸部からなる微細凹凸構造を有する、請求項16に記載の物品の展示方法。

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