JP2021122417A - X線撮影用マウスピース - Google Patents
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Abstract
【課題】歯科医が患者の口内に触れることなく患者の口内に配置することができるX線撮影用マウスピースを提供することである。【解決手段】患者の口唇が開いた状態を維持する口唇支持部2と、患者の口内に配置される口内配置部3a、3bと、両者の間の咬合部4を有し、口唇支持部2は、本体部5と口唇接触部6a、6bを有し、本体部5は薄板状の部位であり、本体部5の一方側の面5aに咬合部4が配置されており、本体部5における咬合部4が配置された部位から離間した両側に口唇接触部6a、6bが配置されており、各口唇接触部6a、6bは、本体部5における咬合部4が配置された側とは反対側に突出しており、本体部5の他方側の面5bに把持部7が設けられており、口内配置部3a、3bは、弾性を有していて変形可能である。【選択図】図1
Description
本発明は、X線撮影用マウスピースに関するものである。
マウスピースを使用すると、上下の歯(歯顎)の位置を互いに重ならない状態で固定することができ、良好にX線撮影を実施することができる。このようなマウスピースが、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、マウスピースを発泡スチロール等の柔軟性に富む材料で形成することが記載されている。そして、特許文献1には、全体が同一の発泡スチロールで形成された中実のブロック状のマウスピースが開示されている。
ところで、マウスピースは、上下の歯で咬合された際に、上下の歯の相対位置を固定する機能を有するものである。すなわち、特許文献1に開示されたマウスピースは、ブロック状の中実構造を呈しており、ブロックの上下両面に歯列に沿うように湾曲した溝が形成されている。
また、マウスピースは、発泡スチロール等のX線を透過し易く、かつ、柔軟性に富む材料で形成されている。マウスピースをこのよう構成することにより、マウスピース自身の強度を保つと共に、患者の口内の歯以外の部位に当たった際に変形することができ、患者の痛みを緩和することができるとされている。
ところで、従来のマウスピースは、ブロック状の中実構造を呈しているため、材料自体に変形能があったとしても、口内の歯以外の部位が当たった際における、口内の当該部位から受ける外力では変形しにくい。すなわち、上下の歯が所定の位置で固定されるまで咬合すると、口内の歯以外の部位にマウスピースが強く押圧されることになり、たとえマウスピースが圧縮変形したとしても、患者の口内側にも相当な負荷が掛かる。
また、患者の歯列には相当な個人差があるため、ブロック状のマウスピースに湾曲した溝を設けても、この溝は、必ずしも歯列に沿うものではなかった。すなわち、溝の湾曲は、患者の歯列とは一致しないことが多く、患者が溝を咬合すると、歯の一部のみが溝内に正規に配置され、それ以外の歯は溝から逸脱することが多い。そのため、特許文献1のマウスピースを咬合すると、患者の口内には相当な負荷が作用してしまう。
さらに、従来のマウスピースはブロック状を呈しており、ブロックを口内に取り付けるので、歯科医が患者の口内に触れることなく患者の口内にマウスピースを取り付けるのは容易ではない。すなわち、歯科医が患者の口内にマウスピースを取り付ける際に、歯科医の手に患者の唾液が付着することがあった。
そこで本発明は、患者の口内を圧迫せず、また、歯科医等のマウスピースを取り扱う者が、患者の口内に触れることなく患者の口内に配置することができるX線撮影用マウスピースを提供することを目的としている。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、患者の口唇が開いた状態を維持する口唇支持部と、患者の口内に配置される口内配置部と、前記口唇支持部と口内配置部の間に設けられた咬合部を有し、前記咬合部は、中切歯で噛まれる部位であって、所定の長さと所定の幅を有しており、前記咬合部における前記幅方向の両側に前記口唇支持部と前記口内配置部が設けられており、前記口唇支持部は、本体部と口唇接触部を有し、前記本体部は、前記咬合部における幅方向と交差する薄板状の部位であり、薄板状の前記本体部の一方側の面の中途の部位に前記咬合部が配置されており、本体部における咬合部が配置された部位から離間した両側に前記口唇接触部が配置されており、前記各口唇接触部は、本体部における咬合部が配置された側とは反対側に突出しており、前記本体部の他方側の面における前記咬合部の長さ方向の中途の位置に、本体部に対して起立する把持部が設けられており、前記口内配置部は、弾性を有していて変形可能であることを特徴とするX線撮影用マウスピースである。
請求項1に記載の発明では、薄板状の本体部の一方側の面の中途の部位に咬合部が配置されており、本体部における咬合部が配置された部位から離間した両側に口唇接触部が配置されており、各口唇接触部は、本体部における咬合部が配置された側とは反対側に突出しているので、口唇接触部は把持部の両側に設けられている。
口唇接触部と把持部は、本体部の同じ側に設けられているので、マウスピースを患者の口内に配置する際、例えば歯科医が当該マウスピースを使用する際に、患者の口唇が口唇接触部に接触し、口唇が開いた状態が維持される。そのため、歯科医は患者の口唇及び口内に触れずに済む。
また、口内配置部は弾性を有しているので、口内配置部が患者の口内に配置された際に、仮に口内配置部が患者の口内に当接しても、口内配置部は弾性変形する。そのため、患者の口内の圧迫を軽減することができ、患者の苦痛を和らげることができる。
そして、本発明のX線撮影用マウスピースによって、良好なX線撮影を実施することができる。本発明のX線撮影用マウスピースは、特にパノラマX線撮影を実施するのに好適である。
口唇接触部と把持部は、本体部の同じ側に設けられているので、マウスピースを患者の口内に配置する際、例えば歯科医が当該マウスピースを使用する際に、患者の口唇が口唇接触部に接触し、口唇が開いた状態が維持される。そのため、歯科医は患者の口唇及び口内に触れずに済む。
また、口内配置部は弾性を有しているので、口内配置部が患者の口内に配置された際に、仮に口内配置部が患者の口内に当接しても、口内配置部は弾性変形する。そのため、患者の口内の圧迫を軽減することができ、患者の苦痛を和らげることができる。
そして、本発明のX線撮影用マウスピースによって、良好なX線撮影を実施することができる。本発明のX線撮影用マウスピースは、特にパノラマX線撮影を実施するのに好適である。
請求項2に記載の発明は、前記把持部は、咬合部の前記長さ方向と交差する平板で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線撮影用マウスピースである。
請求項2に記載の発明では、把持部は、咬合部の長さ方向と交差する平板で構成されているので、歯科医等のマウスピースを把持する者は、鉛直姿勢の把持部を摘まんでマウスピースを把持することができる。そのため、把持部を把持した指が、患者の口唇に触れずに済み易い。また、把持部が鉛直姿勢の平板で構成されているので、把持部を中切歯の中央(二本の前歯の間)に位置合わせし易い。
請求項3に記載の発明は、前記口唇接触部は、本体部の両端部が屈曲又は湾曲して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線撮影用マウスピースである。
請求項3に記載の発明では、口唇接触部は、本体部の両端部が屈曲又は湾曲して形成されているので、容易に形成することができる。
請求項4に記載の発明は、前記口内配置部は、前記長手方向から見て略V字形状を呈しており、外力が作用すると、V字の開き角度が狭まることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のX線撮影用マウスピースである。
請求項4に記載の発明では、口内配置部は、前記長手方向から見て略V字形状を呈しており、外力が作用すると、V字の開き角度が狭まるので、口内配置部を患者の口内に配置した際に、V字の開き角度が狭まる。すなわち、口内配置部は、患者の口内に押圧されて姿勢が変化し、V字の開き角度が小さくなる。そのため、患者の口内を不必要に圧迫することがなく、患者の苦痛を軽減することができる。
本発明によると、患者の口内を圧迫せず、また、歯科医等のマウスピースを取り扱う者が、患者の口内に触れることなくマウスピースを患者の口内に配置することができる。
以下、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係るX線撮影用マウスピース1(以下、単にマウスピース1とする。)は、X線を透過し易い材料(例えばシリコン樹脂等)で形成されており、図1、図2に示すように、口唇支持部2、口内配置部3a、3b、咬合部4、把持部7を有する。
本実施形態に係るX線撮影用マウスピース1(以下、単にマウスピース1とする。)は、X線を透過し易い材料(例えばシリコン樹脂等)で形成されており、図1、図2に示すように、口唇支持部2、口内配置部3a、3b、咬合部4、把持部7を有する。
図1に示すように、咬合部4の一方側に口唇支持部2が設けられており、他方側に口内配置部3a、3bが設けられている。本実施形態では、この一方側と他方側を結ぶ方向を幅方向と称している。すなわち、咬合部4の幅方向の両側に口唇支持部2と口内配置部3a、3bが設けられている。
図1に示すマウスピース1の姿勢を基準として、咬合部4は、幅W、高さHの横断面が四角形を呈し、長さL(図2(c))の滑らかに湾曲した形状を呈する部位である。すなわち、咬合部4は、四角柱が滑らかに湾曲したような形状を呈する部位である。咬合部4の両側には、口唇支持部2と口内配置部3a、3bが配置されている。すなわち、咬合部4は、口唇支持部2と口内配置部3a、3bの間にある。
口唇支持部2は、本体部5、口唇接触部6a、6bを有する。
口唇支持部2は、本実施形態では、四角形の薄板の上下の両端を略コの字形に折り曲げたような形状を呈している。すなわち、口唇接触部6a、6bは、本体部5の両端部が屈曲又は湾曲して形成されている。咬合部4と連続した部位が本体部5を構成しており、折り曲げた先端部分が口唇接触部6a、6bを構成している。
口唇支持部2は、本実施形態では、四角形の薄板の上下の両端を略コの字形に折り曲げたような形状を呈している。すなわち、口唇接触部6a、6bは、本体部5の両端部が屈曲又は湾曲して形成されている。咬合部4と連続した部位が本体部5を構成しており、折り曲げた先端部分が口唇接触部6a、6bを構成している。
薄板状の本体部5の両面は、一方側の面5bと他方側の面5aを構成している。一方側の面5aには、咬合部4が接続されている。湾曲した咬合部4と接続された本体部5は、咬合部4と同様に湾曲している。すなわち、一方側の面5bと、他方側の面5aは曲面である。
本体部5の一方側の面5bの中央部分(すなわち、咬合部4の長手方向(長さL方向)の中央の位置)には、薄い平板状の把持部7が設けられている。把持部7は、咬合部4の長手方向(長さL方向)に対して直交しており、面5bから起立している。薄板状の把持部7は、鉛直面7a、7bを有している。
図1に示す姿勢で見て、把持部7の上下両側には、口唇接触部6a、6bが設けられている。口唇接触部6a、6bは、把持部7と同方向に突出しており、平面視すると、把持部7の一部と重なる。換言すると、把持部7は、口唇接触部6a、6bを超えて面5bから突出している。
口内配置部3aは、略四角形の薄板状の部位であり、一方側の端辺を構成する基端部8aと、基端部8aと平行な他方側の端辺を構成する先端部8bを有する。基端部8aは、咬合部4の長手方向(長さL)に沿って接続された部位であり、長手方向(長さL)における中央部分ほど一方側へ張り出している。先端部8bは自由端であり、口内配置部3aは咬合部4から斜め上方に向かって延びている。
図2(b)、図3(b)等に示すように、口内配置部3aの基端部8aから先端部8bに至る途中の部位が、水平姿勢に近づくように湾曲し、当接部10を構成している。すなわち当接部10は、口内配置部3aにおける先端部8b付近に設けられている。
口内配置部3bは、口内配置部3aとは上下対称形であること以外は、口内配置部3aと同様の構造を呈しており、重複する説明は省略する。すなわち、口内配置部3bは、基端部9aが咬合部4に接続されており、先端部9bは自由端であり、口内配置部3bは、咬合部4から斜め下方に向かって延びている。図2(b)に示すように、口内配置部3a、3bは角度A(開き角度)を成してV字形状を呈している。そして、先端部9b付近には当接部10と上下対称形の当接部11が設けられている。
口内配置部3a、3bは、先端側へ行くほど互いに離間し、基端側へ行くほど互いに接近している。すなわち、口内配置部3a、3bは略V字形を呈している。そして、当接部10から先端部8bの間の部位と、当接部11から先端部9bの間の部位は略平行である。
口内配置部3a、3b(マウスピース1)はシリコン樹脂製であり、当接部10、11に外力が作用するとV字の形態が容易に変化する。具体的には、当接部10、11に外力が作用すると、先端部8b、9b同士が接近するように口内配置部3a、3bが変形する。
以上説明したように構成されたマウスピース1は、次のように患者の口内に配置される。すなわち、歯科医等のX線撮影者、又は患者自身が把持部7(鉛直面7a、7b)を摘み、中切歯で咬合部4を噛む。このとき、口内配置部3a、3bが患者の口内に配置される。口内配置部3a、3bは、当接部10、11が患者の口内に当接して変形する。すなわち、患者が咬合部4を噛んだ際に、先端部8b、9bが互いに接近するように弾性変形し、口内配置部3a、3bが患者の口内に密着する。よって、患者の口内に対するマウスピース1の固定が安定する。
また、マウスピース1を口内から取り出すと、当接部10、11への押圧力がなくなり、口内配置部3a、3bは元の状態に戻る。換言すると、口内配置部3a、3bは、外力に対して姿勢を変更するように変形するが、外力が作用しなくなると元の姿勢に戻る。すなわち、マウスピース1の形状が復元される。
中切歯で咬合部4を噛むことによって、上下の歯顎の相対位置が固定される。また、上下の中切歯の間に咬合部4が介在しているので、上下の歯顎の間には隙間ができる。そのため、上下の歯が重ならず、X線撮影を良好に実施することができる。本実施形態に係るマウスピース1は、パノラマX線撮影を実施するのに好適である。
ところで、マウスピース1が患者の口内に配置される際、把持部7を摘まんだ指は、患者の口唇に接近する。しかし、把持部7の上下両側には口唇接触部6a、6bが設けられており、患者の口唇は、口唇接触部6a、6bに接触し、口唇接触部6a、6bは、患者の口唇がそれ以上閉じることを阻止する。そのため、患者の口唇は、口唇接触部6a、6bを超えて把持部7に接近することがない。すなわち、把持部7を把持した歯科医の指に患者の口唇が接触することがない。よって、歯科医の指に患者の唾液が付着することがなく、衛生的である。
本実施形態では、把持部7が鉛直面7a、7bを有する鉛直壁を構成しており、口唇接触部6a、6bと把持部7が直交している例を示したが、把持部7は、口唇接触部6a、6bと平行であってもよい。ただし、本実施形態で示すように、把持部7が咬合部4や口唇接触部6a、6bと直交させることにより、把持部7を口内に対する位置合わせの指標として機能させることができる。
患者の口内の適切な位置にマウスピース1が配置された後、X線撮影が実施される。
1 マウスピース(X線撮影用マウスピース)
2 口唇支持部
3a、3b 口内配置部
4 咬合部
5 口唇支持部の本体部
5a 本体部の一方側の面
5b 本体部の他方側の面
6a、6b 口唇支持部の口唇接触部
7 把持部
A 口内配置部の開き角度
L 咬合部の長さ
W 咬合部の幅
2 口唇支持部
3a、3b 口内配置部
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5 口唇支持部の本体部
5a 本体部の一方側の面
5b 本体部の他方側の面
6a、6b 口唇支持部の口唇接触部
7 把持部
A 口内配置部の開き角度
L 咬合部の長さ
W 咬合部の幅
Claims (4)
- 患者の口唇が開いた状態を維持する口唇支持部と、
患者の口内に配置される口内配置部と、
前記口唇支持部と口内配置部の間に設けられた咬合部を有し、
前記咬合部は、中切歯で噛まれる部位であって、所定の長さと所定の幅を有しており、前記咬合部における前記幅方向の両側に前記口唇支持部と前記口内配置部が設けられており、
前記口唇支持部は、本体部と口唇接触部を有し、
前記本体部は、前記咬合部における幅方向と交差する薄板状の部位であり、
薄板状の前記本体部の一方側の面の中途の部位に前記咬合部が配置されており、
本体部における咬合部が配置された部位から離間した両側に前記口唇接触部が配置されており、前記各口唇接触部は、本体部における咬合部が配置された側とは反対側に突出しており、
前記本体部の他方側の面における前記咬合部の長さ方向の中途の位置に、本体部に対して起立する把持部が設けられており、
前記口内配置部は、弾性を有していて変形可能であることを特徴とするX線撮影用マウスピース。 - 前記把持部は、咬合部の前記長さ方向と交差する平板で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のX線撮影用マウスピース。
- 前記口唇接触部は、本体部の両端部が屈曲又は湾曲して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線撮影用マウスピース。
- 前記口内配置部は、前記長手方向から見て略V字形状を呈しており、外力が作用すると、V字の開き角度が狭まることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のX線撮影用マウスピース。
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