JP2021124452A - 温度計保護筒、温度計測器具及び蒸気配管構造物並びに温度計保護筒の設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度計保護筒は、軸線X1方向に延在する棒状とされ先端11側が蒸気配管に形成された貫通孔に挿入される筒本体10と、筒本体10の基端12側が軸線X1方向に直交する半径方向に拡径するように形成され、蒸気配管の外周面側に配置される管台部30と、を備え、管台部30は、筒本体10の基端12側から先端11側に向かう方向で外周側から縮経した開先面31と、開先面31の筒本体10側の端部から、筒本体10の先端11側から基端12側に向かう方向で軸線X1方向に沿って延びるとともに筒本体10の外周面との間に隙間を空けて対向するストレート面32と、を有し、開先面31及びストレート面32によって突出するよう形成された開先部35を備えている。
【選択図】図3
Description
すなわち、本開示の一態様に係る温度計保護筒は、軸線方向に延在する棒状とされ先端側が蒸気配管に形成された貫通孔に挿入される筒本体と、該筒本体の基端側が前記軸線方向に直交する半径方向に拡径するように形成され、前記蒸気配管の外周面側に配置される管台部と、を備え、前記管台部は、前記筒本体の前記基端側から前記先端側に向かう方向で外周側から縮経した開先面と、該開先面の前記筒本体側の端部から、前記筒本体の前記先端側から前記基端側に向かう方向で前記軸線方向に沿って延びるとともに前記筒本体の外周面との間に隙間を空けて対向するストレート面と、を有し、前記開先面及び前記ストレート面によって突出するように形成された開先部を備えている。
まず、本開示の一実施形態に係る温度計保護筒が設置されるボイラ発電プラントについて図1を用いて説明する。
ボイラ発電プラントは、ボイラの熱交換器102,103,104と、ボイラが生成した蒸気によって回転駆動される蒸気タービン110と、蒸気タービン110に連結され、蒸気タービン110の回転に応じて発電を行う発電機115とを備える。
節炭器107は、火炉壁101の各蒸発管に連結されている。節炭器107で加熱された給水は、火炉壁101の蒸発管を通過する際に、火炉内の火炎から輻射を受けて加熱され、汽水分離器126へと導かれる。汽水分離器126にて分離された蒸気は、過熱器102,103,104へと供給され、汽水分離器126にて分離されたドレン水は、ドレン水ラインL2を介して復水器114へと導かれる。
次に、温度計保護筒1について図2から図4を用いて説明する。
図2は、温度計保護筒1の側面図である。図3は、温度計保護筒の縦断面図である。図4は、図2に示す矢印Aの方向から温度計保護筒を見た図である。
なお、ここで言う「一体」とは、同一の材料によって連続的に形成されており、部材として分割されていないことを意味している。
温度計挿入穴15は、先端11側が閉止され、基端12側の端面が開口している。これによって、熱電対などの温度計を基端12側の端面から挿入して先端11側で固定できるようになっている。これにより、熱電対が挿入された温度計保護筒1は温度計測器具として機能することになる。
後述の図5から図8で示すように、温度計保護筒1は、蒸気配管50に設けた貫通孔51に対して、筒本体10を蒸気配管50の内側に挿入することで、筒本体10の先端11が蒸気配管50内部側に突出した状態で設置される。一方、管台部30は、蒸気配管50の外部側に配置される。このとき、管台部30に形成された開先面31と蒸気配管50の外周面との間で溶接による溶接部60を形成することで、温度計保護筒1は蒸気配管50に対して接合され固定される。
次に、温度計保護筒1が設置された蒸気配管50の構造について図5から図9を用いて説明する。
図5は、蒸気配管50に挿入され、蒸気配管50と溶接される前の温度計保護筒1を蒸気配管50の軸線方向から見た断面図である。すなわち、図5は、蒸気配管50の円周方向が見える断面図である。図6は、蒸気配管50に挿入され、蒸気配管50と溶接される前の温度計保護筒1を蒸気配管50の軸線方向と直交する方向から見た断面図である。すなわち、図6は、蒸気配管50の長手方向(軸線方向)が見える断面図である。図7は、蒸気配管50に溶接によって接続された温度計保護筒1を蒸気配管50の軸線方向から見た断面図である。図8は、蒸気配管50に溶接によって接続された温度計保護筒1を蒸気配管50の軸線方向と直交する方向から見た断面図である。図9は、応力集中部の概念を表す参考図である。
温度計保護筒1は、突き合わされた開先部35と蒸気配管50との間に所定の隙間(ルート間隔)が確保されて保持される。ルート間隔は、例えば2mm〜7mmとされている。
貫通孔71が形成され長手方向に延びる仮想した平板70の長辺には、引張応力σfが負荷されている。このとき、既知の通り、平板70の中心線上に作用する応力σyは、貫通孔71の長手方向近傍で最大応力σmaxが発生する(いわゆる応力集中)。なお、最大応力σmaxは、貫通孔点72に発生する引張応力σfのおよそ3倍とされる。
管台部30は、開先面31と筒本体10の外周面との間に隙間を空けて対向するストレート面32とを有しているので、開先面31及びストレート面32によって突出した円環状の開先部35を形成することができる。これにより、開先部35を蒸気配管50の外周面に突き合わさせて溶接することで溶接開始時における溶金の溶け込みを良好なものにして、溶接されるべき部分に未溶着部があるような不連続な溶接溶け込み形状の発生を抑制する。これにより、負荷が印可された場合にも、応力が集中してき裂発生の起因となることを抑制することができる。
また、ストレート面32と筒本体10の外周面との間の隙間は、筒本体10が貫通孔51に挿入され開先面31が蒸気配管50に突き合わされたときに、軸線X1方向に対する半径方向においてストレート面32が貫通孔51よりも外側に位置するように設定されているので、温度計保護筒1を蒸気配管50に突き合わせた場合に、ストレート面32及び開先面31によって形成された円環状の開先部35の先端から貫通孔51までの距離の分だけ蒸気配管50の外周面が存在することになる。開先部35の先端から貫通孔51までの蒸気配管50の外周面は、溶接開始時において蒸気配管50へ突出した円環状の開先部35の先端と蒸気配管50の外周面との隙間から流れ出る溶金の受け部分として機能するので、溶金の溶け込みを更に良好なものにすることができる。
このようにして溶金の溶け込みを良好にすることで、溶接されるべき部分に未溶着部が発生することを抑制でき、ひいては負荷が印可された場合に未溶着部に応力が集中して未溶着部を起点として、き裂が発生・伸展することを抑制できる。
なお、仮に筒本体10の突出量が大きい場合、主流への影響を抑制するめに筒本体10を細径化することが考えられる。しかしながら、筒本体10を細径化することで温度計保護筒1の強度が低下してしまう。
すなわち、本開示の一態様に係る温度計保護筒(1)は、軸線(X1)方向に延在する棒状とされ先端(11)側が蒸気配管(50)に形成された貫通孔(51)に挿入される筒本体(10)と、該筒本体(10)の基端(12)側が前記軸線(X1)方向に直交する半径方向に拡径するように形成され、前記蒸気配管(50)の外周面側に配置される管台部(30)と、を備え、前記管台部(30)は、前記筒本体(10)の前記基端(12)側から前記先端(11)側に向かう方向で外周側から縮経した開先面(31)と、該開先面(31)の前記筒本体(10)側の端部から、前記筒本体(10)の前記先端(11)側から前記基端(12)側に向かう方向で前記軸線(X1)方向に沿って延びるとともに前記筒本体(10)の外周面との間に隙間を空けて対向するストレート面(32)と、を有し、前記開先面(31)及び前記ストレート面(32)によって突出するように形成された開先部(35)を備えている。
このようにして溶金の溶け込みを良好にすることで、溶接されるべき部分に未溶着部があるような不連続な溶接溶け込み形状が発生することを抑制でき、ひいては負荷が印可された場合にも応力が集中して、未溶着部を起点としてき裂が発生・伸展することを抑制できる。
また、蒸気配管(50)に座ぐりを設けて温度計保護筒との溶接を施す場合と比べて溶金の量を低減することができるので、温度計保護筒の取り付け時や交換時の作業工数を削減することができる。
10 筒本体
11 先端
12 基端
15 温度計挿入穴(挿入穴)
30 管台部
31 開先面
32 ストレート面
33 ルート面
34 ラウンド面
35 開先部
50 蒸気配管
51 貫通孔
53 応力集中部
60 溶接部
61 溶接止端
70 平板
71 貫通孔
72 貫通孔点
101 火炉壁(伝熱管)
102 第1過熱器(熱交換器)
103 第2過熱器(熱交換器)
104 第3過熱器(熱交換器)
105 第1再熱器(熱交換器)
106 第2再熱器(熱交換器)
107 節炭器(熱交換器)
111 高圧タービン
112 中圧タービン
113 低圧タービン
114 復水器
121 復水ポンプ(CP)
122 低圧給水ヒータ
123 ボイラ給水ポンプ(BFP)
124 高圧給水ヒータ
126 汽水分離器
L1 給水ライン
L2 ドレン水ライン
L3〜L5 蒸気ライン
Claims (10)
- 軸線方向に延在する棒状とされ先端側が蒸気配管に形成された貫通孔に挿入される筒本体と、
該筒本体の基端側が前記軸線方向に直交する半径方向に拡径するように形成され、前記蒸気配管の外周面側に配置される管台部と、
を備え、
前記管台部は、
前記筒本体の前記基端側から前記先端側に向かう方向で外周側から縮経した開先面と、
該開先面の前記筒本体側の端部から、前記筒本体の前記先端側から前記基端側に向かう方向で前記軸線方向に沿って延びるとともに前記筒本体の外周面との間に隙間を空けて対向するストレート面と、
を有し、
前記開先面及び前記ストレート面によって突出するように形成された開先部を備えている温度計保護筒。 - 前記開先部には、前記蒸気配管の外周面との間で溶接部が形成される請求項1に記載の温度計保護筒。
- 前記ストレート面と前記筒本体の外周面との間の前記隙間は、前記筒本体が前記貫通孔に挿入され前記開先部が前記蒸気配管の外周面に突き合わされたときに、前記半径方向において前記ストレート面が前記貫通孔よりも外側に位置するように設定されている請求項1又は2に記載の温度計保護筒。
- 前記開先部の前記ストレート面と該ストレート面に対して前記隙間を空けて対向する前記筒本体の外周面との間を半円弧状に接続するラウンド面が形成されている請求項1から3のいずれかに記載の温度計保護筒。
- 前記筒本体は、前記蒸気配管の内周面から突出する部分の前記軸線方向に沿った寸法が63.5mm以上100mm以下となるように設定されている請求項1から4のいずれかに記載の温度計保護筒。
- 温度計と、
請求項1から5のいずれかに記載の温度計保護筒と、
を備え、
前記筒本体は、前記基端の端面から前記先端側に向かう方向に穿設された挿入穴を有し、
前記温度計は、前記挿入穴に挿入されて固定されている温度計測器具。 - 貫通孔が形成された蒸気配管と、
請求項1から5のいずれかに記載の温度計保護筒と、
を備え、
前記温度計保護筒は、前記筒本体の前記先端側が前記貫通孔に挿入されるとともに前記開先部が前記蒸気配管の外周面に突き合わされ、前記開先部の前記開先面と前記蒸気配管の外周面との間に溶接部が形成されて前記蒸気配管に接続されている蒸気配管構造物。 - 前記ストレート面と前記筒本体の外周面との間の前記隙間は、前記半径方向において前記ストレート面が前記貫通孔よりも外側に位置するように設定されている請求項7に記載の蒸気配管構造物。
- 前記溶接部は、前記蒸気配管に接する部分の前記半径方向の外側の端部が前記管台部の外周面よりも前記半径方向の外側に位置している請求項7又は8に記載の蒸気配管構造物。
- 軸線方向に延在する棒状とされ先端側が蒸気配管に形成された貫通孔に挿入される筒本体と、
該筒本体の基端側が前記軸線方向に直交する半径方向に拡径するように形成され、前記蒸気配管の外周面側に配置される管台部と、
を備え、
前記管台部は、
前記筒本体の前記基端側から前記先端側に向かう方向で外周側から縮経した開先面と、
該開先面の前記筒本体側の端部から、前記筒本体の前記先端側から前記基端側に向かう方向で前記軸線方向に沿って延びるとともに前記筒本体の外周面との間に隙間を空けて対向するストレート面と、
を有し、
前記開先面及び前記ストレート面によって突出するように形成された開先部を備えている温度計保護筒の設置方法であって、
前記蒸気配管に形成された前記貫通孔に前記筒本体を挿入する第1工程と、
前記管台部の前記開先部と前記蒸気配管の外周面との間を溶接して溶接部を形成する第2工程と、
を含む温度計保護筒の設置方法。
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