本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る研削装置1及び被加工物の研削方法を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る研削装置1の構成例を示す斜視図である。実施形態1に係る研削装置1は、図1に示すように、保持テーブル10と、研削ユニット20と、研削送りユニット30と、研削状態変更ユニット40と、研削量検出ユニット50と、制御ユニット60と、を備える。
実施形態1において、研削装置1が研削加工する加工対象である被加工物200は、図1に示すように、母材201と、母材201の一方の面に形成された膜202と、を有して構成される。母材201は、実施形態1では、例えば円板状のシリコンであり、円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどのウエーハである。いずれかの面に格子状に形成される複数の分割予定ラインによって区画された領域にデバイスが形成されていてもよい。膜202は、実施形態1では、母材201より粘性が高い材料で構成され、例えばNi,Al,Ti,Pt,Cu等の金属膜やレジスト、ABF樹脂、PI(Poly-Imide)等の樹脂膜である。膜202は、金属膜の場合、実施形態1では、厚みが10μm以下である。膜202は、樹脂膜の場合、実施形態1では、厚みが3μm以上60μm以下である。被加工物200は、膜202が形成された側とは反対側の面に粘着テープ205が貼着されている。
保持テーブル10は、保持面11で被加工物200を、膜202が形成された面を露出するように上側に向けて保持する。保持テーブル10は、被加工物200を保持する平坦な保持面11が上面に形成されかつ多数のポーラス孔を備えたポーラスセラミック等から構成された円盤形状の吸着部と、吸着部を上面中央部の窪み部に嵌め込んで固定する枠体とを備えた円盤形状である。保持面11は、水平面であるXY平面に概ね平行に形成されている。保持テーブル10は、不図示のX軸移動ユニットにより水平方向の一方向であるX軸方向に移動自在に、不図示の回転駆動源により概ねZ軸に沿った回転軸19(図2、図3等参照)回りに回転自在に設けられている。保持テーブル10は、吸着部が、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、保持面11全体で、被加工物200を吸引保持する。
研削ユニット20は、図1に示すように、環状に配された研削砥石21を有する研削ホイール22と、スピンドル23と、サーボモータ24と、を備える。研削砥石21は、研削ホイール22の下方に配されており、下方に研削面25を有する。研削砥石21は、実施形態1では、砥粒径が比較的大きいもの、例えば、粒度が#320(320番)や#600(600番)等のいわゆる母材201がシリコンの被加工物200に対する粗研磨用のものである。研削ホイール22は、スピンドル23の下端に装着されており、スピンドル23の回転に伴い回転する。スピンドル23は、研削ホイール22を鉛直方向と平行なZ軸方向に概ね平行な回転軸29(図2、図3等参照)回りに回転可能に支持する。サーボモータ24は、スピンドル23に回転動力を供給する回転駆動源として機能する。
研削送りユニット30は、研削ユニット20に装着され、研削ユニット20を保持テーブル10の保持面11と概ね垂直な方向である鉛直方向(Z軸方向)に研削送りする。
保持テーブル10の保持面11の回転軸19と研削砥石21の研削面25の回転軸29とは、ともにXY平面に平行に保持された場合、互いにXY平面内の方向にずれて位置付けられている。
研削ユニット20は、研削ホイール22を回転させながら、保持テーブル10に保持された被加工物200の膜202が形成された面側に、研削送りユニット30により鉛直方向と平行なZ軸方向に沿って押圧することによって、被加工物200を膜202が形成された面側から研削する。
研削状態変更ユニット40は、保持テーブル10の保持面11と研削砥石21の研削面25との関係を変更することで、研削砥石21での保持テーブル10上の被加工物200の研削状態を変更する。研削状態変更ユニット40は、保持テーブル10の保持面11と研削砥石21の研削面25とを、互いに平行な平行状態と、互いに平行でない非平行状態とに変化させることができる。
研削状態変更ユニット40は、実施形態1では、図1に示すように、研削面傾斜ユニット40−1と、保持面傾斜ユニット40−2と、を備える。研削面傾斜ユニット40−1は、研削ユニット20に設けられており、研削ユニット20をX軸回りに回転させることで、研削砥石21の研削面25を傾斜させる。保持面傾斜ユニット40−2は、保持テーブル10に設けられており、保持テーブル10をX軸回りに回転させることで、保持テーブル10の保持面11を傾斜させる。
図2は、図1の研削装置1の要部の機能の一例を説明する断面図である。図3は、図1の研削装置1の要部の機能の別の一例を説明する断面図である。図2は、保持テーブル10の保持面11に対し、研削砥石21の研削面25を、保持テーブル10の保持面11の外側と鉛直方向に対向する領域が保持面11の内側と鉛直方向に対向する領域よりも保持テーブル10の保持面11に近づく方向に、角度θ1だけ傾斜させた状態を示している。図3は、保持テーブル10の保持面11に対し、研削面傾斜ユニット40−1により研削砥石21の研削面25を、保持テーブル10の保持面11の内側と鉛直方向に対向する領域が保持面11の外側と鉛直方向に対向する領域よりも保持テーブル10の保持面11に近づく方向に、すなわち、図2に示す状態とは反対側の方向に、角度θ2だけ傾斜させた状態を示している。
保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜角θ1,θ2は、実施形態1では、膜202の厚みに応じて決めることができる。この傾斜角θ1,θ2は、具体的には、研削砥石21の研削面25において、保持テーブル10の保持面11からの距離が最も近い位置と、保持テーブル10の保持面11からの距離が最も遠い位置との保持テーブル10の保持面11からの距離の差(傾斜高さ)が、膜202の厚みの2倍となるように決めることができる。また傾斜高さは、言い換えると保持テーブル10の中心と外縁との高さの差である。例えば、膜202が10μmである場合、この傾斜角θ1,θ2は、この傾斜高さが20μmとなるように決めることができる。
なお、保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜は、研削面傾斜ユニット40−1により研削ユニット20を傾斜して形成してもよいし、保持面傾斜ユニット40−2により保持テーブル10の保持面11を傾斜して形成してもよいし、研削面傾斜ユニット40−1及び保持面傾斜ユニット40−2の両方を使用してもよい。
研削量検出ユニット50は、図1、図2及び図3に示すように、保持テーブル10の保持面11の外周付近に設けられている。研削量検出ユニット50は、実施形態1では、接触式の高さ検出装置であり、接触した位置の高さを検出する接触式のプローブ51,52を備える。
プローブ51は、保持テーブル10の保持面11に被加工物200が保持されている際に、被加工物200の外縁より外側の領域において保持面11に上方から接触することで、保持面11の高さを検出する。プローブ52は、保持テーブル10の保持面11に被加工物200が保持されている際に、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域において被加工物200に上方から接触することで、被加工物200の上面の高さを検出する。研削量検出ユニット50は、プローブ51,52でそれぞれ検出した高さの情報に基づいて、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における被加工物200の厚みを検出し、この検出した被加工物200の厚みの情報を制御ユニット60に送信する。
なお、研削量検出ユニット50は、実施形態1では接触式のプローブ51,52を備えた形態であるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、被加工物200の外縁の内側と外側とに保持面11及び被加工物200によって反射される波長のレーザー光を照射し、双方から反射されるレーザー光の干渉波を受光して、この干渉波を受光に基づいて、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における被加工物200の厚みを検出する形態でもよい。
図4は、図2の機能を使用して研削中の被加工物200の状態を示す上面図である。図5は、図3の機能を使用して研削中の被加工物200の状態を示す上面図である。研削装置1が、図2に示す状態で、保持テーブル10に保持された被加工物200の膜202が形成された面側に、研削送りユニット30により鉛直方向と平行なZ軸方向に沿って押圧して、研削処理を実行すると、被加工物200は、図4に示すように、外周側から研削されて、外周側から膜202が除去されて母材201が露出する。研削装置1が図2に示す状態での研削処理を継続すると、膜202が除去されて母材201が露出する領域は、被加工物200の外周側から中央に向かって拡大していき、これに伴い、膜202が残存する領域は中央に向かって縮小していく。
研削装置1が、図3に示す状態で、保持テーブル10に保持された被加工物200の膜202が形成された面側に、研削送りユニット30により鉛直方向と平行なZ軸方向に沿って押圧して、研削処理を実行すると、被加工物200は、図5に示すように、内周側から研削されて、内周側から膜202が除去されて母材201が露出する。研削装置1が図3に示す状態での研削処理を継続すると、膜202が除去されて母材201が露出する領域は、被加工物200の中央領域から外周側に向かって拡大していき、これに伴い、膜202が残存する領域は外周側に向かって縮小していく。
制御ユニット60は、研削装置1の各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する実施形態1に係る被加工物の研削方法の各処理等に関する各動作を研削装置1に実施させるものである。制御ユニット60は、実施形態1では、コンピュータシステムを含む。制御ユニット60は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、研削装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介して研削装置1の各構成要素に出力する。
制御ユニット60は、研削送りユニット30を制御することで、保持テーブル10に対して研削ユニット20を離間したり、近接したりする。また、制御ユニット60は、研削送りユニット30を制御して、保持テーブル10に対して研削ユニット20を接近させることで、保持テーブル10上の被加工物200に対して研削ユニット20の研削ホイール22を研削送りする。また、制御ユニット60は、研削送りユニット30から研削送り量の情報を取得する。
制御ユニット60は、研削状態変更ユニット40を制御することで、保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜角を制御し、この傾斜角の情報を取得する。制御ユニット60は、研削ユニット20による研削中に連続的にあるいは一定時間ごとに、研削量検出ユニット50を制御して被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における被加工物200の厚みを検出させ、研削量検出ユニット50が検出したこの被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における被加工物200の厚みの情報を取得する。
制御ユニット60は、この被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における被加工物200の厚みに基づいて、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における研削量を算出する。ここで、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における研削量は、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域において、被加工物200(膜202及び母材201)が研削された厚みを示している。
制御ユニット60は、研削前の被加工物200における膜202の厚みと、上述のように算出した被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における研削量と、上述のように取得した保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜角とに基づいて、被加工物200の研削処理が実行される面側における母材露出割合を算出する。ここで、母材露出割合は、被加工物200の研削処理が実行される面側の全面積に対する母材201が露出した面積の割合を示している。
図6は、図1の研削装置1の制御ユニット60が記憶する処理順序データ65の一例を示す図である。制御ユニット60の記憶装置は、被加工物200に対して実施形態1に係る被加工物の研削方法を実施する際に制御ユニット60の演算処理装置が実行する演算処理に使用する情報を、図6に示す処理順序データ65として格納する。処理順序データ65は、研削装置1が被加工物の研削方法を実施する前に、オペレータが不図示の入力ユニットに入力した情報に基づいて、予め制御ユニット60の記憶装置に記憶される。
制御ユニット60の記憶装置は、図6に示すように、研削装置1が被加工物の研削方法を実施する際の各処理の処理順序と、各処理における傾斜角と、各処理における研削時間と、各処理における研削量の目安と、各処理における母材露出割合の目安と、を1対1で対応付けて処理順序データ65として記憶している。
処理順序データ65は、実施形態1では、処理順序が1番目の処理では、傾斜角1を0でない値に設定することで、保持テーブル10の保持面11と研削砥石21の研削面25とを互いに平行でない非平行状態にすることを設定し、処理順序が2番目の処理では、傾斜角2を0に設定することで、保持テーブル10の保持面11と研削砥石21の研削面25とを互いに平行な平行状態にすることを設定している。
また、処理順序データ65は、実施形態1では、オペレータが予め実験等により調査しておくことで、処理順序が1番目の処理で、研削量または母材露出割合が所定量、例えば、研削量1や母材露出割合1に到達するまでの研削時間を研削時間1として設定している。また、処理順序データ65は、同様に、処理順序が2番目の処理で、研削量または母材露出割合が所定量、例えば、研削量2や母材露出割合2に到達するまでの研削時間を研削時間2として設定している。ここで、実施形態1では、母材露出割合1は、母材201の少なくとも一部が露出する所定の割合、例えば30%や50%等の100%未満に設定され、母材露出割合2は、母材201が完全に露出し、膜202が完全に除去されるときに相当する100%に設定される。また、実施形態1では、研削量1は、母材露出割合が設定された母材露出割合1となるときの研削量に設定され、研削量2は、母材露出割合が設定された母材露出割合2となるときの研削量以上に設定される。
なお、処理順序データ65は、実施形態1では、処理順序が1番目の処理と2番目の処理との2段階のみに分けて設定しているが、本発明ではこれに限定されず、例えば、3段階以上に分けて処理を設定して、研削処理を進めて研削量及び母材露出割合が大きくなるにしたがって、研削砥石21の研削面25に対する保持テーブル10の保持面11の傾斜角を徐々に小さくするように設定したり、研削ホイール22を保持テーブル10に近づける研削送りの速度を速めるように設定したりしてもよい。
制御ユニット60は、このように被加工物の研削方法を実施する際の各処理を予め設定した処理順序データ65を参照して、処理順序が1番目の処理と2番目の処理とを順次実行することで、本発明に係る、研削状態変更ユニット40を作動し保持面11と研削砥石21の研削面25とを非平行状態にして、研削面25が膜202の一部に接触する状態で研削を開始し、研削ホイール22の研削送りに従い、研削面25と接触する被加工物200の領域を増加させながら被加工物200を研削し、膜202が所定量研削されると保持面11と研削砥石21の研削面25とを非平行状態から徐々に平行状態に変化するように研削状態変更ユニット40を制御しつつ研削送りするように研削送りユニット30を制御することを、実現している。ここで、膜202が所定量研削されるとは、実施形態1では、研削量が所定量である研削量1に到達することや、母材露出割合が母材201の少なくとも一部が露出する所定の割合である母材露出割合1に到達することに対応している。
研削装置1は、図1に示すように、さらに、カセット91,92と、位置合わせユニット93と、搬入ユニット94と、搬出ユニット95と、洗浄ユニット96と、搬出入ユニット98と、を備える。カセット91,92は、図1に示すように、複数の被加工物200を収容するための収容器である。また、位置合わせユニット93は、カセット91から取り出された被加工物200が仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
搬入ユニット94は、吸着パッドを有し、位置合わせユニット93で位置合わせされた研削前の被加工物200を吸着保持して搬入搬出位置に位置する保持テーブル10上に搬入する。搬出ユニット95は、搬入搬出位置に位置する保持テーブル10上に保持された研削後の被加工物200を吸着保持して洗浄ユニット96に搬出する。洗浄ユニット96は、研削後の被加工物200を洗浄し、研削された加工面に付着している研削屑等のコンタミネーションを除去する。
搬出入ユニット98は、例えば円形型ハンドを備えるロボットピックであり、円形型ハンドによって被加工物200を吸着保持して被加工物200を搬送する。具体的には、搬出入ユニット98は、研削前の被加工物200をカセット91から位置合わせユニット93へ搬出するとともに、研削後の被加工物200を洗浄ユニット96からカセット92へ搬入する。
次に、本明細書は、実施形態1に係る研削装置1の動作の一例である実施形態1に係る被加工物の研削方法の一例を図面に基づいて説明する。図7は、実施形態1に係る被加工物の研削方法の処理の手順の一例を示すフローチャートである。実施形態1に係る被加工物の研削方法は、図7に示すように、保持ステップ1001と、第1の研削ステップ1002と、第2の研削ステップ1003と、を備える。
保持ステップ1001は、保持テーブル10が、被加工物200の膜202が形成された面が露出するように被加工物200を保持面11に保持するステップである。保持ステップ1001では、保持テーブル10が、被加工物200の膜202が形成された面を、保持テーブル10に対して研削ユニット20が設けられている側である上方側に向けて、被加工物200の膜202が形成された面とは反対側に貼着された粘着テープ205の被粘着面側を保持面11で保持する。
図8は、図7の第1の研削ステップ1002を説明する断面図である。第1の研削ステップ1002は、保持ステップ1001の実施後に実施され、図8に示すように、保持面11と、研削砥石21の研削面25と、を所定距離離れるように非平行状態にして、研削面25が膜202の一部に接触する状態で研削を開始し、研削ホイール22の研削送りに従い、研削面25と接触する被加工物200の領域を段階的に増加させながら被加工物200を研削するステップである。
第1の研削ステップ1002では、まず、制御ユニット60が、保持テーブル10の保持面11と研削砥石21の研削面25とを所定距離以上離間させた状態で、研削状態変更ユニット40を制御することで、保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜角を制御して、保持テーブル10の保持面11と研削砥石21の研削面25とを非平行状態にする。第1の研削ステップ1002では、実施形態1では、制御ユニット60が、図2に示すように、研削砥石21の研削面25が、保持テーブル10の保持面11の外側より保持面11の内側においての方が保持テーブル10の保持面11に近づく方向に、角度θ1だけ傾斜させた状態を形成する。
第1の研削ステップ1002では、次に、制御ユニット60が、保持テーブル10を回転させるとともに、研削ユニット20の研削ホイール22を回転させる。第1の研削ステップ1002では、そして、制御ユニット60が、図8に示すように、保持テーブル10を回転し研削ホイール22を回転した状態で、研削送りユニット30を制御することで、保持テーブル10に対して研削ユニット20を近接させ、研削面25を膜202の外周部分(外縁)に接触させて、膜202が形成された面側から被加工物200の研削を開始する。
第1の研削ステップ1002では、実施形態1では、研削砥石21の研削面25を保持テーブル10の保持面11に対して傾斜させてから接触させているが、本発明ではこれに限定されず、研削砥石21の研削面25を保持テーブル10の保持面11に対して接触させてから傾斜させてもよい。
第1の研削ステップ1002では、制御ユニット60が、さらに研削送りユニット30を制御することで、保持テーブル10に対して研削ユニット20を鉛直方向に沿って押圧することによって、保持テーブル10上の被加工物200に対して研削ホイール22を研削送りし、研削ホイール22の研削送りに従い、研削面25と接触する被加工物200の領域を段階的に増加させながら被加工物200を研削する。第1の研削ステップ1002では、実施形態1では、被加工物200を研削するに従って、図4に示すように、被加工物200は、外周側から研削され、外周側から膜202が除去されて母材201が露出し、膜202が除去されて母材201が露出する領域が外周側から中央に向かって拡大する。
第1の研削ステップ1002では、保持テーブル10の保持面11と研削砥石21の研削面25とを非平行状態にして研削するので、研削中の研削砥石21と被加工物200の膜202との接触面積を平行状態で研削する場合と比較すると少なく抑制することができる。このため、第1の研削ステップ1002では、研削中に粘性が高い膜202が研削砥石21に付着する恐れを低減することができる。また、第1の研削ステップ1002では、母材201の少なくとも一部が露出すると、研削中に研削砥石21と母材201とが接触するので、これによって生じる母材201の研削砥石21に対するドレッシング効果により、研削砥石21に付着した膜202を好適に除去されるため、研削砥石21にかかる研削抵抗をさらに低減し、安定した研削処理を実施することができる。なお、このドレッシング効果は、母材201がシリコンである場合、特に顕著に発揮される。
第1の研削ステップ1002では、制御ユニット60が、実施形態1では、処理順序データ65を参照して、処理順序が1番目の処理に対照付けられた研削時間1だけ研削処理を継続することで、被加工物200の研削量及び母材露出割合を、処理順序が1番目の処理に対照付けられた研削量1及び母材露出割合1に概ね到達させる。これにより、第1の研削ステップ1002では、制御ユニット60が、第1の研削ステップ1002において膜202が所定量研削される、という状態を実現する。
図9は、図7の第2の研削ステップ1003を説明する断面図である。第2の研削ステップ1003は、図9に示すように、第1の研削ステップ1002の実施後に実施され、第1の研削ステップ1002において膜202が所定量研削されると、保持面11と研削砥石21の研削面25とを非平行状態から徐々に平行状態に変化させつつ研削送りして被加工物200を研削するステップである。
第2の研削ステップ1003では、制御ユニット60が、研削状態変更ユニット40を制御することで、保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜角を制御して、保持テーブル10の保持面11と研削砥石21の研削面25とを非平行状態から徐々に平行状態に変化させる。また、第2の研削ステップ1003では、制御ユニット60が、第1の研削ステップ1002に引き続き、研削送りユニット30を制御することで研削ホイール22を研削送りする。
第2の研削ステップ1003では、当該処理の開始時点で、母材201の少なくとも一部が露出している。第2の研削ステップ1003では、実施形態1では、当該処理の開始時点で、母材露出割合が所定量に到達している。このため、第2の研削ステップ1003では、研削中の研削砥石21と被加工物200の膜202との接触面積を平行状態にして研削する従来と比較すると少なく抑制することができる。また、第2の研削ステップ1003では、研削中に研削砥石21と母材201とが接触するので、これによって生じる母材201の研削砥石21に対するドレッシング効果が得られる。このため、第2の研削ステップ1003では、膜202が一定量残っていたとしても、第1の研削ステップ1002と同様の研削抵抗の抑制効果が得られ、安定した研削処理を実施することができる。
このような第2の研削ステップ1003を経ると、研削処理された被加工物200は、膜202が完全に除去され、母材201の研削砥石21によって研削処理された側の面(被研削面)が保持テーブル10の保持面11と平行に形成される。
以上のような構成を有する実施形態1に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、保持面11と研削砥石21の研削面25とを非平行状態にして、研削面25が膜202の一部(外周部分)に接触する状態で研削を開始し、研削面25と接触する被加工物200の領域を外周部分から中央に向かって増加させながら被加工物200を研削し、膜202が所定量研削されると保持面11と研削砥石21の研削面25とを非平行状態から徐々に平行状態に変化させて、研削送りすることで、被加工物200を膜202側から研削する。このため、実施形態1に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、粘性が高い膜202が研削砥石21に付着する恐れを低減できるので、粘性の高い膜202が形成された場合でも安定して膜202側から研削できるという作用効果を奏する。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る研削装置1及び被加工物の研削方法を説明する。図10は、実施形態2に係る被加工物の研削方法の第1の研削ステップ1002を説明する断面図である。図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、実施形態1において、図10に示すように、第1の研削ステップ1002で保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜方向を反対にしたこと以外、同じである。
具体的には、実施形態2に係る第1の研削ステップ1002では、制御ユニット60が、図3に示すように、保持テーブル10の保持面11に対し、研削砥石21の研削面25を、保持テーブル10の保持面11の内側と鉛直方向に対向する領域が保持面11の外側と鉛直方向に対向する領域よりも保持テーブル10の保持面11に近づく方向に、角度θ2だけ傾斜させた状態を形成する。実施形態2に係る第1の研削ステップ1002では、そして、制御ユニット60が、図10に示すように、保持テーブル10を回転し研削ホイール22を回転した状態で、研削送りユニット30を制御することで、保持テーブル10に対して研削ユニット20を近接させ、研削面25を膜202の中央部分に接触させて、膜202が形成された面側から被加工物200の研削を開始する。
実施形態2に係る第1の研削ステップ1002では、被加工物200を研削するに従って、図5に示すように、被加工物200は、中央側から研削され、中央側から膜202が除去されて母材201が露出し、膜202が除去されて母材201が露出する領域が中央領域から外周側に向かって拡大する。
以上のような構成を有する実施形態2に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、実施形態1において、第1の研削ステップ1002で保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜方向を反対にしたものである。このため、実施形態2に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、実施形態1と同様の作用効果を奏するものとなる。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る研削装置1及び被加工物の研削方法を説明する。図11は、実施形態3に係る被加工物の研削方法の処理の手順の一例を示すフローチャートである。図11は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、実施形態1及び実施形態2において、図11に示すように、研削量測定ステップ1004と、研削量判定ステップ1005とをさらに備える。実施形態3に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、実施形態1及び実施形態2において、第1の研削ステップ1002において制御ユニット60が処理順序データ65を参照して処理順序が1番目の処理に対照付けられた研削時間1だけ研削処理を継続することに代えて、研削量測定ステップ1004及び研削量判定ステップ1005を実施することで、第1の研削ステップ1002における研削時間を制御する。
研削量測定ステップ1004は、第1の研削ステップ1002での研削中に、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における研削量を測定するステップである。
研削量測定ステップ1004では、まず、制御ユニット60が、研削量検出ユニット50を制御して、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における被加工物200の厚みを検出させて、当該厚みの情報を取得する。研削量測定ステップ1004では、次に、制御ユニット60が、取得した当該厚みの情報に基づいて、被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における研削量を算出する。
研削量判定ステップ1005は、研削量測定ステップ1004で測定した被加工物200の外縁よりわずかに内側の領域における研削量が、所定量以上であるか否かを判定するステップである。
研削量判定ステップ1005では、制御ユニット60が、研削量測定ステップ1004で測定した当該研削量が、所定量以上であると判定した場合(研削量判定ステップ1005でYes)、第1の研削ステップ1002で十分な面積割合分の膜202を除去し、十分な面積割合分の母材201を露出させたと判定して、第1の研削ステップ1002を終了して、実施形態3に係る被加工物の研削方法の処理を第2の研削ステップ1003に進める。研削量判定ステップ1005では、制御ユニット60は、例えば、処理順序データ65を参照して、処理順序が1番目の処理に対照付けられた研削量1を、上記した研削量の所定量に設定する。
研削量判定ステップ1005では、制御ユニット60が、研削量測定ステップ1004で測定した当該研削量が、所定量未満であると判定した場合(研削量判定ステップ1005でNo)、第1の研削ステップ1002で十分な面積割合分の膜202を除去しておらず、十分な面積割合分の母材201を露出させていないと判定して、第1の研削ステップ1002を引き続き行い、実施形態3に係る被加工物の研削方法の処理を再び研削量測定ステップ1004に戻す。実施形態3に係る被加工物の研削方法では、制御ユニット60は、研削量判定ステップ1005で研削量が所定量以上であると判定するまで、第1の研削ステップ1002を継続し、研削量測定ステップ1004と研削量判定ステップ1005とを繰り返す。
実施形態3に係る被加工物の研削方法では、このように、制御ユニット60が、研削量が所定量に到達するまで、第1の研削ステップ1002を継続し、研削量測定ステップ1004と研削量判定ステップ1005とを繰り返すことにより、第1の研削ステップ1002において膜202が所定量研削される、という状態を実現する。
なお、実施形態3に係る被加工物の研削方法では、研削量測定ステップ1004で研削量を測定し、研削量判定ステップ1005で研削量が所定量以上であるか否かを判定したが、本発明ではこれに限定されず、研削量に代えて母材露出割合を検出し、研削量が所定量以上であるか否かを判定することに代えて母材露出割合が所定量以上であるか否かを判定してもよい。なお、母材露出割合が所定量以上であるか否かを判定する場合には、制御ユニット60は、例えば、処理順序データ65を参照して、処理順序が1番目の処理に対照付けられた母材露出割合1を、上記した母材露出割合の所定量に設定する。
また、実施形態3に係る被加工物の研削方法では、研削量に代えて研削送りユニット30の研削送り量を検出し、研削量が所定量以上であるか否かを判定することに代えて研削送り量が所定量以上であるか否かを判定してもよい。なお、研削送り量が所定量以上であるか否かを判定する場合には、制御ユニット60は、処理順序データ65を参照して得られる処理順序が1番目の処理に対照付けられた研削量1と、保持テーブル10の保持面11に対する研削砥石21の研削面25の傾斜角とに基づいて算出される研削送り量を、上記した所定量に設定する。また、実施形態3に係る被加工物の研削方法では、研削砥石21の摩耗を考慮して、上記した所定量にさらに研削砥石21の摩耗量に相当する補正値を加えてもよい。
以上のような構成を有する実施形態3に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、研削量や母材露出割合を検出し、これらが所定量以上であるか否かを判定することで、第1の研削ステップ1002から第2の研削ステップ1003に切り替える。このため、実施形態3に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、実施形態1及び実施形態2と同様の作用効果を奏するものとなる。また、実施形態3に係る研削装置1及び被加工物の研削方法は、実施形態1及び実施形態2に加えて、さらに、より確実に、第1の研削ステップ1002での研削量や母材露出割合が所定量以上になったタイミングで第2の研削ステップ1003に切り替えることができるので、より安定して膜202側から研削できるという作用効果を奏する。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4に係る研削装置1−2及び被加工物の研削方法を説明する。図12は、実施形態4に係る研削装置1−2の構成例を示す斜視図である。図13は、実施形態4に係る被加工物の研削方法の処理の手順の第1例を示すフローチャートである。図14は、実施形態4に係る被加工物の研削方法の処理の手順の第2例を示すフローチャートである。図15は、実施形態4に係る被加工物の研削方法の処理の手順の第3例を示すフローチャートである。図16は、実施形態4に係る被加工物の研削方法の処理の手順の第4例を示すフローチャートである。図13から図16は、実施形態1、実施形態2及び実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
実施形態4に係る研削装置1−2は、図12に示すように、保持テーブル10と、ターンテーブル15と、研削送りユニット30−1,30−2と、研削状態変更ユニット40と、研削量検出ユニット50と、制御ユニット60と、粗研削ユニット70と、仕上げ研削ユニット80と、を備える。なお、実施形態4に係る粗研削ユニット70と仕上げ研削ユニット80とは、共に本発明に係る研削ユニットである。
保持テーブル10は、図12に示すように、ターンテーブル15上に3つ設置されている。これら3つの保持テーブル10は、ターンテーブル15上において、ターンテーブル15とは独立して概ね水平面(XY平面)内で回転可能に設けられている。ターンテーブル15は、図12に示すように、円盤状のテーブルであり、水平面内で回転可能に設けられ、所定のタイミングで回転駆動される。3つの保持テーブル10は、ターンテーブル15上には、例えば120°の位相角で等間隔に配設されている。これらの3つの保持テーブル10は、ターンテーブル15の回転によって、搬入搬出位置101、粗研削位置102、仕上げ研削位置103、搬入搬出位置101に順次移動される。
粗研削ユニット70は、図12に示すように、環状に配された研削砥石71を有する研削ホイール72と、スピンドル73と、サーボモータ74と、を備える。研削砥石71は、下方に研削面75を有する。粗研削ユニット70は、粗研削位置102に位置付けられた保持テーブル10上の被加工物200を加工すること以外は、実施形態1から実施形態3における研削ユニット20と同じである。また、研削砥石71、研削ホイール72、スピンドル73、サーボモータ74及び研削面75は、実施形態1から実施形態3における研削砥石21、研削ホイール22、スピンドル23、サーボモータ24及び研削面25と同じである。
仕上げ研削ユニット80は、図12に示すように、環状に配された研削砥石81を有する研削ホイール82と、スピンドル83と、サーボモータ84と、を備える。研削砥石81は、下方に研削面85を有する。仕上げ研削ユニット80は、仕上げ研削位置103に位置付けられた保持テーブル10上の被加工物200を加工することと、研削砥石81の砥粒径及び粒度以外は、実施形態1から実施形態3における研削ユニット20と同じである。また、研削ホイール82、スピンドル83、サーボモータ84及び研削面85は、実施形態1から実施形態3における研削ホイール22、スピンドル23、サーボモータ24及び研削面25と同じである。研削砥石81は、実施形態4では、砥粒径が比較的小さいもの、例えば、粒度が#1400(1400番)以上のいわゆる母材201がシリコンの被加工物200に対する仕上げ研磨用のものである。研削砥石81は、砥粒径及び粒度以外は、実施形態1から実施形態3における研削砥石21と同じである。
研削送りユニット30−1は、粗研削ユニット70に装着され、粗研削ユニット70を粗研削位置102に位置付けられた保持テーブル10の保持面11と概ね垂直な方向である鉛直方向(Z軸方向)に研削送りする。研削送りユニット30−2は、仕上げ研削ユニット80に装着され、仕上げ研削ユニット80を仕上げ研削位置103に位置付けられた保持テーブル10の保持面11と概ね垂直な方向である鉛直方向(Z軸方向)に研削送りする。研削送りユニット30−1,30−2は、上記以外は、実施形態1から実施形態3における研削送りユニット30と同じである。
粗研削位置102に位置付けられた保持テーブル10の保持面11の回転軸19と研削砥石71の研削面75の回転軸とは、ともにXY平面に平行に保持された場合、互いにXY平面内の方向にずれて位置付けられている。仕上げ研削位置103に位置付けられた保持テーブル10の保持面11の回転軸19と研削砥石81の研削面85の回転軸とは、ともにXY平面に平行に保持された場合、互いにXY平面内の方向にずれて位置付けられている。
粗研削ユニット70は、研削ホイール72を回転させながら、粗研削位置102に位置付けられた保持テーブル10に保持された被加工物200の膜202が形成された面側に、研削送りユニット30−1により鉛直方向と平行なZ軸方向に沿って押圧することによって、被加工物200を膜202が形成された面側から粗研削する。仕上げ研削ユニット80は、研削ホイール82を回転させながら、仕上げ研削位置103に位置付けられた保持テーブル10に保持された被加工物200の膜202が形成された面側に、研削送りユニット30−2により鉛直方向と平行なZ軸方向に沿って押圧することによって、被加工物200を膜202が形成された面側から仕上げ研削する。
研削状態変更ユニット40の研削面傾斜ユニット40−1は、実施形態4では、粗研削ユニット70に設けられており、粗研削ユニット70をX軸回りに回転させることで、研削砥石71の研削面75を傾斜させる。研削状態変更ユニット40の保持面傾斜ユニット40−2は、実施形態4では、全ての保持テーブル10にそれぞれ設けられており、それぞれ独立して保持テーブル10をX軸回りに回転させることで、保持テーブル10の保持面11を傾斜させる。
研削量検出ユニット50は、実施形態4では、粗研削位置102に位置付けられた保持テーブル10の保持面11の外周付近に設けられている。研削量検出ユニット50は、設けられている位置以外は、実施形態1から実施形態3における研削量検出ユニット50と同じである。
次に、本明細書は、実施形態4に係る研削装置1−2の動作の一例である実施形態4に係る被加工物の研削方法の例を図面に基づいて説明する。実施形態4に係る被加工物の研削方法は、図13から図16に示すように、粗研削ステップ2001と、仕上げ研削ステップ2002と、を備える。
実施形態4に係る保持ステップ1001は、搬入搬出位置101に位置付けられた保持テーブル10が、当該保持テーブル10上に搬入された被加工物200を、被加工物200の膜202が形成された面が露出するように、保持面11に保持するステップである。
粗研削ステップ2001は、制御ユニット60が、ターンテーブル15を回転させて、保持ステップ1001で被加工物200を保持した保持テーブル10を、搬入搬出位置101から粗研削位置102に移動させた後、粗研削ユニット70で、粗研削位置102に位置付けられた保持テーブル10に保持された被加工物200を膜202が形成された面側から粗研削加工するステップである。
仕上げ研削ステップ2002は、制御ユニット60が、ターンテーブル15を回転させて、粗研削ステップ2001で粗研削加工された被加工物200を保持した保持テーブル10を、粗研削位置102から仕上げ研削位置103に移動させた後、仕上げ研削ユニット80で、仕上げ研削位置103に位置付けられた保持テーブル10に保持された被加工物200を膜202が形成された面側から仕上げ研削加工するステップである。
実施形態4に係る被加工物の研削方法の第1例は、図13に示すように、粗研削ステップ2001で粗研削ユニット70により、実施形態1及び実施形態2に係る第1の研削ステップ1002で研削ユニット20により実施する処理と同様の処理を実施して、被加工物200の膜202を完全に除去し、仕上げ研削ステップ2002で仕上げ研削ユニット80により、実施形態1及び実施形態2に係る第2の研削ステップ1003で研削ユニット20により実施する処理と同様の処理を実施するものである。
実施形態4に係る被加工物の研削方法の第2例は、図14に示すように、粗研削ステップ2001で粗研削ユニット70により、実施形態3に係る第1の研削ステップ1002、研削量測定ステップ1004及び研削量判定ステップ1005で研削ユニット20により実施する処理と同様の処理を実施して、被加工物200の膜202を完全に除去し、仕上げ研削ステップ2002で仕上げ研削ユニット80により、実施形態3に係る第2の研削ステップ1003で研削ユニット20により実施する処理と同様の処理を実施するものである。
実施形態4に係る被加工物の研削方法の第3例は、図15に示すように、粗研削ステップ2001で粗研削ユニット70により、実施形態1及び実施形態2に係る第1の研削ステップ1002及び第2の研削ステップ1003で研削ユニット20により実施する処理と同様の処理を実施して、被加工物200の膜202を完全に除去し、さらに追加で、仕上げ研削ステップ2002を仕上げ研削ユニット80により実施するものである。
実施形態4に係る被加工物の研削方法の第4例は、図16に示すように、粗研削ステップ2001で粗研削ユニット70により、実施形態3に係る第1の研削ステップ1002、研削量測定ステップ1004、研削量判定ステップ1005及び第2の研削ステップ1003で研削ユニット20により実施する処理と同様の処理を実施して、被加工物200の膜202を完全に除去し、さらに追加で、仕上げ研削ステップ2002を仕上げ研削ユニット80により実施するものである。
以上のような構成を有する実施形態4に係る研削装置1−2及び被加工物の研削方法は、粗研削ステップ2001で被加工物200の膜202を完全に除去し、その後に母材201が全面に露出した被加工物200に対して仕上げ研削ステップ2002を実施する。このため、実施形態4に係る研削装置1−2及び被加工物の研削方法は、実施形態1及び実施形態2に加えて、さらに、砥粒径が比較的小さく、粒度の番号が大きいために粘性の高い膜202が付着しやすい仕上げ研削用の研削砥石81に粘性の高い膜202が付着することを確実に抑制できるので、安定して膜202側から粗研削及び仕上げ研削ができるという作用効果を奏する。また、実施形態4に係る研削装置1−2及び被加工物の研削方法は、仕上げ研削を平行状態のみで実施できるので、素早く仕上げ研削ができるという作用効果を奏する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。