JP2022068849A - 変性エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

変性エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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隼人 小笠原
Hayato Ogasawara
大樹 杉山
Daiki Sugiyama
航 深山
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Abstract

【課題】硬化物又は塗膜等の機械物性に優れる上に、耐候性や耐蝕性に優れる変性エポキシ樹脂を提供する。【解決手段】式(1)で示される、エポキシ樹脂由来の構造単位(X)と酸末端ポリエステル由来の構造単位(Y)とを含む変性エポキシ樹脂。重量平均分子量3,000~50,000で、エポキシ当量500~10,000g/eqである。TIFF2022068849000032.tif27147(上記式(1)中、nは1~30の正数。)【選択図】なし

Description

本発明は、変性エポキシ樹脂及びその製造方法、ならびに、この変性エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂組成物、及びその硬化物に関する。本発明はまた、該硬化性樹脂組成物を含む、塗料、接着剤、粉体塗装用塗料組成物、缶用塗料組成物及びプリプレグと、該硬化物を含む塗膜、繊維強化プラスチック及び積層板に関する。
エポキシ樹脂は、電気特性、接着性、耐熱性等に優れることから主に塗料分野、土木分野、電気分野といった多くの用途で使用されている。特に、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等の繰り返し構造単位に複数個の芳香環を有するエポキシ樹脂は、耐水性、接着性、機械物性、耐熱性、電気絶縁性、経済性などが優れ、種々の硬化剤と組み合わせて広く用いられている。しかし、これらのエポキシ樹脂は、外光、とりわけ紫外線に暴露された際に、黄変や表面品位の低下といった劣化が生じやすく、用途が制限されていた。
例えば、エポキシ樹脂を用いた粉体塗料は、塗膜物性や耐蝕性に優れることから幅広く用いられてきたが、屋内や半屋外といった外光暴露が少ないか殆どない用途に限定されていた。また、重防食塗料等における下塗りとしても、エポキシ樹脂は広く使用されてきたが、近年の施工時間の削減やコストダウンの観点から、上塗りや中塗りの層を薄くしたり削減する試みがなされている。その結果、外光が下塗りまで届いてしまうことで劣化が生じ、不具合を生じさせる事例がある。
ところで、エポキシ樹脂には、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂以外に、脂肪族型エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂等の芳香環を複数個有するエポキシ樹脂を核水添したエポキシ樹脂や、脂肪族アルコールや脂環族アルコール由来のエポキシ樹脂等が知られている。しかし、これらを単独で用いた場合は一般的にTgが低く、重防食塗料としては適用可能であるが、粉体塗料用途等の固体形態で取扱う用途には適用できないなど、用途が限定される場合が多かった。さらに、塗膜性能についても、機械物性や耐蝕性に大きく劣ることが知られている。
特許文献1には、常温において固形で吸水率が低く、耐クラック性、耐熱性、透明性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供するものとして、2官能エポキシ樹脂とカルボキシル基を有するポリエステル化合物を反応して得られる固形エポキシ樹脂が開示されている。
また、耐候性、耐水性、耐煮沸水性、造膜性、機械的特性、貯蔵安定性等の優れた固体の粉体塗料用エポキシ樹脂組成物を提供するものとして、特許文献2には、エポキシ樹脂に脂環族ジカルボン酸と脂肪族グリコールからなるポリエステルを反応させて得られるエポキシ樹脂が開示されている。
特開2009-29842号公報 特開昭50-84637号公報
特許文献1に記載のエポキシ樹脂では、耐クラック性を満たすために柔軟性の発現に主眼を置いているため、耐候性には優れるが、塗膜の機械物性としては十分なレベルとは言えなかった。
また、特許文献2に記載のエポキシ樹脂では、エポキシ樹脂と反応させるポリエステルの原料に可撓性が高い脂環族ジカルボン酸を用いているため、非ビスフェノール型エポキシ樹脂を用いる場合は、反応させるポリエステル量を少なめにし、塗膜物性と粉体塗料における工程通過性とのバランスを調整する必要があった。その結果、耐候性の向上を十分に図ることができず、耐候性性能は不十分であった。
本発明は、上記従来技術に鑑み、機械物性に優れる上に、耐候性や耐蝕性に優れた硬化物や塗膜等を実現し得る変性エポキシ樹脂、ならびに、この変性エポキシ樹脂を含んでなる硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の式(1)で示される、エポキシ樹脂由来の構造単位(X)と酸末端ポリエステル由来の構造単位(Y)とを含む変性エポキシ樹脂であって、重量平均分子量が3,000~50,000であり、且つエポキシ当量が500~10,000g/eqである、変性エポキシ樹脂が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]~[17]に存する。
[1] 下記式(1)で示される、エポキシ樹脂由来の構造単位(X)と酸末端ポリエステル由来の構造単位(Y)とを含む変性エポキシ樹脂であって、重量平均分子量が3,000~50,000であり、且つエポキシ当量が500~10,000g/eqである、変性エポキシ樹脂。
Figure 2022068849000001
(上記式(1)中、nは平均の繰り返し数であり、1~30の正数である。Xは下記式(2)で表される2価の基であり、Yは下記式(3)で表される2価の基である。)
Figure 2022068849000002
(上記式(2)中、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよい。pは繰り返し数であり、0~10の整数である。)
Figure 2022068849000003
(上記式(3)中、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよく、イソフタル酸由来の構造単位を含む。Rは炭素数2~30の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよく、ネオペンチルグリコール由来の構造単位を含む。R中に占めるイソフタル酸由来の構造単位は60mol%超、及び/又は、R中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位は40mol%超である。qは繰り返し数であり、1~50の整数である。)
[2] 前記変性エポキシ樹脂に占める構造単位(Y)の割合が50重量%以上である、[1]に記載の変性エポキシ樹脂。
[3] ガラス転移温度(Tg)が30℃以上であり、且つ軟化点が140℃以下である、[1]又は[2]に記載の変性エポキシ樹脂。
[4] 前記Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が60mol%超、且つ、前記Rに占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が40mol%超である、[1]~[3]のいずれかに記載の変性エポキシ樹脂。
[5] 前記Rが、下記式(4)で表される2価の基及び/又は下記式(5)で表される2価の基を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の変性エポキシ樹脂。
Figure 2022068849000004
(上記式(4)中、Rは単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-、-S-、-SO-、-O-、及び-CO-で表される基からなる群より選ばれる2価の基である。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、各々同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2022068849000005
(上記式(5)中、Rは単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-、-S-、-SO-、-O-、及び-CO-で表される基からなる群より選ばれる2価の基である。)
[6] 前記Rが、下記式(6)で表される2価の基を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の変性エポキシ樹脂。
Figure 2022068849000006
(上記式(6)中、Rは水素原子及び炭素数1~20の炭化水素基からなる群より選択され、各々同一でも異なっていてもよいし、Rの一部は互いに結合して、式(6)中のベンゼン環に縮合する環を形成していてもよい。)
[7] 下記式(7)で示されるエポキシ化合物(A)と下記式(8)で示される酸末端ポリエステル(B)とを反応させる、[1]~[6]のいずれかに記載の変性エポキシ樹脂の製造方法。
Figure 2022068849000007
(上記式(7)中、R及びpは上記式(2)におけると同義である。)
Figure 2022068849000008
(上記式(8)中、R、R及びqは上記式(3)におけると同義である。)
[8] [1]~[6]のいずれかに記載の変性エポキシ樹脂と硬化剤とを含んでなる硬化性樹脂組成物。
[9] [8]に記載の硬化性樹脂組成物を含む塗料。
[10] [8]に記載の硬化性樹脂組成物を含む接着剤。
[11] [8]に記載の硬化性樹脂組成物を含む粉体塗装用塗料組成物。
[12] [8]に記載の硬化性樹脂組成物を含む缶用塗料組成物。
[13] [8]に記載の硬化性樹脂組成物を含むプリプレグ。
[14][8]に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
[15] [14]に記載の硬化物を含む塗膜。
[16] [14]に記載の硬化物を含む繊維強化プラスチック。
[17] [14]に記載の硬化物を含む積層板。
本発明によれば、硬化物や塗膜等の機械物性に優れる上に、耐候性や耐蝕性に優れる変性エポキシ樹脂、ならびに、この変性エポキシ樹脂を含んでなる硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供できる。
本発明の変性エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物及び硬化物は、電気・電子材料、FRP(繊維強化樹脂)、接着剤及び塗料等の分野において応用展開が可能である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。本発明において化合物の「2官能」および「2価」とは、実質的に2官能であることを指し、変性エポキシ樹脂製造時にゲル化を誘発しない程度、すなわち5重量%以下であれば3官能以上の化合物を含んでいてもよい。
〔変性エポキシ樹脂〕
本発明の一実施形態である変性エポキシ樹脂(以降、単に変性エポキシ樹脂と称す事もある)は、下記式(1)で示される、エポキシ樹脂由来の構造単位(X)と酸末端ポリエステル由来の構造単位(Y)とを含む変性エポキシ樹脂であって、重量平均分子量が3,000~50,000であり、且つエポキシ当量が500~10,000g/eqであることを特徴とする。
Figure 2022068849000009
(上記式(1)中、nは平均の繰り返し数であり、1~30の正数である。Xは下記式(2)で表される2価の基であり、Yは下記式(3)で表される2価の基である。)
Figure 2022068849000010
(上記式(2)中、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよい。pは繰り返し数であり、0~10の整数である。)
Figure 2022068849000011
(上記式(3)中、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよく、イソフタル酸由来の構造単位を含む。Rは炭素数2~30の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよく、ネオペンチルグリコール由来の構造単位を含む。R中に占めるイソフタル酸由来の構造単位は60mol%超、及び/又は、R中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位は40mol%超である。qは繰り返し数であり、1~50の整数である。)
変性エポキシ樹脂は、上記式(1)で示される構造を有し、nは平均の繰り返し数であり、1~30の正数であるが、好ましくは1~25の正数であり、より好ましくは1~20の正数である。
[式(1)中のX]
前記式(1)中のXは2官能エポキシ化合物に由来する構造単位であり、具体的には前記式(2)で表される2価の基である。前記式(2)中、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよい。pは繰り返し数であり、0~10の整数であるが、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~5である。
式(1)中のXを表す前記式(2)において、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、この炭素数は3~35が好ましく、4~30がより好ましい。Rはヘテロ原子を有していてもよい。
該炭化水素基としては、脂環式骨格を含む炭化水素基、芳香族炭化水素基、鎖状炭化水素基が挙げられる。
脂環式骨格を含む炭化水素基としては、シクロアルキレン基、アルキレンビスシクロアルキレン基、アルキル置換シクロアルキレン基、アルキレンビス(アルキル置換シクロアルキレン)基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、芳香環を含む炭化水素基であればよいが、アルキレンビスフェニレン基、フェニレン基、ビスフェニレン基、オキシビスフェニレン基、スルホニルビスフェニレン基、カルボニルビスフェニレン基およびそれらがアルキル置換された基等が挙げられる。
鎖状炭化水素基としては、アルキレン基、酸素原子を含むアルキレン基等が例示される。
中でも、脂環式骨格を含む炭化水素基、芳香族炭化水素基が変性エポキシ樹脂のガラス転移温度を高め、耐ブロッキング性を付与できるため、より好ましい。
前記式(2)中のRは、下記式(4)で表される2価の基、下記式(5)で表される2価の基、下記式(6)で表される2価の基のいずれかを含むことが好ましい。
Figure 2022068849000012
(式(4)中、Rは単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-、-S-、-SO-、-O-、及び-CO-で表される基からなる群より選ばれる2価の基である。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、各々同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2022068849000013
(上記式(5)中、Rは単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-、-S-、-SO-、-O-、及び-CO-で表される基からなる群より選ばれる2価の基である。)
Figure 2022068849000014
(上記式(6)中、Rは水素原子及び炭素数1~20の炭化水素基からなる群より選択され、各々同一でも異なっていてもよいし、Rの一部は互いに結合して、式(6)中のベンゼン環に縮合する環を形成していてもよい。)
前記式(4)において、Rとしては、入手性が高く市場流通性が良好な観点から、単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-、-S-、-SO-、-O-、及び-CO-で表される基が好ましく、単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-で表される基がより好ましい。
また、Rとしては、分子のパッキングが固定され、Tgを高めることができる観点から、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基が好ましく、水素原子、メチル基、フェニル基がより好ましい。
式(4)で表される2価の基としては、具体的にはビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラ-t-ブチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールS、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジメチルビフェノール、テトラ-t-ブチルビフェノール、のOH基が置換された2価の基が例示される。
前記式(5)において、Rとしては、入手性が高く市場流通性が良好な観点から、単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-、-S-、-SO-、-O-、及び-CO-で表される基が好ましく、単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-で表される基がより好ましい。
式(5)で表される2価の基としては、具体的にはビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビフェノール、の芳香環が水素添加された化合物のOH基が置換された2価の基が例示される。
前記式(6)において、Rとしては、分子のパッキングが固定され、Tgを高めることができる観点から、水素原子及び炭素数1~20の炭化水素基が好ましく、水素原子、メチル基、エチル基がより好ましい。
式(6)で表される2価の基としては、具体的にはハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、カテコール、メチルカテコール、ジヒドロキシアントラセン、1,4-ジヒドロアントラセン-9,10-ジオール、ジヒドロキシナフタレン、のOH基が置換された2価の基が例示される。
式(1)中のXは、1種のみであってもよく、2種以上が含まれていてもよい。
[式(1)中のY]
前記式(1)中のYを表す前記式(3)において、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよく、イソフタル酸由来の構造単位を含む。Rは炭素数2~30の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよく、ネオペンチルグリコール由来の構造単位を含む。R中に占めるイソフタル酸由来の構造単位は60mol%超(条件(i))、及び/又は、R中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位は40mol%超(条件(ii))である。qは繰り返し数であり、1~50の整数である。
の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、直鎖又は分岐を有する脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられ、芳香族炭化水素基、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、芳香族炭化水素基がより好ましい。Rの炭化水素基の炭素数として、好ましくは3~35であり、より好ましくは3~25であり、更により好ましくは5~20であり、特に好ましくは6~15である。条件(i)の場合、Rにはイソフタル酸由来の構造単位、すなわち下記式で示されるm-フェニレン基が60mol%超含まれていなければならない。耐候性向上の観点から、Rに占めるm-フェニレン基含量は60mol%超が好ましく、70mol%超がより好ましく、80mol%超がさらに好ましい。m-フェニレン基は酸化された際に共役構造を取らず、変性エポキシ樹脂の耐候性を高めることができる。
Figure 2022068849000015
の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、直鎖又は分岐を有する脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられ、直鎖又は分岐を有する脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基が好ましい。Rの炭化水素基の炭素数として、好ましくは2~30であり、より好ましくは2~20であり、更に好ましくは2~10である。条件(ii)の場合、Rにはネオペンチルグリコール由来の構造単位、すなわち下記式で示される-CHC(CHCH-基が40mol%超含まれていなければならない。耐候性向上の観点から、Rに占める-CHC(CHCH-基含量は40mol%超が好ましく、50mol%超がより好ましく、60mol%超がさらに好ましい。-CHC(CHCH-基はその嵩高い構造から、近傍のエステル基の加水分解を抑制でき、変性エポキシ樹脂の耐候性を高めることができる。
Figure 2022068849000016
本発明要件における「R中に占めるイソフタル酸由来の構造単位は60mol%超(条件(i))、及び/又は、R中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位は40mol%超(条件(ii))」が意味するのは、条件(i)のみを満たし、条件(ii)を満たさなくてもよく、条件(ii)のみを満たし、条件(i)を満たさなくてもよく、条件(i)と条件(ii)とを共に満たしてもよいというものである。
即ち、例えば、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が80mol%且つR中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が20mol%の場合(条件(i)のみを満たす。)は当てはまり、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が20mol%且つR中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が80mol%の場合(条件(ii)のみを満たす。)は当てはまり、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が80mol%且つR中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が80mol%の場合(条件(i)と条件(ii)を満たす。)などは当てはまる。一方、例えば、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が20mol%且つR中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が20mol%の場合(条件(i)も条件(ii)も満たさない。)は当てはまらず、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が60mol%且つR中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が40mol%の場合(条件(i)も条件(ii)も満たさない。)などは当てはまらない。
耐候性の観点から、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位は60mol%超であり、且つR中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が40mol%超であることが好ましく(即ち、条件(i)と条件(ii)とを共に満たす。)、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が70mol%以上であり、且つR中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が50mol%以上であることがより好ましく、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が80mol%以上であり、且つR中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が60mol%以上であることがさらに好ましい。なお、Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位の上限は100mol%であってもよい。また、R中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位の上限は100mol%であってもよい。
[構造単位(Y)の割合]
本発明の変性エポキシ樹脂は、形成される硬化物や塗膜等の機械物性に優れる上に、耐候性と耐蝕性に優れるという効果を奏する。この効果は、分子内にエステル結合を有する点と、変性エポキシ樹脂を構成する構造単位(X)および構造単位(Y)を特定の構造に調整する点により発現される。
変性エポキシ樹脂は、上記式(1)中の酸末端ポリエステル由来の構造単位(Y)の割合が特定の範囲である時に優れた効果を発現する。変性エポキシ樹脂中の構造単位(Y)の割合は、下記式で表される。
式:構造単位(Y)の割合(重量%)=(構造単位(Y)の重量)×100)÷変性エポキシ樹脂の重量
構造単位(Y)の割合は、100重量%未満であるが、上限値は99重量%以下が好ましく、97重量%以下であることがより好ましく、95重量%以下が更に好ましい。構造単位(Y)の割合が上記上限値以下であれば、変性エポキシ樹脂を製造する際、構造単位(Y)に対して構造単位(X)の割合が少なすぎず、均一な反応を行い易く、製造安定性に優れる傾向がある。
構造単位(Y)の割合の下限値は、50重量%以上であることが好ましく、55重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがさらに好ましい。構造単位(Y)の割合が上記下限値以上であれば、変性エポキシ樹脂の特性に構造単位(X)の特性が大きく反映されることなく、耐候性が劣化するなどの不具合を生じ難い。
式(1)中のYは、1種のみであってもよく、2種以上が含まれていてもよい。
[変性エポキシ樹脂の物性・特性]
変性エポキシ樹脂のエポキシ当量の下限値は、500g/eq以上である必要があり、好ましくは750g/eq以上である。
エポキシ当量が上記下限値未満の変性エポキシ樹脂はガラス転移温度(Tg)が低い傾向があり、溶剤に溶解させる際の溶解速度は優れる傾向があるが、固形樹脂として保存する場合は、暑熱環境において樹脂同士が融着する(以降、ブロッキングとも称する)懸念がある。また、硬化させた際の硬化物もしくは硬化塗膜のガラス転移温度(Tg)も低くなる傾向にあり好ましくない。
一方、変性エポキシ樹脂の上限値は、10,000g/eq以下である必要があり、好ましくは5,000g/eq以下であり、より好ましくは3,000g/eq以下である。
エポキシ当量が上記上限値を超えると、溶剤に溶解させる際の溶解速度に劣ったり、溶解後の樹脂溶液粘度が高くなり、固形分濃度を高くできないために、生産効率や、塗料塗布時の効率も悪化させる懸念がある。また、固形樹脂として扱う場合は、軟化点が高くなるため、溶融混練させる際の温度を上げる必要が生じ、例えば潜在硬化剤と混練する場合、選択できる潜在硬化剤種が少なくなる懸念がある。加えて、加熱硬化させる際に、樹脂の溶融粘度も高くなるため、硬化させた後の硬化塗膜の面精度を低下させる懸念がある。
変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
変性エポキシ樹脂の熱特性に関して、熱特性の下限値はガラス転移温度(Tg)で判断し、上限値は軟化点で判断することが好ましい。
具体的には、熱特性の下限値であるガラス転移温度(Tg)が30℃以上であることが好ましく、35℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることがさらに好ましい。使用する環境に応じて適宜選択すればよいが、ガラス転移温度が上記下限値未満であると、多くの環境においてブロッキングが生じる上、ブロッキングした樹脂が軽微な力では解れない懸念がある。
一方、熱特性の上限値である軟化点は、140℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、125℃以下であることがさらに好ましい。軟化点が上記上限値を超えると、溶剤に溶解させる際に還流装置を有さない場合は選択できる溶剤が限られたり、溶融混練させる際に高温にしないと均一に混合できないといった制約が生じたり、軟化点に不随して溶融粘度も高粘度になるため、焼き付けの際に硬化塗膜の面精度が劣る懸念がある。
変性エポキシ樹脂のガラス転移温度及び軟化点は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限値は、3,000以上である必要があり、5,000以上であることが好ましく、6,000以上であることがより好ましい。重量平均分子量が上記下限値未満の場合は、ガラス転移温度(Tg)が低い傾向があり、ブロッキングが生じやすい傾向にある。また、このような変性エポキシ樹脂を含んでなる硬化物は、架橋点間が狭まることで脆くなり、硬化塗膜の機械物性が劣る傾向がある。また、このような変性エポキシ樹脂は、変性エポキシ樹脂を構成する構造単位(X)および構造単位(Y)によっては、製造時の未反応の残存成分が多くなる傾向があり、ガラス転移温度(Tg)から予想されるよりも強いブロッキングが生じたり、焼き付けの際に未反応成分が揮発したり、溶剤溶解時に溶剤種によっては相溶せずに分離する懸念が生じる。
一方、変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限値は、50,000以下であり、40,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましい。重量平均分子量が上記上限値超であると、分子鎖が大きくなりすぎることで軟化点が高くなり、溶融混練時に溶融温度を高くしなければならなかったり、溶融粘度が高いために硬化塗膜の面精度が損なわれたりする懸念がある。また、このような変性エポキシ樹脂を含んでなる硬化性樹脂組成物を硬化させる際に、硬化剤と変性エポキシ樹脂とからなるネットワーク形成が円滑に進まず、形成される塗膜の機械物性が低下したり、耐溶剤性が劣ったりする懸念がある。
変性エポキシ樹脂の分子量分布(=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))の値の下限値は、1.5以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらに好ましく、3.0以上であることが特に好ましい。一方、分子量分布(Mw/Mn)の上限値は、20.0以下であることが好ましく、10.0以下であることがより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましい。
分子量分布の値を上記範囲内に調整することで、再現性良く変性エポキシ樹脂を合成できる。また、溶剤に溶解させる際は、比較的低分子量の成分から溶剤に溶解していくことから、溶剤と変性エポキシ樹脂の極性や粘度差を緩和していくことで、効率的に溶剤溶解が進むようになる。同様に溶融混練する場合、比較的低分子量の成分から溶融混練されていくことから、溶融混練する硬化剤や他のエポキシ樹脂との粘度差や極性差を緩和してくことで、効率的に溶融混練することができる。
なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。より詳細な方法の例については、後掲の実施例の項において説明する。
〔変性エポキシ樹脂の製造方法〕
変性エポキシ樹脂は、下記式(7)で示されるエポキシ化合物(A)と下記式(8)で示される酸末端ポリエステル(B)とを反応させることで製造することができる。好ましくは、変性エポキシ樹脂は、下記式(7)で示されるエポキシ化合物(A)と下記式(8)で示される酸末端ポリエステル(B)とを、触媒共存下において、好適な仕込み比のもと反応させることより製造される。
Figure 2022068849000017
(上記式(7)中、R及びpは上記式(2)におけると同義である。)
Figure 2022068849000018
(上記式(8)中、R、R及びqは上記式(3)におけると同義である。)
[エポキシ化合物(A)]
上記式(7)で表されるエポキシ化合物(A)は、分子内に2個のエポキシ基を有する化合物である。
ここでのエポキシ基は、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミン基、脂環式エポキシ基などの従来公知の官能基を指し、中でも、エポキシ化合物(A)と酸末端ポリエステル(B)との反応の際に、副反応が生じ難い点から、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミン基が好ましく、官能基内にアミンを含まず貯蔵安定性に優れる観点からグリシジルエーテル型とグリシジルエステル基がさらに好ましい。とりわけ、耐加水分解性の観点からグリシジルエーテル基が特に好ましい。
分子内にエポキシ基を2個有する2官能のエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールEジグリシジルエーテル、ビスフェノールZジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールアセトフェノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラ-t-ブチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノール系ジグリシジルエーテル類;ビフェノールジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、ジメチルビフェノールジグリシジルエーテル、テトラ-t-ブチルビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール系ジグリシジルエーテル類;ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジヒドロアントラセンジグリシジルエーテル、メチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジブチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メチルレゾルシンジグリシジルエーテル等のベンゼンジオール系ジグリシジルエーテル類;ジヒドロアントラハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシジフェニルエーテルジグリシジルエーテル、チオジフェノールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル等の芳香族系ジグリシジルエーテル類;前記ビスフェノール系ジグリシジルエーテル類、ビフェノール系ジグリシジルエーテル類、ベンゼンジオール系ジグリシジルエーテル類及び芳香族系ジグリシジルエーテル類から選ばれるジグリシジルエーテル類の芳香環に水素を添加したエポキシ化合物;アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ダイマー酸等の種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,5-ペンタンジオールジグリシジルエーテル、ポリペンタメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,7-ヘプタンジオールジグリシジルエーテル、ポリヘプタメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,8-オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10-デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールジグリシジルエーテル等の鎖状構造のみからなる(ポリ)アルキレングリコールジグリシジルエーテル類;1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等の環状構造を有するアルキレングリコールジグリシジルエーテル類等が挙げられる。
エポキシ化合物(A)としては特に限定されないが、ガラス転移温度(Tg)を高めることで耐ブロッキング性を確保できる観点からビスフェノール系ジグリシジルエーテル類、ベンゼンジオール系ジグリシジルエーテル類、ビフェノール系ジグリシジルエーテル類、芳香環をもつジグリシジルエーテル類の芳香環に水素を添加したエポキシ化合物が好ましい。
上記化合物群の中でも、特に、経済性の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。光吸収が無い、もしくは少ないことで耐候性に優れ、且つ核水添した脂環を分子内に複数有する点から、変性エポキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)も高くすることができる点、さらには経済性の観点から、核水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。光露光時に芳香環含めた共役において発色団として機能するキノン構造を取らないため耐候性に優れ、また分子の自由回転を抑制できる点からバリアに優れる傾向から耐蝕性も優れる傾向があることから、芳香環にグリシジルエーテル基がメタ位に付加したレゾルシノール型エポキシ樹脂及びその置換基付加体が好ましい。さらに、耐候性や耐蝕性に優れ、且つ変性エポキシ樹脂の製造時の反応性に優れ未反応残存量を少なくできる観点や経済性から、置換基の無いレゾルシノールジグリシジルエーテルが好ましい。
以上に挙げたエポキシ化合物(A)は1種のみでも複数種を組み合わせて使用することもでき、目的とする変性エポキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)や軟化点、耐候性、耐蝕性等の要求性能と、用途に応じた要求性能を鑑みて設定すればよい。
[酸末端ポリエステル(B)]
前記式(8)で示される酸末端ポリエステル(B)は、2価カルボン酸と2価アルコールの重縮合により製造されるカルボン酸末端のポリエステル樹脂である。上述の通り、本発明において化合物の「2官能」および「2価」とは、実質的に2官能であることを指し、変性エポキシ樹脂製造時にゲル化を誘発しない程度、すなわち5重量%以下であれば3官能以上の化合物を含んでいてもよい。
上述の式(3)におけるRは、酸末端ポリエステル(B)において、後述する2価カルボン酸に由来する繰り返し構成単位に該当し、Rは、酸末端ポリエステル(B)において、2価アルコールに由来する繰り返し単位に該当するものであり、上述の式(3)において、R、Rは、それぞれの繰返し単位の由来となる化合物に対する化合物単位とも呼ぶこともある。
なお、2価カルボン酸は、通常、遊離酸の形態で用いられるが、これらの2価カルボン酸の炭素数1~4程度のアルキルエステル、及びハロゲン化物、アルカリ金属塩などの誘導体としても用いることができる。本発明では、これら2価カルボン酸とその誘導体とをまとめて「2価カルボン酸成分」と称す。
該2価カルボン酸としては、全2価カルボン酸成分中に占めるイソフタル酸成分が0mol%超含まれていればよく、イソフタル酸成分以外の2価カルボン酸成分としては、特に限定されないが、以下のようなものが挙げられる。テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の異性体(具体的には1,4-、1,5-、1,6-、1,7-、2,5-、2,6-、2,7-、2,8-)、コハク酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、フランジカルボン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、タプシン酸、ヘプタデカン二酸、ジプロピルマロン酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、3,3-テトラメチレングルタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;1,1-シクロプロパンジカルボン酸、1,2-シクロプロパンジカルボン酸、1,1-シクロブタンジカルボン酸、1,2-シクロブタンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、デカヒドロ-1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ノルボルナンジカルボン酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸が挙げられるが、好ましくは、テレフタル酸である。
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、及びこれらの誘導体が挙げられる。
これらの多価カルボン酸は単独で用いてもよいし、複数種用いてもよい。2価カルボン酸成分として3価以上のカルボン酸成分を用いると、エポキシ化合物(A)との反応時にゲルを生じさせて製造に不具合を生じさせたり、分子量分布が過度に広くなり、塗膜とした際に物性のばらつきを生じさせる懸念があるため、2価カルボン酸成分のみを用いることが好ましいが、上記不具合が生じない範囲であれば、3価以上のカルボン酸成分を含んでもよい。
中でも、2価カルボン酸成分として全量をイソフタル酸にすることで優れた耐候性を発現させることができる。また、2価カルボン酸成分としてイソフタル酸以外の成分としてテレフタル酸を併用することで、耐候性を維持しつつ優れた機械物性を発現させることができる。このようなことから、適宜求める要求性能に応じて組成を決めていけばよい。
該2価アルコールとしては、全2価アルコール中に占めるネオペンチルグリコールが0mol%超含まれていればよく、それ以外の成分としては、特に限定されないが、以下のようなものを用いることができる。
ネオペンチルグリコール以外の2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ポリペンタメチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ポリヘキサメチレングリコール、1,7-ヘプタンジオール、ポリヘプタメチレングリコール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール等の鎖状構造のみからなるジオール類や、1,4-シクロヘキサンジメタノール、イソソルバイド等の脂環構造を有するジオール類等が挙げられる。好ましくは、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールである。
3価以上のアルコールとしてはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、スクロース、グルコース等が挙げられる。
これらの多価アルコールは単独で用いてもよいし複数種用いてもよい。2価アルコールとして3価以上のアルコールを用いると、エポキシ化合物(A)との反応時にゲルを生じさせて製造に不具合を生じさせたり、分子量分布が過度に広くなり、塗膜とした際に物性のばらつきを生じさせる懸念があるため、2価アルコールのみを用いることが好ましいが、上記不具合が生じない範囲で、3価以上のアルコールを用いてもよい。
2価アルコールとしては、その全量をネオペンチルグリコールとすることで、優れた耐候性を発現させることができる。
ただし、用途に応じて適宜調整すればよいが、2価カルボン酸成分と2価アルコールとの重縮合の際に、液状の成分が介在することで伝熱効率や製造時の混合不良に伴う局所的な反応が抑制できる観点から、液状2価アルコールとして、経済性に優れ、且つガラス転移温度(Tg)の調整能のあるエチレングリコールを併用することが効果的である。エチレングリコールを併用する場合は、全2価アルコール成分中に占めるエチレングリコールの割合は、80mol%以下であることが好ましく、50mol%以下であることより好ましく、20mol%以下であることがさらに好ましい。エチレングリコールの併用量が前記上限値超となると、耐候性の低下や硬化物・硬化塗膜の機械物性の低下が生じる懸念がある。
一方、併用する2価アルコールとして脂環構造を有する2価アルコールを用いることも可能である。脂環構造を有する2価アルコールを併用することで、耐候性の劣化は伴わず、硬化物や硬化塗膜の柔軟性を向上させるたり、変性エポキシ樹脂の熱物性を変化させることが可能である。例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノールを併用したポリエステルを用いて変性エポキシ樹脂を製造すると、変性エポキシ樹脂のガラス転移温度が上昇するため、耐ブロッキング性が向上する。
2価カルボン酸と2価アルコールの組成としては、特に限定されないが、通常、2価カルボン酸中に占めるイソフタル酸含有量が60mol%超、及び/又は、2価アルコール中に占めるネオペンチルグリコール含有量が40mol%超であり、2価カルボン酸中に占めるイソフタル酸含有量が60mol%超且つ2価アルコール中に占めるネオペンチルグリコール含有量が40mol%超であることが優れた耐候性を得られる点で好ましく、2価カルボン酸中に占めるイソフタル酸含有量が70mol%以上且つ2価アルコール中に占めるネオペンチルグリコール含有量が50mol%以上であることがより好ましく、2価カルボン酸中に占めるイソフタル酸含有量が80mol%以上且つ2価アルコール中に占めるネオペンチルグリコール含有量が60mol%以上であることがさらに好ましい。
酸末端ポリエステル(B)の製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造することができる。例えば、2価カルボン酸成分および2価アルコール成分等を含む単量体混合物を反応容器に投入し、加熱昇温して、エステル化反応またはエステル交換反応を行い、反応で生じた水または2価アルコール成分を除去する。その後引き続き重縮合反応を実施するが、このとき反応装置内を徐々に減圧し、150mmHg(20kPa)以下、好ましくは15mmHg(2kPa)以下の真空下で2価アルコール成分を留出除去させながら重縮合を行う。
エステル化反応、エステル交換反応、重縮合反応時に用いる触媒としては、チタン系触媒、酢酸カルシウム、酢酸カルシウム水和物、ジブチルスズオキシド、酢酸スズ、二硫化スズ、酸化スズ、2-エチルヘキサンスズ等のスズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなどが挙げられる。これらのうち、触媒としては、反応性が良好な点からチタン系触媒が好ましい。
チタン系触媒としては、例えばアルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物、カルボン酸チタン化合物、カルボン酸チタニル、カルボン酸チタニル塩、チタンキレート化合物などが挙げられる。
アルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物としては、例えばテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラペントキシチタン、テトラオクトキシチタンなどが挙げられる。
カルボン酸チタン化合物としては、例えば蟻酸チタン、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、オクタン酸チタン、シュウ酸チタン、コハク酸チタン、マレイン酸チタン、アジピン酸チタン、セバシン酸チタン、ヘキサントリカルボン酸チタン、イソオクタントリカルボン酸チタン、オクタンテトラカルボン酸チタン、デカンテトラカルボン酸チタン、安息香酸チタン、フタル酸チタン、テレフタル酸チタン、イソフタル酸チタン、1,3-ナフタレンジカルボン酸チタン、4,4-ビフェニルジカルボン酸チタン、2,5-トルエンジカルボン酸チタン、アントラセンジカルボン酸チタン、トリメリット酸チタン、2,4,6-ナフタレントリカルボン酸チタン、ピロメリット酸チタン、2,3,4,6-ナフタレンテトラカルボン酸チタンなどが挙げられる。
これらのチタン系触媒のうち、テトラブトキシチタンが好ましい。
チタン系触媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
エステル化反応またはエステル交換反応、重縮合反応の反応温度は150~300℃が好ましい。反応温度が150℃以上であれば生産性が良好となる傾向にあり、300℃以下であれば得られる酸末端ポリエステル(B)の分解を抑制することができる。反応温度の下限値は180℃以上がより好ましく、上限値は280℃以下がより好ましい。
触媒の使用量としては2価カルボン酸成分と2価アルコール成分の合計重量に対して10ppm~10000ppmであることが重合反応性確保の観点で好ましい。触媒の使用量が10ppm未満であったり、10000ppmを超えたりすると、重縮合の時間調整では対応でしきれず重合反応性が低下する。
酸末端ポリエステル(B)の重量平均分子量(Mw)の下限値は、1000以上であることが好ましく、1,500以上であることがより好ましく、2,000以上であることが特に好ましい。一方、重量平均分子量(Mw)の上限値は、10,000以下であることが好ましく、9,000以下であることがより好ましく、8,000以下であることが特に好ましい。前記、上限値と下限値を満たすことで、変性エポキシ樹脂中に占める構造単位(Y)を好適な範囲に調整することができ、その結果、ガラス転移温度(Tg)や軟化点を好適な範囲に調整でき、且つ耐候性や機械物性に優れる硬化物や硬化塗膜を得ることができる。
酸末端ポリエステル(B)の分子量分布(=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがより好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることが原料入手の観点から特に好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)は10.0以下であることが好ましく、5.0以下であることがより好ましく、4.3以下であることが、設計通りの3次元ネットワーク構造を形成して塗膜の機械物性をよくする点で特に好ましい。
なお、酸末端ポリエステル(B)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができ、ポリスチレン換算の値を用いる。具体的な測定方法は後掲の実施例の項に記載の通りである。
酸末端ポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、Tgは0℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましく、10℃以上であることがさらに好ましく、20℃以上であることが耐熱性の観点から特に好ましい。また、Tgは100℃以下であることが好ましく、95℃以下であることがより好ましく、90℃以下であることがさらに好ましく、80℃以下であることが合成上のハンドリングの観点から特に好ましい。
酸末端ポリエステル(B)の水酸基価は特に限定されないが、水酸基価は0.001mgKOH/g以上であることが好ましく、0.005mgKOH/g以上であることがより好ましく、0.01mgKOH/g以上であることが原料入手性の観点から特に好ましい。また、酸末端ポリエステル(B)の水酸基価は60mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以下であることがより好ましく、40mgKOH/g以下であることがより好ましく、30mgKOH/g以下であることが、エポキシ化合物(A)との重合反応を円滑に進められる観点から特に好ましい。
酸末端ポリエステル(B)の酸価は特に限定されないが、酸価は10mgKOH/g以上であることが好ましく、20mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。また、酸価は100mgKOH/g以下であることが好ましく、90mgKOH/g以下であることがより好ましく、80mgKOH/g以下であることがより好ましい。酸価を上記範囲に調整することで、変性エポキシ樹脂中に占めるエポキシ化合物(A)の割合を調整し、得られる硬化物や硬化塗膜に優れた耐候性や機械物性を付与することができる。
なお、酸末端ポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg)、水酸基価、酸価の具体的な測定方法は後掲の実施例の項に記載の通りである。
酸末端ポリエステル(B)は、1種のみを用いても、2価カルボン酸成分や2価アルコールの種類や物性等の異なるものを複数種類組み合わせて使用することもできる。
[仕込み比]
本発明の変性エポキシ樹脂の製造時のエポキシ化合物(A)と酸末端ポリエステル(B)の仕込比は、得られる変性エポキシ樹脂の理論エポキシ当量から算出され、前記理論エポキシ当量の上限は10,000g/eq以下が好ましく、5,000g/eq以下がより好ましく、3,000g/eq以下であることが特に好ましい。一方、理論エポキシ当量の下限としては、500g/eq以上であることが好ましく、750g/eq以上であることがより好ましい。上記理論エポキシ当量の下限値及び上限値の好ましい理由は、変性エポキシ樹脂のエポキシ当量の項で述べた通りである。
[触媒(C)]
本発明の変性エポキシ樹脂を製造するための反応工程には触媒(C)を用いてもよい。触媒(C)としては、通常、エポキシ樹脂の製法におけるアドバンス法の触媒として用いられるものであれば特に制限されない。
触媒(C)としては、例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属の水素化物;酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
有機リン化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリ-2,4-キシリルホスフィン、トリ-2,5-キシリルホスフィン、トリ-3,5-キシリルホスフィン、トリス(p-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p-n-オクチルフェニル)ホスフィン、トリ(p-n-ノニルフェニル)ホスフィン、トリアリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ-n-プロピルホスフィン、ジ-t-ブチルメチルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、シクロヘキシルジ-tert-ブチルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジ-n-ブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジフェニルプロピルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムアイオダイド、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
第3級アミン類の具体例としては、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
環状アミン類の具体例としては、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)-5-ノネン等が挙げられる。
イミダゾール類の具体例としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等が挙げられる。
以上に挙げた触媒(C)は1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒(C)を用いる場合、その使用量は、通常エポキシ化合物(A)の使用量に対して10000重量ppm以下、例えば10~5000重量ppmとすることが好ましい。
[反応溶媒(D)]
本発明の変性エポキシ樹脂を製造するための反応工程において、反応溶媒(D)を用いてもよい。この反応溶媒(D)としては、原料を溶解するものであれば、どのようなものでもよいが、通常は有機溶媒である。
有機溶媒としては例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。
芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
ケトン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。
アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
以上に挙げた反応溶媒(D)は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、反応途中で高粘性生成物が生じたときは反応溶媒(D)を更に加えて反応を続けることもできる。
[反応条件]
エポキシ化合物(A)と酸末端ポリエステル(B)との反応は、常圧、加圧、減圧いずれの条件で行うこともできる。
反応温度は、通常60~240℃、好ましくは80~220℃、より好ましくは100~200℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、高純度の変性エポキシ樹脂を得る観点から好ましい。
反応時間としては特に限定されないが、通常0.5~24時間であり、好ましくは1~22時間であり、より好ましくは1.5~20時間である。反応時間が上記上限以下であると、生産効率向上の点で好ましく、上記下限以上であると、未反応成分を削減できる点で好ましい。
[希釈溶剤(E)]
本発明の変性エポキシ樹脂は、反応終了後に希釈溶剤(E)を混合して固形分濃度を調整してもよい。その希釈溶剤(E)としては、変性エポキシ樹脂を溶解するものであれば、どのようなものでもよいが、通常は有機溶剤である。有機溶剤の具体例としては前述の反応溶媒(D)として挙げたものと同様のものを用いることができる。
なお、本発明において、「溶媒」と「溶剤」という語は、反応時に用いるものを「溶媒」、反応終了後に用いるものを「溶剤」として用いることとするが、同種のものを用いても、異種のものを用いてもよい。
〔硬化性樹脂組成物〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明の変性エポキシ樹脂と硬化剤とを含むものである。また、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の変性エポキシ樹脂以外の他のエポキシ化合物、硬化促進剤、その他の成分等を適宜配合することができる。
[硬化剤]
本発明の硬化性樹脂組成物に用いる硬化剤は、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質である。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明の硬化性樹脂組成物における硬化剤の含有量は、本発明の変性エポキシ樹脂100重量部に対して好ましくは0.1~1000重量部であり、より好ましくは100重量部以下であり、更に好ましくは80重量部以下であり、特に好ましくは60重量部以下である。
また、本発明の硬化性樹脂組成物において、本発明の変性エポキシ樹脂以外の後述する他のエポキシ化合物が含まれる場合、硬化剤の含有量は、固形分としての全エポキシ成分100重量部に対して好ましくは0.1~1000重量部であり、より好ましくは100重量部以下であり、更に好ましくは80重量部以下であり、特に好ましくは60重量部以下である。
硬化剤のより好ましい量は、硬化剤の種類に応じてそれぞれ以下に記載する通りである。
本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂ないしはエポキシ化合物のみならず、半固形や粘稠な液状物をも含むものとする。また、「全エポキシ成分」とは、本発明の変性エポキシ樹脂と後述する他のエポキシ化合物との合計を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物において、硬化剤としては多官能フェノール類、ポリイソシアネート系化合物、アミン系化合物、酸無水物系化合物、酸末端ポリエステル樹脂、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、及びテトラフェニルボロン塩からなる群のうちの少なくとも1つを用いることが好ましい。
多官能フェノール類の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールZ、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、4,4’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェノール等のビフェノール類;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン類;及びこれらの化合物の芳香環に結合した水素原子がハロゲン基、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基、硫黄、リン、珪素等のヘテロ元素を含む有機置換基等の非妨害性置換基で置換されたもの等が挙げられる。
更に、これらのフェノール類やフェノール、クレゾール、アルキルフェノール等の単官能フェノール類とアルデヒド類の重縮合物であるノボラック類、レゾール類等が挙げられる。
ポリイソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。更に、これらのポリイソシアネート化合物と、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、水等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物との反応により得られるポリイソシアネート化合物、又は前記のポリイソシアネート化合物の3~5量体等を挙げることができる。
アミン系化合物の例としては、脂肪族の一級、二級、三級アミン、芳香族の一級、二級、三級アミン、環状アミン、グアニジン類、尿素誘導体等があり、具体的には、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、メタキシレンジアミン、ジシアンジアミド、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)-5-ノネン、ジメチル尿素、グアニル尿素等が挙げられる。
酸無水物系化合物の例としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸と不飽和化合物の縮合物等が挙げられる。
酸末端ポリエステル樹脂の例としては、酸末端ポリエステル(B)の項で挙げられた2価カルボン酸と2価アルコールとを反応させて得られる重縮合物が挙げられる。硬化時のネットワーク構造形成を促進できるために酸末端ポリエステル(B)の項で挙げられた3価以上のカルボン酸及び/又は3価以上のアルコールを0mol%超含むことが好ましい。
イミダゾール系化合物の例としては、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。なお、イミダゾール系化合物は後述する硬化促進剤としての機能も果たすが、本発明においては硬化剤に分類するものとする。
アミド系化合物の例としては、ジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
カチオン重合開始剤は、熱又は活性エネルギー線照射によってカチオンを発生するものであり、芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体的には、SbF 、BF 、AsF 、PF 、CFSO 2-、B(C 等のアニオン成分とヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物等が挙げられる。特に、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩が好ましい。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示される。
ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示される。
テトラフェニルボロン塩としては、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
硬化剤として多官能フェノール類、アミン系化合物、酸無水物系化合物、酸末端ポリエステル樹脂を用いる場合は、硬化性樹脂組成物の全エポキシ基に対する硬化剤中の官能基(多官能フェノール類の水酸基、アミン系化合物のアミノ基、酸無水物系化合物の酸無水物基、又は酸末端ポリエステル樹脂のカルボキシル基)の当量比で0.8~1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
ポリイソシアネート系化合物を用いる場合、硬化性樹脂組成物中の水酸基数に対してポリイソシアネート系化合物中のイソシアネート基数が、当量比で1:0.01~1:1.5の範囲で用いることが好ましい。
イミダゾール系化合物を用いる場合、硬化性樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ成分100重量部に対して0.5~10重量部の範囲で用いることが好ましい。
アミド系化合物を用いる場合、硬化性樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ成分とアミド系化合物との合計量に対して0.1~20重量%の範囲で用いることが好ましい。
カチオン重合開始剤を用いる場合、硬化性樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ成分100重量部に対し、0.01~15重量部の範囲で用いることが好ましい。
有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩を用いる場合、硬化性樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ成分と有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩との合計量に対して0.1~20重量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には以上に挙げた硬化剤の他、例えば、メルカプタン系化合物、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等も硬化剤として用いることができる。
これらの硬化剤は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤の中では、耐候性に優れる観点において、酸末端ポリエステル樹脂を好適に使用することができ、中でも酸末端ポリエステル(B)に用いた2価カルボン酸成分と2価アルコールを主体とし、3官能カルボン酸成分や3官能アルコールを適宜加えて得られる酸末端ポリエステル樹脂は耐候性や力学物性に優れる傾向がある。
硬化剤としての酸末端ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限値は3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましい。硬化剤としての酸末端ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が上記下限値未満の場合、得られる硬化物や硬化塗膜の架橋点間の分子量が小さく脆いため、耐衝撃性が発現しない傾向にある。
一方、硬化剤としての酸末端ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限値は150,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下がさらに好ましい。硬化剤としての酸末端ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が上記上限値を超えると、溶剤溶解時の溶解速度が遅く生産性に劣ったり、焼き付けの際に溶融粘度が高いため硬化塗膜の面精度が劣ったりする懸念がある。その他、架橋点間分子量が大きすぎ硬化物や硬化塗膜が熱可塑性樹脂のような挙動を取りやすくなり耐熱性に劣る懸念もある。
[他のエポキシ化合物]
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の変性エポキシ樹脂以外のエポキシ化合物(本明細書において、「他のエポキシ化合物」と称することがある。)を用いることができる。
他のエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、その他の多官能フェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、上記芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等のエポキシ化合物が挙げられる。これら以外にグリシジル(メタ)アクリレートを含む重合物等のグリシジル基を有する樹脂やイソシアヌル酸トリグリシジルも用いる事ができる。以上に挙げた他のエポキシ化合物は1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、多官能エポキシ樹脂を配合することで硬化物の塗膜が強固になる傾向にあるため、イソシアヌル酸トリグリシジルやグリシジル(メタ)アクリレートを含む重合物を配合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物が、本発明の変性エポキシ樹脂と他のエポキシ化合物とを含有する場合、硬化性樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ成分中の他のエポキシ化合物の割合は、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、一方、好ましくは99重量%以下であり、より好ましくは95重量%以下である。他のエポキシ化合物の割合が上記下限値以上であることにより、他のエポキシ化合物を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、他のエポキシ化合物の割合が上記上限値以下であることにより、本発明の変性エポキシ樹脂による耐候性や耐蝕性の向上効果を得ることができる。
[溶剤]
本発明の硬化性樹脂組成物には、塗膜形成時等の取り扱い時に、硬化性樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明の硬化性樹脂組成物において、溶剤は、硬化性樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。なお、前述の通り、本発明においては「溶剤」という語と「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物が含み得る溶剤としては、本発明の変性エポキシ樹脂の製造に用いる反応溶媒(D)として例示した有機溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。
[その他の成分]
本発明の硬化性樹脂組成物には、以上に挙げた成分の他にその他の成分を含有することができる。その他の成分としては例えば、硬化促進剤(ただし、前記硬化剤に該当するものを除く。)、カップリング剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料、無機充填材、有機充填材等が挙げられる。以上に挙げたその他の成分は硬化性樹脂組成物の所望の物性により適宜組み合わせて用いることができる。
[配合成分の確認]
本発明の硬化性樹脂組成物に本発明の変性エポキシ樹脂、その他の成分が配合されていることは、硬化性樹脂組成物の分離精製を行った後にSEC-MALS法、元素分析法、官能基分析により確認することができる。
〔硬化物〕
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化物とする際の硬化方法は、硬化性樹脂組成物中の配合成分や配合量、配合物の形状によっても異なるが、通常、50~200℃で5秒~180分の加熱条件が挙げられる。この加熱は50~160℃で5秒~30分の一次加熱と、一次加熱温度よりも40~120℃高い90~200℃で1分~150分の二次加熱との二段処理で行うことが、硬化不良を少なくするという点で好ましい。
硬化物を半硬化物として製造する際には、加熱等により形状が保てる程度に硬化性樹脂組成物の硬化反応を進行させればよい。硬化性樹脂組成物が溶剤を含んでいる場合には、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、半硬化物中に5重量%以下の溶剤を残留させてもよい。
硬化物に本発明の変性エポキシ樹脂が含まれていることは、この硬化物の赤外分光法により、硬化物から本発明の変性エポキシ樹脂を特定することで確認することができる。
〔用途〕
本発明は、塗膜の機械物性に優れながら、耐候性や耐蝕性に優れる変性エポキシ樹脂、ならびに、この変性エポキシ樹脂を含んでなる硬化性樹脂組成物及びその硬化物に関する。本発明の変性エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物は、電気特性、接着性、耐熱性等に優れることから主に塗料分野、土木分野、電気分野の多くの用途で使用することができ、とりわけ、塗料用途、例えば、粉体塗装用塗料組成物、缶用塗料組成物、接着剤用途、プリプレグ、積層板、繊維強化プラスチックの母材用途において好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔使用原料〕
以下の実施例及び比較例においては、エポキシ化合物(A)及び酸末端ポリエステル(B)として、以下のものを用いた。
[エポキシ化合物(A)]
エポキシ化合物(A)として、以下のA-1~A-4を用いた。
A-1:ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製 jER(登録商標)1004AF、エポキシ当量:920g/eq)
A-2:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製 jER(登録商標)828US、エポキシ当量:186g/eq)
A-3:水添ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(新日本理化社製 HBE-100、エポキシ当量215g/eq)
A-4: レゾルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製 デナコール(登録商標)EX201、エポキシ当量:113g/eq)
[酸末端ポリエステル(B)]
酸末端ポリエステル(B)として、表-1に示すB-1~B-7を用いた。いずれも、表-1に示す2価カルボン酸と2価アルコールとを表-1に示す仕込み組成で反応させて得られたものである。
表-1中、2価カルボン酸、2価アルコール及び触媒の略号は以下の通りである。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
NPG:ネオペンチルグリコール
EG:エチレングリコール
CHDM:1,4-シクロヘキサンジメタノール
TBT:テトラブトキシチタン
Figure 2022068849000019
B-1~B-7の製造方法と得られた酸末端ポリエステル(B)の酸価・酸当量、水酸基価、ガラス転移温度、重量平均分子量及び数平均分子量の測定方法は以下の通りである。
<B-1~B-7の製造方法>
表-1に示す2価カルボン酸と2価アルコールを表-1に示すmol割合で用い、その合計重量に対して1000重量ppmのテトラブトキシチタンを蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。例えば、B-1の製造ではTPAを40mol%、IPAを60mol%、NPGを40mol%、EGを60mol%仕込んだ。次いで、撹拌下、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持した。エステル化反応が終了し、反応系内からの水の留出がなくなった後、反応系内の温度を265℃に保持したまま、反応系内を減圧し、反応系から多価アルコールを留出させながら縮合反応を行った。
反応とともに反応系の粘度が上昇し、攪拌翼のトルクが所定のトルクを示した時点で攪拌を停止し、反応系を常圧に戻し、窒素により加圧して反応物を取り出し、B-1~B-7を製造した。
<酸価・酸当量>
酸末端ポリエステル(B)の酸価は、以下の手順で測定した。
酸末端ポリエステル(B)約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(X(g))、ベンジルアルコール10mLを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分加熱し完全に溶解した。室温まで放冷後、ベンジルアルコール10mL、クロロホルム20mL、フェノールフタレイン溶液数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=Y(mL)、KOH溶液の力価=p)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=Z(mL))、以下の式に従って酸価を算出した。
酸価(mgKOH/g)={(Y-Z)×0.02×56.11×p}/X
続いて、得られた酸価(mgKOH/g)から、以下の式に従って、酸当量を算出した。
酸当量(g/eq)=56.11/酸価(mgKOH/g)×1000
<水酸基価>
酸末端ポリエステル(B)の水酸基価は、以下の手順で測定した。
酸末端ポリエステル(B)約5gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(Q(g))、THF50mLを加え、完全に溶解して、「溶液1」とした。
N,N-ジメチルアミノピリジン5gをTHF500mLへ溶解させたジメチルアミノピリジンTHF溶液30mLを、「溶液1」へ添加して、「溶液2」とした。
無水酢酸22mLにTHF200mLを加えた無水酢酸THF溶液を準備し、この溶液10mLを「溶液2」へ添加し、20分間混合したものを「溶液3」とした。
イオン交換水3mLを「溶液3」に添加し、20分間混合したものを「溶液4」とした。
「溶液4」に50mLのTHFを加えたものを、「溶液5」とした。
「溶液5」に0.5N-KOHメタノール溶液25mLとフェノールフタレイン指示薬を添加したものを、「溶液6」とした。
「溶液6」を0.5N-KOHメタノール溶液で滴定し、微紫色に溶液が呈色した点の添加量を測定した(M(mL))。ブランク測定時に必要な滴定量(N(mL))も同時に確認し、上記で求めた酸価と0.5N-KOHメタノール溶液の力価qを用いて、以下の式に従って水酸基価を算出した。
水酸基価(mgKOH/g)=[酸価]+{(N-M)×0.5×56.11×q}/Q
<重量平均分子量(Mw)・数平均分子量(Mn)>
酸末端ポリエステル(B)の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。GPCの測定に用いた装置及び測定条件は以下の通りである。
装置:GPC
機種:HLC-8020GPC(東ソー製)
カラム:TSKgelGMHXL(カラムサイズ:7.8mm(ID)×30.0cm(L))を3本直列に連結(東ソー製)
検出器:RI(東ソー製)
溶離液:THF(1mL/分、40℃)
サンプル:0.04%テトラヒドロフラン溶液(100μインジェクション)
検量線:標準ポリスチレン(東ソー製)
<ガラス転移温度(Tg)>
酸末端ポリエステル(B)のガラス転移温度は、島津製作所(株)製示差走差熱量計DSC-60を用い、昇温速度5℃/分で測定した時のチャートの低温側のベースラインとガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度として求めた。
〔変性エポキシ樹脂の製造と評価〕
{比較例I-C2~I-C6、実施例I-E1~I-E10}
[変性エポキシ樹脂の製造]
表-2A,2Bに記載の仕込み重量に従い、エポキシ化合物(A)及び酸末端ポリエステル(B)と、N,N-ジメチルベンジルアミン(エポキシ化合物(A)の仕込み重量に対して1000ppm)を、セパラブルフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下170℃で6時間、重合反応を行い、変性エポキシ樹脂を得た。
[変性エポキシ樹脂の評価]
得られた変性エポキシ樹脂について、以下の方法でエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、Tg、軟化点の測定を行い、結果を表-2A,2Bにまとめた。
なお、表-2Aには、後掲の比較例II-C1で用いたエポキシ樹脂A-1のエポキシ当量とTg及び軟化点を比較例I-C1のエポキシ樹脂として併記した。
<エポキシ当量>
変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236に基づき測定を行った。
<数平均分子量(Mn)・重量平均分子量(Mw)>
変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)、ならびに分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。GPCの測定に用いた装置及び測定条件は以下の通りである。
装置:GPC
機種:HLC-8120GPC(東ソー製)
カラム:TSKGEL HM-H+H4000+H4000+H3000+H2000(東ソー製)
検出器:UV-8020(東ソー製)、254nm
溶離液:THF(0.5mL/分、40℃)
サンプル:1%テトラヒドロフラン溶液(10μインジェクション)
検量線:標準ポリスチレン(東ソー製)
<ガラス転移温度(Tg)>
変性エポキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、SIIナノテクノロジー(株)製 示差走査熱量計「DSC7020」を使用し、-50~200℃まで10℃/minで昇温して測定を行った。
本結果を元に、Tgが35℃以上の場合は、常温で樹脂粒子同士が融着(ブロッキング)せず、貯蔵安定性に優れ、Tgが40℃以上では暑熱環境においても優れた耐ブロッキング性を有すると判断した。
<軟化点>
変性エポキシ樹脂の軟化点は、JIS K7234:2008(環球法)に準拠して測定した。
Figure 2022068849000020
Figure 2022068849000021
〔塗膜の製造と評価〕
[酸末端ポリエステル樹脂硬化剤の製造]
以下の実施例及び比較例で硬化性樹脂組成物に配合したポリエステル樹脂硬化剤は、以下の通り製造した。
IPA/TMA/NPG/EG=95/5/55/43(mol比)で仕込み、B-1~B-7と同様の方法で製造した。得られた酸末端ポリエステル樹脂硬化剤は、酸価28.7mgKOH/g、酸当量1955g/eq、数平均分子量(Mn)2,200、重量平均分子量(Mw)15,500であった。
なお、IPA、NPG、EGは前述の通りであり、TMAは無水トリメリット酸である。
{比較例II-C1~II-C6、実施例II-E1~II-E10}
比較例II-C2~II-C6及び実施例II-E1~II-E10においては、それぞれ、比較例I-C2~I-C6及び実施例I-E1~I-E10で製造された変性エポキシ樹脂を用いた。
比較例II-C1では、変性エポキシ樹脂の代りに、エポキシ化合物(A)のエポキシ樹脂A-1を用いた。
[塗膜の作製]
表-3A,3Bに示す変性エポキシ樹脂もしくはエポキシ樹脂のシクロヘキサノン溶液(固形分40重量%)、ポリエステル樹脂硬化剤のシクロヘキサノン溶液(固形分40重量%)を事前に調製した後、これらの溶液を表-3A,3Bに記載の混合量にて混合し、得られた硬化性樹脂組成物を150μmのフィルムアプリケーターを用いて、以下の鋼板とガラス基材にそれぞれ塗布した。
・鋼板:SPCC-SB PB-N144処理 70mm×150mm×厚み0.8mm
・ガラス基材:ソーダガラス 70mm×150mm×厚み3.0mm
続いて塗布した鋼板もしくはガラス基材を、80℃で30分加熱し、更に200℃で30分加熱することで硬化性樹脂組成物を硬化させて塗膜を作製した。
[塗膜の評価]
作製された塗膜について、以下の方法で物理強度試験(密着性試験、鉛筆硬度試験、耐カッピング性試験、デュポン衝撃試験)、耐蝕性試験、耐候性試験を行い、結果を表-3A,3Bにまとめた。物理強度試験、耐蝕性試験は鋼板に作成した塗膜を評価した。耐候性試験は鋼板及び/又はガラス基材に作成した塗膜を評価した。
[物理強度試験]
以下の密着性試験、鉛筆硬度試験、耐カッピング性試験、デュポン衝撃試験の結果を元に、以下の総合評価基準に基づいて判定を行った。
<密着性試験>
得られた塗膜について、JIS K5600-5-6の方法で碁盤目剥離試験を行った。100マス中基材に残ったマス数で評価した。
本結果を元に、基材に残ったマス数が多いほど密着性に優れることを示し、100マスの場合に密着性に優れると判断した。
<鉛筆硬度試験>
得られた塗膜について、JIS K5600-5-4に基づいて、鉛筆硬度試験器(大佑機材製)を用いて評価を行った。
本結果を元に、HBを超える硬度を有する場合、表面硬度に優れると判断した。
<耐カッピング性試験>
得られた塗膜について、JIS K5600-5-2に基づいて、エリクセン試験機(太佑機材社製 エリクセン試験機)を用いて耐カッピング性を評価し、下記基準で評価した。
(評価基準)
A:押し込み深さ10mmの段階で、塗膜異常(割れ、剥がれ)無し。
B:押し込み深さ5mm以上10mm未満で、塗膜異常(割れ、剥がれ)が生じた。
C:押し込み深さ5mm未満で塗膜異常(割れ、剥がれ)が生じた。
<デュポン衝撃試験>
得られた塗膜について、JIS K5600-5-3の方法でおもり落下試験を行い、先端R形状が1/8インチの撃芯と1kgのおもりを用いた評価において、試験後の塗膜の状態を目視で確認し、以下の基準で評価を行った。
(評価基準)
A:高さ50cmの位置より落下させても塗膜異常(割れ、剥がれ)が生じなかった。
B:高さ50cmでは塗膜異常(割れ、剥がれ)が生じたが、高さ25cmでは、塗膜異常(割れ、剥がれ)が生じなかった。
C:高さ25cmでは塗膜異常(割れ、剥がれ)が生じたが、高さ5cmでは、塗膜異常(割れ、剥がれ)が生じなかった。
D:いずれの高さにおいても、塗膜異常(割れ、剥がれ)が生じた。
<総合評価基準>
耐カッピング性試験およびデュポン衝撃試験の評価を次の点に換算した。A:1点、B:2点、C:5点、D:10点。2つの点を足し合わせた数値(評価点)から総合評価を行った。
A:評価点2点以下。
B:評価点3~6点。
C:評価点7~10点。
D:評価点11点以上。
E:評価点によらず、密着性試験で100マス未満、鉛筆硬度で硬度HB未満。
本結果を元に、A又はBであれば塗膜として優れた柔軟性、優れた耐衝撃性が発現し、優れた物理強度を呈していると判断した。
<耐蝕性試験>
得られた塗膜について、98℃以上の熱水に5時間浸漬した後、水洗・徐冷した後、塗膜の状態を目視で確認し、以下の基準で評価を行った。
(評価基準)
A:鋼板に塗布した部位に、大きな外観変化は生じなかった。
B:鋼板に塗布した部位に、変色が生じた。
C:鋼板に塗布した部位に、錆が生じた。
本結果を元に、A又はBであれば耐蝕性が発現したと判断した。
<耐候性試験>
得られた塗膜について、ウェザーメーターを用いて光を照射する前の光沢度Gsと、48時間照射した後の光沢度Geとから光沢保持率(Ge/Gs)を算出し、以下の基準で評価を行った。
・光沢度計:日本電色社製VG7000、入射角60°
・ウェザーメーター:スガ試験機社製 メタリングバーチカルウェザーメーターMV3000
放射照度:0.4kW/m
ブラックパネル温度:63℃
槽内温湿度:50℃,50%RH
(評価基準)
A:光沢保持率が0.90超
B:光沢保持率が0.85超、0.90以下
C:光沢保持率が0.80超、0.85以下
D:光沢保持率が0.80以下
本結果を元に、A又はBであれば優れた耐候性を有すると判断した。
Figure 2022068849000022
Figure 2022068849000023
[評価結果]
本実施例及び比較例から分かるように、エポキシ樹脂由来の構造単位(X)と酸末端ポリエステル由来の構造単位(Y)とを含む、重量平均分子量とエポキシ当量が特定の範囲内の変性エポキシ樹脂であって、構造単位(Y)にイソフタル酸由来の構造単位及び/又はネオペンチルグリコール由来の構造単位を本発明の規定値超含む変性エポキシ樹脂は、優れた塗膜性能を発現することが分かる。
比較例II-C1は、従来公知のエポキシ樹脂を用いた例となり、耐候性に劣る結果であった。
比較例II-C2、II-C3は、構造単位(Y)の2価カルボン酸由来の骨格及び2価アルコール由来の骨格が本発明の範囲から外れた結果であり、耐候性に劣る結果であった。
比較例II-C4~II-C6は、構造単位(Y)中にネオペンチルグリコール由来の骨格を含まず、本発明の範囲から外れた結果、いまだ耐候性に劣る結果であった。比較例II-C5は耐候性に加え、耐衝撃性といった物理強度についても劣る結果であった。
これらの比較例に対して、実施例II-E1~II-E10は、構造単位(Y)の2価カルボン酸成分由来の骨格及び2価アルコール由来の骨格を本発明の範囲としたことで、優れた塗膜性能と耐候性を発現した。なかでも実施例II-E6~II-E10は構造単位(Y)中にイソフタル酸由来の骨格とネオペンチルグリコール由来の骨格を一定量以上含むことで、耐候性に極めて優れる結果であった。また、変性エポキシ樹脂のなかでも構造単位(X)中に芳香環を含むものは、物理強度と耐蝕性に優れる傾向にあることが分かる。

Claims (17)

  1. 下記式(1)で示される、エポキシ樹脂由来の構造単位(X)と酸末端ポリエステル由来の構造単位(Y)とを含む変性エポキシ樹脂であって、重量平均分子量が3,000~50,000であり、且つエポキシ当量が500~10,000g/eqである、変性エポキシ樹脂。
    Figure 2022068849000024
    (上記式(1)中、nは平均の繰り返し数であり、1~30の正数である。Xは下記式(2)で表される2価の基であり、Yは下記式(3)で表される2価の基である。)
    Figure 2022068849000025
    (上記式(2)中、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよい。pは繰り返し数であり、0~10の整数である。)
    Figure 2022068849000026
    (上記式(3)中、Rは炭素数2~40の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよく、イソフタル酸由来の構造単位を含む。Rは炭素数2~30の炭化水素基であり、ヘテロ原子を有していてもよく、ネオペンチルグリコール由来の構造単位を含む。R中に占めるイソフタル酸由来の構造単位は60mol%超、及び/又は、R中に占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位は40mol%超である。qは繰り返し数であり、1~50の整数である。)
  2. 前記変性エポキシ樹脂に占める構造単位(Y)の割合が50重量%以上である、請求項1に記載の変性エポキシ樹脂。
  3. ガラス転移温度(Tg)が30℃以上であり、且つ軟化点が140℃以下である、請求項1又は2に記載の変性エポキシ樹脂。
  4. 前記Rに占めるイソフタル酸由来の構造単位が60mol%超、且つ、前記Rに占めるネオペンチルグリコール由来の構造単位が40mol%超である、請求項1~3のいずれか1項に記載の変性エポキシ樹脂。
  5. 前記Rが、下記式(4)で表される2価の基及び/又は下記式(5)で表される2価の基を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の変性エポキシ樹脂。
    Figure 2022068849000027
    (上記式(4)中、Rは単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-、-S-、-SO-、-O-、及び-CO-で表される基からなる群より選ばれる2価の基である。Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、フェニル基のいずれかを示し、各々同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2022068849000028
    (上記式(5)中、Rは単結合、または、-CH-、-C(CH-、-CH(CH)-、-S-、-SO-、-O-、及び-CO-で表される基からなる群より選ばれる2価の基である。)
  6. 前記Rが、下記式(6)で表される2価の基を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の変性エポキシ樹脂。
    Figure 2022068849000029
    (上記式(6)中、Rは水素原子及び炭素数1~20の炭化水素基からなる群より選択され、各々同一でも異なっていてもよいし、Rの一部は互いに結合して、式(6)中のベンゼン環に縮合する環を形成していてもよい。)
  7. 下記式(7)で示されるエポキシ化合物(A)と下記式(8)で示される酸末端ポリエステル(B)とを反応させる、請求項1~6のいずれか1項に記載の変性エポキシ樹脂の製造方法。
    Figure 2022068849000030
    (上記式(7)中、R及びpは上記式(2)におけると同義である。)
    Figure 2022068849000031
    (上記式(8)中、R、R及びqは上記式(3)におけると同義である。)
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の変性エポキシ樹脂と硬化剤とを含んでなる硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項8に記載の硬化性樹脂組成物を含む塗料。
  10. 請求項8に記載の硬化性樹脂組成物を含む接着剤。
  11. 請求項8に記載の硬化性樹脂組成物を含む粉体塗装用塗料組成物。
  12. 請求項8に記載の硬化性樹脂組成物を含む缶用塗料組成物。
  13. 請求項8に記載の硬化性樹脂組成物を含むプリプレグ。
  14. 請求項8に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  15. 請求項14に記載の硬化物を含む塗膜。
  16. 請求項14に記載の硬化物を含む繊維強化プラスチック。
  17. 請求項14に記載の硬化物を含む積層板。
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