JP2022045942A - 空気電池の正極用多孔炭素膜電極、及びそれを用いた空気電池 - Google Patents
空気電池の正極用多孔炭素膜電極、及びそれを用いた空気電池 Download PDFInfo
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Abstract
Description
電池にはいろいろな種類のものがあるが、その中でも空気電池は、小型、軽量かつ大容量に適した構造のため、高い注目を集めている。
リチウム空気電池は、正極活物質が空気中の酸素で、正極活物質を電池外部から供給することが可能なため、電池の小型・軽量化が可能で、更に大容量化の余地のある構造である。
また、本発明は、空気電池を提供することも課題とする。
[2] バインダーを含まずに、膜構造が維持されている、[1]に記載の多孔炭素膜電極。
[3] カーボンナノチューブ、及び、炭素粒子のみからなる、[1]又は[2]に記載の多孔炭素膜電極。
[4] ラマン分光より得られる乱層構造炭素由来のピーク強度Dに対する、結晶構造炭素由来のピーク強度Gの強度比であるG/Dが、2.0~25.0である、[1]又は[2]記載の多孔炭素膜電極。
[5] G/Dが10.0~25.0である[4]に記載の多孔炭素膜電極。
[6] カーボンナノチューブの平均アスペクト比が2000以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の多孔炭素膜電極。
[7] カーボンナノチューブがシングルウォールカーボンナノチューブである、[1]~[6]のいずれかに記載の多孔炭素膜電極。
[8] 全質量を100質量%としたとき、カーボンナノチューブの含有量が10~90質量%である、[1]~[7]のいずれかに記載の多孔炭素膜電極。
[9] カーボンナノチューブの含有量が20~70質量%である、[8]に記載の多孔炭素膜電極。
[10] 前記カーボンナノチューブの含有量が40~60質量%である、[8]に記載の多孔炭素膜電極。
[11] 炭素粒子がケッチェンブラックである、[1]~[10]のいずれかに記載の多孔炭素膜電極。
[12] 全質量を100質量%としたとき、炭素粒子の含有量が、10~90質量%である、[1]~[11]のいずれかに記載の多孔炭素膜電極。
[13] 炭素粒子の含有量が30~80質量%である、[12]に記載の多孔炭素膜電極。
[14] 正極と、負極と、正極と負極との間に金属イオンを伝導可能な電解質とを備え、正極が、[1]~[13]のいずれかに記載の多孔炭素膜電極である、空気電池。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「細孔」とは、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)での定義に従い、ミクロ孔は孔径2nm未満の細孔、メソ孔は孔径2nm以上、50nm未満の細孔、マクロ孔は50nm以上の細孔を意味する。
CNTの平均直径は、一般に0.1~50nmが好ましく、平均長さは1~50μmが好ましい。
平均アスペクト比(グラファイト円筒の直径に対するそれの長さの平均;長さ/直径)は、一般に100以上が好ましく、500以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、100000以下が好ましい。
なお、本明細書において、平均アスペクト比は、走査型電子顕微鏡により観察した、カーボンナノチューブの繊維長と繊維直径から、繊維長/繊維直径として算出される値を意味する。
本発明の実施形態の多孔炭素膜電極は、CNTと炭素粒子とからなり、メソ孔、及び、マクロ孔の細孔容積の合計(メソ孔の占める細孔容積と、マクロ孔の占める細孔容積との和)が、1.50~5.00cm3/gであり、単位質量あたりのマクロ孔の細孔容積の合計(マクロ孔の占める細孔容積)が、1.00~4.00cm3/gであり、BET法比表面積が、300~1600m2/gであり、tプロット法外部比表面積が、300~1600m2/gである。
以下、本発明の実施形態に係る多孔炭素膜電極(以下「本多孔炭素膜電極」ともいう。)の成分等について詳述する。
本多孔炭素膜電極中におけるCNTの含有量としては特に制限されないが、本多孔炭素膜電極の全質量を100質量%としたとき、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、40質量%以上が特に好ましい。上限は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%未満が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
CNTの平均アスペクト比が下限値以上であると、CNT同士の絡み合いがより強くなり、優れた強度を有する多孔炭素膜電極が得られる(言い換えれば、膜構造がより維持されやすい。)。
なかでも、リチウム空気電池の正極に適用したとき、電池がより優れた電池特性を有する点で、カーボンナノチューブとしては、SWNTが好ましい。
本多孔炭素膜電極中における炭素粒子の含有量としては特に制限されないが、多孔炭素膜電極の全質量を100質量%としたとき、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%が更に好ましく、40質量%以上が特に好ましい。上限は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
本多孔炭素膜電極についてラマン分光より得られる乱層構造炭素由来のピーク強度Dに対する、結晶構造炭素由来のピーク強度Gの強度比であるG/Dとしては特に制限されないが、より優れた成膜性が得られやすい点で、2.0以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、10.0以上が特に好ましく、19.0を超えるのが最も好ましい。
一方、細孔容積、及び、比表面積がより大きくなり、空気電池がより優れた本発明の効果を有しやすい点で、G/Dは、27.0以下が好ましく、26.0以下がより好ましく、25.0以下が更に好ましい。なお、G/Dは、小数第2位を四捨五入して求めるものとする。
本多孔炭素膜電極の単位質量あたりのメソ孔、及び、マクロ孔の細孔容積の合計(メソ孔の占める細孔容積とマクロ孔の占める細孔容積の合計)は、1.50~5.00cm3/gである。
メソ孔、及び、マクロ孔の細孔容積の合計が1.50cm3/g未満であると、過酸化リチウムを蓄えるための細孔容量が不十分となり、放電容量が小さくなる。また、空気又は酸素の透過拡散が不十分となり、電池外部から導入された空気又は酸素が正極にいきわたりにくくなる。また、Liイオンの移動が困難になり、結果として、高速での放電特性が劣る。
一方、多孔炭素膜のメソ孔の占める細孔容積とマクロ孔の占める細孔容積の合計が5.00cm3/gを超えると、多孔炭素膜電極の強度が低下してしまう。
なお、本明細書において、メソ孔、及び、マクロ孔の占める細孔容積は、窒素吸着測定より得られた吸着等温線からBJH法を用いて求めた値を意味する。なお、いずれも、小数第3位を四捨五入して求めるものとする。従って、メソ孔、及び、マクロ孔の細孔容積の合計は小数第2位までの数である。
本多孔炭素膜電極の単位質量あたりのマクロ孔の細孔容積の合計は、1.00~4.00cm3/gである。マクロ孔は、過酸化リチウムの生成スペースとしても働くが、酸素が透過拡散するのに特に有効となる。本多孔炭素膜電極は、マクロ孔の細孔容積の合計が所定の範囲内であるために、リチウムイオンが酸素と反応して過酸化リチウムを生成するにあたり、十分な量の酸素が侵入でき、しかも酸素侵入の抵抗が少なく、高速で侵入できる。そのため、本多孔炭素膜電極を適用した空気電池は、高電流密度での放電容量が大きい、すなわち高負荷特性に優れた電池となる。
また、充電においては、過酸化リチウムが電極に電子を渡して、Li(リチウム)イオンと酸素になるが、マクロ孔の細孔容積がこの範囲にあることで、発生した酸素が多孔炭素膜電極からの抜けやすくなり、高速での充電が可能となる。
一方、マクロ孔の占める細孔容積の合計が4.00cm3/gを超えると、多孔炭素膜電極の強度が低下する。
本多孔炭素膜電極は、BET法比表面積(BETは、Brunauer Emett Tellerの略である)が、300~1600m2/gである。BET法比表面積は、窒素吸着法で得られる、ミクロ孔、メソ孔、及び、マクロ孔を合わせた細孔の比表面積を表す。
BET法比表面積が300m2/g未満であると、リチウムイオンと酸素とが正極より電子を受け取って過酸化リチウムになる反応場が少なくなり、放電容量が小さくなる。一方、BET法比表面積が1600m2/gを超えると、多孔炭素膜電極の強度が低下する。
なお、BET法比表面積は小数第1位を四捨五入して求めるものとする。
本多孔炭素膜電極は、tプロット法外部比表面積が300~1600m2/gである。
tプロット法外部比表面積は、窒素吸着測定より得られた吸着等温線をもとに、窒素の吸着層の厚みを横軸、吸着量を縦軸にプロットしたグラフから求められる。そして、同じく窒素吸着測定より求めるBET法の比表面積からこのtプロット法外部比表面積を引いた数値がt-プロットミクロ孔比表面積と定義されている。tプロットミクロ孔で表される細孔は、孔径が小さいためリチウムイオンや酸素が侵入にくく、放電反応への寄与は限定的である。
本多孔炭素膜電極は、tプロット法外部比表面積が300m2/g以上であり、メソ孔、及び、マクロ孔の細孔容積の合計が、1.50~5.00cm3/gであるため、これらの相乗的な効果によって、空気電池に適用した際、その空気電池がより高い放電容量を有する。
一方、tプロット法外部比表面積が1600m2/gを超えると、相対的にミクロ孔が増加する傾向となるため、多孔炭素膜電極が、本発明の効果を有さなくなる。
なお、tプロット法外部比表面積は、小数第1位を四捨五入して求めるものとする。
本発明の一形態である多孔炭素膜電極は、カーボンナノチューブの絡み合いにより構成された「骨格」に炭素粒子が充填され、更に、それらの細孔特性を所定の範囲内に制御することによって、バインダーを含まなくても膜構造が維持される。これにより、空気電池に適用した際、より軽量化でき、構造もより簡素化できる。
多孔炭素膜電極の製造方法としては特に制限されず、カーボンナノチューブ、及び、炭素粒子、並びに、必要に応じて溶媒、及び、その他の成分を均一に混合し、例えば板状に成形すればよい。なお、電極の形状は、板状以外にも曲面を有する三次元形状であってもよく、その大きさも含めて、用途により任意に調整し得る。
(1)溶媒中に炭素粒子が分散された、炭素粒子分散液を準備すること
(2)炭素粒子分散液にカーボンナノチューブを分散させ、組成物を得ること
(3)組成物層を得ること
(4)組成物層を乾燥させ、多孔炭素膜電極を得ること
炭素粒子を溶媒に分散させる場合、その方法としては特に制限されない。最終的に多孔炭素膜電極中における炭素粒子の含有量が所定の量となるよう調整し、溶媒に炭素粒子を添加し、公知の方法で分散させればよい。分散方法としては例えば、超音波を照射する方法等が挙げられる。超音波の照射時間としては特に制限されないが、一般に、1分~1時間が好ましい。またその際の温度(液温)としては特に制限されず、10~50℃の範囲内に保持されるのが好ましい。
分散方法としては特に制限されないがメカニカルホモジナイザー、又は、超音波ホモジナイザーを用いることが好ましく、メカニカルホモジナイザーを用いた後、さらに超音波ホモジナイザーを用いることがより好ましい。
分散の時間としては特に制限されないが、一般に、0.1分~30分が好ましい。また、その際の温度(液温)としては特に制限されないが、一般に10~50℃の範囲内に保持されるのが好ましい。
組成物層を得る方法としては特に制限されないが、仮支持体の上に組成物を堆積させて濃縮する方法、及び、組成物を遠心分離して組成物層を得る方法等が挙げられる。
この際、組成物層の厚みとしては特に制限されないが、乾燥時の膜厚が、10~500μmとなるように調整されればよい。
仮支持体の孔径としては特に制限されないが、0.1~1.0μmが好ましく、厚みとしては、10~500μmが好ましい。
組成物層を乾燥させる方法としては特に制限されず、仮支持体を用いて組成物層を形成した場合には仮支持体と組成物層との積層体を加熱すればよいし、仮支持体を用いないで組成物層を形成した場合には、組成物層のみを加熱すればよい。なお、仮支持体を用いて組成物層を形成した場合であっても、仮支持体と組成物層を分離してから、組成物層のみを加熱してもよい。
図4は、本発明の実施形態に係る空気電池の模式的な断面図である。
空気電池600は、負極構造体610(構造は後述する。)と正極構造体620(構造は後述する。)とがセパレータ660を介して積層された積層体と、上記積層体を拘束する拘束具630とを有する、一般に「コインセル型」と呼ばれる空気電池である。
なお、拘束具630と金属メッシュ680との間には絶縁性のオーリングが配置され(図示なし)、拘束具630と正極構造体620との絶縁性が確保されている。
セパレータ660は、アルカリ金属イオン、及び/又は、アルカリ土類金属イオンを通過させることが可能な多孔質の絶縁体である。セパレータ660は、金属層640、及び、電解液との反応性を有さない任意の無機材料(金属材料を含む)、及び、有機材料である。
セパレータ660の素材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及び、ポリオレフィン等の樹脂、及び、ガラス等でよい。セパレータ660は、不織布であってもよい。
金属層640(リチウム金属)とスペーサ650とセパレータ660との間には、空間670が設けられている。
金属メッシュ680としては、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、及び、パラジウム(Pd)からなる群より選択される少なくとも1種の金属を有するメッシュが使用できる。すなわち、この群から選ばれる金属単体、この群から選ばれる金属を含む合金、この群から選ばれる金属と炭素(C)や窒素(N)などとの化合物からなるメッシュを挙げることができる。メッシュは、例えば、厚さ0.2mm、目開き1mmとすることができる。
以上の工程により、コインセル型の空気電池600が製造される。
なお、空気電池600は、正極構造体620として、多孔炭素膜電極690と、金属メッシュ680とを有しているが、本発明の空気電池は、上記に制限されず、正極構造体620として、多孔炭素膜電極690のみを有していてもよい。
本発明の空気電池500は、正極構造体510と負極構造体100とがセパレータ540を介して積層した積層構造を備える。積層数は、正極構造体510と負極構造体100とが各々1からなる1対を単位として、1対以上複数対でよく、対数に特段の上限はない。
一方、正極構造体510は、多孔炭素膜電極550と、ガス拡散層560とからなる一対の積層体と、上記積層体により挟まれる正極用集電体電極525から構成されている。なお、正極用集電体電極525側から、順に、ガス拡散層560、多孔炭素膜電極550が配置されている。
表1は、実験に使用した炭素材料と、その性状である。「ケッチェンブラック600-JD(商品名)」は、ライオン・スぺシャリーティー・ケミカルズ株式会社製であり、カーボンナノチューブは、株式会社名城ナノカーボン社製の商品名「eDIPS(EC2.0)」であり、「VGCF(商品名)」は、昭和電工株式会社製である。なお、表1中「-」はデータの無いことを表す。
ケッチェンブラック(600-JD)35質量部を、イソプロパノール(特級)100,000質量部を入れた容器に浸漬し、BRONSONホモジナイザー(ホーンチップを3/4インチ)にセットし、超音波強度を75%とし、5min間超音波をかけて分散処理をした。次いで、この容器にカーボンナノチューブを65質量部浸漬させ、回転式ホモジナイザー(SMT CO.LTDのHIGH-FLEX-HMOGENIZER HF93)で9000rpmで1min処理した。次に、別途準備したイソプロパノール(特級)100,000質量部を入れた容器に、炭素粒子とカーボンナノチューブが混合分散されたアルコール分散液を移し、BRONSONホモジナイザー(ホーンチップを3/4インチ)にセットし、超音波強度を75%とし、5min間超音波をかけて分散処理を行った。
ケッチェンブラック(600-JD)、及び、カーボンナノチューブの量を、表2記載の量としたこと以外は、多孔炭素膜電極1と同様にして、多孔炭素膜電極2~5を得た。
ケッチェンブラック(600-JD)に代えて、カーボンナノチューブを100質量部を用いたこと以外は、多孔炭素膜電極1と同様にして、多孔炭素膜電極7を得た。
カーボンナノチューブに代えて、昭和電工の「VGCF」(登録商標)を用いたこと以外は、多孔炭素膜電極3と同様にしたが、粉状となってしまい、膜を形成できなかった。表1に示したとおり、VGCFはアスぺクト比が40であり、カーボンナノチューブに該当しない。VGCFは繊維が太く、絡み合いが起きにくいため、バインダーを含まないと成膜ができないものと推測される。一方で、データは示さないが、バインダーを含有させると、所望の細孔特性を有する多孔炭素膜電極が調製できないことを本発明者は確認している。これは、VGCFの細孔容積が小さいために、細孔がバインダーによって埋められてしまうことによるものと推測される。
カーボンナノチューブ45質量部とケッチェンブラック45質量部に、バインダーとしてPVDF(ポリビニリデンフルオライド)10質量部を溶解させたNMP(N-メチルピロリドン)溶液100質量部を加え、更に溶剤としてN-メチルピロリドン追加していき、塗膜形成用のペースト作製を試みたが、カーボンナノチューブが溶剤を吸収してしまい、塗膜形成可能なペーストとすることができなかった。これは、非常に嵩高いカーボンナノチューブ特有の現象である。
なお、各成分の含有量は、膜中の各成分の含有量(固形分の含有量)である(表3、4において同様である。)。
表3は、作製した多孔炭素膜電極の性状である。なお、例10として、フタムラ化学株式会社製の活性炭素繊維織布の性状を載せているが、BET法比表面積の値はかなり大きいが、メソ孔とマクロ孔の比表面積を表すtプロット法外部比表面積が小さく、その分ミクロ孔比表面積がかなり大きいものとなっている。
レーザー式粒度分布計LA950V2(株式会社堀場製作所製)を用いて、分散媒にエタノールを使用し、循環速度3、超音波強度7で3min間分散後測定し、体積基準で積算50%の粒径値を用いた。
3Flex(Micromeritics Instrument Corp.製)を用いて窒素吸着法により得られた吸着等温線からBJH法を用い求め、細孔直径2nm~1000nmの範囲の細孔が占める細孔容積をメソ孔とマクロ孔の合計細孔容積、細孔直径2nm~50nmの範囲の細孔が占める細孔容積をメソ孔細孔容積とした。
3Flex(Micromeritics Instrument Corp.製)を用いて窒素吸着法により得られた吸着等温線からBET法に従って求めた。
3Flex(Micromeritics Instrument Corp.製)を用いて窒素吸着法により得られた吸着等温線をもとに、窒素の吸着層の厚みを横軸、吸着量を縦軸にプロットしたグラフよりtプロット法で求めた。
上記BET法の比表面積から上記tプロット法外部比表面積を減じた値を用いた。
ナノフォトン株式会社のTouch-VIS-NIRを用い、対物レンズ10倍、励起波長532nm、照射レザーパワー1mWで得られたラマンスペクトルの、結晶構造炭素由来のピーク強度G、乱層構造炭素由来のピーク強度Dとして、G/Dの値を用いた。
多孔炭素膜電極、及び、活性炭素繊維織布を、それぞれ直径(φ)16mmに打ち抜き重量(mg)を測定し、打ち抜いた多孔炭素膜電極、及び、活性炭素繊維織布の面積当たりの重量を目付(mg/cm2)とした。
作製した各多孔炭素膜電極を正極構造体として用い、図4のコインセル型の空気電池を作製して、電池特性を評価した。
測定には、充放電試験機(北斗電工株式会社製、HJ1001SD8)を用いた。表4はその結果である。なお、表4中「-」はデータの無いことを表す。
また、CNT含有量が、20質量%以上である、例2の多孔炭素膜電極は、例5の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、CNT含有量が、40質量%以上である、例2の多孔炭素膜電極は、例4の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、CNT含有量が、60質量%以下である、例2の多孔炭素膜電極は、例1の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、KBの含有量が、80質量%以下である、例2の多孔炭素膜電極は、例5の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、KBの含有量が、60質量%以下である、例2の多孔炭素膜電極は、例4の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、メソ孔及びマクロ孔の細孔容積の合計が、2.70cm3/g以上である、例2の多孔炭素膜電極は、例1の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、マクロ孔の細孔容積の合計が、1.80cm3/g以上である、例2の多孔炭素膜電極は、例1の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、BET法比表面積が865m2/g以上である、例2の多孔炭素膜電極は、例1の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、tプロット法外部比表面積が700m2/g以上である、例2の多孔炭素膜電極は、例1の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
また、G/Dが、19を超える、例2の多孔炭素膜電極は、例1の多孔炭素膜電極と比較して、高速での放電容量がより大きかった。
500:空気電池
510:正極構造体
520:負極用集電体電極
525:正極用集電体電極
540:セパレータ
550:多孔炭素膜電極
560:ガス拡散層
600:空気電池
610:負極構造体
620:正極構造体
630:拘束具
635:集電体
640:金属層
650:スペーサ
660:セパレータ
670:空間
680:金属メッシュ
690:多孔炭素膜電極
Claims (14)
- カーボンナノチューブと炭素粒子とからなり、
メソ孔、及び、マクロ孔の細孔容積の合計が、1.50~5.00cm3/gであり、
マクロ孔の細孔容積の合計が、1.00~4.00cm3/gであり、
BET法比表面積が、300~1600m2/gであり、
tプロット法外部比表面積が、300~1600m2/gである、空気電池の正極用多孔炭素膜電極。 - バインダーを含まずに、膜構造が維持されている、請求項1に記載の多孔炭素膜電極。
- 前記カーボンナノチューブ、及び、前記炭素粒子のみからなる、請求項1又は2に記載の多孔炭素膜電極。
- ラマン分光より得られる乱層構造炭素由来のピーク強度Dに対する、結晶構造炭素由来のピーク強度Gの強度比であるG/Dが、2.0~25.0である、請求項1又は2記載の多孔炭素膜電極。
- 前記G/Dが10.0~25.0である、請求項4に記載の多孔炭素膜電極。
- 前記カーボンナノチューブの平均アスペクト比が2000以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の多孔炭素膜電極。
- 前記カーボンナノチューブがシングルウォールカーボンナノチューブである、請求項1~6のいずれか1項に記載の多孔炭素膜電極。
- 全質量を100質量%としたとき、前記カーボンナノチューブの含有量が10~90質量%である、請求項1~7のいずれか1項に記載の多孔炭素膜電極。
- 前記カーボンナノチューブの含有量が20~70質量%である、請求項8に記載の多孔炭素膜電極。
- 前記カーボンナノチューブの含有量が40~60質量%である、請求項8に記載の多孔炭素膜電極。
- 前記炭素粒子がケッチェンブラックである、請求項1~10のいずれか1項に記載の多孔炭素膜電極。
- 全質量を100質量%としたとき、前記炭素粒子の含有量が、10~90質量%である、請求項1~11のいずれか1項に記載の多孔炭素膜電極。
- 前記炭素粒子の含有量が30~80質量%である、請求項12に記載の多孔炭素膜電極。
- 正極と、負極と、前記正極と負極との間に金属イオンを伝導可能な電解質とを備え、
前記正極が、請求項1~13のいずれか1項に記載の多孔炭素膜電極である、空気電池。
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JP2020151714A JP7497037B2 (ja) | 2020-09-10 | 2020-09-10 | 空気電池の正極用多孔炭素膜電極、及びそれを用いた空気電池 |
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