JP2022036063A - 酢酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アセトアルデヒドとヨウ化メチルを効率よく分離することができ、ヨウ化メチルの損失が低減された酢酸の製造方法を提供する。【解決手段】酢酸の製造プロセスにおいて、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含むプロセス流から、中心細孔径が0.3~5.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°であるシリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する膜分離工程を備える酢酸の製造方法。前記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度が0.1~99.9質量%、ヨウ化メチル濃度が0.01~99質量%であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本開示は、酢酸を製造する方法に関する。
酢酸の工業的製造法としてメタノール法カルボニル化プロセスが知られている。このプロセスでは、例えば、反応槽で、触媒の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させ、得られた反応混合物を蒸発槽で酢酸及び低沸成分を含む蒸気相と、酢酸及び触媒を含む残液相とに分離し、上記蒸気相を蒸留塔(脱低沸塔)で蒸留して低沸成分を含むオーバーヘッド流と酢酸流とに分離し、上記酢酸流をさらに精製することにより製品酢酸を得る。このプロセスでは、反応中にアセトアルデヒドが副生し、このアセトアルデヒドが製品酢酸の品質を低下させる原因となる。
そのため、上記脱低沸塔のオーバーヘッド流の凝縮液をデカンタで水相と有機相とに分液させ、そのうち水相又は有機相を脱アセトアルデヒド塔で蒸留し、そのオーバーヘッド流の凝縮液(アセトアルデヒドとヨウ化メチルを含む)を水で抽出し、さらに抽出により得られる水相を蒸留することによりアセトアルデヒドを分離除去している。
また、ヨウ化メチルは、メタノール法カルボニル化プロセスにおいて、ロジウム触媒などの金属触媒の助触媒として作用する有用な成分であり、高価でもある。このため、アセトアルデヒドから分離されたヨウ化メチルは、反応器にリサイクルされて反応工程で再利用されている。しかしながら、アセトアルデヒドとヨウ化メチルは沸点が近いため、アセトアルデヒドとヨウ化メチルを完全に分離することが困難であった。このため、分離できなかったヨウ化メチルはアセトアルデヒドと共に廃棄されていた。そして、ヨウ化メチルの損失を補うために、必要に応じてヨウ化メチルを製造し、新たにヨウ化メチルを反応器に追加する必要があり、作業負担が高い、コストが嵩むなどという問題があった。
アセトアルデヒドとヨウ化メチルを効率よく分離する方法としては、例えば、特許文献1~4に開示の方法が知られている。
国際公開第2017/057142号 特開2006-94764号公報 特開平9-40590号公報 特開平9-77697号公報
しかしながら、特許文献1~4に開示の方法によっても、アセトアルデヒドとヨウ化メチルを完全に分離することはできず、さらに効率よく分離することができる方法が望まれていた。
したがって、本開示の目的は、アセトアルデヒドとヨウ化メチルを効率よく分離することができ、ヨウ化メチルの損失が低減された酢酸の製造方法を提供することにある。
本開示の発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの混合物を、特定の分離膜を用いて分離を行うことで、アセトアルデヒドとヨウ化メチルを効率よく分離することができることを見出した。本開示は、これらの知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものに関する。
すなわち、本開示は、酢酸の製造プロセスにおいて、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含むプロセス流から、中心細孔径が0.3~5.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°であるシリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する膜分離工程を備えた酢酸の製造方法を提供する。
上記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度は0.1~99.9質量%、ヨウ化メチル濃度が0.01~99質量%であることが好ましい。
上記プロセス流中のアセトアルデヒドとヨウ化メチルの合計濃度は1質量%以上であることが好ましい。
上記酢酸の製造方法は、金属触媒及びヨウ化メチルを含む触媒系、並びに、酢酸、酢酸メチル、水の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程と、
上記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を、1以上の蒸発処理及び/又は蒸留処理に付して、金属触媒を含む流れと、酢酸に富む酢酸流と、上記酢酸流よりも低沸成分に富む流れとに分離する分離工程と、
上記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部から、1以上の蒸留処理によりアセトアルデヒドを分離するアセトアルデヒド分離除去システムとを備え、
上記アセトアルデヒド分離除去システムにおいて分離されたアセトアルデヒドに富む流れを上記プロセス流として上記膜分離工程に付すことが好ましい。
上記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れの一部を上記アセトアルデヒド分離除去システム内のプロセスにリサイクルすることが好ましい。
上記プロセス流は、上記アセトアルデヒド分離除去システム内において蒸留処理を行う蒸留塔のオーバーヘッド流を含むことが好ましい。
上記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れの一部を上記蒸留塔に還流することが好ましい。
上記アセトアルデヒド分離除去工程は、
上記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第1オーバーヘッド流と、残液流とを分離取得する蒸留工程(A1)と、
上記第1オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、抽出に付し、アセトアルデヒドに富む水相と、ヨウ化メチルに富む有機相とに分離する抽出工程(B1)と、
上記アセトアルデヒドに富む水相を、蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第2オーバーヘッド流と、水に富む残液流とを分離取得する蒸留工程(C1)と、を備え、
上記第2オーバーヘッド流及び/又は上記第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液を上記プロセス流として上記膜分離工程に付してもよい。
上記プロセス流は、上記第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液を含むことが好ましい。
上記膜分離工程において分離して得られた上記ヨウ化メチルに富む流れを、上記蒸留工程(A1)及び/又は上記抽出工程(B1)にリサイクルしてもよい。
上記アセトアルデヒド分離除去工程は、
上記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、蒸留に付し、蒸留塔内のヨウ化メチル及びアセトアルデヒドが濃縮される濃縮域から降下する液を側流として抜き取る蒸留工程(A2)と、
上記側流を水相と有機相とに分液させる分液工程(B2)と、
上記水相を蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流と水に富む缶出液とを分離取得する蒸留工程(C2)とを備え、
さらに、上記アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流を抽出蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第4オーバーヘッド流と水に富む缶出液とを分離取得する抽出蒸留工程(D2)を備えていてもよく、
上記第3オーバーヘッド流、上記第3オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液、上記第4オーバーヘッド流、及び上記第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液からなる群より選択される1以上の流れを上記プロセス流として上記膜分離工程に付してもよい。
上記プロセス流は、上記第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液を含むことが好ましい。
上記膜分離工程において分離して得られた上記ヨウ化メチルに富む流れを、上記蒸留工程(A2)にリサイクルしてもよい。
上記プロセス流は液体であることが好ましい。
上記膜分離工程によるヨウ化メチル回収率は1質量%以上であることが好ましい。
上記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れ中のヨウ化メチル濃度は、上記プロセス流中のヨウ化メチル濃度より高く、且つ1質量%以上であることが好ましい。
上記膜分離工程により分離取得されるアセトアルデヒドに富む流れ中のアセトアルデヒド濃度は、上記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度より高く、且つ、0.1質量%以上であることが好ましい。
上記シリカ膜は、多孔質基材の少なくとも一方の面に設けられていることが好ましい。
また、本開示は、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含む混合物から、中心細孔径が0.3~5.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°であるシリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する、アセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れを製造する方法を提供する。
上記混合物中のアセトアルデヒド濃度が0.1~99.9質量%、ヨウ化メチル濃度が0.01~99質量%であることが好ましい。
上記酢酸の製造方法によれば、アセトアルデヒドとヨウ化メチルを効率よく分離することができるため、ヨウ化メチルの損失を低減することができる。このため、反応工程に新たにヨウ化メチルを添加する作業負担も低減される。
膜分離工程の一例を示す概略フロー図である。 膜分離工程の他の例を示す概略フロー図である。 膜分離工程の他の例を示す概略フロー図である。 酢酸製造システムの一実施形態を示す製造フロー図である。 アセトアルデヒド分離除去システムの一例を示す概略フロー図である。 アセトアルデヒド分離除去システムの他の例を示す概略フロー図である。 アセトアルデヒド分離除去システムのさらに他の例を示す概略フロー図である。 アセトアルデヒド分離除去システムのさらに他の例を示す概略フロー図である。
本開示の一実施形態に係る酢酸の製造方法は、酢酸の製造プロセスにおいて、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含むプロセス流から、中心細孔径が0.3~5.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°であるシリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する膜分離工程を備える。
上記シリカ膜は、主にシリカを含む無機化合物から形成された多孔質膜であり、中心細孔径が0.3~5.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°である。上記シリカ膜は、主として、アセトアルデヒドを透過し、ヨウ化メチルを透過させずに濃縮する。すなわち、上記膜分離工程において分離取得される透過流は上記プロセス流(仕込流)よりもアセトアルデヒドに富む流れであり、分離取得される濃縮流は上記プロセス流(仕込流)よりもヨウ化メチルに富む流れである。これは、基本的に上記シリカ膜は中心細孔径が上記範囲内であることにより、分子ふるい機能によってアセトアルデヒドを透過させる。一方で、分子ふるい機能のみでは多くのヨウ化メチルも透過させることとなるはずであるが、上記シリカ膜は水接触角が上記範囲内であることにより表面が適度な親水性であるため、ヨウ化メチルを透過させにくいものと推測される。このようなシリカ膜の性能により、アセトアルデヒドとヨウ化メチルとを効率的に分離することができる。
上記シリカ膜は、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有していてもよい。すなわち、中心細孔径が0.3~5.0nmであり、表面の水接触角が0~70°であり、且つアミノ基及び/又はアンモニウム基(以下、「アミノ基等」と称する場合がある)を有するシリカ膜であってもよい。上記シリカ膜は中心細孔径が上記範囲内であることにより、分子ふるい機能によってアセトアルデヒドを透過させる。一方で、分子ふるい機能のみではヨウ化メチルも透過させることとなるが、上記シリカ膜は水接触角が上記範囲内であることにより表面が適度な親水性を示し、さらに、上記シリカ膜はアミノ基等を有することにより膜の表面が適度な親水性となることとから、ヨウ化メチルを透過させにくくなる。このようなシリカ膜の性能により、アセトアルデヒドとヨウ化メチルとをさらに効率的に分離することができる。
上記シリカ膜がアミノ基等を有する場合は、繰り返して使用してもその性能(分離能)が低下しにくい傾向があることから、酢酸の製造プロセスにおいて、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含むプロセス流から、アセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとをより効率的に分離取得することが可能となる。その理由は定かではないものの、従来のシリカ膜(その表面にアミノ基等を有さず、水酸基を有するシリカ膜)との対比により、以下に説明する。
従来のシリカ膜、例えば、その膜表面に水酸基を有し、アミノ基等を有しないシリカ膜は、上記シリカ膜と同様に分子ふるい機能を有し、表面が親水性であるという性質を備えるものではあるものの、繰り返して使用することでアセトアルデヒドの透過性が低減する傾向がある。その一方で、上記シリカ膜は性能の安定性が高く、繰り返して使用してもアセトアルデヒドの透過性が低減しにくいという特徴を備える。その理由は定かではないが、酢酸の製造プロセスにおける、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含むプロセス流には水酸基との反応性が高い成分が含まれている可能性があり、従来のシリカ膜では該成分との反応により水酸基が減少し、その結果、アセトアルデヒドの透過性が低減する可能性がある。その一方で、上記シリカ膜におけるアミノ基等は該成分との反応性が低いためか、性能の安定性が高く、繰り返して使用してもアセトアルデヒドの透過性は低減しないと考えられる。
上記シリカ膜がアミノ基等を有している場合、上記シリカ膜は、鎖中及び/又は末端に、アミノ基又はアンモニウム基を有する一価の有機基を有することが好ましい。上記アミノ基又はアンモニウム基を有する一価の有機基において、一価の有機基は特に限定されないが、例えば、環状アルキル基、直鎖アルキル基、又は分岐鎖アルキル基等のアルキル基や、酸素原子や硫黄原子等のヘテロ原子を介して2以上のアルキル基が結合した基、その他のポリマー鎖などが挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、より好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくは直鎖アルキル基である。また、上記一価の有機基の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~7である。なお、上記「鎖中及び/又は末端に」アミノ基又はアンモニウム基を有するとは、より具体的には、例えば、一価の有機基の鎖中に第二級アミノ基もしくはアンモニウム基、第三級アミノ基もしくはアンモニウム基、又は第四級アンモニウム基が介在すること、一価の有機基の鎖中の第二級炭素原子又は第三級炭素原子にアミノ基又はアンモニウム基が結合していること、一価の有機基の末端の炭素原子にアミノ基(-NH2;第一級アミノ基)又はアンモニウム基(-NH3 +;第一級アンモニウム基)が結合していることを意味する。
上記アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基のいずれであってもよい。上記アンモニウム基は、第一級アンモニウム基、第二級アンモニウム基、第三級アンモニウム基、第四級アンモニウム基のいずれであってもよい。上記アミノ基等は有機基が置換した置換アミノ基等であってもよい。また、無置換アミノ基等であってもよく、無置換アミノ基等を有するシリカ膜に対して有機物処理を施すことや、有機物の分離に使用することにより置換アミノ基等とすることができる。上記アミノ基等は、一種のみであってもよく、二種以上であってもよい。
上記置換アミノ基等が有する置換基は、一価の有機基であり、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1~8のアルキル基、より好ましくは炭素数1~6のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1~4のアルキル基)、アリール基(好ましくは炭素数6~14のアリール基、より好ましくは炭素数6~10のアリール基)、オキシアルキル基、オキシアリール基、又はこれらが結合した基が挙げられる。上記置換アミノ基等が複数の置換基を有する場合、上記複数の置換基は同一であってもよいし異なっていてもよい。
上記置換アミノ基等が有する置換基(一価の有機基)は、有機基以外の置換基を有していてもよい。上記有機基以外の置換基としては、スルホキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホリル基等の親水性基などが挙げられる。上記有機基以外の置換基を複数有する場合、上記複数の置換基は同一であってもよいし異なっていてもよい。
上記シリカ膜は、アミノ基等を有しない一価の有機基を含んでいてもよい。上記アミノ基等を有しない一価の有機基としては、例えば、アルキル基;アルキル基の末端にカルボキシ基、水酸基、又はメルカプト基を有する基;アルキル基の鎖中にエーテル結合、又はチオエーテル結合を有するものが挙げられる。上記アルキル基は特に限定されないが、例えば、環状アルキル基、直鎖アルキル基、又は分岐鎖アルキル基である。また、上記アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~7である。以下、シリカ膜が有するアミノ基等及びアミノ基等を有しない一価の有機基をまとめて一価の有機基と称することがある。
上記シリカ膜は、アミノ基等を有する親水性ポリマーに由来する構造又はアミノ基等を有するシランカップリング剤に由来する構造を有することが好ましい。すなわち、上記シリカ膜は上記親水性ポリマー又は上記シランカップリング剤によりアミノ基等が導入されたものであることが好ましい。言い換えると、上記シリカ膜は上記親水性ポリマー又はシランカップリング剤に由来するアミノ基等を有することが好ましい。上記親水性ポリマーは、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。また、上記シラカップリング剤は、一種のみであってもよいし、二種以上であってもよい。
上記シリカ膜が上記親水性ポリマーに由来する構造を有する場合、上記親水性ポリマーをシリカ膜に導入する際において、シリカ膜の表面に存在する水酸基が親水性ポリマーと反応する。このため、シリカ膜表面の水酸基の量を減らすことができ、アセトアルデヒドとヨウ化メチルとを含む混合溶液における、水酸基との反応性が高い成分と水酸基との反応が低減される。その一方で、上記親水性ポリマーに由来するアミノ基等が増大するため、シリカ膜の表面が適度な親水性を保つことができ、アセトアルデヒドとヨウ化メチルとを効率的に分離することができる。また、性能の安定性が高く、繰り返して使用してもアセトアルデヒドの透過性が低減しにくい。
上記親水性ポリマーは、ポリマー分子内にアミノ基等とシリカ膜との反応性を有する基とを有するポリマーであれば特に限定されないが、例えば、ベタインモノマーと、アルコキシシリル基含有化合物とを含むモノマー混合物のポリマーが挙げられる。上記ベタインモノマーとしては、例えば、スルホキシベタインモノマー、カルボキシベタインモノマー、及びホスホリルベタインモノマーが挙げられる。この様なポリマーとしては、分子末端にシラノール基を持ち、主骨格からアミノ基等の親水性基を持つ分子鎖が複数(2個以上であり、例えば、5個以上)伸びているポリマーが挙げられる。また、上記親水性ポリマーは、アミノ基等以外の親水性基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びスルホ基等を含んでいてもよい。上述のポリマーは分子末端のシラノール基によってシリカ膜の表面に存在する水酸基と反応し得る。上記親水性ポリマーとしては、例えば、大阪有機化学工業株式会社製「LAMBIC-771W」及び「LAMBIC-1000W」が挙げられる。
上記シリカ膜が上記親水性ポリマーに由来する構造を有する場合、上記シリカ膜は、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有する親水性ポリマーを、シラノール基を有するシリカ膜と脱水縮合反応させることによりに作製することができる。上記反応は、例えば、必要に応じて溶媒の存在下、親水性ポリマーを含む液体をシリカ膜表面に塗布し、80℃で0.1~5時間反応させて行うことができる。また、上記シリカ膜は、親水性ポリマーとの反応前に、シリカ膜に水蒸気の導入やプラズマ照射することにより水酸基を増加させる処理を行ってもよい。
上記シリカ膜が上記シランカップリング剤に由来する構造を有する場合、上記シランカップリング剤をシリカ膜に導入する際において、シリカ膜の表面に存在する水酸基がシランカップリング剤のアルコキシ基との脱水反応により縮合する。このため、シリカ膜表面の水酸基の量を減らすことができ、アセトアルデヒドとヨウ化メチルとを含む混合溶液における、水酸基との反応性が高い成分と水酸基との反応が低減される。その一方で、上記シランカップリング剤に由来するアミノ基等が増大するため、シリカ膜の表面が適度な親水性を保つことができ、アセトアルデヒドとヨウ化メチルとを効率的に分離することができる。また、性能の安定性が高く、繰り返して使用してもアセトアルデヒドの透過性が低減しにくい。
上記シランカップリング剤は、ケイ素原子にそれぞれ結合したアルコキシ基及び一価の有機基を含み、上記一価の有機基の少なくとも1つは、鎖中及び/又は末端に、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有する。すなわち、上記シランカップリング剤は、ケイ素原子に結合した、アルコキシ基と、アミノ基等を有する一価の有機基とを含み、さらにアミノ基等を有しない一価の有機基を含んでいてもよい。
上記アミノ基等を有する一価の有機基において、一価の有機基は特に限定されないが、例えば、環状アルキル基、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基等のアルキル基や、酸素原子や硫黄原子等のヘテロ原子を介して2以上のアルキル基が結合した基などが挙げられる。中でも、アルキル基が好ましく、より好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくは直鎖アルキル基である。また、上記一価の有機基の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~7である。
上記シランカップリング剤において、シランカップリング剤中の上記ケイ素原子と上記アミノ基及び/又は上記アンモニウム基中の窒素原子との間に存在する主鎖中の原子数は、1~8であることが好ましく、より好ましくは2~4である。上記主鎖の原子数が8以下(特に4以下)であると、細孔が小さくなるのを抑制し、またシリカ膜表面の親水性を適度なものとし、透過性がより良好となる。例えば、上記主鎖が二価の直鎖状炭化水素基である場合、上記主鎖の原子数は、炭素原子数と同じである。
上記アミノ基等を有する一価の有機基において、アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基のいずれであってもよい。また、アンモニウム基は、第一級アンモニウム基、第二級アンモニウム基、第三級アンモニウム基、第四級アンモニウム基のいずれであってもよい。上記アミノ基等は有機基が置換した置換アミノ基等であってもよい。また、無置換アミノ基等であってもよく、無置換アミノ基等を有するシリカ膜に対して有機物処理を施すことや、有機物の分離に使用することにより置換アミノ基等とすることができる。例えば、第一級アミノ基を有する一価の有機基に対し、ヨウ化メチル(MeI)溶液を通液すると、上記第一級アミノ基から第二級アミノ基や第一級アンモニウム基が生じる可能性があり、その他のアミノ基やアンモニウム基が生じる可能性もある。上記アミノ基は、一種のみであってもよく、二種以上であってもよい。
上記シランカップリング剤は、アミノ基等を有しない一価の有機基を含んでいてもよい。上記アミノ基等を有しない一価の有機基としては、例えば、アルキル基;アルキル基の末端にカルボキシ基、水酸基、又はメルカプト基を有する基;アルキル基の鎖中にエーテル結合、又はチオエーテル結合を有するものが挙げられる。上記アルキル基は特に限定されないが、例えば、環状アルキル基、直鎖アルキル基、又は分岐鎖アルキル基である。また、上記アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~7である。
上記シランカップリング剤が有するアルコキシ基は、一般式RO-(Rはアルキル基を示す。)で表される。上記Rとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐鎖アルキル基であることが好ましく、より好ましくは直鎖アルキル基である。上記Rとしてのアルキル基の炭素原子数(すなわち、アルコキシ基の炭素原子数)は特に限定されないが、1~10であることが好ましく、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~4、特に好ましくは1又は2である。シランカップリング剤が有するアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、及びt-ブトキシ基等が挙げられる。
上記シランカップリング剤は、好ましくは下記式で表される。
x-Si-R1 m(OR23-m
(R1は置換基を有していてもよい炭素原子数1~3のアルキル基を示す。R2は置換基を有していてもよい炭素原子数1~3のアルキル基を示す。RXは鎖中及び/又は末端に、アミノ基及び/又は上記アンモニウム基を有するアルキル基を示す。mは1~3の整数を表す。)
1及びR2においてアルキル基が有していてもよい置換基としては、シランカップリング剤の加水分解及び脱水縮合を妨げなければ特に限定されず、例えば、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数2~6のアルケニルオキシ基、炭素原子数2~6の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、ニトロ基、ニトロソ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホン酸基、第一級アミノ基等のアミノ基、カルボキシ基、水酸基、メルカプト基、及びハロゲン原子等が挙げられる。
Xのアミノ基等を有するアルキル基において、アルキル基は特に限定されないが、例えば、環状アルキル基、直鎖アルキル基、又は分岐鎖アルキル基が好ましくは、より好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくは直鎖アルキル基である。また、上記アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~7である。
上記RXのアミノ基等を有するアルキル基において、アミノ基等における窒素原子からSiまでの間の主鎖の原子数は、1~8であることが好ましく、より好ましくは2~4である。上記主鎖の原子数が8以下(特に4以下)であると、細孔が小さくなるのを抑制し、またシリカ膜表面の親水性を適度なものとし、透過性がより良好となる。
上記シランカップリング剤は、具体的には、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、トリメトキシ[3-(メチルアミノ)プロピル]シラン、[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン、N-[2-(N-ビニルベンジルアミノ)エチル]-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-[8-(トリメトキシシリル)オクチル]エタン-1,2-ジアミン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-ブタンアミン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、3-[(1,3-ジメチルブチリデン)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、及びN,N-ビス[(ジフェニルホスフィノ)メチル]-3-(トリエトキシシリル)プロピルアミンが挙げられる。これらのシランカップリング剤は、一種又は二種以上を使用してもよい。
上記シリカ膜において、上記アミノ基及び/又は上記アンモニウム基は、例えば、下記式(1)で表される基を介してシリカ膜を構成するケイ素原子に結合している。
-X-Si(-O-)3 (1)
[式(1)中、Xは二価の有機基を示し、Xの左に伸びる結合手は上記アミノ基又は上記アンモニウム基における窒素原子に結合し、Oの右に延びる結合手は、それぞれ、シリカ膜を構成するケイ素原子及び/又は他の式(1)で表される基におけるケイ素原子に結合している。]
上記X中の主鎖の原子数は、1~8であることが好ましく、より好ましくは2~4である。上記主鎖の原子数が8以下(特に4以下)であると、細孔が小さくなるのを抑制し、またシリカ膜表面の親水性を適度なものとし、透過性がより良好となる。
上記シリカ膜は、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有するシランカップリング剤を、シラノール基を有するシリカ膜と脱水縮合反応させることによりに作製することができる。上記脱水縮合反応は、例えば、シランカップリング剤を含む液体を布に染み込ませた後、シラノール基を有するシリカ膜に塗布し、110℃で0.5~1時間反応させて行うことができる。また、上記シラノール基を含むシリカ膜は、シランカップリング剤との反応前に、シリカ膜に水蒸気の導入やプラズマ照射することにより水酸基を増加させる処理を行ってもよい。
上記シリカ膜は、膜を形成する無機化合物として、金属酸化物を含んでいてもよい。上記金属酸化物としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシアなどが挙げられる。上記シリカ膜は、シリカと併用する金属酸化物の種類や割合、シリカ膜に対するプラズマ処理や有機官能基の表面への導入、オルガノシリカにおける有機官能基の種類や量などを調整することにより、膜細孔径を調整したり、表面の親水性や疎水性、水接触角などのシリカ膜の表面特性を調整することができる。
上記シリカ膜の中心細孔径は、0.3~5.0nmであり、好ましくは0.3~2.0nmであり、より好ましくは0.5~1.5nm、さらに好ましくは0.5nm超1.0nm以下である。また、シリカ膜がアミノ基等を有する場合、中心細孔径は、0.3~5.0nmであり、好ましくは0.5~5.0nmであり、より好ましくは0.8~4.0nm、さらに好ましくは1.0~3.0nmである。上記中心細孔径は、メディアン径(D50)であり、単成分ガス透過試験(H2、CO2、N2、CH4、CF4、SF6)又はナノパームポロメトリー法により測定される値とする。
上記シリカ膜表面の水接触角は、0~70°であり、好ましくは0~50°、より好ましくは0~40°である。シリカ膜がアミノ基等を有する場合、水接触角は、0~70°であり、好ましくは15~70°、より好ましくは20~70°である。水接触角が上記範囲内であることにより表面が適度な親水性を示すため、疎水性低分子が透過しにくくなり、分子サイズや物性(親水性)の異なる成分を含む混合溶液を効率よく分離することができる。
上記シリカ膜は、多孔質基材の少なくとも一方の面に設けられていることが好ましい。上記多孔質基材は、上記シリカ膜を支持するための基材として作用する。上記多孔質基材は、アセトアルデヒドを透過させることが可能な孔を有する。上記シリカ膜の厚さは、例えば0.1~10μm、好ましくは0.1~1μmである。
上記多孔質基材としては、公知乃至慣用のものを使用することができる。上記多孔質基材を構成する材質としては、例えば、シリカ、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、チタニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタン、セラミック等の無機物などが挙げられる。
上記膜分離工程に付すプロセス流は、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを少なくとも含む混合物であればよく、酢酸の製造プロセスにおける、全ての装置及び配管におけるプロセス流から選択される1以上のプロセス流である。また、上記プロセス流は、液体であっても気体であってもよい。
上記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度は、例えば、0.1質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上であってもよい。また、上記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度は、例えば、99.9質量%以下、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下であってもよい。
上記プロセス流中のヨウ化メチル濃度は、例えば、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上であってもよい。また、上記プロセス流中のヨウ化メチル濃度は、例えば、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、0.1質量%以下であってもよい。
上記プロセス流中のアセトアルデヒドとヨウ化メチルの合計濃度は、特に限定されないが、1質量%以上が好ましく、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、85質量%以上であってもよい。上記合計濃度は、例えば、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下であってもよい。
上記プロセス流は、アセトアルデヒド及びヨウ化メチル以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、酢酸の製造プロセスで生じ得る成分が挙げられ、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、ギ酸、プロピオン酸、クロトンアルデヒド、2-エチルクロトンアルデヒド、アルカン類、並びに、ヨウ化ヘキシル及びヨウ化デシル等のヨウ化アルキルなどが挙げられる。
上記プロセス流中の水濃度は、例えば、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上であってもよい。また、上記プロセス流中の水濃度は、例えば、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下であってもよい。
上記膜分離工程により得られる上記ヨウ化メチルに富む流れ中のヨウ化メチル濃度は、上記プロセス流中のヨウ化メチル濃度より高く、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上であってもよい。また、上記ヨウ化メチルに富む流れ中のヨウ化メチル濃度は、例えば、100質量%以下、90質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下であってもよい。
上記膜分離工程におけるヨウ化メチルの回収率([濃縮流中のヨウ化メチル流量/仕込流中のヨウ化メチル流量]×100)は、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上であってもよい。また、上記ヨウ化メチルの回収率は、例えば、100質量%以下、99.5質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下であってもよい。
上記膜分離工程により得られる上記アセトアルデヒドに富む流れ中のアセトアルデヒド濃度は、上記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度より高く、例えば、0.1質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上であってもよい。また、上記アセトアルデヒドに富む流れ中のアセトアルデヒド濃度は、例えば、100質量%以下、99.5質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下であってもよい。
上記膜分離工程におけるアセトアルデヒドの回収率([透過流中のアセトアルデヒド流量/仕込流中のアセトアルデヒド流量]×100)は、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、80質量%以上、90質量%以上であってもよい。また、上記アセトアルデヒドの回収率は、例えば、100質量%以下、99.5質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下であってもよい。
以下、上記膜分離工程の一実施形態について説明する。図1は、上記膜分離工程に付すプロセス流が気体(プロセスガス)である場合の本開示における上記膜分離工程の一実施形態を示す概略フロー図である。このフローによれば、例えば上記プロセスガスを膜分離工程に付す際、上記プロセスガスはライン60を通じて膜モジュール58に供給される。
膜モジュール58において上記膜分離工程が行われる。上記シリカ膜を備える膜モジュール58の透過側には、スイープガス70として窒素やヘリウムなどの不活性ガスが吹き込んでもよい。また、透過側を真空ポンプやエジェクターなどで減圧にしてもよい。これにより、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分圧差を大きくしてヨウ化メチルの回収率を向上させることができる。また、上記シリカ膜を透過する透過流の滞留を防ぐことができる。上記膜分離工程に仕込まれるプロセスガスの温度及び圧力は、プロセス流がガスの状態を維持できる範囲内であれば特に限定されない。
上記膜分離工程は、プロセスガスの温度が50~130℃(例えば60~120℃、好ましくは70~110℃、より好ましくは80~100℃)である状態で行われることが好ましい。また、上記膜分離工程は、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分圧差を大きくしてヨウ化メチルの回収率を向上させるため、加圧下で行われることが好ましく、その圧力は、絶対圧で、好ましくは140~300kPa、より好ましくは200~290kPa、さらに好ましくは260~280kPaである。上記温度範囲及び加圧下で上記膜分離工程を行うことにより、濃縮流と透過流とのアセトアルデヒドの分圧差を大きくしてアセトアルデヒドの透過度を上げることができ、アセトアルデヒドが上記シリカ膜を透過しやすく、より効率的にアセトアルデヒドとヨウ化メチルとを分離することができる。
上記膜分離工程において上記シリカ膜を透過せず濃縮して得られる、ヨウ化メチルに富む流れ(ライン61)は、コンデンサ61aで冷却・凝縮され、凝縮液として受器59に供給される。受器59中の液面が所定の液面を超えたことを液面コントローラー59bが検知した際、バルブ65bを開けて、ポンプ63aにより、ライン63,64,65を通じてヨウ化メチルに富む流れ(ライン66)が得られる。回収された上記ヨウ化メチルに富む流れ(ライン66)は、ライン60を通して送られる上記プロセスガスを排出するユニット(例えば、後述の蒸留塔93、蒸留塔98などの蒸留塔)からの留出液として処理してもよい。59aはコンデンサ61aの温度コントローラーである。65aはライン65を通過する液の流量計である。
上記シリカ膜を透過せず濃縮したヨウ化メチルに富む流れは、直接的又は間接的に反応工程にリサイクルされ、反応工程において助触媒として再利用することができる。上記ヨウ化メチルに富む流れ(ライン66)は、後述のアセトアルデヒド分離除去システム内のプロセスにリサイクルすることが好ましく、後述の蒸留塔91の仕込流(ライン117)、抽出塔92の仕込流(ライン118)、又は蒸留塔94の仕込流(ライン228)にリサイクルすることがより好ましい。
また、受器59からのヨウ化メチルに富む流れ(ライン63)は、バルブ67bを開くことによりライン67を通して回収してもよい。回収された上記ヨウ化メチルに富む流れ(ライン67)は、ライン60を通して送られる上記プロセスガスを排出するユニット(例えば、後述の蒸留塔93、蒸留塔98などの蒸留塔)に還流してもよい。67aはライン67を通過する液の流量計である。
また、受器59内で発生したガスはライン68を通じてライン71に合流させる。圧力計60aの値に応じてバルブ69aを開き、ライン68,71を通じてライン69から排出される。なお、膜モジュール58において、上記シリカ膜を透過しなかったガスは直接ライン71を通じてライン69から排出されてもよい。ライン69から排出されたガスは、ヨウ化メチルを多く含むため、直接的又は間接的に反応工程、あるいはプロセスの適宜な箇所にリサイクルされ、再利用される。例えば、後述の蒸留塔3,5,6の排出ガスライン32,37,45にリサイクルすることができる。
一方、上記膜分離工程において上記シリカ膜を透過したアセトアルデヒドに富む流れは、ライン62を通じて焼却処理に付される。62aは流量計である。
以上のようにして、上記膜分離工程により、上記プロセスガス(ライン60)から、アセトアルデヒドに富む流れ(ライン62)とヨウ化メチルに富む流れ(ライン66,67,69)とに分離される。
上記膜分離工程の他の実施形態について説明する。図2は、上記膜分離工程に付すプロセス流が液体(プロセス液)である場合の本開示における上記膜分離工程の一実施形態を示す概略フロー図である。このフローによれば、例えば上記プロセス液を膜分離工程に付す際、上記プロセス液はライン60を通じて受器72に供給される。受器72中の液面が所定の液面を超えたことを液面コントローラー72aが検知した際、バルブ74bが開かれ、ポンプ74aにより受器72の缶出からライン74,75を通じて上記プロセス液が受器73に供給される。受器72中に発生したガス分は、ライン76を通じて後述のライン116又はライン227などに接続され、廃棄処分される。
受器73中のプロセス液は、ポンプ77aにより受器73の缶出からライン77,78を通じて膜モジュール58に供給される。その際、プロセス液は、温度コントローラー78aにより蒸気量が調整されたヒーター77bにより加熱される。また、このとき、受器73内でライン81を通じて供給される循環液が気化しない圧力を維持するために、圧力コントローラー73aによりバルブ79aを開け、ライン79から窒素を受器73に供給する。運転変調により圧力が必要以上に上昇する場合は受器73内のガス分を、バルブ85aを開けて、ライン85を通じて、後述のライン116又はライン227などに接続され、廃棄処分される。
膜モジュール58において上記膜分離工程が行われる。上記シリカ膜を備える膜モジュール58の透過側には、スイープガス70として窒素やヘリウムなどの不活性ガスを吹き込んでもよい。また、透過側を真空ポンプやエジェクターなどで減圧にしてもよい。これにより、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分圧差を大きくしてヨウ化メチルの回収率を向上させることができる。また、上記シリカ膜を透過する透過流の滞留を防ぐことができる。上記膜分離工程に仕込まれるプロセスガスの温度及び圧力は、プロセス流が液の状態を維持できる範囲内であれば特に限定されない。
上記膜分離工程は、プロセス液の温度が10~180℃(例えば20~150℃、好ましくは30~130℃、より好ましくは50~110℃、さらに好ましくは70~90℃)である状態で行われることが好ましい。また、上記膜分離工程は、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分圧差を大きくしてヨウ化メチルの回収率を向上させるため、加圧下で行われることが好ましく、その圧力は、絶対圧で、好ましくは110~2000kPa、より好ましくは200~1800kPa、さらに好ましくは300~1500kPa、さらに好ましくは400~1200kPa、特に好ましくは600~1000kPaである。上記温度範囲及び加圧下で上記膜分離工程を行うことにより、濃縮流の温度を上げることや、濃縮流と透過流とのアセトアルデヒドの分圧差を大きくすることで、アセトアルデヒドの透過度や透過量を増やすことができ、アセトアルデヒドが上記シリカ膜を透過しやすく、より効率的にアセトアルデヒドとヨウ化メチルとを分離することができる。
上記シリカ膜を透過せず濃縮して得られるヨウ化メチルに富む流れ(ライン80)の一部は、受器73中の液面が所定の液面を超えたことを液面コントローラー73bが検知した際、流量コントローラー82aで流量を調整しつつ、バルブ82cを開けてライン82,83を通じてヨウ化メチルに富む流れが回収される。ライン82,83を通過する際、上記ヨウ化メチルに富む流れはコンデンサ82bにより冷却される。膜モジュール58に流れる量を多くして膜分離の効率(透過度)を上げるために、ライン81を通じてライン80の流れを受器73に戻す。82dはクーラー82bの温度コントローラーであり冷却水流量を調整する。
上記シリカ膜を透過せず濃縮したヨウ化メチルに富む流れは、直接的又は間接的に反応工程にリサイクルされ、反応工程において助触媒として再利用することができる。上記ヨウ化メチルに富む流れ(ライン83)は、後述のアセトアルデヒド分離除去システム内のプロセスにリサイクルすることが好ましく、後述の蒸留塔91の仕込流(ライン117)、抽出塔92の仕込流(ライン118)、又は蒸留塔94の仕込流(ライン228)にリサイクルすることがより好ましい。また、上記ヨウ化メチルに富む流れ(ライン83)は、ライン60を通して送られる上記プロセスガスを排出するユニット(例えば、後述の蒸留塔93、蒸留塔98などの蒸留塔)に還流してもよい。
一方、上記シリカ膜を透過して分離されたアセトアルデヒドに富む流れはそのままライン84を通じて焼却処理に付される。
以上のようにして、上記膜分離工程により、上記プロセス液(ライン60)から、アセトアルデヒドに富む流れ(ライン84)とヨウ化メチルに富む流れ(ライン83)とに分離される。
上記膜分離工程のさらに他の実施形態について説明する。図3は、上記膜分離工程に付すプロセス流が液体(プロセス液)である場合の本開示における上記膜分離工程の一実施形態を示す概略フロー図である。このフローによれば、例えば上記プロセス液を膜分離工程に付す際、上記プロセス液はライン60を通じて受器73に供給される。受器73中のプロセス液は、ポンプ77aにより受器73の缶出からライン77,78を通じて膜モジュール58に供給される。その際、受器73中の液面が所定の液面を超えたことを液面コントローラー73bが検知した際、ポンプ77aのインバータ調節により膜モジュール58への供給量は調整される。また、プロセス液は、温度コントローラー78aにより蒸気量が調整されたヒーター77bにより加熱される。受器73中に発生したガス分は、ライン76を通じて後述のライン116又はライン227などに接続され、廃棄処分される。
膜モジュール58において上記膜分離工程が行われる。上記シリカ膜を備える膜モジュール58の透過側には、スイープガス70として窒素やヘリウムなどの不活性ガスを吹き込んでもよい。また、透過側を真空ポンプやエジェクターなどで減圧にしてもよい。これにより、アセトアルデヒドの分圧差を大きくしてヨウ化メチルの回収率を向上させることができる。また、上記シリカ膜を透過する透過流の滞留を防ぐことができる。上記膜分離工程に仕込まれるプロセスガスの温度及び圧力は、プロセス流が液の状態を維持できる範囲内であれば特に限定されない。
上記シリカ膜を透過せず濃縮して得られるヨウ化メチルに富む流れ(ライン80)において、気化しない圧力を維持するために、圧力コントローラー82aによりバルブ82cを調節し、ライン82,83を通じてヨウ化メチルに富む流れが回収される。ライン82,83を通過する際、上記ヨウ化メチルに富む流れはコンデンサ82bにより冷却される。82dはクーラー82bの温度コントローラーであり冷却水流量を調整する。
上記膜分離工程は、プロセス液の温度が10~180℃(例えば20~150℃、好ましくは30~130℃、より好ましくは50~110℃、さらに好ましくは70~90℃)である状態で行われることが好ましい。また、上記膜分離工程は、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分圧差を大きくしてヨウ化メチルの回収率を向上させるため、加圧下で行われることが好ましく、その圧力は、絶対圧で、好ましくは110~2000kPa、より好ましくは200~1800kPa、さらに好ましくは300~1500kPa、さらに好ましくは400~1200kPa、特に好ましくは600~1000kPaである。上記温度範囲及び加圧下で上記膜分離工程を行うことにより、濃縮流と透過流とのアセトアルデヒドの分圧差を大きくしてアセトアルデヒドの透過度を上げることができ、アセトアルデヒドが上記シリカ膜を透過しやすく、より効率的にアセトアルデヒドとヨウ化メチルとを分離することができる。
上記シリカ膜を透過せず濃縮したヨウ化メチルに富む流れは、直接的又は間接的に反応工程にリサイクルされ、反応工程において助触媒として再利用することができる。上記ヨウ化メチルに富む流れ(ライン83)は、後述のアセトアルデヒド分離除去システム内のプロセスにリサイクルすることが好ましく、後述の蒸留塔91の仕込流(ライン117)、抽出塔92の仕込流(ライン118)、又は蒸留塔94の仕込流(ライン228)にリサイクルすることがより好ましい。また、上記ヨウ化メチルに富む流れ(ライン83)は、ライン60を通して送られる上記プロセスガスを排出するユニット(例えば、後述の蒸留塔93、蒸留塔98などの蒸留塔)に還流してもよい。
一方、上記シリカ膜を透過して分離されたアセトアルデヒドに富む流れはそのままライン84を通じて焼却処理に付される。
以上のようにして、上記膜分離工程により、上記プロセス液(ライン60)から、アセトアルデヒドに富む流れ(ライン84)とヨウ化メチルに富む流れ(ライン83)とに分離される。
なお、上記膜分離工程は、酢酸の製造プロセス中における一工程として説明したが、このような態様に限定されず、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含む混合物から、上記シリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分離方法、あるいは、アセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れの製造方法として行うことができる。本分離方法および製造方法における好ましい態様は、上記膜分離工程において説明される態様と同様である。
また、それぞれの実施形態において、膜モジュール58にメタノール、酢酸メチル、酢酸、水などの溶媒を通液もしくは膜モジュール58をそれらの溶媒に浸漬させることで、膜性能が低下した場合でも膜性能を回復させることができる。膜モジュール58への溶媒通液はポンプなどを用いた外部循環であってもよく、かけ流し洗浄であってもよい。膜モジュール58の溶媒への浸漬は膜モジュールに溶媒を張り込み、静置させることで行ってもよい。また、溶媒を加熱することで詰まりをより効率的に除去することができる。
上記酢酸の製造方法においては、酢酸の製造プロセスが、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程と、上記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を、1以上の蒸発処理及び/又は蒸留処理に付して、少なくとも、金属触媒を含む流れと、酢酸に富む酢酸流と、上記酢酸流よりも低沸成分に富む流れとに分離する分離工程と、を有していてもよい。上記カルボニル化反応工程は、例えば、金属触媒及びヨウ化メチルを含む触媒系の存在下で行う。上記カルボニル化反応工程は、さらに、酢酸、酢酸メチル、及び水の存在下で行ってもよい。上記分離工程は、例えば、上記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を蒸発により少なくとも蒸気流と残液流とに分離する蒸発工程と、上記蒸気流を蒸留に付して、少なくとも、低沸成分に富むオーバーヘッド流と、酢酸に富む第1酢酸流とを分離取得する脱低沸工程と、を有することが好ましい。上記第1酢酸流は、サイドカット流であってもよく、塔底流であってもよく、両方であってもよい。上記脱低沸工程では、上記蒸気流を蒸留に付して、低沸成分に富むオーバーヘッド流と、酢酸に富む第1酢酸流(サイドカット流)と、塔底流とに分離することが好ましい。また、上記分離工程は、上記第1酢酸流を蒸留に付して、少なくとも水に富むオーバーヘッド流と、第1酢酸流よりも酢酸が富化された第2酢酸流とを分離取得する脱水工程を有していてもよい。
なお、上記分離工程は、上記蒸発工程及び脱低沸工程に代えて、上記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を、上記触媒を含む流れと、上記低沸成分に富むオーバーヘッド流と、酢酸に富む第1酢酸流とに分離する工程(蒸発脱低沸工程)を備えていてもよい。また、上記分離工程は、上記脱低沸工程及び脱水工程に代えて、上記脱水工程の機能も備えた脱低沸工程(いわゆる脱低沸脱水工程)、すなわち、上記蒸気流を蒸留に付して、低沸成分に富むオーバーヘッド流と、上記第2酢酸流と同等の水濃度まで脱水された酢酸流とに分離する工程を備えていてもよい。よって、上記蒸発脱低沸工程は、上記脱水工程の機能も備えた工程(蒸発脱低沸脱水工程)であってもよい。脱低沸脱水工程及び蒸発脱低沸脱水工程から得られる酢酸に富む酢酸流は、上記第2酢酸流に相当する。
また、上記酢酸の製造方法は、さらに下記(a)~(c)の少なくとも1つの工程を有していてもよい。
(a)上記分離工程で得られた酢酸に富む酢酸流(例えば、上記第1若しくは第2酢酸流を蒸留して、高沸成分に富む缶出流と、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第3酢酸流とに分離する脱高沸工程
(b)上記分離工程で得られた酢酸に富む酢酸流(例えば、上記第1若しくは第2酢酸流)若しくは第3酢酸流をイオン交換樹脂で処理して第4酢酸流を得る吸着除去工程
(c)上記分離工程で得られた酢酸に富む酢酸流(例えば、上記第1若しくは第2酢酸流)若しくは第3若しくは第4酢酸流を蒸留して、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第5酢酸流を得る製品工程
また、上記酢酸の製造方法は、上記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部から、1以上の蒸留処理によりアセトアルデヒドを分離するアセトアルデヒド分離除去システムを有していてもよい。また、上記アセトアルデヒド分離除去システムは、上記1以上の蒸留処理により分離されたアセトアルデヒドの少なくとも一部から、1以上の抽出処理によりアセトアルデヒドを含む水相を分離する抽出工程を含んでいてもよい。
上記酢酸の製造方法においては、上記アセトアルデヒド分離除去システムにおける蒸留処理において分離されたアセトアルデヒドに富む流れ、及び/又は、当該アセトアルデヒドに富む流れを抽出処理において分離されたアセトアルデヒドを含む水層を上記プロセス流として上記膜分離工程に付すことが好ましい。特に、上記プロセス流は、上記蒸留処理を行う蒸留塔のオーバーヘッド流であることが好ましい。そして、上記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れの少なくとも一部は、上記アセトアルデヒド分離除去システム内のプロセスにリサイクルすることが好ましく、上記蒸留塔(すなわち、上記プロセス流を排出する蒸留塔)にリサイクルすることが特に好ましい。
以下、上記膜分離工程を備える酢酸の製造方法の一実施形態について説明する。図4は、酢酸製造システムの一実施形態を示す製造フロー図(メタノール法カルボニル化プロセス)の一例である。この酢酸製造フローに係る酢酸製造装置は、反応槽1と、蒸発槽2と、蒸留塔3と、デカンタ4と、蒸留塔5と、蒸留塔6と、イオン交換樹脂塔7と、スクラバーシステム8と、アセトアルデヒド分離除去システム9と、コンデンサ1a,2a,3a,5a,6aと、熱交換器2bと、リボイラー3b,5b,6bと、ライン11~56、ポンプ57とを備え、酢酸を連続的に製造可能に構成されている。
本実施形態の酢酸の製造方法では、反応槽1、蒸発槽2、蒸留塔3、蒸留塔5、蒸留塔6、及びイオン交換樹脂塔7において、それぞれ、反応工程、蒸発工程(フラッシュ工程)、第1蒸留工程、第2蒸留工程、第3蒸留工程、及び吸着除去工程が行われる。第1蒸留工程は脱低沸工程、第2蒸留工程は脱水工程、第3蒸留工程は脱高沸工程ともいう。なお、本実施形態において、工程は上記に限らず、特に、蒸留塔5、蒸留塔(脱高沸塔)6、イオン交換樹脂塔7、アセトアルデヒド分離除去システム9(脱アセトアルデヒド塔など)の設備は付帯しない場合がある。また、後述するように、イオン交換樹脂塔7の下流に製品塔を設けてもよい。
反応槽1は、反応工程を行うためのユニットである。この反応工程は、下記の化学式(1)で示される反応(メタノールのカルボニル化反応)によって酢酸を連続的に生成させるための工程である。酢酸製造装置の定常稼働状態において、反応槽1内には、例えば撹拌機によって撹拌されている反応混合物が存在する。反応混合物は、原料であるメタノール及び一酸化炭素と、金属触媒と、助触媒と、水と、製造目的である酢酸と、各種の副生成物とを含み、液相と気相とが平衡状態にある。
CH3OH + CO → CH3COOH (1)
反応混合物中の原料は、液体状のメタノール及び気体状の一酸化炭素である。メタノールは、メタノール貯留部(図示略)からライン11を通じて反応槽1に連続的に供給される。一酸化炭素は、一酸化炭素貯留部(図示略)からライン12を通じて反応槽1に連続的に供給される。一酸化炭素は必ずしも純粋な一酸化炭素でなくてもよく、例えば窒素、水素、二酸化炭素、酸素等の他のガスが少量(例えば5質量%以下、好ましくは1質量%以下)含まれていてもよい。
反応混合物中の金属触媒は、メタノールのカルボニル化反応を促進するためのものであり、例えばロジウム触媒やイリジウム触媒を使用することができる。ロジウム触媒としては、例えば、化学式[Rh(CO)22-で表されるロジウム錯体を使用することができる。イリジウム触媒としては、例えば化学式[Ir(CO)22-で表されるイリジウム錯体を使用することができる。金属触媒としては金属錯体触媒が好ましい。反応混合物中の触媒の濃度(金属換算)は、反応混合物の液相(反応混合液)全体に対して、例えば200~10000質量ppmであり、好ましくは300~5000質量ppm、さらに好ましくは400~2500質量ppmである。
助触媒は、上述の触媒の作用を補助するためのヨウ化物であり、例えば、ヨウ化メチルやイオン性ヨウ化物が使用される。ヨウ化メチルは、上述の触媒の触媒作用を促進する作用を示し得る。ヨウ化メチルの濃度は、反応混合物の液相全体に対して例えば1~20質量%であり、好ましくは5~15質量%である。イオン性ヨウ化物は、反応液中でヨウ化物イオンを生じさせるヨウ化物(特に、イオン性金属ヨウ化物)であり、上述の触媒を安定化させる作用や、副反応を抑制する作用を示し得る。イオン性ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属ヨウ化物などが挙げられる。反応混合物中のイオン性ヨウ化物の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば1~25質量%であり、好ましくは5~20質量%である。また、例えばイリジウム触媒などを用いる場合は、助触媒として、ルテニウム化合物やオスミウム化合物を用いることもできる。これらの化合物の使用量は総和で、例えばイリジウム1モル(金属換算)に対して、0.1~30モル(金属換算)、好ましくは0.5~15モル(金属換算)である。
反応混合物中の水は、メタノールのカルボニル化反応の反応機構上、酢酸を生じさせるのに必要な成分であり、また、反応系の水溶性成分の可溶化のためにも必要な成分である。反応混合物中の水の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば0.1~15質量%であり、好ましくは0.5~10質量%、より好ましくは1~6質量%、さらに好ましくは1.5~4質量%である。水濃度は、酢酸の精製過程での水の除去に要するエネルギーを抑制して酢酸製造の効率化を進める観点では15質量%以下が好ましい。水濃度を制御するために、反応槽1に対して水を連続的に供給してもよい。
反応混合物中の酢酸は、酢酸製造装置の稼働前に反応槽1内に予め仕込まれた酢酸、及び、メタノールのカルボニル化反応の主生成物として生じる酢酸を含む。このような酢酸は、反応系では溶媒として機能し得る。反応混合物中の酢酸の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば50~90質量%であり、好ましくは60~80質量%である。
反応混合物に含まれる主な副生成物としては、例えば酢酸メチルが挙げられる。この酢酸メチルは、酢酸とメタノールとの反応によって生じ得る。反応混合物中の酢酸メチルの濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば0.1~30質量%であり、好ましくは1~10質量%である。
反応混合物に含まれる副生成物としては、ヨウ化水素も挙げられる。このヨウ化水素は、上述のような触媒や助触媒が使用される場合、メタノールのカルボニル化反応の反応機構上、不可避的に生じることとなる。反応混合物中のヨウ化水素の濃度は、反応混合物の液相全体に対して、例えば0.01~2質量%である。
また、副生成物としては、例えば、水素、メタン、二酸化炭素、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、2-エチルクロトンアルデヒド、ジメチルエーテル、アルカン類、ギ酸、及びプロピオン酸、並びに、ヨウ化ヘキシル及びヨウ化デシル等のヨウ化アルキルなどが挙げられる。また、反応混合物には、装置の腐食により生じる鉄、ニッケル、クロム、マンガン、モリブデンなどの金属(以下、「腐食性金属」と称する場合がある)、及びその他の金属としてコバルトや亜鉛、銅などが含まれ得る。上記腐食性金属とその他の金属とを併せて「腐食金属等」と称する場合がある。
以上のような反応混合物が存在する反応槽1内において、反応温度は例えば150~250℃に設定され、全体圧力としての反応圧力は例えば1.5~3.5MPa(絶対圧)に設定され、一酸化炭素分圧は、例えば0.4~1.8MPa(絶対圧)、好ましくは0.6~1.6MPa(絶対圧)、さらに好ましくは0.9~1.4MPa(絶対圧)に設定される。
装置稼働時の反応槽1内の気相部の蒸気には、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸、及びプロピオン酸などが含まれる。この蒸気は、反応槽1内からライン13を通じて抜き取ることが可能である。蒸気の抜き取り量の調節によって、反応槽1内の圧力を制御することが可能であり、例えば、反応槽1内の圧力は一定に維持される。反応槽1内から抜き取られた蒸気は、コンデンサ1aへと導入される。
コンデンサ1aは、反応槽1からの蒸気を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸、及びプロピオン酸などを含み、コンデンサ1aからライン14を通じて反応槽1へと導入され、リサイクルされる。ガス分は、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などを含み、コンデンサ1aからライン15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。
なお、図4では、コンデンサ2aからのガス分(ライン20)、コンデンサ3aからのガス分(ライン32)、コンデンサ5aからのガス分(ライン37)、及びコンデンサ6aからのガス分(ライン45)が全てライン15に合流してスクラバーシステム8へ供給されているが、コンデンサ1aからのガス分のみをライン15を通じてスクラバーシステム8に供給されてもよく、そしてコンデンサ3a,5a,6aからのガス分(ライン32,37,45)は全てライン20に合流してスクラバーシステム8に供給されてもよい。
装置稼働時の反応槽1内では、上述のように、酢酸が連続的に生成する。そのような酢酸を含む反応混合物が、連続的に、反応槽1内から抜き取られてライン16を通じて次の蒸発槽2へと導入される。
蒸発槽2は、蒸発工程(フラッシュ工程)を行うためのユニットである。この蒸発工程は、ライン16(反応混合物供給ライン)を通じて蒸発槽2に連続的に導入される反応混合物を、部分的に蒸発させることによって蒸気流(揮発相)と残液流(低揮発相)とに分けるための工程である。
反応混合物を加熱することなく圧力を減じることによって蒸発を生じさせてもよいし、反応混合物を加熱しつつ圧力を減じることによって蒸発を生じさせてもよい。蒸発工程において、蒸気流の温度は例えば100~260℃、好ましくは120~200℃であり、残液流の温度は例えば80~200℃、好ましくは100~180℃であり、槽内圧力は例えば50~1000kPa(絶対圧)である。
また、蒸発工程にて分離される蒸気流及び残液流の割合に関しては、質量比で、例えば10/90~50/50(蒸気流/残液流)である。本工程で生じる蒸気は、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸、及びプロピオン酸、並びに、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ヘキシル及びヨウ化デシル等のヨウ化アルキルなどを含み、蒸発槽2内からライン17(蒸気流排出ライン)に連続的に抜き取られる。
蒸発槽2内から抜き取られた蒸気流の一部はコンデンサ2aへと連続的に導入され、当該蒸気流の他の一部はライン21を通じて次の蒸留塔3へと連続的に導入される。上記蒸気流の酢酸濃度は、例えば40~85質量%(好ましくは50~85質量%)、より好ましくは50~75質量%(例えば55~75質量%)であり、ヨウ化メチル濃度は、例えば2~50質量%(好ましくは5~30質量%)、水濃度は、例えば0.2~20質量%(好ましくは1~15質量%)、酢酸メチル濃度は、例えば0.2~50質量%(好ましくは2~30質量%)である。なお、上記蒸気流のヨウ化ヘキシル濃度は、例えば0.1~10000質量ppb、通常0.5~1000質量ppbであり、1~100質量ppb(例えば2~50質量ppb)であることが多い。
本工程で生じる残液流は、反応混合物に含まれていた触媒及び助触媒(ヨウ化メチル、ヨウ化リチウムなど)や、本工程では揮発せずに残存する水、酢酸メチル、酢酸、ギ酸、及びプロピオン酸などを含み、ポンプ57を用い、連続的に蒸発槽2からライン18を通じて熱交換器2bへと導入される。熱交換器2bは、蒸発槽2からの残液流を冷却する。降温した残液流は、連続的に熱交換器2bからライン19を通じて反応槽1へと導入され、リサイクルされる。なお、ライン18とライン19とを併せて残液流リサイクルラインと称する。上記残液流の酢酸濃度は、例えば55~90質量%、好ましくは60~85質量%である。
コンデンサ2aは、蒸発槽2からの蒸気流を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸、及びプロピオン酸などを含み、コンデンサ2aからライン22,23を通じて反応槽1へと導入され、リサイクルされる。ガス分は、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などを含み、コンデンサ2aからライン20,15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。上述の反応工程での酢酸の生成反応は発熱反応であるところ、反応混合物に蓄積する熱の一部は、蒸発工程(フラッシュ工程)において、反応混合物から生じた蒸気に移行する。この蒸気のコンデンサ2aでの冷却によって生じた凝縮分が反応槽1へとリサイクルされる。すなわち、この酢酸製造装置においては、メタノールのカルボニル化反応で生じる熱がコンデンサ2aにて効率よく除去されることとなる。
蒸留塔3は、第1蒸留工程を行うためのユニットであり、本実施形態ではいわゆる脱低沸塔に位置付けられる。第1蒸留工程は、蒸留塔3に連続的に導入される蒸気流を蒸留処理して低沸成分を分離除去する工程である。より具体的には、第1蒸留工程では、上記蒸気流を蒸留して、ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドから選択された少なくとも一種の低沸成分に富むオーバーヘッド流と、酢酸に富む酢酸流とに分離する。
蒸留塔3は、例えば、棚段塔及び充填塔などの精留塔よりなる。蒸留塔3として棚段塔を採用する場合、その理論段は例えば5~50段であり、還流比は理論段数に応じて例えば0.5~3000である。蒸留塔3の内部において、塔頂圧力は例えば80~160kPaGに設定され、塔底圧力は、塔頂圧力より高く、例えば85~180kPaGに設定される。蒸留塔3の内部において、塔頂温度は、例えば、設定塔頂圧力での酢酸の沸点より低い温度であって90~130℃に設定され、塔底温度は、例えば、設定塔底圧力での酢酸の沸点以上の温度であって120~165℃(好ましくは125~160℃)に設定される。
蒸留塔3に対しては、蒸発槽2からの蒸気流がライン21を通じて連続的に導入され、蒸留塔3の塔頂部からは、オーバーヘッド流としての蒸気がライン24に連続的に抜き取られる。蒸留塔3の塔底部からは、缶出液がライン25に連続的に抜き取られる。3bはリボイラーである。蒸留塔3における塔頂部と塔底部との間の高さ位置からは、側流としての酢酸流(第1酢酸流;液体)がライン27より連続的に抜き取られる。
蒸留塔3の塔頂部から抜き取られる蒸気は、酢酸よりも沸点の低い成分(低沸点成分)を蒸留塔3からの上記缶出液及び側流と比較して多く含み、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などを含む。この蒸気には酢酸も含まれる。このような蒸気は、ライン24を通じてコンデンサ3aへと連続的に導入される。
コンデンサ3aは、蒸留塔3からの蒸気を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などを含み、コンデンサ3aからライン28を通じてデカンタ4へと連続的に導入される。デカンタ4に導入された凝縮分は水相(上相)と有機相(ヨウ化メチル相;下相)とに分液される。
水相には、水と、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などが含まれる。有機相には、例えば、ヨウ化メチルと、例えば、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などが含まれる。
本実施形態では、水相の一部はライン29を通じて蒸留塔3に還流され、水相の他の一部は、ライン29,30,23を通じて反応槽1に導入されてリサイクルされる。有機相の一部はライン31,23を通じて反応槽1に導入されてリサイクルされる。有機相の他の一部、及び/又は、水相の他の一部は、ライン31,50、及び/又は、ライン30,51を通じてアセトアルデヒド分離除去システム9に導入される。
アセトアルデヒド分離除去システム9を用いたアセトアルデヒド分離除去工程では、上記低沸成分に富むオーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部(例えば、有機相及び/又は水相)に含まれるアセトアルデヒドを公知の方法、例えば、蒸留、抽出、又はこれらの組み合わせにより分離除去する。分離されたアセトアルデヒドはライン53を通じて装置外へ排出される。また、有機相及び/又は水相に含まれる有用成分(例えば、ヨウ化メチルなど)は、ライン52,23を通じて反応槽1へとリサイクルされて再利用される。
図5はアセトアルデヒド分離除去システムの一例を示す概略フロー図である。このフローによれば、例えば上記有機相をアセトアルデヒド分離除去工程にて処理する場合は、有機相(仕込流)をライン101を通じて蒸留塔(第1脱アセトアルデヒド塔)91に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富む第1オーバーヘッド流(ライン102)と、ヨウ化メチルに富む残液流(ライン103)とを分離取得する(蒸留工程(A1))。上記第1オーバーヘッド流をコンデンサ91aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔91の塔頂部に還流させ(ライン104)、凝縮液の他の部分を抽出塔92に供給する(ライン105)。上記仕込流(ライン101)には、ライン117を通じて、上記膜分離工程により分離取得されたヨウ化メチルに富む流れを合流させてもよい。これにより、上記ヨウ化メチルに富む流れを蒸留工程(A1)にリサイクルすることができる。
上記抽出塔92に供給された凝縮液(仕込流)はライン109から導入された水によって抽出処理される(抽出工程(B1))。抽出処理により、アセトアルデヒドに富む水相(ライン107)と、ヨウ化メチルに富む有機相(ライン108)とに分離される。抽出処理により得られたアセトアルデヒドに富む水相(抽出液)はライン107を通じて蒸留塔(第2脱アセトアルデヒド塔)93に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富む第2オーバーヘッド流(ライン112)と水に富む残液流(ライン113)とを分離取得する(蒸留工程(C1))。そして、アセトアルデヒドに富む第2オーバーヘッド流をコンデンサ93aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔93の塔頂部に還流させ(ライン114)、凝縮液の他の部分は系外に排出する(ライン115)。上記抽出塔92への仕込流(ライン105)には、ライン118を通じて、上記膜分離工程により分離取得されたヨウ化メチルに富む流れを合流させてもよい。これにより、上記ヨウ化メチルに富む流れを抽出工程(B1)にリサイクルすることができる。また、上記ヨウ化メチルに富む流れを還流液として蒸留塔93に還流してもよい。
また、第1脱アセトアルデヒド塔91の缶出液であるヨウ化メチルに富む残液流、抽出塔92で得られたヨウ化メチルに富むラフィネート(ライン108)、及び第2脱アセトアルデヒド塔93の缶出液である水に富む残液流は、それぞれ、ライン103,111,113を通じて反応槽1へリサイクルされるか、あるいはプロセスの適宜な箇所にリサイクルされ、再利用される。例えば、抽出塔92で得られたヨウ化メチルに富むラフィネートはライン110を通じて蒸留塔91にリサイクルすることができる。113の液は、通常、排水として外部に排出される。コンデンサ91a、93aで凝縮しなかったガス(ライン106,116)はスクラバーシステム8で吸収処理されるか、あるいは廃棄処分される。
また、図5のフローにより上記水相をアセトアルデヒド分離除去工程にて処理する場合は、例えば、水相(仕込流)をライン101を通じて蒸留塔(第1脱アセトアルデヒド塔)91に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富む第1オーバーヘッド流(ライン102)と、水に富む残液流(ライン103)とを分離取得する(蒸留工程(A1))。上記第1オーバーヘッド流をコンデンサ91aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔91の塔頂部に還流させ(ライン104)、凝縮液の他の部分を抽出塔92に供給する(ライン105)。上記仕込流(ライン101)には、ライン117を通じて、上記膜分離工程により分離取得されたヨウ化メチルに富む流れを合流させてもよい。これにより、上記ヨウ化メチルに富む流れを蒸留工程(A1)にリサイクルすることができる。
上記抽出塔92に供給された凝縮液(仕込流)はライン109から導入された水によって抽出処理される(抽出工程(B1))。抽出処理により、アセトアルデヒドに富む水相(ライン107)と、ヨウ化メチルに富む有機相(ライン108)とに分離される。抽出処理により得られたアセトアルデヒドに富む水相(抽出液)はライン107を通じて蒸留塔(第2脱アセトアルデヒド塔)93に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富む第2オーバーヘッド流(ライン112)と水に富む残液流(ライン113)とを分離取得する。そして、アセトアルデヒドに富む第2オーバーヘッド流をコンデンサ93aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔93の塔頂部に還流させ(ライン114)、凝縮液の他の部分は系外に排出する(ライン115)。上記抽出塔92への仕込流(ライン105)には、ライン118を通じて、上記膜分離工程により分離取得されたヨウ化メチルに富む流れを合流させてもよい。これにより、上記ヨウ化メチルに富む流れを抽出工程(B1)にリサイクルすることができる。
また、第1脱アセトアルデヒド塔91の缶出液である水に富む残液流、抽出塔92で得られたヨウ化メチルに富むラフィネート(ライン108)、及び第2脱アセトアルデヒド塔93の缶出液である水に富む残液流は、それぞれ、ライン103,111,113を通じて反応槽1へリサイクルされるか、あるいはプロセスの適宜な箇所にリサイクルされ、再利用される。例えば、抽出塔92で得られたヨウ化メチルに富むラフィネートはライン110を通じて蒸留塔91にリサイクルすることができる。113の液は、通常、排水として外部に排出される。コンデンサ91a、93aで凝縮しなかったガス(ライン106,116)はスクラバーシステム8で吸収処理されるか、あるいは廃棄処分される。
アセトアルデヒドに富む第1オーバーヘッド流(ライン102)、当該第1オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液(ライン104,105)、抽出液(107)、アセトアルデヒドに富む第2オーバーヘッド流(ライン112)、及び当該第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液(ライン114,115)のうちの1以上は、アセトアルデヒドに富む流れであり、上記プロセス流として上記膜分離工程に付してもよい。中でも、ヨウ化メチルが充分に分離回収された後でありこれ以上蒸留塔の従来の精製ではヨウ化メチルの分離取得が困難であることから、上記膜分離工程に付すプロセス流は第2オーバーヘッド流及び/又は第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液であることが好ましく、上記シリカ膜がヨウ化メチルの回収率により優れる観点、設備数を比較的少なくすることができる観点からは、気体である第2オーバーヘッド流(特に、ライン112)が好ましい。ライン112は、蒸留工程(C1)のオーバーヘッド流である。また、アセトアルデヒドの分圧差を大きくできる観点からは、液体である第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液(特に、ライン115)が好ましい。
上記低沸成分に富むオーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部(例えば、有機相及び/又は水相)に含まれるアセトアルデヒドは、上記方法のほか、蒸留に付し、蒸留塔内のヨウ化メチル及びアセトアルデヒドが濃縮される濃縮域から降下する液を側流として抜き取る、抽出蒸留や共沸蒸留などを利用した蒸留工程(蒸留工程(A2))により分離除去することもできる。抽出蒸留の場合、具体的には、例えば、蒸留塔3の塔頂部から抜き取られる蒸気の凝縮液を分液させて得られた有機相及び/又は水相(仕込液)を蒸留(抽出蒸留)に付し、蒸留塔内のヨウ化メチル及びアセトアルデヒドが濃縮される濃縮域(例えば、塔頂から仕込液供給位置までの空間)に抽出溶媒(通常、水)を導入し、上記濃縮域から降下する液(抽出液)を側流(サイドカット流)として抜き取る。次に、この側流を水相と有機相とに分液させ(分液工程(B2))、上記水相を蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流と水に富む缶出液とを分離取得し(蒸留工程(C2))、アセトアルデヒドを系外に排出することができる。さらに、上記アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流を抽出蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第4オーバーヘッド流と水に富む缶出液とを分離取得し(抽出蒸留工程(D2))、アセトアルデヒドをさらに濃縮して系外に排出することもできる。
なお、蒸留塔内に比較的多くの水が存在する場合は、上記抽出溶媒を蒸留塔に導入することなく、上記濃縮域から降下する液を側流として抜き取ってもよい。例えば、この蒸留塔に上記濃縮域から降下する液を受けることのできるユニット(チムニートレイなど)を配設し、このユニットで受けた液を側流として抜き取ることができる。
抽出溶媒の導入位置は上記仕込液の供給位置よりも上方が好ましく、より好ましくは塔頂付近である。側流の抜き取り位置は、塔の高さ方向において、抽出溶媒の導入位置よりも下方であって、上記仕込液の供給位置よりも上方が好ましい。この方法によれば、抽出溶媒(通常、水)によって、ヨウ化メチルとアセトアルデヒドの濃縮物からアセトアルデヒドを高濃度に抽出できるとともに、抽出溶媒の導入部位とサイドカット部位との間を抽出域として利用するので、少量の抽出溶媒によりアセトアルデヒドを効率よく抽出できる。そのため、例えば、抽出蒸留による抽出液を蒸留塔(抽出蒸留塔)の塔底部から抜き取る方法と比較して蒸留塔の段数を大幅に低減できるとともに、蒸気負荷も低減できる。また、少量の抽出溶媒を用いて、上記図5の脱アルデヒド蒸留と水抽出とを組み合わせる方法よりも、水抽出液中のアセトアルデヒドに対するヨウ化メチルの割合(MeI/AD比)を小さくできるので、ヨウ化メチルの系外へのロスを抑制できる条件でアセトアルデヒドを除去可能である。
上記側流中のアセトアルデヒド濃度は、上記仕込液及び缶出液(塔底液)中のアセトアルデヒド濃度よりも格段に高い。また、上記側流中のヨウ化メチルに対するアセトアルデヒドの割合は、仕込液及び缶出液中のヨウ化メチルに対するアセトアルデヒドの割合よりも大きい。
なお、上記側流を分液させて得られる有機相(ヨウ化メチル相)をこの蒸留塔にリサイクルしてもよい。この場合、上記側流を分液させて得られる有機相のリサイクル位置は、塔の高さ方向において上記側流抜き取り位置よりも下方が好ましく、上記仕込液の供給位置よりも上方が好ましい。
また、蒸留塔3の塔頂部から抜き取られる蒸気の凝縮液を分液させて得られた有機相を構成する成分(例えば、酢酸メチルなど)に対する混和性溶媒をこの蒸留塔に導入してもよい。上記混和性溶媒として、例えば、酢酸、酢酸エチルなどが挙げられる。上記混和性溶媒の導入位置は、塔の高さ方向において、上記側流抜き取り位置よりも下方が好ましく、上記仕込液の供給位置よりも上方が好ましい。また、上記混和性溶媒の導入位置は、上記側流を分液させて得られる有機相をこの蒸留塔にリサイクルする場合はそのリサイクル位置よりも下方が好ましい。
上記側流を分液させて得られる有機相を蒸留塔へリサイクルしたり、上記混和性溶媒を蒸留塔へ導入することにより、側流として抜き取られる液中の酢酸メチル濃度を低下させることができ、上記液を分液させて得られる水相中の酢酸メチル濃度を低減でき、もって水相へのヨウ化メチルの混入を抑制できる。
上記蒸留塔の理論段は、例えば1~100段、好ましくは2~50段、より好ましくは3~30段、さらに好ましくは5~20段であり、従来の脱アセトアルデヒドに用いる蒸留塔や抽出蒸留塔の80~100段と比較して、少ない段数で効率よくアセトアルデヒドを分離除去できる。
抽出溶媒の流量と仕込液(プロセス流を分液させて得られた有機相及び/又は水相)の流量との質量割合(前者/後者)は、0.0001/100~100/100の範囲から選択してもよいが、通常、0.0001/100~20/100、好ましくは0.001/100~10/100、より好ましくは0.01/100~8/100、さらに好ましくは0.1/100~5/100である。
上記蒸留塔の塔頂温度は、例えば、15~120℃、好ましくは20~90℃、より好ましくは20~80℃、さらに好ましくは25~70℃である。塔頂圧力は、絶対圧力で、例えば0.1~0.5MPa程度である。上記蒸留塔の他の条件は、従来の脱アセトアルデヒドに用いる蒸留塔や抽出蒸留塔と同様であってもよい。
図6は上記の抽出蒸留を利用したアセトアルデヒド分離除去システムの一例を示す概略フロー図である。この例では、蒸留塔3の塔頂部から抜き取られる蒸気の凝縮液を分液させて得られた有機相及び/又は水相(仕込流)を供給ライン201を通じて蒸留塔94の中段(塔頂と塔底との間の位置)に供給するとともに、必要に応じて塔頂付近より水をライン202を通じて導入し、蒸留塔94内で蒸留を行う(蒸留工程(A2))。上記仕込流(ライン201)には、ライン228を通じて、上記膜分離工程により分離取得されたヨウ化メチルに富む流れを合流させてもよい。これにより、上記ヨウ化メチルに富む流れを蒸留工程(A2)にリサイクルすることができる。
蒸留塔94の上記仕込流の供給位置より上方には、塔内のヨウ化メチル及びアセトアルデヒドが濃縮される濃縮域から降下する液(抽出液)を受けるためのチムニートレイ200が配設されている。この抽出蒸留においては、チムニートレイ200上の液を好ましくは全量抜き取り、ライン208を通じてデカンタ95に導入して分液させる。
デカンタ95における水相(アセトアルデヒドを含む)をライン212を通じて冷却クーラー95aに導入して冷却し、水相に溶解していたヨウ化メチルを2相分離させ、デカンタ96にて分液させる。なお、デカンタ95における分液及びデカンタ96における分液のいずれも分液工程(B2)に相当する。
デカンタ96における水相をライン216を通じて蒸留塔97(脱アセトアルデヒド塔)に供給して蒸留し、アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流(ライン217)と、水に富む缶出流(ライン218)とに分離する(蒸留工程(C2))。上記第3オーバーヘッド流をライン217を通じてコンデンサ97aに導いて凝縮させ、凝縮液(主にアセトアルデヒド及びヨウ化メチル)の一部は蒸留塔97の塔頂に還流させ(ライン219)、残りは廃棄するか、あるいはライン220を通じて蒸留塔98(抽出蒸留塔)に供給する。
蒸留塔98の塔頂付近から水をライン222を通じて導入し、抽出蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第4オーバーヘッド流(ライン223)と、水に富む缶出流(ライン224)とに分離する(抽出蒸留工程(D2))。上記第4オーバーヘッド流はライン223を通じてコンデンサ98aに導いて凝縮させ、凝縮液(主にヨウ化メチル)の一部は塔頂部に還流させ(ライン225)、残りはライン226を通じて反応系にリサイクルするが、系外除去する場合もある。デカンタ95における有機相(ヨウ化メチル相)は、好ましくは全量をライン209,210を通じて蒸留塔94のチムニートレイ200の位置より下方にリサイクルする。デカンタ95の水相の一部、及びデカンタ96の有機相は、それぞれ、ライン213,210、ライン214,210を通じて蒸留塔94にリサイクルするが、リサイクルしない場合もある。デカンタ95の水相の一部は蒸留塔94における抽出溶媒(水)として利用してもよい。デカンタ96の水相の一部はライン210を通じて蒸留塔94にリサイクルしてもよい。また、上記ヨウ化メチルに富む流れを蒸留塔98に還流してもよい。
場合により(例えば、上記仕込流中に酢酸メチルが含まれている場合など)、蒸留塔3の塔頂部から抜き取られる蒸気の凝縮液を分液させて得られた有機相を構成する成分(例えば、酢酸メチルなど)に対する混和性溶媒(酢酸、酢酸エチル等)をライン215を通じて蒸留塔94に仕込み、蒸留効率を向上させることもできる。混和性溶媒の蒸留塔94への供給位置は上記仕込流供給部(ライン201の接続部)よりも上方で且つリサイクルライン210の接続部よりも下方である。蒸留塔94の缶出液は反応系にリサイクルする。
蒸留塔94の塔頂の蒸気はライン203を通じてコンデンサ94aに導いて凝縮させ、凝縮液をデカンタ99で分液させ、有機相はライン206を通じて蒸留塔94の塔頂部に還流させ、水相はライン207を通じてデカンタ95に導く。
蒸留塔97の缶出液(水が主成分)や蒸留塔98(抽出蒸留塔)の缶出液(少量のアセトアルデヒドを含む水)は、それぞれライン218,224を通じて系外除去するか、反応系にリサイクルする。コンデンサ94a、97a,98aで凝縮しなかったガス(ライン211,221,227)はスクラバーシステム8で吸収処理されるか、あるいは廃棄処分される。
図7は上記の抽出蒸留を利用したアセトアルデヒド分離除去システムの他の例を示す概略フロー図である。この例では、蒸留塔94の塔頂の蒸気の凝縮液をホールドタンク100に導き、その全量をライン206を通じて蒸留塔94の塔頂部に還流する。これ以外は図6の例と同様である。
図8は上記の抽出蒸留を利用したアセトアルデヒド分離除去システムのさらに他の例を示す概略フロー図である。この例では、チムニートレイ200上の液を全量抜き取り、ライン208を通じて、デカンタ95を経ることなく、直接冷却クーラー95aに導入して冷却し、デカンタ96に供給する。これ以外は図7の例と同様である。
ヨウ化メチル及びアセトアルデヒドを含む抽出液(ライン208)、アセトアルデヒドを含む水相(ライン212)、水相(ライン216)、蒸留塔97塔頂の蒸気(ライン217)、その凝縮液(ライン219,220)、第4オーバーヘッド流(ライン223)、及び第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液(ライン225,226)のうちの1以上は、アセトアルデヒドに富む流れであり、上記プロセス流として上記膜分離工程に付してもよい。中でも、ヨウ化メチルが充分に分離回収された後でありこれ以上蒸留塔の従来の精製ではヨウ化メチルの分離が困難であることから、上記膜分離工程に付すプロセス流は、第3オーバーヘッド流、第3オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液、第4オーバーヘッド流、及び第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液からなる群より選択される1以上の流れであることが好ましく、上記シリカ膜がヨウ化メチルの回収率により優れる観点、設備数を比較的少なくすることができる観点からは、気体である第3オーバーヘッド流(特に、ライン217)及び/又は第4オーバーヘッド流(特に、ライン223)が好ましい。また、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分圧差を大きくでき且つスイープガスが不要である観点からは、液体である第3オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液(特に、ライン220)及び/又は第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液(特に、ライン226)が好ましい。ライン217は蒸留工程(C2)のオーバーヘッド流であり、ライン223は、抽出蒸留工程(D2)のオーバーヘッド流であり、ライン220は、蒸留工程(C2)から留出する流れであり、ライン226は、抽出蒸留工程(D2)から留出する流れである。
上記図4において、コンデンサ3aで生じるガス分は、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などを含み、コンデンサ3aからライン32,15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。スクラバーシステム8に至ったガス分中のヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などは、スクラバーシステム8にて吸収液に吸収される。
蒸留塔3の塔底部から抜き取られる缶出液は、酢酸よりも沸点の高い成分(高沸点成分)を蒸留塔3からのオーバーヘッド流及び側流と比較して多く含み、例えば、プロピオン酸、並びに、飛沫同伴の上述の触媒や助触媒を含む。この缶出液には、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水なども含まれる。本実施形態では、このような缶出液の一部は、ライン25,26を通じて蒸発槽2へと連続的に導入されてリサイクルされ、缶出液の他の一部は、ライン25,23を通じて反応槽1へと連続的に導入されてリサイクルされる。
蒸留塔3から側流として連続的に抜き取られる第1酢酸流は、蒸留塔3に連続的に導入される蒸気流よりも酢酸が富化されている。すなわち、第1酢酸流の酢酸濃度は上記蒸気流の酢酸濃度よりも高い。第1酢酸流の酢酸濃度は、例えば90~99.9質量%、好ましくは93~99質量%である。また、第1酢酸流は、酢酸に加えて、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、ギ酸、及びプロピオン酸、並びに、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ヘキシル、及びヨウ化デシル等のヨウ化アルキルなどを含む。
なお、蒸留塔3に対するライン27の連結位置は、蒸留塔3の高さ方向において、図示されているように、蒸留塔3に対するライン21の連結位置より上方であってもよいが、蒸留塔3に対するライン21の連結位置より下方であってもよいし、蒸留塔3に対するライン21の連結位置と同じであってもよい。蒸留塔3からの第1酢酸流は、連続的に、ライン27を通じて次の蒸留塔5へと導入される。なお、蒸留塔3の側流として抜き取られる第1酢酸流や、蒸留塔3の塔底液あるいは蒸留塔3の塔底部の蒸気の凝縮液は、蒸留塔5(脱水工程)を経ずにそのまま後述する蒸留塔6に連続的に導入することもできる。
ライン27を通流する第1酢酸流に、ライン55(水酸化カリウム導入ライン)を通じて、水酸化カリウムを供給ないし添加することができる。水酸化カリウムは、例えば水溶液等の溶液として供給ないし添加できる。第1酢酸流に対する水酸化カリウムの供給ないし添加によって第1酢酸流中のヨウ化水素を減少できる。具体的には、ヨウ化水素は水酸化カリウムと反応してヨウ化カリウムと水が生じる。そのことによって、ヨウ化水素に起因する蒸留塔等の装置の腐食を低減できる。なお、水酸化カリウムは本プロセスにおいてヨウ化水素が存在する適宜な場所に供給ないし添加することができる。なお、プロセス中に添加された水酸化カリウムは酢酸とも反応して酢酸カリウムを生じさせる。
蒸留塔5は、第2蒸留工程を行うためのユニットであり、本実施形態ではいわゆる脱水塔に位置付けられる。第2蒸留工程は、蒸留塔5に連続的に導入される第1酢酸流を蒸留処理して酢酸を更に精製するための工程である。
蒸留塔5は、例えば、棚段塔及び充填塔などの精留塔よりなる。蒸留塔5として棚段塔を採用する場合、その理論段は例えば5~50段であり、還流比は理論段数に応じて例えば0.2~3000である。第2蒸留工程にある蒸留塔5の内部において、塔頂圧力は例えば150~250kPaGに設定され、塔底圧力は、塔頂圧力より高く、例えば160~290kPaGに設定される。第2蒸留工程にある蒸留塔5の内部において、塔頂温度は、例えば、設定塔頂圧力での水の沸点より高く且つ酢酸の沸点より低い温度であって130~160℃に設定され、塔底温度は、例えば、設定塔底圧力での酢酸の沸点以上の温度であって150~175℃に設定される。
蒸留塔5の塔頂部からは、オーバーヘッド流としての蒸気がライン33に連続的に抜き取られる。蒸留塔5の塔底部からは、缶出液がライン34に連続的に抜き取られる。5bはリボイラーである。蒸留塔5における塔頂部と塔底部との間の高さ位置から、側流(液体又は気体)がライン34に連続的に抜き取られてもよい。
蒸留塔5の塔頂部から抜き取られる蒸気は、酢酸よりも沸点の低い成分(低沸点成分)を蒸留塔5からの上記の缶出液と比較して多く含み、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などを含む。このような蒸気は、ライン33を通じてコンデンサ5aへと連続的に導入される。
コンデンサ5aは、蒸留塔5からの蒸気を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、例えば水及び酢酸などを含む。凝縮分の一部は、コンデンサ5aからライン35を通じて蒸留塔5へと連続的に還流される。凝縮分の他の一部は、コンデンサ5aからライン35,36,23を通じて反応槽1へと連続的に導入され、リサイクルされる。また、コンデンサ5aで生じるガス分は、例えば一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などを含み、コンデンサ5aからライン37,15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。なお、上述したように、コンデンサ5aからのガス分はライン15に合流せずにスクラバーシステム8に供給されてもよい。スクラバーシステム8に至ったガス分中のヨウ化水素は、スクラバーシステム8にて吸収液に吸収され、吸収液中のヨウ化水素とメタノール又は酢酸メチルとの反応によってヨウ化メチルが生じ、そして、当該ヨウ化メチル等の有用成分を含有する液分がスクラバーシステム8からリサイクルライン48,23を通じて反応槽1へとリサイクルされて再利用される。
蒸留塔5の塔底部から抜き取られる缶出液(あるいは側流)は、酢酸のほか、酢酸よりも沸点の高い成分(高沸点成分)を蒸留塔5からの上記のオーバーヘッド流と比較して多く含み、例えば、無水酢酸、プロピオン酸、酢酸塩、及びヨウ化カリウムや腐食金属等由来のヨウ化金属塩等のヨウ化物塩、並びに、飛沫同伴の上述の触媒や助触媒などを含む。上記酢酸塩は、例えば、ライン27等に水酸化カリウム等のアルカリを供給した場合に形成される酢酸カリウムなどの酢酸金属塩が挙げられる。また、この酢酸製造装置の構成部材の内壁で生じて遊離した金属などの腐食金属等と酢酸とで形成される酢酸金属塩も挙げられる。上記ヨウ化物塩は、例えば、ライン27等に水酸化カリウム等のアルカリを供給した場合に形成されるヨウ化カリウムが挙げられる。この缶出液には酢酸も含まれうる。このような缶出液は、ライン34を通じて、第2酢酸流をなして次の蒸留塔6に連続的に導入されることとなる。また、蒸留塔5の塔底部から抜き取られる缶出液(あるいは側流)は、上記腐食金属等、及び腐食性ヨウ素に由来するヨウ素と当該腐食金属等との化合物(ヨウ化物塩)も含む。
第2酢酸流は、蒸留塔5に連続的に導入される第1酢酸流よりも酢酸が富化されている。すなわち、第2酢酸流の酢酸濃度は第1酢酸流の酢酸濃度よりも高い。第2酢酸流の酢酸濃度は、第1酢酸流の酢酸濃度より高い限りにおいて、例えば99.1~99.99質量%である。また、第2酢酸流は、上記のように、酢酸に加えて、例えば、プロピオン酸、ヨウ化水素などを含みうる。本実施形態では、側流を抜き取る場合、蒸留塔5からの側流の抜き取り位置は、蒸留塔5の高さ方向において、蒸留塔5への第1酢酸流の導入位置よりも低い。
ライン34を通流する第2酢酸流に、ライン56(水酸化カリウム導入ライン)を通じて、水酸化カリウムを供給ないし添加することができる。水酸化カリウムは、例えば水溶液等の溶液として供給ないし添加できる。第2酢酸流に対する水酸化カリウムの供給ないし添加によって第2酢酸流中のヨウ化水素を減少できる。具体的には、ヨウ化水素は水酸化カリウムと反応してヨウ化カリウムと水が生じる。そのことによって、ヨウ化水素に起因する蒸留塔等の装置の腐食を低減できる。
蒸留塔6は、第3蒸留工程を行うためのユニットであり、本実施形態ではいわゆる脱高沸塔に位置付けられる。第3蒸留工程は、蒸留塔6に連続的に導入される第2酢酸流を精製処理して酢酸を更に精製するための工程である。
蒸留塔6は、例えば、棚段塔及び充填塔などの精留塔よりなる。蒸留塔6として棚段塔を採用する場合、その理論段は例えば5~50段であり、還流比は理論段数に応じて例えば0.2~3000である。第3蒸留工程にある蒸留塔6の内部において、塔頂圧力は例えば-100~150kPaGに設定され、塔底圧力は、塔頂圧力より高く、例えば-90~180kPaGに設定される。第3蒸留工程にある蒸留塔6の内部において、塔頂温度は、例えば、設定塔頂圧力での水の沸点より高く且つ酢酸の沸点より低い温度であって50~150℃に設定され、塔底温度は、例えば、設定塔底圧力での酢酸の沸点より高い温度であって70~160℃に設定される。
蒸留塔6の塔頂部からは、オーバーヘッド流としての蒸気がライン38に連続的に抜き取られる。蒸留塔6の塔底部からは、缶出液がライン39に連続的に抜き取られる。6bはリボイラーである。蒸留塔6における塔頂部と塔底部との間の高さ位置からは、側流(液体又は気体)がライン46に連続的に抜き取られる。蒸留塔6の高さ方向において、蒸留塔6に対するライン46の連結位置は、図示されているように、蒸留塔6に対するライン34の連結位置より上方であってもよいが、蒸留塔6に対するライン34の連結位置より下方であってもよいし、蒸留塔6に対するライン34の連結位置と同じであってもよい。
蒸留塔6の塔頂部から抜き取られる蒸気は、酢酸よりも沸点の低い成分(低沸点成分)を蒸留塔6からの上記の缶出液と比較して多く含み、酢酸のほか、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、メタノール、及びギ酸などを含む。このような蒸気は、ライン38を通じてコンデンサ6aへと連続的に導入される。
コンデンサ6aは、蒸留塔6からの蒸気を、冷却して部分的に凝縮させることによって凝縮分とガス分とに分ける。凝縮分は、酢酸のほか、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、メタノール、及びギ酸などを含む。凝縮分の少なくとも一部については、コンデンサ6aからライン40を通じて蒸留塔6へと連続的に還流される。凝縮分の一部(留出分)については、コンデンサ6aからライン40,41,42を通じて、蒸留塔5へと導入される前のライン27中の第1酢酸流へとリサイクルすることが可能である。これと共に或はこれに代えて、凝縮分の一部(留出分)については、コンデンサ6aからライン40,41,43を通じて、蒸留塔3へと導入される前のライン21中の蒸気流へとリサイクルすることが可能である。
また、凝縮分の一部(留出分)については、コンデンサ6aからライン40,44,23を通じて、反応槽1へリサイクルしてもよい。さらに、コンデンサ6aからの留出分の一部については、スクラバーシステム8へと供給して当該システム内で吸収液として使用することが可能である。スクラバーシステム8では、有用分を吸収した後のガス分は装置外に排出され、そして、有用成分を含む液分がスクラバーシステム8からリサイクルライン48,23を通じて反応槽1へと導入ないしリサイクルされて再利用される。加えて、コンデンサ6aからの留出分の一部については、装置内で稼働する各種ポンプ(図示略)へと図外のラインを通じて導いて当該ポンプのシール液として使用してもよい。更に加えて、コンデンサ6aからの留出分の一部については、ライン40に付設される抜き取りラインを通じて、定常的に装置外へ抜き取ってもよいし、非定常的に必要時において装置外へ抜き取ってもよい。
凝縮分の一部(留出分)が蒸留塔6での蒸留処理系から除かれる場合、その留出分の量(留出量)は、コンデンサ6aで生じる凝縮液の例えば0.01~30質量%であり、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.3~5質量%、より好ましくは0.5~3質量%である。一方、コンデンサ6aで生じるガス分は、例えば、一酸化炭素、水素、メタン、二酸化炭素、窒素、酸素、ヨウ化メチル、ヨウ化水素、水、酢酸メチル、酢酸、ジメチルエーテル、メタノール、アセトアルデヒド、及びギ酸などを含み、コンデンサ6aからライン45,15を通じてスクラバーシステム8へと供給される。なお、上述したように、コンデンサ6aからのガス分はライン15に合流せずにスクラバーシステム8に供給されてもよい。
蒸留塔6の塔底部からライン39を通じて抜き取られる缶出液は、酢酸よりも沸点の高い成分(高沸点成分)を蒸留塔6からのオーバーヘッド流と比較して多く含み、例えば酢酸塩、無水酢酸、プロピオン酸などを含む。上記酢酸塩は、例えば、ライン34等に水酸化カリウム等のアルカリを供給した場合に形成される酢酸カリウムが挙げられる。また、この酢酸製造装置の構成部材の内壁で生じて遊離した金属などの腐食金属等と酢酸とで形成される酢酸金属塩も挙げられる。蒸留塔6の塔底部からライン39を通じて抜き取られる缶出液は、さらに、上記腐食金属等、及び腐食性ヨウ素に由来するヨウ素と当該腐食金属等との化合物も含む。このような缶出液は、本実施形態では酢酸製造装置外に排出される。
蒸留塔6からライン46に連続的に抜き取られる側流は、第3酢酸流として、次のイオン交換樹脂塔7に連続的に導入されることとなる。この第3酢酸流は、蒸留塔6に連続的に導入される第2酢酸流よりも酢酸が富化されている。すなわち、第3酢酸流の酢酸濃度は第2酢酸流の酢酸濃度よりも高い。第3酢酸流の酢酸濃度は、第2酢酸流の酢酸濃度より高い限りにおいて、例えば99.8~99.999質量%である。本実施形態では、蒸留塔6からの側流の抜き取り位置は、蒸留塔6の高さ方向において、蒸留塔6への第2酢酸流の導入位置よりも高い。他の実施形態では、蒸留塔6からの側流の抜き取り位置は、蒸留塔6の高さ方向において、蒸留塔6への第2酢酸流の導入位置と同じかそれよりも低い。なお、蒸留塔6は、単蒸留器(蒸発器)でも代用可能であり、また、蒸留塔5で不純物除去を充分に行えば、蒸留塔6は省略できる。
イオン交換樹脂塔7は、吸着除去工程を行うための精製ユニットである。この吸着除去工程は、イオン交換樹脂塔7に連続的に導入される第3酢酸流に微量含まれる主にヨウ化アルキル(例えば、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ヘキシル、ヨウ化デシルなど)を吸着除去して酢酸を更に精製するための工程である。
イオン交換樹脂塔7においては、ヨウ化アルキルに対する吸着能を有するイオン交換樹脂が塔内に充填されてイオン交換樹脂床をなす。そのようなイオン交換樹脂としては、例えば、交換基であるスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基等における脱離性のプロトンの一部が銀や銅などの金属で置換された陽イオン交換樹脂が挙げられる。吸着除去工程では、例えばこのようなイオン交換樹脂が充填されたイオン交換樹脂塔7の内部を第3酢酸流(液体)が通流し、その通流過程において、第3酢酸流中のヨウ化アルキル等の不純物がイオン交換樹脂に吸着されて第3酢酸流から除去される。吸着除去工程にあるイオン交換樹脂塔7において、内部温度は例えば18~100℃であり、酢酸流の通液速度[樹脂容積1m3当たりの酢酸処理量(m3/h)]は、例えば3~15m3/h・m3(樹脂容積)である。
イオン交換樹脂塔7の下端部からライン47へと第4酢酸流が連続的に導出される。第4酢酸流の酢酸濃度は第3酢酸流の酢酸濃度よりも高い。すなわち、第4酢酸流は、イオン交換樹脂塔7に連続的に導入される第3酢酸流よりも酢酸が富化されている。第4酢酸流の酢酸濃度は、第3酢酸流の酢酸濃度より高い限りにおいて例えば99.9~99.999質量%又はそれ以上である。本製造方法においては、この第4酢酸流を図外の製品タンクに貯留することができる。
この酢酸製造装置においては、イオン交換樹脂塔7からの上記の第4酢酸流を更に精製するための精製ユニットとして、蒸留塔であるいわゆる製品塔ないし仕上塔が設けられてもよい。そのような製品塔が設けられる場合、当該製品塔は、例えば、棚段塔及び充填塔などの精留塔よりなる。製品塔として棚段塔を採用する場合、その理論段は例えば5~50段であり、還流比は理論段数に応じて例えば0.5~3000である。精製工程にある製品塔の内部において、塔頂圧力は例えば-195~150kPaGに設定され、塔底圧力は、塔頂圧力より高く、例えば-190~180kPaGに設定される。製品塔の内部において、塔頂温度は、例えば、設定塔頂圧力での水の沸点より高く且つ酢酸の沸点より低い温度であって50~150℃に設定され、塔底温度は、例えば、設定塔底圧力での酢酸の沸点より高い温度であって70~160℃に設定される。なお、製品塔ないし仕上塔は、単蒸留器(蒸発器)でも代用可能である。
製品塔を設ける場合、イオン交換樹脂塔7からの第4酢酸流(液体)の全部または一部が、製品塔に対して連続的に導入される。そのような製品塔の塔頂部からは、微量の低沸点成分(例えば、ヨウ化メチル、水、酢酸メチル、ジメチルエーテル、クロトンアルデヒド、アセトアルデヒド、及びギ酸など)を含むオーバーヘッド流としての蒸気が連続的に抜き取られる。この蒸気は、コンデンサにて凝縮分とガス分とに分けられる。
凝縮分の一部は製品塔へと連続的に還流され、凝縮分の他の一部は反応槽1へとリサイクルされるか、系外に廃棄されるか、あるいはその両方であってもよく、ガス分はスクラバーシステム8へと供給される。製品塔の塔底部からは、微量の高沸点成分を含む缶出液が連続的に抜き取られ、この缶出液は、例えば蒸留塔6へ導入される前のライン34中の第2酢酸流へとリサイクルされる。製品塔における塔頂部と塔底部との間の高さ位置からは、側流(液体)が第5酢酸流として連続的に抜き取られる。製品塔からの側流の抜き取り位置は、製品塔の高さ方向において、例えば、製品塔への第4酢酸流の導入位置よりも低い。
第5酢酸流は、製品塔に連続的に導入される第4酢酸流よりも酢酸が富化されている。すなわち、第5酢酸流の酢酸濃度は第4酢酸流の酢酸濃度よりも高い。第5酢酸流の酢酸濃度は、第4酢酸流の酢酸濃度より高い限りにおいて例えば99.9~99.999質量%又はそれ以上である。この第5酢酸流は、例えば、図外の製品タンクに貯留される。なお、イオン交換樹脂塔7は、蒸留塔6の下流に設置する代わりに(又はそれに加えて)、製品塔の下流に設置し、製品塔出の酢酸流を処理してもよい。
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本開示の趣旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示に係る各発明は、実施形態や以下の実施例によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下に、実施例に基づいて本開示の一実施形態をより詳細に説明する。
実施例1
表1に示す各種シリカ膜について、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分離性能を、加温・加圧下条件において、浸透気化法(パーベーパレーション法)により評価した。具体的には、まず、パーべーパレーション装置に膜面積120.6cm2の分離膜を装着した。供給液成分として、アセトアルデヒド79.8質量%、ヨウ化メチル7.8質量%、水12.4質量%の混合液(約600g)を装置内に投入した。送液ポンプにて75ml/minでウォーターバスにて40℃あるいは55℃(膜種No.1~2は40℃、膜種No.3~6は55℃)まで加温し、供給液側の圧力を190kPaGに保ちながら分離膜に供給した。透過側の圧力は常圧とし、4~5時間透過させて、コールドトラップで捕集し透過液を採集した。ガスクロマトグラフィー分析、水分分析により、各種成分の透過度[mol/m2・s・Pa]、透過度比を算出した。透過度比は、[アセトアルデヒドの透過度/ヨウ化メチルの透過度]として求めた。結果を表1に示す。なお、表1~3に示す「AD」はアセトアルデヒド、「MeI」はヨウ化メチルをそれぞれ示す。
なお、表1に示す各種シリカ膜の中心細孔径及び水接触角は、以下のようにして求めた。
(1)中心細孔径
膜種No.1~2については、単成分ガス透過試験により算出した。具体的には、H2、CO2、N2、CH4、CF4、及びSF6を用いた気体透過度[mol/m2・s・Pa]を測定し、各種単成分ガスの動的分子径を、H2:2.9Å、CO2:3.3Å、N2:3.6Å、CH4:3.8Å、CF4:5.0Å、SF6:5.5Åとしてプロットし、膜種No.1~2の中心細孔径は表1に示す範囲内にあるものと同定した。膜種No.3~6については、ナノパームポロメトリー法により算出した。
(2)水接触角
接触角計「Drop Master700」(協和界面科学株式会社製)を用いて、膜表面に水を1滴滴下し、その際の角度を測定することで水接触角を測定した。
Figure 2022036063000002
表1から分かるように、中心細孔径が0.3~2.0nmであり且つ水接触角が0~70°であるシリカ膜を分離膜として用いた場合(膜種No.1~6)、ヨウ化メチルの透過度が小さく、且つ透過度比が高い結果となった。特に、中心細孔径が0.5nm超1.0nm以下であるシリカ膜を用いた場合(膜種No.3~5)、上記透過度比が高かった。このことから、中心細孔径が0.3~2.0nmであり且つ水接触角が0~70°であるシリカ膜によれば、アセトアルデヒドとヨウ化メチルを効率的に分離することが可能であることが示されている。
比較例1
図5に示すアセトアルデヒド分離除去システムを用いて実験を行った。アセトアルデヒド、ヨウ化メチル、及び水を含む混合液を、ライン101を通じて蒸留塔91(棚段塔、実段数:80段、塔頂圧力:0.18MPaG、塔頂温度:52℃)に供給し、蒸留を行った。蒸留塔91での蒸留により分離されたオーバーヘッド流(ライン102)をコンデンサ91aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔91の塔頂部に還流させ(ライン104)、凝縮液の残部を抽出塔92(充填塔、塔頂圧力:0.25MPaG、塔頂温度:40℃)に供給した(ライン105)。抽出塔92に供給された凝縮液について、ライン109から抽出溶媒として水を導入しつつ抽出処理を行い、抽出処理により分離された抽出液をライン107から、下相をライン108からそれぞれ抜き取った。なお、ライン110を通じた下相のリサイクルは行わなかった。上記抽出液を、ライン107を通じて蒸留塔93(充填塔、塔頂圧力:0.17MPaG、塔頂温度:85℃)に供給して蒸留し、オーバーヘッド流(ライン112)と缶出液(ライン113)とに分離した。ライン112のオーバーヘッド流は、コンデンサ93aにて凝縮させ、凝縮液の一部を蒸留塔93の塔頂部に還流させ(ライン114)、凝縮液の残部をライン115から留出させた。蒸留塔91の還流比は182.2とし、蒸留塔93の還流比は5.0とした。比較例1の実験中の定常状態における、各所における各種成分の流量及び濃度を表2に示す。
Figure 2022036063000003
実施例2
比較例1と同様にして得られた留出液(ライン115)をプロセス液として、図3に示す膜分離工程を用いて実験を行った。上記プロセスガスを、ライン60を通じて膜モジュール58に供給し、温度80℃、圧力800kPaG、スイープガス流量16.6L/minの環境下で膜分離を行った。分離膜として、セラミック製多孔質基材上に実施例1で使用した膜種No.6のシリカ膜が設けられたものを用いた。膜分離により、透過ガス(ライン84)と濃縮液(ライン82)とに分離した。上記濃縮液をクーラー82bにより冷却させて、ライン83を通じて、図5に示す抽出塔92にライン118からリサイクルした。実施例2の実験中の定常状態における、各所における各種成分の流量及び濃度を表3に示す。
Figure 2022036063000004
表2によれば、上記膜分離工程を有しない比較例1では、ライン115からの留出によりヨウ化メチルが2.1kg/hもの流量で排出されることが認識できる。一方、表3によれば、上記膜分離工程を有する実施例2では、本来排出されるヨウ化メチル2.1kg/hのうち、透過ガスライン84から0.2kg/hに排出にとどめることができ、1.9kg/hもの流量を回収することができることが認識できる。その回収率は、90.5%であり、廃棄される透過ガス(ライン84)中のヨウ化メチル濃度は1.0質量%まで低減されている。このため、本開示の酢酸の製造方法によれば、ヨウ化メチルの損失が大幅に低減される。また、新たにヨウ化メチルを製造・追加する必要性が低減され、作業負担及びコストも低減される。
なお、表2及び表3では、アセトアルデヒド、ヨウ化メチル、及び水の合計が100.0質量%となるように各成分の濃度を記載している。但し、実際の酢酸製造プロセスにおいて、アセトアルデヒド分離除去システム内における各プロセス液はアセトアルデヒド、ヨウ化メチル、及び水を主要成分として含む場合があるに過ぎず、その他に、メタノール、ジメチルエーテル、アルカン、クロトンアルデヒド等の過マンガン酸カリウム試験値(過マンガン酸タイム)を悪化させる物質、有機ヨウ素化合物などの微量成分が含まれる場合がある。
(実施例3)
1.5~2.0nmの貫通孔を有するシリカを主成分とする多孔質層として、市販のナノセラミック多孔質基材(型番:eSep-nano-Si-1.5-2、イーセップ株式会社製)を用いた。シリカ多孔質層の厚みは約500nmであり、下層はマクロ孔で形成されたα-アルミナ多孔質基材により支持されている構造を有する。外形は直径12mm、内径9mm、長さ40cmの円筒型であった。円筒状の膜の外側に、25℃で湿度50%以上の空気を1分間以上導入した。その際、円筒状の膜の内側を減圧し、水蒸気を強制的に膜細孔内部に導入した。膜細孔内に水蒸気が残存した状態で6時間以上保持し、シリカ層へのOH基生成を促進した。シランカップリング剤である3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を水で100倍に希釈後、室温で3時間以上静置することにより、加水分解反応を十分に進行させてから当該液体を布に染み込ませ、その布を用いて上記で調製した円筒状の複合膜に塗布した後、110℃で0.5時間乾燥して固定化を行い、シリカ膜を得た。
(実施例4)
実施例3にて得られたシリカ膜に対し、常温下で99.5wt%のMeI(和光純薬製)を7時間通液循環させた後、静置状態で16時間浸漬させてシリカ膜を得た。
表4に示す各種シリカ膜について、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分離性能を、加温・加圧下条件において、浸透気化法(パーベーパレーション法)により評価した。具体的には、まず、パーべーパレーション装置に膜面積120.6cm2の分離膜を装着した。供給液成分として、アセトアルデヒド79.77質量%、ヨウ化メチル7.78質量%、水12.45質量%の混合液約600gを装置内に投入した。ウォーターバスにて50℃まで加温し、供給液側の圧力を190kPaGに保ちながら、送液ポンプにて75ml/minで分離膜に供給した。透過側の圧力は常圧とし、4~5時間透過させて、コールドトラップで捕集し透過液を採集した。ガスクロマトグラフィー分析、水分分析により、アセトアルデヒドの透過度[mol/m2・s・Pa]、透過度比を算出した。透過度比は、[アセトアルデヒドの透過度/ヨウ化メチルの透過度]として求めた。結果を表4に示す。なお、表4に示す「AD」はアセトアルデヒドを示す。なお、同様の実験を、実施例3のシリカ膜では6回、実施例4のシリカ膜では3回繰り返し、評価を行った。
また、実施例3及び4のシリカ膜の水接触角は、接触角計「Drop Master700」(協和界面科学株式会社製)を用いて、膜表面に水を1滴滴下し、その際の角度を測定した。なお、実施例3のシリカ膜では実験前のシリカ膜の水接触角と、6回の実験後の水接触角、実施例4のシリカ膜では3回の実験後の水接触角を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2022036063000005
Figure 2022036063000006
表4から分かるように、中心細孔径が0.5~5.0nmであり且つアミノ基を有するシリカ膜を分離膜として用いた場合(実施例3及び4)、アセトアルデヒドの透過度が大きく、且つ透過度比が実験回数を経ても大きな変化がないという結果となった。このことから、中心細孔径が0.5~5.0nmであり且つアミノ基を有するシリカ膜によれば、分子サイズ及び/又は物性の異なる成分を含む混合溶液、すなわち、アセトアルデヒドとヨウ化メチルを効率よく分離することができ、且つ繰り返して使用しでもその性能(分離能)が低下しないことが明らかになった。
(実施例5)
1.0~2.0nmの貫通孔を有するシリカを主成分とする多孔質層として、市販のナノセラミック多孔質基材(型番:eSep-nano-Si-1-2、イーセップ株式会社製)を用いた。シリカ多孔質層の厚みは約500nmであり、下層はマクロ孔で形成されたα-アルミナ多孔質基材により支持されている構造を有する。外形は直径12mm、内径9mm、長さ40cmの円筒型であった。円筒状の膜の外側に、25℃で湿度50%以上の空気を1分間以上導入した。その際、円筒状の膜の内側を減圧し、水蒸気を強制的に膜細孔内部に導入した。膜細孔内に水蒸気が残存した状態で6時間以上保持し、シリカ層へのOH基生成を促進した。親水性ポリマーであるLAMBIC-771W(大阪有機化学工業株式会社製)を水で5倍に希釈後、上記で調製した円筒状の複合膜に塗布した後、80℃で5分間乾燥後、水で洗浄することにより、シリカ膜を得た。
(実施例6)
1.5~2.5nmの貫通孔を有するシリカを主成分とする多孔質層として、市販のナノセラミック多孔質基材(型番:eSep-nano-Si-1.5-2.5、イーセップ株式会社製)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、シリカ膜を得た。
実施例4等と同様にして、実施例5及び6のシリカ膜について、アセトアルデヒドとヨウ化メチルの分離性能を、加温・加圧下条件において、浸透気化法(パーベーパレーション法)により評価した。結果を表6に示す。なお、表6に示す「AD」はアセトアルデヒドを示す。なお、同様の実験を、実施例5のシリカ膜では4回、実施例6のシリカ膜では3回繰り返した。
また、実施例5及び6のシリカ膜の水接触角は、接触角計「Drop Master700」(協和界面科学株式会社製)を用いて、膜表面に水を1滴滴下し、その際の角度を測定した。なお、実施例5のシリカ膜では実験前のシリカ膜の水接触角と、4回の実験後の水接触角、実施例6のシリカ膜では実験前のシリカ膜の水接触角と、3回の実験後の水接触角を測定した。結果を表7に示す。
Figure 2022036063000007
Figure 2022036063000008
表6から分かるように、中心細孔径が0.5~5.0nmであり且つ親水性ポリマー由来の構造を有するシリカ膜を分離膜として用いた場合(実施例5及び6)、アセトアルデヒドの透過度が大きく、且つ透過度比が実験回数を経ても大きな変化がないという結果となった。
以下、本開示に係る発明のバリエーションを記載する。
[付記1]酢酸の製造プロセスにおいて、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含むプロセス流から、中心細孔径が0.3~2.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°であるシリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する膜分離工程を備えた酢酸の製造方法。
[付記2]前記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度が0.1質量%以上(1質量%以上、2質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、又は80質量%以上)である付記1に記載の酢酸の製造方法。
[付記3]前記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度が99.9質量%以下(99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下)である付記1又は2に記載の酢酸の製造方法。
[付記4]前記プロセス流中のヨウ化メチル濃度が0.01質量%以上(0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上)である付記1~3のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記5]前記プロセス流中のヨウ化メチル濃度が99質量%以下(95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、1質量%以下、又は0.1質量%以下)である付記1~4のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記6]前記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度が0.1~99.9質量%、ヨウ化メチル濃度が0.01~99質量%である、付記1~5のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記7]前記プロセス流中のアセトアルデヒドとヨウ化メチルの合計濃度が1質量%以上(10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は85質量%以上)である、付記1~6のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記8]前記プロセス流中のアセトアルデヒドとヨウ化メチルの合計濃度が99質量%以下(95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下)である、付記1~7のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記9]前記プロセス流中の水濃度が0.1質量%以上(0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上)である、付記1~8のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記10]前記プロセス流中の水濃度が95質量%以下(90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、又は1質量%以下)である、付記1~9のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記11]前記膜分離工程をプロセス液の温度が10~180℃(例えば20~150℃、好ましくは30~130℃、より好ましくは50~110℃、さらに好ましくは70~90℃)の条件下で行う、付記1~11のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記12]前記膜分離工程を、加圧下(例えば、絶対圧で110~2000kPa、好ましくは200~1800kPa、より好ましくは300~1500kPa、さらに好ましくは400~1200kPa、特に好ましくは600~1000kPa)の条件下で行う付記1~11のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記13]金属触媒及びヨウ化メチルを含む触媒系(好ましくは、金属触媒及びヨウ化メチルを含む触媒系、並びに、酢酸、酢酸メチル、水)の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程と、
前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を、1以上の蒸発処理及び/又は蒸留処理に付して、金属触媒を含む流れと、酢酸に富む酢酸流と、前記酢酸流よりも低沸成分に富む流れとに分離する分離工程と、
前記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部から、1以上の蒸留処理によりアセトアルデヒドを分離するアセトアルデヒド分離除去システムとを備え、
前記アセトアルデヒド分離除去システムにおいて分離されたアセトアルデヒドに富む流れを前記プロセス流として前記膜分離工程に付す、付記1~12のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記14]前記分離工程は、前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を蒸発により少なくとも蒸気流と残液流とに分離する蒸発工程を有する、付記13に記載の酢酸の製造方法。
[付記15]前記分離工程は、(i)前記分離工程と、前記蒸気流を蒸留に付して、少なくとも、低沸成分に富むオーバーヘッド流と、酢酸に富む第1酢酸流とを分離取得する脱低沸工程とを有するか、又は、(ii)前記蒸発工程及び前記脱低沸工程に代えて、前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を、少なくとも、金属触媒を含む流れと、低沸成分に富むオーバーヘッド流と、酢酸に富む酢酸流とに分離する蒸発脱低沸工程を有する、付記14に記載の酢酸の製造方法。
[付記16]前記脱低沸工程では、上記蒸気流を蒸留に付して、低沸成分に富むオーバーヘッド流と、サイドカット流と、塔底流とに分離し、前記サイドカット流及び/又は前記塔底流は前記第1酢酸流である、付記15に記載の酢酸の製造方法。
[付記17]前記分離工程は、(iii)前記脱低沸工程と、前記第1酢酸流を蒸留に付して、少なくとも、水に富むオーバーヘッド流と、第1酢酸流よりも酢酸が富化された第2酢酸流とを分離取得する脱水工程とを有するか、(iv)前記脱低沸工程及び前記脱水工程に代えて、前記脱水工程の機能を備える前記脱低沸工程において酢酸に富む酢酸流を分離取得する脱低沸脱水工程を有するか、又は(v)前記蒸発脱低沸工程及び前記脱水工程に代えて、前記脱水工程の機能を備える前記蒸発脱低沸工程において酢酸に富む酢酸流を分離取得する蒸発脱低沸脱水工程を有する、付記15又は16に記載の酢酸の製造方法。
[付記18]さらに下記(a)~(c)の少なくとも1つの工程を有する、付記13~17のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
(a)前記分離工程で得られた酢酸に富む酢酸流(例えば、前記第1若しくは第2酢酸流)を蒸留して、高沸成分に富む缶出流と、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第3酢酸流とに分離する脱高沸工程
(b)前記分離工程で得られた酢酸に富む酢酸流(例えば、前記第1若しくは第2酢酸流)若しくは第3酢酸流をイオン交換樹脂で処理して第4酢酸流を得る吸着除去工程
(c)前記分離工程で得られた酢酸に富む酢酸流(例えば、前記第1若しくは第2酢酸流)若しくは第3若しくは第4酢酸流を蒸留して、蒸留に付す前の酢酸流よりも酢酸が富化された第5酢酸流を得る製品工程
[付記19]上記アセトアルデヒド分離除去システムは、前記1以上の蒸留処理により分離されたアセトアルデヒドの少なくとも一部から、1以上の抽出処理によりアセトアルデヒドを含む水相を分離する抽出工程を含む、付記13~18のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記20]前記アセトアルデヒド分離除去システムにおける蒸留処理において分離されたアセトアルデヒドに富む流れ、及び/又は、当該アセトアルデヒドに富む流れを抽出処理において分離されたアセトアルデヒドを含む水層を前記プロセス流として前記膜分離工程に付す、付記13~19のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記21]前記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れの一部を前記アセトアルデヒド分離除去システム内のプロセス(特に、前記プロセス流を排出する蒸留塔)にリサイクルする、付記13~20のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記22]前記プロセス流が、前記アセトアルデヒド分離除去システム内において蒸留処理を行う蒸留塔のオーバーヘッド流を含む、付記13~21に記載の酢酸の製造方法。
[付記23]前記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れの一部を前記蒸留塔に還流する付記22に記載の酢酸の製造方法。
[付記24]前記アセトアルデヒド分離除去工程は、
前記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第1オーバーヘッド流と、残液流とを分離取得する蒸留工程(A1)と、
前記第1オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、抽出に付し、アセトアルデヒドに富む水相と、ヨウ化メチルに富む有機相とに分離する抽出工程(B1)と、
前記アセトアルデヒドに富む水相を、蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第2オーバーヘッド流と、水に富む残液流とを分離取得する蒸留工程(C1)と、を備え、
前記第1オーバーヘッド流、前記第1オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液、前記アセトアルデヒドに富む水相、前記第2オーバーヘッド流、及び前記第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液のうちの1以上(好ましくは、前記第2オーバーヘッド流及び/又は前記第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液)を前記プロセス流として前記膜分離工程に付す、付記13~23のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記25]前記プロセス流が、前記第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液を含む、付記24に記載の酢酸の製造方法。
[付記26]前記膜分離工程において分離して得られた前記ヨウ化メチルに富む流れを、前記蒸留工程(A1)及び/又は前記抽出工程(B1)にリサイクルする、付記24又は25に記載の酢酸の製造方法。
[付記27]前記アセトアルデヒド分離除去工程は、
前記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、蒸留に付し、蒸留塔内のヨウ化メチル及びアセトアルデヒドが濃縮される濃縮域から降下する液を側流として抜き取る蒸留工程(A2)と、
前記側流を水相と有機相とに分液させる分液工程(B2)と、
前記水相を蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流と水に富む缶出液とを分離取得する蒸留工程(C2)とを備え、
さらに、前記アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流を抽出蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第4オーバーヘッド流と水に富む缶出液とを分離取得する抽出蒸留工程(D2)を備えていてもよく、
前記第3オーバーヘッド流、前記第3オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液、前記第4オーバーヘッド流、及び前記第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液からなる群より選択される1以上の流れを前記プロセス流として前記膜分離工程に付す、付記13~23のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記28]前記蒸留工程(A2)において、抽出溶媒を前記凝縮液の供給位置よりも上方(好ましくは塔頂付近)から供給する付記27に記載の酢酸の製造方法。
[付記29]前記蒸留工程(A2)において、前記側流の抜き取り位置は、蒸留塔の高さ方向において、前記抽出溶媒を導入する場合は抽出溶媒の導入位置よりも下方であって、前記凝縮液の供給位置よりも上方である、付記27又は28に記載の酢酸の製造方法。
[付記30]前記プロセス流が、前記第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液を含む、付記27~29のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記31]前記膜分離工程において分離して得られた前記ヨウ化メチルに富む流れを、前記蒸留工程(A2)、前記分液工程(B2)、前記蒸留工程(C2)、及び前記抽出蒸留工程(D2)のうちの1以上(好ましくは、前記蒸留工程(A2))にリサイクルする、付記27~30のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記32]前記プロセス流が液体である、付記1~31のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記33]前記膜分離工程を、仕込側にスイープガスを吹き込みながら行う、付記32に記載の酢酸の製造方法。
[付記34]前記膜分離工程によるヨウ化メチル回収率が1質量%以上(5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、又は99質量%以上)である、付記1~33のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記35]前記膜分離工程によるヨウ化メチル回収率が100質量%以下(99.5質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下)である、付記1~34のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記36]前記膜分離工程におけるアセトアルデヒドの回収率が1質量%以上(5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上)である、付記1~35のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記37]前記膜分離工程におけるアセトアルデヒドの回収率が100質量%以下(99.5質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下)である、付記1~36のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記38]前記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れ中のヨウ化メチル濃度が、前記プロセス流中のヨウ化メチル濃度より高く、且つ1質量%以上(5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、又は50質量%以上)である付記1~37のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記39]前記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れ中のヨウ化メチル濃度が、前記プロセス流中のヨウ化メチル濃度より高く、且つ100質量%以下(90質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下)である付記1~38のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記40]前記膜分離工程により分離取得されるアセトアルデヒドに富む流れ中のアセトアルデヒド濃度が、前記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度より高く、且つ、0.1質量%以上(1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上)である付記1~39のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記41]前記膜分離工程により分離取得されるアセトアルデヒドに富む流れ中のアセトアルデヒド濃度が、前記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度より高く、且つ、100質量%以下(99.5質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、又は10質量%以下)である付記1~40のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記42]前記シリカ膜は、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有する、付記1~41のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記43]前記シリカ膜は、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有する親水性ポリマーに由来する構造又はアミノ基及び/又はアンモニウム基を有するシランカップリング剤に由来する構造を有する、付記1~42のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記44]前記親水性ポリマーは、ベタインモノマーと、アルコキシシリル基含有化合物とを含むモノマー混合物のポリマーであり、前記ベタインモノマーは、スルホキシベタインモノマー、カルボキシベタインモノマー、及びホスホリルベタインモノマーからなる群より選択された少なくとも一つである、付記43に記載の酢酸の製造方法。
[付記45]前記シランカップリング剤は、ケイ素原子にそれぞれ結合したアルコキシ基及び一価の有機基を含み、上記一価の有機基の少なくとも1つは、鎖中及び/又は末端に、アミノ基及び/又はアンモニウム基を有する、付記43又は44に記載の酢酸の製造方法。
[付記46]前記アミノ基及び/又はアンモニウム基を有する一価の有機基において、一価の有機基は、環状アルキル基、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基等のアルキル基、又は酸素原子や硫黄原子等のヘテロ原子を介して2以上のアルキル基が結合した基であり、アルキル基が好ましく、より好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくは直鎖アルキル基である、付記45に記載の酢酸の製造方法。
[付記47]前記一価の有機基の炭素原子数は、1~20、1~10、又は1~7、付記45又は46に記載の酢酸の製造方法。
[付記48]前記シランカップリング剤は、下記式で表される、付記43~47のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
x-Si-R1 m(OR23-m
(R1は置換基を有していてもよい炭素原子数1~3のアルキル基を示す。R2は置換基を有していてもよい炭素原子数1~3のアルキル基を示す。RXは鎖中及び/又は末端に、アミノ基及び/又は上記アンモニウム基を有するアルキル基を示す。mは1~3の整数を表す。)
[付記49]前記シランカップリング剤は、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、トリメトキシ[3-(メチルアミノ)プロピル]シラン、[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン、N-[2-(N-ビニルベンジルアミノ)エチル]-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-[8-(トリメトキシシリル)オクチル]エタン-1,2-ジアミン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-ブタンアミン、[3-(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、3-[(1,3-ジメチルブチリデン)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、及びN,N-ビス[(ジフェニルホスフィノ)メチル]-3-(トリエトキシシリル)プロピルアミンからなる群より選択される少なくとも一つである、付記43~48のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記50]前記シリカ膜は、多孔質基材の少なくとも一方の面に設けられている、付記1~49のいずれか1つに記載の酢酸の製造方法。
[付記51]前記多孔質基材はアルミナ基材である付記50に記載の酢酸の製造方法。
[付記52]アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含む混合物から、中心細孔径が0.3~5.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°であるシリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する、アセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れを製造する方法。
本開示の酢酸の製造方法によれば、メタノール法カルボニル化プロセス(メタノール法酢酸プロセス)により酢酸を工業的に製造することができる。
1 反応槽
2 蒸発槽
3,5,6 蒸留塔
4 デカンタ
7 イオン交換樹脂塔
8 スクラバーシステム
9 アセトアルデヒド分離除去システム
16 反応混合物供給ライン
17 蒸気流排出ライン
18,19 残液流リサイクルライン
54 一酸化炭素含有ガス導入ライン
55,56 水酸化カリウム導入ライン
57 触媒循環ポンプ
58 膜モジュール
59,72,73 受器
91 蒸留塔(第1脱アセトアルデヒド塔)
92 抽出塔
93 蒸留塔(第2脱アセトアルデヒド塔)
94 蒸留塔(抽出蒸留塔)
95 デカンタ
96 デカンタ
97 蒸留塔(脱アセトアルデヒド塔)
98 蒸留塔(抽出蒸留塔)
99 デカンタ
200 チムニートレイ

Claims (20)

  1. 酢酸の製造プロセスにおいて、アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含むプロセス流から、中心細孔径が0.3~5.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°であるシリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する膜分離工程を備えた酢酸の製造方法。
  2. 前記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度が0.1~99.9質量%、ヨウ化メチル濃度が0.01~99質量%である、請求項1に記載の酢酸の製造方法。
  3. 前記プロセス流中のアセトアルデヒドとヨウ化メチルの合計濃度が1質量%以上である、請求項1又は2に記載の酢酸の製造方法。
  4. 金属触媒及びヨウ化メチルを含む触媒系、並びに、酢酸、酢酸メチル、水の存在下、メタノールと一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成させるカルボニル化反応工程と、
    前記カルボニル化反応工程で得られた反応混合物を、1以上の蒸発処理及び/又は蒸留処理に付して、金属触媒を含む流れと、酢酸に富む酢酸流と、前記酢酸流よりも低沸成分に富む流れとに分離する分離工程と、
    前記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部から、1以上の蒸留処理によりアセトアルデヒドを分離するアセトアルデヒド分離除去システムとを備え、
    前記アセトアルデヒド分離除去システムにおいて分離されたアセトアルデヒドに富む流れを前記プロセス流として前記膜分離工程に付す、請求項1~3のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  5. 前記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れの一部を前記アセトアルデヒド分離除去システム内のプロセスにリサイクルする、請求項4に記載の酢酸の製造方法。
  6. 前記プロセス流が、前記アセトアルデヒド分離除去システム内において蒸留処理を行う蒸留塔のオーバーヘッド流を含む、請求項4又は5に記載の酢酸の製造方法。
  7. 前記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れの一部を前記蒸留塔に還流する請求項6に記載の酢酸の製造方法。
  8. 前記アセトアルデヒド分離除去工程は、
    前記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第1オーバーヘッド流と、残液流とを分離取得する蒸留工程(A1)と、
    前記第1オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、抽出に付し、アセトアルデヒドに富む水相と、ヨウ化メチルに富む有機相とに分離する抽出工程(B1)と、
    前記アセトアルデヒドに富む水相を、蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第2オーバーヘッド流と、水に富む残液流とを分離取得する蒸留工程(C1)と、を備え、
    前記第2オーバーヘッド流及び/又は前記第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液を前記プロセス流として前記膜分離工程に付す、請求項4に記載の酢酸の製造方法。
  9. 前記プロセス流が、前記第2オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液を含む、請求項8に記載の酢酸の製造方法。
  10. 前記膜分離工程において分離して得られた前記ヨウ化メチルに富む流れを、前記蒸留工程(A1)及び/又は前記抽出工程(B1)にリサイクルする、請求項8又は9に記載の酢酸の製造方法。
  11. 前記アセトアルデヒド分離除去工程は、
    前記低沸成分に富む流れを凝縮して得られる凝縮液の少なくとも一部を、蒸留に付し、蒸留塔内のヨウ化メチル及びアセトアルデヒドが濃縮される濃縮域から降下する液を側流として抜き取る蒸留工程(A2)と、
    前記側流を水相と有機相とに分液させる分液工程(B2)と、
    前記水相を蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流と水に富む缶出液とを分離取得する蒸留工程(C2)とを備え、
    さらに、前記アセトアルデヒドに富む第3オーバーヘッド流を抽出蒸留に付し、アセトアルデヒドに富む第4オーバーヘッド流と水に富む缶出液とを分離取得する抽出蒸留工程(D2)を備えていてもよく、
    前記第3オーバーヘッド流、前記第3オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液、前記第4オーバーヘッド流、及び前記第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液からなる群より選択される1以上の流れを前記プロセス流として前記膜分離工程に付す、請求項4に記載の酢酸の製造方法。
  12. 前記プロセス流が、前記第4オーバーヘッド流を凝縮して得られる凝縮液を含む、請求項11に記載の酢酸の製造方法。
  13. 前記膜分離工程において分離して得られた前記ヨウ化メチルに富む流れを、前記蒸留工程(A2)にリサイクルする、請求項11又は12に記載の酢酸の製造方法。
  14. 前記プロセス流が液体である、請求項1~13のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  15. 前記膜分離工程によるヨウ化メチル回収率が1質量%以上である、請求項1~14のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  16. 前記膜分離工程により分離取得されるヨウ化メチルに富む流れ中のヨウ化メチル濃度が、前記プロセス流中のヨウ化メチル濃度より高く、且つ1質量%以上である請求項1~15のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  17. 前記膜分離工程により分離取得されるアセトアルデヒドに富む流れ中のアセトアルデヒド濃度が、前記プロセス流中のアセトアルデヒド濃度より高く、且つ、0.1質量%以上である請求項1~16のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  18. 前記シリカ膜は、多孔質基材の少なくとも一方の面に設けられている、請求項1~17のいずれか1項に記載の酢酸の製造方法。
  19. アセトアルデヒド及びヨウ化メチルを含む混合物から、中心細孔径が0.3~5.0nmであり且つ表面の水接触角が0~70°であるシリカ膜を用いてアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れとを分離取得する、アセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れを製造する方法。
  20. 前記混合物中のアセトアルデヒド濃度が0.1~99.9質量%、ヨウ化メチル濃度が0.01~99質量%である、請求項19に記載のアセトアルデヒドに富む流れとヨウ化メチルに富む流れを製造する方法。
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