以下、図面を参照して実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1から図8を用いて第1実施形態に係る搬送制御システム1について説明する。
図1は、実施形態に係る搬送制御システム1が適用される倉庫91の一例を示す図である。
倉庫91には、複数の搬送棚(POD)20が並べられ、複数の搬送棚20の集まりで棚列が形成され、複数の棚列の集まりで棚群が形成される。棚群は所定間隔で並び、一つの棚群に含まれる搬送棚20は所定間隔で並ぶ。
図1に示す倉庫91には、所定間隔で並ぶ棚群81,82が形成される。棚群81は、棚列811,812を含み、棚列811は、棚A4、B4、C4、D4を含み、棚列812は、搬送棚A3、B3、C3、D3を含む。また、棚群82は、棚列821,822を含み、棚列821は、搬送棚A2、B2、C2、D2を含み、棚列822は、搬送棚A1、B1、C1、D1を含む。なお、搬送棚A1-A4、B1-B4、C1-C4、D1-D4の任意の搬送棚を符号20で示す。
倉庫91には、棚群81,82の周辺に位置する周辺通路93、各搬送棚20の棚下通路94、及び棚群81,82から自動搬送車2により運ばれる搬送棚20を置くピッキングステーション(棚エリア)92が形成される。
図2に示すように、搬送制御システム1は、上位サーバ11、搬送制御装置に相当する自動搬送車(AGV:automated guided vehicle)用のコントローラ12を備え、コントローラ12は、搬送車に相当する自動搬送車2を制御する。本実施形態では、1台のコントローラ12が、複数台の自動搬送車2を制御する。搬送制御システム1は、ロボットコントローラ13を備え、後述するピッキングロボット72を制御する。本実施形態では、1台のコントローラ13が、複数台のピッキングロボット72を制御する。
上位サーバ11は、1台のコンピュータ又は複数台のコンピュータを組み合わせて実現することができ、コントローラ12,13等の他の機器と有線又は無線で通信し、他の機器からの情報を受信し記憶し、また、他の機器へ制御信号等を送信し、他の機器を制御する。上位サーバ11は、荷物等の物品に関する物品情報、及び1又は複数の物品を収容する搬送棚20に関する棚情報、自動搬送車2に関するAGV情報、及び倉庫91のマップデータ等を記憶する。物品情報は物品ID(identification information)等を含み、各物品には物品IDが割り当てられる。棚情報には棚ID等を含み、各搬送棚20には棚IDが割り当てられる。AGV情報はAGVID等を含み、各自動搬送車2にはAGVIDが割り当てられる。
本実施形態の搬送制御システム1は、倉庫内を撮影する複数のカメラ、及び複数のIDリーダを備え、IDリーダは、物品ID、棚ID、及びAGVIDを読み取る。上位サーバ11は、倉庫のマップデータ、各カメラと各IDリーダのマップ上の位置情報、各カメラからの撮影画像、及び各IDリーダからのIDに基づき、各物品、各搬送棚20、及び各自動搬送車2の位置を検出し、またこれらの動きをトレースする。さらに、上位サーバ11は、物品の取り出し要求に従い、どの自動搬送車2にどの搬送棚20をどのようなタイミングで出し入れするのかをスケジューリングする。
コントローラ12は、上位サーバ11からのスケジューリングに従い、各自動搬送車2に対して制御信号を送信し、各自動搬送車2の走行、及び各自動搬送車2による搬送棚20の回収と配置を制御する。なお、搬送棚20の回収とは、搬送棚20を持ち上げること、搬送棚20を取り込むこと、又は搬送棚20を積載することなどを意味する。搬送棚20の配置とは、持ち上げた搬送棚20を降ろすこと、取り込んだ搬送棚20を放出すること、又は積載した搬送棚20を降ろすことなどを意味する。
図3は、実施形態に係る搬送制御システムの自動搬送車2及び自動搬送車2により搬送される搬送棚20の一例を示す図である。
図4に示す自動搬送車2は、棚リフト機構4及び車輪6を有する自走ロボットである。棚リフト機構4は、天板4aと、天板4aを押し上げる駆動部4bとを有する。駆動部4bが上下方向に延びると、天板4aを押し上げる。駆動部4bが縮むと、天板4aが下げられる。
自動搬送車2は、コントローラ12からの制御信号に基づき、目的の搬送棚20に対応する回収位置(例えば搬送棚20の直下)へ向けて走行し、回収位置にて目的の搬送棚20を回収し、搬送棚20の配置位置に向けて走行する。自動搬送車2は、コントローラ12からの制御信号に基づき、目的の搬送棚20の配置位置に、目的の搬送棚20を配置する。
図4には、図5中のIV-IV線に沿う搬送棚20の断面図を示す。図5には、図4中の矢印Vで示す方向から見た搬送棚20の図を示す。図3から図5に示すように、搬送棚20は、自動搬送車2と接する棚底22aを形成する棚底板22と、脚部24と、支持部材26と、複数の棚板部28とを有する。
棚底板22は、略長方形など、矩形状であることが好適である。棚底板22に対する脚部24の形状は、適宜に形成される。脚部24は、棚底板22の棚底22aの例えば角部から下方に延びている。脚部24の長さ(棚下の高さ(床面Fから棚底板22の棚底22aまでの高さ))は、自動搬送車2の最小高さよりも僅かに長い。すなわち、脚部24は、自動搬送車2を配置可能な高さを有する。脚部24間は、自動搬送車2が脚部24間を通して棚底板22の下方に配置可能な距離、離れている。このため、自動搬送車2は、搬送棚20の脚部24間を通して、搬送棚20の棚下に潜り込むことができる。
脚部24は、本実施形態では、搬送棚20が床面Fに安定して直立するように、棚底板22の角部の棚底22aから4つ以上、下方に延びている例について説明する。搬送棚20が床面Fに安定して直立するのであれば、脚部24は3つであってもよい。脚部24は、5つ以上であることも好適である。
支持部材26は、本実施形態では、略矩形状の板状に形成されている。支持部材26は、下端が棚底板22に固定されている。すなわち、支持部材26は、棚底板22から上方に延びている。支持部材26は、棚底板22に対して交差する方向に延びる第1の表面32及び第2の表面34を有する。第1表面32及び第2表面34は例えば平面として形成されている。第1表面32の法線方向N1及び第2表面34の法線方向N2は、互いに反対方向を向く。支持部材26の第1表面32及び第2表面34と、棚底板22の上面22bとは、直交することが好適である。
支持部材26の上端は、一例として、2m以上の高さになる。このため、図8に示すように、作業者Wの背の高さよりも最も上側の棚板部28の位置が高く、作業者Wからは最も上側の棚板部28に載置された物品Pを見難い。
本実施形態では、棚板部28は、上下方向に並べられている。本実施形態では、棚板部28は、支持部材26を面と仮定したとき、支持部材26に対して面対称に形成されている。
棚板部28は、棚板本体42と、棚板本体42に設けられ、物品Pを受ける受板44とを有する。本実施形態では、図4及び図5に示す複数の棚板部28の構造、及び、支持部材26に対する複数の棚板部28の取り付け構造は、共通している。ここでは、支持部材26に対する、図4中の右上の棚板部28の取り付け構造について説明する。
棚板本体42は、物品Pが載せられる載置面42aと、載置面42aと反対側の下面42bとを有する。棚板本体42は、矩形板状に形成されている。本実施形態では、棚板本体42は、載置面42aが棚底板22に対して傾斜するように、支持部材26に支持される。棚板本体42は、支持部材26に支持される支持端部43aと、支持部材26から離間した離隔端部43bとを有する。言い換えると、支持端部43aは、棚板部28の奥側の部位であり、離隔端部43bは、棚板部28の手前側の部位である。支持端部43a及び離隔端部43bは、互いに平行で、棚底板22の上面22bに平行に延びている。棚板本体42の支持端部43aは、本実施形態では、支持部材26の第1表面32に金具38により固定されている。金具38は、棚板本体42の下面42bの支持端部43aを支持部材26の第1表面32に対して固定する。
棚板本体42のうち、物品Pが載せられる載置面42aは平面として形成されていることが好適である。載置面42aは、床面Fに対して傾斜する。本実施形態では、棚板本体42の載置面42aは、支持部材26に近接する支持端部43aに比べて、支持部材26に対して離間する離隔端部43bが低い。本実施形態では、搬送棚20の棚板部28の棚板本体42は、棚板本体42の支持端部43aに比べて、離隔端部43bが水平位置よりも下方に位置する。すなわち、棚板本体42は、支持端部43aが離隔端部43bより高い位置に位置するように支持される下向き棚板である。支持部材26の第1表面32と棚板本体42の載置面42aとの間の角度θ1は、90°よりも大きい鈍角である。角度θ1は、支持部材26の第1表面32側の棚板部28同士の間隔、物品Pの形状や重量、棚板部28の棚板本体42と受板44との位置関係等により調整される。角度θ1は、棚板本体42に載置される物品Pが載置面42aの離隔端部43bと、受板44の受面44aとにより、物品Pが支持される大きさに形成されている。
各角度θ1は、複数の棚板部28で共通であることが好適であるが、異なっていてもよい。
受板44は、棚板本体42の載置面42aの離隔端部43bに設けられている。受板44は、例えば棚板本体42の載置面42aに直交する受面44aを有する矩形板状である。
載置面42aと受板44の受面44aの上端との間の高さh、及び、載置面42aと受板44の受面44aとの間の角度は、適宜の大きさの物品Pが棚板部28から落下しない程度の大きさ及び角度に形成されている。例えば、載置面42aと受板44の受面44aとの間の角度が90°である場合、高さhは、受面44aの上端44bが物品Pの重心Gと同程度の高さか、物品Pの重心Gよりも高い位置にあることが好適である。
なお、棚板部28の棚板本体42、受板44の受面44a、及び、物品Pが高剛性を有する場合、棚板部28の受板44の受面44aの上端が重心Gよりも低くても、物品Pが受面44aに当接した状態を維持することがある。このため、載置面42aと受板44の受面44aの上端との間の高さhは、適宜に設定可能である。
物品Pの重心Gを考慮して、種々の高さhの受面44aの角度を調整可能としてもよい。物品Pの重心Gを考慮して、種々の高さhの受面44aを有する受板44を用意してもよい。
なお、受板44の受面44aは、例えばゴム材等の適宜の柔軟性を有する素材で形成されることが好適である。
棚板部28は、図4中の紙面の手前側及び奥側(図5中の紙面の上側及び下側)に、物品Pの脱落を防止する側板46を有する。側板46の形状は、図4中は略矩形状であるが、適宜の形状が許容される。側板46は、金属材、樹脂材、ゴム材等、適宜の1つ又は複数の素材を選択可能である。
次に、搬送制御システム1の機能について説明する。
例えば、自動搬送車2は、マップデータ、目的位置データ、及び現在位置データに基づき、目的位置まで走行する。自動搬送車2は、移動距離及び移動方向を検知しながら目的位置まで走行する。又は、自動搬送車2は、通路に取り付けられた磁気テープ又は二次元バーコードを読み取りながら目的位置まで走行する。加えて、自動搬送車2は、障害物(他の自動搬送車2を含む)を検知するレーザ検知センサ又はカメラ等を備え、レーザ検知センサで検知される障害物、又はカメラで撮影された画像解析により検知される障害物を避けて走行することもできる。
図1、図6及び図7を参照し、任意の搬送棚20を取り出す例ついて説明する。図1、図6及び図7は、実施形態に係る搬送制御システム1による任意の搬送棚20として、搬送棚C1を取り出す例を示す遷移図である。
図1に示すように、整列された棚群81,82を仮定する。コントローラ12は、倉庫91内の複数台の自動搬送車2から任意の一台の自動搬送車2を選択し、選択した自動搬送車2による搬送棚C1の取り出しを指示する。例えば、コントローラ12は、ピッキングステーション92で待機中の自動搬送車2を選択し、第1の制御信号を出力し、通信インタフェースにより、第1の制御信号を選択された自動搬送車2へ送信する。
自動搬送車2は、第1の制御信号に基づいて、往路931及び棚下通路94を介して、ピッキングステーション92から搬送棚C1に対応する回収位置(例えば搬送棚C1の直下)に移動する。すなわち、自動搬送車2は、第1の制御信号に基づき、往路931(上に3マス)及び棚下通路94(左に5マス)を介して、ピッキングステーション92から搬送棚C1に対応する回収位置へ向けて走行し、搬送棚C1の棚下に潜り込んだ位置で停止する。
自動搬送車2は、棚リフト機構4により搬送棚C1の棚底板22の棚底22aを持ち上げて、搬送棚C1の回収を完了する。棚下に潜り込んだ自動搬送車2は、棚リフト機構4により床面Fから脚部24の最下端が数ミリメートルから数センチ離れる程度に搬送棚C1を持ち上げる。
自動搬送車2は、第1の制御信号に基づいて、棚下通路94、復路934、及び復路935を介して搬送棚C1に対応する回収位置からピッキングステーション92の所定位置に移動する。すなわち、自動搬送車2は、図6及び図7に示すように、第1の制御信号に基づき、棚下通路94(左に1マス)、復路934(下に2マス)、及び復路935(右に7マス、下に1マス)を介して搬送棚C1に対応する回収位置からピッキングステーション92の所定位置へ向けて走行し、所定位置へ搬送棚C1を配置する。このとき、自動搬送車2は、棚リフト機構4により搬送棚C1を持ち上げた状態で走行する。このようにして自動搬送車2は、搬送棚C1を所望の位置に搬送することができる。
このとき、搬送棚C1(搬送棚20)は、棚板部28の棚板本体42の載置面42aを斜めとして支持部材26の表面32,34に対して傾斜角θ1に傾斜する。また、搬送棚C1(搬送棚20)は、棚板部28の棚板本体42の離隔端部43bに受板44を配置する。このため、搬送棚C1(搬送棚20)を自動搬送車2でピッキングステーション92まで搬送する際に、棚板部28の棚板本体42に載置された物品Pが脱落することが防止される。
図6及び図7に示すように、棚群82の搬送棚C1が置かれていたスペース951は、搬送棚C1が搬送されたことにより空きスペースとなる。例えば、搬送棚C1とは別の搬送棚20が、別の自動搬送車2により、スペース951に配置される。
そして、図8に示すように、ピッキングステーション92に配置された搬送棚C1(搬送棚20)の棚板部28に載置された物品Pは、作業者W、及び/又は、ピッキングロボット72により、荷降ろしされる。なお、ピッキングロボット72は、ロボットコントローラ13により制御される。コントローラ13は、上位サーバ11からの制御信号に従い、各ピッキングロボット72を動作させる。
作業者Wとピッキングロボット72とは、支持部材26を挟んで互いに反対側に配置されていることが好適である。ピッキングロボット72は、例えば第1表面32の側に配置される。作業者は、例えば第2表面34側に配置される。
搬送棚C1(搬送棚20)の載置面42aは、支持部材26から遠ざかるにつれて下がっている。このため、物品Pは、支持部材26から遠い離隔端部43bに配置され、かつ、受板44の受面44aに支持され易い。
例えば、第2表面34側の最も下位の棚板部28に載置された物品Pを、作業者Wが荷降ろししようとするとき、作業者Wは、しゃがむことなく、物品Pを視認する。このため、作業者Wは、例えば最も下位の棚板部28に載置された物品Pを荷降ろしするときに、物品Pを容易に確認することができる。また、複数の物品Pが1つの棚板部28に載置されている場合、1つの物品Pを取り出した後、その奥側の物品Pが載置面42aを滑って受板44の受面44aに接触する。このため、作業者Wは、棚板部28に載置された物品Pを荷降ろしするときに、棚板部28に物品Pが存在するか否かを容易に確認することができる。
また、作業者Wは、棚板部28の載置面42aと受板44の受面44aとに接触した物品Pを、上方に持ち上げる際に、例えば受板44の受面44aに沿って持ち上げることができる。このため、作業者Wは、受板44を物品Pを持ち上げる際のガイド又は補助板として用いることができ、物品Pを荷降ろしし易い。
なお、搬送棚20は、作業者Wの背の高さに比べて高く、高さが2mを超える場合がある。例えば最も上側の棚板部58に載置された物品Pは、ロボット72により、荷降ろしされる。
ピッキングロボット72を用いて例えば、第1表面32側の棚板部28から物品Pを荷降ろしする場合、棚板本体42の載置面42aに載置された物品Pは、支持部材26から遠い離隔端部43bに配置され、かつ、受板44の受面44aに支持され易い。このため、棚板本体の載置面が水平であり、物品Pが支持部材26に近くに配置される場合に比べて、ピッキングロボット72に配置されたカメラ等のセンサー(図示せず)で、物品Pを確認しやすい。このとき、物品Pは、物品Pは、支持部材26から遠い離隔端部43bに配置され、かつ、受板44の受面44aに支持されているため、アーム74及び吸着部76で物品Pにアクセスしやすい。そして、物品Pはピッキングロボット72の多軸アーム74の先端に取り付けられた吸着部76により吸着される。
図8に示すように、最も上側の棚板部28に物品Pが載置されている場合、ピッキングロボット72は、吸着部76で物品Pを吸着し、アーム74を動かして、所定のコンベヤ(図示せず)などに物品Pを荷降ろしする。
例えば、上から3段目の棚板部28に載置された物品Pを荷降ろしする場合、上から2段目の棚板部28を避けながら、物品Pにアクセスする。
ここで、図4に示すように、第1表面32側の上から2段目の棚板部28の下面42b側の離隔端部43bと上から3段目の棚板部28の載置面42a側の離隔端部43bとの間の距離をD1とする。第1表面32側の上から2段目の棚板部28の下面42bと上から3段目の棚板部28の載置面42aとの距離をD2とする。このとき、
D1=D2/sin(180-θ1)
となる。1>sin(180-θ1)>0であるため、D1>D2となる。したがって、棚板部28同士を水平に配置する場合に比べて、本実施形態のように、棚板部28同士を斜めに配置することにより、棚板部28同士の距離D2が変化しなくても、ピッキングロボット72が物品Pにアクセスするための空間を大きく取ることができる。
ピッキングロボット72のアーム74は、一般的に、水平方向の動作、及び、上下方向の動作を組み合わせて吸着部76を所望の位置に移動させる。ピッキングロボット72は、物品Pに吸着部76及びアーム74をアクセスさせるとき、距離D2の空間に比べて大きい距離D1の空間に吸着部76及びアーム74を入れることになる。したがって、例えば、ロボット72のアーム74及び吸着部76を上下方向に移動させるとき、物品Pが載置された棚板部28の上側の棚板部28にロボット72のアーム74や吸着部76が干渉することを抑制することができる。
上述したように、自動搬送車2の搬送棚20は、棚板部28の載置面42aを斜面として、棚板部28の離隔端部(下端)43bとなる位置に受板44を配置し、搬送棚20から物品Pを取り出し易い構成とする。これにより、ピッキングロボット72によるピッキングを行いやすくする。また、手作業で物品Pを荷降ろしする場合であっても、棚板部28の載置面42aを斜面とすることで、物品Pを取り出しやすくし、処理の効率化が可能となる。また、棚板部28の載置面42aを斜面として、棚板部28の離隔端部(下端)43bとなる位置に受板44を配置することにより、搬送棚20を自動搬送車2でピッキングステーション92まで移動する際に、搬送棚20に載置した物品Pが脱落することを防止する。
本実施形態では、倉庫91を例にして説明したが、製造ライン等において、搬送制御システム1の搬送棚20及び自動搬送車2を使用することができる。
ここで、図4に示す幅W1は、自動搬送車2の幅である。後述する第3実施形態の第2変形例の図15に示す幅W2は、自動搬送車2とは別の自動搬送車102の幅である。幅W1の一例は、1mである。幅W2の一例は、0.5mである。搬送棚20の棚底板22及び脚部24は、用いる自動搬送車2,102により、適宜に形成される。
図4中、支持部材26の下端は、図4及び図5に示す幅W1の半分(=W1/2)の位置にある。支持部材26の下端の位置は、幅W1の半分の位置よりも棚底板22の角部の近くなど、必ずしも棚底板22の中央部に支持されている必要はない。
本実施形態では、支持部材26の第1の表面32側、及び、第2の表面34側の両側にそれぞれ複数の棚板部28が上下方向に並べられている例について説明した。支持部材26の第1の表面32側、及び、第2の表面34側の片側に複数の棚板部28が上下方向に並べられていてもよい。
倉庫91内では、搬送棚20の大きさに合わせて、種々の自動搬送車2,102を選択的に用いることができる。このため、AGVコントローラ12は、倉庫91内で例えばピッキングステーション92に搬送される搬送棚20が、幅W1の自動搬送車2で搬送可能な搬送棚20か、幅W2の自動搬送車102で搬送可能な搬送棚20か、の情報を受け取り、適切な自動搬送車2,102を選択して動作させ、搬送棚20の脚部24間の、棚底板22の棚底22aの下側に配置する。
本実施形態によれば、自動搬送車2で所望の位置に移動させたときに、ピッキングロボット72や作業者Wの手作業で物品Pを取り出し易い、自動搬送車2用の搬送棚20を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の搬送制御システム1の搬送棚20について、図9及び図10を用いて説明する。本実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図9には、図10中のIX-IX線に沿う搬送棚20の断面図を示す。図10には、図9中の矢印Xで示す方向から見た搬送棚20の図を示す。本実施形態の搬送棚20は、第1実施形態の棚板部28と異なる構成の複数の棚板部58を有する。本実施形態では、複数の棚板部58は、上下方向に並べられている。本実施形態では、棚板部58は、支持部材26を面と仮定したとき、支持部材26に対して面対称に形成されている。
本実施形態では、図9及び図10に示す複数の棚板部58の構造、及び、支持部材26に対する複数の棚板部58の取り付け構造は、共通している。ここでは、支持部材26に対する、図9中の右上の棚板部58の取り付け構成について説明する。
棚板部58は、棚板本体62を有する。棚板本体62は、物品Pが載せられる載置面62aと、載置面62aと反対側の下面62bとを有する。棚板本体62は、矩形板状に形成されている。棚板本体62は、載置面62aが棚底板22に対して傾斜するように、支持部材26に支持される。棚板本体62は、支持部材26に支持される支持端部63aと、支持部材26から離間した離隔端部63bとを有する。支持端部63a及び離隔端部63bは、互いに平行で、棚底板22の上面22bに平行に延びている。棚板本体62の支持端部63aは、本実施形態では、支持部材26の第1表面32に金具68により固定されている。金具68は、棚板本体62の下面62bの支持端部63aを支持部材26の第1表面32に対して固定する。
棚板本体62のうち、物品Pが載せられる載置面62aは平面として形成されていることが好適である。載置面62aは、床面Fに対して傾斜する。本実施形態では、棚板本体62の載置面62aは、支持部材26に近接する支持端部63aに比べて、支持部材26に対して離間する離隔端部63bが高い。本実施形態では、搬送棚20の棚板部58の棚板本体62は、棚板本体62の支持端部63aに比べて、離隔端部63bが水平位置よりも上方に位置する。すなわち、棚板本体62は、支持端部63aが離隔端部63bより低い位置に位置するように支持される上向き棚板である。支持部材26の第1表面32と棚板本体62の載置面62aとの間の角度θ2は、90°よりも小さい鋭角である。角度θ2は、棚板部58同士の間隔、載置される物品Pの形状や重量等により調整される。角度θ2は、棚板本体62に物品Pが載置されたときに、棚板本体62に載置される物品Pが載置面62aの支持端部63aの近傍と、支持部材26の第1表面32とにより、物品Pが支持される大きさに形成されている。
棚板部58は、図9中の紙面の手前側及び奥側(図10中の紙面の上側及び下側)に、物品Pの脱落を防止する側板66を有する。側板66の形状は、図9中は略矩形状であるが、適宜の形状が許容される。側板66は、金属材、樹脂材、ゴム材等、適宜の1つ又は複数の素材を選択可能である。
次に、搬送制御システム1の機能について説明する。第1実施形態で説明した内容は省略する。
ピッキングステーション92(図8参照)に配置された搬送棚20の棚板部58に載置された物品Pは、作業者W、及び/又は、ピッキングロボット72により、荷降ろしされる。
搬送棚20の載置面62aは、支持部材26から遠ざかるにつれて高くなる。このため、物品Pは、通常、支持部材26の第1表面32に支持されている。すなわち、物品Pは、載置面62aの離隔端部63bよりも支持端部63a側に配置され易い。物品Pが支持部材26の第2表面34側の棚板部58に載置されている場合、物品Pは、支持部材26の第2表面34に支持される場合が多い。
ピッキングロボット72は、例えば第1表面32の側に配置される。作業者は、例えば第2表面34側に配置される。
例えば、最も下位の棚板部28に載置された物品Pを、作業者Wが荷降ろししようとするとき、作業者Wは、しゃがむことなく、支持部材26の第2表面34に支持されている物品Pを視認する。このため、例えば最も下位の棚板部58に載置された物品Pを荷降ろしするときに、物品Pを容易に確認することができる。また、複数の物品Pが1つの棚板部58に載置されている場合、1つの物品Pを取り出した後、奥側の物品Pがさらに載置面62aを滑って支持部材26の第2表面32に接触する。このため、作業者Wは、棚板部58に載置された物品Pを荷降ろしするときに、物品Pを容易に確認することができる。
また、作業者Wは、棚板部58の載置面62aに載置した物品Pを、上方に持ち上げる際に、例えば載置面62aに沿って持ち上げることができる。このため、作業者Wは、棚板本体62を物品Pを持ち上げる際のガイド又は補助板として用いることができ、物品Pを荷降ろしし易い。
なお、搬送棚20は、作業者Wの背の高さに比べて高く、高さが2mを超える場合がある。最も上側の棚板部58に載置された物品Pは、ロボット72により、荷降ろしされる。
図9に示すように、支持部材26の第1表面32側の棚板部58に載置された物品Pを、ピッキングロボット72を用いて荷降ろしする場合について説明する。棚板本体62の載置面62aが、支持部材26の第1表面32に対して鋭角に傾斜している。このため、棚板本体の載置面が水平であり、物品が支持部材に近くに配置される場合に比べて、ピッキングロボット72に配置されたカメラ等のセンサー(図示せず)で、物品Pを確認しやすい。
棚板本体62の載置面62aが、支持部材26の第1表面32に対して鋭角に傾斜しているため、棚板本体の載置面が水平であり、物品が支持部材に近くに配置される場合に比べて、物品Pはピッキングロボット72の吸着部76及び多軸アーム74を物品Pにアクセスしやすい。
このため、いずれの段の棚板部58に物品Pが載置されている場合であっても、ピッキングロボット72を用いて容易に物品Pを確認し、吸着部76を物品Pにアクセスすることができる。
ここで、図9に示すように、第1表面32側の上から2段目の棚板部58の下面62b側の離隔端部63bと上から3段目の棚板部58の載置面62a側の離隔端部63bとの間の距離をD1とする。第1表面32側の上から2段目の棚板部58の下面62bと上から3段目の棚板部58の載置面62aとの距離をD2とする。このとき、
D1=D2/sin(θ2)
となる。1>sin(θ2)>0であるため、D1>D2となる。したがって、棚板部58同士を水平に配置する場合に比べて、本実施形態のように、棚板部58同士を斜めに配置することにより、棚板部58同士の距離D2が変化しなくても、ピッキングロボット72が物品Pにアクセスするための空間を大きく取ることができる。したがって、ピッキングロボット72は、物品Pに吸着部76及びアーム74をアクセスさせるとき、距離D2の空間に比べて大きい距離D1の空間に吸着部76及びアーム74を入れることになる。したがって、物品Pが載置された棚板部58の上側の棚板部58にロボット72のアーム74や吸着部76が干渉することを抑制することができる。
上述したように、自動搬送車2の搬送棚20は、棚板部58の載置面62aを斜面として、搬送棚20から物品Pを取り出し易い構成とする。これにより、ピッキングロボット72によるピッキングを行いやすくする。また、手作業で物品Pを荷降ろしする場合であっても、棚板部58の載置面62aを斜面とすることで、物品Pを取り出しやすくし、処理の効率化が可能となる。また、棚板部58の載置面62aを斜面として、棚板部58の支持端部(下端)63aとなる位置と支持部材26とに接触するように物品Pを配置することにより、搬送棚20を自動搬送車2でピッキングステーション92まで移動する際に、搬送棚20に載置した物品Pが脱落することを防止する。
本実施形態によれば、自動搬送車2で所望の位置に移動させたときに、ピッキングロボット72や作業者Wの手作業で物品Pを取り出し易い、自動搬送車2用の搬送棚20を提供することができる。
(第2実施形態の変形例)
図11には、図12中のXI-XI線に沿う搬送棚20の断面図を示す。図12には、図10中の矢印XIIで示す方向から見た搬送棚20の図を示す。図11及び図12に示すように、棚板部58の棚板本体62の支持端部63aと離隔端部63bとの間の長さは、上側の棚板部58ほど短く、下側の棚板部58ほど長い。
このため、作業者Wは、例えば、棚板部58の棚板本体62の載置面62aと支持部材26との間に支持された物品Pを確認し易い。また、ピッキングロボット72は、棚板本体62の載置面62aと支持部材26との間に支持された物品Pを、カメラ等のセンサー(図示せず)を用いて確認し易い。
ここで、図11に示すように、第1表面32側の上から2段目の棚板部58の下面62b側の離隔端部63bと上から3段目の棚板部58の載置面62a側の離隔端部63bとの間の距離をD1とする。第1表面32側の上から2段目の棚板部58の下面62bと上から3段目の棚板部58の載置面62aとの距離をD2とする。このとき、
D1=D2/sin(θ3)、
となる。1>sin(θ3)>0であるため、D1>D2となる。また、θ3>θ2である。このため、本変形例の距離D1は、距離D2が同一であれば、第2実施形態で説明した距離D1よりも、大きくなる。
したがって、棚板部58同士を水平に配置する場合に比べて、本実施形態のように、棚板部58同士を斜めに配置することにより、棚板部58同士の距離が変化しなくても、ピッキングロボット72が物品Pにアクセスするための空間を大きく取ることができる。また、上側の棚板部58ほど、支持端部63aと離隔端部63bとの間の距離を短くすることにより、物品Pへのアクセス性を増すことができる。
なお、本変形例では、第2実施形態の棚板部58の棚板本体62の支持端部63aと離隔端部63bとの間の長さを、上側の棚板部58ほど短く、下側の棚板部58ほど長くした。第1実施形態の棚板部28の棚板本体42の支持端部43aと離隔端部43bとの間の長さを、上側の棚板部28ほど短く、下側の棚板部28ほど長くしてもよい。
(第3実施形態)
次に、図13を用いて第3実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態及び第2実施形態の変形例であって、第1実施形態及び第2実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図13に示すように、支持部材26の第1表面32には、第1実施形態で説明した複数の棚板部28が並べられて固定されている。このため、搬送棚20の棚板部28の棚板本体42は、棚板本体42の支持端部43aに比べて、離隔端部43bが水平位置よりも下方に位置する。支持部材26の第2表面34には、第2実施形態で説明した複数の棚板部58が並べられて固定されている。搬送棚20の棚板部58の棚板本体62は、棚板本体62の支持端部63aに比べて、離隔端部63bが水平位置よりも上方に位置する。搬送棚20をこのように形成してもよい。
作業者Wは、支持部材26の第1表面32側、第2の表面34側のいずれに配置されてもよい。ピッキングロボット72は、支持部材26の第1表面32側、第2の表面34側のいずれに配置されてもよい。
第1実施形態及び第2実施形態で説明したように、作業者Wが搬送棚20から物品Pを荷降ろしする場合、物品Pを視認し易い。作業者Wが荷降ろしする場合、棚板部28の受板44及び棚板部58の棚板本体62をガイド又は補助板として用いることができる。また、ピッキングロボット72が搬送棚20から物品Pを荷降ろしする場合、物品Pをカメラ等のセンサー(図示せず)を用いて確認し易く、物品Pにアクセスし易い。
そして、物品Pの形状や大きさ、重さに応じて、搬送棚20の棚板部28及び棚板部58を選択的に用いることができる。
本実施形態によれば、自動搬送車2で所望の位置に移動させたときに、ピッキングロボット72や作業者Wの手作業で物品Pを取り出し易い、自動搬送車2用の搬送棚20を提供することができる。
(第3実施形態の第1変形例)
図14に示すように、支持部材26の第1表面32、及び、第2表面34の上側の2つの段には、第2実施形態で説明した棚板部58が固定されている。支持部材26の第1表面32、及び、第2表面34の下側の2つの段には、第1実施形態で説明した棚板部28が固定されている。搬送棚20をこのように形成してもよい。
上から2段目の棚板部58と上から3段目の棚板部28との間の空間を大きくすることができる。このため、体積が比較的大きい物品Pがある場合、上から3段目の棚板部28に載置することができる。なお、受板44の受面44aの高さhは、上から3段目の棚板部28に載置されると想定される物品Pの重心の位置により決めることができる。
(第3実施形態の第2変形例)
図15に示すように、支持部材26の第1表面32、及び、第2表面34の上側の2つの段には、第1実施形態で説明した棚板部28が固定されている。支持部材26の第1表面32、及び、第2表面34の下側の2つの段には、第2実施形態で説明した棚板部58が固定されている。
なお、本変形例において、上から2段目の棚板部58の棚板本体62の下面62bの離隔端部63bと、上から3段目の棚板部28の棚板本体42の載置面42aの離隔端部43bと、の間の距離D1は、第1実施形態及び第2実施形態で説明した距離D1と同じか、それよりも大きく設定されていることが好適である。
(第4実施形態)
次に、図16及び図17を用いて第4実施形態について説明する。本実施形態は第1実施形態から第3実施形態の変形例であって、第1実施形態から第3実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図16及び図17に示すように、支持部材26は、支持部材26と載置面42aとがなす角度θ1を調節可能に棚板本体42を支持する。搬送棚20の棚板部28は、回動可能に構成されている。搬送棚20は、ヒンジ50とストッパ52とを有する。棚板部28の棚板本体42の支持端部43aと、支持部材26との間には、ヒンジ50が設けられている。
ヒンジ50は、棚板部28の棚板本体42の支持端部43aと支持部材26との間に設けられている。ヒンジ50の支軸の軸方向は、水平方向に延び棚板本体42の離隔端部43bを支持端部43aに対して支軸の軸周りに回動させる。ヒンジ50は、離隔端部43bを支持端部43aに対して支持部材26に離間させ、物品Pが配置される使用位置と、使用位置に対して離隔端部43bを支持部材26に近接させる収納位置との間で回動可能である。ヒンジ50は、スプリングヒンジであることが好適であり、離隔端部43bを支持部材26に近接させる収納位置となるように付勢する。
ストッパ52は、支持部材26の第1表面32に取り付けられる。ストッパ52は、棚板本体42の下面42bに取り付けられてもよい。ここでは、ストッパ52は、支持部材26の第1表面32に取り付けられている場合について説明する。ストッパ52は、ヒンジ50の支軸と平行に延びている。ストッパ52は、棚板部28の棚板本体42の支持端部43aの下面42bを載置可能な大きさに形成されている。
なお、ストッパ52は、ヒンジ50自体の回動角度によっては、設けられていなくてもよい。
物品Pが載置面42aに載置されていない、棚板部28が収納位置にある場合、図16の左上の棚板部28のように、棚板部28が上側に退避する。物品Pが載置面42aに載置されている、棚板部28が使用位置にある場合、図16の右上の棚板部28のように、棚板部28が開く。そして、棚板部28の支持端部43aの下面42bは、例えばストッパ52により、支持される。
棚板部28が使用位置にあり、物品Pが棚板部28の載置面42aに載置されているとき、ストッパ52は、支持部材26の第1表面32に対する棚板本体42の載置面42aの角度が最大角度θ1の状態で、棚板本体42を支持する。このため、ストッパ52は、支持部材26に対する載置面62aの角度を規定する。
なお、ヒンジ50は、ダンパーヒンジであることが好適である。このため、例えば物品Pが載置され、棚板部28が下がるとき、重力加速度よりも低加速度で棚板部28を動かすことができる。また、物品Pがロボット72の吸着部76に吸着され、物品Pを持ち上げる速度に対して棚板部28の回動速度を低速度にし、ロボット72の吸着部76及びアーム74に棚板部28が干渉することを防止する。作業者Wが棚板部28から物品Pを把持したときも、物品Pを持ち上げる速度に対して棚板部28の回動速度を低速度にする。
棚板部28と支持部材26との間には、ヒンジ50とともに、又は、ヒンジ50の代わりに、スプリングステーが用いられることが好適である。棚板部28から、作業者W又はピッキングロボット72により、物品Pが取り除かれたとき、スプリングステーにより、棚板本体42の急激な移動を防止し、所望の位置で棚板本体42を止めることができる。また、物品Pが棚板本体42の載置面42aに載置されたとき、物品Pの重量により、急激に棚板本体42が回動することを防止する。
図16及び図17に示すように、支持部材26は、支持部材26と載置面62aとがなす角度θ2を調節可能に棚板本体62を支持する。搬送棚20の棚板部58は、回動可能に構成されている。棚板部58の棚板本体62は、ヒンジ50と、ストッパ54とを有する。棚板部58の棚板本体62の支持端部63aと支持部材26との間には、ヒンジ50が設けられている。
ヒンジ50は、棚板部58の棚板本体62の支持端部63aと支持部材26との間に設けられている。ヒンジ50の支軸の軸方向は、水平方向に延び棚板本体62の離隔端部63bを支持端部63aに対して支軸の軸周りに回動させる。ヒンジ50は、離隔端部63bを支持端部63aに対して支持部材26に離間させ、物品Pが配置される使用位置と、使用位置に対して離隔端部63bを支持部材26に近接させる収納位置との間で回動可能である。ヒンジ50は、スプリングヒンジであることが好適であり、離隔端部63bを支持部材26に近接させる収納位置となるように付勢する。
ストッパ54は、ヒンジ50の支軸と平行に延びている。ストッパ54は、棚板部58の棚板本体62の支持端部63aの下面62bが載置可能な大きさに形成されている。
なお、ストッパ54は、ヒンジ50自体の回動角度によっては、設けられていなくてもよい。
物品Pが載置面62aに載置されていない、棚板部58が収納位置にある場合、図16の右下の棚板部58のように、棚板部58が上側に退避する。物品Pが載置面62aに載置されている、棚板部58が使用位置にある場合、図16の左下の棚板部58のように、棚板部58が開く。そして、棚板部58の支持端部63aの下面62bは、例えばストッパ54により、支持される。
棚板部58が使用位置にあり、物品Pが棚板部58の載置面62aに載置されているとき、ストッパ54は、支持部材26の第1表面32に対する棚板本体62の載置面62aの角度が最大角度θ2の状態で、棚板本体62を支持する。このため、ストッパ54は、支持部材26に対する載置面62aの角度を規定する。
なお、ヒンジ50は、ダンパーヒンジであることが好適である。このため、例えば物品Pが載置され、棚板部58が下がるとき、重力加速度よりも低加速度で棚板部58を動かすことができる。また、物品Pがロボット72の吸着部76に吸着され、物品Pを持ち上げる速度に対して棚板部58の回動速度を低速度にし、ロボット72の吸着部76及びアーム74に棚板部58が干渉することを防止する。作業者Wが棚板部58から物品Pを把持したときも、物品Pを持ち上げる速度に対して棚板部58の回動速度を低速度にする。
棚板部58と支持部材26との間には、ヒンジ50とともに、又は、ヒンジ50の代わりに、スプリングステーが用いられることが好適である。棚板部58から、作業者W又はピッキングロボット72により、物品Pが取り除かれたとき、スプリングステーにより、棚板本体62の急激な移動を防止し、所望の位置で棚板本体62を止めることができる。また、物品Pが棚板本体62の載置面62aに載置されたとき、物品Pの重量により、急激に棚板本体62が回動することを防止する。
図17に示すように、搬送棚20に物品Pが載置されていない場合、搬送棚20の棚板部28,58は、上側に退避した収納位置で収納される。このため、使用しない搬送棚20を倉庫91に置いておくときに、省スペース化することができる。
本実施形態では、搬送棚20の棚板部28,58を回動可能とするためにヒンジ50を用いる例について説明した。ヒンジ50とともに、又は、ヒンジ50に代えて、支持部材26と棚板部28,58との間に、スプリングステーを用いてもよい。この場合、棚板部28,58を、支持部材26に対して適宜の位置で保持することができる。
本実施形態によれば、搬送棚20の棚板部28の棚板本体42は、使用位置において、棚板本体42の支持端部43aに比べて、離隔端部43bが水平位置よりも下方に位置する。また、搬送棚20の棚板部58の棚板本体62は、使用位置において、棚板本体62の支持端部63aに比べて、離隔端部63bが水平位置よりも上方に位置する。
なお、ヒンジ50として、ラチェットヒンジを用いることが好適である。この場合、棚底板22又は床面Fに対する、棚板部28,58の棚板本体42,62の載置面42a,62aの角度θ1,θ2を、所望の角度に調節した状態で維持することができる。
図18には、図16及び図17中の符号XVIIIで示す位置の概略的な拡大図を示す。図18に示すように、ストッパ54は、例えば支持部材26の第2表面34に固定される基部54aと、基部54aに対して傾斜角度を可変可能で、棚板本体62の下面62bを支持する傾斜体54bとを有する。傾斜体54bは、基部54aに対して回動中心54cを支点として回動可能である。基部54aには、円弧状の貫通溝55が形成されている。基部54aには、貫通溝55を通して、傾斜体54bに設けられた固定部(例えばボルト及びナット)56により、傾斜体54bが角度を可変可能に固定される。このため、支持部材26は、支持部材26と棚板本体62の載置面62aとがなす角度θ2を調節可能に棚板本体62を支持することができる。このとき、ストッパ52は、適宜の角度θ1を維持することができる。
なお、図示しないが、ストッパ52もストッパ54と同様に形成されていることが好ましい。このため、支持部材26は、支持部材26と棚板本体42の載置面42aとがなす角度θ1を調節可能に棚板本体42を支持することができる。このとき、ストッパ54は、適宜の角度θ1を維持することができる。
図19に示すように、傾斜体54bに棚板本体42の下面42bが固定されていてもよい。この場合、基部54aに対する傾斜体54bの角度を調整することで、棚底板22又は床面Fに対する棚板本体42の載置面42aの傾斜角度を調整可能である。そして、ストッパ54が図19に示す例の場合、ヒンジ50は不要となる。図示しないが、ストッパ52も図19に示すストッパ54と同様に形成され得る。
本実施形態によれば、自動搬送車2で所望の位置に移動させたときに、ピッキングロボット72や作業者Wの手作業で物品を取り出し易い、自動搬送車用の搬送棚20を提供することができる。
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、自動搬送車2で所望の位置に移動させたときに、ピッキングロボット72や作業者Wの手作業で物品Pを取り出し易い、自動搬送車2用の搬送棚20を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。