JP2022097122A - ボイラ及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】NOxを効果的に抑制することのできるボイラ及びその制御方法を提供することを目的とする。【解決手段】ボイラ10は、火炉において鉛直方向に配置された複数のバーナ203と、各バーナ203は鉛直方向に対して複数のブロック(上段、中段、及び下段)に分割されており、ボイラ10の燃焼状態に応じて、上段、中段、及び下段のブロック毎にバーナ203の運転状態(還元域の範囲)を調整する制御装置205とを備える。【選択図】図3
Description
本開示は、ボイラ及びその制御方法に関するものである。
発電用ボイラなどで用いられる大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数のバーナが火炉の周方向に沿って配設されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3)。また、ボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、バーナが火炉内に燃料と空気(酸化性ガス)との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。
ボイラでは、炉内脱硝方式が採用される場合がある。炉内脱硝方式では、火炉内に主燃焼域、還元域、及び燃焼完結域を形成し、還元域において燃焼ガスに含まれるNOxを還元して燃焼ガス中のNOx量を低減する。しかし、炭種等に影響を受ける燃焼状態によっては、主燃焼域が広くなって還元域が狭くなり、燃焼ガス中のNOxが十分に還元されない可能性がある。
このような場合には、火炉内において主燃焼域全体を下方へ移動させ還元域を確保することが考えられるが、下方へ移動させた場合には炉底部周辺の炉内温度が上昇して炉底部周辺の部材等に影響を及ぼす可能性がある。このため、運転の安定性を確保しつつNOxを効果的に抑制することが望まれている。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、NOxを効果的に抑制することのできるボイラ及びその制御方法を提供することを目的とする。
本開示の第1態様は、火炉において鉛直方向に配置された複数のバーナと、各前記バーナは鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラの燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナの運転状態を調整して還元域の範囲制御を行う制御部と、を備えるボイラである。
本開示の第2態様は、火炉において鉛直方向に配置された複数のバーナを備えるボイラの制御方法であって、各前記バーナは鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラの燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナの運転状態を調整して還元域の範囲制御を行う制御方法である。
本開示によれば、NOxを効果的に抑制することができるという効果を奏する。
〔第1実施形態〕
以下に、本開示に係るボイラ及びその制御方法の第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
以下に、本開示に係るボイラ及びその制御方法の第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
図1は、本実施形態の石炭焚きボイラを表す概略構成図である。ボイラは発電プラントに設けられている。
本実施形態の石炭焚きボイラ10は、石炭等の炭素含有固体燃料を粉砕した微粉炭を微粉燃料として用い、この微粉燃料をバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能な石炭焚き(微粉炭焚き)ボイラである。
本実施形態において、図1に示すように、石炭焚きボイラ10は、火炉11と燃焼装置12と燃焼ガス通路13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11を構成する火炉壁101は、複数の伝熱管とこれらを接続するフィンとで構成され、微粉燃料の燃焼により発生した熱を伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して、火炉壁101の温度上昇を抑制している。
燃焼装置12は、火炉11を構成する火炉壁101の下部側に設けられている。本実施形態では、燃焼装置12は、火炉壁101に装着された複数のバーナ(例えばバーナ21,22,23,24,25)を有している。例えばバーナ21、22、23、24、25は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って複数段(例えば、図1では5段)配置されている。但し、火炉の形状や一つの段におけるバーナの数、段数、配置などはこの実施形態に限定されるものではない。
バーナ21、22、23、24、25は、微粉炭供給管26、27、28、29、30を介して複数の粉砕機(ミル)31、32、33、34、35に連結されている。この粉砕機31、32、33、34、35は、例えば、粉砕機のハウジング内に粉砕テーブル(図示省略)が駆動回転可能に支持され、この粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示省略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている。石炭が、複数の粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に投入されると、粉砕され、搬送用ガス(一次空気、酸化性ガス)により粉砕機のハウジング内の分級機(図示省略)に搬送されて、所定の粒径範囲内に分級された微粉燃料を、微粉炭供給管26、27、28、29、30からバーナ21、22、23、24、25に供給することができる。
また、火炉11は、バーナ21、22、23、24、25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト(風道)37の一端部が連結されている。空気ダクト37は、他端部に押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)38が設けられている。
燃焼ガス通路13は、図1に示すように、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路13は、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。
燃焼ガス通路13は、図1に示すように、その下流側に熱交換を行った燃焼ガスが排出される煙道14が連結されている。煙道14は、空気ダクト37との間にエアヒータ(空気予熱器)42が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、煙道14を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、バーナ21、22、23、24、25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
また、煙道14は、エアヒータ42より上流側の位置に脱硝装置43が設けられている。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を煙道14内に供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
煙道14に連結されるガスダクト41は、エアヒータ42より下流側の位置に、電気集塵機などの集塵装置44、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45、脱硫装置46などが設けられ、下流端部に煙突50が設けられている。
煙道14に連結されるガスダクト41は、エアヒータ42より下流側の位置に、電気集塵機などの集塵装置44、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45、脱硫装置46などが設けられ、下流端部に煙突50が設けられている。
一方、複数の粉砕機31、32、33、34、35が駆動すると、生成された微粉燃料が搬送用ガス(一次空気、酸化性ガス)と共に微粉炭供給管26、27、28、29、30を通してバーナ21、22、23、24、25に供給される。また、煙道14から排出された排ガスとエアヒータ42で熱交換することで、加熱された燃焼用空気(二次空気、酸化性ガス)が、空気ダクト37から風箱36を介してバーナ21、22、23、24、25に供給される。バーナ21、22、23、24、25は、微粉燃料と搬送用ガスとが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに微粉燃料混合気が着火することで火炎を形成することができる。火炉11内の下部で火炎が生じ、高温の燃焼ガスがこの火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路13に排出される。なお、酸化性ガスとして、本実施形態では空気を用いる。空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、燃料流量との適正化を図ることで使用可能になる。
また、火炉11は、バーナ21、22、23、24、25の装着位置より上方にアディショナル空気ポート39が設けられている。アディショナル空気ポート39に空気ダクト37から分岐したアディショナル空気ダクト40の端部が連結されている。従って、押込通風機38により送られた燃焼用空気(二次空気、酸化性ガス)を空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各バーナ21、22、23、24、25に供給することができると共に、押込通風機38により送られた燃焼用追加空気(アディショナル空気)をアディショナル空気ダクト40からアディショナル空気ポート39に供給することができる。
火炉11は、下部の領域(以下、「主燃焼域A」という)にて、微粉燃料混合気と燃焼用空気(二次空気、酸化性ガス)とが燃焼して火炎が生じる。ここで火炉11は、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して、理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。即ち、微粉炭の燃焼により発生した窒素酸化物(NOx)が火炉11の領域(以下、「還元域B」という)で還元され、その後、アディショナル空気ポート39から燃焼用追加空気(アディショナル空気)が追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
その後、燃焼ガスは、図1に示すように、燃焼ガス通路13に配置される第1過熱器102、第2過熱器103、第3過熱器104、(以下単に過熱器と記載する場合もある)、第1再熱器105、第2再熱器106(以下単に再熱器と記載する場合もある)、節炭器107で熱交換した後、脱硝装置43により窒素酸化物が還元除去され、集塵装置44で粒子状物質が除去され、脱硫装置46にて硫黄酸化物が除去された後、煙突50から大気中に排出される。なお、各熱交換器は燃焼ガス流れに対して、必ずしも前述した記載順に配置されなくともよい。
次に、熱交換器として、燃焼ガス通路13に設けられた過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107について詳細に説明する。図2は、石炭焚きボイラ10に設けられた熱交換器を表す概略図である。
なお、図1では燃焼ガス通路13内の各熱交換器(過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107)の位置を正確に示しているものではなく、各熱交換器の燃焼ガス流れに対する配置順も図1の記載に限定されるものではない。
なお、図1では燃焼ガス通路13内の各熱交換器(過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107)の位置を正確に示しているものではなく、各熱交換器の燃焼ガス流れに対する配置順も図1の記載に限定されるものではない。
図2に示すように、本実施形態のボイラ発電プラント1は、石炭焚きボイラ10に設けられた熱交換器(過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107)と、石炭焚きボイラ10が生成した蒸気によって回転駆動される蒸気タービン110と、蒸気タービン110に連結され蒸気タービン110の回転によって発電を行う発電機115とを備える。
石炭焚きボイラ10で生成した蒸気により回転駆動される蒸気タービン110は、例えば、高圧タービン111と中圧タービン112と低圧タービン113とから構成され、後述する再熱器からの蒸気が中圧タービン112に流入したのちに低圧タービン113に流入する。低圧タービン113には、復水器114が連結されており、低圧タービン113を回転駆動した蒸気が、この復水器114で冷却水(例えば、海水)により冷却されて復水となる。復水器114は、給水ラインL1を介して節炭器107に連結されている。給水ラインL1には、例えば、復水ポンプ(CP)121、低圧給水ヒータ122、ボイラ給水ポンプ(BFP)123、高圧給水ヒータ124が設けられている。低圧給水ヒータ122と高圧給水ヒータ124には、蒸気タービン111、112、113を駆動する蒸気の一部が抽気されて、抽気ライン(図示省略)を介して高圧給水ヒータ124と低圧給水ヒータ122に熱源として供給され、節炭器107へ供給される給水が加熱される。
例えば、石炭焚きボイラ10が貫流ボイラの場合について、説明をする。節炭器107は、火炉壁101を構成する各蒸発管に連結されている。節炭器107で加熱された給水は、火炉壁101の蒸発管を通過する際に、火炉11内の火炎から輻射を受けて加熱され、汽水分離器126へと導かれる。汽水分離器126にて分離された蒸気は、過熱器102、103、104へと供給され、汽水分離器126にて分離されたドレン水は、ドレン水ラインL2を介して復水器114へと導かれる。
また、貫流ボイラの起動時や低負荷運転時等においては、節炭器107から供給される給水が火炉壁101を構成する蒸発管を通過する際に全量が蒸発せず、その結果、汽水分離器126に水位が存在する運転状態(ウエット運転状態)となることがある。このウエット運転状態においては、汽水分離器126にて分離されたドレン水は、ボイラ循環ポンプ(BCP)128を用いて循環ラインL6により、給水ラインL1の途中に合流させることで、節炭器107から火炉壁101を構成する蒸発管へと循環して供給してもよい。
燃焼ガスが燃焼ガス通路13を流れるとき、この燃焼ガスは、過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107で熱回収される。一方、ボイラ給水ポンプ(BFP)123から供給された給水は、節炭器107で予熱された後、火炉壁101を構成する蒸発管を通過する際に加熱されて蒸気となり、汽水分離器126に導かれる。汽水分離器126で分離された蒸気は、過熱器102、103、104に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器102、103、104で生成された過熱蒸気は、蒸気ラインL3を介して高圧タービン111に供給され、高圧タービン111を回転駆動する。高圧タービン111から排出された蒸気は、再熱器105、106に導入されて再度過熱される。再度過熱された蒸気は、蒸気ラインL5を介して、中圧タービン112を経て低圧タービン113に供給され、中圧タービン112および低圧タービン113を回転駆動する。各蒸気タービン111、112、113の回転軸は、発電機115を回転駆動して、発電が行われる。低圧タービン113から排出された蒸気は、復水器114で冷却されることで復水となり、給水ラインL1を介して、再び、節炭器107に送られる。
また、燃焼ガス通路13には、過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107など各熱交換器の伝熱管の間隙、または各熱交換器の間隙に図示しないスーツブロワ(除灰装置)が配置されていてもよい。スーツブロワは、燃焼ガス通路13の壁面に対して略垂直な方向に延在して配置される。スーツブロワは、燃焼ガス通路13の壁面に対して垂直方向を軸方向として、軸方向に直交する方向に蒸気(気体)を噴射し、また噴射方向も変動することができる噴射装置である。スーツブロワから過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107など熱交換器に向けて噴射された蒸気は、熱交換器の各伝熱管の表面に付着・堆積した燃焼灰を除去し、熱交換器の各伝熱管における熱交換効率の低下を抑制する。
図3は、ボイラ10の概略構成の具体例を示す図である。図3に示すように、火炉壁101には、複数のバーナ203が設けられている。各バーナ203は、火炉11の各コーナ部付近に配置され、鉛直方向(上下方向)に複数段設けられている。本実施形態では、鉛直方向に9つのバーナ203が配置されている場合について説明する。鉛直方向に配置されるバーナ203の数については複数(2つ以上)設けられれば図3の構成に限定されない。そして、本実施形態では、火炉11内を3つの区域(主燃焼域A、還元域B、燃焼完結域C)に分割する炉内脱硝方式を採用するものとする。
バーナ203は、バーナノズルとして、図示しない燃料ノズルまたは空気ノズルとして構成されている。燃料ノズルは、微粉炭と一次空気(搬送用ガス)との混合気である可燃混合気(図3の白矢印)と可燃混合気の周囲から高温の燃焼用空気(二次空気)を火炉11内に吹き込んでいる。そして、空気ノズルは、高温の燃焼用空気(二次空気であり図3の斜線矢印)を火炉内に吹き込んでいる。すなわち、燃料ノズルから火炉11内に可燃混合気を吹き込むとともに、可燃混合気の周囲からと燃料ノズルの周囲に設けられた空気ノズルから燃焼用空気を吹き込むことで、微粉炭が火炉11内の燃焼ガスからの輻射熱と燃料ノズルに備えられた保炎器の効果により着火して火炎が形成される。これにより、火炉11内に燃焼ガスが形成される。すなわち、図3に示すように主燃焼域Aが形成されることとなる。そして、火炎の旋回流が形成され、主燃焼域Aで発生した燃焼ガスは旋回しながら火炉11内を上昇する。
主燃焼域Aで投入される空気量は、微粉炭の供給量に対する理論空気量より少なくなるように設定される。理論空気量とは、燃料に含まれる炭素、水素、硫黄などの可燃成分を完全燃焼させる化学反応式から求めた必要空気量である。このように投入する空気量を理論空気量より少なくすることで、主燃焼域Aの上方に空気が不足した状態(還元雰囲気)となる還元域Bが形成され、主燃焼域Aで生成した燃焼ガス中のNOxが燃焼ガス中に残存する炭化水素化合物と反応し還元され、燃焼ガス中のNOx量が低減される。
そして、還元域Bの上方において、アディショナル空気ポート39から火炉11内に向けて追加空気を吹き込むことで、燃焼ガス中の未燃分が完全燃焼し、燃焼ガス中の未燃分量が低減される。還元域Bの上方に燃焼完結域Cが形成される。
主燃焼域Aで燃焼されなかった微粉炭の未燃分の一部は、火炉11の炉底部に設けられた灰処理装置213へ落下し、系外へ排出される。灰処理装置213は、湿式でも乾式でもよい。
そして、本実施形態では、鉛直方向に配置された複数のバーナ203は3段のブロックに分割されているものとする。すなわち、図3に示すように、上段のブロックと、中段のブロックと、下段のブロックとが鉛直方向に配置されている。そして、各ブロックには、2つの燃料ノズルの間に1つの空気ノズルが配置される構成となっている。各ブロックには、それぞれバーナノズルのノズル角度を調整するための調整機構(例えばエアシリンダ)210が設けられている。バーナノズルのノズル角度により火炎の方向(噴出されるガス方向)が変わる。各調整機構210は、それぞれノズル調整用の信号変換器208によって駆動される。信号変換器208は、例えば調整機構210にエアシリンダを用いる場合には、制御装置205からの電気信号を、エアシリンダを駆動する空気信号に変換する装置(IPコンバータ)である。各信号変換器208は、後述する制御装置205から入力される信号に基づき各調整機構210を駆動する。すなわち、制御装置205によって、ブロック単位でノズル角度の調整が行われる。
また、各バーナ203には、バーナノズルから噴出されるガス量を制御するためのダンパ211が設けられている。ダンパ211の開度が大きくなるほど噴出されるガス量は多くなる。そして、各ダンパ211には、それぞれ調整機構(例えばエアシリンダ)209が設けられており、各調整機構209は、制御装置205により制御されている。このため、各ダンパ211の開度は、それぞれ制御装置205によって制御されている。
これらバーナ203の構成により、ボイラ10では、主燃焼域A、還元域B、及び燃焼完結域Cが形成される。特に、還元域Bにおいて、燃焼ガス中のNOxが還元されるため、NOx低減の効果が得られる。しかし、例えば使用される燃料の性状によって火炉11内における燃焼の度合いが変化する。例えば、燃料比(石炭中の固定炭素量を揮発分量で除した数値)の高い石炭(以下、高燃比炭と言う)、即ち揮発分の少ない石炭を使用する場合には、標準炭(燃料比が、高燃比炭と後述する低燃比炭の中間の値を示す石炭)と比較して、燃焼反応に要する時間が大きく、火炎長が長くなるため、主燃焼域Aが広くなり、その分だけ還元域Bが狭くなる傾向がある。このような場合には、NOx低減の効果が十分でない場合がある。
例えば、還元域Bを確保するために、バーナ203全体のノズル角度を下げて主燃焼域Aを火炉11の下部側へ移動させた場合には、炉底部の温度が上昇する可能性がある。このような場合には、微粉炭の未燃分が灰処理装置213へ落下しやすい状態となる。また、ノズル角度を下げると火炉壁101を構成する伝熱管(蒸発管)の吸熱量が増加することで、伝熱管ごとの吸熱量の差が拡大し、火炉出口のメタル温度にアンバランスが生じる可能性がある。また、火炉11の出口ガス温度が低下して過熱器・再熱器の伝熱面における吸熱量が減少するため、過熱器出口蒸気温度を制御する過熱器スプレー水流量の減少や再熱器出口蒸気温度を制御する再熱器スプレー水流量の減少が発生することで各蒸気温度の制御性が悪化する可能性がある。更には、過熱器出口蒸気温度や再熱器出口蒸気温度が低下して規定の蒸気温度を満足できない可能性がある。
また、ボイラ10には火炉11内の圧力維持および火炉11下方への熱伸び吸収のために火炉11下部と灰処理装置213の取り合い部にシールプレート212を設けているが、主燃焼域Aが火炉11下部側へ移動することで、シールプレート212が過熱されて損傷が発生する可能性がある。
このため、後述する制御装置205では、鉛直方向に配置された複数のバーナ203について、分割された所定の単位(ブロック)毎に運転状態の制御を行う。
制御装置205は、ボイラ10に対する制御を行う。特に、制御装置205は、各バーナ203の運転状態を制御する。本実施形態では、運転状態を制御する操作パラメータとして、バーナノズルの角度を制御する場合について説明する。その他の操作パラメータを用いる場合の例については第2実施形態で説明する。
図4は、本実施形態に係る制御装置205のハードウェア構成の一例を示した図である。
図4に示すように、制御装置205は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU1100と、CPU1100が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)1200と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)1300と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)1400と、ネットワーク等に接続するための通信部1500とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス1800を介して接続されている。
図4に示すように、制御装置205は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU1100と、CPU1100が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)1200と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)1300と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)1400と、ネットワーク等に接続するための通信部1500とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス1800を介して接続されている。
また、制御装置205は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。
なお、CPU1100が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM1200に限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でハードディスクドライブ1400等に記録されており、このプログラムをCPU1100がRAM1300等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROM1200やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
制御装置205は、ノズル角度制御部206と、ダンパ開度制御部207とを備えている。ノズル角度制御部206は、ボイラ10の燃焼状態に応じて、ブロック毎にバーナ203の運転状態(本実施形態ではノズル角度)を調整して還元域Bの範囲制御を行う。範囲制御とは、特に還元域Bの鉛直方向の範囲の拡大及び/又は縮小の制御である。
前述のように、使用される燃料の性状の差異などの要因によって、ボイラ10の燃焼状態は変化し、ボイラ10の燃焼状態によって還元域Bの鉛直方向の範囲が変化する。このため、ノズル角度制御部206は、ボイラ10の燃焼状態に基づいて制御を行う。具体的には、ボイラ10の燃焼状態は、ボイラ出口の排ガス性状、灰中未燃分量、主蒸気温度、再熱蒸気温度、ボイラ出口排ガス温度、及び伝熱管メタル温度の少なくともいずれか1つの指標に基づいて把握される。
ボイラ出口の排ガス性状とは、ボイラ10における排ガスの状態を示す指標であり、具体的には、NOx濃度(窒素酸化物濃度)、CO濃度(一酸化炭素濃度)、及びO2濃度(酸素濃度)の少なくともいずれか1つである。
灰中未燃分量とは、排ガス中に浮遊して集塵装置44などで捕集される燃焼灰に含まれる未燃分(炭素、燃焼性硫黄など)の量である。
主蒸気温度とは、蒸気タービン110へ供給される主蒸気の過熱器104出口における温度である。
再熱蒸気温度とは、再熱器105,106で再度過熱された再熱蒸気の再熱器106出口における温度である。
ボイラ出口排ガス温度とは、節炭器107で給水と熱交換された後の排ガスの温度である。
伝熱管メタル温度とは、ボイラ10の各熱交換器(101、102、103、104、105、106、107)を構成する伝熱管表面のメタル温度である。
灰中未燃分量とは、排ガス中に浮遊して集塵装置44などで捕集される燃焼灰に含まれる未燃分(炭素、燃焼性硫黄など)の量である。
主蒸気温度とは、蒸気タービン110へ供給される主蒸気の過熱器104出口における温度である。
再熱蒸気温度とは、再熱器105,106で再度過熱された再熱蒸気の再熱器106出口における温度である。
ボイラ出口排ガス温度とは、節炭器107で給水と熱交換された後の排ガスの温度である。
伝熱管メタル温度とは、ボイラ10の各熱交換器(101、102、103、104、105、106、107)を構成する伝熱管表面のメタル温度である。
すなわち、ノズル角度制御部206は、ブロック毎にバーナ203の操作パラメータ(ノズル角度)を調整することにより、ボイラ10の燃焼状態によって還元域Bが十分確保されない状況を抑制する。このためノズル角度とは、鉛直方向に対するバーナノズルの角度となる。
ノズル角度制御部206は、各信号変換器208へ指令を出力することで、ブロック毎にバーナノズルの角度調整を行う。具体的には、図5に示すように、ノズル角度制御部206は、鉛直方向における下段のブロック(最下部のブロック)におけるバーナノズルの角度を、鉛直方向における上段のブロック及び中段のブロックにおけるバーナノズルの角度よりも上方とする。
上段のブロック及び中段のブロックのノズル角度を調整することで、上方の主燃焼域Aの位置を調整し、還元域Bの範囲を設定することができる。これによって、燃焼ガスに含まれるNOxの還元効果を必要な分だけ確保して、NOxの低減を確実に行うことが可能となる。
一方で、下段のブロックのノズル角度を調整することで、主燃焼域Aの下方が下がりすぎてしまうことを抑制する。すなわち、炉底部付近の領域の温度が上昇し過ぎることを抑制することができる。
ノズル角度制御部206は、火炉11の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部のブロック(図3の下段)におけるバーナノズルの角度の鉛直方向下方の限界値(下限値)を設定する。下限値は、例えば、下段点火時からの下げ操作を行う場合などに用いられる。下限値を設けることで、火炉・過熱器の収熱バランスや、NOx低減の調整のため裕度を持たせることができる。火炉11の炉底部の状況は、炉底部のガス温度、炉底部監視装置(図示省略)で取得した情報、灰中未燃分量、及びシールプレート212のメタル温度の少なくともいずれか1つの指標により把握される。
炉底部のガス温度は、火炉11の炉底部における火炉11内のガス温度である。例えば温度計T1で計測される。
炉底部監視装置で取得した情報は、炉底部における灰中未燃分の滞留状況や火炎の飛び込み状況である。炉底部監視装置とは、例えばカメラやセンサ等によって構成される。
灰中未燃分量は、灰処理装置213へ落下し、系外へ排出される灰中に含まれる未燃分の量である。
シールプレート212のメタル温度は、火炉11下部と灰処理装置213の取り合い部に設けたシールプレート212のメタル温度である。
炉底部監視装置で取得した情報は、炉底部における灰中未燃分の滞留状況や火炎の飛び込み状況である。炉底部監視装置とは、例えばカメラやセンサ等によって構成される。
灰中未燃分量は、灰処理装置213へ落下し、系外へ排出される灰中に含まれる未燃分の量である。
シールプレート212のメタル温度は、火炉11下部と灰処理装置213の取り合い部に設けたシールプレート212のメタル温度である。
下段のブロックにおけるバーナノズルの角度を鉛直方向下方に移動し過ぎると、火炉11の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまう可能性がある。このため、火炉11の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における下段のブロックにおけるバーナノズルの角度の鉛直方向下方の限界値を設定し、この限界値に基づいて下段のブロックにおけるバーナノズルの角度が制御される。このため、火炉11の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまうことを抑制することができる。
また、ノズル角度制御部206は、ボイラの負荷変化を行う際に、ボイラ10の応答遅れを補償するように、各ブロックに対して個別に運転状態の調整量を設定する。本実施形態では、操作パラメータをノズル角度としているため、負荷変化に対応して、各ブロックに対して個別にノズル角度の調整量が設定されることとなる。
ボイラ10では、燃料供給量に対する発電機出力(ボイラ負荷)の応答は、時間の遅れが非常に大きくなる傾向にある。このため、ボイラの負荷変化時には、応答遅れを補償するため、所定のパラメータに対して先行的に補正制御を行う。例えば、所定のパラメータを燃料供給量とする場合には、負荷上昇時には先行的に燃料の供給量を多くする。このような先行制御信号をBIR(Boiler Input Regulator)といい、燃料供給量に対する先行制御信号を燃料BIRという。すなわち先行的にとは、ボイラの負荷変化に対して、燃料供給量の変化を先行させることである。
ボイラの負荷変化時には燃焼状態を制御する必要があるため、ノズル角度制御部206は、ノズル角度に対する先行制御信号(ノズル角度BIR)をブロック毎に設定する。ブロック毎に制御可能としているため、ノズル角度BIRもブロック毎に設定することができる。また、基準となるノズル角度BIRに対して、ブロック毎にノズル角度BIRを補正することとしてもよい。補正を行う場合には、ノズル角度の上げ下げ(駆動方向)、ボイラ10の負荷変化率、ボイラの負荷変化幅、及び使用する燃料の燃料比の少なくともいずれか1つの指標に基づいて、ブロック毎にノズル角度BIRを補正することとしてもよい。
ボイラ10の負荷変化時に、応答遅れを補償するように、各ブロックに対して個別に運転状態の調整量を設定することで、個別に運転状態を調整している各ブロックに対して適切に調整量を設定することができる。
ダンパ開度制御部207は、ダンパ211の開度を制御する。具体的には、ダンパ開度制御部207は、燃焼状態に基づいてダンパ211の開度を制御している。ダンパ211の開度制御は、各ブロックを等しく制御することとしてもよいし、ブロック毎に個別に制御してもよい。ブロック毎に個別に制御する場合は第2実施形態で説明する。
次に、上述の制御装置205による一例について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係るノズル角度調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。図6に示すフローは、例えば、ボイラ10が稼働している場合において所定の制御周期で繰り返し実行される。
まず、燃焼状態が所定の条件を満たしたか否かを判定する(S101)。所定の条件とは、還元域Bの範囲が許容下限範囲に達したことを判定可能なように設定される。許容下限範囲は、例えば、ボイラ出口における排ガスに含まれるNOx量の許容値に基づいて設定される。
燃焼状態が所定の条件を満たしていない場合(S101のNO判定)には、処理を終了する。
燃焼状態が所定の条件を満たした場合(S101のYES判定)には、燃焼状態に基づいて、各ブロックのそれぞれに対するノズル角度を決定する(S102)。S102については、燃焼状態と各ブロックのノズル角度とが予め設定されており、実際の燃焼状態に対応してノズル角度が読み出される。ノズル角度は、燃焼状態に対して還元域Bが十分に確保できるように(還元域Bが所定の範囲以上の範囲となるように)ブロック毎に予め設定されている。なお、S102については、S101のYES判定の場合には、燃焼状態に依らず各ブロックのノズル角度が決定されることとしても良い。
そして、決定したノズル角度に基づいて、各バーナノズルの角度が調整される(S103)。具体的には、下段のノズル角度を下限値以上となるように確保しながら、上段及び中段のノズル角度を還元域Bが所定の範囲以上の範囲となるように調整する。
このようにして、主燃焼域Aの範囲が調整され、還元域Bの範囲が拡大される。
次に、ボイラの負荷変化の際の状態量変化を図7から図21を用いて説明する。
図7に示す発電機出力指令値(MWD)の変化に対応して、ボイラの負荷変化を行うものとする。図8から図14は、図7のMWDの変化に対応して参考例に係る制御を行った場合の状態量変化を示している。参考例とは、ブロック毎にノズル角度制御を行わず、各ブロックに対して同じノズル角度制御を行う場合の状態量変化である。そして、図15から図21は、図7のMWDの変化に対応して本実施形態に係る制御(ブロック毎にノズル角度制御)を行った場合の状態量変化を示している。図7から図21では、使用する石炭として、高燃比炭と低燃比炭の場合をそれぞれ示している。また、図7から図21では、下段のバーナ203はt2において着火されるものとする。
図7に示す発電機出力指令値(MWD)の変化に対応して、ボイラの負荷変化を行うものとする。図8から図14は、図7のMWDの変化に対応して参考例に係る制御を行った場合の状態量変化を示している。参考例とは、ブロック毎にノズル角度制御を行わず、各ブロックに対して同じノズル角度制御を行う場合の状態量変化である。そして、図15から図21は、図7のMWDの変化に対応して本実施形態に係る制御(ブロック毎にノズル角度制御)を行った場合の状態量変化を示している。図7から図21では、使用する石炭として、高燃比炭と低燃比炭の場合をそれぞれ示している。また、図7から図21では、下段のバーナ203はt2において着火されるものとする。
まず、図8から図14に基づいて参考例の場合について説明する。
図8に示すように、t1において増加を開始するMWDに対して、t1よりも一定時間前のt1pに、上段及び中段のノズル角度BIRの入力が開始される。ノズル角度BIRの大きさは、ノズル角度の開度を示す。ノズル角度BIRは、MWDの増加が終了するt2より一定時間前のt2pまで入力が継続される。これにより、図9に示すように、上段及び中段のノズル角度BIRに対応して、上段及び中段のノズル角度は下がる。
一方で、図10に示すように、t1において増加を開始するMWDに対して、t1よりも一定時間前のt1pに、下段のブロックのノズル角度BIRの入力が開始される。参考例では各ブロックでノズル角度制御を個別化していないため、この下段のノズル角度BIRは、上段のブロック及び中段のブロックのノズル角度BIRと等しい。これにより、図11に示すように、下段のブロックのノズル角度BIRに対応して、下段のブロックのノズル角度は上段のブロック及び中段のブロックと同様に下がる。
このような制御によって、図12に示すように、蒸気温度(例えば一次過熱器出口の蒸気温度)は、ボイラ10の負荷上昇に対応するように上昇する。また、図13に示すように、負荷変化によってNOx量は増加するものの、上段、中段、下段のブロックのノズル角度が制御されることによって、NOxの発生量は抑制される。
参考例では、上段のブロック及び中段のブロックに合わせて下段のブロックのノズル角度を下げているため、図14に示すように、シールプレート212のメタル温度が上昇することとなる。
次に、図15から図21に基づいて本実施形態の場合について説明する。
図15に示すように、t1において増加を開始するMWDに対して、t1よりも一定時間前のt1pに、上段のブロック及び中段のブロックのノズル角度BIRの入力が開始される。ノズル角度BIRは、MWDの増加が終了するt2の一定時間前のt2pまで入力が継続される。図15における上段のブロック及び中段のブロックに対するノズル角度BIRは、図8の参考例における上段のブロック及び中段のブロックに対するノズル角度BIRと等しい。これにより、図16に示すように、上段のブロック及び中段のブロックのノズル角度BIRに対応して、上段のブロック及び中段のブロックのノズル角度は下がる。
一方で、図17に示すように、t1において増加を開始するMWDに対して、t1よりも一定時間前のt1pに、下段のブロックのノズル角度BIRの入力が開始される。本実施形態では各ブロックでノズル角度制御を個別化しているため、この下段のブロックのノズル角度BIRは、上段のブロック及び中段のブロックのノズル角度BIRと異なる。これにより、図18に示すように、下段のブロックのノズル角度BIRに対応して、下段のブロックのノズル角度は上がる。図18の例では、ノズル角度BIRの後に下段のブロックのノズル角度を所定値とする制御を行っている。すなわち、ノズル角度BIRは、目標のノズル角度との差(現状値と目標値との差)に基づいて設定される。このため、下段のブロックに対するノズル角度BIRは高燃比炭よりも低燃比炭の方が大きくなっている。なお、t1では、低燃比炭よりも排ガス中のNOxが高い傾向にある高燃比炭の方が、上向きのバーナ角度となるように設定されている。
このような制御によって、図19に示すように、蒸気温度(例えば一次過熱器出口の蒸気温度)は、ボイラ10の負荷上昇に対応するように上昇する。また、図20に示すように、負荷変化によってNOx量は増加するものの、上段、中段、下段の各ブロックのノズル角度が制御されることによって、NOxの発生量は抑制される。図20の例では、NOxの発生量は、参考例と同程度に抑制することができている。
本実施形態では、上段のブロック及び中段のブロックはノズル角度を下げているものの、下段のブロックのノズル角度は、下限値以上を確保するように上げている。このため、図21に示すように、参考例と比較して、シールプレート212のメタル温度上昇を抑制することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るボイラ及びその制御方法によれば、ブロック毎にバーナ203の運転状態が調整されるため、還元域Bの範囲制御を柔軟に行うことが可能となる。還元域Bの範囲制御がされることによって、十分な還元効果を確保してNOxの排出を低減することが可能となる。
そしてさらに、ブロック毎にバーナ203の運転状態が調整されるため、炉底部に近い領域の温度が上昇し、未燃分が炉底に近い領域に滞留することや炉底部の損傷を防止することができる。また、蒸気温度低下の抑制を図ることも可能となる。
ボイラ出口の排ガス性状、灰中未燃分量、主蒸気温度、再熱蒸気温度、ボイラ出口排ガス温度、及び伝熱管メタル温度の少なくともいずれか1つを指標とすることで、燃焼状態を適切に把握することができる。
鉛直方向における最下部(下段)以外のブロックのバーナノズルの角度を、必要な還元域Bの範囲を確保するように調整することで、NOxの排出を低減することができる。そして、鉛直方向における最下部のブロックのバーナノズルの角度を炉底部の状況に対応した下限値よりも上方とすることで、炉底部付近の領域の温度が上昇し過ぎることを抑制することができる。
鉛直方向における最下部のブロックのバーナノズルの角度を鉛直方向下方に移動し過ぎると、火炉11の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまう可能性があるため、火炉11の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部のブロックにおけるバーナノズルの角度の鉛直方向下方の限界値を設定することで、火炉11の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまうことを抑制することができる。例えば、未燃分が炉底部に近い領域に滞留することや炉底部の損傷を防止することができる。また、蒸気温度が低下することを抑制することができる。
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係るボイラ及びその制御方法について説明する。
上述した第1実施形態では、バーナノズルの角度を調整する場合について説明していたが、本実施形態では、ダンパ211を調整する場合について説明する。以下、本実施形態に係るボイラ及びその制御方法について、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
次に、本開示の第2実施形態に係るボイラ及びその制御方法について説明する。
上述した第1実施形態では、バーナノズルの角度を調整する場合について説明していたが、本実施形態では、ダンパ211を調整する場合について説明する。以下、本実施形態に係るボイラ及びその制御方法について、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
ダンパ開度制御部207は、バーナ203の運転状態を制御する操作パラメータとして、各ブロックにおいて噴出される酸化性ガスの流量を調整する。具体的には、ダンパ開度制御部207は、ブロック単位でダンパ211の開度(開度が大きくなると酸化性ガスの流量が増加)を調整する。本実施形態では、還元域Bの範囲制御をダンパ開度によって制御する場合について説明するが、第1実施形態のようにノズル角度によって還元域Bの範囲制御を行うこととしてもよいし、ノズル角度及びダンパ開度の両方によって還元域Bの範囲制御を行うこととしてもよい。
ダンパ開度制御部207は、鉛直方向における最下部のブロック(図22の下段)における酸化性ガスの流量を、鉛直方向における最下部以外のブロック(図22の上段及び中段)における酸化性ガスの流量よりも多くする。すなわち、図22に示すように上段のブロック及び中段のブロックから噴出される酸化性ガスの流量は相対的に少なくなり、下段のブロックから噴出される酸化性ガスの流量は相対的に多くなる。
上段のブロック及び中段のブロックから噴出される酸化性ガスの流量が相対的に少なくなることで、主燃焼域Aの上方側が下がり、還元域Bの範囲を拡大させることができる。これによって、燃焼ガスに含まれるNOxの還元を十分に確保して、NOxの低減をより確実に行うことが可能となる。
一方で、下段のブロックから噴出される酸化性ガスの流量が相対的に多くなることで、主燃焼域Aの下方側が下がりすぎてしまうことを抑制する。すなわち、炉底部付近の領域の温度が上昇し過ぎることを抑制することができる。
また、ダンパ開度制御部207は、火炉11の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部のブロック(図22の下段)における酸化性ガスの流量の最大値(すなわちダンパ開度の最大値)を設定する。鉛直方向における最下部のブロックにおける酸化性ガスの流量が多すぎると、火炉11の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまう可能性があるため、火炉11の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部のブロックにおける酸化性ガスの流量の最大値を設定することで、火炉11の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまうことを抑制することができる。
次に、上述のダンパ開度制御部207による一例について図23を参照して説明する。図23は、本実施形態に係るダンパ開度調整処理の手順の一例を示すフローチャートである。図23に示すフローは、例えば、ボイラ10が稼働している場合において所定の制御周期で繰り返し実行される。図6のフローと同様の処理は同じ符号を付す。
まず、燃焼状態が所定の条件を満たしたか否かを判定する(S101)。燃焼状態が所定の条件を満たしていない場合(S101のNO判定)には、処理を終了する。
燃焼状態が所定の条件を満たした場合(S101のYES判定)には、燃焼状態に基づいて、各ブロックのそれぞれに対する酸化性ガスの流量を決定する(S202)。S202については、燃焼状態と各ブロックの酸化性ガスの流量とが予め設定されており、実際の燃焼状態に対応して酸化性ガスの流量が読み出される。酸化性ガスの流量は、燃焼状態に対して還元域Bが十分に確保できるように(還元域Bが所定の範囲以上の範囲となるように)ブロック毎に予め設定されている。なお、S202については、S101のYES判定の場合には、燃焼状態に依らず各ブロックの酸化性ガスの流量が決定されることとしても良い。
そして、決定した酸化性ガスの流量に基づいて、各ダンパ211の開度が調整される(S203)。具体的には、下段のブロックにおける酸化性ガスの流量を、上段のブロック及び中段のブロックにおける酸化性ガスの流量よりも多くする。
このようにして、主燃焼域Aの範囲が調整され、還元域Bの範囲が拡大される。
以上説明したように、本実施形態に係るボイラ及びその制御方法によれば、運転状態として、各ブロックにおいて噴出される酸化性ガスの流量を調整することで、還元域Bの範囲制御を効果的に行うことができる。鉛直方向における最下部のブロックにおける酸化性ガスの流量を、鉛直方向における最下部以外のブロックにおける酸化性ガスの流量よりも多くすることで、還元域Bの範囲を拡大させ、NOxの排出を低減することができる。
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係るボイラ及びその制御方法について説明する。
本実施形態では、鉛直方向に配置される複数のバーナ203の構成について説明する。以下、本実施形態に係るボイラ及びその制御方法について、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。
次に、本開示の第3実施形態に係るボイラ及びその制御方法について説明する。
本実施形態では、鉛直方向に配置される複数のバーナ203の構成について説明する。以下、本実施形態に係るボイラ及びその制御方法について、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。
第1実施形態では、ブロック毎にノズル角度を調整している。このため、ブロック毎にバーナノズルはそれぞれ異なったノズル角度となると想定される。このため、例えば図24に示すように、下段のブロックと中段のブロックとを近接して配置すると、バーナノズル同士が干渉(物理的接触等)する可能性がある。このため、本実施形態では、ブロック単位でのノズル角度制御においてバーナノズルの干渉を抑制するための構造について説明する。
図25から図29は、2ブロック分の構成例をそれぞれ示している。図25から図29では、一例として中段と下段が接続されているものとする。
図25では、各ブロックは、鉛直方向において所定距離離れて設けられている。すなわち、各ブロックの間に隙間が設けられている。隙間における所定距離については、ブロックのそれぞれに対してノズル角度制御がされた場合に、互いに干渉しないように設定される。干渉とは、物理的接触としても良いし、火炎の干渉としても良く、広くノズル同士の相互作用を意味する。
各ブロックが鉛直方向において所定距離離れて設けられているため、角度調整によるバーナノズルの干渉を抑制することができる。
図26では、各ブロックは、鉛直方向に所定の寸法を有する部材301を介して設けられている。すなわち、図26では、図25における隙間に部材301を設けている。所定の寸法については、図25と同様に、ブロックのそれぞれに対してノズル角度制御がされた場合に、互いに干渉しないように設定される。部材301については、例えば、空気の流通がないこととしてもよい。
各ブロックが鉛直方向に所定の寸法を有する部材301を介して設けられているため、角度調整によるバーナノズルの干渉を抑制することができる。
図27では、各ブロックは、鉛直方向に所定の寸法を有し、火炉11内に酸化性ガスを供給する部材302を介して設けられている。すなわち、図27では、図26のように隙間に所定の寸法を有する部材302を設けるとともに、風箱36から酸化性ガスが流れ込んでおり、この部材302は、例えば多孔板によって酸化性ガスを火炉11内へ供給する。
各ブロックが、鉛直方向に所定の寸法を有し、火炉11内に酸化性ガスを供給する部材302を介して設けられているため、角度調整によるバーナノズルの干渉を抑制することができる。そして、酸化性ガスによって部材302付近の温度上昇を抑制することができる。
図28では、各ブロックは、火炉11内に酸化性ガスを供給するノズル303を介して設けられている。そして、ノズル303は、鉛直方向上下に配置され、角度調整が行われる各ブロックのバーナノズルと干渉しない形状とされている。すなわち、ブロックの間にはノズル303が設けられている。そして、このノズル303には風箱36から酸化性ガスが流れ込んでおり、酸化性ガスを火炉11内へ供給する。そして、ノズル303の形状は、鉛直方向の上下のブロック(ノズルを挟むブロック)においてノズル角度調整がされた場合に、このブロックのバーナノズルと干渉しないような形状とされている。図28のノズル303は、ノズル角度が固定とされている。
各ブロックが火炉11内に酸化性ガスを供給するノズル303を介して設けられているため、酸化性ガスによってノズル303付近の温度上昇を抑制することができる。そして、ノズル303は、ノズル303に対して鉛直方向上下に配置されたブロックであって、角度調整が行われるブロックのバーナノズルと干渉しない形状とされていることで、干渉による故障発生等を抑制することができる。
図29では、各ブロックは、ノズル角度調整された場合に、隣接する異なるブロックのバーナノズルと干渉しないようにバーナノズル形状が構成されている。すなわち、図29では、異なるブロックの隣接するバーナノズルが変形した形状となっている。具体的には、ブロックにおける端に配置されており、他のブロックと隣接するバーナノズルは、自分の角度調整と、該他のブロックのバーナノズルの角度調整とを行った場合に干渉が発生しないように形状が設計されている。
ブロックにおけるバーナノズルの形状が、隣接する異なるブロックのバーナノズルと角度調整によって干渉しないように構成されることで、干渉による故障発生等を抑制することができる。
なお、図25から図29に限定されず、バーナノズルの角度調整によって干渉が発生しないように各ブロックを形成することとしても良い。
以上説明したように、本実施形態に係るボイラ及びその制御方法によれば、ブロック毎にバーナノズルの角度調整が行われた場合であってもノズル同士の干渉を抑制することができる。
本開示は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。なお、各実施形態を組み合わせることも可能である。すなわち、上記の第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態については、それぞれ組み合わせることも可能である。
上述した実施形態では、本開示のボイラ10を石炭焚きボイラ10としたが、燃料としては、バイオマス燃料や石油精製時に発生するPC(石油コークス:Petroleum Coke)燃料、石油残渣などの固体燃料を使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重油、軽油、重質油などの石油類や工場廃液などの液体燃料も使用することができ、更には、燃料として気体燃料(天然ガス、副生ガスなど)も使用することができる。さらに、これら燃料を組み合わせて使用する混焼焚きボイラにも適用することができる。
以上説明した各実施形態に記載のボイラ及びその制御方法は、例えば以下のように把握される。
本開示に係るボイラ(10)は、火炉(11)において鉛直方向に配置された複数のバーナ(203)と、各前記バーナ(203)は鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラ(10)の燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナ(203)の運転状態の調整を行う制御部(205)と、を備える。
本開示に係るボイラ(10)は、火炉(11)において鉛直方向に配置された複数のバーナ(203)と、各前記バーナ(203)は鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラ(10)の燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナ(203)の運転状態の調整を行う制御部(205)と、を備える。
本開示に係るボイラ(10)によれば、ブロック毎にバーナ(203)の運転状態が調整されるため、ボイラの(10)の運転状態の制御を柔軟に行うことが可能となる。
本開示に係るボイラ(10)は、火炉(11)において鉛直方向に配置された複数のバーナ(203)と、各前記バーナ(203)は鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラ(10)の燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナ(203)の運転状態を調整して還元域(B)の範囲制御を行う制御部(205)と、を備える。
本開示に係るボイラ(10)によれば、ブロック毎にバーナ(203)の運転状態が調整されるため、還元域(B)の範囲制御を柔軟に行うことが可能となる。還元域(B)の範囲制御がされることによって、十分な還元を確保してNOxの排出を低減することが可能となる。
そしてさらに、ブロック毎にバーナ(203)の運転状態が調整されるため、炉底部に近い領域の温度が上昇し、未燃分が炉底部に近い領域に滞留することや炉底部の損傷を防止することができる。また、蒸気温度低下の抑制を図ることも可能となる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記燃焼状態とは、ボイラ出口の排ガス性状、灰中未燃分量、主蒸気温度、再熱蒸気温度、ボイラ出口排ガス温度、及び伝熱管メタル温度の少なくともいずれか1つであることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、ボイラ出口の排ガス性状、灰中未燃分量、主蒸気温度、再熱蒸気温度、ボイラ出口排ガス温度、及び伝熱管メタル温度の少なくともいずれか1つを指標とすることで、燃焼状態を適切に把握することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記制御部(205)は、前記運転状態として、鉛直方向に対するバーナノズルの角度を調整することとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、運転状態として、鉛直方向に対するバーナノズルの角度を調整することで、ボイラ(10)の燃焼状態の制御を効果的に行うことができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記制御部(205)は、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を火炉(11)の炉底部の状況に基づいて調整し、鉛直方向における最下部以外の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を前記燃焼状態に基づいて調整することとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、最下部のブロックにおけるバーナノズルの角度を火炉(11)の炉底部の状況に基づいて調整し、鉛直方向における最下部以外のブロックにおけるバーナノズルの角度を燃焼状態に基づいて調整することで、ボイラの燃焼状態の制御を効果的に行うことができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記制御部(205)は、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を水平方向よりも上方とし、鉛直方向における最下部以外の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を水平方向よりも下方とすることで、還元域(B)の範囲を拡大させることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、鉛直方向における最下部以外のブロックにおけるバーナノズルの角度を水平方向よりも下方とすることで、還元域(B)の範囲を拡大させ、NOxの排出を低減することができる。そして、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を水平方向よりも上方とすることで、炉底部付近の領域の温度が上昇し過ぎることを抑制することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記制御部(205)は、火炉(11)の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度の鉛直方向下方の限界値を設定することとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、鉛直方向における最下部のブロックにおけるバーナノズルの角度を鉛直方向下方にし過ぎると、火炉(11)の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまう可能性があるため、火炉(11)の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部のブロックにおけるバーナノズルの角度の鉛直方向下方の限界値を設定することで、火炉(11)の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまうことを抑制することができる。例えば、未燃分が炉底部に近い領域に滞留することや炉底部が損傷することを防止することができる。また、蒸気温度が低下することを抑制することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記制御部(205)は、前記運転状態として、各前記ブロックにおいて放出される酸化性ガスの流量を調整することとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、運転状態として、各ブロックにおいて放出される酸化性ガスの流量を調整することで、ボイラ(10)の燃焼状態の制御を効果的に行うことができる。
本開示に係るボイラ(10)は、制御部(205)は、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量を火炉(11)の炉底部の状況に基づいて調整し、鉛直方向における最下部以外の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量を前記燃焼状態に基づいて調整することとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、ボイラ(10)の燃焼状態の制御を効果的に行うことができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記制御部(205)は、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量を、鉛直方向における最下部以外の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量よりも多くすることで、還元域(B)の範囲を拡大させることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、鉛直方向における最下部のブロックにおける酸化性ガスの流量を、鉛直方向における最下部以外のブロックにおける酸化性ガスの流量よりも多くすることで、還元域(B)の範囲を拡大させ、NOxの排出を低減することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記制御部(205)は、火炉(11)の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量の最大値を設定することとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、鉛直方向における最下部のブロックにおける酸化性ガスの流量が多すぎると、火炉(11)の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまう可能性があるため、火炉(11)の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部のブロックにおける酸化性ガスの流量の最大値を設定することで、火炉(11)の炉底部付近の温度が上昇し過ぎてしまうことを抑制することができる。例えば、未燃分が炉底に近い領域に滞留することや、蒸気温度が低下することを抑制することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記炉底部の状況とは、前記炉底部のガス温度、炉底部監視装置で取得した情報、灰中未燃分量、及びシールプレート(212)のメタル温度の少なくともいずれか1つであることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、炉底部のガス温度、炉底部監視装置で取得した情報、灰中未燃分量、及びシールプレート(212)のメタル温度の少なくともいずれか1つを指標とすることで、炉底部の状況を適切に把握することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、前記制御部(205)は、負荷変化が発生した場合に、前記ボイラ(10)の応答遅れを補償するように、各前記ブロックに対して個別に前記運転状態の調整量を設定することとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、負荷変化が発生した場合に、ボイラ(10)の応答遅れを補償するように、各ブロックに対して個別に運転状態の調整量を設定することで、個別に運転状態を調整している各ブロックに対して適切に調整量を設定することができる。ボイラ(10)の応答遅れを補償するような制御とは、例えば先行制御信号(燃料BIR、ノズル角度BIR等)である。
本開示に係るボイラ(10)は、各前記ブロックは、鉛直方向において所定距離離れて設けられていることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、各ブロックが鉛直方向において所定距離離れて設けられているため、角度調整によるバーナノズルの干渉を抑制することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、各前記ブロックは、鉛直方向に所定の寸法を有する部材(301)を介して設けられていることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、各ブロックが鉛直方向に所定の寸法を有する部材(301)を介して設けられているため、角度調整によるバーナノズルの干渉を抑制することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、各前記ブロックは、鉛直方向に所定の寸法を有し、炉内に酸化性ガスを供給する部材(302)を介して設けられていることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、各ブロックが、鉛直方向に所定の寸法を有し、炉内に酸化性ガスを供給する部材(302)を介して設けられているため、角度調整によるバーナノズルの干渉を抑制することができる。そして、酸化性ガスによって該部材付近の温度上昇を抑制することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、各前記ブロックは、火炉(11)内に酸化性ガスを供給するノズルを介して設けられており、前記ノズルは、鉛直方向上下に配置され、角度調整が行われる各前記ブロックのバーナノズルと干渉しない形状とされていることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、各ブロックが火炉(11)内に酸化性ガスを供給するバーナノズルを介して設けられているため、酸化性ガスによって該バーナノズル付近の温度上昇を抑制することができる。そして、バーナノズルは、バーナノズルに対して鉛直方向上下に配置されたブロックであって、ノズル角度調整が行われるブロックのバーナノズルと干渉しない形状とされていることで、干渉による故障発生等を抑制することができる。
本開示に係るボイラ(10)は、各前記ブロックは、角度調整によって、隣接する異なる前記ブロックのバーナノズルと干渉しないようにバーナノズル形状が構成されていることとしてもよい。
本開示に係るボイラ(10)によれば、ブロックにおけるバーナノズルの形状が、隣接する異なるブロックのバーナノズルと角度調整によって干渉しないように構成されることで、干渉による故障発生等を抑制することができる。
本開示に係る発電プラントは、上記のボイラ(10)と、前記ボイラ(10)によって生成された蒸気を用いて発電する発電部と、を備える。
本開示に係る制御方法は、火炉(11)において鉛直方向に配置された複数のバーナ(203)を備えるボイラ(10)の制御方法であって、各前記バーナ(203)は鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラ(10)の燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナ(203)の運転状態を調整して、ボイラ(10)の燃焼状態の制御を行う。
1 :ボイラ発電プラント
10 :ボイラ
11 :火炉
12 :燃焼装置
13 :燃焼ガス通路
14 :煙道
21 :バーナ
22 :バーナ
23 :バーナ
24 :バーナ
25 :バーナ
26 :微粉炭供給管
27 :微粉炭供給管
28 :微粉炭供給管
29 :微粉炭供給管
30 :微粉炭供給管
31 :粉砕機
32 :粉砕機
33 :粉砕機
34 :粉砕機
35 :粉砕機
36 :風箱
37 :空気ダクト
38 :押込通風機
39 :アディショナル空気ポート
40 :アディショナル空気ダクト
41 :ガスダクト
42 :エアヒータ
43 :脱硝装置
44 :集塵装置
46 :脱硫装置
50 :煙突
101 :火炉壁
107 :節炭器
110 :蒸気タービン
114 :復水器
115 :発電機
122 :低圧給水ヒータ
123 :ボイラ給水ポンプ
124 :高圧給水ヒータ
126 :汽水分離器
203 :バーナ
205 :制御装置
206 :ノズル角度制御部
207 :ダンパ開度制御部
208 :信号変換器
209 :調整機構
210 :調整機構
211 :ダンパ
212 :シールプレート
213 :灰処理装置
301 :部材
302 :部材
303 :ノズル
1100 :CPU
1200 :ROM
1300 :RAM
1400 :ハードディスクドライブ
1500 :通信部
1800 :バス
A :主燃焼域
B :還元域
C :燃焼完結域
L1 :給水ライン
L2 :ドレン水ライン
L3 :蒸気ライン
L5 :蒸気ライン
L6 :循環ライン
T1 :温度計
10 :ボイラ
11 :火炉
12 :燃焼装置
13 :燃焼ガス通路
14 :煙道
21 :バーナ
22 :バーナ
23 :バーナ
24 :バーナ
25 :バーナ
26 :微粉炭供給管
27 :微粉炭供給管
28 :微粉炭供給管
29 :微粉炭供給管
30 :微粉炭供給管
31 :粉砕機
32 :粉砕機
33 :粉砕機
34 :粉砕機
35 :粉砕機
36 :風箱
37 :空気ダクト
38 :押込通風機
39 :アディショナル空気ポート
40 :アディショナル空気ダクト
41 :ガスダクト
42 :エアヒータ
43 :脱硝装置
44 :集塵装置
46 :脱硫装置
50 :煙突
101 :火炉壁
107 :節炭器
110 :蒸気タービン
114 :復水器
115 :発電機
122 :低圧給水ヒータ
123 :ボイラ給水ポンプ
124 :高圧給水ヒータ
126 :汽水分離器
203 :バーナ
205 :制御装置
206 :ノズル角度制御部
207 :ダンパ開度制御部
208 :信号変換器
209 :調整機構
210 :調整機構
211 :ダンパ
212 :シールプレート
213 :灰処理装置
301 :部材
302 :部材
303 :ノズル
1100 :CPU
1200 :ROM
1300 :RAM
1400 :ハードディスクドライブ
1500 :通信部
1800 :バス
A :主燃焼域
B :還元域
C :燃焼完結域
L1 :給水ライン
L2 :ドレン水ライン
L3 :蒸気ライン
L5 :蒸気ライン
L6 :循環ライン
T1 :温度計
Claims (20)
- 火炉において鉛直方向に配置された複数のバーナと、
各前記バーナは鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラの燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナの運転状態を調整する制御部と、
を備えるボイラ。 - 火炉において鉛直方向に配置された複数のバーナと、
各前記バーナは鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラの燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナの運転状態を調整して還元域の範囲制御を行う制御部と、
を備えるボイラ。 - 前記燃焼状態とは、ボイラ出口の排ガス性状、灰中未燃分量、主蒸気温度、再熱蒸気温度、ボイラ出口排ガス温度、及び伝熱管メタル温度の少なくともいずれか1つである請求項1または2に記載のボイラ。
- 前記制御部は、前記運転状態として、鉛直方向に対するバーナノズルの角度を調整する請求項1または2に記載のボイラ。
- 前記制御部は、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を火炉の炉底部の状況に基づいて調整し、鉛直方向における最下部以外の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を前記燃焼状態に基づいて調整する請求項4に記載のボイラ。
- 前記制御部は、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を水平方向よりも上方とし、鉛直方向における最下部以外の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度を水平方向よりも下方とすることで、還元域の範囲を拡大させる請求項4に記載のボイラ。
- 前記制御部は、火炉の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおけるバーナノズルの角度の鉛直方向下方の限界値を設定する請求項4から6のいずれか1項に記載のボイラ。
- 前記制御部は、前記運転状態として、各前記ブロックにおいて噴出される酸化性ガスの流量を調整する請求項1から7のいずれか1項に記載のボイラ。
- 前記制御部は、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量を火炉の炉底部の状況に基づいて調整し、鉛直方向における最下部以外の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量を前記燃焼状態に基づいて調整する請求項8に記載のボイラ。
- 前記制御部は、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量を、鉛直方向における最下部以外の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量よりも多くすることで、還元域の範囲を拡大させる請求項8に記載のボイラ。
- 前記制御部は、火炉の炉底部の状況に基づいて、鉛直方向における最下部の前記ブロックにおける酸化性ガスの流量の最大値を設定する請求項8または10に記載のボイラ。
- 前記炉底部の状況とは、前記炉底部のガス温度、炉底部監視装置で取得した情報、灰中未燃分量、及びシールプレートのメタル温度の少なくともいずれか1つである請求項7または11に記載のボイラ。
- 前記制御部は、負荷変化が発生した場合に、前記ボイラの応答遅れを補償するように、各前記ブロックに対して個別に前記運転状態の調整量を設定する請求項1から12のいずれか1項に記載のボイラ。
- 各前記ブロックは、鉛直方向において所定距離離れて設けられている請求項4の記載のボイラ。
- 各前記ブロックは、鉛直方向に所定の寸法を有する部材を介して設けられている請求項4に記載のボイラ。
- 各前記ブロックは、鉛直方向に所定の寸法を有し、火炉内に酸化性ガスを供給する部材を介して設けられている請求項4に記載のボイラ。
- 各前記ブロックは、火炉内に酸化性ガスを供給するノズルを介して設けられており、
前記ノズルは、鉛直方向上下に配置され、角度調整が行われる各前記ブロックのバーナノズルと干渉しない形状とされている請求項4に記載のボイラ。 - 各前記ブロックは、角度調整によって、隣接する異なる前記ブロックのバーナノズルと干渉しないようにバーナノズル形状が構成されている請求項4の記載のボイラ。
- 請求項1から18のいずれか1項に記載のボイラと、
前記ボイラによって生成された蒸気を用いて発電する発電部と、
を備える発電プラント。 - 火炉において鉛直方向に配置された複数のバーナを備えるボイラの制御方法であって、
各前記バーナは鉛直方向に対して複数のブロックに分割されており、ボイラの燃焼状態に応じて、前記ブロック毎に前記バーナの運転状態を調整する制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020210522A JP2022097122A (ja) | 2020-12-18 | 2020-12-18 | ボイラ及びその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020210522A JP2022097122A (ja) | 2020-12-18 | 2020-12-18 | ボイラ及びその制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022097122A true JP2022097122A (ja) | 2022-06-30 |
Family
ID=82165504
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020210522A Pending JP2022097122A (ja) | 2020-12-18 | 2020-12-18 | ボイラ及びその制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
2020
- 2020-12-18 JP JP2020210522A patent/JP2022097122A/ja active Pending
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