JP2022068821A - ポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低密度のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造において、従来よりも低温の条件で、または短時間の条件で、ポリアミド系樹脂発泡粒子へ内圧を付与して発泡させる多段発泡を可能とする生産性の優れたポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法を提供する。【解決手段】ポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法は、ポリアミド系樹脂発泡粒子を耐圧容器に入れ、耐圧容器内で、ポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させて大気圧超の内圧を付与する内圧付与工程、および内圧付与工程において得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子よりも見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得る加熱発泡工程、を備え、内圧付与工程において、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高い温度下で前記物理発泡剤を含浸させる。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド系樹脂発泡粒子の製造方法であって、より詳しくは、多段発泡により高発泡倍率のポリアミド系樹脂発泡粒子の提供を可能とするポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法に関する。
ポリアミド系樹脂は、一般的な樹脂材料の中では耐熱性が高く、また耐摩耗性、耐薬品性等にも優れた樹脂として知られている。このポリアミド系樹脂を発泡させた発泡成形体は、それらの優れた特性を保ちつつ、より軽量化を図ることが可能である。そのため、ポリアミド系樹脂発泡成形体は、自動車部品その他の用途への展開が期待される。たとえば、特許文献1には、耐熱性及び遮音性に優れたポリアミド系樹脂発泡成形体が開示されている。
近年、より軽量な発泡粒子成形体が求められることがある。熱可塑性樹脂発泡粒子の技術分野において、発泡粒子成形体を軽量化させる手法として、多段発泡法が知られている。多段発泡法とは、発泡粒子に加圧空気または二酸化炭素等の物理発泡剤を含浸させて内圧を付与した後、加熱して元の発泡粒子よりも見掛け密度の小さな発泡粒子を得る発泡手法をいう。特許文献1においても、ビーズ発泡成形に用いられるポリアミド系樹脂発泡粒子の発泡倍率を上げるために、多段発泡を行うことが記載されている。
WO2016/147582
しかしながら、従来、ポリアミド系樹脂発泡粒子の多段発泡は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子等と比較して生産性に劣るという課題のあるものであった。たとえば、特許文献1に記載されたポリアミド系樹脂発泡粒子の多段発泡は、ポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させる際の温度を高温に保たなければならず、装置に対する負荷が大きく、製造コストの高いものであった。また、特に見掛け密度の小さなポリアミド系樹脂発泡粒子を製造する場合には、ポリアミド系樹脂発泡粒子に対して物理発泡剤を含浸させ加圧した状態を24時間保持し、次いで230℃で加熱して再発泡させるという工程を2度繰り返すことが記載されており、装置に対する負荷が大きいことに加え、長時間を要するものであった。そのため、従来の多段発泡法によるポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法は、生産性が低く工業生産に不適であった。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされた新規なポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法に関する。すなわち、本発明は、見掛け密度の小さなポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造において、たとえば常温といった、従来よりも低温の条件で、または短時間の条件で、ポリアミド系樹脂発泡粒子に内圧を付与して発泡させる多段発泡を可能とする生産性に優れたポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法を提供するものである。
本発明のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法は、ポリアミド系樹脂発泡粒子を耐圧容器に入れ、前記耐圧容器内で、ポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させて大気圧超の内圧を付与する内圧付与工程、および
前記内圧付与工程において得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、前記内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子よりも見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得る加熱発泡工程、を備え、
前記内圧付与工程において、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高い温度下で前記物理発泡剤を含浸させることを特徴とする。
本発明は、たとえば常温といった、従来よりも低温で、または短時間で、見掛け密度の低いポリアミド系樹脂多段発泡粒子を製造することが可能であり、生産性の高いポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法を提供する。
ポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度と含水率の関係をプロットしたグラフである。 JIS K7095:2012に倣い測定されるポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率と温度との関係を例示的に示すグラフである。 ポリアミド系樹脂発泡粒子の熱流束示差走査熱量測定法に基づき測定されたDSC曲線の一例である。
以下に、本発明のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法について説明する。
尚、以下の説明において、適宜、本発明の好ましい数値範囲を示す場合がある。この場合に、数値範囲の上限および下限に関する好ましい範囲、より好ましい範囲、特に好ましい範囲は、上限および下限のすべての組み合わせから決定することができる。
本発明のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法は、内圧付与工程および加熱発泡工程を含む。
上記内圧付与工程は、耐圧容器内で、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させて大気圧超の内圧を付与する工程である。以下の説明では、内圧付与工程に供された「含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子」を、単に「吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子」と呼ぶ場合がある。
また上記加熱発泡工程は、内圧付与工程において得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、上記内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子よりも、見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得る工程である。
本発明は、内圧付与工程の全実施時間の50%を超える時間において、当該内圧付与工程における耐圧容器内の温度を、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高く調整するという特徴を有する。
以下の説明では、加熱発泡工程に供される「内圧付与工程において得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子」を単に「内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子」と呼ぶ場合がある。また加熱発泡工程の実施により得られた「内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子よりも見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子」を単に「見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子」あるいは単に「ポリアミド系樹脂多段発泡粒子」と呼ぶ場合がある。
上記構成を備える本発明のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)は、生産性に優れ、かつ高発泡倍率のポリアミド系樹脂発泡粒子を工業的に提供可能である。即ち、本発明の製造方法は、たとえば常温といった、従来よりも低温で、または短時間で、見掛け密度の低いポリアミド系樹脂多段発泡粒子を製造することが可能である。
かかる本発明は、ポリオレフィン系樹脂とは異なるポリアミド系樹脂特有の性質に着眼することでなされたものである。
即ち、本発明者は、従来のポリアミド系樹脂発泡粒子を用いた多段発泡の生産性が低いという課題について検討したところ、ポリアミド系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂と比較し、顕著にガスバリア性が高いため、ポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させ難いということが推察された。そして、これにより、従来、見掛け密度の低いポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得ようとすると、発泡粒子に発泡剤を含浸させる工程において、加圧した状態を長時間保持するか、あるいは高温条件下で加圧する必要があるものと思われた。
そこで本発明者は、ポリアミド系樹脂が水分を有意に含むことで、ガスバリア性が低くなることに着眼した。また、含水したポリアミド系樹脂の挙動の変化の指標は、動的粘弾性から求められる貯蔵弾性率の変化点温度で確認できることを見出した。つまり、図1に示すとおり、ポリアミド系樹脂発泡粒子は、有意に含水することで、貯蔵弾性率の変化点温度が下がり、当該変化点温度を上回る温度で加熱されることで、当該発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂のガスバリア性が低下すると考え、本発明の製造方法を完成させた。尚、図1は、ポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度と含水率の関係をプロットしたグラフであり、ポリアミド系樹脂発泡粒子に関し、含水率(%)が増加するにしたがい貯蔵弾性率の変化点温度が低下する傾向を示すものである。
本発明者は、吸湿することで貯蔵弾性率の変化点温度が下がるとともにガスバリア性の低下したポリアミド系樹脂発泡粒子に対し、当該変化点温度を超える比較的低い温度下で加圧することにより良好に物理発泡剤を含浸させて高い内圧を付与するという技術思想に至った。かかる技術思想は、上記変化点温度を超えて比較的高い温度下で加圧することによって、加圧時間を短縮化させつつ、高い内圧を付与することを含む。
高い内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を用いて、加熱発泡させることで、見掛け密度の低いポリアミド系樹脂多段発泡粒子を生産性良く製造することができる。
以下に、本発明の製造方法について、より詳細に説明する。
(プレ工程)
まず本発明における内圧付与工程を実施する前のプレ工程について説明する。プレ工程は、ポリアミド系樹脂粒子の準備を行う第一準備工程、および上記ポリアミド系樹脂粒子を用いてポリアミド系樹脂発泡粒子を製造する第二準備工程を含む。
尚、以下で説明するプレ工程の一部または全部は、本発明の製造方法とは区別して実施されてもよいし、本発明の製造方法に任意で追加される工程として本発明の製造方法に取り込まれても良い。
(第一準備工程)
第一準備工程において、準備されるポリアミド系樹脂粒子は、市販品であってもよいし、公知の方法により製造されたポリアミド系樹脂粒子であってもよい。
ポリアミド系樹脂粒子の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、ポリアミド系樹脂と、必要に応じて気泡調整剤、末端封鎖剤、及び着色剤等の添加剤を押出機に投入し溶融混練して溶融混練物とする。次いで、押出機先端に付設されたダイの小孔からストランド状に溶融混練物を押し出して所定のサイズにカットして造粒することによりポリアミド系樹脂粒子を製造することができる。なお、ストランド状の溶融混錬物のカット方法としては、押出された上記溶融混錬物をペレタイザーで所定の重量となるように切断するストランドカット法、上記溶融混練物を気相中に押出した直後に切断するホットカット法、上記溶融混練物を水中に押出した直後に切断するアンダーウォーターカット法(UWC法)等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂粒子の製造に用いられるポリアミド系樹脂は、1種単独の樹脂でもよく、2種以上を組み合わせた混合樹脂でもよい。
上記ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド、またはポリアミド共重合体が挙げられ、ポリアミド共重合体が好ましい。
上記ポリアミドとしては、例えば、ポリ(カプロラクタム)としても知られるポリ(6-アミノヘキサン酸)(ポリカプロアミド、ナイロン6)、ポリ(ラウロラクタム)(ナイロン12)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66)、ポリ(7-アミノヘプタン酸)(ナイロン7)、ポリ(8-アミノオクタン酸)(ナイロン8)、ポリ(9-アミノノナン酸)(ナイロン9)、ポリ(10-アミノデカン酸)(ナイロン10)、ポリ(11-アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド)(ナイロン610)、ポリ(デカメチレンセバカミド)(ナイロン1010)、ポリ(ヘキサメチレンアゼラミド)(ナイロン69)、ポリ(テトラメチレンアジパミド)(ナイロン46)、ポリ(テトラメチレンセバカミド)(ナイロン410)、ポリ(ペンタメチレンアジパミド)(ナイロン56)、及びポリ(ペンタメチレンセバカミド)(ナイロン510)等のホモポリマーが挙げられる。
ポリアミド共重合体とは、2種以上の繰り返し単位を有し、それぞれの繰り返し単位の少なくとも一部にアミド結合を有するものを意味する。
上記ポリアミド共重合体としては、例えば、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ナイロン6/66/12)、及びカプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂は、これらのポリアミド及びポリアミド共重合体を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以上のポリアミド系樹脂の中でも、ナイロン6、ナイロン66、及びナイロン6/66から選択される1種または2種以上を組み合わせたポリアミド系樹脂であることが好ましく、ナイロン6/66であることがより好ましい。
上記ポリアミド系樹脂の融点は、たとえば得られる多段発泡粒子を成形してなる発泡粒子成形体の耐熱性を高める観点からは、180℃以上であることが好ましく、185℃以上であることがより好ましく、190℃以上であることがさらに好ましい。一方、内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を加熱媒体により加熱する際の装置への負荷を低減する観点からは、上記融点は、280℃以下であることが好ましく、260℃以下であることがより好ましく、240℃以下であることがさらに好ましい。
なお、上述するポリアミド系樹脂の融点とは、発泡粒子を構成する樹脂がポリアミド系樹脂1種単独である場合、そのポリアミド系樹脂の融点を指す。発泡粒子が、2種以上のポリアミド系樹脂の混合物から構成されている場合、上述するポリアミド系樹脂の融点とは、予め押出機等で混練した混合物の融点を指す。
ポリアミド系樹脂の融点は、JIS K7121-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定法により、10℃/分の加熱速度で30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融(1回目の昇温)させ、次いでその温度にて10分間保った後、10℃/分の冷却速度で30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/分で融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させて得られる2回目のDSC曲線の融解ピークの頂点の温度(融解ピーク温度)として求めることができる。DSC曲線が複数の融解ピークを有する場合、最も大きな面積を有する融解ピークの融解ピーク温度をポリアミド系樹脂の融点として採用する。ポリアミド系樹脂を温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上静置して状態調節した後に上記融点の測定を行う。なお、測定装置として、たとえば高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)などを使用することができる。
上記ポリアミド系樹脂は、曲げ弾性率が1000MPa以上であることが好ましく、1200MPa以上であることがより好ましく、1500MPa以上であることがさらに好ましい。なお、アミド系エラストマーは、概ね曲げ弾性率が600MPa以下である。ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率が上記範囲であれば、曲げ弾性率が高いことに由来して多段発泡後に常温に晒されても収縮しにくく、見掛け密度の小さな多段発泡粒子がより得られ易くなるため好ましい。なお、ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率の上限は概ね3000MPa程度である。
ポリアミド系樹脂の曲げ弾性率は、試験片を温度23℃、湿度50%の状態で24時間以上静置した後、JIS K7171:2016に準拠して測定することにより求めることができる。
前記ポリアミド系樹脂の密度は、1.05g/cm以上であることが好ましく、1.1g/cm以上であることが好ましい。なお、アミド系エラストマーの密度は概ね1.05g/cm未満である。ポリアミド系樹脂の密度は、ISO1183-3に記載の方法に基づいて求めることができる。
上記ポリアミド系樹脂粒子には、本発明の目的、効果を阻害しない範囲において、ポリアミド系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマー等の他の重合体を含有させてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。上記他の重合体の含有量は、ポリアミド系樹脂粒子を構成するポリアミド系樹脂100重量部に対して20重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることが更に好ましく、ポリアミド系樹脂以外の他の重合体を含有しないことが特に好ましい。
ポリアミド系樹脂粒子を構成する樹脂成分中のポリアミド系樹脂の含有量は、50重量%以上であり、耐熱性、耐摩耗性、及び耐薬品性に優れたポリアミド系樹脂発泡粒子を得る観点からは、好ましくは70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、更に好ましくは90重量%以上であり、ポリアミド系樹脂粒子を構成する樹脂成分がポリアミド系樹脂のみからなることが特に好ましい。
ポリアミド系樹脂粒子には、ポリアミド系樹脂の他に、通常使用される気泡調整剤、末端封鎖剤、帯電防止剤、導電性付与剤、耐候剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性化剤、着色剤(顔料、染料等)、結晶核剤、及び充填材等の各種の添加剤を、必要に応じて適宜配合することができる。気泡調整剤としては、タルク、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、石膏、ゼオライト、ホウ砂、水酸化アルミニウム、ミョウバン、及びカーボン等の無機系気泡調整剤、リン酸系化合物、アミン系化合物、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の有機系気泡調整剤が挙げられる。これらの各種添加剤の添加量は、成形体の使用目的により異なるが、ポリアミド系樹脂粒子を構成する樹脂成分100重量部に対して25重量部以下であることが好ましい。より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは10重量部以下、より更に好ましくは5重量部以下である。
上記ポリアミド系樹脂粒子は、単層樹脂粒子であってもよいし、多層構造の多層樹脂粒子であってもよい。多層構造とは、芯層と当該芯層を被覆する被覆層を有し、芯層と被覆層とが異なる性質のポリアミド系樹脂により構成された構造を指す。上記多層樹脂粒子は、後述する第二準備工程で発泡させることにより、発泡状態の芯層と当該芯層を被覆する非発泡状態の被覆層とを有する発泡粒子となる。ポリアミド系樹脂粒子が上記多層樹脂粒子である場合、被覆層を構成するポリアミド系樹脂の融点は芯層を構成するポリアミド系樹脂の融点よりも低いことが好ましく、融点(Tmc)よりも20℃以上低いことがより好ましい。これにより、高い耐熱性を維持しつつ、より低圧の成形スチームにより型内成形できるポリアミド系樹脂発泡粒子が提供される。
次に第二準備工程について説明する。第二準備工程は第一準備工程において準備されたポリアミド系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性のポリアミド系樹脂粒子を得る工程と、当該発泡性のポリアミド系樹脂粒子を発泡させる工程とを含む。第二準備工程における発泡を1段発泡と呼ぶ場合があり、またこれにより得られた発泡粒子を1段発泡粒子と呼ぶ場合がある。
ポリアミド系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性のポリアミド系樹脂粒子を得る工程において、ポリアミド系樹脂粒子への発泡剤の含浸方法は特に限定されるものではないが、オートクレーブ等の加圧可能な密閉容器内でポリアミド系樹脂粒子を分散媒に分散させ、該ポリアミド系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることが好ましい。なお、発泡剤の含浸時間を短縮する観点から、ポリアミド系樹脂粒子への発泡剤の含浸は、加圧および加熱させながら行うことが好ましい。
上記発泡剤としては、物理発泡剤を用いることができる。物理発泡剤としては、有機系物理発泡剤として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、クロロフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1-ジフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、及びメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられる。また、無機系物理発泡剤として、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等が挙げられる。
物理発泡剤の中でも、環境への影響が少ないとともに可燃性がなく安全性に優れるという観点から、無機系物理発泡剤が好ましく、二酸化炭素又は空気がより好ましく、空気が更に好ましい。
続いて、発泡剤を含浸した発泡性のポリアミド系樹脂粒子を発泡させる。
発泡性のポリアミド系樹脂粒子を発泡させる方法は特に限定されない。たとえば、上記工程により密閉容器中でポリアミド系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性のポリアミド系樹脂粒子を得た後、当該密閉容器の一端を開放させることにより発泡性のポリアミド系樹脂粒子を水等の分散媒とともに密閉容器よりも低圧下(通常は大気圧下)に放出して発泡させるダイレクト発泡法や、上記ポリアミド系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性のポリアミド系樹脂粒子を得る工程により得られた発泡性のポリアミド系樹脂粒子を発泡させずに取り出し、別の発泡装置にて熱風等により加熱して発泡させる含浸発泡法などが挙げられる。密閉容器内においける分散媒体の温度を均一に調整し易いという観点からダイレクト発泡方法が特に好ましい。
ダイレクト発泡法によるポリアミド系樹脂発泡粒子の製造では、通常、発泡粒子の取り扱い性等を考慮して密閉容器から放出されて発泡したポリアミド系樹脂発泡粒子は、その後、乾燥工程において乾燥される。本発明は、上記乾燥工程を実施してもよいし、実施しなくてもよい。
[含水工程]
本発明の製造方法は、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子を用いるため、上述のとおり得られたポリアミド系樹脂発泡粒子を用いる場合、適宜、含水工程を実施し、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子を準備する。尚、含水工程は、ポリアミド系樹脂発泡粒子を耐圧容器に投入する前に実施してもよいし、耐圧容器に投入した後、当該耐圧容器内において実施してもよい。
上記含水工程は、ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率を所望の範囲に調整することができる方法であればよい。たとえば、ポリアミド系樹脂発泡粒子を標準状態(大気圧、常温の条件で外気に直接または間接に露出させた状態)に12時間以上、好ましくは24時間以上晒す第一含水方法、高温高湿状態(たとえば湿度80%、温度40℃)に3時間以上、好ましくは5時間以上晒す第二含水方法、ポリアミド系樹脂発泡粒子を水に浸漬させて1分から4時間程度静置する第三含水方法、またはポリアミド系樹脂発泡粒子を水と共に袋または容器などに入れ、手動または機械的に撹拌あるいは混合する第四含水方法等が挙げられる。これらの含水工程は組み合わせて実施することもできる。
これらの含水方法によれば、発泡粒子ごとの含水率のバラつきを抑制しつつポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率を所望の範囲に調整することができる。その結果、後述する内圧付与工程において、発泡粒子の内圧をより均一なものとすることができ、サイズのバラつきの小さな多段発泡粒子群を得ることができる。
上記第一含水方法は、含水率1%から4%程度のポリアミド系樹脂粒子を得るのに適している。また上記第二含水方法、第三含水方法及び第四含水方法は、含水率4%以上、あるいは4.5%以上のポリアミド系樹脂粒子を得るのに適している。また、より短時間で均一な含水率を有する発泡粒子を得る観点からは第二含水方法が好ましい。
尚、第一含水方法において、ポリアミド系樹脂発泡粒子を大気圧、常温の条件で外気に直接または間接に露出させた状態とは、たとえば、一般的な室内で、開放された容器、袋あるいはトレーなどにポリアミド系樹脂発泡粒子を収容した状態、および閉鎖されているが非密封状態の容器あるいは袋などにポリアミド系樹脂発泡粒子を収容した状態のいずれも含む。
[内圧付与工程]
次に、内圧付与工程について説明する。
内圧付与工程は、ポリアミド系樹脂発泡粒子を用い、耐圧容器内で、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高い温度下で物理発泡剤を含浸させて大気圧超の内圧を付与する工程である。
(ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率)
内圧付与工程に用いられる含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子は、たとえば上述するプレ工程及び必要に応じて実施される含水工程により準備される。本発明において、ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率は、カールフィッシャー水分量計を用いて測定することができ、具体的な測定装置の例としては、たとえばカールフィッシャー電量法に基づき含水率を測定する平沼産業株式会社製の微量水分量測定装置(AQ-2200A)が挙げられる。
ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率の測定は、具体的には以下の方法により測定することができる。まず、約0.2gのポリアミド系樹脂発泡粒子を秤量し、試験片とする。次いで、加熱水分気化装置(たとえば平沼産業社製の自動加熱水分気化装置SE320)を用いて試験片を温度160℃まで加熱することにより、試験片の内部の水分を気化させる。この水分を加熱水分気化装置に接続された上記カールフィッシャー水分測定装置へ導き、水分量を測定し、発泡粒子の含水率を算出する。なお、測定条件(滴定条件)としては、待ち時間:40秒、電解電流:MEDIUM、最小電解量:5μgを採用することができる。
尚、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子等の多段発泡においては、通常、含水率0.1%以下の乾燥状態である発泡粒子を耐圧容器に投入して常温付近の温度で発泡剤を含浸させて内圧を付与することが行われている。しかし、本発明の製造方法では、かかる一般的な製造方法とは異なり、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させてポリアミド系樹脂多段発泡粒子を製造する。
含水率1%未満の乾燥状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させた場合、発泡剤を十分に含浸させるために、常温を上回る高温の条件で加熱するか、あるいは長時間の加熱を要し、耐圧容器等の装置にかかる負荷が大きく生産性の観点で好ましくない。
ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率が高いほど、貯蔵弾性率の変化点温度が低くなるため、より低い温度で当該ポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させることができ、あるいは、温度を維持し物理発泡剤を含浸させる時間を短縮化させることができる。かかる観点からは、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率は、3.0%以上であることが好ましく、4.5%以上であることがより好ましく、5.0%以上であることがさらに好ましい。
一方、上記含水率の上限は特に規定されない。ただし、図1に示すとおり、含水率が高くなると貯蔵弾性率の変化点温度の低下の度合いが小さくなり平衡状態になることから、上記含水率の上限は概ね20%程度である。また、得られる多段発泡粒子を型内成形する際の充填性の観点からは、上記含水率の上限は18%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
なお、ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率が高いほど貯蔵弾性率の変化点温度が低くなる理由は、ポリアミド系樹脂の分子間の水素結合が水分子に置き換えられ、ポリアミド系樹脂の分子運動が変化するためであると考えられる。
(内圧付与工程における温度について)
次に、内圧付与工程における温度について説明する。内圧付与工程では、内圧付与工程における耐圧容器内の温度を、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高く調整する。また、より効率的に発泡粒子に内圧を付与する観点から、内圧付与工程の全実施時間の50%を超える時間において、内圧付与工程における耐圧容器内の温度を、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高く調整することが好ましい。ここで内圧付与工程の全実施時間とは、内圧付与工程の開始時から内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子が取り出されるまでの時間をいう。本発明に関し、内圧付与工程の開始時とは、当該耐圧容器内に投入されたポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率が1%以上である状態と、当該耐圧容器内に物理発泡剤が圧入されている状態が揃った最初の時点をいう。内圧付与工程の全実施時間の50%を超える時間とは、全実施時間において連続する時間であってもよく、断続的な時間の総和であってもよい。本発明は、たとえば、内圧付与工程開始時は吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも低い温度から開始し、内圧付与工程の任意のタイミングで、耐圧容器内の温度をその時点でのポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度を上回る温度に調整する態様を包含する。
より十分に内圧を付与するという観点からは、内圧付与工程において耐圧容器内の温度を吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高く調整する時間は、内圧付与工程の全実施時間の70%以上であることがより好ましく80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましく、実質的に100%であることが最も好ましい。
上述する内圧付与工程の全実施時間の50%を超える時間における耐圧容器内の温度は、一定に調整してもよいし、変動させてもよい。尚、内圧付与工程中、ポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度は含水率の変動とともに変化する。そのため、上述する耐圧容器内の温度を判断するための指標になるポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度とは、温度を判断する際に示される貯蔵弾性率の変化点温度を指す。
上述に説明するとおり、乾燥状態の場合と比べて、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度は低い。そのため、乾燥状態のポリアミド系樹脂発泡粒子を用いる場合に比べて低い温度で、または短時間で物理発泡剤を含浸させることができる。その結果、耐圧容器等の装置にかかる負荷を低減でき生産性に優れるものとなる。また、得られるポリアミド系樹脂多段発泡粒子の独立気泡率の低下や、樹脂の劣化に伴う変色等を抑制することができる。
内圧付与工程における上記温度の範囲は、特に限定されないが、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、当該内圧付与工程の開始時における吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも30℃以上高い温度で物理発泡剤を含浸させることが好ましい。これによって、物理発泡剤の含浸時間を有意に短縮化することが可能であり、またより高い内圧を付与することが可能である。
また、内圧付与工程実施中に、耐圧容器内において徐々に吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率が減少し、内圧付与工程の開始時よりも貯蔵弾性率の変化点温度が上昇する場合がある。これに対し、物理発泡剤を含浸させる温度を、内圧付与工程の開始時における吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも30℃以上高い温度で設定することによって、物理発泡剤を含浸させている途中で上記変化点温度が上昇した場合であっても、特段の問題なく、ポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧を高めることができる。かかる観点から、上記内圧付与工程の温度は、内圧付与工程の開始時における吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも35℃高い温度以上であることがより好ましく、40℃高い温度以上であることがより好ましく、45℃高い温度以上であることが更に好ましい。一方、耐圧容器等の装置にかかる負荷を小さくする観点からは、上記内圧付与工程の温度は、内圧付与工程の開始時における吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも80℃高い温度以下であることが好ましく、70℃高い温度以下であることがより好ましく、60℃高い温度以下であることが更に好ましい。
内圧付与工程の全実施時間の50%を超える時間において、内圧付与工程における耐圧容器内の温度を、内圧付与工程の開始時における吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも30℃以上高い温度で物理発泡剤を含浸させることが好ましい。たとえば、内圧付与工程の開始時における吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度が-10℃である場合、20℃以上の温度で内圧付与工程における耐圧容器内の温度を、内圧付与工程の全実施時間の50%を超える時間において維持することが好ましい。
本発明においては、内圧付与工程の初期段階において、耐圧容器内の温度を、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高く調整することがより好ましい。ここで、内圧付与工程の初期段階とは、内圧付与工程の全実施時間のうち、開始時から5%経過時までの時点をいい、好ましくは3%経過時までの時点であり、より好ましくは1%経過時までの時点であり、最も好ましくは内圧付与工程の開始時点である。
さらに、このように内圧付与工程の初期段階から内圧付与工程の開始時における吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも30℃以上高い温度で物理発泡剤を含浸させ始め、内圧付与工程の終期段階まで連続して当該変化点温度より30℃以上高い温度が保たれることがより好ましい。ここで、内圧付与工程の終期段階とは、内圧付与工程の全実施時間のうち、開始時から95%経過時から100%経過時までの時点をいい、好ましくは、97%経過時から100%経過時までの時点をいい、より好ましくは99%経過時から100%経過時までの時点をいう。
上記内圧付与工程の温度の上限の絶対値は特に具体的に特定されるものではなく、含水率、物理発泡剤の含浸時間等の他の条件を鑑みて決定することができる。ただし、装置にかかる負荷を低減し、またポリアミド系樹脂多段発泡粒子の独立気泡率の低下や、樹脂の劣化に伴う変色等を抑制する観点からは、内圧付与工程において物理発泡剤を含浸させる際の温度は、150℃以下であることが好ましく、120℃以下とすることがより好ましく、100℃以下とすることがさらに好ましく、80℃以下とすることがよりさらに好ましく、50℃以下とすることが特に好ましく、30℃以下とすることが最も好ましい。
本発明において、貯蔵弾性率の変化点温度は、JIS K7095:2012に倣い、ポリアミド系樹脂発泡粒子の動的粘弾性測定(DMA)を測定して得られる貯蔵弾性率の変化点温度(温度と貯蔵弾性率とによる曲線からのガラス転移温度)を意味する。
具体的には、予め含水率を調整した1個の発泡粒子を治具で固定し、圧縮モード、周波数一定(1Hz)で温度を、-50℃から150℃まで昇温速度2℃/minの速度で昇温させて貯蔵弾性率を測定する。そして、図2に示すとおり、縦軸を貯蔵弾性率、横軸を温度として、測定結果をプロットしてグラフを作成する。図2は、JIS K7095:2012に倣い測定されるポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率と温度との関係を例示的に示すグラフである。なお、DMA測定装置としては、たとえば日立ハイテクサイエンス社製DMA7100を使用することができる。
上記グラフにおいて、貯蔵弾性率の最初に急激に低下する前の直線部を高温側に延長した延長線L1と、貯蔵弾性率が最初に急激に低下した後の中間線の直線部を低温側に延長した延長線L2との交点Bから下方に引いた垂線が指し示す温度を貯蔵弾性率の変化点温度とする。なお、貯蔵弾性率の変化点温度が複数現れる場合は、最も低温側の変化点温度を採用する。上記測定を10個の発泡粒子について行い、その算術平均値をポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度とする。
なお、動的粘弾性測定(DMA)の測定によれば、貯蔵弾性率のほかに、損失弾性率、および損失正接を求めることができる。これらの物性値のうち、貯蔵弾性率は通常最も低温側に変化点温度が現れる物性値である。つまり、貯蔵弾性率の変化点温度は、測定される樹脂材料の分子運動の変化が生じ始める(弾性率が変化する)最も低い温度と考えられる。したがって、本発明において、貯蔵弾性率の変化点温度がポリアミド系樹脂発泡粒子に内圧を付与可能な下限温度の指標として適用できたと考えられる。
なお、ポリアミド系樹脂発泡粒子の動的粘弾性測定において貯蔵弾性率の測定が困難な場合や、測定値のバラつきが大きい場合には、予め当該ポリアミド系樹脂発泡粒子と同種のポリアミド系樹脂から構成される複数のポリアミド系樹脂発泡粒子においてその含水率と上記測定における貯蔵弾性率の変化点温度との関係性をプロットすることにより含水率と貯蔵弾性率の変化点との関係式を求め、当該貯蔵弾性率の測定が困難である発泡粒子の含水率の値から当該関係式を用いて計算することにより貯蔵弾性率の変化点温度を求めることもできる。
(内圧付与工程における圧力について)
次に、内圧付与工程における耐圧容器内の圧力について説明する。吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子が投入された耐圧容器の内部は、物理発泡剤が圧入されることによって昇圧される。これによって、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、物理発泡剤が含浸され内圧が付与される。物理発泡剤の圧入と、耐圧容器内の温度の昇温の関係は特に限定されず、上記圧入および上記昇温を同時に開始してもよいし、上記圧入および上記昇温のいずれか一方を先に開始してもよいし、まず上記昇温を開始し所定の温度になってから上記圧入を開始してもよい。
耐圧容器内の圧力の昇圧速度は特に限定されないが、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子は吸湿前に比べて軟化している。そのため、急激な昇圧によって発泡粒子が潰れないよう配慮するという観点、装置に対する負荷軽減の観点、内圧付与に要する時間を短縮する観点等からは、0.01MPa/hr以上0.2MPa/hr以下の範囲の速度で耐圧容器内に物理発泡剤を圧入することが好ましい。
ポリアミド系樹脂発泡粒子の一般的な製造方法では、ポリアミド系樹脂のガスバリア性の高さを考慮して、0.01MPa/hrを超えない昇圧速度で物理発泡剤を圧入することが一般的である。しかし、本発明における内圧付与工程では、吸湿状態とすることでガスバリア性が低下したポリアミド系樹脂発泡粒子を用いるため、上述する昇圧でも十分に物理発泡剤を含浸させて内圧を付与することができる。
耐圧容器内の最終的な圧力は、特に限定されないが、0.2MPa(G)以上2.0MPa(G)以下の範囲であることが好ましく、0.3MPa(G)以上1.0MPa(G)以下の範囲であることがより好ましい。
尚、内圧付与工程において用いられる物理発泡剤は、上述する第二準備工程において記載する物理発泡剤と同様のものが例示される。
耐圧容器内における温度および適宜調整される昇圧条件等の調整よって、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させて大気圧超の内圧を付与する。かかる内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を後述する加熱発泡工程に用いることによって見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を製造することができる。より見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得られやすいという観点からは、上記内圧は、0.1MPa(G)以上であることが好ましく、0.15MPa(G)以上であることがより好ましく、0.2MPa(G)以上であることがさらに好ましい。
一方、上記内圧の上限は特に限定されないが、耐圧容器の性能や経済的なバランスを鑑みると、概ね2MPa(G)以下であり、1MPa(G)以下であることが好ましい。
内圧付与工程において、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧上昇速度が、0.003MPa/hr以上0.05MPa/hr以下の範囲となるように当該ポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させることが好ましい。これによって従来に比べ、短時間で高い内圧をポリアミド系樹脂発泡粒子に付与することができる。換言すると、乾燥状態のポリアミド系樹脂発泡粒子を用いた場合には、ガスバリア性が高いため、温度を高温に設定しない限り、上述する早い速度で内圧を付与することは困難であった。しかし、本発明は、吸湿状態であってガスバリア性の低いポリアミド系樹脂発泡粒子を用いるため、短縮された時間内に高い内圧を付与可能であり、生産性に優れる。かかる観点から、上記内圧上昇速度は、0.005MPa/hr以上であることがより好ましい。
ポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧上昇速度は、内圧付与工程において得られたポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧(MPa(G))から内圧付与を行う前の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧(MPa(G))を差し引き、それを得るために要した加圧時間で除することにより算出される。前記吸湿状態の発泡粒子の内圧上昇速度は、内圧付与工程において、必ずしも一定の値となるものではなく、一時間あたりに上昇する内圧(MPa(G))の割合の平均値を意味するものである。
ポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧Pは、下記式(1)および式(2)を用いて以下の方法により求めることができる。尚、小袋の重量W7はあらかじめ計測しておく。
具体的には、まず、耐圧容器から取り出した内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子群(濡れた加圧発泡粒子群)から、任意の量の内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子(濡れた加圧発泡粒子)を小袋にとり、重量W2を測定する。
さらに、当該ポリアミド系樹脂発泡粒子群(濡れた加圧発泡粒子群)から任意の量のサンプルを別途採取し、当該サンプル中の含水量をカールフィッシャー水分量計で予め測定する。カールフィッシャー水分量計で測定された水分量をW6、カールフィッシャー水分量計の測定に供したサンプル量をW5とする。
濡れた加圧発泡粒子に含まれる水分量W3は、濡れた加圧発泡粒子の重量W2から小袋の重量W7を引いた値を、上記カールフィッシャー水分量計の測定に供したサンプル量W5で除して、これにカールフィッシャー水分量計で測定された水分量W6を乗じることによって求めることができる。
乾燥加圧ビーズ重量W1は、濡れた加圧発泡粒子の重量W2から上記で求めた濡れた加圧発泡粒子中の水分量W3と袋の重量W7を合わせた値を引くことで求めることができる。
続いて、上記濡れた加圧発泡粒子を、80℃、大気圧下の恒温恒湿槽に小袋ごと収容し48時間静置して内圧を抜く。そして、圧が抜けたポリアミド系樹脂発泡粒子を恒温恒湿槽から取り出し、160℃、大気圧下の条件で20時間乾燥させる。そして小袋から取り出した乾燥したポリアミド系樹脂発泡粒子(乾燥発泡粒子)の重量W4を測定し、以下の式(1)にて内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子に含有されていた空気量Waを算出する。尚、カールフィッシャー水分量計および測定条件は、上記ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率の測定と同様とする。
尚、ポリアミド系樹脂発泡粒子の圧が抜けたかどうかは、当該粒子の重量が減少しなくなったことで確認することができるが、たとえば、48時間程度の長時間、80℃の恒温恒湿に収容することで十分に圧が抜けた状態とすることができる。
[数1]
空気量Wa=W1-W4
=(W2-W3-W7)-W4
=[(W2-(W2-W7)/W5×W6)-W7]-W4・・・(1)
W1:乾燥加圧発泡粒子重量(g)
W2:小袋の重量を含む濡れた加圧ビーズ重量(g)
W3:濡れた加圧発泡粒子中の水分量(g)
W4:乾燥発泡粒子重量(g)
W5:カールフィッシャー水分量計の測定に供したサンプル量(g)
W6:カールフィッシャー水分量計で測定された水分量(g)
W7:小袋の重量(g)
Wa:空気量(g)
上述のとおり求められた空気量Wa(g)を以下の式(2)に用いて内圧Pが付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧を求めることができる。
[数2]
内圧P(MPa(G))
=(Wa/28.8×0.0831×296)/(W4/発泡粒子の見掛け密度(kg/m)-W4/樹脂の密度(kg/m))・・・(2)
上記方法により測定されるポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧P(MPa(G))は、ゲージ圧に相当する。ゲージ圧とは、絶対圧から大気圧を差し引いた値である。
ポリアミド系樹脂発泡粒子に付加された内圧が、内圧付与工程実施後、加熱発泡工程前に抜けにくくするという観点からは、内圧付与工程に用いられる吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも、内圧付与工程によって得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度の方が高いことが望ましい。これにより、内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子のガスバリア性を高めて、含浸された物理発泡剤を発泡粒子内部に保持することで、次工程における加熱発泡工程において、より高い発泡倍率のポリアミド系樹脂多段発泡粒子を製造し得る。
かかる観点から、内圧付与工程に用いられる吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率(A)と内圧付与工程によって得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率(B)との差[(A)-(B)]は0.5%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、3%以上であることがさらに好ましい。
内圧付与工程によって得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率(B)の値は、付与された内圧が抜けにくくなり、見掛け密度の小さな多段発泡粒子をより安定して製造する観点から、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることが更に好ましい。
上記内圧付与工程によって得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率(B)は、上記内圧付与工程の時間、温度、昇温速度、圧力、昇圧速度等を変更することにより調整することができる。
上記内圧付与工程により、多段発泡用のポリアミド系樹脂発泡粒子が提供される。すなわち、「含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高い温度下で前記物理発泡剤を含浸させてなる、大気圧超の内圧を有する多段発泡用ポリアミド系樹脂発泡粒子」が提供される。
[加熱発泡工程]
上述する内圧付加工程の後、速やかに加熱発泡工程が実施される。上記加熱発泡工程は、内圧付与工程において得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を加熱し、発泡させて、上記内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子よりも見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得る工程である。
加熱発泡工程において、「内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子の見掛け密度」とは、第二準備工程において得られる、前記含水工程を行う前のポリアミド系樹脂発泡粒子の見掛け密度を意味する。つまり、本発明に関し、ポリアミド系樹脂発泡粒子の見掛け密度というときは、充分に乾燥したポリアミド系樹脂発泡粒子を用いて測定された見掛け密度のことをいう。
より具体的には、内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を容器に入れ、加熱して発泡させる。加熱発泡工程は、圧力下で行われてもよい。この場合の圧力は、特に限定されないが、たとえば0.03MPa以上0.4MPa以下程度の範囲で調整するとよい。
加熱方法は、熱可塑性樹脂発泡粒子の多段発泡において公知の加熱発泡工程と同様の加熱方法を適宜採用することができる。具体的には、加熱媒体としてたとえば水蒸気(スチーム)または加熱空気を用いて加熱することが好ましく、水蒸気を用いて加熱することがより好ましい。加熱媒体として水蒸気を用いることにより、容器内に供給される水蒸気に含まれる水分により、内圧が付加されたポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度を低下させることができ、これによって、より高発泡のポリアミド系樹脂多段発泡粒子が得られやすい。加熱時間は、例えば5秒以上120秒以下の範囲とすることができる。
加熱発泡工程における容器内での加熱温度は特に限定さないが、密閉容器内に入れられた、内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を、当該内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高く、かつ当該内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂の融点よりも低い温度の加熱媒体により加熱し、発泡させることが好ましい。これにより、高い発泡倍率だけではなく、密閉容器内における発泡粒子同士のブロッキング(発泡粒子同士が融着することによって塊状となること)を回避し、独立気泡率の高い成形性に優れた発泡粒子が得られやすい。かかる観点から、加熱発泡工程に加熱媒体の温度は70℃以上190℃以下の範囲が好適である。加熱発泡工程における前記内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂の融点とは、当該発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂固有の融点を意味する。
(ポリアミド系樹脂多段発泡粒子)
上述のとおり内圧付加工程および加熱発泡工程を実施することによって、見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を製造することができる。本発明の製造方法によれば、たとえば見掛け密度が100kg/m以下であるポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得ることができ、さらに好ましくは上記見掛け密度を85kg/m以下、より好ましくは70kg/m以下に調整することが可能である。これによって軽量化に優れたポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を提供することができる。2段発泡で上記範囲の見掛け密度にならない場合には、さらに3段発泡以上の発泡を実施してもよい。かかる範囲であれば、軽量性に優れたポリアミド系樹脂発泡粒子成形体を提供することができる。
本発明の製造方法では、内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子の見掛け密度よりも、加熱発泡工程によって得られたポリアミド系樹脂多段発泡粒子の見掛け密度の方が小さく、特に発泡倍率の大きなポリアミド系樹脂多段発泡粒子を容易に製造することができる。特に、軽量性により優れるポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得る観点からは、内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子の見掛け密度に対する、ポリアミド系樹脂多段発泡粒子の見掛け密度の比が、0.70以下であることが好ましく、0.65以下であることがより好ましく、0.60以下であることが更に好ましく、0.55以下であることが特に好ましい。
本発明の製造方法に関し、ポリアミド系樹脂発泡粒子またはポリアミド系樹脂多段発泡粒子の見掛け密度は、以下の方法で測定される。
温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、該メスシリンダーに、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した約500cm3の発泡粒子の重量Wpを測定し、金網を使用して沈める。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられる発泡粒子の容積Vp[cm3]を測定し、発泡粒子の重量Wp[g]を容積Vpで割り算し(Wp/Vp)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求めることができる。
本発明の製造方法により製造されたポリアミド系樹脂多段発泡粒子の独立気泡率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。独立気泡率が上記範囲を満足することで、発泡粒子の成形性が良好となり、発泡粒子を型内成形して作製した発泡粒子成形体は、二次発泡性、融着性に優れる傾向にある。
上記独立気泡率は、発泡粒子中の全気泡の容積に対する独立気泡の容積の割合であり、ASTM-D2856-70に記載されている手順Cに基づき空気比較式比重計を用いて求めることができる。
<高温ピークを備えるポリアミド系樹脂発泡粒子>
ところで、本出願人はより優れたポリアミド系樹脂発泡粒子を提供するために種々の研究を行い、熱流束示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線において一般的なポリアミド系樹脂発泡粒子では発現しない高温ピークを有するポリアミド系樹脂発泡粒子を提案している(WO2020/050301A1)。かかる高温ピークを示すポリアミド系樹脂発泡粒子であれば、発泡粒子の耐熱性を高めることができると共に、発泡時に発泡粒子同士のブロッキングが好適に防止される。
ここで高温ピークとは、より具体的には、図3に示すとおり、JIS K7122-1987に基づき、熱流束示差走査熱量測定によって、ポリアミド系樹脂発泡粒子を、加熱速度10℃/minにて、30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定される1回目のDSC曲線において、ポリアミド系樹脂に固有の融解ピーク(固有ピークa)よりも高温側に頂点温度が現れる融解ピーク(高温ピークb)のことを指す。図3は、ポリアミド系樹脂発泡粒子の熱流束示差走査熱量測定法に基づき測定されたDSC曲線の一例である。かかる図3では1つの高温ピークbが出現した例を示したが、高温ピークbは2以上であってもよい。
該固有ピークの頂点温度より高温側に頂点温度が現れるすべての高温ピークの融解熱量の合計は、5J/g以上であることが好ましく、6J/g以上であることがより好ましく、7J/g以上であることがさらに好ましい。また、融解熱量の合計は、50J/g以下であることが好ましく、30J/g以下であることがより好ましく、20J/g以下であることがさらに好ましい。尚、上記高温ピークが2つ以上現れる場合には、該高温ピークの融解熱量は、全ての高温ピークの合計熱量を意味する。
一方、固有ピークaは、ポリアミド系樹脂固有の結晶構造に由来する融解ピークである。固有ピークaの頂点温度は、後述する2回目のDSC曲線に現れる融解ピークの頂点温度と概ね一致する。
2回目のDSC曲線とは、1回目のDSC曲線の測定終了後のポリアミド系樹脂発泡粒子を、1回目のDSC曲線の測定後における融解ピーク終了時よりも30℃高い温度にて、10分間保った後、冷却速度10℃/minにて30℃まで冷却し、再度、加熱速度10℃/minにて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に測定されるDSC曲線を指す。
1回目のDSC曲線における、高温ピークの融解熱量の具体的な求め方については、実施例にて記載する。
上記高温ピークbを示すポリアミド系樹脂発泡粒子は、プレ工程を構成する第二準備工程として、ダイレクト発泡法を採用することにより得ることができる。具体的には、ポリアミド系樹脂粒子が分散された密閉容器(発泡釜)内の温度を調整し、ポリアミド系樹脂の結晶化を促進させることによって得られる。
上記温度は、上述の趣旨が達成される範囲で適宜設定することができる。たとえば、ダイレクト発泡法において、分散時の温度(開始温度)から放出時の温度(発泡温度)まで密閉容器内の温度を昇温させる際、開始温度と発泡温度との間の任意の中間温度において一定時間、当該中間温度を保持する加熱保持工程を設ける方法が好適である。またこのような温度を実施する発泡工程において、密閉容器に添加される分散媒体として水などの水性媒体を選択することが好ましい。ポリアミド系樹脂粒子を水性媒体中に分散させて吸水させることで、当該ポリアミド系樹脂粒子を可塑化させ、最終的な発泡温度を可塑化前に比べて低く設定することができる。
上記加熱保持工程は、上記ポリアミド系樹脂粒子が分散された密閉容器を、ポリアミド系樹脂の融点(Tm)よりも90℃低い温度(Tm-90℃)以上50℃低い温度(Tm-50℃)未満で1分以上60分以下の保持時間で保持する工程であることが好ましい。このように前記の条件で保持する工程を含むことで、上述する高温ピークを形成することができる。
上述のとおり高温ピークを有するポリアミド系樹脂発泡粒子は、発泡粒子の耐熱性を高めることができると共に、発泡時に発泡粒子同士のブロッキングが好適に防止されるものの、従来、多段発泡を実施しにくいとい問題があった。すなわち、高温ピークを示すほどに結晶化が促進されたポリアミド系樹脂発泡粒子は、高温ピークを有しないポリアミド系樹脂発泡粒子に比べて、さらにガスバリア性が高い傾向にあり、多段発泡時において物理発泡剤が含浸し難いという事情があった。
これに対し、本発明の製造方法であれば、高温ピークを有するポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率を1%以上に調整し、上記内圧付与工程および加熱発泡工程を実施することで、以下の効果を享受する。即ち、本発明によれば、高温ピークを有するポリアミド系樹脂発泡粒子であっても、当該発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点を低下させることができ、容易に物理発泡剤を含浸させて十分な内圧を付与することができる。その結果、高温ピークを有する見掛け密度の小さな多段発泡粒子をより容易に製造することができる。
上述のとおり、本発明において、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子として、たとえば、1段発泡により得られた1段発泡粒子を上記含水工程により含水率1%以上に調整したポリアミド系樹脂発泡粒子を用いることができる。かかるポリアミド系樹脂発泡粒子を用いて本発明の製造方法により2段目の発泡(2段発泡)を実施することができる。
また、吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子として、上記加熱発泡工程により得られた見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子であって含水率1%以上のものを用いることもできる。つまり、本発明は、2段発泡の実施に限定されるものではなく、本発明の実施により得られたポリアミド系樹脂多段発泡粒子であって含水率を適宜調整された発泡粒子を「吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子」として用い、さらに本発明の製造方法を繰り返すことによって、3段発泡、4段発泡・・・と繰り返しても良い。より小さい見掛け密度を実現するために、3段発泡以上の発泡を行うことができる。
尚、2段発泡により得られたポリアミド系樹脂多段発泡粒子をさらに3段発泡に供与する場合には、予め予備実験により3段発泡に供与されるポリアミド系樹脂多段発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度を測定し把握しておくとよい。
以上に説明する本発明のポリアミド系樹脂多段発泡粒子を用いてなるポリアミド系樹脂発泡粒子成形体(以下、単に成形体ともいう)を製造することができる。製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することできる。たとえば、型内成形法は、上記成形体を製造するために好ましい。特にスチームを利用した型内成形法によれば、スチームによりポリアミド系樹脂多段発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂が可塑化されるため、型内成形時の成形圧力を低くすることが可能となる。尚、得られた成形体は、軽量性に優れ、乾燥させることでポリアミド系樹脂本来の物性を発現できるようになり、高い耐熱性を有する成形体となる。
また、上記型内成形法において、ポリアミド系樹脂多段発泡粒子を成形型内に充填する方法としては、公知の方法を採用することができる。発泡粒子成形体の融着性を考慮し発泡粒子の二次発泡力を過度に向上させない範囲で、発泡粒子を加圧気体で加圧処理して、発泡粒子の気泡内に所定の内圧を付与してから型内に充填する方法、発泡粒子を加圧気体で圧縮した状態で加圧された型内に充填し、その後型内の圧力を開放する方法、発泡粒子を型内に充填する前に予め型を開いて成形空間を広げておき、充填後に型を閉じることで発泡粒子を機械的に圧縮する方法等を採用することができる。上記成形体は、耐熱性が高く、また耐摩耗性および耐薬品性等にも優れる上、成形品融着性や引張強度にも優れる。さらに、本発明の多段発泡粒子を用いてなる成形体は、特に軽量性に優れるものである。そのため上記成形体は、自動車部品、電気製品等に良好に利用可能である。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
以下に述べる実施例および比較例に関し、ポリアミド系樹脂発泡粒子、およびポリアミド系樹脂多段発泡粒子の各物性は以下の方法で測定した。尚、本段落において記載する測定方法は、ポリアミド系樹脂発泡粒子に関する測定方法として記載しているが、いずれの測定方法も、ポリアミド系樹脂多段発泡粒子の各測定に適用することができる。
<見掛け密度の測定方法>
温度23℃の水の入ったメスシリンダーを用意し、該メスシリンダーに、相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日間放置した約500cm3のポリアミド系樹脂発泡粒子の重量Wpを測定し、金網を使用して沈めた。金網の体積を考慮して、水位上昇分より読みとられるポリアミド系樹脂発泡粒子の容積Vp[cm3]を測定し、発泡粒子の重量Wp[g]を容積Vpで割り算し(Wp/Vp)、単位を[kg/m3]に換算することにより、発泡粒子の見掛け密度を求めた。
<高温ピークの融解熱量の測定方法>
ポリアミド系樹脂発泡粒子の高温ピークの融解熱量は、熱流束示差走査熱量測定によって10℃/分の昇温速度で、30℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで昇温して測定したときに得られる1回目のDSC曲線の高温ピークの面積から求めた。なお、測定装置として、高感度型示差走査熱量計「EXSTAR DSC7020」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を使用した。
発泡粒子の高温ピーク融解熱量は、図3に示すDSC曲線において、固有ピークaよりも高温側に現れる高温ピークbの面積に相当し、次のようにして求めた。まず、図3に示すようにDSC曲線上の150℃の点Iと、DSC曲線上の融解終了温度を示す点IIとを結ぶ直線を引いた。次に、固有ピークaと高温ピークbとの間の谷部にあたるDSC曲線上の点IIIを通りグラフ横軸の温度に対して垂直な直線と、点Iと点IIとを結んだ直線との交点を点IVとした。このようにして求めた点IVと点IIとを結ぶ直線、点IIIと点IVを結ぶ直線及び点IIIと点IIを結ぶDSC曲線によって囲まれる部分(斜線部分)の面積を高温ピークの融解熱量とした。
<独立気泡率の測定方法>
独立気泡率は、ポリアミド系樹脂発泡粒子中の全気泡の容積に対する独立気泡の容積の割合であり、ASTM-D2856-70に記載されている手順Cに基づき空気比較式比重計を用いて求めた。
<貯蔵弾性率の変化点温度の測定方法>
まずJIS K7095:2012に倣い、ポリアミド系樹脂発泡粒子の動的粘弾性測定(DMA)を測定して得られる貯蔵弾性率を測定してグラフを作成し、これにより変化点温度を特定した。DMA測定装置としては、日立ハイテクサイエンス社製DMA7100を使用した。
具体的には、予め含水率を調整した1個の発泡粒子を治具で固定し、圧縮モード、周波数一定(1Hz)で-50℃~150℃まで昇温速度2℃/minで温度を変化させて当該発泡粒子の貯蔵弾性率を測定した。そして、図2に示すとおり、縦軸を貯蔵弾性率、横軸を温度として、測定結果をプロットしてグラフを作成した。かかるグラフにおいて、貯蔵弾性率の最初に急激に低下する前の直線部を高温側に延長した延長線L1と、貯蔵弾性率が最初に急激に低下した後の中間線の直線部を低温側に延長した延長線L2との交点Bから下方に垂線を温度軸まで引き、当該垂線が指し示す温度を貯蔵弾性率の変化点温度とした。上記測定を10個の発泡粒子について行い、その算術平均値をポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度とした。
<含水率の測定方法>
ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率は、上述するカールフィッシャー法を用いて求めた。具体的には、まず、約0.2gのポリアミド系樹脂発泡粒子を秤量し、試験片とした。次いで、加熱水分気化装置(平沼産業社製の自動加熱水分気化装置SE320)を用いて試験片を温度160℃まで加熱することにより、試験片の内部の水分を気化させた。この水分を加熱水分気化装置に接続されたカールフィッシャー水分測定装置(平沼産業株式会社製AQ-2200A)へ導き、水分量を測定し、発泡粒子中の含水率を算出した。なお、測定条件(滴定条件)は、待ち時間:40秒、電解電流:MEDIUM、最小電解量:5μgとした。上記測定を5つの試験片について行い、その算術平均値をポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率とした。
<内圧の測定方法>
ポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧Pは、下記式(1)および式(2)を用いて以下の方法により求めた。尚、小袋の重量W7はあらかじめ計測した。
まず、内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子群(濡れた加圧発泡粒子群)から、任意の量の内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子(濡れた加圧発泡粒子)を小袋にとり、重量W2を測定した。
さらに、当該ポリアミド系樹脂発泡粒子群(濡れた加圧発泡粒子群)から任意の量のサンプルを別途採取し、当該サンプル中の含水量をカールフィッシャー水分量計で予め測定した。カールフィッシャー水分量計で測定された水分量をW6、カールフィッシャー水分量計の測定に供したサンプル量をW5とする。
濡れた加圧発泡粒子に含まれる水分量W3は、濡れた加圧発泡粒子の重量W2から小袋の重量W7を引いた値を、上記カールフィッシャー水分量計の測定に供したサンプル量W5で除して、これにカールフィッシャー水分量計で測定された水分量W6を乗じることによって求めた。
乾燥加圧ビーズ重量W1は、濡れた加圧発泡粒子の重量W2から上記で求めた濡れた加圧発泡粒子中の水分量W3と袋の重量W7を合わせた値を引くことで求めた。
続いて、上記濡れた加圧発泡粒子を、48時間程度80℃の恒温恒湿槽に小袋ごと収容し内圧を抜いた。そして、圧が抜けたポリアミド系樹脂発泡粒子を恒温恒湿槽から取り出し、160℃、20時間の条件で乾燥した。そして小袋から取り出した乾燥後のポリアミド系樹脂発泡粒子(乾燥発泡粒子)の重量W4を測定し、以下の式(1)にて内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子に含有されていた空気量Waを算出した。尚、カールフィッシャー水分量計および測定条件は、上記ポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率の測定と同様とした。
[数3]
空気量Wa=W1-W4
=(W2-W3-W7)-W4
=[(W2-(W2-W7)/W5×W6)-W7]-W4・・・(1)
W1:乾燥加圧発泡粒子重量(g)
W2:小袋の重量を含む濡れた加圧ビーズ重量(g)
W3:濡れた加圧発泡粒子中の水分量(g)
W4:乾燥発泡粒子重量(g)
W5:カールフィッシャー水分量計の測定に供したサンプル量(g)
W6:カールフィッシャー水分量計で測定された水分量(g)
W7:小袋の重量(g)
Wa:空気量(g)
上述のとおり求められた空気量Wa(g)を以下の式(2)に用いて内圧Pが付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧を求めた。
[数4]
内圧P(MPa(G))
=(Wa/28.8×0.0831×296)/(W4/発泡粒子の見掛け密度(kg/m)-W4/樹脂の密度(kg/m))・・・(2)
[ポリアミド系樹脂粒子の製造]
ポリアミド系樹脂として、ポリアミド6/66コポリマー(ポリアミド6/ポリアミド66=85/15;UBEナイロン5033B、宇部興産株式会社製、融点197℃、密度1.14kg/m、曲げ弾性率1300MPa、MFR3.5g/10分)および気泡調整剤として「タルカンパウダーPK-S」(林化成株式会社製)をその含有量が8000重量ppmとなるように供給し、末端封鎖剤として「Stabaxol P」(ラインケミー社製)を1重量部となるように供給し、溶融混錬し、ストランド状に押し出して水中で冷却した後、ペレタイザーにて切断し、乾燥して、1個当たりの平均重量が2mgのポリアミド系樹脂粒子を得た。
[ポリアミド系樹脂発泡粒子の製造]
得られたポリアミド系樹脂粒子10kgと、分散液として水310リットルとを、撹拌機を備えた400リットルのオートクレーブ内に仕込み、更に、ポリアミド系樹脂粒子100重量部に対して、分散剤としてカオリン3.0重量部と、界面活性剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.08重量部とを分散液に添加した。
オートクレーブ内の内容物を撹拌しながら室温(23℃)から昇温し、136℃に到達後、該オートクレーブ内に発泡剤として二酸化炭素を、オートクレーブ内の圧力が4.0MPa(G)となるまで圧入した。このとき、室温(23℃)から136℃に到達するまでの昇温時間は30分であった。次に、136℃、4.0MPa(G)の状態を15分維持した。
その後、発泡剤が含浸されたポリアミド系樹脂粒子を分散液とともに大気圧(0.1MPa)下に放出した(発泡温度136℃)。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子を60℃のオーブン内にて24時間養生し、その後徐冷することにより乾燥状態のポリアミド系樹脂発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子の見掛け密度、高温ピークの融解熱量、独立気泡率を測定し、結果を表1~表2に示す。なお、実施例3~11、比較例2、3は、上記昇温、維持、発泡の各温度を136.5℃とした。
[含水工程]
上述のとおり得られたポリアミド系樹脂発泡粒子を用いて、乾燥状態のポリアミド系樹脂発泡粒子および水をポリ袋内に入れた後、ポリ袋の口を閉じてよく振り、所定の含水率となるまで十分に混ぜ合わせる含水工程を実施して、水分含量を調整した。これにより得られた発泡粒子の含水率、および含水工程後の当該発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度Tを測定し、表1~2に示した。
[内圧付与工程]
上述のとおり含水率を調整してなるポリアミド系樹脂発泡粒子180gを、表1~表2に示す加圧温度に設定された3リットル耐圧容器内に入れた。表1~表2には、それぞれの加圧温度と、用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度と、の差もあわせて示す。
上記含水率を調整してなる発泡粒子を耐圧容器内に入れて密閉すると同時に、物理発泡剤として空気を圧入して内圧付与工程を開始した。物理発泡剤としての空気は、表1~2に示す昇圧速度で圧入し、当該耐圧容器内の圧力(加圧圧力)が0.6MPa(G)となった後は0.6MPa(G)で一定とした。このときの加圧時間(物理発泡剤を圧入してから内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を耐圧容器から取り出すまでの時間)および昇圧速度は表1~表2に示す。加圧温度は一定とした。
表1~2に示す加圧時間が経過した直後に、内圧が付与されたポリアミド系樹脂を耐圧容器から取り出し、当該ポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧を測定した。また測定された内圧を加圧時間で除することによって内圧上昇速度を算出した。測定された内圧、および内圧上昇速度は、いずれも表1~表2に示す。
また上述のとおり得られた、内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の外観を観察し、黄変や皺のない場合には、良好(〇)と評価した。
[加熱発泡工程]
上述のとおり、内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を用いて、以下のとおり加熱発泡工程を実施した。
上述のとおり得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子180gを、水蒸気(元圧力0.3MPa(G))を圧入することにより圧力および温度が、表1~表2に示す値に設定された、撹拌機を備えた600リットルのオートクレーブ内に入れて密閉し、撹拌しながら、加圧および加熱し、発泡粒子をさらに発泡させた。上記内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を上記オートクレーブに入れてから15秒後に、オートクレーブを開放し、ポリアミド系樹脂発泡粒子を取り出した。得られたポリアミド系樹脂発泡粒子を40℃のオーブン内にて20時間養生し、その後徐冷して、ポリアミド系樹脂多段発泡粒子(2段発泡粒子)を得た。
上述のとおり得られたポリアミド系樹脂多段発泡粒子の見掛け密度および独立気泡率を測定した。またポリアミド系樹脂多段発泡粒子(2段発泡粒子)の見掛け密度を、上述する内圧付与工程に用いられた吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子(1段発泡粒子)の見掛け密度で除した見掛け密度比を算出した。上記見掛け密度、独立気泡率、見掛け密度比はいずれも表1~表2に示す。
[ポリアミド系樹脂発泡粒子成型体の製造]
上述のとおり得られたポリアミド系樹脂多段発泡粒子を用いて以下のとおり発泡粒子成形体を作製した。
まず、得られたポリアミド系樹脂発泡粒子を縦200mm×横65mm×厚さ40mmの平板成形型に充填し、スチーム加熱による型内成形を行なって板状の発泡粒子成形体を得た。加熱方法は両面の型のドレン弁を開放した状態でスチームを5秒間供給して予備加熱(排気工程)を行ったのち、移動側型よりスチームを供給し、次いで固定側型よりスチームを供給した後、成形加熱スチーム圧力(成形圧力=成形蒸気圧)まで加熱した。
加熱終了後、放圧し、成形体の発泡力による表面圧力が0.02MPa(ゲージ圧)に低下するまで水冷したのち、型を開放し成形体を型から取り出した。得られた成形体は80℃のオーブンにて12時間養生し、その後、室温まで徐冷した。このようにして、発泡粒子成形体を得た。
(成形可能範囲の評価)
上記発泡粒子成形体を、スチーム圧力を変化させて作製し、以下の基準で判断した。具体的には、スチーム圧力を0.10~0.20MPa(G)の間で0.02MPa(G)間隔で変化させた以外は前述した発泡粒子成形体の作製方法と同様にして発泡粒子成形体を成形した。
得られた発泡粒子成形体の融着性、表面性、回復性の3項目について以下のとおり評価した。そして、3項目いずれの評価でも良の評価を得たスチーム圧力を、発泡粒子成形体を成形可能な圧力と判断した。表1~2の「成形可能範囲」欄には、発泡粒子成形体を成形可能なスチーム圧力の範囲を示した。
(融着性評価)
発泡粒子成形体の融着率を、発泡粒子成形体を破断した際の破断面に露出した発泡粒子のうち、材料破壊した発泡粒子の数の割合に基づいて求めた。具体的には、まず、発泡粒子成形体から試験片(縦100mm×横100mm×厚み:成形体の厚み)を切り出し、カッターナイフで各試験片の厚み方向に約5mmの切り込みを入れた後、切り込み部から試験片を破断させた。次に、発泡粒子成形体の破断面に存在する発泡粒子の個数(n)と、材料破壊した発泡粒子の個数(b)を測定し、(b)と(n)の比(b/n)を百分率で表して融着率(%)とし、以下のとおり評価した。
良:融着率が90%以上であった。
不可:融着率が90%未満であった。
(表面評価)
発泡粒子成形体の表面状態を次のようにして評価した。
良:成形体表面の発泡粒子間隙が完全に埋まっている。
不可:成形体表面の発泡粒子間隙が埋まっていない。
(回復性評価)
型内成形で用いた平板形状の金型の寸法に対応する発泡粒子成形体における端部(端より10mm内側)と中心部(縦方向、横方向とも2等分する部分)の厚みを計測した。次いで、発泡粒子成形体の厚み比(成形体中心部の厚み/成形体端部の厚み×100(%))を算出し、以下のように評価した。
良:厚み比が90%以上である。
不可:厚み比が90%未満である。
Figure 2022068821000001
Figure 2022068821000002
(1)ポリアミド系樹脂発泡粒子を耐圧容器に入れ、前記耐圧容器内で、ポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させて大気圧超の内圧を付与する内圧付与工程、および
前記内圧付与工程において得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、前記内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子よりも見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得る加熱発泡工程、を備え、
前記内圧付与工程において、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高い温度下で前記物理発泡剤を含浸させることを特徴とするポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(2)前記内圧付与工程において、
前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、
当該内圧付与工程の開始時における前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも30℃以上高い温度下で前記物理発泡剤を含浸させる上記(1)に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(3)前記内圧付与工程において、
前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、
120℃以下の温度下で前記物理発泡剤を含浸させる上記(1)又は(2)に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(4)前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率が、3.0%以上である上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(5)前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率が、4.5%以上である上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(6)前記内圧付与工程において、
前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧上昇速度が0.003MPa/hr以上0.05MPa/hr以下となるよう前記物理発泡剤を含浸させる上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(7)前記ポリアミド系樹脂多段発泡粒子の見掛け密度が、100kg/m以下である上記(1)から(6)のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(8)前記内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子の見掛け密度に対する、前記ポリアミド系樹脂多段発泡粒子の見掛け密度の比が、0.70以下である上記(1)から(7)のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(9)前記加熱発泡工程において、
前記内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を、
当該内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高く、かつ当該内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂の融点よりも低い温度の加熱媒体により加熱し、発泡させる上記(1)から(8)のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(10)前記加熱発泡工程において、
前記内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を、水蒸気で加熱し、発泡させる上記(1)から(9)のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
(11)前記内圧付与工程において、
前記ポリアミド系樹脂発泡粒子を耐圧容器に入れ、
前記耐圧容器内の昇圧速度が、0.01MPa/hr以上0.2MPa/hr以下となるよう前記耐圧容器内に前記物理発泡剤を圧入して、前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させる上記(1)から(10)のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。

Claims (11)

  1. ポリアミド系樹脂発泡粒子を耐圧容器に入れ、前記耐圧容器内で、ポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させて大気圧超の内圧を付与する内圧付与工程、および
    前記内圧付与工程において得られた内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、前記内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子よりも見掛け密度の小さいポリアミド系樹脂多段発泡粒子を得る加熱発泡工程、を備え、
    前記内圧付与工程において、含水率1%以上の吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高い温度下で前記物理発泡剤を含浸させることを特徴とするポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  2. 前記内圧付与工程において、
    前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、
    当該内圧付与工程の開始時における前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも30℃以上高い温度下で前記物理発泡剤を含浸させる請求項1に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  3. 前記内圧付与工程において、
    前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に、
    120℃以下の温度下で前記物理発泡剤を含浸させる請求項1又は2に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  4. 前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率が、3.0%以上である請求項1から3のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  5. 前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の含水率が、4.5%以上である請求項1から4のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  6. 前記内圧付与工程において、
    前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子の内圧上昇速度が0.003MPa/hr以上0.05MPa/hr以下となるよう前記物理発泡剤を含浸させる請求項1から5のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  7. 前記ポリアミド系樹脂多段発泡粒子の見掛け密度が、100kg/m以下である請求項1から6のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  8. 前記内圧付与工程に用いられたポリアミド系樹脂発泡粒子の見掛け密度に対する、前記ポリアミド系樹脂多段発泡粒子の見掛け密度の比が、0.70以下である請求項1から7のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  9. 前記加熱発泡工程において、
    前記内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を、
    当該内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子の貯蔵弾性率の変化点温度よりも高く、かつ当該内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を構成するポリアミド系樹脂の融点よりも低い温度の加熱媒体により加熱し、発泡させる請求項1から8のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  10. 前記加熱発泡工程において、
    前記内圧が付与されたポリアミド系樹脂発泡粒子を、水蒸気で加熱し、発泡させる請求項1から9のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
  11. 前記内圧付与工程において、
    前記ポリアミド系樹脂発泡粒子を耐圧容器に入れ、
    前記耐圧容器内の昇圧速度が、0.01MPa/hr以上0.2MPa/hr以下となるよう前記耐圧容器内に前記物理発泡剤を圧入して、前記吸湿状態のポリアミド系樹脂発泡粒子に物理発泡剤を含浸させる請求項1から10のいずれか一項に記載のポリアミド系樹脂多段発泡粒子の製造方法。
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