JP2022091031A - レーザー溶着体、キット、レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物、および、レーザー溶着体の製造方法 - Google Patents

レーザー溶着体、キット、レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物、および、レーザー溶着体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光線透過率が低い透過樹脂部材を用いたレーザー溶着体、キット、レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物、および、レーザー溶着体の製造方法の提供。【解決手段】 レーザー吸収樹脂部材とレーザー透過樹脂部材のレーザー溶着体であって、レーザー吸収樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含むレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物から形成され、透過樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含むレーザー透過樹脂部材用樹脂組成物から形成され、レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である、レーザー溶着体。【選択図】 図3

Description

本発明は、レーザー溶着体、キット、レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物、および、レーザー溶着体の製造方法に関する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、機械的強度、耐薬品性および電気絶縁性等に優れており、また、優れた耐熱性、成形性、リサイクル性を有していることから、各種の機器部品に広く用いられている。
最近では、生産性効率化のため溶着加工を行う例が増加してきており、なかでも電子部品への影響が少ないレーザー溶着が多用されてきている(例えば、特許文献1)。
レーザー溶着は、レーザー光透過性の材料からなるレーザー透過樹脂部材(以下、「透過樹脂部材」ということがある)と、レーザー光吸収性の材料からなるレーザー吸収樹脂部材(以下、「吸収樹脂部材」ということがある)を重ねて、透過樹脂部材側からレーザー光を照射し、吸収樹脂部材との界面を発熱させて溶着する技術である。そして、そのような用途の成形品に適用される樹脂組成物としては、レーザー光の照射によって溶着することが可能な性能(レーザー溶着性)を有することが要求される。
特許第6183822号公報
ここで、近年、レーザー溶着体に用いられるレーザー吸収樹脂部材やレーザー透過樹脂部材にも、難燃性や耐衝撃性などのレーザー溶着以外の性能が求められるようになっている。しかしながら、難燃性を高めるために、レーザー透過樹脂部材を形成するための透過樹脂部材用樹脂組成物に難燃剤を配合すると、得られるレーザー透過樹脂部材の光線透過率が低くなってしまい、レーザー溶着強度が低くなったり、全く溶着しなくなってしまう場合があることが分かった。また、難燃剤以外でも、エラストマーなどによっても、透過樹脂部材の光線透過率が低くなってしまい、レーザー溶着強度の低下・非溶着が起こってしまうことが分かった。すなわち、光線透過率が低い透過樹脂部材を用いてもレーザー溶着させる方法が求められる。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、光線透過率が低い透過樹脂部材を用いたレーザー溶着体、キット、レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物、および、レーザー溶着体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、光線透過率が低い透過樹脂部材に対し、光吸収性色素の含有割合が高い吸収樹脂部材を組み合わせて、レーザー溶着することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>レーザー吸収樹脂部材とレーザー透過樹脂部材のレーザー溶着体であって、前記レーザー吸収樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含むレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物から形成され、前記透過樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含むレーザー透過樹脂部材用樹脂組成物から形成され、前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である、レーザー溶着体。
<2>前記光吸収性色素が、カーボンブラックを含む、<1>に記載のレーザー溶着体。
<3>前記光吸収性色素の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、2.0~5.5質量部である、<1>または<2>に記載のレーザー溶着体。
<4>前記光透過性色素が、黒色色素および/または2種以上の有彩色色素を含む黒色色素組成物を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のレーザー溶着体。
<5>前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載のレーザー溶着体。
<6>前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、難燃剤を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載のレーザー溶着体。
<7>前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、臭素系難燃剤とアンチモン化合物を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載のレーザー溶着体。
<8>前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、エラストマーを含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載のレーザー溶着体。
<9>前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、反応性化合物を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載のレーザー溶着体。
<10>前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、無機充填剤を含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載のレーザー溶着体。
<11>レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物と、レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物とを含むキットであって、前記レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含み、前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含み、前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である、キット。
<12>前記光吸収性色素の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、2.0~5.5質量部である、<11>に記載のキット。
<13>前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、難燃剤を含む、<11>または<12>に記載のキット。
<14>前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、エラストマーを含む、<11>~<13>のいずれか1つに記載のキット。
<15><1>~<10>のいずれか1つに記載のレーザー溶着体を形成するために用いられる、<11>~<14>のいずれか1つに記載のキット。
<16>ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含む、レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
<17>前記光吸収性色素の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、2.0~5.5質量部である、<16>に記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
<18>さらに、難燃剤を含む、<16>または<17>に載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
<19>さらに、エラストマーを含む、<16>~<18>のいずれか1つに記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
<20>1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満であるレーザー透過樹脂部材用樹脂組成物から形成されたレーザー透過樹脂部材とのレーザー溶着体の製造に用いられる、<16>~<19>のいずれか1つに記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
<21><11>~<15>のいずれか1つに記載のキット、または、<16>~<20>のいずれか1つに記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物と、1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満であるレーザー透過樹脂部材用樹脂組成物とを用い、ガルバノスキャニング式レーザー溶着によって行う、レーザー溶着体の製造方法。
本発明により、光線透過率が低い透過樹脂部材を用いたレーザー溶着体、キット、レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物、および、レーザー溶着体の製造方法を提供可能になった。
実施例のレーザー溶着強度を測定するための試験片(透過樹脂部材I)を示す概略図である。 実施例のレーザー溶着強度を測定するための試験片(吸収樹脂部材II)を示す概略図である。 実施例のレーザー溶着強度を測定するための試験片(透過樹脂部材Iと吸収樹脂部材IIの組み合わせ)を示す概略図である。 実施例のレーザー溶着強度の測定方法を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本実施形態のレーザー溶着体は、レーザー吸収樹脂部材(以下、「吸収樹脂部材」ということがある)とレーザー透過樹脂部材(以下、「透過樹脂部材」ということがある)のレーザー溶着体であって、吸収樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含むレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物(以下、「吸収樹脂部材用樹脂組成物」ということがある)から形成され、透過樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含むレーザー透過樹脂部材用樹脂組成物(以下、「透過樹脂部材用樹脂組成物」ということがある)から形成され、前記透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満であることを特徴とする。このような構成とすることにより、光線透過率の低い透過樹脂部材を、レーザー溶着することが可能になる。
すなわち、難燃性や耐衝撃性などを備えた樹脂組成物から形成された樹脂部材は、光線透過率が低くなり、レーザー溶着用の透過樹脂部材としては用いにくい傾向にある。本実施形態では、吸収樹脂部材用樹脂組成物に配合する光吸収性色素の濃度を高めることにより、透過樹脂部材の光線透過率が低くても、レーザー溶着ができたと推測される。すなわち、吸収樹脂部材中の光吸収性色素の濃度を高めることにより、レーザー溶着界面において、発熱量を多くし、溶着することができたと推測される。これまで、光線透過率の低い透過樹脂部材については、レーザー溶着のエネルギーを大きくして対応していた。しかしながら、この方法では生産性や物性維持の点で問題が多い。本実施形態では、一般的なレーザー溶着エネルギーであってもレーザーを溶着できる。なお、本実施形態においても、レーザー溶着のエネルギーを従来より大きくして、より強固にレーザー溶着させることを排除するものではない。
以下、本実施形態の詳細について説明する。
<レーザー吸収樹脂部材>
本実施形態におけるレーザー吸収樹脂部材(吸収樹脂部材)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含む吸収樹脂部材用樹脂組成物から形成される。このように、光吸収性色素の含有量が多い吸収樹脂部材用樹脂組成物を用いることにより、光線透過率が低い透過樹脂部材とのレーザー溶着強度を高めることができる。
<<ポリブチレンテレフタレート樹脂>>
吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、酸成分の主成分としてテレフタル酸を、ジオール成分の主成分として1,4-ブタンジオールを重縮合させて得られる樹脂である。酸成分の主成分がテレフタル酸であるとは、酸成分の50質量%以上がテレフタル酸であることをいい、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。ジオール成分の主成分であるが1,4-ブタンジオールとは、ジオール成分の50質量%以上が1,4-ブタンジオールであることをいい、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂が、他の酸成分を含む場合、イソフタル酸、ダイマー酸が例示される。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂が他のジオール成分を含む場合、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリアルキレングリコール等が例示される。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ポリテトラメチレングリコールを共重合したものを用いる場合は、共重合体中のテトラメチレングリコール成分の割合は3~40質量%であることが好ましく、5~30質量%がより好ましく、10~25質量%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性と耐熱性とのバランスにより優れる傾向となり好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレートを用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるダイマー酸成分の割合は、カルボン酸基として0.5~30モル%であることが好ましく、1~20モル%がより好ましく、3~15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性、長期耐熱性および靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂として、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレートを用いる場合は、全カルボン酸成分に占めるイソフタル酸成分の割合は、カルボン酸基として1~30モル%であることが好ましく、1~20モル%がより好ましく、3~15モル%がさらに好ましい。このような共重合割合とすることにより、レーザー溶着性、耐熱性、射出成形性および靭性のバランスに優れる傾向となり好ましい。
本実施形態で用いるポリブチレンテレフタレート樹脂は、酸成分の90質量%以上がテレフタル酸であり、ジオール成分の90質量%以上が1,4-ブタンジオールである樹脂(ポリブチレンテレフタレートホモポリマー)、または、ポリテトラメチレングリコールを共重合した共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、0.5~2dL/gであるものが好ましい。成形性および機械的特性の点からして、0.6~1.5dL/gの範囲の固有粘度を有するものがより好ましい。固有粘度が0.5dL/g以上のものを用いることにより、得られる吸収樹脂部材の機械的強度がより向上する傾向にある。また、固有粘度が2dL/g以下のものを用いることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂の流動性が向上し、成形性が向上し、レーザー溶着性がより向上する傾向にある。
なお、固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定される値である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂を2種以上含む場合、固有粘度は混合物の固有粘度とする。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、60eq/ton以下であり、50eq/ton以下であることが好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。末端カルボキシ基量を60eq/ton以下、さらには50eq/ton以下とすることにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂の溶融成形時のガスの発生をより効果的に抑制できる。また、末端カルボキシ基量の下限値は特に定めるものではないが、通常、5eq/tonである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂を2種以上含む場合、末端カルボキシ基量は混合物の末端カルボキシ基量とする。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基量は、ベンジルアルコール25mLにポリブチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を用いて滴定することにより、求められる値である。末端カルボキシ基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調整する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法が挙げられる。
本実施形態で用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂は、酸成分の主成分としてテレフタル酸を、ジオール成分の主成分としてエチレングリコールを重縮合させて得られる樹脂である。酸成分の主成分がテレフタル酸であるとは、酸成分の50質量%以上がテレフタル酸であることをいい、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。ジオール成分の主成分がエチレングリコールであるとは、ジオール成分の50質量%以上がエチレングリコールであることをいい、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上であってもよい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂が他の酸成分を含む場合、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸およびこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸およびその誘導体、p-ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸等のオキシ酸またはその誘導体が挙げられる。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂が他の酸成分を含む場合、他のジオール成分として、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体等が挙げられる。
さらに、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、分岐成分、例えばトリカルバリル酸、トリメリシン酸、トリメリット酸等の如き三官能、もしくはピロメリット酸の如き四官能のエステル形成能を有する酸またはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等の如き三官能もしくは四官能のエステル形成能を有するアルコールを1.0モル%以下、好ましくは0.5モル%以下、さらに好ましくは0.3モル%以下を共重合せしめたものであってもよい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、好ましくは0.3~1.5dL/gであり、より好ましくは0.3~1.2dL/gであり、さらに好ましくは0.4~0.8dL/gである。
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定する値である。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基の濃度は、好ましくは3~60eq/tonであり、より好ましくは5~50eq/tonであり、さらに好ましくは8~40eq/tonである。末端カルボキシ基濃度を60eq/ton以下とすることで、樹脂材料の溶融成形時にガスが発生しにくくなり、得られる吸収樹脂部材の機械的特性が向上する傾向にあり、逆に末端カルボキシ基濃度を3eq/ton以上とすることで、得られる吸収樹脂部材の耐熱性、滞留熱安定性や色相が向上する傾向にあり、好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシ基濃度は、ベンジルアルコール25mLにポリエチレンテレフタレート樹脂0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を使用して滴定することにより、求められる値である。
本実施形態におけるポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、吸収樹脂部材用樹脂組成物中、30質量%以上であることが好ましく、34質量%以上であることがより好ましく、48質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、吸収樹脂部材の溶着強度がより高まる傾向にある。また、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂の含有量は、吸収樹脂部材用樹脂組成物中、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<光吸収性色素>>
吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含む。吸収樹脂部材用樹脂組成物が光吸収性色素を含むことにより、吸収樹脂部材がレーザー光を吸収し、吸収樹脂部材と透過樹脂部材の界面でのレーザー溶着が可能になる。
光吸収性色素としては、照射するレーザー光波長の範囲、すなわち、本実施形態では、例えば、波長800nm~1100nmの範囲に極大吸収波長を持つものである。光吸収性色素とは、また、ポリブチレンテレフタレート樹脂(例えば、ノバデュラン(登録商標)5008)と、ガラス繊維(例えば、日本電気硝子社製、商品名:T-127)30質量%と色素(光吸収性色素と思われる色素)0.3質量部配合し、後述する実施例に記載の測定方法で光線透過率を測定したときに、透過率が15%未満、さらには、10%以下となる色素を含む。
光吸収性色素の具体例としては、無機顔料(カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)などの黒色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、白色顔料)、有機顔料(黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料など)などが挙げられる。なかでも、無機顔料は一般に隠ぺい力が強く好ましく、黒色顔料がさらに好ましく、カーボンブラックが一層好ましい。
光吸収性色素(好ましくはカーボンブラック)は、マスターバッチとして吸収樹脂部材用樹脂組成物に配合されることが好ましい。本実施形態においては、ポリブチレンテレフタレート樹脂でマスターバッチ化されていることが好ましい。また、マスターバッチにおける光吸収性色素(CB)と樹脂の質量比率(CB/樹脂)は、10~40/90~60であることが好ましく、15~35/85~65であることがより好ましい。
吸収樹脂部材用樹脂組成物における光吸収性色素(好ましくはカーボンブラック)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、1.2質量部以上であり、1.6質量部以上であることが好ましく、2.0質量部以上であることがより好ましく、2.2質量部以上であることがさらに好ましく、2.5質量部以上であることが一層好ましく、さらには、3.0質量部以上、3.1質量部以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、レーザー溶着性がより向上する傾向にある。また、前記光吸収性色素の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、10質量部以下であり、8.6質量部以下であることが好ましく、7.7質量部以下であることがより好ましく、6.0質量部以下であることがさらに好ましく、5.5質量部以下であることが一層好ましく、5.0質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、レーザー吸収による過発熱を抑え、レーザー溶着強度を維持する効果がより向上する傾向にある。
また、吸収樹脂部材用樹脂組成物における光吸収性色素(好ましくはカーボンブラック)の含有量は、組成物中、0.7質量%以上であることが好ましく、1.0質量%以上であることがより好ましく、1.2質量%以上であることがさらに好ましく、1.6質量%以上であることが一層好ましく、2.0質量%以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、レーザー溶着性がより向上する傾向にある。前記光吸収性色素の含有量は、組成物中、8.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましく、6.0質量%以下であることがさらに好ましく、5.0質量%以下であることが一層好ましく、4.0質量%以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、レーザー吸収による過発熱を抑え、レーザー溶着強度を維持する効果がより向上する傾向にある。
吸収樹脂部材用樹脂組成物は、光吸収性色素(好ましくはカーボンブラック)を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<ポリカーボネート樹脂>>
吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ポリカーボネート樹脂を配合することにより、レーザー光透過性や溶着性をより向上させることができる。
本実施形態で用いられるポリカーボネート樹脂は、公知のポリカーボネート樹脂を用いることができる。ポリカーボネート樹脂は、通常、ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体または共重合体である。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができるが、溶融重合法で製造したポリカーボネート樹脂が好ましい。
原料のジヒドロキシ化合物としては、芳香族ジヒドロキシ化合物が好ましく、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわち、ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4-ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導される芳香族ポリカーボネート樹脂、または、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導される芳香族ポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の共重合体であってもよい。さらには、上述したポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、5,000~100,000であることが好ましく、10,000~50,000であることがより好ましく、20,000~40,000であることがさらに好ましい。粘度平均分子量が5,000以上のものを用いることにより、得られる吸収樹脂部材の機械的強度がより向上する傾向にある。また、粘度平均分子量が30000以下のものを用いることにより、樹脂組成物の流動性が向上し、成形性やレーザー溶着性がより向上する傾向にある。
なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算される粘度平均分子量[Mv]である。
本実施形態における吸収樹脂部材用樹脂組成物がポリカーボネート樹脂を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、1.0質量部以上であることが好ましく、10.0質量部以上であることが好ましく、30.0質量部以上であることがより好ましく、50.0質量部以上であることがさらに好ましく、70.0質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形品の反りを抑制する効果がより向上する傾向にある。また、前記ポリカーボネート樹脂の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対し、100質量部以下であることが好ましく、95.0質量部以下であることがより好ましく、90.0質量部以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐薬品性の低下を抑制する効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<難燃剤>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤を含むことにより、吸収樹脂部材の難燃性をより向上させることができる。難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤(ホスフィン酸金属塩、ポリリン酸メラミン等)、窒素系難燃剤(シアヌル酸メラミン等)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム等)等があるが、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤が好ましい。リン系難燃剤としては、ホスフィン酸金属塩がより好ましい。ハロゲン系難燃剤としては、臭素系難燃剤がより好ましい。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、難燃剤を含む場合、臭素系難燃剤を含むことが特に好ましい。臭素系難燃剤を含むことにより、難燃性を向上させることができると共に、靭性低下を抑制する効果が達成される。臭素系難燃剤としては、臭素系エポキシ化合物、臭素化ポリカーボネート、臭素系ポリスチレンが例示され、臭素化ポリカーボネートがより好ましい。なお、臭素化ポリカーボネート等の高分子であって難燃性の機能を有するものは、本明細書における「熱可塑性樹脂」および「ポリカーボネート樹脂」には含まれないものとする。
臭素系難燃剤の詳細は、特開2018-195561号公報の段落0029~0037の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
臭素化ポリカーボネートとしては、臭素化ビスフェノールA、特にテトラブロモビスフェノールAから得られる、臭素化ポリカーボネートであることが好ましい。その末端構造は、フェニル基、4-t-ブチルフェニル基や2,4,6-トリブロモフェニル基等が挙げられ、特に、末端基構造に2,4,6-トリブロモフェニル基を有するものが好ましい。
臭素化ポリカーボネートにおける、カーボネート繰返単位数の平均は適宜選択して決定すればよいが、2~30が好ましい。カーボネート繰返単位数の平均を2以上とすることにより、溶融時にポリブチレンテレフタレート樹脂の分子量低下を引き起こしにくくなる。また、30以下とすることにより、臭素化ポリカーボネートの溶融粘度が高くなりすぎず、吸収樹脂部材中で効果的に分散させることができる。前記繰返単位数の平均は、3~15であることがより好ましく、3~10であることがさらに好ましい。
臭素化ポリカーボネートの分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、好ましくは粘度平均分子量で1,000~20,000であり、より好ましくは2,000~10,000である。なお、臭素化ポリカーボネートの粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算される粘度平均分子量[Mv]である。
上記臭素化ビスフェノールAから得られる臭素化ポリカーボネートは、例えば、臭素化ビスフェノールとホスゲンとを反応させる通常の方法で得ることができる。末端封鎖剤としては芳香族モノヒドロキシ化合物が挙げられ、これはハロゲンまたは有機基で置換されていてもよい。
本実施形態で用いる臭素化ポリカーボネート中における臭素の含有量は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、難燃剤の配合量が抑制でき、組成物から形成される成形体の透過率低下抑制効果がより向上する傾向にある。また、前記臭素の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、組成物からの遊離臭素発生抑制効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物が、難燃剤(好ましくは臭素系難燃剤、より好ましくは臭素化ポリカーボネート)を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、15質量部以上であることが一層好ましく、20質量部以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、難燃性および高CTIがより効果的に達成される傾向にある。また、前記臭素系難燃剤の含有量の上限は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、45質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、35質量部以下であることがさらに好ましく、30質量部以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、機械物性低下を抑制する効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、難燃剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<難燃助剤>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、難燃助剤を含んでいてもよい。難燃助剤を含むことにより、難燃剤の作用を助け、吸収樹脂部材の難燃性をより向上させることができる。また、透過樹脂部材の光線透過率が低い状態でも、難燃助剤が透過樹脂部材と吸収樹脂部材の界面で発熱し、溶着強度を高めることができる。難燃助剤は、ハロゲン系難燃剤(好ましくは臭素系難燃剤)を含む場合に特に好ましく用いられる。本実施形態で用いる難燃助剤は、アンチモン化合物が例示され、三酸化アンチモン(Sb23)、五酸化アンチモン(Sb25)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、耐衝撃性の点から酸化アンチモン、特に、三酸化アンチモンが好ましい。
難燃助剤を配合する場合、マスターバッチとして配合してもよい。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物が、難燃助剤(好ましくはアンチモン化合物)を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、4質量部以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、難燃性がより向上する傾向にある。また、前記難燃助剤の含有量の上限は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる吸収樹脂部材の機械的強度がより向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、難燃助剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<滴下防止剤>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、滴下防止剤を含んでいてもよい。滴下防止剤を含有することにより、成形体の難燃性をより向上させることができる。特に、難燃剤を配合する場合に、滴下防止剤も併用することが好ましい。
滴下防止剤としては、フルオロポリマーが好ましい。フルオロポリマーとしては、フッ素を有する公知のポリマーを任意に選択して使用できるが、中でもフルオロオレフィン樹脂が好ましい。フルオロオレフィン樹脂としては、例えば、フルオロエチレン構造を含む重合体や共重合体が挙げられる。その具体例を挙げると、ジフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂等が挙げられる。中でもテトラフルオロエチレン樹脂等が好ましい。このフルオロエチレン樹脂としては、フィブリル形成能を有するフルオロエチレン樹脂が好ましい。
滴下防止剤の詳細は、特開2016-132772号公報の段落0079~0080の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物が滴下防止剤を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、0.005質量部以上であることが好ましく、0.010質量部以上であることがより好ましく、0.100質量部以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、難燃性がより向上する傾向にある。また、前記滴下防止剤の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、機械物性低下を抑制する効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、滴下防止剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<反応性化合物>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、さらに、反応性化合物(好ましくは、エポキシ化合物)を含んでいてもよい。反応性化合物を含むことにより、溶着強度が高くなる傾向にある。ただし、反応性化合物がエラストマーにも該当する場合、本明細書においては、エラストマーに分類されるものとする。
反応性化合物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端に存在するカルボキシ基やヒドロキシ基と化学反応し、架橋反応や鎖長延長が生じ得る化合物が好ましい。反応性化合物としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基(環)を有する化合物、オキサジン基(環)を有する化合物、カルボキシ基を有する化合物、およびアミド基を有する化合物からなる群から選ばれた1種以上を含むことが好ましく、エポキシ化合物およびカルボジイミド化合物から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましく、エポキシ化合物を含むことがさらに好ましい。特に、本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、反応性化合物の90質量%以上、さらには95質量%以上、特には99質量%以上がエポキシ化合物であることが好ましい。
エポキシ化合物は、一分子中に一個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に定めるものではなく、公知のエポキシ化合物を広く採用することができる。エポキシ化合物を含むことにより、レーザー照射条件幅が広がる傾向にある。
エポキシ化合物としては、グリシジル化合物、芳香族環を有するエポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物が挙げられ、芳香族環を有するエポキシ化合物を少なくとも含むことが好ましい。
エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ビスフェノールAジグリシジルエーテルを含む)、ビスフェノールF型エポキシ化合物(ビスフェノールFジグリシジルエーテルを含む)、ビフェニル型エポキシ化合物(ビス(グリシジルオキシ)ビフェニルを含む)、レゾルシン型エポキシ化合物(レゾルシノールジグリシジルエーテルを含む)、ノボラック型エポキシ化合物、安息香酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、オルトフタル酸ジグリシジルエステルなどの芳香族環を有するエポキシ化合物、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの(ジ)グリシジルエーテル類、ソルビン酸グリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油などのパラフィン系(例えば飽和脂肪酸系)またはオレフィン系(例えば不飽和脂肪酸系)の(ジ)グリシジルエステル類、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシドなどの脂環式エポキシ化合物類が挙げられる。
中でも、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物等が好ましく、特にオルソクレゾール/ノボラック型エポキシ樹脂(O-クレゾール・ホルムアルデヒド重縮合物のポリグリシジルエーテル化合物)がより好ましい。
市販のものとしては、「Joncryl ADR4368C」(商品名:BASF社製)、エピコート1003(商品名:三菱ケミカル社製)、新日鉄住金化学社製(商品名:YDCN704)などが挙げられる。
エポキシ化合物は、重量平均分子量が15000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましい。下限値については、特に定めるものではないが、重量平均分子量が100以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、本実施形態の効果がより効果的に発揮される傾向にある。
エポキシ化合物は、エポキシ当量が100g/eq以上または100g/mol以上であることが好ましく、より好ましくは150g/eq以上または150g/mol以上である。また、エポキシ化合物は、エポキシ当量が1500g/eqまたは1500g/mol以下であることが好ましく、900g/eq以下または900g/mol以下であることがより好ましく、800g/eq以下または800g/mol以下であることがさらに好ましい。
エポキシ当量を上記下限値以上とすることにより、溶着強度や溶着体の耐加水分解性がより高くなる傾向にある。上記上限値以下とすることにより、流動性が高くなり成形しやすくなる傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物が、反応性化合物(好ましくは、エポキシ化合物)を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.4質量部以上であることがさらに好ましく、0.5質量部以上であることが一層好ましく、0.6質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、溶着強度が高くなる傾向にある。また、前記反応性化合物の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、18質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましく、5質量部以下であることが一層好ましく、3質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、流動性がより高くなり成形性が向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、反応性化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<エラストマー>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、エラストマーを含んでいてもよい。エラストマーを含むことにより、得られる吸収樹脂部材の耐衝撃性を向上させることができる。
エラストマーは、ポリエステル樹脂に配合して、耐衝撃性を改良するのに用いられるエラストマーを広く採用できる。
エラストマーの一例は、エポキシ基を含むエラストマーである。エポキシ基を含むエラストマーを含むことにより、より耐衝撃性の高い吸収樹脂部材が得られる傾向にある。
エポキシ基を含むエラストマーの第一の実施形態は、α-オレフィン、α,β-不飽和酸のグリシジルエステルおよび必要に応じてこれらと共重合可能な不飽和モノマーを共重合することにより得られる共重合体である。全共重合成分中、α-オレフィンおよびα,β-不飽和酸のグリシジルエステルを60質量%以上用いることが好ましい。
α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1等を挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。α,β-不飽和酸のグリシジルエステルとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジルなどを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。上記成分と共重合可能なビニル系モノマーとしては、例えば、ビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、メチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアクリル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、スチレンなどを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
第一の実施形態のエポキシ基を含むエラストマーの好ましい例としては、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート/酢酸ビニル共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート/アルキルアクリレート共重合体、エチレン/アルキルアクリレート/酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。特に、靭性に優れ、吸収樹脂部材の耐湿熱性および耐衝撃性をより向上させる観点から、エチレン/グリシジルメタクリレート/アルキルアクリレート(好ましくはブチルアクリレート)共重合体が好ましい。第一の実施形態のエポキシ基を含むエラストマーの具体例としては、アルケマ製の“ロタダー”(登録商標)AX8900、AX8700という商品名で入手できる。
エポキシ基を含むエラストマーの第二の実施形態は、コアシェル型エラストマーである。コアシェル型エラストマーを用いることにより、分子粒径が小さいためポリブチレンテレフタレート樹脂中で分散しやすく、反応性基の反応によって溶着強度が高まる傾向にある。コアシェル型エラストマーとは、コアの重合体に、単量体成分をグラフト共重合したものが例示される。
コアは、ゴム質重合体であることが好ましく、アクリロニトリル・アクリル系ゴム質重合体・スチレングラフト共重合体(ASA樹脂)、メチルメタクリレート・アクリル系ゴム質重合体・スチレングラフト共重合体(MSA樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・アクリル系ゴム質重合体・スチレングラフト共重合体(MASA樹脂)、ポリオルガノシロキサン含有ゴム質重合体等が例示され、ポリオルガノシロキサン含有ゴム質重合体が好ましい。
ポリオルガノシロキサン含有ゴム質重合体は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも-20℃以下が好ましく、さらには-30℃以下が好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリオルガノシロキサンゴムを含有していれば特に制限はなく、例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとの(IPN型)複合ゴム等が挙げらる。
コアとグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。
ゴム質重合体、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、特開2019-059813号公報の段落0042~0046の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
第二の実施形態のエポキシ基を含むエラストマーは、ポリオルガノシロキサン含有ゴム質重合体(好ましくは、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとの複合ゴム)に、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合した化合物であることが好ましい。
第二の実施形態のエポキシ基を含むエラストマーの具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製「メタブレン(登録商標、以下同じ)S-2002」、「メタブレンS-2200」等が挙げられる。
エラストマーの他の一例は、ゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体が挙げられる。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
ゴム成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも-20℃以下が好ましく、更には-30℃以下が好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブチルアクリレートやポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2-エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン-アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴムやエチレン-ブテンゴム、エチレン-オクテンゴムなどのエチレン-α-オレフィン系ゴム、エチレン-アクリルゴム、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム、スチレン-ブタジエンゴムが好ましい。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、エポキシ基を含むエラストマーの第二の実施形態で述べたゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例と同様である。
ゴム成分を共重合したグラフト共重合体は、耐衝撃性や表面外観の点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもポリブタジエン含有ゴム、ポリブチルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40質量%以上含有するものが好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸は、10質量%以上含有するものが好ましい。尚、本実施形態におけるコア/シェル型とは必ずしもコア層とシェル層が明確に区別できるものでなくてもよく、コアとなる部分の周囲にゴム成分をグラフト重合して得られる化合物を広く含む趣旨である。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート-アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート-アクリルゴム-スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート-アクリル・ブタジエンゴム-スチレン共重合体、メチルメタクリレート-(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体等が挙げられる。このようなゴム性重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
このようなエラストマーとしては、例えば、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製の「パラロイド(登録商標、以下同じ)EXL2602」、「パラロイドEXL2603」、「パラロイドEXL2655」、「パラロイドEXL2311」、「パラロイドEXL2313」、「パラロイドEXL2315」、「パラロイドKM330」、「パラロイドKM336P」、「パラロイドKCZ201」、三菱レイヨン社製の「メタブレン(登録商標、以下同じ)C-223A」、「メタブレンE-901」、「メタブレンS-2001」、「メタブレンSRK-200」、カネカ社製の「カネエース(登録商標、以下同じ)M-511」、「カネエースM-600」、「カネエースM-400」、「カネエースM-580」、「カネエースM-711」、「カネエースMR-01」、宇部興産製の「UBESTA XPA」等が挙げられる。
エラストマー(特に、エポキシ基を含むエラストマー)は、JIS K7210に従い、190℃、荷重2.16kgfで測定されたメルトフローレート(MFR)が、0.1~50g/10分であることが好ましく、0.5~30g/10分であることがより好ましい。MFRを上記範囲とすることにより、外観不良をより効果的に抑制しつつ、耐衝撃性が向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物がエラストマーを含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、耐衝撃性がより向上する傾向にある。また、前記エラストマーの含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、26質量部以下であることが一層好ましく、20質量部以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、レーザー溶着強度低下を抑制する効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物はエラストマーを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<無機充填剤>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、無機充填剤を含んでいてもよい。無機充填剤を含むことにより、得られる吸収樹脂部材の機械的強度を高くすることができる。
無機充填剤は、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、ウォラストナイト、チタン酸カリウム繊維等の繊維状の無機充填剤を用いることができる。また、炭酸カルシウム、酸化チタン、長石系鉱物、クレー、ガラスビーズ等の粒状または無定形の充填剤;ガラスフレーク、グラファイト等の鱗片状の充填剤を用いることもできる。中でも、機械的強度、剛性および耐熱性の点から、繊維状の充填剤、特にはガラス繊維を用いるのが好ましい。
ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Mガラス、Rガラスなどのガラス組成からなり、特に、Eガラス(無アルカリガラス)がポリブチレンテレフタレート樹脂に悪影響を及ぼさないので好ましい。
繊維とは、長さ方向に直角に切断した断面形状が真円状、楕円状、または、多角形状等であって、断面に比して長さが十分に長い、繊維状外観を呈するものが例示される。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物に用いるガラス繊維は、単繊維または単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。
ガラス繊維の形態は、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取った「ガラスロービング」、長さ1~10mmに切りそろえた「チョップドストランド」、長さ10~500μmに粉砕した「ミルドファイバー」などのいずれであってもよいが、チョップドストランドが好ましい。かかるガラス繊維としては、旭ファイバーグラス社より、「グラスロンチョップドストランド」や「グラスロンミルドファイバー」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。ガラス繊維は、形態が異なるものを併用することもできる。
また、本実施形態ではガラス繊維として、異形断面形状を有するものも好ましい。この異形断面形状とは、繊維の長さ方向に直角な断面の長径をD2、短径をD1とするときの長径/短径比(D2/D1)で示される扁平率が、例えば、1.5~10であり、中でも2.5~10、更には2.5~8、特に2.5~5であることが好ましい。かかる扁平ガラスについては、特開2011-195820号公報の段落番号0065~0072の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物が無機充填剤(好ましくはガラス繊維)を含む場合、その含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、25質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、35質量部以上であることがさらに好ましく、40質量部以上であることが一層好ましく、45質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる吸収樹脂部材の機械的硬度がより向上する傾向にある。前記無機充填剤の含有量の上限は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、70質量部以下であることがさらに好ましく、60質量部以下であることが一層好ましく、55質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、引張伸び低下を抑制する効果がより向上する傾向にある。
また、本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物が無機充填剤(好ましくはガラス繊維)を含む場合、その含有量は、樹脂組成物中、20質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる吸収樹脂部材の機械的硬度がより向上する傾向にある。前記無機充填剤の含有量の上限は、樹脂組成物中、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、引張伸び低下を抑制する効果がより向上する傾向にある。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は無機充填剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<安定剤>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、安定剤を含んでいてもよい。安定剤は、フェノール系安定剤(好ましくは、ヒンダードフェノール系安定剤)、ヒンダードアミン系安定剤、リン系安定剤、硫黄系安定剤等が例示される。これらの中でも、フェノール系安定剤、リン系安定剤および硫黄系安定剤が好ましい。
安定剤としては、具体的には、特開2018-070722号公報の段落0046~0057の記載、特開2019-056035号公報の段落0030~0037の記載、国際公開第2017/038949号の段落0066~0078の記載、特開2020-147662号公報の段落0051~0060を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、安定剤をポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上含むことが好ましく、0.10質量部以上含むことがより好ましい。また、前記安定剤の含有量の上限値は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、4質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<離型剤>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、離型剤(滑剤)を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素化合物、ワックス、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0112~0121の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
離型剤の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量を前記範囲の下限値以上とすることにより離型性の効果が十分に得られやすく、離型剤の含有量が前記範囲の上限値以下とすることにより、十分な耐加水分解性が得られ、また射出成形時の金型汚染などが生じにくくなる。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、離型剤を1種のみ含んでいても、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他の成分>>
吸収樹脂部材用樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
具体的には、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリカーボネート樹脂以外の他の熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂および光吸収性色素、ならびに、必要に応じ配合される成分の合計が100質量%であり、ポリブチレンテレフタレート樹脂および光吸収性色素、ならびに、必要に応じ配合されるポリカーボネート樹脂、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、反応性化合物、エラストマー、無機充填剤、安定剤および離型剤の合計が90~100質量%を占めることが好ましく、95~100質量%を占めることがさらに好ましく、99~100質量%を占めることが一層好ましい。
<<ブレンド形態>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物の好ましいブレンド形態について説明する。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物の第一のブレンド形態は、ポリブチレンテレフタレート樹脂40~80質量%と、ポリカーボネート樹脂60~20質量%とからなる樹脂成分100質量部に対し、光吸収性色素1.2~25質量部と、難燃剤を5~20質量部と、難燃助剤1~5質量部と、エラストマー5~20質量部を含むものである。第一のブレンド形態は、ポリブチレンテレフタレート樹脂50~75質量%と、ポリカーボネート樹脂50~25質量%とからなる樹脂成分100質量部に対し、光吸収性色素10~23質量部と、難燃剤を8~15質量部と、難燃助剤1~5質量部と、エラストマー8~10質量部を含む吸収部材用樹脂組成物であることが好ましい。第一のブレンド形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、ポリカーボネート樹脂と、光吸収性色素と、難燃剤と、難燃助剤と、エラストマーの合計が吸収部材用樹脂組成物の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましい。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物の第二のブレンド形態は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部(好ましくは2~6質量部)と、エラストマー0~20質量部(好ましくは5~20質量部)と無機充填剤(好ましくはガラス繊維)30~70質量部を含むものである。第二のブレンド形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、光吸収性色素と、エラストマーと、無機充填剤の合計が吸収部材用樹脂組成物の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましい。
<<物性>>
次に、本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物の好ましい値について述べる。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、機械的強度に優れていることが好ましい。
具体的には、本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ISO527に従った引張降伏応力が40MPa以上であることが好ましく、45MPa以上であることがより好ましい。上限値については、特に定めるものではないが、例えば、100MPa以下が実際的であり、70MPa以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、4mm厚さのISO試験片に成形し、ISO178に従った破壊呼びひずみが10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。上限値については、特に定めるものではないが、例えば、200%以下が実際的であり、150%以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、4mm厚さのISO試験片に成形し、ISO178に従った曲げ弾性率が、1800MPa以上であることが好ましく、2000MPa以上であることがより好ましい。また、上限値については、特に定めるものではないが、例えば、4000MPa以下が実際的であり、3000MPa以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、4mm厚さのISO試験片に成形し、ISO178に従った曲げ強さが、70MPa以上であることが好ましく、75MPa以上であることがより好ましい。また、上限値については、特に定めるものではないが、例えば、120MPa以下が実際的であり、100MPa以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、4mm厚さのISO試験片に成形し、ISO179に従ったノッチ付きシャルピー衝撃強さが、7kJ/m2以上であることが好ましく、10kJ/m2以上であることがより好ましい。また、上限値については、特に定めるものではないが、例えば、100kJ/m2以下が実際的であり、70kJ/m2以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、3mm厚さの試験片に成形し、UL94規格に準拠して測定した難燃性が、V-0を満たすことが好ましい。
<<吸収樹脂部材の形状>>
吸収樹脂部材の形状は特に制限されないが、部材同士をレーザー溶着により接合して用いるため、通常、少なくとも面接触箇所(平面、曲面)を有する形状である。レーザー溶着では、透過樹脂部材を透過したレーザー光が、吸収樹脂部材に吸収されて、溶融し、両部材が溶着される。
<<吸収樹脂部材用樹脂組成物の用途>>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光吸収性色素を含む樹脂組成物に広く用いられる。具体的には、各種保存容器、電気・電子機器部品、オフィスオートメート(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、車両機構部品などに適用できる。特に、食品用容器、薬品用容器、油脂製品容器、車両用中空部品(各種タンク、インテークマニホールド部品、カメラ筐体)、車両用電装部品(各種コントロールユニット、イグニッションコイル部品など)、モーター部品、各種センサー部品、コネクター部品、スイッチ部品、ブレーカー部品、リレー部品、コイル部品、トランス部品、ランプ部品などに好適に用いることができる。
<レーザー透過樹脂部材>
本実施形態におけるレーザー透過樹脂部材(透過樹脂部材)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含む透過樹脂部材用樹脂組成物であって、透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である樹脂組成物から形成される。本実施形態では、このように光線透過率が低い透過樹脂部材を用いても、上記吸収樹脂部材を用いることにより、適切なレーザー溶着が可能になる。
透過樹脂部材の形状は特に制限されないが、部材同士をレーザー溶着により接合して用いるため、通常、少なくとも面接触箇所(平面、曲面)を有する形状である。レーザー溶着では、透過樹脂部材を透過したレーザー光が、吸収樹脂部材に吸収されて、溶融し、両部材が溶着される。ここで、レーザー光が透過する透過樹脂部材の厚み(レーザー光が透過する部分におけるレーザー透過方向の厚み)は、適宜定めることができるが、例えば5mm以下であり、好ましくは4mm以下である。下限値は、例えば、100μm以上である。
本実施形態において、透過樹脂部材は、上述の通り、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含む透過樹脂部材用樹脂組成物であって、透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である樹脂組成物から形成される。光線透過率を前記下限値以上とすることにより、透過樹脂部材中にレーザー溶着のための光を透過させることが可能になり、レーザー溶着が可能になる。また、光線透過率を前記上限値以下の様に低い値であっても、上述の吸収樹脂部材を用いることにより、レーザー溶着が可能である。そして、本実施形態では、波長1064nmにおける光線透過率が25%未満であってもよいことから、難燃性を付与するための難燃剤や耐衝撃性を付与するためのエラストマーなどを配合しても、レーザー溶着が可能になる。すなわち、難燃剤やエラストマーを配合すると、透過樹脂部材は光線透過率が低くなるが、本実施形態では、所定の吸収樹脂部材を用いることにより、レーザー溶着を可能にしている。
前記光線透過率の下限値は、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。また、前記光線透過率の上限値は、24%以下であることが好ましく、22%以下であることがより好ましい。
<<透過樹脂部材用樹脂組成物>>
次に、透過樹脂部材用樹脂組成物について説明する。本実施形態における透過樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含む。このような樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂に光透過性染料を配合することによって、透過樹脂部材の色味を吸収樹脂部材と近い色味とすることができ、得られるレーザー溶着体の意匠性を向上させることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の詳細は、上記吸収樹脂部材の所で述べたポリブチレンテレフタレート樹脂と同様であり、好ましい範囲も同様である。
光透過性色素の詳細は後述する。
透過樹脂部材用樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ポリカーボネート樹脂の詳細は、上記吸収樹脂部材の所で述べたポリカーボネート樹脂と同様であり、好ましい範囲も同様である。
透過樹脂部材用樹脂組成物は、難燃剤を含んでいてもよく、難燃剤としては臭素系難燃剤が好ましい。また、透過樹脂部材用樹脂組成物が難燃剤を含む場合、臭素系難燃剤とアンチモン化合物を含むことが好ましい。難燃剤(好ましくは臭素系難燃剤)は、上記吸収樹脂部材の所で述べた難燃剤と同様であり、好ましい範囲も同様である。また、透過樹脂部材用樹脂組成物に難燃性を付与する目的で、難燃助剤(好ましくはアンチモン化合物)および/または滴下防止剤を用いてもよく、これらの詳細は、上記吸収樹脂部材の所で述べた難燃助剤、滴下防止剤と同様であり、好ましい範囲も同様である。
透過樹脂部材用樹脂組成物は、エラストマーを含んでいてもよい。エラストマーの詳細は、上記吸収樹脂部材の所で述べたエラストマーと同様であり、好ましい範囲も同様である。
透過樹脂部材用樹脂組成物は、反応性化合物を含んでいてもよい。反応性化合物の詳細は、上記吸収樹脂部材の所で述べた反応性化合物と同様であり、好ましい範囲も同様である。
透過樹脂部材用樹脂組成物は、無機充填剤を含んでいてもよい。無機充填剤の詳細は、上記吸収樹脂部材の所で述べた無機充填剤と同様であり、好ましい範囲も同様である。
透過樹脂部材用樹脂組成物は、離型剤および/または安定剤を含んでいてもよい。離型剤および/または安定剤の詳細は、上記吸収樹脂部材の所で述べた離型剤および/または安定剤と同様であり、好ましい範囲も同様である。
<<光透過性色素>>
次に、透過樹脂部材用樹脂組成物に含まれる光透過性色素について説明する。
光透過性色素は、レーザー溶着のためのレーザーを一定割合以上透過する色素であれば、特に定めるものではなく、公知の色素を用いることができる。
光透過性色素とは、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂(例えば、ノバデュラン(登録商標)5008)と、ガラス繊維(例えば、日本電気硝子社製、商品名:T-127)30質量%と、色素(光透過性色素と思われる色素)0.2質量%を合計100質量%となるように配合し、光線透過率を測定したときに、透過率が5%以上となる色素を含む。また、本実施形態における透過性色素を配合することにより、例えば、透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける透過率を5%以上25%未満とすることができる。
光透過性色素は通常染料である。
光透過性色素は、その用途に応じて適宜選択することができ、その色も特に定めるものではない。本実施形態で用いる光透過性色素は、黒色色素および/または2種以上の有彩色色素を含む黒色色素組成物であることが好ましい。黒色色素組成物とは、赤、青、緑等の有彩色色素が2種以上組み合わさって、黒色を呈する組成物を意味する。
黒色色素組成物の第一の実施形態は、緑色色素と赤色色素を含む形態である。黒色色素組成物の第二の実施形態は、赤色色素と青色色素と黄色色素を含む形態である。
光透過性色素の具体例としては、ニグロシン、ナフタロシアニン、アニリンブラック、フタロシアニン、ポルフィリン、ペリノン、クオテリレン、アゾ、アゾメチン、アントラキノン、ピラゾロン、スクエア酸誘導体、ペリレン、クロム錯体、およびインモニウム等が挙げられ、アゾメチン、アントラキノン、ペリノンが好ましく、その中でもアントラキノン、ペリノンがより好ましい。
市販品としては、オリエント化学工業社製の着色剤であるe-BIND LTW-8731H、e-BIND LTW-8701H、有本化学社製の着色剤であるPlast Yellow 8000、Plast Red M 8315、Plast Red 8370、Oil Green 5602、LANXESS社製の着色剤であるMacrolex Yellow 3G、Macrolex Red EG、Macrolex Green 5B、 紀和化学工業社製のKP Plast HK、KP Plast Red HG、KP Plast Red H2G、KP Plast Blue R、KP Plast Blue GR、KP Plast Green G等が例示される。
また、特許第4157300号公報に記載の色素、特許第4040460号公報に記載の色素も採用することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、光透過性色素を、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、0.001~5質量部含むことが好ましい。前記含有量の下限値は、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることがさらに好ましく、0.2質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、透過樹脂部材が着色され、レーザー溶着体の意匠性が高まる。また、前記含有量の上限値は、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0.8質量部以下であることが一層好ましく、0.5質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、光透過性色素のブリードアウトを効果的に抑制することができる。
透過樹脂部材用樹脂組成物は、光透過性色素を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
透過樹脂部材用樹脂組成物は、光吸収性色素を実質的に含まないことが好ましい。光吸収性色素以外の色素によって、透過樹脂部材に色味を持たせることにより、意匠性に優れたレーザー溶着体とすると共に、透過樹脂部材の光線透過率を5%以上とすることができる。光吸収性色素を実質的に含まないとは、光吸収性色素の含有量が透過樹脂部材用樹脂組成物に含まれる光透過性色素の含有量の5質量%以下であることをいい、1質量%以下であることが好ましい。
<<その他の成分>>
透過樹脂部材用樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
具体的には、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリカーボネート樹脂以外の他の熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂および光透過性色素、ならびに、必要に応じ配合される成分の合計が100質量%であり、ポリブチレンテレフタレート樹脂および光透過性色素、ならびに、必要に応じ配合されるポリカーボネート樹脂、難燃剤、難燃助剤、滴下防止剤、反応性化合物、エラストマー、無機充填剤、安定剤および離型剤の合計が90~100質量%を占めることが好ましく、95~100質量%を占めることがさらに好ましく、99~100質量%を占めることが一層好ましい。
<<ブレンド形態>>
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物の好ましいブレンド形態について説明する。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物の第一のブレンド形態は、ポリブチレンテレフタレート樹脂40~80質量%と、ポリカーボネート樹脂60~20質量%とからなる樹脂成分100質量部に対し、光透過性色素0.01~1.0質量部と、難燃剤を5~20質量部と、難燃助剤1~5質量部と、エラストマー5~20質量部を含むものである。第一のブレンド形態は、ポリブチレンテレフタレート樹脂50~75質量%と、ポリカーボネート樹脂50~25質量%とからなる樹脂成分100質量部に対し、光透過性色素0.01~1.0質量部と、難燃剤を8~15質量部と、難燃助剤1~5質量部と、エラストマー8~10質量部を含む吸収部材用樹脂組成物であることが好ましい。第一のブレンド形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、ポリカーボネート樹脂と、光透過性色素と、難燃剤と、難燃助剤と、エラストマーの合計が吸収部材用樹脂組成物の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましい。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物の第二のブレンド形態は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光透過性色素0.01~1.0質量部と、エラストマー0~20質量部(好ましくは5~20質量部)と無機充填剤(好ましくはガラス繊維)30~70質量部を含むものである。第二のブレンド形態において、ポリブチレンテレフタレート樹脂と、光透過性色素と、エラストマーと、無機充填剤の合計が吸収部材用樹脂組成物の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましい。
本実施形態においては、吸収樹脂部材用樹脂組成物のうち光吸収性色素を除く成分と透過樹脂部材用樹脂組成物の光透過性色素を除く成分の80質量%以上が共通することが好ましく、90質量%以上が共通することがより好ましく、95~100質量%が共通することが一層好ましい。このような構成とすることにより、レーザー溶着強度が向上する効果がより効果的に発揮される。
<<物性>>
次に、本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物の好ましい値について述べる。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、機械的強度に優れていることが好ましい。
具体的には、本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、ISO527に従った引張降伏応力が40MPa以上であることが好ましく、45MPa以上であることがより好ましい。上限値については、特に定めるものではないが、例えば、100MPa以下が実際的であり、70MPa以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、4mm厚さのISO試験片に成形し、ISO178に従った破壊呼びひずみが40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。上限値については、特に定めるものではないが、例えば、200%以下が実際的であり、170%以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、4mm厚さのISO試験片に成形し、ISO178に従った曲げ弾性率が、1800MPa以上であることが好ましく、2000MPa以上であることがより好ましい。また、上限値については、特に定めるものではないが、例えば、3500MPa以下が実際的であり、2800MPa以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、4mm厚さのISO試験片に成形し、ISO178に従った曲げ強さが、70MPa以上であることが好ましく、75MPa以上であることがより好ましい。また、上限値については、特に定めるものではないが、例えば、120MPa以下が実際的であり、100MPa以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、4mm厚さのISO試験片に成形し、ISO179に従ったノッチ付きシャルピー衝撃強さが、8kJ/m2以上であることが好ましく、10kJ/m2以上であることがより好ましい。また、上限値については、特に定めるものではないが、例えば、100kJ/m2以下が実際的であり、80kJ/m2以下でも十分に性能要求を満たすものである。
本実施形態で用いる透過樹脂部材用樹脂組成物は、3mm厚さの試験片に成形し、UL94規格に準拠して測定した難燃性が、V-0を満たすことが好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物および透過樹脂部材用樹脂組成物は、樹脂組成物の調製の常法によって製造できる。通常は各成分および所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸または二軸押出機で溶融混練する。また、各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、樹脂組成物を調製することもできる。色素や難燃助剤の一部の成分を熱可塑性樹脂(例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂)と溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの成分を配合して溶融混練してもよい。
なお、ガラス繊維等の繊維状の無機充填剤を用いる場合には、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220~300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
<吸収樹脂部材および透過樹脂部材の製造方法>
吸収樹脂部材および透過樹脂部材の製造方法は、特に限定されず、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形が好ましい。
射出成形の詳細は、特許第6183822号公報の段落0113~0116の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<レーザー溶着体の用途>
本実施形態のレーザー溶着体は、車載カメラ部品、センサーケース部品、モーター部品、電子制御部品に好ましく用いられる。より具体的には、車載カメラ部品および車載カメラ部品を含む車載カメラモジュール、ミリ波レーダーの筐体、ECUケースの筐体、ソナーセンサー等のセンサーケースの筐体、電動パーキングブレーキ等のモーター部品の筐体、バッテリーパックに適している。
<レーザー溶着体の製造方法>
次に、レーザー溶着方法について説明する。本実施形態では、透過樹脂部材と吸収樹脂部材をレーザー溶着させてレーザー溶着体とすることができる。レーザー溶着することによって透過樹脂部材と吸収樹脂部材を、接着剤を用いずに、強固に溶着することができる。
透過樹脂部材と吸収樹脂部材とは、公知のいずれのレーザー溶着法によって、レーザー溶着されてもよいが、ガルバノスキャニング式レーザー溶着に適している。ガルバノスキャニング式レーザー溶着とは、準同時溶着(Quasi-simultaneous welding)とも呼ばれ、内蔵のガルバノミラーでレーザー光を走査する方式である。ガルバノスキャニング式レーザー溶着を用いることにより、溶着部全体がほぼ同時に加熱されるため、得られるレーザー溶着体の残留応力が小さくなる傾向にある。
すなわち、本実施形態のレーザー溶着体の製造方法は、本実施形態のキット、または、本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物と、1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である透過樹脂部材用樹脂組成物とを用い、ガルバノスキャニング式レーザー溶着によって行うことが好ましい例として挙げられる。
レーザー溶着に用いるレーザー光源としては、光吸収性色素の光の吸収波長に応じて定めることができ、波長800~1100nmの範囲のレーザーが好ましい。照射するレーザー光の種類としては、例えば固体レーザー、ファイバーレーザー、半導体レーザー、気体レーザー、液体レーザー等を挙げることができる。例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)レーザー(波長1064nm、1070nm)、LD(レーザーダイオード)レーザー(波長808nm、840nm、940nm、980nm)等を好ましく用いることができる。中でも、波長940nm、980nm、1070nmのレーザー光が好ましい。
レーザー焦点径は、直径0.1mm以上であることが好ましく、直径0.2mm以上がより好ましく、直径0.5mm以上が一層好ましい。前記上限値以下にすることによって、レーザー溶着部の溶着強度をより高めることができる。また、レーザー照射径は直径30mm以下であることが好ましく、10mm以下がより好ましく、3.0mm以下が一層好ましい。前記下限値以上にすることによって、溶着幅をより効果的に制御することができる。
なお、溶着面の幅、高さに合わせて、レーザー光の焦点径を選択することができる。
また、レーザー光は、接合面にフォーカスしてもよいしデフォーカスしてもよく、求める溶着体に応じて適宜選択することが好ましい。
レーザー出力は、1W以上であることが好ましく、10W以上がより好ましく、30W以上がさらに好ましく、100W以上が一層好ましい。前記下限値以上にすることによって、溶着時間が短くてもより十分な溶着強度を得ることができる。また、レーザー出力は1000W以下が好ましく、500W以下がより好ましく、400W以下が更に好ましく、300W以下が一層好ましい。前記上限値以下にすることによってレーザー溶着設備費用を効果的に抑えることができる。
レーザー照射速度は、10mm/s以上が好ましく、30mm/s以上がより好ましく、50mm/s以上が更に好ましく、500mm/s以上が一層好ましい。前記下限値以上にすることによって、レーザー溶着体の残留応力をより効果的に低減することができる。また、レーザー照射速度は20000mm/s以下が好ましく、10000mm/s以下がより好ましく、5000mm/s以下が更に好ましく、3000mm/s以下がより一層好ましい。前記上限値以下にすることによって、溶着体についてより十分な溶着強度を得ることができる。また、レーザー走査方法に関しては、溶着効率、溶着強度、溶着外観および装置負荷の観点から、接合面の形状に合わせて、レーザーの出力、溶着予定ライン、走査速度、および/または走査方法を調整することが好ましい。
より具体的には、例えば、透過樹脂部材と吸収樹脂部材を溶着する場合、まず、両者の溶着する箇所同士を相互に接触させる。この時、両者の溶着箇所は面接触が望ましく、平面同士、曲面同士、または平面と曲面の組み合わせであってもよい。重ね合わされた状態を維持する際、透過樹脂部材の上、つまりレーザー照射側にガラス板、石英板、アクリル板などの透明板材を配置して加圧してもよい。特にガラス板、または石英板を配置する場合は、レーザー溶着時に発生する熱の放熱を促進し、良好な外観を得るのに適している。また、透過樹脂部材の溶着予定部周辺を囲う金属板で加圧してもよい。
次いで、透過樹脂部材側からレーザー光を照射する。この時、必要によりレンズを利用して両者の界面にレーザー光を集光させてもよい。その集光ビームは、透過樹脂部材中を透過し、吸収樹脂部材の表面近傍で吸収されて発熱し溶融する。次にその熱は熱伝導によって透過樹脂部材にも伝わって溶融し、両者の界面に溶融プールを形成し、冷却後、両者が接合する。
このようにして透過樹脂部材と吸収樹脂部材のレーザー溶着体は、高い溶着強度を有する。なお、本実施形態におけるレーザー溶着体とは、完成品や部品の他、これらの一部分を成す部材も含む趣旨である。
上記透過樹脂部材用樹脂組成物から形成された透過樹脂部材と、吸収樹脂部材用樹脂組成物から形成された吸収樹脂部材とのレーザー溶着体は、そのレーザー溶着強度を800N以上とすることができ、1000N以上とすることができ、1100N以上とすることができ、1200N以上とすることもできるる。レーザー溶着強度の上限値は、特に定めるものではないが、4000N以下が実際的である。レーザー溶着強度は、後述する実施例の記載に従って測定される。
<キット>
本実施形態は、吸収樹脂部材用樹脂組成物と、透過樹脂部材用樹脂組成物とを含むキットにも関する。具体的には、本実施形態のキットは、吸収樹脂部材用樹脂組成物と、透過樹脂部材用樹脂組成物とを含むキットであって、吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含み、透過樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含み、透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である。前記吸収樹脂部材用樹脂組成物および透過樹脂部材用樹脂組成物の詳細は、それぞれ、上述の吸収樹脂部材用樹脂組成物および透過樹脂部材用樹脂組成物と同義であり、好ましい範囲も同様である。
本実施形態のキットは、上記レーザー溶着体を形成するために好ましく用いられる。
上記キットは、吸収樹脂部材用樹脂組成物のうち光吸収性色素を除く成分と透過樹脂部材用樹脂組成物の光透過性色素を除く成分の80質量%以上が共通することが好ましく、90質量%以上が共通することがより好ましく、95~100質量%が共通することが一層好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
<原料>
下記表1、表2に示す原料を用いた。
Figure 2022091031000002
Figure 2022091031000003
<光透過性色素の調整>
光透過性色素(染料)は、各染料を秤量し、5時間撹拌したものを用いた。
<光吸収性樹脂組成物(ペレット)の製造(実施例A-1~A-4、比較例a-1、a-2)>
表3に示すように、各成分をステンレ製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。表3の各成分は質量部表記である。得られた混合物を、30mmのベントタイプ2軸押出機(日本製鋼所社製、「TEX30α」)のメインホッパーに投入し、押出機バレル設定温度C1~C15を260℃、ダイを250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量40kg/時間の条件で混練してストランド状に押し出し、樹脂組成物のペレットを得た。
<<引張降伏応力、破壊呼びひずみ>>
上記で得られたペレットを、110℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用い、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、4mm厚のISO試験片を射出成形した。
得られたISO試験片を用い、ISO527に従い、引張降伏応力および破壊呼びひずみを測定した。
<<曲げ特性>>
上記で得られたペレットを、110℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用い、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、4mm厚のISO試験片を射出成形した。
ISO178に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で曲げ強さ(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
<<ノッチ付きシャルピー衝撃強さ>>
上記で得られたペレットを、110℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用い、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、4mm厚のISO試験片を射出成形した。
ISO179に従い、ノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
<<燃焼性 UL-94(3.0mm、V-0)>>
上記で得られたペレットを、110℃で5時間乾燥させた後、射出成形機(日本製鋼所社製「J85AD」)を用い、シリンダー温度250℃、金型温度80℃の条件で、UL94試験用試験片(125mm×12.5mm×3.0mmt)を成形し、UL94規格に準拠して、V-0、V-1、V-2の判定をした。以下の通り評価した。
A:V-0を満たしている。
B:V-0以外である。
Figure 2022091031000004
上記表3において、「PBT樹脂」は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を意味している。また、「CB」は、カーボンブラックを意味している。以下の表についても同じである。
<光透過性樹脂組成物(ペレット)の製造(組成物T-1~T-3、比較用組成物t-1)>
表4に示すように、各成分をステンレ製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。表4の各成分は質量部表記である。得られた混合物を、30mmのベントタイプ2軸押出機(日本製鋼所社製、「TEX30α」)のメインホッパーに投入し、押出機バレル設定温度C1~C15を260℃、ダイを250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量40kg/時間の条件で混練してストランド状に押し出し、樹脂組成物のペレットを得た。
<<引張降伏応力、破壊呼びひずみ、曲げ特性、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ、燃焼性>>
上記<光吸収性樹脂組成物(ペレット)の製造(実施例A-1~A-4、比較例a-1、a-2)>と述べた事項と同様に行って、引張降伏応力、破壊呼びひずみ、曲げ特性、ノッチ付きシャルピー衝撃強さ、難燃性(UL-94(3.0mm、V-0))を測定した。
<<1.5mmt 透過率>>
得られたペレットを120℃で7時間乾燥した後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80-9E」)を用いてシリンダー温度260℃、金型温度60℃、および、以下の射出条件で、60mm×60mm×厚さ1.5mmの色調測定用プレートを射出成形した。
上記で得られた透過率測定用プレート(60mm×60mm×厚さ1.5mm)のうち、ゲート側より45mmの地点から、かつ、試験プレートの幅の中心部において、紫外可視近赤外分光光度計を用いて、波長1064nmにおける透過率(%)を求めた。
紫外可視近赤外分光光度計は、島津製作所社製「UV-3100PC」積分球付きを用いた。
Figure 2022091031000005
<レーザー溶着体の製造(実施例1~8、比較例1、2、参考例1)>
<<透過樹脂部材の作製>>
上記で得られた光透過性樹脂組成物(ペレット)を120℃で7時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製「J55」)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃で成形して、図1に示すような、厚さ1.5mmの成形品(透過樹脂部材I)を作製した。
<<吸収樹脂部材の作製>>
上記で得られた光吸収性樹脂組成物(ペレット)を120℃で7時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製「J55」)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃で成形して、図2に示すような成形品(吸収樹脂部材II)を作製した。
透過樹脂部材と吸収樹脂部材とを、図3に示すように、箱状の吸収樹脂部材IIに蓋状の透過樹脂部材Iを重ね、透過樹脂部材Iおよび吸収樹脂部材IIの重なり部分である鍔部の垂直上方位置にレーザー光源を配置し、ガラス板を用いて透過樹脂部材Iおよび吸収樹脂部材IIの重なり部分に厚み方向両側から内側方向に4.92N/mmの押し力(溶着時押し出し力)を掛けつつ、下記条件にて、レーザーを照射してレーザー溶着体を得た。
溶着装置は以下の通りである。
<<ガルバノスキャニング式レーザー溶着>>
レーザー装置:IPG社製 YLR-300-AC-Y14
波長:1070nm
コリメータ:7.5mm
レーザータイプ:ファイバー
レーザー出力:150W
ガルバノスキャナ:ARGES社製 Fiber Elephants21
アパーチャー:21mm
レーザー照射速度:900mm/s
レーザー照射周数:25周
溶着部円周:137mm
溶着面に照射されるスポット径が直径2mmになるように、レーザー光をデフォーカスしてレーザースキャナの位置調整をした。
<<レーザー溶着強度の測定>>
図4に示すように、それぞれ穴21、22をあけて、溶着力測定用の冶具23、24を内部に入れた状態で、上記で作製した透過樹脂部材Iおよび吸収樹脂部材IIからなる箱体の上面および下面からそれぞれに測定用冶具25、26を挿入して、内部に収納した冶具23、24とそれぞれ結合させ、上下に引っ張って(引張速度:5mm/min)、透過樹脂部材Iおよび吸収樹脂部材IIが離れる強度(溶着強度)を測定した。
結果を表5に示した。
溶着強度の測定装置はORIENTEC社製、1tテンシロンの万能型試験機(ロードセル10kN)を使用した。
Figure 2022091031000006
上記表5において、「-」は該当するレーザー溶着を試みなかったことを意味している。
上記結果から明らかなとおり、本実施形態の吸収樹脂部材用樹脂組成物は、レーザー溶着強度に優れていた。特に、透過樹脂部材がエポキシ含有エラストマーを含む場合(実施例5、7)、溶着強度が効果的に高かった。
これに対し、吸収樹脂部材において、光吸収性色素の含有量が少ない場合(比較例1、2)、レーザー溶着強度が小さかった。また、吸収樹脂部材において、光吸収性色素の含有量が多く、透過樹脂部材の透過率が高い場合(参考例1)、レーザー溶着強度が低めであった。透過樹脂部材の透過率が高い場合、レーザー溶着時のエネルギーが過剰となり、樹脂の分解が進むため溶着強度が低くなると推測された。
<光吸収性樹脂組成物(ペレット)の製造(実施例A-5~A-8、比較例a-3)>
表6に示すように、ガラス繊維以外の成分をステンレ製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。表6の各成分は質量部表記である。得られた混合物を、30mmのベントタイプ2軸押出機(日本製鋼所社製、「TEX30α」)のメインホッパーに投入し、ガラス繊維(GF)はホッパーから7番目のサイドフィーダーより供給し、押出機バレル設定温度C1~C15を260℃、ダイを250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量40kg/時間の条件で混練してストランド状に押し出し、樹脂組成物のペレットを得た。
Figure 2022091031000007
<光透過性樹脂組成物(ペレット)の製造(組成物T-4、T-5)>
表7に示すように、ガラス繊維以外の成分をステンレ製タンブラーに入れ、1時間撹拌混合した。表7の各成分は質量部表記である。得られた混合物を、30mmのベントタイプ2軸押出機(日本製鋼所社製、「TEX30α」)のメインホッパーに投入し、ガラス繊維(GF)はホッパーから7番目のサイドフィーダーより供給し、押出機バレル設定温度C1~C15を260℃、ダイを250℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量40kg/時間の条件で混練してストランド状に押し出し、樹脂組成物のペレットを得た。
Figure 2022091031000008
<レーザー溶着体の製造(実施例9~12、比較例3)>
上記で得られた光透過性樹脂組成物(ペレット)および光吸収性樹脂組成物(ペレット)を用い、上述の<レーザー溶着体の製造(実施例1~8、比較例1、2、参考例1)>と同様に行って、ただし、レーザー溶着条件を以下の通りして、レーザー溶着体を製造し、レーザー溶着強度を測定した。結果を表8に示す。
<<ガルバノスキャニング式レーザー溶着>>
レーザー装置:IPG社製 YLR-300-AC-Y14
波長:1070nm
コリメータ:7.5mm
レーザータイプ:ファイバー
レーザー出力:180W
ガルバノスキャナ:ARGES社製 Fiber Elephants21
アパーチャー:21mm
レーザー照射速度:900mm/s
レーザー照射周数:30周
溶着部円周:137mm
溶着面に照射されるスポット径が直径2mmになるように、レーザー光をデフォーカスしてレーザースキャナの位置調整をした。
Figure 2022091031000009
21、22 穴
23、24 測定用の冶具
25、26 測定用治具

Claims (21)

  1. レーザー吸収樹脂部材とレーザー透過樹脂部材のレーザー溶着体であって、
    前記レーザー吸収樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含むレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物から形成され、
    前記透過樹脂部材は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含むレーザー透過樹脂部材用樹脂組成物から形成され、前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である、
    レーザー溶着体。
  2. 前記光吸収性色素が、カーボンブラックを含む、請求項1に記載のレーザー溶着体。
  3. 前記光吸収性色素の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、2.0~5.5質量部である、請求項1または2に記載のレーザー溶着体。
  4. 前記光透過性色素が、黒色色素および/または2種以上の有彩色色素を含む黒色色素組成物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザー溶着体。
  5. 前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のレーザー溶着体。
  6. 前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、難燃剤を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のレーザー溶着体。
  7. 前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、臭素系難燃剤とアンチモン化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のレーザー溶着体。
  8. 前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、エラストマーを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のレーザー溶着体。
  9. 前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、反応性化合物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のレーザー溶着体。
  10. 前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、無機充填剤を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のレーザー溶着体。
  11. レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物と、レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物とを含むキットであって、
    前記レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含み、
    前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂と光透過性染料を含み、前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物を1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満である、
    キット。
  12. 前記光吸収性色素の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、2.0~5.5質量部である、請求項11に記載のキット。
  13. 前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、難燃剤を含む、請求項11または12に記載のキット。
  14. 前記レーザー透過樹脂部材用樹脂組成物が、エラストマーを含む、請求項11~13のいずれか1項に記載のキット。
  15. 請求項1~10のいずれか1項に記載のレーザー溶着体を形成するために用いられる、請求項11~14のいずれか1項に記載のキット。
  16. ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、光吸収性色素1.2~10質量部を含む、レーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
  17. 前記光吸収性色素の含有量が、ポリブチレンテレフタレート樹脂100質量部に対し、2.0~5.5質量部である、請求項16に記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
  18. さらに、難燃剤を含む、請求項16または17に記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
  19. さらに、エラストマーを含む、請求項16~18のいずれか1項に記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
  20. 1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満であるレーザー透過樹脂部材用樹脂組成物から形成されたレーザー透過樹脂部材とのレーザー溶着体の製造に用いられる、請求項16~19のいずれか1項に記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物。
  21. 請求項11~15のいずれか1項に記載のキット、または、
    請求項16~20のいずれか1項に記載のレーザー吸収樹脂部材用樹脂組成物と、1.5mmの厚さに成形したときの波長1064nmにおける光線透過率が5%以上25%未満であるレーザー透過樹脂部材用樹脂組成物とを用い、
    ガルバノスキャニング式レーザー溶着によって行う、レーザー溶着体の製造方法。
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