JP2022075243A - アルミニウム板材の成形方法及び成形装置 - Google Patents

アルミニウム板材の成形方法及び成形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】プレス成形において、アルミニウム板材における開口の周縁部の伸びフランジ成形による割れ等を抑制する。【解決手段】開口を有するアルミニウム板材をプレス成形する成形方法は、アルミニウム板材における開口OPの周縁部をプレスにより伸びフランジ成形するとき、開口OPの周縁部の板押さえ力F1、F2を、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど大きくする。【選択図】図5

Description

本発明は、アルミニウム板材の成形方法及び成形装置に関する。
アルミニウム及びアルミニウム合金は、機械的強度を備えた軽量な材料であるため、様々な部品、用途に広く活用されている。しかし、アルミニウム合金板は、一般的に鋼板に比べて成形性に劣るため、絞り成形性を向上させる手法が検討されてきた。
従来の絞り成形性を向上させる手法として、しわ押え力を制御する方法が知られている。特許文献1では、絞り成形においてしわ押さえ力を成形後期で徐々に低下させ、パンチ肩の破断を回避する方法が採用されている。
特開2009-279591号公報
アルミニウム板材のプレス成形において、成形形状が複雑な例としては、張出しが大きく、縦壁の高さが大きいもの、張出し部の間に複数の突出部が密に存在するもの、凹部の底部にさらに凹部を有する二重構造を有するもの等が挙げられる。このような複雑な形状をアルミニウム合金板でプレス成形する場合には、特に成形品の底部と縦壁との間の角部に割れが発生したり、縦壁が裂けたりしやすい。
例えば、自動車車体のサイドパネルは深い形状とドア開口が存在しており、プレス成形する際、絞り成形による割れと、ドア開口部の伸びフランジ成形(穴広げ成形)による割れが課題となる。絞り成形性を上げるために材料を流入させすぎるとドア開口の周縁部の端部がより伸ばされるため、伸びフランジ割れが起こりやすくなる。一方、ドア開口の周縁部の端部が伸びすぎないように材料を固定するための板押え力を強めにしすぎると、材料流入が抑制されて絞り成形性が低下し、パンチ肩で割れが生じる。このように、サイドパネルのプレス成形は、絞り成形と伸びフランジ成形(穴広げ成形)の両立が難しい。
そこで本発明は、
おいて、アルミニウム板材における開口の周縁部の伸びフランジ成形による割れ等を抑制することを目的とする。
本発明は下記の構成からなる。
(1)開口を有するアルミニウム板材をプレス成形する成形方法であって、
前記アルミニウム板材における前記開口の周縁部をプレスにより伸びフランジ成形するとき、前記開口の周縁部の板押さえ力を、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど大きくする、アルミニウム板材の成形方法。
(2)パンチと、前記パンチを固定するパンチホルダと、前記パンチホルダに対向して配置されるダイと、を備え、前記パンチと前記ダイとの間で、開口を有するアルミニウム板材をプレス成形する成形装置であって、
前記アルミニウム板材の前記開口の周縁部に当接して配置される第1ブランクホルダと、
前記アルミニウム板材の外周部に当接して配置される第2ブランクホルダと、
基端部が前記パンチホルダに固定され、先端部が前記第1ブランクホルダを支持する複数のスプリング支持体と、
基端部が共通のクッション機構に固定され、先端部が前記第2ブランクホルダを支持する複数のクッションピンと、
を備え、
一本の前記スプリング支持体は、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど反発力が大きくなる弾性特性を有する、アルミニウム板材の成形装置。
本発明によれば、開口の周囲部が伸びフランジ成形されるとき、ブランク開口の周縁部の端部が破断限界以上に伸びることが抑制され、開口の周縁部の端部やパンチ肩部での割れを抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態のプレス成形方法に用いる第1構成例の金型の概略縦断面図である。 図2は、ブランクの加工前の状態を示す斜視図である。 図3は、ガススプリングの概略断面図である。 図4の(A)はプレス成形工程前における金型の概略縦断面図、(B)はプレス成形工程における金型の概略断面図、(C)はプレス成形工程後における金型の概略縦断面図である。 図5の(A)はプレス成形工程前におけるアルミニウム板材の概略縦断面図、(B)はプレス成形工程の初期におけるアルミニウム板材の概略断面図、(C)はプレス成形工程の終期における金型の概略縦断面図である。 図6の(A)はクッションピンのみ使用する参考例におけるプレス成形工程前における金型の概略縦断面図、(B)はプレス成形工程における金型の概略断面図、(C)はプレス成形工程後における金型の概略縦断面図である。 図7は、アルミニウム板材を用いた絞り成形品の斜視図である。 図8は、第2構成例の成形装置の概略縦断面図である。 図9は、第2構成例における成形装置の具体例を示す概略平面図である。 図10は、図9に示す成形装置の長手方向に切断した断面図である。 図11は、図9に示す成形装置の短手方向に切断した断面図である。 図12は、8本スプリング支持体の配置例を示す成形装置の分解斜視図である。 図13は、図9の概略平面図に対応した、スプリング支持体及びクッションピンによる第1、第2ブランクホルダの支持構造を示す説明図である。 図14は、コイルスプリング、ガススプリングにおける、ストロークと荷重との関係を示す特性図である。 図15は、ストローク下死点手前の距離に対するブランクの開口の孔径の変化特性を示すグラフである。 図16は、上型下死点手前高さに対するしわ押さえ荷重の変化特性を示すグラフである。 図17の(A)は試験例1におけるフランジ(割れ無し)の外観写真、(B)はガススプリング4本を使用した比較例におけるフランジ(割れ有り)の外観写真である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の構成例>
図1は、本発明の一実施形態のプレス成形方法に用いる第1構成例の成形装置11の概略縦断面図である。
成形装置11の金型は、円環状の凹部CV1、CV2を有するダイ2と、第1ブランクホルダ3及び第2ブランクホルダ4と、円環状の突部となるパンチ10と、ダイ2を固定するダイホルダ30と、ダイホルダ30及びダイ2に対向して配置され、かつパンチ10を固定するパンチホルダ40と、を備える。
ダイ2、第1ブランクホルダ3、第2ブランクホルダ4、及びパンチ10により金型が構成される。本構成においては、ダイ2は上金型であり、第1ブランクホルダ3、第2ブランクホルダ4及びパンチ10は下金型となる。
成形装置11は、パンチ10とダイ2との間で、開口OPを有するブランク(材料)Wをプレス成形する。
第1ブランクホルダ3は、ブランクWの開口OPの周縁部に当接して配置される。第1ブランクホルダ3は、内側に配置されるインナーホルダである。第2ブランクホルダ4は、ブランクWの外周部に当接して配置される。第2ブランクホルダ4は、外側に配置されるアウターホルダである。
また、図1に示す金型は、各ブランクホルダを支持する支持部材として、第1ブランクホルダ3を支持するスプリング支持体としてのガススプリング20と、第2ブランクホルダ4を支持するクッションピン6a、6bと、を有する。ガススプリング20は、気体又は液体を弾性体として使用する流体ばねの一種であり、流体として空気や不活性ガス等を使用するものである。但し、ガススプリング20は一例であって、これに限定されるものではない。
ガススプリング20は、基端部が取付部23を介してパンチホルダ40に固定され、先端部が第1ブランクホルダ3の底面に当接して第1ブランクホルダ3を弾性的に支持する。取付部23は、パンチホルダ40に設けられた取付凹部41に埋設される。
クッションピン6a、6bは、基端部が共通のクッション機構(図1では不図示、図13の符号60参照)に固定され、先端部が第2ブランクホルダ4の底部に当接し、第2ブランクホルダ4を弾性的に支持する。クッションピン6a、6bは、パンチホルダ40に設けられた貫通孔43を経由して、パンチホルダ40の下方に設けられる共通のクッション機構に支持される(図12参照)。
図1では、第1ブランクホルダ3の支持構造は、第2ブランクホルダ4の支持構造と異なる。これにより、第1ブランクホルダ3における荷重を、スプリング支持体であるガススプリング20の弾性特性、使用する本数、複数本のガススプリングの配置(レイアウト)の少なくとも一つにより、第2ブランクホルダ4と区別して独立に設定できる。これにより、ブランクの割れ、裂け、しわの発生等を効果的に抑制できる。なお、配置(レイアウト)の変更に関しては、例えばスプリング支持体の配置(レイアウト)を開口の外形等に応じて変更することで、第1ブランクホルダ3の荷重を適切に分散させ、荷重が面内で均一化されるように調整することも可能である。
上型としてのダイ2と、下型としての第1ブランクホルダ3、第2ブランクホルダ4及びパンチ10は、型締め方向である上下方向に重なって配置され、上型と下型とが上下方向に互いに近接及び離間するよう、相対移動可能に不図示の支持機構によって支持される。ブランクWは、上型と下型との間に挟み込まれ、所望の形状に成形される。なお、金型は上記の縦型構造に限らず、一対の型を水平方向に配置した横型構造であってもよく、金型の設置環境や成形品の形状やサイズに応じて適宜に変更が可能である。
図2は、ブランクWの加工前の状態を示す斜視図である。
ブランクWとしては、中央に円形の開口OPを有する円板状の、6000系アルミニウム合金(Al-Mg-Si系合金)の板材を使用できる。6000系アルミニウム合金は、主にMgとSiの添加によって、強度、耐食性に優れる。
図3は、ガススプリング20の概略断面図である。
ガススプリング20は、チューブ21と、ロッド22と、取付部23と、オリフィス24を備えるピストン25と、ロッドガイド26を有する。ピストン25は、チューブ21の内部において、圧縮ガス27とオイル28とを隔てる。ロッド22の基端部には取付部23が固定されており、先端部にはピストン25が固定されている。ロッド22は、ロッドガイド26にガイドされて、チューブ21の内壁面に沿って可動である。
ガススプリング(広義にはスプリング支持体)20は、プレスストローク(単にストロークという場合もある)の進行に伴って、反発力(荷重)が増加する弾性特性を有する流体ばねの一種である。圧縮ガス27としては、空気、又はアルゴンやヘリウム等の不活性ガスを使用できる。一定温度下では気体の体積は圧力に逆比例するというボイルの法則が、ガススプリングの弾性を生み出す基本原理である。
使用する圧縮ガス27の種類の選択、その密度の選択、ピストン25の平面視における面積の調整等によって、ばね定数や最大耐荷重等を設計できる。また、圧縮ガス27が封入されている部分のチューブ21に沿う長さの調整によって、スプリングの高さを変更でき、必要なストローク長に設定できる。また、オリフィス24によって減衰力を発生させるとともに、調整弁を設けることでスプリングの高さを一定に保つことも可能である。
ガススプリングは、例えば、同じ条件下の金属ばねと比較してばね定数を小さくすることも可能であり、また、弾性特性(ばね特性)の設定の自由度が高く、省スペースで大きな荷重(反力)を発生できる。
本構成では、ブランクWの開口周縁部であるフランジに当接する第1ブランクホルダ3に関して、上記の長所をもつガススプリング等のスプリング支持体を使用し、第2ブランクホルダでの荷重特性とは区別して、独自の荷重特性を設定可能としている。この点の詳細については後述する。
図4の(A)はプレス成形工程前における金型の概略縦断面図、(B)はプレス成形工程における金型の概略断面図、(C)はプレス成形工程後における金型の概略縦断面図である。以降の説明では、図1と共通する部分には同じ符号を付与することで、その説明を省略又は簡単化する。なお、図1においては、第1ブランクホルダ3を支持する支持体としてガススプリング20を示していたが、図4では、広義のスプリング支持体35として示している。すなわち、本明細書では、「スプリング支持体」は、ガススプリングの他、コイルスプリングも含む広義の用語である。
スプリング支持体35は、ストローク量に比例して荷重(反力)が増加する可変クッションである。スプリング支持体35として、ガススプリングを使用するか、コイルスプリングを使用するかは、使用状況等に応じて、適宜、決定できる。ガススプリングとコイルスプリングの各特性の相違点については後述する。
クッションピン6a、6bは、通常、成形機に付属するクッション機構に支持されるものであり、スプリング支持体35とは異なり、プレスストロークの過程で、ストローク量に比例して荷重が増大することを前提として設計されるものではない。すなわち、各クッションピンが分担すべき荷重を、時間経過に対して変化させることを特別に考慮して設計するものではなく、総荷重をピン数で均等割りすることで1本あたりの荷重が一律に定まり、荷重は一定となる。この点で、クッションピン6a、6bは、上記の「可変クッション」に対して、「固定クッション」ということができる。以下の説明では、「スプリング支持体」を「可変クッション」と称し、一方、例えば成形機の共通のクッション機構を利用する「クッションピン」を、「固定クッション」と称する場合がある。
図4の(A)に示されるように、第1ブランクホルダ3の支持構造と、第2ブランクホルダ4の支持構造は異なる。つまり、支持構造として、クッションピン(固定クッション)6と、スプリング支持体(可変クッション)35とが混在する構造が採用されている。
図4の(A)では、第1ブランクホルダ3及び第2ブランクホルダ4上に、ブランクWが載置されており、ダイ2が、矢印S1の方向(型締め方向)に移動する。
図4の(B)では、ブランクWは、ダイ2と、第1ブランクホルダ3、第2ブランクホルダ4との間に挟持される。ダイ2の型締め方向への移動に伴い、第1ブランクホルダ3、第2ブランクホルダ4は沈み込む。パンチ10は、第1ブランクホルダ3、第2ブランクホルダ4に対して相対的に上昇し、ブランクWの下面に当接し、ブランクWを上方に屈曲させる。
このとき、ブランクWの開口周縁部であるフランジでは、伸びフランジ成形となり、開口OPとは反対側の端部である外周部では、縮みフランジ成形となる。伸びフランジ成形される箇所では、材料が、フランジから屈曲部の肩部(パンチ肩部)に向けて流入する。この流れは、図4の(B)では、矢印M1で示されている。また、この材料の流れに伴い、開口OPの孔径(開口サイズ)が矢印M2で示すように増大する。
図4の(C)では、絞り成形(型締め)が完了し、ダイ2が上昇する。また、第1ブランクホルダ3、第2ブランクホルダ4は初期位置に復帰する。この段階では、開口OPの孔径は、図4の(B)の段階よりも大きくなっている。このプレス成形によって、フランジK1、縦壁K2、天板K3を備える立体的な断面形状を有するプレス品が得られる。なお、天板は、金型によっては底板となることがある。
図5の(A)はプレス成形工程前におけるアルミニウム板材の概略縦断面図、(B)はプレス成形工程の初期におけるアルミニウム板材の概略断面図、(C)はプレス成形工程の終期における金型の概略縦断面図である。図5の(A)~(C)は、図4の(A)~(C)に対応したブランクの断面形状の変化を示している。
図5の(A)では、ブランクWの開口OPの孔径(穴径)は、初期孔径φd0である。図5の(B)では、成形が進行するにつれて、第1ブランクホルダ3がブランクWを面的に押圧する力である板押さえ力F1も徐々に増大する。板押さえ力F1は、伸びフランジ成形におけるブランクWの材料の流れを止めない程度に設定されている。この段階で、開口OPの孔径はφd1に拡径される。図5の(C)では、成形下死点(上型下死点)における板押さえ力F2がF1よりも増大し、フランジK1が伸びすぎる(孔径OPが拡大しすぎる)ことを抑制する。これにより、開口OPの孔径は所望の孔径φd2となる。つまり、図4の(C)では孔径の拡大が抑制される。
つまり、絞り成形性を向上するために絞り部分へ材料を流入させすぎると、開口OPの孔径が広がり、伸びフランジ割れが生じやすくなる。図5の(C)では、板押さえ力F2が増加して開口OPの拡径が抑制され、開口OPの孔径φd2が広がりすぎることがない。よって、フランジの開口付近(開口端部)V1に割れが生じることがない。
一方、フランジが伸びすぎないように板押え力を強めすぎると、材料の流入が抑制され絞り成形性が落ち、パンチ肩(パンチ肩部)で割れが起こりやすくなる。この点、図5の(B)の段階で板押さえ力F1を比較的弱くすることで、材料の絞り部分への供給が促進されるため、その後の板押さえ力F2を強くしても、絞りに必要な材料は既に確保済みとなり、パンチ肩部U1で割れが生じることがない。
(参考例)
ここで、図6を参考例として説明する。図6の(A)はクッションピンのみ使用する参考例におけるプレス成形工程前における金型の概略縦断面図、(B)はプレス成形工程における金型の概略断面図、(C)はプレス成形工程後における金型の概略縦断面図である。図の(A)~(C)は、図4の(A)~(C)に対応する。
図6の成形装置1では、第2ブランクホルダ4の支持構造においてもクッションピン(固定クッション)が用いられている。つまり、図4におけるスプリング支持体35が、図6ではクッションピン6cに置き換えられている。
図6の(C)では、フランジの開口端部V1、又は、パンチ肩部U1において割れが生じやすい。クッションピンは、スプリング支持体のように、成形の進行とともに荷重(反力)を増大させることができず、また、多くのクッションピンに対して共通のクッション機構が使用されることから、第1ブランクホルダ3を支持するクッションピン6cの特性を、第2ブランクホルダ4を支持するクッションピン6a、6bとは異なるもとして調整することはできない。
したがって、図6の(B)における成形の途中で、絞り部に材料が流入しすぎると、開口OPの孔径が広がりすぎて、開口端部V1にて伸びフランジ割れが起こりやすくなる。一方、フランジが伸びすぎないように板押え力を強めすぎると、材料の流入が抑制されて絞り成形性が低下し、パンチ肩部U1で割れが生じやすくなる。
図7は、アルミニウム板材を用いた絞り成形品の斜視図である。図1、図4の金型を備える成形装置11によれば、図7に示されるような、二重の縦壁を有する絞り成形品50が割れおよびしわを生じさせることなく安定して得られる。
<第2の構成例>
次に、金型の第2の構成例を説明する。
図8は、第2構成例の成形装置12の概略縦断面図である。先に説明した図1に示すパンチ10は1つの円環状の突部を有していたが、本構成の成形装置12ではパンチの数が3つとなっている。これに伴い、ダイ2には、左端のパンチ10に対応した凹部CV3が形成されている。
また、第1ブランクホルダ3も2つとなり、各々に3-1、3-2の符号を付して、各々を区別して表している。同様に、ブランクWの開口OPも2つとなり、各々にOP-1、OP-2の符号を付している。第1ブランクホルダ3-1、3-2は、スプリング支持体としてのガススプリング20-1、20-2によって支持される。また、図8の右端に位置する第2ブランクホルダ4は、クッションピン6bにより支持され、図8の左端に位置する第2ブランクホルダ4は、クッションピン6cにより支持されている。
図9は、第2構成例における成形装置12の具体例を示す概略平面図である。図10は、図9に示す成形装置12の長手方向に切断した断面図である。図11は、図9に示す成形装置12の短手方向に切断した断面図である。図12は、8本のスプリング支持体(ガススプリング)の配置例を示す成形装置12の分解斜視図である。ガススプリングは、図9に示すように、合計16本であってもよく、図12に示すように合計8本としてもよい。
図10に示すダイ2の側部にはガイド7が設けられている。型締め時には、図11に示すようにダイ2が、ガイド7によって案内されつつ下降し、図10に示すように、第1ブランクホルダ3-1、3-2及び第2ブランクホルダ4が、ダイ2とパンチホルダ40によって挟まれた状態となる。
図9~図11に示すように、成形装置12の金型は、ダイ2及びパンチホルダ40によって上下に挟まれるように、第1ブランクホルダ3-1、3-2、第2ブランクホルダ4、スプリング支持体としてのガススプリング20-1(符号a~hで示され、20-1a~20-1hともいう。)、20-2(符号i~pで示され、20-2i~20-2pともいう。)、パンチ10が配置される。
クッションピンは、図9に示すように、パンチホルダ40の外周部に、合計で24本が配置されている。
図12に示すように、第2ブランクホルダ4は中空の枠状体である。図9に示すように、第2ブランクホルダ4は、外側の24本のクッションピン6により支持される。第1ブランクホルダ3-1、3-2は、第2ブランクホルダ4の内側に配置される。
図12に示す構成の場合、第1ブランクホルダ3-1は、4本のガススプリング20-1a~20-1dによって支持される。同様に、第1ブランクホルダ3-2は、4本のガススプリング20-2a~20-2dによって支持される。第1ブランクホルダ3-1、3-2のブランク載置面(上面)には、ブランクWの開口OPに対応する位置に、円形の溝R1、R2が設けられる。
パンチ10には、2つの第1ブランクホルダ3-1、3-2それぞれに対応する開口が設けられる。ガススプリング20-1、20-2は、パンチ10の各開口を通じて、パンチホルダ40の取付凹部41-1、41-2に固定される。
なお、図12に示すように、第2ブランクホルダ4は、パンチホルダ40の周囲に設けられている貫通孔43を貫通する複数のクッションピン6(図8の符号6b、6c等)によって支持されるが、図12では、これらクッションピンを省略している。
スプリング支持体、つまりガススプリング20-1は、第1の開口OP-1に対応する円形の溝R1に沿うように配置される。同様に、第2の開口OP-2に対応する円形の溝R2に沿うようにガススプリング20-2が配置される。
また、図9に示す構成の場合、第1ブランクホルダ3-1は、8本のガススプリング20-1(a~h)によって支持され、第1ブランクホルダ3-2は、8本のガススプリング20-2(i~p)によって支持される。
ここで、第1の開口OP-1の周りに配置されているガススプリング20-1の配置パターンと、第2の開口OP-2の周りに配置されているガススプリング20-2の配置パターンは異なっているが同じであってもよい。つまり、例示した配置パターンは一例であって、種々の配置パターンを自由に選択可能である。
第2の開口OP-2の周りに配置されているガススプリング20-2i~20-2pの配置パターンに着目すると、2本のガススプリング20-2j、20-2kは、第2の開口OP-2に対応する溝R2の内部に配置されている。2本のガススプリング20-2j、20-2kは、平面視で、ブランクWの第2の開口OP-2の内側に位置することになる。
これら2本のガススプリング20-2j、20-2kは、ブランクWに直接的に荷重(反力)を与えることはできないが、実際には、上側からブランクWに荷重を加えているダイ2を実質的に支持することになり、これによって、結果的にブランクWに加わる荷重が調整される。よって、2本のガススプリング20-2j、20-2kは、実質的に、ブランクWの支持に寄与している。このように、ガススプリング(広義にはスプリング支持体35)の配置の自由度は高く、場合によっては、平面視で、ブランクWの開口OPの内側にスプリング支持体35が配置されることを許容してもよい。
ブランクWの開口の大きさ(開口の孔径又は穴径)は様々であり、開口が大きい場合には、スプリング支持体が開口に重なるように配置される場合もあり得る。その場合でも、スプリング支持体は、板押さえ力(第1ブランクホルダがブランクに加える力)の発生に寄与するのであり、特に問題はない。ブランクの開口に対応する位置においてもスプリング支持体(可変クッション支持体)の配置を許可することで、配置の自由度、すなわち、レイアウト設計の自由度を高められる。
図13は、図9の概略平面図に対応した、スプリング支持体及びクッションピンによる第1、第2ブランクホルダの支持構造を示す説明図である。
図13では、パンチホルダ40の外側に配置されたクッションピンに関して、2本のクッションピン6d、6eによるクッション機構60も含む断面構造を示している。ガススプリングに関しては、第1の開口OP-1の周縁に配置されている2本のスプリング支持体20-1d、20-1eを含む断面構造を示している。図13においても、ガススプリングは、20-1、20-2で示す部分に符号a~h、i~pで示している。
クッションピン6d、6eは、パンチホルダ40を貫通して下方に導出され、成形機に付属の共通のクッション機構60により支持される。
クッション機構60は、油圧や空圧により各クッションピン(6a~6h等)への荷重を制御する。
(荷重の設計例)
例えば、ダイ2がブランクWに加える総荷重を100tonとするとき、図13の配置例では、1つの開口(OP-1、OP-2)の周りに各8本のスプリング支持体(ガススプリング)20-1、20-2が配置される。
ここで、ガススプリング20-1a~20-2pはいずれも同じ弾性特性(ばね特性)を有し、かつ1本の最大許容荷重(成形下死点において発生する荷重)を例えば2.5tonとすると、開口OP-1周りの8本の支持体により、20ton(2.5ton×8本)の荷重(反力)が生じる。これが、成形下死点における、第1ブランクホルダ3-1がブランクWを面で押す力(板押さえ力)となる。
このことは、第1ブランクホルダ3-2についても同様であり、第1ブランクホルダ3-2がブランクWに加える板押さえ力は20tonとなる。
2つの第1ブランクホルダ3-1、3-2で、合計40ton(20ton×2)の板押さえ力を発生できるので、残りの60ton(100-40ton)の荷重を、外側に配置されている24本のクッションピンで均等に分担することになる。すなわち、1本のクッションピンは、2.5ton(60ton÷24本)の荷重を分担することになる。
このように、本構成では、第1ブランクホルダからブランクWに加える板押さえ力を、スプリング支持体の弾性特性、本数及び複数本のスプリング支持体の配置の少なくとも一つにより調整できる。
先に図6に示した参考例では、クッションピンのみを使用するため、ダイによる総荷重、及び使用するクッションピンの本数が定まると、1本のクッションピンの荷重は、総荷重を本数で均等割りすることで一律に定まる。したがって、第1ブランクホルダに関する荷重(板押さえ力)を独自に設定できず、設計の自由度が低下することになる。
一方、本構成によれば、スプリング支持体の弾性特性としての最大許容荷重(成形下死点での荷重)を調整することで、発生する荷重を可変に制御できる。また、使用するスプリング支持体の選択によっても発生する荷重を可変に制御できる。さらに、これら2つの調整を併用して発生する荷重を調整してもよい。複数本のスプリング支持体の配置を調整することで、ブランクホルダが発生する荷重の面的な分布を調整できる。例えば開口の外形に応じてスプリング支持体の配置を適宜、変更して適正な荷重分布とし、ブランクに割れやしわが生じにくくしてもよい。
(クッションピンとスプリング支持体の荷重特性例)
図14は、コイルスプリング、ガススプリングにおける、ストロークと荷重(反力)の関係を示す特性図である。
特性線Q11はコイルスプリングの荷重特性、特性線Q12はガススプリングの荷重特性を示す。なお、ここで示す各特性は一例であって、これに限らない。
開口OPの周縁部では、先に説明したように「伸びフランジ成形」となることから、成形初期には、しわ押さえ力を軽くして、材料の流入を促進する必要がある。特性線Q11、Q12の傾きは共に小さく、成形初期のしわ押さえ力を弱くできる。
ガススプリング(流体スプリング)の特性線Q12に着目すると、ストロークが零のときに初期荷重P0を発生できるため、成形開始時から、ある程度のしわ押さえ力をかけることができ、好ましい。また、特性線Q12の傾きは特性線Q12より緩やかであり、成形開始位置から成形下死点(成形終了位置)に近づくにつれて徐々に荷重(反力)が増大し、成形下死点(成形終了位置)では、必要な板押さえ力が得られる荷重を発生できる。
一方、コイルスプリングの特性線Q11は、ストロークが零のときに初期荷重も零であり、成形開始時にしわ押さえ力を生じないが、開口の周縁部では材料が伸びながらパンチ肩部へ流入することが促進され、割れの発生を抑制する効果が得られる。また、特性線Q11の傾きは、特性線Q12の傾きよりも大きいため、ストロークの増加によって成形初期のしわ押さえ力をすぐに確保できる。このように、コイルスプリングも、成形開始時から、軽めのしわ押さえ力を発生でき、ストロークの増加に伴って板押さえ力を増加でき、必要な荷重を発生できる。
金型として、自動車ボディのサイドパネル形状を模擬して2つの開口を有した金型を使用した。材料(ブランク)としては、6000系(Al-Mg-Si系)のアルミニウム合金の板材で、板厚1.2mmのものを使用した。潤滑剤としては防錆洗浄油を使用した。総荷重は100tonfとした。スプリング支持体としてはガススプリングを使用した。
<クッションピン及びガススプリングの本数と配置>
ブランクの外周部を支持するクッションピンの配置としては、図9(図13)に示す配置するパターン、つまりブランクの外周に24本を配置するパターンを使用した。
ガススプリングに関しては、比較のために、1つの開口の周縁部に4本を配置したパターン(図12に示すガススプリング20-1a~20-1d、20-2a~20-2dの配置を参照)と、1つの開口の周縁部に8本を配置したパターン(図9又は図13におけるガススプリングa~h、i~pの配置を参照)を用意し試験を実施した。また、複数本のガススプリングの各々は、いずれも同じ弾性特性(ばね特性)を有するものを採用した。
クッションピンの荷重について、説明の便宜上、「成形下死点における荷重」と表現する場合があるが、上述のとおり、クッションピンは、本来、成形開始位置から成形下死点(成形終了位置)に近づくにつれて荷重を徐々に増やすことを前提としておらず、成形時に固定の荷重を生じさせる固定クッションである。
<試験例1>
図15は、ストローク下死点手前の距離に対するブランクの開口の孔径の変化特性を示すグラフである。図15において、横軸は、ストローク下死点(成形下死点)を基準とした手前距離(単位mm)であり、縦軸は、成形後の開口の孔径(単位mm)である。また、特性線Q1は、ガススプリングを4本使用した場合の特性を示し、特性線Q2は、ガススプリングを8本使用した場合の特性を示す。
ガススプリングが4本の場合も8本の場合も、下死点手前18mm~7mmまでは、成形の進展とともに孔径がほぼ直線状に増大する。但し、4本の場合は板押さえ力が弱いため、孔径は8本の場合よりも大きくなる。
下死点手前7mmから下死点位置に到る工程でも、孔径は直線状に増大するが、但し、4本の場合も8本の場合も、孔径の増大の程度は7mm以前に比べて鈍化し、孔径の拡大が抑制される。
これは、先に図5の(A)~(C)を用いて説明した内容と一致する。すなわち、試験例1では、成形の初期、中期では、適度な押圧力は確保されつつ、材料の、フランジからパンチ肩部への流入が優先され、これに伴って開口の孔径が大きく変化する。先に説明したように、材料の順調な流入は、パンチ肩部における材料不足を生じにくくさせ、パンチ肩部における割れを抑制する。
続いて、成形の後期では、押圧力が徐々に増大し、板材の流入を抑制する効果が生じる。これに伴い、開口の孔径の拡大が抑制される。先に説明したように、このことは、材料の流入量が多すぎて孔径が大きくなりすぎ、フランジ端部で割れが生じやすくなることを抑制する。
<試験例2>
図16は、上型下死点手前高さに対するしわ押さえ荷重の変化特性を示すグラフである。図16において、横軸は、上型下死点(成形下死点)手前の高さ(単位mm)であり、縦軸は、しわ押さえ荷重(換言すれば、1つの第1ブランクホルダが板材を押す力である板押さえ力:単位mm)である。
図16では、3つの特性線Q10、Q20、Q30が示される。まず、特性線Q10について説明する。特性線Q10はクッションピンについての特性を示す。
先に説明した図9(図13)では、クッションピン24本とガススプリング16本(8本×2)が使用されていたが、特性線Q10を得るには、ガススプリングを使用せず、すべてをクッションピンとした場合を想定する。この場合、クッションピンの総数は40本(8本×2+24本)となる。
総荷重100tonが、40本のクッションピンで均等に分散されるため、1本のクッションピンの荷重は2.5ton(100ton÷40本)となる。ここで、1つの開口周りに8本のクッションピンを配置した場合を想定すると、20ton(2.5ton×8本)の荷重(反力)で1つの第1ブランクホルダ3-1(又は3-2)を支持することになり、この20tonが、1つの第1ブランクホルダがブランクを押圧する力(しわ押さえ力、又は板押さえ力)となる。
また、クッションピンについては、成形が開始されるとすぐに押圧力が増大して最大荷重が発生する。よって、図16における特性線Q10は、成形の進行に関係なく、20tonの固定荷重を示すものとなる。但し、これは1つのブランクホルダを8本のクッションピンで保持する場合を想定したものである。
特性線Q20、Q30については、1本のガススプリングの最大荷重(最大許容荷重)を3.5tonとして計算している。1つの開口周りに4本のガススプリングを配置する場合(特性線Q20)では、成形下死点(上型下死点)において、14ton(3.5ton×4本)の荷重が発生する。
1つの開口周りに8本のガススプリングを配置する場合(特性線Q30)では、成形下死点において、28ton(3.5ton×8本)の荷重が発生する。成形下死点の荷重は、使用するガススプリングの弾性特性がみな同じであるとすると、使用する本数を2倍とすれば、押圧力も2倍に調整できる。
ここで、下死点手前高さ50mmの位置に着目すると、特性線Q20では荷重が8tonであり、特性線Q30では荷重が16tonである。以下同様に、下死点手前高さ40mmm、30mm、20mm、10mmの各位置における特性線Q20の荷重は9ton、10.5ton、11.5ton、12.5tonであり、特性線Q30の荷重は18ton、21ton、23ton、25tonである。ストローク長が変化しているときでも、特性線Q30の荷重は、特性線Q20の荷重の2倍を維持できている。
したがって、複数本のガススプリングの特性(弾性特性)を事前に調整して最適化し、例えばみな同じ弾性特性とし、その数を例えば2倍とすることで、ストローク長が変化しているときでも、発生する荷重を2倍に制御可能となる。つまり、ガススプリングの特性(弾性特性)と本数を可変に制御することで、成形開始位置から成形下死点に至るまでの荷重を正確に可変に制御できる。
このように、ガススプリングの特性と本数を制御し、成形の前半では、軽めのしわ押さえ力を発生させつつ、パンチ肩部での材料不足を生じさせないように材料の流入を優先させた荷重を生じさせ、成形の後半では、荷重を重くし、開口の広がり過ぎを抑止してフランジ端部での材料不足が生じないようにする、という高度な押圧力の微調整が可能である。
<結果>
図17の(A)はガススプリングを8本用いる試験例1における、フランジ(割れ無し)の外観写真、(B)はガススプリング4本を使用した比較例における、フランジ(割れ有り)の外観写真である。
ガススプリング8本を使用した例を示す図17の(A)では、割れは生じていない。ガススプリングを4本使用した例を示す図17の(B)では、フランジの箇所Sにおいて、細い割れが生じている。これは、ガススプリング4本では押圧力が不足し、開口の孔径の広がり過ぎを十分に抑制できず、フランジの端部で材料不足が生じたためと考えられる。逆に、ガススプリング8本を用いた図17の(A)では、成形下死点付近で十分な押圧力を発生できたことから、フランジの割れが生じていない。
したがって、本発明によれば、例えばガススプリングの特性や本数を適切に選択することで、材料の流入不足によるパンチ肩部における割れを無くすことができ、また、開口の孔径(穴径)が大きくなりすぎることを抑制して、フランジの端部が破断限界以上に伸びることによる割れを無くすことができる。すなわち、プレス成形において、アルミニウム板材における開口の周縁部の伸びフランジ成形による割れや裂け、及び絞り成形による割れや裂けを防止できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、これらも保護を求める範囲に含まれる。
以上のとおり、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)開口を有するアルミニウム板材をプレス成形する成形方法であって、
前記アルミニウム板材における前記開口の周縁部をプレスにより伸びフランジ成形するとき、前記開口の周縁部の板押さえ力を、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど大きくする、アルミニウム板材の成形方法。
このアルミニウム板材の成形方法によれば、板押さえ力を可変に制御し、徐々に大きくすることで、フランジからパンチ肩への材料流入を確保して材料の流入不足によるパンチ肩部における割れや裂けを抑制し、また、開口の孔径(穴径)が大きくなりすぎることを抑制して、フランジの端部が破断限界以上に伸びることによる割れや裂けを抑制できる。
(2)パンチを固定するパンチホルダと、ダイとの間の金型内において、
前記アルミニウム板材の前記開口の周縁部に第1ブランクホルダを配置し、
前記アルミニウム板材の外周部に第2ブランクホルダを配置し、
前記第1ブランクホルダと前記第2ブランクホルダの間にパンチを配置し、
前記第2ブランクホルダを、共通のクッション機構に取り付けられる複数のクッションピンにより支持し、
前記第1ブランクホルダを、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど荷重が大きくなり、成形終了位置では所定の荷重が発生している弾性特性を有する複数のスプリング支持体を介して前記パンチホルダに支持させる、(1)に記載のアルミニウム板材の成形方法。
このアルミニウム板材の成形方法では、第1ブランクホルダと第2ブランクホルダとで支持構造を異ならせ、第1ブランクホルダは所定の弾性特性を有するスプリング支持体により支持し、第2ブランクホルダはクッションピンにより支持する。フランジの周縁部を支持する第1ブランクホルダについて、第2ブランクホルダとは別に、自由度の高い支持構造の設計が可能となり、ブランクの割れやしわの抑制が可能である。
(3)前記第1ブランクホルダから前記アルミニウム板材に加える板押さえ力を、前記スプリング支持体の弾性特性、本数及び複数本の前記スプリング支持体の配置の少なくとも一つにより調整する、(2)に記載のアルミニウム板材の成形方法。
このアルミニウム板材の成形方法によれば、スプリング支持体の弾性特性及び本数の少なくとも1つを選ぶことで、成形開始位置から成形下死点に至るまでの荷重を可変に制御でき、また、複数本のスプリング支持体の配置を選ぶことによっても、第1ブランクホルダにおける面荷重(板押さえ力)の分布を調整でき、例えば開口の形状等に合わせて配置を変更して、荷重の分布を微調整することで割れをより効果的に防止することもできる。これらによって支持構造の設計の自由度が高まる。
(4) 前記スプリング支持体としてガススプリングを用いる、(2)又は(3)に記載のアルミニウム板材の成形方法。
このアルミニウム板材の成形方法によれば、弾性特性の設定の自由度が高く、省スペースで大きな荷重を発生できる。また、ストロークが零のときに初期荷重を発生できるため、成形開始時から、必要となるしわ押さえ力を発生できる。
(5)前記アルミニウム板材は、6000系アルミニウム合金である、(1)~(4)のいずれか1つに記載のアルミニウム板材の成形方法。
複雑な形状を、6000系アルミニウム合金板でプレス成形する際は、特に成形品の底部と縦壁との間の角部に割れが発生したり、縦壁が裂けたりしやすい。上記のアルミニウム板材の成形方法によれば、割れ、裂けの発生を効果的に抑制することができ、アルミニウム合金へのプレス成形の適用を促進できる。
(6)パンチと、前記パンチを固定するパンチホルダと、前記パンチホルダに対向して配置されるダイと、を備え、前記パンチと前記ダイとの間で、開口を有するアルミニウム板材をプレス成形する成形装置であって、
前記アルミニウム板材の前記開口の周縁部に当接して配置される第1ブランクホルダと、
前記アルミニウム板材の外周部に当接して配置される第2ブランクホルダと、
基端部が前記パンチホルダに固定され、先端部が前記第1ブランクホルダを支持する複数のスプリング支持体と、
基端部が共通のクッション機構に固定され、先端部が前記第2ブランクホルダを支持する複数のクッションピンと、
を備え、
一本の前記スプリング支持体は、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど荷重が大きくなり、成形終了位置では所定の荷重が発生している弾性特性を有する、アルミニウム板材の成形装置。
このアルミニウム板材の成形装置によれば、プレス成形品の割れ、裂けを抑制して、アルプレス成形品の歩留まりを上げ、量産性を向上させることができる。
(7) 前記スプリング支持体は、ガススプリングである、(6)に記載のアルミニウム板材の成形装置。
このアルミニウム板材の成形装置によれば、弾性特性の設定の自由度が高く、省スペースで大きな荷重を発生できる。また、ストロークが零のときに初期荷重を発生できるため、成形開始時から、必要となるしわ押さえ力を発生できる。
2 ダイ
3、3-1、3-2 第1ブランクホルダ
4 第2ブランクホルダ
6、6a、6b、6c、6d、6e クッションピン
7 ガイド
10 パンチ
11、12 プレス成形装置(成形装置)
20 ガススプリング
21 チューブ
22 ロッド
23 取付部
24 オリフィス
25 ピストン
26 ロッドガイド
27 圧縮ガス
28 オイル
30 ダイホルダ
35 スプリング支持体
40 パンチホルダ
41、41-1、41-2 取付凹部
43 貫通孔
60 クッション機構
W ブランク
OP(OP-1、OP-2) 開口
CV1~CV3 ダイの凹部
K1 フランジ
K2 縦壁
K3 天板

Claims (7)

  1. 開口を有するアルミニウム板材をプレス成形する成形方法であって、
    前記アルミニウム板材における前記開口の周縁部をプレスにより伸びフランジ成形するとき、前記開口の周縁部の板押さえ力を、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど大きくする、アルミニウム板材の成形方法。
  2. パンチを固定するパンチホルダと、ダイとの間の金型内において、
    前記アルミニウム板材の前記開口の周縁部に第1ブランクホルダを配置し、
    前記アルミニウム板材の外周部に第2ブランクホルダを配置し、
    前記第1ブランクホルダと前記第2ブランクホルダの間にパンチを配置し、
    前記第2ブランクホルダを、共通のクッション機構に取り付けられる複数のクッションピンにより支持し、
    前記第1ブランクホルダを、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど反発力が大きくなる弾性特性を有する複数のスプリング支持体を介して前記パンチホルダに支持させる、
    請求項1に記載のアルミニウム板材の成形方法。
  3. 前記第1ブランクホルダから前記アルミニウム板材に加える板押さえ力を、前記スプリング支持体の弾性特性、本数及び複数本の前記スプリング支持体の配置の少なくとも一つにより調整する、請求項2に記載のアルミニウム板材の成形方法。
  4. 前記スプリング支持体としてガススプリングを用いる、請求項2又は3に記載のアルミニウム板材の成形方法。
  5. 前記アルミニウム板材は、6000系アルミニウム合金である、請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミニウム板材の成形方法。
  6. パンチと、前記パンチを固定するパンチホルダと、前記パンチホルダに対向して配置されるダイと、を備え、前記パンチと前記ダイとの間で、開口を有するアルミニウム板材をプレス成形する成形装置であって、
    前記アルミニウム板材の前記開口の周縁部に当接して配置される第1ブランクホルダと、
    前記アルミニウム板材の外周部に当接して配置される第2ブランクホルダと、
    基端部が前記パンチホルダに固定され、先端部が前記第1ブランクホルダを支持する複数のスプリング支持体と、
    基端部が共通のクッション機構に固定され、先端部が前記第2ブランクホルダを支持する複数のクッションピンと、
    を備え、
    一本の前記スプリング支持体は、プレスストロークの成形開始位置から成形終了位置に近くなるほど反発力が大きくなる弾性特性を有する、
    アルミニウム板材の成形装置。
  7. 前記スプリング支持体は、ガススプリングである、請求項6に記載のアルミニウム板材の成形装置。
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