JP2021103203A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明状態と有色状態を発現し、メモリー性の高いエレクトロクロミック素子を提供する。【解決手段】第一の電極部と、第二の電極部と、第一の電極部と第二の電極部との間に配置された調光部と、を含むエレクトロクロミック素子を有し、調光部は、第一の電極部に接する第一エレクトロクロミック層と、第二の電極部に接する第二エレクトロクロミック層と、電解質層とを含み、第一エレクトロミック層と第二エレクトロクロミック層はプルシアンブルー型金属錯体を有し、第一の電極部は面電極であり、第二の電極部は細線電極であるエレクトロクロミック素子。【選択図】図2

Description

本発明は、エレクトロクロミック現象を利用したエレクトロクロミック表示装置に用いられるエレクトロクロミック素子に関するものである。
エレクトロクロミック(EC)表示装置は、化学物質にキャリアを注入することにより生じる酸化・還元反応により、化学物質の光学物性が変化するEC現象を利用した表示装置である。そして、EC表示装置の光透過率は電流により任意に制御できるため、省エネルギーや意匠性が求められる光学分野において注目されている。EC表示装置は、酸化・還元等の化学反応によって物質の色調が変化するために色が変わるが、これは電圧駆動で液晶の配向を変化させる液晶表示装置とは根本的に異なる。
EC表示装置は様々な色調を発現することができ、駆動電力、消費電力が小さくて済むというメリットがある。このようなEC表示装置は一対の電極と、EC現象が起きるEC材料を含有するEC層と、電解質層を備えたEC素子を有し、そのEC材料としては導電性高分子などの有機EC材料や酸化タングステンなどの無機EC材料が用いられる。有機EC材料は様々な色を出せるが、耐久性に乏しいという欠点を有し、無機EC材料では耐久性はあるが、色の種類が少なかったり、彩度が低いなどの問題がある。
電極間に保持された液晶層を備え、電極に印加する電圧により液晶層に含まれる液晶分子の配向状態を変化させて、入射した光を散乱する不透明状態と、入射した光を透過する透明状態とを切り替え可能に構成されている所謂高分子分散型液晶(PDLC)などの表示装置では電圧を切るとすぐに元の状態に戻る(=メモリー性が無い。)という問題があり、これを補うため常時電圧を掛ける必要があることから電力消費量が多いという問題がある。一般的にEC素子はPDLCに比べメモリー性があるため、消費電力量は少なくて済むが、メモリー性の不十分なものもあり、このようなEC素子では、EC材料の色調を変化させた後に電圧を切ると、PDLCよりは反応速度は遅いものの元の色調に戻っていくことから、変色後の色調を維持するためには時々電圧を掛けて、色を戻す必要がある。
プルシアンブルー(PB)型金属錯体をEC材料として用いるEC素子が、例えば特許文献1などで提案されている。PB型金属錯体は金属の種類を変えることで様々な色を出すことができる、ナノ粒子を用いることで彩度を高くすることができる等のメリットを有し、更には、変色がナノ粒子への金属イオンの注入、離脱により起きるため、電圧を掛けて変色を発生させた後に電圧を切っても、イオンの離脱速度が極めて遅いことから、維持電圧を掛ける必要がほとんどない、すなわちPB型金属錯体を用いると、メモリー性が強い優れた表示装置が得られる。加えて、特許文献1にあるように、一対の電極があり、それぞれの電極に隣り合う別のEC層があり、それら2つのEC層両方がPB型金属錯体を有するEC層であると、メモリー性は更に高くなる。
EC材料を変色させる場合には、EC材料に電流を流し、その電流によりキャリアを移動させる。このため、EC材料の反応は他の方式に比べ遅い場合が多い。EC素子の駆動電極としては一般的に透明導電材料からなる面電極が用いられる。透明導電材料にはITOなどの金属酸化物無機材料が用いられるが、金属に比べ抵抗値が一般的にかなり高い。そのため、特に大型のEC素子の場合、透明導電材料で電力が消費されてしまい、肝心のEC材料まで電気が流れにくくなり、その結果変色反応が遅くなったり、変色の起きない場所が発生したりする場合があった。この問題を解決するため、透明導電材料に金属からなる細線電極と無機透明金属酸化物を組み合わせた複合電極を用いる方法が提案されている(例えば特許文献2や特許文献3)。また一対の電極の片側だけ細線電極を用いる方法も提案されている(例えば特許文献4)。
EC素子としては、複数の色を発色させるために、複数のEC層を設けることも知られている(例えば特許文献5)
特開2013−218164号公報 特開昭58−80623号公報 特開2018−194589号公報 実開平1−139224号公報 特開昭57−111582号公報
特許文献1にあるように、一対の電極があり、それぞれの電極に隣り合う別のEC層があり、それら両方がPB型金属錯体を有するEC層であると、非常に高いメモリー性が発現する。しかしながら、PB型金属錯体を有するEC層はその金属の種類に応じた色を発色するため、特許文献5のように多色の発色をしてしまい、無色の状態を実現することが困難である。ちなみに特許文献1では、電極に掛ける電圧の正負に応じて青と黄色の2色に変化する。PB型金属錯体の中でも金属として亜鉛を有するものは白色を呈するため、片側のEC層に亜鉛置換型PB型金属錯体を用いると、片側の発色を白色とすることができるが、亜鉛置換型PB型金属錯体はナノ粒子を作るのが困難であることから、透視可能な透明な状態を作ることは困難であった。
一般的にEC素子を発色させる電極には面電極が用いられる。特許文献4においても、発色させるEC層に隣接した電極はITO等の透明な面電極が用いられる。これは、EC素子が電流によりキャリアを移動させることでEC材料を発色させる際に、電極に比べ抵抗の高い電解質層中は電流が流れにくいことから、細線電極を用いた場合には、細線電極近傍でしか電流が流れず、不透明な細線電極近傍でしかEC材料に変色反応が起きないため、色変化が起きても細線電極で変色部分を通る光が遮られて変色を認識できないことがその理由となる。
本発明はこのようなPB型金属錯体を含有するEC層や細線電極の問題点に鑑み、透明状態と有色状態を発現し、メモリー性の高いエレクトロクロミック素子を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の構成を有するエレクトロクロミック素子によって解決できることを見出した。
1)第一の電極部と、第二の電極部と、第一の電極部と第二の電極部との間に配置された調光部と、を含むエレクトロクロミック素子であって、調光部は、第一の電極部に接する第一エレクトロクロミック層と、第二の電極部に接する第二エレクトロクロミック層と、電解質層とを含み、第一エレクトロミック層と第二エレクトロクロミック層はプルシアンブルー型金属錯体を含有し、第一の電極部は面電極であり、第二の電極部は細線電極であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
2)第一の電極部が細線電極と面電極の組み合わせからなる複合電極である1)に記載のエレクトロクロミック素子。
本発明によって、透明状態と有色状態を発現し、メモリー性の高いエレクトロクロミック素子を提供することが可能となる。
本発明のエレクトロクロミック素子の一例を模式的に示した断面図である。 本発明の好適なエレクトロクロミック素子の動作時の一例を模式的に示した断面図である。 本発明の好適なエレクトロクロミック素子の動作時の一例を模式的に示した断面図であり、図2とは逆の電位をかけた場合の図である。
本発明はPB型金属錯体を有するEC層と細線電極を組み合わせることで、上述のPB型金属錯体を含有するEC層の問題点と細線電極の問題点を有効に利用し、PB型金属錯体を含有するEC層の長所だけ引き出すという、まさに逆転の発想からなる発明である。本発明を説明するにあたり、図を用いて説明する。図1は本発明のEC素子の一例を模式的に示した断面図である。
図1においてEC素子1は第一の電極部11と、第二の電極部31と、第一の電極部11と第二の電極部31との間に配置された調光部21と、を含むEC素子であって、調光部21は、第一の電極部に接する第一のEC層211と、第二の電極部に接する第二のEC層213と、電解質層212とを含み、第一のEC層211と第二のEC層213はPB型金属錯体を有する。
<EC素子の動作>
EC素子1の動作を説明するにあたり、図2と図3を用いる。図2に示すように第一の電極部11と第二の電極部31の間に電圧を掛けると、第一のEC層211に例えばプルシアンブルーをEC材料として用いる場合には第一のEC層211が青色に変色する。一方で、第二のEC層213では逆の反応が起こり、同じくプルシアンブルーを第二のEC層213のEC材料として用いた場合にはプルシアンブルーが無色になる。これに対し、図3のように、図2と逆の電圧を掛けると、第一のEC層211では青色から無色への変色が発生するが、第二のEC層213では第二の電極部31が有する細線電極312の近傍にしか電気が流れないので、細線電極312の近傍でしか色変化が起きない。図3の上からEC素子1を見ると、細線電極312近傍の変色部214は細線電極312で下からの透過光が遮られて青色が認識できず、未変色部215を透過する光だけが見えるため、全体として透明に見える。
<第一の電極部>
図1において、第一の電極部11は支持体111上に面電極112を有する。支持体111としてはポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム、あるいはガラス等を使用することができる。支持体111の厚みはハンドリング等がしやすいことから10μm〜5mmであることが好ましい。面電極112として使用することができるものは、例えばITO等の酸化インジウム系、酸化スズ系、酸化亜鉛系のような透明性を有する導電性酸化物、PEDOT、ポリチオフェンなどの有機導電材料、銀ナノワイヤ、カーボンナノワイヤなどの導電性ナノワイヤ分散物等であるが、耐食性の観点から導電性酸化物が好ましい。面電極112の形成には蒸着法、スパッタ法、CVD法、塗布法などの公知の技術を用いることができる。面電極112は全面に同じ電位がかかるようになっていても良いし、あるいは面電極112をパターニングし、複数の部分に異なる電位がかかるようにしても良い。面電極112のシート抵抗は低い方が好ましいが、面電極を構成する材料の色が見えない程度に薄くする必要があるため、その抵抗値には限界がある。好ましくは1000Ω/□以下、より好ましくは10〜300Ω/□である。更に第一の電極部11は支持体111、面電極112以外に粘着層やハードコート層、アンチグレア層、反射防止層などの公知の光学機能層を必要に応じて有することができる。
第一の電極部の好ましい形態を説明するのに図2を用いる。図2において第一の電極部11は支持体111と面電極112を有するが、更に支持体111と面電極112の間に細線電極113を有し、面電極112と細線電極113の組み合わせからなる複合電極である。細線電極113は導電性材料、好ましくは導電性の高い金属からなる細線で構成される電極で、平行に並んだ細線や網目状細線など各種形状を取ることができ、中でも網目状の構造を取ることが好ましい。網目状細線としては、ボロノイ図形などのランダムな構造でも良く、あるいは単位格子を繰り返してなる周期構造を取ることができる。周期構造を作る場合の単位格子としては、例えば正三角形、二等辺三角形、直角三角形などの三角形、長方形、菱形、平行四辺形、台形などの四角形、六角形、八角形、十二角形、二十角形などのn角形、星形などを組み合わせた形状が挙げられ、またこれらの形状の単独の繰り返し、あるいは2種類以上の複数の形状の組み合わせが挙げられる。また、細線電極113は直線から構成されていることが好ましいが、波線、曲線、ランダムな線も用いることができる。細線電極113は前述の通り金属からなることが好ましく、特に金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、およびこれらの複合材により形成されることが好ましい。耐食性の観点から、その表面はニッケルや金など耐食性の高い金属を用いることが好ましい。細線電極113を形成する方法としては、銀塩感光材料を用いて銀の細線パターンを得る方法、同方法を用い、更に得られた銀の細線パターンに無電解めっきや電解めっきを施す方法、スクリーン印刷法を用いて銀ペーストなどの導電性インキを印刷する方法、銀インクなどの導電性インクをインクジェット法で印刷する方法、無電解めっき等で銅などの金属からなる金属細線を形成する方法、あるいは蒸着やスパッタなどで導電性層を形成し、その上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法、銅箔などの金属箔を貼り、更にその上にレジスト膜を形成し、露光、現像、エッチング、レジスト層除去することで得る方法など、公知の方法を用いることができる。中でも細線電極113を構成する金属細線の厚みを薄くでき、更にその線幅を微細にすることが容易な銀塩拡散転写法を用いることが好ましい。銀塩拡散転写法としては例えば特開2003−77350号公報や特開2005−250169号公報に記載されている。これらの手法で作製した細線電極113の厚みは薄すぎるとEC素子として必要な導電性を確保し難くなり、厚すぎると調光部21との密着が困難になる。よって、その厚みは0.05〜20μmが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmである。細線の細線幅は、視認性を下げるために20μm以下が好ましく、1〜10μmが更に好ましい。また、本発明のEC素子が有する細線電極113の開口率は50%以上、好ましくは74%以上である。なお、本発明において開口率とは支持体111が占める面積に対して、細線電極113が占める面積を除いた部分が占める面積の割合である。更に視認性を下げるために、細線電極113は酸化や硫化など公知の方法で黒化処理を行うことも可能である。面電極112がパターニングにより複数の部分に分けて電位がかけられるようになっている場合、細線電極113に断線部を設けるなどして、パターニングされた面電極が短絡しないようにすることが好ましい。
<調光部>
本発明のEC素子が有する調光部21は第一の電極部11に隣接する第一のEC層211と電解質層212と第二の電極部31に隣接する第二のEC層213を有する。
第一のEC211層及び第二のEC層213はEC材料としてPB型金属錯体を有する。本発明においてPB型金属錯体とは一般式A[Fe(CN)]・zHOで示される化合物であり、ここでAはリチウム、カリウム、アンモニウムなどの陽イオンであり、Mはバナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、亜鉛、ランタン、ユーロピウム、ガドリニウム、ルテチウム、バリウム、ストロンチウム、及びカルシウムからなる群より選ばれる一種または二種以上の金属イオンであり、xは0〜3の数であり、yは0.3〜1.5の数であり、zは0〜30の数である。
PB型金属錯体としては市販品を用いることができる。例えば、関東化学(株)より市販されるwFeHCFナノ粒子分散液や、wNiHCFナノ粒子分散液を入手し利用することができる。
第一のEC層211及び第二のEC層213はPB型金属錯体以外の有機系や無機系のEC材料として公知の材料を併用して用いることができる。この場合、少なくともPB型金属錯体は全EC材料の50質量%以上であることが好ましい。
有機系のEC材料としては、ビオロゲン化合物、ビオロゲン塩化合物、フェロセン化合物、ポリピロール化合物、ポリチオフェン化合物、ポリパラフェニレンビニレン化合物、ポリアニリン化合物、ポリアセチレン化合物、ポリエチレンジオキシチオフェン化合物、金属フタロシアニン化合物、テレフタル酸ジメチル化合物等が例示できる。
無機系のEC材料としては、酸化タングステン、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化バナジウム、六酸化バナジウム、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ロジウム、酸化クロム、酸化タンタル、酸化銅、酸化パラセオジウム、ストロンチウムドープチタン酸、タングステンサルファイト、窒化インジウム−窒化錫等が例示できる。
第一のEC層211及び第二のEC層213の形成方法は特に限定されず、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスや、塗布、印刷等のウェットプロセスといった公知の形成方法の中から、EC層を構成する材料に適した方法を選択すればよい。例えば、前述した関東化学(株)より市販されるwFeHCFナノ粒子分散液やwNiHCFナノ粒子分散液を用いてEC層を形成する場合、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、キスコート法等の公知の塗布方法や、グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、ディスペンサー印刷、パッド印刷等の公知の印刷方法を用いて電極部上に該ナノ粒子分散液を付与し、乾燥する方法が例示できる。乾燥方法としては自然乾燥、真空乾燥、熱風乾燥、低湿風乾燥、赤外線乾燥、熱ロール乾燥等の公知の乾燥方法が例示できる。
第一のEC層211及び第二のEC層213は、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色剤(顔料や染料等)、酸化防止剤、シランカップリング剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明のEC素子が有する調光部21が有する電解質層212は、電解質と溶媒とを少なくとも含有する。
電解質層212が含有する電解質は特に限定されないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の塩が例示できる。具体的にはヘキサフルオロリン酸カリウム、テトラフルオロほう酸カリウム、塩化カリウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロほう酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロ酢酸リチウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸マグネシウム等が例示できる。電解質は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電解質層212が含有する溶媒は特に限定されず、電解質を溶解可能な公知の溶媒を用いることができる。具体的には炭酸エチレン、炭酸プロピレン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、エタノール、水等が例示できる。溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電解質層212の厚みは特に限定されないが、厚すぎるとEC素子1の色変化速度が低下する場合があり、薄すぎると第一の電極部11と第二の電極部31が短絡して色変化が停止する場合がある。よって電解質層212の厚みは0.1〜500μmが好ましく、1〜300μmがより好ましい。
電解質層212の強度を向上し、厚みを安定化することを目的として、電解質層212は樹脂を含有していてもよい。かかる樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレンオキサイド等の公知の樹脂が例示できる。
電解質層212の厚みを安定化するためのスペーサーとして、電解質層212は無機粒子を含有していてもよい。無機粒子を構成する材料としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、ガラス等が例示できる。無機粒子の粒径は電解質層212の厚みと同じであることが好ましい。
電解質層212は、増粘剤、レオロジー調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色剤(顔料や染料等)、酸化防止剤、シランカップリング剤、防錆剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。
電解質層212の形成方法としては、電解質層212が含有する成分を溶解した電解液を調製し、該電解液を第一のEC層211上に塗布や印刷等の公知の方法で付与し、その後、第二のEC層213側を貼り合わせる方法が例示できるが、これに限定されない。電解液上に貼り合わせる方法としては、ロールラミネーターや真空ラミネーター等のラミネーターを用いる方法が例示できる。
<第二の電極部>
本発明のEC素子が有する第二の電極部31は支持体311とその上に設けられた細線電極312からなる。支持体311は第一の電極部11が有する支持体111と同様のものを用いることができ、また細線電極312としては、本発明の好ましい形態になる第一の電極部11が有する細線電極113と同様のものを用いることができる。また図示していないが、細線電極312の表面に有機物、あるいは無機物からなる保護層を設けることもできる。
<EC素子の製作>
本発明のEC素子1は第一の電極部11と第二の電極部31を作製し、それぞれの電極部の上に第一のEC層211と第二のEC層213を設け、第一のEC層211と第二のEC層213のどちらかの上に電解質層212を設け、この電解質層212の粘着力を利用して電解質層212を設けなった電極部を貼り合わせるなどして作製することができる。更に電解質層212の漏れを防ぐために、その側面を封止することが好ましい。封止方法としては、エポキシ系、アクリル系、ポリオレフィン系、シリコーン系等の接着剤をEC素子1の側面に付与し、加熱や紫外線照射、湿気等により硬化させる方法、ホットメルト系接着剤を加熱溶融してEC素子1の側面に付与し、冷却して硬化させる方法、アクリル系粘着テープ、シリコーン系粘着テープ等でEC素子1の側面を貼り合わせる方法が例示できるが、これらに限定されない。EC素子1の側面を封止する工程は、EC層上に電解質層212を形成する前であってもよいし、後であってもよい。
本発明のEC素子1は、支持体111あるいは支持体311上の調光部21側と反対側の面に粘着剤層が貼合されていてもよく、更に粘着剤層上に機能材料が貼合されていてもよい。粘着剤層を形成する粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の公知の粘着剤が例示できる。機能材料としては、化学強化ガラス、ソーダガラス、石英ガラス、無アルカリガラス等のガラス、ポリエチレンテレフタレート等の各種樹脂からなるフィルム、および上記したガラスやフィルムの少なくとも一方の面にハードコート層、反射防止層、防眩層、偏光層、ITO等からなる導電性非金属層、遮光層、加飾層等の公知の機能層を有する材料が例示できる。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<EC素子1の作製>
支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。該支持体の全光線透過率およびヘイズをスガ試験機(株)製ヘーズメーターHZ−V3で測定したところ、全光線透過率は92.1%、ヘイズは0.6%であった。
次に下記組成の物理現像核層塗液を支持体上にグラビアコーティングにより均一に塗布、乾燥して物理現像核層を設けた。
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核層塗液/1mあたり>
前記硫化パラジウムゾル(固形分として) 0.4mg
2質量%グリオキサール水溶液 200mg
界面活性剤(S−1) 4mg
デナコール(登録商標)EX−830 25mg
(ナガセケムテックス(株)製ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)
10質量%エポミン(登録商標)SP−200 水溶液 500mg
((株)日本触媒製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
Figure 2021103203
続いて、支持体に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、および保護層を上記物理現像核層の上にスライドコーティングにより均一に塗布、乾燥して、導電材料前駆体を得た。ハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀乳剤は、コントロールドダブルジェット法で製造した。このハロゲン化銀乳剤が含有するハロゲン化銀粒子は、塩化銀95mol%と臭化銀5mol%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀粒子を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は、銀1gあたり0.5gのゼラチンを保護コロイド(バインダー)として含有する。
<中間層組成/1mあたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
染料1 5mg
Figure 2021103203
<ハロゲン化銀乳剤層組成/1mあたり>
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3mg
界面活性剤(S−1) 20mg
<保護層組成/1mあたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
このようにして得た導電性材料前駆体と、線幅7.0μm、一辺の長さが300μmの正方形を単位格子とする網目状パターンからなるポジ型透過原稿を密着し、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介して露光した。その後、露光済みの導電材料前駆体を下記組成の現像液で現像し(20℃の現像液中に90秒間浸漬し)、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、および保護層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理し、導電材料を得た。
<現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000mL、pH=12.2に調整した。
得られた導電材料に下記のめっき液を用いて、液温60℃、電流密度2A/cm、めっき時間3分の条件下で電解ニッケルめっきを実施し、支持体上に細線電極を有する電極部Aを得た。電極部Aの網目状銀細線パターン層を構成する銀細線を共焦点顕微鏡で観察したところ、線幅は7.0μm、開口率は95%、厚みは2μmであった。
<めっき液>
硫酸ニッケル 240g
塩化ニッケル 45g
ほう酸 30g
全量を水で1000mLとし、pH=4.6に調整した。
電極部Aの網目状銀細線パターン層上に、スパッタリング法にてITOからなる面電極を設けて電極部Bを得た。触針式膜厚計を用いて測定したITOの厚みは23nmであった。
6cm×5cmに裁断した電極部Aと電極部Bを用意し、電極部BにはITO上にプルシアンブルー分散液(関東化学(株)製wFeHCFナノ粒子分散液)をバーコーターにて固形分で0.30g/m塗布、乾燥し第一のEC層を設けた。電極部Aにはニッケル置換プルシアンブルー類似体分散液(関東化学(株)製wNiHCFナノ粒子分散液)をバーコーターにて固形分で0.30g/m塗布し第二のEC層を設けた。続いて、下記組成の電解液を電極部Bの第一のEC層上にディスペンサーで滴下し、電解液を挟んで電極部Aの第二のEC層面を重ね合わせた上でロールラミネーターで貼り合わせ、端部を日立化成(株)製TF−4200EB−452を用いて封止し、EC素子1を得た。この際、5cm×5cmの領域が重なるように1cmずつずらして貼り合わせ、第一のEC層側の電極部Bと、第二のEC層側の電極部Aを部分的に露出した状態とし、後述するファンクションジェネレータとの電気的接続を可能にした。また、ロールラミネーターで貼り合わせする際に端部からはみ出た電解液は拭き取った。第一のEC層と第二のEC層の間に形成された電解質層の厚みは、マイクロメーターで測定した全体の厚さから換算したところ100μmであった。
<電解液組成>
ヘキサフルオロリン酸カリウム 0.5g
ポリエチレンオキサイド 0.5g
(住友精化(株)製PEO−4、粘度平均分子量110万〜150万)
球状ガラスビーズ(平均粒径100μm) 0.5g
炭酸プロピレン 8.5g
<EC素子2の作製>
支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、スパッタリング法にてITOからなる面電極を設けて電極部Cを得た。触針式膜厚計を用いて測定したITOの厚みは23nmであった。
電極部Bの代わりに電極部Cを用いる以外はEC素子1と同様にして、EC素子2を得た。
<素子3の作製>
電極部Aの代わりに電極部Cを用いる以外はEC素子1と同様にして、EC素子3を得た。
<素子4の作製>
電極部A上に第二のEC層を設けず、電極部B上の第一のEC層と電極部Aの細線電極を有する面を電解液を挟んで重ね合わせ、ロールラミネーターで貼り合わせた以外はEC素子1と同様にして、EC素子4を得た。
<EC素子の評価>
EC素子1〜4に対して下記の評価を行った。なお、EC素子1〜4は全て、50cmの距離から透過光で観察して細線電極は目視できなかった。
<発色性>
電極Bと電極Aとの間に、ファンクションジェネレータを用いて+1.0Vの電圧(電極Bが+)を掛け、十分に変色させた。この状態で、日本電色(株)製色差計ZE−200を用い、JIS−Z8722:2009に従いbを測定した。結果を表1に示す。
<発色メモリー性>
上記の電圧を掛け発色させた状態からファンクションジェネレータによる電圧を切り、bが−0.5以上となるまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
<変色性>
上記の電圧を掛け発色させた状態から−1.0Vの電圧(電極Bが−)に変更し、変色に変化が無くなるまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
<透明性>
上記の変色性評価において変色が完了した状態についてbを測定した。結果を表1に示す。
Figure 2021103203
以上の結果から明らかなように、本発明によって、簡易な構造でかつ透明状態と有色状態を発現し、メモリー性が高く、電極が見にくいEC素子が得られることが判る。
1 EC素子
11 第一の電極部
111、311 支持体
112 面電極
113、312 細線電極
21 調光部
211 第一のEC層
212 電解質層
213 第二のEC層
214 変色部
215 未変色部
31 第二の電極部

Claims (2)

  1. 第一の電極部と、第二の電極部と、第一の電極部と第二の電極部との間に配置された調光部と、を含むエレクトロクロミック素子を有するエレクトロクロミック素子であって、調光部は、第一の電極部に接する第一エレクトロクロミック層と、第二の電極部に接する第二エレクトロクロミック層と、電解質層とを含み、第一エレクトロミック層と第二エレクトロクロミック層はプルシアンブルー型金属錯体を含有し、第一の電極部は面電極であり、第二の電極部は細線電極であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  2. 第一の電極部が細線電極と面電極の組み合わせからなる複合電極である請求項1記載のエレクトロクロミック素子。
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