JP2021190702A - 銅/セラミックス接合体、および、絶縁回路基板 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、風力発電、電気自動車、ハイブリッド自動車等を制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子は、動作時の発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、例えば窒化ケイ素などからなるセラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に導電性の優れた金属板を接合して形成した回路層と、を備えた絶縁回路基板が、従来から広く用いられている。なお、絶縁回路基板としては、セラミックス基板の他方の面に金属板を接合して金属層を形成したものも提供されている。
また、特許文献2においては、銅板とセラミックス基板との間においてセラミックス基板側に、Ti,Zr,Nb,Hfから選択される1種又は2種以上の活性金属の窒化物を含む活性金属窒化物層が形成される。
セラミックス基板と銅板とを接合するために加熱した際に、銅板の結晶粒が粗大化することにある。そして、TiN層等の活性金属窒化物層に隣接する領域において結晶粒が粗大化している場合には、超音波付与時に銅板のうち接合界面近傍の領域が変形しやすくなり、TiN層等の活性金属窒化物層が破壊されることが分かった。
この場合、前記銅部材のうち前記セラミックス部材の接合面から積層方向に少なくとも50μmまでの領域に十分にMgが拡散しており、接合界面近傍における結晶粒径を比較的小さくすることが可能となる。
この場合、前記銅板のうち前記セラミックス基板の接合面から積層方向に少なくとも50μmまでの領域に十分にMgが拡散しており、接合界面近傍における結晶粒径を比較的小さくすることが可能となる。
本実施形態に係る銅/セラミックス接合体は、セラミックス部材であるセラミックス基板11と、銅部材である銅板22(回路層12)および銅板23(金属層13)とが接合されることにより構成された絶縁回路基板10とされている。
図1に本発明の実施形態である絶縁回路基板10およびこの絶縁回路基板10を用いたパワーモジュール1を示す。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性に優れたAlN(窒化アルミニウム)、Si3N4(窒化ケイ素)、Al2O3(アルミナ)等で構成されている。本実施形態では、強度に優れたSi3N4(窒化ケイ素)で構成されている。なお、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.32mmに設定されている。
セラミックス基板11と回路層12(銅板22)との接合界面およびセラミックス基板11と金属層13(銅板23)との接合界面においては、図2に示すように、TiN層31が形成されている。このTiN層31は、Mg−Ti系接合材25のTiとセラミックス基板11の窒素(N)とが反応することにより生成したものである。
本実施形態において、回路層12のセラミックス基板11との接合面は、積層方向におけるセラミックス基板11の回路層12側の最表面であるとする。
また、本実施形態において、金属層13のセラミックス基板11との接合面は、積層方向におけるセラミックス基板11の金属層13側の最表面であるとする。
セラミックス基板11との接合面から積層方向に50μmまでの領域において、セラミックス基板11と回路層12の間、およびセラミックス基板11と金属層13の間に、TiN層31が挟まれているが、TiN層31は、回路層12、金属層13に比べて十分薄い。
回路層12、金属層13は、TiN層31を介してセラミックス基板11に接合されている。
なお、本実施形態における平均結晶粒径D0、D1は、双晶を含む結晶粒の平均結晶粒径とする。
図4に示すように、回路層12となる銅板22とセラミックス基板11との間、および、金属層13となる銅板23とセラミックス基板11との間に、Mg−Ti系接合材25を配置して、これらを積層する。なお、本実施形態では、Mg−Ti系接合材25として、水素化チタン粉および水素化マグネシム粉を含むペースト材を用いている。チタン及びマグネシウムは活性な金属であるため、水素化チタン粉および水素化マグネシム粉を用いることで、チタンおよびマグネシウムの酸化等を抑制することが可能となる。
ここで、配置するMg−Ti系接合材25は、厚さ換算でTi量を0.1μm以上5μm以下の範囲内、Mg量を1.5μm以上10μm以下の範囲内とすることが好ましい。
次に、積層された銅板22、セラミックス基板11、銅板23を、積層方向に加圧するとともに、加熱炉内に装入して加熱し、所定の保持温度において一定時間保持する。
ここで、本実施形態では、保持工程S02における加圧荷重を0.049MPa以上3.4MPa以下の範囲内とすることが好ましい。また、加熱炉内は、Ar等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
そして、保持温度を300℃以上730℃以下の範囲内、保持温度での保持時間を10分以上120分以下の範囲内とすることが好ましい。
この保持工程S02により、Mg−Ti系接合材25のMgが、回路層12となる銅板22および金属層13となる銅板23に向けて十分に拡散することになる。
次に、保持工程S02後に、積層された銅板22、セラミックス基板11、銅板23を、積層方向に加圧した状態で、さらに加熱して、銅板22とセラミックス基板11と銅板23を接合する。この接合工程S03においては、加熱炉内を真空雰囲気とすることが好ましい。
ここで、接合工程S03における加圧荷重が0.049MPa以上3.4MPa以下の範囲内とされている。
また、接合工程S03における加熱温度は、650℃以上1050℃以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、加熱温度での保持時間は、10分以上240分以下の範囲内とすることが好ましい。
また、接合工程S03における真空度は、1×10−6Pa以上1×10−2Pa以下の範囲内とすることが好ましい。
次に、絶縁回路基板10の金属層13の他方の面側(セラミックス基板11と反対側)にヒートシンク51を接合する。本実施形態では、絶縁回路基板10とヒートシンク51とを、はんだ材を介して積層して加熱炉に装入し、第2はんだ層8を介して絶縁回路基板10とヒートシンク51とをはんだ接合する。
次に、絶縁回路基板10の回路層12の一方の面側(セラミックス基板11と反対側)に、半導体素子3をはんだ付けにより接合する。
以上の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製出される。
例えば、回路層又は金属層を構成する銅板を、無酸素銅の圧延板として説明したが、これに限定されることはなく、他の銅又は銅合金で構成されたものであってもよい。
また、接合材としては、ペースト材でなく、箔材を用いても製造可能である。
また、ヒートシンクの天板部や放熱板と金属層との間に、アルミニウム又はアルミニウム合金若しくはアルミニウムを含む複合材(例えばAlSiC等)からなる緩衝層を設けてもよい。
絶縁回路基板(回路層および金属層)の積層方向に沿った断面において、EBSD測定装置を用いて、回路層全体および金属層全体の平均結晶粒径D0を測定した。図5に、結晶組織の観察結果を示す。
また、セラミックス基板の最表面から回路層側および金属層側に50μmの位置における平均結晶粒径D1は、回路層および金属層のセラミックス基板の接合界面から積層方向に50μmに位置に、接合界面と平行に基準線を引き、この基準線に触れている粒子数Nと基準線長さLから、以下の式を用いて算出した。基準線の長さLは表2に示す通りとした。
D1=1.5×L/N
この測定を回路層及び金属層でそれぞれ行い、その平均値を表2に示した。
接合面積3×3mm2、接合時間約0.6秒、沈み込み量0.45mmの条件で端子材を超音波接合し、超音波探傷検査(SAT)により、銅とセラミックス基板の接合界面の剥離およびセラミックス基板のクラック発生の有無を確認した。この確認を回路層及び金属層でそれぞれ行い、いずれかで接合界面の剥離およびセラミックス基板のクラック発生が確認された場合を「有」、いずれも確認されなかった場合を「無」とし、表2に記載した。
絶縁回路基板(銅/セラミックス接合体)について、積層方向に沿った断面を、回路層(金属層)のうちセラミックス基板との接合面から回路層(金属層)の表面側に向かって、EPMAを用いてMgのライン分析を行った。回路層(金属層)のうちセラミックス基板との接合面から、Mgの濃度が0.1wt%となる箇所までの距離をMgの拡散距離とした。なお、この測定は回路層及び金属層で、それぞれ5か所で行い、その平均値を表2に記載した。
11 セラミックス基板
12 回路層
13 金属層
31 TiN層
Claims (4)
- 銅又は銅合金からなる銅部材と、セラミックス部材とが接合されてなる銅/セラミックス接合体であって、
前記銅部材の積層方向に沿った断面を観察した結果、前記セラミックス部材との接合面から積層方向に50μmの位置における平均結晶粒径D1と前記銅部材の全体の平均結晶粒径D0との比D1/D0が0.60以下であることを特徴とする銅/セラミックス接合体。 - 前記銅部材のうち前記セラミックス部材の接合面から積層方向に少なくとも50μmまでの領域には、Mgが拡散しており、前記接合面から離間するにしたがいMg濃度が減少していることを特徴とする請求項1に記載の銅/セラミックス接合体。
- セラミックス基板の表面に、銅又は銅合金からなる銅板が接合されてなる絶縁回路基板であって、
前記銅板の積層方向に沿った断面を観察した結果、前記セラミックス基板との接合面から積層方向に50μmの位置における平均結晶粒径D1と前記銅部材の全体の平均結晶粒径D0との比D1/D0が0.60以下であることを特徴とする絶縁回路基板。 - 前記銅板のうち前記セラミックス基板の接合面から積層方向に少なくとも50μmまでの領域には、Mgが拡散しており、前記接合面から離間するにしたがいMg濃度が減少していることを特徴とする請求項3に記載の絶縁回路基板。
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