JP2021179408A - ガスセンサ素子およびその製造方法並びにガスセンサ - Google Patents

ガスセンサ素子およびその製造方法並びにガスセンサ Download PDF

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Abstract

【課題】金を含んでいても検出電極の密着力を向上させることが可能なガスセンサ素子、当該ガスセンサ素子の製造方法、また、当該ガスセンサ素子を有するガスセンサを提供する。【解決手段】ガスセンサ素子2は、混成電位を利用するガスセンサ1に用いられる。ガスセンサ素子2は、イオン伝導性を有する固体電解質体21と、固体電解質体21の第1表面201に形成され、検出対象ガスGに晒される検出電極22と、固体電解質体21の第2表面202における検出電極22に対向する位置に形成された基準電極23と、を有している。検出電極22は、金を主成分とする金系粒子22aとイオン伝導性を有する固体電解質粒子22bとを含んでいる。固体電解質体21における検出電極22が接している部分220の表面粗さは、0.2μm以上とされている。ガスセンサ1は、ガスセンサ素子を有している。【選択図】図5

Description

本発明は、ガスセンサ素子およびその製造方法並びにガスセンサに関する。
ガスセンサは、車両の内燃機関の排気管等に配置され、排気管を流れる排ガスを検出対象ガスとして、検出対象ガスに含まれる特定ガス成分濃度、酸素濃度などを検出するために用いられる。この種のガスセンサとしては、例えば、固体電解質体の表面に形成した検出電極にて起きる特定ガス成分の電気化学的酸化反応と酸素ガスの電気化学的還元反応とによって生ずる混成電位を検出するガスセンサが知られている。検出電極としては、金などの特定ガス成分および酸素ガスに触媒活性を有する材料が用いられる。特定ガス成分としては、アンモニアガス、二酸化窒素(NO)ガス、炭化水素ガスなどが挙げられる。
混成電位を利用するガスセンサとしては、具体的には、特許文献1に記載のアンモニアガスセンサなどがある。当該アンモニアガスセンサは、ジルコニアを主成分とする固体電解質体上に、金を主成分とする材料、または、白金を主成分とし、さらに金が含まれる材料からなる検出電極を備えたガスセンサ素子を有している。この検出電極は、焼結体である固体電解質体を作製した後、固体電解質体の表面にペースト状の検出電極形成材料を印刷後、焼成することにより形成される。
特開2012−211928号公報
検出電極に用いられる金の融点は1064℃である。そのため、金よりも融点が高い材料が用いられる固体電解質体と検出電極とは一体焼成することができない。したがって、一般的には、上述のように固体電解質体の焼成後に、金を含む検出電極が後付けによって形成される。しかしながら、すでに基板化した固体電解質体の表面に検出電極を単純に形成すると、検出電極の密着性が悪く、電極剥離が生じ、センサ特性が悪化する。
検出電極と固体電解質体との密着性向上のため、固体電解質体を構成する固体電解質と同じ固体電解質からなる共材を検出電極中に添加することが考えらえる。しかし、金を含む検出電極の焼成は、共材である固体電解質の焼成温度よりも低い温度での焼成となる。そのため、共材の焼結性が悪く、検出電極の密着性向上にはほとんど寄与しない。
また、検出電極と固体電解質体との密着性向上のため、検出電極中に低融点のガラスフリットを混合することも考えられる。しかし、ガラスフリットには触媒活性がない。そのため、この方法によると、電極活性が低下し、センサ特性が悪化する。また、ガラスフリットにより検出電極の気孔が閉塞され、混成電位の検出が困難になる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、金を含んでいても検出電極の密着力を向上させることが可能なガスセンサ素子、当該ガスセンサ素子の製造方法、また、当該ガスセンサ素子を有するガスセンサを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、混成電位を利用するガスセンサ(1)に用いられるガスセンサ素子(2)であって、
イオン伝導性を有する固体電解質体(21)と、上記固体電解質体の第1表面(201)に形成され、検出対象ガス(G)に晒される検出電極(22)と、上記固体電解質体の第2表面(202)における上記検出電極に対向する位置に形成された基準電極(23)と、を有しており、
上記検出電極は、金を主成分とする金系粒子(22a)とイオン伝導性を有する固体電解質粒子(22b)とを含み、
上記固体電解質体における上記検出電極が接している部分(220)の表面粗さが、0.2μm以上である、ガスセンサ素子(2)にある。
本発明の他の態様は、上記ガスセンサ素子の製造方法であって、
焼成によって上記固体電解質体となる未焼成の固体電解質材料における上記検出電極の形成面を、焼成後に上記表面粗さとなるように粗面化する第1工程と、
上記固体電解質材料を焼成し、上記表面粗さの粗面を有する上記固体電解質体を形成する第2工程と、
上記固体電解質体の表面における上記粗面上に、上記検出電極を形成する第3工程と、を有する、ガスセンサ素子の製造方法にある。
本発明のさらに他の態様は、上記ガスセンサ素子の製造方法であって、
焼成によって上記固体電解質体となる未焼成の固体電解質材料を焼成し、上記表面粗さの粗面が形成されていない上記固体電解質体を形成する第1工程と、
上記固体電解質体における上記検出電極の形成面を、上記表面粗さとなるように粗面化し、上記表面粗さの粗面を形成する第2工程と、
上記固体電解質体の表面における上記粗面上に、上記検出電極を形成する第3工程と、を有する、ガスセンサ素子の製造方法にある。
本発明のさらに他の態様は、混成電位を利用するガスセンサ(1)であって、
上記ガスセンサ素子を有する、ガスセンサ(1)にある。
上記ガスセンサ素子は、上記構成を有する。上記ガスセンサ素子は、検出電極に含まれる金系粒子および固体電解質粒子と、固体電解質体との接触面積を大きくすることができる。そのため、上記ガスセンサ素子は、金の電極活性を損なうことなく、検出電極と固体電解質体との結合力を向上させることができる。また、上記ガスセンサ素子では、検出電極と固体電解質体との間にアンカー効果も生じる。そのため、上記ガスセンサ素子によれば、金を含んでいても、固体電解質体に対する検出電極の密着力を向上させることができる。
上記ガスセンサ素子の製造方法は、上記構成を有する。そのため、上記ガスセンサ素子の製造方法によれば、金を含んでいても検出電極の密着力を向上させることが可能な上記ガスセンサ素子を製造することができる。
上記ガスセンサは、上記ガスセンサ素子を有する。そのため、上記ガスセンサによれば、金を含んでいても検出電極の密着力を向上させることができるので、検出電極の剥離による混成電位の検出性悪化を抑制することができる。
なお、特許請求の範囲および課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1は、実施形態1のガスセンサ、ガスセンサ素子を示した説明図である。 図2は、図1に示したII−II線矢視断面を示した説明図である。 図3は、実施形態1のガスセンサ素子が有する固体電解質体表面において検出電極が接している部分(所定の表面粗さの粗面とされる部分)を示した説明図である。 図4は、実施形態1のガスセンサ素子における固体電解質体および検出電極の微構造を模式的に示した説明図である。 図5は、表面粗さの測定方法を説明するための説明図である。 図6は、実施形態1のガスセンサ素子における固体電解質体および検出電極の微構造の変形例を模式的に示した説明図である。 図7は、実施形態1のガスセンサ素子における固体電解質体および検出電極の微構造の他の変形例を模式的に示した説明図である。 図8は、実施形態1のガスセンサが配置された内燃機関の排気系を示した説明図である。 図9は、実験例2で作製したガスセンサ素子、ガスセンサについて得られた、固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さ[μm](横軸)とアンモニア出力[V](縦軸)との関係を示したグラフである。
(実施形態1)
実施形態1のガスセンサ素子およびガスセンサについて、図1〜図8を用いて説明する。
先ず、本実施形態のガスセンサ素子について説明する。図1、図2、図8に例示されるように、本実施形態のガスセンサ素子2は、混成電位を利用する本実施形態のガスセンサ1(詳しくは後述する)に用いられるものである。
ガスセンサ素子2は、固体電解質体21と、固体電解質体21の第1表面201に形成され、検出対象ガスGに晒される検出電極22と、固体電解質体21の第2表面202における検出電極22に対向する位置に形成された基準電極23とを有している。
ガスセンサ素子2において、固体電解質体21は、イオン伝導性を有している。具体的には、固体電解質体21は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質より構成することができる。また、固体電解質体21は、プロトン伝導性を有する固体電解質より構成することもできる。酸素イオン伝導性を有する固体電解質体21は、酸素イオン伝導性を有するジルコニア系材料より構成することができる。ジルコニア系材料としては、ジルコニア中にイットリア(酸化イットリウム)等の希土類金属元素の酸化物(安定化剤)を含む安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアなどを例示することができる。また、プロトン伝導性を有する固体電解質体21は、例えば、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸バリウム、セリウム酸ストロンチウム、セリウム酸バリウム、リン酸ランタンなどより構成することができる。
検出電極22は、図3、図4に例示されるように、金を主成分とする金系粒子22aと、イオン伝導性を有する固体電解質粒子22bとを含んでいる。なお、金を主成分とするとは、金系粒子22aを構成する金属材料における50モル%以上が金であることを意味する。したがって、金系粒子22aは、金粒子のみならず、組成比で50モル%以上が金である金合金粒子等を含む。上記金合金における金と合金化する相手元素としては、例えば、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)などが挙げられ、これらは1種または2種以上含まれていてもよい。上記金合金としては、具体的には、金とパラジウムとの合金、金と白金との合金、金とロジウムとの合金、金とイリジウムとの合金、金とニッケルとの合金、金と銀との合金、金と銅との合金、金と亜鉛との合金などが挙げられる。なお、上記金合金において50モル%以上が金であれば、金と合金化する相手元素の特性よりも金の特性が優勢となるため、電極活性の低下を抑制することができる。固体電解質粒子22bは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質より構成することができる。また、固体電解質粒子22bは、プロトン伝導性を有する固体電解質より構成することもできる。酸素イオン伝導性を有する固体電解質粒子22bは、酸素イオン伝導性を有するジルコニア系材料より構成することができる。ジルコニア系材料としては、ジルコニア中にイットリア(酸化イットリウム)等の希土類金属元素の酸化物を含む安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアなどを用いることができる。また、プロトン伝導性を有する固体電解質粒子22bは、例えば、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸バリウム、セリウム酸ストロンチウム、セリウム酸バリウム、リン酸ランタンなどより構成することができる。
固体電解質粒子22bを構成する固体電解質には、上述した固体電解質体21を構成する固体電解質と同種のものを用いることができる。これにより、固体電解質粒子22bを、検出電極22内の気孔22cを形成するだけでなく、固体電解質体21と焼結する際の共材としても機能させることができる。なお、上述したジルコニア系材料においては、安定化剤の種類および安定化剤の固溶量が同じであるジルコニア系材料のみならず、安定化剤の種類が同じであるが安定化剤の固溶量が異なるジルコニア系材料同士も同種のジルコニア系材料の範疇とされる。
ここで、図4に例示されるように、ガスセンサ素子2において、固体電解質体21における検出電極22が接している部分220の表面粗さは、0.2μm以上とされている。固体電解質体21における検出電極22が接している部分220の表面粗さを規定する技術的意義は、以下の通りである。
ガスセンサ素子2の製造時において、検出電極22の形成時に、金の融点以下の温度にて焼成が行われる場合、検出電極形成材料中の金系粒子22aが表面自由エネルギーを最小とするように変形し、固体電解質体21を構成する固体電解質に結合する。また、検出電極形成材料中の固体電解質粒子22bと固体電解質体21を構成する固体電解質とが親和し、さらに、焼成による加熱によって互いの原子の表面拡散、体積拡散が進行することにより、固体電解質体21を構成する固体電解質に固体電解質粒子22bが結合する。検出電極22と固体電解質体21とは上記の2つの作用によって結合する。なお、固体電解質体21と固体電解質粒子22bとがジルコニア系材料よりなる場合には、固体電解質粒子22bと固体電解質体21の固体電解質とは酸素原子を介して親和し、互いの酸素原子の表面拡散、体積拡散が進行する。そのため、検出電極22の形成時に、金の融点以下の温度で焼成が行われる場合であっても、固体電解質体21における検出電極22が接している部分220の表面粗さを特定範囲とすることにより、金系粒子22aおよび/または固体電解質粒子22bと、固体電解質体21との接触面積を大きくすることができる。これにより、金の電極活性を大きく損なうことなく、検出電極22と固体電解質体21との間の結合力を向上させることができる。また、上記表面粗さを特定範囲とすることにより、検出電極22と固体電解質体21との間にアンカー効果が生じ、これによっても検出電極22と固体電解質体21との間の結合力を向上させることができる。
表面粗さが0.2μm未満になると、センサ出力への影響はほとんどないが、固体電解質体21に対する検出電極22の密着力が不十分となる。なお、表面粗さは、検出電極22の剥離抑制などの観点から、好ましくは、0.25μm以上、より好ましくは、0.5μm以上、さらに好ましくは、0.75μm以上、さらにより好ましくは、1μm以上とすることができる。一方、表面粗さは、好ましくは、4μm以下とすることができる。表面粗さが4μmを超えると、検出電極22の厚みバラツキが大きくなり、センサ出力が低下するためである。表面粗さは、センサ出力の低下抑制などの観点から、より好ましくは、3.5μm以下、さらに好ましくは、3μm以下とすることができる。なお、表面粗さの上下限の数値は、後述する表1および表2ならびに図9の値も含めて任意に組みわせることができる。
上述した表面粗さは、次のようにして測定される。先ず、ガスセンサ素子2における検出電極22と固体電解質体21とを含む部位をエポキシ樹脂に包埋し、検出電極22および固体電解質体21の厚み方向に沿う断面がでるように鏡面研磨する。これを走査型電子顕微鏡(以下、SEMということがある。)による観察用の測定サンプルとする。なお、測定サンプルは、無蒸着の状態とする。次いで、測定サンプルについてSEM観察を行い、検出電極22/固体電解質体21の界面付近を撮像する。SEMには、EFI社製、FEG−Quanta250(廃番の場合はその後継機)を用いることがきる。SEM撮像条件は、加速電圧:15kV、真空度:50Pa、観察モード:反射電子像、観察倍率:1000倍〜5000倍、撮像視野数:20視野とする。なお、観察倍率に幅があるのは、後述する表面粗さの計測時に、画像から測長できるように上記の倍率範囲内で倍率を適宜調整するためである。次いで、図5に示されるように、SEMにて取得した画像について、固体電解質体21の第1表面201に沿って、検出電極22/固体電解質体21の界面Iを分割する基準線Lを任意に引く。次いで、基準線Lより検出電極22側の領域について、基準線Lと、固体電解質体21の凸部220aの先端との距離(凸部220aの高さ)を測長し、1視野内における最大値をdAとする。また、基準線Lより固体電解質体21側の領域について、基準線Lと、固体電解質体21の凹部220bの底部との距離(凹部220bの深さ)を測長し、1視野内における最大値をdBとする。そして、1視野における表面粗さRを、R=dA+dBとして定義する。このようにして、20視野について表面粗さRを求め、求めた各表面粗さRの算術平均値が、固体電解質体21における検出電極22が接している部分220の表面粗さとされる。つまり、固体電解質体21における検出電極22が接している部分220の表面粗さは、(R+R+・・・・+R20)/20の式より求めることができる。但し、上記式中、Rは1視野目の表面粗さ、Rは2視野目の表面粗さ、・・・R20は20視野目の表面粗さである。
また、検出電極22の厚みは、センサ出力を安定的に検出できるなどの観点から、好ましくは、5μm以上、より好ましくは、8μm以上、さらに好ましくは、10μm以上とすることができる。また、検出電極22の厚みは、良好なセンサ応答性が得られるなどの観点から、好ましくは、20μm以下、より好ましくは、18μm以下、さらに好ましくは、15μm以下とすることができる。なお、検出電極22の厚みの上下限の数値は、任意に組みわせることができる。
検出電極22の厚みは、次のようにして測定される。先ず、ガスセンサ素子2における検出電極22と固体電解質体21とを含む部位をエポキシ樹脂に包埋し、検出電極22および固体電解質体21の厚み方向に沿う断面がでるように鏡面研磨する。これを走査型電子顕微鏡(SEM)による観察用の測定サンプルとする。なお、測定サンプルは、無蒸着の状態とする。次いで、測定サンプルについてSEM観察を行い、SEMの測長モードにて、検出電極22/固体電解質体21の界面から検出電極22表面までの距離を測長する。SEMには、EFI社製、FEG−Quanta250(廃番の場合はその後継機)を用いることがきる。また、SEM撮像条件は、加速電圧:15kV、真空度:50Pa、観察モード:反射電子像、観察倍率:1000倍、撮像視野数:10視野とする。次いで、1視野につき、3か所の検出電極22の厚みを測長し、その算術平均値を、1視野における検出電極22の厚み測定値とする。そして、10視野について、各視野における検出電極22の厚み測定値を求め、その算術平均値が、検出電極22の厚み(μm)とされる。
ガスセンサ素子2において、固体電解質粒子22bおよび金系粒子22aのうち少なくとも一方は、上記表面粗さを有する粗面の凹部220b内に入り込んでいる構成とすることができる。この構成によれば、固体電解質粒子22bおよび金系粒子22aのうち少なくとも一方と、固体電解質体21との接触面積が増え、焼成時に焼結が促進され、検出電極22と固体電解質体21との結合性が向上する。また、検出電極22と固体電解質体21との間のアンカー効果も大きくなる。そのため、この構成によれば、検出電極22の密着力を向上させやすい。
ガスセンサ素子2において、固体電解質粒子22bの平均粒径は、具体的には、図4に例示されるように、上記表面粗さよりも小さい構成とすることができる。この構成によれば、上記表面粗さを有する粗面の凹部220b内に固体電解質粒子22bが入り込む。そのため、固体電解質体21と固体電解質粒子22bとの接触面積が増え、焼成時に焼結が促進され、検出電極22と固体電解質体21との結合性が向上する。また、検出電極22と固体電解質体21との間のアンカー効果も大きくなる。そのため、この構成によれば、検出電極22の密着力を向上させやすい。なお、図4では、固体電解質粒子22bの平均粒径<表面粗さ<金系粒子22aの平均粒径の関係を満たす例が示されている。
ガスセンサ素子2において、金系粒子22aの平均粒径は、具体的には、図6に例示されるように、上記表面粗さよりも小さい構成とすることもできる。この構成によれば、上記表面粗さを有する粗面の凹部220b内に金系粒子22aが入り込む。そのため、固体電解質体21と金系粒子22aとの接触面積が増え、検出電極22と固体電解質体21との結合性が向上する。また、検出電極22と固体電解質体21との間のアンカー効果も大きくなる。そのため、この構成によっても、検出電極22の密着力を向上させやすい。なお、図6では、金系粒子22aの平均粒径<表面粗さ<固体電解質粒子22bの平均粒径の関係を満たす例が示されている。検出電極22は、図4および図6に例示される以外にも、図示はしないが、例えば、固体電解質粒子22bの平均粒径、金系粒子22aの平均粒径<表面粗さの関係、金系粒子22aの平均粒径<固体電解質粒子22bの平均粒径<表面粗さの関係、固体電解質粒子22bの平均粒径<金系粒子22aの平均粒径<表面粗さの関係を満たしていてもよい。
固体電解質粒子22bの平均粒径は、上述した1視野内の全ての固体電解質粒子22bについてそれぞれ最大外径を計測し、計測した各最大外径の算術平均値である。また、金系粒子22aの平均粒径は、上述した1視野内の全ての金系粒子22aについてそれぞれ最大外径を計測し、計測した各最大外径の算術平均値である。
なお、固体電解質体21は、図4、図6に例示されるように、1層(単層)より構成されていてもよし、図7に例示されるように、複数層より構成されていてもよい。図7では、固体電解質体21は、2層より構成されている例が示されている。具体的には、図7において、固体電解質体21は、検出電極22に接する第1層211と、第1層に接する第2層212とを有している。この場合、第1層211における検出電極22と接している部分220が、上述した表面粗さとされる。また、図7では、第1層211は、第2層212よりも薄い層とされている例が示されている。
ガスセンサ素子2は、アンモニア(NH)ガス、窒素酸化物(NOx)ガス、炭化水素ガスなどを、検出対象ガスに含まれる特定ガス成分とすることができる。なお、特定ガス成分がアンモニアガスのとき、特定ガス成分の相手となるガスは、酸素(O)ガスである。同様に、特定ガス成分が窒素酸化物(NOx)ガスのとき、特定ガス成分の相手となるガスは、酸素(O)ガスである。特定ガス成分が炭化水素ガスのとき、特定ガス成分の相手となるガスは、酸素(O)ガスである。
以下、本実施形態のガスセンサ素子2の詳細構成の一例について示すが、本実施形態のガスセンサ素子2は、以下の構成に限定されるものではない。
図1、図2に示されるガスセンサ素子2は、検出電極22および基準電極23が設けられた固体電解質体21と、発熱体41が埋設された絶縁体3とが積層されて構成されている。ガスセンサ素子2は、長尺形状に形成されている。ガスセンサ素子2の長手方向Xの先端側X1の部位は、ガスセンサ1を構成するカバー内に収容された状態で、後述する排気管71内に配置される。ガスセンサ素子2においては、長手方向Xに直交して固体電解質体21と絶縁体3とが積層された方向を積層方向Dといい、長手方向Xおよび積層方向Dの両方に直交する方向を幅方向Wという。
固体電解質体21は、板状に形成されている。固体電解質体21の、検出対象ガスGに晒される第1表面201は、ガスセンサ素子2における最も外側の表面を形成する。そして、第1表面201に設けられた検出電極22には、検出対象ガスGが接触しやすい状態が形成されている。図1、図2では、検出電極22の表面には、セラミックスの多孔質体等による保護層が設けられていない。そのため、検出電極22には、検出対象ガスGが拡散律速されずに接触することができる。なお、検出電極22の表面には、検出対象ガスGの流速を極力低下させない保護層を設けることも可能である。
固体電解質体21の第2表面202には、大気が導入される基準ガスダクト(大気ダクト)24が隣接して形成されている。固体電解質体21の第2表面202と、固体電解質体21の第2表面202に設けられた基準電極23とは、基準ガスAとしての大気に晒される。
検出電極22は、固体電解質体21における、酸素およびアンモニアが含まれる検出対象ガスGに晒される第1表面201に設けられている。但し、第1表面201における、検出電極22との接触面は、上述した表面粗さとされている。検出電極22は、上述したように、金系粒子22aと、イオン伝導性を有する固体電解質粒子22bとを含んでいる。ここでは、固体電解質体21と焼結する際の共材となるイオン伝導性を有する固体電解質粒子22bとして、酸素イオン伝導性を有するジルコニア粒子が用いられる。ジルコニア粒子には、イットリア(酸化イットリウム)等の希土類金属元素の酸化物を含む安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアなどが用いられる。なお、固体電解質体21の第1表面201には、検出電極22に繋がるリード部221が設けられている。リード部221は、検出電極22をガスセンサ1の外部と電気接続するために用いられる。
基準電極23は、固体電解質体21における、第1表面201とは反対側の第2表面202に設けられている。基準電極23は、固体電解質体21を介して検出電極22と対向する位置に形成されている。固体電解質体21の第2表面202と、第2表面202に設けられた基準電極23とは、基準ガスAとしての大気に晒されている。基準電極23は、酸素に対する触媒活性を有する貴金属、および、固体電解質体21と焼結する際の共材となるジルコニア材料を含有している。基準電極23を構成する貴金属には、白金(Pt)等を用いることができる。なお、固体電解質体21の第2表面202には、基準電極23に繋がるリード部231が設けられている。リード部231は、基準電極23をガスセンサ1の外部と電気接続するために用いられる。
ガスセンサ素子2においては、検出電極22、基準電極23、および、検出電極22と基準電極23との間に挟まれた固体電解質体21の部分とによって、酸素イオンが伝導する検出セルが形成される。発熱体41の発熱部411の発熱によるガスセンサ素子2の温度は、検出セルの温度が所定の作動温度になるように制御される。
絶縁体3は、基準ガスダクト24を形成する切欠き部が設けられたスペーサ絶縁体部31と、発熱体41が埋設されたヒータ絶縁体部32とによって形成されている。絶縁体3は、アルミナ等の絶縁性のセラミックス材料によって構成されている。基準ガスダクト24は、基準電極23が配置された位置から長手方向Xの基端側X2の位置まで形成されている。基準ガスダクト24内には、長手方向Xの基端側X2の位置に形成された開口部241から基準ガスAとしての大気が導入される。
絶縁体3のヒータ絶縁体部32には、通電によって発熱する発熱体41が埋設されている。発熱体41は、発熱部411と、発熱部411に繋がる発熱体リード部412とによって形成されている。発熱部411は、検出電極22および基準電極23に積層方向Dにおいて対向する位置に配置されている。発熱体41には、発熱体41に通電を行うための通電制御部52が接続される。通電制御部52は、発熱体41に、PWM(パルス幅変調)制御等を行った電圧を印加するドライブ回路等を用いて形成されている。通電制御部52は、センサ制御ユニット5内に形成されている。
発熱部411の断面積は、発熱体リード部412の断面積よりも小さく、発熱部411の単位長さ当たりの抵抗値は、発熱体リード部412の単位長さ当たりの抵抗値よりも高い。この断面積とは、発熱部411および発熱体リード部412が延びる方向に直交する面内の断面積のことをいう。そして、発熱体リード部412に電圧が印加されると、発熱部411がジュール熱によって発熱し、この発熱によって、検出電極22および基準電極23の周辺が加熱される。
本実施形態のガスセンサ素子2は、上記構成を有する。ガスセンサ素子2は、検出電極22に含まれる金系粒子22aおよび固体電解質粒子22bと、固体電解質体21との接触面積を大きくすることができる。そのため、本実施形態のガスセンサ素子2は、金の電極活性を損なくことなく、検出電極22と固体電解質体21との結合力を向上させることができる。また、本実施形態のガスセンサ素子2では、検出電極22と固体電解質体21との間にアンカー効果も生じる。そのため、本実施形態のガスセンサ素子2によれば、金を含んでいても、固体電解質体21に対する検出電極22の密着力を向上させることができる。
次に、本実施形態のガスセンサ1について説明する。図1、図2、図8に例示されるように、本実施形態のガスセンサ1は、混成電位式のものであり、本実施形態のガスセンサ素子2を有している。
以下、本実施形態のガスセンサ1の詳細構成の一例について示すが、本実施形態のガスセンサ1は、以下の構成に限定されるものではない。
図1、図2、図8に示されるガスセンサ1は、ガスセンサ素子2と、検出部51とを有している。検出部51は、検出電極22と基準電極23との間に生じる、特定ガス成分濃度および酸素濃度に基づく混成電位を検出するように構成される。
ガスセンサ1は、図8に例示されるように、車両の内燃機関(エンジン)7の排気管71に配置されて使用される。ガスセンサ1による検出対象ガスGは、内燃機関7から排気管71へ排気された排ガスである。そして、ガスセンサ1は、排気管71内に配置された、NOxを還元する触媒72の排ガスの流れの下流側の位置に配置されており、触媒72から流出するアンモニアガスの濃度を検出する。
ガスセンサ1は、特定ガス成分濃度としてのアンモニアガス濃度、および、酸素ガス濃度に基づく混成電位を検出し、この混成電位を酸素ガス濃度によって補正して、アンモニアガス濃度を検出するものである。検出部51においては、酸素の電気化学的還元反応(以下、単に還元反応という。)による還元電流と、アンモニアの電気化学的酸化反応(以下、単に酸化反応という。)による酸化電流とが等しくなるときに生じる、検出電極22と基準電極23との間の電位差ΔVを混成電位として検出するよう構成されている。
検出部51は、車両のエンジン制御ユニット50に接続されるセンサ制御ユニット5内に形成されている。検出部51は、検出電極22と基準電極23との間に生じる電位差ΔVを検出する電位差検出回路511、電位差検出回路511による電位差ΔVを酸素濃度によって補正してアンモニア濃度を求める演算処理部512等を有する。演算処理部512は、酸素濃度をパラメータとして電位差ΔVとアンモニア濃度との関係が求められた関係マップを用い、関係マップに電位差ΔVと酸素濃度とを照合してアンモニア濃度を求めることができる。
検出電極22においては、検出電極22に接触する検出対象ガスGにアンモニアと酸素とが存在する場合に、アンモニアの酸化反応と、酸素の還元反応とが同時に進行する。アンモニアの酸化反応は、代表的には、2NH+3O2−→N+3HO+6eによって表される。酸素の還元反応は、代表的には、O+4e→2O2−によって表される。そして、検出電極22における、アンモニアと酸素とによる混成電位は、検出電極22における、アンモニアの酸化反応(速度)と酸素の還元反応(速度)とが等しくなるときの電位として生じる。
なお、図示は省略するが、酸素ガス濃度は、ガスセンサ1とは別の酸素センサによって検出される。酸素センサは、排気管71における、触媒72の下流側の位置に配置されている。そして、検出部51においては、酸素センサによる酸素ガス濃度を利用して、混成電位を補正し、アンモニアガス濃度を求める。
図8に例示されるように、内燃機関7の排気管71には、NOxを還元するための触媒72と、触媒72へアンモニアを含む還元剤Kを供給する還元剤供給装置73とが配置されている。触媒72は、触媒担体に、NOxの還元剤Kとしてのアンモニアが付着されるものである。触媒72の触媒担体におけるアンモニアの付着量は、NOxの還元反応に伴って減少する。そして、触媒担体におけるアンモニアの付着量が少なくなったときには、還元剤供給装置73から触媒担体へ新たにアンモニアが補充される。還元剤供給装置73は、排気管71における、触媒72よりも排ガスの流れの上流側位置に配置されており、尿素水を噴射して発生するアンモニアガスを排気管71へ供給するものである。アンモニアガスは、尿素水が加水分解されて生成される。還元剤供給装置73には、尿素水のタンク731が接続されている。
内燃機関7は、具体的には、軽油の自己着火を利用して燃焼運転を行うディーゼルエンジンとすることができる。また、触媒72は、NOx(窒素酸化物)をアンモニア(NH)と化学反応させて窒素(N)および水(HO)に還元する選択式還元触媒(SCR)である。なお、図示は省略するが、排気管71における、触媒72の上流側位置には、NOのNOへの変換(酸化)、CO、HC(炭化水素)等の低減を行う酸化触媒(DOC)、微粒子を捕集するフィルタ(DPF)等が配置されていてもよい。
本実施形態のガスセンサ素子2、ガスセンサ1は、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化するシステムであるSCRシステムにおいて、尿素水の噴射量を精密に制御するなどのためにアンモニア濃度を検出するのに有用である。また、本実施形態のガスセンサ素子2、ガスセンサ1は、排ガス中の二酸化窒素濃度を検出するように構成されることもできる。SCRシステムにおいて、二酸化窒素濃度を検出することは、尿素水噴射量の制御や選択式還元触媒の故障検出などにおいて有効である。
本実施形態のガスセンサ1は、本実施形態のガスセンサ素子2を有する。そのため、本実施形態のガスセンサ1によれば、金を含んでいても検出電極22の密着力を向上させることができるので、検出電極22の剥離による混成電位の検出性悪化を抑制することができる。
(実施形態2)
実施形態2のガスセンサ素子の製造方法について説明する。本実施形態のガスセンサ素子の製造方法(以下、本製造方法Aということがある。)は、実施形態1のガスセンサ素子を製造するための方法である。
本製造方法Aは、第1工程と、第2工程と、第3工程と、を有する。
本製造方法Aの第1工程は、焼成によって固体電解質体となる未焼成の固体電解質材料における検出電極の形成面を、焼成後に実施形態1にて上述した表面粗さとなるように粗面化する工程である。
未焼成の固体電解質材料は、例えば、固体電解質材料を含むスラリーをシート状に塗工し、乾燥させることなどによって形成することができる。未焼成の固体電解質材料は、複数のシートを積層して形成してもよい。未焼成の固体電解質材料における検出電極の形成面は、未焼成の固体電解質材料が焼成によって固体電解質体になったときに、検出電極が形成されるべき部分に対応する領域である。粗面化方法としては、例えば、研削加工、型転写等が挙げられる。研削加工としては、具体的には、ダイヤモンド入りのやすり等を用いて、焼成後に所定の表面粗さとなるように未焼成の固体電解質材料における検出電極の形成面を研削する方法などを例示することができる。また、型転写としては、具体的には、所定の表面粗さとすることが可能な微細凹凸が形成された面を有する型を、未焼成の固体電解質材料における検出電極の形成面に押し付ける方法などを例示することができる。
本製造方法Aの第1工程では、具体的には、絶縁体を形成するための未焼成の絶縁体形成材料と、基準電極を形成するための基準電極形成部が形成された未焼成の固体電解質材料とを積層、圧着してなる圧着体を準備し、この圧着体における固体電解質材料の検出電極の形成面を粗面化することができる。なお、この場合、絶縁体形成材料の内部には、発熱体を形成するための発熱体形成部が形成されている。
本製造方法Aの第2工程は、固体電解質材料を焼成し、実施形態1にて上述した表面粗さの粗面を有する固体電解質体を形成する工程である。
本製造方法Aの第2工程では、具体的には、検出電極の形成面が粗面化された固体電解質材料を含む圧着体を焼成することにより、実施形態1にて上述した表面粗さの粗面を有する固体電解質体を含む焼成体を形成することができる。なお、圧着体は、焼成前に、形成するガスセンサ素子のサイズに合わせて切断されることができる。
また、本製造方法Aの第2工程における焼成温度は、例えば、1350℃〜1600℃とすることができる。
本製造方法Aの第3工程は、固体電解質体の表面における粗面上に検出電極を形成する工程である。検出電極は、例えば、固体電解質体の表面における粗面上に、検出電極を形成するための未焼成の検出電極形成材料を印刷し、焼成することなどによって形成することができる。検出電極形成材料は、金系粒子と、酸素イオン伝導性を有する固体電解質粒子とを含むことができる。検出電極形成材料の焼成温度は、金の融点よりも低い温度、例えば、750℃〜1050℃とすることができる。
本製造方法Aの第3工程では、具体的には、焼成体における固体電解質体の表面における粗面上に、検出電極を形成することができる。
以上により、ガスセンサ素子を得ることができる。つまり、本製造方法Aによれば、金を含んでいても検出電極の密着力を向上させることが可能なガスセンサ素子を製造することができる。
また、本製造方法Aによれば、金の融点を超えない最適温度を選択し、検出電極を十分な密着力で固体電解質体に後付けすることができる。また、本製造方法Aでは、実施形態1にて上述した表面粗さの粗面を固体電解質体に形成するにあたって、焼成体に比べて柔らかい未焼成の固体電解質材料を粗面化する。そのため、本製造方法Aは、粗面の加工性がよい。
(実施形態3)
実施形態3のガスセンサ素子の製造方法について説明する。本実施形態のガスセンサ素子の製造方法(以下、本製造方法Bということがある。)は、実施形態1のガスセンサ素子を製造するための方法である。
本製造方法Bは、第1工程と、第2工程と、第3工程と、を有する。但し、本製造方法Bは、上述した実施形態2における「本製造方法A」とは、主に、第1工程および第2工程の内容が異なっている。
本製造方法Bの第1工程は、焼成によって固体電解質体となる未焼成の固体電解質材料を焼成し、実施形態1にて上述した表面粗さの粗面が形成されていない固体電解質体を形成する工程である。実施形態1にて上述した表面粗さの粗面が形成されていない固体電解質体を、適宜、粗面未形成の固体電解質体という。
粗面未形成の固体電解質体は、例えば、固体電解質材料を含むスラリーをシート状に塗工し、乾燥させた後、焼成することなどによって形成することができる。
本製造方法Bの第1工程では、具体的には、絶縁体を形成するための未焼成の絶縁体形成材料と、基準電極を形成するための基準電極形成部が形成された未焼成の固体電解質材料とを積層、圧着してなる圧着体を準備し、この圧着体を焼成することにより、粗面未形成の固体電解質体を含む焼成体を形成することができる。なお、圧着体は、焼成前に、形成するガスセンサ素子のサイズに合わせて切断されることができる。また、この場合、絶縁体形成材料の内部には、発熱体を形成するための発熱体形成部が形成されている。
また、本製造方法Bの第1工程における焼成温度は、例えば、1350℃〜1600℃とすることができる。
本製造方法Bの第2工程は、固体電解質体における検出電極の形成面を、実施形態1にて上述した表面粗さとなるように粗面化し、実施形態1にて上述した表面粗さの粗面を形成する工程である。
粗面未形成の固体電解質体における検出電極の形成面は、検出電極が形成されるべき部分に対応する領域である。粗面化方法としては、例えば、研削加工等が挙げられる。研削加工としては、具体的には、ダイヤモンド入りのやすり等を用いて、所定の表面粗さとなるように固体電解質体における検出電極の形成面を研削する方法などを例示することができる。
本製造方法Bの第2工程では、具体的には、粗面未形成の固体電解質体を含む焼成体を準備し、この焼成体における固体電解質体の検出電極の形成面を粗面化することができる。
本製造方法Bの第3工程は、固体電解質体の表面における粗面上に検出電極を形成する工程である。検出電極は、例えば、固体電解質体の表面における粗面上に、検出電極を形成するための未焼成の検出電極形成材料を印刷し、焼成することなどによって形成することができる。検出電極形成材料は、金系粒子と、酸素イオン伝導性を有する固体電解質粒子とを含むことができる。検出電極形成材料の焼成温度は、金の融点よりも低い温度、例えば、750℃〜1050℃とすることができる。
本製造方法Bの第3工程では、具体的には、焼成体における固体電解質体の表面における粗面上に、検出電極を形成することができる。
以上により、ガスセンサ素子を得ることができる。つまり、本製造方法Bによっても、金を含んでいても検出電極の密着力を向上させることが可能なガスセンサ素子を製造することができる。
また、本製造方法Bによれば、金の融点を超えない最適温度を選択し、検出電極を十分な密着力で固体電解質体に後付けすることができる。また、本製造方法Bでは、粗面未形成の固体電解質体を粗面加工し、実施形態1にて上述した表面粗さの粗面を固体電解質体に形成する。そのため、本製造方法Bは、狙いの表面粗さを有する粗面を形成しやすい。
(実験例1)
−ガスセンサ素子、ガスセンサの作製−
上述した実施形態3のガスセンサ素子の製造方法に従って、固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さが異なる試験体1〜試験体66のガスセンサ素子を製造した。また、これら各ガスセンサ素子を組み込んだ各ガスセンサを製造した。なお、ガスセンサ素子の製造において、固体電解質体の固体電解質にはイットリアを含むジルコニアを用いた。また、検出電極に含まれる金系粒子には、金粒子を用いた。また、基準電極に含まれる貴金属粒子には、白金粒子を用いた。また、検出電極および基準電極に含まれる固体電解質粒子には、固体電解質体の固体電解質と同じイットリアを含むジルコニアを用いた。また、固体電解質体を含む焼成体形成時の焼成温度は1400℃とした。また、検出電極形成時の焼成温度は900℃とした。また、表面粗さは、ダイヤモンド入りのやすりによる研削によって付与した。また、検出電極の厚みは、10μmとした。
−表面粗さ、固体電解質粒子の平均粒径、金系粒子の平均粒径の測定−
各試験体のガスセンサ素子について、上述した測定方法により、固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さを測定した。本実験例では、検出電極は、金系粒子としての金粒子と固体電解質粒子とからなる。上述した測定方法により、各検出電極の固体電解質粒子、金系粒子の平均粒径を測定し、固体電解質粒子、金系粒子の平均粒径と表面粗さとの大小関係について確認した。
−テープ剥離試験−
各試験体における検出電極について、テープ剥離試験を実施した。具体的には、テープ剥離試験には、JIS Z 1522に規定されるセロハン粘着テープを使用した。セロハン粘着テープの呼び幅は、電極形状に合わせて、電極幅+1mmとなるように切断して調整した。検出電極にセロハン粘着テープを接着後、検出電極とセロハン粘着テープとのなす角が180°となるようにしてセロハン粘着テープを引き剥がした。その後、検出電極の剥離の有無を確認した。
各試験体の構成、テープ剥離試験の測定結果をまとめて表1および表2に示す。
Figure 2021179408
Figure 2021179408
表1および表2に示されるように、固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さが0.2μm未満である試験体1〜試験体18については、検出電極の剥離が生じた。なお、試験体1〜試験体18において、表面粗さに比べ、金系粒子、固体電解質粒子の平均粒径が小さい場合であっても剥離が生じたのは、表面粗さが小さすぎるためであると考えられる。これに対し、固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さが0.2μm以上である試験体19〜試験体66については、検出電極の剥離がなかった。この結果から、固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さを0.2μm以上とすることにより、金を含んでいても検出電極の密着力を向上させることが可能であることが確認された。
(実験例2)
固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さが異なるガスセンサ素子を組み込んだ複数のガスセンサについて、アンモニア出力を測定した。なお、アンモニア出力の測定条件は、検出電極の温度:400℃、供給ガス濃度:10vol%O+100ppm(体積比)NHとした。また、検出電極の厚みは、10μmとした。その結果を、図9に示す。
図9に示されるように、固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さが小さくても、アンモニア出力には影響をほとんど及ぼさない。一方、固体電解質体における検出電極が接している部分の表面粗さが4μmよりも大きくなると、アンモニア出力が低下する傾向が見られた。これは、検出電極の厚みバラツキが過度に大きくなり、センサ出力が不安定になったためであると考えられる。これらの結果によれば、金を含む検出電極の密着力向上の観点から、上記表面粗さは0.2μm以上とすることが重要であり、さらに、センサ出力の安定化を図る観点から、上記表面粗さは4μm以下とすることが好ましいことが確認された。
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、各実施形態、各実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
1 ガスセンサ
2 ガスセンサ素子
21 固体電解質体
201 第1表面
202 第2表面
22 検出電極
22a 金系粒子
22b 固体電解質粒子
23 基準電極
220 固体電解質体における検出電極が接している部分

Claims (7)

  1. 混成電位を利用するガスセンサ(1)に用いられるガスセンサ素子(2)であって、
    イオン伝導性を有する固体電解質体(21)と、上記固体電解質体の第1表面(201)に形成され、検出対象ガス(G)に晒される検出電極(22)と、上記固体電解質体の第2表面(202)における上記検出電極に対向する位置に形成された基準電極(23)と、を有しており、
    上記検出電極は、金を主成分とする金系粒子(22a)とイオン伝導性を有する固体電解質粒子(22b)とを含み、
    上記固体電解質体における上記検出電極が接している部分(220)の表面粗さが、0.2μm以上である、ガスセンサ素子(2)。
  2. 上記表面粗さは、4μm以下である、請求項1に記載のガスセンサ素子。
  3. 上記固体電解質粒子の平均粒径は、上記表面粗さよりも小さい、請求項1または請求項2に記載のガスセンサ素子。
  4. 上記金系粒子の平均粒径は、上記表面粗さよりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガスセンサ素子の製造方法であって、
    焼成によって上記固体電解質体となる未焼成の固体電解質材料における上記検出電極の形成面を、焼成後に上記表面粗さとなるように粗面化する第1工程と、
    上記固体電解質材料を焼成し、上記表面粗さの粗面を有する上記固体電解質体を形成する第2工程と、
    上記固体電解質体の表面における上記粗面上に、上記検出電極を形成する第3工程と、を有する、ガスセンサ素子の製造方法。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガスセンサ素子の製造方法であって、
    焼成によって上記固体電解質体となる未焼成の固体電解質材料を焼成し、上記表面粗さの粗面が形成されていない上記固体電解質体を形成する第1工程と、
    上記固体電解質体における上記検出電極の形成面を、上記表面粗さとなるように粗面化し、上記表面粗さの粗面を形成する第2工程と、
    上記固体電解質体の表面における上記粗面上に、上記検出電極を形成する第3工程と、を有する、ガスセンサ素子の製造方法。
  7. 混成電位を利用するガスセンサ(1)であって、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガスセンサ素子を有する、ガスセンサ(1)。
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