以下に、図面を参照して実施形態に係る情報処理装置、工作機械及び情報処理システムについて説明する。以下の説明では、同一の構成について、同一の符号を付して説明を省略する。
以下で説明する「工作機械」は、たとえば加工対象である金属等のワークに対し、切削や研削等により所望の形状に加工するものである。切削や研削を行う工作機械では、切屑が発生する。「工作機械」は、金属粉末を溶かしてワークを形成する付加加工機であってもよい。このような付加加工機では、ワークにならなかった金属粉末が屑となる。
本実施形態では、切屑に液体(たとえば、クーラント液)を噴きかける清掃方法をしめすが、気体(たとえば、空気)を噴きかける方法で清掃してもよい。粉末屑など他の屑が生じる場合も同様である。
本実施形態では、「情報処理装置」及び「情報処理システム」が、工作機械における加工で生じた切屑の時系列変化を管理するが、粉末屑やその他の屑の時系列変化を管理してもよい。
[実施の形態]
〈工作機械〉
図1を用いて、実施の形態に係る工作機械1の一例を説明する。工作機械1は、対象のワークを加工するものである。ワークの加工により、工作機械1の内部には、ワークの一部が分離して生じた切屑が堆積する。例えば、工作機械1は、主軸を駆動するサーボモータを含み、各種の工具を使い分けてワークを加工する加工部3、加工を行うために主軸の駆動制御を行う数値制御装置4と、液体を貯留しておく液体貯留部9と、加工により生じた切屑を移動させる液体を噴射する液体噴射部11と、工作機械1内部を撮像する撮像部12と、機械座標取得部13と、加工により生じた切屑堆積の時系列変化を管理する情報処理装置10と、を備える。
数値制御装置4は、サーボモータの制御等を行うNC(Numerical Control)と、シーケンス制御等を行うPLC(Programmable Logic Controller)を装備して数値制御機能を有する装置である。
液体噴射部11は、数値制御装置4の制御に従い、工作機械1の内部に堆積した切屑を移動させるため、工作機械1の内部で貯留する液体(たとえば、クーラント液)を噴射する。工作機械1は、このように移動された切屑を集めて加工領域の外部に排出することができる。液体噴射部11は、例えば、液体を噴射することができるノズルと、ノズルを駆動するアクチュエータと、液体を貯留しておく液体貯留部9から液体をくみ上げるポンプと、を備え、ノズルから切屑へと液体を噴射する。この液体には、加工時に熱を生じるワーク及び加工手段等を冷却及び潤滑するためのクーラントを用いてもよいし、他の液体を使用してもよい。以下では、切屑を移動させるための液体として、クーラントを用いる例を説明する。液体噴射部11は、工作機械1の内部の特定箇所に目掛けて液体を噴きかけられるように、工作機械1の内部の目標位置を示すターゲットポイントに合わせてノズルの位置及び向き、液体の噴射圧力を調整可能に構成される。また、工作機械1は、複数の液体噴射部11を備えることができる。
数値制御装置4以外のノズル制御用の情報処理装置(たとえば、コンピュータ)が、工作機械内に設置されたノズル駆動用モータ制御ボードに指示を出すことによって、液体噴射部11の可動式クーラントノズルを制御するようにしてもよい。ノズル制御用の情報処理装置は、数値制御装置4と連携して、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)の信号をクーラントの制御に利用してもよい。
撮像部12は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子を備えたカメラである。この撮像部12は、所定のタイミングで、工作機械1の内部を撮像することができる。この撮像部12は、加工により生じる屑が存在する可能性がある撮影領域を撮像範囲として、工作機械1の内部を撮影する。この撮影によって得られる工作機械1の内部の撮影領域を写した画像を撮影画像という。「加工により生じる屑が存在する可能性がある」とは、切削や研磨などの加工の勢いで飛び散った切屑や粉屑などの屑が落下する可能性がある場所、あるいはその落下場所から液体を噴き当てられた屑が移動する可能性がある場所であることを意味する。この例では、切削の勢いで飛び散った切屑が主に図2に示したパレット14に落下し、液体を噴き当てられてカバー15、テーブル16、プロテクタ20、シュータ21に移動する。また、一部の切屑は、斜面19に存在することもある。したがって、この例でパレット14、カバー15、テーブル16、斜面19、プロテクタ20およびシュータ21は、屑が存在する可能性がある撮影領域に含まれる。また、撮像部12は、撮影画像の画像データ(以下、「第1画像データ」という)を、情報処理装置10に出力する。例えば、撮像部12は、ワークを加工中の定期的なタイミングで撮像する。また、撮像部12は、加工されたワークが工作機械1から取り除かれ、新たなワークが載置される前のタイミングで撮像してもよい。工作機械1は、広範囲の様子を把握可能とするため、複数の撮像部12を備えた構成でもよい。
機械座標取得部13は、工作機械1の構造のうち、図2を用いて後述するパレット14、テーブル16及び主軸22等の移動する部品について、工作機械1内での当該部品の位置を表す機械座標を取得する。機械座標取得部13は、取得した機械座標を情報処理装置10に送信する。この機械座標は、例えば、加工のために数値制御装置4から工作機械1へ送信された位置情報を用いてもよいし、何らかのセンサを用いて取得してもよい。
情報処理装置10については、図3を用いて後述する。また、図1では図示を省略するが、工作機械1は、他に、図2を用いて説明する種々の部品を備える。図2は、工作機械1の内部を撮像した撮像画像であり、パレット14、カバー15、テーブル16、旋回扉17、側面18、斜面19、プロテクタ20、シュータ21及び主軸22が示されている。本実施形態において、図2に示す主軸22の長軸23をz軸であり工作機械1内部の前後方向として、主軸22の根元側を手前側、先端側を奥側とする。また、主軸22に直交する水平方向がx軸であり左右方向、長軸23に直交する鉛直方向がy軸であり上下方向とする。
パレット14は、ワークを載せて固定する台である。工作機械1は、複数のパレット14を保持することができる構成で、1つのパレットを加工領域に設置し、ワークが加工される。ワークの加工が終了すると、ワークを置いたパレットが加工領域からパレット収容部に移され、別のパレットが加工領域に設置され、加工が行われる。ワークを載せたパレット14ごと取り換えることで、ワーク交換の作業効率を高めることができる。
カバー15は、パレット14の左右の側部に位置している部品である。テーブル16は、前後方向へ移動することができ、それによりパレット14上に固定されたワークを移動させることができる。また、テーブル16は少なくともテーブル16の一部を水平方向へ回転することができ、それによりパレット14上に固定されたワークを回転させることができる。
旋回扉17は、軸25を中心に回転することができる扉である。旋回扉17が回転する際、カバー15がパレット14をテーブル16から分離させて、パレット14およびカバー15と一緒に回転する。それにより、ワークの加工が終了したパレット14をパレット格納部へと搬出することができ、また次に加工するワークが固定されたパレット14をパレット格納部から工作機械1内へと搬入することができる。旋回扉17の工作機械1内側と格納部側の両方にカバー15を設け、旋回扉17が180°回転することで、パレット14の搬入と搬出を同時に行ってもよい。
側面18は、工作機械1の開閉可能な壁である。側面18は、工作機械1の内部と外部とを区画しており、側面18を開放すると作業者が工作機械1の内部に入ることができる。また、側面18に対向する位置にある図示しない側面18は、工作機械1の内部と、工具格納部とを区画している。工具区画部は、複数の工具を格納しており、加工の際、必要に応じて側面18が開き、主軸22に取り付けられている工具を工具格納部に格納されている別の工具と交換することができる。
シュータ21は、洗浄によって切屑が流れていく場所である。側面18、プロテクタ20は、旋回扉17及び側面18の下側に設けられており、シュータ21へと切屑が流れやすいように、それぞれシュータ21へ向けて下向きに傾斜している。
主軸22は、先端に工具を取り付け、その長軸23を中心に回転させることにより、ワークを加工することができる。つまり、工具を取り付けた主軸22および主軸22を駆動するサーボモータは、加工部3に相当する。本実施形態においては、図2に示すように、主軸22は、円柱形の外形を有する。
〈情報処理装置〉
図3を用いて、実施形態に係る情報処理装置10の一例を説明する。情報処理装置10は、演算部100と、記憶部110と、入力部120と、表示部130と、通信部140とを備える。この情報処理装置10は、例えば、コンピュータやタブレット端末等の情報処理装置である。
演算部100は、情報処理装置10全体の制御を司るコントローラである。例えば、演算部100は、記憶部110に記憶される制御プログラムPを読み出して実行することにより、取得部101、メッシュ設定部102、抽出部103、認識部104、表示処理部105、受付部106、制御部107および作成部108としての処理を実行する。また、演算部100は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、演算部100は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現することができる。
記憶部110は種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部110は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部110には、演算部100が実行する制御プログラムPの他、工作機械1で使用する種々のデータ等が格納される。例えば、記憶部110は、第1画像データ111、メッシュ定義データ112、履歴データ113、選択領域データ114、学習モデル115、座標データ116、制御プログラムPおよび3DモデルMを記憶する。3DモデルMは、工作機械内部の構造を定義する3次元データである。
入力部120は、データや操作信号の入力に利用するキーボード、マウス及びタッチパネル等の入力手段である。表示部130は、データの出力に利用するディスプレイ等の出力手段である。
通信部140は、外部の装置(図示せず)とのデータ通信を可能とするためのインタフェース回路(モジュール)である。例えば、通信部140は、撮像部12とデータ通信を実行することができる。
取得部101は、撮像部12から第1画像データ111を取得する。また、取得部101は、取得した第1画像データ111に、撮影画像を識別する画像ID及び撮像時刻を関連づけて記憶部110に記憶させる。従って、記憶部110は、異なるタイミングで撮像された同一の対象領域の第1画像データ111を複数記憶することができる。
メッシュ設定部102は、撮影画像の少なくとも一部に複数のメッシュ区域を設定する。例えば、図2に示すように工作機械1内が撮像された場合、この撮影画像に図4に示すような複数のメッシュ区域を設定する。
図4の例では、撮影画像を等間隔で区切る複数の横線が設定され、さらに撮影画像を等間隔で区切る複数の縦線が設定される。そして、隣り合う2本の縦線と隣り合う2本の横線で囲まれる矩形をメッシュ区域とする。メッシュ区域は、行番号と列番号で特定される。例えば、左上端のメッシュ区域は、行番号1と列番号1で特定される。また、図4に示したように行数が15であり列数が20であれば、右下端のメッシュ区域は、行番号15と列番号20で特定される。以下では、列番号xと行番号yで特定されるメッシュ区域の区域IDをAx-yと表す。たとえば、左上端のメッシュ区域の区域IDをA1-1と表し、右下端のメッシュ区域の区域IDをA15-20と表す。右方向をX軸とし、上方向をY軸とする。
また、各メッシュ区域について、その範囲を特定する定義情報が生成される。各メッシュ区域は矩形であって、幅と高さが一定であるので、定義情報は左上端などの1つの基準点の位置で足りる。各メッシュ区域の定義情報は、当該メッシュ区域の区域IDと関連付けられメッシュ定義データ112として記憶部110に記憶される。
図4は、撮影画像の全体についてメッシュ区域を設定した例であるが、これに限定されない。具体的には、メッシュ設定部102は、撮影画像の一部についてのみメッシュ区域を設定してもよい。また、設定するメッシュ区域の大きさ及び形状は、必要に応じて変更可能に構成されてもよい。例えば、メッシュ区域の矩形が一定でない場合には、定義情報として左上端の第1基準点と右下端の第2基準点の位置を用いてもよい。
抽出部103は、メッシュ区域の定義情報に基づいて、撮影画像からメッシュ区域の画像(以下、「メッシュ画像」という)を抽出する。本実施形態では、1つのメッシュ区域の画像をメッシュ画像と言って説明するが、これに限定されるものではない。撮影画像とメッシュ区域の情報とを関連付けて記憶させ、それらの情報を用いて、1つのメッシュ区域のデータを使用する形態でもよい。また、撮影画像自体を分割してメッシュ区域ごとに第2画像データである分割画像を生成して用いてもよい。
表示部130は、メッシュ区域選択画面(図5)、メイン画面(図6)、クラスグラフ画面(図7)および経路作成画面(図8)などの各種画面を表示する。
認識部104は、撮影画像に基づいて、複数のメッシュ区域における切屑の存在度合いを認識する。認識部104については、図9に関連して、後述する。
表示処理部105は、メッシュ区域選択画面(図5)、メイン画面(図6)、クラスグラフ画面(図7)および経路作成画面(図8)など各種画面を生成して、表示部130に表示させる。
受付部106は、入力部120から入力信号を取得してユーザ操作を受け付ける。具体的には、受付部106は、メッシュ区域へのタッチ操作や各種ボタンへのタッチ操作を受け付ける。さらに、受付部106は、流体を噴き当てる経路の作成指示として撮影画面上のタッチ操作、スライド操作およびリリース操作を受け付ける。
制御部107は、液体噴射部11に対する制御信号を生成する。制御信号の内容については、図27に関連して後述する。制御部107は、液体噴射部11へ発した制御信号を履歴データ113に加えて記憶部110に記憶させてもよい。
作成部108は、撮影領域の少なくとも一部の部分領域(この例では、後述する選択領域)において流体を噴き当てる経路を、撮影画像上で作成する。具体的には、作成部108は、流体を噴き当てる経路を特定する座標データ116を生成する。座標データ116については、図11に関連して後述する。
なお、情報処理装置10は、1台のコンピュータや1台のタブレットにより実現される。工作機械1は、この情報処理装置を内部に組み込んでいてもよい。また、これらの処理を、情報処理システムとしてネットワークを介して接続される複数台のコンピュータの組み合わせにより実現されてもよい。また、例えば、記憶部110に記憶されるデータの全部又は一部が、ネットワーク(図示せず)を介して接続される外部の記録媒体に記憶され、情報処理装置10や情報処理システムは、外部の記録媒体に記憶されるデータを使用するように構成されていてもよい。
図5は、情報処理装置で表示されるメッシュ区域選択画面の一例である。メッシュ区域選択画面には、撮影画像に重ねて、各メッシュ区域を示す縦線と横線が表示される。ユーザは、撮影画像内の任意のメッシュ区域を切屑除去の対象領域として選択する(エリア登録)。このエリア登録されたメッシュ区域を、選択領域という。この例では、パレット14が含まれるメッシュ区域が選択領域である。
つまり、ユーザは、メッシュ区域選択画面において、洗浄するエリア(以下、「洗浄エリア」という)をカバーするメッシュ区域を選択する。この例で、パレット14が洗浄エリアである。具体的には、ユーザは、少なくとも洗浄エリアの一部が含まれる各メッシュ区域にタッチする。選択された各メッシュ区域には網掛けパターンが重ねて表示される。選択されるメッシュ区域の数は、1つでもよいし、複数でもよい。複数のメッシュ区域が選択された場合には、それらのメッシュ区域が一体として洗浄エリアをカバーしていることを意味する。選択されたメッシュ区域の区域IDは、選択領域データ114に追加される。また、メッシュ区域の選択を取り消すこともできる。網掛けパターンが表示されているメッシュ区域にユーザがタッチすると、そのメッシュ区域の選択が取り消される。その場合に、タッチされたメッシュ区域の網掛けパターンは消える。そして、タッチされたメッシュ区域の区域IDは、選択領域データ114から消去される。
図6は、情報処理装置で表示されるメイン画面の一例である。選択領域の境界は、太線で示される。選択領域の各メッシュ区域における切屑の存在度合いを示すクラスに対応する網掛けパターンが、そのメッシュ区域に重ねて表示される。この例では、選択領域のメッシュ区域についてのみ網掛けパターンを表示する例を示しているが、その他のメッシュ区域についても網掛けパターンを表示してもよい。図中の薄い網掛けパターンは、「切屑がない」ことを意味するクラス0に相当する。中程度の網掛けパターンは、「切屑が少ない」ことを意味するクラス1に相当する。濃い網掛けパターンは、「切屑が多い」ことを意味するクラス2に相当する。クラスに関しては、後に詳述する。
ユーザがメッシュ区域にタッチすると、そのメッシュ区域における切屑の存在度合いを示すクラスを時系列で表すクラスグラフ画面が表示される。クラスグラフ画面については、図7に関連して後述する。
経路作成ボタン202がタッチされると、流体を噴き当てる経路を作成するための操作画面(以下、「経路作成画面」という)に切り替わる。経路作成画面については、図8に関連して後述する。
図7は、情報処理装置で表示されるクラスグラフ画面の一例である。クラスグラフ画面は、メイン画面でタッチされたメッシュ区域に関する撮影回毎の切屑の存在度合いを示すクラスを時系列で表す。ユーザは、加工によって切屑が溜まるとクラスが上がり、液体噴射によって切屑が除去さえるとクラスが下がるという状況変化を一目で把握できる。
図8は、情報処理装置で表示される経路作成画面の一例である。経路作成画面は、撮影領域の少なくとも一部の部分領域において流体を噴き当てる経路を、撮影画像上で作成するための画面である。この例では、太線で囲われた選択領域が、撮影領域の少なくとも一部の部分領域に相当する。つまり、選択領域において流体を噴き当てる経路を、撮影画像上で作成する。また、撮影領域の少なくとも一部の部分領域に相当する選択領域は、複数のメッシュ区域に分けられており、各メッシュ区域における切屑の存在度合いを示すクラスに対応する網掛けパターンが、そのメッシュ区域に重ねて表示される。現在使用されている流体を噴き当てる経路が表示される。つまり、初回は標準の流体を噴き当てる経路(以下、「標準経路」という)が表示される。ユーザが流体を噴き当てる経路を作成した場合には、その流体を噴き当てる経路が表示される。白抜きの円マークは、流体を噴き当てる経路の開始点を示す。×マークは、流体を噴き当てる経路の屈曲点を示す。黒塗りの円マークは、流体を噴き当てる経路の終了点を示す。線矢印は、流体を噴き当てる経路の順路を示す。流体を噴き当てる経路の詳細については、図12などに関連して後述する。以下、各屈曲点を、開始点から終了点へ辿る順に「第1屈曲点」、「第2屈曲点」、「第3屈曲点」、「第4屈曲点」、「第5屈曲点」、「第6屈曲点」および「第7屈曲点」という。
ユーザがクリアボタン210にタッチすると、現在使用されている流体を噴き当てる経路が消去されて、ユーザが流体を噴き当てる経路の全体を設定し直せる。クリアボタン210をタッチした場合の流体を噴き当てる経路の全設定の操作については、図17から図19に関連して後述する。
ユーザがリセットボタン212にタッチすると、現在使用されている流体を噴き当てる経路が取り消されて、標準経路が設定される。また、ユーザが終了ボタン214にタッチすると、流体を噴き当てる経路が確定して、経路作成画面が閉じられメイン画面に戻る。
続いて、撮影画像に基づく切屑の存在度合いを示すクラスおよびスコアの認識について説明する。図9は、認識部104の構成の概略図である。図9に示すように、認識部104は、モデル学習部151、確率算出部152、判定部153およびスコア算出部154を備える。また、記憶部110は、学習モデル115を記憶する。スコアは、選択領域全体としての切屑の存在度合いを示す指標であって、液体噴射のタイミングを判定するために用いられる。
この例では、各メッシュ区域における切屑の存在度合いを多段階のクラスで表す。クラス0は、「切屑がない」ことを意味する。クラス1は、「切屑が少ない」ことを意味する。クラス2は、「切屑が多い」ことを意味する。
モデル学習部151は、学習モデルを作成する。この学習モデルは、例えばCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いており、一つのメッシュ画像を入力データとし、各クラスに該当する確率を出力データとする。モデル学習部151は、対となる入力データと出力データを教師データとしたCNNの学習処理によって学習モデルを得る。学習モデル115は、記憶部110に記憶される。CNNでは、畳み込み層およびプーリング層においてメッシュ画像の特徴を抽出し、当該特徴をニューラルネットワークの入力データとして用いる。なお、CNN以外の学習エンジンを用いて学習モデルを作成してもよい。その場合には、メッシュ画像を所定の画像処理フィルタに適用して得られる特徴量を、学習エンジンの入力データとして用いてもよい。また、認識部104は、たとえば決定木を用いてクラスを判定してもよい。
ここでは、説明の便宜のため、図9において認識部104で学習を行う例を示しているが、認識部104で学習を行わない方式でもよい。
教師データとして入力データ(メッシュ画像)と出力データ(クラスで表現される「物質の状況」)を学習エンジン(狭義の学習モデル)に与えて学習し、学習パラメータを得るという学習行為は、学習用コンピュータにおいて実施される。この学習行為では、学習パラメータのみが変化し、学習エンジン(狭義の学習モデル)は変化しない。学習エンジン(狭義の学習モデル)とは、開発者が設計したCNNあるいはDNN(ディープニューラルネットワーク)などを指す。ここで生成された学習モデルを用いて認識部で屑の状態や屑の状況を認識する。
開発段階で用意した学習エンジン(狭義の学習モデル)と学習パラメータは、共に製品の記憶部110に書き込まれて出荷される。製品の記憶部110に記憶している学習エンジン(狭義の学習モデル)と学習パラメータを合わせて、学習済みの推論モデル(広義の学習モデル)ということもある。出荷後の学習済みの推論モデル(広義の学習モデル)について、学習エンジン(狭義の学習モデル)と学習パラメータのいずれも、運用段階においてバージョンアップなどの例外を除き変更されることはない。図9に示した学習モデル115は、学習済みの推論モデル(広義の学習モデル)を意味する。
以上のように、出荷時の製品において図9に示したモデル学習部151を組み込んでいなくてもよい。つまり、工作機械で加工している際に画像を用いて随時学習する形態ではなく、予め作られた学習モデルを用いて認識部に認識させるものである。一方、工作機械で加工している際の画像を学習させる運用段階の製品において学習を行うのであれば、図9に示したモデル学習部151を出荷時の製品に搭載してもよい。
確率算出部152は、出荷時のモデル学習部151に記憶されている推論モデルを用いて、各メッシュ区域における各クラス0~2の尤度を算出する。この例では、各クラス0~2の尤度を「確率」と表現している。この例における「確率」は、「尤度」と読み替えられてもよい。推論モデルは、メッシュ画像を入力データとして各クラス0~2の尤度を出力データとする複雑な関数であって、関数の係数には学習によって得られた学習パラメータが使用される。
確率算出部152は、学習モデル115を用いて、任意のメッシュ画像に関して各クラスの確率を求める。つまり、学習モデル115の入力データとしてメッシュ画像を使用すれば、出力データとして、そのメッシュ画像がクラス0に該当する確率、クラス1に該当する確率およびクラス2に該当する確率が得られる。なお、クラスの数は、3つに限らない。2つでもよいし、4つ以上であってもよい。クラスの数を2つとする場合、切屑の有無だけを区別してもよい。
判定部153は、確率算出部152によって算出された各クラスの確率に基づいて、クラス0~2のうち妥当な1つのクラスを判定する。例えば、最も確率が高いクラスが選択される。
クラスは、「切屑の状況を表す状況値」の例である。認識部104が、切屑の形状、切屑の大きさ、切屑の種類あるいは切屑の堆積量などを認識して、それをクラスに代わる「切屑の状況を表す状況値」として用いてもよい。なお、切屑の堆積量は、堆積している切屑の重さでも、体積でも、数でもよい。
スコア算出部154は、さらに選択領域全体としての切屑の状況を示す指標としてスコアを算出する。選択領域の各メッシュ区域における切屑の状況を示すクラスには、所定の点数が割り当てられる。例えば、「クラス2」は8点、「クラス1」は3点、「クラス0」は0点とする。これにより、選択領域の各メッシュ区域に点数が割り当てられる。そして、スコア算出部154は、各メッシュ区域の点数を合計する。算出された合計点を正規化することによってスコアが得られる。例えば、スコア算出部154は、論理的な最高点が100になる計算方法で合計点を一律に修正する。図5の例では、メッシュ区域の数が30であるので、最高点はすべてのメッシュ区域が「クラス2」であった場合の30×8=240点である。従って、合計点に100/240を乗じることによって、上限を100とし下限を0とするスコアが得られる。なお、スコアは、各メッシュ区域の点数の平均値でもよい。その場合には、スコアの上限は8であり、同じく下限は0である。また、この平均値を正規化したものを、スコアとしてもよい。
認識部104によって得られる情報は、履歴データ113として蓄積される。図10に、履歴データ113の一例を示す。撮影回毎にレコードが設けられる。レコードには、撮影画像の画像ID、撮影時刻、選択領域の各メッシュ区域のクラスおよび選択領域全体のスコアが設定される。
図10の例で、たとえば「A5-16」のメッシュ区域のクラスは「0」、「0」、「1」、「1」、「2」、「0」、「0」と変化したことが分かる。また、「T5」のタイミングと「T6」のタイミングの間に、洗浄エリアに対して液体が噴きかけられ、各メッシュ区域のクラスの値および選択領域全体のスコアが小さくなっている。
図11は、情報処理装置で生成される座標データ116を示すデータ構成図である。座標データ116は、流体を噴き当てる経路に関して、開始点、各屈曲点および終了点に対応するレコードを有する。各レコードには、開始点、屈曲点および終了点の経路作成画面(図8、)の二次元座標(図12(A)等参照)、工作空間の三次元座標および洗浄面の二次元座標(図12(B)等参照)が設定される。工作空間の三次元座標は、3DモデルMの基準となる。3DモデルMをカメラ方向から見た平面図と撮影画像の相似関係によって、工作空間の三次元座標と経路作成画面の二次元座標の対応づけが可能である。洗浄面は、洗浄対象である部品(たとえば、パレット14)の表面のことである。3DモデルMは、当該部品の形状データを含むので、洗浄面の二次元座標と工作空間の三次元座標の対応づけが可能である。たとえば、後述する図12(A)では、経路作成画面の二次元座標によって各種点マークが表されている。また、図12(B)は、洗浄面における各種点の二次元座標を示している。
以下では、ユーザが標準経路を修正することによって、所望の流体を噴き当てる経路を作成する操作について説明する。
図12(A)は、標準経路を表示する経路作成画面の部分例である。経路作成画面には、標準経路の開始点、屈曲点および終了点の各マークと、各点を結ぶ矢印線が表示される。矢印線は、液体噴射のターゲットポイントが移動する軌跡と向きを示している。各マークの位置は、座標データ116(図11)に設定されている経路作成画面の二次元座標(X1,Y1)などに基づく。
図12(B)は、洗浄面における標準経路の2次元座標を示す図である。座標データ116(図11)に設定されている洗浄面の二次元座標(P1,Q1)などに基づいて、標準経路の開始点、屈曲点および終了点の洗浄面における位置を示している。便宜的に、経路作成画面におけるマークを使用して各点の位置を示す。また、理解しやすくするために、矢印線も表す。この例で洗浄面の2次元座標系は、左下を原点として、右方向がP軸であり、上方向がQ軸である。
開始点から矢印線に沿って液体噴射の目標位置、つまりターゲットポイントが移動する。屈曲点に至ると方向を変えて、次の屈曲点へ向かう矢印線に沿ってターゲットポイントが移動する。第1屈曲点から第7屈曲点を経由して、ターゲットポイントが終了点に至って標準経路が完結する。つまり、矢印線によって液体噴射先の移り変わりが、イメージできるようになっている。このように標準経路は、ジグザグ形状をしている。図12(B)に示すように、洗浄面の上側に並ぶ開始点、各屈曲点および終了点の間隔W1と、洗浄面の下側に並ぶ各屈曲点の間隔W1は、同一である。このようにすれば、洗浄面に対して均等に液体を噴きかけることができる。標準経路は、洗浄面の形状に基づいて自動的に作成することが可能である。また、デフォルトとして標準経路を設定しておいてもよい。
図12(A)のように経路作成画面に表示される標準経路は、図12(B)のように洗浄面に対して設定されている標準経路を基礎として表示される。つまり、洗浄面の標準経路を示す二次元座標を、工作空間の三次元座標へ変換し、更にその工作空間の三次元座標を経路作成画面の二次元座標へ変換することによって、経路作成画面上に標準経路が描かれる。
本実施形態では、経路作成画面に表示されている流体を噴き当てる経路に含まれる矢印線を移動させることができる。この例では、図12(A)の網掛けパターンが示すように、終点側に切屑が集まっているので、図13以降の操作で終点側へ第4矢印線を寄せるように標準経路を修正するものとする。なお、これに伴い他の矢印線も追従する。
図13(A)は、第4矢印線がタッチされた経路作成画面の部分例である。タッチされた矢印線は、スライド可能であることを示すために太線に変わる。図13(A)では、第3屈曲点と第4屈曲点を結ぶ第4矢印線がタッチされて太線に変わっている。ただし、第4矢印線の位置は、図12(A)と同じである。
図13(B)は、図13(A)に対応する洗浄面座標系を示している。この洗浄面における各点は移動していない。便宜的に、第4矢印線を太線で表している。図13(B)は、更に標準経路の変形処理における基準となる矩形を示している。本実施形態では、タッチされた矢印線よりも左側の矩形と右側の矩形を基準とする。図示するように左側矩形は、第3屈曲点から左端までの幅L1を有する。また、右側矩形は、第4屈曲点から右端までの幅L2を有する。なお、洗浄面全体の幅はL0であり、高さはHである。左側矩形と右側矩形の高さは、ともにHである。
図14(A)は、第4矢印線がスライドされた経路作成画面の部分例である。図14(B)は、第4矢印線のスライドによって移動した2次元座標を示す図である。図14(A)と図14(B)を参照して、第4矢印線をスライドさせる操作処理および内部処理について説明する。
図14(A)に示すように、経路作成画面においてユーザがタッチ位置を右下方向へスライドさせる操作を行うと、スライド先のタッチ位置の2次元座標が検出される。経路作成画面におけるスライド先のタッチ位置の2次元座標は、加工空間の3次元座標へ変換され、さらに洗浄面の2次元座標へ変換される。
これにより、図14(B)に示す洗浄面におけるスライドベクトルが特定される。スライドベクトルにおけるP軸成分によって、洗浄面における第4矢印線の移動ベクトルが算出される。この移動ベクトルを移動元の第3屈曲点の2次元座標に加えることによって、移動先の第3屈曲点の2次元座標が算出される。これに合わせて、左矩形内の開始点、第1屈曲点および第2屈曲点も移動する。左矩形については、P軸方向の長さがL1からL3に引き伸ばされる。従って、開始点、第1屈曲点および第2屈曲点のP座標に(L3/L1)を乗ずることによって、移動先のP座標が求められる。Q座標は、変わらない。こうして、第4矢印線より左側の各点について移動先の2次元座標が特定される。その結果、図12(B)と図13(B)に示した左矩形内の開始点と第2屈曲点の間隔W1と、第1屈曲点と第3屈曲点の間隔W1は、(L3/L1)倍のW2となる。つまり、左側で往復する順路の間隔が疎になる。
同様に、移動ベクトルを移動元の第4屈曲点の2次元座標に加えることによって、移動先の第4屈曲点の2次元座標が算出される。これに合わせて、右矩形内の第5屈曲点、第6屈曲点、第7屈曲点および終了点も移動する。右矩形については、右端までの距離が(L4/L2)倍になるように第5屈曲点、第6屈曲点、第7屈曲点および終了点のP座標を改める。Q座標は、変わらない。こうして、第4矢印線より右側の各点について移動先の2次元座標が特定される。その結果、図12(B)と図13(B)に示した右矩形内の第4屈曲点と第6屈曲点の間隔W1と、第5屈曲点と第7屈曲点の間隔W1と、第6屈曲点と終了点の間隔W1は、(L4/L2)倍のW3となる。つまり、右側で往復する順路の間隔が密になる。その結果、切屑が残っているところを重点的に洗浄できる。
このように変更された各点の洗浄面の2次元座標を、工作空間の3次元画像に変換し、さらに、経路作成画面の2次元座標へ変換する。そして、経路作成画面の2次元座標に基づいて、図14(A)に示すように、移動後の各種点のマークと矢印線が表示される。ユーザがタッチをやめてリリースすると、太線の矢印線は、普通線に戻る。
本実施形態では、さらに経路作成画面に表示されている開始点、屈曲点および終了点を移動させることができる。ここでは、第2屈曲点を移動させる例について説明する。
図15(A)は、第2屈曲点がタッチされた経路作成画面の部分例である。タッチされた屈曲点は、スライド可能であることを示すために大型のマークに変わる。この例では、第2屈曲点が大型のマークになる。図15(B)は、第2屈曲点がタッチされた時点における洗浄面の2次元座標を示す図である。第2屈曲点の位置は、図14(B)と同じである。
図16(A)は、第2屈曲点がスライドされた経路作成画面の部分例である。 図16(B)は、屈曲点のスライドによって移動した洗浄面の2次元座標を示す図である。
図16(A)に示すように、経路作成画面においてユーザがタッチ位置を左方向へスライドさせる操作を行うと、スライド先のタッチ位置の2次元座標が検出される。経路作成画面におけるスライド先のタッチ位置の2次元座標は、加工空間の3次元座標へ変換され、さらに洗浄面の2次元座標へ変換される。
これにより、図16(B)に示す洗浄面における第2屈曲点の新たな2次元座標が特定される。このとき、他の点の2次元座標は変わらない。
図16(A)では、第2屈曲点を示す大型マークが移動し、第2屈曲点を終点とする第2矢印線と第2屈曲点を始点とする第3矢印線の形が変わる。内部処理としては、図16(B)に示した洗浄面における第2屈曲点の新たな2次元座標が、加工空間の3次元座標へ変換され、さらに経路作成画面の2次元座標へ変換される。そして、図16(A)に示した流体を噴き当てる経路が描かれる。ユーザがタッチをやめてリリースすると、大型のマークは、普通の小型のマークに戻る。
ここでは、屈曲点を移動させる例を示したが、開始点や終了点を移動させることもできる。移動可能な状態で、大型のマークに変わる表示態様は同様である。座標の求め方も同様である。開始点を移動させた場合には、第1矢印線の形が変わる。終了点を移動させた場合には、最後の矢印線(この例では、第8矢印線)の形が変わる。
ここからは、ユーザがクリアボタン210をタッチした場合の流体を噴き当てる経路の全設定の操作について説明する。図17(A)は、流体を噴き当てる経路がクリアされた経路作成画面の部分例である。図示するように、クリアボタン210がタッチされると、それまで表示されていた流体を噴き当てる経路は消える。このとき、座標データ116も消去される。
図17(B)は、最初にタッチされた経路作成画面の部分例である。最初にタッチされた位置には、開始点を示す大型のマークが表示される。大型のマークは、スライド可能であることを示している。
図17(C)は、最初にリリースされた経路作成画面の部分例である。開始点をスライドさせて、図示する位置でリリースすると、開始点は普通の小型のマークに変わる。これにより、開始点の位置が確定する。開始点のタッチ状態が継続している間、タッチ位置が経路作成画面における開始点の2次元座標として検出される。経路作成画面における開始点の2次元座標は、加工空間の3次元座標へ変換され、さらに洗浄面の2次元座標へ変換される。そして、リリースされた段階で、開始点に関する経路作成画面の2次元座標、加工空間の3次元座標および洗浄面の2次元座標が確定する。
図17(D)は、2回目にタッチされた経路作成画面の部分例である。2回目以降にタッチされた位置には、終了点を示す大型のマークが表示される。これも、スライド可能である。なお、2回目以降のタッチに関しては、屈曲点となるか、終了点となるかはこの段階で判別できないので、暫定的に終了点として扱う。
図18(A)は、2回目にリリースされた経路作成画面の部分例である。終了点をスライドさせて、図示する位置でリリースすると、終了点は普通の小型のマークに変わる。これにより、暫定的に終了点の位置が決まる。終了点のタッチ状態が継続している間、タッチ位置が経路作成画面における終了点の2次元座標として検出される。経路作成画面における終了点の2次元座標は、加工空間の3次元座標へ変換され、さらに洗浄面の2次元座標へ変換される。そして、リリースされた段階で、2番目の点(第1屈曲点または終了点となる)に関する経路作成画面の2次元座標、加工空間の3次元座標および洗浄面の2次元座標が確定する。
図18(B)は、3回目にタッチされた経路作成画面の部分例である。3回目にタッチされた場合には、その段階の終了点のマークが屈曲点のマークに変わる。そして、タッチされた位置には、新たな終了点を示す大型のマークが表示される。
図18(C)は、3回目にリリースされた経路作成画面の部分例である。終了点をスライドさせて、図示する位置でリリースすると、終了点は普通の小型のマークに変わる。これにより、暫定的に終了点の位置が決まる。経路作成画面の2次元座標、加工空間の3次元座標および洗浄面の2次元座標の特定に関しては、前述と同様である。
図18(D)は、4回目にタッチされた経路作成画面の部分例である。図19(A)は、5回目にタッチされた経路作成画面の部分例である。図19(B)は、6回目にタッチされた経路作成画面の部分例である。このように、4回目~6回目のタッチ、スライドおよびリリースの操作によって、第2屈曲点~第4屈曲点および終了点に関する経路作成画面の2次元座標、加工空間の3次元座標および洗浄面の2次元座標が特定される。そして、ユーザが図19(B)の状態でリリースして、終了ボタン214にタッチすると、流体を噴き当てる経路の全体設定が完了する。
このまま経路設定処理を終えてもよいが、続けて上述した矢印線のスライドや各種点マークのスライドを行うこともできる。
図19(C)は、第2屈曲点がタッチされた経路作成画面の部分例である。図19(D)は、第2屈曲点がスライドされた経路作成画面の部分例である。このように、図15と図16の場合と同様に、第2屈曲点を移動させることができる。
図20と図21に示すフローチャートを用いて、実施の形態に係るメイン処理について説明する。S10~S14の処理までは、加工前の準備に相当する。
まず、撮像部12が、準備のための撮影を行う。取得部101は、撮像部12から第1画像データ111を取得する(S10)。
メッシュ設定部102は、撮影画像に複数のメッシュ区域を設定し、メッシュ定義データ112を生成する(S12)。
表示処理部105は、表示部130にメッシュ区域選択画面(図5)を表示させ、受付部106は、選択領域の1つまたは複数のメッシュ区域の選択を受け付ける。受付部106は、ユーザに選択された各メッシュ区域の区域IDを選択領域データ114として記憶する(S14)。
続いて、工作機械1に搬入されたワークに対する加工が開始される(S16)。加工が開始されると切屑が発生する。図21に示す処理へ移る。
加工が行われている間、撮像部12は、所定のタイミングで撮影を行う。撮像部12は、たとえば周期的に撮影する。撮影の都度、取得部101は、撮像部12から第1画像データ111を取得し、記憶部110に記憶させる(S18)。
選択領域データ114に含まれる各区域IDについて、抽出部103は、第1画像データ111の撮影画像からメッシュ画像を抽出し、認識部104は、当該メッシュ画像の切屑の存在度合いを示すクラスを判定する(S20)。
認識部104は、選択領域データ114に含まれる各区域IDのクラスに基づいて、選択領域全体のスコアを算出する(S22)。
認識部104は、履歴データ113に、最新回に関する撮影ID、選択領域の各メッシュ区域における切屑の存在度合いを示すクラスおよび選択領域全体における切屑の存在度合いを示すスコアを追加する(S24)。
表示処理部105は、撮影画像を映すメイン画面(図6)を表示し、各メッシュ区域における切屑の存在度合いを示すクラスに対応する網掛けパターンを重ねて表示する(S26)。
最新の撮影回のクラスに基づいて、網掛けパターンを決めてもよいし、過去の撮影回(たとえば、N回前の撮影回、Nは自然数)のクラスに基づいて、網掛けパターンを決めてもよい。また、複数の撮影回分のクラスに基づいて、網掛けパターンを決めてもよい。たとえば、N回前の撮影回から最新の撮影回までの、N+1個のクラスを用いてもよいし、あるいはN回前の撮影回からN-M回前(MはNより小さい自然数)の撮影回までの、M+1個のクラスを用いてもよい。初回から撮影回P(Pは2以上の自然数)までのクラスを用いてもよい。ユーザによって指定された撮影回から所定数の撮影回のクラスを用いてもよい。この所定数は、ユーザが指定してもよいし、固定値でもよい。また、何回目であるかを基準とせずに、ユーザによって指定された日時や時間長で定まる期間を基準として、その期間に撮影時刻が含まれる複数の撮影回を特定してもよい。たとえば、ユーザによって指定された撮影回から所定時間長の期間に含まれる撮影回のクラスを用いてもよい。この所定時間長は、ユーザが指定してもよいし、固定値でもよい。最新回から所定時間長遡った期間に含まれる撮影回のクラスを用いてもよい。このように、判定対象とする撮影回の決め方は任意である。
複数の撮影回分のクラスを用いる場合には、たとえばクラスの積算値によって網掛けパターンの仕分けを行ってもよいし、クラスの積算値を正規化した値によって網掛けパターンの仕分けをおこなってもよい。複数回分のクラスについて、重み付けを行ってもよい。複数の撮影回分のクラスを用いれば、一時的な堆積状況ではなく、長いレンジでの堆積傾向を示せるようになる。
図7の例における撮影回12~21を対象とするならば、クラスの積算値は、0+1+2+2+2+2+0+1+2+2=14となる。そして、積算値の「14」を閾値と比較することによって網掛けパターンが特定される。
積算値以外の指標を用いて仕分けを行ってもよい。たとえば、クラスが1以上であった回数を指標としてもよい。図7の撮影回12~21を例とすると、撮影回13~17および19~21においてクラスが1以上であり、指標となる回数は8回となる。この回数「8」を閾値と比較することによって網掛けパターンが特定される。
積算値以外の指標の別の例として、クラスが2回以上連続して1以上であった回数(つまり、前回に続いてクラスが1以上であった回の数)を指標としてもよい。図7の撮影回12~21を例とすると、撮影回14~17、20および21の合計6回がこの基準に該当する。したがって、指標となる回数「6」を閾値と比較することによって網掛けパターンが特定される。
網掛けパターンの仕分けにおいて、Q個(Qは自然数)の閾値を用いれば、P+1個の網掛けパターンに振り分けられる。1個の閾値で仕分けを行えば、簡易的に溜まりやすいメッシュと溜まりにくいメッシュとを判別できる。
網掛けパターンに代えて、色パターンなど別の表示形態を重ねて表示してもよい。このように網掛けパターンや色パターンなどで示される「切屑堆積ヒートマップ」とも言える表示を行うことによって、ユーザが、切屑が溜まりやすい箇所を容易に把握できるようにして、そこを重点的に清掃するような洗浄経路を作れるようにする。
制御部107は、最新回のスコアが所定の閾値を超えていると判定すると(S28でYES)、噴射制御処理を行う(S30)。噴射制御処理では、液体噴射部11に切屑を移動させるための液体噴射を行わせる。噴射制御処理については、図27に関連して後述する。
工作機械1の加工が継続している場合には(S32でYES)、情報処理装置10は、ステップS18の処理に戻り、ステップS18~S30の処理を繰り返す。そして、工作機械1の加工が完了すると(S32でNO)、メイン処理は終了する。複数のワークに対して加工を行う場合には、S16へ戻って処理を継続してもよい。
続いて、経路作成処理について説明する。図22は、経路作成処理を説明するフローチャートである。図6に示したメイン画面で経路作成ボタン202がタッチされた場合に、この経路作成処理が起動される。表示処理部105は、経路作成画面で、撮像画像、選択領域の太線および網掛けパターンをメイン画面と同様に表示する。
流体を噴き当てる経路の座標データ116が未登録である場合には(S40のYES)、作成部108は、標準経路を作成する(S42)。表示処理部105は、作成した標準経路を、流体を噴き当てる経路として含む経路作成画面を表示する(S44)。一方、流体を噴き当てる経路の座標データ116が登録されている場合には(S40のNO)、表示処理部105は、登録されている座標データ116に基づく流体を噴き当てる経路を含む経路作成画面を表示する(S44)。
受付部106がいずれかの矢印線へのタッチを検出した場合には(S46のYES)、矢印線移動処理を実行する(S48)。矢印線移動処理については、図23に関連して後述する。
受付部106が開始点マーク、屈曲点マークあるいは終了点マークへのタッチを検出した場合には(S50のYES)、各種点移動処理を実行する(S52)。各種点移動処理については、図24に関連して後述する。
受付部106がクリアボタン210へのタッチを検出した場合には(S54のYES)、全設定処理を実行する(S56)。全設定処理については、図25に関連して後述する。
受付部106がリセットボタン212へのタッチを検出した場合には(S58のYES)、S42へ戻って、作成部108が標準経路を作成し(S42)、表示処理部105は、作成した標準経路を、流体を噴き当てる経路として表示する(S44)。すでに標準経路が作成されている場合には、S42の処理を省いてもよい。
そして、受付部106が終了ボタン214へのタッチを検出すると(S60)、経路作成処理を終了する。
図23は、矢印線移動処理を説明するフローチャートである。表示処理部105は、タッチされた矢印線を太線に変更して表示する(S70)。
受付部106がスライド操作を検出した場合には(S72のYES)、作成部108は、図14(A)および図14(B)に関連して説明したように、座標データ116を更新する(S74)。表示処理部105は、更新された座標データ116に基づいて、経路作成画面に新たな流体を噴き当てる経路を表示する(S76)。そして、S72の処理へ戻る。
受付部106がリリース操作を検出した場合には(S78のYES)、表示処理部105は、矢印線を普通線に戻して表示する(S80)。そして、矢印線移動処理を終えて、図22のS46の処理へ戻る。
図24は、各種点移動処理を説明するフローチャートである。表示処理部105は、各種点マークを大型に変更して表示する(S90)。
受付部106がスライド操作を検出した場合には(S92のYES)、作成部108は、図16(A)およびオ(B)に関連して説明したように、座標データ116を更新する(S94)。表示処理部105は、更新された座標データ116に基づいて、経路作成画面に新たな流体を噴き当てる経路を表示する(S96)。そして、S92の処理へ戻る。
受付部106がリリース操作を検出した場合には(S98のYES)、表示処理部105は、各種点マークを小型に戻して表示する(S100)。そして、各種点移動処理を終えて、図22のS46の処理へ戻る。
図25と図26は、全設定処理を説明するフローチャートである。作成部108は、現在登録されている座標データ116を削除する(S110)。表示処理部105は、経路作成画面に表示している流体を噴き当てる経路を消去する(S111)。
受付部106が画面タッチを検出した場合には(S112のYES)、作成部108は、図17(B)と図17(C)に関連して説明したように、座標データ116を更新する(S114)。具体的には、作成部108は、開始点のレコードに経路作成画面の2次元座標、加工空間の3次元座標および洗浄面の2次元座標を設定する。そして、表示処理部105は、経路作成画面における開始点の2次元座標に大型の開始点マークを表示する(S116)。
受付部106がスライド操作を検出した場合には(S118)、作成部108は、図17(C)に関連して説明したように、座標データ116を更新する(S120)。具体的には、作成部108は、開始点のレコードにおける経路作成画面の2次元座標、加工空間の3次元座標および洗浄面の2次元座標を更新する。表示処理部105は、経路作成画面の2次元座標に基づいて開始点マークを移動させる(S122)。そして、S118の処理に戻る。
受付部106がリリース操作を検出した場合には(S124)、表示処理部105は、開始点マークを小型に戻して表示する(S126)。そして、S130の処理へ移る。
図26の説明に移る。次に受付部106が画面タッチを検出した場合には(S130)、作成部108は、図17(D)と図18(B)に関連して説明したように、座標データ116を更新する(S132)。具体的には、作成部108は、レコードを追加して、経路作成画面の2次元座標、加工空間の3次元座標および洗浄面の2次元座標を設定する。表示処理部105は、すでに終了点マークを表示している場合、つまり3回目以降の画面タッチの場合には、終了点マークを屈曲点マークへ変更して表示する(S134)。さらに、表示処理部105は、タッチされた位置に大型の終了点マークを表示する(S136)。このとき、表示処理部105は、前の点マークから大型の終了点マークを指す矢印線も表示する。
受付部106がスライド操作を検出した場合には(S138)、作成部108は、図18(A)と図18(C)に関連して説明したように、座標データ116を更新する(S140)。具体的には、作成部108は、追加されたレコードにおける経路作成画面の2次元座標、加工空間の3次元座標および洗浄面の2次元座標を更新する。表示処理部105は、経路作成画面の2次元座標に基づいて終了点マークを移動する(S142)。このとき、表示処理部105は、前の点マークから終了点マークを指す矢印線を表示し直す。
受付部106がリリース操作を検出した場合には(S144)。表示処理部105は、終了点マークを小型に戻して表示する(S146)。そして、S130の処理へ戻る。
終了ボタン214へのタッチを検出した場合には(S148)は、全設定処理を終了して、図22のS46へ戻る。この終了ボタン214のタッチは、全設定処理の終了指示であって、経路作成処理を終了させる指示ではない。従って、図19(C)と図19(D)に示したように、全設定処理で作成した流体を噴き当てる経路の矢印線や各種点マークのスライド操作を行うことができる。
最後に、噴射制御処理について説明する。図27は、噴射制御処理を説明するフローチャートである。制御部107は、加工空間における開始点の3次元座標を目標として流体噴射のターゲットポイントを設定させる照準設定信号を液体噴射部11へ送信する(S150)。照準設定信号を受信した液体噴射部11は、流体噴射の照準を合わせる動作を行い、照準設定の完了信号を返信する。
制御部107が、液体噴射部11から照準設定の完了信号を受信すると(S152)、制御部107は、噴射開始信号を液体噴射部11へ送信する(S154)。噴射開始信号を受信した液体噴射部11は、流体噴射を開始し、噴射開始の応答信号を返信する。
制御部107は、液体噴射部11から噴射開始の応答信号を受信すると(S156)、順番に従って屈曲点毎に以下の処理の繰り返す(S158)。制御部107は、加工空間における屈曲点の3次元座標を移動先として流体噴射のターゲットポイントを移動させる照準移動信号を液体噴射部11へ送信する(S160)。照準移動信号を受信した液体噴射部11は、流体噴射を行ったまま、ターゲットポイントを徐々に移動させる動作を行い、ターゲットポイントが屈曲点まで至ると、照準移動の完了信号を返信する。なお、制御部107は、屈曲点までの経路上に1または複数の中間点を設定して、屈曲点へ向かう順番に中間点へターゲットポイントを移動させる段階的な照準移動信号を送信するようにしてもよい。
制御部107は、液体噴射部11から照準移動の完了信号を受信すると(S162)、最後の屈曲点の処理を終えるまで、S158へ戻って同様の処理を繰り返す。
制御部107は、最後の屈曲点の処理を終えると(S164のYES)、加工空間における終了点の3次元座標を移動先として流体噴射のターゲットポイントを移動させる照準移動信号を液体噴射部11へ送信する(S166)。照準移動信号を受信した液体噴射部11は、流体噴射を行ったまま、照準を徐々に移動させる動作を行い、ターゲットポイントが終了点まで至ると、照準設定の完了信号を返信する。上述のとおり、制御部107は、段階的な照準移動信号を送信するようにしてもよい。
制御部107は、液体噴射部11から照準移動の完了信号を受信すると(S168)、制御部107は、噴射停止信号を液体噴射部11へ送信する(S170)。噴射停止信号を受信した液体噴射部11は、液体噴射を終え、噴射停止の応答信号を返信する。制御部107は、液体噴射部11から噴射停止の応答信号を受信すると(S172)、噴射制御処理を終え、図21のS32の処理へ戻る。
[変形例]
実施形態では、矢印線のスライド操作に応じて、他の矢印線や各種点が追従する例を示したが、各種点のスライド操作に応じて、他の各種点や矢印線が追従するようにしてもよい。たとえば、作成部108は、洗浄面座標系において、スライド操作によって移動した屈曲点から左端までの左矩形の伸縮、および同じく屈曲点から右端までの右矩形の伸縮によって、他の各種点や矢印線の位置を変更する。左矩形の伸縮と右矩形の伸縮によって、他の屈曲点および矢印線の位置を変更する方法は、図13と図14に関連して説明した矢印線のスライド操作の場合と同様である。
作成部108は、図29に示すように選択領域に含まれる各メッシュ区域の中心を結んで、流体を噴き当てる経路を作成してもよい。
上述の例ではタッチパネルの操作について説明したが、マウス操作を行うようにしてもよい。
上述した流体噴射は、屑の除去動作、つまり清掃の例である。流体噴射に限らず、気体の吹きかけによって、屑の除去を行うようにしてもよい。屑は、切屑に限らず、粉屑など他の形状の固体であってもよい。
上述の説明では、情報処理装置10が工作機械1に含まれるものとして説明したが、これに限定されない。具体的には、図28に示すように、情報処理装置10は、工作機械1Aに含まれず、工作機械1Aから独立し、工作機械1Aとデータ通信が可能な外部の情報処理端末であってもよい。なお、図28では詳しい説明を省略するが、工作機械1Aの構成は、図1及び図2を用いて上述した工作機械1と比較し、通信部5を備え、内部に情報処理装置10を含まないこと以外について同一である。
また、上述の説明では、情報処理装置10の表示部130に各種画面を表示するものとして説明したが、これに限定されない。具体的には、各種画面を表示する表示部130は、工作機械1及び情報処理装置10に含まれず、情報処理装置10とデータ通信が可能な外部の情報処理端末等のディスプレイであってもよい。また、情報処理装置10とデータ通信が可能な外部の情報処理端末等の入力部を用いる受付部において、ユーザ操作を受け付けるようにしてもよい。
[本発明の開示]
実施形態および変形例における本発明の開示について説明する。
請求項1の第1段落の「加工により生じる屑が存在する可能性がある撮影領域」について、図1に示した撮像部12に関連して、「切削や研磨などの加工の勢いで飛び散った切屑や粉屑などの屑が落下する可能性がある場所、あるいはその落下場所から液体を噴き当てられた屑が移動する可能性がある場所であることを意味する。」と説明した。また、図1に示した撮像部12に関連して、「この例でパレット14、カバー15、テーブル16、斜面19、プロテクタ20およびシュータ21は、屑が存在する可能性がある撮影領域に含まれる。」と例示した。
請求項1の第1段落の「撮影画像」について、図1に示した撮像部12に関連して、「この撮影によって得られる工作機械1の内部の撮影領域を写した画像を撮影画像という。」と説明した。また、図2に撮影画像を例示した。
請求項1の第1段落の「撮影画像を表示する」について、図6の「メイン画面」および図8の「経路作成画面」を例示した。図6の「メイン画面」の表示処理については、図21のS26において「表示処理部105は、撮影画像を映すメイン画面(図6)を表示し」と説明した。図8の「経路作成画面」の表示処理については、図22に関連して「表示処理部105は、経路作成画面で、撮像画像、選択領域の太線および網掛けパターンをメイン画面と同様に表示する。」と説明した。
請求項1の第1段落の「表示部」について、図3に関連して「表示部130は、メッシュ区域選択画面(図5)、メイン画面(図6)、クラスグラフ画面(図7)および経路作成画面(図8)などの各種画面を表示する。」と説明した。
請求項1の第2段落の「撮影領域の少なくとも一部の部分領域において流体を噴き当てる経路を、撮影画像上で作成する」について、図8に関連して「経路作成画面は、撮影領域の少なくとも一部の部分領域において流体を噴き当てる経路を、撮影画像上で作成するための画面である。この例では、太線で囲われた選択領域が、撮影領域の少なくとも一部の部分領域に相当する。つまり、選択領域において流体を噴き当てる経路を、撮影画像上で作成する。」と説明した。また、「流体を噴き当てる経路」の作成例を、図12から図19に関連して説明した。「流体を噴き当てる経路を、撮影画像上で作成する」処理については、図22から図26に関連して説明した。
請求項1の第2段落の「作成部」について、図3に関連して「作成部108は、撮影領域の少なくとも一部の部分領域(この例では、後述する選択領域)において流体を噴き当てる経路を、撮影画像上で作成する。」と説明した。
請求項1の第3段落の「部分領域が複数の区域に分けられ、各区域における屑の存在度合いを示す表示を撮影画像に重ねて表示する」について、図8に関連して、「撮影領域の少なくとも一部の部分領域に相当する選択領域は、複数のメッシュ区域に分けられており、各メッシュ区域における切屑の存在度合いを示すクラスに対応する網掛けパターンが、そのメッシュ区域に重ねて表示される。」と説明した。「各区域における切屑の存在度合いを示す表示を撮影画像に重ねて表示する」処理については、図22に関連して、「表示処理部105は、経路作成画面で、撮像画像、選択領域の太線および網掛けパターンをメイン画面と同様に表示する。」と説明した。なお、メイン画面における網掛けパターンの表示については、図21のS26に関連して、「表示処理部105は、撮影画像を映すメイン画面(図6)を表示し、各メッシュ区域における切屑の存在度合いを示すクラスに対応する網掛けパターンを重ねて表示する(S26)。」と説明した。
請求項1の「情報処理装置」については、図1、図3および図28に関連して「情報処理装置10」を例示した。
請求項2の「撮影画像に基づいて、複数の区域における屑の存在度合いを認識する認識部」について、図3に関連して「認識部104は、撮影画像に基づいて、複数のメッシュ区域における切屑の存在度合いを認識する。」と説明した。認識部104の詳細については、図9に関連して説明した。また、図21のS20に関連して「認識部104は、当該メッシュ画像の切屑の存在度合いを示すクラスを判定する(S20)。」と説明した。
請求項3の「ユーザが撮影画像上で経路を作成する操作を受け付ける受付部」について、図3に関連して「受付部106は、流体を噴き当てる経路の作成指示として撮影画面上のタッチ操作、スライド操作およびリリース操作を受け付ける。」と説明した。「撮影画像上で経路を作成する操作」の例について、図12から図19に関連して説明した。「撮影画像上で経路を作成する操作」としては、図22のS46の矢印線のタッチ操作、図22のS50の各種点マークのタッチ操作、図23のS72のスライド操作、図23のS78のリリース操作、図24のS92のスライド操作、図24のS98のリリース操作、図25のS112のタッチ操作、図25のS118のスライド操作、図25のS124のリリース操作、図26のS130のタッチ操作、図26のS138のスライド操作および図26のS144のリリース操作の例を示した。
請求項4の「経路は、ジグザグ形であって」について、図8、図12(A)および図12(B)等にジグザグ形の経路を示し、図12(B)に関連して「このように標準経路は、ジグザグ形状をしている。」と説明した。
請求項4の「ジグザグ形の線の設定」の例について、図17(A)から図17(D)、図18(A)から図18(D)、図19(A)および図19(B)に関連して説明した。また、図25のS112のタッチ操作、図25のS118のスライド操作、図25のS124のリリース操作、図26のS130のタッチ操作、図26のS138のスライド操作、および図26のS144のリリース操作の例を示した。
請求項4の「ジグザグ形の線の移動」の例について、図13(A)、図13(B)、図14(A)および図14(B)に関連して説明した。また、図22のS46のタッチ操作、図23のS72のスライド操作および図23のS78のリリース操作の例を示した。
請求項5の「作成部は、線の移動に伴い、他の線を追従させる」の例について、図14(A)および図14(B)に関連して説明した。また、図23のS74とS76に関連して「作成部108は、図14(A)および図14(B)に関連して説明したように、座標データ116を更新する(S74)。表示処理部105は、更新された座標データ116に基づいて、経路作成画面に新たな流体を噴き当てる経路を表示する(S76)。」と説明した。
請求項6の「経路は、ジグザグ形であって」について、図8、図12(A)および図12(B)等にジグザグ形の経路を示し、図12(B)に関連して「このように標準経路は、ジグザグ形状をしている。」と説明した。
請求項6の「ジグザグ形の点の設定」の例について、図17(A)から図17(D)、図18(A)から図18(D)、図19(A)および図19(B)に関連して説明した。また、図25のS112のタッチ操作、図25のS118のスライド操作、図25のS124のリリース操作、図26のS130のタッチ操作、図26のS138のスライド操作、および図26のS144のリリース操作の例を示した。
請求項6の「ジグザグ形の点の移動」の例について、図15(A)、図15(B)、図16(A)、図16(B)、図19(C)および図19(D)に関連して説明した。また、図22のS50のタッチ操作、図24のS92のスライド操作、および図24のS98のリリース操作の例を示した。
請求項7の「プログラム」について、図3に関連して「演算部100は、記憶部110に記憶される制御プログラムPを読み出して実行することにより、取得部101、メッシュ設定部102、抽出部103、認識部104、表示処理部105、受付部106、制御部107および作成部108としての処理を実行する。」と説明した。
請求項8の「ワークを加工する加工部」について、図1に関連して「主軸を駆動するサーボモータを含み、各種の工具を使い分けてワークを加工する加工部3」と説明した。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態および上記変形例を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
本開示の全請求項に記載の情報処理装置、工作機械及び情報処理システムは、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、及びプログラムとの協働などによって、実現される。