一般に、滞留デバイス、および関連方法が記載される。特定の実施形態は、滞留デバイスが放出される前に、被験体の内部位置で特定期間(例えば、少なくとも約24時間)保持されるように、滞留デバイスを被験体(例えば、患者)に投与すること(例えば、経口で)を含む。滞留デバイスは、いくつかの事例では、胃中滞留デバイスであってよい。いくつかの実施形態では、本明細書で記載のデバイスおよびシステムは、高レベルの活性物質(例えば、治療薬)充填、酸性環境下での高い活性物質および/またはデバイス安定性、内部開口部(例えば、胃腔)中での機械的可撓性および強度、所望の内部開口部(例えば、胃腔)への送達までの胃腸管の容易な通過、および/または生理的環境(例えば、腸環境)中でのおよび/または化学的刺激薬(例えば、急速溶解/分解を誘発する溶液の摂取)に応答しての急速溶解/分解のために構成された1種またはそれを超える材料を含む。特定の実施形態では、デバイスは、治療薬、診断薬および/または強化剤の制御放出が可能な1種またはそれを超える材料、ならびに胃中滞留に必要であるが、保持形状の完全性が失われてデバイスを胃腔から排出させる時間を決定するように制御されたおよび/または調整可能な分解/溶解が可能な構造材料を含む。例えば、特定の実施形態では、滞留デバイスは、インビボで凝集構造体を形成するように構成された複数の自己集合性構造体を含む。いくつかの実施形態では、凝集構造体は、活性物質(例えば、治療薬)を放出するように構成されてよい。さらに、いくつかのこのような実施形態では、凝集構造体は、所定の時間後、分解して滞留デバイスがバラバラになり、被験体内部の位置から放出されるように構成されてよい。
本明細書で記載の特定のデバイス、および方法は、例えば、治療薬、診断薬、および/または強化剤の長期間のインビボ滞留および投与のために、経口投与経由の胃中滞留および/または遅い通過の達成に有用であり得る。本明細書で記載のデバイスは、従来の滞留デバイスおよび/または経口投与されるデバイスおよびシステムに比較して、例えば、被験体により摂取されるのに充分小さい形状および/またはサイズをとる能力、胃腔中でさらに先まで(例えば、胃本体から幽門へ)通過するのを遅らせるまたは阻止する形状および/またはサイズをとる能力、治療薬、診断薬、および/または強化剤を高レベル(例えば、高質量)で充填する能力、バースト放出の可能性が低い~バースト放出の可能性がなく、治療薬、診断薬、および/または強化剤の制御放出を行う能力、胃中環境などの有害な環境中で長期間にわたり治療薬、診断薬、および/または強化剤の安定性を維持する能力、胃または腸閉塞および/または穿孔の可能性が低い~それらの可能性がなく安全性を維持する能力、および/または胃腸管を通過することが可能な1つまたはそれを超える形態に分解、溶解、および/または解離する能力などのいくつかの利点を提供し得る。特定の実施形態では、本明細書で記載のデバイスおよびシステムは、少なくとも24時間より長い、最長1年またはそれを超えて続く、持続性のある滞留時間を有するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、本明細書で記載のシステム、デバイス、および方法は、限定されないが、ヒトおよび非ヒト動物を含む被験体と適合性である。さらなる実施形態では、システムおよびデバイスは、多種多様の治療薬、診断薬、および/または強化剤を送達し、それにより、順守率を高めること、さらにはそれを最大化することを可能とするように構成することができる。
本開示の一態様では、滞留デバイスは、インビボで自己集合する複数の構造体から形成されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、それぞれの構造体は、複数の構造体の他の構造体上の結合点に結合する、構造体の面上の1つまたはそれを超える結合点を含んでよい。このようにして、個々の構造体は、相互に結合して、内部開口部に対してインビボ位置を維持するサイズ、形状にされ、また、充分頑丈におよび/または安定である凝集構造体の形態の滞留デバイスを形成する。いくつかの実施形態では、自己集合性構造体の結合点間の結合は、一定期間(例えば、保持または滞留期間)後、分解して凝集構造体がバラバラになるようになってよい。バラバラになった後、個々の構造体は内部開口部を通過するようなサイズになってよい。
上述のように、滞留デバイスは、滞留期間中、被験体の内部位置を維持し、その後、結合が分解してよい。用語「滞留期間」は通常、本明細書に記載の滞留デバイスが被験体の内部位置に滞留する時間の長さを意味する。この期間は、滞留デバイスが最初に被験体の内部位置に存在する時間から、例えば、被験体の内部位置からのデバイスの少なくとも一部が分解、溶解、および/または排出されることによりデバイスがもはや内部位置に存在しない時間までを測定してよい。例示的実施形態では、内部開口部を通過する前に、デバイスが被験体の内部位置に一定時間にわたり滞留するように、デバイスを経口投与してよい。例えば、このような一実施形態では、滞留デバイスは幽門の上部の胃に入り、幽門を通って腸に(例えば、デバイスの少なくとも一部の分解後に)排出される。このような実施形態では、滞留期間は、デバイスが最初に胃中に滞留したときと、デバイスが幽門を通って排出されるときとの間の時間の長さとして測定される。
いくつかの実施形態では、滞留デバイスの滞留期間は、約24時間以上、48時間、3日間、7日間、1ヶ月間、6ヶ月間、1年間、または任意の他の所望の期間である。したがって、滞留期間は、約2年間以下、1年間、6ヶ月間、1ヶ月間、7日間、3日間、48時間、または任意の他の所望の期間である。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約24時間~2年、約24時間~1年、約48時間~7日間、約3日間~1ヶ月間、約7日間~6ヶ月間、約1ヶ月間~1年間)。他の範囲も企画される。
いくつかの実施形態では、複数の自己集合性構造体が順序づけられた凝集構造体を形成してよい。例えば、自己集合性構造体は、四面体、立方体、八面体、十二面体、または二十面体などの多面体の少なくとも一部に集合するように構成されてよい。本開示はこの方式に限定していないので、他の多面体構造体などの任意のその他の適切な形状または構造体が好適であってもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、多面体の凝集構造体は、プラトン立体である。
特定の実施形態では、多面体の凝集構造体は中空内部を有してよい。このような実施形態では、自己集合性構造体は、この構造体が多面体の表面を形成するように、多角形の形状を有する板状構造体であってよい。例えば、四面体凝集構造体は、4個の三角形構造体から形成され得、立方体は6個の正方形構造体から形成され得、八面体は8個の三角形構造体から形成され得、十二面体は12個の五角形構造体から形成され、または二十面体は、20個の三角形構造体から形成され得るが、その他の可能な構造体も同様に意図されている。さらに、いくつかの実施形態では、異なる自己集合性構造体が、異なるサイズおよび/または形状を有してよく、また、本開示は正多角形に限定していないので、正多角形の形状を形成しなくてもよい。このような実施形態では、これらの構造体は、正多面体構造体を形成するように集合しなくてもよい。したがって、多面体の凝集構造体は、多面体構造体の任意の部分を形成するように結合される、任意の好適な数の多角形自己集合性構造体を含んでよい。
板状構造体が使用される実施形態を含むいくつかの実施形態では、多角形自己集合性構造体は、それらの各側面に沿って結合し、多面体の凝集構造体を形成し得る。例えば、いくつかの実施形態では、それぞれの多角形構造体は、凝集構造体に集合する場合に外側を向く外表面、凝集構造体に集合する場合に内側を向く反対側の内表面、および外表面および内表面の間に延びる1つまたはそれを超える面を有してよい。1つまたはそれを超える離散性の結合点が、面上、または面内に配置され、他の多角形の構造体上の対応する結合点への結合を容易にする。特定の実施形態では、面は、ゼロ、1つ、2つ、3つまたはそれを超える結合点を含む任意の適切な数の結合点を有してよい。さらに、単一の自己集合性構造体上の異なる面は、異なる数の結合点を有してよい。いくつかの実施形態では、本開示はいずれの特定の結合点配置に限定されないので、結合点は通常、面の中心にあってよく、または他の実施形態では、結合点は稜の近くに、面の長さに沿って均一に分布するか、または面に沿ってランダムに分布して配置されてよい。自己集合性構造体の異なる面はまた、相互に対し、同じまたは異なるように配置された結合点を有してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、結合点は離散点である必要はなく、その代わりに、面の一部、または全体に沿って分布してもよい。例えば、一実施形態では、構造体の1つの面全体が、結合点に相当してもよい。上記を考慮すると、面は任意の好適な数の結合点を有してよく、結合点は任意の好適な方式で面上に配置してよいことを理解されたい。
特定の実施形態では、複数の構造体の自己集合は、構造体上の結合点に位置する2種またはそれを超える要素の相互作用により支配される。例えば、要素には、相互作用して隣接する構造体間で結合を形成する相補的な要素を含んでよい。いくつかの実施形態では、結合点は、磁石の北極または南極が構造体の表面にて結合点に位置するように配置された磁石を含んでよい。このような実施形態では、1つの構造体上の1つの結合点での磁石の北極が、別の構造体上の結合点での磁石の南極と相互作用し得る。いくつかの実施形態では、同じまたは異なる磁気配向(magnetic orientation)を有する複数の磁石が、構造体の単一面上に位置し、複数の結合点を形成してよい。あるいは、いくつかの実施形態では、構造体間の結合が、磁気相互作用ではなく、化学的相互作用を使って形成されてもよい。このような一実施形態では、結合点はタンパク質/リガンド複合体を含んでよい。例えば、異なる結合点の対応する部分がインビボで相互に接近している場合、第1の結合点はビオチンを含み、第2の結合点は相互に結合するストレプトアビジンを含んでよい。さらに別の実施形態では、ゲスト/ホスト複合体、例えば、アダマンタン(adamantine)-シクロデキストリン(cyclodextrine)複合体を使って、2つの構造体間で結合が形成される。上記を考慮すると、本開示はこの方式に限定していないので、2つの構造体をインビボで一緒に結合することが可能な2つの結合点間の任意の好適な相互作用を使って、複数の自己集合性構造体の自己集合を制御してよいことを理解されるべきである。
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超える自己集合性構造体は、例えば、0.6cm~1.7cmの外接半径、および例えば、300mm3~1,300mm3の体積を有する。しかし、本開示はそのように限定していないので、異なるサイズおよび外接半径を有する構造体も好適であることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、凝集構造体は、一般に凝集構造体がインビボ環境で受け得る最大圧力より大きい、またはそれとほぼ等しい圧縮強さを有する。例えば、一実施形態では、十二面体構造体、またはその他の構造体は、約5Nの圧縮強さを有し、この圧縮強さはヒト胃食道括約筋で作用する最大圧力の推定値に相当する。しかし、いくつかの実施形態では、凝集構造体は5Nより大きい、または5N未満の強度を有してよいことを理解されたい。例えば、凝集構造体は約4N~6N、5N~10N、または本開示はこのような範囲に限定していないので、任意のその他の範囲の力の圧縮強さを有してもよい。
いくつかの実施形態では、滞留デバイスは、複数の自己集合性構造体を投与することにより、被験体に投与してよい。構造体は、多面体などの順序づけられた構造体(ordered structure)、または本明細書で考察したように、半順序構造体を形成するように構成されてよい。複数の構造体は、異なる構造体の結合点が相互に接近してそれらの間で結合を形成する確率過程によりインビボで自己集合し得る。個々の構造体の間の結合過程は継続するので、結果的により大きくなった凝集構造体が形成される。最終的に得られた1つまたはそれを超える凝集構造体は、内部開口部に対する凝集構造体のインビボ位置を維持するサイズおよび/または形状を有し得る。いくつかの実施形態では、滞留デバイスは、活性物質を放出するが、以下でより詳細に記載するように、内部位置で維持されてよい。一定期間(例えば、滞留時間)後、上記で考察したように、凝集構造体は、例えば、自己集合性構造体上の結合点間での結合の分解によりバラバラになってよい。あるいは、いくつかの実施形態では、結合および/または自己集合性構造体を能動的に分解する材料がインビボ環境中に導入されるまで、凝集構造体は分解を受けなくてよい。例えば、以下でさらに詳述されるように、重炭酸ナトリウムなどのアルカリ性材料が摂取されて胃中環境のpHを変え、凝集構造体の急速分解を誘発する可能性がある。凝集構造体は充分に分解された後で、内部開口部を通過可能なより小さい断片および/または個々の構造体にバラバラになってよい。
凝集構造体の形成を容易にするために、いくつかの実施形態では、多角形の自己集合性構造体の面は、構造体の外表面または内表面に対し、ある角度で方向付けられてもよい。このような角度は、構造体が集合して凝集多面体構造体の一部を形成する場合、構造体により形成される二面角を規定するものであってよい。特に、自己集合性構造体の1つの面と外表面との間で形成される内角は、二面角の半分を規定してよく、それにより、2つの構造体がそれらの面に沿って結合する場合、それぞれの構造体の内表面と外表面は、多面体の本来の二面角で方向付けられる。特定の角度は、多角形構造体が所望の多面体を形成するように選択してよい。例えば、三角形の自己集合性構造体は、四面体、八面体、または二十面体構造体に集合するのを容易にするために、異なる角度で方向付けられた面を有する。
いくつかの実施形態では、1つの面が、集合多面体がその本来の二面角で方向付けられて正確な幾何学的はめ合い(geometric fit)を形成する表面を有してよい。例えば、一実施形態では、十二面体を形成するように構成された五角形構造体は、集合十二面体の表面により形成される二面角が約116.6°となるように、外表面に対し約58.3°の角度で方向付けられた面を含んでよい。あるいは、面は、得られた多面体が隣接する表面間で正確な幾何学的はめ合いに対応しない二面角を特徴とするように方向付けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、十二面体を形成するように構成された五角形構造体は、得られた二面角がそれぞれ約116.6°~約132°、または約124°~約127°となるように、外表面に対し、約58.3°~約66°、または約62°~約63.5°の角度で方向付けられた面を有してもよい。いくつかの実施形態では、単一多角形自己集合性構造体上の全ての面が、外表面に対し同じ角度を形成してよい。あるいは、集合多面体が可変的な二面角を特徴とするように、異なる面が異なる角度を形成してもよい。さらに、上記では特定の幾何に対し特定の角度が与えられているが、任意の所望の幾何に対し、任意の適切な角度を使用してよいことを理解されたい。例えば、一実施形態では、面は、得られた二面角が生じた多面体構造体の本来の二面角より約5°~10°大きいかまたは小さいように角度付けされてよい。
ここで図を見ると、いくつかの非制限的実施形態がより詳細に記載されている。本開示は、本明細書で記載され、かつ示されたこれらの特定の実施形態のみには限定されないので、図に関して記載された種々の要素、特徴、および方法は、任意の望ましい方式で組み合わせてよいことを理解されたい。
自己集合性多角形構造体の1つの例示的実施形態を図1A~1Dに示す。示した実施形態では、自己集合性構造体100は、内表面106と外表面108との間に延びる3つの面102を含む三角形板状形状を有する。2つまたはそれを超える結合点104aは通常、面の中心に置かれる。しかし、上記のように、面は任意の好適な方式で配置された任意の好適な数の結合点を有してよい。図1Cは、構造体の断面図であり、面が外表面108に対し内角αを形成することを示している。αの特定の値に応じて、三角形構造体は、四面体、八面体、二十面体、または任意の他の適切な構造体に集合し得る。図1Dは、4個の集合した三角形構造体100から形成された凝集四面体構造体110の一例を示す。三角形構造体の外表面108は、四面体の外表面を形成する。
図2A~2Dは、上記三角形構造体に類似の自己集合性構造体および得られた四面体凝集体の別の例示的実施形態を示す。この実施形態では、自己集合性構造体200は、内表面206と外表面208との間に延びる5つの面202を含む五角形板状形状を有する。上述した実施形態と同様に、面202は、2つの結合点204aを含む。面はまた、図2Dに示すように、五角形構造体が集合して十二面体構造体210を形成するように、外表面208に対し角度βで方向付けられる。上述のように、角度βは、十二面体の二面角が正確な幾何学的はめ合いに対応する本来の二面角と同じであっても、または同じでなくてもよいように選択されてよい。
上述のように、いくつかの実施形態では、複数の自己集合性構造体が、順序づけられた凝集構造体、例えば多面体を形成しなくてもよい。その代わりに、自己集合性構造体は、規定された形状を有さないように、「半順序」配置で結合してよい。例えば、一実施形態では、自己集合性構造体は、多面体の少なくとも3つの表面上に結合点を含む、立方体などの多面体として形成されてもよい。このような実施形態では、多面体が相互に任意の配向で結合するのが望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、結合点は相互に対し選択的ではない。
図3A~3Bは、半順序凝集構造体310を形成する立方体300に対応する自己集合性多面体の1つの例示的実施形態の略図を示す。立方体は、6つの表面302を含み、結合点304がこれらの表面の少なくとも3つに提供される。示した実施形態では、立方体は6つの表面のそれぞれに結合表面を含む。投与時には、複数の立方体、またはその他の構造体が摂取されるか、または別の方法で被験体に投与される。インビボでは、異なる立方体の結合点が、ランダム確率過程で相互に接近し、近くの結合点の結合を生じる。この過程では、身体中の所望の開口部での通過を回避するのに充分な大きさの最終凝集構造体を形成するまで、徐々により大きな凝集構造体へと相互の結合を継続する。上述の板状多角形形状から形成される順序づけられた構造体は、被験体に投与され、インビボで集合する場合には、類似の過程を経る。
上記実施形態では立方体が記載されているが、その他の形状も意図されていることを理解されたい。本開示は形状について限定していないので、自己集合性構造体は、例えば、球体、長方形角柱(rectangular prism)、四面体、八面体、または任意の他の三次元形状として形成されてよい。さらに、自己集合性構造体は、任意の好適な構成で配置された結合点を含んでよい。例えば、示した実施形態では、少なくとも3つの結合点304が相互に直角である表面302上に位置している。別の実施形態では、構造体は、相互に非平行であるかまたは他に整列されていない法線方向を有する構造体の異なる表面上に位置する、少なくとも2つ、3つ、または任意の数の結合点を含んでよい。例えば、結合点は、4つの異なる非平行の法線方向を有し、相互に直角でもない4つの別々の表面を含む四面体の表面上に位置してよい。さらに、図3Bでは、密に詰め込まれた凝集構造体310が示されているが、該構造体は任意の三次元配置に集合され得、この配置は、空洞または他の開放空間を含んでも、含まなくてもよく、また、実質的に非対称であってもよい。
いくつかの実施形態では、隣接する結合点間で形成される結合は、インビボでの一定期間後、分解されてよい。結合の分解が、凝集構造体をバラバラにさせてもよい。分解過程の継続に伴い、得られたバラバラになった構造体は、滞留デバイスがもはや被験体中の内部位置に維持できないように、内部開口部を通過するのに充分小さいサイズおよび/または形状を有してよい。特定の実施形態では、自己集合性構造体は、インビボ環境中に置かれた場合、一定期間にわたり膨潤する材料から作製されてよい。他の実施形態では、結合の分解が、タンパク質/リガンドまたはゲスト/ホスト複合体などの化学結合の生分解により引き起こされてよい。あるいは、自己集合性構造体それ自体が、凝集構造体が構造的安定性を失うように、インビボ環境中で時間をわたって分解されてよい。このような実施形態では、自己集合性構造体が分解すると、凝集構造体はバラバラになり始め得る。上記を考慮すると、本開示はそのように限定していないので、集合した凝集構造体から形成される滞留デバイスは、任意の好適な機序を使って、任意の好適な方式にてインビボでバラバラになり得ることを理解されたい。
上述のように、いくつかの実施形態では、結合は、所望の滞留期間にわたる活性物質の送達後に、滞留デバイスがバラバラになるタイミングを制御するように選択される。例えば、いくつかの実施形態では、約24時間、48時間、1週間、1ヶ月間、または任意のその他の所望の期間後に、結合は充分に分解されて、凝集構造体をバラバラにし得る。凝集構造体がバラバラとなった後に、得られた断片、または個々の構造体は、胃腔の内部開口部を通って、被験体の下部腸管へ安全に通過するのに充分に小さいサイズおよび形状である。再度、結合の分解は、幽門などの内部開口部の通過に耐える滞留デバイスの能力が、時間をわたって低減されるように、生分解、自己集合性構造体の膨潤、または任意のその他の適切な機序を使って達成し得る。
図3Cは、インビボ環境中で膨潤する立方体自己集合性構造体300の一実施形態の略図を示す。点線は、立方体の元のサイズを示し、これは、結合点304の物理的位置に対応する。立方体が膨潤するに伴い、隣接する構造体上の結合点間の間隔が大きくなるように、立方体の表面302は外に広がる。このような構造体の膨潤は、隣接する結合点の物理的分離を生じさせ、結合点間の結合を弱め、最終的には破壊し得る。例えば、結合点として磁石を採用している実施形態では、個々の構造体の膨潤により、磁石が相互にさらに変位するので、磁気の相互作用が弱くなりすぎて、凝集構造体の構造的完全性を維持できなくなり得る。
いくつかの実施形態では、複数の自己集合性構造体は、単一集団内でのみ相互作用するように構成された結合点を有する、2種またはそれを超える別の構造体集団を含んでもよい。例えば、一実施形態では、自己集合性構造体の2種の集団は、相互に混合した場合、完全な凝集構造体を形成しない磁気配向の配置を有する磁気の結合点を含む。換言すれば、それぞれの集団の結合点は、結合点がその集団の他の構造体とのみ完全な凝集構造体を形成できるように構成されている。このような実施形態は、結合点が異なるサイズおよび/または形状を有してもよい複数の独立した凝集構造体の形成を可能とし得、異なる活性物質を含み得、かつ/または被験体の内部に異なる期間にわたり保持され得るので、好都合な場合がある。このような一実施形態では、第1の集団は、第1のセットの磁気配向を有する結合点の配置を有してよく、第2の集団は、逆セットの磁気配向を有する結合点の配置を有してよい。別の実施形態では、結合点は、各面の中心に沿って結合点を有する1つの集団と、面の隅または中心でない位置に結合点を有するもう一方の集団などの構造体上の異なる位置に置かれてよい。磁気に基づかない結合が使用される場合には、類似の戦略を使用するか、または集団がもう一方の集団で使われる化合物に結合しない異なる化合物を含んでよい。
図4は、相互に集合しない2種の集団の一実施形態を示す。図に示されるように、構造体400aの第1の集団は、集合して、部分的に形成された十二面体構造体410を形成する。構造体400aは、第1の磁気配向配置を有する磁気結合点404aを含む。構造体400bは、構造体400bが凝集構造体410上に集合し得ないように、第1の磁気配向とは逆の第2セットの磁気配向を有する磁気結合点404bを含む。上述のように、異なる集団に対する自己集合制御の他の配置およびタイプを使用してよい。
胃内バルーンなどの、当該技術分野において既知の典型的な滞留デバイスは通常、被験体において少なくとも部分的な胃排出口の閉塞を生ずる。したがって、いくつかの実施形態では、食物が凝集構造体を通過することができることが望ましいであろう。食物が凝集構造体を通過することができることにより、このようなデバイスは、デバイスが内部開口部に位置する場合に、部分的または完全な胃排出口の閉塞を避けるのに有用であり得る。このような一実施形態では、凝集構造体の形成に使用される1つまたはそれを超える自己集合性構造体は、充分な隙間、貫通孔/開窓部、または消化できない物質を含む食材が凝集構造体を通過するのを可能にする他の適切な構造を有するようなサイズおよび形状にされてよい。図4を再度参照すると、1つのこのようなデバイスの例示的実施形態は、複数の自己集合性構造体を含み、それぞれの構造体は、食物およびその他の物質が凝集構造体を通過し得るように、貫通孔412(または、開窓部として知られる)を含む。いくつかの事例では、示した貫通孔などの特徴はまた、構造体の接近可能な表面積を増やすことにより、滞留デバイスが活性薬剤を放出する能力を向上させてもよい。示した実施形態では、単一円形貫通孔が図示されている。しかし、本開示はそのように限定していないので、その他の形状、複数の貫通孔、および異なるサイズの貫通孔を使用してもよいことを理解されたい。
いくつかの実施形態では、複数の自己集合性構造体のそれぞれの構造体が、弾性ポリマーを含んでもよい。特定の実施形態では、弾性ポリマーの使用により、特定の機械的性質を自己集合滞留デバイスに付与してもよい。例えば、いくつかの事例では、デバイスは、デバイスが破壊しないおよび/または被験体の内部の位置(例えば、幽門などの開口部またはその上部に)に保持されるように比較的大きな圧縮力(例えば、圧縮力は被験体の胃および/または腸内に存在する)を受けることが可能であってよい。特定の実施形態では、自己集合構造体は、折り畳まれる(例えば、折り畳まれる際に破壊されない)ことが可能であってよい。例えば、弾性ポリマーを含む自己集合性構造体は、壊れずにおよび/または顕著に永久変形をすることなく、比較的高レベルの曲げ応力を受けることが可能であってよい。いくつかの実施形態では、弾性ポリマーおよび/または自己集合性構造体は、実質的な跳ね返ることが可能であってよい。すなわち、弾性ポリマーおよび/または弾性ポリマーを含む自己集合性構造体を機械的に変形させた後、機械的変形が適用される前の元の構成に実質的に戻り得る(例えば、構造体は、実質的に最小限のクリープおよび/または塑性変形を受けてよい)。
いくつかの選別試験を使って、好適な材料を決定してよい。例えば、弾性ポリマーを含む構造体は、少なくとも約45度、少なくとも約60度、少なくとも約90度、少なくとも約120度、少なくとも約150度、または約180度の機械的曲げ変形を壊れずに受けることが可能であってよい。特定の実施形態では、構造体は、約180度以下、約150度以下、約120度以下、約90度以下、または約60度以下の機械的曲げ変形を壊れずに受けることが可能であってよい。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約45度~約180度、約60度~約180度、約60度~約120度、約90度~約180度)。他の範囲も企画される。
いくつかの事例では、弾性ポリマーを含む自己集合性構造体は、比較的長期間にわたり変形された構成(例えば、少なくとも約45度の機械的曲げ変形)で残存することが可能であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、自己集合性構造体は、変形された構成(例えば、少なくとも約45度の機械的曲げ変形)で、少なくとも約24時間、1週間、1ヶ月間、1年間、2年間、または任意の他の適切な時間の貯蔵寿命を有し、その変形前の構成に実質的に戻る(すなわち、跳ね返る)ことが可能である。特定の実施形態では、構造体は、変形された構成での約3年間、2年間、1年間、1ヶ月、1週間以下、または任意のその他の適切な時間の貯蔵寿命を有し、その変形前の構成に実質的に戻る(すなわち、跳ね返る)ことが可能である。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約24時間~約3年間、約1週間~1年間、約1年間~3年間)。他の範囲も可能である。
いくつかの実施形態では、弾性ポリマーを含む自己集合性構造体は、比較的可撓性である。特定の実施形態では、弾性ポリマーは、構造体が、顕著な非弾性変形を受けることなく、比較的長い期間にわたり大きな角度の変形を受けることが可能となるように選択されてよい。いくつかのこのような実施形態では、弾性ポリマーを含む自己集合性構造体は、機械的変形の解放後、約30分未満以内、10分、5分、1分、または任意の他の適切な時間以内に、その変形前の形状に構造体を実質的に戻すのに充分な跳ね返り強度を有してよい。当業者により、その変形前の形状へ戻すことは、数学的定義の形状に絶対的に一致する必要はないと理解されるべきであるが、むしろ、当業者によりこのような主題に最も密接に関係していると理解されるとして特徴付けられる主題に対し可能な程度に数学的定義の形状に一致することを示すと理解されるべきであることがわかるであろう。
いくつかの実施形態では、弾性ポリマーは特定の弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、弾性ポリマーの弾性係数は、約0.1MPa~約30MPaの範囲である。いくつかの実施形態では、弾性係数は、少なくとも約0.1MPa、少なくとも約0.2MPa、少なくとも約0.3MPa、少なくとも約0.5MPa、少なくとも約1MPa、少なくとも約2MPa、少なくとも約5MPa、少なくとも約10MPa、少なくとも約20MPa、または少なくとも約25MPaである。特定の実施形態では、弾性ポリマーの弾性係数は、約30MPa以下、約25MPa以下、約20MPa以下、約10MPa以下、約5MPa以下、約2MPa以下、約1MPa以下、約0.5MPa以下、約0.3MPa以下、または約0.2MPa以下である。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約0.1MPa~約30MPa、約0.3MPa~約10MPa)。他の範囲も可能である。当業者なら、例えば、ASTM D638の下での引張機械的特徴付けおよび/またはASTM D575の下での圧縮機械的特徴付けを含むポリマー要素の弾性係数を決定する適切な方法を選択することができるであろう。
いくつかの実施形態では、弾性ポリマーを含む自己集合性構造体は、機械的変形中に比較的小量のクリープを受ける。例えば、特定の実施形態では、構造体は、約0.3mm/mm/hr、0.2mm/mm/hr、0.1mm/mm/hr、0.08mm/mm/hr、0.05mm/mm/hr、0.03mm/mm/hr、または0.02mm/mm/hr以下の最小クリープ速度を有する。特定の実施形態では、構造体は、少なくとも約0.01mm/mm/hr、0.02mm/mm/hr、0.03mm/mm/hr、0.05mm/mm/hr、0.08mm/mm/hr、0.1mm/mm/hr、または0.2mm/mm/hrの最小クリープ速度を有する。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約0.01mm/mm/hr~約0.3mm/mm/hr、約0.02mm/mm/hr~約0.1mm/mm/hr、約0.02mm/mm/hr~約0.05mm/mm/hr、約0.05mm/mm/hr~約0.3mm/mm/hr)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、ASTM D-638に準拠して最小クリープ速度を決定することができる。簡単に説明すると、弾性ポリマー材料のシートを調製し、標準的ダンベルダイを使って切り出す。試験片をインストロン材料試験機のグリップに装着し、ゲージ長をデジタルマイクロメーターで測定することができる。各材料の極限引張強さの30%に相当する一定の応力を一定温度(例えば、室温)で60分間試験片に加えてよく、クリープ(mm/mm)対時間(時間)をプロットすることができる。最小クリープ速度は、クリープ対時間曲線の2次クリープ前の傾きである。
当業者なら、例えば、モノマーおよび/またはポリマー単位のモル比を変えることにより(例えば、弾性ポリマー要素に使用される高分子量ポリカプロラクトンまたはその他のポリマーの量を増やすことにより)、ポリマーの架橋結合密度を変えることにより、ポリマーの形成に使用される架橋剤の濃度を変えることにより、ポリマーの結晶化度を変えることにより(例えば、ポリマーの結晶質と非晶質領域の比率を変えることにより)、および/または追加のまたは代替の材料を使用することにより(例えば、ビス(イソシアナトメチル)-シクロヘキサンなどの材料を組み込むことにより)、弾性ポリマー要素の機械的性質(例えば、弾性係数、クリープ挙動)を調整する適切な方法を決定することができるであろう。
いくつかの実施形態では、弾性ポリマーを含む自己集合性構造体は通常、生体適合性である。本明細書で使用される場合、用語「生体適合性」は、生物体(例えば、哺乳動物)、組織培養物または細胞収集物に由来する有害反応(例えば、免疫応答)を誘導しない、または有害反応が実際に起こった場合、許容可能なレベルを超えないポリマーを意味する。いくつかの実施形態では、自己集合性構造体は、ポリマー、ポリマーのネットワーク、および/または、例えば、限定されないが、ポリカプロラクトン、ポリ(フマル酸プロピレン)、ポリ(セバシン酸グリセロール)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-グリコール酸)、ポリブチレート、およびポリヒドロキシアルカノエートなどのポリエステル;限定されないが、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)などのポリエーテル;限定されないが、ポリ(ジメチルシロキサン)などのポリシロキサン;限定されないが、ポリ(カプロラクタム)などのポリアミド;限定されないが、ポリエチレンなどのポリオレフィン;限定されないが、ポリ(プロピレンオキシド)などのポリカーボネート;ポリケタール;ポリビニルアルコール;ポリオキセタン;限定されないが、ポリ(メタクリル酸メチル)およびポリ(エチルビニルアセテート)などのポリアクリレート/メタクリレート;ポリ無水物;およびポリウレタンのマルチブロックの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは架橋している。いくつかの実施形態では、自己集合性構造体は、2種またはそれを超える化学的に類似のポリマーまたは2種またはそれを超える化学的に異なるポリマーを含むポリマー複合材料を含む。
いくつかの実施形態では、自己集合性構造体は腸溶性ポリマーを含む。用語「腸溶性」は通常、比較的高度に酸性のpH条件(例えば、約5.5未満のpH)で安定であり、比較的アルカリ性のpH条件(例えば、約6~約9のpH)で溶解に対して感受性である材料を記述するために使用される。いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマーには、限定されないが、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒプロメロース(INN)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および/またはポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(例えば、Evonik Industries AG(Essen,Germany)から入手可能なオイドラギット(登録商標))が挙げられる。
いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマーの溶解は、例えば、アルカリ溶液の摂取によって誘発され得る。いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマーは、約4~8のpHで溶解する。いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマーは、腸溶性ポリマーが酸性の胃中環境(すなわち、pH1~pH4)中で安定であるが、幽門遠位の胃腸管のよりアルカリ性の領域(すなわち、5.5より大きいpHの領域)で溶解し、自己集合性構造体として機能することができるように選択される。
例えば、特定の実施形態では、腸溶性ポリマーは約1~約5のpH範囲で実質的に分解しない。いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマーは、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、または少なくとも約4.5のpHで、実質的に分解しない。特定の実施形態では、腸溶性ポリマーは、約5以下、約4.5以下、約4以下、約3以下、または約2以下のpHで実質的に分解しない。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約1~約4.5、約1~約5、約1~約4)。他の範囲も可能である。
特定の実施形態では、腸溶性ポリマーは約4~約8のpH範囲で実質的に分解する。いくつかの実施形態では、腸溶性ポリマーは、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約6.5、少なくとも約7、または少なくとも約7.5のpHで、実質的に分解する。特定の実施形態では、腸溶性ポリマーは、約8以下、約7.5以下、約7以下、約6.5以下、約6以下、または約5以下のpHで実質的に分解する。上記参照範囲の組み合わせ(Accommodation)も可能である(例えば、約4~約8、約5~約8、約6.5~約7.5)。他の範囲も可能である。
当業者なら、本明細書の教示に基づいて、約2日~40日の期間にわたり体温(例えば、約35℃~約38℃)で測定して、約3未満のpHを有する水溶液中の腸溶性ポリマーの溶解度を決定すること、および/または約6以上のpHを有する水溶液中に腸溶性ポリマーを溶解することを含む、腸溶性ポリマーの分解を決定する好適な方法を選択することができるであろう。
いくつかの実施形態では、デバイスは腸閉塞および/または穿孔の可能性が低い~それらの可能性がなく安全性を維持するように構成される。制御分解は、いくつかの事例では、胃腸管閉塞のリスクを軽減するために重要である。いくつかの実施形態では、自己集合性構造体は幽門の遠位で溶解するように構成される。上記で考察したように、いくつかの実施形態では、自己集合した凝集構造体を含む滞留デバイスは、1つまたはそれを超える自己集合性構造体の分解/溶解時に、デバイスは、閉塞することなく胃腸管を通過する(例えば、回盲弁を横断して)ことができるより小さい構造体に破壊される。例示的実施形態では、自己集合性構造体は、被験体の胃中(例えば、約1~約5の範囲のpHを有する)に位置する場合は、実質的に溶解および/または分解せず、腸中(例えば、約6.7~約7.4の範囲のpHを有する)に位置する(例えば、幽門を通過後)場合、実質的に分解する。
特定の実施形態では、腸溶性エラストマーは、その初期長さの50%から1500%まで伸長されると、可逆的伸びを示すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーは、その初期長さの少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約1000%、少なくとも約1200%、または少なくとも約1400%伸長される場合、可逆的伸びを示すことができる。すなわち、いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーは、約10%未満、約5%未満、約2%未満、または約1%未満の変形後対変形前(例えば、伸長前後)の平均長さの差異を有する。特定の実施形態では、腸溶性エラストマーは、その初期長さの約1500%以下、約1400%以下、約1200%以下、約1000%以下、約500%以下、約400%以下、約200%以下、または約100%以下伸長される場合、可逆的伸びを示すことができる。いずれかの上記参照範囲内に終了点を有するいずれかのおよび全ての閉区間も可能である(例えば、約50%~約1500%、約100%~約1500%、約200%~約1000%、約500%~約1400%)。他の範囲も可能である。
特定の実施形態では、腸溶性エラストマーは、約0.1MPa~約100MPaの範囲の弾性係数を有する。いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーの弾性係数は、少なくとも約0.1MPa、少なくとも約0.2MPa、少なくとも約0.3MPa、少なくとも約0.5MPa、少なくとも約1MPa、少なくとも約2MPa、少なくとも約5MPa、少なくとも約10MPa、少なくとも約25MPa、または少なくとも約50MPaである。特定の実施形態では、腸溶性エラストマーの弾性係数は、約100MPa以下、約50MPa以下、約25MPa以下、約10MPa以下、約5MPa以下、約2MPa以下、約1MPa以下、約0.5MPa以下、約0.3MPa以下、または約0.2MPa以下である。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約0.1MPa~約100MPa、約0.3MPa~約10MPa)。他の範囲も可能である。当業者なら、例えば、ASTM D638の下での引張機械的特徴付けおよび/またはASTM D575の下での圧縮機械的特徴付けを含む腸溶性エラストマーの弾性係数を決定する好適な方法を選択することができるであろう。
特定の実施形態では、腸溶性エラストマーは、種々の比率のポリ(アクリロイル-6-アミノカプロン酸)およびポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)のポリマー混合物を含む。
いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーは、アクリロイルアミノアルキレン酸モノマーのポリマーまたはその塩を含む。いくつかの実施形態では、ポリマー複合材料は、アクリロイルアミノアルキレン酸モノマー、(メタ)アクリロイルアミノアルキレン酸モノマーのポリマー、またはそれらの塩を含む。特定の実施形態では、アクリロイルアミノアルキレン酸モノマーは、アクリロイル-5-アミノペンタン酸、アクリロイル-6-アミノカプロン酸、アクリロイル-7-アミノヘプタン酸、アクリロイル-8-アミノオクタン酸、アクリロイル-9-アミノノナン酸、アクリロイル-10-アミノデカン酸、アクリロイル-11-アミノウンデカン酸、アクリロイル-12-アミノドデカン酸、メタクリロイル-5-アミノペンタン酸、メタクリロイル-6-アミノカプロン酸、メタクリロイル-7-アミノヘプタン酸、メタクリロイル-8-アミノオクタン酸、メタクリロイル-9-アミノノナン酸、メタクリロイル-10-アミノデカン酸、メタクリロイル-11-アミノウンデカン酸、メタクリロイル-12-アミノドデカン酸、これらの塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
特定の実施形態では、腸溶性エラストマーは、アクリロイル-6-アミノカプロン酸のホモポリマーまたはその塩を含む。いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーは、アクリロイル-6-アミノカプロン酸のコポリマーまたはその塩を含む。特定の実施形態では、腸溶性エラストマーは、ポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)またはその塩を含む。いくつかの事例では、ポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)は、約1:1のメタクリル酸モノマー単位の、アクリル酸エチルモノマー単位に対するモル比を有する。
いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーは、ブレンドである。例えば、特定の実施形態では、腸溶性エラストマーは、第1の腸溶性ポリマー(例えば、ポリ(アクリロイル-6-アミノカプロン酸))および第2の腸溶性ポリマー(例えば、ポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル))を含む。いくつかのこのような実施形態では、第1のポリマーの、第2のポリマーに対する重量比は、約1:6~約6:1の範囲である。特定の実施形態では、第1ポリマーの第2ポリマーに対する重量比は、少なくとも約1:6、少なくとも約1:5、少なくとも約1:4、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、または少なくとも約5:1である。いくつかの実施形態では、第1ポリマーの第2ポリマーに対する重量比は、約6:1以下、約5:1以下、約4:1以下、3:1、約2:1以下、約1:1以下、約1:2以下、約1:3以下、約1:4以下、または約1:5以下である。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約1:6~約6:1、約1:4~約4:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、約1:3~約1:1、約1:1~約3:1)。他の範囲も可能である。
いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーは、含水率40%以下のポリマーゲルである。例えば、いくつかの実施形態では、ポリマー複合材料は、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、または約10重量%以下の含水率を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー複合材料は、約5重量%を超える、約10重量%を超える、約20重量%を超える、または約30重量%を超える含水率を有する。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約5重量%~約40重量%)。
腸溶性エラストマーは、材料プラットフォームとして使用することができる。いくつかの実施形態では、本材料プラットフォームは、調整可能なエラストマー特性を特徴とし、酸性環境中で安定であり、および/またはよりアルカリ性の環境中で溶解可能である。したがって、腸溶性エラストマー材料プラットフォームは、酸性の胃中環境に適合し、小腸/結腸環境中における標的化された溶解のための能力を有する。いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマー材料プラットフォームは、限定されないが、胃腸管構造体製造、および幽門を超えての標的化放出による胃腸管特異的薬物送達などの多くの適用に有用である。
例えば、胃腔中のデバイスに結合したおよび/または組み込まれた1つまたはそれを超える腸溶性エラストマーポリマーは、幽門通過時の1つまたはそれを超える自己集合性構造体の急速溶解により、凝集構造体がより小さい構造体に縮小するために、閉塞および/または穿通を誘導し得る凝集構造体の偶発的通過のリスクを緩和するであろう。
腸溶性エラストマーと結合した構造体は、アルカリ環境の存在下で溶解に供される。したがって、インビボで滞留し、腸溶性エラストマーを含む胃中デバイスの場合には、被験体がアルカリ溶液(例えば、重炭酸ナトリウム)を摂取して、いくつかの実施形態に従ってデバイスの分解を可能とするように腸溶性エラストマーの溶解を生じさせる場合に、デバイスの通過を誘発することができる。
いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーは、大きな可撓性を有する。可撓性により、本明細書に記載のように、例えば、経口投与用のカプセルまたは内視鏡配置のためにカテーテルなどの密閉された/予め画定された容器に適合させるように構造体の詰め込みおよび/または折り畳みを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、腸溶性エラストマーは、180度までの可撓性を有し、密なおよび/または最大の詰め込みおよび/または折り畳みを可能とする。
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超える要素は、食品等級架橋(FGC)ポリマーを含み得る。例えば、特定の実施形態では、1つまたはそれを超える自己集合性構造体は、食品等級触媒により触媒されたポリマーを含む。いくつかの実施形態では、食品等級架橋ポリマーは、食品等級触媒を使った架橋および/または重合された食品等級成分を含む。食品等級架橋ポリマーは通常、機械的強度、生体適合性および/または成形性などの有利な特性の組み合わせを有し得る。いくつかの事例では、FGCポリマーは、好都合にも、治療薬の制御放出を可能とすることができると同時に、場合によっては毒性作用物質になり得る補助材料(例えば、溶媒、触媒、賦形剤)をほとんど~全く含まない。いくつかの実施形態では、FGCポリマーは、食品等級触媒の存在下で1種またはそれを超えるモノマーの反応により形成される。FGCポリマーを形成するための食品等級触媒の使用により、例えば、FDA承認成分を主に(またはそれのみを)含む要素の形成、および生体適合性などのいくつかの利点を得ることができる。特定の実施形態では、FGCポリマーは、例えば、FGCポリマーが生理的条件下で分解可能となるようにエステル結合を含む。FGCポリマーが、エポキシ樹脂の強度および完全性、ヒドロゲルの生物医学的な適用性、および/またはビトリマー(vitrimer)の成形性を有するポリマー材料(例えば、熱硬化性ポリマー材料)を含んでよいのは好都合である。
いくつかの実施形態では、FGCポリマーは架橋している。特定の実施形態では、FGCポリマーは実質的に非晶質である。一実施形態では、FGCポリマーは、感受性治療薬の包含を妨げない反応(例えば、活性物質はFGCポリマー中に直接充填および放出され得る)を介して架橋を受けたオリゴマーまたはポリマーストランドまたは鎖から誘導される。FGCポリマーは、従来の硬化樹脂よりも柔らかくてよく、従来の硬化樹脂より低いヤング率と架橋密度により特徴付けられ得る。伸長されたまたは他の方法で応力を加えられた後で、その元の形状に概ね戻る形状記憶ポリマーとは対照的に、FGCポリマーは、新しい位置に成形された後で、その新しい形状で固定されたまま残る。
いくつかの実施形態では、FGCポリマーは、2種またはそれを超える多官能性モノマー(例えば、第1の多官能性モノマーおよび第2の多官能性モノマー)の反応により形成される。特定の実施形態では、FGCポリマーは、2つまたはそれを超える、3つまたはそれを超える、4つまたはそれを超える、または5つまたはそれを超える多官能性モノマーの反応により形成される。いくつかの実施形態では、それぞれの多官能性モノマーは、反応性官能基を含む。特定の実施形態では、2種またはそれを超える反応性官能基は、相互に共有結合を形成してもよい。例えば、いくつかの事例では、第1の反応性官能基と第2の反応性官能基との反応により、第1の反応性官能基と第2の反応性官能基との間で共有結合が形成される。他の実施形態では、2種またはそれを超える反応性官能基間での反応は、マイケル付加である。他の実施形態では、2種またはそれを超える反応性官能基間の反応は、付加環化反応、特にディールスアルダー反応である。
いくつかの実施形態では、1種またはそれを超える多官能性モノマーは二官能性である。特定の実施形態では、1種またはそれを超える多官能性モノマーは三官能性である。いくつかの事例では、1種またはそれを超える多官能性モノマーは、四官能性、五官能性、六官能性であってよく、またはより高次の官能性を有してよい。特定の実施形態では、FGCポリマーは、1種またはそれを超える二官能性モノマーと、1種またはそれを超える三官能性モノマーの反応により形成される。
一実施形態では、FGCポリマーは、式(I):
で表されてよく、式中、Aは、少なくとも2つの反応性官能基を含む少なくとも1種の多官能性モノマーから誘導され、Bは、少なくとも2つの反応性官能基を含む少なくとも1種の多官能性モノマーから誘導され、式(I)の化合物は架橋結合を含む。例えば、特定の実施形態では、式(I)におけるような構造を含むFGCポリマーは、2つの反応性官能基を含む第1の多官能性モノマーと、3つの反応性官能基を含む第2の多官能性モノマーとの反応により形成される。別の実施形態では、式(I)におけるような構造を含むFGCポリマーは、2つの反応性官能基を含む第1の多官能性モノマーと、2つの反応性官能基を含む第1の多官能性モノマーとは異なる第2の多官能性モノマーと、3つの反応性官能基を含む第3の多官能性モノマーとの反応により形成される。いくつかのこのような実施形態では、第1の多官能性モノマーの反応性官能基は、第2の多官能性モノマーおよび/または第3の多官能性モノマーの反応性官能基と同じであっても、異なっていてもよい。例えば、第1の多官能性モノマーの反応性基は、第2の多官能性モノマーおよび/または第3の多官能性モノマーの反応性基と反応(および共有結合を形成)してよい。
いくつかの実施形態では、1種またはそれを超える多官能性モノマーはオリゴマーの部分を含む。特定の実施形態では、式(I)のFGCポリマーは、さらに、架橋結合を形成することが可能な少なくとも2つの反応性基の存在を特徴とする。
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、2種またはそれを超える多官能性モノマーを組み合わせて、その後、その混合物を重合を開始させてゲル化点に達するのに十分な温度でインキュベートすることにより調製される。いくつかの実施形態では、2種またはそれを超える多官能性モノマーが触媒の存在下で組み合わされる。特定の実施形態では、2種またはそれを超える多官能性モノマーがサブユニット化合物の存在下で、活性物質の存在下で、またはこれら両方の存在下で組み合わされる。
いくつかの実施形態では、多官能性モノマーは、式(II):
Q
1-L-Q
2 (II)
におけるような構造を有し、式中、Q
1およびQ
2は同じまたは異なる反応性官能基であり、Lは、式(III):
におけるような構造を有し、式中、
はQ
1およびQ
2への接続点を示す。
いくつかの実施形態では、多官能性モノマーは:
におけるような構造を有し、式中、Q
1、Q
2およびQ
3は同じまたは異なる反応性官能基であり、Lは、式(III)におけるような構造を有する。
いくつかの実施形態では、X1、X2、およびX3は、同じまたは異なり、存在しないかまたは(CR1R2)m、ヘテロ原子、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロ環式基、ヘテロアリール基、およびオリゴマーの基からなる群より選択される。特定の実施形態では、X1、X2、および/またはX3は存在しない。
特定の実施形態では、mはゼロまたは任意の整数である。例えば、いくつかの実施形態では、mは0である。特定の実施形態では、mは、1~3、2~4、3~6、4~8、5~10、8~16、12~24、20~30、25~50、40~60、50~100、75~150、125~200、150~300、250~500、400~600、500~800、または750~1500である。いくつかの事例では、mは1~3である。特定の実施形態では、mは2~4である。いくつかの事例では、mは4~8である。いくつかの実施形態では、mは8~16である。mの値は、FGCポリマーに特定の特性(例えば、架橋密度、ヤングの弾性率)を付与するように選択してよい。
いくつかの実施形態では、yはゼロまたは任意の整数である。例えば、いくつかの実施形態では、yは0である。特定の実施形態では、yは、1~3、2~4、3~6、4~8、5~10、8~16、12~24、20~30、25~50、40~60、50~100、75~150、125~200、150~300、250~500、400~600、500~800、または750~1500である。いくつかの事例では、yは1~3である。特定の実施形態では、yは2~4である。いくつかの事例では、yは4~8である。いくつかの実施形態では、yは8~16である。yの値は、FGCポリマーに特定の特性(例えば、架橋密度、ヤングの弾性率)を付与するように選択してよい。
特定の実施形態では、zはゼロまたは任意の整数である。例えば、いくつかの実施形態では、zは0である。特定の実施形態では、zは、1~3、2~4、3~6、4~8、5~10、8~16、12~24、20~30、25~50、40~60、50~100、75~150、125~200、150~300、250~500、400~600、500~800、または750~1500である。いくつかの事例では、zは1~3である。特定の実施形態では、zは2~4である。いくつかの事例では、zは4~8である。いくつかの実施形態では、zは、8~16である。zの値は、FGCポリマーに特定の特性(例えば、架橋密度、ヤングの弾性率)を付与するように選択してよい。
特定の実施形態では、m+y+zはゼロである。特定の実施形態では、m+y+zは1である。いくつかの事例では、m+y+zは整数であり、2またはそれより大きい。
いくつかの実施形態では、各R1およびR2は、同じまたは異なり、水素、脂肪族基、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル、チオカルボニル、オキソ、アルコキシ、エポキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、チオール、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アラルキル、および芳香族またはヘテロ芳香族またはマイケル受容体からなる群より選択され、R1およびR2の内の任意の2つまたはそれを超える基は、環系を形成するように互いに結合してもよい。特定の実施形態では、各R1および/またはR2は、Q3(すなわち、反応性官能基)であってよい。
代表的実施形態では、多官能性モノマーは、式(IV):
におけるような構造を有し、Lは前述の通りである。別の代表的実施形態では、多官能性
モノマーは:
におけるような構造を有し、式中、Lは、上述の通りである。さらに別の代表的実施形態では、多官能性モノマーは、式(V)または式(VI):
におけるような構造を有する。式中、Lは、上述の通りである。いくつかの実施形態では、FGCポリマーは、式(IV)におけるような構造を有する第1の多官能性モノマーと、式(V)または式(VI)におけるような構造を有する第2の多官能性モノマーとの反応により形成される。
本明細書で記載の多官能性モノマーは、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、または少なくとも5つの反応性官能基を含んでよい。例えば、いくつかの実施形態では、Q1、Q2、およびQ3は同じまたは異なる、求電子性官能基または求核性官能基であってよい。
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超える反応性基(例えば、Q1、Q2、および/またはQ3)は、求電子性官能基である。例えば、モノマーは、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、または少なくとも5つの求電子性官能基を含んでよい。好適な求電子性官能基の非限定的例には、アルケン、アルキン、エステル(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)、アクリレート、メタクリレート、ハロゲン化アシル、アシルニトリル、ハロゲン化アルキル、アルデヒド、ケトン、スルホン酸アルキル、無水物、エポキシド、ハロアセトアミド、アジリジン、およびジアゾアルカンが挙げられる。
特定の実施形態では、1つまたはそれを超える反応性官能基(例えば、Q1、Q2、および/またはQ3)は、求核性官能基である。例えば、モノマーは、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、または少なくとも5つの求核反応性官能基を含んでよい。好適な求核性官能基の非限定的例には、アルコール、アミン、アニリン、フェノール、ヒドラジン、ヒドキシルアミン、カルボン酸、アルコキシド塩、アルケン、チオール、およびグリコールが挙げられる。
本明細書で記載の多官能性モノマーは、少なくとも1つの求電子性官能基および少なくとも1つの求核性官能基を含んでよい。例えば、代表的実施形態では、第1の多官能性モノマーは、求電子性官能基および求核性官能基の両方を含む。特定の実施形態では、第1の多官能性モノマーは、2つまたはそれを超える求電子性官能基を含み、第2の多官能性モノマーは、2つまたはそれを超える求核性官能基を含む。
いくつかの事例では、求電子性官能基と求核性官能基の反応により、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、アミン結合、またはチオエーテル結合などの生体応答性結合が形成される。例えば、特定の実施形態では、FGCポリマーは、求電子性官能基と求核性官能基との反応により形成されたエステル結合を含む。いくつかの実施形態では、FGCポリマーは、求電子性官能基と求核性官能基との反応により形成されたエーテル結合を含む。他の結合も可能である。
いくつかの実施形態では、FGCポリマーは、2種またはそれを超える多官能性モノマーと追加のモノマー単位との反応により形成される。いくつかの実施形態では、追加のモノマー単位は、1種またはそれを超えるカルボン酸誘導体を含む化合物を含む。いくつかの実施形態では、追加のモノマー単位は、少なくとも1つのエステル、アミドもしくはチオエステル基を含む単一の化合物、または少なくとも1つのエステル、アミドまたはチオエステルを含む化合物の混合物である。特定の実施形態では、追加のモノマー単位は、ラクトン、ラクタムまたはチオラクトン基を含む化合物である。特定の実施形態では、追加のモノマー単位は、天然に存在するラクトンまたはラクタムである。別の実施形態では、追加のモノマー単位のラクトン含有またはラクタム含有化合物は、FDAの「Generally Recognized as Safe」物質データベースおよび/または21 C.F.R 182に挙げられているものから選択される。特定の実施形態では、追加のモノマー単位は、選択されたγ-デカラクトン、δ-デカラクトン、ω-ペンタデカラクトン、カプロラクタム、およびこれらの混合物である。
特定の実施形態では、追加のモノマー単位は、一級または二級アミン部分を含まない。
いくつかの実施形態では、第1の多官能性モノマー(例えば、求電子性反応性基を含む)の、追加の多官能性モノマー(例えば、求核性反応性基を含む)および/または追加のモノマー単位の混合物に対するモル比は、約10:1~約1:10の範囲である。代表的実施形態では、第1の多官能性モノマーの、追加の多官能性モノマーおよび/またはモノマー単位の混合物に対するモル比は、約1:1である。特定の実施形態では、第1の多官能性モノマーの、追加の多官能性モノマーおよび/またはモノマー単位の混合物に対するモル比は、約10:1未満、約8:1未満、約6:1未満、約4:1未満、約2:1未満、約1.5:1未満、約1:1未満、約1.5:1未満、約1:2未満、約1:4未満、約1:6未満、または約1:8未満である。いくつかの実施形態では、第1の多官能性モノマーの、追加の多官能性モノマーおよび/またはモノマー単位の混合物に対するモル比は、約1:10以上、約1:8以上、約1:6以上、約1:4以上、約1:2以上、約1:1.5以上、約1:1以上、約1:1.5以上、約2:1以上、約4:1以上、約6:1以上、または約8:1以上である。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約10:1~約1:10、約1:4~約4:1、約1:2~約2:1)。
いくつかのこのような実施形態では、第2の多官能性モノマーは、少なくとも約10mol%、少なくとも約20mol%、少なくとも約25mol%、少なくとも約50mol%、少なくとも約75mol%、少なくとも約90mol%、または少なくとも約99mol%の量で、追加の多官能性モノマーおよび/またはモノマー単位の混合物中に存在する。特定の実施形態では、第2の多官能性モノマーは、約99.9mol%以下、約99mol%以下、約90mol%以下、約75mol%以下、約50mol%以下、約25mol%以下、または約20mol%以下の量で、追加の多官能性モノマーおよび/またはモノマー単位の混合物中に存在する。いずれかの上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約25mol%~約99.9mol%)。他の範囲も可能である。
上述のように、いくつかの実施形態では、2種またはそれを超える多官能性モノマーが触媒の存在下で組み合わされる(すなわち、反応させられる)。
いくつかの実施形態では、触媒は、求核試薬である。特定の実施形態では、触媒は塩基(例えば、中等度の塩基、弱塩基)である。特定の実施形態では、触媒は金属塩である。いくつかの実施形態では、触媒は、亜鉛の硫酸塩、例えば、ZnSO4およびその水和物である。
いくつかの実施形態では、触媒は、FDAの「Generally Recognized as Safe」物質データベースおよび/または21 C.F.R 182に挙げられている触媒から選択される。特定の実施形態では、触媒は食品等級および/または食物由来触媒である。
特定の実施形態では、触媒は有機アミンである。いくつかの実施形態では、触媒は、三級アミンである。いくつかの事例では、三級アミン触媒は、いかなるアミノN-HもNH2官能基も全く含まない。
いくつかの実施形態では、触媒は、アルカロイド化合物である。特定の実施形態では、触媒はプリン塩基である。プリン塩基の非限定的例には、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸およびイソグアニンが挙げられる。代表的実施形態では、触媒はカフェインである。
通常、カフェインなどの食品等級触媒の使用により、FDA承認、低細胞傷害性、および/または重合後触媒を除去する必要性が低減される(または実質的にその必要性がなくなる)などの、従来の触媒に優る多くの利点が得られる。
いくつかの実施形態では、触媒(例えば、食品等級触媒)は、FGCポリマーの形成後にFGCポリマー中に0.01mol%~約25mol%の範囲の量で存在する。例えば、いくつかの実施形態では、FGCポリマーは、FGCポリマーの形成後に、実質的に触媒を含まない。特定の実施形態では、触媒は、FGCポリマーの形成後にFGCポリマー中に、少なくとも約0.01mol%、少なくとも約0.05mol%、少なくとも約0.1mol%、少なくとも約0.5mol%、少なくとも約1mol%、少なくとも約2mol%、少なくとも約5mol%、少なくとも約10mol%、または少なくとも約20mol%の量で存在する。特定の実施形態では、触媒は、約25mol%以下、約20mol%以下、約10mol%以下、約5mol%以下、約2mol%以下、約1mol%以下、約0.5mol%以下、約0.1mol%以下、または約0.05mol%以下の量で、FGCポリマーの形成後にFGCポリマー中に存在する。いずれかの上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約1mol%~25mol%、約0.01mol%~5mol%)。他の範囲も可能である。
上述のように、いくつかの実施形態では、FGCポリマーは3種以上の多官能性モノマーを使って形成され得る。代表的反応では、ポリプロピレンオキシドが、クエン酸、メルカプトコハク酸、およびPPO-ジメタクリレートと、カフェインの存在下で、マイケル付加により反応させられて、分岐FGCポリマーが形成される。
いくつかの実施形態では、滞留デバイス、およびそのサブ構造体(例えば、複数の自己集合性構造体または凝集構造体)は、治療薬、診断薬、および/または強化剤などの活性物質で事前充填される。いくつかの実施形態では、デバイスは、長期間にわたる適さない生理的環境(例えば、胃中環境)中で、治療薬、診断薬、および/または強化剤の安定性を維持するように構成される。さらなる実施形態では、デバイスは、バースト放出の可能性が低い~バースト放出の可能性がなく、治療薬、診断薬、および/または強化剤の放出を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、デバイスは、活性物質の組み合わせで事前充填される。例えば、特定の実施形態では、デバイスは1種またはそれを超える、2種またはそれを超える、3種またはそれを超える、4種またはそれを超える、または任意の他の適切な数の活性物質を含む。いくつかの実施形態では、複数の自己集合性構造体の異なる構造体が、異なる活性物質を含んでもよい。
治療薬、診断薬、および/または強化剤は、限定されないが、粉末混合、直接添加、溶媒充填、融解充填、物理的ブレンド、超臨界二酸化炭素、およびエステル結合およびアミド結合などの抱合反応などの標準的方法により、ポリマー材料およびその他の薬物送達材料に充填することができる。その後、治療薬、診断薬、および/または強化剤の放出は、限定されないが、ポリマーマトリックス材料を含む要素の溶解、マトリックス材料の分解、マトリックス材料の膨潤、薬剤の拡散、加水分解、および/または抱合結合の化学的または酵素的開裂などの方法により行うことができる。いくつかの実施形態では、活性物質は、ポリマー要素のポリマーマトリックスに共有結合している(例えば、ポリマーマトリックスが分解すると放出される)。
特定の実施形態では、要素は、要素(単一または複数)から活性物質を放出するように構築され、配置される。このような実施形態は薬物送達の文脈において有用であろう。他の実施形態では、活性物質は、要素に永久に固定される。このような実施形態は分子認識および精製の状況下で有用であろう。特定の実施形態では、活性物質は、要素内に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、活性物質は、イオン結合、共有結合、水素結合、ファンデルワールス相互作用などの結合の形成により、要素に結合される。共有結合は、例えば、炭素-炭素、炭素-酸素、酸素-ケイ素、硫黄-硫黄、リン-窒素、炭素-窒素、金属-酸素、またはその他の共有結合であってよい。水素結合は、例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオール、および/または類似の官能基間であってよい。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のシステム、デバイス、および方法は、1種またはそれを超える治療薬、診断薬、および/または強化剤、例えば、薬物、栄養素、微生物、インビボセンサーおよびトレーサーと適合性である。いくつかの実施形態では、活性物質は、治療薬、栄養補助食品(nutraceutical)、予防薬または診断薬である。活性物質は、ポリマーマトリックス内に封入されてもよく、またはポリマーマトリックス中の1つまたはそれを超える原子に化学結合により直接結合してもよい。特定の実施形態では、活性物質は、ポリマーマトリックスに共有結合される。いくつかの実施形態では、活性物質は、カルボン酸誘導体を介して、ポリマーマトリックスに結合する。いくつかの事例では、カルボン酸誘導体が、エステル結合であってよい。
薬剤には、限定されないが、被験体(例えば、ヒトまたは非ヒト動物)に投与時に、局所的および/または全身性作用により所望の薬理的、免疫原性、および/または生理的効果を誘発する、任意の合成または天然に存在する生物学的に活性な化合物または物質の組成物が挙げられる。例えば、特定の実施形態の文脈内で有用な、または潜在的に有用なものは、従来から薬物、ワクチン、およびバイオ医薬品と見なされている化合物または化学物質であり、特定のこのような薬剤には、限定されないが、疾患または疾病の医学または獣医学処置、予防、診断、および/または緩和を含む、治療、診断、および/または強化分野で使用するための、タンパク質、ペプチド、ホルモン、核酸、遺伝子構築物など(例えばロスバスタチンなどのHMG co-A還元酵素阻害剤(スタチン)、メロキシカムなどの非ステロイド性抗炎症薬、エスシタロプラムなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤、クロピドグレルなどの抗凝血剤(blood thinning agent)、プレドニゾンなどのステロイド、アリピプラゾールやリスペリドンなどの抗精神病薬、ブプレノルフィンなどの鎮痛剤、ナロキソン、モンテルカスト、およびメマンチンなどのアンタゴニスト、ジゴキシンなどの強心配糖体、タムスロシンなどのアルファ遮断薬、エゼチミブなどのコレステロール吸収阻害剤、コルヒチンなどの代謝物、ロラタジンやセチリジンなどの抗ヒスタミン剤、ロペラミドなどのオピオイド、オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤、エンテカビルなどの抗ウイルス剤、ドキシサイクリン、シプロフロキサシンおよびアジスロマイシンなどの抗生物質、抗マラリア剤、ならびにシントロイド(synthroid)/レボチロキシン);薬物乱用処置(substance abuse treatment)(例えば、メサドンおよびバレニクリン);家族計画(例えば、ホルモン不妊法);能力増強(performance enhancement)(例えば、カフェインなどの刺激薬);ならびに栄養および栄養補助剤(supplement)(例えば、タンパク質、葉酸、カルシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛、チアミン、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンD、およびその他のビタミンまたはミネラル栄養補助剤)などの分子を含めてよい。
いくつかの実施形態では、活性物質は、タングステンカーバイドまたは硫酸バリウムなどの放射線不透過性材料である。
特定の実施形態では、活性物質は、1種またはそれを超える特定の治療薬である。本明細書で使用される場合、「治療薬」または「薬物」とも称される用語は、疾患、障害、またはその他の臨床的に認識される状態を処置するために、または予防目的のために被験体に投与され、また、臨床的に意味のある効果を被験体の身体に与えて、疾患、障害、または状態を処置および/または予防する作用物質を意味する。既知の治療薬例のリストは、例えば、米国薬局方(USP)、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,10th Ed.,McGraw Hill,2001;Katzung,B.(ed.)Basic and Clinical Pharmacology,McGraw-Hill/Appleton & Lange;8th edition(September 21,2000);Physician’s Desk Reference(Thomson Publishing)、および/またはThe Merck Manual of Diagnosis and Therapy,17th ed.(1999)もしくはその出版後の18th ed.(2006)、Mark H. Beers and Robert Berkow (eds.), Merck Publishing Group、または、動物の場合には、The Merck Veterinary Manual,9th ed.,Kahn,C.A.(ed.),Merck Publishing Group,2005;および米国食品医薬品局(F.D.A)出版の“Approved Drug Products with Therapeutic Equivalence and Evaluations,”(「オレンジブック」)に見出すことができる。ヒトの使用に対し承認された薬物の例は、FDAによる、21 C.F.R 330.5、331~361、および440~460にリストされている(参照により本明細書に組み込まれる);獣医学使用に対する薬物は、FDAによる、21 C.F.R 500~589にリストされている(参照により本明細書に組み込まれる)。特定の実施形態では、治療薬は小分子である。代表的種類の治療薬には、限定されないが、鎮痛剤、抗鎮痛剤(anti-analgesic)、抗炎症薬、解熱剤、抗うつ剤、抗てんかん薬、抗精神病薬、神経保護薬、抗癌剤などの抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、抗片頭痛薬、ホルモン、プロスタグランジン、抗菌剤(例えば、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生生物薬)、抗ムスカリン薬、抗不安薬(anxioltyics)、静菌薬、免疫抑制剤、鎮静薬、催眠薬、抗精神病薬、気管支拡張剤、抗ぜんそく薬、心血管薬物、麻酔剤、抗凝固剤、酵素阻害剤、ステロイド剤、ステロイドまたは非ステロイド抗炎症剤、コルチコステロイド、ドーパミン作動薬、電解質、胃腸薬、筋弛緩剤、栄養剤、ビタミン、副交感神経作動薬、刺激薬、食欲抑制薬および抗ナルコレプシー薬(anti-narcoleptic)が挙げられる。栄養補助食品を薬物送達デバイス中に組み込むこともできる。これらは、ビタミン、カルシウムまたはビオチンなどの栄養補助剤、または植物抽出物もしくは植物ホルモンなどの天然成分であってよい。
いくつかの実施形態では、治療薬は1種またはそれを超える抗マラリア薬である。代表的抗マラリア薬には、キニーネ、ルメファントリン、クロロキン、アモジアキン、ピリメタミン、プログアニル、クロルプログアニル-ダプソン、スルファドキシンおよびスルファメトキシピリダジンなどのスルホンアミド、メフロキン、アトバクオン、プリマキン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、アルテミシニン、およびアルテミシニン誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗マラリア薬は、アルテミシニンまたはその誘導体である。代表的アルテミシニン誘導体には、アーテメータ、ジヒドロアルテミシニン、アルテテルおよびアルテスナートが挙げられる。特定の実施形態では、アルテミシニン誘導体はアルテスナートである。
カルボン酸基を含む活性物質は、さらなる修飾を必要とせずに、エステルおよびヒドロキシル基を含むポリマーマトリックス中に直接組み込み得る。アルコールを含む活性物質は、最初にコハク酸またはフマル酸モノエステルとして誘導体化された後に、ポリマーマトリックス中に組み込み得る。チオールを含む活性物質は、硫黄-エン反応を介してオレフィンまたはアセチレン含有マトリックス中に組み込み得る。他の実施形態では、1種またはそれを超える薬剤は、非共有結合でポリマーマトリックスに結合される(例えば、マトリックス中に分散または封入される)。
他の実施形態では、活性物質は、タンパク質またはその他の生体高分子である。このような物質は、利用可能なカルボキシレート含有アミノ酸を使って、エステル結合によりポリマーマトリックスに共有結合し得る、またはチオール-エン型反応を使って、オレフィンまたはアセチレン部分を含むポリマー材料中に組み込まれ得る。いくつかの事例では、活性物質は、エポキシド官能基と反応してアミドまたはエステル結合を形成することが可能なアミン官能基を含む。他の実施形態では、活性物質は、非共有結合でポリマーマトリックスに結合する。いくつかのこのような実施形態では、活性物質は、親水性力(hydrophilic force)および/または疎水性力(hydrophobic force)により内部に分散または封入され得る。
いくつかの事例では、ポリマー材料中での活性物質の分配係数を、調整することができる。例えば、活性物質が疎水性の場合には、いくつかの事例では、疎水性のポリマー材料骨格が水溶液中への放出を遅らせ得るが、親水性ポリマー材料骨格は、放出を加速するはずである。さらに、親水性ポリマー材料骨格は、いくつかの事例では、材料中への吸水速度を高め、ポリマー材料を膨張(例えば、膨潤)させて、放出速度を加速する。いくつかの実施形態では、遊離反応性基が水性媒体の存在下で電荷を持つようになるイオン化可能部分を含む条件下では、材料の膨張と溶解が増加するであろう。いくつかのこのような実施形態では、イオン性反発により材料が崩壊するに伴い、拡散を介した内容物の放出速度が増加する、および/または切断可能な結合へのより良好なアクセスが与えられるであろう。当業者なら、活性物質の分配係数を決定する適切な方法、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などを選択することができるであろう。
活性物質は、任意の好適な量で、ポリマーマトリックスに結合する、および/または要素中に存在してよい。いくつかの実施形態では、活性物質は、要素中に、合計要素重量に対して約0.01重量%~約50重量%の範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、活性物質は、合計要素重量の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%の量で要素中に存在する。特定の実施形態では、活性物質は、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、または約0.05重量%以下の量で要素中に存在する。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、約0.01重量%~約50重量%)。他の範囲も可能である。
好都合にも、本明細書で記載のポリマー要素は、ヒドロゲルなどのその他のポリマーに比べて、より高い濃度(重量パーセント)の治療薬などの活性物質をポリマー要素中に組み込むのを可能とし得る。いくつかの実施形態では、活性物質(例えば、活性物質)は、要素から放出され得る。特定の実施形態では、活性物質は、要素から拡散により放出される。いくつかの実施形態では、活性物質は、要素の分解(例えば、生分解、酵素分解、加水分解)により放出される。いくつかの実施形態では、活性物質は、要素から特定の速度で放出される。当業者なら、放出速度は、いくつかの実施形態では、要素が暴露されている媒体、例えば胃液などの生理学的流体中の活性物質の溶解度に依存する場合があることを理解するであろう。活性物質の放出および/または放出速度に関して含まれる範囲と記述は通常、模擬胃液(例えば、米国薬局方(USP)で定義されている)中の親水性、疎水性、および/または親油性の活性物質に関してのものである。模擬胃液は当技術分野において既知であり、当業者なら、本明細書の教示に基づいて適切な模擬胃液を選択することができるであろう。
いくつかの実施形態では、0.05重量%~99重量%の活性物質が、24時間~1年間で放出される。いくつかの実施形態では、約0.05重量%~約99.0重量%の活性物質が一定の時間後に、要素から放出される。いくつかの実施形態では、要素に結合している活性物質の少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約98重量%が、約24時間後(after about after about)に、約32時間後に、約72時間後に、約96時間後に、または約192時間後に、その要素から放出される。特定の実施形態では、ポリマー要素に結合している活性物質の少なくとも約0.05重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、または少なくとも約98重量%が、約1日後に、約5日後に、約30日後に、約60日後に、約120日後に、または約365日後に、その要素から放出される。例えば、いくつかの事例では、ポリマー要素に結合している活性物質の少なくとも約90重量%が約120日後にその要素から放出される。
いくつかの実施形態では、活性物質が、最初の24時間の放出(例えば、内部開口部などの被験体の内部の所望の位置での活性物質の放出)で決定される特定の初期平均速度で要素から放出される。特定の実施形態では、活性物質は、最初の24時間の放出後の24時間の期間にわたり、初期平均速度の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の平均速度で放出される。いくつかの実施形態では、活性物質は、最初の24時間の放出後の24時間の期間にわたり、初期平均速度の約99%以下、約98%以下、約95%以下、約90%以下、約80%以下、約75%以下、約50%以下、約%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下、または約2%以下の平均速度で放出される。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、24時間にわたり、約1%~約99%、約1%~約98%、約2%~約95%、約10%~約30%、約20%~約50%、約30%~約80%、および約50%~約99%)。他の範囲も可能である。
活性物質は、初期放出後、48時間~約1年間(例えば、48時間~1週間、3日~1ヶ月、1週間~1ヶ月、1ヶ月~6ヶ月、3ヶ月~1年間、6ヶ月~2年間)、初期平均放出速度(最初の24時間の放出中に測定)の約1%~約99%の24時間にわたる平均速度で放出されてよい。
例えば、いくつかの事例では、活性物質は、放出の2日目に、放出の3日目に、放出の4日目に、放出の5日目に、放出の6日目に、および/または放出の7日目に、初速度の約1%~約99%の速度で放出されてよい。
活性物質は通常、要素からのバースト放出として放出されることはない。例示的実施形態では、少なくとも約0.05重量%の活性物質が24時間後に要素から放出され、約0.05重量%~約99重量%が放出の最初の日中に放出され(例えば、被験体の内部の位置で)、そして約0.05重量%~約99重量%が放出の2日目中に放出される。当業者なら、要素および/または活性物質の特性に応じて、3日目、4日目、5日目などに、類似の量で活性物質がさらに放出され得ることを理解するであろう。
特定の実施形態では、活性物質は、パルス放出として放出されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、活性物質は、放出の最初の日および、3日目、4日目、または5日目中に開始するなどの別の24時間中に放出されるが、別の日には放出されない可能性がある。当業者なら、その他の日および/またはパルスおよび放出の組み合わせも可能であることを理解するであろう。
活性物質は少なくとも約24時間にわたり、比較的一定の平均速度(例えば、実質的にゼロ次平均放出速度)で放出される。特定の実施形態では、活性物質は、少なくとも約24時間にわたり、1次放出速度(例えば、活性物質の放出速度は通常、活性物質の濃度に比例する)で放出される。
いくつかの実施形態では、デバイス中に充填された活性物質の少なくとも一部は、滞留期間にわたり連続的に(例えば、様々な速度で)放出される。
本明細書に記載のように、いくつかの実施形態では、デバイスは、被験体への経口投与および/または被験体による摂取に適合する形状および/またはサイズをとるように構成される。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを超える自己集合性構造体は安定なカプセル化形態に折り畳みおよび/または詰め込む能力を備えた形状を有する。例えば、いくつかの実施形態では、自己集合性構造体は、カプセルまたはその他の可溶性容器(例えば、収容構造体)を最大限に詰め込み、かつ満たすように設計される。いくつかの実施形態では、自己集合性構造体は、カプセルまたはその他の可溶性容器を最大限に満たし、かつ/または詰め込む形状を有する。実施形態に応じて、カプセルまたはその他の容器は、1つまたはそれを超える自己集合性構造体を含むように構成されてよい。
適用によっては、カプセルは特定の仕様、または限定されないが、000、00、0、1、2、3、4、および5、ならびにより大きな獣医学カプセルSu07、7、10、12el、11、12、13、110ml、90ml、および36mlなどの標準的サイズに製造されてよい。いくつかの実施形態では、構造体は、コーティングした、またはコーティングなしのカプセルで提供してよい。カプセル材料は、硬質でも軟質でもよく、また、当業者には理解されるように、通常、無味で投与が容易な水溶性の化合物、例えば、ゼラチン、デンプンまたはセルロース系材料が含まれる。
他の実施形態では、1つまたはそれを超える自己集合性構造体は、帯または外科用の糸などの可溶性保持要素により詰め込まれた形状に保持される。いくつかの実施形態では、自己集合デバイスは、高弾性係数および低弾性係数の材料の最適な組み合わせを含み、可溶性容器および/または可溶性保持要素が除去されると、デバイスに形状および/またはサイズを変える能力を与える。
本明細書で使用される場合、例えば、1つまたはそれを超える物品、組成物、構造体、材料および/またはそれらの下位要素および/またはこれらの組み合わせの、またはこれらの間の形状、配向、整列化(alignment)、および/または幾何学的関係、および/またはこのような用語による特徴付けに適合する上記で列挙されていないあらゆる他の有形または無形の要素に関連するいずれかの用語は、他に定義も指示もない限り、必ずしもこのような用語の数学的定義に絶対的に一致することが必要とされないと理解されるべきだが、むしろ、当業者により、このような主題に最も密接に関連すると理解されるとして特徴付けられる主題に対し可能な程度にこのような用語の数学的定義に一致することを示すものと理解されるものとする。形状、配向、および/または幾何学的関係に関連するこのような用語の例としては、形状を記述している用語-例えば、丸い、正方形、円形の/円形、長方形の/長方形、三角形の/三角形、円柱の/円柱、楕円の(elipitical)/楕円、(n)角形の/(n)角形、など;角度方向を記述している用語-例えば、垂直の、直交する、平行の、垂直の、水平の、共線の、など;輪郭および/または軌跡を記述している用語-例えば、平面/平面の、共平面の、半球形の、準半球状の、直線/直線の、双曲線の、放物線の、平坦な、曲線状の、真っ直ぐな、弓状の、正弦波形状の、接線の/正接の、など;表面および/またはバルク材料特性および/または空間/時間的分解(resolution)および/または分布を記述している用語-例えば、スムーズな、反射性の、透過性の、透明な、不透明の、剛性の、不透過性の、均一な(均一に)、不活性の、非湿潤性の、不溶性の、定常の、不変の、一定の、均一の、など;ならびに当業者に明らかである多くの他のものを記述している用語が挙げられるが、これらに限定されない。一例として、本明細書で「正方形」として記載されるであろう製造物品は、このような製品が完全に平面または直線であり、および正確に90度の角度で交差する表面または辺を有することを必要とせず(実際に、このような物品は数学的抽象概念としてのみ存在することができる)、むしろ、このような製品の形状は、数学で定義される「正方形」を、当業者によって理解されるかまたは具体的に記載される、言及される製造技術について、典型的に達成可能なおよび達成される程度に近似させるように解釈されるべきである。
本明細書で使用される場合、用語の「被験体」は、ヒトまたは動物などの個別の生物体を意味する。いくつかの実施形態では、被験体は哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、または非ヒト哺乳動物)、脊椎動物、実験動物、家畜、農業用動物、または伴侶動物である。いくつかの実施形態では、被験体は、ヒトである。いくつかの実施形態では、被験体は、齧歯類、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジまたはブタである。
本明細書で使用される場合、用語の「求電子試薬」は、電子に引き付けられ、求核試薬に結合するために電子対を受け入れることにより化学反応に関与する官能性を意味する。
本明細書で使用される場合、用語の「求核試薬」は、求電子試薬に結合するために求電子試薬に電子対を供与する官能性を意味する。
本明細書で使用される場合、「反応させる」または「反応すること」という用語は、2種またはそれを超える要素間に結合を形成し、安定で単離可能な化合物を生成することを意味する。例えば、第1の要素および第2の要素を反応させて、共有結合により連結された第1の要素および第2の要素を含む1種の反応生成物を形成してよい。用語の「反応すること」はまた、溶媒、触媒、塩基、リガンド、または要素(単一または複数)間の反応の発生を促進する役割をし得るその他の材料の使用を含んでよい。「安定な単離可能な化合物」は、単離された反応生成物を意味し、不安定な中間体または遷移状態を意味しない。
用語の「アルキル」は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基のラジカルを意味する。アルキル基は、以降でより完全に記載されるように、任意に置換されてもよい。アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、2-エチルヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、などが挙げられる。「ヘテロアルキル」基は、少なくとも1つの原子がヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素、リン、など)であり、残りの原子が炭素原子であるアルキル基である。ヘテロアルキル基の例としては、アルコキシ、ポリ(エチレングリコール)-、アルキル-置換アミノ、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、モルフォリニル、などが挙げられるが、これらに限定されない。
用語の「アルケニル」および「アルキニル」は、上記のアルキル基に類似するが、少なくとも1つの二重結合または三重結合をそれぞれ含む不飽和の脂肪族基を意味する。「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、1つまたはそれを超える原子がヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、など)である本明細書に記載のアルケニルおよびアルキニル基を意味する。
用語の「アリール」は、単環(例えば、フェニル)、複数環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも1つが芳香族である複数縮合環(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、またはフェナントリル)を有する芳香族炭素環式基を意味し、全て任意に置換されてもよい。「ヘテロアリール」基は、芳香環中の少なくとも1つの環原子がヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子であるアリール基である。ヘテロアリール基の例には、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N低級アルキルピロリル、ピリジルNオキシド、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル、インドリルなどが含まれ、全て任意に置換されてもよい。
用語の「アミン」および「アミノ」は、未置換および置換アミンの両方、例えば、一般式:N(R’)(R”)(R’”)によって表すことができる部分を意味し、式中、R’、R”、およびR’”は、それぞれ独立に、原子価規則により許容される基を表す。
用語の「アシル」、「カルボキシル基」、または「カルボニル基」は、当該技術分野において理解されており、一般式:
(式中、WはH、OH、O-アルキル、O-アルケニル、またはこれらの塩である)によって表すことが可能な部分を含むことができる。WがO-アルキルである場合には、式は「エステル」を表す。WがOHである場合には、式は「カルボン酸」を表す。一般に、上記式の酸素原子が硫黄により置換される場合には、式は「チオールカルボニル」基を表す。WがS-アルキルである場合には、式は「チオールエステル」を表す。WがSHである場合には、式は「チオールカルボン酸」を表す。他方では、Wがアルキルである場合には、上記式は「ケトン」基を表す。Wが水素である場合には、上記式は「アルデヒド」基を表す。
本明細書で使用される場合、「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子環員および1つまたはそれを超えるヘテロ原子環員(例えば、酸素、硫黄または窒素)を含む単環式または多環式芳香族ヘテロ環(またはそのラジカル)を意味する。通常、芳香族ヘテロ環は5~約14環員を有し、その中の少なくとも1つの環員は酸素、硫黄、および窒素から選択されるヘテロ原子である。別の実施形態では、芳香族ヘテロ環は、5または6員環であり、1~約4個のヘテロ原子を含んでよい。別の実施形態では、芳香族ヘテロ環系は、7~14環員であり、1~約7個のヘテロ原子を含んでよい。代表的ヘテロアリールには、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、ピリジニル、チアジアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、イソチアゾリル、テトラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、カルバゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル(qunizaolinyl)、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジル、ベンゾ(b)チエニル、などが挙げられる。これらのヘテロアリール基は、1つまたはそれを超える置換基により任意に置換されてもよい。
用語の「置換された」は、有機化合物の全ての許容可能な置換基を含み、「許容可能な」は、当業者に既知の原子価の化学的規則の文脈におけるものであることを企図する。いくつかの事例では、「置換された」は通常、水素の、本明細書に記載の置換基による置換を意味する。しかし、本明細書で使用される場合、「置換された」は、分子が特定される重要な官能基の置換および/または変更(例えば、「置換される」官能基が、置換により、異なる官能基になるような)を包含しない。例えば、「置換フェニル」は、依然としてフェニル部分を含んでいる必要があり、この定義では、置換により、例えば、ピリジンなどのヘテロアリール基となるように変更され得ない。広義の態様では、許容可能な置換基には、有機化合物の非環式と環式、分岐と非分岐、炭素環式とヘテロ環式、芳香族と非芳香族置換基が含まれる。例示的置換基には、例えば、本明細書で記載のものが含まれる。許容可能な置換基は、適切な有機化合物に対し、1つまたはそれを超えるおよび同じまたは異なる置換基とすることができる。本開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす、水素置換基および/または本明細書で記載の有機化合物の任意の許容可能な置換基を有してよい。本開示は、有機化合物の許容可能な置換基により何らかの形で限定することを意図するものではない。
置換基の例には、アルキル、アリール、アラルキル、環式アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ペルハロアルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アミノ、ハロゲン、アルキルチオ、オキソ、アシル、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキシル、カルボキサミド、ニトロ、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスルホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル、アルコキシアルキル、ペルハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキル、などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「ネットワーク」という用語は、架橋により相互に接続されたオリゴマーまたはポリマー鎖を有する3次元物質を意味する。
本明細書で使用される場合、「鎖」という用語は、1つのモノマー単位のオリゴマーもしくはポリマー鎖、または2種もしくはそれを超える異なるモノマー単位のオリゴマーもしくはポリマー鎖を意味する。
本明細書で使用される場合、「骨格」という用語は、モノマー単位が一緒に結合されている原子および結合を意味する。本明細書で使用される場合、「プレポリマー」という用語は、ネットワーク形成のために架橋されていないオリゴマーまたはポリマー鎖を意味する。
本明細書で使用される場合、「架橋」という用語は、2つの鎖の間の連結を意味する。架橋は、化学結合、単一原子、または複数の原子のいずれであってもよい。架橋は1つの鎖のペンダント基の異なる鎖の骨格との反応により、または1つのペンダント基と別のペンダント基の反応により形成されてよい。架橋は、別の鎖分子間に存在してよく、また、同じ鎖の異なる点の間に存在してもよい。
本明細書で使用される場合、「活性物質」という用語は、生物学的基質の変化を引き起こす化合物または化合物の混合物を意味する。医学および生物学分野における代表的な活性物質の種類には、治療薬、予防薬および診断薬が含まれる。活性物質は、小分子薬物、ビタミン、栄養素、生物学的薬物、ワクチン、タンパク質、抗体またはその他の生体高分子であってよい。活性物質は、化合物の上に列挙した種類のいずれかの混合物であってよい。
「免疫抑制剤」は、被験体中の異物に対する免疫応答を阻害または防止する薬剤を意味する。免疫抑制剤は通常、T細胞活性化を阻害する、増殖を中断させる、または炎症を抑制することにより作用する。
本明細書で使用される場合、「オリゴマー」および「ポリマー」という用語は、それぞれ、モノマーサブユニットを繰り返した化合物を意味する。一般的に言って、「オリゴマー」は、「ポリマー」より少ないモノマー単位を含む。当業者なら、特定の化合物がオリゴマーと指定されるかまたはポリマーと指定されるかは、化合物の正体およびそれが使われる文脈に依存することを理解するであろう。
当業者なら、多くのオリゴマーおよびポリマー化合物が異なる数のモノマーを含む複数の化合物から構成されることを理解するであろう。このような混合物は、混合物中のオリゴマーまたはポリマー化合物の平均分子量によって指定されることが多い。本明細書で使用される場合、オリゴマーまたはポリマー化合物に関連して、単数形の「化合物(compound)」の使用は、このような混合物を含む。
本明細書で使用される場合、さらなる調整剤(modifier)を含まない任意のオリゴマーまたはポリマー材料への言及は、任意の平均分子量を有する前記オリゴマーまたはポリマー材料を含む。例えば、用語の「ポリエチレングリコール」および「ポリプロピレングリコール」は、さらなる調整剤なしで使用される場合、任意の平均分子量のポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールを含む。
本明細書で使用される場合、「マイケル受容体」という用語は、炭素-炭素二重結合または三重結合を有する官能基を意味し、ここで、炭素原子のうちの少なくとも1つは、さらにカルボニル基またはイミン、オキシム、およびチオカルボニルなどのカルボニル類似体に結合している。マイケル受容体と求核試薬との間の反応により、求核試薬と、カルボニル基またはカルボニル類似体に直接接続していない炭素原子との間で共有結合が形成される。マイケル受容体と求核試薬との間の反応は、「マイケル付加」と呼ばれることもある。
用語の「脂肪族基」は、直鎖、分岐鎖、または環状脂肪族炭化水素基を意味し、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基などの飽和および不飽和の脂肪族基を含む。
用語の「アルコキシ」は、結合した酸素原子を有する、上記で定義されたアルキル基を意味する。代表的アルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、およびtert-ブトキシが挙げられる。「エーテル」は、酸素により共有結合された2つの炭化水素である。
用語の「アルキルチオ」は、結合された硫黄原子を有する上記で定義されたアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、「アルキルチオ」部分は、-S-アルキル、-S-アルケニル、および-S-アルキニルの内の1つにより表される。代表的アルキルチオ基には、メチルチオおよびエチルチオが挙げられる。
用語の「アミド」は、カルボニル基により置換されたアミノとして当該分野で認められている。
本明細書で使用される場合、用語「アラルキル」は、アリール基で置換されたアルキル基を意味する。本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を意味する。
本明細書で使用される場合、用語の「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。代表的(Examplary)ヘテロ原子は窒素、酸素、および硫黄を含む。
本明細書で使用される場合、「チオール」という用語は、-SHを意味し、用語の「ヒドロキシル」は-OHを意味し、用語の「スルホニル」は-SO2-を意味する。
本明細書で使用される場合、「オキソ」という用語は、カルボニル酸素原子を意味する。
本明細書で使用される場合、「アルカロイド」という用語は、少なくとも1つの非ペプチド性窒素原子を含む天然に存在する有機化合物を意味する。
(実施例)
次の実施例は、その性質上、例示することを意図している。したがって、実施例は、本開示の全範囲を例示するものと解釈されるべきでではなく、それよりも本開示の全範囲は明細書および図を考慮して全体として解釈されるべきものである。
実施例1-自己集合構造体の効率
異なるプラトン立体のセンチメートル規模の形態の自己集合の効率を試験し、結果を図5A~5Fに示す。インビトロ自己集合モデルを、ヒトの胃に基づいて大まかに開発した。モデルは、可変回転速度にてスキュー軸(skewed axis)上で穏やかに回転するように構成された250mlの密閉プラスチック容器からなった。図5Aに示す5種のプラトン立体のそれぞれに対応する多角形の自己集合性構造体を、三次元印刷を使用して生成した。それぞれのサブ構造体の外接半径を1cmで一定にした。サブ構造体が相互作用して多面体を形成するように、1/16インチの直径のネオジム磁石を、所定の北-南配向で、それぞれの構造体の稜に彫り込んだ孔中に挿入した。集合多面体の外接半径Rとして定義される有効半径は、自己集合性構造体の特定の形状に関連する。モデル中で1分当たり10回転(rpm)で最大30分間回転させることにより、それぞれの多面体の表面Nの数に等しい数の構造体を、集合効率に関して評価した。5分、10分、20分、および30分で、正確に形成された最大の凝集体を特定し、構造体(表面)の数を計数した。最終的な構造体は、集合した凝集構造体の内部に頻繁に捕捉され、また、全体の集合体の安定性にとって重要ではないので、自己集合の効率は、N-1個の構造体が正確に一体化(come together)したかどうかを決定することにより計算した。図5Bのチャートは、5分および30分での多面体の自己集合確率を示す。これは、立方体および十二面体凝集構造体の、四面体、八面体、または二十面体に対する自己集合効率が相対的に増加したという予想外の差異を示している。
予想外の自己集合効率およびより大きな有効サイズのため、さらなる調査のために、十二面体を選択した。図5Cのチャートは、最大の集合十二面体と磁石分離との間の時間をわたっての関係を示す。サブ構造体のそれぞれの稜上の反対の磁気配向(すなわち、北南軸を相互に反対にした)を有する2つの逆転磁石の間の分離距離を2.5mmから6mmまで変えることにより、磁気相互作用を実験的に変化させた。10rpmで回転中のそれぞれの時点で正確に集合した最大の構造体により測定した場合、集合効率に有意差は認められなかった。
図5Dのチャートは、最大の集合片と二面角(すなわち、2つのサブ構造体間で形成される角度)との間の時間をわたっての関係をさらに示す。幾何学的な正確なはめ合いは、十二面体では、約116.6°の二面角で起こる。これらの実験では、116.6°から最大132°の範囲の二面角を与えるサブ構造体を生成し、上述と同じように集合効率を評価した。チャートは、集合効率がほぼ逆U曲線で変化し、最適集合効率が予想外に中間的二面角で生じることを示す。二面角が幾何学的正確なはめ合いから増加するに伴い、二面角が約127°~132°に増加するまで集合効率が高くなり、その点で、完全な集合を行うには整合不良(misalignment)の程度が大きくなりすぎるために、自己集合効率が減少し始める。
正確な幾何学的はめ合いから逸脱した二面角を有する十二面体の安定性を評価するために、圧縮分析を行って、完全に形成された十二面体を圧縮するのに必要な最大力を見い出した。図5Eのチャートは、12片(自己集合性構造体)を含む十二面体に対する最大力と二面角との間の関係を示す。最大力は、約124°より大きい二面角で顕著に減少する。11片(自己集合性構造体)のみを含む不完全に集合した十二面体についても、この構造体が頻繁に観察されたので、同じ分析を行った。十二面体の欠損構造体(表面)は、圧縮の軸から離れて方向付けられた。図5Fのチャートは、11片に対する最大力と二面角との間の関係を示す。類似のパターンの二面角の変化が認められ、わずかに低下した圧縮圧力が必要であった。約0.5cm2の表面積を有する十二面体構造体を圧縮するために必要な最大力は、それぞれの構成についておよそ5Nであった。これは、ヒト胃食道括約筋で発揮される最大圧力の推定値に匹敵する。
様々な条件下での十二面体集合体の頑強性を、上記のモデルを使って評価し、結果を図6に示す。集合効率は、システムに適用される動力学的エネルギーで変化することが知られている。容器の回転速度は2.5rpm~40rpmまで変化したので、集合が起こるために必要な平均時間、ならびに全体の集合効率は、図6Aに示すように、回転速度と共に増加した。5rpmを超える回転速度では、自己集合は効率的で、85%を超える事例で11または12個の自己集合性構造体が正確な集合したことに達した。図6Bに示すように、10rpmの回転速度で、過剰なサブ構造体、例えば、12、13、14、および16個のサブ構造体の添加は、統計的に有意な量で集合速度の低下を生じさせなかった。しかし、過剰なサブ構造体は、少なくとも若干好ましくないであろうことを示唆する弱い傾向があった。
250mlの容器中の種々の量の水が十二面体集合体に与える影響も評価した。図6Cに示すように、25mlを超える水では、十二面体の自己集合の効率が統計的に有意な量で低減するように見えた。直径1cmのゴムボールを容器に加え、胃中の固形食物ボーラスをシミュレーションし、集合効率に対する影響がないことが観察された。さらに、ゴムボールの添加は、25mlを超える水の有害作用を無効にする(rescue)ことができなかった。
実施例2-自己集合のインビボ評価
図7は、55kgのブタの胃中で維持される自己集合十二面体凝集構造体の実施形態を示す。五角形構造体を、胃洗浄を介して胃中に置いた。数分以内に、サブ構造体が相互作用し、インビボで半順序凝集体を形成した。十二面体凝集構造体が、24時間保持され、これは、成分であるPEG系材料の分解速度のみによって制限された。
実施例3-半順序凝集構造体
図8Aは、半順序凝集構造体を形成するために使用し得る立方体自己集合性構造体の略図を示す。図に示すように、立方体は、該立方体が半順序凝集構造体に集合するように構成された、交互になった磁気配向を有する磁石を含む。立方体はまた、酸性環境中で時間をわたって膨潤するように適合されたコーティングを含む。膨潤は時間をわたって立方体を離すように押し、磁気結合の分解を容易にする。
図8Bに示すように、磁石が立方体構造体に対応する6つの方向に沿って配置されるように、磁石を保持するように配置された構造体中に磁石を挿入することにより、自己集合性立方体を形成することができる。追加の材料を添加して、磁石が立方体表面と同一平面となる(flush with)立方体形状を形成する。図8Cは、例示的な自己集合凝集構造体を示す。
三次元印刷により調製された27個の自己集合性立方体構造体を乾式ミキサー中に置き、ミキサーを5分間回転させることにより、立方体構造体の集合体を評価した。立方体構造体に対応する3つの直交方向のそれぞれに沿った立方体の最大数を測定し、結果を図8Dに示す。最大寸法に加えて、コア寸法を測定した。これは、欠けたユニットの全くない、観察された構造体内に含まれる完全に形成された最大の立方体構造体を反映している。
実施例4-半順序構造体の胃中保持
図9Aは、0日目に複数の自己集合性構造体を摂取した後で、自己集合過程が起こった後のヨークシャーブタ中で形成された半順序凝集構造体を示す。凝集構造体は、胃腔内で凝集構造体の位置を維持するのに充分に大きい。2日後、図9Bに示すように、別の自己集合構造体間の結合が分解し始めた。それに対応して、半順序凝集構造体が2つのより小さい断片/凝集構造体に分裂した。しかし、得られた断片は依然として、胃腔中に保持されるには充分に大きい。図には示されていないが、この分解過程は、凝集構造体の得られた断片が開口部を通過して胃腔から出るには充分小さくなるまで続くであろう。
図10A~10Eは、複数の自己集合性立方体構造体をヨークシャーブタへ投与した2日後に行われた剖検由来の画像を示す。図10A~10Bは、胃腔中に保持されていることが確認された半順序凝集構造体を示す。図10C~10Dは、剖検中に胃腔から取り出された2つの半順序凝集構造体を示す。
実施例5-半順序構造体のインビボ集合
図11Aは、0日目に、ヨークシャーブタの胃中に摂取された複数の自己集合性立方体構造体を示す。先に記載したように、ネオジム磁石を、該磁石を所定位置に保持するように設計された内部三次元構造体に置き、構造体を形成し、さらに、結晶質粉末状ドキシサイクリンハイクラート(doxycycline hyclate)と混合したポリカプロラクトンからなる磁石ホルダーの周囲に構造体を埋め込んで、自己集合性立方体構造体を形成した。76%w/wのポリカプロラクトン(MW45,000)中の4%w/wのプルロニックP407と共に、20%w/wのドキシサイクリンを、融解および機械的混合により充填した。融解混合物をPDMS型中に置き、その中に、磁石が露出されるように磁石ホルダーを埋め込んだ。図に示すように、20分未満以内に、自己集合性構造体が、複数の自己集合性(self-asssembling)からインビボで形成された半順序凝集構造体を形成した。図11Bに示すように、1日後、凝集構造体はより密になり、より均一な形状を形成した。
図12は、図11A~11Cに記載の自己集合性立方体の投与前後の、示した時点でのブタの静脈カニューレ挿入から得られた血清で測定したドキシサイクリンのレベルを示す。血清をLC/LC-MSで分析し、ドキシサイクリンの濃度を決定した。
いくつかの本開示の実施形態が本明細書で説明され、例示されてきたが、当業者なら、本明細書で記載の機能を実施するおよび/または結果および/または1つまたはそれを超える利点を得るための種々のその他の手段および/または構造体を容易に予測すると思われるが、それぞれのこのような変形および/または修正は本開示の範囲内に入ると見なされる。さらに一般的には、当業者なら、本明細書で記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成は、例示的であることが意図されていること、および実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本開示の教示が使用される具体的な用途(単一または複数)に依存するであろうことを容易に理解するであろう。当業者なら、単に定型の実験を使うだけで、本明細書で記載の特定の本開示の実施形態に対する多くの等価物を認める、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、例示の目的のみで提示されていること、および添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内で、特に記載および請求されている以外の方法で本開示を実施し得ることが理解されよう。本開示は、それぞれ本明細書で記載の個別の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらに、2種またはそれを超えるこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合には、本開示の範囲内に包含される。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、特に明示的に相反して示されない限り、不定冠詞の「1つ(a)」および「1つ(an)」は、「少なくとも1つの」を意味するものと理解されるべきである。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、語句の「および/または(and/or)」は、このように結合された要素の「一方または両方」、すなわち、いくつかの事例では接続的に存在する要素、その他の事例では離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。語句「および/または」により具体的に特定された要素以外の、その他の要素は、特に明示的に相反して示されない限り、特に特定されたこれらの要素に関連してもまたは非関連であっても、任意に存在してよい。したがって、非限定的例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などのオープンエンド用語と共に使用される場合、一実施形態では、BのないA(任意選択で、B以外の要素を含む);別の実施形態では、AのないB(任意選択で、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択で、その他の要素を含む);などを意味することができる。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または(or)」は、上記で定義の「および/または」と同じを意味するものと理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「または(or)」または「および/または」は、包括的であると解釈されるべきである、すなわち、少なくとも1つの数の要素またはリストの要素を含むと解釈されるべきであるが、また2つ以上の数の要素またはリストの要素、および任意選択で、追加の非リスト項目を含むと解釈されるべきである。明確に相反して示された用語に限り、例えば、「ただ1つの」または「正確に1つの」、または特許請求の範囲で使用される場合の「からなる(consisting of)」は、要素のいくつかまたはリストの内の正確に1つを含むこと意味することになる。一般に、本明細書で使用される場合、用語の「または(or)」は、「どちらか」、「~の1つ」、「~の1つのみ」、または「正確に1つの」などの排他的用語が先行する場合、排他的選択肢(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すとのみ解釈されるものとする。特許請求の範囲で使われる場合、「本質的になる」は、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1つまたはそれを超える要素のリストに関連して、語句の「少なくとも1つの」は、要素のリスト中のいずれか1つまたはそれを超える要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的にリストされた各要素および全要素の少なくとも1つを必ずしも含むとは限らず、要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを排除しないと理解されるべきである。この定義はまた、語句の「少なくとも1つの」が指す要素リスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、これらの具体的に特定された要素に関連するまたは関連しないに関わらず、任意選択で存在してもよいことを許容する。したがって、非限定的例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同じ意味で、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同じ意味で、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で、2つ以上のAを含みBが存在しない(および任意選択でB以外の要素を含む)を意味し;別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上のBを含みAが存在しない(および任意選択でA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、少なくとも1つの、任意選択で2つ以上の、Aを含み、および少なくとも1つの、任意選択で、2つ以上のB(および任意選択でその他の要素を含む)を含む;などを意味することができる。
特許請求の範囲ならびに上記明細書では、全ての移行句、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」などは、オープンエンドである、すなわち、含むがそれに限定されないを意味する、と理解されるべきである。米国特許庁特許審査手続マニュアル第2111.03に記載のように、移行句「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」のみをそれぞれ制限的または半制限的移行句とする。